説明

抗ヒトデスレセプターDR5モノクローナル抗体AD5−10により認識される抗原決定基、その誘導体およびその使用

抗ヒトデスレセプターDR5モノクローナル抗体AD5-10により認識される抗原決定基、その誘導体およびその使用を提供する。前記抗原決定基は、アミノ酸配列LITQQDLAPAARAを有し、そのコアポリペプチドはQDLAPである。前記抗原決定基を含むポリペプチドは、モノクローナル抗体AD5-10と結合した後に、DR5の下流にあるシグナル経路を活性化し、続いてアポトーシスを生じることができる。前記抗原決定基およびその誘導体を用いて、抗ヒトDR5アゴニスト抗体、DR5へ結合する小分子化合物、およびDR5ワクチンをスクリーニングおよび調製することができる。その配列をコードするヌクレオチドを用いて、腫瘍および/またはAIDS等を治療および予防するためのアンチセンスヌクレオチドおよび小分子リボヌクレオチドを調製することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ペプチドアレイにより同定されたコアペプチド配列であって、ヒト腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)に対するデスレセプター5(DR5)のN末端領域内のアミノ酸残基番号4から16に高い相同性を示す配列を提供する。そしてその上、前記ペプチドはAD5-10(中国特許第ZL02104519.4号)により認識される抗原決定基(エピトープ)でもある。さらにまた、本発明は、アゴニスト性を有する抗DR5モノクローナル抗体、DR5に結合する小分子化合物、予防的ワクチン、又は治療的ワクチンの調製における、前記エピトープおよびその誘導体の使用に関する。最後に、本発明は、癌および/もしくはAIDS関連疾患の治療および予防における、前記エピトープおよびその誘導体のアンチセンスヌクレオチドおよび小分子リボヌクレオチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
デスレセプターは、腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)遺伝子スーパーファミリーメンバーであって、その構造特性は、システインに富む細胞外ドメイン(ECD)および細胞内デスドメイン(DD)である。腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)は、デスレセプターDR4およびDR5に対する天然のリガンドであり、デスレセプターと会合することによりデスレセプター経路およびアポトーシス細胞死に関するミトコンドリア経路を活性化することができ、それにより細胞のアポトーシス細胞死を誘導する。TRAILは、多種類の腫瘍に対する殺傷活性を有し、その一方、ほとんどの正常細胞には毒性および副作用を持たない。また、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染したTリンパ球は、TRAILとそのレセプターが媒介する細胞傷害性効果に感受性がより高い。これらの研究結果は、癌およびAIDSの治療において、TRAILとそのレセプターとが魅力的な展望を有する可能性があることを示している。
【0003】
TRAILに対する5つの天然のレセプターが同定され、それにはDR4 (デスレセプター4、TRAIL-R1)、DR5(デスレセプター5、TRAIL-R2)、DcR1(デコイレセプター1、TRID、TRAIL-R3)、DcR2(デコイレセプター2、TRUNDD、TRAIL-R4)、およびオステオプロテジェリン(OPG)が含まれる。TRAIL DR4およびDR5は、いずれも細胞外ドメインと細胞内ドメインとが一体となったものを含むため、TRAILにより媒介されるアポトーシスシグナルを伝達することができる。一方、デコイレセプターDcR1およびDcR2は、細胞内ドメインを欠損しているかまたはその細胞内ドメインは不完全であり、TRAILにより媒介されるアポトーシスシグナルを伝達することができない。OPGは、分泌型レセプターであって、破骨細胞を阻害し且つ骨密度を増加させることが可能であり、トランスジェニックマウスモデル中でのその発現は巨脾腫症を生じさせる場合がある。OPGは、TRAILとデスレセプターとの結合を阻害して、TRIAL誘導アポトーシス細胞死を制御することができる。従って、OPGは、TRAILの可溶性「デコイ」レセプターである。まとめると、あらゆるデコイレセプターは、TRAILがDR4およびDR5と結合することに競合して、TRAIL媒介アポトーシス細胞死を阻止することができる。
【0004】
デスレセプターDR4およびDR5の発現は、ヒトの正常組織および悪性組織の両者に存在し、悪性組織中での発現がしばしばより高いものであることを、先行する研究は示している。デコイレセプターDcR1は、ヒト正常組織に通常発現される(その転写産物は、末梢血リンパ球(PBL)、脾臓、肺、胎盤、骨組織、前立腺、胸腺、精巣、大腸、小腸、および卵巣に存在する)。そして、末梢血リンパ球中および脾臓における発現がより高いが、癌細胞および形質転換細胞における発現は、無いかまたは非常に低い。DcR2は多数の正常組織で発現され、特に胎児肝臓組織および成人精巣組織における発現がより高く、このことはこれらの組織上でのDcR2の防御的役割を示唆している。DcR2は、腫瘍細胞の大多数において発現されていない。
【0005】
正常組織と腫瘍組織とにおけるデスレセプターの分布が非対称的であること、まさにそのために、TRAILは、ほとんどの正常細胞へ細胞傷害性を有しない一方で、多数の腫瘍細胞を特異的に殺傷することができる。従って、TRAILを使用して腫瘍細胞のアポトーシス細胞死を誘導し、それにより腫瘍を特異的に治療することが、現状における生物医学分野での注目点である。しかしながら、多くの徹底的研究の後、いくつかの癌細胞株がTRAILにより誘導されるアポトーシス細胞死に抵抗性を示し、その一方、デスレセプターに対して特異的なアゴニスト性モノクローナル抗体がより特異的でかつ安全であり、癌治療に関して新たな希望を提供することが判明した。
【0006】
それらの研究は、DR4またはDR5に対するモノクローナル抗体が腫瘍細胞への強力な殺傷活性を有する一方、正常細胞への細胞傷害性を持たないことを示している。文献に報告されているDR4もしくはDR5に対する種々のモノクローナル抗体または一本鎖抗体に認識されるエピトープは、DR4分子もしくはDR5分子上でのTRAIL結合領域と重なり合うかまたは部分的に重なり合っている。従って、これらのモノクローナル抗体のほとんどが、デスレセプターDR4またはDR5との結合に関して、TRAILと競合する可能性がある。
【0007】
DR5分子の細胞外領域は、TRAILへの2つの結合部位(高親和性結合部位と低親和性結合部位)を有し、それぞれ、システインに富む2つのドメイン(CRD1およびCRD2)中に位置することが文献に報告されている。中国特許第ZL02104519.4号(特許文献1)に開示されているモノクローナル抗体AD-10もDR5分子の細胞外領域を標的とするが、その結合部位は文献に報告されているモノクローナル抗体の部位と異なり、AD-10とDR5との結合はTRAILとDR5との結合に影響を及ぼさない。従って、腫瘍細胞のアポトーシス細胞死を誘導する際に、TRAILとAD-10との間には相乗効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許第ZL02104519.4号
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明の第1局面は、コアペプチド:QDLAP (SEQ ID No: 1)と名付けられたアミノ酸配列を含むポリペプチドおよびその誘導体を提供することであり、前記ポリペプチドおよびその誘導体は、デスレセプターDR5のN末端領域内のアミノ酸残基番号8〜12と同一の配列を共有しているか、または前記ポリペプチドおよびその誘導体は前記アミノ酸配列のN末端から、DR5のアミノ酸配列に従って該アミノ酸配列のC末端へと伸長する。そして、その伸長したアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3〜8から選択されるアミノ酸配列を有する。前記ポリペプチドとその誘導体は、モノクローナル抗体AD5-10により認識されるヒトDR5のエピトープを含む。そして、SEQ ID NO:3〜8の配列は、以下のとおりである。

【0010】
本発明の第2局面は、上記コアペプチドを含み、かつSEQ ID NO:9のアミノ酸配列の式:X1X2X3X4X5DLAX6X7X8X9X10を有するコアペプチドおよびその誘導体を提供することであり、
式中、
X1は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく、
X2はリジン残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
X4は任意のアミノ酸残基であり、
X5は任意のアミノ酸残基であって、X4とX5とは同一であっても異なっていてもよく、
X6は塩基性アミノ酸残基または分岐鎖アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X7は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X8は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であって、X7とX8とは同一であっても異なっていてもよく、
X9は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく、および
X10は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよい。
【0011】
本発明の第3局面は、前記コアペプチドをコードするヌクレオチド配列を提供することであり、SEQ ID NO:2の配列を有し、式中NはA、T、C、またはGから選択される。
【0012】
本発明の第4局面は、以下の工程を含む、腫瘍細胞のアポトーシス細胞死を誘導するモノクローナル抗体を調製するための方法を提供することである:
(1) コアペプチドとしてQDLAPを用いて、SEQ ID NO:7の配列LITQQDLAPQQRAに従ってポリペプチド配列C LITQQDLAPQQRAを合成し、該ペプチドのN末端にキーホールリンペットヘモシアニンを付加して免疫ペプチドを得る工程、
(2)該免疫ペプチドを用いてマウスを免疫し、該免疫マウスから採取した脾細胞をSP2/0骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞株を産生し、続いて、前記ポリペプチドに対するモノクローナル抗体用のハイブリドーマ細胞をスクリーニングにより取得する工程。
【0013】
本発明の第5局面は、本願第4局面中で言及された方法に従って調製されたハイブリドーマ細胞株を提供することである。好ましくは、アポトーシスを誘導するモノクローナル抗体を産生することが可能な前記ハイブリドーマ細胞株はAdie-1およびAdie-2であり、それらは中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に2009年3月20日に、それぞれ受託番号2938および2939として寄託された。より好ましくは、前記ハイブリドーマ細胞株は、それぞれモノクローナル抗体Adie-1またはAdie-2を産生することが可能である。
【0014】
本発明の第6局面は、本発明の第5局面中で言及されたハイブリドーマ細胞株を用いて産生されるモノクローナル抗体を提供することである。好ましくは、前記モノクローナル抗体はAdie-1またはAdie-2である。
【0015】
本発明の第7局面は、DR5に結合するモノクローナル抗体の調製における、上述されたコアペプチドおよびその誘導体の使用を提供することである。
【0016】
本発明の第8局面は、DR5へ結合可能でありかつ腫瘍および/またはAIDSの治療に使用可能な小分子化合物のスクリーニングにおける、前記コアペプチドおよびその誘導体の使用を提供することである。
【0017】
本発明の第9局面は、腫瘍および/もしくはAIDSを予防または治療するためのワクチンの調製における、前記コアペプチドおよびその誘導体の使用を提供することである。
【0018】
本発明の第10局面は、癌および/もしくはAIDSを治療および/または予防するための、アンチセンスヌクレオチドおよび小分子リボヌクレオチドの調製における、本発明の第3局面に係るヌクレオチド配列の使用を提供することである。
【0019】
本発明の第11局面は、抗腫瘍剤および/または抗AIDS薬剤の調製における、本発明の第6局面に係るモノクローナル抗体の使用を提供することである。
【0020】
言い換えれば、本発明は、ポリペプチド、すなわちコアペプチドとして名付けられたポリペプチドのアミノ酸配列に関連し、該アミノ酸配列は、QDLAP(SEQ ID NO:1)である。
【0021】
用語:前記コアペプチドのアミノ酸配列は、一般的に、QDLAP(SEQ ID NO:1)に基づく配列を有するポリペプチドのことを指す。
【0022】
本発明は、指向性ペプチドアレイライブラリ(OPAL)を使用して達成され、ヒトデスレセプターDR5(NCBIアクセッション番号NP 671716.1)の「オーバーラッピング」ペプチドプールの化学合成に基づいている。そして、分子生物学と細胞生物学のアプローチを組み合わせることにより達成される。
【0023】
詳細には、本発明ではポリペプチドアレイライブラリを利用することで、そのアミノ酸配列と既知のヒトデスレセプターDR5分子の細胞外領域の有する非CRDドメインとが100%同一であるコアペプチドをスクリーニングで見つけ出した。前記配列を含むポリペプチドに対して作製されたモノクローナル抗体は腫瘍細胞のアポトーシス細胞死を誘導する能力を保持し、これは、前記ペプチド配列の機能とヒトデスレセプターDR5分子との間の緊密な機能的関係を示唆し、かつ、DR5レセプターのN末端にある直線状配列が、DR5分子の立体構造変化を引き起こす潜在能力を有し、細胞内シグナル分子をリクルートする能力を有する可能性を示唆する。さらにまた、さらなる研究は、マウス抗ヒトデスレセプターDR5モノクローナル抗体AD5-10(中国特許出願公開第CN 1673232A号)が前記ポリペプチドに特異的に結合できることを見出し、これは、当該コアペプチドが、AD5-10により認識されるエピトープを含むであろうことを示す。そして、それに引き続く実験により、前記コアペプチドがAD5-10および当該ペプチドにより作製された他のモノクローナル抗体により認識されるエピトープであることを、分子生物学的技術と細胞生物学的技術と指向性ペプチドアレイライブラリ(OPAL)技術とを用いて証明した。前記コアポリペプチドは、ポリペプチド合成技術と遺伝子工学による部位特異的変異作製技術とを用いて、モノクローナル抗体AD5-10のエピトープであることがさらに確認されている。続いて、このコアポリペプチドを含む抗原性ペプチドを、DR5分子のアミノ酸配列に従って合成し、この抗原性ペプチドを用いてマウスを免疫する。続いて、この免疫マウスの脾細胞を、SP2/0骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を得る。次に、この抗原性ペプチドを特異的に認識し(代表的結果については、図1を参照されたい)、かつ殺腫瘍活性(代表的結果については、図2を参照されたい)を有するように産生可能なモノクローナル抗体を産生できる複数のハイブリドーマ細胞株を、スクリーニングを介して取得する。そこでは、2つのハイブリドーマ細胞株をAdie-1およびAdie-2と命名している。そのハイブリドーマ細胞株の両者とも、中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に2009年3月20日に、それぞれ受託番号2938および2939として寄託した。その分類上の名前はBALB/cマウスハイブリドーマ細胞である。続いて、分子生物学と細胞生物学のアプローチを利用することにより、AD5-10(中国特許出願公開第CN1673232A号)がこのコアペプチド配列を特異的に認識し且つ結合することができることも確認されている(代表的結果については図3を参照されたい)。従って、前記コアペプチド配列がAD5-10により認識される直線状エピトープを含むことが証明されている。これに基づき、指向性ペプチドアレイライブラリ(OPAL)技術を用いて「オーバーラッピング」ポリペプチドプールから、前記特異的エピトープがスクリーニングにより見出されている(代表的結果については図4を参照されたい)。前記エピトープを含むポリペプチドおよび重要な位置上にあるアミノ酸残基が変異している変異体ポリペプチドを、上記実験結果に従って合成し、続いて、AD5-10へのポリペプチドの結合情報を検出する。前記エピトープを含む全てのポリペプチドが、AD5-10に結合することができる一方で、重要な位置上のアミノ酸残基が変異している変異体ポリペプチドは、AD5-10に結合できないことがわかる(代表的結果については図5を参照されたい)。最後に、全長野生型DR5を発現する真核生物発現ベクターと上記変異を含む全長変異体DR5を発現する真核細胞発現ベクターを構築し、続いて、前記エピトープをAD5-10が認識し且つ結合することの詳細について、ウエスタンブロッティングを使用して検出している。全長野生型DR5はAD5-10を認識することができ、AD5-10がそのエピトープに結合することができる一方で、前記変異を含む全長変異体DR5はそうではないということが分かっている(代表的結果については図6を参照されたい)。本発明に従って得られるコアペプチドとその誘導体とを用いて、DR5に結合可能なモノクローナル抗体を開発すること、癌および/またはAIDSを治療するための、DR5に結合可能な小分子化合物をスクリーニングすること、ならびに癌および/もしくはAIDSを予防または治療のためのワクチンを調製することができる。本発明に係るコアポリペプチドとその誘導体とをコードするヌクレオチド配列を使用して、癌および/またはAIDSを治療および予防するためのアンチセンスヌクレオチドおよび小分子リボヌクレオチドを調製することが可能である。本発明に係るモノクローナル抗体を使用して、抗腫瘍剤および/または抗AIDS薬剤を調製することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】N末端にキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)を有する抗原性ペプチドを用いて免役したマウスから得られたモノクローナル抗体が、該抗原性ペプチドとDR5を認識および結合する結果を示す図である。図1Aおよび1Cは、前記抗原性ペプチドまたは組換えDR5細胞外領域タンパク質分子への、対応するモノクローナル抗体を産生可能なハイブリドーマ細胞株の上清が有する結合活性を示す。図1Bおよび1Dは、様々な希釈濃度における、前記抗原性ペプチドおよび組換えDR5細胞外領域タンパク質分子へのモノクローナル抗体Adie-1およびAdie-2の有する結合活性の結果を示す。
【図2】モノクローナル抗体Adie-1およびAdie-2が、TRAILおよびAD5-10と比べた場合、ヒト大腸癌細胞HCT116に対する殺腫瘍活性を有していることを示す図である。図2Aは、異なるように処理された細胞の顕微鏡下(40X)での形態学的特徴を示す。図2Bおよび2Cは、様々な処理条件下でのHCT細胞の生存率を示す。
【図3】TRAILおよびAD5-10と比較した場合において、モノクローナル抗体Adie-1とAdie-2とがJurkat細胞およびHCT116細胞中におけるカスパーゼカスケード反応を活性化する能力も有することを示す図である。
【図4】AD5-10により特異的に認識および結合可能なコアポリペプチド配列を含むポリペプチドを、指向性ペプチドアレイライブラリ技術を介してスクリーニングおよび確認したことを示す図である。コアポリペプチドのこれらの誘導体配列は、DR5の細胞外ドメインのN末端にあるドメインであって、システインに富むドメインでない部分に主に分布する。これらポリペプチド誘導体のアミノ酸配列は次のものである:ESALITQQDLAP(a.a.1〜12)(SEQ ID NO:3);ALITQQDLAPQQ(a.a.3〜14)(SEQ ID NO:4);ITQQDLAPQQRA(a.a.5〜16)(SEQ ID NO:5);QQDLAPQQRAAP(a.a.7〜18)(SEQ ID NO:6)。配列中、AD5-10へのALITQQDLAPQQ(a.a.3〜14)(SEQ ID NO:4)の結合能力およびITQQDLAPQQRA(a.a.5〜16)(SEQ ID NO:5)の結合能力が最も強力である(すなわち、抗原性が最も強い)。それにより、AD5-10により認識されるエピトープのアミノ酸配列を、LITQQDLAPQQRA(a.a.4〜16)(SEQ ID NO:7)であると決定する。さらにまた、AD5-10により認識されるエピトープが有する最も短いアミノ酸配列は、コアペプチドQDLAP(SEQ ID NO:1)である。図4Bは、上記エピトープLITQQDLAPQQRA(a.a.4〜16)(SEQ ID NO:7)におけるアラニン変異スキャンの結果であって、13個のアミノ酸残基を順番にアラニン(A)残基で置換した場合の結果を示す。前記エピトープおよびその誘導体内の緊密に隣接するアスパラギン酸(D)残基、ロイシン(L)残基およびアラニン(A)残基が変異した場合に、AD5-10へのエピトープおよびその誘導体の結合能力が減少しまたは喪失することが見出され、このことはこれらの3個のアミノ酸残基がこのエピトープ中で重要な役割を果たし、そして、ロイシン(L)残基が必要不可欠であることを証明する。 同様に、Adie-1およびAdie-2が抗原性ペプチドを認識してそれに結合する過程において、 前記3個のアミノ酸残基中のロイシン(L)残基とアラニン(A)残基とが重要な役割を果たす。図4Cは、AD5-10により認識されるエピトープLITQQDLAPQQRA(a.a.4〜16)(SEQ ID NO:7)を目的とする順列アレイの構築を示し、そのポリペプチド配列の全てのアミノ酸残基のひとつひとつが順番に20個の通常アミノ酸残基で置換される。その結果は、AD5-10により認識されるエピトープが、式(I):X1X2X3X4X5DLAX6X7X8X9X10 (SEQ ID NO:9)により表されるアミノ酸配列を含むことを証明する:式中、X1は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく;X2はリジン残基以外の任意のアミノ酸残基であり;X3は任意のアミノ酸残基であり;X4は任意のアミノ酸残基であり;X5は任意のアミノ酸残基であって、X4とX5とは同一であっても異なっていてもよく;X6は塩基性アミノ酸残基または分岐鎖アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり;X7は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり;X8は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であって、X7とX8とは同一であっても異なっていてもよく;X9は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく、およびX10は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよい。
【図5】前記エピトープを含む合成ポリペプチド(表3を参照されたい)が、AD5-10に結合し、AD5-10の有する殺腫瘍活性を阻止することができることを示す図である。図5Aは、様々な濃度でAD5-10と組換え可溶性TRAIL(rsTRAIL)を用いて処理した8時間後のヒトTリンパ球白血病Jurkat細胞の細胞生存率を示す。図5Bは、AD5-10(250ng/ml)と7種類の合成ポリペプチドで処理した8時間後のJurkat細胞の細胞生存率を示す。図5Cは、様々な濃度の野生型エピトープ1(w.t.エピトープ 1)および野生型エピトープ2(w.t.エピトープ2)がAD5-10に結合してその細胞傷害性を阻止することができることを示す。図5Dは、野生型エピトープ1(w.t.エピトープ1、10μM)がAD5-10に結合してその細胞傷害性を阻止する一方、それに対応する変異体エピトープ1(10μM)がAD5-10に結合しないことを示す。図5Eは、野生型エピトープ2(w.t.エピトープ2、10μM)がAD5-10に結合してその細胞傷害性を阻止する一方、それに対応する変異体エピトープ2(10μM)がAD5-10に結合しないことを示す。図5Gおよび5Hは、野生型エピトープおよび変異体エピトープのいずれもrsTRAILの有する殺腫瘍活性を阻止することができないことを示す。図5Iおよび5Jは、ヒトDR5の細胞外ドメインの、システインに富むドメイン中のアミノ酸残基を含むポリペプチドが、AD5-10またはrsTRAILの有する殺腫瘍活性を阻止できないことを示す。
【図6】AD5-10が全長野生型DR5分子を認識してそれに結合することができる一方で、DR5のエピトープの変異体には結合することができないことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
発明の詳細な説明
実施例1:酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いた、抗原性ペプチドで免疫したマウスから得られたモノクローナル抗体と前記抗原性ペプチドおよびDR5との認識および結合の決定
様々な数のハイブリドーマ培養物の上清または精製抗体を回収し、有る一定の割合に従って希釈し、続いて、ELISA検出を実施する。具体的工程は以下のとおりである。
(1) 酵素結合免疫吸着測定法用のプレートを、まず、100ng/ウェルの量で抗原性ペプチドまたは原核生物系中で発現された組換えDR5でコートする工程、
(2) 前記プレートを5%BSAと共に37℃で1時間インキュベートして、非特異的部位をブロックする工程、
(3) 続いて、前記プレートを、様々な濃度の抗体と共に37℃でさらに1hインキュベートする工程、
(4) 前記プレートをPBS/Tで3回から5回洗浄する工程、
(5) 前記プレートをHRP結合ヤギ抗マウスIgG二次抗体と共に37℃で1時間インキュベートする工程、
(6) 前記プレートをPBS/Tで3回から5回洗浄する工程、
(7) 発色基質を加え、その後、顕著な違いが出現したら、2M硫酸を加えることにより反応を停止させ、OD吸光度値を検出する工程。
【0026】
結果を図1に示す。図1Aおよび1Cは、N末端にキーホールリンペットヘモシアニンを結合させた抗原性ペプチドで免疫したマウスから得たハイブリドーマ細胞株培養物の上清の、前記抗原性ペプチドまたは組換えDR5細胞外領域タンパク質分子への結合活性を示す。図1Bおよび1Dは、様々な濃度のモノクローナル抗体Adie-1(クローン番号56#)およびAdie-2(クローン番号64#)の、前記抗原性ペプチドまたは組換えDR5細胞外領域タンパク質分子への結合活性を表す。
【0027】
実施例2:TRAIL、AD5-10、ならびにモノクローナル抗体Adie-1およびAdie-2の、ヒト大腸癌細胞HCT116に対する殺腫瘍活性
HCT116細胞を、様々な濃度のTRAIL、AD5-10、ならびにモノクローナル抗体Adie-1およびAdie-2で処理した。当該細胞を24h後に顕微鏡下で観察し、CCK-8(同仁化学研究所、熊本、日本)を使用して、OD値(波長570nm)を反応の2h後に検出した。細胞が無いウェルのOD値を「0」に設定し、相対的細胞生存率=処理したウェルのOD値/未処理のサンプルのOD値 x 100%とした。
【0028】
実験結果を図2に示した。TRAIL(500ng/ml)、AD5-10、ならびにモノクローナル抗体Adie-1(500 ng/ml)およびAdie-2(500ng/ml)を用いて8h処理したHCT116細胞の明白な形態学的変化と細胞死特性を顕微鏡下で観察した。図2Bおよび2Cは、様々な処理条件下での処理濃度の増加とともに、HCT116細胞の細胞生存率が顕著に減少することを示す。
【0029】
実施例3:ウエスタンブロッティングを用いた、TRAIL、AD5-10、ならびにモノクローナル抗体Adie-1およびAdie-2がカスパーゼカスケード反応を活性化する能力の検出
対数期にあるJurkat細胞とHCT116細胞とを、TRAIL(500ng/ml)、AD5-10(500ng/ml)ならびにAdie-1(1μg/ml)およびAdie-2(1μg/ml)で0、30、60分間処理した。当該細胞を回収し、溶解し、続いて、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。そして、ゲル中のタンパク質をPVDF膜上に転写して、特異的抗体を加え、タンパク質をハイブリダイズさせた。続いて、西洋わさびペルオキシダーゼ結合二次抗体を加え、規定されるように発色基質を加えた。
【0030】
実験結果を図3に示した。TRAILおよびAD5-10と比較した場合、モノクローナル抗体Adie-1およびAdie-2は、Jurkat細胞およびHCT116細胞におけるカスパーゼカスケード反応を活性化することもできる。
【0031】
実施例4:指向性ペプチドアレイライブラリ技術を用いた、AD5-10により認識されるエピトープおよびその誘導体のスクリーニングおよび同定
コアペプチド(表1および2に示されるもの)を含む一連の誘導体ペプチドを、NCBIタンパク質データベース中に提供されるヒトDR5(NCBIアクセッション番号NP_671716.1)のアミノ酸配列に従って合成した。続いて、上記で言及されたペプチドアレイを、ASP222スポットロボットワークステーションを用いてニトロセルロース膜上にスポットし(点一つは、ポリペプチド一つに対応していて、その濃度は約5nmolである)、タンパク質量の均一性を、対応する検出前にニンヒドリン染色を用いて検出した。その膜をTBS-T溶液中で3%BSAを用いて室温で1時間ブロッキングし、続いて、対応する特異的一次抗体(最終濃度2μg/ml)と共に4℃で一晩インキュベートした。そのアレイを有する膜を、続いて、HRP結合ヤギ抗マウスポリクローナル抗体を用いて、室温で2時間インキュベートし、次いで、発色基質ECLを加えて、膜を現像した。
【0032】
(表1)ヒトDR5分子のアミノ酸に従って構築されたコアペプチドを含む、誘導体ポリペプチド

【0033】
(表2)アラニン変異スキャニングアレイ用ペプチド

ここで、太字且つ下線で示した配列は、エピトープのコア配列を表し、四角で囲んだ文字は変異させたアミノ酸残基を示す。
【0034】
実験結果を図4に示した。AD5-10は、コアペプチドを含むペプチドを特異的に認識および結合することができる(図4A)。コアペプチドのこれら誘導体ペプチドは、DR5の細胞外ドメインのN末端にあるドメインであって、システインに富むドメインでない部分に主に分布する。これらのペプチド誘導体のアミノ酸配列を以下にリストする。

ここで、AD5-10へのALITQQDLAPQQ(a.a.3〜14)(SEQ ID NO:4)の結合能力およびITQQDLAPQQRA(a.a.5〜16)(SEQ ID NO:5)の結合能力が最も強かった(すなわち抗原性が最も強い)。従って、AD5-10により認識されるエピトープの有するアミノ酸配列を、LITQQDLAPQQRA(a.a.4〜16)(SEQ ID NO:7)であると決定する。一方、AD5-10により認識されるエピトープが有する最も短いアミノ酸配列は、コアペプチドQDLAP(SEQ ID NO:1)である。図4Bに示されるように、アラニン変異スキャニングをエピトープLITQQDLAPQQRA(a.a.4〜16)(SEQ ID NO:7)上で実行し、その中では、13個のアミノ酸残基を順番にアラニン(A)残基で置換した。前記エピトープおよびその誘導体内の緊密に隣接するアスパラギン酸(D)残基、ロイシン(L)残基およびアラニン(A)残基が変異した場合に、AD5-10へのエピトープおよびその誘導体の結合能力が減少しまたは喪失することが見出された。このことは、これらの3個のアミノ酸残基がこのエピトープ中で重要な役割を果たし、そして、ロイシン(L)残基が必要不可欠であることを証明する。 同様に、Adie-1およびAdie-2が抗原性ペプチドを認識してそれに結合する過程において、 前記3個のアミノ酸残基中のロイシン(L)残基とアラニン(A)残基とが重要な役割を果たす。図4Cは、AD5-10により認識されるエピトープLITQQDLAPQQRA(a.a.4-16)(SEQ ID NO:7)を目的とする順列アレイの構築を示し、そのポリペプチド配列の全てのアミノ酸残基のひとつひとつが順番に20個の通常アミノ酸残基で置換される。その結果は、AD5-10により認識されるエピトープが、式(I):X1X2X3X4X5DLAX6X7X8X9X10(SEQ ID NO:9)により表されるアミノ酸配列を含むことを証明する:
式中、
X1は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく、
X2はリジン残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
X4は任意のアミノ酸残基であり、
X5は任意のアミノ酸残基であって、X4とX5とは同一であっても異なっていてもよく、
X6は塩基性アミノ酸残基または分岐鎖アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X7は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X8は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であって、X7とX8とは同一であっても異なっていてもよく、
X9は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく、および
X10は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよい。
【0035】
実施例5:本発明と関連するエピトープを含むペプチド誘導体の化学合成、およびそれらがAD5-10へ結合してその殺腫瘍活性を阻止する能力の検出
AD5-10により認識されるエピトープがアミノ酸配列「LITQQDLAPQQRA」の範囲内に収まることをペプチドアレイを利用して確認した後に、当該ペプチドを化学合成した。同時に、AD5-10により認識されるエピトープをさらに明確にするために、野生型配列と変異配列を含むペプチド誘導体とを構築した。上記した実験結果から分かるのは、4番目の位置上にあるロイシン(L)残基は、AD5-10とDR5との結合に関して機能を持たないということである。従って、このアミノ酸残基を、合成ペプチド断片の水溶性を増加させるために、極性で中性のアミノ酸残基(例、グルタミン、Gln)またはアラニン(A)で置換する。ペプチド合成の具体的情報を表3に示す。
【0036】
(表3)合成ペプチド

ここで、太字且つ下線で示した配列は、エピトープのコア配列を表し、四角で囲んだ文字は変異させたアミノ酸残基を示す。
【0037】
対数期にあるヒトリンパ球白血病Jurkat細胞を、2 x 104/ウェルの密度で、96穴プレート中に播種した。続いて、合成ペプチドを、対応する濃度に従ってAD5-10と十分に混合し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、当該混合物を、腫瘍細胞を含む培養ウェルに加えた。CCK-8剤(同仁化学研究所、熊本、日本)を使用して、OD値(波長570nm)を、反応2時間後に検出した。細胞が無いウェルのOD値を「0」に設定し、相対的細胞生存率=処理したウェルのOD値/未処理のサンプルのOD値 x 100%とした。
【0038】
実験結果を図5に示した。図5Aに示されるように、AD5-10と組換え可溶性TRAILとの両者は、ヒトTリンパ球白血病Jurkat細胞の細胞生存率を用量依存的様式で阻害することができる。図5Bに示されるように、AD5-10(250ng/ml)と比較して、7種類の合成エピトープは、Jurkat細胞の細胞生存率に効果を有さない。図5Cに示されるように、様々な濃度の野生型エピトープ1(w.t.エピトープ1)および野生型エピトープ2(w.t.エピトープ2)は、AD5-10に結合してその細胞傷害性を阻止することができる。図5Dに示されるように、野生型エピトープ1(w.t.エピトープ1、10μM)がAD5-10に結合してその細胞傷害性を阻止することができる一方、それに対応する変異体エピトープ1(10μM)はAD5-10に結合することができない。図5Eに示されるように、野生型エピトープ2(w.t.エピトープ2、10μM)がAD5-10に結合してその細胞傷害性を阻止することができる一方、それに対応する変異体エピトープ2(10μM)はAD5-10に結合できない。図5Gおよび5Hは、野生型エピトープおよび変異体エピトープのいずれも、rsTRAILの殺腫瘍活性を阻止することができないことを示す。図5Iおよび5Jは、ヒトDR5の細胞外ドメインの、システインに富むドメイン中のアミノ酸残基を含むポリペプチドが、AD5-10またはrsTRAILの有する殺腫瘍活性を阻止できないことを示す。
【0039】
実施例6:ウエスタンブロッティングを用いた、全長野生型DR5および全長変異体DR5へのAD5-10の結合能力の検出
3 X FLAGタグを保持する全長野生型DR5を発現する真核生物発現ベクターおよび3 X FLAGタグを保持する全長変異体DR5を発現する真核生物発現ベクターを構築し、293T-17細胞中にトランスフェクトした。当該細胞を回収して溶解し、細胞溶解物をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。続いて、ゲル中のタンパク質をPVDF膜(GH Healthcare)上に転写し、特異的抗体を加えて、タンパク質とハイブリダイズさせた。続いて、西洋わさびペルオキシダーゼ結合二次抗体を加えて、規定されるように発色基質を加えて、前記膜を現像した。
【0040】
図6に示されるように、AD5-10は、全長野生型DR5分子を認識してそれに結合することができる一方で、DR5のエピトープの変異体には結合することができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドおよびその誘導体。
【請求項2】
ヒトデスレセプターDR5の細胞外領域のN末端領域にあるアミノ酸残基8から12と同一の配列を有することを特徴とする、請求項1記載のポリペプチドおよびその誘導体。
【請求項3】
前記アミノ酸配列のN末端から、DR5のアミノ酸配列に従って該アミノ酸配列のC末端へと伸長し、伸長したアミノ酸配列が、SEQ ID NO:3〜8からなる群より選択されるアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1記載のポリペプチドおよびその誘導体。
【請求項4】
式:X1X2X3X4X5DLAX6X7X8X9X10を有するSEQ ID NO:9のいずれか一つから選択されるアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1記載のポリペプチドおよびその誘導体:
式中、
X1は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく、
X2はリジン残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X3は任意のアミノ酸残基であり、
X4は任意のアミノ酸残基であり、
X5は任意のアミノ酸残基であって、X4とX5とは同一であっても異なっていてもよく、
X6は塩基性アミノ酸残基または分岐鎖アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X7は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であり、
X8は塩基性アミノ酸残基以外の任意のアミノ酸残基であって、X7とX8とは同一であっても異なっていてもよく、
X9は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよく、および
X10は任意のアミノ酸残基であり、存在してもしなくてもよい。
【請求項5】
モノクローナル抗体AD5-10により認識されるDR5のエピトープを含むことを特徴とする、請求項1記載のポリペプチドおよびその誘導体。
【請求項6】
NがA、T、C、またはGから選択される、請求項1〜5のいずれか一項記載のポリペプチドおよびその誘導体をコードするSEQ ID NO:2の配列を有するヌクレオチド配列。
【請求項7】
以下の工程:
(1)コア配列としてQDLAPを用いて、SEQ ID NO:7の配列LITQQDLAPQQRAに従ってポリペプチド配列C LITQQDLAPQQRAを合成し、該ペプチドのN末端にキーホールリンペットヘモシアニンを付加して免疫ペプチドを得る工程、
(2)該免疫ペプチドを用いてマウスを免疫し、該免疫マウスから採取した脾細胞をSP2/0骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞株を産生し、続いて、前記ポリペプチドに対するモノクローナル抗体用のハイブリドーマ細胞をスクリーニングにより取得する工程
を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載のポリペプチドおよびその誘導体により作製されるモノクローナル抗体の調製方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法に従って取得されるハイブリドーマ細胞株。
【請求項9】
中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に2009年3月20日に受託番号2938として寄託されたことを特徴とする、BALB/cマウスハイブリドーマ細胞株Adie-1。
【請求項10】
中国普通微生物菌種保蔵管理センター(CGMCC)に2009年3月20日に受託番号2939として寄託されたことを特徴とする、BALB/cマウスハイブリドーマ細胞株Adie-2。
【請求項11】
カスパーゼ依存アポトーシス経路を活性化することができるモノクローナル抗体Adie-1またはAdie-2を各々産生できることを特徴とする、請求項9または10記載のハイブリドーマ細胞株。
【請求項12】
請求項9または10記載のハイブリドーマ細胞株に由来するモノクローナル抗体。
【請求項13】
Adie-1またはAdie-2であることを特徴とする、請求項12記載のモノクローナル抗体。
【請求項14】
DR5に結合するモノクローナル抗体の調製における、請求項1記載のポリペプチドおよびその誘導体の使用。
【請求項15】
癌および/またはAIDSの治療用の小分子化合物の調製における、請求項1記載のポリペプチドおよびその誘導体の使用。
【請求項16】
癌および/もしくはAIDSの予防および/または治療のためのワクチンの調製における、請求項6記載のヌクレオチド配列の使用。
【請求項17】
癌および/もしくはAIDSの予防および/または治療のためのアンチセンスヌクレオチドおよび小分子リボヌクレオチドの調製における、請求項6記載のヌクレオチド配列の使用。
【請求項18】
抗癌剤および/または抗AIDS薬剤の調製における、請求項12記載のモノクローナル抗体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−522492(P2012−522492A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502419(P2012−502419)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/CN2009/071164
【国際公開番号】WO2010/111842
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511121045)インスティテュート オブ ベーシック メディカル サイエンシズ チャイニーズ アカデミー オブ メディカル サイエンシズ (1)
【Fターム(参考)】