説明

抗体産生方法

【課題】乳汁中で抗体の持続的な放出を誘導する方法を提供する。
【解決手段】a)少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接若しくは十分近接した位置、又は前記リンパ節内に、少なくとも一つの抗原放出装置を埋め込む工程を含み、前記抗原放出装置は、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺へ抗体分泌を刺激することを特徴とする乳汁に抗体の持続的な放出を誘導する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体すなわち免疫グロブリンの持続的産生の誘導方法に関する。より詳細には、本発明は、哺乳動物の乳汁中において抗体の持続的な産生を誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液という従来の抗体源と比べて、乳汁中において抗体を産生することの有利な点は、乳汁は日常で入手可能であり、安定して供給される点にある。抗体産生動物は、血液を採取した後、長期間(例えば、1ヶ月程の期間)かけて回復させる。したがって、得られる血液量は限られるため、抗体の収量は限られてしまう(1ヶ月で約3〜30mg)。しかし、例えば、乳畜から乳汁を毎日採取すると、収量は大幅に増加する(例えば、日に2mgを30日で乗すれば、月に150mgとなる)。
【0003】
哺乳動物の乳頭に直接注射すなわち注入して、乳汁中の抗体の産生を促進する方法が以前から使用されており、そのような例は、非特許文献1〜3に記載されている。このような注射は、抗体産生を再促進させるため繰り返さなければならず時間がかかる上、哺乳動物の乳頭に直接注射することによって、乳腺炎等の感染が頻繁に起こってしまう。
【0004】
乳房内免疫技術は乳房感染の可能性が高いため、屋外での予防接種経路としては一般的に好ましくなく(非特許文献4)、また、高度に熟練した技術者が必要となる場合が多い。
【0005】
乳腺分泌物における免疫グロブリン産生に関する公開文献の多くは、動物、又はその子孫の病気予防(すなわち、予防接種)を対象としている点に注目すべきである。免疫グロブリン自体の入手を目的とする、免疫グロブリンが豊富な乳汁の産生を対象とした文献はほとんどない。
【0006】
【非特許文献1】J.L. Smith, J.S Hogan & K.L Smith (1999) “Efficac of intramammary immunization with an Escherichia coli JS bacteria.” Journal of Dairy Science, 82:2582-2588
【非特許文献2】J.S Hogan, K.L Smith, P. Schoenberger, S. Romig & L Thompson (1997) “Response of antibody titres to intramammary immunization with Escherichia coli JS bacteria.” Journal of Dairy Science, 80:2398-2402
【非特許文献3】F.J Bourne, T.J Newby & J.W Chidlow (1975) “The influence of route of vaccination on the systemic and local immune response in the pig.” Research in Veterinary Science, 18:244-248
【非特許文献4】R.F. Sheldrake (1987) Australian Journal of Dairy Technology, 42:30-32
【非特許文献5】F.J Bourne et al (1975) Research in Veterinary Science 18:244-248
【非特許文献6】Hanly et al; Review of Polyclonal Antibody Production Procedures, ILAR Journal (1995), 37:3, 93-118
【非特許文献7】Langer et al., J. Biomed. Mater. Res. 15:167-277 (1981)
【非特許文献8】Langer, Chem. Tech. 12:98-105 (1982)
【非特許文献9】Sidman et al., Biopolymers 22:547-556 [1983]
【非特許文献10】B. Baras, M.A. Benoit & J. Gillard (2000) “Parameters influencing the antigen release from spray dried poly(DL-lactide)microparticles.” International Journal of Pharmaceutics, 200:133-145
【非特許文献11】Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688-3692 (1985)
【非特許文献12】Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030-4034 (1980)
【非特許文献13】Hood et al., in Immunology, p.384, Second Ed., Benjamin/Cummings, Menlo Park, California (1984)
【非特許文献14】Nielson, K. (1986) Can. J. Vet. Res 50:227-231
【非特許文献15】Kanamara et al (1993) Milchwissenschaft 48:247-251
【非特許文献16】Kanamaru et al (1982) Agric. Biol. Chem 46:1531-1537
【特許文献1】米国特許3,279,996号明細書
【特許文献2】豪州特許740133号明細書
【特許文献3】独国特許DE69917625D号明細書
【特許文献4】米国特許6,716,208号明細書
【特許文献5】米国特許3,773,919号明細書
【特許文献6】欧州特許58,481号明細書
【特許文献7】欧州特許133,988号明細書
【特許文献8】独国特許3,218,121号明細書
【特許文献9】欧州特許52,322号明細書
【特許文献10】欧州特許36,676号明細書
【特許文献11】欧州特許88,046号明細書
【特許文献12】欧州特許143,949号明細書
【特許文献13】欧州特許142,641号明細書
【特許文献14】特開昭60−7934号公報
【特許文献15】米国特許4,485,045号明細書
【特許文献16】米国特許4,544,545号明細書
【特許文献17】欧州特許102,324号明細書
【特許文献18】米国特許4,342,566号明細書
【特許文献19】欧州特許0320152号明細書
【特許文献20】国際公開第97/27757号パンフレット
【特許文献21】英国特許2 179947号明細書
【特許文献22】米国特許4,229,342号明細書
【特許文献23】仏国特許2520235号明細書
【特許文献24】ニュージーランド特許239466号明細書
【特許文献25】米国特許4,582,580号明細書
【特許文献26】米国特許4,644,056号明細書
【特許文献27】スイス特許1,573,995号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第一の態様は、少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接して、又は前記リンパ節内に、少なくとも一つの抗原放出装置を埋め込む工程を含む乳汁に抗体の持続的な放出を誘導する方法であって、前記抗原放出装置は、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺へ抗体分泌を刺激することを特徴とする方法を提供することである。
【0008】
本発明の第二の態様は、本発明のいずれかの方法によって産生される抗体を提供することである。
【0009】
本発明の第三の態様は、抗体含有乳汁の生成方法に関する。該方法は、上に詳述した方法による抗体の誘導工程、及び前記哺乳動物から乳汁に含まれる抗体を回収する工程を含む。乳汁の回収工程は、通常の搾乳工程により達成可能である。
【0010】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、上記から詳細に理解されるように、また、以下に述べる好適な実施形態にから理解されるものである。
【0011】
概要
当業者ならば、本明細書に記載の発明に対して、本明細書で具体的に記載のもの以外の改変及び修正が加えられ得ることを理解するであろう。本発明は、そのような改変及び修正を全て包含するものであることを理解されたい。また、本発明は、本明細書に言及又は示したあらゆる工程、特徴、組成物、及び化合物を単独で或いはまとめて含み、前記工程又は前記特徴は、任意及び全ての組合せ、又は任意の二つ以上の全てを含む。
【0012】
本明細書に引用した資料、参考文献、特許出願、又は特許それぞれは、本願に参照して明確に援用する。これは、本明細書の一部として読者が読み、熟考すべきであることを意味する。引用した前記資料、参考文献、特許出願、又は特許が本明細書で繰り返されてないのは、簡潔にするためである。
【0013】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、例示を目的としたものである。本明細書に記載のように、機能的に均等な生成物、組成物、及び方法は、本発明の範囲に明確に含まれる。
【0014】
本明細書を通して、文脈からそうでない限り、「含有する(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含んでいる(comprising)」等のその変形語は、規定した整数又は整数群を含み、その他全ての整数又は整数群は除外しないものと理解される。
【0015】
本明細書を通じて、CRD及びARDの頭字語は、どちらも同じ意味で用いられる。両方とも、本明細書で記述、開示、及びクレームされている抗原放出装置を意味する。
【0016】
本発明に記載の用語に対して、他の定義が本明細書を通して適用されている場合があり得るが、他に定義されない限り、本明細書で使用される他の全ての科学用語及び技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解する意味と同じ意味である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の詳細開示
本発明は、乳腺上リンパ節に隣接若しくは十分近接させた位置、又は該乳腺上リンパ節内部に埋め込んだ抗原放出装置から放出させた抗原により、長期間に渡り前記乳腺上リンパ節を刺激することで、乳汁内で抗体を持続的に放出させることが可能であるという予想外の発見に基づく。乳腺上リンパ節を刺激することの利点は、該リンパ節が乳腺に近いことである。乳腺上リンパ節から産生された抗体は、乳腺に分泌されるため、哺乳動物の乳汁に含有される。本方法は、前記抗原放出装置から抗原を除放することで、長期間に渡って抗体産生の促進を維持する。本方法は、IgA、IgG、及びIgM等、免疫グロブリンの種々のサブクラスすなわちアイソタイプの産生を促進する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第一の態様では、少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接若しくは十分近接させた位置、又は前記リンパ節内に、少なくとも一つの抗原放出装置を埋め込む工程を含む乳汁に抗体の持続的な放出を誘導する方法であって、前記抗原放出装置が、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺への抗体分泌を刺激する方法を提供する。
【0019】
本発明によれば、抗原放出装置からの抗原放出により(当該抗原放出装置を埋め込んだ)哺乳動物の抗体反応が、治療上又は抗細菌性上適した量の抗体の産生を乳汁内で促進するレベルで維持されるように、乳腺上リンパ節から該インプラントの距離は十分近くなければならない。例えば、ARDは、乳房に埋め込んでもよい。あるいは、実例として、少なくとも一つの乳腺上リンパ節から最大100mm離間させて前記抗原放出装置を埋め込むのが好ましく、前記抗原放出装置は、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺に抗体分泌を刺激する。好ましくは、乳腺上リンパ節に隣接して、又は乳腺上リンパ節から1〜100mm離間させて前記抗原放出装置を埋め込むのが好ましい。該距離は、約50〜100mmが最も好ましい。
【0020】
本発明が、一体の動物の多くの分泌腺での抗体産生の促進に使用され得ることが理解されよう。このことに関して、1つの分泌腺を免疫すると、他の乳腺による分泌物による抗体活性が得られることが示されている(例えば、非特許文献5参照)。
【0021】
本発明の方法は、哺乳動物に対して行われる。本方法を使用する哺乳動物は、げっ歯類、又は反すう動物であることが好ましい。該哺乳動物は、ヤギ、ヒツジ、又は牛であることが最も好ましい。該哺乳動物は、乳牛品種が望ましいが、乳用ヤギ品種、又は乳用ヒツジ品種を使用してもよい。
【0022】
本明細書中で使用される「乳汁」とは、液状又は固形状の、哺乳動物により産生される態様の乳汁及び初乳、或いは、脱脂粉乳又は乳清等の全乳のあらゆる派生物のことを言う。
【0023】
本明細書中で使用される「抗原」とは、処置した哺乳動物の抗原反応を促進可能なあらゆる物質を示す。抗原は、抗体の効用に従って選択してよい。すなわち、抗体を受動免疫を引き起こすために使用する場合、そのような免疫を行う抗原は、バクテリア、ウィルス、イースト菌、マイコプラズマ、タンパク質、ハプテン、ペプチド、動物組織抽出物、植物組織抽出物、菌類、花粉、煤塵、化学抗原に暴露されていない哺乳類細胞(精子を含む)、及び細胞分画から由来するものでもよい。ハプテン、又はペプチドを抗原として使用する場合、まず、当該技術分野に熟達した者に公知の化学反応によって、これらをタンパク質等のキャリアと共役させなければならない(非特許文献6)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態において、あらゆる細菌性抗原を本発明において使用してよい。前記細菌性抗原は、好ましくはエシェリキア属菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、サルモネラ菌、及びヘリコバクター属菌から選択される細菌種から選択されることが望ましいが、これらに限定されるものではない。特に好ましい細菌種は、大腸菌、Clostridium difficile菌、コレラ菌、及びヘリコバクター・ピロリ菌、及び蛍光菌である。最も好ましくは、抗原は、蛍光菌由来のリポタンパク質リパーゼである。
【0025】
少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接した位置、又は当該リンパ節内に抗原放出装置を埋め込むことにより、前記抗原放出装置に含まれる抗原が、近接の細胞及びリンパ節内に放出される(図1)。これにより、リンパ節は刺激され、抗原に対する抗体が産生される。これらの抗体は、乳腺に分泌されるため、哺乳動物の乳汁に含有される。
【0026】
前記抗原放出装置の大きさ、特性、及び種類は、対象の抗原の大きさ及び性質に依存する。前記抗原放出装置としては、埋め込んだ哺乳動物の抗体反応が所望のレベルで維持される速度で抗原を放出するものを選ぶことが望ましい。
【0027】
組成物の除放装置は、例えば、特許文献1に記載され、抗原を持続的に放出するための免疫増強装置は、例えば、特許文献2に記載されている。
【0028】
有益な物質を含浸させた多孔質シリコン製インプラントが、特許文献3に記載されている。分子送達のための埋め込み可能な装置が、特許文献4に記載されている。持続的な放出をする配合物の他の好適な例としては、前記タンパク質を含む固形疎水性ポリマーの半透明マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、例えば、送達装置に押し込められる、フィルム又はマイクロカプセル等の成形品の形状を有する。持続的放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル((例えば、非特許文献7〜8に記載のポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(特許文献5〜6)、L−グルタミン酸及びγエチル−L−グルタミン酸塩の共重合体(非特許文献9)、非分解性のエチレン酢酸ビニル(非特許文献7)、LUPRON DEPOT(R)(乳酸−グリコール酸共重合体、及び酢酸ロイプロリドを含む注入可能な微小球)等の分解性の乳酸−グリコール酸共重合体、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(特許文献7)等が挙げられる。更なる参照文献は、非特許文献10である。
【0029】
エチレン酢酸ビニル、及び乳酸−グリコール酸等のポリマーにより、100日間以上に渡る分子放出が可能となるが、あるヒドロゲルは、タンパク質をより短い期間で放出する。封入された抗原が体内に長期間留まる場合、37℃の水分に暴露される結果、変性又は凝集し、生物的活性が失活したり、また免疫原性が変化してしまうこともある。抗体を安定させるために、関与する機構に応じた論理的手法が考えられる。例えば、前記凝集機構が、チオ−ジスルフィド交換による分子間のSS、すなわちジフルフィド結合の形成によるものであることが判明した場合、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、適切な添加剤を使用して水分を調整し、特定のポリマーマトリックス組成物を形成させることにより達成可能である。
【0030】
持続的な放出をするための断片組成物としては、リポソームに封入された断片も含まれる。前記抗体を含むリポソームは、特許文献8〜17、非特許文献11〜12に公知の方法で調製される。通常、前記リポソームは、脂質含量がコレステロール約30%超過である微小(約200〜800オングストローム)の単層型のものであり、該脂質含有率は、最適な抗体療法に応じて調整される。乳腺上リンパ節近くの組織に抗原を除放する他の装置も、本発明に含まれる。
【0031】
治療で使用する抗原の効果的な量は、例えば、目的、投与経路、抗原及び/又はアジュバントの種類、動物の状態に依存する。従って、最適な効果を得るために、必要な投与量の調整及び投薬様式の変更を治療医が行う必要がある。投与者は、通常、投薬量が所望の効果を達成する量に達するまで、抗原を投与する。この治療の進行は、従来のアッセイにより容易にモニターできる。
【0032】
本発明の更なる態様においては、乳房内、腹腔内、筋肉間、又は鼻腔内から選択される投与経路でプライマー組成物を投与する工程をさらに含む、乳汁中の抗体の持続的な放出を誘導する方法が提供される。プライマーの投与は、前記抗原放出装置の埋め込み前、埋め込み中、又は埋め込み後に行ってもよい。粘膜面(乳腺はその一つである)の抗体産生が優先的に刺激されるように、前記プライマー組成物を粘膜面に送達することが好ましい。
【0033】
前記プライマー組成物の投与は、単回投与、或いは、数日間又は数週間の間隔を空けた複数回投与でもよい。一般的に、プライマー組成物の投与は、現代の免疫プロトコルに基づいて間隔(例えば、2週間)をあける。局所的な炎症及びうっ血を避けるため、通常、2週間よりも短い間隔で、同じ場所に前記プライマー組成物を投与しないのが好ましい。初期のこのプライミング工程により、低量の抗体産生が促進され、その後、前記抗原放出装置から放出される抗原により抗体の産生は増加し、その量が維持される。
【0034】
本発明の方法はまた、前記抗原放出装置を埋め込んだ後、乳房内、腹腔内、筋肉間及び/又は鼻腔内から選択される投与経路で、哺乳動物に抗原を含むブースター組成物を投与する工程も含む。粘膜面(乳腺はその一つである)の抗体産生が優先的に刺激されるように、前記ブースター組成物を粘膜面に送達することが好ましい。
【0035】
そのようなブースター組成物の投与は、単回投与、或いは、数日間又は数週間の間隔を空けた複数回投与でもよい。一般的に、ブースター組成物の投与は、投与者の都合に適して間隔をあける。局所的炎症及びうっ血を避けるため、通常、2週間よりも短い間隔で、同じ場所に前記ブースター組成物を投与しないのが好ましい。
【0036】
好ましい方法においては、投与される抗原は、該方法の各工程において同一である。そのため、同一の抗原を前記抗原放出装置、前記プライマー組成物、及び/又は前記ブースター組成物に対して使用してよい。
【0037】
前記抗原放出装置中と、プライミング及びブースティングに使用される組成物中との両方にアジュバントを使用することも望ましい。アジュバントは、免疫原を除放する組織内貯蔵庫として、また、免疫反応(非特許文献13を参照)を非特異的に高めるリンパ活性剤としても作用することができる。本発明の抗原と併用する適切なアジュバントとしては、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIC)、TiterMax Gold(R)、アジュバント65、クロレラトキシンB−サブユニット、IL1−B Fragment 163−171 Synthetic ヒトアジュバント、水酸化アルミニウムゲル、又は百日咳菌、ムラミールジペプチド、サイトカイン、サポニン、Adjyu−Phos、Algal Glucau、Algammuliu、Alhydrogel、抗体形成、アブリジン、Bay R1005、calcitrial、リン酸カルシウム、Gel、CRL1005、コレラホロトキシン(CT)、DDA、DHEA、DMPC、DMPG、DOC/Alum Complex、ガンマイヌリン、ゲルブアジュバント、GMDP、イミキモド、Imuither、インターフェロン−ガンマ、ISCOM(s)、Iscoprop7.0.3、ロキソリビン、LT−OA、又はLT Oralアジュバント、MF59、モンタニドISA51、及びISA720、MPL、MTP−PE、MTP PE リポソーマ、ムラメチド、murapalmitive、NAGO、非イオン性界面活性小胞、Pleuram、PLGA、PGA、及びPLA、Pluronic L121、PMMA、PODDS、Poly Ra、Polyru Polyphophazene、Polysorbate 80、Protein Cochleates、QS−21、Quil A、Rehydrogel HPA、Rehydrogel LV、S−28465、SAF−1、Sclavo、ペプチド、Seudai Protediposomes、sendai−contaiming lipid matrices、Span85、specal、スクアレン、ステアリルチロシン、Theramide、スレオニル−MDP、Ty Particles、サポニン Q521、MF59、及びAlum等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の更なる態様において、本発明の方法は、プレ選択工程をさらに含む。この工程において、個々の動物の抗体産生能力を試験し、動物を選択する。抗体産生能の動物間でのバラツキはかなり大きい。抗体力価反応が最も良好であった動物を選択する前記プレ選択工程により、動物間のバラツキとなる要因を減少させることができる。同様に、前記工程を使用して抗体産生に特に適する動物群を構築してもよい。
【0039】
前記プライマー組成物又は前記ブースター組成物の投与工程に関して、前記抗原物質を液体媒体に懸濁させ、公知の手順に従って注入又は注射するのが好ましい。当該技術分野において公知のあらゆる適切なキャリア、希釈剤、緩衝液、及びアジュバントを使用してよい。適切な懸濁液としては、生理食塩水溶液、水、及び生理緩衝液が挙げられる。
【0040】
前記プライマー組成物又は前記ブースター組成物を注射で投与する場合、注射前に、例えば実験室用ホモゲナイザーを用いて、抗原をアジュバントと適切なキャリア中で乳化させるのが好ましい。そのような方法の一例としては、抗原水溶液を3倍量のアジュバントと混合し、安定した油中水型のエマルジョンが形成されるまで乳化する。安定したエマルジョンの存在は、当該技術分野において周知の試験により確かめることが可能である。
【0041】
第二の態様によれば、本発明は、本発明のいずれかの方法により産生された抗体、及びそのような抗体の断片も提供する。前記抗体は、免疫グロブリンの種々のサブクラス、すなわちアイソタイプのいずれでもよく、IgA、IgG、又はIgM、又は他のサブクラスの任意のものが挙げられる。
【0042】
本発明の本態様に従って調製可能な抗体分子及び断片の例としては、実質的にインタクトな免疫グロブリン分子、実質的にインタクトな免疫グロブリン分子、及びパラトープを含んだ、免疫グロブリン分子の一部が挙げられる。前記パラトープを含むそのような抗体部は、Fab、Fab’、F(ab’)、及びF(v)として当該技術分野において公知の部分が挙げられる。これらの抗体の一部は、周知の方法により、実質的にインタクトな抗体にパパイン及びペプシンそれぞれのタンパク質分解反応によって調製可能である。例えば、特許文献18を参照。Fab’抗体部も周知であり、メルカプトエタノールで2つの重鎖部を連結しているジスルフィド結合の還元し、生じたメルカプタンタンパク質をヨードアセタミド等の試薬でアルキル化することによって、F(ab’)から生成される。前記抗体は、インタクトな抗体分子であることが好ましく、本明細書に示したように使用される。
【0043】
本発明の第三の態様は、抗体を含有した哺乳動物の乳汁の生成方法に関し、前記に詳述した方法による抗体の誘導工程と、前記哺乳動物から乳汁に含まれる前記抗体を回収する工程とを含む。この乳汁回収工程は、通常の搾乳工程により達成される。
【0044】
前記乳汁は、前記哺乳動物から直接得たままの状態で使用できるが、必要に応じて加工してもよい。処理工程の例としては、加熱処理、紫外線放射、濃縮、食品添加物の添加、及び濃縮物、乳粉又は乳清粉等への乾燥挙げられる。
【0045】
本発明の方法の更なる工程として、抗体を乳汁から単離してもよい。単離は、当該技術分野で公知の単離技術を使用することで可能である。例えば、乳清から免疫グロブリンを豊富に含む分画を単離する方法(非特許文献14、特許文献19〜21)、乳汁から免疫グロブリンを豊富に含む分画を単離する方法(非特許文献20、特許文献22)、初乳から免疫グロブリン豊富な分画を単離する方法(非特許文献21、特許文献23〜25)、及び、乳汁及び初乳から免疫グロブリンを豊富に含む分画を単離する方法(特許文献26)が知られている。
【0046】
必要に応じて、次いで、前記単離した抗体を精製してもよい。精製は、沈殿及びイオン交換クロマトグラフィー等の公知の技術により、達成可能である。好適な技術が、上記に引用した非特許文献及び特許文献に開示されている。上記追加の処理工程に従って得られた、単離・精製抗体の双方はまた、本発明の一部である。
【0047】
抗体を含有するタンパク質濃縮物を商業規模で生成する方法が、特許文献27に開示されており、参照することで本願に援用する。簡潔に説明すると、該方法は、超免疫した乳汁担持雌の乳汁を回収する工程と、乳脂と不純物とに分ける分離工程と、精製物及び脱脂粉乳の凝固工程と、カゼインの単離工程と、乳清タンパク質のフィルターによる濾過、限外濾過、及び滅菌工程と、抗体が変性せず且つ滅菌性が保たれた条件下にて、生成物を脱水・乾燥する工程とを含む。
【0048】
本発明の更なる特徴を以下の限定されない実施例で更に詳しく説明するが、この詳細記載は、本発明の例示の目的の為だけであることを理解されたい。いかなる場合も、上記に示した本発明の概略記載の範囲を制限するように理解されるべきでない。
【0049】
(実施例1)
アジュバントを含まない抗原放出装置の準備
材料
(i)マンニトール−D(シグマアルドリッチ社製):0.15g
(ii)クエン酸ナトリウム(Proanalys社製):0.15g
(iii)蛍光菌由来のリパーゼ(シグマアルドリッチ社製):11.25mg
(iv)シラスティック・パートA(Dow Corning社製、Q7−4850):0.75ml
(v)シラスティック・パートB(Dow Corning社製、Q7−4850):0.75ml
(vi)使い捨て2.5mlシリンジ(テルモ社製):2本
(vii)1mlシリンジ(テルモ社製):2本
(viii)インチステンレス製皮下注射針(2×12G×4)
(ix)インキュベーター(37℃)
(x)滅菌ペトリ皿
(xi)滅菌外科用メス
(xii)滅菌スパチューラ
(xiii)32mlガラス製マッカートニー・ボトル
方法
(i)全シリンジからピストンを取り外す。
(ii)スパチューラを用いて、シラスティック・パートAを1ml注射器に移す。ピストンをシリンジに戻し、0.75ml液量を2.5mlシリンジ内へ分注。シラスティック・パートBについても同様の手順で行う。
リパーゼ、マンニトール、及びクエン酸ナトリウムを混合し、小サイズのマッカートニー・ボトルへ投入。その後、シラスティック・パートAを含む前記2.5mlシリンジに移した。次に、パートBをシリンジから前記2.5mlシリンジに射出し、前記2.5mlシリンジ内で前記シラスティック・パートA及びパートB間に前記リパーゼ、マンニトール、及びクエン酸ナトリウムを効果的に挟み込んだ。前記ピストンをこのシリンジに戻し、空のシリンジから取り外した。第一のシリンジの内容物を第二のシリンジに射出し、その後、ピストンを取り替えた。この手順を20回繰返し、全試薬を効果的に混合した。最終的に、前記試薬を2本の12G針内へ射出し、37℃で3日間保存した。硬化したシラスティックを前記針2本から出し、蓋を開けたペトリ皿へ3cmの長さに切断し、紫外光下で24時間静置した後、滅菌した10ml遠心分離管内で−20℃で保存した。3cmの各ARDは、シラスティック250μl中に、リパーゼを1mg、マンニトールを13mg、クエン酸ナトリウムを13mg含有していた。
【0050】
(実施例2)
アジュバントを含む抗原放出装置の準備
材料
(i)マンニトール−D(シグマアルドリッチ社製):0.3g
(ii)クエン酸ナトリウム(Proanalys社製):0.3g
(iii)蛍光菌由来のリパーゼ(シグマアルドリッチ社製):22.50mg
(iv)IL1−B Fragment 163−171 Synthetic Human(Sigma社製):1.2mg
(v)シラスティック・パートA(Dow Corning社製、Q7−4850):1.5ml
(vi)シラスティック・パートB(Dow Corning社製、Q7−4850):1.5ml
(vii)使い捨て2.5mlシリンジ(テルモ社製):2本
(viii)1mlシリンジ(テルモ社製):2本
(ix)ステンレス製皮下注射針(2×12G×4インチ)
(x)インキュベーター(37℃)
(xi)滅菌ペトリ皿
(xii)滅菌外科用メス
(xiii)滅菌スパチューラ
(xiv)32mlガラス製マッカートニー・ボトル
方法
(i)全シリンジからピストンを取り外す。
(ii)スパチューラを用いて、シラスティック・パートAを1mlシリンジに移す。ピストンをシリンジに戻し、0.75ml液量を2.5mlシリンジ内へ分注。シラスティック・パートBについても同様の手順で行う。
(iii)リパーゼ、マンニトール及びクエン酸ナトリウムを混合し、小サイズのマッカートニー・ボトルへ投入。その後、シラスティック・パートAを含む前記2.5mlシリンジに移す。次に、パートBをシリンジから前記2.5mlシリンジに射出し、前記2.5mlシリンジ内で前記シラスティック・パートA及びパートB間に前記リパーゼ、マンニトール、及びクエン酸ナトリウムを効果的に挟み込んだ。前記ピストンをこのシリンジに戻し、空のシリンジから取り外した。第一のシリンジの内容物を第二のシリンジに射出し、その後、ピストンを戻した。この手順を20回繰返し、全試薬を効果的に混合した。前記試薬を12G針2本に最後に射出し、37℃で3日間保存した。硬化したシラスティックを前記針2本から出し、蓋を開けたペトリ皿中で3cmの長さに切断し、紫外光下で24時間静置した後、滅菌した10ml遠心分離管内で−20℃で保存した。3cmの各ARDは、シラスティック250μl中に、リパーゼを1mg、マンニトールを13mg、クエン酸ナトリウムを13mg、IL1−Bを50μg含有していた。
【0051】
(実施例3)
ARDの送達
使い捨て10mlルアロック・シリンジ、10G×4インチステンレス製皮下注射針、及び90mm×10Gステンレス製溶接ロッドを備えた装置を目的に合わせて設計した(図5参照)。この装置は、前記ロッドを前記シリンジのピストンに取り付け且つ前記針内を貫通させて組み立てられている。前記ピストンを3cm程引いて、抗原放出装置を挿入する空き領域を針の先端近くに設けている。そのため、前記ピストンを押圧すると、前記抗原放出装置はロッドにより針から射出される(図5参照)。
動物を床面に仰向けに寝かし、飼育員により押さえつけた。乳房近傍の右側約3cm×10cm四方をヨードで消毒した。局部麻酔として、2%リグノカイン2mlを26G皮下注射器で皮膚組織に浸潤させた。ARDを入れた10G針を、該領域後端に挿入し、皮下で前端へ向けて押し込んだ。前記ピストンを押圧すると同時に、針を引いた。注射箇所を、ヨードで消毒した。ほとんどの場合において、前記抗原放出装置が注射箇所に存在することが感じられた。
【0052】
(実施例4)
鼻腔接種用リパーゼの調製
材料
(i)P.fluorescens由来のリパーゼ(シグマアルドリッチ社製):15.5mg
(ii)0.85%生理食塩水(Excel Laboratories社製):38.75ml
(iii)クロレラトキシンB-サブユニット(US Biological社製):1mg
(iv)2.5mlシリンジ
(v)滅菌50mlチューブ(Falcon社製)
(vi)翼付点滴セットから得た長さ8〜10cmの約20Gプラスチック・チューブ(テルモ社製)
方法
(i)第一投与日に、全試薬を50mlチューブに混合した。
(ii)残りは、使用時まで4℃で保存した。
【0053】
(実施例5)
鼻腔接種剤の送達
接種剤(リパーゼ1mg、クロレラトキシンB-サブユニット64.5μg含有)2.5mlを、点滴セットから20Gチューブを取り付けたシリンジに引き込んだ。チューブの60〜80%を動物の右鼻孔に入れ、ゆっくりと投与しながら、前記鼻孔からチューブを同時に引き抜いた(図2参照)。
【0054】
(実施例6)
筋肉注射接種剤リパーゼの調製
材料
(i)P.fluorescens由来のリパーゼ(Sigma社製):36.5mg
(ii)0.85%生理食塩水(Excel Laboratories社製):9.1ml
(iii)TiterMax Gold(R)アジュバント
(iv)マッカートニー・ボトル
(v)3mlプラスチック製シリンジ(テルモ社製)
(vi)ステンレス製ダブルハブ
(vii)23G×1インチ皮下注射針
方法
(i)第一投与日に、リパーゼ及び生理食塩水をマッカートニー・ボトルに混合し、4mg/ml濃度とした。残りは、使用時まで4℃で保存した。
【0055】
(実施例7)
接種材の筋肉経路送達
生理食塩水溶液に溶かした4mg/mlのリパーゼ0.5mlを、メーカーの指示書に従って、シリンジに入れ、0.5mlのTiterMax Gold(R)と乳化した。このシリンジを取り付けた23G×1インチ針を用いて、左後肢の後方部に接種剤を筋肉(IM)注射した。動物に対するIM注射を7日目、14日目、21日目に行った。
【0056】
(実施例8)
免疫プロトコル1
前記動物の後肢上部(臀部)に、IM注射を行った。
動物5頭を、4種の抗原で免疫した。このうち2頭には1種の抗原を投与し、残り3頭には、それぞれ違う抗原を投与した。第一接種及び続く2回免疫(ブースト)のスケジュール、抗原(Ag)濃度、TiterMaxアジュバント(T/max)量を表1にまとめた。
表1:種々の抗原を接種したヤギに対する、免疫原組成物及び接種スケジュール
【表1】

【0057】
(実施例9)
免疫プロトコル2
抗原放出装置(ARD)及び/又は注射により、前記動物に対して抗原免疫付与を行った。
動物6頭、1種の抗原に対する接種スケジュールを表2にまとめた。
1頭に、0日目に鼠径部に前記抗原の皮下注射を行い、30日目にその抗原のIM注射を行った。1頭に、0日目にのみ、前記抗原の皮下注射を行った。1頭に、0日目に鼠径部に前記抗原を含むインプラントの埋め込みを行った。1頭に、0日目に鼠径部に前記抗原を含むインプラントの埋め込みを行い、30日目に臀部に前記抗原のIM注射を行った。残りの2頭に、0日目に鼠径部に前記抗原を含むインプラントを埋め込み、15日目に一方に鼻腔注射による免疫ブーストを行い、他方にはIM注射による免疫ブーストを行った。
表2:抗原放出装置(ARD)の初期試験プロトコル
【表2】

【0058】
(実施例10)
免疫プロトコル3
本プロトコルでは、各グループにヤギ2頭を使用し、合計で12頭を使用した。
2頭の別々の動物に対して6種類のプロトコルを評価して、乳汁内で一定した量の抗体の産生に最適なプロトコルを決定した。表4及び表5に結果をまとめた。
表4:乳汁中の抗体産生の促進に使用した免疫プロトコル
【表4】


表5:乳汁中の抗体産生の促進に使用した免疫プロトコル
【表5】


各投与計画に対して2頭ずつ、合計で12頭のヤギに対して試験を行った。抗リパーゼ抗体の存在は、酵素免疫測定法(ELISA)により確かめた。コントロールである普通の牛乳サンプルの平均吸光度を差し引いた平均吸光度をプロットした(図6)。図7に示すように、実験結果は、動物間で再現性があった。
【0059】
6種類全ての投与計画で抗体が増加した。しかし、各グループにおける抗体の相対濃度は異なった。産生した抗体の濃度が最も高いことを示す、最高平均吸光度を記録したのは動物グループ4であった。動物グループ4に、本プログラム0日目にARDを埋め込み、次いで7日目、14日目、21日目に、3回後脇腹付近に注射を行った。
【0060】
7日目、14日目、21日目にIM注射のみ行ったグループ1のヤギの平均吸光度よりも、グループ4の平均吸光度は高かった。
動物グループ1及び4は、約14日目まである程度の反応を示した。15日目に、抗リパーゼ抗体値が大幅に上昇したが、これは二次免疫反応の結果であると推測される。より高濃度の抗体が本試験中に維持され、28日目まで維持された。
【0061】
図8、図9、図10に示すように、接種した動物の血清中の抗リパーゼ抗体値も測定した。抗原放出装置(ARD)を埋め込み、且つ筋肉注射を行った2体の動物中の抗リパーゼ抗体の吸光度の測定結果を図8に示す。種々のプロトコルで免疫したヤギから得た血清中の抗リパーゼ抗体量の測定結果を図9に示す。抗原放出装置(ARD)の埋め込み及び筋肉間注射で免疫したヤギから産生された、乳汁中及び血清中の平均抗リパーゼ抗体量の比較結果を図10に示す。抗原放出装置を埋め込んだヤギの乳汁及び血清中の抗リパーゼ抗体の産生を図11に示す。乳汁中の抗リパーゼ抗体量及び血清中に抗リパーゼ抗体が無いことから、鼠径部分に埋め込んだ抗原放出装置内の抗原が、乳腺上リンパ節に拡散していることが示唆される。
【0062】
(実施例11)
免疫付与プロトコル4
このプロトコルでは、各グループに2頭の泌乳ヤギ(ヒマラヤ山羊)を使用し、合計で4頭使用した。前記抗原として、蛍光菌由来のリパーゼを使用した。
免疫プロトコルの準備
1.85%生理食塩水15mlにリパーゼ30mgを乳化。
2.TiterMax Goldとの乳化は、メーカーの仕様に従った。生理食塩水溶液中の前記リパーゼを、等倍のTiterMax Goldと混合(1:1)。
3.投与用に2.5mlシリンジに1ml分注。(1ml中、リパーゼ1mg含有)
4.2グループの動物に、0日目、10日目、及び19日目に接種。
5.グループ1に対しては左脇腹に接種し、グループ2に対しては乳腺上リンパ節近傍に接種。
6.乳汁及び血清を回収。
酵素免疫測定法(ELISA)用のコーティングプレート
1.コーティング緩衝液で抗原を2.5μg/mlに調製。
2.混合物100μlを96ウェルELISAプレートの各ウェルに分注。
3.前記プレートに、カバーをかけ、4℃で一晩放置。
酵素免疫測定法(ELISA)プロトコル
1.使用前に、前記コーティングプレートをPBS−Tweenで3回洗浄。
2.PBS−Tweenに1%ヒト血清とした希釈血清。
3.各ウェルに前記希釈血清100μlを分注。
4.ウェルに対象サンプル1μlを分注。
5.プレートを37℃で2時間インキュベート。
6.プレートをPBS−Tweenで3回洗浄。
7.マウスα−ヒツジIgG、マウスα−ヒツジIgA及びマウスα−ヒツジIgMを、1%希釈血清(PBS−Tween中の1%ヒト血清)で1000倍希釈したサンプルを調製。
8.各ウェルに100μl分注。
9.前記プレートを37℃で2時間静置。
10.前記プレートをPBS−Tweenで3回洗浄。
11.ウサギα−マウスIgG(H+L)を1%希釈血清で2500倍希釈したサンプルを調製。
12.各ウェルに100μl分注。
13.37℃で2時間インキュベート。
14.前記プレートをPBS−Tweenで3回洗浄。
15.ジエタノールアミン緩衝液で100倍希釈した250mg/mlニトロフェニルリン酸を調製。
16.各ウェルに100μl分注。
17.約20分間〜30分間、室温でインキュベート。
18.3.75Mの水酸化ナトリウム50μlで反応を停止。
19.ELISAプレートを405nmで測定。
結果
回収した乳汁中のIgG、IgA及びIgM量をELISAで分析した。図13のグループ1(脇腹に筋肉注射した動物群:G1とする)及びグループ2(乳腺上リンパ節を刺激した動物群:G2とする)の結果から、グループ2の動物の乳汁で産生された3種全てのクラスの免疫グロブリン量は、グループ1の動物と比べて高かった。
【0063】
(実施例12)
乳汁サンプルの回収及び保存
材料
(i)冷却した遠心分離機(Beckman Acuspin社製)
(ii)Hp水中の糸状菌(Sigma社製)由来のレニットタイプII(濃度:2mg/ml)
(iii)滅菌10ml遠心分離管
(iv)P1000ピペットマン
(v)使い捨て1mlトランスファー・ピペット
(vi)5mlプラスチック保存チューブ
(vii)インキュベーター(37℃)
方法
化学的又は機械的刺激物が全く存在しない32mlのガラス製マッカートニー・ボトルに、乳汁を手絞り搾乳で回収した。乳汁は、子ヤギから離さずに朝に回収した。サンプルを回収後、氷上で保存し、その後できる限り速やかに移送した。乳汁を滅菌10ml遠心分離管に移送し、4℃で15分間、2000rpmで遠心分離した。使い捨てピペットを用いて、乳汁を固形脂肪層下から吸引し、新しい10mlチューブに置いた。前記ピペットを脂肪層を貫通させ、その下の乳汁層へ慎重に突き刺した。2mg/mlのレネット溶液をレネット0.4ml:乳汁5mlの割合で前記乳汁に追加し、チューブを振った後、37℃で1〜2時間インキュベートした。チューブを4℃で15分間、5000rpmで遠心分離した。上清をトランスファー・ピペットで除き、−20℃で保存した。
前記乳汁中の抗体を酵素免疫測定法(ELISA)により定量した。抗リパーゼ抗体の相対的濃度を示す吸光度において、血清の吸光度は、乳汁と比べると低かった。乳汁中に産生された抗リパーゼ抗体量は、血清の抗体量と比べると高かった。
【0064】
(実施例13)
血液サンプルの回収及び保存
材料
(i)血清回収用の9mlVacutainers(R)(Bectco Dickinson社製):7ml
(ii)20G×1.5インチのVacutainer(R)(Bectco Dickinson社製)針及びホルダー
方法
Vacutainer(R)回収チューブ、ホルダー、及び針を用いて、血液サンプルを頸静脈から採取した。チューブを4℃で保存した。サンプルを40℃で15分間、4000rpmで遠心分離した。上部血清層をトランスファー・ピペットを用いて除去し、−20℃で保存した。
【0065】
(実施例14)
酵素免疫測定法(ELISA)
材料
(i)10xリン酸緩衝生理食塩水(PBS):二回蒸留水1L、KHPO(BDH Chemicals Aust Pty Ltd社製)1.91g、NaHPO(ASAX Chemicals社製)6.1g、及びKCL(BDH Chemicals Aust Pty Ltd社製)2g含有
(ii)NaCl80g、NaN(シグマアルドリッチ社製)1.95g、pH7.4
(iii)炭酸塩被膜緩衝液200ml(pH9.6):二回蒸留水200ml、NaCO(BDH社製)3.18g、及びNaHCO(BDH社製)5.88g、NaN(Sigma社製)0.39g含有
(iv)0.85%生理食塩水(Excel Laboratories社製)
(v)P.fluorescens由来のリパーゼ(シグマアルドリッチ社製)の炭酸塩被膜緩衝液(0.25mg/ml)
(vi)PBS−TW20プレート洗浄溶液(BDH社製):10xPBS(上と同じ):200ml、蒸留水1800ml、及びTween−20(Labchem社製)1mlを含有
(vii)希釈血清:グリセロール(BDH社製)200ml、NaCl(BDH社製)29g、KHPO(BDH社製)0.2g、NaHPO(BDH社製)0.61g、KCl(BDH社製)0.2g、NaN(Sigma社製)1.95g、蒸留水1L、及びTween−20(Labchem社製)1.5mlを含有。pH=7.4、4℃で保存。使用前に、乾燥BSA(CSL社製)を1%濃度で所望量へ添加。
(viii)生理食塩水(Excel Laboratories社製)0.85%
(ix)ロバ抗−ヤギIgG−Horse Radish Peroxidase(HRP)(プロメガ社製)
(x)1M HSO(AJAX Finechem社製)
(xi)TMBS EIA溶液(BioRad社製)パートA&B
(xii)P200ピペットマン及びチップ
(xiii)P20ピペットマン及びチップ
(xiv)nunc(R)polsorb 96ウェルELISAプレート
(xv)BioRad(R) 96ウェルプレート分光光度計モデル450
方法
炭酸塩緩衝液中のリパーゼ100μlを、ELISAプレートの各ウェルに加え、一晩4℃で保存した。プレートをPBS−TWで3回洗浄した。希釈血清100μlを血清分析用ウェルに加え、希釈血清90μlを乳汁分析用ウェルに加えた。血清サンプル1μl及び乳汁サンプル10μlを前記希釈血清に加えた。プレートを優しく叩いて混和させた。前記プレートを一晩4℃で保存した。前記プレートをPBS−TWで3回洗浄した。ロバ抗−ヤギIgG−HRPを0.85%生理食塩水で2500倍希釈したサンプル100μlを、各ウェルに加えた。前記プレートを室温で一時間インキュベートした。前記プレートをPBS−TWで3回洗浄した。TMBSのパートAを9部、パートBを1部ガラス製ショットボトルに混合し、100μlを各ウェルに加えた。前記プレートを室温で10分間インキュベートした。1MのHSO100μlを各ウェルに加え、分光光度計により450nmでプレートを読んだ。吸光度結果のプリントアウトを得た。動物全てから回収した乳汁及び血液サンプルの各吸光度を測定した。吸光度をY軸とし時間(日数)をX軸として、個々の動物の吸光度、及び(被験動物2頭からなる)各グループの平均吸光度をプロットした。
【0066】
(実施例15)
乳汁アガースライド中でのリパーゼの拡散
(i)リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で、1%(1g/100ml)アガー(Basingstoke Hampshire社(英国)、Oxoid Cat No L13)を調製。
(ii)1%アガー5mlに全乳(Masters,Perth(オーストラリア))100μlを添加。
(iii)スライド形式とするため、「乳汁アガー」2.5mlをガラス上に注ぎ、10分間かけて固めた。(1%アガー中に2%の乳汁)
(iv)アガーパンチを用いて前記乳汁アガーゲルに直径1.5mmの穴を5つあけ、アガーを吸引除去した。
(v)アガーフィルムをP.fluorescens由来のリパーゼ(アメリカ、ウィスコンシン州、ミルウォーキー、Aldrich社製)と共に一晩インキュベートした。5mg/mlのリパーゼを0.85%生理食塩水で調製した。
(vi)本リパーゼ試験における脂質分解を示す拡散領域を、(a)生理食塩水、(b)リパーゼ+抗体非含有血清、及び(c)リパーゼ+抗リパーゼ抗体含有血清を含むプレートと比較した。
結果を図11に示す。それぞれの乳汁スライドにおいて、5つのウェルが生理食塩水(スライド1)、リパーゼ酵素(スライド2)、抗体非含有血清+リパーゼ(スライド3)、及び抗リパーゼ抗体含有血清+リパーゼ(スライド4)充てんされた。スライド2では、リパーゼ酵素が前記乳汁フィルム内で脂質を加水分解するにつれて、加水分解領域が可視できる。ネガティブコントロール(スライド1の生理食塩水)により、前記酵素が加水分解領域の原因であることが認められる。前記リパーゼ酵素の加水分解活性は、スライド4に明らかなように、抗リパーゼ抗体により阻害される。抗体非含有血清を含むスライド3により、酵素を阻害しているのが血清の他の組成分ではなく、抗体であること認められる。
本発明を特定の好適な実施例に基づいて説明したが、本発明の広い理念内において種々変形及び修正が可能であることが理解されよう。従って、好適な実施例、そのような変形及び修正は全て本発明の範囲、要旨に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、鼠径部分に接種した染料が移動したため、青色に変色した乳腺の写真である。(マードック大学、解剖学部、Dr.Martin CAKEによる写真提供)
【図2】図2は、ヤギの鼻腔内免疫の写真である。
【図3】図3は、ヒツジの鼠径部に本発明の態様に従って抗原放出装置を埋め込んでいる写真である。
【図4】図4は、ヒツジに図3の抗原放出装置を埋め込んだ場所である。
【図5】図5は、抗原放出装置の埋め込みに使用した装置の概略図である。
【図6】図6は、本発明の態様に従って、抗原放出装置からリパーゼタンパク質が乳汁アガープレートに分散している写真である。酵素がチューブの孔隙から拡散するにつれて、ロッド周辺の暗帯から明らかなように、乳汁アガー中で脂質を加水分解している。本発明の開発のためのモデル抗原として、リパーゼタンパク質を使用した。
【図7】図7は、種々のプロトコルで免疫したヤギから得た乳汁中の抗リパーゼ抗体量を示すグラフである。各プロトコルに対して、動物2頭の平均吸光度を28日間プロットした。抗原放出装置(CRD)を使用し、且つ筋肉間注射を行ったプロトコルで抗体量最大となった。
【図8】図8は、抗原放出装置(ARD)を埋め込み、且つ筋肉注射を行った2頭の別々動物の抗リパーゼ抗体の個別の吸光度を示すグラフである。2つの結果により、免疫プロトコルは再現性があることが明らかとなった。
【図9】図9は、種々のプロトコルで免疫したヤギから得た血清中の抗リパーゼ抗体量を示すグラフである。各プロトコルに対して、動物2頭の平均吸光度を28日間プロットした。
【図10】図10は、抗原放出装置(ARD)及び筋肉間注射を行って免疫したヤギより産生された乳汁(◆)及び血清(■)の平均抗リパーゼ抗体量の比較である。
【図11】図11は、抗原放出装置を埋め込んだヤギの乳汁(◆)及び血清(■)中の抗リパーゼ抗体産生を示すグラフである。乳汁中の抗リパーゼ抗体量及び血清中に抗リパーゼ抗体が無いことから、鼠径部分に埋め込んだ抗原放出装置内の抗原が、前記乳腺上リンパ節に拡散していることが示唆される。
【図12】図12は、リパーゼ酵素の脂肪分解活性に対する抗リパーゼ抗体の阻害効果を示す、ガラススライド上の乳汁アガーの拡散アッセイの写真である。スライド1:PBS又は生理食塩水をウェルに添加。スライド2:P.fluorescens由来のリパーゼ(5mg/ml)。スライド3:抗体非含有血清(1:1希釈)を有するリパーゼ(5mg/ml)。スライド4:抗リパーゼ抗体(1:1希釈)を含有した血清を持つリパーゼ(5mg/ml)。
【図13】図13は、蛍光菌由来のリパーゼを接種したヤギの乳汁中のIgG、IgA、IgM量を示すグラフである。2グループの動物に、0日目、10日目、19日目に異なる位置に接種した。(グループ1(G1)は脇腹に、グループ2(G2)は、乳腺上リンパ節に隣接した辺り)IgG、IgA、IgMの相対量は、ELISAで測定した。グループ1の動物よりも、グループ2の動物の乳汁において、免疫グロブリンの3クラス全ての量が高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳汁中の抗体の持続的な放出を誘導する方法であって、
a)少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接若しくは十分近接した位置、又は前記リンパ節内に、少なくとも一つの抗原放出装置を埋め込む工程を含み、
前記抗原放出装置は、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺への抗体分泌を刺激することを特徴とする乳汁中の抗体の持続的な放出を誘導する方法。
【請求項2】
前記抗原放出装置の寿命全期間に渡って、前記抗原放出装置からの抗原放出が乳汁中の抗体産生を誘導するように、前記抗原放出装置を乳腺上乳腺上リンパ節に十分に近接させて埋め込む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの乳腺上リンパ節から最大100mm離間させて前記抗原放出装置を埋め込む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一つの乳腺上リンパ節から約1〜100mm離間させて前記抗原放出装置を埋め込む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも一つの乳腺上リンパ節から約50〜100mm離間させて前記抗原放出装置を埋め込む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
げっ歯類及び反すう動物からなる群から選択される哺乳動物に、前記抗原放出装置を埋め込む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ヤギ、ヒツジ、及び牛からなる群から選択される哺乳動物に、前記抗原放出装置を埋め込む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
乳牛品種、乳用ヤギ品種又は乳用ヒツジ品種に、前記装置を埋め込む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗原が細菌性抗原である請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記細菌性抗原が、エシェリキア属菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、サルモネラ菌、及びヘリコバクター属菌から選択される細菌属である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記細菌性抗原が、大腸菌、Clostridium difficile菌、コレラ菌、ヘリコバクター・ピロリ菌、及び蛍光菌から選択される細菌種である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記細菌性抗原が、蛍光菌由来のリポタンパク質リパーゼである請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記抗原放出装置が、埋め込んだ前記哺乳動物の抗体反応を所望のレベルに維持する速度で、装置内に含まれる前記抗原を放出する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
乳汁内の抗体の持続的な放出を誘導する方法であって、
a)プライマー組成物を投与する工程と、
b)少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接若しくは十分近接した位置、又は前記リンパ節内に、少なくとも一つの抗原放出装置を埋め込む工程とを含み、
前記抗原放出装置は、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺への抗体分泌を刺激することを特徴とする乳汁内で抗体の持続的な放出を誘導する方法。
【請求項15】
乳汁内の抗体の持続的な放出を誘導する方法であって、
a)少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接若しくは十分近接した位置、又は前記リンパ節内に、少なくとも一つの抗原放出装置を埋め込む工程と、
b)前記抗原放出装置を埋め込んだ後、抗原を含むブースター組成物を哺乳動物に投与する工程とを含み、
前記抗原放出装置は、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺への抗体分泌を刺激することを特徴とする乳汁中の抗体の持続的な放出を誘導する方法。
【請求項16】
乳汁内の抗体の持続的な放出を誘導する方法であって、
a)プライマー組成物の投与する工程と、
b)少なくとも一つの乳腺上リンパ節に隣接若しくは十分近接した位置、又は前記リンパ節内に、少なくとも一つの抗原放出装置を埋め込む工程と、
c)前記抗原放出装置を埋め込んだ後、抗原を含むブースター組成物を哺乳動物に投与する工程とを含み、
前記抗原放出装置は、使用中に前記乳腺上リンパ節周辺の組織領域に抗原を放出し、乳腺への抗体分泌を刺激することを特徴とする乳汁の抗体の持続的な放出を誘導する方法。
【請求項17】
乳房内、腹腔内、筋肉間、又は鼻腔内から選択される投与経路で、前記プライマーを投与する請求項14又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗原放出装置を埋め込む前に、プライマーの投与を行う請求項14又は16に記載の方法。
【請求項19】
前記抗原放出装置の埋め込み中に、プライマーの投与を行う請求項14又は16に記載の方法。
【請求項20】
前記プライマー組成物が粘膜面に送達される請求項14又は16に記載の方法。
【請求項21】
前記プライマー組成物を単回で投与する請求項14又は16に記載の方法。
【請求項22】
前記プライマー組成物を数日間、又は数週間の間隔をおいて複数回投与する請求項14又は16に記載の方法。
【請求項23】
乳房内、腹腔内、筋肉間及び/又は鼻腔内から選択される投与経路で、前記ブースターを投与する請求項15又は16に記載の方法。
【請求項24】
前記ブースター組成物が粘膜面に送達される請求項15又は16に記載の方法。
【請求項25】
前記ブースター組成物を単回で投与する請求項15又は16に記載の方法。
【請求項26】
前記ブースター組成物を数日間、又は数週間の間隔をおいて複数回投与する請求項15又は16に記載の方法。
【請求項27】
各工程において、投与する前記抗原が同一である請求項14〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記抗原放出装置、前記プライマー組成物及び前記ブースター組成物が、アジュバントをさらに含む請求項14〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記抗原放出装置の投与工程前に、最適な抗体力価反応を示した動物を選ぶプレ選択工程を更に含む請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
抗体を含有する哺乳類乳汁の生成方法であって、
a)請求項1〜29のいずれかに記載の方法に従って抗体を誘導する工程と
b)前記哺乳動物から抗体含有乳汁を回収する工程と
を含む抗体を含有する哺乳類乳汁の産生方法。
【請求項31】
前記哺乳動物から直接得た状態の乳汁を使用する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記乳汁を、使用前に加工する請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記加工方法が、加熱処理、紫外線照射、濃縮、食品添加物の添加、濃縮物又は粉乳汁への乾燥を含む項目から選択される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記乳汁から抗体を単離する工程をさらに含む請求項30に記載の方法。
【請求項35】
単離後に抗体を精製する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の方法に従って単離した抗体。
【請求項37】
前記単離された抗体が、インタクトな免疫グロブリン分子、実質的にインタクトは免疫グロブリン分子、及びパラトープを含む前記免疫グロブリン分子の一部からなる群から選択される請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
前記免疫グロブリン分子部分が、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びF(v)部分からなる群から選択される請求項37に記載の抗体。
【請求項39】
抗体含有のタンパク質濃縮物の生成方法であって、
a)請求項1〜29のいずれかに記載の方法によって抗原放出装置を埋め込んだ乳汁担持雌哺乳動物の乳汁を回収する工程と、
b)乳脂と不純物とに分ける分離工程と、
c)精製物及び脱脂粉乳の凝固工程と、
d)カゼインの単離工程と、
e)乳清タンパク質の濾過、限外濾過、及び滅菌工程と、
f)抗体が変性せず且つ滅菌性が保たれた条件下にて、前記タンパク質を脱水・乾燥する工程と
を含む抗体含有タンパク質濃縮物の生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−515813(P2008−515813A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534972(P2007−534972)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001540
【国際公開番号】WO2006/037182
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(507114772)アグリ−バイオテック ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】