説明

抗体を単離するためのライブラリおよび方法

本開示は炭水化物部分に結合する抗体を発見するための方法を特徴とする。炭水化物部分に結合する抗体をコーディングしているライブラリを提供する。ライブラリは既存の核酸ライブラリを修飾することにより提供できる。炭水化物部分に結合する抗体を記載する。1つの特徴において、本開示は炭水化物部分に結合する抗体を発見するための方法を特徴とする。方法は、各抗体が重鎖可変ドメイン配列及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を含む複数の多様な抗体を含むタンパク質ライブラリを準備すること;タンパク質ライブラリのメンバーを炭水化物を含む標的分子に接触させること;及び標的分子と相互作用する1個以上のメンバーを発見することを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2005年2月1日に出願された米国特許出願第60/649,065号に優先権を主張し、この内容は本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本出願は炭水化物部分に結合する抗体を発見することに関する。
【0003】
従来の免疫化により多糖類及びヘパランスルフェートのような分子に対する抗体を作成することは困難であることが報告されている。しかしながら硫酸化炭水化物が観察される幾つかの疾患状態が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
1つの特徴において、本開示は炭水化物部分に結合する抗体を発見するための方法を特徴とする。方法は、各抗体が重鎖可変ドメイン配列及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を含む複数の多様な抗体を含むタンパク質ライブラリを準備すること;タンパク質ライブラリのメンバーを炭水化物を包含する標的分子に接触させること;及び標的分子と相互作用する1個以上のメンバーを発見することを包含する。方法は負荷電炭水化物部分を含むエピトープに対する抗体を発見するために使用することができ、そして、抗体が標的分子及び/又はエピトープと相互作用する(例えば結合する)ことを確認することを更に包含する。
【0005】
1つの実施形態において、重鎖可変ドメイン配列はHC CDR3における多様性を包含するが、少なくとも1つ又は2つのアミノ酸位置は塩基性アミノ酸に限定される。限定された位置は独立して、完全に非変異体であることができ、或いは、塩基性アミノ酸内において変動することができる。例えば、1つの塩基性アミノ酸の位置は非変異体アルギニンであり、別の塩基性アミノ酸位置はアルギニンとリジンとの間で変動してよい。塩基性アミノ酸の位置の少なくとも2つは、異なるアミノ酸少なくとも10個内で変動してよいアミノ酸位置少なくとも1つで分離されることができる。例えば、複数の各抗体について、HC CDR3はX−B−B−X−B−X(配列番号1)(式中Bは変異した又は非変異体塩基性アミノ酸である);又はX−(R/K)−X−(K/R)−X(配列番号2)又は(G/S)−X−(K/R)−X−(K/R)−X(配列番号3)を含む。1つの実施形態においてXはアミノ酸である。別の実施形態においては、Xは少なくとも2、3、4、5、6、10、12、13、15、16又は19の異なるアミノ酸型内で変動する位置を示す。例えばXは独立して、非システインアミノ酸(例えば全ての19の非システインアミノ酸又はそのサブセット)内で変動する位置;全ての可能なアミノ酸内で変動する位置;塩基性アミノ酸を除くアミノ酸のセット内で変動する位置;又は、K、R又はHを可能にする位置を示すことができる。
【0006】
1つの実施形態において、HC CDR3領域は10、8又は7アミノ酸長未満、例えば約5、6又は7アミノ酸長である。
【0007】
1つの実施形態において、複数の抗体は多様な軽鎖可変ドメインを含む。その少なくとも一部はDPL16以外の軽鎖可変ドメイン及び/又はDPL16軽鎖のものとは異なるカノニカル構造を有する軽鎖可変ドメイン配列であることができる。ライブラリはDPL16軽鎖又はDPL16軽鎖のカノニカル構造を有する可変ドメイン配列を更に包含してもしなくてもよい。
【0008】
例えば、複数の各抗体の軽鎖可変ドメイン配列はヒト造血細胞の転写物から誘導された核酸によりコードされる。
【0009】
1つの実施形態において、複数の抗体の重鎖可変ドメイン配列は同じカノニカル構造を有する。別の実施形態においては、複数の抗体の重鎖可変ドメイン配列は異なるカノニカル構造の複数を含む。1つの実施形態において、カノニカル構造は3−23重鎖VHセグメントのものである。
【0010】
1つの実施形態において、複数の抗体の重鎖可変ドメイン配列はヒト生殖細胞系統配列由来のフレームワーク1つ以上、例えば、DP−1、DP−8、DP−12、DP−2、DP−25、DP−15、DP−7、DP−4、DP−31、DP−32、DP−33、DP−35、DP−40、7−2、hv3005、hv3005f3、DP−46、DP−47、DP−58、DP−49、DP−50、DP−51、DP−53及びDP−54又はヒト生殖細胞系統配列と比較して2つ以下の相違点(例えば置換、欠失又は挿入)、例えば1つの相違点だけ異なっているフレームワーク配列を含む。
【0011】
1つの実施形態において、複数の抗体は多様なHC CDR1及び/又はCDR2領域を含む。例えば重鎖可変ドメイン配列のCDR1及びCDR2は多様な合成オリゴヌクレオチドから誘導された配列によりコードされる。
【0012】
標的分子と相互作用するメンバー1つ以上を発見する工程は標的分子に結合するライブラリメンバーを結合しないメンバーから物理的に分離することを含むことができる。標的分子は接触の前、最中又は後に、不溶性の支持体、例えば固体支持体に固定化できる。1つの実施形態においては、不溶性支持体はイムノチューブ又はメンブレン(例えばニトロセルロース、ナイロンメンブレン、磁気ビーズ、又は非磁気ビーズ)である。
【0013】
1つの実施形態においては、タンパク質はファージディスプレイライブラリのメンバーである。この場合、標的分子と相互作用するメンバー1つ以上、を発見することは、標的分子に結合する抗体をコードするファージ1つ以上を回収することを包含してよい。
【0014】
1つの実施形態においては、タンパク質ライブラリはアレイ上に配置されたタンパク質の収集物である。この場合、標的分子と相互作用するメンバー1つ以上を発見する工程はアレイを画像化すること、又は、何らか別の態様で結合相互作用の定性的又は定量的な指標を得ることを包含してよい。
【0015】
ライブラリ内の抗体は種々の携帯、例えばFab、Fab2’、ドメイン抗体(dAb)、1本鎖抗体又は完全長抗体であることができる。タンパク質ライブラリ内の全ての抗体が完全に機能的である必要はない。更にまた、タンパク質ライブラリは複数のメンバー以外のメンバーを包含してよい。1つの実施形態においては、複数のメンバーはタンパク質ライブラリのメンバーの少なくとも10、25、50、75、80、90、95、99又は100%を構成する。
【0016】
1つの実施形態においては、タンパク質ライブラリは非標的分子、例えば硫酸化炭水化物の非硫酸化型と相互作用するメンバーの枯渇したものである。
【0017】
標的分子はグリコサミノグリカン、例えば硫酸化炭水化物、例えばヘパランスルフェート、デルマタンスルフェート、硫酸化シアリルルイスX(sLex)部分(例えばS.Hemmerich,S.Rosen(2000),GlycoBiology,10,849−856参照)又は他の合成硫酸化炭水化物部分であることができる。標的は負荷電又は電気陰性の基、例えばカルボン酸、スルフェート、ホスフェート、アルソネート、フルオロ又はニトロ基を有する炭水化物であることができる。さらに別の標的分子も本明細書に記載する。
【0018】
方法は更に、(i)標的分子と相互作用するものとして発見されたライブラリメンバーに由来するCDRを含む抗体1つ以上、及び(ii)標的分子以外の分子の間の相互作用を評価することを包含する。この評価は別の分子、例えば別の関連する分子と比較して標的分子に優先的に結合する抗体を発見するために使用できる。例えば、標的分子及び非標的分子は炭水化物部分、例えば異なる炭水化物部分、又は異なる区分における(例えば異なるタンパク質上、スルフェートが除去されている、又は、異なる部位にスルフェートを有する)同じ炭水化物部分を包含できる。
【0019】
方法は更に、標的分子と相互作用する抗体複数を発見すること、及び、非標的分子と比較して標的分子と優先的に相互作用する複数から抗体のサブセットを選択することを含む。抗体のサブセットは抗体1つ以上を包含できる。
【0020】
方法は更に、標的分子と相互作用するものとして発見されたライブラリメンバーに由来するCDRを含む抗体1つ以上の標的分子の同族体リガンドと標的分子の間の相互作用をモジュレートする能力を評価することを包含する。
【0021】
方法は更に、標的分子と相互作用するものとして発見されたライブラリメンバーに由来するCDRを含む抗体を含む医薬組成物を調製することを包含する。例えば、組成物中の抗体はヒト又は効果的にはヒトのフレームワーク領域及び定常領域を含む。組成物中の抗体はヒト化又は脱免疫化されていることができる。組成物は実質的に糖化合物非含有であることができる。
【0022】
抗体コーディングライブラリは例えば本明細書に記載したライブラリを提供するために既存の核酸ライブラリ又は核酸成分を修飾することにより提供できる。例えば抗体コーディングライブラリを提供するための1つの方法は:メンバー複数を含む抗体コーディングライブラリを準備すること、ここで各メンバーは重鎖可変ドメイン配列をコードする配列を含むこと;CDR3の少なくとも1アミノ酸位置が塩基性アミノ酸に限定されるHC CDRE3配列の多様な集団(例えば本明細書に記載したHC CDR3配列の多様な集団)をコードする核酸又はそのような核酸の相補体を準備すること;及び、HC CDR3コーディング配列を含むようにHC可変ドメインコーディング配列を修飾すること;を包含する。修飾の前に、HC可変ドメインコーディング配列は複数のメンバー内で多様であることができる。修飾はPCR、制限消化及びライゲーションの1つ以上を包含する。
【0023】
1つの実施形態において、HC CDR3配列の多様な集団をコードする核酸はオリゴヌクレオチド、例えば合成オリゴヌクレオチドを含む。合成オリゴヌクレオチドは例えばホスホロアミダイト化学を用いて例えばオリゴヌクレオチドビルディングブロック(例えばモノ又はトリヌクレオチド)を化学的に結合させることにより製造できる。1つの実施形態において、各オリゴヌクレオチドはFR3::CDR3−コーディング配列:ARG│RGT│NNK│ARG│NNK│ARG│NNK(配列番号4)、ただしここで、Nで示された位置は4ヌクレオチド(A/G/C/T)の1つを含むことにより変異し、そして、Rで示された位置は2ヌクレオチド(A/G)の1つを含むことにより変異し、そして、Kで示された位置は2ヌクレオチド(T/G)の1つを含むことにより変異するもの、又は、このような変異したオリゴヌクレオチドに相補なオリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、各オリゴヌクレオチドはX−B−B−X−B−X(配列番号1)(式中Bは変異した又は非変異体塩基性アミノ酸である);又はX−(R/K)−X−(K/R)−X(配列番号2);又は(G/S)−X−(K/R)−X−(K/R)−X(配列番号3)を含むCDR3をコードする配列又はそのような変異したオリゴヌクレオチドに相補なオリゴヌクレオチドを含む。更に又、核酸はHC CDR3に隣接するフレームワーク残基、例えば残基94において変異をコードしてよい。例えばオリゴヌクレオチドはY−Y−C−A(R/K)−G−X−R−X−(K/R)−X−W−G(配列番号5)(下線アミノ酸はFR3又はFR4の部分である)又はY−Y−C−A−(R/K)−(G/S)−X−(R/K)−X−(K/R)−X−W−G(配列番号6)をコードする。
【0024】
特定の実施においては、オリゴヌクレオチドは他のCDR、例えばCDR1又はCDR2をコードする配列を排除できる。オリゴヌクレオチドは200、150、100、80又は60ヌクレオチド長未満であることができる。オリゴヌクレオチドは例えば他の核酸種が少なくとも10%、例えば非含有となるように、調製中に単離することができる。
【0025】
方法は更にタンパク質のライブラリを得るために抗体コーディングライブラリのメンバーを発現することを包含する。
【0026】
別の特長において、本開示は多様な抗体の複数を含むタンパク質ライブラリを特徴とし、各抗体は重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列を含む。1つの実施形態において、複数の各抗体の重鎖可変ドメイン配列はHC CDR3において多様性を含むが、少なくとも1つのアミノ酸位置は塩基性アミノ酸に限定される。
【0027】
1つの実施形態において、ライブラリは少なくとも10、10、1010又は1011の異なる抗体、及び/又は、1018、1016、1014、1012、1011又は1010未満の異なる抗体の理論的多様性を有する。1つの実施形態において、理論的多様性は10〜1012、10〜1015又は10〜1016抗体である。理論的多様性とは、実際の実施に関わらず、ライブラリがその完全に表示された形態においてコードしている個々のアミノ酸配列の総数を指す。理論的多様性は一般的に各位置における変異の数の積である。例えば全20アミノ酸内で僅か2位置を変動させることの理論的多様性は20x20即ち400となる。実際のライブラリサイズはライブラリ内に存在する実際の抗体の数、例えば、ディスプレイライブラリの形質転換体の数、又は、タンパク質アレイ上の個々のアドレスの数により決定される。実際のライブラリの多様性は理論的多様性より低値、例えば10〜1011又は10〜1015抗体であることができ、そして、例えばクローニングの間に導入されるランダム突然変異のためにより高値となる場合がある。
【0028】
タンパク質ライブラリは本明細書に記載した特徴1つ以上を包含できる。
【0029】
本開示は又、多様な核酸の複数を含む抗体コーディングライブラリ、例えば本明細書に記載する抗体コーディングライブラリを特徴とする。各核酸は本明細書に記載するタンパク質ライブラリ中の抗体の少なくとも重鎖可変ドメインをコードする配列を包含できる。抗体コーディングライブラリは本明細書に記載した特徴1つ以上を包含できる。
【0030】
別の特徴において、本開示は本明細書に記載した又は本明細書に開示する過程により発見される抗体を特徴とする。例えば抗体は(G/S)X−(R/K)−X−(K/R)−X(配列番号7)を含むHC CDR3を包含し、式中、Xは何れかのアミノ酸又は本明細書に記載した他のモチーフである。1つの実施形態において、抗体は負荷電炭水化物部分、例えばグリコサミノグリカン、例えばヘパランスルフェート又はデルマタンスルフェート又はコンドロイチンスルフェート又は硫酸化シアリルルイスX部分を含む分子に結合する。例えば抗体は炭水化物のスルフェート基に結合するか、又は結合は硫酸化される化合物に依存する。
【0031】
1つの実施形態において、抗体は硫酸化シアリルルイスX部分に結合する。例えば、抗体は、硫酸化シアリルルイスX部分に対し、他の点では同様であるが非硫酸化となっている部分と比較して、より優先的に結合する(Rosen S.D.2004,Annu.Rev.Immunol.22,129−156;Uchimura et al.,2005,Nature Immunology 6:1105−13;Kawashima et al.,2005,Nature Immunology,6:1096−1104;Dube D.H.et al.,2005,Nature Drug Discovery reviews 4:477−88;Pratt et al.2004,Org.Lett.6(14):2345−48)。
【0032】
抗体は本明細書に記載した別の特徴も包含できる。
【0033】
1つの特徴において、本開示は重鎖可変ドメイン配列及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を含む抗体を特徴とする。抗体は標的分子と相互作用する、例えば10−7、10−8、10−9又は10−10モルのKdで結合する抗原結合部位を有する。抗体は例えば負荷電部分、例えば負荷電の炭水化物部分、例えば本明細書に記載する部分を含むエピトープに結合できる。抗体は本明細書に記載した別の特徴を包含できる。
【0034】
別の特徴において、本開示はヘパランスルフェート及び/又は化学的に脱硫酸化されたN−硫酸化ヘパリン(CDSNS)に結合し、そして、(a)本明細書に記載したHC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるCDR1つ以上を含むHC免疫グロブリン可変ドメイン配列;(b)本明細書に記載したLC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるCDR1つ以上を含むLC免疫グロブリン可変ドメイン配列;(c)本明細書に記載したLC可変ドメインに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるLC免疫グロブリン可変ドメイン配列;又は(d)本明細書に記載したHC可変ドメインに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるHC免疫グロブリン可変ドメイン配列、を有する抗体(例えば単離された抗体)を特徴とする。一部の実施形態においては、このような抗体は、本明細書に記載したHS結合抗体のHC可変ドメインのCDR3に少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるHC CDR3ドメインを有する。
【0035】
別の特徴において、本開示はスルホコア6に結合し、そして、(a)本明細書に記載したHC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるCDR1つ以上を含むHC免疫グロブリン可変ドメイン配列;(b)本明細書に記載したLC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるCDR1つ以上を含むLC免疫グロブリン可変ドメイン配列;(c)本明細書に記載したLC可変ドメインに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるLC免疫グロブリン可変ドメイン配列;又は(d)本明細書に記載したHC可変ドメインに少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるHC免疫グロブリン可変ドメイン配列、を有する抗体(例えば単離された抗体)を特徴とする。一部の実施形態においては、このような抗体は、本明細書に記載したSC6結合抗体のHC可変ドメインのCDR3に少なくとも85、88、90、92、94、95、96、97、98、99又は100%同一であるHC CDR3ドメインを有する。
【0036】
別の特徴において、本開示は異なるオリゴヌクレオチド複数を含むオリゴヌクレオチドのプールを特徴とする。複数の各オリゴヌクレオチドはCDR3コーディング配列を有する配列を含む。1つの実施形態において、CDR3コーディング配列は(G/S)−X−(R/K)−X−(K/R)−X(配列番号7)をコードし、式中Xは何れかのアミノ酸であり、そして(K/R)はリジン又はアルギニンの何れかであることができ、そして、G及びSはセリン又はグリシンの何れかであることができる。別の実施形態において、DNA配列はRGT│NNK│ARG│NNK│ARG│NNK(配列番号8)、ただしここで、Nで示された位置は4ヌクレオチド(A/G/C/T)の1つを含むことにより変異し、そして、Rで示された位置は2ヌクレオチド(A/G)の1つを含むことにより変異し、そして、Kで示された位置は2ヌクレオチド(T/G)の1つを含むことにより変異するもの、又は、このような変異したオリゴヌクレオチドに相補なオリゴヌクレオチドを含む。CDR3コーディング配列はFR3の少なくとも一部分をコードする配列及びFR4の少なくとも一部分をコードする配列の1つ以上によりフランキングされていることができる。
【0037】
別の特徴において、本開示は、負荷電修飾を有するポリペプチド、例えばホスホリル化されたポリペプチド又はホスホ炭水化物に結合する抗体を発見するための方法を特徴とする。方法は、各抗体が重鎖可変ドメイン配列及び/又は軽鎖可変ドメイン配列を含む多様な抗体複数を含むタンパク質ライブラリを準備すること、負荷電修飾を含む標的分子にタンパク質ライブラリのメンバーを接触させること;及び標的分子と相互作用するメンバー1つ以上を発見することを包含する。方法は例えば負荷電修飾を含むエピトープへの結合により、負荷電修飾を有する標的分子に対する抗体を発見するために使用でき、そして、抗体が標的分子及び/又はエピトープと相互作用する(例えば結合する)ことを確認することを更に包含してよい。例えば、方法はホスホリル化された細胞内ポリペプチドに対する抗体を発見するために使用される。
【0038】
1つの実施形態において、重鎖可変ドメイン配列はHC CDR3における多様性を含むが、少なくとも1つ又は2つのアミノ酸位置は塩基性アミノ酸に限定される。限定された位置は独立して、完全に非変異体であることができ、或いは、塩基性アミノ酸内において変動することができる。例えば、1つの塩基性アミノ酸の位置は非変異体アルギニンであり、別の塩基性アミノ酸位置はアルギニンとリジンとの間で変動してよい。塩基性アミノ酸の位置の少なくとも2つは、異なるアミノ酸少なくとも10個内で変動してよいアミノ酸位置少なくとも1つで分離されることができる。例えば、複数の各抗体について、HC CDR3はX−B−B−X−B−X(配列番号1)(式中Bは変異した又は非変異体塩基性アミノ酸である);又はX−(R/K)−X−(K/R)−X(配列番号2)又は(G/S)−X−(K/R)−X−(K/R)−X(配列番号3)を含む。1つの実施形態においてXは何れかのアミノ酸である。別の実施形態においては、Xは少なくとも4、6、10、12又は16の異なるアミノ酸型内で変動する位置を示す。例えばXは独立して、非システインアミノ酸(例えば全ての19の非システインアミノ酸又はそのサブセット)内で変動する位置;全ての可能なアミノ酸内で変動する位置;塩基性アミノ酸を除くアミノ酸のセット内で変動する位置を示すことができる。
【0039】
1つの実施形態において、HC CDR3領域は10、8又は7アミノ酸長未満、例えば約6又は7アミノ酸長である。
【0040】
方法は本明細書に記載した別の特徴を包含できる。
【0041】
別の特徴において、本開示は抗体を評価するための方法を特徴とする。方法は本明細書に記載したモチーフに合致する、又は、塩基性アミノ酸2つ以上を含む、又は、本明細書に記載したその他の特性を有するアミノ酸配列を含むHC CDR3を含む抗体を提供すること;及び、抗体を標的分子、例えば炭水化物部分を含むポリペプチド、又は、負荷電修飾を有するポリペプチド、例えばホスホリル化ポリペプチドに接触させること;及び結合に関与するパラメーターを評価することを包含する。
【0042】
1つの実施形態において、HC CDR3は少なくとも1つの塩基性アミノ酸位置、例えばアルギニン又はリジンを含む。例えば、HC CDR3はX−B−B−X−B−X(配列番号1)(式中Bは変異した又は非変異体塩基性アミノ酸である);又はX−(R/K)−X−(K/R)−X(配列番号2)又は(G/S)−X−(K/R)−X−(K/R)−X(配列番号3)を含む。1つの実施形態においてXは何れかのアミノ酸、例えば非塩基性アミノ酸である。1つの実施形態において、HC CDR3領域は10、8又は7アミノ酸長未満、例えば約6又は7アミノ酸長である。
【0043】
他の特徴及び利点は以下の詳細な説明及び請求項から更に明らかにされる。実施形態は本明細書に記載した特徴の何れかの組合せを包含する。本出願を通じて引用された全ての参考文献、係争中の特許出願及び公開された特許の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(詳細な説明)
本発明者等は特に特定の構造上の特性が炭水化物と相互作用する免疫グロブリンに対して有益であることを発見した。炭水化物に特異的な一部の抗体は技術文献において報告されている(例えばDennissen et al.JBC(2002)277(13):10982−86;Bernsen et al.Cancer Immunol Immunother.(2003)52(12):780−83;Dinh et al.J.Immunol.1996 157(2):732−38;Mao et al.Proc.Nat’l Acad.Sci USA(1999)96(12):6953−58;Streeter et al.,(1988)J.Cell.Biol.107(5):1853−62;Reason et al.Infect Immun.(1997)65(1)261−6;van Kuppevelt et al.J.Biol.Chem.(1998)273:12960−66;Jenniskens et al.J.NeuroSci.(2000)20(11):4099−111;Chen et al.Mol.Immunol.(2000)37(8):455−66;van de Westerlo et al.Blood(2002)99(7):2427−33;Willats et al.Plant J.(1999)18(1):57−65;Chang & Siegel Transfusion(2001)41(1):6−1;Lee et al.J.Am.Chem.Soc.(2002)124:12439−46;Kowal et al.Eur.J.Immunol.(1999)29(6):1901−11;Nguyen et al,Nat.Struct.Biol.(2003)10(12):1019−25;Wang et al.Mol.Immunol.(1997)34(8−9):609−18;Haidaris et al.J.Immunol.Meth.2001 257(1−2):185−202;Foy et al.J.Immunol.Meth.(2002)261(1−2):73−83参照)が、そのような抗体は得ることが困難であると考えられる。本明細書に開示する特性を有する免疫グロブリンのかなりの数量を含むライブラリは炭水化物、特に負荷電炭水化物と相互作用する免疫グロブリンの原料として使用できる。
【0045】
1つの実施においては、本発明者等はFabフォーマットにおいて抗体をディスプレイするファージディスプレイライブラリを作成した。ライブラリは炭水化物部分を含むエピトープに結合する抗体を発見するために使用した。
【0046】
リッチ化されたライブラリを提供するための一般的戦略は目的の標的、例えば低減された免疫原性を有する標的又は目的のエピトープ、例えば低減された免疫原性を有するエピトープと特異的に相互作用するタンパク質を発見すること、タンパク質(例えば一部又は全てのタンパク質)内に存在するコンセンサス配列を発見すること、及び、メンバーの少なくとも10%、50%、80%又は全てが発見されたコンセンサスに合致する配列を含むタンパク質ライブラリを作成すること、を包含する。低減された免疫原性を有する標的は高度に荷電された特性を有するもの、及び、自己抗原内に優勢な特徴を有するものを包含する。1つの実施においては、方法は免疫グロブリンタンパク質に対して使用するが、如何なる型のタンパク質、特に保存されたスカホールドドメインを有するタンパク質にも適用可能である。ライブラリはファージディスプレイライブラリである必要はないが、他の方の発現ライブラリ、タンパク質アレイ、ツーハイブリッドライブラリ等であることができる。
【0047】
多くの特性が炭水化物、特に負荷電炭水化物に結合する抗体において有用である。例示される抗体は以下の特性:
−小型のHC CDR3配列、例えば12、11又は10アミノ酸未満、例えば約7〜8アミノ酸;
−CDR1つ以上中、例えばHC CDR3中、少なくとも1つ又は2つの塩基性残基、例えば2つのアルギニン;
−HC CDR3中のあるモチーフ、例えばXBBXBX(配列番号1)(式中、B、塩基性アミノ酸残基;X、何れかのアミノ酸残基又は何れかの非システインアミノ酸);及び、
−HC CDR3中のあるモチーフ、例えば(G/S)−X−(R/K)−X−(R/K)−X(配列番号9)(式中、X、何れかのアミノ酸残基又は何れかの非システインアミノ酸);
−RとKの間の最後の残基におけるFR3の変異;
の1つ以上を有してよい。
【0048】
抗体ライブラリはこれらの特性の1つ以上を有するタンパク質の複数を包含できる。
【0049】
本明細書においては、「抗体」という用語は少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン又は免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質を指す。例えば抗体は重(H)鎖可変領域(本明細書においてはVHと略記する)及び軽(L)鎖可変領域(本明細書においてはVLと略記する)を包含できる。別の例においては、抗体は2つの重(H)鎖可変領域及び2つの軽(L)鎖可変領域を含む。「抗体」という用語は抗体の抗原結合フラグメント(例えば一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)、Fdフラグメント、Fvフラグメント及びdAbフラグメント)並びに完全な抗体を含む。単一の可変ドメインのみ、例えば可溶性VHドメイン又はラクダ科動物Vドメインを有する抗体も報告されている。例えばDavies et al.(1996)Immunotechnology 2:169−179はVLドメイン非存在下に抗原に結合する合成VHドメインを記載している。
【0050】
VH及びVL領域は更に、より保存された「フレームワーク領域」(FR)と称される領域の点在する「相補性決定領域」(CDR)と称される超可変の領域に細分できる。フレームワーク領域及びCDRの範囲は厳密に明確化されている(Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242及びChothia,C.et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901−917参照)。本明細書においてはKabatの定義を使用する。各VH及びVLは典型的には以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端に配置した3つのCDR及び4つのFRよりなる。
【0051】
免疫グロブリン可変の超可変ループのカノニカル構造は構造的特性である。典型的には、特定のループのカノニカル構造はChothia et al.(1992)J.Mol.Biol.227:799−817;Tomlinson et al.(1992)J.Mol.Biol.227:776−798);及びTomlinson et al.(1995)EMBO J.14(18):4628−38に記載される通りその配列から推量できる。更に又、特定の生殖細胞系統の抗体のCDR配列は特定のカノニカル構造をもたらす超可変ループのためのアミノ酸残基を提供する。
【0052】
「免疫グロブリンドメイン」とは免疫グロブリン分子の可変又は定常ドメイン由来のドメインを指す。免疫グロブリンドメインは典型的にはβ鎖約7つ及び保存されたジスルフィド結合から形成された2つのβシートを含有する(例えばA.F.Williams and A.N.Barclay 1988 Ann.Rev Immunol.6:381−405参照)。高度に保存されているが、ジスルフィドは絶対的に必要ではない。「免疫グロブリン可変ドメイン配列」とはCDR領域及び/又は超可変ループが抗原結合構造を形成できるようにする構造を形成することができるアミノ酸配列を指す。配列は少なくとも2つ又は3つ全てのCDR及びCDRを位置付けるための十分なフレームワークアミノ酸を包含してよい。配列は天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全て又は一部を包含してよい。例えば、配列は1つ、2つ又はそれより多くのN又はC末端アミノ酸、内部アミノ酸を有さなくてもよく、1つ以上の挿入又は付加された末端アミノ酸を包含してもよく、又は、他の改変を包含してもよい。1つの実施形態において免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むポリペプチドは別の免疫グロブリン可変ドメイン配列と会合することにより標的結合構造(又は「抗原結合部位」)を形成することができる。
【0053】
配列の比較及び2つの配列の間のパーセント同一性の測定はBLAST(Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−410)、特にTatusova and Madden(1999,FEMS Microbiol.Lett.174:247−250)により記載され、そしてNational Center for Biotechnology Information(ウエブサイトncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/wblast2.cgiより入手可能)により実施されるBLAST2配列を用いて実施できる。2つのヌクレオチド配列の比較(例えばBLASTN)のためのパラメーターは、マッチのリワード:1;ミスマッチのペナルティー:−2;オープンギャップペナルティー:5;エクステンションペナルティーギャップ:2;ギャップx_ドロップオフ:50;エクスペクト:10.0;ワードサイズ:11とする。2つのアミノ酸配列の比較(例えばBLASTP)のためのパラメーターは、マトリックス:BLOSUM62;オープンギャップペナルティー:11;エクステンションギャップペナルティー:1;ギャップx_ドロップオフ:50;エクスペクト:10.0;ワードサイズ:3とする。
【0054】
(炭水化物標的)
標的分子として機能できる例示される炭水化物分子は、グリコサミノグリカン、負荷電糖タンパク質及び一般的には少なくとも1つの負荷電糖部分を含む何れかの分子を包含する。糖類はカルボン酸、スルフェート、ホスフェート、アルソネート、ニトレート、フロリド又はクロリド基のような基(これらに限定されない)の存在により負荷電又は高度に負の部分的荷電を有することができる。
【0055】
炭水化物部分の一部の例はヘパリン及びヘパランスルフェートを包含する。ヘパランスルフェート(HS)とはグリコサミノグリカンの1つの不均質なクラスを指す。ヘパランスルフェートの例示される形態はデルマタンスルフェート、コンドロイチン4−及び6−スルフェート、ケラタンスルフェートを包含する。合成ヘパランスルフェートオリゴ糖部分の例は、GlcNac6S−GlcUAαMe、IdoUA−GlcNAc−GlcUAMe;GlcNS6S−GlcUA−GlcNS6SMe;GlcN−GlcUA−GlcNMe;IdoUA2S−GlcNS6S−IdoUA2S−GlcNS6SMe;GlcUA−GlcNS−GlcUA−GlcNS−IdoUA2SMe;IdoUA−GlcNS−GlcUA−GlcNS−IdoUA2SMe;GlcUA−GlcNS−IdoUA−GlcNS−IdoUA2SMe;GlcNS6S−GlcUA−GlcNS36diS−IdoUA2S−GlcNS36diSMe;GlcNS6S−GlcUA−GlcNS36diS−IdoUA2S−GlcNS6SMe;GlcNS6S−GlcUA−GlcNS36diS−IdoUA−GlcNSMe;及びGlcNS6S−GIcUA−GlcNS36diS−IdoUA−GlcNS6SMeを含む。
【0056】
他の例示される炭水化物標的はデキストランスルフェート、ヒアルロネート及びE.coli由来K5多糖類を含む。一部の実施形態においては、標的分子は例えばタンパク質と炭水化物分子、例えば抗トロンビンIIIの結合したヘパリン、又はヘパランスルフェート及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の複合体である。
【0057】
ヘパランスルフェートはインビトロで合成するか、又は、組織原料、例えば動物、例えばヒトの原料の、又は他の哺乳類の、例えば腎臓、大動脈、肺又は腸から得ることができる。
【0058】
スルフェート基に依存する構造を抗体が認識するかどうかを評価するためには、標的分子を例えば化学的に就職することができる。標的分子からそのO−及びN−スルフェート基を取り去ることが可能である。例えば、pH1.5におけるHNOを用いてN−硫酸化グルコサミン残基(GlcNs)において、そして、希少なN−未置換グルコサミン残基において切断することができる。例えばvan Kuppevelt(1998)J.Biol.Chem.273:12960−12966を参照できる。
【0059】
更に又、酵素、例えばヘパリナーゼ(例えばヘパリナーゼIII)、コンドロイチナーゼ(例えばコンドロイチナーゼABC)を用いて標的分子を修飾することができる。修飾前に標的分子と相互作用するのみである抗体は修飾により影響される構造を特に認識する可能性が高い。
【0060】
適切な結合及び/又は機能的試験を更に用いることにより、生物学的相互作用、例えば炭水化物分子と炭水化物分子上の部分を認識する同属体タンパク質リガンドとの間の相互作用をモジュレートする抗体を得ることが可能になる。例えば、ヘパリンと抗トロンビンIIIとの間、又は、ヘパランスルフェートとbFGFとの間の結合相互作用をモジュレート(例えば増大又は低減)する抗体を発見できる。HSはノイレグリン(例えばFischbach and Rosen,Ann Rev Neurosci 20(429−458)参照)、ミドカイン(例えばZhou et al.,(1997)Neurosci 10:56−70参照)、及びヘパリン結合表皮因子様成長因子(例えばChen et al.1995,J.Biol.Chem.,270:18285−94参照)のような成長因子の結合に関与している。
【0061】
HSはまた白血球接着に関与する分子に包含されており、そして腫瘍細胞の侵襲及び血管形成に関わる機能を有するとされている(例えばVlodavsky I.et al.(1990)Cancer Metastasis Rev.9 203,Iozzo R.V.et al.(2001),J.Clin.Invest.108:349−355)。HSの種々の機能的特徴はスルフェート基の量及び位置に関連すると考えられる(例えばSalmivirta M.et al.(1996),FASEB J.10:1270)。従って本明細書に記載した抗体は新生物性の障害、特に血管形成又は腫瘍細胞侵襲に関連するものを治療又は予防するために使用できる。
【0062】
生物学的に関連する相互作用の他の例は例えばGlyCAM−1、CD34、Sgp200、ポドカリキシン上に存在するL−セレクチンに対する内皮リガンド(硫酸化炭水化物部分)により媒介されるものを含む。例えばRosen,1999,Am J.Pathology,155:1013−20;Rosen,2004,Annu.Rev.Immunol.22:129−56;Dube et al.,2005,Nature Drug Discovery reviews,4:477−488;Pratt et al.,2004,Org Lett.6(14):2345−48を参照できる。
【0063】
結合相互作用を低減する抗体は例えば同属体タンパク質リガンドにより認識される炭水化物分子上の結合部位をブロックできる。結合相互作用を増大させる抗体は例えば炭水化物分子と同属体タンパク質リガンドとの間の相互作用を安定化できる。
【0064】
他の有用な標的は、標的が病原体、例えば細菌病原体、例えば本明細書に記載するものと関連するか、これにより生産されるか、又はこれにより提示されるものを含む。
【0065】
更に別のクラスの標的は腫瘍細胞又は腫瘍関連構造の上に存在する標的を含む。例えば、標的は、正常細胞よりも少なくとも2、5又は10倍大量に腫瘍細胞上に存在する抗原、糖脂質クラスの抗原、例えば酸性糖脂質の、例えばガングリオシドGD2、GD3及びGM3(黒色腫)及び中性糖脂質、例えばルイス(Le)(乳癌、前立腺癌、卵巣癌)及びグロボH(乳癌、前立腺癌、卵巣癌)の抗原及び/又はそれらのシアリル化誘導体;O−グリコシルペプチド(又はアミノ酸)クラス、例えばTn抗原(αGalNAc−Ser又はαGal NAc−Thr)、T抗原(βGal−(1−3)−α−GalNac−Ser又はβGal(1−3)αCal−NAc−Thr)(例えばSpringer G.F.Science 224、1198−1206(1984)参照)(卵巣癌、乳癌、肺癌)、又はジトリ(αGalNAc−Ser/Thr)、トリ−Tn(αGalNac−Ser/Thr)又はヘキサ−Tn(αGalNAc−Ser/Thr)である。
【0066】
(ホスホポリペプチド標的)
別のクラスの標的は例えばホスホリル化の結果としてホスフェート基を有するタンパク質を含む。例示されるタンパク質は1つ又は複数の負荷電ホスフェート基、例えばホスホチロシン又はホスホセリンを含有する。ホスホリル化タンパク質の例はキナーゼ、転写因子、チロシンキナーゼ受容体及びアダプタータンパク質を含む。このようなタンパク質に対する抗体は種々の目的のため、例えばこのようなタンパク質のホスホリル化された形態の存在を検出するために使用できる。
【0067】
(抗体ライブラリ)
抗体ライブラリは少なくとも1つ免疫グロブリン可変ドメイン配列を有するタンパク質を含むタンパク質の収集物である。例えば、ラクダ化可変ドメイン(例えばVHドメイン)は1つのみの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質のライブラリのためのスカホールドとして使用できる。別の例においては、タンパク質は対になることができる2つの可変ドメイン配列、例えばVH及びVLドメインを含む。別のライブラリは抗体コーディング配列を含む核酸ライブラリ(抗体コーディングライブラリ)のから作成できる。
【0068】
ディスプレイライブラリを使用する場合は、抗体コーディングライブラリの各メンバーをそれがコードする抗体と会合させることができる。ファージディスプレイの場合は抗体タンパク質をファージ被覆タンパク質と物理的(直接又は間接的)に会合させる。典型的な抗体ディスプレイライブラリはVHドメインおよびVLドメインを含むポリペプチドをディスプレイする。ディスプレイライブラリはFabフラグメント(例えば2つのポリペプチド鎖を用いる)又は一本鎖Fv(例えば単一のポリペプチド鎖を用いる)として抗体をディスプレイする。他のフォーマットも使用できる。
【0069】
Fab及び他のフォーマットの場合と同様、ディスプレイされた抗体は軽鎖及び/又は重鎖の部分として定常領域1つ以上を包含できる。1つの実施形態において、各鎖はFabの場合のように1つの定常領域を含む。別の実施形態においては、追加的な定常領域が包含される。分子が有用な抗原結合部位を有するものとして発見された後にそれに
1つ以上の定常領域を付加することも可能である。例えばUS2003−0224408を参照できる。
【0070】
抗体ライブラリは多くの過程により構築できる(例えばde Haard et al.(1999)J.Biol.Chem 274:18218−30;Hoogenboom et al.(1998)Immunotechnology 4:1−20,Hoogenboom et al.(2000)Immunol Today 21:371−8及びHoet et al.(2005)Nat Biotechnol.23(3):344−8参照)。更に又何れかの適切な既知の過程の要素を他の過程のものと組み合わせることができる。変異を単一の免疫グロブリンドメイン(例えばVH又はVL)内に、又は、複数の免疫グロブリンドメイン(例えばVH又はVL)内に導入できる。変異は免疫グロブリン可変ドメイン内に、例えば1つ以上のCDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3及びFR4の領域内に導入でき、これらは重鎖及び軽鎖の可変ドメインの何れか又は両方のこのような領域を指すものとする。1つの実施形態において、変異はHC CDR3に導入する。1つの実施形態において、変異はある可変ドメインの全3CDR内に導入する。別の好ましい実施形態においては、変異は例えば重鎖可変ドメインのCDR1及びCDR2内に導入する。何れかの組合せが可能である。
【0071】
抗体コーディングライブラリは種々の方法により構築できる。1つの例示される過程においては、抗体コーディングライブラリは抗体コーディング核酸の相当する領域内にCDRをコードする多様なオリゴヌクレオチドを挿入することにより構築される。多様なオリゴヌクレオチドの集団は種々の単量体核酸のプール又は種々のトリヌクレオチドのプールを用いて合成できる。所定のエレメント(例えば所定のヌクレオチド)の取り込みは分布に関してはランダムであり、そして、プール内のサブユニットの比にのみ依存する。合成による多様性の縮重の材料の1つの例はNNNを含むオリゴヌクレオチドであり、ここでNは等しい比率又は何らかの他の所望の比率における4ヌクレオチドの何れかである。
【0072】
合成多様性はまた例えばNNNより小さい分布に所定トリヌクレオチドにおける核酸配列内のコドン数を限定するために、より制約することもできる。例えば、このような分布はコドンのある位置において4未満のヌクレオチドを用いて構築できる。モノヌクレオチドの混合物を用いて例えばアミノ酸型2、3、4、8、又は他の数量の間でコドンを変動させることができる。
【0073】
更に又、トリヌクレオチド付加の手法を用いてより特殊化された分布を得ることができる。いわゆる「トリヌクレオチド付加法」は例えばWells et al.(1985)Gene 34:315−323,Knappik et al.(2000)J.Mol.Biol.296:57−86;米国特許4,760,025及び5,869,644に記載されている。オリゴヌクレオチドは固相支持体上において、1回1コドン(即ちトリヌクレオチド)で合成する。支持体は平行して多くのオリゴヌクレオチドが合成されるように合成のための多くの官能基を含む。支持体を先ず第1の位置に対するコドンのセットの混合物を含有する溶液に曝露する。追加的な単位が付加されないように単位は保護する。第1の混合物を含有する溶液を洗浄除去し、固体支持体を脱保護することにより第2の位置に対するコドンを含有する第2の混合物が結合第1単位に付加できるようにする。過程を反復することにより複数のコドンを順次組み立てる。トリヌクレオチド付加法は所定の位置が多くのアミノ酸をコードできる核酸合成を可能にする。これらのアミノ酸の頻度は混合物中のコドンの比率により調節できる。更に又、所定の位置におけるアミノ酸の選択は一本鎖ヌクレオチドの混合物を合成の間に付加する場合のようにコドン表のブロックに限定されない。
【0074】
これらの方法及び他の方法は、塩基性アミノ酸(例えばアルギニン又はリジン)、潜在的に正荷電されているアミノ酸(例えばヒスチジン、アルギニン又はリジン)に限定されたコドン1つ以上を含むオリゴヌクレオチドを製造するため、又は、このようなコドン組合せ内に置いて変異するために使用できる。オリゴヌクレオチドはより変異した、例えば全ての可能なアミノ酸、非システインアミノ酸、脂肪族アミノ酸、親水性アミノ酸等内で変異した他の位置を包含できる。オリゴヌクレオチドは本明細書に記載した変異のパターンを包含できる。
【0075】
多様なオリゴヌクレオチドの集団におけるオリゴヌクレオチドはまた全てのオリゴヌクレオチドが同じヌクレオチドを有する位置を包含できる。例えば、末端は典型的には非変異体である少なくとも5、10、15、18又は20ヌクレオチドを含む。
【0076】
抗体コーディングライブラリの成分はナイーブの生殖細胞系統の免疫グロブリン遺伝子から増幅された核酸から、又は、抗体産生細胞により発現されたmRNAから得ることができる。増幅された核酸はVH及び/又はVLドメイン又はそのある領域、例えばフレームワーク又は定常領域をコードする核酸を含む。免疫グロブリンコード核酸の原料は以下に後述する。増幅は例えば1つ以上の保存された領域にアニーリングするプライマー1つ以上を用いたPCR、又は、他の増幅方法を包含できる。免疫グロブリンドメインをコードする核酸は例えばヒト、霊長類、マウス、ウサギ、ラクダ又はげっ歯類の免疫細胞から得ることができる。1つの例においては、細胞は特定の特性が得られるように選択する。成熟の種々の段階にあるB細胞を選択できる。別の例においては、B細胞はナイーブである。
【0077】
1つの実施形態において、蛍光活性化細胞分類(FACS)を用いて表面結合IgM、IgD又はIgG分子を発現するB細胞を分類する。更に又、IgGの異なるアイソタイプを発現するB細胞を単離できる。別の好ましい実施形態においては、B又はT細胞をインビトロで培養する。細胞は例えばフィーダー細胞と共に培養するか、又は、有糸分裂促進物質又は他の調節試薬、例えばCD40、CD40リガンド又はCD20に対する抗体、ホルボールミリステートアセテート、細菌リポ多糖類、コンカナバリンA、フィトヘマグルチニン又はアメリカヤマゴボウ有糸分裂促進物質を添加することにより、インビトロで刺激することができる。
【0078】
更に別の実施形態においては、細胞は免疫障害、例えば全身エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リューマチ、血管炎、シェーグレン症候群、全身性硬化症、又は抗リン脂質症候群を有する対象から単離する。対象はヒト、又は動物、例えばヒト疾患に関する動物モデル、又は、類似の障害を有する動物であることができる。更に別の実施形態においては、細胞はヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニック非ヒト動物から単離する。
【0079】
1つの好ましい実施形態においては、細胞は体性超突然変異のプログラムを活性化している。細胞は例えば抗免疫グロブリン、抗CD40及び抗CD38抗体の投与により、免疫グロブリン遺伝子の体性突然変異誘発を起こすように刺激することができる(例えばBergthorsdottir et al.(2001)J Immunol.166:2228参照)。他の実施形態においては、細胞はナイーブである。
【0080】
免疫グロブリン可変ドメインをコードする核酸は以下の例示される方法により天然ノレパートリーから単離できる。先ずRNAを免疫細胞から単離する。完全長(例えばキャッピングされた)mRNAを分離する(例えばウシ腸ホスファターゼによる未キャッピングのRNAの分解による)。次にキャップをタバコ酸ピロホスファターゼで除去し、そして逆転写を用いてcDNAを作成する。第1(アンチセンス)の鎖の逆転写は何れかの適当なプライマーを用いた何れかの方法で行うことができる。例えばde Haard et al.(1999)J.Biol.Chem274:18218−30を参照できる。プライマー結合領域は、例えば免疫グロブリンの異なるアイソタイプを逆転写できるように、異なる免疫グロブリン内で一定であることができる。プライマー結合領域は又、免疫グロブリンの特定のアイソタイプに対して特異的であることができる。典型的にはプライマーは少なくとも1つCDRをコードする配列に対して3’である領域に特異的である。別の実施形態においては、ポリ−dTプライマーを用いてよい(そして重鎖遺伝子に対して好ましい)。合成配列を逆転写された鎖の3’末端にライゲーションできる。逆転写後のPCR増幅の間のフォワードプライマーの結合のためのプライマー結合部位として合成配列を使用できる。合成配列の使用は使用可能な多様性を完全に捕獲するために種々のフォワードプライマーのプールを使用する必要をなくす。次に可変ドメインコード遺伝子を例えば1つ以上のラウンドを用いて増幅する。複数のラウンドを使用する場合は、ネステッドプライマーを使用することにより正確度を向上させることができる。次に増幅された核酸をディスプレイライブラリベクター内にクローニングする。
【0081】
抗体ライブラリは例えばヒト抗原を認識するヒト又は「ヒト化」抗体を発見するために特に有用である。このような抗体はヒトの障害を治療するための治療薬として使用できる。抗体ライブラリから発見された抗原結合部位を修飾、例えばヒト定常領域又は修飾ヒト定常領域と融合することができる。抗体の定常及びフレームワーク領域はヒト型であるため、これらの治療薬抗体は自身が抗原として認識されターゲティングされることを免れる。定常領域はまたヒト免疫系のエフェクター機能をリクルートメントするために最適化してよい。インビトロディスプレイ選択プロセスは正常なヒト免疫系が自己抗原に対する抗体を生成する能力がないことを克服する。抗体発現ライブラリの他の型、例えば抗体のタンパク質アレイ(例えばDe Wildt et al.(2000)Nat.Biotechnol.18:989−994参照)、ラムダgt11ライブラリ等も使用できる。
【0082】
1つの例示される抗体ライブラリはUS2002102613に記載されている。既に存在する抗体コーディングライブラリは、例えば炭水化物結合の為に偏向されたCDR3配列をコードするように設計されたオリゴヌクレオチドでCDR3コーディング配列を置き換えるために、修飾することができる。例えば、オリゴヌクレオチドは特定の長さ、例えば10、9又は8アミノ酸長未満、例えば約7又は6アミノ酸長のCDR3配列をコードできる。オリゴヌクレオチドは優先的に塩基性である(例えば塩基性である可能性が少なくとも20%)、又は、非変異体(例えば常時アルギニン、常時リジン、又はアルギニンとリジンとの間で変異してよい)であるもの又は位置を包含できる。
【0083】
本開示のライブラリから単離される抗体を分析することによりLCの型及び最も近親の生殖細胞系統の遺伝子を調べる。好ましい実施形態においては、非生殖細胞系統のフレームワーク残基は、結合親和性及び特異性が許容できない範囲まで悪影響を受けない限り、生殖細胞系統のアミノ酸に復帰変更される。置換はグループとして、又は単独で行ってよい。
【0084】
(ディスプレイライブラリ)
1つの実施形態において、ディスプレイライブラリは特定の特性、例えば炭水化物、特に負荷電炭水化物に結合する能力に偏向されたタンパク質を含むタンパク質の収集物をスクリーニングするために使用できる。
【0085】
ディスプレイライブラリは実体の収集物であり;各実体はタンパク質成分をコードするか識別する接触可能なタンパク質成分及び回収可能な成分を含む。タンパク質成分は例えば1アミノ酸〜400超のアミノ酸の何れかの長さであることができる。選択においては、タンパク質成分を標的分子でプロービングし、そしてタンパク質成分が標的分子に結合する場合は、ディスプレイライブラリメンバーが典型的には支持体上の保持により識別される。
【0086】
保持されたディスプレイライブラリメンバーを支持体から回収して分析する。分析は増幅及び同様の、又は同様ではない条件下におけるその後の選択を包含できる。例えば正及び負の選択を交互させることができる。分析は又タンパク質成分のアミノ酸配列の決定及び詳細な特性化のためのタンパク質成分の精製を包含できる。種々のフォーマットをディスプレイライブラリの為に使用できる。例は以下の通りである。
【0087】
ファージディスプレイ。ディスプレイの1つのフォーマットはウィルス、特にバクテリオファージを利用する。このフォーマットは「ファージディスプレイ」と称される。タンパク質成分は典型的にはバクテリオファージ被覆タンパク質に共有結合的に連結している。連結はファージの被覆タンパク質の機能的部分をコードする遺伝子フラグメントに融合したタンパク質成分をコードする核酸の翻訳により生じる。連結は可撓性ペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、又は停止コドンの抑制の結果として取り込まれたアミノ酸を包含できる。ファージディスプレイは例えばLadner等の米国特許5,223,409;Smith(1985)Science 228:1315−1317;WO92/18619;WO91/17271;WO92/20791;WO92/15679;WO93/01288;WO92/01047;WO92/09690;WO90/02809;de Haard et al.(1999)J.Biol.Chem 274:18218−30;Hoogenboom et al.(1998)Immunotechnology 4:1−20;Hoogenboom et al.(2000)Immunol Today 2:371−8;Fuchs et al.(1991)Bio/Technology 9:1370−1372;Hay et al.(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81−85;Huse et al.(1989)Science 246:1275−1281;Griffiths et al.(1993)EMBO J.12:725−734;Hawkins et al.(1992)J Mol Biol 226:889−896;Clackson et al.(1991)Nature 352:624−628;Gram et al.(1992)PNAS 89:3576−3580;Garrard et al.(1991)Bio/Technology 9:1373−1377;Rebar et al.(1996)Methods Enzymol.267:129−49;Hoogenboom et al.(1991)Nuc Acid Res 19:4133−4137;Barbas et al.(1991)PNAS 88:7978−7982;Hoet et al.(2005)Nat Biotechnol.23(3):344−8に記載されている。
【0088】
フィラメント状のファージディスプレイ系は典型的には少被覆タンパク質、例えば遺伝子IIIタンパク質又は遺伝子IIIタンパク質のドメイン、例えばアンカードメイン又は「スタンプ」への融合を用いる(遺伝子IIIタンパク質アンカードメインの説明は例えば米国特許5,658,727参照)。非ペプチド連結、例えば非共有結合又は非ペプチド共有結合を用いて被覆にディスプレイされているタンパク質を物理的に会合させることも可能である。例えば、物理的会合のためにはジスルフィド結合及び/又はヘテロ2量化ドメインを用いることができる(例えばCrameri et al.(1993)Gene 137:69及びWO01/05950参照)。ファージディスプレイは完全なファージゲノムを有するウィルスのみならずヘルパーファージを用いて作成されるファージミドもしようできる。
【0089】
他の型のタンパク質ディスプレイは細胞系のディスプレイ(例えばWO03/029,456参照);リボソームディスプレイ(例えばMattheakis et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:9022 and Hanes et al.(2000)Nat Biotechnol.18:1287−92参照);タンパク質−核酸融合(例えば米国特許6,207,446参照);及び非生物学的タグへの固定化(例えば米国特許5,874,214参照)を含む。
【0090】
反復選択。1つの好ましい実施形態においては、ディスプレイライブラリ手法は反復様式において使用する。第1のディスプレイライブラリは標的に対するリガンド1つ以上を発見するために使用する。これらの発見されたリガンドを次に突然変異誘発法を用いて変異させることにより第2のディスプレイライブラリを形成する。次に、例えばより高いストリンジェンシー又はより競合的な結合及び洗浄の条件を使用することにより、より高い親和性のリガンドを第2のライブラリから選択する。
【0091】
一部の実施においては、突然変異誘発は結合界面にあることがわかっているか推定されている領域にターゲティングされる。例えば発見されたリガンドが抗体である場合は、突然変異誘発は本明細書に記載するとおり重鎖又は軽鎖のCDR領域に指向させることができる。更に又突然変異誘発はCDRの近傍又は隣接するフレームワーク領域に指向させることができる。抗体の場合は突然変異誘発は又例えば厳密な段階的向上を行うために1つ又は数個のCDRに限定することもできる。同様に発見されたリガンドが酵素である場合は、突然変異誘発は活性部位又は近傍に指向させることができる。
【0092】
一部の例示される突然変異誘発手法は、エラープローンPCR(Leung et al.(1989)Technique 1:11−15)、組み換え、ランダム切断を用いたDNAシャフリング(Stemmer(1994)Nature 389−391;「核酸シャフリング」と称する)RACHITTTM(Coco et al.(2001)Nature Biotech.19:354)、部位指向性突然変異誘発(Zoller et al.(1987)Nucl Acids Res 10:6487−6504)、カセット突然変異誘発(Reidhaar−Olson(1991)Methods Enzymol.208:564−586)及び縮重オリゴヌクレオチドの導入(Griffiths et al.(1994)EMBO J.13:3245)を含む。
【0093】
反復選択の1つの例においては、本明細書に記載した方法を用いて先ず標的に対する少なくとも最小限の結合特異性又は最小限の活性で、例えば結合の平衡解離定数100nM、50nM、10nM、5nM、又は1nM、未満で、標的分子に結合するディスプレイライブラリ由来の抗体を発見する。初めに発見された抗体をコードする核酸配列を変異導入のための鋳型核酸として使用することにより、例えば、初めの抗体と比較して増強された特性(例えば結合親和性、動態又は安定性)を有する第2の抗体を発見する。
【0094】
1つの好ましい実施形態は、所望の特異性であるが不十分な親和性又は未完の特異性の何れかを有する本開示ライブラリから選択された抗体の多様化を含む。1つの好ましい実施形態は、HCが定常に保持されておりLCの多様性、例えばFAB−310の多様性が与えられる二次ライブラリの作成を含む。1つの好ましい実施形態は、HC CDR3及びLCが定常に保持されておりHC CDR1&CDR2の多様性、例えばFAB−310のCDR1&2の多様性が与えられる二次ライブラリの作成を含む。1つの好ましい実施形態は、HC CDR1&CDR2及びLCが定常に保持されておりHC CDR3の多様性、例えば選択されたCDR3に基づく多様性が与えられる二次ライブラリの作成を含む。
【0095】
オフレート選択。緩徐な解離速度は、特にポリペプチドとその標的との間の相互作用に関しては、高い親和性を予測させるものであるため、本明細書に記載した方法は標的への結合相互作用に関する所望の動的解離速度(即ち低減された)を有するリガンドを単離するために使用できる。
【0096】
ディスプレイライブラリから緩徐に解離する抗体を選択するためには、ライブラリを固定化された標的に接触させる。次に固定化された標的を先ず非特異的に、又は弱く結合した抗体を除去する第1の溶液で洗浄する。次に結合した抗体を、遊離の標的の飽和量を含む、即ち粒子に結合していない標的の複製となる第2の溶液で溶離させる。遊離の標的は標的から解離した抗体に結合する。溶離した抗体の再結合は固定化された標的の遥かにより低い濃度と比較して遊離の標的の飽和量により効果的に防止される。
【0097】
第2の溶液は実質的に生理学的であるか、又は、ストリンジェント(例えば低pH、高pH又は高塩濃度)である溶液条件を有することができる。典型的には、第2の溶液の溶液条件は第1の溶液の溶液条件と同一である。一時的に後期の区分から早期のものを区別するために第2の溶液の一区分を採取する。後期の画分は早期の画分中の生体分子よりも緩徐な速度で標的から解離する抗体を含む。更に又、長時間のインキュベーションの後であっても標的に結合した状態で残存する抗体を回収することも可能である。これらはカオトロピックな条件を用いて解離させるか、又は、標的に結合させたまま増幅することができる。例えば標的に結合しているファージを菌体に接触させることができる。
【0098】
特異性の選択又はスクリーニング。本明細書に記載したディスプレイライブラリスクリーニング法は非標的分子に結合する抗体を廃棄する選択又はスクリーニングの過程を包含できる。非標的分子の例は、例えば標的分子と構造的に異なる炭水化物分子、例えば標的分子とは異なる生物学的特性を有する炭水化物分子を含む。硫酸化炭水化物の場合は、非標的はスルフェートを有さないか、又は異なる位置にスルフェートを有する同じ炭水化物であってよい。ホスホペプチドの場合は、非標的はホスフェートを有さない同じペプチド又は異なるホスホペプチドであってよい。
【0099】
1つの実施形態において、いわゆる「負の選択」の工程を用いて標的及び関連非標的分子及び関連するが異なる非標的分子の間の判別を行う。ディスプレイライブラリ又はそのプールを非標的分子と接触させる。非標的に結合しないメンバーを収集し、後の選択において、標的への結合のため、又は、後の負の選択のためにも使用する。負の選択工程は標的分子に結合するライブラリメンバーを選択する前又は後に行うことができる。
【0100】
別の実施においては、スクリーニング工程を使用する。ディスプレイライブラリメンバーを標的分子への結合の為に単離した後、各々の単離されたライブラリメンバーは、非標的分子(例えば上記した非標的)に結合するその能力について試験する。例えば高スループットELISAスクリーンを使用してこのデータを得ることができる。ELISAスクリーンはまた標的への各ライブラリメンバーの結合に関する定量的データを得るためにも使用できる。非標的及び標的結合データを比較(例えばコンピューター及びソフトウエアを使用)することにより、標的に特異的に結合するライブラリメンバーを発見する。
【0101】
(他の発現ライブラリ)
抗体の収集物の他の型(例えば発現ライブラリ)を用いて特定の特性を有する抗体を発見できる。このような他の例は例えば抗体のタンパク質アレイ(例えばDe Wildt et al.(2000)Nat.Biotechnol.18:989−994参照)、ラムダgt11ライブラリ、ツーハイブリッドライブラリ等を含む。
【0102】
(試験)
炭水化物結合に関して抗体を評価するための方法はELISA、免疫組織化学、イムノブロッティング及び蛍光活性化細胞ソーティングを含む。
【0103】
これらの方法を用いて閾値より良好な、例えば0.1μM、50nM、10nM、5nM、1nM又は0.5nM、より良好なKを有する抗体を発見することができる。
【0104】
ELISA。ディスプレイライブラリによりコードされるタンパク質はまたELISA試験を用いて結合特性に関してスクリーニングできる。例えば書くタンパク質を底面が標的、例えば限定量の標的でコーティングされているマイクロプレートと接触させる。プレートを緩衝液で洗浄し、非特異的に結合したポリペプチドを除去する。次に、ポリペプチド、例えばポリペプチドのタグ又は一定部分を認識できる抗体を用いてプレートをプロービングすることによりプレートに結合したタンパク質の量を求める。適切な基質が提供されれば比色測定産物を生成するアルカリホスファターゼのような酵素に抗体を連結する。タンパク質は細胞から精製するか、又は、例えばフィラメント状のバクテリオファージ被覆への融合物としてのディスプレイライブラリフォーマットにおいて試験できる。或いは、標的分子、例えば炭水化物部分を含有する標的を発現する細胞(例えば生細胞又は固定化細胞)をマイクロプレートにプレーティングし、そしてディスプレイライブラリ中に存在する、又はディスプレイライブラリからの選択により得られるペプチド/抗体の親和性を試験するために用いることができる。
【0105】
ELISA試験の他の形態においては、多様性鎖ライブラリの各ポリペプチドを用いてマイクロプレートの異なるウェルをコーティングする。次に各ウェルを調べるために一定の標的分子を用いてELISAを進める。
【0106】
細胞結合試験。抗体は1つ以上の細胞型、例えば造血細胞と相互作用するその能力について評価できる。蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)はタンパク質と細胞の間の相互作用を試験するための1つの例示される方法である。抗体は細胞への結合の前又は後に蛍光団で直接又は間接的に標識し、そして次に細胞をFACSソーター内で計数する。
【0107】
他の細胞型は当該分野で知られた方法によりFACS用に調製できる。
【0108】
同種結合試験。標的との候補ポリペプチドの結合相互作用は同種試験を用いて分析することができ、即ち、試験の全成分を添加した後、追加的な流体の操作は必要ない。例えば、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を同種試験として使用できる(例えばLakowicz等の米国特許5,631,169;Stavrianopoulos等の米国特許4,868,103参照)。第1の分子(例えば画分中に発見される分子)上の蛍光団は、第1の分子の近接部に第2の分子(例えば標的)があれば、その発射蛍光エネルギーが第2の分子上の蛍光標識により吸収されることができるように選択する。第2の分子上の蛍光標識は、それが転移したエネルギーを吸収すれば蛍光を発する。標識間のエネルギー転移の効率は分子を隔てる距離に関係するため、分子間の空間的関係が評価できる。分子間に結合が生じる状況においては、試験における「アクセプター」分子標識の蛍光発射は最大となるはずである。FRETによりモニタリングするために設定された結合現象は好都合には当該分野で良く知られた標準的な蛍光測定検出手段(例えば蛍光計を使用)を介して測定できる。第1及び第2の結合分子の量を滴定することにより、平衡結合定数を推定するための結合曲線を作成できる。
【0109】
同種試験の別の例は、アルファスクリーン(Packard,Bioscience,Meriden CT)である。アルファスクリーンは2つの標識されたビーズを使用する。1つのビーズはレーザーにより励起されると一重項酸素を発生する。もう一方のビーズは第1のビーズから一重項酸素が拡散してこれと衝突すると光シグナルを発生する。2つのビーズが近接している場合にシグナルは発生するのみである。1つのビーズはディスプレイライブラリメンバーに、もう一方は標的に結合することができる。シグナルを測定することにより結合の程度が調べられる。
【0110】
同種試験はディスプレイライブラリベヒクル、例えばバクテリオファージに候補ポリペプチドを結合させた状態で実施できる。
【0111】
表面プラズモン共鳴(SPR)。ディスプレイライブラリから単離された分子及び標的の結合相互作用はSPRを用いて分析できる。SPR又は生物分子相互作用分析(BIA)は相互作用対の何れも標識することなくリアルタイムで生物特異的相互作用を検出する。BIAチップの結合表面における質量の変化(結合現象の指標となる)は表面近傍の光の屈折率の改変をもたらす(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的現象)。屈折の変化は検出可能なシグナルを発生し、これは生物学的分子の間のリアルタイム反応の指標として測定される。SPRのための方法は例えば米国特許5,641,640;Raether(1988)Surface Plasmons Springer Verlag;Sjolander and Urbaniczky(1991)Anal.Chem.63:2338−2345;Szabo et al.(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705及びBIAcore International AB(Uppsala,Sweden)の提供するオンライン資料に記載されている。
【0112】
SPRからの情報を用いて平衡解離定数(K)及び速度論的パラメーター、例えば標的への生物分子の結合に関するKon及びKoffの正確で定量的な測定が行える。このようなデータを用いて種々の生物分子を比較できる。例えば、多様性鎖のライブラリから選択された核酸によりコードされるタンパク質を比較することにより標的に対して高親和性を有するか、緩徐なKoffを有する個体を発見できる。この情報は又、構造−活性の関連性(SAR)を調べるために使用できる。例えば、親タンパク質の成熟型の速度論的及び平衡の結合パラメーターを親タンパク質のパラメーターと比較できる。特定の結合パラメーター、例えば高親和性及び緩徐Koffと相関する所定位置における変異アミノ酸が発見できる。この情報を構造的モデリングと組み合わせることができる(例えば相同性モデリング、エネルギー最小化又は結晶学的分析又はNMRにより測定された構造を用いる)。その結果、タンパク質とその標的との間の物理的相互作用の理解が明確化でき、そして他の設計過程の指針として使用できる。
【0113】
タンパク質アレイ。ディスプレイライブラリから発見されたタンパク質は固体支持体上、例えばビーズ又はアレイ上に固定化できる。タンパク質アレイの場合は、ポリペプチドの各々を支持体上の特有のアドレスに固定化する。典型的には、アドレスは二次元アドレスである。ポリペプチドアレイを作成する方法は例えばDe Wildt et al.(2000)Nat.Biotechnol.18:989−994;Lueking et al.(1999)Anal.Biochem.270:103−111;Ge(2000)Nucleic Acids Res.28,e3,I−VII; MacBeath and Schreiber(2000)Science 289:1760−1763;WO01/40803 and WO99/51773A1に記載されている。アレイ用のポリペプチドは高速で、例えば市販のロボット装置、例えばGenetic MicroSystems又はBioRobotics製のものを使用しながらスポットできる。アレイの基盤は例えばニトロセルロース、プラスチック、ガラス、例えば表面変性ガラスであることができる。アレイは又多孔性のマトリックス、例えばアクリルアミド、アガロース又は他の重合体も含む。
【0114】
(医薬組成物)
本明細書に記載した方法により発見された抗体は、例えば製薬上許容しうる担体と共に、組成物、例えば製薬上許容しうる組成物に製剤できる。担体は対象、例えばヒト対象への静脈内、筋肉内、皮下、非経腸、脊髄又は表皮への投与(例えば注射又は注入による)に適するものであることができる。組成物は状態、例えば本明細書に記載した状態を緩解するために十分な量及び時間に渡り投与できる。
【0115】
本明細書に記載したタンパク質を含む組成物は種々の形態であってよい。これらには例えば液体、半固体及び固体の剤型、例えば液体の溶液(例えば注射用及び注入用の溶液)、分散液又は懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム及び坐剤が包含される。好ましい形態は意図される投与様式及び治療用途に応じたものである。典型的な好ましい組成物は、抗体と共にヒトの投与の為に使用されるものと同様の組成物のような注射用又は注入用の溶液の形態である。投与の好ましい様式は非経腸(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。
【0116】
組成物は溶液、ミクロエマルジョン、分散液、リポソーム又は高い薬剤濃度に適する他の秩序のある構造として製剤できる。滅菌された注射用溶液は必要に応じて上記した成分の1つ又は組合せと共に適切な溶媒中に所要量の活性化合物(即ちリガンド)を配合すること、次いで濾過滅菌することにより製造できる。一般的に、分散液は基剤となる分散媒体及び上記したもののうちの必要な他の成分を含有する滅菌ベヒクル内に活性化合物を配合することにより製造される。滅菌注射用溶液の調整のための滅菌粉末の場合は、製造の好ましい方法は真空管層及び凍結乾燥であり、これは活性成分と何れかの追加的な所望の成分の粉末を以前に滅菌濾過されたそれらの溶液から与える方法である。溶液の適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合は必要な粒径の維持により、そして界面活性剤の使用により維持することができる。注射用組成物の長時間持続する吸収は吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含有させることにより達成できる。
【0117】
抗体は当該分野で知られた種々の方法で投与できる。多くの用途のためには、投与経路は静脈内注射又は注入である。投与の経路及び/又は様式は所望の結果に応じて変動できる。特定の実施形態においては、活性化合物は急速な放出に対抗して化合物を保護する担体と共に製造してよく、例えば制御放出製剤、例えばインプラント及びマイクロカプセル送達系が挙げられる。生体分解性、生体適合性の重合体、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸を使用できる。例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照できる。
【0118】
医薬組成物は当該分野で知られた医療機器、例えばインプラント可能なポンプ、ニードルレスの皮下注射装置、又はステントと共に投与できる。
【0119】
用量用法は最適な所望の応答(例えば治療応答)が得られるように調節する。例えば単回瞬時投与するか、数回の分割用量を経時的に投与するか、又は、用量は治療状況の緊急性により示される通り比例的に低減又は増大してよい。投与を容易にし、投薬量を均一にするためには、単位剤型において非経腸組成物を製剤することが特に好都合である。本明細書においては、単位剤型とは治療すべき対象に対する単一的な用量として適する物理的に別個の単位を指し;各単位は必要な薬学的担体と共に所望の治療効果をもたらすために計算された活性化合物の所定量を含有する。本開示の単位剤型の仕様は(a)活性化合物の独特の特性及び達成すべき特定の治療効果、及び(b)個体における感受性の治療のための活性化合物を生成する技術に固有の制約により指定され、これに直接依存している。
【0120】
例示すれば、抗体の治療的又は予防的に有効な量の非限定的な範囲は0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。抗体は約1〜100mg/m〜又は約5〜30mg/mの用量に達するためには30、20、10、5又は1mg/分未満の速度で静脈内注入により投与できる。用量の値は緩解すべき状態の型及び重症度と共に変動してよいものとする。更に又、何れかの特定の対象に対して、特定の用量用法は個体の必要性及び組成物の投与を管理又は監督する担当者の専門的判断に応じて経時的に調節することができ、そして、本明細書に記載した用量範囲は例示に過ぎず、そして請求項記載の組成物の範囲又は実施を限定する意図は無いものとする。
【0121】
本開示の医薬組成物は抗体の「治療有効量」又は「予防有効量」を包含してよい。「治療有効量」とは必要な用量及び期間において所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。組成物の治療有効量は個体の疾患の状態、年齢、性別及び体重、及び、個体において所望の応答を誘発するタンパク質リガンドの能力のような要因に従って変動してよい。治療有効量はまた、組成物の何れかの毒性又は有害な作用よりも治療上有益な作用のほうが勝るものである。「治療有効用量」は好ましくは測地可能なパラメーター、例えば腫瘍生育速度を、未投与の対象と比較して少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、更になお好ましくは少なくとも約80%抑制する。更により好ましくは、「治療有効用量」は腫瘍の生育停止又は退行をもたらす。化合物が測定可能なパラメーター、例えば癌を抑制する能力は、ヒト腫瘍における薬効を予測させる動物モデル系において評価できる。或いは、組成物のこの特性は専門家のよく知る試験法によりインビトロのこのような抑制を抑制する化合物の能力を調べることにより評価できる。
【0122】
「予防的有効量」とは必要な用量及び期間において所望の予防結果を達成するために有効な量を指す。典型的には、予防用量は疾患の前、又は早期の段階において対象において使用されることから、予防有効量は治療有効量より低値となる。
【0123】
本明細書に記載した抗体は細胞、組織又は生物学的構造、例えば炭水化物部分含有マトリックスをターゲティングする方法において使用できる。例えば、方法は炭水化物部分をディスプレイしている細胞、組織又は生物学的構造への細胞又はタンパク質の結合を防止するために使用できる。例えば抗体は白血球遊走障害、例えば炎症性障害、又は内皮細胞系障害、例えば過剰な血管形成に関連する障害、例えば癌(例えば転移癌)又は心臓血管障害、例えばアテローム性動脈硬化症を治療するために使用できる。癌性の障害に関連する1つの実施形態において、抗体は腫瘍(癌)グリコシド抗原、例えば、正常細胞よりも少なくとも2、5又は10倍大量に腫瘍細胞上に存在する抗原、糖脂質クラスの抗原、例えば酸性糖脂質の、例えばガングリオシドGD2、GD3及びGM3(黒色腫)及び中性糖脂質、例えばルイス(Le)(乳癌、前立腺癌、卵巣癌)及びグロボH(乳癌、前立腺癌、卵巣癌)の抗原及び/又はそれらのシアリル化誘導体;O−グリコシルペプチド(又はアミノ酸)クラス、例えばTn抗原(αGalNAc−Ser又はαGal NAc−Thr)、T抗原(βGal−(1−3)−α−GalNac−Ser又はβGal(1−3)αCal−NAc−Thr)−(例えばSpringer G.F.Science 224、1198−1206(1984)参照)(卵巣癌、乳癌、肺癌)、又はジトリ(αGalNAc−Ser/Thr)、トリ−Tn(αGalNac−Ser/Thr)又はヘキサ−Tn(αGalNAc−Ser/Thr)のエピトープに結合する。抗体は腫瘍細胞を殺傷、除去又は他の態様で抑制するために毒素、例えば細胞毒素又は放射性核種にコンジュゲートできる。抗体は、そのような治療を必要とする対象、例えばヒト対象に対し、例えばそのような障害を軽減するため、例えば腫瘍のサイズ及び/又は移行を低減するために有効な量及び/又は有効な期間に渡り投与できる。
【0124】
細菌細胞により提示される炭水化物部分に対する抗体は例えば細菌感染に関連する障害を治療又は予防するために使用できる。例えば、抗体により認識されるエピトープは病原性細菌、例えば去るモン寺のエピトープであることができる。1つのサルモネラ抗原は血清グループBのO鎖多糖類である。他の例示されるエピトープはナイセリア・メニンギティス、ヘモフィルス・インフルエンザ、ストレプトコッカス・ニューモニア及び他のストレプトコッカス種よりなる群から選択される莢膜細菌多糖類上のものを包含する。従って、抗体は細菌性病原体、例えばこのような種の細菌に関連する感染症又は他の障害を治療するために使用できる。
【0125】
(診断用途)
本明細書に記載する方法により発見される抗体(例えば炭水化物に結合する抗体)は診断方法において使用できる。例えばこのような抗体は、標的分子をインビトロ(例えば生物学的試料、例えば組織、生検試料、例えば癌性組織)又はインビボ(例えば対象におけるインビボ画像化)で検出するために使用できる。例えば特定の炭水化物又は他の部分が存在する対象内の領域を位置特定するために有用であってよい。
【0126】
例示される方法は(i)抗体に試料を接触させること;及び(ii)抗体と試料との間の複合体形成を検出することを包含する。方法は又、抗体に比較対照試料(例えば対照試料)を接触させること、及びタンパク質と試料との間の複合体形成の程度を比較対照試料に関する同じものと相対比較しながら測定することを包含できる。対照の試料又は対象と相対比較した場合の試料又は対象における複合体形成の変化、例えば統計学的に有意な変化は試料中の標的分子の存在の指標となる。
【0127】
他の方法は(i)対象に抗体を投与すること;及び(iii)例えばインビボ画像化又は他のモニタリングを用いながら対象中のタンパク質を検出することを包含する。検出は対象中のタンパク質の局在化を測定することを包含できる。
【0128】
抗体は検出を容易にするための検出可能な物質で直接又は間接的に標識することができる。例示される検出可能な物質は種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、ルミネセント物質、MRI造影剤(例えば常磁性物質に結合できるキレート)及び放射性物質を含む。
【0129】
更に限定する意図はない以下の実施例は別の実施形態を説明するものである。本出願を通じて引用する全ての参考文献、係争中の特許出願及び公開された特許は参照により意図的に本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0130】
(実施例1:ライブラリの構築)
荷電した炭水化物との相互作用の為に偏向された特性を有する抗体を含む抗体ライブラリを以下の通り構築する。ライブラリはより一般的な抗体ライブラリである「FAB−310ライブラリ」(Hoet et al.2005)から抗体コーディング核酸を修飾することにより構築する。FAB−310のFabディスプレイカセットを図3に示す。図3は有用な制限部位:ApaLI、AscI、SfiI、XbaI、BstEII及びNotIを有する代表的Fabを説明している。FAB−10抗体ライブラリはVH3−23フレームワーク内のHC CDR1及びHC CDR2において合成の多様性を含む(HC位置31、33、35、56及び58においてはシステインを除く何れかのアミノ酸型が可能であり;HC位置50及び52においてはY、R、W、G、V及びSが可能であり;そしてHC52aにおいてはP及びSが可能である)。HC CDR3において、そしてLC領域を通じて、天然の多様性を包含している(自己免疫状態1つ以上を有していた35ドナー由来のカッパ及びラムダ軽鎖(LC)を使用した)。FAB−310抗体ライブラリ由来の抗体コーディング核酸はHCFR3::CDR3をコードするセグメントを以下の設計を有する合成オリゴヌクレオチドと置き換えることにより修飾する。
【0131】
(R/K)−(G/S)−X−(R/K)−X−(K/R)−X(配列番号10)モチーフについては、以下のコドンを使用した。
【0132】
【化1】

式中K=T&G、N=A、G、C、T、そしてR=A&Gである。
【0133】
HC CDR3が存在する領域は以下の通り模式化される。
【0134】
【化2】

以下のプライマーを使用する。
プライマー1(第1のPCR産物を増幅するため、HCのFR4においてアニーリングする)。
【0135】
【化3】

プライマー2(HCのFR4においてアニーリングし、HC−CDR3の多様性をもたらす)。
【0136】
【化4】

ライブラリはPCR2ラウンドを用いて組み立てる。第1の反応においては、合成のCDR1−CDR2をコードする核酸セグメントを15サイクルに渡りpUCリバース(
【0137】
【化5】

、pMID21中のBstEII超過部)及びプライマー#1を用いながらプラスミドDNAから増幅した。第2の反応においては、第1の反応の生成物を15サイクルに渡りCkappaフォワードプライマー(
【0138】
【化6】

、表50に記載)及びプライマー#2で増幅した。第2の反応の産物を制限酵素SfiI−BstEIIで消化し、そして抗体コーディングライブラリFAB−310カッパ及びラムダプラスミドDNAの相当する部位内にライゲーションした。
【0139】
これらの操作のこの結果は親FAB−310ライブラリとはH−CDR3配列において異なる特殊化FAB−310ライブラリである(図1参照)。
【0140】
(実施例2:ライブラリの構築)
炭水化物との相互作用の為に偏向された特性を有する抗体を含む抗体ライブラリを構築した。本発明者等は実施例1に記載したより一般的な抗体ライブラリである「FAB−310ライブラリ」からの抗体コーディング核酸を修飾した。FAB−310抗体ライブラリ由来の抗体コーディング核酸はHC CDR3をコードするセグメントを以下の設計を有する合成オリゴヌクレオチドと置き換えることにより修飾した。
【0141】
GXRXK/RX(配列番号13)モチーフについては、以下のコドンを使用した。
【0142】
【化7】

式中M=A&C、N=A、G、C、T、そしてR=A&Gである。
【0143】
HC CDR3が存在する領域は以下の通り模式化される。
【0144】
【化8】

MNNコドンはアミノ酸型:L、P、Q、H、R、I、M、T、N及びSを可能とする。以下のプライマーを使用した。
プライマー1
【0145】
【化9】

プライマー2
【0146】
【化10】

図2に示すライブラリはPCR2ラウンドを用いて組み立てた。第1の反応においては、合成のCDR1−CDR2をコードする核酸セグメントを15サイクルに渡りpUCリバース及びプライマー#1を用いながらプラスミドDNAから増幅した。第2の反応においては、第1の反応の生成物を15サイクルに渡りCkappaフォワードプライマー及びプライマー#2で増幅した。第2の反応の産物を制限酵素SfiI−BstEIIで消化し、そして抗体コーディングライブラリFAB−310カッパ及びラムダプラスミドDNAの相当する部位内にライゲーションした。
【0147】
これらの操作のこの結果は親FAB−310ライブラリとはH−CDR3配列においてのみ異なる特殊化FAB−310ライブラリであった。抗体コーディングライブラリに対して得られた形質転換体の数は約2x10であった。
【0148】
(実施例3:設計された抗体ライブラリからの抗体の選択)
ライブラリは種々の炭水化物部分(特に負荷電炭水化物)、ホスホペプチド又は何れかの標的に結合する抗体を選択するために使用できる。
【0149】
ライブラリは例えば、標的が負荷電炭水化物部分を含む化合物である選択1、2又は3ラウンドを用いて選択できる。選択3ラウンドはライブラリ形質転換体の数よりも100倍多いファージを用いて実施できる。
【0150】
標的はファージと共にインキュベートする前にビーズ上に固定化できる。少なくとも2つの選択手法が使用できる。1つの例示される選択については、標的はpH5.5において90%飽和の(NHSO中のイムノチューブに直接コーティングする。他の選択については、BSA又は他の適切なブロッカーでブロッキングしたニトロセルロース膜上に標的をスポットし、このニトロセルロース膜上で選択を行う。
【0151】
非特異的結合は場合により観察される。これらは、ファージが場合により標的物質とは無関係に標的膜又はウェルに結合することから、多くの抗原に結合し、そして検出される。しかしながら、ストレプトアビジン上でライブラリメンバーを枯渇させる工程の組み込み及び高スループットスクリーニングを用いることは特異的抗体の発見に寄与する。
【0152】
本発明者等は負荷電炭水化物に結合する抗体は炭水化物結合に好都合な特性を有するCDR3配列を含む抗体ライブラリから良好に単離できると結論する。本発明者等は特定の標的化合物に特異的に結合し、そして非標的化合物又は対照抗原とは検出可能に相互作用しない抗体を発見した。ヘパランスルフェートを使用した場合、リッチ化のファクターは、イムノチューブを用いてヘパランスルフェート化合物を固定化すれば、1600倍となった。
【0153】
(実施例4:ライブラリの構築)
ヒト半合成抗体ファージディスプレイライブラリFAB−310を用いながら炭水化物との相互作用の為に偏向された特性を有する抗体を含む抗体ライブラリを構築した(Hoet et al.,2005)。FAB−310ライブラリはそれぞれ5及び15アミノ酸残基長である天然のHC−CDR3多様性及び合成のHC−CDR1−CDR2多様性を有するスカホールドタンパク質としてV遺伝子(V3−23)を使用する。重鎖をカッパ及びラムダヒト軽鎖の天然のレパートリーと組み合わせる。ライブラリは3.5x1010のサイズを有する。
【0154】
炭水化物偏向ライブラリはHC−CDR3内に配列R/K−G/S−X−R/K−X−R/K−X(配列番号17)を取り込むように構築した。FAB−310カッパ−HCライブラリ10ngをカッパ定常フォワードプライマーを用いるPCR反応のための鋳型として使用した。
【0155】
HC−CDR3は以下のアミノ酸配列G/SXR/KXR/KX(配列番号9)を有するように設計した。この配列を支持するオリゴヌクレオチド(HC−CDR3プライマー)は以下のヌクレオチド配列を有する。FAB310カッパ−HCレパートリーの10ngのDNAを、5’側末端プライマーとしてのカッパ定常フォワードプライマー
【0156】
【化11】

及び3’側末端プライマーとしてのHC−CDR3プライマー
【0157】
【化12】

を用いるPCR反応のための鋳型として使用することにより完全なHCレパートリーを増幅した。PCRはAdvantage2DNAポリメラーゼ(Clontech)を用いながら25μlフォーマット中35サイクル実施した(95℃1分、50℃1分そして68℃2分)。650bpの生成したフラグメント10μgを4U/μgのBstEII制限エンドヌクレアーゼ(NEB)で消化し、その後10U/μgのXbaIで切断した。HC−CDR3レパートリーを含有する140bpフラグメントをゲル精製した。得られたDNAフラグメント1.5マイクログラムを、1:4ベクター:インサートの比においてTDNAリガーゼ(NEB)を用いながら、同様に切断したファージミドベクターpMID21(カッパ及びラムダ軽鎖レパートリーの両方を含有)6μg内にライゲーションした。脱塩λHC−ライゲーション混合物2.5μg及びκHC混合物2.5μgを個別に、エレクトロポレーション試行当たりライゲーション混合物100ngを持ちながら、E.coli菌株TG1内にエレクトロポレーションした。Fabライブラリは1x10リプレゼンタントのサイズを有していた。
【0158】
ライブラリの品質はShoonbroodt et al.(2005,Nucl.Acid.Res.33(9):e81)に記載されたとおりFab抗体をPCR増幅し、そして増幅産物を配列決定することにより確認した。
【0159】
(実施例5:炭水化物抗原に対して特異的な抗体の選択、スクリーニング及び配列決定)
炭水化物抗原に特異的な抗体を実施例2に記載したライブラリから選択した。このライブラリは実施例1及び3に記載したライブラリと比較して低減した多様性を有していたが、しかしなお、ライブラリは炭水化物との相互作用に対して偏向している。
【0160】
(選択)
ファージミド粒子は3リットルの規模においてMarks et al.(1991 J.Mol.Biol.222(3):581−97)に従ってヘルパーファージM13−KO7を用いてレスキューした。これらのライブラリ選択は(1)スルホコア6(SC6)、(2)スルホコア1(SC1)及び(3)ヘパランスルフェート(HS)と化学的に脱硫酸化されたNスルフェート化ヘパリン(CDSNS)の組合せで実施した。SC1及びSC6及びその非硫酸化対応物の化学構造を図4に示す。
【0161】
6−スルホシアリルルイスXグリカンはLセレクチンリガンド「スルホアドヘシン」に相当する。SC6選択は室温(RT)において2%Marvel PBS中1時間インキュベートしておいた1013ファージを用いて実施した。炭素6へのセリン残基の付加及びビオチン分子へのカップリングにより修飾しておいた500nMのSC6抗原を磁性ストレプトアビジンDynabeads(Dynal)上に捕獲し、2%Marvel PBSでブロッキングし、次にブロックしたファージに添加した。数回の洗浄工程の後、ファージを100mM TEAで溶離し、1MTris−HCl(pH7.4)で中和した。溶離したファージを用いてE.coliTG1細胞を感染させた。同じ条件下で2回の追加選択ラウンドを実施し、合計3ラウンドとした。
【0162】
SC1選択はSC6選択と本質的に同様に実施した。
【0163】
HS及びCDSNSは90%飽和(NHSO緩衝液中のHS及びCDSNSの100μg/mL混合物と共にインキュベートすることによりイムノチューブ(MAXISORPTM、Nunc)上に固定化した。イムノチューブ及び1013ファージはPBS中1%BSA、0.05%ツイーン−20で30分間個別にブロッキングした。ブロッキングされたファージ調製物を次に回転器上で30分間チューブ内で標的と共にインキュベートし、その後RTから出発して90分間インキュベートした。チューブをPBS中0.05%TWEEN(登録商標)20で10回、その後PBSで10回洗浄した。ファージを100mMTEAで溶離し、その直後に1M Tris pH7.4で中和した。溶離したファージを用いてE.coliTG1細胞を感染させた。選択は洗浄工程を20回反復した以外は同じ条件下で更に2ラウンド反復した(合計3回)。
【0164】
(スクリーニング)
選択の第3ラウンドから溶離したファージディスプレイFabを回収し、増殖させ、そして個々のクローンとして単離した。ファージディスプレイFabを含有する培養上澄みをELISAで試験した。SC6選択で得られたFabは固定化されたBSAストレプトアビジン(MAXISORP,Nunc)を介して間接的に捕獲されたビオチニル化SC6に対して試験した。プレートをPBS中ウェル当たり50ngC6(ビオチニル化)でコーティングした。ウェル当たり50ngの(非硫酸化コア6)又は500ngのストレプトアビジンを陰性対照として使用した。SC1選択で得られたFabは本質的にはSC6に関して、ただし抗原としてはSC1を用いながらスクリーニングした。HS結合Fabはウェル当たり500ngのHS/CDSNS混合物(90%(NHSO中)又は100ngのBSA(陰性対照として)デコーティングしたプレートを用いて試験した。プレートは4℃で一夜コーティングした。プレートをPBS−TWEEN(登録商標)200.05%(PBST)で3回洗浄し、PBS中2%Marvel(MPBS)でブロッキングし、次にPBSTで3回洗浄した後に使用に付した。ファージをRTで1時間抗原と共にインキュベートし、次に除去し、そしてプレートをPBSTで6回洗浄した。PBS中5000倍希釈した抗M13 HRP抗体(APB)を1時間添加し、その後PBSTで6回洗浄した。TMB基質で発色させた後に450nmにおける光学密度(OD450)を測定した。SC6又はHSに結合した多数のクローンはスクリーニングにおいて発見されたが、SC1に結合したFabは発見されなかった。実施例1及び4に記載したライブラリの選択では、これらのライブラリが実施例2に記載したライブラリと比較して多様性が大きいことを鑑みれば、SC1特異的Fabが発見されることが予測された。
【0165】
(配列決定)
ELISAにおいて陽性シグナル(バックグラウンドの二倍超)を示したクローン由来のFabを5’及び3’骨格プライマーを用いて増幅し、そしてPCR産物を軽鎖及び重鎖の両方につき配列決定した。SC6に対する抗体はC6、SC1及びC1(関連構造)とはELISAでは反応せず、SC6に対するこれらの抗体の特異性を明確に示していた。
【0166】
本発明者等はヘパランスルフェートに特異的に結合し、そして他の硫酸化炭水化物又は対照抗原と検出可能に相互作用しない抗体を発見した。3つの異なる抗体が発見され、1HS、2HS及び3HSと標記された。重鎖(HC)及び軽鎖(LC)の可変領域のアミノ酸配列を表1に、CDRアミノ酸配列を表2に示す。
【0167】
【化13】

少なくとも16クローンがSC6への特異的結合を示した(BSA、ストレプトアビジン及び未関連の硫酸化炭水化物への結合と比較して)。配列決定の後、4種の異なる抗体が発見され、1SC6、2SC6、3SC6及び4SC6と標記された。重鎖及び軽鎖の可変領域の配列(ヌクレオチド及びアミノ酸の両方)を表3に、CDRアミノ酸配列を表4に示す。
【0168】
【化14】

【0169】
【化15】


他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は実施例1のライブラリの模式図である。捕獲されたカッパ及びラムダLC及びHC CDR1及びCDR2の合成多様性を有するFabディスプレイカセット(Nature Biotechnology,2005,23(3):344−8)。HC CDR3は実施例1に記載する通りである。
【図2】図2は実施例2のライブラリの模式図である。Hoet et al.(Nature Biotechnology,2005,23(3):344−8)に記載される通り、捕獲されたカッパ及びラムダLC及びHCCDR1及びCDR2の合成多様性を有するFabディスプレイカセット。HC CDR3は実施例2に記載する通りである。
【図3A】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図3B】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図3C】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図3D】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図3E】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図3F】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図3G】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図3H】図3A〜3HはFAB−310ライブラリに取り込まれたアノテーションされたFabディスプレイカセットを示す。配列番号25は軽鎖可変領域(VL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号26は軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号27は軽鎖定常領域(CL)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号28は軽鎖定常領域(CL)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号29は重鎖可変領域(VH)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号30は重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。配列番号31は重鎖1定常領域(CH1)のヌクレオチド配列をコードするカセットの一部分である。配列番号32は重鎖1定常領域(CH1)のアミノ酸配列をコードするカセットの一部分である。
【図4A】図4Aはスルホコア1及びスルホコア6炭水化物部分及びそれらの非硫酸化対応物のコア1及びコア6の構造である。それらのそれぞれの分子量は炭水化物構造の下に示す。
【図4B】図4Bはスルホコア1及びスルホコア6炭水化物部分及びそれらの非硫酸化対応物のコア1及びコア6の構造である。それらのそれぞれの分子量は炭水化物構造の下に示す。
【図4C】図4Cはスルホコア1及びスルホコア6炭水化物部分及びそれらの非硫酸化対応物のコア1及びコア6の構造である。それらのそれぞれの分子量は炭水化物構造の下に示す。
【図4D】図4Dはスルホコア1及びスルホコア6炭水化物部分及びそれらの非硫酸化対応物のコア1及びコア6の構造である。それらのそれぞれの分子量は炭水化物構造の下に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷電炭水化物又はポリペプチド部分に結合する抗体を発見するための方法であって、該方法は、以下:
複数の多様な抗体を含むタンパク質ライブラリを準備する工程であって、ここで各抗体は重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列を含み、ここで該重鎖可変ドメイン配列はHC CDR3において多様性を含み、そして該HC CDR3が(G/S)−X−(K/R)−X−(K/R)−X(配列番号3)を含み、ここでXは何れかのアミノ酸である工程;
該タンパク質ライブラリのメンバーを、負荷電炭水化物又はポリペプチド部分を包含する標的分子に接触させる工程;及び、
該標的分子と相互作用する1つ以上のメンバーを発見する工程;
を含む、方法。
【請求項2】
塩基性アミノ酸の位置の少なくとも2個が、異なるアミノ酸少なくとも10個内で変動することができるアミノ酸位置少なくとも1個により分離されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の各抗体に対して、Xが異なるアミノ酸少なくとも4個内で変動する位置を示す、請求項1記載の方法。
【請求項4】
Xが異なるアミノ酸少なくとも10個内で変動する位置を示す、請求項3記載の方法。
【請求項5】
Xが異なるアミノ酸少なくとも16個内で変動する位置を示す、請求項4記載の方法。
【請求項6】
Xが非システインアミノ酸内で変動する位置を示す、請求項1記載の方法。
【請求項7】
Xが全ての可能なアミノ酸内で変動する位置を示す、請求項1記載の方法。
【請求項8】
Xが塩基性アミノ酸を除くアミノ酸のセット内で変動する位置を示す、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記HC CDR3領域が10アミノ酸長未満である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記HC CDR3領域が8アミノ酸長未満である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記複数の抗体が多様な軽鎖可変ドメインを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記複数の抗体がDPL16以外の軽鎖可変ドメインを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記複数の抗体の重鎖可変ドメイン配列が同じカノニカル構造を有する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記複数の抗体の重鎖可変ドメイン配列が複数の異なるカノニカル構造を有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記カノニカル構造が3−23重鎖VHセグメントのものである、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記複数の抗体が多様なHC CDR1領域を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記重鎖可変ドメイン配列のCDR1及びCDR2が、多様な合成オリゴヌクレオチドから誘導された配列によりコードされる、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記標的分子と相互作用する1つ以上のメンバーを発見するための工程が、該標的分子に結合するライブラリメンバーを、結合しないメンバーから物理的に分離することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記タンパク質ライブラリがファージディスプレイライブラリであり、そして、前記標的分子と相互作用する1つ以上のメンバーを発見するための工程が、該標的分子に結合する抗体をコードするファージ1つ以上を回収することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記タンパク質ライブラリがアレイ上に配置されたタンパク質の収集物である、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記標的分子がグリコサミノグリカンである、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質ライブラリが非標的分子と相互作用するメンバーが枯渇している、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記標的分子及び前記非標的分子が共にグリコサミノグリカンである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記標的分子と相互作用する抗体複数を発見する工程、及び、前記非標的分子と比較して該標的分子と優先的に相互作用する該複数のものから、抗体のサブセットを選択する工程を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記標的分子と相互作用するものとして発見されたライブラリメンバーに由来するCDRを含む抗体を含む医薬組成物を製造する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
抗体コーディングライブラリを提供するための方法であって、該方法は、以下:
複数のメンバーを包含する抗体コーディングライブラリを準備する工程であって、ここで各メンバーは重鎖可変ドメイン配列をコードする配列を含み、該HC可変ドメインコーディング配列は該複数のメンバー内で多様である工程;
CDR3の少なくとも1アミノ酸位置が塩基性アミノ酸に限定されるようにHC CDRE3配列の多様な集団をコードする核酸又はそのような核酸の相補体を準備する工程;及び、
該HC CDR3コーディング配列を含むようにHC可変ドメインコーディング配列を修飾する工程;
を含む、方法。
【請求項27】
HC CDR3配列の多様な集団をコードする前記核酸が合成オリゴヌクレオチドを含み、そして各オリゴヌクレオチドがCDR3コーディング配列RGTNNKARGNNKARGNNK(配列番号8)を有する配列又はその相補体を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記抗体コーディングライブラリのメンバーを発現することによりタンパク質ライブラリを得る工程を更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
多様な抗体複数を含むタンパク質ライブラリであって、各抗体は重鎖可変ドメイン配列及び軽鎖可変ドメイン配列を含み、ここで該重鎖可変ドメイン配列はCDR3において多様性を含み、そして少なくとも1つのアミノ酸が塩基性アミノ酸に限定される、タンパク質ライブラリ。
【請求項30】
異なる複数のオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのプールであって、ここで、該複数の各オリゴヌクレオチドはアミノ酸配列(G/S)−X−(K/R)−X−(K/R)−X(配列番号3)をコードするCDR3コーディング配列を有する配列を含み、ここでXは何れかのアミノ酸であり、(K/R)はリジン又はアルギニンの何れかであり得、そして(G/S)はグリシン又はリジンのいずれかであり得る、プール。
【請求項31】
異なる複数のオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのプールであって、ここで、該複数の各オリゴヌクレオチドはCDRコーディング配列RGTNNKARGNNKARGNNK(配列番号8)を有する配列又はその相補体を含む、プール。
【請求項32】
ヘパランスルフェート(HS)及び化学的に脱硫酸化されたN−硫酸化ヘパリン(CDSNS)よりなる群から選択される抗原少なくとも1つに結合する抗体であって、該抗体は、以下:
(a)1HS、2HS及び3HSよりなる群から選択される抗体のHC可変ドメインのCDRに少なくとも85%同一であるCDR少なくとも1つを含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;
(b)1HS、2HS及び3HSよりなる群から選択される抗体のLC可変ドメインのCDRに少なくとも85%同一であるCDR少なくとも1つを含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;
(c)1HS、2HS及び3HSよりなる群から選択される抗体のLC可変ドメインに少なくとも85%同一であるLC免疫グロブリン可変ドメイン配列;及び、
(d)1HS、2HS及び3HSよりなる群から選択される抗体のHC可変ドメインに少なくとも85%同一であるHC免疫グロブリン可変ドメイン配列;
よりなる群から選択される配列を含む、抗体。
【請求項33】
前記抗体が1HS、2HS及び3HSよりなる群から選択される抗体のHC CDR3ドメインのCDR3に少なくとも85%同一であるHC CDR3配列を含む、請求項32記載の抗体。
【請求項34】
スルホコア6に結合する抗体であって、該抗体は、以下:
(a)1SC6、2SC6、3SC6及び4SC6よりなる群から選択される抗体のHC可変ドメインのCDRに少なくとも85%同一であるCDR少なくとも1つを含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;
(b)1SC6、2SC6、3SC6及び4SC6よりなる群から選択される抗体のLC可変ドメインのCDRに少なくとも85%同一であるCDR少なくとも1つを含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;
(c)1SC6、2SC6、3SC6及び4SC6よりなる群から選択される抗体のLC可変ドメインに少なくとも85%同一であるLC免疫グロブリン可変ドメイン配列;及び、
(d)1SC6、2SC6、3SC6及び4SC6よりなる群から選択される抗体のHC可変ドメインに少なくとも85%同一であるHC免疫グロブリン可変ドメイン配列;
よりなる群から選択される配列を含む上記抗体。
【請求項35】
前記抗体がSC6、2SC6、3SC6及び4SC6よりなる群から選択される抗体のHC CDR3ドメインのCDR3に少なくとも85%同一であるHC CDR3配列を含む、請求項34記載の抗体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公表番号】特表2008−530986(P2008−530986A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553386(P2007−553386)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/003705
【国際公開番号】WO2006/084050
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(506065987)ダイアックス コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】