説明

抗アレルゲン性壁紙の製造方法

【課題】優れた抗アレルゲン性とその持続性を有する抗アレルゲン性壁紙を提供すること。
【解決手段】基材シート、発泡樹脂層、及び抗アレルゲン機能層を順に有する抗アレルゲン性壁紙の製造方法であって、工程(1)基材シート上に発泡樹脂組成物を積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程、及び工程(2)該発泡樹脂層上に、フェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物を用いて抗アレルゲン機能層を積層する工程を順に有することを特徴とする抗アレルゲン性壁紙の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗アレルゲン性壁紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネルギー志向向上に伴い、住宅環境ではエネルギー効率を向上した、高気密性の住宅が求められている。例えば、外断熱工法などを用いた場合、気密性が向上し夏冬の冷暖房効率が向上する。しかし、その一方で、室内における通気性が低下するため、臭いやハウスダストといわれる塵が室内もこもりやすく、各種菌、カビ、ダニ(虫体、死骸、抜け殻、糞)などがたまりやすい傾向となる。これらが、アレルギーを引き起こす原因であるアレルゲンとなり、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の症状を多く発症しているといわれている。そこで、内装部材として最も面積を有する壁面、あるいは床面に、アレルギー疾患の原因となる、ダニや花粉などのアレルゲンを除去ないし不活性化するような抗アレルゲン性能を持たせることが有効と考えられる。
【0003】
このような抗アレルゲン性能が付与された建材としては、ジルコニウム塩からなる抗アレルゲン剤を、木材の素材、合板などの木質素材などの表面に塗工した建築材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような建築材料では、抗アレルゲン剤を単に塗工処理したものであることから、剥離しやすく、耐久性が乏しいものであった。
そこで、カーペットの基布上面にアレルゲン低減化物質を塗布し、カーペットに集積する様々なアレルゲンを低減する方法(例えば、特許文献2)が提案されている。また、消臭、抗菌効果を有するカテキンなどの可溶性有機物からセラミック可溶性有機物を作成し、和紙や塩化ビニル、不織布などからなる壁紙のトップコート剤に混合して使用することにより、強固に固着して、長期にわたって抗菌、消臭効果を発揮することが可能な技術(例えば、特許文献3)が提案されている。さらには、セルロース系繊維からなる基材上に天然繊維からなる表面層を配置し、該表面層に、柿渋を塗布した抗アレルゲン壁紙(例えば、特許文献4)が提案されている。これら特許文献1〜3のような方法で用いられる抗アレルゲン剤(アレルゲン低減化物質)は、そのほとんどがポリフェノール系化合物であり、高い抗アレルゲン性能を示すことは認められている。しかし、これらの抗アレルゲン剤は、壁紙に用いると、その製造工程において高温に晒されること、あるいは壁紙発泡ガスとの反応などにより、抗アレルゲン剤の表面上に存在する水酸基が消失し、抗アレルゲン性能が低下するといった課題がある。
【0004】
また、塩ビ樹脂上に粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤をバインダー樹脂により固着させた壁紙(例えば、特許文献5)が提案されている。しかし、壁紙上に直接粘土鉱物からなるアレルゲン吸着剤を配置した場合、耐汚染性が低下してしまう。さらに、粘土鉱物は、細孔中にアレルゲンを吸着することで抗アレルゲン性能を示すため、吸着飽和となった時点で、抗アレルゲン性能は発現できなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−212806号公報
【特許文献2】特開2008−5489号公報
【特許文献3】特開2003−13372号公報
【特許文献4】特開2010−65344号公報
【特許文献5】特開2010−144295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた抗アレルゲン性とその持続性を有する抗アレルゲン性壁紙を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、発泡樹脂層とフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン性機能層を有する壁紙において、発泡樹脂を発泡させて発泡樹脂層を形成した後、抗アレルゲン性機能層を設けることにより、該抗アレルゲン性機能層が優れた抗アレルゲン性とその持続性を有することを見出した。すなわち、本発明は、以下の抗アレルゲン性壁紙の製造方法を提供するものである。
【0008】
1.基材シート、発泡樹脂層、及び抗アレルゲン機能層を順に有する抗アレルゲン性壁紙の製造方法であって、下記の工程を順に有することを特徴とする抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
工程(1)基材シート上に発泡樹脂組成物を積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程
工程(2)該発泡樹脂層上に、フェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物を用いて抗アレルゲン機能層を積層する工程
2.工程(2)が、剥離フィルム上に抗アレルゲン機能層を有する転写フィルムを用いて、発泡樹脂層上に抗アレルゲン機能層を積層することを特徴とする上記1に記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
3.抗アレルゲン性壁紙が、発泡樹脂層と抗アレルゲン機能層との間にフィルム層を有しており、工程(2)が、該フィルム層上に抗アレルゲン機能層用組成物を用いて抗アレルゲン機能層を積層して得られる積層体Bを、該フィルム層が発泡樹脂層側となるように、該積層体Bを発泡樹脂層上に積層することを特徴とする上記1に記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
4.抗アレルゲン性壁紙が、基材シートと発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層を有しており、工程(1)が、非発泡樹脂組成物と発泡樹脂組成物とを積層して積層体A1を形成し、該積層体A1の非発泡樹脂組成物が基材シート側となるように、該積層体A1と基材シートとを積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
5.抗アレルゲン性壁紙が、基材シート、非発泡樹脂層、発泡樹脂層、及び非発泡樹脂層を順に有しており、工程(1)が非発泡樹脂組成物と発泡樹脂組成物と非発泡樹脂組成物とを順に積層して積層体A2を形成し、該積層体A1の非発泡樹脂組成物が基材シート側となるように、該積層体A2と基材シートとを積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
6.抗アレルゲン性壁紙が、抗アレルゲン機能層側から機械的にエンボス加工が施されている上記1〜5のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた抗アレルゲン性とその持続性を有する抗アレルゲン性壁紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の製造方法で製造される抗アレルゲン性壁紙の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の製造方法で製造される抗アレルゲン性壁紙の断面を示す模式図である。
【図3】本発明の製造方法で製造される抗アレルゲン性壁紙の断面を示す模式図である。
【図4】本発明の製造方法で製造される抗アレルゲン性壁紙の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[抗アレルゲン性壁紙]
まず本発明の製造方法で得られる抗アレルゲン性壁紙について、図1〜4を用いて説明する。本発明の製造方法で得られる抗アレルゲン性壁紙は、図1に示されるように、基材シート2、発泡樹脂層32、及び抗アレルゲン機能層8を順に有するものである。また、好ましい態様の例として、図2に示される基材シート2上に、非発泡樹脂層31と発泡樹脂層32とからなる積層体A1、絵柄層4、及び抗アレルゲン機能層8を順に有する壁紙、図3に示される基材シート2上に、非発泡樹脂層31Aと発泡樹脂層32と非発泡樹脂層31Bとからなる積層体A2、絵柄層4、及び抗アレルゲン機能層8を順に有する壁紙、あるいは図4に示される基材シート2上に、非発泡樹脂層31Aと発泡樹脂層32と非発泡樹脂層31Bとからなる積層体A2、絵柄層4、接着剤層5、フィルム層6、プライマー層7及び抗アレルゲン機能層8を順に有する壁紙などが挙げられる。また、図4に示されるように、抗アレルゲン性壁紙は、好ましく凹凸模様9を有することができる。
【0012】
≪基材シート2≫
基材シートとしては、通常壁紙として用いられるものであれば、特に限定されず、例えば裏打紙、難燃紙などの紙質基材;織布、不織布、編布などの布質基材;合成樹脂シートなどを用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体など、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
【0013】
これらのなかでも、スルファニル酸グアナジンやリン酸グアナジンなどの水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙や、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機質剤を混抄した無機質紙などの通常壁紙用裏打紙といわれるものが好ましく、カール防止の観点より、水中伸度2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.8%以下である。ここで、水中伸度はJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.27:2000に準拠して測定された値である。
【0014】
これらの材料は、それぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体など、任意の組み合わせによる積層体であってもよく、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤などを適宜添加してもよい。
また、基材2の厚さは、特に制限はないが、秤量が50〜300g/m2程度、好ましくは55〜160g/m2の範囲である。特に、壁紙施工時の下地の凹凸を拾う、いわゆる不陸が目立たなくするには、60〜160g/m2の範囲が好ましい。
【0015】
≪樹脂層3≫
樹脂層3は、抗アレルゲン壁紙に良好な施工性と意匠性とを付与するために、基材シート2上に設けられる層であり、発泡樹脂層32を必須の層として有する層である。樹脂層3は、発泡樹脂層32を有すれば特に制限はないが、壁紙に難燃性や絵柄層などに用いられるインキ組成物が発泡樹脂層32を経由して基材シート2に浸透することを抑制する観点から、非発泡樹脂層31を有することが好ましい。例えば、図2に示されるような、基材シート2側から、非発泡樹脂層31A、及び発泡樹脂層32を順に有する態様や、図3及び4に示されるような、基材シート2側から、非発泡樹脂層31A、発泡樹脂層32及び非発泡樹脂層31Bを順に有する3層以上が積層した態様などが好ましく挙げられる。また、図示していないが、基材シート2側から発泡樹脂層32、及び非発泡樹脂層31Aを順に有する態様も好ましく挙げられる。
【0016】
≪発泡樹脂層32≫
発泡樹脂層は、発泡樹脂組成物を発泡して形成される層であり、本発明で用いられる発泡樹脂組成物としては、通常壁紙用の発泡層を形成する材料であれば特に制限なく採用することが可能であるが、発泡層樹脂層用樹脂、発泡剤、可塑剤、及び無機充填剤を含むものであることが好ましい。
発泡樹脂層32の厚さは、発泡樹脂組成物を塗布した製膜状態において30〜300μmが好ましく、発泡後の厚みは350〜1200μmが好ましい。
【0017】
<発泡樹脂層用樹脂>
発泡樹脂層用樹脂としては、好ましくは熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、プロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂などのポリオレフィン系樹脂のほか、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ナイロン、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂を好ましく挙げられる。
【0018】
これらのなかでも、環境保護の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリオレフィンの単体及び各種共重合体、炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ないしはアイオノマー、またはこれらの1種ないしそれ以上からなる混合樹脂を挙げることができる。なかでも特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)の少なくとも1種が好ましい。EVA及びEMMAは特に限定されず、公知又は市販のものを使用することができる。特に、EVAは、酢酸ビニル成分(VA成分)が15〜30質量%であるものが好ましい。また、EMMAは、メタクリル酸メチル成分(EMA成分)が15〜30質量%であるものが好ましい。
【0019】
<発泡剤>
発泡樹脂組成物に好ましく含まれる発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウム・アゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物などが好ましく挙げられる。
これらのうち、低コストであるとともに、分解熱が小さく、難燃性かつ自己消化性に優れ、水に安定であり、無毒であり、熱分解型化学発泡剤が分解温度以下での加工処理が可能であることから、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミドなどのアゾ化合物の熱分解型発泡剤が好ましく用いられる。
【0020】
発泡剤の添加量としては、要求される意匠性により適宜決めればよいが、発泡樹脂層32の熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.5〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。なお必要に応じて、一層の発泡効果を向上させるために発泡剤の分解を促進する発泡助剤を併用することができる。その発泡助剤としては使用する発泡剤の種類により異なるが、例えば発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いる場合には発泡助剤として酸化亜鉛、硫酸鉛、尿素、ステアリン酸亜鉛などが用いられる。
【0021】
<可塑剤>
発泡樹脂組成物に好ましく含まれる可塑剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル化合物;ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)などのフタル酸エステル化合物などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、低コストであるとともに、汎用性の高いジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)などのフタル酸エステル化合物が好ましい。
【0022】
可塑剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましく、30〜70質量部がさらに好ましい。可塑剤の添加量が上記範囲内であると、優れた柔軟性と耐候性が得られる。
【0023】
<無機充填剤>
発泡樹脂組成物に好ましく含まれる無機充填剤としては、特に制限はなく、様々なものを用いることができるが、例えば、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカなどが好ましく挙げられ、これらの単独であるいは複数を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、分解温度が低く、吸熱量が大きく、低コストであることから炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが好適である。
【0024】
これらの無機充填剤は、本発明の製造方法で得られる抗アレルゲン性壁紙に難燃性を付与する効果を有し、多量に配合することで、その効果は一層増大する。壁紙の難燃性を十分得るには、無機充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは70質量部以上、より好ましくは90質量部以上である。
本発明において用いられる無機充填剤の平均粒径は、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。
【0025】
これらの無機充填剤は、そのまま配合してもよいが、無機充填剤をあらかじめシラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコアルミニウム系などのカップリング剤、りん酸系、脂肪酸系などの界面活性剤、油脂、ワックス、ステアリン酸、シランカップリング剤などにより処理してから配合してもよい。
【0026】
<各種添加剤>
発泡樹脂組成物は、要求される物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えばセル調整剤、光安定剤、防カビ剤、防虫剤、防腐剤、抗菌剤、希釈剤、消臭剤などが挙げられる。
また、架橋させる場合には、架橋助剤を配合することが好ましい。架橋助剤としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアネートなどの3官能の架橋助剤のほか、NKエステルなどの単官能の架橋助剤などが好ましく挙げられる。架橋助剤の配合量は発泡樹脂層用樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度が好ましい。
【0027】
≪非発泡樹脂層31≫
非発泡樹脂層31は、発泡樹脂層32と基材シート2との接着力を向上させる、あるいは後述する絵柄層4に用いられるインキ組成物が発泡樹脂層32を経由して基材シート2中に浸透することを抑制する目的で、好ましく設けられる層である。非発泡樹脂層31は、基材シート2と発泡樹脂層32との間に設ける、すなわち樹脂層3は基材シート2側から非発泡樹脂層31、発泡樹脂層32の順に積層することが好ましい。また、非発泡樹脂層31は複数設ける、例えば、図3及び4に示されるように、樹脂層3が基材シート2側から非発泡樹脂層31A、発泡樹脂層32、非発泡樹脂層31Bの順に積層したものとすることができる。この場合、複数の非発泡樹脂層31は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。また、発泡樹脂層32が複数存在する場合も同様である。
【0028】
<非発泡樹脂層用樹脂>
本発明において、非発泡樹脂層31は、非発泡樹脂層用樹脂、及び必要に応じて各種添加剤などを含有する非発泡樹脂組成物により形成される。
非発泡樹脂層用樹脂としては、特に制限はないが、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂単体及び各種共重合体樹脂を好ましく挙げることができ、なかでもポリオレフィン系樹脂が好ましい。非発泡樹脂層用樹脂として用いられるポリオレフィン系樹脂としては、発泡樹脂層用樹脂として記載したポリオレフィン系樹脂が好ましく例示される。発泡樹脂層用のポリオレフィン系樹脂と、非発泡樹脂層用のポリオレフィン系樹脂とは同じでも異なっていてもよい。
【0029】
<各種添加剤>
非発泡樹脂組成物は、各種添加剤を必要に応じて含有することができる。例えば、無機充填剤を入れて増量効果を付与したり、難燃剤を入れて難燃性を付与することもできる。また、架橋する場合は、発泡樹脂層で用いられる架橋助剤として例示したものを好ましく配合することもできる。無機充填剤としては、発泡樹脂層で用いられる無機充填剤として例示したものが好ましい。
【0030】
難燃剤としては、例えば尿素などの窒素化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物(特に結晶水を持つ化合物)、自消性を有するリン又はハロゲン元素を含む難燃剤などが適している。特に水酸化物のような化合物を配合することにより、燃焼分解時に結晶水の気化熱で難燃化を図ることができる。また、難燃剤の配合量は、非発泡樹脂層用樹脂100質量部に対して、窒素化合物とリン化合物からなる混合難燃化合物が25〜100質量部配合されていると好ましい。非発泡樹脂層用樹脂との相溶性が良好となり、熱安定性も良好となるからである。
【0031】
本発明においては、非発泡樹脂層用樹脂に柔軟性、耐衝撃性、易接着性を付与する目的で各種ゴム類を添加することもできる。
ゴム類としては、例えばジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマーなどが挙げられ、水素添加ジエン系ゴムが好ましい。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、本発明においては非発泡樹脂層用樹脂の改質剤として、機能するものである。すなわち、非発泡樹脂層用樹脂、なかでも好ましく用いられるポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑え、柔軟性、透明性を高める機能を発現する。また、一般にポリオレフィン系樹脂にジエン系ゴムを添加するとジエン系ゴムの二重結合のため、耐候性・耐熱性はジエン系ゴム無添加のポリオレフィン系樹脂より低下するが、本発明では、ジエン系ゴムの二重結合を水素で飽和させるため、ポリオレフィン系樹脂の耐候性、耐熱性の低下も無く良好なものとなる。
【0032】
ジエン系ゴムとしては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴムなどが挙げられ、特にスチレン・ブタジエンゴムなどが好ましい。
ゴム類の添加量としては、特に限定されないが、通常は非発泡樹脂層用樹脂100質量部に対し、1〜90質量部程度とすることが好ましい。
【0033】
また、顔料を添加して、非発泡樹脂層に透明着色又は不透明着色を施すこともできる。顔料としては、公知又は市販のものを制限なく使用することができる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブリーRS、アニリンブラックなどの有機顔料(染料も含む)、アルミニウム、真鍮などの金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。これらは、用途に応じて、透明着色顔料又は不透明着色顔料のいずれかを選択することができる。これら顔料は、粉末又は鱗片状箔片として添加、分散すればよい。
【0034】
<フィルム>
また、非発泡樹脂層31は、上記の樹脂からなる透明又は不透明なフィルムを用いて形成することもできる。フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ウレタン系又はアクリル系コート剤でコートしたポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフロロエチレンなどのフッ素系樹脂フィルムなどのフィルムが挙げられる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、耐汚染性、耐擦傷性、耐薬品性などの性能に優れ、エンボス加工において優れた凹凸追従性を示す、すなわち縦方向の引張伸度が十分大きく、電離放射線により崩壊することなく、製造コストが安く、また燃焼時の煙濃度が少ないエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルムが特に好ましい。
【0035】
非発泡樹脂層31の厚さは、3〜50μmであることが好ましく、10〜20μmがより好ましい。非発泡樹脂層31の厚みが上記範囲内であれば、非発泡樹脂層31をフィルムで形成する場合でも、該フィルムの製造上の制約をうけることなく、また、優れた表面特性を得ることができ、エンボス加工による壁紙の凹凸追従性を確保することができる。
【0036】
上記したように、非発泡樹脂層31は一層あるいは複数層あってもよく、例えば図3及び4に示されるように、非発泡樹脂層31が、非発泡樹脂層31A及び非発泡樹脂層31Bと二層以上有する場合、これら複数の非発泡樹脂層は、同じ材料あるいは異なる材料で形成されていてもよく、またその厚さは同じでも異なっていてもよい。
【0037】
≪絵柄層4≫
絵柄層4は、抗アレルゲン性壁紙に装飾性を与えるために好ましく設けられる層であり、種々の模様を、インキ組成物と印刷機とを使用して印刷することにより形成される。一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷など、周知の印刷方法によりインキにて形成することができる。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う多色印刷などによっても形成される。
【0038】
絵柄層4の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。なかでも、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂などの1種単独で又は2種以上を混合して用いるのが好ましい。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
絵柄層4は、厚さ1〜20μm程度であることが好ましい。
【0039】
≪フィルム層6≫
フィルム層6は、主に耐汚染性、耐セロファンテープ性、耐擦傷性、耐薬品性などの表面特性を付与するために好ましく設けられる層である。また、フィルム層6は、抗アレルゲン機能層用組成物の発泡樹脂層32(あるいは発泡樹脂組成物)や非発泡樹脂層31への浸透を防止し、さらに抗アレルゲン機能層用組成物と発泡処理の際に発生する発泡ガスとの直接的な接触を防止できるため、抗アレルゲン性壁紙の抗アレルゲン性の低下を抑制することをも可能とする。フィルム層6は、樹脂層3(発泡樹脂層32)の基材シート2とは反対側に設けられていればよく、好ましくは図4に示されるように、絵柄層4の上面に接着剤層5を介して設けられる。
【0040】
フィルム層6を構成する樹脂としては、特に制限はないが、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブテン系などのポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂単体及び各種共重合体樹脂を好ましく挙げることができ、生産効率性の観点から、これらの樹脂からなる透明又は半透明な市販のフィルムを好ましく使用することができる。本発明の製造方法で得られる抗アレルゲン性壁紙に耐汚染性、耐セロファンテープ性、耐擦傷性、耐薬品性などの表面性能を付与し、エンボス加工を施す場合には優れた凹凸追従性を付与し、燃焼時の煙濃度が少なく、かつ製造コストを安価におさえる観点から、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂が好ましい。
【0041】
本発明のフィルム層6に用いるフィルムの厚さは、5〜25μmであることが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。フィルムの厚みが上記範囲内であれば、該フィルムの製造上の制約をうけることなく、またエンボス加工による壁紙の凹凸追従性を確保することができる。
【0042】
≪接着剤層5≫
上記したフィルム層6と樹脂層3、特に非発泡樹脂層31との接着性が低い場合、例えばフィルム層6にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムを用いた場合には、図4に示されるように、必要に応じて両層間に接着剤層5を設けることが好ましい。
接着剤層5に用いられる接着剤としては、特に制限はないが、本発明の製造工程より感熱接着剤が好ましい。感熱接着剤とは、一般に常温では固体であり、加熱により溶融又は軟化して接着性を発現し、冷却すると固化して強固に接着する性質を有する熱可塑性樹脂を主要成分とする接着剤のことをいう。これを適当な溶剤に溶解、もしくは加温により溶融させて、被接着体の一方又は両方の接着面に塗布し、両者を重ね合わせて加熱加圧することにより接着させるものである。
接着剤の主要成分として用いられる熱可塑性樹脂としては、具体的には、(メタ)アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル系、ポリアミド樹脂系、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン共重合体樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン−αオレフィン共重合体樹脂などの易接着樹脂単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂、ならびにオレフィン樹脂や発泡樹脂組成物の主成分となる熱可塑性樹脂、フィルム層の主成分となる熱可塑性樹脂とのブレンド品が挙げられる。
【0043】
接着剤層5は、層間接着力の向上を図ることを目的に、図4に示すように非発泡樹脂層31Bとフィルム層6との層間に設けるほか、必要に応じて基材シート2と発泡樹脂層32との層間などにも設けることもできる。また、接着剤層5を設ける以外に、層間接着力を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を、フィルム層6を形成する樹脂フィルムに施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
【0044】
≪プライマー層7≫
本発明の製造方法で得られる抗アレルゲン性壁紙は、後述する抗アレルゲン機能層8の形成に用いられる抗アレルゲン機能層用組成物と、フィルム層6との密着性を向上させる目的で、これらの層の間に必要に応じてプライマー層7を設けることができる。
プライマー層7で用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ウレタン−アクリル系樹脂などの、フィルム層6で用いられる樹脂と抗アレルゲン機能層用組成物との密着に良好な樹脂が好ましく挙げられる。また、層間接着力の強化を目的として、発泡樹脂層32と非発泡樹脂層31との層間、及び非発泡樹脂層31とフィルム層6との層間にプライマー層を設けることもできる。
【0045】
≪抗アレルゲン機能層8≫
抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層8は、本発明の製造方法で得られる抗アレルゲン性壁紙に、優れた抗アレルゲン性とその持続性を付与するだけでなく、耐汚染性、耐セロファンテープ性、耐擦傷性、耐薬品性などの表面特性を付与しうる層である。
【0046】
<抗アレルゲン機能層用組成物(i)>
本発明において、抗アレルゲン機能層8は、フェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物により形成されるものであり、好ましくは硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物(i)を硬化して形成することができる。
<硬化性樹脂>
本発明で用いられる硬化性樹脂は、熱あるいは電離放射線の照射により硬化する樹脂であれば特に制限はない。本発明においては、電離放射線の照射により硬化する樹脂、すなわち電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
【0047】
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール/ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などのほか、などが好ましく挙げられる。
【0048】
(電離放射線硬化性樹脂)
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などのオリゴマーが挙げられる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
【0050】
重合性オリゴマーとしては、上記したなかでもウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、ラジカル重合性不飽和基を有するものである。本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、このラジカル重合性不飽和基を好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8を有する、すなわち好ましくは2〜10官能、より好ましくは2〜8官能のものである。官能基数が上記範囲内であると、優れた耐候性、耐汚染性が得られると同時に、Vカットをはじめとする各種加工に対応できる優れた加工性が得られ、また優れた抗アレルゲン性も得られる。
【0051】
このウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、600〜5000程度のものが好ましく、より好ましくは600〜3000であり、さらに好ましくは600〜2200である。このようなウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを後述する抗アレルゲン剤とともに用いることにより、抗アレルゲン性とともに耐候性、耐汚染性に優れたものが得られる。また、抗アレルゲン機能層用組成物が適度なチクソ性を有するので、抗アレルゲン機能層の形成が容易となる。
【0052】
本発明においては、上記した多官能性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーなどとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性あるいは多官能性ウレタン(メタ)アクリレートモノマーを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
<抗アレルゲン剤>
本発明で用いられる抗アレルゲン剤は、フェノール性水酸基を有するもの、すなわちフェノール性水酸基を有する非水溶性高分子のものであり、該フェノール性水酸基が、アレルゲン性の物質を吸着するとともに不活性化するように機能するものであれば特に制限されない。このような抗アレルゲン剤としては、分子内に複数のフェノール性水酸基、すなわちベンゼン環やナフタレン環などの芳香環に結合した水酸基を有する有機化合物であるポリフェノール化合物で構成されるもの、例えば、ポリ(4−ビニルフェノール)やポリ(3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル)などのポリフェノール系の高分子が好ましく挙げられる。市販の抗アレルゲン剤としては、「マルカリンカー S‐2P(商品名)」(丸善石油化学株式会社)などを使用することができ、この抗アレルゲン剤は、ダニや花粉など種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
【0054】
また、ポリフェノール化合物が無機固体酸に担持されたものも好ましく挙げられる。このような態様において用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、エピカテキン、ガロタンニン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのカテキンと称される低分子量ポリフェノールや高分子量のタンニン酸などが、優れた抗アレルゲン性を有するとともに、工業的に容易にかつ安価に入手できる観点から好ましく挙げられる。ポリフェノール化合物は、上記したものを単独で、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、タンニン酸が抗アレルゲン性の観点から好ましい。
【0055】
無機固体酸は、無機物質であって、その表面に水素イオンを放出し、酸性を発現する酸点あるいは活性点を有するものである。例えば、H置換Y型ゼオライト、H置換ZSM−5型ゼオライトなどのゼオライト類、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、リン酸スズ、リン酸セリウム、リン酸チタニウムなどのリン酸化合物類、アンチモン酸のほか、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、チタニアアルミナ、チタニアジルコニアなどの複合酸化物などが好ましく挙げられる。これらのなかでも、耐熱性に優れ、高い固体酸性を有する観点から、ゼオライト類、複合酸化物が好ましく、特に酸強度が強いリン酸ジルコニウムが好ましく、結晶系が層状構造を有する層状リン酸ジルコニウムが好ましい。
【0056】
無機固体酸の形状は、粉末状、塊状、板状及び繊維状などが挙げられるが、取り扱いの点から粉末状であることが好ましい。粉末状の場合、その平均粒径は0.01〜50μmであることが好ましく、0.02〜20μmであることがより好ましい。平均粒径が上記範囲内であると、取り扱いが容易であり、優れた抗アレルゲン性を得る観点からも好ましい。
【0057】
本発明において、ポリフェノール化合物が無機固体酸に担持されたものを抗アレルゲン剤として用いる場合、ポリフェノール化合物と無機固体酸との重量比率は、10:90〜95:5が好ましく、より好ましくは20:80〜80:20であり、さらに好ましくは20:80〜40:60である。重量比率が上記範囲内であると、ポリフェノール化合物と無機固体酸との相乗効果により、とりわけ優れた抗アレルゲン性が得られる。このような抗アレルゲン剤は、市販品として入手も可能であり、例えば、ポリフェノール化合物とジルコニウム化合物とを組み合わせた「アレリムーブ(商品名)」(東亞合成株式会社製)などが市販品として挙げられる。
【0058】
抗アレルゲン剤の配合量は、硬化性樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、より好ましくは3〜30質量部であり、さらに好ましくは3〜25質量部であり、特に好ましくは8〜15質量部である。本発明では、このような少ない配合量であっても、硬化性樹脂として好ましく用いられる上記の2〜10官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと組み合わせることにより、優れた抗アレルゲン性が得られるとともに、優れた耐候性や耐汚染性も得られる。
【0059】
<各種添加剤>
抗アレルゲン機能層用組成物には、用途に応じた様々な要求に対応するため、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、耐摩耗剤、及び艶消し剤、あるいは沈降防止剤などの添加剤を含有させることができる。
また、本発明で用いられる抗アレルゲン機能層用組成物には、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
なお、硬化性樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましく、光重合用開始剤としては、従来慣用されているもののなかから適宜選択することができる。
【0060】
<抗アレルゲン機能層用組成物(ii)>
また、本発明において、抗アレルゲン機能層8は、抗アレルゲン剤及びバインダー樹脂を含むインキ組成物を抗アレルゲン機能層用組成物(ii)として用い、該インキ組成物を乾燥して、形成することができる。
【0061】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−アクリル酸樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂などの水溶性樹脂や、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョンなどの水分散型樹脂が好ましく挙げられる。また、2液硬化型ウレタン樹脂などの2液硬化型の樹脂も挙げられる。その使用量はインキ組成物全量に対して3〜15重量%が好ましい。
【0062】
(溶媒)
また、インキ組成物は、溶媒として水、アルコールなどを含むことができる。アルコールとしては、通常インキ組成物に用いられるものであれば特に制限なく用いることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール鎖状アルコールのほか、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールなどが好ましく挙げられる。
【0063】
(抗アレルゲン剤)
インキ組成物に含まれる抗アレルゲン剤は、上記したものと同じである。インキ組成物中の抗アレルゲン剤の含有量は、5〜25質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。抗アレルゲン剤の含有量が上記範囲内であると、良好な抗アレルゲン機能層が得られ、また塗布しやすい。
【0064】
(他の添加剤)
インキ組成物は、抗アレルゲン機能層用組成物(i)で使用可能な添加剤を、抗アレルゲン機能層の性能を阻害しない範囲で、適宜選択して配合して用いることができる。
【0065】
≪凹凸模様9≫
本発明の製造方法で得られる抗アレルゲン性壁紙は、意匠性に優れたものとするために、図4に示されるような凹凸模様9を有することが好ましい。凹凸模様は、好ましくは製造過程にある壁紙がいずれかの手段によってエンボス可能な温度となっているときに、抗アレルゲン機能層8の上面、すなわち最外層側からエンボス版で加熱加圧することにより形成することができる。エンボス版で加熱加圧することにより形成される凹凸は、その最深部分は、発泡樹脂層32の上面に達するものである。凹凸模様9の形成には、周知の枚葉、もしくは輪転式のエンボス機が好ましく用いられ、凹凸模様9の形状としては、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などが挙げられる。
【0066】
[製造方法]
本発明の抗アレルゲン性壁紙の製造方法は、工程(1)基材シート上に発泡樹脂組成物を積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程、及び工程(2)該発泡樹脂層上に、フェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物を用いて抗アレルゲン機能層を積層する工程を順に有することを特徴とするものである。
【0067】
≪工程(1)≫
工程(1)は、基材シート2上に発泡樹脂組成物を積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層32を形成する工程である。
【0068】
<発泡樹脂層の形成>
発泡樹脂層32は、例えば発泡樹脂組成物を、例えばエマルジョン化してエマルジョン組成物としたもの、又はペレット化したものを、基材シート上にコンマコーター法などのコーティング方法によるコーティングにより未発泡樹脂層を積層した後、加熱発泡炉を用いて220〜250℃程度で該発泡樹脂組成物を発泡させて、該未発泡樹脂膜を発泡樹脂層32とすることができる。また、エマルジョン組成物としたもの、又はペレット化したものを、あるいはTダイによる押出製膜法やカレンダー製膜法などの製膜法により未発泡樹脂層を製膜してから、接着剤を用いるドライラミネートによる方法などの公知の方法によって、基材シート上に該未発泡樹脂層を積層した後、加熱発泡炉を用いて220〜250℃程度で該発泡樹脂組成物を発泡させて、該未発泡樹脂層を発泡樹脂層32とすることができる。
ここで、エマルジョン化は通常なされる方法で行うことができ、エマルジョン組成物は例えば、発泡樹脂組成物中の熱可塑性樹脂を乳化重合法などによりエマルジョン化した後に、その他の成分を所定量加えて得ることができる。
【0069】
上記の未発泡樹脂層は、公知の発泡処理の方法により発泡し、発泡樹脂層32とすることができ、例えば発泡加熱炉を用いて、180〜240℃程度の温度条件で発泡させることができる。発泡処理は、発泡樹脂組成物を製膜して未発泡樹脂層を形成した後であり、かつ抗アレルゲン機能層用組成物により抗アレルゲン機能層8を形成する前であれば、特に制限なく行うことができる。本発明の製造方法は、抗アレルゲン機能層用組成物により抗アレルゲン機能層8を形成する前に発泡処理を行うことで、該抗アレルゲン機能層用組成物が発泡処理の高温に晒されることがなく、また発泡樹脂組成物に起因する発泡ガスとの反応などによる、抗アレルゲン性能の低下を抑制することができ、結果として優れた抗アレルゲン性とその持続性を発現させることを可能としている。
また、発泡樹脂層32の形成にあたっての、発泡倍率は、特に制限されないが、通常は3〜7倍程度であればよい。発泡倍率が上記範囲内であれば、良好な表面強度、加工性などを得ることができる。
【0070】
発泡樹脂組成物は、表面特性を向上させる目的で、架橋処理をしてもよい。架橋処理の方法は限定されないが、電離放射線による架橋処理(硬化処理)が好ましい。例えば、基材シート上に上記発泡樹脂組成物による層を形成し、発泡適性粘度の温度範囲を広くするために、電離放射線を照射して架橋させる。これにより、生産性を安定させることができる。発泡樹脂組成物を架橋処理する場合、発泡樹脂組成物には架橋剤を好ましく含有させることができる。架橋剤としては、上記の発泡樹脂層32を構成する樹脂を架橋させるものであれば、特に制限なく用いることができる。
電離放射線としては、通常は紫外線、電子線などが用いられる。紫外線源としては、例えば超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。また、電子線源としては、例えばコックロフトワルトン型、パンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いればよい。照射線量としては、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
【0071】
<非発泡樹脂層31の形成>
非発泡樹脂層31は、非発泡樹脂組成物を用いて、発泡処理を除けば上記した発泡樹脂層32と同じようにして形成することができる。また、架橋処理を行うことができるもの、発泡樹脂層32と同じである。また、非発泡樹脂層31は、上記したように非発泡樹脂層用樹脂からなる透明又は不透明な市販のフィルムを用いて形成することもできる。
【0072】
<積層体A1及びA2の形成>
樹脂層3が、複数の樹脂層からなる積層体Aである場合、例えば、非発泡樹脂層31及び発泡樹脂層32からなる積層体A1、あるいは非発泡樹脂層31A、発泡樹脂層32、及び非発泡樹脂層31Bを順に有する積層体A2である場合、これらの積層体は以下のようにして形成することができる。
積層体Aを形成するにあたり、該積層体を形成する発泡樹脂層32及び非発泡樹脂層31は、各々発泡樹脂組成物及び非発泡樹脂組成物を、上記のようにコンマコーター法などのコーティング方法によるコーティング、Tダイによる押出製膜法、カレンダー製膜法により未発泡樹脂層及び非発泡樹脂層を製膜し、発泡樹脂層32はさらに該未発泡樹脂層を発泡処理することで得られる。積層体A1やA2のような積層体Aを形成する場合、生産効率の観点からは、Tダイによる押出製膜法を採用することが好ましい。このとき、発泡樹脂層32、及び非発泡樹脂層31の形成は、別々に行ってもよいし、同時に行ってもよいが、作業効率の観点からは、同時に行うことが好ましい。同時に押出製膜する場合、各層に対応する溶融樹脂を同時に押出製膜することにより、複数層の同時形成が可能となるマルチマニホールドタイプのTダイなどが用いられる。
【0073】
発泡樹脂層32の形成にTダイによる押出製膜法を採用した場合、発泡樹脂組成物に好ましく含有される無機充填剤が、押出成形機の押出口(いわゆるダイス)に残存しやすく、無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)がシート表面の異物となりやすい傾向がある。このような場合には、樹脂層は、非発泡樹脂層31A、発泡樹脂層32、及び非発泡樹脂層31Bの順に積層された積層体A2とすることが好ましい。すなわち、樹脂層3を積層体A2のような構成にすると、非発泡樹脂層31が有する、絵柄層に用いられるインキ組成物が発泡樹脂層32を経由して基材シート中に浸透することを抑制するという機能に加えて、目やにの発生が、二層の非発泡樹脂層31A及び31Bで発泡樹脂層32を挟んで同時形成することで抑制することが可能となり、優れた製造安定性を得るという利点がある。
【0074】
積層体A1及びA2などの積層体Aを形成する場合、該積層体Aと基材シートとは、ラミネーション、あるいは接着剤などを用いて積層すればよい。ここで用いられる接着剤としては、上記した接着剤層5に用いられるものが好ましく例示される。なお、基材シート上に、発泡樹脂組成物及び非発泡樹脂層組成物をコーティング方法により順次コーティングして製膜して未発泡樹脂層及び非発泡樹脂層31を形成し、該未発泡樹脂層はさらに発泡処理を行うことで発泡樹脂層32とし、結果として積層体Aを得る場合には、基材シート2上に積層体Aを設ける際に接着剤は不要である。
【0075】
≪工程(2)≫
工程(2)は、発泡樹脂層32上に、あるいは、発泡樹脂層32上に非発泡樹脂層31が設けられた場合は該非発泡樹脂層31上に、フェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物を用いて抗アレルゲン機能層8を積層する工程であり、抗アレルゲン性壁紙が得られる。
【0076】
<抗アレルゲン機能層の形成>
抗アレルゲン機能層8の形成は、好ましくは(i)上記した硬化性樹脂、フェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤、及び必要に応じて各種添加剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物(i)を用いて未硬化層を形成し、電離放射線などを照射することにより硬化させることにより、又は(ii)上記した抗アレルゲン剤及びバインダー樹脂を含むインキ組成物を塗布し、乾燥させることにより行う。抗アレルゲン機能層8の形成は、具体的には以下のようにして行われる。
【0077】
抗アレルゲン機能層用組成物の塗布は、硬化して形成する抗アレルゲン機能層8の厚さが通常0.5〜30μm程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、フローコーター、吹きつけ法、エアレススプレー法、エアスプレー法、刷毛塗り、コテ塗り、浸漬法、引き上げ法、ノズル法、巻取り法、流し法、盛り付け法、パッチング法などの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。また、耐汚染性、耐傷性の観点から、好ましくは3〜10μmである。
【0078】
抗アレルゲン機能層用組成物(i)を用いる場合、上記の抗アレルゲン機能層用組成物の塗布により形成した未硬化層を、硬化性樹脂が熱硬化性樹脂の場合は加熱処理により硬化し、硬化性樹脂が電離放射線硬化性樹脂の場合は電離放射線などを照射して硬化することで、抗アレルゲン機能層8が形成される。なお、抗アレルゲン機能層用組成物が溶剤を含むような場合は、塗布後、熱風乾燥機などにより塗布層をあらかじめ加熱乾燥してから電離放射線を照射することが好ましい。
ここで、硬化に電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。照射線量は、電離放射線硬化型樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
【0079】
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯などが用いられる。
【0080】
抗アレルゲン機能層用組成物(ii)を用いる場合、抗アレルゲン機能層組成物の塗布により形成した塗布層を、熱風乾燥機などにより水やアルコールを蒸発させ、加熱乾燥することで、抗アレルゲン機能層を形成することができる。加熱乾燥の温度条件は、壁紙に使用する各層の材料により適宜選択すればよいが、通常120〜160℃程度であり、好ましくは130〜150℃である。
【0081】
<フィルム層を有する場合の製造方法>
本発明において、抗アレルゲン性壁紙がフィルム層6を有する場合、該フィルム層6上に抗アレルゲン機能層用組成物を塗布し、硬化させて抗アレルゲン機能層8を形成して得られる積層体Bを、該フィルム層が発泡樹脂層32側となるように、該積層体Bを発泡樹脂層32上に積層することが生産効率の観点から好ましい。ここで、抗アレルゲン機能層用組成物の塗布、及び硬化や加熱乾燥の方法は、上記した通りである。
この場合、好ましくはフィルム層6を形成するフィルムの一方の面に接着剤層5を設け、他方の面にプライマー層形成用樹脂組成物を塗布し、さらに抗アレルゲン機能層用組成物(i)を用いる場合は、該組成物(i)を塗布して未硬化樹脂層を形成し、該未硬化樹脂層を加熱処理あるいは電離放射線を照射することで硬化して、あるいは抗アレルゲン機能層用組成物(ii)を用いる場合は、該組成物(ii)を塗布し、加熱乾燥して、抗アレルゲン機能層8を形成して積層体Bを得る。得られた積層体Bは、接着剤層5が基材シート2側になるように、すなわち抗アレルゲン機能層8が最表面となるようにし、かつ基材シート2が抗アレルゲン機能層8とは反対側の最表面となるように、基材シート2上に発泡樹脂層を有し、好ましくは、基材シート2上に、発泡樹脂層及び非発泡樹脂層を含む積層体A、ならびに絵柄層を有する積層体Cと加熱圧着などによりラミネートして積層し、抗アレルゲン性壁紙が得られる。ここで、熱圧着は常法に従い行えばよい。
【0082】
また、本発明において、加熱圧着などによりラミネートして積層する際、抗アレルゲン機能層8側から機械的にエンボス加工が同時に行われることが生産効率の観点から好ましい。エンボス加工は、上記したようにエンボス版で加熱加圧することにより行えばよい。このように、積層する際にエンボス加工を同時に行うと、エンボス加工のためのみに加熱処理を行う必要がなくなるので効率的である。
加熱圧着及びエンボス加工は、90〜150℃程度の温度条件で行うことが好ましく、エンボス版が形成された冷却ロールを抗アレルゲン機能層側となるようにして、該冷却ロールと加圧ロールの間を通すことで積層体B及びCを加熱圧着と同時にエンボス加工を施し、凹凸模様9を形成した後、冷却することで、抗アレルゲン機能層8から発泡樹脂層32にかけて凹凸模様9を形成した抗アレルゲン性壁紙を得ることができる。なお、前記のように、絵柄層4、接着剤層5、及びプライマー層7などは必要に応じて、所望の層間に設けることができる。
【0083】
<転写フィルムを用いる場合>
本発明においては、抗アレルゲン機能層8の形成に転写フィルムを用いることができる。すなわち、抗アレルゲン性壁紙において抗アレルゲン機能層8以外の層を形成した後、転写フィルムを用いて、抗アレルゲン機能層を転写して、抗アレルゲン性壁紙を製造することができる。
本発明で用いられる転写フィルムは、剥離フィルム上に抗アレルゲン機能層8を有するものであり、抗アレルゲン機能層8を確実に転写する観点から離型層を有することが好ましい。
【0084】
(剥離フィルム)
剥離フィルムとしては、通常転写フィルムに用いられる樹脂フィルムであれば特に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エラストマー系樹脂などにより構成されるものが挙げられ、剥離性が良好である点から、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。剥離フィルムの厚さとしては、取り扱いが容易であるとの観点から、25〜150μmの範囲が好ましく、さらに25〜75μmの範囲がより好ましい。
【0085】
(離型層)
離型層には、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、アクリル樹脂系離型剤及びこれらの複合型離型剤などの離型剤が好ましく用いられる。これらのうち、抗アレルゲン機能層を剥離フィルムから確実に剥離させる観点から、メラミン樹脂系離型剤及びアクリル樹脂系離型剤、あるいはアクリル−メラミン系などのこれらを複合したものが好ましい。
【0086】
メラミン樹脂系離型剤を用いる場合、該離型剤の硬化を促進するため、パラトルエンスルホン酸などのスルホン酸系酸触媒を使用することが好ましい。酸触媒の使用量は、メラミン樹脂系離型剤に含まれるメラミン樹脂の固形分に対して0.05〜3%程度が好ましく、0.05〜1%がより好ましい。また、離型剤の硬化を促進させるために、130〜170℃の加熱処理を30秒〜2分程度行うことが好ましい。
離型層の形成は、上記のような離型剤に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散して調製したインキを、剥離シート上に公知の手段により塗布・乾燥させて行うことができ、厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。
【0087】
(抗アレルゲン機能層)
転写フィルムに設けられる抗アレルゲン機能層は、上記した抗アレルゲン機能層8と同じである。
【実施例】
【0088】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(抗アレルゲン性の評価)
各実施例及び比較例で作製された壁紙に、ダニアレルゲン(「Derf2(商品名)」,アサヒビール株式会社製)の水溶液を400μl滴下して、24時間放置した後、該壁紙上のダニアレルゲンを回収し、ダニアレルゲンの量をダニアレルゲン簡易測定キット(「ダニスキャン(商品名)」,アサヒビール株式会社製)を用いて、下記の基準で抗アレルゲン性を評価した。
○ :抗アレルゲン性が認められるもの
× :抗アレルゲン性が認められないもの
【0089】
実施例1
下記組成の非発泡樹脂組成物、発泡樹脂組成物を、Tダイによる押出し機を用いて同時に製膜し、各々15μm/100μm/10μmの厚さとなるように、非発泡樹脂層/未発泡樹脂層/非発泡樹脂層からなる積層体A1を形成した。このときの押出し条件は、非発泡樹脂層はシリンダー温度160℃とし、発泡樹脂層はシリンダー温度120℃とし、いずれもダイス温度は120℃とした。
得られた積層体A1の非発泡樹脂層(厚さ:10μm)と、基材シートとして裏打ち紙(「WK−FKKD(商品名)」,興人株式会社製,秤量:60g/m2)とを熱ラミネート(約100℃)により積層して積層体A1を有する積層体C1を得た。該基材シートに対して、電子線照射(条件:200kV,5Mrad)を行った後、水性インキ(「ハイドリック(商品名)」,大日精化株式会社製)を用いてグラビア印刷で布目模様の絵柄層を設けた。
これとは別に、あらかじめ一方の面に接着剤層が設けられたフィルム(「エバールフィルムHF−ME(商品名)」,株式会社クラレ製,厚さ:12μm,エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂,エチレン含有量:44モル%)をフィルム層とし、該フィルム層の接着剤層が設けられる面とは反対側の面に、アクリル系のプライマー層形成用樹脂組成物(「EBFプライマー(商品名)」,昭和インク工業株式会社製)を塗布量1.5g/m2でグラビア印刷してプライマー層7を形成し、その上に下記組成の抗アレルゲン機能層用組成物を塗布量3.0g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗付した。塗付した後、電子線照射(条件:加圧電圧165kV、照射線量30kGy(3Mrad))を行い、抗アレルゲン機能層用組成物を硬化させて抗アレルゲン機能層を形成し、積層体B1を得た。
上記積層体C1の未発泡樹脂層を、加熱発泡炉を用いて230℃で発泡させて発泡樹脂層とした後、該積層体C1と上記積層体B1とを、該積層体C1の絵柄層と該積層体B1の接着剤層とが対向するようにし、かつ該積層体B1の抗アレルゲン機能層がエンボス版が形成された冷却ロールと接するように、該積層体B1及びC1を該冷却ロールと加圧ロールとの間を約100℃で通過させて、加熱圧着させると同時にエンボス加工を施して、抗アレルゲン機能層側から凹凸模様を有する抗アレルゲン性壁紙を得た。
【0090】
(非発泡樹脂組成物組成)
エチレン−酢酸ビニル系共重合体(住友化学株式会社製、商品名:エバテートCV5053):100質量部
(発泡樹脂組成物組成)
エチレン−酢酸ビニル系共重合体(住友化学株式会社製、商品名:エバテートCV5053):100質量部
発泡剤(永和化成製、商品名:ADCA#3):4質量部
炭酸カルシウム(白石工業製、商品名:ホワイトンH):30質量部
二酸化チタン(顔料)(デュポン製、商品名:タイピュアR−108):20質量部
光安定剤(商品名:OF−101):1質量部
架橋剤(JSR(株)製、商品名:オブスターJVA−702):1質量部
(抗アレルゲン機能層用組成物)
2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:720):100質量部
抗アレルゲン剤(「アレリムーブ(商品名)」,東亞合成株式会社製,ポリフェノール化合物がジルコニウム化合物に担持された抗アレルゲン剤):10質量部
艶消し剤(不定形シリカ,粒径:5μm):16質量部
【0091】
実施例2
下記組成の非発泡樹脂組成物、発泡樹脂組成物を、Tダイによる押出し機を用いて同時に製膜し、各々15μm/100μm/10μmの厚さとなるように、非発泡樹脂層/未発泡樹脂層/非発泡樹脂層からなる積層体A2を形成した。このときの押出し条件は、非発泡樹脂層はシリンダー温度160℃とし、発泡樹脂層はシリンダー温度120℃とし、いずれもダイス温度は120℃とした。
得られた積層体A2の非発泡樹脂層(厚さ:10μm)と、基材シートとして裏打ち紙(「WK−FKKD(商品名)」,興人株式会社製,秤量:60g/m2)とを熱ラミネート(約100℃)により積層して積層体A2を有する積層体C2を得た。該基材シートに対して、電子線照射(条件:200kV,5Mrad)を行った後、水性インキ(「ハイドリック(商品名)」,大日精化株式会社製)を用いてグラビア印刷で布目模様の絵柄層を設けた。
これとは別に、あらかじめ一方の面に接着剤層が設けられたフィルム(「エバールフィルムHF−ME(商品名)」,株式会社クラレ製,厚さ:12μm,エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂,エチレン含有量:44モル%)をフィルム層とし、該フィルム層の接着剤層が設けられる面とは反対側の面に、アクリル系のプライマー層形成用樹脂組成物(「EBFプライマー(商品名)」,昭和インク工業株式会社製)を塗布量1.5g/m2でグラビア印刷してプライマー層7を形成し、積層体B2を得た。
上記積層体C2の未発泡樹脂層を、加熱発泡炉を用いて230℃で発泡させて発泡樹脂層とした後、該積層体C2と上記積層体B2とを、該積層体C2の絵柄層と該積層体B2の接着剤層とが対向するようにし、該積層体B2及びC2を加圧ロールを用いて約100℃で通過させて、積層体D2を得た。
また、剥離フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム,厚さ:50μm)上に、実施例1で用いた抗アレルゲン剤を10質量%含むインキ組成物(アクリル樹脂系水性インキ)を乾燥後の厚さが3μmとなるようにグラビア印刷で塗布し、140℃の条件でインキ組成物に含まれる水及び有機溶剤を蒸発させて、抗アレルゲン機能層を形成して転写フィルムを得た。次いで、上記積層体D2と転写フィルムとを、該積層体D2のプライマー層と該転写フィルムの抗アレルゲン機能層とが接するように、加圧ロールを用いて加熱圧着させて、剥離フィルムを剥離した。その後、エンボス版が形成された冷却ロールと抗アレルゲン機能層とが接するように、冷却ロールと加圧ロールとの間を約100℃で通過させて、エンボス加工を施して、抗アレルゲン機能層側から凹凸模様を有する抗アレルゲン性壁紙を得た。
【0092】
実施例3
実施例1と同様にして、絵柄層を有する積層体C3を得た。次いで、該積層体C3の絵柄層の上に、実施例1で用いた抗アレルゲン剤を10質量%含むインキ組成物(アクリル樹脂系水性インキ)を乾燥後の厚さが3μmとなるようにスプレー法により塗布し、140℃の条件でインキ組成物に含まれる水及び有機溶剤を蒸発させて、抗アレルゲン機能層を形成した。その後、エンボス版が形成された冷却ロールと抗アレルゲン機能層とが接するように、冷却ロールと加圧ロールとの間を約100℃で通過させて、エンボス加工を施して、抗アレルゲン機能層側から凹凸模様を有する抗アレルゲン性壁紙を得た。
【0093】
比較例1
実施例1と同様にして、絵柄層を有する積層体Cと積層体Bを得た。次いで、積層体Cの未発泡樹脂層を発泡させる前に、該積層体Cと積層体Bとを加圧ロールを用いて約100℃の条件で加熱圧着した。その後、該積層体Cの未発泡樹脂層を、加熱発泡炉を用いて230℃で発泡させて発泡樹脂層とし、エンボス版が形成された冷却ロールと抗アレルゲン機能層とが接するように、冷却ロールと加圧ロールとの間を約100℃で通過させて、エンボス加工を施して、抗アレルゲン機能層側から凹凸模様を有する壁紙を得た。
【0094】
比較例2
実施例1と同様にして、絵柄層を有する積層体Cを得た。次いで、該絵柄層の上に、実施例1で用いた抗アレルゲン機能層用組成物を塗布量3.0g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗付した。塗付した後、電子線照射(条件:加圧電圧165kV、照射線量30kGy(3Mrad))を行い、抗アレルゲン機能層用組成物を硬化させて抗アレルゲン機能層を形成した。その後、該積層体Cの未発泡樹脂層を、加熱発泡炉を用いて230℃で発泡させて発泡樹脂層とし、エンボス版が形成された冷却ロールと抗アレルゲン機能層とが接するように、冷却ロールと加圧ロールとの間を約100℃で通過させて、エンボス加工を施して、抗アレルゲン機能層側から凹凸模様を有する壁紙を得た。
【0095】
実施例で得られた抗アレルゲン性壁紙の抗アレルゲン性の評価は、全て○であり、非常に優れた抗アレルゲン性を有することが確認された。一方、比較例で得られた壁紙は、未発泡樹脂層の発泡処理の際に、抗アレルゲン剤と発泡ガスとの反応により抗アレルゲン剤表面の水酸基が消失し、抗アレルゲン性の評価も全て×となった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、優れた抗アレルゲン性とその持続性を有する抗アレルゲン性壁紙を得ることができる。この抗アレルゲン性壁紙は、壁紙などの建築内装材として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0097】
1.抗アレルゲン性壁紙
2.基材シート
3.樹脂層
31.非発泡樹脂層
31A.非発泡樹脂層
31B.非発泡樹脂層
32.発泡樹脂層
4.絵柄層
5.接着剤層
6.フィルム層
7.プライマー層
8.抗アレルゲン層
9.凹凸模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート、発泡樹脂層、及び抗アレルゲン機能層を順に有する抗アレルゲン性壁紙の製造方法であって、下記の工程を順に有することを特徴とする抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
工程(1)基材シート上に発泡樹脂組成物を積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程
工程(2)該発泡樹脂層上に、フェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用組成物を用いて抗アレルゲン機能層を積層する工程
【請求項2】
工程(2)が、剥離フィルム上に抗アレルゲン機能層を有する転写フィルムを用いて、発泡樹脂層上に抗アレルゲン機能層を積層することを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【請求項3】
抗アレルゲン性壁紙が、発泡樹脂層と抗アレルゲン機能層との間にフィルム層を有しており、工程(2)が、該フィルム層上に抗アレルゲン機能層用組成物を用いて抗アレルゲン機能層を積層して得られる積層体Bを、該フィルム層が発泡樹脂層側となるように、該積層体Bを発泡樹脂層上に積層することを特徴とする請求項1に記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【請求項4】
抗アレルゲン性壁紙が、基材シートと発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層を有しており、工程(1)が、非発泡樹脂組成物と発泡樹脂組成物とを積層して積層体A1を形成し、該積層体A1の非発泡樹脂組成物が基材シート側となるように、該積層体A1と基材シートとを積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【請求項5】
抗アレルゲン性壁紙が、基材シート、非発泡樹脂層、発泡樹脂層、及び非発泡樹脂層を順に有しており、工程(1)が非発泡樹脂組成物と発泡樹脂組成物と非発泡樹脂組成物とを順に積層して積層体A2を形成し、該積層体A1の非発泡樹脂組成物が基材シート側となるように、該積層体A2と基材シートとを積層し、該発泡樹脂組成物を発泡させて発泡樹脂層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【請求項6】
抗アレルゲン性壁紙が、抗アレルゲン機能層側から機械的にエンボス加工が施されている請求項1〜5のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【請求項7】
工程(2)における積層体Bの発泡樹脂層上への積層が、エンボス加工と同時に行われることを特徴とする請求項6に記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【請求項8】
抗アレルゲン機能層用組成物が、抗アレルゲン剤及びバインダー樹脂を含むインキ組成物である請求項1〜7のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。
【請求項9】
抗アレルゲン機能層用組成物が、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含むものである請求項1〜7のいずれかに記載の抗アレルゲン性壁紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−211402(P2012−211402A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76806(P2011−76806)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】