説明

抗ウイルス薬のための前駆体分子としての新規なヌクレオチド類似体

本発明は、式Iのプリンもしくはピリミジンホスホネート化合物又はその薬学的に許容される塩に関し、式中のB、X及びR〜Rは、明細書中のクラス及びサブクラスで定義するとおりである。これらの化合物は、抗ウイルス薬前駆体として使用されうる。本発明はまた、これらの化合物を含んだ医薬組成物、及び患者におけるウイルス感染を治療及び/又は予防する薬剤の調製のためのそれらの使用に関する。本発明はまた、これらの化合物を製造する方法を提供する。特に、本発明は、式IIのH−ホスフィネート前駆中間体を提供し、式中のBは明細書中で定義するとおりのプリンまたはピリミジン塩基であり、Rは、水素原子、並びにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、及びC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2006年11月8日に出願された仏国特許出願第FR06/09749号に対する優先権を主張し、その全内容を本願明細書に援用する。
【0002】
発明の属する技術分野
本発明は、新規なヌクレオチド類似体、共通な中間体化合物からのそれらの合成方法、および抗ウイルス薬前駆体としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ウイルスは、多くの生命を脅かすヒト疾患の病因である。特に重要なものは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)である。
【0004】
ヒト免疫系をひどく悪化させてほぼ例外なく死に至る疾患として、1981年に後天性免疫不全症候群(AIDS)が確認された。1983年には、AIDSの病因がヒト免疫不全ウイルス(HIV)であることが突き止められた。国際連合エイズ合同計画によれば、2006年末の時点で4000万人がHIV/AIDSとともに生きていると推定される。その同じ年の間にAIDSは推定300万人の死をもたらし、400万を超える人が2006年にAIDSに感染したと推定されている。
【0005】
深刻なヒトの健康問題を引き起こすもう1つのウイルスは、B型肝炎ウイルス(以下「HBV」と呼ぶ)である。B型肝炎ウイルス(HBV)は、肝硬変、癌、臓器不全および最終的に死を含む、重大な肝障害の原因となる慢性疾患を引き起こすウイルスである。HBVは、ヒト癌の原因としてタバコに次いで第2位である。HBVが癌を誘発する機構は知られていない。HBVは腫瘍発生の直接的なきっかけとなり得るか、あるいは慢性炎症、肝硬変、および感染に関連する細胞再生を介して腫瘍発生の間接的なきっかけとなり得ると仮定されている。宿主がその感染に気付かない2カ月から6カ月の潜伏期間の後に、HBV感染は急性肝炎および肝障害に至る場合があり、これは腹痛、黄疸、およびある種の酵素の血液レベルの上昇を引き起こす。HBVは、急速に進行して肝臓の大部分を破壊するしばしば致命的な疾病の形態である劇症肝炎を引き起こすことがある。患者は通常、急性肝炎から回復する。しかし、一部の患者では、高レベルのウイルス抗原が、長期間または無期限に血液中にとどまり、慢性感染症を引き起こす。慢性感染症は、慢性の持続性肝炎に至り得る。慢性の持続性HBVに感染した患者は、開発途上国に最もよくみられる。1991年代半ばまでに、アジアだけで約2億2500万人のHBVの慢性保菌者が存在した。世界中で約3億人がHBVに感染していると推定される。HBVの疫学は、後天性免疫不全症候群と極めて似ており、これはHBV感染がAIDSまたはAIDS関連症候群の患者によくみられる理由を説明する。しかし、HBVはHIVに比べてより接触感染性である。予防ワクチンの使用は、新たなHBV感染の発生率を減少させたが、有効な治療薬に対する必要性は引き続き存在する。ヌクレオシド類似体の様々な誘導体が抗ウイルス活性を示すことが見出されている。とりわけ、アシクロビル(ゾビラックス(Zovirax))およびそのプロドラッグのバラシクロビル(バルトレックス(Valtrex))は、HSV−1およびHSV−2により引き起こされた感染に対して承認された薬剤である。ヘルペスウイルス感染のアシクロビル治療(Acyclovir Therapy for Herpesvirus Infections)(ベーカー(Baker)編))、エム.デッカー(M. Dekker)、ニューヨーク(1990)。HCMVに対しては4つの薬剤、ガンシクロビル(サイトベン(Cytovene))、シドフォビル(ビスタイド(Vistide))、アンチセンスオリゴヌクレオチドフォミビルセン(ビトラベン(Vitravene))およびフォスカルネット(フォスカビル(Foscavir))が現在利用可能である。しかしながら、ガンシクロビルのみが経口で有効であるものの、大量を必要とし、骨髄抑制などの潜在的に重篤な副作用を生じる。サイトメガロウイルス感染のガンシクロビル治療(Ganciclovir Therapy for Cytomegalovirus Infection)(スペクター エス.エス(Spector, S. S.)編)、エム.デッカー(M. Dekker)、ニューヨーク(1991)。新規な抗ウイルス薬の開発だけでなく、これらの薬剤の類似体の設計、合成および生物学的調査においても、相当な努力が傾けられた。ラルソン エイ.(Larsson, A.)ら、抗菌薬および化学療法(Antimicrob. Agents & Chemother.)、30:598−605(1986)。アシュトン ダブリュ.ティ.(Ashton, W. T.)ら、J. Med. Chem. 31:2304−2315(1988)。シドフォビルおよびフォミビルセンは、AIDS患者の網膜炎に対する局所適用についてのみ承認されており、フォスカルネットは静脈経路でのみ使用され、特徴的な毒性をもたらす。
【0006】
AIDSに対する現在の薬剤には、AZT(ジドブジン、レトロビル(Retrovir))、ddI(ジダノシン、ヴァイデックス(Videx))、ddC(ザルシタビン、ハイビッド(Hivid))、およびd4T(スタブジン、ゼリット(Zerit))が含まれる。デ クレルク イー.(De Clercq, E.)、J. Med. Chem. 38:2491−2517(1995)。アデナレンおよびシタレンなどのアレンヌクレオシド類似体は、不飽和アルキル基を含むHIV治療薬の例である。米国特許第4,935,427号。ゼムリカ ジェイ.(Zemlicka, J.)、核酸塩基由来のアレノール類(Allenols Derived from Nucleic Acid Bases)−−新種の抗HIV薬(a New Class of Anti-HIV Agents):抗腫瘍薬および抗ウイルス薬としてのヌクレオシド類およびヌクレオチド類における化学及び生物活性(Chemistry and Biological Activity in Nucleosides and Nucleotides as Antitumor and Antiviral Agents)(チュー シー.ケイ.(Chu, C. K.);ベーカー ディ.シー.(Baker, D. C.)編)、Plenum Press、ニューヨーク、73−100(1993)。HBVに対して、アルファインターフェロンおよび3TC(ラミブジン;エピビル(Epivir))は、慢性HBV感染に罹った人の治療用に承認された2つの薬剤である。残念ながら、患者の約40%しかこれらの薬剤に応答せず、また耐性はますます大きな問題である。
【0007】
ギリード(GILEAD)は現在、シドフォビル、すなわちサイトメガロウイルス(CMV)に対するHPMC(VISTIDE(登録商標))、およびテノフォビル、すなわちプロドラッグ形態の(R)−PMPA(VIREAD(登録商標))という2種類の非環式ヌクレオチドホスホネート抗ウイルス分子を市販している。付け加えると、テノフォビルはHIV−1に対する単剤療法について2001年10月にFDAの承認を受け、2002年2月に欧州で「AMM」(医薬品販売承認)を得た。同社はまた、HBVの治療のためにアデフォビル、すなわちPMEA(HEPSERA(登録商標))も開発した。
【0008】
これらの化合物は、耐性の問題にも直面している。例えば、低頻度で直接選択されるテノフォビルに対する唯一の突然変異は、K65R突然変異であることが認識されている(ワインベルグ エム.エイ.(Wainberg, M.A.)、ミラー エム.ディ.(Miller, M.D.)、クワン ワイ.(Quan, Y.)、サロモン エイチ(Salomon, H.)、ムラト エイ.エス.(Mulato, A.S.)、ラミー ピー.ディ.(Lamy, P.D.)、マルゴット エヌ.エイ.(Margot, N.A.)、アントン ケイ.イー.(Anton, K.E.)、シェリントン ジェイ.エム.(Cherrington, J.M.)、PMPAに対する感受性の減少したHIV−1のインビトロ選択および特性化(In vitro selection and characterization of HIV-1 with reduced susceptibility to PMPA)、抗ウイルス治療(Antiviral Therapy) 1999、4、87)。しかし、(優先的にM41LおよびL210Wでの)3つを超える突然変異が存在する場合、チミジン類似体耐性突然変異(TAM)は、テノフォビルの有効性を顕著に減少させることが示されており、TAMがテノフォビルを切断することを示唆することが示されている。TAMによるPMPAの切断は、この化合物に関連するHIV−1の現在の耐性において主要な点である(ミラー エム.(Miller, M.)、K65R、TAMS及びテノフォビル(K65R、TAMS and tenofovir)、AIDS Rev 2004、6、22)。
【0009】
しかし、定量的収量でのこのような分子の合成するのは難しいことが分かる。したがって、今日用いられるレトロウイルス薬に対するウイルス耐性に関する問題がますます大きくなっていることを考慮すると、有効な新規な抗ウイルス薬を迅速に開発する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,935,427号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Acyclovir Therapy for Herpesvirus Infections (Baker, Ed.), M. Dekker, New York (1990)
【非特許文献2】Ganciclovir Therapy for Cytomegalovirus Infection (Spector, S. S., Ed.), M. Dekker, New York (1991)
【非特許文献3】Larsson, A., et al., Antimicrob. Agents & Chemother. 30:598-605 (1986)
【非特許文献4】Ashton, W. T., et al., J. Med. Chem. 31:2304-2315 (1988)
【非特許文献5】De Clercq, E., J. Med. Chem. 38:2491-2517 (1995)
【非特許文献6】Zemlicka, J., Allenols Derived from Nucleic Acid Bases--a New Class of Anti-HIV Agents: Chemistry and Biological Activity in Nucleosides and Nucleotides as Antitumor and Antiviral Agents (Chu, C. K.; Baker, D. C., Eds.), Plenum Press, New York, pp. 73-100 (1993)
【非特許文献7】Wainberg, M.A., Miller, M.D., Quan, Y., Salomon, H., Mulato, A.S., Lamy, P.D., Margot, N.A., Anton, K.E., Cherrington, J.M. In vitro selection and characterization of HIV-1 with reduced susceptibility to PMPA. Antiviral Therapy 1999, 4, 87
【非特許文献8】Miller, M. K65R, TAMS and tenofovir. AIDS Rev 2004, 6, 22
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】21塩基長プライマーからの野生型RTによる22塩基長プライマーの伸長原理の図。4種類の伸長22塩基長基質の生成のためのPMEAppもしくはPMPAppまたはS−PMEApp12もしくはS−PMPApp13の取込み。形成された生成物のHPLCによる精製。
【図2】反応生成物の可視化後の電気泳動ゲル、切断生成物の百分率の評価の図。WT:野生型RT、Res:耐性RT(D67N、K70R、T215F、K219Q)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、特に、有効な新規な抗ウイルス化合物を提供することによってこの必要性に対処する。
ウイルスのポリメラーゼ酵素は、ウイルス複製過程に必須である。ウイルスによる標的細胞の感染後に、このポリメラーゼはウイルスゲノムの合成およびウイルスの複製を触媒し、持続感染をもたらす。結果として、この酵素は、ウイルス複製におけるその重要な役割のために、抗ウイルス治療にとって特権的な標的となる。
【0014】
ヌクレオシド阻害剤は、その臨床上の有効性が証明された抗レトロウイルス薬の第1のクラスである。そのようなものとして、それらは現下の抗レトロウイルス治療において重要な役割を果たす。このクラスの医薬は、現在治療的に用いられるものより良好に機能する類似体、すなわち、より強力な抗ウイルス活性および/または薬理学的プロファイルを示す類似体を開発することを目的とする非常に活発な治療研究の対象である。
【0015】
それらの作用機作に関して、これらのヌクレオシド類似体は、感染細胞中に侵入した後、細胞キナーゼにより5’−三リン酸にリン酸化される。これらのヌクレオシド類似体は、一般に細胞ポリメラーゼにとって不良な基質であるが、一方、逆転写酵素(RT)の作用を介在して成長ウイルスDNA鎖中に取り込まれる。これらの類似体は3’−OH基を有していないので、それらの取込みは、抗ウイルス効果の原因となるDNA合成停止を生じる。
【0016】
このリン酸と等配電子かつ等電子である、α位置でリンに単結合した酸素原子の1個がCH基により置換されているホスホネートヌクレオチド類似体は、広範に研究されており、特にエイ.ホリー(A. HOLY)の研究は、この非環式ホスホネート類似体の合成分野で先駆けとなるものである。
【0017】
このホスホネートの主な重要性は、それらが、ヌクレオシド類似体の有効性においてしばしば制限的である初期リン酸化段階を迂回することを可能にさせるモノホスホネート化合物であるという事実にある。それらは良好な化学的および酵素的安定性ならびに生体液および細胞における長寿命を示す。それらの細胞浸透の様式ならびにそれらの細胞内リン酸化が報告されている(ロビンス(ROBBINS)ら、Antimicrob. Agents Chemother., 42(3)巻、612−617頁、1998年)。
【0018】
残念ながら、耐性ウイルスの出現とともに、ヌクレオシド類似体を用いる治療は、時間経過とともにそれらの有効性を急速に失う。このウイルス耐性は、逆転写酵素のpol遺伝子コーディングにおける突然変異の出現による。したがって、各ヌクレオチド類似体は、RT耐性機構の起点である突然変異を選ぶ。数種の抗ウイルス分子に耐性なHIV−1株が多いことは、現状を非常に厄介にさせる。このようなウイルス株は早くも患者の初回感染に獲得される恐れがあり、次いで、患者は自身が治療上の難局にあることに気付くことがますます頻繁になってきている。
【0019】
したがって、いくつかの薬剤を組み合わせる抗ウイルス療法を最適化する努力の中で、より強力かつとりわけ耐性株に対してより活性である新規な抗ウイルス薬の開発がますます重要になっている。
【0020】
本発明の化合物には、上記に一般的に述べられるものおよび本明細書に特に記載されるものが含まれ、本明細書に開示される様々なクラス、亜族および種によって一部は説明される。さらに、本発明は、本発明化合物の薬学的に許容される誘導体、およびこれらの化合物、それらの医薬組成物、または一種以上のさらなる治療薬と組み合わせたこれらのいずれかを使用して対象を治療する方法を提供する。
【0021】
1)本発明の化合物の一般説明
本発明の第1の目的において、式(I):
【0022】
【化1】

のプリンまたはピリミジンホスホネート誘導体、またはその薬学的に許容される塩が提供され、
式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロアルキル基からなる群から選択され、
は、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、またはアリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、またはアリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
Xは、酸素原子、セレニウム原子、および硫黄原子からなる群から選択される。
【0023】
特定の実施形態において、式(I)の化合物は以下に定義されるとおりである。
Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
Xは、酸素原子、セレニウム原子、および硫黄原子からなる群から選択される。
【0024】
特定の実施形態において、本発明の化合物は次の通り定義される。
【0025】
【化2】

またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、Rは、上記に定義された通りであり、
Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され;
(a)Xは、セレニウム原子および硫黄原子からなる群から選択され、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、ここで、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であるか、あるいは、
(b)Xは酸素原子を表し、Rはフッ素原子およびBH基からなる群から選択される。
【0026】
特定の実施形態において、ホスホネート誘導体は以下の構造を有する。
【0027】
【化3】

またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
Xは、酸素原子、セレニウム原子および硫黄原子からなる群から選択される。
【0028】
特定の実施形態において、ホスホネート誘導体は以下の構造を有する。
【0029】
【化4】

またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
(a)Xは、セレニウム原子および硫黄原子からなる群から選択され、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であるか、あるいは、
(b)Xは酸素原子を表し、Rはフッ素原子およびBH基からなる群から選択される。
【0030】
特定の実施形態において、ホスホネート誘導体は以下の構造を有する。
【0031】
【化5】

またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、およびヒドロキシエチル基からなる群から選択され、
(a)Xは、セレニウム原子および硫黄原子からなる群から選択され、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基であるか、あるいは、
(b)Xは、酸素原子を表し、Rは、フッ素原子、BH基、および直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基からなる群から選択される。
【0032】
特定の実施形態において、ホスホネート誘導体は以下の構造を有する。
【0033】
【化6】

またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、およびヒドロキシエチル基からなる群から選択され、
は、フッ素原子、ヒドロキシル基、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基であり、
Xは、酸素原子、セレニウム原子、および硫黄原子からなる群から選択される。
【0034】
特定の実施形態において、本発明は、特に関心のある特定のクラスの化合物を定義する。例えば、特に対象となる1つのクラスの化合物には、式(I)の化合物:
【0035】
【化7】

またはその薬学的に許容される塩が含まれ、
式中、Bは上記に定義されたとおりであり、
Xは、SまたはSeであり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。
【0036】
特に対象となるサブクラスの化合物には、XがSである上記式(I)の化合物が含まれる。
特に対象となる別のクラスの化合物には、式(I):
【0037】
【化8】

の化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれ、
式中、Bは上記に定義されたとおりであり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。
【0038】
特に対象となる別のクラスの化合物には、式(I):
【0039】
【化9】

の化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれ、
式中、Bは上記に定義されたとおりであり、
Xは、S、Se、またはOであり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。
【0040】
特に対象となる別のクラスの化合物には、式(I):
【0041】
【化10】

の化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれ、
式中、Bは上記に定義されたとおりであり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。
【0042】
特に対象となる別のクラスの化合物には、式(I):
【0043】
【化11】

の化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれ、
式中、Bは上記に定義されたとおりであり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され;
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。
【0044】
特に対象となる別のクラスの化合物には、式(I):
【0045】
【化12】

の化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれ、
式中、Xは、SまたはSeであり、
Bは上記に定義されたとおりであり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基であり、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。
【0046】
特定の実施形態において、上記式(I)の化合物について、Rは、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、および−OR3Aからなる群から選択され、ここで、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表す。
【0047】
特定の実施形態において、上記式(I)および式(I)から式(I)の化合物について、Rを有する炭素原子はR立体配置:
【0048】
【化13】

を有する。
【0049】
特定の実施形態において、上記式(I)および式(I)から式(I)の化合物について、Rを有する炭素原子はS立体配置:
【0050】
【化14】

を有する。
【0051】
本明細書で用いられる「プロドラッグ」という用語は、活性化合物の生理学的活性を示さないか、または必ずしも示さないが、プロドラッグを投与すると、活性化合物を放出するようにインビボで加水分解などの酵素的切断を受け得る活性化合物の誘導体を示すことが意図される。「プロドラッグ部分」は、酵素が作用すると切断され、活性化合物を与える遊離基を指す。例えば、プロドラッグ部分は、プロドラッグに改善された溶解度特性を与えて、それにより、溶液の形態での非経口投与に対して、または改善された生体利用率を得るための経口投与に対してより好適にさせる、主として親水性特性を有する側鎖であってもよい。特定の例示的な実施形態において、プロドラッグ部分は、化合物のモノホスホリル基、ビホスホリル基、またはトリホスホリル基のリン原子に結合している。ビホスホリル基またはトリホスホリル基の場合、プロドラッグ部分は、α−リン原子、β−リン原子、またはγ−リン原子に結合していてもよい。特定の例示的な実施形態において、プロドラッグ部分は、構造−OCHOC(=O)OCH(CH(「POC」基)を有するイソプロピルオキシメチルカルボニル遊離基、構造−OCHOC(=O)C(CH(ピバロイルオキシメチルまたは「POM」基)を有する部分、構造−OCHCHSC(=O)C(CH(tert−ブチル−S−アシル−2−チオエチルまたは「tBu−SATE」基)を有する部分、構造−OCHCHSC(=O)CH(メチル−S−アシル−2−チオエチルまたは「Me−SATE」基)を有する部分、または構造−NHR’(式中、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C1〜8ヘテロアルキル、またはC6〜10アリール基であるか、あるいは−NHR’はアミノ酸残基を表す)を有する部分である。
【0052】
酵素不安定基に関するより多くの情報について、読者は以下の参考文献を参照することができる。
1. Calogeropoulou T. et al. Strategies in the design of prodrugs of Anti-HIV agents. Current Topics in Medicinal Chemistry. 2003, 3, 1467−1495.
2. Starrett J. E. et al. Synthesis and in vitro evaluation of a phosphonate prodrug: bis(pivaloyloxymethyl) 9-(2-phosphonylmethoxyethyl)adenine. Antiviral Research 19, 267-273, 1992.
3. Benzaria S. et al. Synthesis, in vitro antiviral evaluation and stability studies of Bis(S-acyl-2-thioethyl) ester derivatives of 9-(2-(phosphonomethoxy)ethyl)adenine (PMEA) as potential PMEA prodrugs with improved oral bioavailability. J. med. Chem. 1996, 39, 4958-4965.
4. Arimilli MN. et al. Synthesis, in vitro biological evaluation and oral bioavailability of 9-(2-(phosphonomethoxy)propyl)adenine (PMPA) prodrugs. Antiviral Chemistry and Chemotherapy. 1997, 8(6), 557-564.
5. Meier C., Synlett, 233-242, 1998.
6. Perigaud C. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry letters, 3(12), 2521-2526, 1993.
7. Wagner C. R. et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 1995, 5, 1819-1824.
本発明は、本明細書に記載される化合物の任意のプロドラッグ形態を包含する。化合物ホスホリル基から生じる本発明の化合物の特定の例示的なプロドラッグ形態は、本明細書において詳細に述べられるが、本発明ではこれらのプロドラッグ部分に限定されることは意図されず、むしろ、様々なさらなるプロドラッグ部分は当業者によって容易に確認され得ることが理解されるであろう。
【0053】
有利には、Bは、アデニン、ウラシル、チミン、グアニン、およびシトシンからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、好ましくは、Bはアデニンである。
したがって、特定の例示的な実施形態において、対象となる化合物は以下の構造:
【0054】
【化15】

の一つを有し、式中、X、R’、R、RおよびRは、上記の化合物クラス(I)から(I)について定義されたとおりである。
【0055】
特定の実施形態において、上記式(IB1)から(IG1)の化合物について、Rを有する炭素原子はR立体配置:
【0056】
【化16】

を有する。
【0057】
特定の実施形態において、上記式(IB1)から(IG1)の化合物について、Rを有する炭素原子はS立体配置:
【0058】
【化17】

を有する。
【0059】
有利には、式(I)、(I)〜(I)および(IB1)〜(IG1)の化合物について、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチルおよびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択される。特定の実施形態において、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチルおよびC1〜4ハロアルキル基からなる群から選択される。特定の実施形態において、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチルおよびハロメチル基からなる群から選択される。特定の実施形態において、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチルおよびフルオロメチル基からなる群から選択される。有利には、Rは、水素原子、メチル基、およびヒドロキシメチル基からなる群から選択される。
【0060】
有利には、式(I)、(I)〜(I)および(IB1)〜(IG1)の化合物について、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。有利には、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基である。
【0061】
有利には、本明細書に記載される化合物について、Xは、硫黄またはセレニウム原子である。特定の好ましい実施形態において、Xは硫黄原子である。
好ましい実施形態によれば、Xは硫黄原子であり、Rはヒドロキシル基である。
【0062】
別の好ましい実施形態によれば、Xは硫黄原子であり、Rは、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、またはアミン基R’HNであり、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。
【0063】
別の好ましい実施形態によれば、Xは酸素原子であり、Rは、フッ素原子およびBH基からなる群から選択される。
特に対象となる他の例示的な実施形態は、以下のサブグループIからVIの化合物によって説明される。
【0064】
I. 以下の構造を有する化合物(およびその薬学的に許容される誘導体)
【0065】
【化18】

式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロメチル基からなる群から選択され、
2AおよびR3Aは、それぞれ別々に水素原子またはアルカリ金属カチオンである。
【0066】
特定の実施形態において、Bはアデニンであり、化合物は構造:
【0067】
【化19】

を有する。
【0068】
特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または−CHFである。特定の実施形態において、Rはメチルであり、Rを有する炭素はR立体配置からなる。特定の実施形態において、Rはヒドロキシメチルであり、Rを有する炭素はS立体配置からなる。特定の実施形態において、Rは−CHFであり、Rを有する炭素はR立体配置またはS立体配置からなる。特定の実施形態において、R2AおよびR3Aはそれぞれ、水素原子である。特定の他の例示的な実施形態において、R2AおよびR3Aはそれぞれ、アルカリ金属カチオン、例えばNaである。
【0069】
II. 以下の構造を有する化合物(およびその薬学的に許容される誘導体)
【0070】
【化20】

式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロメチル基からなる群から選択され、
2A、R2BおよびR3Bは、それぞれ別々に水素原子またはアルカリ金属カチオンである。
【0071】
特定の実施形態において、Bはアデニンであり、化合物は構造:
【0072】
【化21】

を有する。
【0073】
特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または−CHFである。特定の実施形態において、Rはメチルであり、Rを有する炭素はR立体配置からなる。特定の実施形態において、Rはヒドロキシメチルであり、Rを有する炭素はS立体配置からなる。特定の実施形態において、Rは−CHFであり、Rを有する炭素はR立体配置またはS立体配置からなる。特定の実施形態において、R2A、R2BおよびR3Bはそれぞれ、水素原子である。特定の他の例示的な実施形態において、R2A、R2BおよびR3Bはそれぞれ、アルカリ金属カチオン、例えばNaである。
【0074】
III. 以下の構造を有する化合物(およびその薬学的に許容される誘導体)
【0075】
【化22】

式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロメチル基からなる群から選択され、
2A、R2B、R2CおよびR3Cは、それぞれ別々に水素原子またはアルカリ金属カチオンである。
【0076】
特定の実施形態において、Bはアデニンであり、化合物は構造:
【0077】
【化23】

を有する。
【0078】
特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または−CHFである。特定の実施形態において、Rはメチルであり、Rを有する炭素はR立体配置からなる。特定の実施形態において、Rはヒドロキシメチルであり、Rを有する炭素はS立体配置からなる。特定の実施形態において、Rは−CHFであり、Rを有する炭素はR立体配置またはS立体配置からなる。特定の実施形態において、R2A、R2B、R2CおよびR3Cはそれぞれ、水素原子である。特定の他の例示的な実施形態において、R2A、R2B、R2CおよびR3Cはそれぞれ、アルカリ金属カチオン、例えばNaである。
【0079】
IV.以下の構造を有する化合物(およびその薬学的に許容される誘導体)
【0080】
【化24】

式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロメチル基からなる群から選択され、
2Aは酵素不安定基であり、
R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C1〜8ヘテロアルキル、またはC6〜10アリール基であるか、あるいは−NHR’はアミノ酸残基を表し、
3Aは、水素原子またはアルカリ金属カチオン、例えばNaである。
【0081】
特定の実施形態において、Bはアデニンであり、化合物は構造:
【0082】
【化25】

を有する。
【0083】
特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または−CHFである。特定の実施形態において、Rはメチルであり、Rを有する炭素はR立体配置からなる。特定の実施形態において、Rはヒドロキシメチルであり、Rを有する炭素はS立体配置からなる。特定の実施形態において、Rは−CHFであり、Rを有する炭素はR立体配置またはS立体配置からなる。特定の実施形態において、R2Aは、−CHOC(=O)OC(CH、−CHOC(=O)C(CH、−CHCHSC(=O)C(CH、または−CHCHSC(=O)CHである。特定の実施形態において、−NHR’は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群から選択されるα−アミノ酸残基を表す。特定の実施形態において、R3Aは水素原子である。特定の他の例示的な実施形態において、R3AはNaである。
【0084】
V. 以下の構造を有する化合物(およびその薬学的に許容される誘導体)
【0085】
【化26】

式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロメチル基からなる群から選択され、
は、−OR2Aまたは−NHR’であり、
は、−OR3Aまたは−NHR”であり、
ここで、R2AおよびR3Aは、それぞれ別々に酵素不安定基である。
【0086】
特定の実施形態において、Bはアデニンであり、化合物は構造:
【0087】
【化27】

を有する。
【0088】
特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または−CHFである。特定の実施形態において、Rはメチルであり、Rを有する炭素はR立体配置からなる。特定の実施形態において、Rはヒドロキシメチルであり、Rを有する炭素はS立体配置からなる。特定の実施形態において、Rは−CHFであり、Rを有する炭素はR立体配置またはS立体配置からなる。特定の実施形態において、R2AおよびR3Aは、それぞれ別々に−CHOC(=O)OCH(CH(「POC」基)、構造−CHOC(=O)OC(CH、−CHOC(=O)C(CH、−CHCHSC(=O)C(CH、または−CHCHSC(=O)CHを有する部分である。特定の実施形態において、−NHR’および−NHR”は、それぞれ別々にアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群から選択されるα−アミノ酸残基を表す。特定の実施形態において、RおよびRはそれぞれ、−OCHOC(=O)OC(CHである。特定の実施形態において、RおよびRはそれぞれ、−OCHOC(=O)C(CHである。特定の実施形態において、RおよびRはそれぞれ、−OCHCHSC(=O)C(CHである。特定の実施形態において、RおよびRはそれぞれ、−OCHCHSC(=O)CHである。特定の実施形態において、RおよびRはそれぞれ、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群から選択されるα−アミノ酸残基である。
【0089】
VI. 以下の構造を有する化合物(およびその薬学的に許容される誘導体)
【0090】
【化28】

式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノグアニン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロメチル基からなる群から選択され、
2Aは、水素原子、アルカリ金属カチオン、またはC1〜8アルキルであり、
は、水素原子またはアミノ酸側鎖であり、
iiは、水素原子、アルカリ金属カチオン、またはC1〜8アルキルである。
【0091】
特定の実施形態において、Bはアデニンであり、化合物は構造:
【0092】
【化29】

を有する。
【0093】
特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、ヒドロキシメチル、または−CHFである。特定の実施形態において、Rはメチルであり、Rを有する炭素はR立体配置からなる。特定の実施形態において、Rはヒドロキシメチルであり、Rを有する炭素はS立体配置からなる。特定の実施形態において、Rは−CHFであり、Rを有する炭素はR立体配置またはS立体配置からなる。特定の実施形態において、R2Aは、水素原子、Na、またはC1〜8アルキルである。特定の実施形態において、Rは、以下のアミノ酸のうちの一つからなる側鎖である。アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン。特定の実施形態において、Rは、水素原子、Na、またはメチルである。
【0094】
特定の実施形態において、式(I)、(I)〜(I)および(IB1)〜(IG1)の化合物、および上記サブグループIからVIの化合物について、Rは、メチルまたはエチルであり、Rを有する炭素原子はR立体配置を有する。
【0095】
特定の実施形態において、式(I)、(I)〜(I)および(IB1)〜(IG1)の化合物、および上記サブグループIからVIの化合物について、Rは、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり、Rを有する炭素原子はS立体配置を有する。
【0096】
特定の実施形態において、式(I)、(I)〜(I)および(IB1)〜(IG1)の化合物、および上記サブグループIからVIの化合物について、RはC1〜6ハロアルキル基、好ましくはハロメチル基、より好ましくは−CHFであり、Rを有する炭素原子はR立体配置またはS立体配置を有する。
【0097】
前述の化合物の一部は、一以上の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な異性体形態、例えば、立体異性体および/またはジアステレオマーで存在できる。したがって、本発明の化合物およびその医薬組成物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、または幾何異性体の形態にあってもよく、あるいは立体異性体の混合物の形態にあってもよい。特定の実施形態において、本発明の化合物はエナンチオピュア(enantiopure)化合物である。特定の他の実施形態において、立体異性体の混合物またはジアステレオマーが提供される。
【0098】
さらに、ここに記載されるような特定の化合物は、特に断らない限り、ZまたはE異性体のいずれかとして存在し得る一以上の二重結合を有してもよい。本発明は、他の異性体を実質的に含まない個別の異性体としての、あるいは様々な異性体の混合物、例えば、立体異性体のラセミ混合物としての化合物をさらに包含する。上記の化合物それ自体に加えて、本発明はまた、これらの化合物の薬学的に許容される誘導体ならびに一以上の本発明の化合物および一以上の薬学的に許容される賦形剤または添加剤を含む組成物を包含する。
【0099】
本発明の化合物は、異なる条件下で式(I)の化合物の結晶化によって調製することができ、本発明の一部を形成する一般式(I)の化合物の多形の一つまたは組合せとして存在し得る。例えば、異なる多形は、再結晶化のために異なる溶媒または異なる溶媒の混合物を用いて、あるいは異なる温度で結晶化を行うことによって、あるいは結晶化の間に極めて速い冷却から極めて遅い冷却の範囲にわたる様々な方式の冷却を用いることによって同定および/または調製することができる。多形は、化合物を加熱または溶融し、次いで段階的または急速に冷却をすることによっても得ることができる。多形の存在は、固体プローブNMR分光法、IR分光法、示差走査熱量測定、粉末X線回折、および/または他の技法によって測定され得る。したがって、本発明は、本発明の化合物、それらの誘導体、それらの互変異性体、それらの立体異性体、それらの多形、それらの薬学的に許容される塩、それらの薬学的に許容される溶媒和物、およびそれらを含む薬学的に許容される組成物を包含する。
【0100】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、直鎖および分枝鎖の基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。同様のことが、他の総称的な用語、例えば、「アルケニル」、「アルキニル」などに適用される。さらに、特に断らない限り、本明細書で用いられる「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などの用語は非置換基を包含する。
【0101】
特定の実施形態において、本発明に用いられるアルキル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、本発明に用いられるアルキル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、本発明に用いられるアルキル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明に用いられるアルキル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、本発明に用いられるアルキル基は、約1〜4個の炭素原子を含む。したがって、例示のアルキル基には、限定されないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、部分(moieties)などが含まれる。
【0102】
特定の実施形態において、本発明に用いられるアルケニル基およびアルキニル基は、約2〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、本発明に用いられるアルケニルおよびアルキニル基は、約2〜10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、本発明に用いられるアルケニル基およびアルキニル基は、約2〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明に用いられるアルケニル基およびアルキニル基は、約2〜6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、本発明に用いられるアルケニル基およびアルキニル基は、約2〜4個の炭素原子を含む。例示のアルケニル基には、限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが含まれる。例示のアルキニル基には、限定されないが、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが含まれる。
【0103】
本明細書に用いられるヘテロアルキル基は、少なくとも1個の炭素原子が酸素、硫黄、窒素、またはケイ素原子などのヘテロ原子で置換されたアルキル基を指す。「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」という用語は同様に定義され、上記の定義の中の「アルキル」はそれぞれ、「アルケニル」および「アルキニル」で置き換えられる。
【0104】
一般に、「アリール」という用語は、上記のとおり芳香族部分を指し、脂肪族(例えば、アルキル)部分またはヘテロ脂肪族(例えば、ヘテロアルキル)部分を介して結合したものは除く。本発明の特定の実施形態において、「アリール」は、芳香族性についてのヒュッケル則を満たす1個または2個の環を有する単環式または二環式の炭素環式環系を指し、限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを含む。
【0105】
本明細書に用いられる「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選択される原子を指す。
「ハロアルキル」という用語は、それに結合した1個、2個、または3個のハロゲン原子を有する、上記に定義されたとおりのアルキル基を意味し、クロロメチル、フルオロメチル、ブロモエチル、トリフルオロメチルなどの基で例示される。
【0106】
2)合成の概要
専門家は、本発明の化合物の合成に有用な合成戦略の指針、保護基、ならびに他の材料および方法に関する指針について、本明細書に含まれる情報と組み合わせて参考にするべきヌクレオチドおよびリン化学の十分に確立した刊行物を有する。
【0107】
本明細書に引用される様々な参考文献では、本明細書に記載される本発明の化合物と同様の化合物または関連の中間体を調製することに関して助けとなる背景情報が与えられる。引用する特定の特許文献にも、対象となり得るような化合物の処方、使用、および投与に関する情報が含まれる。例えば、国際公開第2006/114064号、国際公開第2004/111064号、国際公開第03/002580号、欧州特許第0253412号、欧州特許第0206459号、および/または欧州特許第0205826号に指針を見出し得る。
【0108】
さらに、専門家は、様々な例示的な化合物およびその中間体に関する同文献で提供される特定の指針および例に注意を向ける。
上記のとおり、本発明は、新規な化合物、特に、以下の一般構造:
【0109】
【化30】

を有する化合物およびその薬学的に許容される塩を提供する。
【0110】
式中、B、XおよびR〜Rは、本明細書中のクラスおよびサブクラスで定義したとおりである。
一般的に上記した化合物について、特定のクラスの化合物が特に対象となることが理解されるであろう。例えば、特に関心のある化合物の1つのクラスには、式(I’):
【0111】
【化31】

を有するアデニン誘導体が含まれる。
【0112】
本発明の化合物は、構造:
【0113】
【化32】

を有するH−ホスフィネート中間体から出発して都合よく調製することができる。式中、BおよびRは本明細書中のクラスおよびサブクラスで定義したとおりである。
【0114】
特定の実施形態において、Bはアデニンであり、中間体は構造:
【0115】
【化33】

を有する。
【0116】
ボラノホスホネート誘導体、セレノホスホネート誘導体、およびチオホスホネート誘導体を調製するための例示的な合成手法は、以下のスキームAに示される。
【0117】
【化34】

フルオロホスホネート誘導体、アミノホスホネート誘導体、およびアリール/アルキルホスホネート誘導体を調製するための例示的な合成手法は、以下のスキームBに示される。
【0118】
【化35】

式中のB、R’、RおよびRは、本明細書中のクラスおよびサブクラスで定義したとおりであり、R”は、C1〜8アルキル部分またはC6〜10アリール部分である。
【0119】
先に述べたように、本発明の化合物は、スキームAおよびBに示され、その実施例でさらに説明される例示的な合成経路によってH−ホスフィネート前駆中間体から調製することができる。実際、発明者らは、本発明の化合物をH−ホスフィネート前駆中間体から高収率で得られることを実証した。
【0120】
したがって、本発明の別の態様において、本発明の化合物を調製するために有用な式(II)のH−ホスフィネート前駆中間体が提供される。
【0121】
【化36】

式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択される。
【0122】
本発明はこの一つの特定の合成経路に限定されず、式(II)の中間体を用いることなく本発明の化合物の調製に導く他の方法にまで及ぶことが理解される。
要約すれば、本発明者らは、新規なホスホネート類似体を得ることを可能にする合成方法を開発した。さらに、本発明者らは、一部のこれらの類似体がある種の知られている類似体に匹敵するか、あるいはより優れた有効性を示すにもかかわらず、細胞毒性がより低いことを実証した。最終的に、本発明者らは、突然変異体K65R逆転写酵素(RT)が一部のこれらの類似体に対して耐性がないことも実証した。
【0123】
本発明の例示的な化合物は、以下の表に列挙される。
【0124】
【表1】


簡略化のために、化合物6a、6bおよび6〜17は、上記表に与えられる略称を用いて本明細書で言及することもある。
【0125】
3)医薬組成物
先に述べたように、本発明は、抗ウイルス化合物を提供し、したがって、本化合物は、限定されないが、HIV感染、B型肝炎、およびHSVを含む疾患、障害、および状態の治療に有用である。したがって、本発明の別の態様において、薬学的に許容される組成物が提供され、これらの組成物は本明細書に記載されるような任意の化合物を含み、薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを場合によっては含む。特定の実施形態において、これらの組成物は、一以上のさらなる治療薬を場合によってはさらに含む。
【0126】
したがって、本発明の別の態様において、本明細書中のクラスおよびサブクラスで既に述べたとおりの式(I)のプリンもしくはピリミジンホスホネート誘導体またはそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が提供される。
【0127】
有利には、Bは、アデニン、ウラシル、チミン、グアニン、およびシトシンからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、Bは、好ましくはアデニンである。
有利には、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチルおよびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択される。特定の実施形態において、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチルおよびC1〜4ハロアルキル基からなる群から選択される。特定の実施形態において、Rは、水素原子、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびハロメチル基からなる群から選択される。特定の実施形態において、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチルおよびフルオロメチル基からなる群から選択される。有利には、Rは、水素原子、メチル基、およびヒドロキシメチル基からなる群から選択される。
【0128】
有利には、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、またはC2〜8アルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、またはC6〜10アリール基、あるいはアミノ酸残基である。有利には、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル基である。
【0129】
有利には、Xは、硫黄またはセレニウム原子である。特定の好ましい実施形態において、Xは硫黄原子である。
好ましい実施形態によれば、Xは硫黄原子であり、Rはヒドロキシル基である。
【0130】
別の好ましい実施形態によれば、Xは硫黄原子であり、Rは、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、またはプロドラッグ部分であり、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表す。
【0131】
さらに別の好ましい実施形態によれば、Xは酸素原子であり、Rは、フッ素原子およびBH基からなる群から選択される。
本発明の特定の化合物は、治療のために自由な形態で、または、適切な場合には、その薬学的に許容される誘導体として存在し得ることもまた理解されるであろう。本発明によれば、薬学的に許容される誘導体には、限定されないが、薬学的に許容される塩、エステル、このようなエステルの塩、あるいは必要とする患者に投与すると、本明細書において他に記載されるような化合物、またはその代謝産物もしくは残基を直接または間接的に与えることができる任意の他の付加体もしくは誘導体が含まれる。
【0132】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などなしにヒトおよび下等動物の組織と接触した状態で使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に相応しているそれらの塩を指す。「薬学的に許容される塩」は、受容者に投与すると、本発明の化合物またはその活性代謝産物もしくは分解産物を、直接または間接的に与えることができる本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩を意味する。本明細書で用いられる「その活性代謝産物または分解産物」という用語は、その代謝産物または分解産物もまた抗ウイルス特性を示すことを意味する。
【0133】
薬学的に許容される塩は、当該分野でよく知られている。例えば、エス.エム.ベルゲ(S. M. Berge)らは、本明細書に援用するJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19において、薬学的に許容される塩を詳細に記載する。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、好適な無機および有機の酸および塩基に由来するものが含まれる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、およびマロン酸などの有機酸と形成される、あるいはイオン交換などの当該分野で用いられる他の方法を用いることによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。適切な塩基由来の塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびN(C1〜4アルキル)塩が含まれる。本発明はまた、本明細書に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。水溶性もしくは油溶性または分散性の生成物は、このような四級化によって得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン、およびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを用いて形成される非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンのカチオンが含まれる。
【0134】
上記したように、本発明の薬学的に許容される組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルをさらに含み、これらには、本明細書で用いられる所望とされる特定の剤形に合うように、任意および全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散液もしくは懸濁液補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤などが含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E.W.Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)には、薬学的に許容される組成物を処方するのに用いられる様々な担体およびその調製のための知られている技術が開示される。例えば、任意の望ましくない生物学的作用を生じることによって、あるいは、薬学的に許容される組成物の任意の他の成分(複数可)と有害な仕方で相互作用することによって、任意の従来の担体媒体が本発明の化合物と混合できない場合を除いて、その使用は本発明の範囲内にあることが企図される。薬学的に許容される担体としての機能を果たし得る材料の一部の例には、限定されないが、イオン交換樹脂、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸塩など)、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミンなど)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖(乳糖、ブドウ糖、およびショ糖など)、デンプン(トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど)、セルロースおよびその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなど)、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(ココアバターおよび坐薬ワックスなど)、油(ピーナッツ油、綿実油など)、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、グリコール(プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)、エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど)、寒天、緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど)、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、リンガー液、エチルアルコール、リン酸塩緩衝溶液、および他の非毒性の混合可能な潤滑剤(ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)が含まれ、さらに、着色剤、解除剤(releasing agents)、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤、および酸化防止剤も調剤製造者の判断によっては組成物中に存在し得る。
【0135】
化合物および薬学的に許容される組成物の使用
研究使用
本発明によれば、本発明の化合物は、抗ウイルス活性を有する化合物を同定するために当該分野で知られている任意の利用可能なアッセイ法で測定を行うことができる。例えば、アッセイ法は、細胞または非細胞、インビボまたはインビトロ、高スループットフォーマットまたは低スループットフォーマットなどであってもよい。
【0136】
特定の例示的な実施形態において、本発明の化合物は、DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼ、とりわけ、HIV−1、HIV−2、HSV、またはHBV逆転写酵素を阻害するそれらの能力について測定を行った。
【0137】
したがって、一態様において、特に対象となる本発明の化合物には、以下のものが含まれる。
DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼを阻害する能力を示すもの、
HIV−1またはHIV−2逆転写酵素を阻害するもの、
HSVポリメラーゼを阻害するもの、
HBV逆転写酵素を阻害するもの、
ウイルスポリメラーゼ介在疾患または状態を患っている哺乳動物(例えば、ヒト)または動物を治療するために、またこのような疾患/状態の発症を予防または遅延することを助けるために有用であるもの、
有利な治療プロファイル(例えば、安全性、有効性、および安定性)を示すもの。
【0138】
本発明のさらに別の態様において、患者におけるウイルス感染を治療および/または予防する薬剤の調製のための前述したような治療組成物の使用が提供される。
ウイルス感染は、DNAまたはRNAウイルスによる感染を意味する。DNAウイルスの一例として、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(HBV)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(CMV、EBV、VZV、HHV−6、HPV、HSV−1、およびHSV−2)、およびポックスウイルス科(Poxviridae)(vaccinia)のウイルスを挙げることができる。RNAウイルスの一例として、ブンヤウイルス(Bunyaviruses)(punto toro)、フラビウイルス科(Flaviviridae)(HCV)、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(parainfluenza 3およびRSV)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(Coxsackie B4)、レトロウイルス科(Retroviridae)(SIV、FIV、HTLV、FeLV、HIV−1、およびHIV−2)、トガウイルス科(Togaviridae)(Sindbis)のウイルスを挙げることができる。他の科(ファミリー)には、アレナウイルス科、コロナウイルス科、アルテリウイルス科、レオウイルス科、およびボルナウイルス科が含まれる。
【0139】
特定の実施形態において、本発明の化合物はHIV−1逆転写酵素阻害剤である。特定の他の実施形態において、本発明の化合物はHBV逆転写酵素阻害剤である。
さらに別の態様において、有効量の化合物、または化合物を含む薬学的に許容される組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、ウイルス感染の治療のための、またはその重症度を緩和するための方法が提供される。本発明の特定の実施形態において、「有効量」の化合物または薬学的に許容される組成物は、ウイルス感染を治療する、またはその重症度を緩和するために有効なその量である。
【0140】
本発明による医薬組成物の処方は、製薬業界で一般的に用いられる種類のものからなる。
例として、これには医薬ベクター、例えば、塩または電解質、アスコルビン酸の塩、水または緩衝溶液、コロイド溶液、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸塩、ワックス、タンパク質、または治療作用に利用できる活性化合物を溶解もしくは作ることができる任意の他の物質などが含まれ得る。
【0141】
本発明の組成物は、注射可能な形態で、または経口、非経口、スプレー形態における鼻腔、直腸もしくは膣経路によって、貯蔵器もしくは分注器の移植によって、あるいは製薬業界で使用されている任意の他の生薬形態で投与され得る。
【0142】
本発明の方法によって、化合物および組成物は、ウイルス感染を治療するために、またはその重症度を緩和するために有効な任意の投与量および任意の投与経路を用いて投与され得る。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および一般状態、感染重症度、特定の薬剤、その投与方式などに依存して、対象ごとに変わる。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の均一のために、投薬単位の形態で処方される。本明細書で用いられる「投薬単位の形態」という表現は、治療される患者に適切な薬剤の物理的に別個の単位を指す。ただし、本発明の化合物および組成物の一日の総使用は、健全な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者または生物のための特定の有効用量のレベルは、治療される障害および障害の重症度、用いられる特定の化合物の活性、用いられる特定の組成物、患者の年齢、体重、一般健康、性別、および食事、投与時間、投与経路、および用いられる特定の化合物の排泄率、治療期間、用いられる特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬剤、ならびに当該医学分野でよく知られている同様の因子などを含む様々な因子に依存する。本明細書で用いられる「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0143】
本発明の薬学的に許容される組成物は、治療される感染の重症度に依存して、経口的に、直腸的に、非経口的に、嚢内的に、膣内的に、腹膜内的に、局所的に(粉末、軟膏、または点滴薬による)、口腔的に、口または鼻スプレーとしてなどの方法でヒトおよび他の動物に投与し得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日当たり1回以上で、1日当たり対象の体重の約0.01mg/kgから約50mg/kg、好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgの投薬量レベルで経口的にまたは非経口的に投与し得る。
【0144】
経口投与のための液体剤形には、限定されないが、薬学的に許容される乳濁液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、キャスター油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステルなど)、ならびにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤などのアジュバントも含まれ得る。
【0145】
注射製剤、例えば、滅菌注射用の水性または油性懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、公知の技術によって処方され得る。滅菌注射製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒における滅菌注射用溶液、懸濁液、または乳濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としてであってもよい。用い得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー液、U.S.P.、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した固定油が、溶媒または懸濁化媒体として従来用いられている。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の無菌性の固定油が用いられ得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射物質の調製に用いられる。
【0146】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通してろ過することによって、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を取り込むことによって、滅菌され得る。
【0147】
本発明の化合物の効果を引き延ばすために、皮下または筋内注射からの化合物の吸収を遅延させることがしばしば望ましい。これは、水溶性の低い結晶質または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。その際、化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、また結晶サイズおよび結晶形態にも依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の吸収の遅延は、油ビヒクルに化合物を溶解または懸濁させることによって達成される。注射用のデポー(depot)形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーにおいて化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する化合物の比および用いられる特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。デポー注射用製剤は、体内組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物を捕捉させることによっても調製される。
【0148】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは、好適な非刺激性賦形剤または担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または周囲温度で固体であるが、体温で液体であり、したがって直腸もしくは膣腔において溶解して活性化合物を放出する坐薬ワックスと本発明の化合物を混合することによって調製し得る坐薬である。
【0149】
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が含まれる。このような固体剤形において、活性化合物は、少なくとも一種の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体(クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなど)、および/またはa)充填剤もしくは増量剤(デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、およびケイ酸など)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖、およびアカシアなど)、c)保湿剤(グリセロールなど)、d)崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなど)、e)溶液緩染剤(パラフィンなど)、f)吸収促進剤(四級アンモニウム化合物など)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど)、h)吸収剤(カオリンおよびベントナイトクレーなど)、および、i)潤滑剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、ならびにそれらの混合物などと混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0150】
同様の種類の固体組成物はまた、乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおける充填剤としても用いられ得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティングおよび薬学的製剤技術においてよく知られている他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製され得る。それらは不透明剤を場合によっては含んでもよく、それらが腸管の特定の部分において、場合によっては遅延方式で、活性成分(複数可)のみを、またはそれを優先的に放出する組成物からもなり得る。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。同様の種類の固体組成物はまた、乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルにおける充填剤としても用いられ得る。
【0151】
活性化合物は、上記のような一種以上の賦形剤と一緒のマイクロカプセル形態であることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティング、および製薬製剤技術においてよく知られている他のコーティングと一緒に調製することができる。このような固体剤形において、活性化合物は、少なくとも一種の不活性希釈剤、例えば、ショ糖、乳糖、またはデンプンと混合され得る。このような剤形はまた、通常の慣行であるように、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば、錠剤化潤滑剤および他の錠剤化補助剤(ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースなど)を含み得る。カプセル、錠剤、および丸薬の場合には、剤形は緩衝剤も含み得る。それらは不透明剤を場合によっては含んでもよく、それらが腸管の特定の部分において、場合によっては遅延方式で、活性成分(複数可)のみを、またはそれを優先的に放出する組成物からもなり得る。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。
【0152】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、またはパッチが含まれる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体および任意の必要とされる保存剤または必要とされ得る緩衝剤と混合される。眼科製剤、点耳薬、および点眼薬も、本発明の範囲内にあることが企図される。さらに、本発明では、経皮パッチの使用が企図され、これは、身体への化合物の制御された送達を与える追加の利点を有する。このような剤形は、適当な媒体に化合物を溶解または分散させることによって作製され得る。吸収促進剤は、皮膚を越える化合物の流れを増加させるために用いることもできる。速度は、速度調節膜を備えることによってか、あるいはポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散させることによってのいずれかで制御され得る。
【0153】
先に大まかに述べたように、本発明の化合物は、DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼの阻害剤として有用である。一実施形態において、本発明の化合物および組成物は、DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼ阻害剤(例えば、HIV−1、HIV−2、HSV、および/またはHBVの逆転写酵素阻害剤)であり、したがって、いずれかの特定の理論によって拘束されることを望むことなく、化合物および組成物は、DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼの活性化が関与している疾患、状態、または障害を治療する、またはその重症度を緩和するために特に有用である。DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼの活性化が特定の疾患、状態、または障害に関与している場合、その疾患、状態、または障害は「ウイルスポリメラーゼ介在疾患」または疾患症候群、あるいはより一般的には「ウイルス感染」と呼ばれ得る。したがって、別の態様において、本発明は、DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼの活性化が疾患状態に関与している疾患、状態、または障害を治療する、またはその重症度を緩和する方法を提供する。
【0154】
本明細書で用いられる「ウイルスポリメラーゼ介在疾患」、「ウイルスポリメラーゼ介在状態」、または「ウイルス感染」という用語は、DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼが役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。「ウイルスポリメラーゼ介在疾患」、「ウイルスポリメラーゼ介在状態」、または「ウイルス感染」という用語は、ウイルスポリメラーゼ阻害剤での治療によって緩和されるそれらの疾患または状態も意味する。本明細書で用いられる「ウイルスポリメラーゼ介在疾患」という用語は、DNAまたはRNAウイルスポリメラーゼが役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態もしくは疾患を意味する。このような疾患または状態には、限定されないが、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)(HBV)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(CMV、EBV、VZV、HHV−6、HPV、HSV−1、およびHSV−2)、ポックスウイルス科(Poxviridae)(vaccinia)、ブンヤウイルス(Bunyaviruses)(punto toro)、フラビウイルス科(Flaviviridae)(HCV)、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)(parainfluenza 3およびRSV)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)(Coxsackie B4)、レトロウイルス科(Retroviridae)(SIV、FIV、HTLV、FeLV、HIV−1、およびHIV−2)、トガウイルス科(Togaviridae)(Sindbis)のウイルスが含まれる。他の科(ファミリー)には、アレナウイルス科(arenaviridae)、コロナウイルス科(coronaviridae)、アルテリウイルス科(arteriviridae)、レオウイルス科(reoviridae)、およびボルナウイルス科(bornaviridae)が含まれる。
【0155】
本発明の化合物および薬学的に許容される組成物は、併用療法で用いられ得る、すなわち、化合物および薬学的に許容される組成物が、一種以上の他の所望の治療法または医療処置と同時に、またはその前に、またはその後に投与され得ることも理解される。併用治療方式に用いるべき療法(治療法または処置)の特定の組合せでは、所望の治療法および/または処置と達成されるべき所望の治療効果との適合性が考慮される。用いられる療法が、同じ障害に対する所望の効果を達成し得る(例えば、発明化合物は、同じ障害を治療するために使用される別の薬剤と同時に投与され得る)か、またはそれらは、異なる効果(例えば、任意の副作用の制御)を達成し得ることも理解される。本明細書で用いられる特定の疾患、または状態を治療または予防するために通常投与されるさらなる治療薬は、「治療されている疾患、または状態に適切である」として知られている。
【0156】
例えば、他の療法、化学療法剤、または他の抗ウイルス薬は、本発明の化合物と組み合わせてウイルス感染を治療することができる。本発明の抗ウイルス薬と組み合わせて使用され得る療法または抗ウイルス薬の例には、外科手術、放射線療法、発熱療法、凍結療法、任意の副作用を減弱させる薬剤(例えば、制吐薬)、ならびに他の承認された抗ウイルス薬(限定されないが、NRTI、3’−アジド−3’−デオキシチミジン(ジドブジン、AZT)、2’−デオキシ−3’−チアシチジン(3TC、ラミブジン)、2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロチミジン(d4T、スタブジン)、カルボビル(炭素環式2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドログアノシン)、アバカビル(ABC)、2’,3’−ジデオキシイノシン(ddI、ジダノシン)、2’,3’−ジデオキシシチジン(ddC、ザルシタビン)、他の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(ネビラピン、デラビリジン、エファビレンス、ダパリビンなど)、プロテアーゼ阻害剤(サキナビル、インジナビル、リトノビル、アンプレナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、非環式ヌクレオシド(アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビルなど))、他の抗ウイルス薬(リバビリン、2−チオ−6−アザウリジン、ツベルシジン、アウリントリカルボン酸、3−デアザネオプラノシン、ネオプラノシン、リマンチジン、アダマンチン、フォスカルネット、ブリブジン、トリフルリジンを含む)を含む)が含まれる。最新の抗ウイルス療法のより包括的な検討については、その全内容を本願明細書に援用するメルクマニュアル第17版(1999年)を参照されたい。FDA承認抗ウイルス薬のリストに関する米国食品医薬局(FDA)ウェブサイトも参照されたい(www.fda.gov/cder/antivirals−補遺参照)。
【0157】
本発明の別の態様は、生物試料または患者におけるウイルス逆転写酵素活性を阻害することに関し、この方法は、式Iの化合物またはその化合物を含む組成物を用いて患者に投与する工程、または生物試料に接触させる工程を含む。本明細書で用いられる「生物試料」という用語には、限定されないが、細胞培養物またはその抽出物、哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液もしくはそれらの抽出物が含まれる。
【0158】
生物試料におけるウイルスポリメラーゼ活性の阻害は、当業者に知られている様々な目的に有用である。このような目的の例には、限定されないが、輸血、臓器移植、生物試料保存、および生物学的アッセイが含まれる。
【0159】
治療キット
他の実施形態において、本発明は、本発明による方法を都合よく、かつ有効に実施するためのキットに関する。一般に、製薬パックまたはキットは、本発明の医薬組成物の一以上の成分で充填された一以上の容器を含む。このようなキットは、錠剤またはカプセルなどの固体経口形態の送達に特に適する。このようなキットには、好ましくは、いくつかの単位投薬量が含まれ、それらの意図された使用の順に適応した投薬量を有するカードも含まれ得る。必要に応じて、記憶を助けるものが、例えば、数、文字、もしくは他の印の形態で、または投薬量が投与され得る治療計画の日を示すカレンダー挿入物と一緒に提供され得る。あるいは、投薬量が毎日取られるキットを提供するために、医薬組成物の同様のまたは異なる形態のいずれかにおけるプラセボ製剤またはカルシウム補助食品が含まれ得る。場合によって、製薬製品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態の通知が、このような容器(複数可)に付随され得、この通知は、ヒト投与のための製造、使用または販売の政府機関による承認を反映する。
【0160】
等価物
以下に続く代表的な実施例は、本発明を説明するのを助けることを意図し、本発明の範囲を限定することも意図しないし、限定すると解釈されるべきでもない。実際、本明細書に示された、および記載されたものに加えて、本発明の様々な変更およびその多くのさらなる実施形態は、以下に続く実施例および本明細書に引用される科学文献および特許文献についての参考文献を含むこの文書の全内容から当業者に明らかとなるであろう。それらの引用された参考文献の内容は、当該技術の現況を説明するのに助けとなるように本願明細書に援用することがさらに理解されるべきである。
【0161】
以下の実施例には、様々な実施形態およびその等価物において本発明の実施に適合され得る重要な追加の情報、例示および指針が含まれる。
例示
本発明の化合物およびそれらの調製は、これらの化合物が調製または使用される方法の一部を説明する実施例によってさらに理解され得る。しかし、これらの実施例は本発明を限定しないことが理解されるであろう。現在知られているか、またはさらに開発される本発明の変形は、本明細書に記載され、また請求されるとおりの本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0162】
以下に続く実施例は、説明のために提供され、本発明の範囲を限定しない。
一般的な方法
融点は、9100電熱装置(フィッシャーサイエンティフィック社)を備えた毛細管中で測定し、訂正していない。H NMR、13C NMR、および31P NMRスペクトルは、BRUKER AMX 250MHzで測定し、11B NMRスペクトルは、BRUKER AMX 400MHzで測定した。化学シフトはppmで表し、結合定数(J)はヘルツ(s=シングレット、bs=ブロードシングレット、d=ダブレット、dd=ダブルダブレット、t=トリプレット、dt=ダブルトリプレット、td=トリプルダブレット、qd=クォドラプルダブレット、m=マルチプレット、dm=ダブルマルチプレット、sept=セプタプレット)で表す。
【0163】
FAB質量スペクトルおよび高分解能質量スペクトル(HRMS)は、セシウムイオン源およびグリセロール/チオグリセロールマトリックスを用いるJEOL SX 102質量分析計で得た。分取フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(メルク社)G60 230〜240メッシュを用いて行った。分析薄層クロマトグラフィーは、0.2mm厚さのシリカゲル60F254 アルミニウムプレート(メルク社)上で行った。スポットは、UV光およびCericdip Srayで調べた。HPLCは、991フォトダイオードアレー検出器(検出260nm)、自動注入器717、およびオンラインガス抜き器を備えたWaters600Eコントローラーシステム上で行った。試料は、線形勾配0〜100%Bを用いて1mL/分の流量で60分間溶出させた。安定性試験は、オンラインろ過システムを備えたカラムNova−pak C18(4μM、3.9×150mm)+プレカラムNova−pak C18(4μM、3.9×150mm)上で行った。分析逆相(RP)クロマトグラフィーは、4.6×100mm Source(登録商標)15RPCカラム、またはカラムX−Terra MS C18(5μM、4.6×250mm)+プレカラムX−Terra MS C18(3.5μM、3.9×20mm)上で実施した。誘導体の大規模精製は、Source(商標)30RPCカラム(18×350mm)および線形勾配0〜100%B、またはDEAE−Sephadexカラム(イオン交換)を用いて、AKTAprime FPLC(アメルシャム社)上で達成した。誘導体の中規模精製は、線形勾配0〜100%Bを用いて4.5mL/分の流量で、カラムX−terra分取MS C18(10μM、10×250mm)+プレカラムX−Terra分取MS C18(10μM、10×10mm)を用いてHPLC上で45分で達成した。溶離液A:0.05M重炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液(pH7.5)、溶離液B:50%のアセトニトリルを含む溶液A。重炭酸トリエチルアンモニウム緩衝液TEAB(pH7.5)1Mの原液を、pH7.5に達するように水中1Mのトリエチルアミン溶液にドライアイスを添加して調製し、メンブレイン0.22μM GV−タイプ(ミリポア(Millipore))でろ過した。HPLCおよびMPLC緩衝液を毎日調製した。
【0164】
合成概要:
H−ホスフィネート前駆中間体分子を使用する初期合成方法を開発した。この中間体は、スキーム1に示されるように、本発明の様々なクラスの化合物の合成を可能にした。
【0165】
−α−ボラノホスホネート
−チオホスホネート
−セレノホスホネート
【0166】
【化37】

スキーム1に示されるように、ホウ素錯体による前駆中間体H−ホスフィネートの酸化は、ボラノホスホネートを生じる。セレニウムによるH−ホスフィネート前駆体の酸化は、セレノホスホネートを生じる。最終的に、硫黄によるH−ホスフィネート前駆体の酸化は、チオホスホネートを生じる。
【0167】
この方法は、スキーム2に記載されるようなフルオロホスホネート、アミノホスホネート、およびアリール/アルキルホスホネート誘導体の合成に適用され得る。
さらにこの方法は、R基および塩基の性質を調節することにより、治療効果を増大し、本明細書に記載されるもの以外のウイルス標的に対するこれらの化合物の作用を広げるために適用され得る。
【0168】
【化38】

【実施例1】
【0169】
9−[2−(ヒドロキシホスフィニルメトキシ)エチル]アデニン(5)および(R)−9−[2−(ヒドロキシホスフィニルメトキシ)プロピル]アデニン(10)の合成
【0170】
【化39】

化合物5および10は、以下のスキーム3に示される合成経路により調製し得る。
【0171】
【化40】

試薬および条件: (a)2−ブロモエチルベンゾエート、NaH、DMF、60℃、16時間、次いで飽和NH/MeOH、14時間、(b)(R)−プロピレンカーボネート、NaOH、DMF、140℃、16時間、(c)ジエチル[[(p−トルエンスルホニル)オキシ]メチル]−ホスホネート(A)、ナトリウムt−ブタノレート、DMF、周囲温度、72時間、(d)TMSCl、LiAlH、THF、−78℃、次いで周囲温度、2時間、(e)H、HO/THF、周囲温度、1時間。
【0172】
60℃、DMF中のNaHの存在下で、アデニンおよび2−ブロモエチルベンゾエートを反応させ、次いでアンモニアで飽和したMeOH中でベンゾエート保護基を切断することにより、84%の収率で化合物2を得た。触媒量の水酸化ナトリウムの存在下、140℃で16時間、DMF中で(R)−プロピレンカーボネートとアデニンを縮合させ、反応混合物から結晶化させることにより直接単離された純粋なアルコール7を81%の収率で得た。得られたアルコール2および7を、DMF中のナトリウムt−ブタノレートの存在下で、ジエチル[[(p−トルエンスルホニル)オキシ]メチル]−ホスホネートAでアルキル化し、ジエチル−ホスホネート3および8を、それぞれ27%および29%の収率で得た。
【0173】
TMSClの化学量論量を添加することによりTHF中の2つのホスホネートジエステル3および8を還元するためのLiAlH工程は、それぞれ78%および65%の収率でホスフィン4および9の形成をもたらした。次いで、ホスフィン4および9を単離し、精製し、特徴付けした。
【0174】
次いで、水/THF混合物中でホスフィンを2当量の過酸化水素で酸化し、定量収率を伴うH−ホスフィネート5および10を得た。反応の過程は、31P NMR分光法で監視した。化合物4および9の酸化は急速に進み、反応は1時間後に完了した。31P NMRのスペクトルの検討は、4(TM:−144.67ppm、tt、PH=199.0HzおよびPH=7.8Hz)および9(TM:−144.86ppm、tt、PH=198.5HzおよびPH=7.3Hz)に対するシグナルが、5(dm、PH=528Hz)に対して21.15ppm、および10(dm、PH=528Hz)に対して24.64ppmで新たな共鳴により置換えられたことを明らかにした。
【0175】
化合物2: 9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン
【0176】
【化41】

無水DMF(120mL)中の鉱油(1.70g、42.57ミリモル)中の60%NaHの懸濁液に、アデニン(5.23g、38.70ミリモル)をアルゴン下で添加し、混合物を60℃で1時間加熱した。2−ブロモエチルベンゾエート(9.2mL、58.06ミリモル)を60℃で滴下して添加し、反応物をこの温度で16時間撹拌した。次いで、混合物を濾過して不溶解物質を除去し、濾液を減圧下で蒸発させ、トルエンと共に3回、共蒸発させた。残渣をEtOAcで摩砕し、次いで、濾過して白色固体を得、これをMeOH(400mL)中の飽和アンモニア溶液に直ちに再懸濁した。反応混合物を室温で14時間撹拌し、次いで、減圧下でメタノールを除去した。EtOHからの再結晶化で化合物2(5.87g、85%)を得た。融点236℃(Lit.238〜239℃)。H NMR(DMSO−d6)δ:8.13(s,1H,H−2)、8.10(s,1H,H−8)、7.23(bs,2H,NH)、5.05(bs,1H,OH)、4.19(t,J=5.2Hz,2H,CHO)、3.71(t,J=5.2Hz,2H,CHN)。13C NMR(DMSO−d6)δ:155.79、152.23、149.44、141.46、118.55、59.17、45.61。MS(GT,FAB):136(B+1H)、180(M+1H)、202(M+Na)
【0177】
化合物A:ジエチル[[(p−トルエンスルホニル)オキシ]メチル]−ホスホネート
トリエチルアミン(3.38mL、24.04ミリモル)を、乾燥EtO(30mL)中のジエチルヒドロキシメチルホスホネート(3.85g、24.04ミリモル)の撹拌溶液に滴下して添加した。混合物を−10℃まで冷却した後、乾燥EtO(10mL)中のトルエン−p−スルホニル(4.58g、24.04ミリモル)の溶液を、−10℃に維持した内部温度で滴下して添加した。0℃で1時間撹拌後、混合物を室温まで温め、次いで16時間撹拌した。EtO(80mL)を添加し、固体を濾過した。減圧下で溶媒を除去し、油をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/AcOEt:9/1)で精製し、無色油として化合物A(5.57g、75%)を得た。H NMR(CDCl)δ:7.76(d,J=8.1Hz,2H,Ts)、7.33(d,J=8.1Hz,2H,Ts)、4.15(m,6H,CH〜P(OEt)およびCHP)、2.40(s,3H,Ts)、1.28(t,J=6.9Hz,6H,CH〜P(OEt))。13C NMR(CDCl)δ:145.91、132.05、130.38、128.53、63.75(d,J=6.6Hz)、62.76(d,JCP=168.8Hz)、21.99、16.69(d,J=5.5Hz)。MS(GT,FAB):155(Ts)、267(M−2Et)、295(M−Et)、323(M+1H)、645(2M+1H)
【0178】
化合物3: 9−[2−(ジエチルホスホノメトキシ)エチル]アデニン
【0179】
【化42】

無水DMF(40mL)中の化合物2(1.48g、8.25ミリモル)の溶液に、室温でナトリウムt−ブトキシド(1.38g、8.25ミリモル)を添加した。混合物を40分撹拌し、次いで、乾燥DMF(10mL)中のジエチルホスホネートA(2.66g、8.25ミリモル)の溶液を添加した。72時間後、混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。水に溶解した残渣をCHClで抽出した。有機抽出画分を乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:9/1)で精製し、白色固体として化合物3(740mg、27%)を得た。H NMR(CDOD)δ:8.10(s,1H,H−2)、8.03(s,1H,H−8)、4.35(t,J=5.0Hz,2H,CHN)、3.93(dq,J=8.0およびJ=7.0Hz,4H,CH〜P(OEt))、3.86(t,J=5.0Hz,2H,CHO)、3.76(d,JPH=8.5Hz,2H,CHP)、1.11(td,J=7.0HzおよびJ=0.5Hz,6H,CH〜P(OEt))。13C NMR(CDOD)δ:157.29、153.71、150.67、143.34、119.34、72.15(d,J=11.9Hz)、66.63(d,JCP=166Hz)、63.99(d,J=6.6Hz)、44.54、16.62(d,J=5.8Hz)。31P NMR(CDOD)δ:21.56。MS(GT,FAB):136(B+1H)、330(M+1H)、352(M+Na)
【0180】
化合物4: 9−[2−(ホスファニルメトキシ)エチル]アデニン
【0181】
【化43】

クロロトリメチルシラン(3.15mL、24.78ミリモル)を、−78℃で、無水THF(50mL)中のLiAlH(940mg、24.78ミリモル)の撹拌溶液に滴下して添加した。得られた混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。無水THF(200mL)中の化合物3(2.04g、6.19ミリモル)を、−50℃で還元混合物に添加した。混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。HO(10mL)およびNaOH(20%、10mL)を添加して反応を停止した。混合物をセライトで濾過した。有機層を無水MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:95/5)で精製し、白色粉末として化合物4(1.08g、78%)を得た。HPLC純度>98%。H NMR(CDOD)δ:8.10(s,1H,H−8)、7.99(s,1H,H−2)、4.30(t,J=5.1Hz,2H,CHN)、3.87(m,2H,CHP)、3.71(t,J=5.1Hz,2H,CHO)、3.07および2.81(dm,JPH=199.0Hz,2H,PH)。13C NMR(CDOD)δ:157.31、153.68、150.71、143.32、119.94、70.23(d,J=2.8Hz)、62.49(d,JCP=12.6Hz)、44.70。31P NMR(CDOD)δ:−144.67(tt,JPH=199.0HzおよびJ=7.8Hz)。MS(GT,FAB):136(B+1H)、226(M+1H)
【0182】
化合物5: 9−[2−(ヒドロキシホスフィニルメトキシ)エチル]アデニン
【0183】
【化44】

水(30mL)およびTHF(30mL)中の4(1.08g、4.79ミリモル)の撹拌溶液に、2%過酸化水素水溶液(10.8mL)を滴下して添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、減圧下で濃縮し、凍結乾燥後に白色粉末として化合物5(1.23g、定量)を得た(Lit.229〜230℃)。HPLC純度>99%。H NMR(DMSO−d6)δ:8.17(s,1H,H−8)、8.15(s,1H,H−2)、7.96および5.85(dt,JPH=528.0HzおよびJ=2.1Hz,1H,PH)、7.40(bs,2H,NH)、4.36(t,J=5.2Hz,2H,CHN)、3.92(t,J=5.2Hz,2H,CHO)、3.69(dd,J=7.2HzおよびJ=2.1Hz,2H,CHP)。13C NMR(DMSO−d6)δ:155.44、151.66、149.35、141.32、118.46、70.33(d,J=10.8Hz)、69.04(d,JCP=109.0Hz)、42.39。31P NMR(DMSO−d6)δ:21.15(dm,JPH=528.0Hz)。MS(GT,FAB):136(B+1H)、258(M+1H)、515(2M+1H)。HRMS(FAB)C13P(M+H) 258.0756の計算値、実測値258.0765。
【0184】
化合物7: (R)−9−(2−ヒドロキシプロピル)アデニン
【0185】
【化45】

無水DMF(80mL)中のアデニン(3.85g、28.49ミリモル)、(R)−プロピレンカーボネート(2.7mL、31.34ミリモル)および粉砕した水酸化ナトリウム(60mg、1.42ミリモル)の溶液を、撹拌しながら140℃で16時間加熱した。冷却後、次いで、混合物を濾過して不溶解物質を除去し、濾液を減圧下で蒸発し、トルエンと共に3回、共蒸発させた。残渣をEtOAcで摩砕し、次いで、濾過して白色固体を得、これをエタノール中で直ちに再結晶化して化合物7(4.5g、81%)を得た。融点193℃(Lit.192〜195℃)。H NMR(DMSO−d6)δ:8.15(s,1H,H−2)、8.06(s,1H,H−8)、7.22(bs,2H,NH)、5.06(bs,1H,OH)、4.06(m,3H,CHNおよびCHO)、1.12(d,J=5.7Hz,3H,CH)。13C NMR(DMSO−d6)δ:155.87、152.21、149.67、141.44、118.50、64.57、50.07、20.80。MS(GT,FAB):136(B+1H)、194(M+1H)、216(M+Na)、232(M+K)、387(2M+1H)
【0186】
化合物8: (R)−9−[2−(ジエチルホスホノメトキシ)プロピル]アデニン
【0187】
【化46】

無水DMF(30mL)中の化合物7(1.44g、7.44ミリモル)の溶液に、室温でナトリウムt−ブトキシド(1.25g、7.44ミリモル)を添加した。混合物を1時間撹拌し、次いで、無水DMF(10mL)中のジエチルホスホネート A(2.40g、7.44ミリモル)の溶液を添加した。64時間後、混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。水に溶解した残渣をCHClで抽出した。有機抽出画分を乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:9/1)で精製し、白色固体として化合物8(740mg、29%)を得た。H NMR(CDOD)δ:8.23(s,1H,H−2)、8.15(s,1H,H−8)、4.41(dd,J=14.5HzおよびJ=3.2Hz,1H,CHN)、4.22(dd,J=14.5HzおよびJ=7.7Hz,1H,CHN)、4.10(m,1H,CHO)、4.03〜3.69(m,6H,CH〜P(OEt)およびCHP)、1.33(t,J=7.1Hz,6H,CH〜P(OEt))、1.27(d,J=6.2Hz,3H,CH)。13C NMR(CDOD)δ:157.30、153.70、150.89、143.63、119.70、77.65(d,J=12.3Hz)、64.32(d,JCP=167Hz)、64.08(d,J=6.6Hz)、63.95(d,J=6.6Hz)、49.18、16.73(d,J=5.8Hz)、16.71、16.70(d,J=5.8Hz)。31P NMR(CDOD):22.11。MS(GT,FAB):136(B+1H)、344(M+1H)、366(M+Na)、687(2M+1H)
【0188】
化合物9: (R)−9−[2−(ホスファニルメトキシ)プロピル]アデニン
【0189】
【化47】

クロロトリメチルシラン(2.62mL、20.62ミリモル)を、−78℃で無水THF(40mL)中のLiAlH(782mg、20.62ミリモル)の撹拌溶液に滴下して添加した。得られた混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。無水THF(150mL)中の化合物8(1.77g、5.15ミリモル)を、還元混合物へ−78℃で添加した。混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。HO(10mL)およびNaOH(20%、10mL)を添加して反応を停止した。混合物をセライトで濾過した。有機層を無水MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール:95/5)で精製し、白色粉末として化合物9(795mg、65%)を得た。HPLC純度>98%。H NMR(CDOD)δ:8.11(s,1H,H−8)、7.97(s,1H,H−2)、4.25〜3.60(m,5H,CHN,CHOおよびCHP)、2.90および2.13(dt,JPH=198.5HzおよびJ=6.3Hz,2H,PH)、1.08(d,J=6.1Hz,3H,CH)。13C NMR(CDOD)δ:157.31、153.68、150.82、143.67、119.73、75.91(d,J=2.3Hz)、60.25(d,JCP=12.0Hz)、49.48、17.16。31P NMR(CDOD)δ:−14.86(tt,JPH=198.5HzおよびJ=7.3Hz)。MS(GT,FAB):136(B+1H)、240(M+1H)
【0190】
化合物10: (R)−9−[2−(ヒドロキシホスフィニルメトキシ)プロピル]アデニン
【0191】
【化48】

水(20mL)およびTHF(20mL)中の化合物9(795mg、3.32ミリモル)の撹拌溶液に、2%過酸化水素水溶液(7.5mL、2当量)を滴下して添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、減圧下で濃縮し、凍結乾燥後に白色粉末として化合物10(900g、定量)を得た。HPLC純度>99%。H NMR(DMSO−d6)δ:8.23(s,1H,H−8)、8.20(s,1H,H−2)、7.95および5.85(dt,JPH=528.0HzおよびJ=2.2Hz,1H,PH)、7.59(bs,2H,NH)、4.38(dd,J=14.2HzおよびJ=3.9Hz,1H,CHN)、4.31(dd,J=14.2HzおよびJ=6.0Hz,1H,CHN)、4.10(m,1H,CHO)、3.75(m,2H,CHP)、1.13(d,J=6.8Hz,3H,CH)。13C NMR(DMSO−d6)δ:155.21、151.35、149.56、141.79、118.17、75.48(d,J=11.0Hz)、67.19(d,JCP=111.2Hz)、46.64、16.93。31P NMR(DMSO−d6)δ:24.64(dm,JPH=528.0Hz)。MS(GT,FAB):136(B+1H)、272(M+1H)、543(2M+1H)。HRMS(FAB)C15P(M+H) 272.0913の計算値、実測値272.0905。
【実施例2】
【0192】
α−ボラノホスホネートヌクレオシド誘導体の合成
α−ボラノホスホネートヌクレオシドの調製のために使用される方法はスキーム4に記載される。ホスホルアミダイトまたはH−ホスホネート中間体を経由するα−ボラノホスフェートの調製のために記載されている方法はα−ボラノホスホネート誘導体の合成には適用できず、従って、特別の合成方法の開発を必要とした。特に、最終工程は、目標化合物の9−[2−(ボラノホスホノメトキシ)エチル]アデニン(6a)および(R)−9−[2−(ボラノホスホノメトキシ)プロピル]アデニン(6b)を得るために活性化H−ホスフィネート中間体の硼素化反応を含む。
【0193】
【化49】

試薬および条件: (f)BSA、THF、周囲温度、1時間、(g)BH、DIPEA、THF、周囲温度、1時間、(h)NHOH:MeOH(1:1、v/v)。
【0194】
H−ホスフィネート中間体のリン原子は自由電子対を提供せず、BH基の導入のための良好なドナーではないので、硼素化手順は、ジシリルホスホナイトを得るためにシリル化剤でH−ホスフィネートの中間体によるその場での活性化を必要とする。H−ホスフィネート5および10を、無水THF中で、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)で1時間、その場で活性化すると、これらの相当するジシリルホスホナイト中間体が生じる。硼素化条件を最適化するために、種々の硼素錯体を異なる溶媒中でテストした。急速且つ有効な硼素化は、最終的にボラン−N,N−ジイソプロピルエチルアミン錯体(BH:DIPEA)で得られた。ボラン−テトロヒドロフラン錯体(BH:THF)、ボラン−ピリジン錯体((BH:ピリジン)およびボラン−ジメチルスルフィド錯体((BH:MeS)は、かなりの還元時間を必要とし、収率を改善しない。更に、ジボラン化生成物の形成を減少させるために、出発物質の消費と副生成物の発生との間の最良の妥協を得るために硼素錯体の量を最大2当量まで減少させた。BH:DIPEAの2当量での5および10のジシリルホスホナイトのin situでの硼素化は、−ボラノホスホネート中間体の形成をもたらした。単離せずに、得られた中間体をメタノール中の30%濃縮水酸化アンモニウム(1:1、v/v)で処理してトリメチルシリル基を切断し、α−ボラノホスホネート6aおよび6bを得ることができた。P−B結合の存在は、それぞれ83ppmおよび98ppmで代表的ピークを示す31P NMRで確認した。α−ボラノホスホネート6aおよび6bを逆相クロマトグラフィーで精製し、それぞれ28%および32%の収率を得た。
【実施例3】
【0195】
チオホスホネートヌクレオシド誘導体6および11の合成
PMEAおよびPMPA(以下の化合物6および11)のチオホスホネート誘導体は非環式ヌクレオチド類似体であり、リンに二重結合している酸素原子が硫黄原子で置き換えられている。
【0196】
【化50】

【0197】
【化51】

スキーム5が示す通り、これらの2つの新規な化合物の調製での第1工程は、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン2(収率=85%)および(R)−9−(2−ヒドロキシプロピル)アデニン7(収率=81%)を得るためにアデニン1を特別に置換することを含む。
【0198】
これらの2つの分子は、次いで、予め調製されたジエチル[[(p−トルエンスルホニル)オキシ]メチル]ホスホネートに対する求核置換で結合し、相当するジエチルホスホネート3および8をそれぞれ27%および29%の収率で生成する。
【0199】
以下の合成工程を実施した。
無水THF中、−78℃で、水素化リチウムアルミニウムおよびトリメチルシリルクロリドによるジエチルホスホネートのホスフィンへの還元(化合物4および9、それぞれの収率:78%および65%)。
【0200】
定量収率でH−ホスフィネート5および10を生成するために、水−THF混合物中の過酸化水素の存在下でのホスフィンの酸化。
硫黄によるH−ホスフィネートの酸化。この最後の合成工程は、ホスフィネート形態(4価)の互変異性平衡をホスファイト形態(3価)に向けて移動させるために、シリル化剤によるH−ホスフィネート(PV)官能のホスファイト(PIII)への活性化を含む(スキーム 5bis)。PMEA6およびPMPA11のチオホスホネート誘導体は、無水ピリジン中のBSAおよびS/CS/ピリジンの存在下でそれぞれ52%および47%の収率で得られる。逆相精製後、これらを水に溶解し、定量収率で、Dowex 50WX2イオン交換カラム(Na形態)に通す。
【0201】
【化52】

化合物6: 9−[2−(チオホスホノメトキシ)エチル]アデニン
【0202】
【化53】

化合物5(50mg、0.194ミリモル)を真空下で5時間、五酸化リンで乾燥し、次いで、無水ピリジン(2mL)に溶解した。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)(240μL、0.972ミリモル)をシリンジで添加し、溶液をアルゴン下で室温において約1時間撹拌した。CS/ピリジン(1/1、1mL)中の硫黄元素(13mg、0.388ミリモル)の新鮮な溶液を添加し、反応混合物を30分間撹拌し、脱イオン水(5mL)で急冷した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(線勾配0〜100% B)で精製した。生成物画分を集め、蒸発乾固し、凍結乾燥した。過剰のトリエチルアンモニウムビカーボネートを、脱イオン水で凍結乾燥を繰り返して除去した。残渣を水に溶解し、Dowex 50WX2カラム(Na交換)で溶出し、凍結乾燥後に白色粉末として化合物6(31mg、52%)を得た。HPLC純度(>98%)。H NMR(DO)δ:8.08(s,1H,H−8)、7.93(s,1H,H−2)、4.23(t,J=4.8Hz,2H,CHN)、3.87(t,J=4.3Hz,2H,CHO)、3.60(d,J=5.8Hz,2H,CHP)。13C NMR(DO)δ:152.23、149.12、146.98、141.98、116.38、73.01(d,JCP=120.0Hz)、68.57(d,JCP=10.6Hz)、42.27。31P NMR(DO)δ:60.67(t,J=5.2Hz)。HRMS(TOF,ES−)C11PS(M) 288.0320の計算値、実測値288.0347。
【0203】
化合物11: (R)−9−[2−(チオホスホノメトキシ)プロピル]アデニン
【0204】
【化54】

化合物10(50mg、0.194ミリモル)を真空下で5時間、五酸化リンで乾燥し、次いで無水ピリジン(2mL)に溶解した。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)(240μL、0.972ミリモル)をシリンジで添加し、溶液をアルゴン下で室温において約1時間撹拌した。CS/ピリジン(1/1、1mL)中の硫黄元素(13mg、0.388ミリモル)の新鮮な溶液を添加し、反応混合物を30分間撹拌し、脱イオン水(5mL)で急冷した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(線勾配0〜100% B)で精製した。生成物画分を集め、蒸発乾固し、凍結乾燥した。過剰のトリエチルアンモニウムビカーボネートを、脱イオン水で凍結乾燥を繰り返して除去した。残渣を水に溶解し、Dowex 50WX2カラム(Na交換)で溶出し、白色粉末として化合物11(31mg、47%)を得た。HPLC純度(>98%)。H NMR(DO)δ:8.16(s,1H,H−8)、8.07(s,1H,H−2)、4.29(dd,J=2.4HzおよびJ=14.5Hz,1H,CHN)、3.10(ddd,J=2.0Hz,J=6.6HzおよびJ=14.6Hz,1H,CHN)、3.95(m,1H,CHO)、3.63(ddd,J=2.0Hz,J=6.5HzおよびJ=12.8Hz,1H,CHP)、3.49(ddd,J=2.4Hz,J=6.1HzおよびJ=12.8Hz,1H,CHP)、1.05(d,J=6.1Hz,3H,CH)。13C NMR(DO)δ;152.65、149.12、147.25、142.25、116.26、74.46(d,JCP=10.7Hz)、70.89(d,JCP=121.1Hz)、46.39、14.73。31P NMR(DO)δ:61.60(t,J=4.8Hz)。HRMS(TOF,ES−)C13PS(M) 302.0477の計算値、実測値302.0465。
【実施例4】
【0205】
チオホスホネートジホスフェート誘導体12および13の合成
HIV−1逆転写酵素(RT)の阻害検討を実施するために、チオホスホネートジホスフェート化合物12(S−PMEApp)および13(S−PMPApp)を、以下のスキーム6に記載されている方法により合成した。
【0206】
【化55】

チオホスホネート6および11を、DMF中のカルボニルジイミダゾールで、周囲温度において活性化した。得られた中間体を、トリブチルアミンの存在下で、DMF中の0.5Mトリブチルアンモニウムピロホスフェートの溶液と反応させ、精製し、Dowexイオン交換(Na)に通した後に、チオホスホネートジホスフェート誘導体12(S−PMEApp)および13(S−PMPApp)をそれぞれ14%および22%の収率で得た。
【0207】
化合物12: 9−[2−(ジホスホリルチオホスホノメトキシ)エチル]アデニン
【0208】
【化56】

チオホスホネート6(20mg、0.069ミリモル)をDMF(2mL)に溶解し、1,1’−カルボニルジイミダゾール(30mg、0.278ミリモル)で処理した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。過剰のCDIを無水メタノール(8μL)の添加により分解し、撹拌を30分間続けた。無水トリ−n−ブチルアミン(50μL)およびトリブチルアンモニウムピロホスフェート(DMF中の0.5M溶液の700μL)を添加し、混合物を室温で3日間撹拌した。5mLの冷水を添加して反応を停止した。溶媒を真空下で除去し、残渣を水に溶解し、溶液を、DEAE−Sephadexカラム(線勾配0〜100% B)に供給した。適当な画分を集め、蒸発乾固し、凍結乾燥した。残渣を水に溶解し、Dowex 50WX2(Na形態)カラムに通し、トリナトリウム塩として化合物12(6.3mg、14%)を得た。HPLC純度(>99%)。31P NMR(DO)δ:61.96、−10.80、−22.98。HRMS(TOF,ES−)C13S(M) 447.9647の計算値、実測値447.9656。
【0209】
化合物13: (R)−9−[2−(ピロホスホルオキシチオホスホノメトキシ)プロピル]アデニン
【0210】
【化57】

チオホスホネート11(15mg、0.05ミリモル)を、DMF(2mL)に溶解し、1,1’−カルボニルジイミダゾール(20mg、0.2ミリモル)で処理した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。過剰のCDIを無水メタノール(6μL)の添加により分解し、撹拌を30分間続けた。無水トリ−n−ブチルアミン(36μL)およびトリブチルアンモニウムピロホスフェート(DMF中の0.5M溶液の500μL)を添加し、混合物を室温で3日間撹拌した。5mLの冷水を添加して反応を停止した。溶媒を真空下で除去し、残渣を水に溶解し、溶液をDEAE−Sephadexカラム(線勾配0〜100% B)に供給した。適当な画分を集め、蒸発乾固し、凍結乾燥した。残渣を水に溶解し、Dowex 50WX2(Na形態)カラムに通し、トリナトリウム塩として化合物13(5.2mg、22%)を得た。HPLC純度(>99%)。31P NMR(DO)δ:60.89、−5.77、−21.76。HRMS(TOF,ES−)C15S(M) 461.9803の計算値、実測値461.9802。
【実施例5】
【0211】
が、−CHOH、−CHCHOH、−CHFまたはハロメチルであるチオホスホネートヌクレオシド誘導体の合成
本発明のその他のチオホスホネート誘導体は、次の合成スキームにより調製し得る。
【0212】
【化58】

読者は十分に理解すると思うが、Rを持つ炭素原子は、R−またはS−配置、あるいはラセミ体であり得る。
【実施例6】
【0213】
フルオロホスホネート誘導体の合成
フルオロホスホネート誘導体は、次の合成スキームにより調製し得る:
【0214】
【化59】

読者は十分に理解すると思うが、上記方法は、Rが水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルおよびC1〜6ハロアルキルである化合物で実施し得るものであり、Rを持つ炭素原子は、R−またはS−配置、あるいはラセミ体であり得る。
【実施例7】
【0215】
アミノチオホスホネート誘導体の合成
アミノチオホスホネート誘導体は、次の合成スキームにより調製し得る。
【0216】
【化60】

この方法は、次の構造を有するチオホスホンアミデートプロドラッグの合成に適用し得る。
【0217】
【化61】

読者は、更なる手引きのために、Wagner C. R. et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 1995, 5, 1819-1824を参照することができる。
【0218】
読者は十分に理解すると思うが、上記の方法は、Rが水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキルである化合物で実施され得るもので、Rを持つ炭素原子はR−またはS−配置、あるいはラセミ体であり得る。
【実施例8】
【0219】
アルキルチオホスホネート誘導体の合成
アルキルチオホスホネート誘導体は、次の合成スキームにより調製し得る。
【0220】
【化62】

読者は十分に理解すると思うが、上記の方法は、Rが水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキルである化合物で実施され得るもので、Rを持つ炭素原子はR−またはS−配置、あるいはラセミ体であり得る。
【実施例9】
【0221】
チオホスホネート誘導体からのモノおよびビス−POCプロドラッグの合成
プロドラッグは生物学的活性を欠く物質であり、細胞機構の作用下で活性物質(薬剤)へ変換される。プロドラッグは、生物学的活性体から合成し得、生物学的活性に関わる化学的機能が酵素不安定基で暫定的に保護されている。酵素(エステラーゼ、レダクターゼ)の作用下で、これらの基は切断されて活性分子を再生する。したがって、これらの酵素不安定基を賢明に選択して、細胞内媒質と細胞外媒質の間の酵素含有量の差を利用することにより、脱マスキング工程で使用される酵素活性が最大である場所で薬剤を特異的に放出することを可能とする。一般的にプロドラッグは、インビボで、薬剤の薬理学的特性(安定性、溶解性、吸収性、分散性、標的性、代謝性)を改善するために使用される。
【0222】
ヌクレオチド類似体の薬理学的特性を改善するために、種々のプロドラッグが開発されている。特に、アデホビル(adefovir)(PMEA)およびテノフォビル(tenofovir)(PMPA)は、プロドラッグの形態での治療で使用されており(, Antimicrob. Agents Chemother., vol. 42(3), p: 612-617, 1998)、モノホスホリル化体を酵素切断により細胞内に遊離する。
【0223】
チオホスホネート誘導体6および11の薬理学的特性を改善するために、細胞エステラーゼのためのエステル官能基質を有する、POC基またはイソプロピルオキシメチルカルボニルを持つ、スキーム7および8に記載される方法によるPMEA 6およびPMPA 11のチオホスホネート誘導体のモノおよびビスプロドラッグの合成を実施することが可能である(上で引用したRobins et al., 1998)。
【0224】
イソプロピルオキシメチルカルボニルクロリドは、文献(J.D. Thomas et al. Tetrahedron Letters, 2007, 48, 109-112)に記載されたプロトコルにより予め調製される。
モノ−POC化合物14および16ならびにビス−POC化合物15および17を別々のプロトコルにより得た。
【0225】
【化63】

1−メチル−2−ピロリジノンおよびトリエチルアミン中のS−PMEA6またはS−PMPA11の溶液を、60℃で30分間加熱した。次いで、予め合成されたイソプロピルクロロメチルカーボネートを添加し、反応混合物を60℃で3時間撹拌した。精製し、Dowex 50WX2イオン交換カラム(Na形態)に通した後、モノ−POC化合物14および16を、それぞれ38%および14%の収率で得た。
【0226】
【化64】

N,N’−ジシクロヘキシル−4−モルホリンカルボキシアミジン、および予め合成されたイソプロピルクロロメチルカーボネートを、DMF中のS−PMEA 6またはS−PMPA 11の溶液に添加した。反応混合物を周囲温度で36時間撹拌した。精製後、期待通りのビス−POC化合物15および17を、それぞれ15%および10%の収率で得た。
【0227】
化合物: クロロメチルイソプロピルカーボネート
【0228】
【化65】

プロパン−2−オール(785mg、13.19ミリモル)を、乾燥エチルエーテル中のクロロメチルクロロホルメート(1.7g、13.19ミリモル)の溶液に添加した。反応混合物を0℃まで冷却した。ピリジン(1.043g、13.19ミリモル)を、撹拌しながら滴下して添加した。その後、反応混合物を室温で20時間撹拌した。この異種混合物を濾過し、濾液をクエン酸1%(2x20mL)、NaHCO1%(2x20mL)およびブライン(brine)(20mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させて、所望の化合物(1.71g、85%)を得た。H NMR(CDCl)δ:5.69(s,2H,ClCHO)、4.92(セプタプレット,J=6.26Hz,1H,OCH(CH)、1.30(d,J=6.27Hz,6H,OCH(CH)。13C NMR(CDCl)δ:152.68、73.60、71.95、21.52(2C)。
【0229】
化合物14: 9−[2−(チオホスホノメトキシ)エチル]アデニン、モノイソプロピルオキシカルボニルオキシメチルエステル
【0230】
【化66】

無水の脱気した1−メチル−2−ピロリジノン(2mL)の2mL中の9−[2−(チオホスホノメトキシ)エチル]アデニン 6(15mg、0.0518ミリモル)およびトリエチルアミン(TEA)(26mg、0.259ミリモル)の混合物を60℃で30分間加熱した。次いで、イソプロピルクロロメチルカーボネート(POCCl)(39mg、0.259ミリモル)を添加した。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗物質を逆相分離用HPLC(X−terraカラム)で精製した。イオン交換(Dowex 50WX2、Na形態)および凍結乾燥で、白色固体の所望の化合物14(8mg、38%)を得た。HPLC純度>97%。H NMR(CDCl)δ:8.30(s,1H,H−8)、8.21(s,1H,H−2)、5.93(s 大きい,2H,NH)、5.45(d,J=13.57Hz,2H,OCHO)、4.85(七重線,J=6.25Hz,1H,OCH(CH)、4.42(t,J=4.90Hz,2H,CHN)、3.96(d,J=4.90Hz,2H,CHO)、3.79(d,J=5.84Hz,2H,OCHP)、1.24(d,J=6.29Hz,6H,OCH(CH)。31P NMR(CDCl)δ:31.05。MS:(TOF MS ES−):404.3(M−1H)、809.6(2M−1H)
【0231】
化合物15: 9−[2−(チオホスホノメトキシ)エチル]アデニン、ビスイソプロピルオキシカルボニルオキシメチルエステル
【0232】
【化67】

無水の脱気したDMFの2mL中の9−[2−(チオホスホノメトキシ)エチル]アデニン 6(15mg、0.0518ミリモル)の撹拌溶液に、N,N’−ジシクロヘキシル−4−モルホリンカルボキシアミジン(30mg、0.103ミリモル)およびイソプロピルクロロメチルカーボネート(POCCl)(39mg、0.259ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で36時間撹拌した。不溶解物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。次いで、残渣をトルエン(1mL)および水(1mL)に分配して分離し、次いで、水相をトルエンで抽出した(2×1mL)。有機層を一緒にして真空中で濃縮した。残渣を、5%MeOH/CHClで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、所望の化合物15(4mg、15%)を得た。HPLC純度>98%。H NMR(CDCl)δ:8.30(s,1H,H−8)、8.21(s,1H,H−2)、5.93(s 大きい,2H,NH)、5.45(m,4H,OCHO)、4.88(m,2H,OCH(CH)、4.40(t,J=4.90Hz,2H,CHN)、3.94(d,J=4.90Hz,2H,CHO)、3.79(d,J=5.84Hz,2H,OCHP)、1.29(m,12H,OCH(CH)。31P NMR(CDCl)δ:42.10。MS:(TOF MS ES+):522.3(M+1H)
【0233】
化合物16: (R)−9−[2−(チオホスホノメトキシ)プロピル]アデニン、モノイソプロピルオキシカルボニルオキシメチルエステル
【0234】
【化68】

無水の脱気した1−メチル−2−ピロリジノン(2mL)の2mL中の(R)−9−[2−(チオホスホノメトキシ)プロピル]アデニン 11(15mg、0.0494ミリモル)およびトリエチルアミン(TEA)(25mg、0.247ミリモル)の混合物を60℃で30分間加熱した。次いで、イソプロピルクロロメチルカーボネート(POCCl)(37mg、0.247ミリモル)を添加した。反応混合物を60℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗物質を逆相分離用HPLC(X−terraカラム)で精製した。イオン交換(Dowex 50WX2、Na形態)および凍結乾燥で、白色固体の所望の化合物16(3mg、15%)を得た。H NMR(CDCl)δ:8.35(s,1H,H−8)、8.25(s,1H,H−2)、6.45(s 大きい,2H,NH)、5.43(d,J=13.62Hz,2H,OCHO)、4.81(七重線,J=6.25Hz,,1H,OCH(CH)、4.40(dd,J=14.06 J=2.52,1H,CHN)、4.17(dd,J=14.13 J=7.18,1H,CHN)、4.13(m,1H,CH(Me)O)、3.76(m,2H,OCHP)、1.28(d,J=6.28Hz,6H,OCH(CH)、1.21(d,J=6.20Hz,3H,CH(CH)O)。31P NMR(CDCl)δ:31.82。MS:(TOF MS ES−):418.2(M−1H)、837.4(2M−1H)
【0235】
化合物17: (R)−9−[2−(チオホスホノメトキシ)プロピル]アデニン、ビスイソプロピルオキシカルボニルオキシメチルエステル
【0236】
【化69】

無水の脱気したDMFの2mL中の(R)−9−[2−(チオホスホノメトキシ)プロピル]アデニン 11(15mg、0.0495ミリモル)の撹拌溶液に、N,N’−ジシクロヘキシル−4−モルホリンカルボキシアミジン(29mg、0.0989ミリモル)およびイソプロピルクロロメチルカーボネート(POCCl)(37.7mg、0.247ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で36時間撹拌した。不溶解物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。次いで、残渣をトルエン(1mL)および水(1mL)に分割して分離し、次いで水性層をトルエンで抽出した(2×1mL)。有機層を一緒にして真空中で濃縮した。残渣を、5%MeOH/CHClで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、所望の化合物17(3mg、11%)を得た。H NMR(CDCl)δ:8.32(s,1H,H−8)、8.26(s,1H,H−2)、6.39(s 大きい,2H,NH)、5.46(m,4H,OCHO)、4.90(m,2H,OCH(CH)、4.40(dd,J=14.06 J=2.52,1H,CHN)、4.17(dd,J=14.13 J=7.18,1H,CHN)、4.13(m,1H,CH(Me)O)、3.76(m,2H,OCHP)、1.31(m,12H,OCH(CH)、1.20(d,6.20Hz,3H,CH(CH)O)。31P NMR(CDCl)δ:42.25。MS:(TOF MS ES+):536.4(M+1H)
【実施例10】
【0237】
チオホスホネート誘導体からのビス−SATEプロドラッグの合成
SATEチオホスホネートプロドラッグ誘導体は、次の合成スキームにより調製し得る。
【0238】
【化70】

読者は、更なる手引きのために、Perigaud C. et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters. 3(12), 2521-2526, 1993を参照することができる。
【0239】
読者は十分に理解すると思うが、上記の方法は、Rが水素、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルおよびC1〜6ハロアルキルである化合物で実施され得るもので、Rを持つ炭素原子はR−またはS−配置、あるいはラセミ体であり得る。
【実施例11】
【0240】
抗ウイルス活性
1)抗HBV検査
a)感染HepAD38細胞での検査
テトラサイクリン反応細胞系HepAD38を使用した(Ladner et al., Antimicrob. Agents Chemother. 41:1715-1720, 1997)。これらは、野生型ウイルスのプレゲノムRNAのcDNAコピーで安定にトランスフェクトされた肝癌細胞である。培地からテトラサイクリンを除去すると、ウイルスの複製開始をもたらす。これは、通常使用されるHep G2.2.15細胞系とは対照的に、バックグラウンドのウイルス性DNAの合成が無い、または非常に限定的であるという利点を提供する。細胞を37℃で、加湿した5%CO/大気中において播種培地、10%(v/v)熱不活化ウシ胎児血清、ペニシリン100IU/ml、ストレプトマイシン50μg/ml、カナマイシン100μg/ml、G418 400μg/ml、およびテトラサイクリン0.3μg/mlを補充したDMEM/ハムF12(50/50)で培養した。アッセイを開始した際、細胞は、48穴プレートに1ウェル当たり5×105個の密度で播種した。2〜3日後、培養物を、予め温めたPBSで洗浄することによってウイルス生成について誘導し、抗ウイルス化合物を含むまたは含まないアッセイ培地(テトラサイクリンおよびG418を含まない播種培地)200μlを与えた。培地は3日後に交換した。抗ウイルス効果を、誘導後6日目に細胞内ウイルス性DNAのレベルをリアル・タイム定量的PCR(Q−PCR)法で測定することによって定量した。全細胞性DNAは、市販のキットを用いて細胞から抽出した。Q−PCRは、25μlの反応容量中で、順方向プライマー(5’−CCG TCT GTG CCT TCT CAT CTG−3’、最終濃度600nM)、逆方向プライマー(5’−AGT CCA AGA GTY CTC TTA TRY AAG ACC TT−3’、最終濃度600nM)、およびTaqmanプローブ(6−FAM−CCG TGT GCA CTT CGC TTC ACC TCT GC−TAMRA、最終濃度150nM)で、TaqMan Universal PCR Master Mixを使用して実施した。反応は、SDS 7000を使用して分析した。HBVゲノムの全長挿入断片を含有するプラスミドを、標準曲線を作成するために使用した。処理した培養物中に生成されたウイルス性DNAの量は、偽処理試料の百分率として表した。最初のアッセイで選択的抗ウイルス活性を示した化合物を、活性を確認するために再検査した。種々の化合物の細胞分裂阻害効果を、親肝癌細胞系HepG2を使用して評価した。指数関数的に増殖しているHepG2細胞での化合物の効果を、MTS法を用いて評価した。簡潔には、細胞を1ウェル当たり3000個の密度で播種し(96穴プレート)、化合物の存在下または非存在下で3日間増殖させ、その後96穴プレートリーダーで光学密度を測定し、細胞密度を決定した。
【0241】
結果を以下の表IおよびIIに示す。
【0242】
【表2】

結果は、S−PMEA6誘導体がPMEAと同等の有効性を示すことを表している。
【0243】
【表3】

結果は、S−PMPA誘導体11は、PMPAと同等の有効性を示すが、細胞毒性の低さによって6倍大きい選択指数を有することを示している。
【0244】
b)感染Huh7細胞での検査
結果を以下の表IIIおよび表IVに示す。
【0245】
【表4】

結果は、S−PMEA誘導体6がPMEAより優れた有効性を示すことを表している。
【0246】
【表5】

結果は、S−PMPA誘導体11がPMPAと同等の有効性を示すことを表している。
【0247】
2)野生型ウイルスでの抗HIV検査
a)HIV−1(III)およびHIV−2(ROD)での検査
化合物6および11をCEM細胞培養物においてHIV−1(III)およびHIV−2(ROD)に対して評価した。簡潔には、CEM細胞(1ml当たり細胞4.5×10個)を新鮮培地に懸濁し、細胞懸濁物1ml当たり100CCID50でHIV−1を感染させた。次いで、感染細胞懸濁物100μlをマイクロプレート・ウェルに移し、検査化合物の適切な希釈物100μlと混合し、さらに37℃でインキュベートした。4〜5日後、巨細胞形成をCEM細胞培養物中で顕微鏡的に記録した。50%有効濃度(ED50)は、ウイルス感染CEM細胞培養物中での合胞体形成を50%妨げるために必要な化合物濃度に相当する。
【0248】
結果を以下の表Vに示す。
【0249】
【表6】

結果は、S−PMEA6およびS−PMPA11について細胞毒性が無くかつ良好な選択指数で、感染細胞培養物中におけるHIV−1およびHIV−2に対して良好な有効性を示している。さらにそれらは、同ウイルスにおいてPMEAおよびPMPAについて見出されたものと同等の濃度範囲内で活性である(国際出願公開公報WO03002580、2003年1月9日公開)。
【0250】
b)HIV−1 LAIでの検査
S−PMEA6およびS−PMPA11ならびに参照化合物PMEAおよびPMPAの抗HIV活性を、HIV−1−LAIを感染させた(100 「組織培養感染量50%」、TCID50)CMSP培養物において評価した。CMSPは、フィコール−ハイパック密度勾配によってヒト末梢血の他の有形成分から分離し、PHA−P 1μg/mlで、48時間で活性化し、次いで10%SVF、2mM L−グルタミン、1%PSNおよび20IU/ml組換えヒト・インターロイキン−2を補充したRPMI1640培地で培養した。活性化したCMSPを、6種の異なる濃度の化合物で処理し、リンパ球指向性参照株HIV−1−LAIを感染させた(Barre-Sinoussi, F et al. (AIDS). Science 1983, 220, 868)。7日間の培養後、ウイルス複製をRetrosys(登録商標)kit (イノバゲン社)を用いて細胞培養上清中のRTの酵素活性を測定することによって定量した。分子の細胞毒性を並行して未感染細胞の培養物でのMTT検査によって評価した。50%有効濃度(EC50)および50%細胞毒性濃度(TC50)をSoftMax Pro 6.6 software(モレキュラー・デバイス社)を用いて算出した。
【0251】
結果を以下の表VIおよび表VIIに示す:
【0252】
【表7】

結果は、S−PMEA誘導体6は、PMEAよりわずかに低い抗ウイルス活性を示すが、細胞毒性が低いことからより良い選択指数を有することを表す。
【0253】
【表8】

S−PMPA11は活性であり、その活性はPMPAのそれに匹敵する。S−PMPAは細胞毒性でない(検査した最高濃度:200μM)。選択指数は同等である(S−PMPA対PMPA)。
【0254】
3)耐性ウイルスでの抗HIV検査
化合物6および11の有効性は、培養物中でCEM細胞(ヒト・リンパ球)において耐性ウイルスに対しても評価し得る。例えば、以下の手順を使用できる。CEM細胞(1ml当たり細胞2〜3×10個)を96穴マイクロプレート(200μl)で、培地中のさまざまな濃度の化合物6,11ならびに参照化合物PMEAおよびPMPAの存在下で培養し、100CCID50のHIV−1を感染させ、37℃でインキュベートする。4日後、巨細胞の形成をそれぞれの細胞培養物中において顕微鏡で測定する。EC50値は、感染CEM細胞の培養物での合胞体形成を50%低減するために必要な有効濃度に相当する。
【0255】
逆転写酵素(RT)のいくつかの阻害剤への耐性についての変異を含有するHIV−1のいくつかの臨床分離株(クリステル バン ラエテム(Kristel Van Laethem)、レガ医学研究所より提供、Schmit J-C, et al. Antiviral Therapy 1998; 3: 81-8、Van Laethem K, et al. AIDS 2000; 14: 469-71)を、CEM培養物において標的化合物に対するそれらの感受性を研究するために既に記載の通り検査する。分離されたウイルスのRT中に以下の変異が存在する。HIV−1/C19: M41L+V118I+L210W+T215Y、HIV−1/C20: M41L+D67N+V118I+M184V+L210W+T215Y、HIV−1/L6.5: S68G+K70T+V75I+F77L+K103N+F116Y+Q151M+K219R、HIV−1/DE434.4: K65R+S68G+T69I+V75T+Q151M、HIV−1/HA20.17: A62V+V75I+F77L+Q151M+M184V。
【0256】
4)ウイルスのパネルに対する検査
以下を含むウイルスのパネルに対する抗ウイルス活性についても化合物6および11を評価した。
− HEL細胞における、単純ヘルペス・ウイルス1型(herpes simplex virus type 1)(HSV−1、KOS、およびKOS ACV TK−)ならびに2型(HSV−2、G)、ワクシニア・ウイルス(vaccinia virus)、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)、
− Hela細胞における、コクサッキーB4・ウイルス(Coxsackie B4 virus)および呼吸器多核体ウイルス(respiratory syncytial virus)、
− Vero細胞における、パラインフルエンザ−3−ウイルス(Parainfluenza-3-virus)、レオウイルス−1(Reovirus-1)、シンドビス・ウイルス(Sindbis virus)、コクサッキーB4、およびプンタ・トロ・ウイルス(Punta Toro virus)、
− MDCK細胞における、インフルエンザA(H1N1)、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB、
− CRFK細胞における、ネコ・コロナ・ウイルス(Feline Corona virus)およびネコ・ヘルペス・ウイルス(Feline Herpes virus)。
【0257】
HSV−1およびHSV−2、ワクシニア・ウイルスならびに水疱性口内炎ウイルスに対してHEL細胞においてアッセイする。コクサッキー・ウイルスB4および呼吸器多核体ウイルスに対してHeLa細胞においてアッセイする。パラインフルエンザ−3−ウイルス、レオウイルス−1、シンドビス・ウイルスおよびプンタ・トロ・ウイルスに対してVero細胞においてアッセイする。ヒト胎児肺(HEL)(ATCC−CCL 137)、サル腎臓(Vero)およびヒト子宮頸癌(HeLa)細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)、2mM L−グルタミンおよび0.075%炭酸水素塩を補充した基礎培地(MEM)で増殖させた。単純ヘルペス・ウイルス1型(HSV−1)(KOSおよびKOS ACV TK−)、HSV−2(G)、ワクシニア・ウイルス、および水疱性口内炎ウイルスをHEL細胞培養物において、コクサッキー・ウイルスB4および呼吸器多核体ウイルスをHeLa細胞培養物において、ならびにパラインフルエンザ−3ウイルス、レオウイルス−1、シンドビス・ウイルス、およびプンタ・トロ・ウイルスをVero細胞培養物においてアッセイした。細胞は、コンフルエンスまでマイクロタイター・トレーで増殖させ、50%細胞培養感染量の100倍を接種した。単独または組合せのいずれかでの化合物を1〜2時間のウイルス吸収期の後に添加した。ウイルスが誘導する細胞変性効果(CPE)を顕微鏡的に感染後約3日で記録し、未処理対照の百分率として表した。50%有効濃度(EC50)をグラフ描画から導いた。最小毒性濃度(MTC)を、顕微鏡的に検出可能な細胞形態の変化を生じる最小濃度として定義した。MTCは、抗ウイルスアッセイについて使用した培養物と同種で、同時期に化合物の系列希釈物と共にインキュベートした未感染のコンフルエント細胞培養物において決定した。培養物は、細胞形態の変化について顕微鏡的に検査した。
【0258】
200μMまでの化合物6および11のいずれについても顕著な細胞毒性は報告されなかった。化合物6および11は、水疱性口内炎ウイルスコクサッキーB4、呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザA(H1N1)、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB、パラインフルエンザ−3−ウイルス、レオウイルス−1、シンドビス・ウイルス、およびプンタ・トロ・ウイルスに対して200μMまでインビトロ抗ウイルス活性を示さなかった。化合物6は、ネコ・ヘルペス・ウイルス(EC50=38μM)および単純ヘルペス・ウイルス−2(G)(EC50=58μM)に対して中程度の活性を示した。
【実施例12】
【0259】
ホスホネート−ジホスフェート誘導体12および13の逆転写酵素(RT)の阻害における評価
チオホスホネートジホスフェート類似体12および13の取込みの触媒機構を、前定常速度論の技術を用いて実験で、RTに対するチオホスホネートジホスフェート類似体の解離定数(Kd)、およびホスホジエステル結合の形成についての触媒定数(Kpol)を決定するために調べた。これらの研究は、チオホスホネートジホスフェート誘導体の、対応する未修飾誘導体に対する識別の算出を可能にする。
【0260】
類似体は、野生型RTおよびK65R変異体において検査した。
野生型RTの遺伝子を発現している細菌構築物p66RTBを、RT K65Rを得るために、Boretto et al. Anal. Biochem., 2001, 292(1), 139-47に記載の通り使用した。全ての構築物は、DNA配列決定によって確認した。組換えRTを、HIV−1プロテアーゼと大腸菌で共発現させて、ヘテロ二量体p66/p51を得て、続いてアフィニティー・クロマトグラフィーによって精製した。全ての酵素は、全ての生化学的研究の前に活性部位の滴定によって定量した。
【0261】
速度論研究は、dATP、PMEApp、PMPApp、S−PMEApp(12)、およびS−PMPApp(13)を使用して、野生型RTおよびK65R変異体RTにおいて実施した。前定常速度論実験は、KINTEK model RQF−3装置を用いて10ミリ秒から30秒の反応時間について実施した。記載する全ての濃度は、最終濃度に相当する。
【0262】
反応に使用したDNA/RNAオリゴヌクレオチドは、31塩基の鋳型(31A−RT、5’−AAA AAA AAA TGG ATA CAT ATG GTT AAA GTA T−3’)とハイブリダイズした21塩基の5’−標識プライマー(5’−ATA CTT TAA CCA TAT GTA TCC−3’)に相当する。天然ヌクレオチドについて、反応は、RT緩衝液(50mM Tris−HCl、pH8.0、50mM KCl、0.05%Triton X−100)中の100nMプライマー/マトリックス複合体に結合した50nM(活性部位で)HIV−1 RTを含む溶液を、6mM MgClを含む様々な濃度のNTPと混合することによって実施した。非環式ヌクレオチドを含む反応は、プライマー/鋳型複合体(100nM)に関して過剰量の酵素(200nM)で実施した。これらの条件は、低いレベルでの取込みの測定を干渉する酵素の代謝回転率(Kss)の影響を排除するために選択した。反応生成物は、電気泳動ゲル(TBE緩衝液中、14%アクリルアミド、8M尿素)で分析し、可視化後にFUJIIMAGER(登録商標)で定量した。
【0263】
速度定数をdATP(天然ヌクレオチド)、PMEAジホスフェート(PMEApp)、PMPAジホスフェート(PMPApp)、ならびにチオホスホネートジホスフェート類似体(12)および(13)について、HIV−1の野生型RTおよびそのPMPAに対する耐性体、K65R変異体において測定した。
【0264】
経時的な生成物の形成(P)は、以下の方程式で定められた:
(P)=A.(1−exp(−(kapp・t))+kss・t (式1)
式中、Aはピークの振幅、kappはリン酸ジエステル結合形成の見かけの速度定数、およびkssは酵素の代謝回転レベル(定常状態の直線相の速度定数)である。kappのdNTP濃度依存性は、以下の双曲方程式で記載される:
app=kpol dNTP/(K+dNTP) (式2)
式中、Kおよびkpolはそれぞれ、RTについてのdNTPの平衡定数および触媒定数である。Kおよびkpolは、KALEIDAGRAPH software(シナジー・ソフトウェア社)を使用してカーブフィティングによって定めた。
【0265】
得られた結果を以下の表VIIIにまとめる:
【0266】
【表9】

dATPは、参照の天然ヌクレオチドであり、それにより選択性を算出できる。検査した全てのヌクレオチド類似体は、野生型HIV−1およびK65R変異体のRTの基質および阻害剤である。それらは取り込まれて連鎖停止剤になる。
【0267】
野生型RTは、PMEADPとPMPADPを7.8倍および22倍で識別する。この識別は、チオホスホネート−ジホスフェート類似体12および13についてそれが、それぞれ14.5倍および59.8倍であることから、さらに顕著である。この著しい識別は、RTによるS−PMEApp(12)およびS−PMPApp(13)の取込み速度が、天然ヌクレオチドdATPのそれより1/90と低いことによって説明される。この減少は、RTのこれらの類似体に対する親和性によって代償されないが、S−PMEApp(12)について1.2対7.5、およびS−PMPApp(13)について5.5対7.5で改善する。
【0268】
K65R変異体は、PMEAppおよびPMPAppに対してそれぞれ2.16倍および4.45倍の耐性がある。この耐性は、主にヌクレオチドの取込み速度の低減による(1/9および1/22)。K65R変異体もS−PMEApp(12)に耐性があり(R=2.8)、これは同じ理由、つまり取込み速度の1/18の低減による。この耐性係数は、硫黄を含まない類似体PMEApp(R=2.2)について観察されたのと同じである。
【0269】
一方、K65R変異体は、もはやS−PMPApp(13)に耐性ではなく(R=1)、ホスホネートに硫黄原子を有さないPMPApp類似体と比較して、耐性(R=4.4)が低減しており、耐性に対する戦いにおけるチオホスホネート化合物の利益を証明する。
【0270】
2)野生型RTおよび変異体RT(D67N、K70R、T215F、K219Q)によってDNAプライマーに取り込まれたS−PMEA(6)およびS−PMPA(11)誘導体の切断に対する耐性の評価、ATP分解による研究
a)PMEA、PMPA、S−PMEAおよびS−PMPAを取り込んでいるDNAプライマーの生成および精製(図1を参照されたい。)
全ての構築物は、DNA配列決定によって確認した。組換えRTを、大腸菌でHIV−1プロテアーゼと共発現させて、p66/p51ヘテロ二量体を得て、続いてアフィニティー・クロマトグラフフィーによって精製した。全ての酵素は、全ての生化学的研究の前に活性部位の滴定によって定量した。
【0271】
反応に使用したDNA/DNAオリゴヌクレオチドは、31塩基の鋳型(5’−AAA AAA AAA TGG ATA CAT ATG GTT AAA GTA T−3’)と5μMでハイブリダイズした21塩基のプライマー(5’−ATA CTT TAA CCA TAT GTA TCC−3’)に相当する。反応は、RT緩衝液(50mM Tris−HCl、pH8.0、50mM KCl、0.05%Triton X−100、100μM MgCl)中の20μM HIV−1 RTを含む溶液を、10mM PMEAppもしくはPMPAppまたはS−PMEApp 12もしくはS−PMPApp 13と混合することによって実施した。反応物を37℃で50分間インキュベートした。各反応は、70℃で5分間加熱することによって停止させた。RT伸長反応由来の22塩基長生成物を、次いで逆相HPLCによって精製した。使用した装置は、前ろ過無しで分析カラムへのタンパク質に富む混合物の注入を可能にするイン・ラインろ過系(プレカラム+スイッチ)を有する。精製後、22塩基長の回収画分をそれぞれ合わせ、凍結乾燥し、質量分析(MALDI−TOF)によって特徴付けた。それらの濃度は、OD260の測定によって決定した。
【0272】
【表10】

b)実験結果
反応に使用したDNA/DNAオリゴヌクレオチドは、31塩基のマトリクス(5’−AAA AAA AAA TGG ATA CAT ATG GTT AAA GTA T−3’)とハイブリダイズした5’に32Pで標識した22塩基のプライマー(5’−ATA CTT TAA CCA TAT GTA TCC−3’、PMEA−22塩基長もしくはPMPA−22塩基長またはS−PMEA−22塩基長もしくはS−PMPA−22塩基長)に相当する。反応は、RT緩衝液(50mM Tris−HCl、pH8.0、50mM KCl、0.05%Triton X−100)中の50nMプライマー/マトリックス複合体に結合した、野生型HIV−1または変異体HIV−1(D67N、K70R、T215F、K219Q)の100nM RTを含む溶液を、5mM MgClを含む濃度3.2mMのATPと混合することによって実施した。反応物を、37℃で2時間インキュベートし、試料を分析のために1時間および2時間で採取した。反応生成物は、電気泳動ゲル(TBE緩衝液中、14%アクリルアミド、8M尿素)で分析し、可視化後にFUJIIMAGER(登録商標)で定量した。
【0273】
チオホスホネート誘導体S−PMEAおよびS−PMPAは、野生型RTまたは耐性RT(D67N、K70R、T215F、K219Q)のいずれにおいても誘導体PMEAおよびPMPAよりも切断されていなかった。図2を参照されたい。
【0274】
2時間の反応後、野生型RTでは、S−PMEA−22塩基長の4%だけが21塩基長に変化しており、S−PMPA−22塩基長の場合は10%であった。PMEA−22塩基長およびPMPA−22塩基長の22塩基長物の場合は、それぞれ41%および34%が21塩基長に変化した。
【0275】
耐性RT(D67N、K70R、T215F、K219Q)では、2時間の反応後、S−PMEA−22塩基長の19%だけが21塩基長に変化しており、S−PMPA−22塩基長の場合は20%であった。PMEA−22塩基長およびPMPA−22塩基長の22塩基長物の場合は、それぞれ55%および57%が21塩基長に変化した。
【0276】
したがって、チオホスホネート修飾は、大きく低減される切断について、好ましい効果を提供し、HIV耐性に対して戦うためのチオホスホネート化合物における全ての利益を証明する。
【実施例13】
【0277】
生体液を模倣する条件下でのチオホスホネート誘導体6および11の安定性試験
S−PMEA(6)およびS−PMEA(11)誘導体の安定性試験を、生体液を模倣する条件下、つまり完全培地(細胞外媒体の模倣)および全細胞抽出物(細胞内媒体の模倣)において実施した。
【0278】
媒体および細胞抽出物の調製 培地は10%(v/v)熱不活性化ウシ胎児血清を含むRPMI1640から成り、−80℃で保存した。CEM−SS細胞抽出物を公表されている手順(Puech, F. et al. Antiv. Res. 1993, 22, 155-174)に従って調製した。指数関数的に増殖しているCEM−SS細胞を遠心分離(500g、4℃、4分間)で回収し、PBSで2回洗浄し、10mM Tris−HCl、140mM KCl(pH7.4)に、1mL当たり細胞30×10個の濃度で再懸濁した。細胞を超音波処理で溶解し、細胞の破片を遠心分離(10000g、4℃、20分間)で除去した。可溶性タンパク質(3mg/mL)を含有する上清を−80℃で保存した。
【0279】
HPLC分析 分解速度を分析的HPLCで求めた。使用した装置は、特定のオンラインろ過系を有する。
化合物6および11についての速度論データおよび分解経路を37℃で、(a)完全培地(10%熱不活性化ウシ胎児血清を含有するRPMI1640)、(b)全細胞抽出物(CEM−SS)において試験した。各速度論研究について、化合物溶液を検討する培地の新鮮解凍一定分量で初濃度0.1mMとなるように希釈した。混合物は、37℃で必要時間インキュベートし、一定分量(10%溶液)を採取し、さらなるHPLC分析のために、直ちに−80℃で凍結した。粗試料をプレカラムに注入し、緩衝液Aで5分間溶出した。次いで、プレカラムからカラムへ繋ぐための切替え弁を作動させ、緩衝液Bを0分、0%から40分、20%に増大させる、緩衝液Aから緩衝液Bへの直線勾配を適用する。保持時間は、化合物6は26分間、化合物11は29.5分間、PMEAは24.3分間、および(R)−PMPAは27.8分間であった。
【0280】
全ての化合物を同じ条件下で分析した。各時点での残存親化合物の量を、化合物の半減期を決定するために使用した。親化合物由来の分解生成物は、対応する参照物との比較によって決定した。
【0281】
半減期を算出し、以下の表IXにまとめた。
【0282】
【表11】

化合物6および11は、試験した条件下(培地および細胞抽出物)で同様に挙動した。化合物6は、HPLCでの共注入によってホスホネートPMEAであると同定された単一の生成物にゆっくりと分解した。化合物11は、HPLCでの共注入によってホスホネートPMPAであると同定された単一の生成物にゆっくりと分解した。この転換は、P−S結合のP−O結合への脱硫化による。培地(20%分解)および細胞抽出物(分解1%未満)において観察された挙動の差異は、2種の媒体の間の酵素含有量における差異、つまり培地が10%ウシ胎児血清を含有していることによって説明できる。
【0283】
本発明の多数の実施形態を記載しているが、基本的な実施例を本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために変更できることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例示の方法によって表されている具体的な実施形態ではなく、添付の請求項の範囲によって定義されることが理解される。
【0284】
【表12】



【0285】
【表13】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

のプリンもしくはピリミジンホスホネート化合物またはその薬学的に許容される塩。
(式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択され、
は、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR3A、プロドラッグ部分、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R”HNからなる群から選択され、R3Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R”は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、またはアミノ酸残基であり、
(a)Xは、セレニウム原子および硫黄原子からなる群から選択され、Rは、フッ素原子、ヒドロキシル基またはそのアルカリ金属塩、−OR2A、プロドラッグ部分、−BH、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、またはC2〜8ヘテロアルキニル基、およびアミン基R’HNからなる群から選択され、R2Aは、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、−P(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩、または−P(=O)(OH)OP(=O)(OH)もしくはそのアルカリ金属塩を表し、R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C1〜8ヘテロアルキル、C2〜8ヘテロアルケニル、C2〜8ヘテロアルキニル、またはC6〜10アリール基、またはアミノ酸残基であるか、あるいは、
(b)Xは酸素原子を表し、Rはフッ素原子およびBH基からなる群から選択される。)
【請求項2】
Bは、アデニン、ウラシル、チミン、グアニン、およびシトシンからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、好ましくはBがアデニンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
は、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、およびフルオロメチル基からなる群から選択される、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
以下の構造:
【化2】

を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
(式中、R2AおよびR3Aは、それぞれ別々に水素原子またはアルカリ金属カチオンである。)
【請求項5】
以下の構造:
【化3】

を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
(式中、R2A、R2BおよびR3Bは、それぞれ別々に水素原子またはアルカリ金属カチオンである。)
【請求項6】
以下の構造:
【化4】

を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
(式中、R2A、R2B、R2CおよびR3Cは、それぞれ別々に水素原子またはアルカリ金属カチオンである。)
【請求項7】
以下の構造:
【化5】

のうちの一つを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
(式中、R2Aは、−CHOC(=O)OCH(CH、−CHOC(=O)C(CH、−CHCHSC(=O)C(CH、および−CHCHSC(=O)CHからなる群から選択される酵素不安定基であり、
R’は、直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C1〜8ヘテロアルキル、またはC6〜10アリール基であるか、あるいは、−NHR’は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、
3Aは、水素原子またはアルカリ金属カチオンである。)
【請求項8】
以下の構造:
【化6】

のうちの一つを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
(式中、Rは、−OR2Aまたは−NHR’であり、
は、−OR3Aまたは−NHR”であり、
2AおよびR3Aは、それぞれ別々に−CHOC(=O)OCH(CH、−CHOC(=O)C(CH、−CHCHSC(=O)C(CH、および−CHCHSC(=O)CHからなる群から選択される酵素不安定基であり、
R’およびR”は、それぞれ別々に直鎖または分枝鎖のC1〜8アルキル、C1〜8ヘテロアルキル、またはC6〜10アリール基であるか、あるいは、−NHR’および−NHR”は、それぞれ別々にアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群から選択されるアミノ酸残基を表す。)
【請求項9】
以下の構造:
【化7】

を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化合物。
(式中、R2Aは、水素原子、アルカリ金属カチオン、またはC1〜8アルキルであり、
は、水素原子またはアミノ酸側鎖であり、
iiは、水素原子、アルカリ金属カチオン、またはC1〜8アルキルである。)
【請求項10】
Bはアデニンである、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
は水素である、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
はメチルまたはエチルであり、Rを有する炭素原子はR立体配置を有する、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
はヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルであり、Rを有する炭素原子はS立体配置を有する、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
は−CHFであり、Rを有する炭素原子はR立体配置またはS立体配置を有する、請求項4乃至9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
以下の構造:
【化8】

のうちの一つを有する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプリンまたはピリミジンホスホネート化合物を含有する医薬組成物。
【請求項17】
薬剤として使用するための請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプリンまたはピリミジンホスホネート化合物。
【請求項18】
患者におけるウイルス感染を治療および/または予防する薬剤の調製のための請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプリンまたはピリミジンホスホネート化合物の使用。
【請求項19】
前記ウイルス感染は、DNAウイルスまたはRANウイルスによる感染に相当する、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記DNAウイルスは、ヘパドナウイルス科、ヘルペス・ウイルス科、およびポックスウイルス科のウイルスからなる群から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記RNAウイルスは、ブンヤウイルス、フラビウイルス科、オルソミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ピコルナウイルス科、レトロウイルス科、およびトガウイルス科のウイルスからなる群から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の化合物の調製のための式(II)のH−ホスフィネート前駆中間体の使用。
【化9】

(式中、Bは、アデニン、キサンチン、ヒポキサンチン、グアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、8−アミノグアニン、8−ヒドラジノグアニン、8−ヒドロキシグアニン、8−メチルグアニン、8−チオグアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、チミン、シトシン、ウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシル、5−ビニルウラシル、および5−ブロモビニルウラシルからなる群から選択されるプリンまたはピリミジン塩基であり、
は、水素原子、ならびにメチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、およびC1〜6ハロアルキル基からなる群から選択される。)

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−510965(P2010−510965A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535833(P2009−535833)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004233
【国際公開番号】WO2008/056264
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(505045610)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ スィヤンティフィック(セーエヌエルエス) (41)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE(CNRS)
【出願人】(501374149)ユニヴェルシテ ドゥ ラ メディテラネ(エックス−マルセイユ ドゥー) (5)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LA MEDITERRANEE(AIX−MARSEILLE II)
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U.LEUVEN RESEARCH & DEVELOPMENT
【Fターム(参考)】