抗凝固特徴を有する体内カテーテル
血流を供給するカテーテル(100、200、300、400)は、第1および第2内腔部(110、120、210、220、310、320、410、420)を含み、第1および第2内腔部が遠位部(112、212、312、404)を含み、遠位部が患者からの流体を送達し受け取る少なくとも1つのポートと遠位部に沿った非線形外形とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は2006年7月11日に出願された米国仮特許出願第60/819,927号および2006年9月27日に出願された米国特許出願第11/528,733号に基づく優先権を主張する。上記出願はその全体を参考のためここに援用する。
【0003】
末期腎疾患(ESRD)の患者は生存するために日常的に透析治療を受けなければならない。体内カテーテルは、透析の反復に必要な静脈への侵入回数を減らすため、血液透析にとって有用な透析アクセス方法である。透析用長期中心静脈カテーテル(CVCD)はERSD患者または血液透析の25%を超えるケースに用いられている主要な長期透析アクセスである。
【0004】
標準的なフロースルー透析システムにおいて、CVCDは血液取り出し用の第1のルートと、返血用の第2のルートを少なくとも300ml/分の速度で提供しなければならない。標準のフロースルー透析システム用CVCDは、鎖骨上にトンネルを形成するような方法で頸静脈に2本の別々のカテーテルを挿入することによって形成することができる。この構成では、カテーテル先端は上大動脈と右心房との交点近傍に位置する。血液取り出しカテーテルまたは動脈カテーテルの先端は、下流の返血カテーテルまたは静脈カテーテルの先端よりも3〜4cm上に位置する。これは浄化された血液が動脈カテーテルに入る血液と混ざることを防止するためである。
【0005】
標準のフロースルー透析システム用の別々のカテーテルに代えて、2つの別々の内腔(lumen)を有する単体カテーテルを透析アクセスに用いることができる。この構成では、動脈内腔の先端は静脈内腔の先端の3〜4cm上に位置する。標準のフロースルー構造同様、この構成も浄化された血液が動脈内腔に入る血液と混ざることを防止する。さらに別の方法として、単一の内腔を有する単体カテーテルによっても透析を行うことができる。この場合、透析器はある量の未処置血液の送達と処置済み血液の返血とを交互に行う。
【0006】
血液はカテーテル内のポートまたは穴を介してカテーテル内腔に対して流出入する。これらのポートの設計は様々であり、内腔を1つ有するカテーテルでも2つ有するカテーテルでも同様のコンセプトが用いられる。第1の例は、血液の流出入用に単一のポートを先端に有するカテーテル内腔である。第2の例は、内腔本体の遠位先端側に血液交換ポートを有するカテーテル内腔である。別の例は、内腔本体の遠位先端側に軸周りに設けられた複数の血液交換ポートを有するカテーテル内腔である。これらのCVCDの設計はすべて機能するが、この分野では改良の余地があり、現在用いられている透析カテーテルのポート設計はいずれも問題がある。
【0007】
血液交換ポートを1つだけ含む動脈カテーテル内腔は、その位置にかかわらず、隣接する静脈壁によってポートが閉塞する危険性がある。これは交換ポート内で血液が凝固したり、内腔の遠位端および交換ポート周りでフィブリン鞘が成長したりするために起こる。血液交換ポートを1つだけ含む静脈カテーテル内腔は、その位置にかかわらず閉塞する危険性がある。これは交換ポートで血液が凝固したり、内腔の遠位端および交換ポート周りでフィブリン鞘が成長したりするために起こる。血液交換ポートが閉塞すると、少なくとも300ml/分という所望の血液交換速度が得られない。閉塞の度合いによっては、体内カテーテルが透析アクセス用に機能しなくなるかもしれない。そのためこのレベルの閉塞が起こると、体内カテーテルを取り替えなければならない。
【0008】
遠位端周りに複数の血液交換ポートを有する動脈カテーテル内腔は、静脈閉塞の危険性を減らす。しかし複数のポートが存在するために血液凝固による閉塞の危険性が増す。なぜなら複数のポートは、使われていないときに血液を内腔に流し込むことが可能であり、その結果抗凝固溶液が洗い流される可能性があるからである。カテーテルの遠位端に抗凝固溶液が少なくなると、ポートおよび内腔内で凝固する血液の量が増える。血液交換ポートの閉塞により、少なくとも300ml/分という所望の血液交換速度が得られない。閉塞の度合いによっては、体内カテーテルが透析アクセス用に機能しなくなるかもしれない。そのためこのレベルの閉塞が起こると、体内カテーテルを取り替えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従ってこの産業分野ではカテーテルの血液交換ポートおよびカテーテルの遠位端周りにおける閉塞を防止する方法および装置が概して必要とされている。これらの方法および装置は、カテーテル先端の凝固および血液がフィブリン鞘内に入ることにより内腔が閉塞されることを防止すると共に、透析間の不使用時にカテーテルの抗凝固ロック溶液を内腔内に維持することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は体内カテーテルに向けられている。特に一局面は凝固またはカテーテルの遠位端が包まれることを防止するように適合された体内カテーテルに関するがこれに限られない。カテーテルの1つの用途は透析用カテーテル(CVCD)としての使用であるが、これに限られない。他の用途も考えられる。
【0011】
一局面において、カテーテルは1対の内腔部を含む細長い本体を含む。1対の内腔部は各々、流体が内部を流れる内腔部または通路を有する。内腔部は各々、遠位端と近位端との間に延び、遠位端またはその近傍に内腔部と連通するポートを含む。
【0012】
さらなる局面では、内腔部の遠位部に沿って、内腔部は互いに離れる。内腔部の少なくとも一方が非線形形態で長手方向軸を横切るように延びる。別の実施形態では、内腔部の各々が長手方向軸を横切って非線形外形を形成するように延びる。
【0013】
一実施形態では、カテーテルはさらに、それぞれの内腔部の遠位端に1対の端部キャップと遠位側に開口するポートを含み、カテーテルの近位端にアクチュエータ機構を含む。端部キャップの各々は少なくとも1つのアクチュエータ部材によってアクチュエータ機構に組み合わせられる。少なくとも1つのアクチュエータ部材はそれぞれの内腔に沿って壁内を延びる。アクチュエータ機構は各々のアクチュエータ部材によって各端部キャップを別々に且つ遠隔に作動可能であり、閉位置と開位置との間で対応する内腔部のポートに対して近づく方向または離れる方向に移動させて対応するポートに流体を流す。
【0014】
別の実施形態では、内腔部は各々、遠位側に開口する端部ポートを遠位部に含み、遠位端ポートを閉じる端部キャップまたはバルブ構造は設けられない。
【0015】
これらおよび他の局面は以下に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、一実施形態によるカテーテルの平面図である。
【図2】図2は、図1のカテーテルの遠位部を図1より拡大して示す平面図である。
【図3】図3は、別の実施形態によるカテーテルの遠位部の平面図である。
【図4】図4は、図1の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図5は、別の実施形態によるカテーテルの平面図である。
【図6】図6は、図1のカテーテルの遠位端の側面図である。
【図7】図7は、図6の先端の上面図である。
【図8】図8は、図6の先端の底面図である。
【図9】図9は、別の実施形態によるカテーテルの遠位部の平面図である。
【図10】図10は、別の実施形態によるカテーテルの平面図である。
【図11】図11は、図10のカテーテルの一部分を、開状態のポートと共に示す斜視図である。
【図12】図12は、図11のカテーテル一部分の長手方向断面図である。
【図13】図13は、別の実施形態によるカテーテルの遠位部およびガイドワイヤの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の原理のより良い理解のために、図面に示す実施形態に照らして本発明を説明する。同一の要件には同一の用語を用いる。しかし本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書に説明または記載した本発明の原理に対する変更およびさらなる改変は当業者には通常明らかである。
【0018】
本発明は、患者の脈管構造内に移植されるカテーテルであって、少なくとも遠位部に沿って非線形形態を有するカテーテルを提供する。カテーテルの用途は、血液透析およびアフェレーシスを含む長期の脈管アクセス手順を必要とするものを含む。短期手順での適用も考えられる。カテーテルは脈管系に経皮挿入される。第1および第2内腔部は体内に対する流出入口を提供することができる。本明細書において、体内への流入は「静脈」流とも呼び、体内からの流出は「動脈」流とも呼ぶ。
【0019】
非線形遠位部は、第1および第2内腔部を含む。これらは各々、流体の流れを可能にする少なくとも1つのポートを含む。非線形形態は脈管構造に対する流体の送達および返還を向上させ、フィブリン鞘の形成を防止する助けとなる。フィブリン鞘が形成されると、遠位カテーテル部および上記少なくとも1つのポート周りのカテーテルの性能が低下する。
【0020】
一実施形態において、上記少なくとも1つのポートには、その開閉を可能にするメカニズムが備えられている。上記少なくとも1つのポートは透析をしていない期間は閉じられてポートを介した血液の流入を防止し、且つカテーテル先端内での凝固を防止する。上記少なくとも1つのポートが閉じていると、内腔部に注入された抗凝固溶液がカテーテル内腔内に保持される。
【0021】
カテーテルは任意の適切な生物適合性材料により形成することができる。生物適合性材料は、シリコーン、ポリウレタン、ポリウレタン−ポリカーボネート共重合体、または任意の他のプラスチックまたはポリマー材料を含む。カテーテルはさらに任意の抗菌性コーティングを含んでもよい。カテーテルはさらに、例えばメチレンブルーなどの抗感染剤で処理されてもよい。カテーテルは血管構造内に置くに適した任意のサイズ、例えば8〜15フレンチの範囲であり得る。他のサイズも考えられる。カテーテルまたはカテーテルを形成する内腔部の外壁面は例えば、円筒状、D字形状、二重D字形状または分割型であり得る。内腔部はさらに、内腔部の壁内に延びる単一の内腔または複数の内腔を含んでもよい。複数の内腔部はカテーテルの長さ方向に沿って互いに固定されていてもよい。一実施形態では、内腔部は長さの実質的な部分に沿って内腔部の分岐点に固定され、分岐点はカテーテルの近位部と遠位部との間の位置に固定されている。別の実施形態では、内腔部は分岐可能で、分岐点の位置がカテーテルの長さ方向に沿って変更される。
【0022】
図1にカテーテル100を示す。カテーテル100は内腔部110、120を含む細長い本体を有する。内腔部110、120は結合していてもよいし、近位部102に沿って互いに並んで配置されていてもよい。近位部102は長手方向軸104に沿って遠位側および近位側に延びていてもよい。図2にも示すように、カテーテル100の遠位端では、内腔部110、120が分岐点106を形成し、分岐点106は概してY字形状をなし、2つの内腔部110、120を分離する。分離した内腔部110、120は、患者の脈管構造内に位置するために長手方向軸104に沿って長さLだけ延びている。一実施形態では、内腔部110、120の一方が患者の体内に流体を供給するように指定され、他方の内腔部110または120が患者の体内から流体を受け取るように指定されてもよい。例えば、内腔部110が静脈流を供給し、内腔部120が動脈流を供給してもよい。
【0023】
カテーテル100は、軸方向長さLに沿って分岐点106から遠位側に延びる遠位部112を含む。長さLは約6センチメートルであってもよいし他の適切な長さであってもよい。遠位端部112は、長手方向軸104に沿って非線形の外形を有する。図示する実施形態では、遠位端部112が二重屈曲構造を形成することにより、遠位端部112が患者の体内に形成されるフィブリン鞘内に入りにくくなっている。例えば内腔部110は、分岐点106から半径R1によって規定される屈曲部(bend)に沿って延びる第1の部分116を形成する。内腔部120は、分岐点106から半径R2によって規定される屈曲部に沿って延びる第1の部分126を形成する。内腔部110、120が長手方向軸104から互いに離れて遠位側にいくにつれて外側に逸れ、長手方向軸104に対して凸状形状をなすように、半径R1および半径R2が、それぞれ内腔部110、120の側で長手方向軸104から離れる方向に設けられる。半径R1と半径R2とは同一であってもよいし、互いに異なってもよい。
【0024】
内腔部110はさらに、第1の部分116と共に逆方向の湾曲を組合せた形状を形成する第2の部分118を含む。第2の部分118は半径R3によって規定される屈曲部に沿って遠位先端114まで延びる。内腔部120もまた、第1の部分126と共に逆方向の湾曲を組合せた形状を形成する第2の部分128を含む。第2の部分128は半径R4によって規定される屈曲部に沿って遠位先端124まで延びる。半径R3および半径R4は長手方向軸104に近づく方向に規定され、第2の部分118、128が長手方向軸104から離れる方向に湾曲し、長手方向軸104に対して凹状形状をなす。
【0025】
遠位先端124が遠位先端114の近位側に離間するように、軸104に沿った部分128の長さは、軸104に沿った部分118の長さよりも短い。第2の部分118の長さおよび半径R3の大きさは、第2の部分118が長手方向軸104の第1の側から長手方向軸104を横切って第2の側に延びるように、且つ遠位先端が少なくとも部分的に長手方向軸104の第2の側に位置するように決められている。第2の部分128の長さおよび半径R4の大きさは、第2の部分128が長手方向軸104の第2の側から長手方向軸1004を横切って軸104の第1の側に延びるように、且つ遠位先端124が少なくとも部分的に長手方向軸104の第1の側に位置するように決められている。半径R1、R2、R3およびR4は内腔部110、120の屈曲部の曲率の例として記載している。内腔部110、120の各部分は、複数の半径により形成される屈曲部に沿って延びてもよく、その形態は規則的であっても不規則であってもよい。別の形態では、屈曲部は1以上の線形または角のあるセグメントを含む。
【0026】
遠位部112の二重屈曲構造は非線形外形を提供し、非線形外形は、患者の体内に載置されたときにフィブリン鞘が形成されて遠位部112を包み込むことを防止する助けとなる。内腔部110、120が互いから逸れてその後収束する関係を有するため、内腔部110、120は遠位部112に沿って非線形の外形を有する。
【0027】
図3は、別の実施形態におけるカテーテル200の遠位部を示す。カテーテル200は上記カテーテル100に類似しているが、カテーテル200の内腔部は、単一屈曲部を含む非線形外形を有する遠位部を含む。カテーテル200は、長手方向軸204に沿って延びる内腔部210、220を含む。遠位部212は、分岐点106から軸方向長さLだけ遠位側に延び、脈管構造内に移植可能である。長さLは約6センチメートルであってもよいし他の適切な長さであってもよい。内腔部210、220は互いに離れ、内腔部210は分岐点206から遠位側にいくにつれて長手方向軸204から離れて外側に逸れる。内腔部210、220のうち分岐点206から近位側に延びる部分は、カテーテル100に関して上記したように、互いに結合していてもよいし、カテーテル200の近位部202に沿って互いに並んで配置されていてもよい。一実施形態では、内腔部210、220の一方が患者の体内に流体を供給するように指定され、他方の内腔部210または220が患者の体内から流体を受け取るように指定されてもよい。例えば、内腔部210が静脈流を供給し、内腔部220が動脈流を供給してもよい。
【0028】
遠位端部212は、内腔部210に沿った二重屈曲部と内腔部220に沿った単一屈曲部を形成することにより、遠位端部212が患者の体内で形成されるフィブリン鞘内に入りにくくなっている。例えば内腔部210は、分岐点206から半径R5によって規定された屈曲部に沿って延びる第1の部分216を形成する。内腔部220は、長手方向軸204に沿って概して平行に線形に延びる第1の部分226を形成する。内腔部210、220が互いに離れ、内腔部210が遠位側にいくにつれて長手方向軸204から離れて外側に逸れ、長手方向軸204に対して凸状形状をなすように、長手方向軸204から離れる内腔部210のそばで半径R5が設けられる。
【0029】
内腔部210はさらに、第1の部分216と共に逆方向の湾曲を組合せた形状を形成する第2の部分218を含む。第2の部分218は半径R6によって規定される屈曲部に沿って遠位先端214まで延びる。内腔部220もまた、線形部226から屈曲部を形成する第2の部分228を含む。第2の部分228は半径R7によって規定される屈曲部に沿って遠位先端224まで延びる。第2の部分218、228が長手方向軸204から離れる方向に湾曲し、長手方向軸204に対して凹状形状をなすように、長手方向軸204のそばに半径R6および半径R7が設けられる。
【0030】
遠位先端224が遠位先端214の近位側に離間ように、軸204に沿った第2の部分228の長さは、軸204に沿った第2の部分218の長さよりも短い。第2の部分218の長さおよび半径R6の大きさは、第2の部分218が長手方向軸204の第1の側から長手方向軸204を横切って第2の側に延びるように、且つ遠位先端214が少なくとも部分的に長手方向軸204の第2の側に位置するように決められている。第2の部分228の長さおよび半径R7の大きさは、第2の部分228が長手方向軸204の第2の側から長手方向軸204を横切って第1の側に延びるように、且つ遠位先端224が少なくとも部分的に第1の側に位置するように決められている。半径R5、R6およびR7は内腔部210、220の遠位部212の屈曲部の曲率の例として記載している。内腔部210、220の各部分の屈曲部は、複数の半径により形成される湾曲に沿って延びてもよく、その形態は規則的であっても不規則であってもよい。別の形態では、湾曲は1以上の線形または角のあるセグメントを含む。
【0031】
遠位部212の二重屈曲構造は非線形外形を提供し、非線形外形は、患者の体内に載置されたときにフィブリン鞘が形成されて遠位部212を包み込むことを防止する助けとなる。内腔部210、220が互いから逸れてその後収束する関係を有するため、内腔部210、220は遠位部212に沿って非線形の外形を有する。
【0032】
カテーテル100、200にはそれぞれ、上記の非線形外形形態を提供する遠位部112、212が設けられている。さらに、内腔部110、120または内腔部210、220の壁内に1以上のワイヤまたは他の硬化部材を設けることにより前もって形成された非線形外形形態を移植前後で維持するようにすることも考えられる。
【0033】
図4は、カテーテル100の4−4線に沿った断面図である。内腔部110はD字形状の壁130を含み、壁130は内部に延びる中央内腔または流路132を規定する。壁130は円弧部134と、円弧部134の互いに対向する側部間を延びる直線部136とを含む。同様に、内腔部120はD字形状の壁140を含み、壁140は内部に延びる中央内腔または流路142を規定する。壁140は円弧部144と、円弧部144の互いに対向する側部間を延びる直線部146とを含む。内腔部110、120は、直線部136、146が少なくとも分岐点106から近位側では長手方向軸104に沿って横に並ぶように配置される。内腔部110は接着剤、押し出し法、溶融、または機械的固定具により互いに安定的に取り付けられる。
【0034】
さらに壁130、140は各々、対応する直線部136、146と円弧部134、144との交点またはその近傍で1対の小さい内腔を規定する。壁130はこれらの小さい内腔内に第1および第2の硬化部材150a、150bを含み、壁140はこれらの小さい内腔内に第3および第4の硬化部材152a、152bを含む。硬化部材は少なくとも遠位部112の長さLに沿って延び、遠位部を上記の非線形形態に維持する。遠位部112に沿った湾曲構造が移植時の挿入力または他の力により直線化したとき、この力が解放される際に遠位部112が付勢されて非線形外形に戻るように、硬化部材150a、150bおよび硬化部材152a、152bは弾性である。一実施形態では、硬化部材150a、150bおよび硬化部材152a、152bは細長いワイヤであり、チタン−ニッケル合金またはばね鋼などの形状記憶材料から形成されている。硬化部材は対応する内腔部110、120の長さ全体に延びてもよいし、対応する内腔部110、120の長さの一部分のみに延びてもよい。別の実施形態では、内腔部の一方または両方に、単一の硬化部材が設けられる。さらに別の実施形態では、2を超える硬化部材が内腔部の一方または両方の壁内に設けられる。
【0035】
図5に示す別の実施形態では、カテーテル300が、近位部302と遠位部312とを含む。遠位部312はカテーテル100の遠位部112同様に示されているが、他の構造も有し得ることが理解される。近位部302は、カテーテル100の内腔部110、120同様の構造を有する第1および第2内腔部310、320を含む。しかし近位部302は中間屈曲部360を含み、中間屈曲部360は、近位部302の遠位セグメント362の、近位部302の近位セグメント364に対する方向を変える。
【0036】
近位セグメント364は長手方向軸304に沿って延び、遠位セグメント362は長手方向軸306に沿って延びる。軸304と306とがその間の角度Aを規定するように、中間屈曲部360はU字形状を含む。内腔部310、320は予め屈曲部360を含むように形成されてもよい。硬化部材150a、150bおよび硬化部材152a、152bのような硬化部材が、梱包、出荷、移植処置中、および移植後に亘って、カテーテル300が屈曲部360を有するように維持する。屈曲部360は半径に沿って湾曲する。これにより、遠位セグメント362と近位セグメント364とが平滑に移行する。従って鋭角の折り曲がりが形成されたり内腔部310、320がよじれたりして、通路内の流れが制限されたり妨害されたりすることを排除または防止する。
【0037】
一実施形態では、角度Aは約30°である。別の実施形態では角度Aは5°から180°の範囲である。以下に述べるさらに別の実施形態では、屈曲部360が180°に延びることにより、遠位セグメント362の軸306が近位セグメント364の軸304と平行になる。
【0038】
図1に戻ってカテーテル100の近位部102をさらに詳細に述べる。他の実施形態によるカテーテルでは、近位部は近位部102と同様の構造を有してもよいし、異なっていてもよいことが理解される。近位部102は、内腔部110、120周りに延びるカフ160を含む。カフ160は、カテーテル100が患者の皮膚に入る位置で組織の内方成長用の足場を提供する。一実施形態では、カフ160はポリエステルフェルトである。他の実施形態では、カフ160に関して他の任意の適切な構造または材料が考えられる。さらに他の実施形態では、カフ160は省略される。
【0039】
カテーテル100の近位部102は、内腔部110、120の近位端に接続されたハブ162をさらに含む。ハブ162はウィング164を含み、ウィング164は、縫糸を受け取って移植後の患者体内でカテーテル100を安定させる穴を規定する。ハブ162はさらに内腔部110、120の通路132、142の分離を維持する。通路132、142はそれぞれ、ハブ162から近位側に延びる第1および第2のリード170、180と流体連通する。さらにリード170、180は可撓性管により形成されており、近位端にそれぞれメス取付具172、182を含む。オス取付具174,184はそれぞれメス取付具172、182に対して取り外し可能に係合することにより、メス取付具172、182の完全性と無菌状態を維持するキャップを提供する。リード170、180はそれぞれクランプ176、186をさらに含む。クランプ176、186は、対応するリード170、180を解放可能に締めることにより、内腔部110、120の通路132、142内の流体の流れを制限したり許可したりする。
【0040】
カテーテル100の長さとしては様々なものが考えられる。他の実施形態によるカテーテルは同一の長さを有してもよいし異なる長さを有してもよいことが理解される。カテーテル100はハブ162の遠位端から内腔部110の遠位端まで寸法L1を有する。カフ160は内腔部110の遠位端から寸法L2だけ離れている。一実施形態では、寸法L1は24センチメートルから32センチメートルの範囲であり、寸法L2は19センチメートルから27センチメートルの範囲である。カテーテル100は、ハブ162の遠位端から内腔部120の遠位端まで寸法L3を有する。カフ160は内腔部120の遠位端から寸法L4だけ離れている。一実施形態では、寸法L3は21センチメートルから29センチメートルの範囲であり、寸法L4は16センチメートルから24センチメートルの範囲である。リード170、180はハブ162から寸法L5だけ近位側に延びる。一実施形態では、寸法L5は3.25インチである。他の実施形態ではL1、L2、L3、L4およびL5は別の長さである。
【0041】
遠位先端の構造としては様々なものが考えられる。一実施形態では、図4に示す内腔部110、120の構造が遠位先端まで続くことにより、遠位側に開口するポートを提供する。図6から図8に示す別の実施形態では、遠位先端部114、124が遠位側にいくにつれて細くなる構造を有する。図6から図8には遠位先端部114を示すが、遠位先端部124も同様の構造を有し得ることが理解される。具体的には壁130は先端部114の近位部190に沿って第1の厚みを有する。硬化部材150a、150bは、先端部114の遠位端192から近位側に離間して位置する遠位端まで壁130の厚みで延びる。壁130の厚みは遠位先端部114の遠位部194に沿って、硬化部材150a、150bの遠位端位置から遠位端192に向かって細くなり、遠位端192で通路132が遠位側に開口する。通路132の断面積は遠位先端部114を通して一定であり、これにより流体用に使用可能な面積が最大となる。遠位先端部114の遠位部194に沿って減少する壁厚みは遠位先端部の可撓性を高め、遠位先端部114が血管壁または他の体内構造に接触したとしてもそのトラウマから脈管構造をさらに保護する。
【0042】
遠位先端部114は、直線壁136に沿って近位−遠位方向に延びる側部ポート196をさらに含む。側部ポート196は細長いスリットを形成し、通常は閉じているが、十分な流体圧力が付与されると開くことにより少なくともある程度の流体を流通させる。別の実施形態では、遠位先端部114に側部ポート196は設けられない。さらに別の実施形態では、遠位先端部114に複数の側部ポートが設けられる。
【0043】
図9に示すさらに別の実施形態では、カテーテル100’はカテーテル100に類似しているが、動脈内腔部120’の遠位先端が異なる。遠位先端部124’は、遠位開口が脈管構造内の流方向を向くように構成されている。従って遠位先端部124’は、内腔部120’の壁140に対して斜め方向を向いている遠位端壁125’を含む。遠位端壁125’の鋭角側部127’は内腔部110の方を向くように配置され、内腔部110に取り付けられることにより、遠位開口が流方向を向き脈管壁方向を向いていない状態を維持する。取付構造はさらに、遠位先端部124’の遠位開口が、脈管構造内で内腔部110の壁130によって閉塞されることを防止する。
【0044】
図10から図12は別の実施形態によるカテーテル400を示す。カテーテル400はカテーテル100に類似しているが、カテーテル400は、アクチュエータと共に作動可能で内腔部の遠位ポートを選択的に解放する開閉メカニズムを含む。具体的には、カテーテル400は、第1内腔部410と第2内腔部420とを含む。内腔部410、420はカテーテル400の近位部402と遠位部404とを形成する。内腔部410、420は上記の内腔部110、120と実質的に同一である。但し硬化部材も内腔部410、420の壁内に設けられた可動アクチュエータ部材450(図11〜図12)であり、アクチュエータ460と共に長手方向に移動可能である。アクチュエータ460は近位ハブ470に取り付けられる。ハブ470は内腔部410、420を受取り、対応するリード472、474まで別々の流路を維持する。アクチュエータ部材450は対応する内腔部410、420の遠位端にある端部キャップ430、440に組み合わせられ、長手方向に移動可能で端部キャップ430、440の遠位ポートを開閉する。アクチュエータ部材450はさらに、上記硬化部材150a、150b、152a、152b同様の硬化部材を提供することにより、内腔部410、420の形状と遠位部404に沿った非線形外形とを維持する。
【0045】
近位部402は、長手方向軸411に沿って延びる遠位セグメント406と、長手方向軸401に沿って延びる近位セグメント408とを含む。長手方向軸401、411が互いに平行をなすように、近位セグメント408は180度屈曲部414によって遠位セグメント406と接続される。他の実施形態では、カテーテル100および300について上記したように軸401、411間には別の角度構造が設けられる。
【0046】
図11および図12にカテーテル400の遠位部404における内腔部410、420を示す。内腔部410、420は本明細書中に特に記載する以外は上記の内腔部110、120と同一であることが理解される。内腔部410、420は各々、内腔部内に流体を流す内腔または通路421周りに延びる壁418により形成される本体を含む。内腔421は内腔部410、420の遠位端422で開口することにより、流体の流出入用の遠位側に開口するポート416を形成する。
【0047】
さらにカテーテル400は、それぞれ内腔部410、420と協働する端部キャップ430、440を含む。端部キャップ430、440は内腔部410、420の遠位端に対して、図11に示す開位置から閉位置までアクチュエータ部材450を操作することにより移動可能である。ポート416を開口させるためには、端部キャップ430、440を閉位置から開位置まで遠位側に移動させることによりカテーテル400を変形させるとよい。開位置では、キャップ430、440は遠位端422と離間し、その結果カテーテル400の長さが変わってポート416が開口し、内腔421に対して流体を流出入させる。端部キャップ430、440は、内腔部410、420と端部キャップ430、440との間に延びる1以上のアクチュエータ部材450により内腔部410、420に組み合わせられている。アクチュエータ部材450は、直線部419と丸みのある凸部423との交点またはその近傍において、壁418内のアクチュエータワイヤという形態を取っている。各アクチュエータ部材450は壁418内に形成された内腔451内に配置され、対応する内腔部410、420の長さに沿って延びている。各アクチュエータ部材450を受け取る内腔451は、ステンレス鋼または形状記憶材料などの平坦なワイヤコイルによって形成することができる。アクチュエータ部材450もまた、ステンレス鋼、形状記憶材料または他の適切な材料で形成することができる。アクチュエータ部材450と1以上の他のアクチュエータ部材または非可動硬化部材とを壁418周りの別々の位置に設けてもよい。
【0048】
端部キャップ430、440を開位置から閉位置に移動させるためには、端部キャップ430、440をポート416に向けて長手方向軸411に沿って軸方向かつ近位側に移動させ、対応する内腔部410、420と密接に係合させればよい。アクチュエータ部材450はアクチュエータ機構と組み合わせられることにより移動が許可される。従ってそれに組み合わせられる端部キャップ430、440は、図12に破線で示すように軸411に沿って閉位置まで近位側に移動する。ポート416を開くためには、アクチュエータ部材450をアクチュエータ機構と共に遠位側に移動させることにより、キャップ430、440を軸411に沿って対応する内腔部410、420のポート416に対して遠位側に移動させる。端部キャップ430、440は先細りの近位部432を含み、近位部432により、ポート416が内腔421に受け取られることが容易になる。先細り部432はさらに端部キャップ430、440がポート416に対して自発的に中心を合わせ、対応する内腔部410、420の壁418と密接に係合することを可能にする。別の実施形態では、端部キャップ430、440は、閉位置において対応する内腔部の端部を受け取る容器で構成される。
【0049】
図10に戻って、内腔部420の端部キャップ440が開くと、端部キャップ440は遠位部404で内腔部410に接触し、破線で示すように内腔部410を長手方向軸411から離れるように移動させる。これにより内腔部410、420に沿って形成されるフィブリン鞘を自由するか又はまたは緩める。さらにキャップ430、440を開閉することにより、内腔部410、420の遠位部に形成されたフィブリン鞘は自由になるか又は緩くなる。さらに内腔部410、420の非線形形態およびそれに設けられた可動ポート構造は、ポートを開閉する間に内腔部410に沿って移動可能であり、フィブリン鞘の形成を移動または軽減させる。内腔部410、420の遠位端を長手方向軸411を横断するように方向付けることにより、ポートが脈管構造を横断するように方向付けられ、ポートが脈管構造に接触した場合に端部キャップ430、440がポートを脈管構造から離して、内部に遠位先端を収容する脈管構造によってポートからの流れが閉塞されることを防止または軽減する。
【0050】
図10はさらに、近位ハブ470で互いに組み合わせられる内腔部410、420を示す。近位ハブ470は2つの内腔部410、420を分離してリード472、474と接続する構造を含む。リード472、474は、カテーテル100に関して上記したリード170,180と同様の構成を有していてもよい。ある実施形態では、矢印412、413で示すように内腔部410、420の一方が患者の体内に流体を供給するように指定され、他方の内腔部410または420が患者の体内から流体を受け取るように指定されてもよい。
【0051】
アクチュエータ460は、第1および第2内腔部410、420のうち対応する一方と協働する第1および第2のスライドボタン462、464を含む。スライドボタン462、464は、ハブ470に取り付けられるか又は組み合わせられている。スライドボタン462、464は長手方向に移動可能であり、それと係合した1以上のアクチュエータ部材450を移動させて対応する端部キャップ430または440を開閉させる。スライドボタン462、464は遠隔操作によって、アクチュエータ部材450および対応する内腔部410、420の対応する端部キャップ430、440を内腔部の壁に沿って移動させることを可能にする。分離したスライドボタン462、464は所望に応じて近位方向または遠位方向のいずれかに軸に沿って移動可能である。それにより、内腔部410、420のいずれがアクチュエータ460で操作されたかに応じて、端部キャップ430、440別々に且つ遠隔的に移動させる。このような移動により、1以上のポートが選択的に開閉されて流体の流出入を可能にする。
【0052】
図13にカテーテル400の遠位部404の別の実施形態を示す。ここではカテーテルは400’で示す。カテーテル400’は内腔部410、420を含むが、それぞれ内腔部410、420と協働する別の態様の端部キャップ430’および440’を含む。端部キャップ430’および440’は、アクチュエータ部材450により内腔部と組み合わせられているが、それぞれ通路431、441を含むことによりガイドワイヤ500を受け取ってカテーテル400を患者の体内に経皮的に載置することを容易にする。
【0053】
使用時、ガイドワイヤ500は患者のカテーテル移植位置に配置される。キャップ430’、440’は閉位置に移動され、ガイドワイヤ500の近位端が端部キャップ430’の長手方向通路431内に挿入される。その後端部キャップ440’が開いてガイドワイヤ500の近位端が内腔部420の近位端内の通路421内に配置される。あるいはガイドワイヤ500は、端部キャップ440’内を長手方向に延びる通路441内に配置される。その後カテーテル400’がガイドワイヤ500に沿って案内され内腔部410、420の遠位端を移植位置に配置する。
【0054】
本明細書に記載したカテーテルを採用する1つの処置では、長い方の又は静脈内腔部の遠位端が心臓の右心房に載置され、短い方の又は動脈内腔部の遠位端が上大動脈と右心房との交点に載置される。他の処置では、他の移植位置および手法も考えられる。例えば、カテーテル100を移植位置に載置するために、内腔部110、120の一方の通路内にガイドワイヤを通し、ガイドワイヤに沿ってカテーテル100を移植位置まで案内してもよい。分岐点におけるカテーテルの遠位部は解放可能なバンドまたは縫糸と共に保持することができ、これにより挿入が容易になる。別の処置では、いずれかの実施形態によるカテーテルの遠位端をトンネル装置内に載置して非線形遠位部をより直線の構造に維持する。カテーテルをより直線の構造で患者の体内に挿入し、移植後トンネル装置から解放して、遠位部に沿って非線形外形に戻す。いずれの処置でもカテーテルの位置決めおよび載置を超音波および透視で監視してもよい。
【0055】
本発明を図面と上記記載により詳細に説明し記載したが、上記説明および記載は本発明を説明するためのものであり限定するものではない。例えばいずれの実施形態についても、流体流ポートを開閉するマイクロモータまたは他の自動または機械的システムを含むカテーテル作動機構が考えられる。本発明の思想内のあらゆる変更および改変は保護対象とすべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は2006年7月11日に出願された米国仮特許出願第60/819,927号および2006年9月27日に出願された米国特許出願第11/528,733号に基づく優先権を主張する。上記出願はその全体を参考のためここに援用する。
【0003】
末期腎疾患(ESRD)の患者は生存するために日常的に透析治療を受けなければならない。体内カテーテルは、透析の反復に必要な静脈への侵入回数を減らすため、血液透析にとって有用な透析アクセス方法である。透析用長期中心静脈カテーテル(CVCD)はERSD患者または血液透析の25%を超えるケースに用いられている主要な長期透析アクセスである。
【0004】
標準的なフロースルー透析システムにおいて、CVCDは血液取り出し用の第1のルートと、返血用の第2のルートを少なくとも300ml/分の速度で提供しなければならない。標準のフロースルー透析システム用CVCDは、鎖骨上にトンネルを形成するような方法で頸静脈に2本の別々のカテーテルを挿入することによって形成することができる。この構成では、カテーテル先端は上大動脈と右心房との交点近傍に位置する。血液取り出しカテーテルまたは動脈カテーテルの先端は、下流の返血カテーテルまたは静脈カテーテルの先端よりも3〜4cm上に位置する。これは浄化された血液が動脈カテーテルに入る血液と混ざることを防止するためである。
【0005】
標準のフロースルー透析システム用の別々のカテーテルに代えて、2つの別々の内腔(lumen)を有する単体カテーテルを透析アクセスに用いることができる。この構成では、動脈内腔の先端は静脈内腔の先端の3〜4cm上に位置する。標準のフロースルー構造同様、この構成も浄化された血液が動脈内腔に入る血液と混ざることを防止する。さらに別の方法として、単一の内腔を有する単体カテーテルによっても透析を行うことができる。この場合、透析器はある量の未処置血液の送達と処置済み血液の返血とを交互に行う。
【0006】
血液はカテーテル内のポートまたは穴を介してカテーテル内腔に対して流出入する。これらのポートの設計は様々であり、内腔を1つ有するカテーテルでも2つ有するカテーテルでも同様のコンセプトが用いられる。第1の例は、血液の流出入用に単一のポートを先端に有するカテーテル内腔である。第2の例は、内腔本体の遠位先端側に血液交換ポートを有するカテーテル内腔である。別の例は、内腔本体の遠位先端側に軸周りに設けられた複数の血液交換ポートを有するカテーテル内腔である。これらのCVCDの設計はすべて機能するが、この分野では改良の余地があり、現在用いられている透析カテーテルのポート設計はいずれも問題がある。
【0007】
血液交換ポートを1つだけ含む動脈カテーテル内腔は、その位置にかかわらず、隣接する静脈壁によってポートが閉塞する危険性がある。これは交換ポート内で血液が凝固したり、内腔の遠位端および交換ポート周りでフィブリン鞘が成長したりするために起こる。血液交換ポートを1つだけ含む静脈カテーテル内腔は、その位置にかかわらず閉塞する危険性がある。これは交換ポートで血液が凝固したり、内腔の遠位端および交換ポート周りでフィブリン鞘が成長したりするために起こる。血液交換ポートが閉塞すると、少なくとも300ml/分という所望の血液交換速度が得られない。閉塞の度合いによっては、体内カテーテルが透析アクセス用に機能しなくなるかもしれない。そのためこのレベルの閉塞が起こると、体内カテーテルを取り替えなければならない。
【0008】
遠位端周りに複数の血液交換ポートを有する動脈カテーテル内腔は、静脈閉塞の危険性を減らす。しかし複数のポートが存在するために血液凝固による閉塞の危険性が増す。なぜなら複数のポートは、使われていないときに血液を内腔に流し込むことが可能であり、その結果抗凝固溶液が洗い流される可能性があるからである。カテーテルの遠位端に抗凝固溶液が少なくなると、ポートおよび内腔内で凝固する血液の量が増える。血液交換ポートの閉塞により、少なくとも300ml/分という所望の血液交換速度が得られない。閉塞の度合いによっては、体内カテーテルが透析アクセス用に機能しなくなるかもしれない。そのためこのレベルの閉塞が起こると、体内カテーテルを取り替えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従ってこの産業分野ではカテーテルの血液交換ポートおよびカテーテルの遠位端周りにおける閉塞を防止する方法および装置が概して必要とされている。これらの方法および装置は、カテーテル先端の凝固および血液がフィブリン鞘内に入ることにより内腔が閉塞されることを防止すると共に、透析間の不使用時にカテーテルの抗凝固ロック溶液を内腔内に維持することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は体内カテーテルに向けられている。特に一局面は凝固またはカテーテルの遠位端が包まれることを防止するように適合された体内カテーテルに関するがこれに限られない。カテーテルの1つの用途は透析用カテーテル(CVCD)としての使用であるが、これに限られない。他の用途も考えられる。
【0011】
一局面において、カテーテルは1対の内腔部を含む細長い本体を含む。1対の内腔部は各々、流体が内部を流れる内腔部または通路を有する。内腔部は各々、遠位端と近位端との間に延び、遠位端またはその近傍に内腔部と連通するポートを含む。
【0012】
さらなる局面では、内腔部の遠位部に沿って、内腔部は互いに離れる。内腔部の少なくとも一方が非線形形態で長手方向軸を横切るように延びる。別の実施形態では、内腔部の各々が長手方向軸を横切って非線形外形を形成するように延びる。
【0013】
一実施形態では、カテーテルはさらに、それぞれの内腔部の遠位端に1対の端部キャップと遠位側に開口するポートを含み、カテーテルの近位端にアクチュエータ機構を含む。端部キャップの各々は少なくとも1つのアクチュエータ部材によってアクチュエータ機構に組み合わせられる。少なくとも1つのアクチュエータ部材はそれぞれの内腔に沿って壁内を延びる。アクチュエータ機構は各々のアクチュエータ部材によって各端部キャップを別々に且つ遠隔に作動可能であり、閉位置と開位置との間で対応する内腔部のポートに対して近づく方向または離れる方向に移動させて対応するポートに流体を流す。
【0014】
別の実施形態では、内腔部は各々、遠位側に開口する端部ポートを遠位部に含み、遠位端ポートを閉じる端部キャップまたはバルブ構造は設けられない。
【0015】
これらおよび他の局面は以下に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、一実施形態によるカテーテルの平面図である。
【図2】図2は、図1のカテーテルの遠位部を図1より拡大して示す平面図である。
【図3】図3は、別の実施形態によるカテーテルの遠位部の平面図である。
【図4】図4は、図1の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図5は、別の実施形態によるカテーテルの平面図である。
【図6】図6は、図1のカテーテルの遠位端の側面図である。
【図7】図7は、図6の先端の上面図である。
【図8】図8は、図6の先端の底面図である。
【図9】図9は、別の実施形態によるカテーテルの遠位部の平面図である。
【図10】図10は、別の実施形態によるカテーテルの平面図である。
【図11】図11は、図10のカテーテルの一部分を、開状態のポートと共に示す斜視図である。
【図12】図12は、図11のカテーテル一部分の長手方向断面図である。
【図13】図13は、別の実施形態によるカテーテルの遠位部およびガイドワイヤの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の原理のより良い理解のために、図面に示す実施形態に照らして本発明を説明する。同一の要件には同一の用語を用いる。しかし本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書に説明または記載した本発明の原理に対する変更およびさらなる改変は当業者には通常明らかである。
【0018】
本発明は、患者の脈管構造内に移植されるカテーテルであって、少なくとも遠位部に沿って非線形形態を有するカテーテルを提供する。カテーテルの用途は、血液透析およびアフェレーシスを含む長期の脈管アクセス手順を必要とするものを含む。短期手順での適用も考えられる。カテーテルは脈管系に経皮挿入される。第1および第2内腔部は体内に対する流出入口を提供することができる。本明細書において、体内への流入は「静脈」流とも呼び、体内からの流出は「動脈」流とも呼ぶ。
【0019】
非線形遠位部は、第1および第2内腔部を含む。これらは各々、流体の流れを可能にする少なくとも1つのポートを含む。非線形形態は脈管構造に対する流体の送達および返還を向上させ、フィブリン鞘の形成を防止する助けとなる。フィブリン鞘が形成されると、遠位カテーテル部および上記少なくとも1つのポート周りのカテーテルの性能が低下する。
【0020】
一実施形態において、上記少なくとも1つのポートには、その開閉を可能にするメカニズムが備えられている。上記少なくとも1つのポートは透析をしていない期間は閉じられてポートを介した血液の流入を防止し、且つカテーテル先端内での凝固を防止する。上記少なくとも1つのポートが閉じていると、内腔部に注入された抗凝固溶液がカテーテル内腔内に保持される。
【0021】
カテーテルは任意の適切な生物適合性材料により形成することができる。生物適合性材料は、シリコーン、ポリウレタン、ポリウレタン−ポリカーボネート共重合体、または任意の他のプラスチックまたはポリマー材料を含む。カテーテルはさらに任意の抗菌性コーティングを含んでもよい。カテーテルはさらに、例えばメチレンブルーなどの抗感染剤で処理されてもよい。カテーテルは血管構造内に置くに適した任意のサイズ、例えば8〜15フレンチの範囲であり得る。他のサイズも考えられる。カテーテルまたはカテーテルを形成する内腔部の外壁面は例えば、円筒状、D字形状、二重D字形状または分割型であり得る。内腔部はさらに、内腔部の壁内に延びる単一の内腔または複数の内腔を含んでもよい。複数の内腔部はカテーテルの長さ方向に沿って互いに固定されていてもよい。一実施形態では、内腔部は長さの実質的な部分に沿って内腔部の分岐点に固定され、分岐点はカテーテルの近位部と遠位部との間の位置に固定されている。別の実施形態では、内腔部は分岐可能で、分岐点の位置がカテーテルの長さ方向に沿って変更される。
【0022】
図1にカテーテル100を示す。カテーテル100は内腔部110、120を含む細長い本体を有する。内腔部110、120は結合していてもよいし、近位部102に沿って互いに並んで配置されていてもよい。近位部102は長手方向軸104に沿って遠位側および近位側に延びていてもよい。図2にも示すように、カテーテル100の遠位端では、内腔部110、120が分岐点106を形成し、分岐点106は概してY字形状をなし、2つの内腔部110、120を分離する。分離した内腔部110、120は、患者の脈管構造内に位置するために長手方向軸104に沿って長さLだけ延びている。一実施形態では、内腔部110、120の一方が患者の体内に流体を供給するように指定され、他方の内腔部110または120が患者の体内から流体を受け取るように指定されてもよい。例えば、内腔部110が静脈流を供給し、内腔部120が動脈流を供給してもよい。
【0023】
カテーテル100は、軸方向長さLに沿って分岐点106から遠位側に延びる遠位部112を含む。長さLは約6センチメートルであってもよいし他の適切な長さであってもよい。遠位端部112は、長手方向軸104に沿って非線形の外形を有する。図示する実施形態では、遠位端部112が二重屈曲構造を形成することにより、遠位端部112が患者の体内に形成されるフィブリン鞘内に入りにくくなっている。例えば内腔部110は、分岐点106から半径R1によって規定される屈曲部(bend)に沿って延びる第1の部分116を形成する。内腔部120は、分岐点106から半径R2によって規定される屈曲部に沿って延びる第1の部分126を形成する。内腔部110、120が長手方向軸104から互いに離れて遠位側にいくにつれて外側に逸れ、長手方向軸104に対して凸状形状をなすように、半径R1および半径R2が、それぞれ内腔部110、120の側で長手方向軸104から離れる方向に設けられる。半径R1と半径R2とは同一であってもよいし、互いに異なってもよい。
【0024】
内腔部110はさらに、第1の部分116と共に逆方向の湾曲を組合せた形状を形成する第2の部分118を含む。第2の部分118は半径R3によって規定される屈曲部に沿って遠位先端114まで延びる。内腔部120もまた、第1の部分126と共に逆方向の湾曲を組合せた形状を形成する第2の部分128を含む。第2の部分128は半径R4によって規定される屈曲部に沿って遠位先端124まで延びる。半径R3および半径R4は長手方向軸104に近づく方向に規定され、第2の部分118、128が長手方向軸104から離れる方向に湾曲し、長手方向軸104に対して凹状形状をなす。
【0025】
遠位先端124が遠位先端114の近位側に離間するように、軸104に沿った部分128の長さは、軸104に沿った部分118の長さよりも短い。第2の部分118の長さおよび半径R3の大きさは、第2の部分118が長手方向軸104の第1の側から長手方向軸104を横切って第2の側に延びるように、且つ遠位先端が少なくとも部分的に長手方向軸104の第2の側に位置するように決められている。第2の部分128の長さおよび半径R4の大きさは、第2の部分128が長手方向軸104の第2の側から長手方向軸1004を横切って軸104の第1の側に延びるように、且つ遠位先端124が少なくとも部分的に長手方向軸104の第1の側に位置するように決められている。半径R1、R2、R3およびR4は内腔部110、120の屈曲部の曲率の例として記載している。内腔部110、120の各部分は、複数の半径により形成される屈曲部に沿って延びてもよく、その形態は規則的であっても不規則であってもよい。別の形態では、屈曲部は1以上の線形または角のあるセグメントを含む。
【0026】
遠位部112の二重屈曲構造は非線形外形を提供し、非線形外形は、患者の体内に載置されたときにフィブリン鞘が形成されて遠位部112を包み込むことを防止する助けとなる。内腔部110、120が互いから逸れてその後収束する関係を有するため、内腔部110、120は遠位部112に沿って非線形の外形を有する。
【0027】
図3は、別の実施形態におけるカテーテル200の遠位部を示す。カテーテル200は上記カテーテル100に類似しているが、カテーテル200の内腔部は、単一屈曲部を含む非線形外形を有する遠位部を含む。カテーテル200は、長手方向軸204に沿って延びる内腔部210、220を含む。遠位部212は、分岐点106から軸方向長さLだけ遠位側に延び、脈管構造内に移植可能である。長さLは約6センチメートルであってもよいし他の適切な長さであってもよい。内腔部210、220は互いに離れ、内腔部210は分岐点206から遠位側にいくにつれて長手方向軸204から離れて外側に逸れる。内腔部210、220のうち分岐点206から近位側に延びる部分は、カテーテル100に関して上記したように、互いに結合していてもよいし、カテーテル200の近位部202に沿って互いに並んで配置されていてもよい。一実施形態では、内腔部210、220の一方が患者の体内に流体を供給するように指定され、他方の内腔部210または220が患者の体内から流体を受け取るように指定されてもよい。例えば、内腔部210が静脈流を供給し、内腔部220が動脈流を供給してもよい。
【0028】
遠位端部212は、内腔部210に沿った二重屈曲部と内腔部220に沿った単一屈曲部を形成することにより、遠位端部212が患者の体内で形成されるフィブリン鞘内に入りにくくなっている。例えば内腔部210は、分岐点206から半径R5によって規定された屈曲部に沿って延びる第1の部分216を形成する。内腔部220は、長手方向軸204に沿って概して平行に線形に延びる第1の部分226を形成する。内腔部210、220が互いに離れ、内腔部210が遠位側にいくにつれて長手方向軸204から離れて外側に逸れ、長手方向軸204に対して凸状形状をなすように、長手方向軸204から離れる内腔部210のそばで半径R5が設けられる。
【0029】
内腔部210はさらに、第1の部分216と共に逆方向の湾曲を組合せた形状を形成する第2の部分218を含む。第2の部分218は半径R6によって規定される屈曲部に沿って遠位先端214まで延びる。内腔部220もまた、線形部226から屈曲部を形成する第2の部分228を含む。第2の部分228は半径R7によって規定される屈曲部に沿って遠位先端224まで延びる。第2の部分218、228が長手方向軸204から離れる方向に湾曲し、長手方向軸204に対して凹状形状をなすように、長手方向軸204のそばに半径R6および半径R7が設けられる。
【0030】
遠位先端224が遠位先端214の近位側に離間ように、軸204に沿った第2の部分228の長さは、軸204に沿った第2の部分218の長さよりも短い。第2の部分218の長さおよび半径R6の大きさは、第2の部分218が長手方向軸204の第1の側から長手方向軸204を横切って第2の側に延びるように、且つ遠位先端214が少なくとも部分的に長手方向軸204の第2の側に位置するように決められている。第2の部分228の長さおよび半径R7の大きさは、第2の部分228が長手方向軸204の第2の側から長手方向軸204を横切って第1の側に延びるように、且つ遠位先端224が少なくとも部分的に第1の側に位置するように決められている。半径R5、R6およびR7は内腔部210、220の遠位部212の屈曲部の曲率の例として記載している。内腔部210、220の各部分の屈曲部は、複数の半径により形成される湾曲に沿って延びてもよく、その形態は規則的であっても不規則であってもよい。別の形態では、湾曲は1以上の線形または角のあるセグメントを含む。
【0031】
遠位部212の二重屈曲構造は非線形外形を提供し、非線形外形は、患者の体内に載置されたときにフィブリン鞘が形成されて遠位部212を包み込むことを防止する助けとなる。内腔部210、220が互いから逸れてその後収束する関係を有するため、内腔部210、220は遠位部212に沿って非線形の外形を有する。
【0032】
カテーテル100、200にはそれぞれ、上記の非線形外形形態を提供する遠位部112、212が設けられている。さらに、内腔部110、120または内腔部210、220の壁内に1以上のワイヤまたは他の硬化部材を設けることにより前もって形成された非線形外形形態を移植前後で維持するようにすることも考えられる。
【0033】
図4は、カテーテル100の4−4線に沿った断面図である。内腔部110はD字形状の壁130を含み、壁130は内部に延びる中央内腔または流路132を規定する。壁130は円弧部134と、円弧部134の互いに対向する側部間を延びる直線部136とを含む。同様に、内腔部120はD字形状の壁140を含み、壁140は内部に延びる中央内腔または流路142を規定する。壁140は円弧部144と、円弧部144の互いに対向する側部間を延びる直線部146とを含む。内腔部110、120は、直線部136、146が少なくとも分岐点106から近位側では長手方向軸104に沿って横に並ぶように配置される。内腔部110は接着剤、押し出し法、溶融、または機械的固定具により互いに安定的に取り付けられる。
【0034】
さらに壁130、140は各々、対応する直線部136、146と円弧部134、144との交点またはその近傍で1対の小さい内腔を規定する。壁130はこれらの小さい内腔内に第1および第2の硬化部材150a、150bを含み、壁140はこれらの小さい内腔内に第3および第4の硬化部材152a、152bを含む。硬化部材は少なくとも遠位部112の長さLに沿って延び、遠位部を上記の非線形形態に維持する。遠位部112に沿った湾曲構造が移植時の挿入力または他の力により直線化したとき、この力が解放される際に遠位部112が付勢されて非線形外形に戻るように、硬化部材150a、150bおよび硬化部材152a、152bは弾性である。一実施形態では、硬化部材150a、150bおよび硬化部材152a、152bは細長いワイヤであり、チタン−ニッケル合金またはばね鋼などの形状記憶材料から形成されている。硬化部材は対応する内腔部110、120の長さ全体に延びてもよいし、対応する内腔部110、120の長さの一部分のみに延びてもよい。別の実施形態では、内腔部の一方または両方に、単一の硬化部材が設けられる。さらに別の実施形態では、2を超える硬化部材が内腔部の一方または両方の壁内に設けられる。
【0035】
図5に示す別の実施形態では、カテーテル300が、近位部302と遠位部312とを含む。遠位部312はカテーテル100の遠位部112同様に示されているが、他の構造も有し得ることが理解される。近位部302は、カテーテル100の内腔部110、120同様の構造を有する第1および第2内腔部310、320を含む。しかし近位部302は中間屈曲部360を含み、中間屈曲部360は、近位部302の遠位セグメント362の、近位部302の近位セグメント364に対する方向を変える。
【0036】
近位セグメント364は長手方向軸304に沿って延び、遠位セグメント362は長手方向軸306に沿って延びる。軸304と306とがその間の角度Aを規定するように、中間屈曲部360はU字形状を含む。内腔部310、320は予め屈曲部360を含むように形成されてもよい。硬化部材150a、150bおよび硬化部材152a、152bのような硬化部材が、梱包、出荷、移植処置中、および移植後に亘って、カテーテル300が屈曲部360を有するように維持する。屈曲部360は半径に沿って湾曲する。これにより、遠位セグメント362と近位セグメント364とが平滑に移行する。従って鋭角の折り曲がりが形成されたり内腔部310、320がよじれたりして、通路内の流れが制限されたり妨害されたりすることを排除または防止する。
【0037】
一実施形態では、角度Aは約30°である。別の実施形態では角度Aは5°から180°の範囲である。以下に述べるさらに別の実施形態では、屈曲部360が180°に延びることにより、遠位セグメント362の軸306が近位セグメント364の軸304と平行になる。
【0038】
図1に戻ってカテーテル100の近位部102をさらに詳細に述べる。他の実施形態によるカテーテルでは、近位部は近位部102と同様の構造を有してもよいし、異なっていてもよいことが理解される。近位部102は、内腔部110、120周りに延びるカフ160を含む。カフ160は、カテーテル100が患者の皮膚に入る位置で組織の内方成長用の足場を提供する。一実施形態では、カフ160はポリエステルフェルトである。他の実施形態では、カフ160に関して他の任意の適切な構造または材料が考えられる。さらに他の実施形態では、カフ160は省略される。
【0039】
カテーテル100の近位部102は、内腔部110、120の近位端に接続されたハブ162をさらに含む。ハブ162はウィング164を含み、ウィング164は、縫糸を受け取って移植後の患者体内でカテーテル100を安定させる穴を規定する。ハブ162はさらに内腔部110、120の通路132、142の分離を維持する。通路132、142はそれぞれ、ハブ162から近位側に延びる第1および第2のリード170、180と流体連通する。さらにリード170、180は可撓性管により形成されており、近位端にそれぞれメス取付具172、182を含む。オス取付具174,184はそれぞれメス取付具172、182に対して取り外し可能に係合することにより、メス取付具172、182の完全性と無菌状態を維持するキャップを提供する。リード170、180はそれぞれクランプ176、186をさらに含む。クランプ176、186は、対応するリード170、180を解放可能に締めることにより、内腔部110、120の通路132、142内の流体の流れを制限したり許可したりする。
【0040】
カテーテル100の長さとしては様々なものが考えられる。他の実施形態によるカテーテルは同一の長さを有してもよいし異なる長さを有してもよいことが理解される。カテーテル100はハブ162の遠位端から内腔部110の遠位端まで寸法L1を有する。カフ160は内腔部110の遠位端から寸法L2だけ離れている。一実施形態では、寸法L1は24センチメートルから32センチメートルの範囲であり、寸法L2は19センチメートルから27センチメートルの範囲である。カテーテル100は、ハブ162の遠位端から内腔部120の遠位端まで寸法L3を有する。カフ160は内腔部120の遠位端から寸法L4だけ離れている。一実施形態では、寸法L3は21センチメートルから29センチメートルの範囲であり、寸法L4は16センチメートルから24センチメートルの範囲である。リード170、180はハブ162から寸法L5だけ近位側に延びる。一実施形態では、寸法L5は3.25インチである。他の実施形態ではL1、L2、L3、L4およびL5は別の長さである。
【0041】
遠位先端の構造としては様々なものが考えられる。一実施形態では、図4に示す内腔部110、120の構造が遠位先端まで続くことにより、遠位側に開口するポートを提供する。図6から図8に示す別の実施形態では、遠位先端部114、124が遠位側にいくにつれて細くなる構造を有する。図6から図8には遠位先端部114を示すが、遠位先端部124も同様の構造を有し得ることが理解される。具体的には壁130は先端部114の近位部190に沿って第1の厚みを有する。硬化部材150a、150bは、先端部114の遠位端192から近位側に離間して位置する遠位端まで壁130の厚みで延びる。壁130の厚みは遠位先端部114の遠位部194に沿って、硬化部材150a、150bの遠位端位置から遠位端192に向かって細くなり、遠位端192で通路132が遠位側に開口する。通路132の断面積は遠位先端部114を通して一定であり、これにより流体用に使用可能な面積が最大となる。遠位先端部114の遠位部194に沿って減少する壁厚みは遠位先端部の可撓性を高め、遠位先端部114が血管壁または他の体内構造に接触したとしてもそのトラウマから脈管構造をさらに保護する。
【0042】
遠位先端部114は、直線壁136に沿って近位−遠位方向に延びる側部ポート196をさらに含む。側部ポート196は細長いスリットを形成し、通常は閉じているが、十分な流体圧力が付与されると開くことにより少なくともある程度の流体を流通させる。別の実施形態では、遠位先端部114に側部ポート196は設けられない。さらに別の実施形態では、遠位先端部114に複数の側部ポートが設けられる。
【0043】
図9に示すさらに別の実施形態では、カテーテル100’はカテーテル100に類似しているが、動脈内腔部120’の遠位先端が異なる。遠位先端部124’は、遠位開口が脈管構造内の流方向を向くように構成されている。従って遠位先端部124’は、内腔部120’の壁140に対して斜め方向を向いている遠位端壁125’を含む。遠位端壁125’の鋭角側部127’は内腔部110の方を向くように配置され、内腔部110に取り付けられることにより、遠位開口が流方向を向き脈管壁方向を向いていない状態を維持する。取付構造はさらに、遠位先端部124’の遠位開口が、脈管構造内で内腔部110の壁130によって閉塞されることを防止する。
【0044】
図10から図12は別の実施形態によるカテーテル400を示す。カテーテル400はカテーテル100に類似しているが、カテーテル400は、アクチュエータと共に作動可能で内腔部の遠位ポートを選択的に解放する開閉メカニズムを含む。具体的には、カテーテル400は、第1内腔部410と第2内腔部420とを含む。内腔部410、420はカテーテル400の近位部402と遠位部404とを形成する。内腔部410、420は上記の内腔部110、120と実質的に同一である。但し硬化部材も内腔部410、420の壁内に設けられた可動アクチュエータ部材450(図11〜図12)であり、アクチュエータ460と共に長手方向に移動可能である。アクチュエータ460は近位ハブ470に取り付けられる。ハブ470は内腔部410、420を受取り、対応するリード472、474まで別々の流路を維持する。アクチュエータ部材450は対応する内腔部410、420の遠位端にある端部キャップ430、440に組み合わせられ、長手方向に移動可能で端部キャップ430、440の遠位ポートを開閉する。アクチュエータ部材450はさらに、上記硬化部材150a、150b、152a、152b同様の硬化部材を提供することにより、内腔部410、420の形状と遠位部404に沿った非線形外形とを維持する。
【0045】
近位部402は、長手方向軸411に沿って延びる遠位セグメント406と、長手方向軸401に沿って延びる近位セグメント408とを含む。長手方向軸401、411が互いに平行をなすように、近位セグメント408は180度屈曲部414によって遠位セグメント406と接続される。他の実施形態では、カテーテル100および300について上記したように軸401、411間には別の角度構造が設けられる。
【0046】
図11および図12にカテーテル400の遠位部404における内腔部410、420を示す。内腔部410、420は本明細書中に特に記載する以外は上記の内腔部110、120と同一であることが理解される。内腔部410、420は各々、内腔部内に流体を流す内腔または通路421周りに延びる壁418により形成される本体を含む。内腔421は内腔部410、420の遠位端422で開口することにより、流体の流出入用の遠位側に開口するポート416を形成する。
【0047】
さらにカテーテル400は、それぞれ内腔部410、420と協働する端部キャップ430、440を含む。端部キャップ430、440は内腔部410、420の遠位端に対して、図11に示す開位置から閉位置までアクチュエータ部材450を操作することにより移動可能である。ポート416を開口させるためには、端部キャップ430、440を閉位置から開位置まで遠位側に移動させることによりカテーテル400を変形させるとよい。開位置では、キャップ430、440は遠位端422と離間し、その結果カテーテル400の長さが変わってポート416が開口し、内腔421に対して流体を流出入させる。端部キャップ430、440は、内腔部410、420と端部キャップ430、440との間に延びる1以上のアクチュエータ部材450により内腔部410、420に組み合わせられている。アクチュエータ部材450は、直線部419と丸みのある凸部423との交点またはその近傍において、壁418内のアクチュエータワイヤという形態を取っている。各アクチュエータ部材450は壁418内に形成された内腔451内に配置され、対応する内腔部410、420の長さに沿って延びている。各アクチュエータ部材450を受け取る内腔451は、ステンレス鋼または形状記憶材料などの平坦なワイヤコイルによって形成することができる。アクチュエータ部材450もまた、ステンレス鋼、形状記憶材料または他の適切な材料で形成することができる。アクチュエータ部材450と1以上の他のアクチュエータ部材または非可動硬化部材とを壁418周りの別々の位置に設けてもよい。
【0048】
端部キャップ430、440を開位置から閉位置に移動させるためには、端部キャップ430、440をポート416に向けて長手方向軸411に沿って軸方向かつ近位側に移動させ、対応する内腔部410、420と密接に係合させればよい。アクチュエータ部材450はアクチュエータ機構と組み合わせられることにより移動が許可される。従ってそれに組み合わせられる端部キャップ430、440は、図12に破線で示すように軸411に沿って閉位置まで近位側に移動する。ポート416を開くためには、アクチュエータ部材450をアクチュエータ機構と共に遠位側に移動させることにより、キャップ430、440を軸411に沿って対応する内腔部410、420のポート416に対して遠位側に移動させる。端部キャップ430、440は先細りの近位部432を含み、近位部432により、ポート416が内腔421に受け取られることが容易になる。先細り部432はさらに端部キャップ430、440がポート416に対して自発的に中心を合わせ、対応する内腔部410、420の壁418と密接に係合することを可能にする。別の実施形態では、端部キャップ430、440は、閉位置において対応する内腔部の端部を受け取る容器で構成される。
【0049】
図10に戻って、内腔部420の端部キャップ440が開くと、端部キャップ440は遠位部404で内腔部410に接触し、破線で示すように内腔部410を長手方向軸411から離れるように移動させる。これにより内腔部410、420に沿って形成されるフィブリン鞘を自由するか又はまたは緩める。さらにキャップ430、440を開閉することにより、内腔部410、420の遠位部に形成されたフィブリン鞘は自由になるか又は緩くなる。さらに内腔部410、420の非線形形態およびそれに設けられた可動ポート構造は、ポートを開閉する間に内腔部410に沿って移動可能であり、フィブリン鞘の形成を移動または軽減させる。内腔部410、420の遠位端を長手方向軸411を横断するように方向付けることにより、ポートが脈管構造を横断するように方向付けられ、ポートが脈管構造に接触した場合に端部キャップ430、440がポートを脈管構造から離して、内部に遠位先端を収容する脈管構造によってポートからの流れが閉塞されることを防止または軽減する。
【0050】
図10はさらに、近位ハブ470で互いに組み合わせられる内腔部410、420を示す。近位ハブ470は2つの内腔部410、420を分離してリード472、474と接続する構造を含む。リード472、474は、カテーテル100に関して上記したリード170,180と同様の構成を有していてもよい。ある実施形態では、矢印412、413で示すように内腔部410、420の一方が患者の体内に流体を供給するように指定され、他方の内腔部410または420が患者の体内から流体を受け取るように指定されてもよい。
【0051】
アクチュエータ460は、第1および第2内腔部410、420のうち対応する一方と協働する第1および第2のスライドボタン462、464を含む。スライドボタン462、464は、ハブ470に取り付けられるか又は組み合わせられている。スライドボタン462、464は長手方向に移動可能であり、それと係合した1以上のアクチュエータ部材450を移動させて対応する端部キャップ430または440を開閉させる。スライドボタン462、464は遠隔操作によって、アクチュエータ部材450および対応する内腔部410、420の対応する端部キャップ430、440を内腔部の壁に沿って移動させることを可能にする。分離したスライドボタン462、464は所望に応じて近位方向または遠位方向のいずれかに軸に沿って移動可能である。それにより、内腔部410、420のいずれがアクチュエータ460で操作されたかに応じて、端部キャップ430、440別々に且つ遠隔的に移動させる。このような移動により、1以上のポートが選択的に開閉されて流体の流出入を可能にする。
【0052】
図13にカテーテル400の遠位部404の別の実施形態を示す。ここではカテーテルは400’で示す。カテーテル400’は内腔部410、420を含むが、それぞれ内腔部410、420と協働する別の態様の端部キャップ430’および440’を含む。端部キャップ430’および440’は、アクチュエータ部材450により内腔部と組み合わせられているが、それぞれ通路431、441を含むことによりガイドワイヤ500を受け取ってカテーテル400を患者の体内に経皮的に載置することを容易にする。
【0053】
使用時、ガイドワイヤ500は患者のカテーテル移植位置に配置される。キャップ430’、440’は閉位置に移動され、ガイドワイヤ500の近位端が端部キャップ430’の長手方向通路431内に挿入される。その後端部キャップ440’が開いてガイドワイヤ500の近位端が内腔部420の近位端内の通路421内に配置される。あるいはガイドワイヤ500は、端部キャップ440’内を長手方向に延びる通路441内に配置される。その後カテーテル400’がガイドワイヤ500に沿って案内され内腔部410、420の遠位端を移植位置に配置する。
【0054】
本明細書に記載したカテーテルを採用する1つの処置では、長い方の又は静脈内腔部の遠位端が心臓の右心房に載置され、短い方の又は動脈内腔部の遠位端が上大動脈と右心房との交点に載置される。他の処置では、他の移植位置および手法も考えられる。例えば、カテーテル100を移植位置に載置するために、内腔部110、120の一方の通路内にガイドワイヤを通し、ガイドワイヤに沿ってカテーテル100を移植位置まで案内してもよい。分岐点におけるカテーテルの遠位部は解放可能なバンドまたは縫糸と共に保持することができ、これにより挿入が容易になる。別の処置では、いずれかの実施形態によるカテーテルの遠位端をトンネル装置内に載置して非線形遠位部をより直線の構造に維持する。カテーテルをより直線の構造で患者の体内に挿入し、移植後トンネル装置から解放して、遠位部に沿って非線形外形に戻す。いずれの処置でもカテーテルの位置決めおよび載置を超音波および透視で監視してもよい。
【0055】
本発明を図面と上記記載により詳細に説明し記載したが、上記説明および記載は本発明を説明するためのものであり限定するものではない。例えばいずれの実施形態についても、流体流ポートを開閉するマイクロモータまたは他の自動または機械的システムを含むカテーテル作動機構が考えられる。本発明の思想内のあらゆる変更および改変は保護対象とすべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸に沿って並んで延びる第1内腔部と第2内腔部とを含み、前記第1および第2内腔部がカテーテルの近位部および遠位部を形成し、
前記近位部の少なくとも遠位セグメントが前記長手方向軸に沿って延び、前記第1および第2内腔部が前記遠位部と前記近位部との間の分岐点で互いに離れ、
前記第1内腔部が前記長手方向軸の第1の側で前記長手方向軸方向に対して凹状に湾曲するように、前記第1内腔部が前記分岐点から遠位側に延び第1の屈曲部を含み、
前記第2内腔部が前記長手方向軸の第2の側で前記長手方向軸方向に対して凹状に湾曲するように、前記第2内腔部が前記分岐点から遠位側に延び第2の屈曲部を含む、カテーテル。
【請求項2】
前記第1内腔部および前記第2内腔部がそれぞれ前記近位部および前記遠位部に沿ったD字型壁を含み、
前記D字型壁がそれぞれ対応する前記内腔部に沿って延びる中央通路を規定する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1および前記第2内腔部がそれぞれ前記壁内に1対の細長い硬化部材を含み、
前記硬化部材が前記カテーテルの前記近位部および前記遠位部に沿って延びる、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1および前記第2内腔部が、それぞれ遠位端において遠位側に開口するポートを規定し、さらに前記第1および前記第2内腔部の各々の前記遠位端にキャップを含み、
前記硬化部材が前記キャップのうち対応する一方に組み合わせられ対応する前記内腔部の前記壁内を移動可能であり、対応する前記キャップを対応する前記内腔部の前記遠位端から離間した開位置から、対応する前記内腔部の前記遠位端と係合する閉位置まで移動させて、前記通路を閉じる、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1および前記第2内腔部の各々の前記硬化部材が、前記第1内腔部および前記第2内腔部の近位端に隣接したアクチュエータと組み合わせられ、前記アクチュエータが前記キャップの各々を前記開位置と前記閉位置との間で選択的に移動させるように作動可能である、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
その遠位端が前記長手方向軸の前記第2の側に位置するように、前記第1内腔部が湾曲した、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
その遠位端が前記長手方向軸の前記第1の側に位置するように、前記第2内腔部が湾曲した、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1内腔部の遠位端が前記第2内腔部の遠位端よりも遠位側に、前記長手方向軸に沿って離間するように、前記第1内腔部の前記長手方向軸に沿った長さが、前記第2内腔部の前記長手方向軸に沿った長さよりも長い、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1および前記第2内腔部の前記近位部が、第2の長手方向軸に沿って延びる近位セグメントと、前記近位セグメントと前記遠位セグメントとを接続する屈曲部とを含み、前記長手方向軸が互いに約30度の角度を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第1および前記第2内腔部の前記近位部が、第2の長手方向軸に沿って延びる近位セグメントと、前記近位セグメントと前記遠位セグメントとを接続する屈曲部とを含み、前記長手方向軸が互いに平行である。請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第1内腔部が前記分岐点で第3の屈曲部を形成し、前記第1の屈曲部が前記第3の屈曲部よりも遠位側にあり、前記第1および第3の屈曲部が前記第1内腔部に沿って逆方向の湾曲を組合せた形状を形成し、
前記第2内腔部が前記分岐点で第4の屈曲部を形成し、前記第2の屈曲部が前記第2の屈曲部よりも遠位側にあり、前記第2および第4の屈曲部が前記第2内腔部に沿って逆方向の湾曲を組み合わせた形状を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記第1および前記第2内腔部の少なくとも一方が遠位先端を含み、前記遠位先端が第1の壁厚を有する近位部と前記第1の壁内を延びる少なくとも1つの硬化部材とを含み、前記少なくとも1つの硬化部材が前記近位部内で終結し、前記遠位先端が遠位部を含み、前記壁厚が、前記遠位部に沿って前記近位部から前記遠位先端の遠位端まで遠位側に向かうに従って逓減する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記第1内腔部が前記第2内腔部の遠位先端を超えて遠位側に延び、前記第2内腔部の前記遠位先端が前記遠位先端における前記第2内腔部の壁に対して斜めに方向付けられた遠位側の壁を含み、前記第2内腔部の前記遠位先端が前記第1内腔部の壁に安定的に取り付けられている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
遠位端と近位端との間に延びる細長い本体を含み、前記本体が内部を流体が流れる少なくとも1つの内腔部を規定する壁を含み、前記本体がその前記遠位端に少なくとも1つのポートを含み、前記ポートが前記少なくとも1つの内腔部と連通しており、前記本体がさらに、前記遠位端の端部キャップと前記近位端のアクチュエータ機構とを含み、前記端部キャップが前記アクチュエータ機構に組み合わせられ、前記アクチュエータ機構が前記端部キャップを遠隔操作して前記ポートから離して開位置に移動させて前記ポート内に流体が流れることを許可するように作動可能であり、且つ、前記端部キャップを遠隔操作して前記遠位端に近づけて閉位置に移動させて前記ポート内の流体の流れを阻止するように作動可能であり、
前記端部キャップが、内部を延びる通路を含み、さらにカテーテルが、前記通路内および前記内腔部外で前記細長い本体に沿って位置決め可能であるガイドワイヤを含む、カテーテル。
【請求項15】
遠位端と近位端との間に延びる第2の細長い本体をさらに含み、前記第2の本体が内部を流体が流れる少なくとも1つの内腔部を規定する第2の壁と、前記遠位端に位置する少なくとも1つの第2のポートを含み、前記第2のポートが前記少なくとも1つの内腔部と連通し、前記第2の本体がさらに、前記遠位端において第2の端部キャップを含み、前記第2の端部キャップが前記アクチュエータ機構に組み合わせられており、前記アクチュエータ機構が前記第2の端部キャップを遠隔操作して前記第2のポートから離して開位置に移動させて前記第2のポート内に流体が流れることを許可するように作動可能であり、且つ、前記第2の端部キャップを遠隔操作して前記遠位端に近づけて閉位置に移動させて前記第2のポート内の流体の流れを阻止するように作動可能であり、
前記第2の端部キャップが前記開位置にあるときに、前記ガイドワイヤが前記第2の細長い本体の前記近位端を介して前記第2の細長い本体の前記少なくとも1つの内腔部内に位置決め可能である、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記第2の端部キャップが、内部を延びる通路を含み、前記ガイドワイヤが前記第2の端部キャップの前記通路を介して前記第2の細長い本体の前記少なくとも1つの内腔部内に位置決め可能である、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記第1および第2の細長い本体の前記壁がカテーテルの近位部に沿って互いに安定的に取り付けられており、前記第1および第2の細長い本体が分岐点で互いに離れることにより、前記分岐点から遠位側に延びる前記カテーテルの遠位部を形成し、前記遠位部が前記長手方向軸に沿って非線形外形を含む、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項18】
長手方向軸に沿って並んで延びる第1内腔部と第2内腔部とを含み、前記第1および第2内腔部がカテーテルの近位部および遠位部を形成し、
前記近位部の少なくとも遠位セグメントが前記長手方向軸に沿って延び、前記第1および第2内腔部が前記近位部と前記遠位部との間の分岐点で互いに離れ、
前記第1内腔部が前記長手方向軸の第1の側において前記長手方向軸に対して凹状に湾曲するように、前記第1内腔部が前記分岐点から第1の屈曲部に沿って遠位側に延び、
前記第2内腔部が前記分岐点から前記長手方向軸の第2の側に沿って第2の屈曲部まで線形に且つ遠位側に延び、前記第2の屈曲部が、前記第2内腔部の遠位先端を前記長手方向軸の前記第1の側に位置するように湾曲した、カテーテル。
【請求項19】
前記第1内腔部の前記第1の屈曲部が、前記第1内腔部の遠位端を前記長手方向軸の前記第2の側に位置するように湾曲した、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項1】
長手方向軸に沿って並んで延びる第1内腔部と第2内腔部とを含み、前記第1および第2内腔部がカテーテルの近位部および遠位部を形成し、
前記近位部の少なくとも遠位セグメントが前記長手方向軸に沿って延び、前記第1および第2内腔部が前記遠位部と前記近位部との間の分岐点で互いに離れ、
前記第1内腔部が前記長手方向軸の第1の側で前記長手方向軸方向に対して凹状に湾曲するように、前記第1内腔部が前記分岐点から遠位側に延び第1の屈曲部を含み、
前記第2内腔部が前記長手方向軸の第2の側で前記長手方向軸方向に対して凹状に湾曲するように、前記第2内腔部が前記分岐点から遠位側に延び第2の屈曲部を含む、カテーテル。
【請求項2】
前記第1内腔部および前記第2内腔部がそれぞれ前記近位部および前記遠位部に沿ったD字型壁を含み、
前記D字型壁がそれぞれ対応する前記内腔部に沿って延びる中央通路を規定する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1および前記第2内腔部がそれぞれ前記壁内に1対の細長い硬化部材を含み、
前記硬化部材が前記カテーテルの前記近位部および前記遠位部に沿って延びる、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1および前記第2内腔部が、それぞれ遠位端において遠位側に開口するポートを規定し、さらに前記第1および前記第2内腔部の各々の前記遠位端にキャップを含み、
前記硬化部材が前記キャップのうち対応する一方に組み合わせられ対応する前記内腔部の前記壁内を移動可能であり、対応する前記キャップを対応する前記内腔部の前記遠位端から離間した開位置から、対応する前記内腔部の前記遠位端と係合する閉位置まで移動させて、前記通路を閉じる、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1および前記第2内腔部の各々の前記硬化部材が、前記第1内腔部および前記第2内腔部の近位端に隣接したアクチュエータと組み合わせられ、前記アクチュエータが前記キャップの各々を前記開位置と前記閉位置との間で選択的に移動させるように作動可能である、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
その遠位端が前記長手方向軸の前記第2の側に位置するように、前記第1内腔部が湾曲した、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
その遠位端が前記長手方向軸の前記第1の側に位置するように、前記第2内腔部が湾曲した、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1内腔部の遠位端が前記第2内腔部の遠位端よりも遠位側に、前記長手方向軸に沿って離間するように、前記第1内腔部の前記長手方向軸に沿った長さが、前記第2内腔部の前記長手方向軸に沿った長さよりも長い、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1および前記第2内腔部の前記近位部が、第2の長手方向軸に沿って延びる近位セグメントと、前記近位セグメントと前記遠位セグメントとを接続する屈曲部とを含み、前記長手方向軸が互いに約30度の角度を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第1および前記第2内腔部の前記近位部が、第2の長手方向軸に沿って延びる近位セグメントと、前記近位セグメントと前記遠位セグメントとを接続する屈曲部とを含み、前記長手方向軸が互いに平行である。請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第1内腔部が前記分岐点で第3の屈曲部を形成し、前記第1の屈曲部が前記第3の屈曲部よりも遠位側にあり、前記第1および第3の屈曲部が前記第1内腔部に沿って逆方向の湾曲を組合せた形状を形成し、
前記第2内腔部が前記分岐点で第4の屈曲部を形成し、前記第2の屈曲部が前記第2の屈曲部よりも遠位側にあり、前記第2および第4の屈曲部が前記第2内腔部に沿って逆方向の湾曲を組み合わせた形状を形成する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記第1および前記第2内腔部の少なくとも一方が遠位先端を含み、前記遠位先端が第1の壁厚を有する近位部と前記第1の壁内を延びる少なくとも1つの硬化部材とを含み、前記少なくとも1つの硬化部材が前記近位部内で終結し、前記遠位先端が遠位部を含み、前記壁厚が、前記遠位部に沿って前記近位部から前記遠位先端の遠位端まで遠位側に向かうに従って逓減する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記第1内腔部が前記第2内腔部の遠位先端を超えて遠位側に延び、前記第2内腔部の前記遠位先端が前記遠位先端における前記第2内腔部の壁に対して斜めに方向付けられた遠位側の壁を含み、前記第2内腔部の前記遠位先端が前記第1内腔部の壁に安定的に取り付けられている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
遠位端と近位端との間に延びる細長い本体を含み、前記本体が内部を流体が流れる少なくとも1つの内腔部を規定する壁を含み、前記本体がその前記遠位端に少なくとも1つのポートを含み、前記ポートが前記少なくとも1つの内腔部と連通しており、前記本体がさらに、前記遠位端の端部キャップと前記近位端のアクチュエータ機構とを含み、前記端部キャップが前記アクチュエータ機構に組み合わせられ、前記アクチュエータ機構が前記端部キャップを遠隔操作して前記ポートから離して開位置に移動させて前記ポート内に流体が流れることを許可するように作動可能であり、且つ、前記端部キャップを遠隔操作して前記遠位端に近づけて閉位置に移動させて前記ポート内の流体の流れを阻止するように作動可能であり、
前記端部キャップが、内部を延びる通路を含み、さらにカテーテルが、前記通路内および前記内腔部外で前記細長い本体に沿って位置決め可能であるガイドワイヤを含む、カテーテル。
【請求項15】
遠位端と近位端との間に延びる第2の細長い本体をさらに含み、前記第2の本体が内部を流体が流れる少なくとも1つの内腔部を規定する第2の壁と、前記遠位端に位置する少なくとも1つの第2のポートを含み、前記第2のポートが前記少なくとも1つの内腔部と連通し、前記第2の本体がさらに、前記遠位端において第2の端部キャップを含み、前記第2の端部キャップが前記アクチュエータ機構に組み合わせられており、前記アクチュエータ機構が前記第2の端部キャップを遠隔操作して前記第2のポートから離して開位置に移動させて前記第2のポート内に流体が流れることを許可するように作動可能であり、且つ、前記第2の端部キャップを遠隔操作して前記遠位端に近づけて閉位置に移動させて前記第2のポート内の流体の流れを阻止するように作動可能であり、
前記第2の端部キャップが前記開位置にあるときに、前記ガイドワイヤが前記第2の細長い本体の前記近位端を介して前記第2の細長い本体の前記少なくとも1つの内腔部内に位置決め可能である、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記第2の端部キャップが、内部を延びる通路を含み、前記ガイドワイヤが前記第2の端部キャップの前記通路を介して前記第2の細長い本体の前記少なくとも1つの内腔部内に位置決め可能である、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記第1および第2の細長い本体の前記壁がカテーテルの近位部に沿って互いに安定的に取り付けられており、前記第1および第2の細長い本体が分岐点で互いに離れることにより、前記分岐点から遠位側に延びる前記カテーテルの遠位部を形成し、前記遠位部が前記長手方向軸に沿って非線形外形を含む、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項18】
長手方向軸に沿って並んで延びる第1内腔部と第2内腔部とを含み、前記第1および第2内腔部がカテーテルの近位部および遠位部を形成し、
前記近位部の少なくとも遠位セグメントが前記長手方向軸に沿って延び、前記第1および第2内腔部が前記近位部と前記遠位部との間の分岐点で互いに離れ、
前記第1内腔部が前記長手方向軸の第1の側において前記長手方向軸に対して凹状に湾曲するように、前記第1内腔部が前記分岐点から第1の屈曲部に沿って遠位側に延び、
前記第2内腔部が前記分岐点から前記長手方向軸の第2の側に沿って第2の屈曲部まで線形に且つ遠位側に延び、前記第2の屈曲部が、前記第2内腔部の遠位先端を前記長手方向軸の前記第1の側に位置するように湾曲した、カテーテル。
【請求項19】
前記第1内腔部の前記第1の屈曲部が、前記第1内腔部の遠位端を前記長手方向軸の前記第2の側に位置するように湾曲した、請求項18に記載のカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−542414(P2009−542414A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519454(P2009−519454)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/015283
【国際公開番号】WO2008/008221
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(501078018)アッシュ・アクセス・テクノロジー・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/015283
【国際公開番号】WO2008/008221
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(501078018)アッシュ・アクセス・テクノロジー・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】
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