説明

抗寄生虫組成物に関連する改良

本発明は、ナノ分散物の抗寄生虫薬剤に関し、少なくとも1種の非水溶性抗寄生虫薬剤および水溶性担体材料を含む組成物を提供し、前記非水溶性抗寄生虫薬剤(好ましくはアルテミシニンタイプの薬剤またはキニーネタイプの薬剤)は1000nm未満のナノ分散形態のピーク直径を有するナノ分散形態で担体物質中に分散される。本発明はさらに、非水溶性抗寄生虫薬剤及び水溶性担体材料の水性分散物を提供し、前記抗寄生虫薬剤が1000nm未満のナノ分散形態のピーク直径を有するナノ分散形態である。本発明はさらに、非水溶性抗寄生虫薬剤及び水溶性担体を含む抗寄生虫組成物の調製方法であって、a)抗寄生虫薬剤用の非水混和性溶媒における、同じ抗寄生虫薬剤の溶液、および担体の水性溶液を含むエマルションを提供するステップ、あるいは少なくとも1種の非水溶媒、任意選択で水、混合物に可溶である水溶性担体材料、および混合物に可溶である非水溶性抗寄生虫薬剤を含む混合物を提供するステップ、ならびに、b)担体中の実質的に無溶媒の抗寄生虫薬剤のナノ分散物を得るために、エマルションを乾燥し(好ましくは噴霧乾燥によって)、水および非水混和性溶媒を除去するステップのいずれかを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗寄生虫組成物に関連する改良に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、マラリア原虫に対する活性物質を含有し、特にマラリア原虫の多剤耐性系統である、とりわけ熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に対して高活性を有する、医薬活性組成物及びそれらの前駆体に関する。
【0003】
本発明は、さらに、アルテミシニン及び/またはアルテミシニン誘導体、例えばアーテエター(arteether)、アーテメター(artemether)、アルテミシン(artemisin)、ジヒドロアルテミシニンもしくはアーテスネート(artesunate)を、単独で、または他の抗マラリア薬剤とともに組み合わせる、医薬的に許容できる形態に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明は、概して、抗寄生虫組成物に応用できると信ずるが、特にマラリア原虫を参照として記載される。
【0005】
マラリアは、熱帯及び亜熱帯地域にて広範囲に及ぶ、生物媒介の感染性疾患である。毎年3億人から5億人の人々がマラリアに感染し、毎年100万人から300万人が、それが原因で死んでいるが、それらの多くはサハラ以南のアフリカの幼児である。疾患は、Plasmodium属の原生動物によって引き起される。本疾患の一番深刻な種類は、P.falciparum及びP.vivaxによって引き起こされるが、他の関連種であるP.ovale、P.malariae及びP.knowlesiもヒトに感染可能である。このヒト病原性Plasmodium種の群が、通常、マラリア原虫と呼称される。世界の多くの地域において、今、クロロキン耐性のP.falciparum種が広がっている。
【0006】
長年、マラリアの治療及び予防のための有効な薬剤が知られてはいるが、これらが低い水溶性を有するという長年にわたる問題が存在する。この問題に対する周知の解決策は、抗マラリア薬剤をアルコールに溶解させて、この溶液を摂取することである。従って、キニーネを(イギリス人が)ジンに溶解させることができたし、(フランス人が)アルテミシニンを使用してアブサンを作製した。これらは有名な治療方法である一方で、使用されるアルコールの水準による副作用なしには成しえず、禁酒家は使用することができなかった。
【0007】
アルテミシニン(qinghaosu)は、低木であるクソニンジン(Artemisia annua)の葉から入手できる、エンドペルオキシド(endo peroxide)基を有する天然のセスキテルペン・ラクトンである。クソニンジンは、中国の漢方医によって、マラリアを含む多くの病気を治療するために、1000年以上使用されてきた。その作用機序は完全に理解されてはいない。クソニンジンはまた、寄生虫類や吸虫類によって引起される病気を含む、他の寄生虫感染症の治療においても有効であると信じられている。
【0008】
アルテミシニンの製剤は、今、マラリア原虫に対して最も素早く作用すると信じられる物質のうちの一つである。特に、それらは、Plasmodium falciparumの多剤耐性系統に対して高い活性を示す。また、動物投与において神経毒性が生じるにも関わらず、ヒトに投与されると、ほとんど副作用が観察されず、深刻な毒性も観察されない。
【0009】
しかし、(アルテミシニン、アーテメター、アーテエター、ジヒドロアルテミシニンの場合における)低水溶性、(アルテミシニン、アーテメター、アーテエターの場合における)低生体利用効率、または(アーテスネートの場合の)低安定性などの物理的特性は、しばしば、それらの有効性、用途を制限し、投与量を増加させなければならなかったり、または特別なパッケージ化を使用することにより、コストを増加させる。それ故に、アルテミシンは、大抵錠剤型で存在する。例えば、特許文献1から12は、経口投薬のための固形物としてパッケージされた組成物のみを対象とする。
【0010】
アルテミシニンは、通常、マラリアの予防というよりはむしろ治療において使用される。この疾患の進行段階のマラリア患者は、錠剤を飲み込むことができない可能性がある。従って、注射可能な薬剤を提供し、または直腸投与を可能にするための、液体形態で利用可能な抗マラリア薬剤があるのが望ましい。液体形態の薬剤は、また、投与量の連続変化を可能にし、投与量を体重を基準にして計算するので、このことは、子供の治療において特に有用である。
【0011】
液体形態を可能にするための、低溶解性アルテミシニンタイプの薬剤の溶解度を改善するための試みが為されてきたが、これらは、注射部位で副作用を引き起こし、または製剤が好ましくない担体材料(例えばDMSOなど)を取り入れ得る。特許文献13は、これらのたくさんの問題を記載し、薬剤をシクロデキストリンと混合させる形態での溶液を提供する。
【0012】
それ故に、水溶性のアルテミシニンタイプの薬剤を提供することが望ましい。有利には、これらは、生理学的に許容可能である溶液を形成する。これらは、また、高生体利用効率を示すのが有利である。
【0013】
キニーネ及びそれの立体異性体であるキニジンは、赤血球期無性型の(erythrocytic asexual stages)あらゆるマラリア原虫を標的とする、急速に作用する抗繁殖型剤(schizontocides)である。以前はキニーネの代わりにクロロキンが使用されたが、今や、クロロキン耐性マラリアのための治療の第一選択肢となっている。
【0014】
抗マラリア製剤の適用は、マラリア原虫の原産地域である暑い、熱帯湿潤地域における投与に特効がなければならない。それ故に、強烈な環境条件下での化学的安定性が望ましい。それ故に、それらが保存に安定しているとさらに有利である。
【0015】
アルテミシニン及びそれの誘導体の活性は、他の抗マラリア薬剤と比較すると短命である。1から2時間後に著しく有効性が減少したならば、合併症を伴わないfalciparumのマラリアを治療するために、アルテミシニン及びそれの誘導体は、半減期の長い、例えばルメファントリン(lumefantrine)、メフロキン(mefloquine)、またはアモジアキン(amodiaquine)などの、抗マラリア薬剤と組み合わせて投与される。
【0016】
ルメファントリンは約3日から6日の半減期を有する。このような治療はACT(アルテミシニン系併用療法)と呼ばれる。例として、アーテメターとルメファントリン、アーテスネートとメフロキン、アーテスネートとアモジアキン、及びアーテスネートとスルファドキシン/ピリメタミンが含まれる。試験により、ACTは、特に、クロロキン耐性P.falciparumに対して、3日後にはマラリアからの回復が90%を超えて有効であることが示されている。有利には、アルテミシニンは併用治療に好適にさせる形態で存在する。
【0017】
発明者らの同時係属国際特許出願PCT/GB03/03226は、水溶性ポリマー材料の3次元オープンセル格子を含む固体多孔性ビーズの形成を記載している。これらは、一般的に「鋳型」材料であって、水および非水性分散相の両方を、水性相中に溶解されたポリマーを有する高分散相エマルション(HIPE)から除去することによって形成される。このビーズは、HIPEエマルションを液体窒素等の低温の流体中に滴下し、次に形成された粒子を凍結乾燥した後、水性相および分散相の大半を除去することによって、形成される。この結果、ポリマーが「骨格」構造の形態で後に残る。このビーズは、迅速に水に溶解し、ビーズのポリマー骨格を溶解した時に、凍結および乾燥前のエマルションの分散相中に分散していた非水溶性成分を水にも分散することができるという注目すべき特性を有する。
【0018】
国際公開第2005/011636号は、ポリマー中に薬剤の「固体非晶質分散物」を形成するための非エマルション系噴霧乾燥法を開示している。この方法では、ポリマーおよび低溶解度薬物を溶媒に溶解し、噴霧乾燥を施して、この薬物が、結晶形態ではなくほとんどが非晶質形態で存在している分散物を形成する。
【0019】
発明者らの同時係属国際特許出願GB0501835およびGB0613925(2006年7月13日出願)は、水中でナノ分散物を形成すると見込まれる材料を調製し得る方法、好ましくは噴霧乾燥法を記載している。これらの適用の最初に、非水溶性物質がエマルションの溶媒相に溶解する。第2に、非水溶性物質が混合溶媒系に溶解し、水溶性構造剤として同一相に共存する。どちらの場合も、噴霧乾燥等の方法によって、この液体を周囲温度を超えて(摂氏20度を超えて)乾燥し、その中に非水溶性材料を分散させる構造化剤の粒子を担体として生成する。これらの粒子を水に入れると溶解し、通常300nm未満の粒子となって非水溶性材料のナノ分散物を形成する。この尺度は、ウィルス粒子と同程度であり、非水溶性材料は、あたかも溶解しているように挙動する。
【0020】
本出願では、「周囲温度」という用語は、摂氏20度を意味し、全ての百分率は、別段の指定がなければ重量百分率である。
【0021】
発明者らのGB0501835は、開示した方法によって調製した蛍光材料が、既知の凍結乾燥法によって調製したものより良好な性能を表すことを示した。
【0022】
発明者らのGB0613925出願は、Triclosan(商標)のナノ分散物が、重量比で非常に低濃度でさえも、Triclosan(商標)に普通期待される以上に効果的であるというさらなる利点を有することを明らかにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第6,326,023号
【特許文献2】米国特許第6,307,068号
【特許文献3】米国特許第6,306,896号
【特許文献4】米国特許第5,834,491号
【特許文献5】米国特許第5,677,331号
【特許文献6】米国特許第5,637,594号
【特許文献7】米国特許第5,846,535号
【特許文献8】米国特許第5,278,173号
【特許文献9】米国特許第5,270,037号
【特許文献10】米国特許第5,219,865号
【特許文献11】米国特許第5,021,426号
【特許文献12】米国特許第5,011,951号
【特許文献13】米国特許第7,084,132号
【特許文献14】同時係属国際特許出願PCT/GB03/03226
【特許文献15】国際公開第2005/011636号
【特許文献16】同時係属国際特許出願GB0501835
【特許文献17】同時係属国際特許出願GB0613925
【特許文献18】米国特許第6849577号
【特許文献19】米国特許第6355675号
【特許文献20】米国特許第6113936号
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Determination of Artemisinin in Artemisia annua L. by Reversed Phase HPLC, J. Liquid Chromatography & Related technologies, 28, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
発明者らは、水溶性形態の抗寄生虫薬剤、特に相対的に不溶性のアルテミシニンのタイプ及びキニーネのタイプの抗マラリア薬剤を生成するために、エマルション系の方法および単相の方法の両方を使用することができると、今や判定した。
【課題を解決するための手段】
【0026】
従って、本発明の第一の態様は、少なくとも1種の非水溶性抗寄生虫薬剤を含む組成物であって、非水溶性抗寄生虫薬剤が、1000nm未満のナノ分散形態のピーク直径を有するナノ分散形態である組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらなる態様は、少なくとも1種の非水溶性抗寄生虫薬剤及び水溶性担体材料を含む抗寄生虫薬剤の製剤であって、非水溶性抗寄生虫薬剤が1000nm未満のナノ分散形態のピーク直径を有するナノ分散形態で担体材料中に分散される、抗寄生虫薬剤の製剤を提供する。
【0028】
本発明の分散生成物に適する好ましい粒度測定法には、動的光散乱計測器(Nano S、Malvern Instruments UK製造)を用いる。具体的には、Malvern Instruments Nano Sは、赤色(633nm) 4mWのヘリウム-ネオンレーザーを使用し、材料の懸濁液を入れた標準光学特性のUVキュベットを照射する。本出願中で言及する粒度は、標準プロトコルを使用したこの装置で得られた値である。固体生成物での粒度は、水中の固体の溶解度によって得られる粒度の測定及び粒度の測定によって干渉される粒度である。
【0029】
非水溶性抗寄生虫薬剤のピーク直径は、800nm未満であることが好ましい。非水溶性抗寄生虫薬剤のピーク直径が500nm未満であることが、より好ましい。本発明の特に好ましい実施形態では、非水溶性抗寄生虫薬剤のピーク直径は200nm未満、100nm未満であることが最も好ましい。
【0030】
結果物であるナノ分散物の粒度の減少は、これ以外では非水溶性物質の利用可能性を改善させる著しい有利な点を有すると考えられている。生体利用効率の改善が追及されるか、または物質の局所的な高濃度が避けられる場合の類似の適用の場合には、これは特に有利であると考えられている。さらに、小さい粒度を有するナノ分散物は、より大きな粒度を有するナノ分散物に比べてより安定であると考えられている。
【0031】
好ましい非水溶性抗寄生虫薬剤は、非水溶性抗マラリア薬剤である。
【0032】
本発明に関しては、抗寄生虫薬剤に適用する場合の「非水溶性」とは、水中でのその溶解度が10g/L未満であることを意味する。
【0033】
好ましくは、非水溶性抗寄生虫薬剤は、周囲温度(摂氏20度)の水で5g/L未満の溶解度を有し、1g/L未満が好ましく、150mg/L未満が特に好ましく、100mg/L未満がさらに好ましい。本明細書中で、非水溶性が意味することについての所定の解釈は、この溶解度レベルによって提供される。
【0034】
好ましい非水溶性抗寄生虫薬剤には、ペルオキシド、ラクトン、ペルオキシラクトン、キニーネ、キノリン及びキニジンが含まれる。
【0035】
好ましい非水溶性抗マラリア薬剤には、ペルオキシ架橋化合物、好ましくは(アルテミシニン及びそれらの誘導体を含む)アルテミシニンタイプの薬剤または(キニーネ及びそれの誘導体を含む)キニーネタイプの薬剤である。
【0036】
好ましいアルテミシニンタイプの薬剤は、アルテミシニン(84mg/Lで可溶)、アーテメター、アーテエター、ジヒドロアルテミシニン及びそれらの混合物からなる群から選択される。アルテミシニンそれ自体は、本発明で使用するために、特に非水溶性抗寄生虫薬剤であることが好ましい。
【0037】
好ましいキニーネタイプの薬剤はキニーネ及びキニジンである。
【0038】
本発明に従う組成物は、抗寄生虫薬剤の組合せを含み得る。好ましい組合せには、非水溶性アルテミシニンタイプの薬剤及び少なくとも1種のルメファントリン、メフロキン、アモジアキン、スルファドキシン及びピリメタミンが含まれる。
【0039】
好ましい担体材料は、水溶性無機材料、界面活性剤、ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
本発明のさらなる態様は、非水溶性抗寄生虫薬剤および水溶性担体材料の水性分散物を提供し、そこでは抗寄生虫薬剤が、ナノ分散形態になっており、そのピーク直径が、1000nm未満、好ましくは800nm未満、より好ましくは500nm未満、特には200nm未満、より特には100nm未満である。前記で議論した抗寄生虫薬剤は水性形態であるのが好ましい。
【0041】
本発明の特に好ましい態様は、粒度が100nm未満である。25nmもの低い粒度は、以下に提供される実施例において得られた。好ましい粒子分布は、サイズが20から800nmの範囲であり、特に好ましくは20から200nmの範囲である。
【0042】
本発明のさらなる態様は、非水溶性抗寄生虫薬剤および水溶性担体を含む抗寄生虫薬剤組成物を調製する方法を提供し、次のステップ:
a)以下のもの:
i)抗寄生虫薬剤用の非水混和性溶媒における、同じ抗寄生虫薬剤の溶液、および
ii)担体の水性溶液
を含むエマルションを形成するステップと、
b)担体中の実質的に無溶媒の抗寄生虫薬剤ナノ分散物を得るために、エマルションを乾燥し、水および非水混和性溶媒を除去するステップ
とを含む。
【0043】
便宜上、この種の方法を、本明細書では「エマルション」法と称する。
【0044】
本発明のさらなる態様は、非水溶性抗寄生虫薬剤および水溶性担体を含む抗寄生虫薬剤組成物を調製する方法を提供し、次のステップ:
a)以下のもの:
i)少なくとも1種の非水溶媒、
ii)任意選択で水、
iii)(i)および(ii)の混合物に可溶である水溶性担体材料、および
iv)(i)および(ii)の混合物に可溶である非水溶性抗寄生虫薬剤
を含む混合物を提供するステップと、
b)担体中の実質的に無溶媒の抗寄生虫薬剤ナノ分散物を得るために、溶液を乾燥して水及び水混和溶媒を除去するステップ、
を含む。
【0045】
便宜上、この種の方法を、本明細書では「単相」法と称する。
【0046】
本発明に関して、実質的に無溶媒とは、生成物の遊離溶媒の含有量が15%wt未満であって、10%wt未満であるのが好ましく、5%wt未満であるのがより好ましい。
【0047】
本発明に関して、担体材料および抗寄生虫薬剤の両方が、乾燥ステップに先立ってそれぞれの溶媒中で本質的に完全に溶解していることが不可欠である。スラリーの乾燥を教示することは本明細書の範囲外である。それ故に誤解を避けるために、エマルションまたは混合物の実際の固体含有量は、存在する可溶性材料が、90%wtを超え、好ましくは95%を超え、より好ましくは98%を超えて乾燥ステップ前の溶液中にあるような場合である。
【0048】
上述の方法に関して、好ましい抗寄生虫薬剤および好ましい担体材料は、上記の通りであり、下記にさらに詳述する通りである。同様に、材料の好ましい物理的特性は、上記の通りである。
【0049】
抗寄生虫薬剤および担体材料の両方が、少なくとも1種の他の非水溶媒(および任意選択による水)を含む1相中に溶解している「単相」法が好ましい。この方法は、ナノ分散抗寄生虫薬剤についてより小さな粒度を得るのにより効果的であると考えられている。一斉乾燥ステップは、水及び他の溶媒の両方を除去するのが好ましく、周囲温度を超えた噴霧乾燥によって実現されるのがより好ましい。
【0050】
本発明のこの方法の態様により得ることができる生成物は、寄生性疾患の治療または予防のための薬剤の製造における使用に適しており、特に、抗寄生虫薬剤が非水溶性抗マラリア薬剤の場合、マラリアの治療または予防のための薬剤の製造における使用に適している。
【0051】
本発明のさらなる態様は、本発明に従って組成物を調製するステップを含む、寄生虫感染の治療に用いる薬剤の調製方法を提供する。
【0052】
本発明の様々な好ましい特徴および実施形態を、以下に、さらに詳細に記載する。
【0053】
抗寄生虫薬剤:
上述のように、好ましい非水溶性抗寄生虫薬剤は、アルテミシニン、アーテメター、アーテエター、ジヒドロアルテミシニン及びそれらの混合物ならびにキニーネ、キニジン及びそれらの混合物からなる群から選択される非水溶性抗マラリア薬剤である。これらは、本発明に従う組成物中に、医薬的に活性な成分として単剤で存在し得るし、またはいわゆる「併用療法」を提供するために、他の抗寄生虫薬剤とともに存在し得る。併用療法の好ましい薬剤には、ルメファントリン、メフロキン、アモジアキン、スルファドキシン及びピリメタミンが含まれる。
【0054】
水分散性形態:
本発明は、これ以外では非水溶性である材料の水分散性形態を得る方法を提供する。この形態は、水溶性担体材料および非水溶性抗寄生虫薬剤の両方を溶解している、全部が水性ではない中間体のエマルションまたは溶液を形成することによって調製する。溶媒が除去されると、不溶性抗寄生虫薬剤材料は水溶性担体材料中に分散したまま残される。適当な担体材料を、さらに詳細に以下に記載する。
【0055】
中間体のエマルションまたは溶液の乾燥のために最も好ましい方法は、噴霧乾燥法である。噴霧乾燥法は、水性及び非水性揮発性成分の両方を除去する際に特に効果的であり、担体および「有効添加(payload)」材料を粉末形態で残す。乾燥ステップは、さらに詳細に以下に記載する。
【0056】
乾燥ステップ後に得られる材料の構造は、よく理解されていない。非水溶性材料の個々の巨視的物体がこの乾燥生成物中には存在しないので、生じた乾燥材料は、カプセル化されていないと考えられている。乾燥ステップの後ではエマルションの「油」相を含む揮発性溶媒は、ほとんどまたは全く残っていないので、乾燥材料も「乾燥エマルション」ではない。水をこの乾燥生成物に加えても、「乾燥エマルション」という語のようなエマルションは再形成されない。また、本発明では、利点を失うことなく存在する成分の比率を変えることができるから、この組成物は、いわゆる固溶体ではないと考えられてもいる。X線およびDSCを用いた研究からも、本発明の組成物は、固溶体ではなく、ナノ尺度の相分離した混合物を含んでいる。
【0057】
乾燥ステップ後のこの生成される組成物が、(抗寄生虫薬剤対担体として)重量比で1:500〜1:1の抗寄生虫薬剤および担体を含むのが好ましいであろうが、1:100〜1:1が好ましい。約10〜30重量%の非水溶性抗寄生虫薬剤および90〜70重量%の担体という典型的な含量が、噴霧乾燥法で得ることができる。
【0058】
「エマルション」調製法:
本発明による好ましい一方法では、非水溶性抗寄生虫薬剤用の溶媒は水と混和しない。従って、水との混合に際してはエマルションを形成することができる。
【0059】
非水性相が約10%〜約95%v/vのエマルションを含むのが好ましく、約20%〜約68%v/vがより好ましい。
【0060】
このエマルションを、例えば、磁気撹拌子、ホモジナイザー、または回転機械式撹拌器を使用して、当業者には周知の条件下で調製するのが一般的である。エマルションは、乾燥前に広範囲の相分離を起こさない限り、特に高度に安定している必要はない。
【0061】
高剪断混合装置を使用する均質化は、水性相を連続相とするエマルションを作るための特に好ましい方法である。この粗大エマルションを回避してエマルション分散相の液滴サイズを減少させると、乾燥生成物中の「有効添加」材料の分散が向上する。
【0062】
本発明による好ましい方法では、水性相連続相エマルションを、分散相液滴の平均サイズが(Malvernピーク強度を使用して)500nmと5000nmとの間になるように調製する。「Ultra-Turrux」T25型実験用ホモジナイザー(または同等物)は、10,000rpm超で1分間を超えて作動させると適当なエマルションをもたらすことを見出した。
【0063】
エマルションの液滴サイズと「有効添加」材料の粒度との間には方向性関係があるが、これらのサイズは、本発明の材料を水性溶液中に分散した後で検出できる。発明者らは、前駆エマルション用の均質化の速さを増加させると、再溶解後の最終的粒度を減少させ得ると判定した。
【0064】
均質化の速度を13,500rpmから21,500rpmに増加すると、再溶解した粒度をほぼ半分に減少させ得ると考えられる。均質化の時間も、再溶解した粒度を制御することに関して役割を果たしていると考えられている。均質化の時間が増加する場合もやはり粒度が減少し、同時に粒度の分布もより広範囲になる。
【0065】
超音波処理も、エマルション系のために液滴サイズを減少させる、特に好ましい方法である。発明者らは、Hert Systems超音波発生装置(Sonicator)XL型をレベル10で2分間作動させるのが適当であることを見出した。
【0066】
溶媒及び/または担体に対する抗寄生虫薬剤の相対的濃度を減少させる成分比は、より小さな粒度を与えると考えられている。
【0067】
「単相」調製法:
本発明による別法では、担体と抗寄生虫薬剤の両方が、非水溶媒中または水などと非水溶媒との混合物中に可溶である。本明細書中のここおよび他所の両方で、非水溶媒は非水溶媒(複数)の混合物であってよい。
【0068】
この場合、乾燥ステップの供給原料は、水溶性担体と非水溶性抗寄生虫薬剤の両方が溶解した単相材料であり得る。担体と薬剤の両方が同じ相に溶解している限り、この供給原料がエマルションであることも可能である。
【0069】
「単相法」は、エマルション法より小さな粒度のより良好なナノ分散物をもたらすと、通常は考えられている。
【0070】
溶媒および/または担体に対する抗寄生虫薬剤の相対濃度を減少させた成分比率は、より小さな粒度をもたらすと考えられている。
【0071】
乾燥:
エマルションを乾燥させる最も好ましい方法である噴霧乾燥法は、当業者には周知である。本発明の場合、乾燥するエマルション中に揮発性非水溶媒が存在するため、ある程度の注意を払わねばならない。可燃性溶媒が使用されている時は、爆発の危険性を低減するために、例えば窒素のような不活性ガスを、いわゆる密閉噴霧乾燥系において乾燥媒体として用いることができる。溶媒は、回収し、再使用することができる。
【0072】
「Buchi」B-290型実験用噴霧乾燥装置が適当であることを、発明者らは見出した。
【0073】
乾燥温度は、摂氏100℃以上、好ましくは摂氏120℃を超え、最も好ましくは摂氏140℃を超えることが好ましい。乾燥温度を上昇させると再溶解したナノ分散材料においてより小さな粒子をもたらすことが見出された。
【0074】
担体材料:
担体材料は、水溶性で、構造化水性相ならびに単分散分子種の真のイオン溶液の形成を含む。担体材料は、無機材料、界面活性剤、ポリマーを含むのが好ましく、またはこれらの2種以上の混合物でもよい。
【0075】
糖等の他の非ポリマー性、有機性、水溶性材料も担体として使用することができると想定される。しかし、本明細書に具体的に記載された担体材料が好ましい。
【0076】
適当な担体材料(「水溶性担体材料」と称される)には、好ましい水溶性ポリマー、好ましい水溶性界面活性剤、および好ましい水溶性無機材料が含まれる。
【0077】
好ましいポリマー担体材料:
適当な水溶性ポリマー担体材料の例には以下のものが挙げられる。
(a)天然ポリマー(例えば、グアーガム、アルギン酸エステル、ローカストビーンガム等の天然素材のガム、またはデキストラン等の多糖。
(b)例えば、キサンタンガム、キシログルカン、酢酸セルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの塩(例えば、SCMCナトリウム塩)、またはカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、およびその塩(例えば、ナトリウム塩)等のセルロース誘導体。
(c)以下のホモポリマー、または以下から選択される2種以上のモノマーから調製されるコポリマー:ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸エステル、アミノアルキルアクリル酸エステル、アミノアルキルメタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリル酸エステル、ヒドロキシエチルメチルアクリル酸エステル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルアミン、ビニルピリジン、エチレングリコールおよび他のアルキレングリコール、エチレンオキサイドおよび他のアルキレンオキサイド、エチレンイミン、スチレンスルホン酸エステル、エチレングリコールアクリル酸エステルおよびエチレングリコールメタクリル酸エステル。
(d)例えば、β-シクロデキストリン等のシクロデキストリン。
(e)これらの混合物。
【0078】
ポリマー材料がコポリマーである場合には、統計コポリマー(従来、ランダムコポリマーとしても知られている)、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、または多分岐コポリマーでもよい。上掲以外のコモノマーも、もしその存在が、生じるポリマー材料の水溶性または水分散性を損なわないならば、上掲のものに追加して含めてもよい。
【0079】
適当で好ましいホモポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド(ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド等の)、ポリメタクリルアミド;ポリアクリルアミン、ポリメチルアクリルアミン(ポリジメチルアミノエチルメタクリル酸エステルおよびポリ-N-モルホリノエチルメタクリル酸エステル等の)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸エステル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリ-2-エチルオキサゾリンポリエチレンイミン、およびそのエトキシ化誘導体が含まれる。
【0080】
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびアルギン酸エステルが、好ましいポリマー担体材料である。
【0081】
好ましい界面活性剤担体材料:
担体材料が界面活性剤である場合、この界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性または双性イオン性でもよい。
【0082】
適当な非イオン界面活性剤の例には、エトキシ化トリグリセリド、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、脂肪アミドエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、アルカン酸ソルビタン、エチル化アルカン酸ソルビタン、アルキルエトキシレート、プルロニック(Pluronics)(商標)、アルキルポリグルコシド、ステアロールエトキシレート(stearol ethoxylates)、アルキルポリグリコシドが含まれる。
【0083】
適当な陰イオン界面活性剤の例には、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、サルコシン酸塩、アルキルスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、第2級n-アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、イセチオン酸スルホン酸塩が含まれる。
【0084】
適当な陽イオン界面活性剤の例には、脂肪アミン塩、脂肪ジアミン塩、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム界面活性剤、スルホニウム界面活性剤、スルホキソニウム界面活性剤が含まれる。
【0085】
適当な双性イオン界面活性剤には、アミノ酸のN-アルキル誘導体(例えば、グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸)、イミダゾリン界面活性剤、アミンオキシド、アミドベタインが含まれる。
【0086】
界面活性剤の混合物を使用することができる。このような混合物中では、担体材料が全体として固体である限り、個々の成分は液体であってもよい。
【0087】
アルコキシル化非イオン性物質(特に、Pluronic(商標)材料等のPEG/PPG)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、スパン(Span)(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、および陽イオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)は、界面活性剤担体材料として特に好ましい。
【0088】
好ましい無機担体材料:
担体材料は、界面活性剤でもなくポリマーでもない水溶性無機材料であってもよい。上に記載のポリマー担体材料および/または界面活性剤担体材料との混合では特に、単純な有機塩が適当であることが見出された。適当な塩には、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、および酢酸塩、特にナトリウム、カリウム、およびマグネシウムの可溶性塩が含まれる。好ましい材料には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムが含まれる。これらの材料は、安価で生理的に許容可能であるという利点を有している。これらはまた、比較的不活性であると共に、医薬品に見出される多くの材料と適合する。
【0089】
混合担体材料には利点がある。好ましい混合物には、界面活性剤およびポリマーの組合せが含まれ、少なくとも以下の1種を含む:
a)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸エステル、ならびに以下の少なくとも1種;
b) アルコキシル化非イオン性物質(特にPEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、および陽イオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)。
【0090】
担体材料は、界面活性剤でもポリマーでもなく、無機担体材料でもない水溶性低分子有機材料であってもよい。上に記載のポリマー材料および/または界面活性剤担体材料との混合では、特に単純な有機糖が適当であることが見出された。適当な低分子有機材料には、マニトール、ポリデキストロース、キシリトール、およびイヌリン等が含まれる。
【0091】
非水溶媒:
本発明の組成物は、揮発性の第2の非水溶媒を含む。この溶媒は、乾燥前の予混合物中の他の溶媒と混和してもよく、またはそうした溶媒と共にエマルションを形成してもよい。
【0092】
本発明の一代替形態では、抗寄生虫薬剤および担体の存在下で水と単相を形成することができる単一の非水溶媒を用いる。これらの実施形態のための好ましい溶媒は、極性、プロトン性、または非プロトン性溶媒である。一般に、好ましい溶媒は、1を超える双極子モーメント、および4.5を超える比誘電率を有する。
【0093】
特に好ましい溶媒は、ハロホルム(好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム)、低級(C1〜C10)アルコール(好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、有機酸(好ましくは、蟻酸、酢酸)、アミド(好ましくは、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド)、ニトリル(好ましくは、アセトニトリル)、エステル(好ましくは、酢酸エチル)、アルデヒドおよびケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、アセトン)、ならびにヘテロ原子結合を含み、適度に大きい双極子を有する他の水混和性種(好ましくは、テトラヒドロフラン、ジアルキルスルホキシド)からなる群から選択される。
【0094】
ハロホルム、低級アルコール、ケトン及びジアルキルスルホキシドが最も好まれる溶媒である。
【0095】
本発明の別の代替形態では、非水溶媒が水と混和性ではなく、エマルションを形成する。
【0096】
このエマルションの非水性相を、揮発性有機溶媒の次の群からの1個または複数個から選択するのが好ましい;
好ましくはヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ドデカン、デカンである、アルカン;
好ましくはトルエン、キシレン、シクロヘキサンである、環状炭化水素;
好ましくはジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロトリクロロメタン、およびテトラクロロエタンである、ハロゲン化アルカン;
好ましくは酢酸エチルである、エステル;
好ましくは2-ブタノンである、ケトン;
好ましくはジエチルエーテルである、エーテル;
好ましくは4〜6個のシリコンユニットを含有し、直鎖状または環状メチコンのどちらかである揮発性環状シリコーン。
適当な例には、DC245およびDC345が含まれ、両者ともDow Corning Inc より入手可能である。
【0097】
好ましい溶媒には、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびジメチルスルホキシドが含まれる。
【0098】
好ましい非水溶媒は、混和性であろうとなかろうと、実用条件下で特殊な装置を使用することなく、乾燥、特に噴霧乾燥を促進するように、摂氏150℃未満の沸点を有し、より好ましくは摂氏100℃未満の沸点を有する。それらは、不燃性であるか、または本発明の方法で使用する温度を超える引火点を有することが好ましい。
【0099】
形成されるどのエマルションでも約10%〜約95%v/vの非水溶媒が含まれるのが好ましく、より好ましくは約20%〜約80%である。単相法では、溶媒の含量は、20〜100%v/vが好ましい。
【0100】
特に好ましい溶媒は、アルコール、特にエタノール、およびハロゲン化溶媒であり、塩素含有溶媒がより好ましく、(ジまたはトリクロロメタン)から選択される溶媒が最も好ましい。
【0101】
任意選択の共界面活性剤:
水性溶媒の外に、乾燥ステップの前に、任意選択の共界面活性剤を組成物中に用いることができる。比較的少量の揮発性共界面活性剤を添加すると、生成する材料の粒径が減少することを発明者らは見出した。このことは、粒子体積に有意の影響を及ぼし得る。例えば、297nmから252nmへの減少は、約40%の粒度減少に相当する。従って、少量の共界面活性剤を添加することは、最終的な製品処方を変更することなく、本発明による材料の粒度を減少するための簡単で安価な方法を提供する。
【0102】
好ましい共界面活性剤は、<220℃の沸点を有する短鎖アルコールまたはアミンである。
【0103】
好ましい共界面活性剤は、直鎖アルコールである。好ましい共界面活性剤は、第1級アルコールおよびアミンである。特に好ましい共界面活性剤は、3〜6個の炭素のアルコールからなる群から選択される。適当なアルコール共界面活性剤には、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、ヘキシルアミン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0104】
共界面活性剤は、溶媒より少量(体積)で存在するのが好ましく、溶媒と共界面活性剤との体積比は、100:40〜100:2の範囲に収まるのが好ましく、100:30〜100:5がより好ましい。
【0105】
好ましい噴霧乾燥用供給原料:
噴霧乾燥用の典型的な供給原料は、以下を含む:
a)界面活性剤、
b)少なくとも1種の低級アルコール、
c)供給原料中に0.1%を超えて溶解する、少なくとも1種の非水溶性抗寄生虫薬剤、
d)ポリマー、および
e)任意選択の水。
【0106】
好ましい噴霧乾燥用供給原料は、以下を含む:
a)ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の非水溶媒、
b)PEGコポリマー非イオン界面活性剤(特にPEG/PPG Pluronic(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、および陽イオン界面活性剤(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)と、それらの混合物から選択される界面活性剤、
c)0.1%を超える、少なくとも1種の非水溶性抗寄生虫薬剤(好ましくは抗マラリア薬剤、より好ましくはアルテミシニンまたはキニーネ)、
d)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸エステルと、それらの混合物から選択されるポリマー、ならびに
e)任意選択の水。
【0107】
本発明で使用される乾燥用供給原料は、好ましくは固形物を含まず、特に好ましくは不溶の抗寄生虫薬剤を全然含まないエマルションまたは溶液のどちらかである。
【0108】
組成物中の抗寄生虫薬剤の量は、乾燥組成物における搭載(loading)が40重量%未満、より好ましくは30重量%未満であるようになるのが特に好ましい。このような組成物は、小さな粒度の有利な点を有し、上述したような高効率性を有する。
【0109】
水分散形態:
水溶性担体材料を水と混合する場合、担体は溶解し、非水溶性抗寄生虫薬剤は、多くの点で可溶性材料のように挙動するのに十分に微細な形態になって、水によって分散される。乾燥生成物中の非水溶性材料の粒度は、水に溶解した際、本明細書に記載されているMalvern法によって測定した場合、非水溶性材料が1ミクロン未満の粒度を有する程度であることが好ましい。水中に固体形態を分散した際、抗寄生虫薬剤の粒度は有意に減少しないと考えられる。
【発明の効果】
【0110】
本発明を適用することによって、相当量の「非水溶性」材料を、大体、真の溶液と同等な状態にすることができる。乾燥生成物を水中で溶解する場合、0.1%超、好ましくは0.5%超、より好ましくは1%超の非水溶性材料を含む、任意選択で清涼な溶液を実現することが可能である。
【0111】
溶液形態は、「そのまま」またはさらなる希釈もしくは他の成分との混合後の使用に適した形態であると想定される。代替として、本発明の実施態様の溶液形態は、他の活性物質と組み合わせて、併用療法での使用に適した薬剤を作出してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本発明をさらに理解し、実践できるように、非限定的実施例に関してさらに以下に記載する。
【実施例】
【0113】
(特に明示しない限り、)各サンプルに対して、約10mgの粉末を、室温(21.5℃)で10mlの滅菌水中に再分散させて、粒度測定のための1mg/mlナノ分散物を得た。
【0114】
次の実施例において使用される本発明の分散生成物用に粒度測定法は、動的光散乱装置(Nano S, Malvern Instruments UK製造)を用いる。具体的には、Malvern Instruments Nano Sは、赤色(633nm) 4mWヘリウム-ネオンレーザーを使用し、材料の懸濁液を入れた標準光学特性のUVキュベットを照射する。
【0115】
便宜上、最初の12サンプルの結果を、下表に要約する:
【0116】
【表1】

【0117】
(実施例1)
0.10gのアルテミシニン(99%, Hunan Keyuan Biology Product Co. Ltd, Chinaより供給)及び0.05gのポリエチレングリコール(PEG, 分子量3,000, Fluka)を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.85gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC, 5cps, Aldrich)を、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で100℃で噴霧乾燥した(BUCHI Mini-290)。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0118】
この再分散物質の粒度(d,nm)は695+/-15であった。
【0119】
(実施例2)
0.10gのアルテミシニン及び0.10gのpluronic F-68(BASF, USP)を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.80gのHPMCを、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で100℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0120】
この再分散物質の粒度(d,nm)は770+/-27であった。
【0121】
(実施例3)
0.10gのアルテミシニン及び0.10gのpluronic F-68を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.80gのポリビニルピロリドン(PVP k30, Aldrich)をエタノール溶液中に添加した後に、50mlの滅菌水を添加して、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で100℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0122】
この再分散物質の粒度(d,nm)は705+/-64であった。
【0123】
(実施例4)
0.20gのアルテミシニンを50mlのエタノールに溶解させた。0.40gのHPMC及び0.40gのベータシクロデキストリン(Aldrich)を、共に、マグネチックバーを使用して撹拌しながらエタノール溶液に分散させて、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加して、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で100℃で噴霧乾燥した。(理論上)20重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0124】
この再分散物質の粒度(d,nm)は667+/-35であった。
【0125】
(実施例5)
0.10gのアルテミシニン及び0.05gのPEG(分子量6,000, Fluka)を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.85gのHPMC(5cps, Aldrich)を、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0126】
この再分散物質の粒度(d,nm)は56+/-3であった。
【0127】
(実施例6)
0.10gのアルテミシニン及び0.10gのPluronic F-127(Aldrich)を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.80gのHPMC(5cps, Aldrich)を、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0128】
この再分散物質の粒度(d,nm)は42+/-14であった。
【0129】
(実施例7)
0.10gのアルテミシニン及び0.10gのリポイドS75(Lipoid GmbH)を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.80gのHPMC(5cps, Aldrich)を、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0130】
この再分散物質の粒度(d,nm)は211+/-5であった。
【0131】
(実施例8)
0.10gのアルテミシニン及び0.09gのPluronic F-127を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.80gのHPMC(5cps, Aldrich)及び0.01gのセトリミド(Cetrimide)(臭化セチルトリメチルアンモニウム, Aldrich)を、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0132】
この再分散物質の粒度(d,nm)は25+/-2であった。
【0133】
(実施例9)
0.10gのアルテミシニン及び0.09gのPluronic F-127を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.80gのHPMC(5cps, Aldrich)及び0.01gのSDS(Aldrich)を、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0134】
この再分散物質の粒度(d,nm)は39+/-9であった。
【0135】
(実施例10)
0.10gのアルテミシニン及び0.09gのPluronic F-127を共に50mlのエタノールに溶解させた。0.80gのHPMC(5cps, Aldrich)、0.005gのセトリミド、及び0.005gのSDSを全て、マグネチックバーを使用して激しく撹拌しながらエタノール溶液に添加し、均一なHPMC/EtOH懸濁液を形成した。次いで、50mlの滅菌水をこの懸濁液に添加し、清澄な溶液を得た。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)10重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0136】
この再分散物質の粒度(d,nm)は331+/-9であった。
【0137】
(実施例11)
0.20gのアルテミシニン、0.05gのPluronic F68、0.05gのSpan 80(Aldrich)、及び0.70gのKlucel EF(ヒドロキシプロピルセルロース、分子量80,000、Hercules Ltd)を70mlのエタノールに全て溶解させた。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)20重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0138】
この再分散物質の粒度(d,nm)は、1mg/mlで分散させると182+/-4と測定され、2mg/mlで分散させると180+/-2と測定された。
【0139】
(実施例12)
0.30gのアルテミシニン、0.08gのPluronic F68、0.07gのSpan 80(Aldrich)、及び0.55gのKlucel EFを70mlのエタノールに全て溶解させた。この溶液を次いで、液体供給量2.5ml/分で150℃で噴霧乾燥した。(理論上)30重量%のアルテミシニンを有する白色粉末を得、さらなる特性付けのためにサンプルバイアル中に回収した。
【0140】
この再分散物質の粒度(d,nm)は、1mg/mlで分散させると183+/-2と測定され、2mg/mlで分散させると207+/-13と測定された。
【0141】
(実施例13)
0.1015gのアルテミシニンを、基準溶液として100ml容量フラスコでエタノールとともに調製した。0、0.50、1.00、1.50、2.00、及び3.00mlの基準溶液に相当する6つのアリコートを、それぞれ6つの50ml容量フラスコ中にピペットで取入れた。次いで、この溶液を、ピペットを用いて、エタノールで希釈して5.00mlとし、20mlの0.2重量%NaOH溶液とそれぞれ混合させた。次いで、これらの混合物を温浴槽で50℃で40分間温めて、Q292と名付けられた、292nmでの紫外線吸収を有する、新規化学物質を得た。水中で、室温まで冷却させた後、これらの混合物を、0.08Mの酢酸を添加して酸性化し、体積の損失を埋め合わせ、Q260と名付けられた、260mでの紫外線吸収を有する新規化学物質を得た。これは、G Quian, Y Yang, Q Renの方法に従う(非特許文献1)。次いで、この溶液をUVによって解析し、較正曲線を得た。この方法によって、15%の理論量を有する実施例を解析し、固形粉末中のアルテミシニン含量を同定した。この解析により、13.88重量%のアルテミシニンが粉末中に存在することが判明した。
【0142】
(実施例14-17)
(実施例14に対して)賦形剤及び活性剤の溶液を、0.1gのキニーネ、0.62gのKlucel(Hercules incorporated)、0.03gのSpan 80(Sigma Aldrich)、0.2gのTween 80(Croda)及び0.05gのCremophor ELP(No.35)(BASF Chem. Trade)、(下表を参照のこと)を80mlのエタノール及び40mlの水中に溶解させることによって作製した。この溶液は、マグネティックスターラー上に5-10分間配置させて、全ての賦形剤及び活性剤が完全に分散することを確実にした。
【0143】
この溶液を、Buchi B290 Mini 噴霧乾燥機により、10%のポンプ速度及び140℃の吸入口温度で噴霧乾燥した。あらゆる場合において白色粉末が得られた。各製剤中の全粉末含量を、50mlエタノールと20ml脱イオン水の中に1g溶解させた。溶液がもし濁っていたら、清澄になって、全ての賦形剤が溶解するまで、エタノールを追加で添加した。
【0144】
【表2】

【0145】
溶解試験を、実施例14及び15に関して実施した。この溶液入り容器を、37℃に設定されて予め温められている水浴槽中に置かれた、予め温めた脱イオン水1Lで満たした。絶え間なく撹拌しながら、1Lの水を含む容器に、以下のように各粉末を添加した:実施例14は(200mのキニーネに相当する)2000mgの粉末、及び実施例16は(271mgのキニーネに相当する)約2707mg。
【0146】
1、5、10及び20分の所定の時間間隔で、ピペットを用いて、2.5-5mlのアリコートを回収した。各試験において、さらなるアリコートを30分の時に回収したが、これは、全ての粉末が溶解していなかったからであり、オーバーヘッド撹拌パドルの速度を、溶解を速めるために、140rpmまで増加させた。次いで、最後のアリコートの一つを、試験の最後における平衡濃度として使用するために回収した。
【0147】
下表は、%溶解対時間を示す:
実施例14
【0148】
【表3】

【0149】
実施例16
【0150】
【表4】

【0151】
(実施例18a-f)
18a
0.2gのアルテミシニン及び0.05gのSpan 80を、共に20mlのクロロホルムに溶解させた。0.05gのPluronic F68、0.65gのKlucel EF及び0.05gのアルギン酸ナトリウムを全て、80mlの滅菌水に溶解させた。油相を、600rpmで2分間、オーバーヘッド撹拌しながら、水相中に液滴下にて添加させた。この粗エマルションをさらに、ホモジナイザー(Yellowline DI25 Basic)で、13,500rpmで5分間処理した。次いで、Buchi Mini噴霧乾燥機B-290を用いて、150℃で純度の高い(fine)エマルションを噴霧乾燥させ、このエマルションの液滴サイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。次いで、10mgの乾燥粉末を、10mlの滅菌水中に分散させ、このナノ粒子のサイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。
【0152】
18b
実施例18aと同じ製剤を用いて、粗エマルションをさらに、ホモジナイザーで、20,500rpmで10分間処理した。次いで、Buchi Mini噴霧乾燥機B-290を用いて、150℃で純度の高いエマルションを噴霧乾燥させ、このエマルションの液滴サイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。次いで、10mgの乾燥粉末を、10mlの滅菌水中に分散させ、このナノ粒子のサイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。
【0153】
18c
実施例18aと同じ製剤を用いて、粗エマルションをさらに、ホモジナイザーで、24,000rpmで5分間処理した。次いで、Buchi Mini噴霧乾燥機B-290を用いて、150℃で純度の高いエマルションを噴霧乾燥させ、このエマルションの液滴サイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。次いで、10mgの乾燥粉末を、10mlの滅菌水中に分散させ、このナノ粒子のサイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。
【0154】
18d
実施例18aと同じ製剤を用いて、粗エマルションをさらに、ホモジナイザーで、24,000rpmで10分間処理した。次いで、Buchi Mini噴霧乾燥機B-290を用いて、150℃で純度の高いエマルションを噴霧乾燥させ、このエマルションの液滴サイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。次いで、10mgの乾燥粉末を、10mlの滅菌水中に分散させ、このナノ粒子のサイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。
【0155】
18e
実施例18aと同じ製剤を用いて、粗エマルションをさらに、ウルトラソニックプローブ(Sonicator(登録商標)、Ultrasonic Processor XL)で、1分間処理した。次いで、Buchi Mini噴霧乾燥機B-290を用いて、150℃で純度の高いエマルションを噴霧乾燥させ、このエマルションの液滴サイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。次いで、10mgの乾燥粉末を、10mlの滅菌水中に分散させ、このナノ粒子のサイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。
【0156】
18f
実施例18aと同じ製剤を用いて、粗エマルションをさらに、ウルトラソニックプローブで、3分間処理した。次いで、Buchi Mini噴霧乾燥機B-290を用いて、150℃で純度の高いエマルションを噴霧乾燥させ、このエマルションの液滴サイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。次いで、10mgの乾燥粉末を、10mlの滅菌水中に分散させ、このナノ粒子のサイズをMalvern Nano-Sを用いて測定した。
【0157】
これらの実験に関して、以下の表にさらに提供する。
【0158】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の非水溶性抗寄生虫薬剤を含む組成物であって、前記非水溶性抗寄生虫薬剤が、1000nm未満のナノ分散形態のピーク直径を有するナノ分散形態である組成物。
【請求項2】
非水溶性抗寄生虫薬剤のピーク直径が800nm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
非水溶性抗寄生虫薬剤のピーク直径が500nm未満である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
非水溶性抗寄生虫薬剤のピーク直径が200nm未満である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
非水溶性抗寄生虫薬剤のピーク直径が100nm未満である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
抗寄生虫薬剤が、5g/L未満の水への溶解度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
抗寄生虫薬剤が、1g/L未満の水への溶解度を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
抗寄生虫薬剤が、150mg/L未満の水への溶解度を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
水溶性担体材料をさらに含む請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物であって、前記非水溶性抗寄生虫薬剤が、1000nm未満のナノ分散形態のピーク直径を有するナノ分散形態で、担体材料を介して分散される組成物。
【請求項10】
抗寄生虫薬剤が、ペルオキシド、ラクトン、ペルオキシラクトン、キニーネ、キノリン及び/またはキニジンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
抗寄生虫薬剤がアルテミシニンタイプの薬剤またはキニーネタイプの薬剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
抗寄生虫薬剤が、アルテミシニン、アーテメター、アーテエター、ジヒドロアルテミシニン及びそれらの混合物を含む群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
抗寄生虫薬剤が、キニーネ及びキニジンを含む群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
非水溶性抗寄生虫薬剤および水溶性担体材料の水性分散物であって、前記抗寄生虫薬剤がナノ分散形態になっており、そのピーク直径が、1000nm未満、好ましくは800nm未満、より好ましくは500nm未満、特には200nm未満、より特には100nm未満を有する水性分散物。
【請求項15】
水及び請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を組み合わせることによって得ることが可能である、請求項14に記載の水性分散物。
【請求項16】
非水溶性抗寄生虫薬剤および水溶性担体を含む抗寄生虫組成物の調製方法であって、
a)i)抗寄生虫薬剤用の非水混和性溶媒における、同じ抗寄生虫薬剤の溶液、および
ii)担体の水性溶液
を含むエマルションを提供するステップと、
b)担体中の実質的に無溶媒の抗寄生虫薬剤のナノ分散物を得るために、エマルションを乾燥し、水および非水混和性溶媒を除去するステップ
を含む方法。
【請求項17】
非水溶性抗寄生虫薬剤および水溶性担体を含む抗寄生虫組成物の調製方法であって、
a)i)少なくとも1種の非水溶媒、
ii)任意選択で水、
iii)(i)および(ii)の混合物に可溶である水溶性担体材料、および
iv)(i)および(ii)の混合物に可溶である非水溶性抗寄生虫薬剤
を含む混合物を提供するステップと、
b)担体中の実質的に無溶媒の抗寄生虫薬剤のナノ分散物を得るために、溶液を乾燥して水及び水混和溶媒を除去するステップ
を含む方法。
【請求項18】
乾燥方法が噴霧乾燥を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
噴霧乾燥方法が、摂氏120℃を超える温度で実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
担体材料がポリマー及び/または界面活性剤を含む、請求項16または17に記載の方法、あるいは請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物、あるいは請求項14または15に記載の水性分散物。
【請求項21】
担体材料が、少なくとも1種のポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびアルギン酸塩を含む、請求項20に記載の方法または組成物または分散物。
【請求項22】
担体材料が、少なくとも1種のアルコキシル化非イオン性界面活性剤、エーテル硫酸塩の界面活性剤、陽イオン性界面活性剤またはエステル界面活性剤である、請求項20に記載の方法または組成物または分散物。
【請求項23】
非水溶媒が、少なくとも1種のジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン及びジメチルスルホキシドを含む、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項16から23のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、抗寄生虫組成物。
【請求項25】
請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物を調製するステップを含む、マラリアの治療または予防における使用のための薬剤の調製方法。

【公表番号】特表2009−542761(P2009−542761A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518832(P2009−518832)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056561
【国際公開番号】WO2008/006713
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】