説明

投薬容器へのマーキング装置

【課題】 投薬容器の一回の服用量に相当する高さ位置に迅速かつ正確にマーキングすることができるようにする。
【解決手段】 投薬容器1の外面にマークを付与するマーク付与手段3を備え、前記投薬容器1の外面には、一回の服用量が異なる複数種類の目盛りが予め備えられ、前記マーク付与手段3は、前記複数種類の目盛りのうちの一種類の特定の目盛りが識別可能となるように前記投薬容器1の外面にマークを付与することを特徴とする投薬容器へのマーキング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投薬容器の外面にマークを付与するマーク付与手段を備えた投薬容器へのマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院や診療所等の医療機関の薬局では、薬剤師が処方箋に基づいて投薬容器に薬液の全量を投入した後、一回の服用量に相当する高さ位置に目印となる横線をマジックインキ(商標登録)などによってマーキングすることが行われている。
上記のように容器へ横線をマーキングする作業を自動的に行うための装置が提案されていないことから、マーキングを人為的に行うことが一般的であった。因みに、投薬容器ではない他の容器の外面の特定一箇所に文字や記号を印字することができるマーキング装置は提案されている。
このマーキング装置は、ベルトコンベアによって搬送されてくる容器の印字開始位置を位置決めユニット部によって調整した後、製造年月日などを容器の特定位置に印字することができる装置であるが、投薬容器のように容器の複数箇所に印字できるように構成されたものではなかった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平2−94126号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように人為的に行うマーキング作業は、服用回数が多くなればなるほど手間のかかる煩わしい作業になるだけでなく、マーキング箇所を間違えると、医療・調剤過誤につながることから、薬剤師が細心の注意を払わなければならない。このため、薬剤師は、マーキングを慎重かつ正確に行わなければならず、多くの時間を費やすものであり、改善の余地があった。
【0004】
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、投薬容器へのマーキングを迅速かつ正確に行える投薬容器へのマーキング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するべく、本発明の投薬容器へのマーキング装置は、投薬容器の外面にマークを付与するマーク付与手段を備え、前記投薬容器の外面には、一回の服用量が異なる複数種類の目盛りが予め備えられ、前記マーク付与手段は、前記複数種類の目盛りのうちの一種類の特定の目盛りが識別可能となるように前記投薬容器の外面にマークを付与することを特徴としている。
上記マーク付与手段が、投薬容器の外面にマークを付与することによって、他の目盛りと区別して一種類の特定の目盛りを識別可能にすることができる。前記投薬容器とは、複数回に分けて服用する薬液の全量を投入するための容器を指すものとする。
【0006】
また、本発明は、投薬容器の外面にマークを付与するマーク付与手段を備え、前記マーク付与手段は、前記投薬容器の外面のうちの一回の服用量に相当する高さ位置にマークを付与することにより前記投薬容器の外面に目盛りを備えさせることを特徴としている。
上記マーク付与手段が、投薬容器の外面のうちの一回の服用量に相当する高さ位置にマークを付与することにより、投薬容器の外面に目盛りを備えさせることができる。
【0007】
また、本発明は、投薬容器の外面にマークを付与するマーク付与手段と、投薬容器に投入される薬液の一回の服用量に基づいて、投薬容器の外面にマークを付与するように、マーク付与手段を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
上記制御手段によりマーク付与手段を制御することによって、投薬容器に投入される薬液の一回の服用量に基づいて投薬容器の外面にマークが付与される。
【発明の効果】
【0008】
投薬容器の外面に、マークを付与するマーク付与手段を備えることによって、マーキング作業を人為的に行う場合に比べて、例えば投薬容器の一回の服用量に相当する高さ位置に迅速かつ正確にマーキングする、又は他の目盛りと区別して一種類の特定の目盛りを識別可能にマーキングすることができる。従って、時間短縮を図りながらも正確にマーキングすることができる投薬容器へのマーキング装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態を示し、投薬容器1の外面にマーキングするためのマーキング装置Mを示す斜視図である。また、図1(b)は投薬容器1が載置される載置部を構成する載置台2を省略したマーキング装置Mの斜視図である。
【0010】
前記マーキング装置Mは、複数回に分けて服用する薬液の全量が投入された投薬容器1の外面に、マークを付与するマーク付与手段3を備え、前記マーク付与手段3が、該投薬容器1の外面のうちの一回の服用量に相当する高さ位置に、マークを付与する手段で構成されている。
【0011】
前記マーク付与手段3は、長方形状の底板4Aと底板の長手方向一端から上方へ立ち上げられた長方形状の縦板4Bと縦板4Bの上端から底板4Aと同一側に連結された天板4Cとからなるケーシング4内に収納されている。
【0012】
前記マーク付与手段3は、インクジェット方式の印字装置からなっている。前記印字装置3は、特定色のインクが貯留されているインクカートリッジ3Aと、このインクカートリッジ3Aからのインクを投薬容器1へ向けて噴射して印字するためのノズル3Bとを備えている。実際には、前記ノズル3B内に左右方向に複数本のノズル(図示せず)が並設されており、それら複数本のノズルからインクを噴射させることによって、横線を印字することができるようになっている。ここでは、横線を印字するために印字装置を、複数本のノズルから構成しているが、丸印や目印となる点など、横線以外を印字することができるように、印字装置を構成してもよい。尚、インクジェット方式の印字装置にて目印を印刷する以外の目的で文字や符号を印刷してもよい。
【0013】
また、前記マーキング装置Mは、前記載置部2に載置された投薬容器1の近傍に配置されて該投薬容器1の外面に印字する前記印字装置3を備えるとともに、この印字装置3を高さ方向に移動して投薬容器1の外面への印字を可能とするための昇降用駆動機構5を設けて、構成されている。
前記昇降用駆動機構5は、ボールネジ機構からなり、前記底板4Aの長手方向一端側に固定されたアーチ型の枠材6内に備えさせた電動モータ7と、この電動モータ7の駆動力により駆動回転されるボールネジ8と、ボールネジ8の回転によりボールネジ8上を移動するボールナット9と、このボールナット9にビス止めされて一体的に移動するマーク付与手段3用載置部材10と、この載置部材10が回転しないように載置部材10を支持するとともに昇降案内するための前後一対の案内レール11,11とを備えている。尚、前記案内レール11,11には、前記載置部材10の前後端にそれぞれ取り付けられたスライド部材12,12が移動自在に設けられている。従って、電動モータ7を一方向に駆動することによって、載置部材10を上昇させてマーク付与手段3を所望の高さ位置へ位置させることができるようになっている。そして、電動モータ7を前記方向とは逆方向に駆動することによって、上昇させたマーク付与手段3を初期位置まで下降させることができるようになっている。前記載置部材10は、前記電動モータ7の上方に位置する第1部材10Aに対してマーク付与手段3を載置する第2部材10Bを一段低く構成してあり、載置部材10の形状を工夫することによって、マーク付与手段3が電動モータ7の配置に影響を受けることがなく、該マーク付与手段3を低い位置に配置することができるようになっている。
【0014】
更にまた、前記マーキング装置Mは、前記マーク付与手段(印字装置)3を前後方向に移動可能とするための前後移動用駆動機構13を備えている。
前記前後移動用駆動機構13は、前記載置部材10上に前記ノズル3Bを前後方向に移動自在にするべく、該載置部材10の上面と該ノズル3Bが載置された載置部14の下面との間に左右にそれぞれ設けた上下一対のスライドレール15,15と、載置部14を前後方向に強制移動させるための電動モータ16とを備えている。前記電動モータ16の駆動回転軸の先端に、前記載置部14の上面に前後方向に沿うように取り付けられたラック17に噛み合うピニオン18を取り付けている。従って、電動モータ16を駆動することによりノズル3Bを投薬容器1に接近させた印字位置(図2(a),(b)及び図3参照)と投薬容器1から離間させた待機位置とに位置変更することができるように構成している。投薬容器1の印字位置を、図2(b)に示すように、平面視において投薬容器1の湾曲面の頂部に印字するようにしているが、投薬容器1の印字位置は自由に変更できる。
【0015】
前記投薬容器1は、薬液を貯留可能で断面形状が長円形となる本体部1Aと、この本体部1Aの上端から上方へ行くほど窄まった傾斜部1Bと、傾斜部1Bの上端から上方へ延びるとともに上端開口部1Kを形成する口部1Cとからなるボトル型に構成され、図示していないが、上端開口部1Kを閉じるキャップを備えている。
【0016】
前記のように構成されたマーキング装置Mにより投薬容器1の外面にマーキングするときのマーキング装置Mの動作について説明する。
まず、投薬容器1に全量の薬液を投入した後、投薬容器1にマークを付与する高さ位置をマーキング装置Mの制御部へ入力する。尚、マーキング装置Mの制御部に各種投薬の全量と一回に服用する薬液の量に対する高さ位置のデータを予めテーブル化して入力しておき、薬液の全量と一回に服用する薬液の量を入力することによって、制御部が前記入力されているテーブルのデータの中から所定のデータを取り出すように構成してもよい。
前記薬液が投入された投薬容器1を、図1(a)に示すように載置台2に載置する。この載置した際に、投薬容器1の下端が入り込んで水平方向での位置決めを行うことができる位置決め用の凹部又は位置決め部材を載置台2に備えさせておけば、印刷前の他、印刷中に投薬容器1の位置が不測に変更されることがない利点がある。
【0017】
次に、マーキングを開始するためのスイッチを押すことによって、投薬容器1の下端から一回の服用量に相当する第1番目の高さ位置にマーク付与手段3が位置するように昇降用駆動機構5を駆動する。第1番目の高さ位置にマーク付与手段3が位置すると、昇降用駆動機構5の駆動を停止するとともに前後移動用駆動機構13を駆動して、前記待機位置から前記印字位置へノズル3Bを移動させる。図2(a),(b)に示すように、ノズル3Bが印字位置へ移動すると、前後移動用駆動機構13の駆動を停止した後、ノズル3Bから投薬容器1へ向けてインクを噴射して横線を一回の服用量に相当する第1番目の高さ位置に印字する。印字が終了すると、第1番目の高さ位置から一回の服用量に相当する第2番目の高さ位置へマーク付与手段3を位置させて、前記のように印字を行い、図3に2点鎖線で示すように印字が最後となる最も高い高さ位置での印字が終了すると、図3の実線で示す初期位置となる高さまでマーク付与手段3を下降した後、前記印字位置から前記待機位置へノズル3Bを移動させてマーキング動作を終了する。尚、最後となる最も高い高さ位置での印字が終了すると、前記印字位置から前記待機位置へノズル3Bを移動させてから、初期位置となる高さまでマーク付与手段3を下降させるように構成してもよい。例えば、一日3回の服用で3日間分の薬液を薬液容器1に入れた場合には、高さ方向において9箇所に印字することになる。
【0018】
図1〜図3では、前記マーク付与手段3を、インクジェット方式の印字装置から構成したが、図4〜図7に示すように、インクスポンジ方式の印字装置から構成してもよく、次に、そのインクスポンジ方式の印字装置について説明する。尚、前記昇降用駆動機構5及び前記前後移動用駆動機構13は、図4〜図7においても備えており、同一の符号を付すとともに説明を省略する。
【0019】
インクスポンジ方式の印字装置は、前記マーク付与手段3を備え、そのマーク付与手段3は、昇降用駆動機構5を駆動することにより所定高さ位置まで移動された後、前記前後移動用駆動機構13を駆動することによって、投薬容器1の左右の側面のうちの一方の側面(図では右側面)に接触させてインクを転写することで横線の印字を行うマーキングローラ19と、該投薬容器1の外面へのインクの転写時にマーキングローラ19を駆動回転させるための電動モータ20と、前記マーキングローラ19へインクを供給するためのインク供給装置21とを備えている。このインクスポンジ方式の印字装置では、マーク付与手段3を印字可能な高さ位置まで移動する手段として昇降用駆動機構5を用い、印字可能な高さ位置まで移動してから印字する動作を前後移動用駆動機構13の駆動力を利用して投薬容器1への印字を行えるように構成している。つまり、インクスポンジ方式の印字装置の構成部材として、前後移動用駆動機構13を備えている。
【0020】
前記マーキングローラ19は、前記載置部14に回転自在に下端が軸支された縦軸22に一体回転自在に取り付けられている。また、前記縦軸22の上端に一体回転自在に取り付けられたギア23と前記電動モータ20の駆動軸の先端に一体回転自在に取り付けたギア24とを噛み合わせることによって、電動モータ20からの回転力をギア23,24を介してマーキングローラ19に伝達することができるようにしている。
【0021】
前記インク供給装置21は、前記縦板4Bに水平方向に延びる棚部4bに載置されたインクカートリッジ25と、該棚部4bの下方に突出させた回転軸に一体回転自在に取り付けられ、かつ、インクカートリッジ25からのインクを送出すためのインクスポンジ26と、該インクスポンジ26からのインクを前記マーキングローラ19へ受け渡すための転写ローラ27と、前記転写ローラ27を駆動回転させてインクスポンジ26からのインクを前記マーキングローラ19へ供給するための電動モータ28とを備えている。
【0022】
そして、前記マーキングローラ19が最下方の所定位置に位置しているときに、図6(a)及び図7に示すように、該マーキングローラ19が転写ローラ27に接触する状態になるようにしている。このようにマーキングローラ19が転写ローラ27に接触した時点で前記電動モータ28を駆動してインクカートリッジ25からのインクを転写ローラ27を介してマーキングローラ19へ供給することができるようにしている。尚、電動モータ28を駆動する時期や時間は適宜変更可能である。
【0023】
前記のように構成されたインクスポンジ方式のマーキング装置Mにより投薬容器1の外面にマーキングするときのマーキング装置Mの動作について説明する。
まず、投薬容器1に全量の薬液を投入した後、投薬容器1にマークを付与する高さ位置をマーキング装置Mの制御部へ入力する。尚、マーキング装置Mの制御部に各種投薬の全量と一回に服用する薬液の量に対する高さ位置のデータをテーブル化して予め入力しておき、薬液の全量と一回に服用する薬液の量を入力することによって、制御部は入力されたテーブルのデータの中から所定のデータを取り出すように構成してもよい。図4(a)に示すように載置台2に投薬容器1を載置する。このとき、投薬容器1の下端が入り込んで水平方向での位置決めを行うことができる位置決め用の凹部又は位置決め部材を載置台2に備えさせておいてもよい。
次に、マーキングを開始するためのスイッチを押すことによって、投薬容器1の下端から一回の服用量に相当する第1番目の高さ位置にマーク付与手段3が位置するように昇降用駆動機構5を駆動する。第1番目の高さ位置にマーク付与手段3が位置すると、昇降用駆動機構5の駆動を停止するとともに前後移動用駆動機構13を駆動して、図5(b)の2点鎖線で示すマーキングローラ19を投薬容器1の右側面へ接触するように前方へ移動させる(図5(b)の実線、図4(a)及び図5(a)参照)。前記マーキングローラ19を前方へ移動させると同時又は少し遅れた時点で、前記電動モータ20を駆動してマーキングローラ19を回転させながら投薬容器1の右側面へ接触させることで、投薬容器1の右側面の第1番目の高さ位置に横線を印字することができるようになっている。尚、マーキングローラ19の回転方向としては、投薬容器1の右側面へ接触によりマーキングローラ19を回転させる方向、つまり平面視において時計回りに設定するのが接触抵抗を小さくすることができる利点があるが、平面視において反時計回りに設定してもよい。
印字が終了すると、マーキングローラ19を反時計回りに回転させると同時に前後移動用駆動機構13を前記とは反対に駆動して、マーキングローラ19を後退させる。後退が完了すると、前後移動用駆動機構13の駆動を停止した後、昇降用駆動機構5を駆動することにより、第1番目の高さ位置から一回の服用量に相当する第2番目の高さ位置へマーク付与手段3を位置させて、前記のように印字を行い、図4(b)で示すように最後となる高さ位置での印字が終了すると、図6(a),(b)で示す初期位置となる高さまでマーク付与手段3を下降してマーキング動作を終了する。前記と同様に、例えば、一日3回の服用で3日間分の薬液を薬液容器1に入れた場合には、高さ方向において9箇所に印字することになる。
【0024】
前記実施形態では、投薬容器1は載置部2に載置したまま、マーク付与手段3を昇降及び前後移動させてマークを付与するようにしたが、前記投薬容器1が載置される載置部を少なくとも高さ方向に移動させる昇降機構を備えて、投薬容器1をマーク付与手段3に対して移動させてマークを付与するようにしてもよい。尚、前記昇降機構に加えて、前後方向や左右方向にも載置部を移動できるようにしてもよい。
【0025】
また、前記実施形態では、薬液が投入された投薬容器の外面にマークを付与する構成であったが、薬液が投入される前の空の投薬容器の外面にマークを付与し、マークが付与された後の投薬容器に薬液を投入してもよい。また、薬液を投薬容器に自動的に投入するための薬液投入装置に、前記マーキング装置を組み込む、又は連結して、薬液を自動投入した薬液容器に連続して印字するように構成してもよい。
【0026】
さらに、前記実施形態では、インクジェット方式及びインクスポンジ方式のマーク付与手段を示したが、他の方式のマーク付与手段であってもよい。
【0027】
また、前記実施形態では、投薬容器1の外面のうちの一回の服用量に相当する高さ位置にマーク(横線以外の符号等でもよい)を付与することにより投薬容器1の外面に目盛りを備えさせたが、投薬容器1の外面に、一回の服用量が異なる複数種類の目盛りを予め備えさせ、マーク付与手段が、前記複数種類の目盛りのうちの一種類の特定の目盛りが識別可能となるように投薬容器の外面にマークを付与する手段であってもよく、これら多数の例を図8(a),(b)及び図9(a),(b),(c)に基づいて説明する。
【0028】
図8(a)は、具体的な投薬容器1を示し、それの外面に予め一回の服用量が異なる3つの目盛りM1,M2,M3が備えられている。図において左側の目盛りM1は、一回の服用量が最も少ない目盛りになっており、その目盛りM1の上端に数字の7(アルファベット等の符号であってもよい)を備えている。また、右側の目盛りは、一回の服用量が最も多い目盛りになっており、その目盛りの上端に数字の3(アルファベット等の符号であってもよい)を備えている。また、中央に位置する目盛りは、一回の服用量が左右の2つの目盛りの服用量の中間に位置する目盛りになっており、それら目盛りを構成する全ての横線のうちの特定の横線(全ての横線でもよい)の横には、数値が付されている。
【0029】
図8(b)では、前記マーク付与手段3が、前記右側の目盛りを構成する横線全てをその上からなぞる、つまり全ての横線L1の上をなぞることによりマークする手段からなり、他の目盛りM2,M3と区別することができるようになっている。尚、図では、上下で隣り合う横線間の量が一回の服用量として全ての横線L1の上をなぞったが、一回の服用量が一つ置きの横線間の場合には、一つ置きの横線の上をなぞることになり、一回の服用量によってなぞる横線が決定されることになる。
【0030】
また、図9(a)では、前記マーク付与手段3が、前記左側の目盛りM1の上方に備えた数字の7を取り囲むようにマーク(又は数字や符号をなぞることによりマーク)する手段からなり、他の目盛りM2,M3と区別することができるようになっている。従って、投薬容器1を受け取った患者は、数字の7の下の目盛りM1に基づいて服用することができるようになっている。
【0031】
図9(b)では、前記マーク付与手段3が、前記左側の目盛りM1を構成する複数の水平ラインL1と高さ方向で交差するラインL2(図では上下の縦ライン)を付すことによりマークする手段からなり、他の目盛りM2,M3と区別することができるようになっている。従って、投薬容器1を受け取った患者は、縦ラインL2が付された左側の目盛りM1の横線L1に基づいて服用することができるようになっている。
【0032】
図9(c)では、前記マーク付与手段3が、前記目盛りM2を構成する水平ラインのうちの一つ置きの水平ラインL3の横に備えた数値、図では100,80,60,40,20を取り囲むようにマークする(又は該数値をなぞる)手段からなり、他の目盛りM2,M3と区別することができるようになっている。図では全ての数字を取り囲むようにマークして(又は該数値をなぞってもよい)、マークした数字間が一回の服用量としてもよいし、全ての横線のうちの上下の横線間を一回の服用量としてもよい。なお、一回の服用量を明確にするために、一回の服用量に相当する横線も同時にマークしてもよい。
このように予め備えた目盛りのうちの一回の服用量で決まる特定の目盛りを他の目盛りと区別する手段は、図に示されるものに限定されるものではなく、自由に変更することができる。
【0033】
前記実施形態では、投薬容器の外面のうちの一回の服用量に相当する高さ位置に横線などのマークを付与するか、一回の服用量が異なる複数種類の目盛りが予め備えられた投薬容器に特定の目盛りを識別可能とするマークを付与する場合を示したが、それら以外のマークを付与して一回の服用量が分かるように構成することもできる。その場合には、投薬容器に投入される薬液の一回の服用量に基づいて、投薬容器の外面にマークを付与するように、マーク付与手段を制御する制御手段を備えた構成とすることになる。尚、前記制御手段に、マーク付与手段を自動制御するためのプログラムを予め入力しておき、そのプログラムに基づいて投薬容器の外面に各種のマークを付与することができるように構成してもよく、一回の服用量がわかるようにマークする構成であれば、どのような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の概略構成を示す斜視図、(b)は図1(a)で示した載置台と投薬容器を省略した斜視図である。
【図2】(a)は本発明の第1の実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の概略構成を示す右側面図、(b)は本発明の一実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の概略構成を示す一部断面にした左側面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の概略構成を示す斜視図であり、(a)はマーク付与手段を最下部に位置させてマーキングしている状態を示し、(b)はマーク付与手段を最上部に位置させてマーキングしている状態を示している。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の概略構成を示し、(a)はそれの側面図、(b)はそれの平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の概略構成を示し、(a)はそれを下から見た斜視図、(b)はそれを上から見た斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る投薬容器へのマーキング装置の要部の平面図である。
【図8】(a)は投薬容器の具体例を示す斜視図、(b)は(a)の投薬容器の外面に備えた複数種類の目盛りのうちの特定の目盛りを識別することができるようにマークした第1の例を示している。
【図9】投薬容器の外面に備えた複数種類の目盛りのうちの特定の目盛りを識別することができるようにマークした例を示し、(a)は第2の例を示し、(b)は第3の例を示し、(c)は第4の例を示している。
【符号の説明】
【0035】
1…投薬容器、1A…本体部、1B…傾斜部、1C…口部、1K…上端開口部、2…載置台(載置部)、3…マーク付与手段(印字装置)、3A…インクカートリッジ、4…ケーシング、4A…底板、4B…縦板、4B…ノズル、4B…縦板、4C…天板、4b…棚部、5…昇降用駆動機構、6…枠材、7…電動モータ、8…ボールネジ、9…ボールナット、10…載置部材、10A,10B…部材、11…案内レール、12…スライド部材、13…前後移動用駆動機構、14…載置部、15…スライドレール、16…電動モータ、17…ラック、18…ピニオン、19…マーキングローラ、20…電動モータ、21…インク供給装置、22…縦軸、23,24…ギア、25…インクカートリッジ、26…インクスポンジ、27…転写ローラ、28…電動モータ、M…マーキング装置、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬容器の外面にマークを付与するマーク付与手段を備え、前記投薬容器の外面には、一回の服用量が異なる複数種類の目盛りが予め備えられ、前記マーク付与手段は、前記複数種類の目盛りのうちの一種類の特定の目盛りが識別可能となるように前記投薬容器の外面にマークを付与することを特徴とする投薬容器へのマーキング装置。
【請求項2】
投薬容器の外面にマークを付与するマーク付与手段を備え、前記マーク付与手段は、前記投薬容器の外面のうちの一回の服用量に相当する高さ位置にマークを付与することにより前記投薬容器の外面に目盛りを備えさせることを特徴とする投薬容器へのマーキング装置。
【請求項3】
投薬容器の外面にマークを付与するマーク付与手段と、
投薬容器に投入される薬液の一回の服用量に基づいて、投薬容器の外面にマークを付与するように、マーク付与手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする投薬容器へのマーキング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−52766(P2010−52766A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219606(P2008−219606)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】