説明

抗微生物剤、これを含む組成物および製品、ならびにこれらの組成物および製品の使用方法

抗微生物剤、抗微生物剤を組入れる製品および組成物、ならびに該組成物および製品の使用方法を提供する。抗微生物剤は、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールまたはこれらの混合物を含む。これらの剤が、驚くべきことに公知の抗微生物活性を有する他のグリコールよりも大幅に低い濃度で微生物生育を阻止することを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的には、抗微生物剤、抗微生物剤を組入れる組成物および製品、ならびに当該組成物および製品の使用方法に関する。抗微生物剤は、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、およびこれらの混合物である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの組成物および製品,例えばパーソナルケア、医薬、動物ケア、家庭用ケア、燃料、および油は、しばしば水を含有し、または環境からの水を蓄積する可能性がある。水は組成物および製品を微生物生育に対して感染しやすくする。
【0003】
防腐剤を、これらの製品に典型的に添加して任意のバクテリア、酵母、またはかびの生育を制限する。多くの種々の種類の防腐剤がこの用途に使用可能である。防腐剤の種類およびその濃度は、多くの要因(防腐される製品の種類、防腐剤の効果、および該製品を汚染させやすい有機体の種類が挙げられる)に基づいて選択する。製品が人間または動物と接触しやすい場合、防腐剤は、刺激、乾燥、アレルギーおよび毒性の原因となる潜在性について考慮しなければならない。これらおよび他の考慮によって、行政機関が防腐剤の使用を規制することがある。
【0004】
使用できる有効な防腐剤の数はより限定されてきている。これは、行政規制によってのみでなく、消費者または環境に害を与えるこれらの潜在性についての消費者の懸念にもよる。
【0005】
多くのグリコールが、従来の防腐剤を製品から排除できるような、またはその濃度を低減できるような、防腐効果を有するものとして規定されてきた。このようなグリコールとしては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルプロパンジオール、および1,3−アルカンジオール(5〜15個の炭素原子を有するもの)が挙げられる。1,2−ヘキサンジオールおよび1,2−オクタンジオールは、抗バクテリア剤として特に有効であることを見出した。そして、アルキル鎖長が増大するに従って1,2−アルカンジオールの抗バクテリア活性が増大することを理解した。より長い炭化水素鎖と微生物との疎水的相互作用は、これらの抗バクテリア活性に寄与することが教示される。しかし、アルキル鎖長が増大するに従って、これらの化合物の水溶性は低下する。非混和性の有機相を含有する特定の製品(例えばパーソナルケアエマルション)について、低い水溶性を有する化合物は油相中にマイグレートしやすく、これらは有効性がより低い。
【0006】
よって、当該分野において、有効(好ましくはより低濃度で)で;安全で;有効濃度で引き起こされるアレルギー反応、刺激および乾燥が最小限で;かつ環境または環境近傍の条件で水中の高い溶解度を有する、抗微生物剤に対する継続した要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
驚くべきことに、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−CHDM)およびその異性体 1,2−シクロヘキサンジメタノール(1,2−CHDM)および2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(TMCBD)(総称してCHDM)が抗微生物活性を有すること、そしてこれらが公知の抗微生物活性を有する他のグリコールよりも大幅に低い濃度で微生物生育を阻止できることを見出した。CHDMはまた、同様の分子量の他のグリコールと比べて水中でのより大きい溶解性を有する。
【0008】
第1の側面において、本発明は、水性組成物における微生物生育を低減または阻止する方法を提供する。該方法は、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を組成物に添加することを含む。
【0009】
第2の側面において、本発明は、(a)ディーゼル、バイオディーゼル、ディーゼルおよびバイオディーゼルの混合物、航空燃料、油圧オイル、潤滑油、植物油、原油、トランスミッション流体、加熱油、またはケロセンから選択される、燃料または油;ならびに(b)1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤、を含む組成物を提供する。
【0010】
第3の側面において、本発明は、約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む、パーソナルケア製品を提供する。
【0011】
第4の側面において、本発明は、薬物;および約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む薬用製品を提供する。
【0012】
第5の側面において、本発明は、約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む動物ケア製品を提供する。
【0013】
第6の側面において、本発明は、約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む家庭用ケア製品を提供する。
【0014】
第7の側面において、本発明は、表面に対して残存抗微生物活性を付与する方法を提供する。該方法は、上記のパーソナルケア製品、薬用製品、動物ケア製品、または家庭用ケア製品を表面に局所的に適用すること、および任意の過剰量の製品を該表面から任意に除去すること、を含む。
【0015】
第8の側面において、本発明は、哺乳動物の表面の上のバクテリアまたは菌類の存在による臭気を防止または低減する方法を提供する。該方法は、上記のパーソナルケア製品、薬用製品、または動物ケア製品を哺乳動物の表面に局所的に適用すること、および任意の過剰量の製品を該哺乳動物の表面から任意に除去すること、を含む。
【0016】
第9の側面において、本発明は、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、または、繊維、ポリマー、接着剤および/もしくはジプサムで形成されたコンポジット物質に抗微生物活性を付与する方法を提供する。該方法は、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質の中に、その製造プロセスの間に組入れることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
第1の側面に従って、本発明は、水性組成物における微生物生育を低減または阻止する方法を提供する。該方法は、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を水性組成物に添加することを含む。
【0018】
一態様において、1,2−CHDM、1,4−CHDM、TMCBD、またはこれらの混合物のみが組成物中の抗微生物剤である。
【0019】
水性組成物は、水を含有しそして微生物生育の影響を受けやすい任意の組成物であることができる。このような組成物の例としては、燃料または油の組成物、パーソナルケア製品、薬用製品、動物ケア製品、および家庭用ケア製品が挙げられる。よって、水に加え、水性組成物は、例えば、有機化合物,例えば炭化水素、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、脂肪族アルコール、ポリグリコールエーテル、アルキルグリコールエーテル、アルキルグリコールエステル、アルキルグリコールエーテルエステル、アルキルアミン、アルキルアミド、およびこれらの混合物を含有できる。有機化合物の他の例としては、ディーゼル、バイオディーゼル、ディーゼルおよびバイオディーゼルの混合物、航空燃料、油圧オイル、潤滑油、植物油、原油、トランスミッション流体、加熱油、またはケロセンが挙げられる。
【0020】
一態様において、水性組成物中の有機化合物および水は混和性である。別の態様において、水性組成物中の有機化合物および水は別個の液体相中にある。この後者の場合、抗微生物剤は、好ましくは、水性組成物における有機相と水性相との間の界面での微生物生育を低減または阻止する。
【0021】
水性組成物中に存在する抗微生物剤の量は、種々の要因(水性組成物の用途および所望の微生物保護の程度が挙げられる)に応じて変動できる。一般的には、抗微生物剤は、組成物の総質量基準で約1〜5質量%の量で存在できる。剤はまた、組成物の総質量基準で約1〜3質量%の量で存在できる。
【0022】
水性組成物に抗微生物剤を添加する様式は特に限定されない。例えば、抗微生物剤は、抗微生物剤を組成物と単に組合せ、含有成分を混合することによって水性組成物に添加できる。代替として、抗微生物剤は、その高い溶解力に起因して、これを残りの組成物含有成分と混合する前に、水性組成物の含有成分の1種以上のための溶媒として使用できる。
【0023】
別の態様において、抗微生物剤は、まず剤を、水と非混和性の溶媒と混合し、次いで剤−溶媒混合物を水性組成物と組合せることによって、水性組成物に添加できる。
【0024】
抗微生物剤自体は、室温で軟質固体であることができる。従って、混合および/または取り扱いを容易にするために、抗微生物剤をまず最大10質量%以上の水で、これを水性組成物またはその含有成分と組合せる前に希釈できる。
【0025】
本発明の方法は、種々の種類(バイオフィルムが挙げられる)の微生物生育を低減または阻止するのに有効である。
【0026】
第2の側面に従い、本発明は、(a)ディーゼル、バイオディーゼル、ディーゼルおよびバイオディーゼルの混合物、航空燃料、油圧オイル、潤滑油、植物油、原油、トランスミッション流体、加熱油、またはケロセンから選択される、燃料または油;ならびに(b)1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤、を含む組成物を提供する。
【0027】
燃料または油の組成物の中に存在する抗微生物剤の量は、種々の要因,例えば所望の微生物保護の程度に従って変動できる。一般的には、抗微生物剤は、組成物の総質量基準で約0.01〜1質量%の量で存在できる。剤はまた、組成物の総質量基準で約0.02〜0.5質量%の量、または更に、組成物の総質量基準で約0.05〜0.2質量%の量で存在できる。燃料中の剤の濃度範囲はまた、当業者によって、燃料または油と水との混合物についての剤の分配係数を評価し、次いで、油または燃料を汚染させる場合がある水の中で1〜5%の抗微生物剤を実現するために燃料または油に添加する量を計算することによって評価できる。
【0028】
燃料または油の組成物は、典型的な添加剤,例えば洗浄剤、オクタン価向上剤、酸素化剤、腐食防止剤、潤滑剤、金属脱活性剤、酸化防止剤、アンチノック剤、染料、燃焼触媒、燃焼速度調整剤、堆積制御添加剤、摩擦調整剤、粘度調整剤、耐摩耗添加剤、流動点降下剤、消泡剤、シール調節剤、極圧添加剤、分散剤、およびワックス結晶改質剤を含有できる。
【0029】
第3の側面に従い、本発明は、約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む、パーソナルケア製品を提供する。剤はまた、製品の総質量基準で約1〜3質量%の量で存在できる。
【0030】
一態様において、1,2−CHDM、1,4−CHDM、TMCBD、またはその混合物のみがパーソナルケア製品における抗微生物剤である。
【0031】
一態様において、パーソナルケア製品は水を含有し、そして抗微生物剤の質量パーセントは製品中の水の量基準である。
【0032】
別の態様において、パーソナルケア製品は、無水であり、そして抗微生物剤の質量パーセントは製品の総質量基準である。
【0033】
本発明に係るパーソナルケア製品の例としては、ハンドソープ、手の除菌剤、ボディウォッシュ、シャワージェル、シャンプー、コンディショナー、フェイスクリーム、ボディーローション、脇用消臭剤、マウスウォッシュ、歯磨きペースト、化粧品、コンタクトレンズ溶液、ヘアスタイリング製品、ニキビトリートメント製品、香料、および足、靴下、または靴の消臭用組成物が挙げられる。
【0034】
第4の側面に従い、本発明は、薬物、および約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む薬用製品を提供する。剤はまた、製品の総質量基準で約1〜3質量%の量で存在できる。
【0035】
一態様において、1,2−CHDM、1,4−CHDM、TMCBD、またはこれらの混合物のみが薬用製品中の抗微生物剤である。
【0036】
一態様において、薬用製品は、水を含有し、抗微生物剤の質量パーセントは製品中の水の量基準である。
【0037】
別の態様において、薬用製品は無水であり、そして抗微生物剤の質量パーセントは製品の総質量基準である。
【0038】
本発明に係る薬用製品の例としては、ニキビトリートメント製品、創部ケア製品、および経皮パッチが挙げられる。
【0039】
本発明の薬用製品中に含まれることができる薬物の例としては、皮膚若返り製品,例えばサリチル酸、グリコール酸、ビタミンA、ビタミンE、ヒアルロン酸、カフェイン、アロエベラ、コエンザイムQ10、コラーゲン、およびこれらの誘導体;麻酔剤,例えばベンゾカインまたはリドカイン;抗菌製品,例えばケトコナゾールまたはフルコノゾール等;抗炎症物質またはかゆみ止め物質,例えばヒドロコルチゾン、ベネドリル等、鎮痛剤,例えば硫酸モルヒネ;等、抗生物質,例えばアモキシシリン、ペニシリン、トリメトプリム、バクトリム、スルファメチゾール、エリスロマイシン、ポリミキシンBスルフェート等;ホルモン,例えばエストラジオール、プロゲスチン、プロゲステロン、テストステロン等;抗不安薬;抗うつ薬または抗パーキンソン薬,例えばセレゲリン(selegeline)等;抗痙攣(anti-spasmotic)薬,例えばオキシブチニン;抗痙攣(anti-convulsive)薬,例えばカルバマゼピン、酔い止め薬,例えばスコポロアミン;禁煙薬,例えばニコチン;抗がん剤,例えばタモキシフェンまたは5−フルオロウラシル、ふけ防止剤、制汗剤および活性物質、ならびに抗ウイルス薬,例えばワクチンの含有成分が挙げられる。
【0040】
第5の側面に従い、本発明は、約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む動物ケア製品を提供する。剤はまた、製品の総質量基準で約1〜3質量%の量で存在できる。
【0041】
一態様において、1,2−CHDM、1,4−CHDM、TMCBD、またはその混合物のみが動物ケア製品中の抗微生物剤である。
【0042】
一態様において、パーソナルケア製品は水を含有し、そして抗微生物剤の質量パーセントは製品中の水の量基準である。
【0043】
別の態様において、動物ケア製品は無水であり、そして抗微生物剤の質量パーセントは製品の総質量基準である。
【0044】
本発明に係る動物ケア製品の例としては、シャンプー、コンディショナーおよび香料が挙げられる。
【0045】
第6の側面に従い、本発明は、約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む家庭用ケア製品を提供する。剤はまた、製品の総質量基準で約1〜3質量%の量で存在できる。
【0046】
一態様において、1,2−CHDM、1,4−CHDM、TMCBD、またはその混合物のみが家庭用ケア製品中の抗微生物剤である。
【0047】
一態様において、家庭用ケア製品は水を含有し、そして抗微生物剤の質量パーセントは製品中の水の量基準である。
【0048】
別の態様において、家庭用ケア製品は無水であり、そして抗微生物剤の質量パーセントは製品の総質量基準である。
【0049】
本発明に係る家庭用ケア製品の例としては、表面クリーナー、空気または表面の消臭剤、ランドリーケア製品、食器洗い洗剤、およびすすぎ助剤が挙げられる。
【0050】
第7の側面に従い、本発明は、表面に対して残存抗微生物活性を付与する方法を提供する。該方法は、本発明のパーソナルケア製品、薬用製品、動物ケア製品、または家庭用ケア製品を表面に局所的に適用すること、および任意の過剰量の製品を該表面から任意に除去すること、を含む。
【0051】
処理される表面は、人間もしくは動物の皮膚もしくは毛、または無生物の対象物,例えばドアハンドル、床、カウンター上面、机上面、および家具であることができる。
【0052】
これらのステップは所望の限り頻繁に、例えば1日に2〜6回繰り返すことができる。
【0053】
一態様において、製品の適用前に、表面はその上にバイオフィルムを有する。
【0054】
第8の側面に従い、本発明は、哺乳動物の表面の上のバクテリアまたは菌類の存在による臭気を防止または低減する方法を提供する。該方法は、本発明のパーソナルケア製品、薬用製品、または動物ケア製品を哺乳動物の表面に局所的に適用すること、および任意の過剰量の製品を該哺乳動物の表面から任意に除去すること、を含む。
【0055】
哺乳動物の表面は、哺乳動物の露出した表面上の任意の場所であることができ、手、足、脇の下、鼠径部、および歯が挙げられる。
【0056】
これらのステップは所望の限り頻繁に、例えば1日に2〜6回繰り返すことができる。
【0057】
第9の側面に従い、本発明は、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、または繊維、ポリマー、接着剤および/もしくはジプサムで形成されたコンポジット物質の抗微生物活性を付与する方法を提供する。該方法は、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質に、その製造プロセスの間に組入れることを含む。本発明は、可塑剤(例えばジエチルフタレート(DEP))中に溶解し、粉末化プラスチック材料中に直接混合して、適用中に押出しまたは熱形成することができる。代替として、本発明は、一般的な溶媒中または共溶媒中に、ポリマー(例えばセルロースアセテート)とともに溶解し、薄いフィルムとしてキャストして乾燥させることができる。次いで粉末を低温粉砕して的確な寸法の粒子を形成する。
【0058】
フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質の中に存在する抗微生物剤の量は、種々の要因(所望の微生物保護の程度が挙げられる)に応じて変動できる。一般的に、抗微生物剤は、組成物の総質量基準で約1〜5質量%の量で存在できる。剤はまた、組成物の総質量基準で約1〜3質量%の量で存在できる。
【0059】
一態様において、1,2−CHDM、1,4−CHDM、TMCBD、またはその混合物のみが、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質の中の抗微生物剤である。
【0060】
別の態様において、本発明の方法は、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質の表面の上にバイオフィルムが形成されることを防止するのに有効である。
【0061】
本発明は、その好ましい態様の以下の例によって更に例示できるが、これらの例は単に例示のために包含され、本発明の範囲の限定を意図しないことが理解されよう。以下の例において、全てのパーセントは、特記がない限り質量基準である。加えて、CHDM−Dは、無水1,4−シクロヘキサンジメタノールを意味し、そしてCHDM−D90は、90質量%1,4−CHDMおよび10質量%水の混合物を意味する。
【0062】

例1〜7:混合物の適切な防腐についての試験
適切な防腐についての試験を、European Pharmacopea(6.0)およびUnited States Pharmacopea(5.1)に従って実施した。試験は、エマルション基質として働くスキンクリーム配合物を接種することを含んだ。スキンクリーム配合を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
このクリームはエマルション基質であり、これは全ての更なる実験のためのベースを形成した。CHDM、防腐剤、および/または1,2−オクタンジオールを表2に示す濃度(質量%単位)で添加することによってサンプルを調製した。CHDM−D90は、10質量%の水を含有する1,4−CHDMである。
【0065】
【表2】

【0066】
例1〜6について、390.0gのクリームを600mLビーカーに計り入れた。クリームを室温で撹拌する一方、既定含有成分を添加した。各サンプルを2時間撹拌し、次いで接種まで冷蔵庫に入れた。
例1:水(10.0g)を添加した。
例2:CHDM−D90(3.00g)および7.00gの水を添加した。
例3:CHDM−D90(6.00g)および4.00gの水を添加した。
例4:CHDM−D90(10.0g)を添加した。
例5:フェノキシエタノール(1.20g)および8.80gの水を添加した。
例6:メチルパラベン(0.200g)および9.80の水を添加した。
【0067】
例7について、179.4gのクリームを400mLビーカーに計り入れた。クリームを室温で撹拌する一方、既定含有成分を添加した。各サンプルを2時間撹拌し、次いで接種まで冷蔵庫に入れた。
例7:1,2−オクタンジオール(0.552g)および4.05gの水を添加した。
【0068】
上記の例1〜6のサンプルを既定生物で攻撃(challenge)して(表3参照)1.0×105cfu/gから1.0×106cfu/gの間の汚染を生成した。これらの攻撃による実際の接種カウントは、滅菌緩衝水中で希釈し、そして(スプレッドプレート法)計数用にプレーティングすることによって直ちに評価した。攻撃生物についてのこれらのカウントの結果を表3中に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
攻撃生物は、Mueller−Hinton培地中で準備し、72時間、35℃±2℃で生育させ、2500rpmで5分間遠心分離し、そして上澄み培地を取り除いた。次いで微生物ペレットを滅菌緩衝水で濁り物に再希釈した。これは、その生物の既定生育カーブの先の1.0×108cfu/g濃度に適合した。
【0071】
例7のサンプルは、限られた試験物質に起因してBurkholderia cepaciaで攻撃しなかった。他は、これらを、例1〜6の試験サンプルと全く同じに試験した。
【0072】
試験エマルションを、生物に最適な既定温度範囲内:35℃±2℃(バクテリアについて)および22℃±2℃(菌類について)に、始めの3日間維持した。これらを雰囲気の室温に後続の時間保った。
【0073】
約1グラムの二次培養サンプルを7、14、および30日でのカウント用に採取し、そして最適な条件および栄養の下で5日間以上インキュベートした。二次培養物を1:2,1:10,1:100,...,1:10,000に希釈し、そしてスプレッドプレート法を用いてPlate Count Agar上;およびSAB Dextrose Agar上(Candida種およびAspergillus種について加えて)にプレーティングし;そして以下のようにインキュベートした:35℃±2℃(Plate Count Agarについて)および22℃±2℃(Candida albicansおよびApergillus nigerのSAB Dextroseプレートについて)。負の結果は7日間のインキュベーションの前には報告されず、そしてカウントは5日間以上のインキュベーションの後に行った。試験エマルションの高粘度に起因して、少なくとも1:2希釈が、スプレッドプレート二次培養を行うために必要であった。0〜30カウントは、1〜2希釈、数1〜200は1:10希釈を表し;そして残りは1:100、1:1000、または1:10,000の希釈を表す。Candida種およびAspergillus種のカウントは、観察される最も高いカウントを代表する寒天上、通常SABデキストロース上で行った。
【0074】
カウントは、二次培養サンプルの質量に従って適合させた。結果を表4に示す。
【0075】
【表4】

【0076】
例8:1,4−CHDMおよびプロピレングリコールについてのMICおよびMLCの評価
2つの抗微生物性の端点を調べた。最小発育阻止濃度(MIC)(これは、既定生物についての生育を阻止する、試験物質の最低濃度(最小3log単位)を規定する)は「生物静力学活性」を反映する。最小致死濃度(MLC)、または生物を殺す最低濃度であって生育を伴う二次培養が可能でない最低濃度は、「殺生物活性」を反映する。1,4−CHDMおよびプロピレングリコール(PG)を滅菌ねじ蓋ガラス管に先に添加し、Peptone Water Brothで2質量%デキストロース(=試験培地)で以下の希釈(質量%)で希釈した:0.05,0.075,0.125,0.25,0.5,0.75,1.25,2.5,5.0,7.5,10.0,15.0,20.0。
【0077】
12組の上記の試験管の各々を既定生物で攻撃して(表5参照)1.0×105cfu/gから1.0×106cfu/gの間の汚染を試験培地(これには1,4−CHDMまたはプロピレングリコールは添加していない)に生成した。これらの攻撃生物はTSB培地中で準備し、72時間、35℃±2℃で生育させ、2500rpmで5分間遠心分離し、そして上澄み培地を取り除いた。次いで微生物ペレットを滅菌緩衝水で濁り物に再希釈した。これは、その生物の既定生育カーブの先の1.0×106cfu/g濃度に適合した。この攻撃を3日にて繰返した。培地攻撃のプレートカウントは、35℃±2℃での7日のインキュベーション後に1.0×105±5,000cfu/g以内に数えた。
【0078】
反転(最小25反転)によってこれらの管をよく混合し、35℃±2℃でインキュベートした。インキュベーション3日目および7日目で各二次培養の前に、管を再び反転(最小25回)させた。
【0079】
これらの管の濁度を観察し、幾つかの事例では写真撮影し、そして二次培養サンプル約0.1mLを、7,14,30および60日でのカウントのために採取した。これらの二次培養物を最適な条件および栄養の下で5日間以上インキュベートした。二次培養物0.1mLの、非希釈ならびに希釈の1:10、1:100...および1:10,000を、スプレッドプレート法を用いてPlate Count Agar上;およびSAB Dextrose Agar上(Candida種およびAspergillus種について加えて)のプレートに移し;そして以下のようにインキュベートした:35℃±2℃(Plate Count Agarについて)および22℃±2℃(Candida albicansおよびAspergillus nigerのSAB Dextroseプレートについて)。負の結果は7日間のインキュベーションの前には報告されず、そしてカウントは5日間以上のインキュベーションの後に行った。Candida種およびAspergillus種のカウントは寒天上(通常はSAB Dextroseである、観察される最も高いカウントを表す)で行った。MICレベルを最大希釈について報告し、これは最小3logの低減(cfu/g単位)を示し、そしてMLCレベルを最大希釈について報告し、これは生育なしの非希釈を示した。30日の二次培養の結果を表5に示す。
【0080】
【表5】

【0081】
例9:バイオディーゼルからの1,4−CHDMの水抽出
59.5質量%の1,4−CHDMの溶液(エトキシジグリコール中)(Eastman DE溶媒)を、バイアル中に1.36gのエトキシジグリコールおよび2.00gの1,4−CHDMを計り入れることによって調製した。混合物を55℃に加熱して1,4−CHDMを溶融させ、ボルテックスミキサーで混合し、次いでロッカーミキサーに1晩室温で入れて全ての1,4−CHDMを溶解させた。
【0082】
1,4−CHDMを大豆バイオディーゼルに以下のように添加した:60.00gの大豆バイオディーゼルを4オンス瓶に計り入れた。0.0246gの上記CHDM/DE溶液をバイオディーゼル中に計り入れた。マグネチックスターラーを用いてサンプルを混合した。混合後に視認できる分離はなく、バイオディーゼルは明澄なままであった。バイオディーゼル中のCHDMの理論量は0.024質量%である。5.00gを分析用にサンプルから取り出した。
【0083】
0.90%の水を含有するバイオディーゼル混合物を形成するために、0.50gの脱イオン水を残りの55.0gの1,4−CHDM/DE/バイオディーゼル混合物に添加し、マグネチックスターラーで混合した。撹拌時に混合物は曇り、また視認できる水適を含有していた。混合物を3日間静かに置き、その時間の間、白い水性相が底部上に現れ、バイオディーゼル(上部層)は未だ曇ったままであった。混合物を遠心分離してバイオディーゼルから水を可能な限り多く分離した。遠心分離後、バイオディーゼルは底部上の水性層とともに再び明澄であった。水抽出の前および後の1,4−CHDM/DE/バイオディーゼル混合物ならびに底部の水性層を、ガスクロマトグラフィによって1,4−CHDMについて分析した。抽出の前および後の1,4−CHDM/DE/バイオディーゼル混合物中の1,4−CHDMは、より低い検出限界で約0.015〜0.02%と見出された。水性底部層は、0.38質量%の1,4−CHDMを含有することが見出された。これは、水が、バイオディーゼルに添加された1,4−CHDMの一部を抽出したことを示す。よって、水中に存在する1,4−CHDMは、水中またはバイオディーゼル/水界面での微生物生育を阻止する。
【0084】
例10:Pathogenic Fungiに対する1,4−CHDM攻撃試験
Microsporum canisおよびTrichophyton rubrumの両者を、Sabouraudデキストロース培地上で生育させ、一方Malassezia fufurをSabouraudデキストロース培地(2%(v/v)のオリーブ油および0.2%(v/v)のTweenTM80を補った)中で生育させた;インキュベーションは、撹拌による連続撹拌下22℃±2℃で10日間であった。密度1.0×103〜1.0×104cfu/gまで生物を生育させた。これらの攻撃の実際の接種セル密度は、滅菌緩衝水を希釈し、そして(スプレッドプレート法)計数用にプレーティングすることによって評価した。攻撃生物についてのこれらのカウントの結果を表6中に示す。
【0085】
【表6】

【0086】
*注: M.furfur培地は極めて濁っていて生長可能であったが、Sabouraudデキストロース寒天(オリーブ油−TweenTM80を補った)上の計数用のプレーティングはカウント可能なコロニーは与えなかった。
【0087】
攻撃生物を用いて1,4−CHDM−D90試験濃度の管(Sabouraudデキストロース培地(またはオリーブ油−TweenTM80(M.furfurとともに)を補ったSabouraudデキストロース培地)中で調製したもの)を接種した。接種の量は、22±2℃での静置培養で各培地の1.5mLアリコートであった。二次培養は、3−、14−および30−日の増分で行った。全ての攻撃は3重で行った。M.canisの場合において、生育反応は管内の生育の目視の存在/不存在で調べた;T.rubrumの場合において、呼吸(レドックス)染料(0.2%w/vの水性INT溶液:2−[4−ヨードフェニル)−3−4−ニトロフェニル]−5−フェニルテトラゾリウムクロリド)を管に添加し、生物が生育可能であれば赤変した;最後に、M. furfurの場合において、生育反応は、メニスカスでの管内のペリクル形成に基づいて調べた。試験配合物および攻撃試験結果、更に30日MIC(最小発育阻止濃度)は、3つの生物について以下の生育評定系を用い、表7〜9中にある。
【0088】
生育評定
0:視認できる生育なし
1:管内の幾らかかの生育
2:管内の中程度の生育
3:管内の大きな生育
4:管内の著しい生育
【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

【0091】
【表9】

【0092】
例11:配合物1、表10、1.4−CHDMを有するマスカラ
パートI(表10中に列挙)の含有成分を150mLビーカー内で60℃にて、含有成分が溶解するまで手で一緒に混合および撹拌することによってマスカラ配合物を準備した。
【0093】
パートII(表10中に列挙)を、100mLビーカー内でマグネチックスターラー/ホットプレートにて75℃で一緒に溶融させた。これを60℃まで冷やした。
【0094】
パートIおよびIIの両者が60℃である間に、これらを手で一緒にブレンドした。最後に、CHDM−D90をパートIおよびIIの混合物に手で添加した。
【0095】
【表10】

【0096】
例12−配合物2、1,4−CHDMを有するプロゲスチンパッチ
プロゲスチンを含有する接着剤パッチを、30.00gのEastman AQTM2350ポリマーを170.00gの水中55℃で、回転撹拌装置を用いて溶解させて第1の混合物を形成することによって調製した。1.00gのプロゲスチンを9.00gのCHDM−D90に、バイアル中で、シェーキングミキサーを用いて溶解させて第2の混合物を形成した。10.03gの第1の混合物を0.11gの第2の混合物と混合して第3の混合物を形成した。2.16gの第3の混合物を0.23gのエタノールと組合せて第4の混合物を形成した。第4の混合物をポリエチレンシート上にキャストして、プロゲスチンを含有する接着剤層を形成した。
【0097】
乾燥ベースでの接着剤配合物は、93.79質量%のAQ2350、0.68質量%のプロゲスチン、および5.53質量%の1,4−CHDMを含有していた。配合物は比重0.9g/ccを有した。
【0098】
各パッチは、10cm×10cm(2ミクロン厚の接着層を有する)であった。各パッチは、乾燥ベースで1.23mgのプロゲスチンを含有していた。
【0099】
例13−配合物3、表11、1,4−CHDMを有する抗微生物性セルロース繊維
1,4−CHDMを含有する抗微生物性セルロース繊維を、表11の含有成分を示される比率で混合することによって調製した。シールしたガラス瓶に混合物を添加し、完全に溶解するまでローラーミキサー上に置いた。次いでポリマー溶液(ドープ)をガラス上にキャストし、エアドライさせた後、減圧オーブン内で50℃にて1晩乾燥させた。乾燥させた明澄な薄いフィルムでチップを形成し、繊維紡糸装置内に180〜260℃で供給して繊維を形成した。
【0100】
【表11】

【0101】
繊維は明澄、無色、強靭であり、そして低い静電荷を有していた。繊維は表12に列挙する組成を有する。
【0102】
【表12】

【0103】
例14−配合物5、1,4−CHDMを有する成形プラスチック部品
成形プラスチック部品は、16.25gのジエチルフタレート(DEP)を5gのCHDM−D(無水1,4−CHDM)と、DEPが溶解するまで混合することによって調製した。85gのCAP−141-20粉末を、シールしたガラス瓶内で混合物に添加し、ローラーミキサー上で1晩混合した。混合物を、加熱したプレスセット内で240℃にて60秒間および420ポンド毎平方インチでプラスチックシートに成形した。
【0104】
例15−配合物6〜9、表13、抗微生物性表面スプレー
12〜C16アルキルポリグリコシド界面活性剤(Plantaren(登録商標)1300)を水、エタノール、CHDM−D、およびエチレングリコールモノブチルエーテル(EastmanTM EB)と瓶内で混合してシールした。含有成分の比率を表13に示す。次いで混合物をローラーミキサーに入れて1晩溶解させた。4サンプルを準備した。トリエタノールアミンを表13に示す量で用いて、サンプルの2つでpHを8.0に調整した。
【0105】
【表13】

【0106】
4つの試験微生物(すなわち、Bacillus subtilis ATCC 6633:グラム陽性,芽胞形成性細菌;Candida albicans ATCC 10231:酵母菌;Burkholderia cepacia ATCC 25416:グラム陰性菌;およびStaphylococcus aureus ATCC 25923:グラム陽性菌)の純粋培養物を液体媒体(Trypticase Soy Broth(バクテリアについて)35℃にて、およびSabouraud Dextrose Broth(菌類について)22℃にて)中で生育させた。B.cepaciaおよびS.aureusの両者は病原微生物(すなわち、BSL−2,バイオセーフティレベル2)であり;全ての操作はクラスIIバイオセーフティキャビネット内で行い、そして全ての物質は蒸気滅菌の使用によって消毒した。48〜72時間の生育後、標準プレートカウントを行ってセル密度を評価した;個別の微生物培養物のセル密度は以下の通りである:それぞれ、B.subtilisは3.4×1010cfu/mL,C.albicansは1.3×107cfu/mL,B.cepaciaは8.0×1010cfu/mL,およびS.aureusは106cfu/mLであった。
【0107】
生存セルカウント(cfuまたはコロニー形成単位)(コンタクト(RODAC)プレートによって評価できる)を実現するために、培養物を滅菌緩衝水中、1:105または1:106で希釈した;各々の希釈された培養物の10μLアリコートを、予め滅菌したガラススライド(50mm×55mm)(滅菌、プラスチックペトリ皿(135mm径)に収容されている)に血清用ピペットで注意深く移した。アリコートを、滅菌したプラスチック接種ループでスライド表面に亘って一様に広げ、次いで各皿に2スプレー(約0.28g)の表13中のそれぞれの配合物を与え;予定曝露時間(すなわち30分、90分、8時間、24時間、1週間)で、配合物についての各々2重のスライドをStandard Methods Agarコンタクトプレート(RODACプレート)で注意深くプレスし、35℃(バクテリアについて)または22℃(菌類について)で5〜7日間インキュベートし、次いで目視でカウントした。曝露時間の間、スライド−ペトリ皿アセンブリは、加湿、シールされたインキュベーター内に室温で保持した。対照は、10μLアリコートの同じ希釈した培養物を含む各々の試験生物について実施した。
【0108】
全ての試験は、全範囲の曝露時間に亘って、各々の生物を伴う全ての配合について負(0cfu)であった;対照、S.aureusのもの以外は、頑強(すなわち約300cfu)であった(S.aureusは、他の試験生物よりも乾燥損傷の影響を受けやすい場合がある)。全体のこれらの結果は、試験生物が配合物に対する曝露で生存しなかったことを示し、これは配合物が全て有力な表面殺菌剤であること(暴露時間形態に関わらず)(すなわち、即座の殺生物)を示唆する。
【0109】
例16−配合物10、表14、創傷ケアスプレー
創傷ケアスプレーは、トリクロサン(5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール)をエタノールおよび水に溶解させて第1の混合物を形成することによって準備した。Eastman AQTM48ポリマーを水中に、80℃で撹拌することによって溶解させた。溶解後、トリエチルシトレートおよびグリセリンをAQ48溶液に添加して第2の混合物を形成した。次いで第1の混合物を第2の混合物に、撹拌しながら添加して、創傷ケアスプレー組成物を形成した。含有成分の量を表14に示す。
【0110】
【表14】

【0111】
組成物はブルックフィールド粘度21cPを有していた。組成物は、皮膚表面上に、ポンプ噴霧器または加圧噴霧器を用いてスプレーできる。
【0112】
例17−配合物11、ニキビスキンケアスプレー
ニキビを処置するための局所配合物は、しばしば皮膚に対して刺激を与える。ニキビを処置するために用いた2つの市販薬:サリチル酸およびベンゾイルパーオキサイドは、皮膚に刺激および赤味を残す可能性がある。配合物11は、より強い局所ニキビ処置間での保護スプレーとして使用できる。配合物は中性近傍のpH(pH6.0)、皮膚を更なる刺激から保護するポリマー、およびCHDM−D90を有し、ニキビ斑の原因となるバクテリアの1種、staphalacoccus aureusに対して有効であることが示されている含有成分を与える。
【0113】
ニキビスキンケアスプレー配合物11
ステップI
AQ48(ポリエステル−5)32%分散液の調製
量(g) パーセント
AQ 48(ポリエステル−5) 128.00 32.00
脱イオン水 272.00 68.00
小計 400.00 100.00
上記成分をガラス瓶に添加してシールした。溶解するまでこれらをローラーミキサーに入れた。
ステップII
下記含有成分の列挙順での添加
量(g) パーセント
AQ 48(ステップIより)の32%分散液 60.65 44.92
トリエチルシトレート 1.02 0.76
エタノール 17.88 13.24
CHDM−D90 5.00 3.70
Silsoft 870(PEG−12ジメチコーン) 0.33 0.24
脱イオン水 50.14 37.14
合計 135.02 100.00
例18−配合物12、表15、足/靴/靴下 臭気低減スプレー
足/靴/靴下 臭気低減スプレーは、表15中の含有成分を直接スプレーボトル中で混合することによって調製した。次いで瓶をシールし、全ての含有成分が溶解するまで物理的にシェイクした。
【0114】
【表15】

【0115】
例19−配合物13、表16、芳香性の足消臭剤(Deodorizer/Deodorant)
足消臭剤は、表16中の含有成分を、プラスチックボトル中で直接混合することによって調製した。全ての含有成分が溶解するまでシェーカーインキュベーターを用いてボトルを35℃にてシェイクした。
【0116】
【表16】

【0117】
例20−配合物14、表17、CHDMおよび香料を有する消臭剤
皮膚または布帛の消臭剤は、表17中の含有成分を直接プラスチックボトル中で混合することによって調製した。全ての含有成分が溶解するまでボトルをシェイクした。
【0118】
【表17】

【0119】
例21−表18、配合物15、CHDMおよび香料を有する消臭剤
皮膚または布帛の消臭剤を、表18中の含有成分を直接プラスチックボトル中で混合することによって調製した。全ての含有成分が溶解するまでシェーカーインキュベーターを用いてボトルを35℃にてシェイクした。
【0120】
【表18】

【0121】
例22−抗微生物性香料消臭剤
皮膚または布帛の消臭剤は、表19中の含有成分を直接プラスチックボトル中で混合することによって調製した。全ての含有成分が溶解するまでボトルをシェイクした。
【0122】
【表19】

【0123】
消臭剤としての商業的な香料を試験するため、そしてこれを表19中、例22の配合物と比較するために、Fresh CucumberTMボディスプラッシュを、床掃除に使用したコットンクロス片を収容するアルミニウム計量皿中に計り出し、混合物を室温で24時間蒸発させた。同一量の表19中の配合物もまた、床掃除に使用したコットンクロス片を収容するアルミニウム計量皿に計り入れ、混合物を室温で蒸発させた。24時間後、アルミニウム皿中に残っている2サンプルの香料を比較した。キュウリ香料は表19による配合物において顕著であり、悪臭は存在しなかった。CHDM−D90なしでは、Fresh CucumberTMボディスプラッシュはキュウリ香料を残しておらず、かび臭い臭気が広がった。
【0124】
例23−配合物17、表20、1,4−CHDMを有する無着香制汗剤速乾スプレー
制汗剤スプレーは、表20中の含有成分を直接プラスチックボトル中で混合することによって調製した。全ての含有成分が溶解するまでシェーカーインキュベーターを用いてボトルを35℃にてシェイクした。
【0125】
【表20】

【0126】
例24−配合物18、表21、1,4−CHDMを有する着香制汗剤スプレー
表21中の配合物をポンプスプレーボトルに入れ、脇の下に微細ミストとしてスプレーした。
【0127】
【表21】

【0128】
例25−配合物19、表22、1,4−CHDMを有する無着香制汗剤スプレー
表22中の配合物をポンプスプレーボトルに入れ、脇の下に微細ミストとしてスプレーした。
【0129】
【表22】

【0130】
例26−配合物20、表23、1,4−CHDMを有するロールオン
脇の下ロールオン組成物は、混合物Iの含有成分を、これらが溶解するまで70℃で加熱することによって調製した。別個に、混合物IIの含有成分を、これらが溶解するまで70℃で加熱した。混合物IIを混合物Iに添加した。混合物IおよびIIがまだ高温である間に、クロルヒドロキシアルミニウムを、混合しながら添加した。次いでブレンド物を高剪断ブレンダー内で剪断した。混合物IVをブレンド物に添加する一方、ブレンド物を冷却した。含有成分および量を表23中に示す。
【0131】
【表23】

【0132】
組成物は、スピンドル♯3で22℃にて、ブルックフィールド粘度421cPを有した。
【0133】
例27(比較)−配合物21、表24、1,4−CHDMを有さないロールオン
脇の下ロールオン組成物は、混合物Iの含有成分を、これら溶解するまで70℃で加熱することによって調製した。別個に、混合物IIの含有成分を、これらが溶解するまで70℃で加熱した。混合物IIを混合物Iに添加した。混合物IおよびIIがまだ高温である間に、クロルヒドロキシアルミニウムを、混合しながら添加した。次いでブレンド物を高剪断ブレンダー内で剪断した。混合物IVをブレンド物に添加する一方、ブレンド物を冷却した。含有成分および量を表24中に示す。
【0134】
【表24】

【0135】
組成物は、スピンドル♯3で22℃にて、ブルックフィールド粘度636cPを有した。
【0136】
配合物20および配合物21によるサンプルを、室温で10ヶ月間静置した。例26によるサンプル(1,4−CHDMあり)は相分離を示さず、一方例27によるサンプル(PGあり)は示した。
【0137】
例28−配合物22、表25、1,4−CHDMを有する無水制汗剤スティック
無水制汗剤スティックは、表25中、配合物22の含有成分を、二重ボイラー中で撹拌しながら75℃に加熱することによって調製した。サンプルを65℃に冷却し、この時点で、香料を撹拌しながら添加した。サンプルを消臭剤容器に上部に向かって注ぎ入れ、直ちにカバーして揮発性成分の蒸発を防止した。
【0138】
【表25】

【0139】
例29−表26、配合物23、1,4−CHDMを有する非白化性制汗剤スティック
制汗剤スティックは、パートIの含有成分(表26中に列挙、配合物23)を、二重ボイラー内で75℃にて撹拌しながら一緒に溶融させることによって調製した。混合物を65℃に冷却した。パートIIの含有成分を混合し、15分間一緒にソークさせた。次いでこれらを65℃に加熱した。パートIIをパートI中に撹拌して入れる一方、両者を65℃とした。撹拌しながら混合物を60℃に冷却し、次いで消臭剤容器に注ぎ入れ、直ちにカバーして冷却した。制汗剤は脇の下への適用時に非白化性であり、そして悪臭の発生を防止した。
【0140】
【表26】

【0141】
例30−表27、配合物24、1,4−CHDMを有する明澄な着香消臭剤スティック
消臭剤スティックは、まずパートI(表27中に列挙、配合物24)の含有成分を、これらが溶解するまで50℃で混合してパートI溶液を形成することによって調製した。
【0142】
別個に、パートIIA液(表27中に列挙)を一緒に添加し、97℃に加熱した。次いでジベンジリデンソルビタール(固体)を添加し、混合物を、これらが溶解するまで撹拌してパートIIA溶液を形成し、そして85℃にて高温に維持した。
【0143】
一方、ステアレス−2およびステアレス−20を85℃で、C12−C15アルキルベンゾエートおよびSilsoft 305の存在下で溶融させ、パートIIB溶液を形成した。
【0144】
次いで、パートIIA溶液をパートIIB溶液、続いて香料、AMP−95、およびDOW Corning 245 FluidのパートIICの含有成分に添加した。混合物を60℃に冷却し、消臭剤容器に注ぎ入れて、明澄、無色の消臭剤スティックを形成した。
【0145】
【表27】

【0146】
例31−表28、配合物25、1,4−CHDMを有する無着香明澄消臭剤スティック
消臭剤スティックは、パートI(表28中に列挙、配合物25)の液体含有成分をまず一緒に添加し、95℃に加熱することによって調製した。次いでジベンジリデンソルビタールを、これが溶解するまで添加した。溶液を85℃に維持した。
【0147】
一方、パートIIのステアレス−2およびステアレス−20を85℃で、C12−C15アルキルベンゾエート、Silsoft 305およびプロピレングリコールの存在下で溶融させ、パートII溶液を形成した。
【0148】
次いで、パートII溶液をパートI溶液に添加し、磁気撹拌棒で撹拌しながら82℃に冷却し、消臭剤容器に注ぎ入れた。
【0149】
【表28】

【0150】
例32(比較)−表29、配合物26、1,4−CHDMを有さない無着香明澄消臭剤スティック
消臭剤スティックは、まずパートI(表29中に列挙、配合物26)の液体含有成分を一緒に添加し、95℃に加熱することによって調製した。次いでジベンジリデンソルビタールを、これが溶解するまで添加した。溶液を85℃にて維持した。
【0151】
一方、パートIIのステアレス−2およびステアレス−20を85℃で、C12−C15アルキルベンゾエート、Silsoft 305およびプロピレングリコールの存在下で溶融させ、パートII溶液を形成した。
【0152】
次いで、パートII溶液をパートI溶液に添加し、磁気撹拌棒で撹拌しながら82℃に冷却し、消臭剤容器に注ぎ入れた。
【0153】
【表29】

【0154】
配合物25および26をブラインド検討にて健康な女性ボランティアに与えて、通常の日常の活動中(激しい運動を含む)彼女の脇の下で試験した。参加者は実際の配合物を知らなかった(そして実際それらが異なっている場合も)。一方の配合物を常に右の脇の下に適用し(配合物25、例31)、他方(配合物26、例32)を左の脇の下に適用した。参加者に、各々の脇の下、更にその脇の下に接触する衣服の各日の終わりでの相対的な臭気の程度を尋ねた。参加者は一致して、7連続日、右の脇の下および右の脇の下から脱いだ衣服が、左の脇の下および左の脇の下から脱いだ衣服よりも少ない臭気を有していたと指摘した。
【0155】
消臭剤(例31および例32)の両者は、明澄なスティックを形成し、香料不含有であった。例31(配合物25)におけるスティックは悪臭を防止した。例32(配合物26、これはCHDM−DまたはCHDM−D90を含有しなかった)におけるスティックは脇の下の臭気を防止しなかった。
【0156】
例33−表30、配合物27、1,4−CHDMを有する明澄制汗剤スティック
制汗剤スティックは、まずパートI(表30中に列挙、配合物27)の液体含有成分を一緒に添加し、95℃に加熱することによって調製した。次いでジベンジリデンソルビタールを、これが溶解するまで添加した。溶液を85℃にて維持した。
【0157】
一方、パートIIのステアレス−2およびステアレス−20を85℃で、C12−C15アルキルベンゾエート、Silsoft 305およびプロピレングリコールの存在下で溶融させ、パートII溶液を形成した。
【0158】
次いで、パートII溶液をパートI溶液に添加し、磁気撹拌棒で撹拌しながら90〜95℃に加熱した。90〜95℃にて、22.70gの混合物を取り出し、第2の容器に添加した。4.32gのクロルヒドロキシアルミニウムを、22.70gの混合物に撹拌して入れた。これを82℃に冷却し、消臭剤容器に注ぎ入れた。
【0159】
【表30】

【0160】
例34:微生物学的攻撃試験
下記表中の微生物を攻撃試験で用いた。これらは、ATCC(American Type Culture Collection)または示される通りの「野生型」のいずれかであった。野生型の生物は、化学製品から予め単離した問題の生物である。
【0161】
【表31】

【0162】
全ての微生物をTryptose Soy Broth(TSB),DIFCOTM(Becton, Dickinson and Companyから入手可能)(1%デキストロースを含有する)中で生育させた。Candida albicansおよびAspergillus nigerは、22℃±2℃で少なくとも96時間インキュベートした。全てのバクテリアを35℃±2℃で、加湿されたインキュベーター内で少なくとも96時間インキュベートした。
【0163】
Candida albicansおよびAspergillus nigerもまた、Sabouraud Dextrose Agar(SABD)上で22℃にて7〜14日間、または完全な胞子形成が実現されるまで生育させた。
【0164】
攻撃接種材料の量の評価
下記手順に従って、108CFU/mL攻撃(最終試験サンプル微生物濃度105〜106CFU/mL(CFU=コロニー形成単位)と等しい)を生成するために必要な各攻撃材料(接種材料培地)の量を評価した。
【0165】
滅菌ピペットを用い、各TSB培養物による1mLの生育物を9mL緩衝水(pH7.2ホスフェート緩衝液)の管に移し入れ、完全に混合した。これを繰り返して、一連の1:10希釈物を形成した。次いで、0.1mLの各サンプルおよび希釈物を寒天プレート上に接種して更に1:10希釈の等価物を生成した(C.albicansおよびA.nigerはSABD上に接種し、バクテリアはPlate Count Agar(PCA),DIFCOTM(Becton,Dickinson and Companyから入手可能)上に接種した(殆どのサンプルについてプレーティングする通常の体積は0.1mLであった。微生物が極めて低い(高希釈)ことができた幾つかのサンプルは、再現性のあるカウントを得るために0.5mLの接種材料を用いてプレーティングした。)。サンプルをプレート上にスプレッドプレート法を用いて分配した。スプレッドプレート法は、プレートを回転自動プレーターで回転させながら、プレート表面全体に滅菌拡散棒を用いてサンプルを広げることにより行った。接種材料を寒天に完全に吸収させた後、各プレートを反転させてインキュベート(菌類は22℃±2℃、およびバクテリアは35℃±2℃で)した。
【0166】
少なくとも48時間の培養後、寒天プレート上に成長したコロニーをカウントし(CFU)、対応する希釈とともに記録した。カウントを一時的に遅らせなければならない場合は、これらをカウントできるまでプレートを冷蔵(好ましくは24時間以下)した。CFU/mLの数は、プレートカウントに、カウントしたプレートの希釈係数を乗じることにより決定した。
【0167】
非濁計濁度単位(Nepholemetric Turbidity Units (NTU))での濁度は、各々の一連の希釈について、HF−Micro 100モデル濁度計を用いて測定した。各微生物について、プレートカウントを、濁度の読みと比較した。Candida albicansおよび全てのバクテリアについて、濁度読み34〜38NTUを有する1:10希釈物は、最終試験サンプル濃度105〜106CFU/mLを実現した。Aspergillus nigerについて、濁度読み25〜29NTUを有する1:10希釈物は、最終試験サンプル濃度105〜106CFU/mLを実現した。
【0168】
Candida albicans培養物採集
攻撃の日に、Candida albicans接種材料培地を、非吸収性滅菌ガーゼを通して注ぎ、遠心分離した。次いで、所望の濁度に到達するまでペリクルを緩衝水(pH7.2のホスフェート緩衝液)で希釈した。血球計を用い、攻撃が所望の濃度を含んでいたかの評価を行った。希釈は、1.0×108で行い、3つのSABDスプレッドプレートを0.1mLの各希釈物で接種した。プレートを少なくとも48時間インキュベートし、攻撃カウントを確認した。
【0169】
Aspergillus niger培養物の採集および胞子の取り出し
Aspergillus niger培養物を採集し、胞子をSABD(滅菌接種ループで生育物をそっと擦ることによってこの上にこれらを生育させた)から取り出した。次いで胞子を培地培養物(滅菌した磁気撹拌棒でインキュベートしてペリクル形成を低減したもの)中に混合した。胞子−培養物混合物を、滅菌した非吸収性コットンに通して繰返しろ過し、そして繰返し採集し、生長力を有するセルおよび胞子をレベル1.0×108に調整した。血球計を用いて最終攻撃濃度を評価した。
【0170】
試験基質の調製
対照基質(「培地のみ」)を、各微生物について別個に、13.5mLのBuffered Peptone Water培地(BPW)(1%デキストロースを含有する)を各々20mLガラス管に添加し、次いで1.5mLの攻撃物質を添加して、時間ゼロでの最終濃度105〜106CFU/mLおよび総体積15mLを生成することによって3重に調製した。
【0171】
試験サンプル基質は、各々の微生物を別個に有し、攻撃試験について示す濃度で以下に列挙する各試験物質を含有して調製した。サンプル基質は、ブトキシエタノールを含有する基質(これは2重で調製した)を除いて3重に調製した。基質は、1%のデキストロースを含有するBPWを各々20mLガラス管に添加し、次いで試験物質を、所望の質量/体積パーセントを実現し、そしてBPWとデキストロースと試験物質との合計の総体積13.5mLを実現するのに適切な量で添加することによって調製した。次いで、1.5mLの攻撃物質を添加して時間ゼロでの最終濃度105〜106CFU/mLおよび総試験サンプル基質体積15mLを生成した。
【0172】
【表32】

【0173】
インキュベーションおよび微生物学的試験
混合後、全ての攻撃基質を35℃±2℃で14日間、そして14日間の後に雰囲気の室温でインキュベートした。
【0174】
二次培養は、3、14および30日間以下のように行った:0.1mLアリコートを各攻撃基質から除去した。サンプルの濁度を評価し、そして必要であれば読み取れるプレートカウントを得た(以下の「プレートカウント」参照)。アリコートを緩衝水(pH7.2のホスフェート緩衝液)で希釈した。Candida albicansおよびAspergillus nigerをSABD上で二次培養し、そして22℃±2℃で生育させた。バクテリアはPCA上で二次培養し、35℃±2℃で、加湿されたインキュベーター内でインキュベートした。負の結果は、96時間インキュベーションの前には報告されず、そしてカウントは48時間以上のインキュベーション後に行った。
【0175】
微生物の特定は、汚染が疑われる場合必ずグラム染色またはコットンブルー染色で確認した。INT Respiratory Dye(p−ヨードニトロテトラゾリウムバイオレット(Sigma Chemical Companyから入手可能)グラム染色、およびATP(アデノシン三リン酸)試験を、管内の曇りによって負の結果が疑われた場合には必ず用いた。
【0176】
プレートカウント
希釈したサンプルについて、プレート当たり22〜220カウントを与えるプレートをカウントし、カウントに希釈係数を乗じた。
【0177】
データの解釈
【0178】
【表33】

【0179】
【表34】

【0180】
結果を下記表31〜35に示す。示される濃度は、質量/体積パーセントとして表した。M.furfur,M.canis,およびT.rubrumについての試験手順(表34および35に含まれる結果)を例10で与える。
【0181】
【表35】

【0182】
【表36】

【0183】
【表37】

【0184】
【表38】

【0185】
【表39】

【0186】
1,2−CHDM、1,4−CHDM、およびTMCBDを1,3−CHDM、2−ブトキシエタノール、およびプロピレングリコール(上記表31〜35中)と比べ、同じ生物および時間で2log以上の差が予想外に考えられた。
【0187】
0.5%のグリコール濃度で、差および有効性は大きくなかった。
【0188】
1.25%のグリコール濃度で、幾つかの生物の結果は、1,3−CHDMに対して最も予想外の結果を有する1,2−CHDMで予想外であった。EB溶媒(2−ブトキシエタノール)は1.25%では試験しなかった。
【0189】
2.5%のグリコール濃度では、M.canisおよびT.rubrumを除き、1,2−CHDMについての全ての結果、および1,4−CHDMについての殆どの結果が、1,3−CHDMおよびEB溶媒についての結果との点で予想外であった。1,3−CHDMおよびEB溶媒についての微生物カウントは、試験した殆ど全ての生物について4logであり、顕著でない防腐効果を示した。
【0190】
5.0%のグリコール濃度では、M.canisおよびT.rubrumを除き、1,2−CHDMおよび1,4−CHDMについての全ての結果、ならびにTMCBDについての殆どの結果は、プロピレングリコールについての結果および1,3−CHDMについての殆どの結果の点で予想外であった。
【0191】
菌類のM.canisおよびT.rubrumは、特に生育が難しく、従って顕著により低い、予想外の結果を示した。
【0192】
本発明をその好ましい態様に特に言及して詳細に説明してきたが、本発明の精神および範囲の中で変更および改変をなすことができることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性組成物における微生物生育を低減または阻止する方法であって:
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を組成物に添加すること、
を含む、方法。
【請求項2】
抗微生物剤を、組成物の総質量基準で約1〜5質量%の量で添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微生物生育がバイオフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水性組成物を、水と非混和性でかつ抗微生物剤を含む溶媒と接触させることによって、抗微生物剤を水性組成物に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水性組成物が、炭化水素、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、脂肪族アルコール、ポリグリコールエーテル、アルキルグリコールエーテル、アルキルグリコールエステル、アルキルグリコールエーテルエステル、アルキルアミン、アルキルアミド、またはこれらの混合物から選択される有機化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
水性組成物において有機化合物と水とが混和性である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
水性組成物において有機化合物と水とが別個の液体相中にあり、そして該方法が有機相と水性相との間の界面での微生物生育を低減または阻止する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
有機化合物が、ディーゼル、バイオディーゼル、ディーゼルおよびバイオディーゼルの混合物、航空燃料、油圧オイル、潤滑油、植物油、原油、トランスミッション流体、加熱油、またはケロセンである、請求項5または7に記載の方法。
【請求項9】
約1〜5質量%の、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を含む、組成物。
【請求項10】
該組成物が、燃料、油、パーソナルケア製品、動物ケア製品、家庭用ケア製品および薬用製品からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
表面に対して残存抗微生物活性を与える方法であって:
請求項9に記載の組成物を表面に局所的に適用すること;および
任意の過剰量の製品を該表面から任意に除去すること;
を含む、方法。
【請求項12】
表面が、製品の適用前にバイオフィルムを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
哺乳動物の表面に対するバクテリアまたは菌類の感染を防止または処置する方法であって:
請求項9に記載の製品を哺乳動物の表面に局所的に適用すること;および
任意の過剰量の製品を該哺乳動物の表面から任意に除去すること;
を含む、方法。
【請求項14】
哺乳動物の表面の上のバクテリアまたは菌類の存在による臭気を防止または低減する方法であって:
請求項9に記載の製品を哺乳動物の表面に局所的に適用すること;および
任意の過剰量の製品を該哺乳動物の表面から任意に除去すること;
を含む、方法。
【請求項15】
フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、または、繊維、ポリマー、接着剤および/もしくはジプサムで形成されたコンポジット物質に抗微生物活性を付与する方法であって:
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールからなる群から選択される抗微生物剤を、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質の中に、その製造プロセスの間に組入れること、
を含む、方法。
【請求項16】
バイオフィルムが、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質の表面上に形成されることを防止する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抗微生物剤を、フィルム、繊維、成形もしくは押出された物品、またはコンポジット物質の総質量基準で約1〜5質量%の量で組入れる、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2012−513389(P2012−513389A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542125(P2011−542125)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/006543
【国際公開番号】WO2010/074721
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】