抗癌剤担体用キトサン及びその製造方法
【課題】簡便に製造可能であり、かつ抗癌剤の本来の抗癌効果を損なうことのない抗癌剤担体用キトサンの提供。
【解決手段】脱アセチル化度が30〜90%の部分脱アセチル化キトサンを、凍結乾燥処理し、さらに細粒化処理して得られる抗癌剤担体用キトサン。
【解決手段】脱アセチル化度が30〜90%の部分脱アセチル化キトサンを、凍結乾燥処理し、さらに細粒化処理して得られる抗癌剤担体用キトサン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌剤担体用キトサン及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キチン、キトサンは、化粧品分野、医療分野、食品分野などで広く使用され、天然の素材として、コラーゲン材料等と同様に好ましく使用されている。しかし過去の応用例は、粉末としての使用が大部分であり、成形体などの形状を利用した用途は見られなかった。この天然高分子であるキトサンは、酢酸等の酸水溶液に容易に溶解するため、湿式成形によって、フイルム、繊維、スポンジなど種々の成形体を作成することが可能である。しかし、その実用化に関しては、ほとんど成功した例が見られない。
また、キトサンは、キチンの脱アセチル化物と定義され、一般的には、脱アセチル化度70〜80%以上であり、水に不溶であるが、キチンでは溶解しない希酸溶液に溶解する特徴を持っている。
【0003】
一方、癌性腹水や癌性胸水貯留症例に対する治療は今なお困難である。それらに対する治療の現況は、癌腫に応じて効果が期待される抗癌剤を全身投与する方法が一般的である。しかし、治療目的で投与された抗癌剤は血液を介して全身に拡散するため、癌病巣へ到達する薬物濃度は極めて低く、薬物の標的停留効果が乏しい。しかも投与された抗癌剤による腎毒性、消化器症状、骨髄機能抑制、電解質異常、脱毛など全身的副作用を誘発しやすく、治療継続が出来ない場合や、QOLの著しく低下する場合も多い。
【0004】
上記問題を解決するために、抗癌剤による治療効果を高め、副作用を極力抑える癌治療法として、局所注入法、動注法、DDSによる療法等が実践されている。
DDSによるガンの化学療法には、リポソーム、ナノ粒子、マイクロスフェア、リピオドール、モノクローナル抗体等の高分子キャリアの利用をはじめ種々の先端技術が応用されている。
【0005】
現行の癌化学療法に使用されている抗癌剤が腫瘍細胞に対する効果的な選択性に欠けるという事実により副作用が生じている。したがって、正常細胞に対する抗癌剤の副作用を減らすとともに腫瘍細胞に対する有効性を向上させるための有望な試みの一つとして、高分子キャリアを使用する研究が進められている。
【0006】
上記高分子キャリアは、今日、入手可能な多くの種類の合成高分子を用いて設計可能であり、また、薬物を合成高分子キャリアに導入するに際しても種々の有機反応が使用され得る。例えば、ポリ(N−2−(ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド)、ポリ(ジビニルエーテル−コ−無水マレイン酸)、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)、デキストラン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(アスパラギン酸)及びポリ(L−リジン)等が知られている。
【0007】
また、上記高分子キャリアとして、キトサンを使用することが下記文献(特許文献1〜4)に報告されている。
【0008】
特許文献1では、「自己集合体を形成する疎水性抗癌剤−キトサン複合体及びその製造方法」を開示している。これは、疎水性導入基として抗癌剤を使用して親水性キトサンと複合体を形成する技術である。ここで、使用する抗癌剤には、アミン基と反応が可能な抗癌剤だけが使用可能である。すなわち、特許文献1の複合体は、本発明とは異なり、疎水性抗癌剤とキトサンがEDC{1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド}及びNHS(N-ヒドロスクシンイミド)を使用して結合している。
さらに、図3に記載のアドリアマイシンの放出レベルが低い。
【0009】
特許文献2では、「自己集合体を形成する胆汁酸―キトサン複合体及びその製造方法」を開示している。特許文献2の複合体は、本発明とは異なり、キャリアとして胆汁酸―キトサンを使用している。
【0010】
特許文献3では、「水溶性キトサンの鎖に疎水性基としてコレステロールとメトキシポリ(エチレングリコール)を導入して構成されることを特徴とする抗癌剤の伝達体用水溶性キトサンナノ粒子」を開示している。
特許文献3の抗癌剤の伝達体用水溶性キトサンナノ粒子は、本発明とは異なり、キャリアとして胆汁酸―キトサンを使用している。
【0011】
特許文献4では、「硫酸化キチン性ポリマーを含む医薬を局所投与することを含む方法」を開示している。
特許文献4では、本発明とは異なり、硫酸化キチン性ポリマーを使用している。
【0012】
以上に述べたように、従来の抗癌剤担体用キトサンは、EDC、NHS等を使用して、抗癌剤と強固に結合されている、又は、キトサンを別の材料(胆汁酸、コレステロール等)と結合されている。
しかしながら、上記の抗癌剤担体用キトサンは、本来の抗癌剤の抗癌効果の低減作用になること又は生体に悪影響を起こすことも否定できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2005-501103号公報
【特許文献2】特表2008-527134号公報
【特許文献3】特表2009-507825号公報
【特許文献4】特表2008-530224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、上記記載の問題を解決すべく、簡便に製造可能であり、かつ抗癌剤の本来の抗癌効果を損なうことのない抗癌剤担体用キトサンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、使用するキトサンの種類及びキトサンの処理方法の検討を行い、その結果、抗癌剤担体用キトサンを完成した。
【0016】
つまり、本発明は、
「1.脱アセチル化度が30〜90%の部分脱アセチル化キトサンを、凍結乾燥処理し、さらに細粒化処理して得られる抗癌剤担体用キトサン。
2.部分脱アセチル化キトサンが、部分脱アセチル化非晶質キトサンである前項1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
3.粒子径が1.0mm以下である前項1又は2に記載の抗癌剤担体用キトサン。
4.粒子径が1.0mm〜0.1mmである前項1〜3のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
5.抗癌剤を含む前項1〜4のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
6.前記抗癌剤が、以下のいずれか1から選ばれる前項5に記載の抗癌剤担体用キトサン。
(1)アドリアマイシン
(2)タキソール
(3)パクリタキセル
(4)シスプラチン
(5)ミトマイシン−C
(6)ダウノマイシン
(7)5−FU(フルオロウラシル)
(8)塩酸ゲムシタビン」
である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の抗癌剤担体用キトサンは、強力な局所停留能及び優れた徐放効果を示した。さらに、本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサン投与は、抗癌剤単体投与と比較して、高い抗癌効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンと大腸粘膜間のDF測定結果(実施例3)。図中、「1」は"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"、「2」は"シスプラチンを含むDM-キトサン"、「3」は"5−FUを含むDM-非晶質キトサン"、「4」は"5−FUを含むDM-キトサン"、「5」はヒアルロン酸、及び「6」はキシロカインゼリー、を示す。
【図2】シスプラチンの放出動態の結果(実施例4)。
【図3】担癌マウスの生存期間(実施例5)図中、「1」は"シスプラチンを含むDM-キトサン"、「2」は"抗癌剤なしのDM-キトサン"、「3」は"シスプラチンを含むIM-キトサン"、「4」は"抗癌剤なしのIM-キトサン"、「5」は"シスプラチンのみ投与群"、及び「6」は"抗癌剤無投与群"、を示す。
【図4】"シスプラチンを含むIM-キトサン"/"抗癌剤無投与群"の累積生存率の結果(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(部分脱アセチル化キトサン)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン(以下、単に「キトサン」ということもある)とは、カニ、エビなど甲殻類の外骨格等に含まれるアミノ多糖類の一種であるキチン由来であり、化学構造がグルコサミンと少量のN−アセチルグルコサミンとの繰り返し構造である天然物由来の高分子である。一般には、甲殻類の外骨格等を苛性ソーダなどのアルカリで脱タンパクし、塩酸などの酸溶液で脱カルシウム処理して得られるキチンを、さらに苛性ソーダなどの高濃度アルカリ水溶液で部分脱アセチル化して得られる。水に難溶性であり、酢酸などの酸水溶液に溶解する。
【0020】
(非晶質の部分脱アセチル化キトサン)
本発明で使用する非晶質の部分脱アセチル化キトサン(以下、単に「非晶質キトサン」ということもある)とは、一部又は全部が結晶構造を有さない部分脱アセチル化キトサンである。該非晶質の部分脱アセチル化キトサンの製造方法は、タンパク質含量が0.1重量%以下、無機物含量が0.01重量%以下の高純度キチンを約40%W/Wアルカリ中に35〜60℃、2〜7時間で分散させ、その後冷却条件下(−10℃〜−30℃)に数時間(1〜3時間)置き、アルカリ濃度を約10%W/Wになるように水を加え、アルカリキチンドープを調製する。均一系においてアルカリ加水分解する際に、アルカリキチンドープを30℃以下で目的粘度まで熟成し、さらに中和して沈殿を生成させ、脱水、洗浄、凍結真空乾燥等を経て、脱アセチル化率(DACともいう)が一般的には30〜90%程度、好ましくは40〜80%程度、より好ましくは約50〜75%となるように部分脱アセチル化され、20℃において0.5%W/W溶液粘度が20〜300mPa・s、より好ましくは30〜250mPa・s、さらに好ましくは35〜200mPa・sの非晶質の部分脱アセチル化キトサンを調製する。なお、中和は、酸の添加又はアルコール類、イオン交換樹脂等で脱アルカリする。
【0021】
(部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの分子量)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの分子量は、一般的には、重量平均分子量(標準品にプルランを用いGPC分子量測定により算出)が5万〜400万程度のものが使用され、好ましくは10万〜300万、より好ましくは20万〜200万である。
【0022】
(部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの脱アセチル化率)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの脱アセチル化率(DAC)は、一般的には、30〜90%程度のものが使用され、好ましくは40〜80%程度、より好ましくは約50〜75%である。
【0023】
(部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの粘度)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの粘度は、20℃において0.5%W/W溶液粘度が20〜300mPa・s、より好ましくは30〜250mPa・s、さらに好ましくは35〜200mPa・sである。
【0024】
(抗癌剤担体用キトサン)
本発明の抗癌剤担体用キトサンは、2つの製造方法から得ることができる。一つは、部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンをそのまま抗癌剤担体用キトサンとすることである(直接法:以後、DMと称する場合がある)。
もう一方は、部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンを粘性流体とした後に、凍結乾燥処理し、さらに細粒化して得られるキトサンを抗癌剤担体用キトサンとすることである(間接法:以後、IMと称する場合がある)。
なお、部分脱アセチル化キトサンを使用して直接法で製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを"シスプラチンを含むDM-キトサン"と称する。
また、非晶質の部分脱アセチル化キトサンを使用して間接法で製造した5-FUを含む抗癌剤担体用キトサンを"5-FUを含むIM-非晶質キトサン"と称する。
なお、下記実施例の結果から明らかなように、抗癌効果及び徐放効果を考慮すると、間接法(DM)で得られた抗癌剤担体用キトサンが好ましい。
【0025】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの直接法での製造方法)
少量ずつの部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンをHCl水溶液に添加、攪拌して溶解させた後、さらに抗癌剤を含む溶液を加え攪拌する。さらに、グリセロール2−リン酸二ナトリウムを、pH調整のために、該攪拌した後の溶液に添加、攪拌して、抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを得る。
【0026】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの間接法での製造方法)
部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンを蒸留水で膨潤させて、部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサン水溶液を得る。この水溶液に、HCl水溶液を少量ずつ添加、攪拌して溶解させた後、さらにグリセロール-2-リン酸二ナトリウムを、pH調製のために添加、攪拌して調製する。次に、pH調整後の溶液を-50℃、760mmHgの陰圧下の条件で凍結乾燥し、さらに、粒子径1.00mm以下になるように破砕して、抗癌剤担体用キトサンを得る。そして、該抗癌剤担体用キトサンを、抗癌剤を含む溶液に加え攪拌して、抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを得る。
凍結乾燥方法は、自体公知の方法により行うことができる。凍結乾燥温度及び凍結乾燥時間は、水の凍結温度以下、すなわち0℃以下で、好ましくは、−20℃以下で、1時間〜数日間である。
抗癌剤担体用キトサンの粒子径(直径)は、1.0mm以下、好ましくは0.5mm以下、又は、1.0mm〜0.1mmの範囲、好ましくは1.0mm〜0.3mmの範囲である。
なお、抗癌剤と混合しない状態の抗癌剤担体用キトサンは、長期間の保存が可能である。
【0027】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの使用方法)
本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを患者に投与する場合、1日の投与量は患者の年齢、体重、病態及び重症度などにより、適宜選択される。
また、投与方法としては、経口的投与、非経口的投与{例えば血管(静脈、動脈)内投与、皮下投与、直腸内投与等}によって生体内に投与することができる。
さらに、投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等の経口投与形態、溶液、乳剤、懸濁剤等の液状の注射剤、点滴剤、坐薬、点鼻剤、貼付剤、吸入剤等の非経口投与形態が例示される。
【0028】
また、上記患者は、哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、マウス、ラット、ウサギ及びヒトを含む。
【0029】
(抗癌剤)
本発明で使用する抗癌剤は、特に限定されないが、好ましくは疎水性抗癌剤を使用する。例えば、アドリアマイシン、タキソール、パクリタキセル、シスプラチン(cis−platin)、ミトマイシン−C、ダウノマイシン(daunomycin)及び5−FU(フルオロウラシル)、塩酸ゲムシタビン等が使用できる。
【0030】
本発明に用いる各濃度の測定方法は以下の通りである。なお、以下の実施例でも使用した。
【0031】
DAC度は、キトサン試料(非晶質キチン又はキトサン)を0.5%(w/w) 酢酸溶液に0.5%(w/w)になるように溶解し、指示薬としてトルイジンブルー溶液を用い、ポリビニル硫酸カリウム水溶液でコロイド滴定して乾物当たりのDAC(脱アセチル化度)を求めたものである。
【0032】
粘度は、キトサン試料(非晶質キチン又はキトサン)を0.5%(w/w) 酢酸溶液に0.5%(w/w)になるように溶解し、室温で3時間撹拌し、さらにホモジナイザーで2分間撹拌する。この溶液を恒温槽中で20℃に保ちながらB型粘度計で回転粘度(mPa・s)を測定したものである。
【0033】
以下に具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【実施例1】
【0034】
(シスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンの製造)
以下の方法により、直接法又は間接法で得られた、シスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。
【0035】
(1)直接法により製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサン
氷槽内で、0.1M HCl水溶液に、約DAC-70の部分脱アセチル化キトサン又は約DAC-70の非晶質の部分脱アセチル化キトサンを少量ずつ添加、攪拌して溶解させた。さらに、0.1%シスプラチン溶液{日本化薬(株)}を加え攪拌した。さらに、pH調整のため、28%(w/v)グリセロール2−リン酸二ナトリウム溶液を添加、攪拌して、2%DAC, 0.04%CDDPの粘性流体であるシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。なお、製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンは、透明な粘性流体で、室温条件下では21G針を介して容易に注射可能な形状であった。
これにより、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"を得た。
【0036】
(2)間接法により製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサン
約DAC-70の部分脱アセチル化キトサン又は約DAC-70の非晶質の部分脱アセチル化キトサン(200mg)を脱イオン水(8ml)にて膨潤させ、上記(1)と同様に、1N HCl水溶液(1ml)、グリセロール2−リン酸二ナトリウム溶液(1ml)を用いて作製した流体を凍結乾燥させて、凍結乾燥体を得た。該凍結乾燥体を、0.1%シスプラチン溶液に付浸漬して、2%DAC, 0.04%CDDPの粘性流体であるシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。なお、製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンは、透明な粘性流体で、室温条件下では21G針を介して容易に注射可能な形状であった。
これにより、"シスプラチンを含むIM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-非晶質キトサン"を得た。
【実施例2】
【0037】
(5−FUを含む抗癌剤担体用キトサンの製造)
上記実施例1と同様に、約DAC-70の部分脱アセチル化キトサン又は約DAC-70の非晶質の部分脱アセチル化キトサンを使用して直接法により5−FUを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。
すなわち、"5−FUを含むDM-キトサン"及び"5−FUを含むDM-非晶質キトサン"を得た。
【実施例3】
【0038】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの局所停留能の確認)
上記実施例1又は2で製造した抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンとヒト粘膜組織との間に生じる接着力を測定し、評価した。詳細は、以下の通りである。
【0039】
手術で摘出したヒト大腸粘膜面を上方に向けて固定した。そして、"シスプラチンを含むDM-キトサン"、"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"、"5−FUを含むDM-キトサン"及び"5−FUを含むDM-非晶質キトサン"の0.3mLをカバーグラス(24×24mm)上に均等に塗布した後、粘膜上に静置した。
一定時間接触させた後、カバーグラスを垂直方向に一定の力(1mm/sec)で引き上げ、粘膜面から分離する瞬間の力をtension gaugeで読み取り、単位面積当たりの力に換算、detachment force(DF)として測定した。測定条件は、37℃(体温)及び25℃(室温)で行った。なお、コントロールとして、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)及び2%キシロカインゼリー{アストラゼネカ(株)、Xylocaine jelly}を使用した。
【0040】
上記測定結果を図1に示す。
"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"の接着力は、すでに臨床使用されているコントロールと比較して、極めて大きな値を示した。また、37℃環境での接着力は、25℃環境での接着力と比較して、高値を示した。より詳細には、37℃の場合の"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"は、両方とも約4.2g/cm2、25℃の場合では両方とも約3.0g/cm2であった。
なお、図には示していないが、"シスプラチンを含むIM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-非晶質キトサン"の接着力は、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"の接着力とほぼ同等である。
【実施例4】
【0041】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌剤放出動態の確認)
上記実施例1又は2で製造した抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌剤の放出動態を測定し、評価した。詳細は、以下の通りである。
【0042】
1mlの"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-キトサン"を、それぞれ、lysozyme(Merck KgaA, Darmstadt, Germany)存在下のcorn tubeにとり、PBS各40mlを注入し、37℃で静置させた。そして、限外ろ過膜を使用してPBS中に放出されるtotal シスプラチン及びfreeシスプラチンを経時的に原子吸光法にて測定した。
【0043】
上記測定結果を図2に示す。
total シスプラチンは、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-キトサン"ともに6時間で63%、12時間88%、24時間95%であった。
"シスプラチンを含むIM-キトサン"のfree シスプラチンは、3時間43%、6時間82%、24時間97%であった。
"シスプラチンを含むDM-キトサン"のfree シスプラチンは、3時間18%、それ以降は、ほぼplateauを示した。
これにより、製造方法の相違により、free シスプラチンの放出動態に顕著な相違がみられた。すなわち、間接法(IM)で得られた抗癌剤担体用キトサンは、直接法(DM)で得られた抗癌剤担体用キトサンと比較して、優れた徐放効果を示した。
なお、図には示していないが、約DAC-70の脱アセチル化非晶質キトサンを使用して製造した抗癌剤担体用キトサンは、約DAC-70の脱アセチル化キトサンを使用して製造した抗癌剤担体用キトサンと比較して、優れた徐放効果を示した。
さらに、本発明者らは、約DAC-50のキトサンを使用して製造した抗癌剤担体用キトサンでも同様な徐放効果を示すことを確認している。
加えて、本発明者らは、塩酸ゲムシタビンを含む抗癌剤担体用キトサンも徐放効果を示すことを確認している。
【実施例5】
【0044】
(癌細胞増殖抑制確認)
抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンから放出された抗癌剤を含む溶液が癌細胞の増殖を抑制するかを確認した。詳細は、以下の通りである。
【0045】
MKN-45細胞を12.5mLフラスコ内で培養、充分に生着させた。
一方、上記実施例4で使用したPBS 溶液中に放出されたシスプラチンを含む溶液(24時間後)を、濃度0.16μM〜1.6mM間、10倍毎の希釈液を調整した。さらに、該希釈液を、生着したMKN-45細胞に37℃で添加した後に、crystal violet 液で染色した。さらに、染色された濃度から各シスプラチン濃度下の癌細胞viabilityを視覚にて判断し、細胞増殖抑制度を評価した。
【0046】
上記評価の結果では、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-キトサン"からそれぞれ放出されたシスプラチンは、16μM以上の濃度で明らかな抗腫瘍活性を示した。
【実施例6】
【0047】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌効果の確認)
抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌効果を測定するために、ヒト乳癌由来MM-46細胞をマウスに移植して、腹水癌モデルを作製した。さらに、各種の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを腹腔内に投与して臨床に則した化学療法を施し、それらの生存期間を治療効果として、測定し、評価した。
【0048】
ヒト乳癌由来MM-46細胞を移植した腹水癌モデルに、癌細胞移植後13日目及び20日目に、"シスプラチンを含むIM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-キトサン"をそれぞれ4ml/kg(シスプラチン力価にして40μg/kg)を投与した後、生存率を測定した。
なお、コントロールとして、"抗癌剤なしのIM-キトサンの投与群"、"抗癌剤なしのDM-キトサンの投与群"、"シスプラチンのみ投与群"並びに"抗癌剤無投与群"でも測定し、評価した。
【0049】
上記測定結果を図3及び4に示す。
Kaplan-Meier法による累積生存率で、"シスプラチンを含むIM-キトサンの投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対して P = 0.008であった。また、"シスプラチンを含むDM-キトサンの投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対して P = 0.022 であった。すなわち、本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサン投与により、無投与群に対して、有意に生存期間を延長させることができた。
さらに、"シスプラチンのみ投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対してP = 0.145であった。なお、"抗癌剤なしのDM-キトサンの投与群"及び"抗癌剤なしのIM-キトサンの投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対して、それぞれP = 0.144及びP= 0.0554であった。
以上の結果から、本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサン、特に"シスプラチンを含むIM-キトサン"は、抗癌剤単体と比較して、高い抗癌効果を示した。
【0050】
(総論)
本発明の抗癌剤担体用キトサン、特に"シスプラチンを含むIM-キトサン"は、強力な組織接着力と優れた徐放効果を備え、さらに優れた抗癌効果を持つことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の抗癌剤担体用キトサンは、25℃でゾル状態、37℃でゲル状態を呈する温度感応性ハイドロジェルの特性を備えている。従って、本発明の抗癌剤担体用キトサンは、抗癌剤、特にシスプラチンをゾル状態で腹腔内には容易に注入可能であり、臨床的に取り扱いは簡便であるので、有用である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌剤担体用キトサン及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キチン、キトサンは、化粧品分野、医療分野、食品分野などで広く使用され、天然の素材として、コラーゲン材料等と同様に好ましく使用されている。しかし過去の応用例は、粉末としての使用が大部分であり、成形体などの形状を利用した用途は見られなかった。この天然高分子であるキトサンは、酢酸等の酸水溶液に容易に溶解するため、湿式成形によって、フイルム、繊維、スポンジなど種々の成形体を作成することが可能である。しかし、その実用化に関しては、ほとんど成功した例が見られない。
また、キトサンは、キチンの脱アセチル化物と定義され、一般的には、脱アセチル化度70〜80%以上であり、水に不溶であるが、キチンでは溶解しない希酸溶液に溶解する特徴を持っている。
【0003】
一方、癌性腹水や癌性胸水貯留症例に対する治療は今なお困難である。それらに対する治療の現況は、癌腫に応じて効果が期待される抗癌剤を全身投与する方法が一般的である。しかし、治療目的で投与された抗癌剤は血液を介して全身に拡散するため、癌病巣へ到達する薬物濃度は極めて低く、薬物の標的停留効果が乏しい。しかも投与された抗癌剤による腎毒性、消化器症状、骨髄機能抑制、電解質異常、脱毛など全身的副作用を誘発しやすく、治療継続が出来ない場合や、QOLの著しく低下する場合も多い。
【0004】
上記問題を解決するために、抗癌剤による治療効果を高め、副作用を極力抑える癌治療法として、局所注入法、動注法、DDSによる療法等が実践されている。
DDSによるガンの化学療法には、リポソーム、ナノ粒子、マイクロスフェア、リピオドール、モノクローナル抗体等の高分子キャリアの利用をはじめ種々の先端技術が応用されている。
【0005】
現行の癌化学療法に使用されている抗癌剤が腫瘍細胞に対する効果的な選択性に欠けるという事実により副作用が生じている。したがって、正常細胞に対する抗癌剤の副作用を減らすとともに腫瘍細胞に対する有効性を向上させるための有望な試みの一つとして、高分子キャリアを使用する研究が進められている。
【0006】
上記高分子キャリアは、今日、入手可能な多くの種類の合成高分子を用いて設計可能であり、また、薬物を合成高分子キャリアに導入するに際しても種々の有機反応が使用され得る。例えば、ポリ(N−2−(ヒドロキシプロピル)メタアクリルアミド)、ポリ(ジビニルエーテル−コ−無水マレイン酸)、ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)、デキストラン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(アスパラギン酸)及びポリ(L−リジン)等が知られている。
【0007】
また、上記高分子キャリアとして、キトサンを使用することが下記文献(特許文献1〜4)に報告されている。
【0008】
特許文献1では、「自己集合体を形成する疎水性抗癌剤−キトサン複合体及びその製造方法」を開示している。これは、疎水性導入基として抗癌剤を使用して親水性キトサンと複合体を形成する技術である。ここで、使用する抗癌剤には、アミン基と反応が可能な抗癌剤だけが使用可能である。すなわち、特許文献1の複合体は、本発明とは異なり、疎水性抗癌剤とキトサンがEDC{1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド}及びNHS(N-ヒドロスクシンイミド)を使用して結合している。
さらに、図3に記載のアドリアマイシンの放出レベルが低い。
【0009】
特許文献2では、「自己集合体を形成する胆汁酸―キトサン複合体及びその製造方法」を開示している。特許文献2の複合体は、本発明とは異なり、キャリアとして胆汁酸―キトサンを使用している。
【0010】
特許文献3では、「水溶性キトサンの鎖に疎水性基としてコレステロールとメトキシポリ(エチレングリコール)を導入して構成されることを特徴とする抗癌剤の伝達体用水溶性キトサンナノ粒子」を開示している。
特許文献3の抗癌剤の伝達体用水溶性キトサンナノ粒子は、本発明とは異なり、キャリアとして胆汁酸―キトサンを使用している。
【0011】
特許文献4では、「硫酸化キチン性ポリマーを含む医薬を局所投与することを含む方法」を開示している。
特許文献4では、本発明とは異なり、硫酸化キチン性ポリマーを使用している。
【0012】
以上に述べたように、従来の抗癌剤担体用キトサンは、EDC、NHS等を使用して、抗癌剤と強固に結合されている、又は、キトサンを別の材料(胆汁酸、コレステロール等)と結合されている。
しかしながら、上記の抗癌剤担体用キトサンは、本来の抗癌剤の抗癌効果の低減作用になること又は生体に悪影響を起こすことも否定できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2005-501103号公報
【特許文献2】特表2008-527134号公報
【特許文献3】特表2009-507825号公報
【特許文献4】特表2008-530224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、上記記載の問題を解決すべく、簡便に製造可能であり、かつ抗癌剤の本来の抗癌効果を損なうことのない抗癌剤担体用キトサンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、使用するキトサンの種類及びキトサンの処理方法の検討を行い、その結果、抗癌剤担体用キトサンを完成した。
【0016】
つまり、本発明は、
「1.脱アセチル化度が30〜90%の部分脱アセチル化キトサンを、凍結乾燥処理し、さらに細粒化処理して得られる抗癌剤担体用キトサン。
2.部分脱アセチル化キトサンが、部分脱アセチル化非晶質キトサンである前項1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
3.粒子径が1.0mm以下である前項1又は2に記載の抗癌剤担体用キトサン。
4.粒子径が1.0mm〜0.1mmである前項1〜3のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
5.抗癌剤を含む前項1〜4のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
6.前記抗癌剤が、以下のいずれか1から選ばれる前項5に記載の抗癌剤担体用キトサン。
(1)アドリアマイシン
(2)タキソール
(3)パクリタキセル
(4)シスプラチン
(5)ミトマイシン−C
(6)ダウノマイシン
(7)5−FU(フルオロウラシル)
(8)塩酸ゲムシタビン」
である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の抗癌剤担体用キトサンは、強力な局所停留能及び優れた徐放効果を示した。さらに、本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサン投与は、抗癌剤単体投与と比較して、高い抗癌効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンと大腸粘膜間のDF測定結果(実施例3)。図中、「1」は"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"、「2」は"シスプラチンを含むDM-キトサン"、「3」は"5−FUを含むDM-非晶質キトサン"、「4」は"5−FUを含むDM-キトサン"、「5」はヒアルロン酸、及び「6」はキシロカインゼリー、を示す。
【図2】シスプラチンの放出動態の結果(実施例4)。
【図3】担癌マウスの生存期間(実施例5)図中、「1」は"シスプラチンを含むDM-キトサン"、「2」は"抗癌剤なしのDM-キトサン"、「3」は"シスプラチンを含むIM-キトサン"、「4」は"抗癌剤なしのIM-キトサン"、「5」は"シスプラチンのみ投与群"、及び「6」は"抗癌剤無投与群"、を示す。
【図4】"シスプラチンを含むIM-キトサン"/"抗癌剤無投与群"の累積生存率の結果(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(部分脱アセチル化キトサン)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン(以下、単に「キトサン」ということもある)とは、カニ、エビなど甲殻類の外骨格等に含まれるアミノ多糖類の一種であるキチン由来であり、化学構造がグルコサミンと少量のN−アセチルグルコサミンとの繰り返し構造である天然物由来の高分子である。一般には、甲殻類の外骨格等を苛性ソーダなどのアルカリで脱タンパクし、塩酸などの酸溶液で脱カルシウム処理して得られるキチンを、さらに苛性ソーダなどの高濃度アルカリ水溶液で部分脱アセチル化して得られる。水に難溶性であり、酢酸などの酸水溶液に溶解する。
【0020】
(非晶質の部分脱アセチル化キトサン)
本発明で使用する非晶質の部分脱アセチル化キトサン(以下、単に「非晶質キトサン」ということもある)とは、一部又は全部が結晶構造を有さない部分脱アセチル化キトサンである。該非晶質の部分脱アセチル化キトサンの製造方法は、タンパク質含量が0.1重量%以下、無機物含量が0.01重量%以下の高純度キチンを約40%W/Wアルカリ中に35〜60℃、2〜7時間で分散させ、その後冷却条件下(−10℃〜−30℃)に数時間(1〜3時間)置き、アルカリ濃度を約10%W/Wになるように水を加え、アルカリキチンドープを調製する。均一系においてアルカリ加水分解する際に、アルカリキチンドープを30℃以下で目的粘度まで熟成し、さらに中和して沈殿を生成させ、脱水、洗浄、凍結真空乾燥等を経て、脱アセチル化率(DACともいう)が一般的には30〜90%程度、好ましくは40〜80%程度、より好ましくは約50〜75%となるように部分脱アセチル化され、20℃において0.5%W/W溶液粘度が20〜300mPa・s、より好ましくは30〜250mPa・s、さらに好ましくは35〜200mPa・sの非晶質の部分脱アセチル化キトサンを調製する。なお、中和は、酸の添加又はアルコール類、イオン交換樹脂等で脱アルカリする。
【0021】
(部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの分子量)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの分子量は、一般的には、重量平均分子量(標準品にプルランを用いGPC分子量測定により算出)が5万〜400万程度のものが使用され、好ましくは10万〜300万、より好ましくは20万〜200万である。
【0022】
(部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの脱アセチル化率)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの脱アセチル化率(DAC)は、一般的には、30〜90%程度のものが使用され、好ましくは40〜80%程度、より好ましくは約50〜75%である。
【0023】
(部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの粘度)
本発明で使用する部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンの粘度は、20℃において0.5%W/W溶液粘度が20〜300mPa・s、より好ましくは30〜250mPa・s、さらに好ましくは35〜200mPa・sである。
【0024】
(抗癌剤担体用キトサン)
本発明の抗癌剤担体用キトサンは、2つの製造方法から得ることができる。一つは、部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンをそのまま抗癌剤担体用キトサンとすることである(直接法:以後、DMと称する場合がある)。
もう一方は、部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンを粘性流体とした後に、凍結乾燥処理し、さらに細粒化して得られるキトサンを抗癌剤担体用キトサンとすることである(間接法:以後、IMと称する場合がある)。
なお、部分脱アセチル化キトサンを使用して直接法で製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを"シスプラチンを含むDM-キトサン"と称する。
また、非晶質の部分脱アセチル化キトサンを使用して間接法で製造した5-FUを含む抗癌剤担体用キトサンを"5-FUを含むIM-非晶質キトサン"と称する。
なお、下記実施例の結果から明らかなように、抗癌効果及び徐放効果を考慮すると、間接法(DM)で得られた抗癌剤担体用キトサンが好ましい。
【0025】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの直接法での製造方法)
少量ずつの部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンをHCl水溶液に添加、攪拌して溶解させた後、さらに抗癌剤を含む溶液を加え攪拌する。さらに、グリセロール2−リン酸二ナトリウムを、pH調整のために、該攪拌した後の溶液に添加、攪拌して、抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを得る。
【0026】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの間接法での製造方法)
部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサンを蒸留水で膨潤させて、部分脱アセチル化キトサン又は非晶質の部分脱アセチル化キトサン水溶液を得る。この水溶液に、HCl水溶液を少量ずつ添加、攪拌して溶解させた後、さらにグリセロール-2-リン酸二ナトリウムを、pH調製のために添加、攪拌して調製する。次に、pH調整後の溶液を-50℃、760mmHgの陰圧下の条件で凍結乾燥し、さらに、粒子径1.00mm以下になるように破砕して、抗癌剤担体用キトサンを得る。そして、該抗癌剤担体用キトサンを、抗癌剤を含む溶液に加え攪拌して、抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを得る。
凍結乾燥方法は、自体公知の方法により行うことができる。凍結乾燥温度及び凍結乾燥時間は、水の凍結温度以下、すなわち0℃以下で、好ましくは、−20℃以下で、1時間〜数日間である。
抗癌剤担体用キトサンの粒子径(直径)は、1.0mm以下、好ましくは0.5mm以下、又は、1.0mm〜0.1mmの範囲、好ましくは1.0mm〜0.3mmの範囲である。
なお、抗癌剤と混合しない状態の抗癌剤担体用キトサンは、長期間の保存が可能である。
【0027】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの使用方法)
本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを患者に投与する場合、1日の投与量は患者の年齢、体重、病態及び重症度などにより、適宜選択される。
また、投与方法としては、経口的投与、非経口的投与{例えば血管(静脈、動脈)内投与、皮下投与、直腸内投与等}によって生体内に投与することができる。
さらに、投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等の経口投与形態、溶液、乳剤、懸濁剤等の液状の注射剤、点滴剤、坐薬、点鼻剤、貼付剤、吸入剤等の非経口投与形態が例示される。
【0028】
また、上記患者は、哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、マウス、ラット、ウサギ及びヒトを含む。
【0029】
(抗癌剤)
本発明で使用する抗癌剤は、特に限定されないが、好ましくは疎水性抗癌剤を使用する。例えば、アドリアマイシン、タキソール、パクリタキセル、シスプラチン(cis−platin)、ミトマイシン−C、ダウノマイシン(daunomycin)及び5−FU(フルオロウラシル)、塩酸ゲムシタビン等が使用できる。
【0030】
本発明に用いる各濃度の測定方法は以下の通りである。なお、以下の実施例でも使用した。
【0031】
DAC度は、キトサン試料(非晶質キチン又はキトサン)を0.5%(w/w) 酢酸溶液に0.5%(w/w)になるように溶解し、指示薬としてトルイジンブルー溶液を用い、ポリビニル硫酸カリウム水溶液でコロイド滴定して乾物当たりのDAC(脱アセチル化度)を求めたものである。
【0032】
粘度は、キトサン試料(非晶質キチン又はキトサン)を0.5%(w/w) 酢酸溶液に0.5%(w/w)になるように溶解し、室温で3時間撹拌し、さらにホモジナイザーで2分間撹拌する。この溶液を恒温槽中で20℃に保ちながらB型粘度計で回転粘度(mPa・s)を測定したものである。
【0033】
以下に具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
【実施例1】
【0034】
(シスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンの製造)
以下の方法により、直接法又は間接法で得られた、シスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。
【0035】
(1)直接法により製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサン
氷槽内で、0.1M HCl水溶液に、約DAC-70の部分脱アセチル化キトサン又は約DAC-70の非晶質の部分脱アセチル化キトサンを少量ずつ添加、攪拌して溶解させた。さらに、0.1%シスプラチン溶液{日本化薬(株)}を加え攪拌した。さらに、pH調整のため、28%(w/v)グリセロール2−リン酸二ナトリウム溶液を添加、攪拌して、2%DAC, 0.04%CDDPの粘性流体であるシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。なお、製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンは、透明な粘性流体で、室温条件下では21G針を介して容易に注射可能な形状であった。
これにより、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"を得た。
【0036】
(2)間接法により製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサン
約DAC-70の部分脱アセチル化キトサン又は約DAC-70の非晶質の部分脱アセチル化キトサン(200mg)を脱イオン水(8ml)にて膨潤させ、上記(1)と同様に、1N HCl水溶液(1ml)、グリセロール2−リン酸二ナトリウム溶液(1ml)を用いて作製した流体を凍結乾燥させて、凍結乾燥体を得た。該凍結乾燥体を、0.1%シスプラチン溶液に付浸漬して、2%DAC, 0.04%CDDPの粘性流体であるシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。なお、製造したシスプラチンを含む抗癌剤担体用キトサンは、透明な粘性流体で、室温条件下では21G針を介して容易に注射可能な形状であった。
これにより、"シスプラチンを含むIM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-非晶質キトサン"を得た。
【実施例2】
【0037】
(5−FUを含む抗癌剤担体用キトサンの製造)
上記実施例1と同様に、約DAC-70の部分脱アセチル化キトサン又は約DAC-70の非晶質の部分脱アセチル化キトサンを使用して直接法により5−FUを含む抗癌剤担体用キトサンを製造した。
すなわち、"5−FUを含むDM-キトサン"及び"5−FUを含むDM-非晶質キトサン"を得た。
【実施例3】
【0038】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの局所停留能の確認)
上記実施例1又は2で製造した抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンとヒト粘膜組織との間に生じる接着力を測定し、評価した。詳細は、以下の通りである。
【0039】
手術で摘出したヒト大腸粘膜面を上方に向けて固定した。そして、"シスプラチンを含むDM-キトサン"、"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"、"5−FUを含むDM-キトサン"及び"5−FUを含むDM-非晶質キトサン"の0.3mLをカバーグラス(24×24mm)上に均等に塗布した後、粘膜上に静置した。
一定時間接触させた後、カバーグラスを垂直方向に一定の力(1mm/sec)で引き上げ、粘膜面から分離する瞬間の力をtension gaugeで読み取り、単位面積当たりの力に換算、detachment force(DF)として測定した。測定条件は、37℃(体温)及び25℃(室温)で行った。なお、コントロールとして、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)及び2%キシロカインゼリー{アストラゼネカ(株)、Xylocaine jelly}を使用した。
【0040】
上記測定結果を図1に示す。
"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"の接着力は、すでに臨床使用されているコントロールと比較して、極めて大きな値を示した。また、37℃環境での接着力は、25℃環境での接着力と比較して、高値を示した。より詳細には、37℃の場合の"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"は、両方とも約4.2g/cm2、25℃の場合では両方とも約3.0g/cm2であった。
なお、図には示していないが、"シスプラチンを含むIM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-非晶質キトサン"の接着力は、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-非晶質キトサン"の接着力とほぼ同等である。
【実施例4】
【0041】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌剤放出動態の確認)
上記実施例1又は2で製造した抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌剤の放出動態を測定し、評価した。詳細は、以下の通りである。
【0042】
1mlの"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-キトサン"を、それぞれ、lysozyme(Merck KgaA, Darmstadt, Germany)存在下のcorn tubeにとり、PBS各40mlを注入し、37℃で静置させた。そして、限外ろ過膜を使用してPBS中に放出されるtotal シスプラチン及びfreeシスプラチンを経時的に原子吸光法にて測定した。
【0043】
上記測定結果を図2に示す。
total シスプラチンは、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-キトサン"ともに6時間で63%、12時間88%、24時間95%であった。
"シスプラチンを含むIM-キトサン"のfree シスプラチンは、3時間43%、6時間82%、24時間97%であった。
"シスプラチンを含むDM-キトサン"のfree シスプラチンは、3時間18%、それ以降は、ほぼplateauを示した。
これにより、製造方法の相違により、free シスプラチンの放出動態に顕著な相違がみられた。すなわち、間接法(IM)で得られた抗癌剤担体用キトサンは、直接法(DM)で得られた抗癌剤担体用キトサンと比較して、優れた徐放効果を示した。
なお、図には示していないが、約DAC-70の脱アセチル化非晶質キトサンを使用して製造した抗癌剤担体用キトサンは、約DAC-70の脱アセチル化キトサンを使用して製造した抗癌剤担体用キトサンと比較して、優れた徐放効果を示した。
さらに、本発明者らは、約DAC-50のキトサンを使用して製造した抗癌剤担体用キトサンでも同様な徐放効果を示すことを確認している。
加えて、本発明者らは、塩酸ゲムシタビンを含む抗癌剤担体用キトサンも徐放効果を示すことを確認している。
【実施例5】
【0044】
(癌細胞増殖抑制確認)
抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンから放出された抗癌剤を含む溶液が癌細胞の増殖を抑制するかを確認した。詳細は、以下の通りである。
【0045】
MKN-45細胞を12.5mLフラスコ内で培養、充分に生着させた。
一方、上記実施例4で使用したPBS 溶液中に放出されたシスプラチンを含む溶液(24時間後)を、濃度0.16μM〜1.6mM間、10倍毎の希釈液を調整した。さらに、該希釈液を、生着したMKN-45細胞に37℃で添加した後に、crystal violet 液で染色した。さらに、染色された濃度から各シスプラチン濃度下の癌細胞viabilityを視覚にて判断し、細胞増殖抑制度を評価した。
【0046】
上記評価の結果では、"シスプラチンを含むDM-キトサン"及び"シスプラチンを含むIM-キトサン"からそれぞれ放出されたシスプラチンは、16μM以上の濃度で明らかな抗腫瘍活性を示した。
【実施例6】
【0047】
(抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌効果の確認)
抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンの抗癌効果を測定するために、ヒト乳癌由来MM-46細胞をマウスに移植して、腹水癌モデルを作製した。さらに、各種の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサンを腹腔内に投与して臨床に則した化学療法を施し、それらの生存期間を治療効果として、測定し、評価した。
【0048】
ヒト乳癌由来MM-46細胞を移植した腹水癌モデルに、癌細胞移植後13日目及び20日目に、"シスプラチンを含むIM-キトサン"及び"シスプラチンを含むDM-キトサン"をそれぞれ4ml/kg(シスプラチン力価にして40μg/kg)を投与した後、生存率を測定した。
なお、コントロールとして、"抗癌剤なしのIM-キトサンの投与群"、"抗癌剤なしのDM-キトサンの投与群"、"シスプラチンのみ投与群"並びに"抗癌剤無投与群"でも測定し、評価した。
【0049】
上記測定結果を図3及び4に示す。
Kaplan-Meier法による累積生存率で、"シスプラチンを含むIM-キトサンの投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対して P = 0.008であった。また、"シスプラチンを含むDM-キトサンの投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対して P = 0.022 であった。すなわち、本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサン投与により、無投与群に対して、有意に生存期間を延長させることができた。
さらに、"シスプラチンのみ投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対してP = 0.145であった。なお、"抗癌剤なしのDM-キトサンの投与群"及び"抗癌剤なしのIM-キトサンの投与群"は、"抗癌剤無投与群"に対して、それぞれP = 0.144及びP= 0.0554であった。
以上の結果から、本発明の抗癌剤を含む抗癌剤担体用キトサン、特に"シスプラチンを含むIM-キトサン"は、抗癌剤単体と比較して、高い抗癌効果を示した。
【0050】
(総論)
本発明の抗癌剤担体用キトサン、特に"シスプラチンを含むIM-キトサン"は、強力な組織接着力と優れた徐放効果を備え、さらに優れた抗癌効果を持つことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の抗癌剤担体用キトサンは、25℃でゾル状態、37℃でゲル状態を呈する温度感応性ハイドロジェルの特性を備えている。従って、本発明の抗癌剤担体用キトサンは、抗癌剤、特にシスプラチンをゾル状態で腹腔内には容易に注入可能であり、臨床的に取り扱いは簡便であるので、有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱アセチル化度が30〜90%の部分脱アセチル化キトサンを、凍結乾燥処理し、さらに細粒化処理して得られる抗癌剤担体用キトサン。
【請求項2】
部分脱アセチル化キトサンが、部分脱アセチル化非晶質キトサンである請求項1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項3】
粒子径が1.0mm以下である請求項1又は2に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項4】
粒子径が0.1〜1.0mmである請求項1〜3のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項5】
抗癌剤を含む請求項1〜4のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項6】
前記抗癌剤が、以下のいずれか1から選ばれる請求項5に記載の抗癌剤担体用キトサン。
(1)アドリアマイシン
(2)タキソール
(3)パクリタキセル
(4)シスプラチン
(5)ミトマイシン−C
(6)ダウノマイシン
(7)5−FU(フルオロウラシル)
(8)塩酸ゲムシタビン
【請求項1】
脱アセチル化度が30〜90%の部分脱アセチル化キトサンを、凍結乾燥処理し、さらに細粒化処理して得られる抗癌剤担体用キトサン。
【請求項2】
部分脱アセチル化キトサンが、部分脱アセチル化非晶質キトサンである請求項1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項3】
粒子径が1.0mm以下である請求項1又は2に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項4】
粒子径が0.1〜1.0mmである請求項1〜3のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項5】
抗癌剤を含む請求項1〜4のいずれか1に記載の抗癌剤担体用キトサン。
【請求項6】
前記抗癌剤が、以下のいずれか1から選ばれる請求項5に記載の抗癌剤担体用キトサン。
(1)アドリアマイシン
(2)タキソール
(3)パクリタキセル
(4)シスプラチン
(5)ミトマイシン−C
(6)ダウノマイシン
(7)5−FU(フルオロウラシル)
(8)塩酸ゲムシタビン
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−105796(P2011−105796A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259582(P2009−259582)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年8月31日 日本癌学会 発行の、「第68回 日本癌学会学術総会記事」に発表 及び、 平成21年6月9日 日本DSS学会 発行の、「第25回日本DSS学会 プログラム予稿集」に発表 及び、 平成21年7月1日 日本キチン・キトサン学会 発行の、「キチン・キトサン研究」に発表 及び、 平成21年5月15日 第31回日本癌局所療法研究会 発行の、「第31回日本癌局所療法研究会 プログラム・抄録集」に発表
【出願人】(391003130)甲陽ケミカル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年8月31日 日本癌学会 発行の、「第68回 日本癌学会学術総会記事」に発表 及び、 平成21年6月9日 日本DSS学会 発行の、「第25回日本DSS学会 プログラム予稿集」に発表 及び、 平成21年7月1日 日本キチン・キトサン学会 発行の、「キチン・キトサン研究」に発表 及び、 平成21年5月15日 第31回日本癌局所療法研究会 発行の、「第31回日本癌局所療法研究会 プログラム・抄録集」に発表
【出願人】(391003130)甲陽ケミカル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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