説明

抗抗体応答を軽減する方法、組成物およびキット

抗体を投与された被験体に抗−抗体応答を引き起こす、または悪化させるおそれの少ない予防または治療用抗体の選択に関する方法、組成物およびキット。被験体に投与する抗体は、被験体の内因性抗体のアロタイプ表現型に一致するか、または少なくともより近似するよう選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年9月24日出願の米国仮特許出願第61/245,305号に基づく優先権を主張するものであり、その全体を参照によりここに組み込むものとする。
【0002】
本発明は、一般に、免疫学、抗体(Ab)および医薬品の分野に関する。より詳しくは、本発明は抗Ab応答を伴う副反応を軽減するための、アロタイプ表現型に基づく予防または治療用Abの選択に関する。
【背景技術】
【0003】
治療用モノクローナルAb[mAb]は、医薬品産業で最も急速に成長している部門である。これまで、20種を超えるmAbがFDAにより薬品としてその使用が認められており、より多くが開発途中にある。今では、完全なヒトmAbを創出する方法が存在するが、FDAが認めている治療用mAbの殆どは齧歯類に由来している。
残念なことに、非ヒト由来のmAbの投与は、重篤で、ときには致命的な反応を引き起こすことがある。
【0004】
非ヒト由来のAbをヒト被験体に投与することにより引き起こされる過敏反応は、数十年も前から知られている。病気を引き起こす微生物に対するワクチンに酷似して、非ヒト由来の抗体の投与は、ヒトにこれらの外来糖タンパク質に対する免疫を与える。非ヒト由来のAbの最初の投与は、通常、強い抗Ab応答を伴わないが、慢性症状の治療のために非ヒト由来のAbを繰り返し投与すると、その後の抗Ab応答によって引き起こされる重篤な副作用(致死を含む)に繋がることがある。
【0005】
この問題は、馬の抗血清またはマウスのmAbを使用する初期のAbに基づく治療で特に深刻であった。その後、非ヒト由来のAbを修飾して、よりヒト型のものに近付けることにより、抗Ab応答を軽減することが試みられている。例えば、マウスのAbを「ヒト型化する」ために広く行われていることとして、マウスのmAbの相補性決定領域(CDR)の外側のマウス配列を実際のヒトの配列で置換することがある。そのようなCDRグラフト技術は、ヒト抗マウスAb(HAMA)応答を軽減することに有用であったが、全てのマウス配列が除かれるものではないため、問題は解消されていない。
【0006】
所謂「ヒト型」Abを開発するために、多くのアプローチが採られてきている。これらのアプローチには、ヒトの遺伝子配列からAbを産生するように遺伝子操作したマウスの使用、およびDNAライブラリーを使用した、生体外でのコンビナトリアルなアプローチの使用が含まれる。ヒトAb配列により類似した配列から誘導された治療用Abが、抗Abに関連する副作用の開始時期または強度を遅延させることは、臨床研究から明らかである。完全なヒトAbの使用は、将来、ほぼ確実に標準的治療となるであろう。とは言え、ヒト個体群の遺伝的変異の多さのために、ヒト抗ヒトAb(HAHA)応答を解消することは困難であろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、投与されたAbに対して被験体が抗Ab応答を示す可能性を減じる方法および組成物の開発に関する。ヒトには、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMとして知られる5種類のAb(または免疫グロブリン、Ig)がある。1つのクラスの中の異なるAbは、異なる可変領域を有するものの、類似の構造の定常領域を有している。Igの1つの種類の中に、サブクラスがあるものもある。例えば、IgG種のヒトIgは、4つのIgGサブクラス、IgG、IgG、IgGまたはIgGの中の1つであり得る。任意の所与のサブクラスの定常領域はほぼ同一のアミノ酸配列を有するが、異なるサブクラスでは、アミノ酸配列はあまり類似していない。正常なヒトは全て、全てのIgクラスおよびサブクラスを有するが、同じクラスおよびサブクラスのIgは、2種以上の対立形質(アロタイプ)として存在でき、対立形質のいくつかはある人々には見出せるが他の人々には見出せないことがある。例えば、IgGサブクラスには、4つの重鎖対立遺伝子(またはアロタイプ):G1m1、G1m2、G1m3およびG1m17と、3つの軽(カッパ)鎖対立遺伝子:Km1、Km1、2およびKm3が存在する。異なるIgG対立遺伝子は、定常領域のアミノ酸配列の小さな変異によって決まる。例えば、G1m3とG1m2のアロタイプの定常領域間の違いは、全部で4個のアミノ酸の違いであり、他の配列は同じである。
【0008】
従来のAb治療法の重大な欠点は、被験体の内因性Abのアロタイプ表現型を考慮していないことである。したがって、もし所与のmAbが特定の被験体に発現していないアロタイプ決定基を有するなら、被験体の免疫系は、おそらく治療用mAbに対する抗アロタイプAb(AAAb)応答―過敏反応などの副作用、またはmAbの治療効果の中和に繋がり得る応答を引き起こすであろう。AAAb応答は、被験体がそれ以前に治療用mAbを投与されたことがない場合、例えば、被験体が、(i)自然発生のAAAb、(ii)高力価の抗Abを伴う疾患(例えば、関節リウマチ)、(iii)輸血により生じたAAAb、(iv)母親由来のAAAb、(v)妊娠により生じたAAAb、および/または(vi)他の治療用mAbによって生じたAAAbを有している場合でも起こり得るであろう。
【0009】
本発明は、Abで誘発される副作用および中和を軽減するために、被験体の内因性Abのアロタイプ表現型に一致させるか、または少なくともより近似するように、被験体に投与するAbを選択することに関する。免疫系は自己抗原には応答しないよう調整されているので、免疫系から自己Abのように見えるAbの投与は、抗Ab応答を引き起こし難くする。このように、本発明によれば、そうでない場合に可能な期間より長期間、かつ/または免疫抑制剤(例えば、メトトレキサートまたはステロイド)を併用しないで、特定のAbを使用することが可能となり得る。
【0010】
したがって、本発明はモノクローナル抗体含有医薬組成物のパネルを特徴とする。(a)第1のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体、ならびに(b)第2のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体を含む、第1の医薬組成物を少なくとも含むパネルであって、第1のモノクローナル抗体が第1のアイソタイプであって、第1の可変領域を含み、第2のモノクローナル抗体が第1のアイソタイプであって、第1の可変領域を含み、かつ第1のモノクローナル抗体が第1の重鎖アロタイプ表現型を含み、第2のモノクローナル抗体が、第1の重鎖アロタイプ表現型とは異なる第2の重鎖アロタイプ表現型を含むパネル。
【0011】
パネルは、さらに(c)第3のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体(但し、第3のモノクローナル抗体が、第1のアイソタイプであって、第1の可変領域を含み、かつ第1および第2の重鎖アロタイプ表現型とは異なる第3の重鎖アロタイプ表現型を含む);並びに、ある場合には、(d)第4のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体(但し、第4のモノクローナル抗体が、第1のアイソタイプであって、第1の可変領域を含み、かつ第1、第2および第3の重鎖アロタイプ表現型とは異なる第4の重鎖アロタイプ表現型を含む)を含むことができる。
【0012】
このパネルにおいて、第1のアイソタイプはガンマ1であり得て、そして、例えば、第1の重鎖アロタイプ表現型はヒトG1m3アロタイプを含むことができ、第2の重鎖アロタイプ表現型はヒトG1m17アロタイプを含むことができる。第1のアロタイプはまた、ガンマ3であり得て、例えば、第1の重鎖アロタイプ表現型はヒトG3m5アロタイプを含むことができ、第2の重鎖アロタイプ表現型はヒトG3m21アロタイプを含むことができる。第1の重鎖アロタイプ表現型および第2の重鎖はまた、G3m5、10、11、13、14、26、27;G3m21、26、27、28;G3m10、11、13、15、27;G3m10、11、13、15、16、27;G3m5、6、10、11、14、26、27;およびG3m5、6、11、24、26からなる群から選択される異なるアロタイプ表現型を含むことができる。
【0013】
他の態様では、本発明はヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体の改変方法を特徴とする。この方法は、モノクローナル抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列を改変して、その表現型を第1の自然アロタイプ表現型から第2の自然アロタイプ表現型に変える(但し、アロタイプ表現型をコードしないモノクローナル抗体のアミノ酸配列は変えない)ステップを含むことができる。この方法では、モノクローナル抗体は、G1m1アロタイプからnG1m1アロタイプへ、かつ/またはG1m3アロタイプからG1m17アロタイプへと改変されるIgGであり得る。この方法では、第2の自然アロタイプ表現型は、イソアロタイプまたは非マーカーであり得る。例えば、モノクローナル抗体がIgGである場合、G2m23アロタイプからnG2m23イソアロタイプに改変され得る。
【0014】
ヒト被験体に投与するヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体を選択する方法もまた、本発明の範囲に含まれる。この方法は、(a)被験体に第1の抗体のアロタイプ表現型が存在することを調べるステップ;および(b)第1のアロタイプ表現型を含む第1のモノクローナル抗体と、被験体に内因的に存在しない第2のアロタイプ表現型を含む第2のモノクローナル抗体とを少なくとも含むヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体群から、被験体に投与するモノクローナル抗体を選択するステップ;および(c)被験体に第1のモノクローナル抗体を投与するステップを含むことができる。この方法では、第1のモノクローナル抗体は、被験体に内因的に存在しないアロタイプ表現型を含まないものであり得る。第1のモノクローナル抗体は、第1のアイソタイプで、第1の可変領域を含み得、第2のモノクローナル抗体は、第1のアイソタイプで、第1の可変領域を含み得る。この方法の被験体は、関節リウマチを有する;以前に異種血液の輸血を受けたことがある;妊娠したことのある女性である;1歳未満の子供である;および/または以前に第2のアロタイプ表現型を含む抗体を投与されたことがあるものであり得る。
【0015】
本発明は、さらに、特定の集団(例えば、白人、黒人またはアジア人の集団)に属するヒト被験体に投与するモノクローナル抗体を選択する方法を特徴とする。この方法は、(a)被験体を含む特定の集団を決定するステップ;(b)特定の集団で一般性の高い第1のアロタイプ表現型を含む第1のモノクローナル抗体と、特定の集団で、第1のアロタイプ表現型より一般性の低い第2のアロタイプ表現型を含む第2のモノクローナル抗体とを少なくとも含むヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体群から、被験体に投与するモノクローナル抗体を選択するステップ;および(c)被験体に第1のモノクローナル抗体を投与するステップを含むことができる。この方法では、第1のモノクローナル抗体は、特定の集団で一般性が高い第1のハプロタイプを含み得、また、第2のモノクローナル抗体は、特定の集団で、第1のハプロタイプより一般性が低い第2のハプロタイプを含み得る。特定の集団は、白人の集団である。この方法では、被験体は、関節リウマチを有する;以前に異種血液の輸血を受けたことがある;妊娠したことのある女性である;1歳未満の子供である;および/または以前に第2のアロタイプ表現型を含む抗体を投与されたことがあるものであり得る。
【0016】
他の態様では、本発明は、第1のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体に対して抗抗体応答を示した被験体を治療する方法を特徴とする。この方法は、第1のモノクローナル抗体と同一の可変領域を有するが、第1のモノクローナル抗体とは異なるアロタイプ表現型を有する第2のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体を被験体に投与するステップを含むことができる。抗抗体応答は、第1のモノクローナル抗体のアロタイプ決定基に特異的に結合する抗体が被験体に存在することを特徴としているものであり得る。第2のモノクローナル抗体は、被験体に内因的に存在していないアロタイプ表現型を含まないものであり得る。
【0017】
被験体に内因的に発現されていないアロタイプ決定基に特異的に結合する抗体の存在に関して、被験体をスクリーニングする方法もまた、本発明の範囲に含まれる。この方法は、(a)被験体から生物学的試料を得るステップ;(b)生物学的試料を、抗アロタイプ決定基に特異性を有するプローブと接触させるステップ;および(c)被験体に内因的に発現されていないアロタイプ決定基に特異的に結合する抗体を被験体が有していることを示す指標として、プローブと生物学的試料に含まれ得る抗体との結合を検出するステップを含むことができる。プローブは、被験体に内因的に発現されていないアロタイプ決定基を含む抗体であり得る。
【0018】
さらに、被験体のアロタイプ表現型を決定するキットも本発明の範囲に含まれる。キットは、少なくとも、第1の抗体アロタイプ決定基を特異的に同定する第1プローブ、および第1の抗体アロタイプ決定基とは異なる第2の抗体アロタイプ決定基を特異的に同定する第2プローブと;少なくとも、第1のアロタイプ決定基を含むか、またはコードする第1の分子を含む第1の陽性対照、および第2のアロタイプ決定基を含むか、またはコードする第2の分子を含む第2の陽性対照と;少なくとも、第1のアロタイプ決定基を含まず、コードもしない第3の分子を含む第1の陰性対照、および第2のアロタイプ決定基を含まず、コードもしない第4の分子を含む第2の陽性対照と;キットの使用説明書を含むことができる。第1および第2プローブは、G1m1、G1m2、G1m3、G1m17、G3m5、G3m6、G3m10、G3m11、G3m13、G3m14、G3m15、G3m16、G3m21、G3m24、G3m26、G3m27、およびG3m28からなる群から選択される、異なるアロタイプ決定基に特異的に結合する抗体であり得る。キットはさらに、異なるアロタイプ決定基を特異的に増幅する複数のポリメラーゼ連鎖反応プライマーを含むことができ、異なるアロタイプ決定基は、G1m1、G1m2、G1m3、G1m17、G3m5、G3m6、G3m10、G3m11、G3m13、G3m14、G3m15、G3m16、G3m21、G3m24、G3m26、G3m27、およびG3m28からなる群から選択される。
【0019】
他に特に定義がなければ、本明細書中で使用する全ての技術用語は、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。生物学用語の一般に理解されている定義は、Riegerら、Glossary of Genetics:Classical and Molecular 第5版 Springer−Verlag:New York 1991;およびLewin Genes V Oxford University Press:New York 1994に見出すことができる。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「抗体」または「Ab」は、Ig、同種もしくは異種のIgの溶液、またはIgの混合物である。少なくとも1つのIgアロタイプ決定基を有する、二重特異性抗体およびイムノアドヘシンなどの人工Igもまた、「Ab」である。「モノクローナル抗体」または「mAb」は、単一クローンB細胞系列により発現されたAbである。本明細書で使用されるとき、この用語は、特定の抗原の特定のエピトープと免疫反応を起こすことができる、ただ1種の抗原結合部位を含むAb分子の集団を指す。「多クローン性抗体」または「多クローン性Ab」は、異種のAbの混合物である。通常、多クローン性Abは、少なくともいくつかの異なるAbが、抗原または有機体の異なるエピトープと免疫反応を起こして、特定の抗原または特定の有機体と結合する、多数の異なるAb分子を含む。本明細書で使用されるとき、多クローン性Abは、2種以上のmAbの混合物であり得る。
【0021】
「アロタイプ決定基」という語句は、アロタイプを決定する部位に相当するIgの位置にある内因性アミノ酸配列を意味する。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「アロタイプ表現型」という語句は、アロタイプを決定するAbのアミノ酸配列、またはAbアロタイプを決定する位置と同じ位置にあるアミノ酸配列を意味する。アロタイプ表現型という語句は、単一アロタイプ、イソアロタイプもしくは非マーカー;または2種以上(例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれ以上)のアロタイプ、イソアロタイプもしくは非マーカーを有する抗体を含むことができる。
【0023】
Abの「抗原結合部位」は、AbのFab部位の可変領域内にあり、Abに抗原特異性を与えるAbの部位(すなわち、通常、Abの重鎖および軽鎖のCDRにより形成された3次元の窪み)である。「Fab部位」または「Fab領域」は、パパイン消化Igのタンパク質分解フラグメントであって、そのIgの抗原結合部位を含むものである。「F(ab’)部位」は、ペプシン消化Igのタンパク質分解フラグメントである。「Fab’部位」は、F(ab’)部位のジスルフィド架橋を減少させることにより得られる生成物である。「非Fab部位」は、Fab部位内にないAbのその部位であり、例えば、「Fc部位」もしくは「Fc領域」である。Abの「定常領域」は、可変領域の外側にあるAbのその部位である。一般に、定常領域に包含されるのは、免疫応答を促進する他の免疫系要素との結合に関与するAbの部位である、Abの「作動体部位」である。したがって、例えば、補体要素またはFc受容体と結合する(その抗原結合部位を介さずに)Ab上の場所は、一般に、そのAbの作動体部位である。
【0024】
Abなどのタンパク質分子に言及するとき、「精製されている」は、そのような分子に自然に伴う成分から分離されていることを意味する。通常、Abまたはタンパク質は、その少なくとも約10重量%(例えば、9重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%、99.9重量%、および100重量%)が、非Abタンパク質も、自然に結合した他の自然発生有機分子も含まないとき、精製されている。純度は、任意の適切な方法、例えば、カラムクロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析により測定することができる。化学的に合成されたタンパク質、または他の、自然発生の細胞型以外の細胞型で生成された組み換えタンパク質は、「精製されている」。所望のIg型、および所望しないIg型を含むAbは、Abを処理することによって、所望のIgと所望しないIgとの比が処理前より処理後に高くなったとき、所望のIg型が「濃縮されている」。例えば、アロタイプG1m3およびG1m17のIgGを含有するAb溶液は、アロタイプG1m3のIgGの一部または全部が溶液から除去されたとき、G1m17が濃縮されている。
【0025】
「結合する」または「〜と反応する」は、試料中で1つの分子が特定の第2の分子を認識し付着するが、試料中で他の分子を認識し付着することは実質的にないことを意味する。一般に、他の分子に「特異的に結合する」Abは、その他の分子に対し約10、10、10、10、10、1010、1011または1012リットル/モルを超えるKを有する。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリペプチド」は、天然または人工タンパク質、タンパク質フラグメント、およびタンパク質配列を有するポリペプチド類似体を包含する。ポリペプチドは、単量体であっても重合体であってもよい。
【0027】
「ヒトAb」は、ヒト生殖細胞系Ig配列由来の可変および定常領域を有するAbである。ヒト抗体は、例えばCDR、特にCDR3に、ヒト生殖細胞系Ig配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、体外でのランダムまたは部位特異的突然変異誘発により、または体内での体細胞突然変異により導入された突然変異)を含んでもよい。しかしながら、「ヒトAb」は、ヒト以外の種の生殖細胞系から誘導され、ヒトフレームワーク配列にグラフトされたCDR配列を有するAbを含む(これは「ヒト型化Ab」である)。
【0028】
用語「組み換えAb」は、宿主細胞に移入した組み換え発現ベクターを使用して発現させたAb、組換えコンビナトリアルAbライブラリーから単離したAb、ヒトIg遺伝子導入動物(例えばマウス)から単離したAb(例えば、Taylor,L.D.ら(1992年)Nucl.Acids Res.20:6287−6295を参照)などの、組み換え手段で調製、発現、創出または単離した全てのAb、あるいはIg遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む他の任意の手段で、調製、発現、創出または単離したAbを含むことを意図している。
【0029】
用語「エピトープ」は、あるIgに特異的に結合することができる任意の抗原決定基を含む。
【0030】
「治療有効量」とは、治療動物またはヒトに医学的に望ましい効果(例えば、病気の回復または予防)を引き起こすことができる量である。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「被験体」は、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、および遺伝子を導入したヒト以外の動物などの哺乳類を含む、Abを保有する任意の動物を意味する。
【0032】
用語「医薬組成物」または「薬剤」は、活性成分の生物学的活性が有効になるような形態の調製物を指す。「薬剤として許容される賦形剤」または「薬剤として許容される担体」は、採用した活性成分の有効用量を提供するために、1種以上の活性成分と混合して、被験体に無理なく(すなわち、安全に)投与することができる薬剤を形成することができる物質である。
【0033】
定義した集団に言及するとき、用語「白人」は、もともとヨーロッパ、中東または北アフリカに住んでいた種族のいずれかを起源とする人を意味し、用語「黒人」は、アフリカの黒人集団のいずれかを起源とする人を指し、用語「アメリカインデアンおよびアラスカ原住民」はもともと南北アメリカ(中央アメリカを含む)に住んでいた種族のいずれかを起源とする人を意味し、用語「アジア人」はもともと極東、東南アジア、またはインド亜大陸に住んでいた種族のいずれかを起源とする人を意味する。
【0034】
本発明を実施または試験する場合、本明細書に記載したものに類似の、または等価の方法および材料を使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書に記載したあらゆる刊行物、特許出願、特許および他の文献は、参照によりそれらの全体を組み込むものとする。対立する場合、本明細書が、定義を含め、優先する。さらに、材料、方法および実施例は、単に説明のためのものであって、限定を意図したものではない。
【0035】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、Abを投与した被験体に抗Ab応答を誘起または悪化させるおそれの少ない予防または治療用Abの選択に関する方法、組成物およびキットを包含する。被験体に投与するAbは、被験体の内因性Abのアロタイプ表現型に一致させるか、または少なくともより近似するように選択することができる。以下に記載する好ましい実施形態において、これらの組成物および方法の適応について説明する。それにもかかわらず、これらの実施形態の説明から、本発明の他の態様を考案し、かつ/または下記の説明に基づいて実施することができる。
【0037】
生物学的方法
従来の免疫学的および分子生物学的手法を含む方法をここに記載する。免疫学的方法(例えば、抗原−Ab複合体の検出および局在の解析、免疫沈降法、免疫ブロット法など)はこの分野で一般に知られており、Current Protocols in Immunology、Coliganら編、John Wiley & Sons、New Yorkなどの方法論の論文に記載されている。分子生物学の手法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、第1〜3巻、Sambrookら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、2001年;およびCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley−Interscience、New Yorkなどの論文に詳しく記載されている。Ab法は、Handbook of Therapeutic Abs、Dubel,S.編、Wiley−VCH、2007年に記載されている。細胞培養法はこの分野で一般に知られており、Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique、第4版、R Ian Freshney著、Wiley−Liss、Hoboken、N.J.、2000年、およびGeneral Techniques of Cell Culture、Maureen A HarrisonおよびIan F Rae著、Cambridge University Press、Cambridge、UK、1994年などの方法論の論文に詳しく記載されている。タンパク質精製法は、Guide to Protein Purification:Methods in Enzymology、第182巻、Deutscher M P編、Academic Press、San Diego、Calif.、1990年の中で説明されている。
【0038】
被験体
本発明の方法、組成物およびキットは、ヒト、およびネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ヤギ、ブタ、サル、類人猿などの他の動物を含む動物被験体に使用される。本発明は、AAAbの測定可能な力価(例えば、血清1ml当たり0.001、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5または1μg超のAb)を有する被験体、またはAAAbが増大する危険性が高い被験体、例えばHAMA、HAHAまたは高力価の抗Abを伴う疾患(例えば、関節リウマチなどの自己免疫疾患)を有する被験体;妊娠している、または妊娠したことがある被験体;母親からのAbを有する子供(例えば、1歳未満の子供);過去に輸血を受けたことがある被験体;自然発生のAAAbを有する被験体;および別の治療用Abに応答して生じたAAAbを有する被験体に特に有用である。
【0039】
抗体
本明細書に記載の方法、組成物およびキットは、mAb、多クローン性Abおよび各種Abフラグメント(例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメントおよびF(ab’)フラグメント)、あるいは、(i)少なくとも1つ(例えば、2、3、4、5もしくはそれ以上)のアロタイプ決定基の位置に内因性アミノ酸配列を保持している、(ii)アロタイプ変異体を有さない重鎖および/または軽鎖Igからのアミノ酸配列を含む、かつ/または(iii)イソアロタイプまたは非マーカーを規定する重鎖および/または軽鎖Igからのアミノ酸配列を含む人工Ab(例えば、単一鎖抗体およびFab発現ライブラリーを使用して製造した分子)を含む、様々な型のAbを使用、または含むことができる。
【0040】
特定の抗原に対する均一な集団の抗体であるmAbは、標準のハイブリドーマ技術を使用して調製することができる(例えば、Kohlerら著、Nature 256:495、1975年;Kohlerら著、Eur.J.Immunol.6:511、1976年;Kohlerら著、Eur.J.Immunol.6:292、1976年;Hammerlingら著、「Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas」、Elsevier、N.Y.1981年;Ausubelら著、同上を参照)。特に、mAbは、Kohlerら著、Nature、256:495、1975年、および米国特許第4,376,110号明細書に記載されているような培養液中の連続細胞系、ヒトB−細胞ハイブリドーマ法(Kosborら著、Immunology Today 4:72、1983年;Coleら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2026、1983年)、およびEBV−ハイブリドーマ法(Coleら著、「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、Alan R.Liss,Inc.、pp.77−96、1983年)により、抗体分子の製造を提供する任意の手法により得ることができる。mAbはまた、Clacksonら著、Nature 352:624−628(1991年)、およびMarksら著、J.Mol.Biol.222:581−597(1991年)で記載されている技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することができる。大量のmAbを製造するために、mAbを製造する細胞系を、生体外、または生体内で培養してもよい。
【0041】
多クローン性Abは、免疫がある被験体の血清中に存在する異種集団のAb分子、または異なるmAbの組み合わせである。多クローン性Abは、従来法により、免疫がある宿主動物から血清を採取することによって単離することができる。血清から採取した多クローン性抗体は、一般にアロタイプに関して不均一であるが、例えばアロタイプ決定基に特異的な固定化Abを使用する免疫親和性精製により、同一のアロタイプ決定基を有する多クローン性Abの調製に使用することができる。
【0042】
標的抗原に対する単鎖Abは、従来の方法(例えば、米国特許第4,946,778号明細書、同第4,946,778号明細書および同第4,704,692号明細書)、例えば、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖および軽鎖フラグメントを結合させ、単鎖ポリペプチド(scFv)を得ることにより調製することができる。標的抗原に特異的に結合するAbフラグメントもまた、従来の手法により調製することができる。例えば、Fabフラグメントは、完全長のIgをパパインで消化することにより製造することができ、F(ab’)フラグメントは、完全長のIg分子をペプシンで消化することにより製造することができ、そしてFab’フラグメントは、F(ab’)フラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより生成することができる。Fab発現ライブラリーを既知の方法(例えば、Huseら著、Science 246:1275、1989年)により構築し、スクリーニングして、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントを製造することができる。二重特異性抗体(すなわち、VおよびVドメインが単一のポリペプチド鎖上に存在する二価のAb)は、既知の方法(例えば、Holliger P.ら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993年)、およびPoljak R.J.ら著、Structure 2:1121−1123(1994年))で製造することができる。Abの一部(例えば、Ig重鎖の一部)を含有し、非Ab分子(例えば、サイトカインまたはサイトカイン受容体)に結合したイムノアドヘシンもまた、本発明で使用することができよう。
【0043】
Abは、塩析(例えば、飽和硫酸アンモニウム沈殿)、冷アルコール分画法(例えば、Cohn−Oncley冷アルコール分画法)、サイズ排除クロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法、免疫アフィニティークロマトグラフ法(例えば、ヒトIgを単離するために、抗−ヒトIg抗体に結合したクロマトグラフィビーズを使用することができる)、プロテインAまたはプロテインGクロマトグラフ法、および抗原アフィニティークロマトグラフ法などの従来方法により精製することができる。例えば、上記Coliganらを参照。
【0044】
Abを分析し操作するために、免疫学およびタンパク質化学の標準手法を使用することができる。例えば、Abが溶解している培養液を変えるために、透析を使用することができる。Abはまた、保存のために凍結乾燥させることができる。Abの特定の抗原との結合性を、ウエスタンブロット法、免疫沈降分析、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、および放射免疫測定法(RIA)などの標準方法の1つを使用して試験することができる。例えば、上記Coliganらを参照。
【0045】
本明細書に記載の各種Abは、検出可能標識、細胞毒性薬または放射性同位体などの他の分子に結合していてもよい。検出可能標識の例としては、発色酵素(ペルオキシダーゼおよびアルカリフォスファターゼなど)、放射性同位元素(124I、125I、111In、99mTc、32P、35Sなど)、発色団、ビオチン、および発光または蛍光染料(FITC、RITC、ローダミン、Texas Red、フルオレセイン、フィコエリトリン、染料含浸ナノ粒子、および量子ドットなど)、MR造影剤(超常磁性酸化鉄(SPIO)および超超常磁性酸化鉄(USPIO)など)などを挙げ得る。細胞毒性薬の例としては、放射性同位元素(例えば、35S、14C、32P、125I、131I、90Y、89Zr、201Tl、186Re、188Re、57Cu、213Biおよび211At)、共役放射性同位元素、代謝拮抗薬[例えば、5−フロウロウリシル(flourouricil)(5−FU)、メソトレキセート(MTX)、フルダラビンなど]、微小管阻害薬[例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチンおよびタキサン(パクリタキセルおよびドセタキセルなど)]、アルキル化剤[例えば、シクロファスファミド(cyclophasphamide)、メルファランおよびビスクロロエチルニトロスウレア(bischloroethylnitrosurea)(BCNU)]、プラチナ製剤[例えば、シスプラチン(cDDPともいう)、カルボプラチンおよびオキサリプラチン]、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシンおよびダウノルビシン)、抗生物質(例えば、マイトマイシン−C)、トポイソメラーゼ阻害薬(例えば、エトポシド、テノポシド(tenoposide)およびカンプトテシン)、または、リシン、ジフテリア毒素(DT)、緑膿菌外毒素(PE)A、PE40、アブリン、サポリン、ヤマゴボウウイルスタンパク、臭化エチジウム、グルココルチコイド、炭疽毒素などの他の細胞毒性薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、米国特許第5,932,188号明細書を参照。
【0046】
標的抗原
本明細書に記載のAbは、一般に、標的抗原に特異的に結合するよう選択されるが、被験体の内因性Abのアロタイプ表現型に一致させるか、または少なくともより近似するように調製された静注用免疫グロブリン組成物などの非抗原特異性Abも、本発明の範囲に含まれる。標的抗原の例としては、細胞表面で発現する分子;細胞内で発現する分子;体液または組織中に存在する分子;細菌、ウイルスまたは寄生虫によって発現する分子;薬物;および毒物が挙げられる。限定はされないが、これらには、接着分子、CD抗原、受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素補因子、または、ApoE、Apo−SAA、BDNF、ベータアミロイド、CA125、心筋ミオシン、カルジオトロフィン−1、癌関連抗原、CD1(a−c、1A、1D、1E)、CD2、CD3(γ、δ、ε)、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD9、CD10、CD11(a、b、c)、CD13、CD14、CD15、CD16(A、B)、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD26、CD27、CD28、CD29、CD30、CD31、CD32(A、B)、CD33、CD34、CD35、CD36、CD37、CD38、CD39、CD40、CD41、CD42(a、b、c、d)、CD43、CD44、CD45、CD46、CD47、CD48、CD49(a、b、c、d、e、f)、CD50、CD51、CD52、CD53、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD59、CD61、CD62(E、L、P)、CD63、CD64(A、B、C)、CD66(a、b、c、d、e、f)、CD68、CD69、CD70、CD71、CD72、CD73、CD74、CD78、CD79(a、b)、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85(a、d、e、h、j、k)、CD86、CD87、CD88、CD89、CD90、CD91、CD92、CD93、CD94、CD95、CD97、CD98、CD99、CD100、CD101、CD102、CD103、CD104、CD105、CD106、CD107(a、b)、CD108、CD109、CD110、CD111、CD112、CD113、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD119、CD120(a、b)、CD121(a、b)、CD122、CD123、CD124、CD125、CD126、CD127、CD129、CD130、CD131、CD132、CD133、CD134、CD135、CD136、CD137、CD138、CD140b、CD141、CD142、CD143、CD144、CD146、CD147、CD148、CD150、CD151、CD152、CD153、CD154、CD155、CD156(a、b、c)、CD157、CD158(a、d、e、i、k)、CD159(a、c)、CD160、CD161、CD162、CD163、CD164、CD166、CD167(a、b)、CD168、CD169、CD170、CD171、CD172(a、b、g)、CD174、CD177、CD178、CD179(a、b)、CD181、CD182、CD183、CD184、CD185、CD186、CD191、CD192、CD193、CD194、CD195、CD196、CD197、CDw198、CDw199、CD200、CD201、CD202b、CD204、CD205、CD206、CD207、CD208、CD209、CDw210(a、b)、CD212、CD213a(1、2)、CD217、CD218(a、b)、CD220、CD221、CD222、CD222、CD224、CD225、CD226、CD227、CD228、CD229、CD230、CD233、CD234、CD235(a、b)、CD236、CD238、CD239、CD240CE、CD241、CD243、CD244、CD246、CD247、CD248、CD249、CD252、CD253、CD254、CD256、CD257、CD258、CD261、CD262、CD264、CD265、CD266、CD267、CD268、CD269、CD27、CD272、CD273、CD274、CD275、CD276、CD278、CD279、CD280、CD281、CD282、CD283、CD284、CD286、CD288、CD289、CD290、CD292、CDw293、CD294、CD295、CD297、CD298、CD299、CD300A、CD301、CD302、CD303、CD304、CD305、CD306、CD30、CD309、CD312、CD314、CD315、CD316、CD317、CD318、CD320、CD321、CD322、CD324、CD325、CD326、CD328、CD329、CD331、CD332、CD333、CD334、CD335、CD336、CD337、CD338、CD339、CD340、CD344、CD349、CD350、CEACAM3、CGM1、CMV抗原、補体(例えば、C5)、CTLA4、ジゴキシン、EGF、EGF受容体、ENA−78、エンドトキシン、エオタキシン、エオタキシン−2、エクソダス−2、ファクターVII、酸性FGF、塩基性FGF、フィブリン、線維芽細胞増殖因子−10、FLT3リガンド、FOLR1、フラクタルカイン(CX3C)、GCP−2、GD2ガングリオシド、GDNF、G−CSF、GM−CSF、GF−ベータ1、GRO/MGSA、GRO−ベータ、GRO−ガンマ、HBV抗原、HCV抗原、HCC1、1−309、熱ショックタンパク質、HER1、HER2、HER3、HER4、ヘルペスウイルス抗原、HIV抗原、HLA、HMW−MAA、HSV抗原、インスリン、IFN−ガンマ、IgE、IGF−I、IGF−II、IGF−1R、IL−1アルファ、IL−1ベータ、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8(72a.a.)、IL−8(77a.a.)、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18(IGIF)、インヒビンアルファ、インヒビンベータ、IP−10、IRP−2、ケラチノサイト増殖因子−2(KGF−2)、KGF、ルイスY、リポテイコ酸、レプチン、LIF、リンホタクチン、リゾチーム、ミュラー管抑制物質、単球コロニー抑制因子、単球誘引タンパク質、M−CSF、MDC(67a.a.)、MDC(69a.a.)、MCP−1(MCAF)、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MDC(67a.a.)、MDC(69a.a.)、MIG、MIP−1アルファ、MIP−1ベータ、MIP−3アルファ、MIP−3ベータ、MIP−4、MUC1、骨髄系前駆細胞抑制因子−1(MPIF−1)、NAP−2、NCA90、ニュールツリン、神経成長因子、ベータ−NGF、NT−3、NT−4、オンコスタチンM、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BB、PF−4、ホスファチジルセリン、PSA、PSCA、PSMA、狂犬病ウイルス抗原、RANTES、RSV、SDF1アルファ、SDF1ベータ、SCF、SCGF、幹細胞因子(SCF)、TACSTD1、TAG72、TARC、TACE認識サイト、テナシンC、TGF−アルファ、TGF−ベータ、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−アルファ、TNF−ベータ、TNF受容体I(p55)、TNF受容体II、TNIL−1、TPO、TRAIL−R1、VEGF、VEGF−A、VEGF受容体1、VEGF受容体2、VEGF受容体3、および上記の受容体などのDNA結合タンパク質が含まれる。ムロモナブ−CD3、エドレコロマブ、イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブ、アブシキシマブ、リツキシマブ、バシリキシマブ、インフリキシマブ、セツキシマブ、ダクリズマブ、パリビズマブ、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、オマリズマブ、エファリズマブ、ベバシズマブ、ニモツズマブ、ナタリズマブ、ラニビズマブ、エクリズマブ、セルトリズマブペゴール、アダリムマブ、パニツムマブ、エタネルセプト、アレファセプト、アバタセプトおよびリロナセプトもまた、本発明に有用なAbのエピトープを決めるものである。
【0047】
Igアロタイプ
本発明の方法および組成物は、治療用mAbのアロタイプ表現型を被験体のそれに特異的に一致させるか、または少なくとも部分的に一致させる(例えば、少なくとも50、60、70、80、90、95%超、一致させる)ことに関する。この技術分野においては、各種のアロタイプが知られている。表1(下記)に、種々のヒトIg対立遺伝子を示す。

【0048】
本発明の組成物、方法およびキットは、少なくとも(i)第1のアロタイプ表現型の、第1の重鎖可変領域および第1の重鎖定常領域を含む第1のAbと、(ii)第1のAbと同じ(または多クローン性Abの場合など、少なくとも同一の抗原結合特異性を有する)重鎖可変領域、および第1のアロタイプ表現型とは異なる第2のアロタイプ表現型の第2の重鎖定常領域を含む第2のAbとを含むAbのパネルを特徴とし得るか、または使用し得る。好ましい実施形態においては、Abのパネルは、数種の異なるヒトまたはヒト型化mAb(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の異なるmAb)を含み、それぞれが同一の可変領域(または、抗原結合部位)と異なる定常領域を有しており、その定常領域は、同一のアイソタイプであるが、アロタイプ表現型が異なっている。例えば、ヒトまたはヒト型化mAbのパネルは、同一の可変領域(および任意選択により同一の重鎖定常領域)を有するが、カッパ軽鎖定常領域は異なり、カッパ軽鎖定常領域の相違が、Km1;Km1,2;および/またはKm3アロタイプに対応する2種または3種のIgを含み得る。
【0049】
他の例として、ヒトまたはヒト型化mAbのパネルは、同一の軽鎖と重鎖可変領域を有するが、重鎖定常領域は異なる少なくとも2種(例えば、2、3、または4種)のIgGを含み、重鎖定常領域の相違がG1m1、G1m2、G1m3、および/またはG1m17アロタイプに対応するものであり得る。アロタイプのセットは共に遺伝することが多いため、ヒトまたはヒト型化Abのパネルは、同一の軽鎖および重鎖可変領域を有するが、G1m3;Gm1,17;およびGm1,2,17の中の2種または3種などの、異なるがしかし共通の重鎖定常領域ハプロタイプを有する一連のIgGを含み得る。ヒトまたはヒト型化IgGmAbの好ましいセットは、同一のラムダ軽鎖および重鎖可変領域と、これは2つの異なる可能な抗原サイト(すなわち、G1m3およびG1m17)のみを含むものであろうから、(a)nG1m1、nG1m2およびG1m3アロタイプの重鎖定常領域、および(b)nG1m1、nG1m2およびG1m17アロタイプの重鎖定常領域を含むであろう。
【0050】
同様に、ヒトまたはヒト型化IgGmAbのパネルは、同一の軽鎖および重鎖可変領域を有するが、重鎖定常領域は異なり、その重鎖定常領域の相違は、G3m21、nG3m21、G3m5、nGm5、G3m11、nGm11、G3m6、G3m10、G3m13、G3m14、G3m15、G3m16、G3m21、G3m24、G3m26、G3m27およびG3m28表現型の1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)に対応している、少なくとも2種(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)のIgGを含み得る。アロタイプのセットは、共に遺伝することが多いため、ヒトまたはヒト型化Abのパネルは、同一の軽鎖および重鎖可変領域を有し、G3m5、10、11、13、14、26、27;G3m21、26、27、28;G3m10、11、13、15、27;G3m10、11、13、15、16、27;G3m5、6、10、11、14、26、27;およびG3m5、6、11、24、26の2種以上(例えば、2、3、4、5または6種)のような、異なるがしかし共通の重鎖定常領域ハプロタイプを有する、一連のIgGを含み得る。mAbのパネルは、同一の軽鎖および重鎖可変領域を有するが、重鎖定常領域は異なり、その重鎖定常領域の相違は、Am1およびAm2アロタイプに対応している、2種のヒトまたはヒト型化IgAを含み得る。
【0051】
上述の重鎖定常領域パネルのAbは、カッパおよび/またはラムダ軽鎖を含み得る。ヒトラムダ軽鎖は対立遺伝子変異体を含まないため、パネルの複雑さを軽減するためには、この軽鎖のみを使用することが好ましい。カッパ鎖含有パネルでは、各重鎖アロタイプは、Km1;Km1,2;および/またはKm3アロタイプのいずれかのカッパ鎖と結合し得る。パネル中に異なるカッパ鎖アロタイプが含まれない場合、Km3が、最も一般的であるという理由から、使用する軽鎖として最も好ましく、最も一般的でないという理由から、Km1が最も好ましくない。本発明のAbのパネルは、一連のAb含有容器またはバイアルとして用意することができる。
【0052】
免疫原性を低下させた抗体
免疫原性を低下させたAbも本発明の範囲に含まれる。1つの種の構成体全体に対して概ね低い免疫原性を示す予防または治療用のAbは、アロタイプ表現型に基づいて選択される。アロタイプ決定基と関連する潜在的抗原決定基を全く有さないか、または殆ど有さないAbが好ましい。例えば、ラムダ軽鎖を使用するヒトまたはヒト型化Abが(カッパ軽鎖と対照的に)、アロタイプ決定基を有さないことから好ましい。AAAb応答を避けるためには、カッパ鎖の中で、その集団で最も頻度の高いものが好ましい(Km3>Km1,2>Km1)。ヒト重鎖では、アルファ1、ミュー、イプシロン、ガンマ4(アロタイプを有さないもの)、またはnG2m23イソアロタイプを有するガンマ2の使用が、これらの鎖に対してAAAb応答を示さないので好ましい。しかしながら、最も多くのアロタイプ変異を示すガンマ1およびガンマ3が、多くの用途(例えば、良好な補体の活性化またはADCCが望まれる場合など)で好ましい。この場合、nG1m1、nG1m2およびG1m3;またはnG1m1、nG1m2およびG1m17を有するガンマ1が好ましい。そのような重鎖におけるアミノ酸配列もまた、遺伝子操作により、G1m3またはG1m17を規定している残基を、イソアロタイプ決定基を規定しているアミノ酸で置換し得る。そのような人工重鎖はAbで使用することができ、そしてそのAbは必要な活性(例えば、補体の活性化およびADCC活性)を試験することができる。
【0053】
投与のためのモノクローナル抗体の選択方法
1つの態様では、本発明は、異なるAbのパネルから、すなわち、それぞれが同一の可変領域(または、少なくとも同一の抗原結合特異性)を有し、同一のアイソタイプではあるが、アロタイプ表現型が互いに異なるAbのパネルから、Abを選択する方法を特徴とする。この方法は、(a)被験体から生物学的試料を採取するステップ;(b)生物学的試料を分析し、被験体により発現される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6種またはそれ以上)のAbアロタイプ表現型を決定するステップ;(c)少なくとも(i)所定の抗原に対して特異的な抗原結合部位を有する第1可変領域、および被験体により発現されない第1のアロタイプ表現型の第1の定常領域を有する第1のAbと、(ii)その所定の抗原に対して特異的な抗原結合部位を有する第1の可変領域(第1のAbの可変領域と同一である得る)、および第1のアロタイプ表現型とは異なり、かつ被験体により発現される第2のアロタイプ表現型の第2の定常領域を有する第2のAbとを含むAbのパネルを用意するステップ;ならびに(d)第2のAbをヒト被験体に投与するステップを含む。この方法では、第2の定常領域が、被験体により発現される複数種(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれ以上)のアロタイプ表現型を有し、かつ/または、被験体により発現されないアロタイプを有さないこともあり得る。
【0054】
生物学的試料の採取には、任意の適切な方法を用いることができる。採取される生物学的試料としては、被験体からの、AbまたはAbをコードする核酸を有する細胞を含む任意のもの、例えば血液、血漿、血清、白血球、Bリンパ液、脳脊髄液、関節液、脾臓、リンパ節、骨髄および胎盤などが挙げられる。例えば、抹消血試料は、静脈穿刺により採取することができる。全血は、既知の方法により、細胞分画(例えば、バフィーコート)、血漿または血清に分離することができる。骨髄は、針穿刺吸引により得ることができる。脾臓およびリンパ節試料は、生検により得ることができる。ある場合には、被験体から採取した生物学的試料をさらに処理して、Ab含有部分、またはAbをコードする核酸配列を有する細胞を濃縮することができる。
【0055】
Abのアロタイプ表現型を被験体に一致させるために、被験体内の少なくとも1種(例えば1、2、3、4、5種またはそれ以上)の内因性Abの1種または複数種(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれ以上)のアロタイプ表現型を調べることができる。Abのアロタイプ表現型は、任意の適切な方法、例えば、被験体から採取した生物学的試料中の、アロタイプ表現型に対応するAbのアミノ酸配列変異を同定することにより、または、被験体から採取した生物学的試料に含まれているDNAまたはRNAのアロタイプ表現型に対応するAbコード遺伝子の核酸配列を調べることにより知ることができる。例えば、アロタイプ表現型に関係するアミノ酸変異に特異的なプローブを、Ab含有試料に接触させることができ、Abへのプローブの結合を評価することができる。その場合、Abへのプローブの結合は、その試料がその特定のアロタイプ表現型のAbを含んでいることを示している。他の例を挙げれば、アロタイプ表現型に関係するアミノ酸変異をコードする核酸に特異的なプローブを、被験体から採取した核酸試料と接触させることができ、そしてアロタイプ表現型に関係するアミノ酸変異をコードする核酸へのプローブの結合を検出(例えば、サザンブロット法で)することができる。その場合、アロタイプ表現型に関係するアミノ酸変異をコードする核酸へのプローブの結合は、被験体がその特定のアロタイプ表現型のAbを有していることを示している。
【0056】
典型的な方法では、Abの表現型を評価すべき被験体から、血液、血清または血漿などの生物学的試料を被験体から単離する。さらに、単離した試料を、例えば、塩析、サイズ排除クロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法、免疫アフィニティークロマトグラフ法(例えば、抗−ヒトIg抗体に結合したクロマトグラフィビーズを使用して、ヒトIgを単離することができる)、および/または、プロテインAもしくはプロテインGクロマトグラフ法などにより処理して、試料中のAbを濃縮してもよい。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)または放射免疫測定法(RIA)などの免疫測定法により、知られていないアロタイプ表現型Abを含む試料中の、特定のアロタイプ表現型Abの存在を調べることができる。そのような免疫測定法では、通常、特定のアロタイプ表現型と検出可能標識を有するAbにのみ選択的に結合するAbを使用する。例えば、選択したアロタイプ表現型に特異的なキャプチャーAbを、マイクロタイタープレートのウェル内に固定化することができる。希釈血清などのAb含有生物学的試料をウェルに加え、ウェルを洗浄する。その後、評価するAbのアイソタイプに特異的な酵素標識Ab(例えば、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG)をウェルに加える。その後、ウェルを洗浄し、Ab含有生物学的試料が評価するその特定のアロタイプ表現型のAbを含んだウェル内で、発色反応が検出され得るように、酵素の基質を加える。
【0057】
あるいは、赤血球凝集反応阻害試験を使用することもできる。代表的な赤血球凝集反応試験では、コーティングされた細胞が既知の単一アロタイプのAbに暴露したときに膠着するように、O+赤血球を既知の単一アロタイプに特異的なIgでコーティングする。既知の単一アロタイプのAbを含むことが分かっている抗血清を、型を判別すべき未知の血清と混合し、混合物をコーティングした赤血球に加える。赤血球の膠着が阻害されるならば、未知の血清中にそのアロタイプが存在すると結論することができる。
【0058】
他の手法では、生物学的試料中にアロタイプ表現型に関係するアミノ酸変異をコードする核酸が存在することを検出することができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく試験もまた、特定のアロタイプ表現型に特異的なAbのアミノ酸配列をコードする核酸領域を選択的に増幅するプライマーセットを使用して、被験体によるAbアロタイプ表現型の発現の検出に使用することができる。さらに、所与の被験体が発現するアロタイプを調べるために、制限断片長多型解析を使用することができる。現状では免疫測定法または核酸に基づく検出法よりも扱いにくいが、Abまたはその一部の配列を直接測定して、そのアロタイプ表現型を決定することもできる。
【0059】
Abの改変方法
本発明はさらに、抗原結合可変領域を保持しながら、Abを改変してアロタイプ表現型を変化させる方法を含む。この方法は、上述したようなAbのパネルの作成に使用することができる。Abを改変する方法はこの技術分野においてはよく知られている。例えば、Lo,B.K.C.著、Antibody Engineering−Methods and Protocols、Humana Press、2004年を参照されたい。Abの改変は、一般に、従来型の分子生物学的手法、例えば、全Igの軽鎖または重鎖をコードする核酸をまず単離し、ベクターにクローニングする方法により行われる。その後、制限酵素を使用して、Abの1種以上(例えば、1、2、3、4、5またはそれ以上)のアロタイプ表現型に対応するアミノ酸配列をコードする核酸配列を切り出す。次いで、1種以上(例えば、1、2、3、4、5またはそれ以上)の異なるアロタイプ表現型のアミノ酸配列をコードする新たな核酸配列で、切り出した後の核酸を置換する。この処理は、可変領域は同一であるが、定常領域はAbの異なるアロタイプ表現型に対応して異なっているAbをコードする核酸のライブラリーが作成されるまで、繰り返すことができる。あるいは、既知の抗原特異性を有するAbからのCDRを、異なるアロタイプ表現型Abのフレームワーク領域にグラフトするCDRグラフト法を使用することもできる。例えば、これらの方法を使用して、アロタイプG1m(1)のAbをG1m(3)アロタイプに変化させることができる。
【0060】
特定の集団に属するヒト被験体に対するモノクローナル抗体の選択方法
本発明はさらに、ある種のAbアロタイプ表現型またはハプロタイプが支配的な特定の集団に属するヒト被験体に投与するモノクローナル抗体の選択方法を特徴としている。この方法の一例では、被験体に、表現型または遺伝子型に基づいて特定の集団を割り当てる。特定の集団は、人種または祖先の背景、例えば白人、黒人またはアジア人に基づくものであってよい。被験体に特定の集団を割り当てたなら、少なくとも、特定の集団で一般性の高い第1のアロタイプ表現型またはハプロタイプを有する第1のAb、および特定の集団で一般性の低い第2のアロタイプ表現型またはハプロタイプの第2のAbを含むAbのセットから、被験体に投与するAbを選択する。その後、被験体が第2のアロタイプ表現型またはハプロタイプよりも、第1のアロタイプ表現型またはハプロタイプをより発現し易いであろうことに基づき、被験体に投与する第1のAbを選択する。例えば、黒人の集団では、G1m3アロタイプのAbの使用は稀であるが、G1m1、G1m17は多く使用される。このように、G1m3アロタイプのAbの使用は、G1m1、G1m17アロタイプの使用より好ましくないであろう。
【0061】
抗抗体応答を示した被験体の治療方法
他の態様では、本発明は、先に投与したAbに対し抗Ab応答(例えば、HAHAまたはHAMA応答)を示した被験体の治療方法に関する。この方法では、先のAbの投与を中止し、代わりに被験体には、先に投与したAbと可変領域は同一であるが、先に投与したAbとアロタイプ表現型(好ましくは、被験体が発現するもの)は異なる第2のAbを投与する。これにより、抗抗体応答の中の抗アロタイプ反応が解消または軽減される。したがって、この方法は、抗−抗体応答が、先に投与したAbのアロタイプ決定基に特異的に結合するAbが被験体内に存在することを特徴とするものであるとき、特に有用である。
【0062】
抗抗体応答を誘発し難いモノクローナル抗体の選択方法
被験体に抗Ab応答を誘発し難いAbを選択する方法も本発明の範囲に含まれる。この方法は、まず被験体の1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種またはそれ以上)のAbアロタイプ表現型を決定することを含み得る。その後、(a)被験体の1種以上のアロタイプ表現型を有し、かつ/または(b)被験体が発現しないアロタイプ表現型を有さないAbを、種々のアロタイプ表現型を有し(かつ、任意選択により同一の可変領域を有する)異なるAbのパネルから選択する。その後、選択したAbを被験体に投与する。
【0063】
医薬組成物および方法
本発明のAb組成物は、投与の形態および経路、ならびに標準の投薬手法に基づいて選択した、薬剤として許容される担体(例えば、滅菌生理食塩水)により、動物またはヒトに投与することができる。薬剤として許容される担体および薬剤処方のリストは、この分野の標準のテキストであるRemington著、Pharmaceutical Sciences、およびUSP/NFに見出すことができる。組成物の安定化および/または保存のために、かつ/または被験体への投与を容易にするために、他の物質を組成物に加えてもよく、また、他のステップを用いてもよい。
【0064】
例えば、Ab組成物は、凍結乾燥させたり(Draberら著、J.Immunol.Methods.181:37、1995年、およびPCT/US90/01383を参照);ナトリウムイオンおよび塩素イオンを含む溶液に溶解させたり;アルブミン、グルコース、マルトース、スクロース、ソルビトール、ポリエチレングリコールおよびグリシンなどの1種以上の安定化剤を含む溶液に溶解させたり;ろ過したり(例えば、0.45およびまたは0.2ミクロンフィルターを使用);かつ/または殺菌剤を含む溶液(例えば、洗浄剤、有機溶媒、および洗浄剤と有機溶媒の混合物)に溶解させたりすることができる。
【0065】
本発明の組成物は、適切な任意の方法で、動物またはヒトに投与することができる。通常、そのような投与は非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、胸骨内または腹腔内への導入)であろう。組成物はまた、目的の場所へ直接に、例えば、内部もしくは外部の目的とする場所へ外科的送達により、あるいは血管を通して到達可能な場所へカテーテルにより、投与してもよい。この技術分野では、他の送達方法、例えばリポソーム製剤による送達、または組成物を含浸した装置からの拡散なども知られている。組成物は、1回の急速投与、複数回の注射、または連続注入(例えば、静脈内注入または腹膜透析など)により投与してもよい。
【0066】
治療に有効な量とは、治療した動物またはヒトに医学的に望ましい結果をもたらすことができる量である。医療分野でよく知られているように、任意の1匹の動物または1人のヒトに対する用量は、被験体の大きさ、体表面積、年齢、投与する特定の組成物、性別、投与の時間および経路、一般的な健康状態、併用投与する他の薬剤を含む、多くの因子に依存する。抗体の静脈内投与の適切な用量は、約0.01〜100mg/kg体重の範囲であろう。
【0067】
キット
本発明はまた、被験体が発現するAbのアロタイプ表現型に一致、またはよく近似したAbを、被験体に投与することができるように、被験体のAbアロタイプ表現型を測定するキットを特徴とする。典型的なキットは、被験体から単離された生物学的試料のAbアロタイプ表現型を特異的に同定する複数のプローブと、緩衝液などの他の試薬と、試験管またはマイクロタイタープレートなどの容器と、陽性および陰性対照(例えば、特定のアロタイプ表現型を発現し、スクリーニングされるAb、および、アロタイプ表現型を発現せず、スクリーニングされないAb;またはスクリーニングされるアロタイプ表現型Abをコードする核酸、および、スクリーニングされるアロタイプ表現型を含まないAbをコードする核酸)と、使用説明書を含み得る。プローブは、上でより詳しく説明したように、スクリーニングされるアロタイプ表現型に対応するアミノ酸配列をコードする核酸を特異的に増幅するポリメラーゼ連鎖反応プライマー、または、スクリーニングされるAbアロタイプ表現型に対応するアミノ酸配列に特異的に結合するAbであり得る。
【0068】
ELISA、RIA、沈降素分析、またはオークタロニー二重免疫拡散法などの免疫測定法を使用して、特定のアロタイプ表現型Abの存在を検出するのに、Abベースのプローブを使用することができる。そのような免疫測定法は、1回の測定で数種(3、4、5、6種またはそれ以上)の異なるAbアロタイプ表現型を検出するように手順を整えることが好ましい。例えば、1回のELISAまたはRIAで、単一の生物学的試料について、異なるアロタイプ表現型を同時にスクリーニングできるように、マイクロタイタープレートの異なるウェルを、異なるAbアロタイプ表現型に特異的な、異なる(例えば2、3、4、5、6、7種またはそれ以上)のキャプチャーAbでコーティングすることができる。同様に、オークタロニー法では、生物学的試料を中央のウェルに加え、それぞれが異なるアロタイプ表現型に特異性を有する数種の異なるAbを、中央ウェルを囲む異なるウェルに個々に加えることができる。あるいは、特定のアロタイプ表現型のAbの存在を検出するために、上述したような赤血球凝集反応阻害試験をキットに含めてもよい。
【0069】
被験体のAbアロタイプ表現型を測定するキットはまた、被験体からの生物学的試料が1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6種またはそれ以上)のAbアロタイプ表現型をコードする核酸を含有しているか否かを測定する試薬を含んでもよい。例えば、キットは、特定のアロタイプ表現型のAbをコードする核酸に相補的な、検出可能なように標識を付した核酸、特定のアロタイプ表現型に特異的なAb中のアミノ酸配列をコードする核酸領域を選択的に増幅するPCRプライマーセット、または、拡散配列をアロタイプ表現型特異性に基づいて切断する制限酵素(RFLP法用)を含んでもよい。
【0070】
AAAbの存在について被験体をスクリーニングする方法
被験体のAbアロタイプ表現型に一致、またはよく近似したAbを使用することは、既にAAAbを保有する被験体には特に重要である。したがって、1つの態様では、本発明はAAAbの存在について被験体をスクリーニングする方法に関する。これらの方法では、生物学的試料を被験体から採取し、その後、AAAbの存在をスクリーニングすることができる。生物学的試料は、AAAbを含み得る任意のもの、例えば、血液、血漿、血清、リンパ液、唾液、尿、脳脊髄液および関節液を含むことができる。生物学的試料の採取には、任意の適切な方法を用いることができる。例えば、抹消血試料は、静脈穿刺により得ることができる。全血は、既知の手法により、細胞分画(例えば、バフィーコート)、血漿または血清に分離することができる。ある場合には、被験体から得た生物学的試料をさらに処理して、Ab含有部分、またはAbをコードする核酸配列を有する細胞を精製することができる。
【0071】
生物学的試料中のAAAbの存在は、任意の適切な方法で検出することができる。例えば、AAAbが特異性を示すアロタイプのAbを、生物学的試料に接触させるプローブとして使用することができる。AbプローブのAAAbへの結合は、被験体が特定のAAAbを保有していることを示すものとして検出することができる。そのようなプローブAbは、凝集体形成法、沈降素分析、オークタロニー二重免疫拡散法、ELISA(例えば、プローブAbをキャプチャーAbとして使用して)およびRIA(例えば、プローブAbをキャプチャーAbとして使用)などの各種免疫測定法を使用して、生物学的試料中の特定のAAAbを検出するために、使用することができる。
【0072】
典型的方法では、血液、血清または血漿などの生物学的試料を被験体から単離する。単離した試料は、直接使用してもよく、あるいは、さらに、例えば、塩析、サイズ排除クロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法、免疫アフィニティークロマトグラフ法(例えば、抗−ヒトIg抗体に結合したクロマトグラフィビーズを使用して、ヒトIgを単離することができる)、および/またはプロテインAもしくはプロテインGクロマトグラフ法などにより処理して、試料中のAbを濃縮してもよい。スクリーニングされるAAAbが結合するであろうアロタイプのキャプチャーAbを、マイクロタイタープレートのウェルに固定化することができる。AAAbを含有する可能性がある生物学的試料をウェルに加え、ウェルを洗浄する。その後、被験体のAbに特異的な、標識を付したAb(しかし、キャプチャーAbではない)をウェルに加える。その後、ウェルを洗浄し、ウェル中の標識の存在を評価する。ウェル中に標識が存在することは、そのウェルに加えた生物学的試料がAAAbを含有することを示す。あるいは、赤血球凝集反応を使用することもできる。例えば、O+赤血球を単一の既知のアロタイプのIgでコーティングする。生物学的試料の添加により、コーティングした細胞が膠着を起こすならば、その生物学的試料はスクリーニングしたAAbを含有する。
【0073】
他の実施形態
本発明の詳細な説明とともに本発明を説明してきたが、上記の説明は本発明を説明することを意図したものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲で示されている。他の態様、有利性および修正は以下の特許請求の範囲に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノクローナル抗体含有医薬組成物のパネルであって、(a)第1のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体、ならびに(b)第2のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体を含む、第1の医薬組成物を少なくとも含み、前記第1のモノクローナル抗体が第1のアイソタイプであって、第1の可変領域を含み、前記第2のモノクローナル抗体が前記第1のアイソタイプであって、前記第1の可変領域を含み、かつ前記第1のモノクローナル抗体が第1の重鎖アロタイプ表現型を含み、前記第2のモノクローナル抗体が、前記第1の重鎖アロタイプ表現型とは異なる第2の重鎖アロタイプ表現型を含むことを特徴とするモノクローナル抗体含有医薬組成物のパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のモノクローナル抗体含有医薬組成物のパネルにおいて、さらに(c)第3のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体を含み、前記第3のモノクローナル抗体が、前記第1のアイソタイプであって、前記第1の可変領域を含み、かつ前記第1および第2の重鎖アロタイプ表現型とは異なる第3の重鎖アロタイプ表現型を含むことを特徴とするモノクローナル抗体含有医薬組成物のパネル。
【請求項3】
請求項2に記載のモノクローナル抗体含有医薬組成物のパネルにおいて、さらに(d)第4のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体、および薬剤として許容される担体を含み、前記第4のモノクローナル抗体が、前記第1のアイソタイプであって、前記第1の可変領域を含み、かつ前記第1、第2および第3の重鎖アロタイプ表現型とは異なる第4の重鎖アロタイプ表現型を含むことを特徴とするモノクローナル抗体含有医薬組成物のパネル。
【請求項4】
請求項1に記載のモノクローナル抗体のパネルにおいて、前記第1のアイソタイプがガンマ1であることを特徴とするモノクローナル抗体のパネル。
【請求項5】
請求項4に記載のモノクローナル抗体のパネルにおいて、前記第1の重鎖アロタイプ表現型がヒトG1m3アロタイプを含み、かつ前記第2の重鎖アロタイプ表現型がヒトG1m17アロタイプを含むことを特徴とするモノクローナル抗体のパネル。
【請求項6】
請求項1に記載のモノクローナル抗体のパネルにおいて、前記第1のアイソタイプがガンマ3であることを特徴とするモノクローナル抗体のパネル。
【請求項7】
請求項6に記載のモノクローナル抗体のパネルにおいて、前記第1の重鎖アロタイプ表現型がヒトG3m5アロタイプを含み、かつ前記第2の重鎖アロタイプ表現型がヒトG3m21アロタイプを含むことを特徴とするモノクローナル抗体のパネル。
【請求項8】
請求項6に記載のモノクローナル抗体のパネルにおいて、前記第1の重鎖アロタイプ表現型および前記第2の重鎖が、G3m5、10、11、13、14、26、27;G3m21、26、27、28;G3m10、11、13、15、27;G3m10、11、13、15、16、27;G3m5、6、10、11、14、26、27;およびG3m5、6、11、24、26からなる群から選択される異なるアロタイプ表現型を含むことを特徴とするモノクローナル抗体のパネル。
【請求項9】
ヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体の改変方法であって、前記モノクローナル抗体の前記重鎖の定常領域のアミノ酸配列を改変して、その表現型を第1の自然アロタイプ表現型から第2の自然アロタイプ表現型に変えるステップを含み、アロタイプ表現型をコードしない前記モノクローナル抗体のアミノ酸配列は改変しないことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記モノクローナル抗体が、G1m1アロタイプからnG1m1アロタイプに改変されたIgGであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、前記モノクローナル抗体が、G1m3アロタイプからG1m17アロタイプに改変されたIgGであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法において、前記第2の自然アロタイプ表現型が、イソアロタイプまたは非マーカーであることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、前記モノクローナル抗体が、G2m23アロタイプからnG2m23イソアロタイプに改変されたIgGであることを特徴とする方法。
【請求項14】
ヒト被験体に投与するヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体を選択する方法であって、
(a)前記被験体に第1の抗体のアロタイプ表現型が存在することを調べるステップ;および
(b)前記第1のアロタイプ表現型を含む第1のモノクローナル抗体と、前記被験体に内因的に存在しない第2のアロタイプ表現型を含む第2のモノクローナル抗体とを少なくとも含むヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体群から、前記被験体に投与するモノクローナル抗体を選択するステップ;および
(c)前記被験体に前記第1のモノクローナル抗体を投与するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記第1のモノクローナル抗体は、前記被験体に内因的に存在しないアロタイプ表現型を含まないことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、前記第1のモノクローナル抗体は、第1のアイソタイプで、第1の可変領域を含み、前記第2のモノクローナル抗体は、前記第1のアイソタイプで、前記第1の可変領域を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、前記被験体は、関節リウマチを有することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法において、前記被験体は、以前に異種血液の輸血を受けたことがあることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法において、前記被験体は、妊娠したことのある女性であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法において、前記被験体は、1歳未満の子供であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法において、前記被験体は、以前に前記第2のアロタイプ表現型を含む抗体を投与されたことがあることを特徴とする方法。
【請求項22】
特定の集団に属するヒト被験体に投与するモノクローナル抗体を選択する方法であって、
(a)前記被験体を含む特定の集団を決定するステップ;
(b)前記特定の集団で一般性の高い第1のアロタイプ表現型を含む第1のモノクローナル抗体と、前記特定の集団で、前記第1のアロタイプ表現型より一般性の低い第2のアロタイプ表現型を含む第2のモノクローナル抗体とを少なくとも含むヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体群から、前記被験体に投与するモノクローナル抗体を選択するステップ;および
(c)前記被験体に前記第1のモノクローナル抗体を投与するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記第1のモノクローナル抗体は、前記特定の集団で一般性が高い第1のハプロタイプを含み、かつ前記第2のモノクローナル抗体は、前記特定の集団で、前記第1のハプロタイプより一般性が低い第2のハプロタイプを含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、前記特定の集団は、白人の集団であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、前記特定の集団は、黒人の集団であることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法において、前記特定の集団は、アジア人の集団であることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法において、前記被験体は、関節リウマチを有する;以前に異種血液の輸血を受けたことがある;妊娠したことのある女性である;または、1歳未満の子供であることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項22に記載の方法において、前記被験体は、以前に前記第2のアロタイプ表現型を含む抗体を投与されたことがあることを特徴とする方法。
【請求項29】
第1のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体に対して抗抗体応答を示した被験体を治療する方法であって、前記第1のモノクローナル抗体と同一の可変領域を有するが、前記第1のモノクローナル抗体とは異なるアロタイプ表現型を有する第2のヒトまたはヒト型化モノクローナル抗体を前記被験体に投与することを含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記抗抗体応答が、前記第1のモノクローナル抗体のアロタイプ決定基に特異的に結合する抗体が前記被験体に存在することを特徴としていることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、前記第2のモノクローナル抗体は、前記被験体に内因的に存在していないアロタイプ表現型を含まないことを特徴とする方法。
【請求項32】
被験体に内因的に発現されていないアロタイプ決定基に特異的に結合する抗体の存在に関して、前記被験体をスクリーニングする方法であって、
(a)前記被験体から生物学的試料を得るステップ;
(b)前記生物学的試料を、前記抗アロタイプ決定基に特異性を有するプローブと接触させるステップ;および
(c)前記被験体に内因的に発現されていない前記アロタイプ決定基に特異的に結合する抗体を前記被験体が有していることを示す指標として、前記プローブと前記生物学的試料に含まれ得る抗体との結合を検出するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、前記プローブが、前記被験体に内因的に発現されていないアロタイプ決定基を含む抗体であることを特徴とする方法。
【請求項34】
被験体のアロタイプ表現型を決定するキットであって、
少なくとも、第1の抗体アロタイプ決定基を特異的に同定する第1プローブ、および前記第1の抗体アロタイプ決定基とは異なる第2の抗体アロタイプ決定基を特異的に同定する第2プローブ;
少なくとも、前記第1のアロタイプ決定基を含むか、またはコードする第1の分子を含む第1の陽性対照、および前記第2のアロタイプ決定基を含むか、またはコードする第2の分子を含む第2の陽性対照;
少なくとも、前記第1のアロタイプ決定基を含まず、コードもしない第3の分子を含む第1の陰性対照、および前記第2のアロタイプ決定基を含まず、コードもしない第4の分子を含む第2の陽性対照;ならびに
前記キットの使用説明書
を含むことを特徴とするキット。
【請求項35】
請求項34に記載のキットにおいて、前記第1および第2プローブが、G1m1、G1m2、G1m3、G1m17、G3m5、G3m6、G3m10、G3m11、G3m13、G3m14、G3m15、G3m16、G3m21、G3m24、G3m26、G3m27、およびG3m28からなる群から選択される、異なるアロタイプ決定基に特異的に結合する抗体であることを特徴とするキット。
【請求項36】
請求項35に記載のキットにおいて、異なるアロタイプ決定基を特異的に増幅する複数ポリメラーゼ連鎖反応プライマーをさらに含み、前記異なるアロタイプ決定基が、G1m1、G1m2、G1m3、G1m17、G3m5、G3m6、G3m10、G3m11、G3m13、G3m14、G3m15、G3m16、G3m21、G3m24、G3m26、G3m27、およびG3m28からなる群から選択されることを特徴とするキット。

【公表番号】特表2013−505938(P2013−505938A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531015(P2012−531015)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/049924
【国際公開番号】WO2011/038069
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(510312617)エックスバイオテク,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】XBIOTECH,INC.
【Fターム(参考)】