説明

抗真菌化合物の増強

本発明は、HDAC阻害剤が、いかにして抗真菌アゾール化合物と相互作用してかかる化合物の活性を増強するかを、真菌HDAC遺伝子の選択的ノックアウトを有する真菌株を用いて解明するための方法およびモデルを提供する。本発明はさらに、抗真菌剤の、真菌HDAC阻害剤との潜在的相乗作用について試験する方法を提供し、したがって、本発明の方法により同定される抗真菌化合物、およびかかる化合物を用いて真菌感染を処置する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年8月11日出願の米国仮出願第60/822,192号の利益を主張する。上記出願の教示全体を、本出願において参考として援用する。
【背景技術】
【0002】
発明分野
本発明は、抗真菌薬の開発および真菌感染の処置に関する。より詳しくは、本発明は、真菌ヒストンデアセチラーゼを抗真菌薬活性の増強用の標的として用いる方法に関する。本発明はさらに、ヒストンデアセチラーゼ活性に影響する真菌変異を、抗真菌剤として好適な化合物を同定するために用いることに関する。
【0003】
関連分野の概要
真核細胞において、核DNAはヒストンと会合して、クロマチンと呼ばれるコンパクトな複合体を形成する。ヒストンは、一般的に真核生物種を通して保存性が高い塩基性タンパク質のファミリーを構成する。H2A、H2B、H3およびH4と呼ばれるコアヒストンは、会合してタンパク質コアを形成する。DNAは、このタンパク質コアの周囲に巻き付き、ヒストンの塩基性アミノ酸は、DNAの負に帯電したリン酸基と相互作用する。DNAの約146個の塩基対は、ヒストンコアの周囲を包囲して、クロマチンの反復構造モチーフであるヌクレオソーム粒子を構成する。
【0004】
Csordas, Biochem. J., 265: 23-38 (1990)には、ヒストンが、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT1)により触媒される反応であるN末端リシン残基のε−アミノ基の翻訳後アセチル化を受けることが教示されている。アセチル化により、リシン側鎖の正の電荷が中和され、これは、クロマチン構造に影響すると考えられる。実際に、Taunton et al., Science,272:408-411 (1996)には、クロマチン鋳型への転写因子の接近は、ヒストン高アセチル化により増強されることが教示されている。Taunton et al.(上記)はさらに、低アセチル化ヒストンH4の濃縮が、ゲノムの転写に関してサイレントな領域において見出されていることを教示している。
【0005】
ヒストンアセチル化は可逆的修飾であり、脱アセチル化は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)と呼ばれる酵素のファミリーにより触媒される。HDAC活性を有するタンパク質をコードする遺伝子配列の分子クローニングにより、一組の異なるHDAC酵素アイソフォームの存在が立証された。Yang and Gregoire, Mol. Cell. Biol. 25:2873-2884 (2005)には、系統学的分析および酵母Rpd3(reduced potassium dependency 3)、Hda1およびSir2(silent information regulator 2)に対する配列相同性に基づいて、HDACが異なるクラスに分類されることが教示されている。ヒトにおいては18種の既知のHDACがあり、これらは4つのクラスに分けられる:クラスI(HDAC1、−2、−3および−8;Rpd3と相同)、クラスII(HDAC4、−5、−6、−7、−9および−10;Hda1に関連する)、クラスIII(Sirt1、−2、−3、−4、−5、−6および−7;Sir2に類似)ならびにクラスIV(HDAC11)。クラスI、IIおよびIVのHDACは、亜鉛依存性酵素である。クラスIIIのHDACは、NAD依存性デアセチラーゼである。Saccharomyces cerevisiaeにおいては、10種の既知のHDACがあり、これらは3つのクラスに分けられる:クラスI(Rpd3、Hos1およびHos2)、クラスII(Hda1およびHos3)、ならびにクラスIII(Sir2および4種のHstタンパク質(Hst1〜Hst4)、Sir2の相同体)。
【0006】
これらの個別のHDAC酵素がどのような役割を果たすのかは、不明であった。Trojer et al., Nucleic Acids Research, 31(14):3971-3981 (2003)には、HdaAおよびRpdAが、糸状菌Aspergillus nidulansの全HDAC活性に対する主要な寄与体であり、HdaAがHDAC活性の主要な部分の主な原因となることが示されている。
【0007】
既知のHDAC阻害剤を用いた研究により、アセチル化と遺伝子発現との間の関連が立証された。多くの研究で、HDACと遺伝子発現との間の関係が試験された。Taunton et al., Science 272:408-411 (1996)には、酵母の転写制御因子に関連するヒトHDACが開示されている。Cress et al., J. Cell. Phys. 184:1-16 (2000)には、ヒト癌に関連して、HDACの役割が、転写の補助抑制因子としてのものであることが、開示されている。Ng et al., Trends Biochem. Sci. 25:121-126 (2000)には、転写抑制因子系の広汎な特徴としてのHDACが開示されている。Magnaghi-Jaulin et al., Prog. Cell Cycle Res. 4:41-47 (2000)には、細胞サイクル進行に重要な転写補助制御因子としてのHDACが開示されている。
【0008】
真菌ヒストンデアセチラーゼについては多数の研究が報告されている。Giaver et al., Nature 418: 387-191 (2002)には、Saccharomyces cerevisiaeにおいて6種のHDAC相同体(RPD3、HDA1、HOS1、HOS2、HOS3およびSIR2)が開示されており、これらは互いに高度な配列相同性を共有するが、いずれも酵母の増殖および生存に必須ではない。Bernstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97: 13708-13713 (2000)には、酵母細胞における各HDACの役割が捕らえにくことが教示されている。Suka et al., Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol. 63: 391-399 (1998)には、RPD3pが、ヒストンH4のリジン16を除く、コアヒストンH3、H4、H2AおよびH2Bの全リジン類の脱アセチル化に必要であることが教示されている。しかし、Wu et al., Mol. Cell. 7: 117-126 (2001)には、HDA1pがヒストンH2BおよびH3を特異的に脱アセチル化することが教示されている。対照的にWang et al., Science 298: 1412-1414 (2002)には、H3およびH4ヒストン尾部におけるリジンを特異的に脱アセチル化する場合に、HOS2pが主に遺伝子活性化の間に遺伝子のコード領域に結合することが教示されている。Wangらはまた、HOS2pがゲノム全体の高活性の遺伝子に優先的に会合し、PRD3pと組み合わさって、抗真菌アゾール類の分子標的である、Erg11のコード領域を脱アセチル化することを教示する。Rundlett et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 14503-14508 (1996)およびTrojer et al., Nucleic Acids Res. 31: 3971-3981 (2003)には、S. cerevisiaeHOS2が、Candida. albicansおよびAspergillus. fumigatusのHOS2と高度に相同的であることが示されている。
【0009】
HDAC活性の阻害剤を記載する多くの他の報告が刊行されている。例えば、Richon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 3003-3007 (1998)には、Streptomyces hygroscopicusから単離された天然の産物であり、Yoshida et al., J. Biol. Chem. 265: 17174-17179 (1990)およびYoshida et al., Exp. Cell Res. 177: 122-131 (1988)によればヒストンデアセチラーゼ活性を阻害し、G1およびG2期において細胞における細胞サイクル進行を停止させることが示されているトリコスタチンA(TSA)により、および合成化合物であるスベロイル(suberoyl)アニリドヒドロキサム酸(SAHA)により、HDAC活性が阻害されることが開示されている。Yoshida and Beppu, Exper. Cell Res., 177: 122-131 (1988)には、TSAが、細胞サイクルのGおよびG期においてラット線維芽細胞の停止をもたらすことが教示されており、これは、HDACを細胞サイクル調節において関連づける。実際に、Finnin et al., Nature, 401:188-193 (1999)には、TSAおよびSAHAが、マウスにおいて細胞増殖を阻害し、最終分化を誘発し、かつ腫瘍の形成を防止することが教示されている。HDAC阻害剤として作用する化合物の他の非限定的例には、WO 01/38322およびWO 01/70675のものが含まれる。Trojer et al.(上記)には、A. nidulansのHda1酵素は、HDAC阻害剤TSAに対して高度に感受性であり、一方、HosBは、TSAおよび他のHDAC阻害剤であるHCトキシンの両方に対して高度に耐性であることが教示されている。
【0010】
Smith and Edlind, Antimicrob. Agents and Chemotherapy,46(11):3532-3539 (2002)では、既知のHDACのpan−阻害剤であるTSA、アピシジン(apicidin)、酪酸ナトリウムおよびトラポキシン(trapoxin)の、選択された真菌種のアゾール抗真菌剤に対する感受性を増強する能力を試験した。彼らは、TSAのみがC. albicansの感受性を増強できることを見出した。しかし、必要なTSAの濃度は、哺乳動物細胞に有毒な濃度よりも高かった。TSAは、Candida glabrataの感受性を増強するとは見出されなかった。同時係属中の出願60/751,703の教示によれば、いくつかのHDAC阻害剤は、C. albicans, C. glabrataおよびA. fumigatusに対して抗真菌アゾールを増強する。しかし、アゾール抗真菌剤との相乗作用の正確な分子標的および機構は未知のままである。
【0011】
抗真菌剤の使用およびこれに対する必要性は広範囲であり、動物および植物における真菌感染症の処置から消毒薬製剤、ヒトに用いるための医薬までの範囲にわたる。現在の抗真菌製剤についての主な問題は、感染した宿主に対するこれらの毒性である。これは、多くの真菌感染が、AIDS、または化学療法もしくは臓器移植からなどの衰弱性疾患に対する有利な二次感染症である場合において、特に重要である。したがって、少なくともヒトおよび他の動物に投与されるべきである抗真菌剤について、治療の指標は、好ましくは、毒性が目的の真菌に選択性であり、宿主に対して毒性でない程度である。
【0012】
Georgopapadakou, Curr. Opin. Microbiol. 1:547-557 (1998)によれば、カンジダ種およびアスペルギルス種などの日和見種により主に引き起こされる重篤な真菌感染症は、免疫低下状態の患者および他の脆弱な患者において、ますます一般的である。これらは、入院患者、ならびにHIV、癌および移植患者における罹患率および死亡率の重要な原因である。クリプトコッカス真菌感染症もAIDS患者に非常に一般的である。カリニ肺炎は、北米およびヨーロッパのHIV感染患者における主要な死因となっている。
【0013】
カンジダによる感染症は、一般的に、真菌膜の主な成分であるエルゴステロール合成における必須の酵素であるラノステロールデメチラーゼを標的とする、抗真菌アゾールで処置される。Kaur et al., Antimicrob. Agents Chemother., 48:1600-1613 (2004)の教示によれば、アゾールは静真菌性であり、これらの使用は、アゾール耐性、特に非アルビカンスのカンジダ種、例えばC. glabrataの出現により損なわれ得る。さらに、アゾール処置の結果、「トレーリング発育(trailing growth)」がもたらされ、生存する真菌細胞は、再発のための元(reservoir)となる。抗真菌アゾールの主な限界は、これらに殺真菌活性が欠如していることであり、これは、重篤な易感染性の患者に共通する、処置の失敗の原因となり得る。
【0014】
Vonberg and Gastmeier J. Hosp. Infect. 63:246-254 (2006)の教示によれば、A. fumigatusは、死亡率60〜90%の生命にかかわる疾患である侵襲性アスペルギルス症(IA)を引き起こす主なアスペルギルス種であり、侵襲性アスペルギルス症の発生率は、免疫低下患者の数の増大のために、過去20年において著しく増大している。現在の抗真菌剤は、その乏しいin vivo効能および宿主毒性により、IAの処置においては制限される(Latge, Clinical Microbiol. Rev., 12:310-350 (1999))。
【0015】
特に衰弱した患者において、多くの場合致命的である他の真菌感染症は、クリプトコッカス症(Cryptococcus neoformansによる感染症)および接合菌症(接合菌類による感染症)を含む。
現在の抗真菌剤、例えばアゾール類についての欠点には、耐性の発生、薬物−薬物相互作用の可能性および有毒な肝臓への影響の可能性が含まれる。
真菌感染症を処置するための新規な組成物および方法を提供することが、非常に望ましい。また、抗真菌化合物に対する真菌感受性を増強するための組成物および方法を提供することが、非常に望ましい。特に重要なことには、宿主に対しては毒性でなく、病原性の真菌に対しては選択的に毒性であるような組成物および方法を提供することが非常に望ましい。したがって、真菌HDACと抗真菌化合物の相乗作用の正確な分子標的および機構を、さらに理解する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0016】
発明の概要
本発明は、真菌HDACと抗真菌化合物の相乗作用の正確な標的および機構について、新しい見識を提供する。
第1の側面において、本発明は、HDAC阻害剤がいかにして抗真菌剤の活性を増強するかを理解するためのモデルを提供する。この側面によれば、本発明は、真菌HDAC遺伝子の選択的ノックアウトを有する真菌株を提供する。これらの株およびその使用は、真菌HDAC HOS2およびその遺伝子産物であるHos2の、この点に関する重要性を実証する。
【0017】
第2の側面において、本発明は、抗真菌剤の活性の増強における、HDAC阻害剤の作用の分子標的を提供する。この側面によれば、本発明は、真菌HDAC遺伝子の選択的突然変異を有する、ヒストンデアセチラーゼ真菌変異株を提供する。これらの株およびその使用は、真菌HDAC HOS2のこの点に関する重要性を実証する。この側面により、本発明は、HDAC欠失変異真菌株を提供する。この側面により、本発明はHOS2欠失変異株を提供する。この側面により、本発明は、抗真菌剤の活性の増強におけるHDAC阻害剤の作用のための分子標的としての、HOS2および/またはHos2を提供する。
【0018】
第3の側面において、本発明は、HDAC変異真菌株を、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするためのアッセイにおいて用いる方法を提供する。この側面により、本発明は、真菌HDAC遺伝子の選択的ノックアウトを有する真菌株を提供する。これらの株およびその使用は、真菌HDAC HOS2およびその遺伝子産物の、この点に関する重要性を実証する。この側面により、本発明は、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするための全細胞アッセイを提供する。この側面により、本発明はまた、高スループットスクリーニングアッセイを提供する。
【0019】
第4の側面において、本発明は、真菌HDAC遺伝子および/または遺伝子産物を、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするためのアッセイにおいて用いる方法を提供する。この側面により、本発明は、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするための、真菌HDAC遺伝子および/または遺伝子産物を提供する。遺伝子および/または遺伝子産物は、真菌HDAC HOS2(遺伝子)およびHos2(遺伝子産物)の、この点に関する重要性を実証する。この側面により、本発明はまた、高スループットスクリーニングアッセイを提供する。
【0020】
第5の側面において、本発明は、抗真菌剤を、真菌HDAC阻害剤との潜在的相乗作用について試験するための方法を提供する。本発明のこの側面により、本発明により提供された試験株は、HOS2ノックアウトの、他のHDACノックアウトおよび野生型株と比べた相対的感受性を評価する能力を提供する。
したがって、第6の側面において、本発明は、本発明の方法により同定される抗真菌化合物を提供する。この側面により、前記抗真菌化合物を含む組成物もさらに提供される。
【0021】
第7の側面において、本発明は、真菌の増殖を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0022】
第8の側面において、本発明は、抗真菌化合物の存在下における真菌のトレーリング発育を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0023】
第9の側面において、本発明は、抗真菌化合物に対する真菌の耐性を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0024】
第10の側面において、本発明は、抗真菌化合物の存在下における真菌の生存を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0025】
第11の側面において、本発明は、抗真菌化合物の抗真菌活性に抵抗する真菌の能力を、低下させるための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0026】
第12の側面において、本発明は、真菌の、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはHOS2遺伝子産物もしくはその相同体の活性の阻害により増強される抗真菌化合物に対する感受性を増強するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害することを含む。
【0027】
第13の側面において、本発明は、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはHOS2遺伝子産物もしくはその相同体の活性の阻害により増強される抗真菌化合物の、抗真菌活性を増強するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害することを含む。
【0028】
第14の側面において、本発明は、真菌感染を有する生物を治療的に処置するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌感染を有する生物において、真菌HOS2もしくはその真菌相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、該生物を、その活性がHOS2もしくはその真菌相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処置することを含む。
【0029】
第15の側面において、本発明は、生物において真菌感染を予防するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、該生物を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処置すること、および該生物を、HOS2および/またはHos2阻害化合物で処置することを含む。
第16の側面において、本発明は、Hos2もしくはその相同体、または真菌HOS2もしくはその相同体の、阻害剤を提供する。この側面の好ましい態様において、Hos2またはその相同体の阻害剤は、ヒドロキサム酸塩化合物である。
【0030】
第17の側面において、本発明は、Hos2を阻害する方法であって、Hos2を阻害剤に接触させることを含む、前記方法を提供する。
第18の側面において、本発明は、Hos2もしくはその相同体の阻害剤、または真菌HOS2もしくはその相同体の阻害剤、および薬学的に許容し得る担体を含む、組成物を提供する。
上記は、単に本発明のいくつかの側面を要約するものであり、本質的に限定することを意図しない。これらの側面ならびに他の側面および態様を、以下にさらに完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、酵母欠失変異体を生成するために用いる戦略の概略図である。
【図2】図2は、図1に示した戦略の(a)成功した実施例および(b)不成功の実施例の結果を示す図である。
【図3】図3は、ScPRD3欠失変異体がケトコナゾールまたはフルコナゾールに対して高感受性ではないことを示す。
【0032】
【図4】図4は、ScHOS2欠失変異体がケトコナゾールに対して高感受性であることを示す。
【図5】図5は、ScHOS2欠失変異体がイトラコナゾールに対して高感受性であることを示す。
【図6】図6は、ScHOS2欠失変異体がボリコナゾールに対して高感受性であることを示す。
【図7】図7は、ScHOS2欠失変異体がフルコナゾールに対して高感受性であることを示す。
【0033】
【図8】図8は、ScHOS2欠失変異体がフェンプロピモルフに対して高感受性であることを示す。
【図9】図9は、ScHOS2欠失変異体がテルビナフィンに対して高感受性ではないことを示す。
【図10】図10は、ScHOS2欠失変異体がアムホテリシンBに対して高感受性ではないことを示す。
【図11】図11は、ScHOS2欠失変異体が5−フルオロシトシンに対して高感受性ではないことを示す。
【0034】
【図12】図12は、ScHOS2欠失変異体がニッコーマイシンに対して高感受性ではないことを示す。
【図13】図13は、ScHOS3およびScHdal欠失変異体がイトラコナゾールに対して高感受性ではないことを示す。
【図14】図14は、組換えScHos2pの、イトラコナゾールに対するΔhos2感受性を補足する能力を示す。
【0035】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、抗真菌薬の開発に関する。より詳しくは、本発明は、真菌ヒストンデアセチラーゼを抗真菌薬活性の増強用の標的として用いる方法に関する。本発明は、真菌HDACと抗真菌化合物の相乗作用の正確な標的および機構について、新しい見識を提供する。この目的を達成するために、本発明は、HDAC阻害剤がいかにして抗真菌化合物の活性を増強するかを理解するための、真菌HDAC遺伝子の選択的ノックアウトを有する真菌株を用いたモデルを提供する。これらの株およびその使用は、真菌HDAC HOS2のこの点に関する重要性を実証する。本発明はさらに、抗真菌剤を、真菌HDAC阻害剤との潜在的相乗作用について試験するための方法を提供し、したがって、本発明の方法により同定される抗真菌化合物を提供する。
【0036】
本明細書中で言及する特許明細書および科学文献は、当業者に有用な知識を確立する。本明細書中で引用する発行された特許、出願および参考文献を、各々が具体的かつ個々に参考として援用されるものとする場合と同等の程度で、本明細書において参考として援用する。矛盾する場合には、本開示が優先する。
【0037】
第1の側面において、本発明は、HDAC阻害剤がいかにして抗真菌剤の活性を増強するかを理解するためのモデルを提供する。この側面によれば、本発明は真菌HDAC遺伝子各々の選択的ノックアウトを有する真菌株を提供する。これらの株およびその使用は、真菌HDAC HOS2のこの点に関する重要性を実証する。このモデルを提供する真菌株は、RPD3、HDA1、HOS1、HOS2、HOS3またはSIR2の単一ノックアウトを有するS. cerevisiae株を含み、これらは好ましくは、本明細書にさらに記載されるようにして調製される。
【0038】
第2の側面において、本発明は、抗真菌剤の活性の増強におけるHDAC阻害剤の作用の、分子標的を提供する。この側面によれば、本発明は、真菌HDAC遺伝子の選択的突然変異を有する、ヒストンデアセチラーゼ真菌変異株を提供する。これらの株およびその使用は、真菌HDAC HOS2の、この点に関する重要性を実証する。この側面により、本発明は、HDAC欠失変異真菌株を提供する。この側面により、本発明は、HOS2欠失変異株を提供する。この側面により、本発明は、抗真菌剤の活性の増強におけるHDAC阻害剤の作用のための分子標的としての、HOS2およびまたはHos2を提供する。
【0039】
本発明のこの側面による好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼ真菌変異株は、真菌HDAC遺伝子の発現を阻害または防止する、選択的突然変異を有する。本発明のこの側面による好ましい態様において、選択的突然変異は、阻害されたHDAC活性を有する遺伝子産物の発現を提供する。この側面による好ましい態様において、選択的突然変異は、不活性なHDAC酵素の発現を提供する。本発明のこの側面による好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼ遺伝子はHOS2またはその相同体である。本発明のこの側面による好ましい態様において、遺伝子産物はHos2またはその相同体である。
【0040】
本発明のこの側面による好ましい態様において、真菌株はS. cerevisiae真菌株である。本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌株は、他の生物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトに感染可能な真菌株である。本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌株は病原真菌株である。本発明のこの側面による他の好ましい態様において、病原真菌株は哺乳類病原体、好ましくはヒト病原体である。
【0041】
この側面による好ましい態様において、真菌株は、S. cerevisiae真菌株、カンジダ種真菌株(好ましくはC. albicans真菌株、C. glabrata真菌株、C. krusei真菌株、C. parapsilosis真菌株、またはC. tropicalis真菌株)、アスペルギルス種真菌株(好ましくはA. fumigatus真菌株、A. niger真菌株、およびA. flavus真菌株)、Cryptococcus neoformans真菌株およびPneumocystis carinii真菌株からなる群から選択される。
【0042】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(限定することなく、Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含む)、新生カビ(emerging mold)(限定することなく、Pseudallescheria boydii、フサリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含む)、コクシジオイデス種(限定することなく、C. immitisを含む)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、ならびにこの群のそれらの株から選択される。
【0043】
第3の側面において、本発明は、HDAC変異真菌株を、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするためのアッセイにおいて用いる方法を提供する。この側面により、本発明は、真菌HDAC遺伝子の選択的ノックアウトを有する真菌株を提供する。これらの株およびその使用は、真菌HDAC HOS2およびその遺伝子産物の、この点に関する重要性を実証する。この側面により、本発明は、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするための全細胞アッセイを提供する。この側面により、本発明はまた、高スループットスクリーニングアッセイを提供する。
【0044】
本発明のこの側面による好ましい態様において、方法は、化合物をその抗真菌活性についてスクリーニングすることを含む。好ましい態様において、方法は、HDAC遺伝子もしくはその相同体またはHDAC遺伝子産物もしくはその相同体の阻害により増強されるところの潜在的抗真菌活性を有する化合物を同定する。本発明のこの側面による好ましい態様において、方法は、HDAC変異真菌株を提供することを含み、ここで突然変異は、それによりコーディングされるタンパク質の機能の欠失をもたらし、およびHDAC変異真菌株を化合物と接触させることを含み、ここで、HDAC変異真菌株の試験化合物に対する感受性が、化合物を、HDAC遺伝子もしくはその相同体またはHDAC遺伝子産物もしくはその相同体の阻害により増強されるところの潜在的抗真菌活性を有するものとして、同定する。好ましい態様において、方法はさらに、非HDAC変異真菌株を、好ましくは野生型株を化合物と接触させることを含み、ここで、非HDAC変異株の感受性と比較した、HDAC変異株の感受性が、化合物を、HDAC遺伝子もしくはその相同体またはHDAC遺伝子産物もしくはその相同体の阻害により増強されるところの潜在的抗真菌活性を有するものとして同定する。
【0045】
随意に、潜在的抗真菌活性であって、該活性がHDAC遺伝子もしくはその相同体、またはHDAC遺伝子産物もしくはその相同体の阻害により増強されるものを有する化合物を同定する方法のステップは、第2HDAC変異真菌株により繰り返すことができる。第2HDAC変異真菌株は第1株と種または属が異なり、第1株の変異遺伝子と相同な遺伝子を有し、該相同遺伝子は、類似の突然変異を有している。
【0046】
試験化合物に対する感受性は、好ましくは、真菌株の死滅、真菌株の増殖の阻害、真菌株の死滅の代理マーカーの増加、または増殖の代理マーカーの減少を測定することにより得られる。
【0047】
第4の側面において、本発明は、真菌HDAC遺伝子および/または遺伝子産物を、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするためのアッセイにおいて用いる方法を提供する。この側面により、本発明は、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするための、真菌HDAC遺伝子および/または遺伝子産物を提供する。遺伝子および/または遺伝子産物は、真菌HDAC HOS2(遺伝子)およびHos2(遺伝子産物)の、この点に関する重要性を実証する。この側面により、本発明はまた、高スループットスクリーニングアッセイを提供する。
【0048】
本発明のこの側面による好ましい態様において、方法は、化合物をその抗真菌活性についてスクリーニングすること、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングすることを含む。好ましい態様において、方法は、真菌HDAC遺伝子もしくはその相同体、または真菌HDAC遺伝子産物もしくはその相同体を阻害する化合物を同定する。本発明のこの側面による好ましい態様において、方法は、真菌HDACタンパク質もしくはその相同体またはその活性断片を提供すること、およびタンパク質もしくはその相同体またはその活性断片を、化合物と接触させることを含み、ここでタンパク質もしくはその相同体またはその活性断片のHDAC活性の阻害は、化合物を、潜在的抗真菌活性を有するか、または抗真菌活性剤の抗真菌活性を増強する能力を有する化合物として同定する。好ましい態様において、真菌HDACタンパク質は、HOS2もしくはその相同体またはその活性断片である。好ましい態様において、方法はさらに、非HDAC変異真菌株を、好ましくは野生型株を、化合物と接触させることを含み、ここで非HDAC変異株の感受性は、化合物を潜在的抗真菌活性を有するものとして同定する。好ましい態様において、方法は随意に、非HDAC変異真菌株を、好ましくは野生型株を、化合物および抗真菌剤と接触させることを含み、ここで、抗真菌剤のみの存在下での前記株の感受性と比較した、化合物および抗真菌剤の存在下での前記株の感受性は、化合物を、抗真菌剤の抗真菌活性を増強する能力を有する化合物として同定する。
【0049】
試験化合物に対する感受性は、好ましくは、真菌株の死滅、真菌株の増殖の阻害、真菌株の死滅もしくは増殖阻害の代理マーカーの増加、または真菌株の増殖の代理マーカーの減少を測定することにより得られる。
【0050】
随意に、真菌HDAC遺伝子および/または遺伝子産物を、化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングする、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするアッセイにおいて用いる方法のステップは、第2真菌株からのHDAC酵素を用いて繰り返すことができる。第2真菌株は、第1株とは種または属が異なり、第1株の酵素に類似した酵素を有する。
【0051】
第5の側面において、本発明は、抗真菌剤を、真菌HDAC阻害剤との、特にHOS2の阻害剤もしくはその相同体またはHos2もしくはその相同体との、潜在的相乗作用について試験するための方法を提供する。本発明のこの側面により、本発明により提供された試験株は、HOS2ノックアウトの、他のHDACノックアウトおよび野生型株と比べた相対的感受性を評価する能力を提供する。
【0052】
本発明のこの側面による好ましい態様において、方法は、HOS2ノックアウト真菌株を提供すること、ノックアウト変異株を試験化合物で処理すること、HOS2ノックアウト真菌株の試験化合物に対する感受性を決定すること、野生型株、RPD3ノックアウト変異株、HDA1ノックアウト変異株、HOS1ノックアウト変異株、HOS3ノックアウト変異株およびSIR2ノックアウト変異株からなる群から選択される1種または2種以上の対照真菌株を提供すること、1種または2種以上の対照真菌株を試験化合物で処理すること、1種または2種以上の対照株の試験化合物に対する感受性を決定すること、およびHOS2ノックアウト株の試験化合物に対する感受性を、1種または2種以上の対照株の試験株に対する感受性と比較することを含む。HOS2ノックアウト変異株が試験化合物に対して、1種または2種以上の対照株より感受性が高ければ、試験化合物は、HOS2阻害剤との相乗作用を有する抗真菌化合物であると考えられる。
【0053】
試験化合物に対する感受性は、好ましくは、真菌株の死滅、真菌株の増殖の阻害、真菌株の死滅もしくは増殖阻害の代理マーカーの増加、または真菌株の増殖の代理マーカーの減少を測定することにより得られる。
【0054】
「ノックアウト変異株」の用語は、HDAC遺伝子によりコーディングされるタンパク質の機能の損失をもたらす突然変異を含む、真菌株を意味することを意図する。かかる突然変異は、限定することなく、点突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異および逆位(inversion)を含む。かかる突然変異は、HDAC遺伝子またはその相同体によりコーディングされる遺伝子産物の機能の損失をもたらす限り、コーディング領域または非コーディング領域にあってよい。
したがって、第6の側面において、本発明は、本発明の方法により同定される抗真菌化合物を提供する。この側面により、前記抗真菌化合物を含む組成物もさらに提供される。
【0055】
第7の側面において、本発明は、真菌の増殖を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0056】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0057】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0058】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0059】
第8の側面において、本発明は、抗真菌化合物の存在下における真菌のトレーリング発育を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0060】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0061】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0062】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0063】
第9の側面において、本発明は、抗真菌化合物に対する真菌の耐性を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0064】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0065】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0066】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0067】
第10の側面において、本発明は、抗真菌化合物の存在下における真菌の生存を阻害するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0068】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0069】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0070】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0071】
第11の側面において、本発明は、抗真菌化合物の抗真菌活性に抵抗する、真菌の能力を低下させるための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む。
【0072】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0073】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0074】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0075】
第12の側面において、本発明は、真菌の、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはHOS2遺伝子産物もしくはその相同体の活性の阻害により増強される抗真菌化合物に対する感受性を増強するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害することを含む。
【0076】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0077】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0078】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0079】
第13の側面において、本発明は、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはHOS2遺伝子産物もしくはその相同体の活性の阻害により増強される抗真菌化合物の、抗真菌活性を増強するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害することを含む。
【0080】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0081】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0082】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0083】
第14の側面において、本発明は、真菌感染を有する生物を治療的に処置するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、真菌感染を有する生物において、真菌HOS2もしくはその真菌相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、該生物を、その活性がHOS2もしくはその真菌相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処置することを含む。
【0084】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0085】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0086】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0087】
この側面による好ましい態様において、生物は植物または動物であり、好ましくは哺乳動物であり、さらに好ましくはヒトである。本発明のこの側面による好ましい態様において、真菌HOS2もしくはその真菌相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害することは、HDACの阻害剤を、これを必要とする生物に投与することを含む。
【0088】
第15の側面において、本発明は、生物において真菌感染を予防するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、該生物を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処置すること、および該生物を、HOS2および/またはHos2阻害化合物で処置することを含む。
【0089】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0090】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0091】
本発明のこの側面による好ましい態様において、抗真菌化合物は、エルゴステロール合成を阻害する化合物である。他の好ましい態様において、抗真菌化合物は、抗真菌アゾール化合物である。好ましいアゾールは、イミダゾールおよびトリアゾールを含む。より好ましいアゾールは、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはミコナゾールを含む。他の好ましい態様において、化合物はフェンプロピモルフである。
【0092】
第16の側面において、本発明は、Hos2の阻害剤を提供する。この側面の好ましい態様において、阻害剤はヒドロキサム酸塩化合物である。
【0093】
第17の側面において、本発明は、Hos2をHos2の阻害剤に接触させることを含む、Hos2を阻害する方法を提供する。この側面の好ましい態様において、Hos2は細胞中にあり、方法は、細胞を阻害剤と接触させることを含む。他の好ましい態様において、細胞は、他の生物(好ましくは哺乳動物または植物、さらに好ましくはヒト)の中または上にある真菌細胞であり、方法は、Hos2の阻害剤を他の生物に投与することを含む。本発明のこの側面の好ましい態様において、Hos2の阻害剤は、本明細書に記載の化合物である。
【0094】
この側面による好ましい態様において、真菌は、S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis cariniiからなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0095】
本発明のこの側面による他の好ましい態様において、真菌は、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種およびPaecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種および皮膚糸状菌からなる群、およびこの群のそれらの株から選択される。
【0096】
本発明による好ましい態様において、HDAC阻害剤は、HDAC遺伝子発現の阻害剤である。本発明による他の好ましい態様において、HDAC阻害剤は、HDAC遺伝子産物の、より好ましくは酵素の活性の阻害剤である。
【0097】
意外にも、HOS2欠失変異体は、各々がラノステロール14a−デメチラーゼ(Erg11)を標的とする抗真菌アゾールである、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾールおよびボリコナゾールに対して高感受性を示した。しかし、エルゴステロール生合成経路に作用しない抗真菌剤、例えばアムホテリシンB、5−フルオロシトシンおよびニッコーマイシンに対しては高感受性を示さなかった。したがって、ある好ましい態様において、本発明のこの側面による試験化合物は、エルゴステロール生合成経路に作用する化合物を含む。
【0098】
機能性HOS2の不在が抗真菌化合物の活性を増強するとの発見は、さらに、抗真菌化合物の増強剤を同定する方法を提供する。方法は、真菌株に試験化合物を投与すること、試験化合物がHOS2の発現を阻害するかどうかを決定すること、および、試験化合物がHOS2を阻害した場合に、試験化合物を抗真菌化合物の増強剤として同定することを含む。
【0099】
抗真菌化合物は、これが、上記の方法によってHOS2阻害剤との相乗作用を有する化合物として同定されるか、または同定され得る場合に、HOS2発現の阻害またはHos2活性の阻害により増強されると考えられる。
本発明において、以下の用語を次に定義する。本明細書に具体的に開示されていない他の全ての定義は、同時係属出願60/751,703に記載されているものと同様とする。
【0100】
本明細書中「化学式(A)、化学式(B)等で表される化合物」(または言い換えると、「本発明の化合物」など)の言及は、他の指示がない限り、そのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグおよび複合体、ならびにそのラセミ混合物およびスケールミック(scalemic)混合物、ジアステレオマー、エナンチオマーおよび互変異性体への言及を含むと理解される。
【0101】
単純化のために、化学的部分を、主に1価の化学的部分(例えばアルキル、アリールなど)として全体を通して定義および言及する。しかし、このような用語はまた、当業者には明らかな適切な構造的状況の下で、対応する多価の部分を示すためにも用いられる。例えば、「アルキル」部分が一般に1価の基(例えばCH−CH−)を指す一方、ある特定の状況においては、2価の結合部分を「アルキル」とすることができ、この場合においては、当業者は、アルキルが2価のラジカル(例えば−CH−CH−)であり、これは、用語「アルキレン」と同意義であると理解する。(同様に、2価の部分が必要であり、「アリール」であると述べられている状況においては、当業者は、用語「アリール」は、対応する2価の部分であるアリーレンを表すことを理解する)。すべての原子は、結合の形成についてこれらの通常の原子価の数を有すると理解される(即ち、炭素については4、Nについては3、Oについては2、およびSについてはSの酸化状態に依存して2、4または6)。時々、部分を、例えば、(A)−B−であり、式中aは0または1である、と定義してもよい。このような例において、aが0である場合には、当該部分はB−であり、aが1である場合には、当該部分はA−B−である。また、ここに開示された多数の部分は、複数の互変異性形態で存在してもよく、これらは全て、任意の与えられた互変異性構造により包含されることが意図される。
【0102】
単純化のために、「C〜C」ヘテロシクリルまたは「C〜C」ヘテロアリールへの言及は、「n個」〜「m個」の環原子を有し、ここで「n」および「m」は整数であるヘテロシクリルまたはヘテロアリールを意味する。したがって、例えば、C〜Cヘテロシクリルは、少なくとも1個のヘテロ原子を有する5員環または6員環であり、ピロリジニル(C)およびピペリジニル(C)を含む;Cヘテロアリールは、例えばピリジルおよびピリミジルを含む。
【0103】
用語「ヒドロカルビル」は、直鎖、分枝、または環式アルキル、アルケニル、またはアルキニルを指し、各々は本明細書に定義された通りである。「C」ヒドロカルビルは、共有結合を指すために用いられる。したがって「C〜C−ヒドロカルビル」は、共有結合、メチル、エチル、エテニル、エチニル、プロピル、プロペニル、プロピニル、およびシクロプロピルを含む。
用語「脂肪族」は、飽和および不飽和両方の、直鎖または分枝脂肪族炭化水素を意味することが意図される。当業者が理解するように、本明細書において「脂肪族」は、限定することなく、アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分を含むことが意図される。
【0104】
用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の脂肪族基を意味することを意図する。他の好ましいアルキル基は、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する。好ましいアルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられるがこれらに限定されない。「C」アルキル(「C〜Cアルキル」におけるもののように)は、共有結合である。
【0105】
用語「アルケニル」は、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する、1つまたは2つ以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖または分枝の脂肪族基を意味することを意図する。好ましいアルケニル基として、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
用語「アルキニル」は、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する、1つまたは2つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖または分枝の脂肪族基を意味することを意図する。好ましいアルキニル基として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
本明細書中で用いられる場合、用語「アルキレン」、「アルケニレン」または「アルキニレン」は、それぞれ、2つの他の化学的基の間に位置してこれらを結合させる作用を奏する、上記で定義したアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を意味することを意図する。好ましいアルキレン基として、メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアルケニレン基として、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアルキニレン基として、エチニレン、プロピニレンおよびブチニレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
本明細書で用いられる用語「アゾリル」は、5員環の飽和または不飽和の複素環基であって、窒素、硫黄および酸素からなる群から選択した2個または3個以上のヘテロ原子を環原子として含み、少なくとも1個のヘテロ原子は窒素原子である、前記の基を意味することを意図する。好ましいアゾリル基として、随意に置換されたイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、および1,3,4−オキサジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる用語「炭素環」は、シクロアルキルまたはアリール部分を意味することを意図する。用語「炭素環」はまた、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するシクロアルケニル部分を含む。
【0109】
用語「シクロアルキル」は、約3〜15個の炭素を有する、好ましくは3〜12個の炭素、好ましくは3〜8個の炭素、より好ましくは3〜6個の炭素、およびさらになお好ましくは5または6個の炭素を有する、飽和または不飽和の単環式、二環式、三環式または多環式炭化水素基を意味することを意図する。特定の好ましい態様において、シクロアルキル基は、アリール、ヘテロアリールまたは複素環基に融合している。好ましいシクロアルキル基として、シクロペンテン−2−エノン、シクロペンテン−2−エノール、シクロヘクス−2−エノン、シクロヘクス−2−エノール、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
用語「ヘテロアルキル」は、飽和または不飽和の直鎖または分枝脂肪族基であって、この基中、1または2個以上の炭素原子が独立して、O、S、N、N−アルキル、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NH−、または−NHS(O)−からなる群から選択される部分により置換されているものを意味することを意図する。
用語「アリール」は、単環式、二環式、三環式または多環式芳香族部分、好ましくはC〜C14芳香族部分であって、好ましくは1〜3個の芳香族環を含むものを意味することを意図する。好ましくは、アリール基はC〜C10アリール基、より好ましくはCアリール基である。好ましいアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アルキル基に共有結合したアリール基を含む基を意味することを意図する。アラルキル基が「随意に置換されている」と記載されている場合は、これは、アリールまたはアルキル部分のどちらかまたは両方が、独立して随意に置換されているかまたは非置換であることが意図される。好ましくは、アラルキル基は(C〜C)アルク(C〜C10)アリールであり、ベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルを含むが、これらに限定されない。単純化のために、「アリールアルキル」として記述されている場合は、この用語、およびこれに関連する用語は、化合物中の基の順序が「アリール−アルキル」であることを示すことが意図される。同様に、「アルキル−アリール」は、化合物中の基の順序が「アルキル−アリール」であることを示すことが意図される。
【0112】
用語「ヘテロシクリル」、「複素環式」または「複素環」は、約3〜約14個の原子を有し、ここで1個または2個以上の原子が、独立して、N、OおよびSからなる群から選択される単環式、二環式または多環式構造である基を意味することを意図する。環状構造は、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよい。特定の好ましい態様において、複素環基は非芳香族であり、この場合の基は、ヘテロシクロアルキルとしても知られている。特定の好ましい態様において、複素環基は、架橋複素環基(例えば、メチレン、エチレンまたはプロピレン架橋を有する二環式部分)である。二環式または多環式構造において、1つまたは2つ以上の環は、芳香族であってもよい;例えば、二環式複素環の1つの環または三環式複素環の1つもしくは2つの環は、インダンおよび9,10−ジヒドロアントラセンにおけるように、芳香族であってもよい。好ましい複素環基として、エポキシ、アジリジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、チアゾリジニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニルおよびモルホリノが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい態様において、複素環基は、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル基に融合している。かかる融合複素環の例として、テトラヒドロキノリンおよびジヒドロベンゾフランが挙げられるが、これらに限定されない。この用語の範囲から特に除外されるのは、環のOまたはS原子が別のOまたはS原子に隣接している化合物である。
【0113】
特定の好ましい態様において、複素環基は、ヘテロアリール基である。本明細書中で用いる場合、用語「ヘテロアリール」は、5〜18個の環原子、好ましくは5〜14個の環原子、さらに好ましくは5個、6個、9個または10個の環原子を有する、好ましくは、環状配列中に共有された6個、10個または14個のパイ電子を有する、および炭素原子に加えて、N、OおよびSからなる群から選択される1個または2個以上のヘテロ原子を有する、単環式、二環式、三環式または多環式基を意味することを意図する。用語「ヘテロアリール」はまた、窒素含有ヘテロアリール基の1つのN−オキシド誘導体(または、ヘテロアリール基が、1個より多いN−オキシド誘導体が形成できるように1個より多い窒素を含有している場合には、複数のN−オキシド誘導体)も包含することを意図する。例えば、ヘテロアリール基は、ピリミジニル、ピリジニル、ベンズイミダゾリル、チエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニルおよびインドリニルであってもよい。好ましいヘテロアリール基として、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾ[b]チエニル、ナフタ[2,3−b]チアントレニル、ザンテニル(zanthenyl)、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベータ−カルボリニルおよびペリミジニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基のN−オキシド誘導体の例としては、ピリジルN−オキシド、ピラジニルN−オキシド、ピリミジニルN−オキシド、ピリダジニルN−オキシド、トリアジニルN−オキシド、イソキノリルN−オキシド、およびキノリルN−オキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
用語「アリーレン」、「ヘテロアリーレン」または「ヘテロシクリレン」はそれぞれ、上に定義されているように、2個の他の化学基の間に位置してこれを結合するよう作用する、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基を意味することが意図される。
複素脂環式基は特に、非芳香族複素環式基を指す。複素脂環式は不飽和を含んでもよいが、芳香族ではない。
【0115】
ヘテロシクリルアルキル基は、ヘテロシクリルが親構造に、アルキレン、アルキリデン、またはアルキリジン基の1つを介して結合している残基を指す。例としては、(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル、(モルホリン−4−イル)メチル、(ピリジン−4−イル)メチル、2−(オキサゾリン−2−イル)エチル、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−ブテニルなどが挙げられる。ヘテロシクリルアルキルが「随意に置換されている」と記載される場合は、ヘテロシクリルおよび、ヘテロシクリルアルキル基のアルキレン、アルキリデン、またはアルキリジン残基部分の両方が、随意に置換されていてもよい。「低級ヘテロシクリルアルキル」は、基の「アルキル」部分が1〜6個の炭素を有するヘテロシクリルアルキルを指す。
ヘテロアリシクリルアルキル基は特に、基のヘテロシクリル部分が非芳香族である、ヘテロシクリルアルキルを指す。
【0116】
好ましいヘテロシクリルおよびヘテロアリールとして、アゼピニル、アゼチジニル、アクリジニル、アゾシニル(azocinyl)、ベンジドリル(benzidolyl)、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾピラニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロキノリニル、ジベンゾフリル、1,3−ジオキソラン、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、フラニル、フロピリジニル(例えばフロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニルまたはフロ[2,3−b]ピリジニル)、フリル、フラザニル、ヘキサヒドロジアゼピニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキセタニル、2−オキソアゼピニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロロピリジル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、チアゾリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、チアジアゾリル(例えば1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル)、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、トリアジニルアゼピニル、トリアゾリル(例えば1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル)、およびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
本明細書で用いられる「ハロヒドロカルビル」は、ヒドロカルビル部分であって、ここで1個〜全ての水素が、独立して選択されるハロにより置き換えられているものである。
【0118】
本明細書中で用いる場合、他に述べない限り、部分(例えばアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなど)を「随意に置換されている」と記載する場合には、これは、当該基が、随意に、1〜4、好ましくは1〜3、より好ましくは1または2の、独立して選択された非水素置換基を有することを意味する。好適な置換基として、ハロ、ヒドロキシ、オキソ(例えば、オキソで置換されている環の−CH−は、−C(O)−である)、ニトロ、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アミノアルキル、アシル、カルボキシ、ヒドロキシアルキル、アルカンスルホニル、アレーンスルホニル、アルカンスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、アルキルカルボニル、アシルオキシ、シアノおよびウレイド基が挙げられるが、これらに限定されない。これら自体がさらに置換されない(他に特に述べない限り)好ましい置換基は、以下のものである:
【0119】
(a)ハロ、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、カルボキシ、ホルミル、ニトロ、アミノ、アミジノ、グアニジノ、
(b)C〜Cアルキルまたはアルケニルまたはアリールアルキル イミノ、カルバモイル、アジド、カルボキサミド、メルカプト、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C〜Cアシル、−C(O)−N(R30)−アルキル−シクロアルキル、−C(O)−N(R30)−アルキル−ヘテロシクリル、−C(O)−N(R30)−アルキル−アリール、−C(O)−N(R30)−アルキル−ヘテロアリール、−C(O)−シクロアルキル、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、C〜Cアシルアミノ、C〜Cアルキルチオ、アリールアルキルチオ、アリールチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、アリールアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールスルホニル、C〜C N−アルキルカルバモイル、C〜C15N,N−ジアルキルカルバモイル、C〜Cシクロアルキル、アロイル、アリールオキシ、アリールアルキルエーテル、アリール、シクロアルキルまたは複素環または別のアリール環に融合したアリール、C〜C複素環、C〜C15ヘテロアリール、またはシクロアルキル、ヘテロシクリルもしくはアリールに融合したかもしくはスピロ融合した(spiro-fused)これらの環のすべて、ここで前記の各々はさらに、上記(a)において列挙した1つまたは2つ以上の部分で随意に置換されている;および
【0120】
(c)−(CR3233−NR3031、式中sは0(この場合において、窒素は、置換されている部分に直接結合している)〜6であり、R32およびR33は、各々独立して、水素、ハロ、ヒドロキシルまたはC〜Cアルキルであり、R30およびR31は、各々独立して水素、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜Cアルケニル、カルボキサミド、C〜Cアルキルカルボキサミド、カルボキサミド−C〜Cアルキル、アミジノ、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cアルキルアリール、アリール−C〜Cアルキル、C〜Cアルキルヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜Cアルキル、C〜Cアルキルヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C〜Cアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、シクロアルキル−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリール−C〜Cアルコキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリール−C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cアシル、C〜Cアルキル−カルボニル、アリール−C〜Cアルキル−カルボニル、ヘテロアリール−C〜Cアルキル−カルボニル、シクロアルキル−C〜Cアルキル−カルボニル、ヘテロシクリル−C〜Cアルキル−カルボニル、C〜Cアルキル−NH−カルボニル、アリール−C〜Cアルキル−NH−カルボニル、ヘテロアリール−C〜Cアルキル−NH−カルボニル、シクロアルキル−C〜Cアルキル−NH−カルボニル、ヘテロシクリル−C〜Cアルキル−NH−カルボニル、シクロアルキル−S(O)−、ヘテロシクリル−S(O)−、アリール−S(O)−、ヘテロアリール−S(O)−、C〜Cアルキル−O−カルボニル、アリール−C〜Cアルキル−O−カルボニル、ヘテロアリール−C〜Cアルキル−O−カルボニル、シクロアルキル−C〜Cアルキル−O−カルボニル、ヘテロシクリル−C〜Cアルキル−O−カルボニル、C〜Cアルキルスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールアルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、C〜Cアルキル−NH−スルホニル、アリールアルキル−NH−スルホニル、アリール−NH−スルホニル、ヘテロアリールアルキル−NH−スルホニル、ヘテロアリール−NH−スルホニルアロイル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール−C〜Cアルキル−、シクロアルキル−C〜Cアルキル−、ヘテロシクリル−C〜Cアルキル−、ヘテロアリール−C〜Cアルキル−または保護基であり、ここで、前記の各々は、さらに随意に上記(a)において列挙した1つまたは2つ以上の部分で置換されており;または
【0121】
30およびR31は、これらが結合しているNと一緒になって、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成し、この各々は、随意に、上記(a)からなる群から選択された1〜3個の置換基、保護基、および(X30−Y31−)で置換されており、ここで、前記ヘテロシクリルはまた、架橋されていてもよく(メチレン、エチレンまたはプロピレン架橋を有する二環式部分を形成する);ここで、
【0122】
30は、H、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル−、C〜Cアルキニル−、−C〜Cアルキル−C−Cアルケニル−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−C〜Cアルキニル−C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−O−C〜Cアルキル−、HO−C〜Cアルキル−、C〜Cアルキル−N(R30)−C〜Cアルキル−、N(R30)(R31)−C〜Cアルキル−、N(R30)(R31)−C〜Cアルケニル−、N(R30)(R31)−C〜Cアルキニル−、(N(R30)(R31))−C=N−、C〜Cアルキル−S(O)0〜2−C〜Cアルキル−、CF−C〜Cアルキル−、C〜Cヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール−C〜Cアルキル−、シクロアルキル−C〜Cアルキル−、ヘテロシクリル−C〜Cアルキル−、ヘテロアリール−C〜Cアルキル−、N(R30)(R31)−ヘテロシクリル−C〜Cアルキル−からなる群から選択され、ここで、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、随意に、(a)からの1〜3個の置換基で置換されており;またY31は、直接結合、−O−、−N(R30)−、−C(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、−N(R30)−C(O)−、−C(O)−N(R30)−、−N(R30)−C(S)−、−C(S)−N(R30)−、−N(R30)−C(O)−N(R31)−、−N(R30)−C(NR30)−N(R31)−、−N(R30)−C(NR31)−、−C(NR31)−N(R30)、−N(R30)−C(S)−N(R31)−、−N(R30)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(R31)−、−N(R30)−C(S)−O−、−O−C(S)−N(R31)−、−S(O)0〜2−、−SON(R31)−、−N(R31)−SO−および−N(R30)−SON(R31)−からなる群から選択される。
【0123】
置換されている部分とは、その中の1つまたは2つ以上の(好ましくは1〜4、好ましくは1〜3、およびさらに好ましくは1または2の)水素が独立して他の化学置換基により置き換えられているものである。非限定的な例としては、置換フェニルは、2−フルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−3−プロピルフェニルを含む。別の非限定的な例としては、置換n−オクチルは、2,4−ジメチル−5−エチル−オクチルおよび3−シクロペンチル−オクチルを含む。この定義に含まれるのは、酸素で置換されてカルボニル−CO−を形成する、メチレン(−CH−)である。
【0124】
フェニル、チオフェニルまたはピリジニルなどの環構造の隣接する原子に結合した2つの随意の置換基がある場合には、当該置換基は、これらが結合している原子と一緒に、随意に1個、2個または3個のヘテロ環原子を有する5員環または6員環シクロアルキルまたは複素環を形成する。
【0125】
好ましい態様においては、ヒドロカルビル、ヘテロアルキル、複素環および/またはアリール基などの基は、非置換である。
他の好ましい態様においては、ヒドロカルビル、ヘテロアルキル、複素環および/またはアリール基などの基は、1つ〜4つの(好ましくは1〜3、およびさらに好ましくは1または2の)独立して選択される基により、置換されている。
【0126】
アルキル基上の好ましい置換基としては、限定することなく、ヒドロキシル、ハロゲン(例えば1つのハロゲン置換基または複数のハロ置換基;後者の場合は、−CF基、またはClを有するアルキル基などの基)、オキソ、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、アリール、−OR、−SR、−S(=O)R、−S(=O)、−P(=O)、−S(=O)OR、−P(=O)OR、−NR、−NRS(=O)、−NRP(=O)、−S(=O)NR、−P(=O)NR、−C(=O)OR、−C(=O)R、−C(=O)NR、−OC(=O)R、−OC(=O)NR、−NRC(=O)R、−NRC(=O)NR、−NRS(=O)NR、−NRP(=O)NR、−NRC(=O)Rまたは−NRP(=O)が挙げられ、これらの式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環またはアリールであり;R、RおよびRは独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、複素環またはアリールであるか、または前記RおよびRはそれらが結合しているNと共に、随意に複素環を形成し;およびRは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環またはアリールである。前記の例示の置換基において、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、複素環およびアリールなどの基はそれら自体が、随意に置換されていてもよい。
【0127】
アルケニルおよびアルキニル基上の好ましい置換基としては、限定することなく、アルキルまたは置換アルキル、および好ましいアルキル置換基として列挙された基が挙げられる。
シクロアルキル基上の好ましい置換基としては、限定することなく、ニトロ、シアノ、アルキルまたは置換アルキル、および好ましいアルキル置換基として列挙された基が挙げられる。その他の好ましい置換基としては、限定することなく、スピロ結合置換基または融合環置換基、好ましくはスピロ結合シクロアルキル、スピロ結合シクロアルケニル、スピロ結合複素環(ヘテロアリールを除く)、融合シクロアルキル、融合シクロアルケニル、融合複素環、または融合アリールが挙げられ、ここで前記のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環およびアリール置換基は、それら自体が随意に置換されていることができる。
【0128】
シクロアルケニル基上の好ましい置換基としては、限定することなく、ニトロ、シアノ、アルキルまたは置換アルキル、および好ましいアルキル置換基として列挙された基が挙げられる。その他の好ましい置換基としては、限定することなく、スピロ結合置換基または融合環置換基、特にスピロ結合シクロアルキル、スピロ結合シクロアルケニル、スピロ結合複素環(ヘテロアリールを除く)、融合シクロアルキル、融合シクロアルケニル、融合複素環、または融合アリールが挙げられ、ここで前記のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環およびアリール置換基は、それら自体が随意に置換されていることができる。
【0129】
アリール基上の好ましい置換基としては、限定することなく、ニトロ、シクロアルキルまたは置換シクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換シクロアルケニル、シアノ、アルキルまたは置換アルキル、および好ましいアルキル置換基として上に列挙された基が挙げられる。その他の好ましい置換基としては、限定することなく、融合環基、特に融合シクロアルキル、融合シクロアルケニル、融合複素環、または融合アリールが挙げられ、ここで前記のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環およびアリール置換基は、それら自体が随意に置換されていることができる。アリール基(非限定的例としてはフェニル)上のさらに他の好ましい置換基としては、限定することなく、ハロアルキルおよび好ましいアルキル置換基として列挙された基が挙げられる。
【0130】
複素環基上の好ましい置換基としては、限定することなく、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ニトロ、オキソ(すなわち=O)、シアノ、アルキル、置換アルキル、および好ましいアルキル置換基として列挙された基が挙げられる。複素環基上のその他の好ましい置換基としては、限定することなく、任意の利用可能な1または2以上の結合点におけるスピロ結合置換基または融合環基が挙げられ、さらに好ましくは、スピロ結合シクロアルキル、スピロ結合シクロアルケニル、スピロ結合複素環(ヘテロアリールを除く)、融合シクロアルキル、融合シクロアルケニル、融合複素環、および融合アリールが挙げられ、ここで前記のシクロアルキル、シクロアルケニル、複素環およびアリール置換基は、それら自体が随意に置換されていることができる。
【0131】
ある好ましい態様において、複素環基は、1または2以上の位置において炭素、窒素および/または硫黄上で置換されている。炭素上の好ましい置換基としては、好ましいアルキル置換基として列挙された基を含む。窒素上の好ましい置換基としては、アルキル、アリール、アラルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アリールカルボニル、アリールスルホニル、アルコキシカルボニルまたはアラルコキシカルボニルが挙げられるが、これらには限定されない。硫黄上の好ましい置換基としては、オキソおよびC1〜6アルキルが挙げられるが、これらには限定されない。ある好ましい態様において、窒素および硫黄へテロ原子は独立して随意に酸化されていてもよく、および窒素ヘテロ原子は、独立して随意に四級化されていてもよい。
【0132】
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルなどの環式基上の特に好ましい置換基としては、ハロゲン、アルコキシおよびアルキルが挙げられる。
アルキル基上の特に好ましい置換基としては、ハロゲンおよびヒドロキシが挙げられる。
【0133】
本明細書で用いる用語「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を指す。本明細書で用いる場合、用語「アシル」は、アルキルカルボニルまたはアリールカルボニル置換基を指す。用語「アシルアミノ」は、窒素原子に結合したアミド基を指す(すなわちR−CO−NH−)。用語「カルバモイル」は、カルボニル炭素原子に結合したアミド基を指す(すなわちNH−CO−)。アシルアミノまたはカルバモイル置換基の窒素原子は、追加して随意に置換されている。用語「スルホンアミド」は、硫黄または窒素原子のどちらかが結合したスルホンアミド置換基を指す。用語「アミノ」は、NH、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、および環式アミノ基を含むことを意味する。本明細書で用いる用語「ウレイド」は、置換または非置換の尿素部分を指す。
【0134】
本明細書で用いる用語「基」は、1個または2個以上の対になっていない電子を含む化学部分を指す。
随意の置換基を「1または2以上の」群から選択する場合、この定義は、全ての置換基が特定の群の1つから選択されるか、または置換基が2もしくは3以上の特定の群から選択されることを含む。
【0135】
さらに、環状部分(即ちシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール)上の置換基には、もとの環状部分に融合して二環式または三環式融合環系を形成する5〜6員単環および9〜14員二環部分が含まれる。環状部分上の置換基にはまた、共有結合によりもとの環状部分に結合して二環式または三環式の二環系(bi-ring system)を形成する5〜6員単環および9〜14員二環部分が含まれる。例えば、随意に置換されているフェニルには、以下のものが含まれるが、これらには限定されない:
【化1】

【0136】
飽和または不飽和の3〜8員炭素環は、好ましくは4〜7員、さらに好ましくは5または6員の、飽和または不飽和の炭素環である。飽和または不飽和の3〜8員炭素環の例としては、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。
【0137】
飽和または不飽和の3〜8員複素環は、酸素、窒素および硫黄原子から選択される、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。飽和または不飽和の3〜8員複素環は、好ましくは、1または2個のヘテロ原子と、炭素原子である残りの環構成原子とを含む。飽和または不飽和の3〜8員複素環は、好ましくは飽和または不飽和の4〜7員複素環、さらに好ましくは飽和または不飽和の5または6員複素環である。飽和または不飽和の3〜8員複素環基の例としては、チエニル、ピリジル、1,2,3−トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル(isoxazolyl)、ピラゾリル、ピペラジニル、ピペラジノ、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリニル、モルホリノ、ホモピペラジニル、ホモピペラジノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、テトラヒドロピロリル、およびアゼパニルが挙げられる。
【0138】
飽和または不飽和のカルボン酸基および複素環基は、他の飽和または複素環基と濃縮されて、二環式基を、好ましくは飽和または不飽和9〜12員二環式炭素環または複素環基を形成することができる。二環式基には、ナフチル、キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,4−ベンゾオキサニル、インダニル、インドリル、および1,2,3,4−テトラヒドロナフチルが含まれる。
炭素環または複素環基が2つのC〜Cアルキル基で置換されている場合、2つのアルキル基は一緒に組み合わさってアルキレン鎖を、好ましくはC〜Cアルキレン鎖を形成してよい。この架橋構造を有する炭素環または複素環基には、ビシクロ[2.2.2]オクタニルおよびノルボルナニル(norbornanyl)が含まれる。
【0139】
1つの側面において、本発明は、Hos2、その活性断片およびその相同体の阻害剤である化合物であって、式(A):
Cy−L−Ar−Y−C(O)−NH−Z (A)
式中、
Cyは、−H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、これらのすべては随意に置換されていてもよく;
は、−(CH−W−であり、式中mは0、1、2、3または4であり、およびWは、−C(O)NH−、−S(O)NH−、−NHC(O)−、−NHS(O)−、および−NH−C(O)−NH−からなる群から選択され;
Arはアリーレンであり、ここで該アリーレンは随意に、追加して置換されてもよく、および随意に、アリールもしくはヘテロアリール環に、または飽和もしくは部分不飽和シクロアルキルもしくは複素環に融合してもよく、これらのすべては随意に置換されていてもよく;
は、化学結合または直鎖もしくは分枝鎖飽和アルキレンであり、ここで該アルキレンは随意に置換されていてもよく;
は、アニリニル、ピリジル、チアジアゾリル、ここでこれらの各々は随意に置換されており、および−O−M、ここでMは、Hまたは薬学的に許容され得るカチオンである、からなる群から選択される、
を有する化合物、およびそのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは複合体、ならびにこれらのラセミ混合物およびスケールミック混合物、ジアステレオマーおよびエナンチオマーを提供する。
【0140】
式(A)で表される化合物の好ましい態様において、Lが−C(O)NH−であり、Yが−(CHであってnは1、2または3であり、かつZが−O−Mである場合、Cyはアミノフェニル、ジメチルアミノフェニル、またはヒドロキシフェニルではない。
式(A)で表される化合物の他の好ましい態様において、Lが−C(O)NH−であり、かつZがピリジルである場合、Cyは置換インドリニルではない。
【0141】
ある好ましい態様において、CyはC〜C14アリール、より好ましくはC〜C10アリール、および最も好ましくはフェニルまたはナフチルであり、これらのすべては随意に置換されていてもよい。ある別の好ましい態様において、Cyはヘテロアリールである。いくつかの好ましい態様において、ヘテロアリール基は、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、キノリル、イソキノリル、およびチアゾリルからなる群から選択され、これらのすべては随意に置換されていてもよい。ある特に好ましい態様において、Cyは、フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、およびキノリルからなる群から選択され、これらのすべては随意に置換されていてもよい。ある別の好ましい態様において、Cyは、フェニル、ピリジンまたはインドールであり、より好ましくはフェニルまたはインドールである。ある好ましい態様において、Cyは、トリハロアルキル(好ましくはトリフルオロアルキル)、ハロゲン、CN、アミジン、スルホン、アルキルスルホン、イミデートおよびアルキルイミデートからなる群から選択される1または2以上の置換基で置換されている。ある好ましい態様において、Cyは、トリハロアルキル(好ましくはトリフルオロアルキル)、ハロゲン、CN、アミジン、スルホン、アルキルスルホン、イミデートおよびアルキルイミデートからからなる群から選択される、好ましくはトリハロアルキル(好ましくはトリフルオロアルキル)およびハロゲンからなる群から選択される、1または2以上の置換基で置換されたフェニルである。
【0142】
好ましい態様において、Lは−(CH−W−であり、式中mは0、1、2、3または4であり、およびWは、−C(O)NH−、−S(O)NH−、−NHC(O)−、−NHS(O)−、および−NH−C(O)−NH−からなる群から選択される。好ましくは、mは0、1、または2であり、より好ましくは0または1である。
好ましくは、ArはC〜C14アリーレン、より好ましくはC〜C10アリーレンであり、これらのすべてはさらに置換されていてもよい。ある好ましい態様において、Arはフェニレン、好ましくは4−フェニレンである。いくつかの好ましい態様において、フェニレンはアリールまたはヘテロアリール環に融合するか、または飽和もしくは部分不飽和シクロアルキルもしくは複素環に融合しており、これらの全てもまた随意に置換されていてよい。
【0143】
好ましい態様においては、Yは化学結合または直鎖もしくは分枝鎖アルキレンであり、ここで該アルキレンは随意に置換されていてもよい。いくつかの好ましい態様においては、Yは化学結合であり、基−C(O)NH−Zは直接Arに結合する。いくつかの他の好ましい態様においては、Yはアルキレンであり、好ましくは飽和アルキレンである。好ましくは、飽和アルキレンは、C〜Cアルキレン、より好ましくはC〜Cアルキレン、さらにより好ましくはC〜Cアルキレン、そしてなおより好ましくはC〜Cアルキレンであり、これらは随意に置換されていてもよい。いくつかの特に好ましい態様において、Yはメチレンである。
【0144】
置換アルキル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリール基は、1または2以上の、好ましくは1〜約3の、より好ましくは1または2の置換基を有し、これらは好ましくは以下からなる群から選択される:C〜Cアルキル、好ましくはC〜Cアルキル;ハロ、好ましくはCl、Br、またはF;ハロアルキル、好ましくは(ハロ)1〜5(C〜C)アルキル、より好ましくは(ハロ)1〜5(C〜C)アルキル、および最も好ましくはCF;C〜Cアルコキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ、またはベンジルオキシ;C〜C10アルールオキシ、好ましくはフェノキシ;C〜Cアルコキシカルボニル、好ましくはC〜Cアルコキシカルボニル、最も好ましくはカルボメトキシまたはカルボエトキシ;C〜C10アリール、好ましくはフェニル;(C〜C10)アル(C〜C)アルキル、好ましくは(C〜C10)アル(C〜C)アルキル、より好ましくはベンジル、ナフチルメチルまたはフェネチル;ヒドロキシ(C〜C)アルキル、好ましくはヒドロキシ(C〜C)アルキル、より好ましくはヒドロキシメチル;アミノ(C〜C)アルキル、好ましくはアミノ(C〜C)アルキル、より好ましくはアミノメチル;(C〜C)アルキルアミノ、好ましくはメチルアミノ、エチルアミノ、またはプロピルアミノ;ジ−(C〜C)アルキルアミノ、好ましくはジメチルアミノまたはジエチルアミノ;(C〜C)アルキルカルバモイル、
【0145】
好ましくはメチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、またはベンジルカルバモイル;(C〜C10)アリールカルバモイル、好ましくはフェニルカルバモイル;(C〜C)アルカンアシルアミノ、好ましくはアセチルアミノ;(C〜C)アレーンアシルアミノ、好ましくはベンゾイルアミノ;(C〜C)アルカンスルホニル、好ましくはメタンスルホニル;(C〜C)アルカンスルホンアミド、好ましくはメタンスルホンアミド;(C〜C10)アレーンスルホニル、好ましくはベンゼンスルホニルまたはトルエンスルホニル;(C〜C10)アレーンスルホンアミド、好ましくはベンゼンスルホニルまたはトルエンスルホニル;(C〜C10)アル(C〜C)アルキルスルホンアミド、好ましくはベンジルスルホンアミド;C〜Cアルキルカルボニル、好ましくはC〜Cアルキルカルボニル、より好ましくはアセチル;(C〜C)アシルオキシ、好ましくはアセトキシ;シアノ;アミノ;カルボキシ;ヒドロキシ;ウレイド;およびニトロ。アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリル基の1または2個以上の炭素原子もまた、随意にオキソ基により置換されていてもよい。
【0146】
いくつかの特に好ましい態様において、Cyはフェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、またはキノリル部分であって、これは非置換であるか、または、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜C10アリール、(C〜C10)アル(C〜C)アルキル、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルボキシ、およびアミノからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基により置換されている。
【0147】
他の側面において、本発明は、Hos2、その活性断片およびその相同体の阻害剤である化合物であって、式(B):
Cy−L−Ar−Y−C(O)NH−Z (B)
式中、
Cyは、H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、Cyが(スピロシクロアルキル)ヘテロシクリルではない場合には、これらのすべては随意に置換されていてもよく;
は、C〜C飽和アルキレンまたはC〜Cアルケニレンであって、ここでアルキレンまたはアルケニレンは、随意に置換されていてもよく、およびここでアルキレンの1または2個の炭素原子は随意に、O;NR’、ここでR’はアルキル、アシルもしくは水素であり;S;S(O);またはS(O)、からなる群から独立して選択されるヘテロ原子部分により置き換えられており;
Arはアリーレンであり、ここで該アリーレンは随意に、追加して置換されてもよく、および随意に、アリールもしくはヘテロアリール環に、または飽和もしくは部分不飽和シクロアルキルもしくは複素環に融合していてもよく、これらのすべては随意に置換されていてもよく;および
は、化学結合または直鎖もしくは分枝鎖飽和アルキレンであり、アルキレンが、式−C(O)Rで表され式中Rはα−アミノアシル部分を含む置換基により置換されていない場合、随意に置換されていてもよく;
は、アニリニル、ピリジル、チアジアゾリル、ここでこれらの各々は随意に置換されており、および−O−M、ここでMは、Hまたは薬学的に許容され得るカチオンである、からなる群から選択される、
で表される化合物、およびそのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは複合体、ならびにこれらのラセミ混合物およびスケールミック混合物、ジアステレオマーおよびエナンチオマーを提供する。
【0148】
式(B)で表される化合物の好ましい態様において、Cyが結合している炭素原子がオキソ置換されている場合は、CyおよびZは両方ともがピリジルではない。
【0149】
本発明のこの側面によるCy、ArおよびZの好ましい置換基は、式(A)に対して上に定義したものと同じである。Yの好ましい置換基は、Yに対して上に定義したものと同じである。いくつかの好ましい態様において、Lは、飽和C〜Cアルキレン、より好ましくはC〜Cアルキレン、さらにより好ましくはC〜Cアルキレンであって、これらの基のすべては随意に置換されていてもよい。いくつかの他の好ましい態様において、Lは、飽和C〜Cアルケニレン、より好ましくはC〜Cアルケニレン、さらにより好ましくはC〜Cアルケニレンであって、これらの基のすべては随意に置換されていてもよい。アルキレンまたはアルケニレン基は、1または2以上の炭素位置において、上に列挙した好ましい置換基のリストから好ましくは選択された置換基により、置換されていてよい。さらに好ましくは、Lは、1または2以上の炭素位置において、C〜Cアルキル、C〜C10アリール、アミノ、オキソ、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、およびC〜C10アリールオキシからなる群から独立して選択された置換基により置換されている。いくつかの特に好ましい態様において、アルキレンまたはアルケニレン基は、1または2個のオキソまたはヒドロキシ基により置換されている。
【0150】
いくつかの好ましい態様において、Lは、C〜C飽和アルキレンであって、ここで飽和アルキレンの炭素原子の1つは、O;NR’、ここでR’はアルキル、アシルまたは水素であり;S;S(O);またはS(O)、からなる群から選択されるヘテロ原子部分により置き換えられている。好ましくは、Cyに隣接する炭素原子は、ヘテロ原子部分により置き換えられている。いくつかの特に好ましい態様において、Lは、−S−(CH−、−S(O)−(CH−、−S(O)−(CH−、−S−(CH−、−S(O)−(CH−、および−S(O)−(CH−からなる群から選択される。
【0151】
他の好ましい側面において、本発明は、Hos2、その活性断片およびその相同体の阻害剤である化合物であって、式(C):
Cy−L−Ar−Y−C(O)NH−Z (C)
式中、
Cyは、−H、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、Cyが(スピロシクロアルキル)ヘテロシクリルではない場合には、これらのすべては随意に置換されていてもよく;
は、以下からなる群から選択され:
(a)−(CH−W−、式中、mは0、1、2、3または4であり、Wは−C(O)NH−、−S(O)NH−、−NHC(O)−、−NHS(O)−、および−NH−C(O)−NH−からなる群から選択される;および
(b)C〜CアルキレンまたはC〜Cアルケニレンであって、ここでアルキレンまたはアルケニレンは、随意に置換されていてもよく、およびここでアルキレンの炭素原子の1つは随意に、O;NR’、ここでR’はアルキル、アシルまたは水素であり;S;S(O);またはS(O)により置き換えられていてもよく;
Arはアリーレンであり、ここで該アリーレンは随意に、追加して置換されてもよく、および随意に、アリールもしくはヘテロアリール環に、または飽和もしくは部分不飽和シクロアルキルもしくは複素環に融合していてもよく、これらのすべては随意に置換されていてもよく;
は、CアルケニレンまたはCアルキニレンであり、ここでアルケニレンの1個または両方の炭素原子は、アルキル、アリール、アルカリル(alkaryl)またはアラルキルにより随意に置換されていてもよく;および
は、アニリニル、ピリジル、チアジアゾリル、ここでこれらの各々は随意に置換されており、および−O−M、ここでMは、Hまたは薬学的に許容され得るカチオンである、からなる群から選択される、
で表される化合物、およびそのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは複合体、ならびにこれらのラセミ混合物およびスケールミック混合物、ジアステレオマーおよびエナンチオマーを提供する。
【0152】
式(C)で表される化合物の好ましい態様において、Cyが不飽和フェニルである場合、Arはフェニルではなく、ここでLおよびYは互いにオルトまたはメタに配置されている。
本発明のこの側面によるCy、ArおよびZの好ましい置換基は、式(A)に対して上に定義したものと同じである。
【0153】
本発明の1つの側面の好ましい態様において、本発明は、化合物を、好ましくはUS 10/880,444に記載のヒドロキサム酸塩をベースとする化合物であってHos2を阻害するのに有用な前記化合物を提供し、この文献は参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0154】
第1の側面の好ましい態様において、本発明は、Hos2、その活性断片およびその相同体を阻害するのに有用である、ヒドロキサム酸塩をベースとする化合物、好ましくは式(D):
【化2】

【0155】
式中、
Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル、好ましくはシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり、これらのすべては随意に置換されていてもよく;
xは、0〜5の整数であり、ここで、長さxの鎖は随意に置換されており、およびここで、長さxの鎖の1個または2個の炭素原子は、随意にヘテロ原子で置換されており;
nは、0〜2の整数であり;および
Yは、Hおよび複素環基からなる群から選択され;および
フェニレンは随意に置換されている、
で表される化合物、およびそのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは複合体、ならびにこれらのラセミ混合物およびスケールミック混合物、ジアステレオマーおよびエナンチオマーを包含する。
【0156】
式(D)で表される化合物の好ましい態様において、xが4の場合nは2ではなく、xが3の場合nは3ではない。
【0157】
本発明の化合物の好ましい態様において、Rは、随意に、1つまたは2つ以上、好ましくは1つ〜約3つ、より好ましくは1つまたは2つの置換基を有し、これは、好ましくは、C〜Cアルキル、好ましくはC〜Cアルキル;ハロ、好ましくはCl、BrまたはF;ハロアルキル、好ましくは(ハロ)1〜5(C〜C)アルキル、より好ましくは(ハロ)1〜5(C〜C)アルキル、および最も好ましくはCF;C〜Cアルコキシ、好ましくはメトキシ、エトキシまたはベンジルオキシ;C〜C10アリールオキシ、好ましくはフェノキシ;C〜Cアルコキシカルボニル、好ましくはC〜Cアルコキシカルボニル、最も好ましくはカルボメトキシまたはカルボエトキシ;C〜C10アリール、好ましくはフェニル;(C〜C10)アル(C〜C)アルキル、好ましくは(C〜C10)アル(C〜C)アルキル、より好ましくはベンジル、ナフチルメチルまたはフェネチル;ヒドロキシ(C〜C)アルキル、好ましくはヒドロキシ(C〜C)アルキル、より好ましくはヒドロキシメチル;アミノ(C〜C)アルキル、好ましくはアミノ(C〜C)アルキル、より好ましくはアミノメチル;(C〜C)アルキルアミノ、好ましくはメチルアミノ、エチルアミノまたはプロピルアミノ;ジ(C〜C)アルキルアミノ、好ましくはジメチルアミノまたはジエチルアミノ;(C〜C)アルキルカルバモイル、好ましくはメチルカルバモイル、ジメチルカルバモイルまたはベンジルカルバモイル;(C〜C10)アリールカルバモイル、好ましくはフェニルカルバモイル;(C〜C)アルカンアシルアミノ、好ましくはアセチルアミノ;(C〜C10)アレーンアシルアミノ、好ましくはベンゾイルアミノ;(C〜C)アルカンスルホニル、好ましくはメタンスルホニル;(C〜C)アルカンスルホンアミド、好ましくはメタンスルホンアミド;(C〜C10)アレーンスルホニル、好ましくはベンゼンスルホニルまたはトルエンスルホニル;(C〜C10)アレーンスルホンアミド、好ましくはベンゼンスルホニルまたはトルエンスルホニル;(C〜C10)アル(C〜C)アルキルスルホンアミド、好ましくはベンジルスルホンアミド;C〜Cアルキルカルボニル、好ましくはC〜Cアルキルカルボニル、より好ましくはアセチル;(C〜C)アシルオキシ、好ましくはアセトキシ;シアノ;アミノ;カルボキシ;ヒドロキシ;ウレイド;ニトロおよびオキソからなる群から選択される。
【0158】
本発明の化合物の他の好ましい態様において、Rは、非置換であるか、またはC〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜C10アリール、(C〜C10)アル(C〜C)アルキル、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、カルボキシおよびアミノからなる群から独立して選択された1つまたは2つの置換基により置換されている。
本発明の化合物の好ましい態様において、Rは、フェニル、ピリジンまたはインドール、より好ましくはフェニルまたはインドール、より好ましくはフェニルである。
【0159】
本発明の化合物の好ましい態様において、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、トリハロアルキル、ハロゲン、CN、アミジン、アルキルアミジン、スルホン、アルキルスルホン、イミデートおよびアルキルイミデートからなる群から独立して選択された1つまたは2つ以上の置換基で置換されている。
【0160】
本発明の化合物の好ましい態様において、Rは、フェニルまたはインドールであり、アルキル、アルケニル、アルキニル、トリハロアルキル、ハロゲン、CN、アミジン、アルキルアミジン、スルホン、アルキルスルホン、イミデートおよびアルキルイミデートからなる群から独立して選択された1つまたは2つ以上の置換基、より好ましくはアルキル、アルケニル、アルキニル、トリハロアルキルおよびハロゲンからなる群から独立して選択された1つまたは2つ以上の置換基で置換されている。
【0161】
本発明の化合物の好ましい態様において、xは、2〜4、より好ましくは3〜4の整数である。
本発明の化合物の好ましい態様において、nは、1〜2の整数、より好ましくは1である。
本発明の化合物の好ましい態様において、YはHである。
本発明の化合物の好ましい態様において、長さxの鎖の1個の炭素原子は、ヘテロ原子、好ましくはSで置換されている。
【0162】
本明細書を通して、1つまたは2つ以上の化学置換基の好ましい態様が同定されている。好ましい態様の組合せもまた好ましい。
本発明の化合物の好ましい態様において、化合物は、
【化3】

からなる群、およびそのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは複合体、ならびにこれらのラセミ混合物およびスケールミック混合物、ジアステレオマーおよびエナンチオマーから選択される。
【0163】
本発明の化合物の好ましい態様において、化合物は、
【化4】

からなる群、およびそのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは複合体、ならびにこれらのラセミ混合物およびスケールミック混合物、ジアステレオマーおよびエナンチオマーから選択される。
【0164】
本発明の化合物の好ましい態様において、化合物は、
【化5】

およびそのN−オキシド、水和物、溶媒和物、薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは複合体、ならびにこれらのラセミ混合物およびスケールミック混合物、ジアステレオマーおよびエナンチオマーである。
【0165】
本発明はさらに、本明細書に記載の化合物の、Hos2、その活性断片およびその相同体を阻害するための使用を提供する。
式(A)〜式(D)で表される化合物は、Hos2、その活性断片およびその相同体を阻害するのに有用であるため、これらはHos2を試験する研究ツールとして有用である。
【0166】
用語RPD3、HDA1、HOS1、HOS2、HOS3およびSIR2は、当分野において知られている遺伝子を指し、以下における遺伝子を含む:S. cerevisiae、カンジダ種(好ましくはC. albicans、C. glabrata、C. krusei、C. parapsilosisおよびC. tropicalis)、アスペルギルス種(好ましくはA. fumigatus、A. terreus、A. nigerおよびA. flavus)、Cryptococcus neoformans、Pneumocystis carinii、およびこの群のそれらの株、ならびに任意の他の真菌およびそれらの株(限定することなく、接合菌類(Rhizopus arrhizusおよびケカビ種を含むがこれに限定されない)、新生カビ(Pseudallescheria boydii、フザリウム種および Paecilomyces lilacinusを含むがこれに限定されない)、コクシジオイデス種(C. immitisを含むがこれに限定されない)、ヒストプラスマ種、トリコスポロン種、および皮膚糸状菌、およびこの群のそれらの株を含む)、ならびにこれらのすべての相同体。
【0167】
野生型株は、機能するRPD3、HDA1、HOS1、HOS2、HOS3およびSIR2遺伝子活性を有する真菌株を指す。
用語RPD3ノックアウト変異株、HDA1ノックアウト変異株、HOS1ノックアウト変異株、HOS2ノックアウト変異株、HOS3ノックアウト変異株およびSIR2ノックアウト変異株は、それぞれ、RPD3、HDA1、HOS1、HOS2、HOS3またはSIR2遺伝子が機能しない真菌株を指す。
【0168】
用語「薬学的に許容し得る担体」は、細胞、細胞培養物、組織試料または身体中の生物システムと適合性であり、活性成分(1種または2種以上)の生物学的活性の有効性に干渉しない、無毒性の物質を意味することを意図する。したがって、本発明の組成物は、阻害剤および抗真菌剤に加えて、希釈剤、賦形剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤および/または当該分野において周知の他の物質を含んでいてもよい。薬学的に許容し得る処方の製剤の例は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、A. Gennaro編、Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990に記載されている。
当然のことながら、担体の特性は、特定の適用に対する投与経路に依存する。
【0169】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、上で同定された化合物の所望の生物学的活性を維持し、望ましくない毒性作用を最小に示すかまたは全く示さない塩を意味することを意図する。このような塩の例には、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)により生成される酸付加塩、ならびに有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸により生成される塩が含まれるが、これらには限定されない。当該化合物はまた、当業者に知られている薬学的に許容し得る第四級塩の形態であってもよく、特に、式−NR+Z−で表される第四級アンモニウム塩を含み、式中Rは水素、アルキルまたはベンジルであり、Zは対イオンであり、塩化物、臭化物、ヨウ化物、−O−アルキル、トルエンスルホン酸、メチルスルホン酸、スルホン酸、リン酸またはカルボン酸(例えば安息香酸、コハク酸、酢酸、グリコール酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンジル酸およびジフェニル酢酸)を含む。本明細書中で用いる場合、用語「塩」はまた、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属との錯体を包含することを意味する。
【0170】
本発明の組成物の活性化合物は、薬学的に許容し得る担体中に、組成物を投与する個体に対して重大な有毒な効果を生じずに有効な所望の量を送達するのに十分な量で含まれる。
【0171】
用語「相同体」は、当分野で用いられる一般名であり、参照配列に対して高度の配列関連性を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を意味することを意図する。かかる関連性は、当業者による決定に従って2つの配列間の同一性および/または類似性の程度を決定することにより、定量化することができる。この一般名に含められるのは、用語「オルソログ」および「パラログ」である。「オルソログ」は、他の種のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに機能的に等価である、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。「パラログ」は、機能的に類似である、同じ種内のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。
【0172】
用語「同一性」は、配列を比較することにより決定される、2もしくは3以上のポリペプチド配列間、または2もしくは3以上のポリヌクレオチド配列間の関係を意味することを意図する。一般に、同一性は、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の、比較される配列の長さにわたる、それぞれヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の正確な一致を指す。
【0173】
正確に一致しない配列については、「%同一性」を決定してもよい。一般に、比較する2つの配列を整列させて、配列間の最大相関を得る。これには、片方または両方の配列中に「ギャップ」を挿入して、整列の度合いを強化してもよい。%同一性は、比較する各配列の全長にわたって決定することもでき(いわゆるグローバルアライメント)、これは同一または非常によく似た長さの配列に特に好適であり、または、より短い、規定の長さにわたって決定することもでき(いわゆるローカルアライメント)、これは異なる長さの配列に対してより好適である。
【0174】
用語「類似性」はさらに、2つのポリペプチド配列間の関係のより高度な測度を意味することを意図している。一般に「類似性」は、残基対残基ベースでの2本のポリペプチド鎖のアミノ酸の間の比較であって、(同一性を)比較する配列それぞれから1つずつとった残基対の間の正確な一致だけでなく、正確な一致がない場合には、進化的ベースで、1つの残基が他に対する置換となり得るかどうかをも考慮したものである。この確度は、関連する「スコア」を有し、これから2つの配列の「%類似性」が決定できる。
【0175】
ポリペプチド配列に対して、保守的な置換は、配列中のある位置における1つのアミノ酸を、同じクラスの他のアミノ酸(例えば、疎水性、電荷、pKまたは他の立体配座的または化学的特性を共有するアミノ酸、例えばレクチンに対するバリン、リジンに対するアルギニン)で置換すること、または、ポリペプチドの生物活性を破壊する程にはポリペプチドの立体配座もしくは折りたたみを変えない配列の位置における、1または2以上の非保守的なアミノ酸の置換、欠失、または挿入からなる。「保守的な置換」の例は、1つの非極性(疎水性)残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンを、他のもので置換すること;1つの極性(親水性)残基を他のもので置換すること、例えばアルギニンとリジンの間、グルタミンとアルパラギンの間、スレオニンとセリンの間;1つの塩基性残基、例えばリジン、アルギニンまたはヒスチジンを他のもので置換すること;または1つの酸性残基、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸を他のもので置換すること;または化学的に誘導体化された残基を、非誘導体化残基の代わりに用いること;を含み、ただし、ポリペプチドは必要な生物活性を示すものとする。
【0176】
2または3以上の配列の同一性および類似性を比較するための方法は、当分野でよく知られている;例えば、BLASTファミリープログラム(Altschul S F et al., J Mol Biol, 215, 403-410,1990, Altschul S F et al., Nucleic Acids Res., 25:389-3402, 1997、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)Bethesda, Md., USAより入手可能であり、またNCBIのホームページhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を通してアクセス可能)などである。
【0177】
したがって本発明は、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)HOS2遺伝子およびHos2タンパク質の相同体も包含し、ここで相同な遺伝子およびタンパク質の源は任意の他の真菌種であることができ、例えばカンジダおよびアスペルギルス、および本明細書に記載されているように他の種およびそれらの株を含むが、これらに限定されない。真菌種の間、例えばサッカロマイセスとカンジダの間で、遺伝子相同体は実質的な配列の類似性を有し、例えば、少なくとも50%の配列同一性、少なくとも75%の配列同一性、通常少なくとも90%の配列同一性、さらに通常は少なくとも90%の配列同一性を、ヌクレオチド配列間に有する。
【0178】
Hos2タンパク質相同体は、サッカロマイセス・セレヴィシエHos2タンパク質に対して、少なくとも約35%の、好ましくは少なくとも約40%の、より好ましくは少なくとも約60%の、さらにより好ましくは少なくとも約80%の、さらに好ましくは少なくとも約90%の、さらにより好ましくは少なくとも約95%の、アミノ酸配列同一性を有するタンパク質を意味する。
本発明はまた、Hos2ポリペプチドの対立遺伝子多型およびこれをコーディングする核酸も包含する;これはすなわち、アミノ酸またはヌクレオチド配列間の差が遺伝的多型(集団内での個体間の対立遺伝子変異)に起因している、かかるポリペプチドおよび核酸の天然の代替形態である。天然および人工的に生じるHOS変異体もまた、本発明に包含される。
【0179】
本発明のHOS2の相同体および対立遺伝子は、例えば、当業者に知られた従来技術により同定することができる。例えば、S. cerevisiaeHOS2のCandida glabrata相同体は、HOS2をコーディングするポリヌクレオチドから好適なプローブまたはプライマーを作製し、好適な核酸源を、例えばC. glabratacDNAライブラリなどの所望の種からスクリーニングし、陽性のクローンを選択することにより、単離および同定することができる。したがって本発明の1つの側面は、Hos2相同体ポリペプチドをコーディングし、HOS2をコーディングする核酸領域に対応する核酸の配列を含む核酸分子とストリンジェントな条件化でハイブリッド形成する、核酸配列である。本明細書で用いる場合、用語「ストリンジェントな条件」とは、当分野で精通のパラメータを指す。
【0180】
用語「抗真菌剤」は、真菌細胞の増殖、生存能力および/または複製を阻害するかまたは防止することができる物質を意味することを意図する。好ましい抗真菌剤は、動物または植物における真菌感染を防止するかまたは処置することができるものである。好ましい抗真菌剤は、広範囲の抗真菌剤である。しかし、抗真菌剤はまた、真菌の1種または2種以上の特定の種に特異的であってもよい。
【0181】
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」および「ヒストンデアセチラーゼの阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼと相互作用し、この酵素活性を阻害することができる化合物を意味することを意図する。「ヒストンデアセチラーゼの酵素活性を阻害する」とは、ヒストンデアセチラーゼがアセチル基を、ヒストンを含むがこれに限定されないタンパク質から除去する能力を、低下させることを意味する。いくつかの好ましい態様において、かかるヒストンデアセチラーゼ活性の低下は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、なおより好ましくは少なくとも約90%である。他の好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼ活性は、少なくとも95%、またより好ましくは少なくとも99%低下する。本発明のいくつかの好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼはHos2またはその相同体である。
【0182】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼの活性における低下をもたらす任意の分子であってもよい。これには、タンパク質、ペプチド、抗体およびその活性断片、DNA分子(アンチセンスを含む)、RNA分子(RNAiおよびアンチセンスを含む)ならびに小分子が含まれる。
【0183】
好ましくは、このような阻害は特異的であり、即ちヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼが他の無関連の生物学的効果を生じるのに必要な阻害剤の濃度より低い濃度で、ヒストンを含むがこれに限定されないタンパク質からアセチル基を除去する能力を低下させる。好ましくは、ヒストンデアセチラーゼ阻害活性に必要な阻害剤の濃度は、無関連の生物学的効果を生じるのに必要な濃度よりも、少なくとも2倍低く、より好ましくは少なくとも5倍低く、さらにより好ましくは少なくとも10倍低く、最も好ましくは少なくとも20倍低い。
【0184】
本発明の好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、全ての特異的ヒストンデアセチラーゼアイソフォームより少ない、1種または2種以上のヒストンデアセチラーゼアイソフォームを阻害する。好ましいヒストンデアセチラーゼアイソフォームは、クラスIおよびクラスII酵素を含む。特異的HDACとしては、Rpd3、Hos1、Hos2、Hda1、Hos3、Sir2およびHstタンパク質、ならびのそれらの相同体が挙げられるが、これに限定されない。本発明の好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤はHos2を阻害する。
【0185】
用語「ヒストンデアセチラーゼ遺伝子阻害剤」および「ヒストンデアセチラーゼ遺伝子発現の阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼをコーディングする核酸と、またはヒストンデアセチラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングする核酸と相互作用することができて、効率的ヒストンデアセチラーゼ活性を有する産物を発現する、該核酸の能力を阻害することができる化合物を意味することを意図する。発現の阻害は、転写および/または翻訳のレベルにおけるものであってよい。いくつかの好ましい態様において、かかる発現の低下は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、なおより好ましくは少なくとも約90%である。他の好ましい態様において、発現は、少なくとも95%、またより好ましくは少なくとも99%低下する。本発明のいくつかの好ましい態様において、核酸はHOS2またはその相同体をコーディングする。
【0186】
ヒストンデアセチラーゼ遺伝子阻害剤は、効率的ヒストンデアセチラーゼ活性を有する産物の発現における低下をもたらす任意の分子であってもよい。これには、タンパク質、ペプチド、抗体およびその活性断片、DNA分子(アンチセンスを含む)、RNA分子(RNAiおよびアンチセンスを含む)ならびに小分子が含まれる。
【0187】
好ましくは、このような阻害は特異的であり、即ちヒストンデアセチラーゼ遺伝子阻害剤は、他の無関連の生物学的効果を生じるのに必要な阻害剤の濃度より低い濃度で、効率的ヒストンデアセチラーゼ活性を有する産物を発現する能力を低下させる。好ましくは、阻害活性に必要な阻害剤の濃度は、無関連の生物学的効果を生じるのに必要な濃度よりも、少なくとも2倍低く、より好ましくは少なくとも5倍低く、さらにより好ましくは少なくとも10倍低く、最も好ましくは少なくとも20倍低い。
【0188】
用語「阻害有効量」は、真菌HDAC活性の、好ましくは細胞内での真菌HDAC活性の、阻害を引き起こすのに十分な投与量を表すことを意味し、ここで細胞は多細胞生物内に存在することができる。真菌は、植物または哺乳動物、好ましくはヒトに感染することができ、したがって、植物または哺乳動物の内部および/または上に位置することができる。真菌が多細胞生物内または上にある場合、本発明のこの側面による方法は、該生物に、本発明の化合物または組成物を投与することを含む。投与は任意の経路であってよく、非経口、経口、舌下、経皮的、局所的、鼻腔内、気管内、静脈内または直腸内を含むが、これらに限定されない。ある特に好ましい態様において、本発明の組成物を、病院の設備において静脈内投与する。特定の他の好ましい態様において、投与は、好ましくは経口経路によるものであってもよい。
【0189】
本明細書中で用いる用語「治療的有効量」は、患者に投与された場合に、所望の治療的効果を引き出す、本発明の化合物の量である。治療的効果は、処置される疾患および望まれる結果に依存する。したがって、治療的効果は、疾患状態の処置であることができる。さらに、治療的効果は、Hos2活性の阻害またはHOS2発現の阻害であることができる。「治療的有効量」を構成する本発明の化合物の量は、化合物、疾患状態およびその重篤度、処置されるべき患者の年齢などに依存して変化する。治療的有効量は、当業者により常習的に決定することができる。
【0190】
本発明の目的のために本明細書中で用いる場合、用語「患者」には、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物、ならびに他の生物が含まれる。したがって、本発明の化合物、組成物および方法は、ヒト療法と獣医学的用途との両方に適用可能である。好ましい態様において、患者は哺乳動物であり、最も好ましい態様において、患者はヒトである。
【0191】
本明細書中で用いる場合、用語「処置する」、「処置」などは、動物における疾患状態の処置を包含し、この疾患状態は、以下の少なくとも1つを含む:(i)特に、動物が疾患状態に対する素因はあるが、未だ罹患しているとは診断されていない場合に、動物において疾患状態が発生するのを防止すること;(ii)疾患状態を阻害すること、即ちその進行を部分的または完全に停止させること;(iii)疾患状態を軽減すること、即ち疾患状態の症状の後退をもたらすこと、または疾患の症状を改善すること;および(iv)疾患状態の逆転または後退、好ましくは疾患の消失または治癒。本発明の好ましい態様において、動物は、哺乳動物、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトである。当該分野において知られているように、全身対局所的送達、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与の時間、薬物の相互作用および状態の重篤度についての調整が必要であり得て、当業者による常習的な実験で決定することができる。
【0192】
本発明の好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、全ての特異的ヒストンデアセチラーゼアイソフォームより少ない、1種または2種以上のヒストンデアセチラーゼアイソフォームを阻害する。好ましいヒストンデアセチラーゼアイソフォームは、クラスIおよびクラスII酵素に対する遺伝子を含む。特異的HDAC遺伝子としては、RPD3、HOS1、HOS2、HDA1、HOS3、SIR2およびHST遺伝子、ならびのそれらの相同体が挙げられるが、これに限定されない。本発明の好ましい態様において、ヒストンデアセチラーゼはHOS2を阻害する。
【0193】
本発明は、純粋に哺乳動物への用途には限定されず、例えば農業および水産用途を包含し、例えば哺乳動物、魚類および植物の真菌感染の処置のための方法を含む。Smith and Edlind(上記)には、TSAが、エルゴステロール生合成経路がアリルアミンおよびアゾールのそれに従う農業用殺真菌剤であるモルホリン、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)の最小阻害濃度を低下させたことが示されている。
【0194】
本発明は、以下の例を参照することによりさらに容易に理解されるが、これらは、本発明の範囲を限定するのではなく、本発明を例示するために示される。
【0195】
例1
酵母HDAC欠失株の生成
PCR生成欠失戦略を用いて、各酵母の開始コドンから終止コドンまでのオープン・リーディング・フレームを、KanMXモジュールおよび2つのユニークな20マー分子バーコードで系統的に置き換えた(Wach et al., Yeast 10: 1793-1808 (1994)参照)。この戦略および可能性のある結果を、それぞれ図1および図2に示す。タグの存在は、高密度のオリゴヌクレオチドアレイへのハイブリッド形成を介して検出することができ、これにより個々の株の増殖表現型が平行して解析できる。HOS2欠失「カセット」を、2つの連続PCR反応を用いて構成した。
【0196】
最初の増幅において、74bpのUPTAG
【化6】

プライマーを用いて、酵母RPD3ヘテロ接合変異体(ATCCより購入)から抽出したゲノムDNAから、KanMX遺伝子を増幅した;この変異体は、KanMX発現が酵母に対してジェネティシン(G418)の優先選択を与えるkanMX4のDNAを含む。これらのプライマーは以下からなる:ORFの5’または3’端(それぞれ開始コドンと終止コドンに直接隣接および遠位にある)のどちらかの横に位置する(5’:3’):18bpのゲノム配列;全てのゲノム破壊に共通する18および17bpの配列(U1: 5'-GATGTCCACGAGGTCTCT-3'またはD1: 5'-CGGTGTCGGTCTCGTAG-3');それぞれKanMXカセットに相同性の、20bpのユニーク配列(「分子バーコード」TAG)ならびに18および19bpの配列(U2: 5'- CGTACGCTGCAGGTCGAC-3'またはD2: 5'-ATCGATGAATTCGAGCTCG -3')。PCRは次のパラメータを用いて実施した:94℃で3分間の変性;94℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で2.5分間、35サイクル;次に72℃で10分間の伸長(extension)。
【0197】
第2のPCR反応において、2つのORF特異的45マープライマー(UP_45およびDOWN_45)
【化7】

を用いて、ORF特異的相同体を45bpに延長し、遺伝子破壊用カセットの有糸分裂組換えの間の標的特異性を増加させた。PCRは上記のようにして実施した。
【0198】
標準のリチウム−酢酸形質転換プロトコル(Gietz and Woods, Methods in Enzymology 350: 87-96 (2002)参照)を用いて、遺伝子破壊用カセットをハプロイド酵母細胞(BY4742: MATa his3D1 leu2D0 lys2D0 ura3D0)に導入した。
他のHDAC欠失変異体は、同様の戦略に従い、それぞれ次のプライマーを用いて調製した。
【0199】
【化8】

【0200】
【化9】

【0201】
例2
欠失変異株の抗真菌化合物感受性
標準の連続希釈技術を用いて、酵母欠失株の、種々の抗真菌剤に対する感受性を決定した。図3は、ScRPD3欠失変異体が、ケトコナゾールまたはフルコナゾールに対して高感受性ではないことを示す。図4は、ScHOS2欠失変異体が、ケトコナゾールに対して高感受性であることを示す。図5は、ScHOS2欠失変異体が、イトラコナゾールに対して高感受性であることを示す。図6は、ScHOS2欠失変異体が、ボリコナゾールに対して高感受性であることを示す。図7は、ScHOS2欠失変異体が、フルコナゾールに対して高感受性であることを示す。図8は、ScHOS2欠失変異体が、フェンプロピモルフに対して高感受性であることを示す。図9は、ScHOS2欠失変異体が、テルビナジンに対して高感受性ではないことを示す。図10は、ScHOS2欠失変異体が、アムホテリシンBに対して高感受性ではないことを示す。図11は、ScHOS2欠失変異体が、5−フルオロシトシンに対して高感受性ではないことを示す。図12は、ScHOS2欠失変異体が、ニッコーマイシンに対して高感受性ではないことを示す。図13は、ScHOS3およびScHdal欠失変異体が、イトラコナゾールに対して高感受性ではないことを示す。ScHOS3およびScHdal欠失変異体はまた、他のアゾール類に対しても高感受性ではなかった(データ示さず)。
【0202】
組換えHis−タグHos2pのS. cerevisiaeからの構成および発現
S. cerevisiaeからYGL194C/HOS2をコーディングするORF(終止コドンの上流1〜452残基)を、BY4742株(ATCC201389)から単離したゲノムDNAおよび次のプライマーを用いて、TaqDNAポリメラーゼ(Invitrogen)でPCR増幅した:
【化10】

PCR増幅は次のようにして行った:94℃で2分間の変性、続いてタッチアップPCR(94℃で1分間の変性、45〜53℃で1分間のハイブリッド形成、この間各サイクル間で1.5分間に3℃の増加あり、72℃での増幅)、続いて94℃で1分間の変性、53℃で1分間のハイブリッド形成、および72℃で1.5分間の増幅を30サイクル。〜1.4kbのPCR産物をゲル精製し、pYES2.1/V5−His−TOPOベクターTOPOへのクローニングおよび続くTOP10 One Shot Chemically Competent E. coliへの形質転換に用いたが、これはpYES2.1TOPO TA発現キット(Invitrogen, cat. #K4150-01)を製造業者の指示に従って用いて行った。HOS2.V5−His6インサートの存在を形質転換物内でPCRにより解析したが、これには、プライマーMYG1213およびMYG1212を、pYES2.1TOPO TA発現キットと共に提供されるプライマーV5-Cterm-ReverseおよびGAL1-Forwardとそれぞれ一緒に用いて行った。2つの細菌クローン(pYES2.1.HOS2.V5His6#2および#7)から単離されたプラスミドpYES2.1.HOS2.V5His6を用いて、S. cerevisiaeBY4742(MATα his3delta1 leu2delta0 lys2delta0 ura3delta0, ATCC 201389)株およびΔhos2同系遺伝子欠質株(社内で生成)を、S.c. EasyComp 形質転換キット(Invitrogen, cat. #5050-01)を製造業者の指示に従って用いて形質転換した。形質転換に用いた各プラスミドに対し、全細胞抽出物を、BY4742/pYES2.1.HOS2.V5His6およびΔhos2/pYES2.1.HOS2.V5His6の3種類の個別のクローンから調製し、組換えHOS2.V5His6タンパク質の発現について、抗V5−HRP抗体(Invitrogen, cat. #R961-25)を用いガラクトースによる24時間の誘発に続いて試験した。BY4742/pYES2.1.HOS2.V5His6#7およびΔhos2/pYES2.1.HOS2.V5His6#7株は、さらなる試験のために保持した。
【0203】
組換えHos2タンパク質の誘発および精製
Hos2p.V5His6発現のガラクトースによる誘発を、グルコースまたはラフィノースのどちらかを炭素源として用いて行い(pYES2.1 TOPO TA Expression Kit Manual, Invitrogen, cat. # K4150-01)、細胞溶解物を、ガラクトースの存在下または不在下で増殖させたBY4742/pYES2.1.HOS2.V5His6#7およびΔhos2/pYES2.1.HOS2.V5His6#7株から生成したスフェロプラストから調製した。スフェロプラストは、YEPD(BY4742、Δhos2)、SC−URA+2%グルコースもしくはラフィノース、またはSC−URA+1%グルコースもしくはラフィノース+1%ガラクトース(BY4742/pYES2.1.HOS2.V5His6#7およびΔhos2/pYES2.1.HOS2.V5His6#7)中で増殖させた細胞から、Franzusoff et al. (1991)によるリチケース(liticase)法を用いて調製した。Hos2pV5His6を含むかまたは含まない断片の収集は、IMACによりHis GraviTrap Affinity Columns(GE Healthcare cat. # 11-033-99)を用いて行った。結合緩衝液は製造業者の推薦に従い、一方、3種類の異なる溶出緩衝液は順番に用いた:20mMリン酸ナトリウム+500mMのNaCl+100mM、250mMまたは500mMのイミダゾール、pH7.4。断片はさらに、PD−10(GE Healthcare, cat. # 17-0851-01)およびNAP−5脱塩カラム(GE Healthcare, cat. # 17-0853-02)を用いて脱塩した。100、250または500mMのイミダゾールを含有する3種類の異なる緩衝液で溶出し、脱塩した断片を、HDAC活性についてアッセイした(以下を参照)。高い内因性HDAC活性を含む対応する断片(20mMリン酸ナトリウム+500mMのNaCl+250mMイミダゾール)のみを、さらなる試験のために保持した。
【0204】
HDACアッセイ
組換えHos2p.V5His6を含む断片を、HDAC阻害剤(0〜20μg/ml)の存在下または不在下で2時間インキュベートした。ガラクトース誘発に続いて発現した組換えHos2p.V5His6と特異的に関連するHDAC活性は、次の仮定のもとで決定した。
FluoHos2p.V5His6 specific = Fluo+galactose−Fluo-galactose
式中、
Fluo+galactose=Hos2p.V5His6と共に精製された全HDACに関連するHDAC活性
Fluo+glucose=Hos2p.V5His6不在で精製された全HDACに関連するHDAC活性
【0205】
阻害アッセイの結果を表1にまとめる。表に見られるように、精製されたHos2タンパク質は、5ug/mlの化合物4により、60%より多く阻害された。
【表1】

【0206】
組換えScHos2タンパク質はイトラコナゾールに対するHos2欠失変異体の感受性の克服を支援する
最小阻害濃度(MIC)試験を、酵母試験に対するCLSI M27−A2法にしたがって、2%ラフィノースまたは1%ラフィノースのどちらか+1%ガラクトースを炭素源として含む、CSM−URA培地(完全合成培地からウラシルを引いたもの)を用いて行った。イトラコナゾール濃度は、0.01〜10μg/mlの範囲であった。CSM−URA+2%ラフィノース、またはCSM−URA+1%ラフィノース+1%ガラクトース中で増殖したログ相の細胞を、5×10細胞/mlで播種した。イトラコナゾールのMIC80は、30℃で72時間後に決定した。
【0207】
図14に示すように、WT/ScHOS2とΔhos2/ScHOS2との間には、イトラコナゾールに対する感受性について、ラフィノースの存在下で増殖した場合には4倍の感受性の差があったが、Hos2の発現がガラクトースにより誘発された場合には、感受性の差は2倍であった。
【0208】
本発明を、この特定の態様に関連させて記載したが、これは、さらに改変することが可能であり、本出願は、一般的に本発明の原理に従い、本発明が関連する分野内の既知または一般的な実施内にあり、本明細書において前に述べた本質的な特徴に対して適用され得、添付した特許請求の範囲内にある、本開示からの逸脱を含む、本発明のすべての変化、使用または適合を包含することを意図することが、理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするための方法であって、前記方法は、HDAC変異真菌株を提供すること(ここで変異はこれによりコードされるタンパク質の機能の損失をもたらす)および前記HDAC変異真菌株を化合物に接触させることを含み、ここで前記HDAC変異真菌株の前記試験化合物に対する感受性が、前記化合物を潜在的抗真菌活性を有するものとして同定し、前記活性は、HDAC遺伝子もしくはその相同体の、またはHDAC遺伝子産物もしくはその相同体の阻害によって増強される、前記方法。
【請求項2】
化合物を潜在的抗真菌活性についてスクリーニングするための、および/または抗真菌剤を増強する能力を有する化合物をスクリーニングするための方法であって、前記方法は、真菌HDACタンパク質もしくはその相同体またはそれらの活性断片を提供すること、および前記タンパク質もしくはその相同体またはそれらの活性断片を化合物と接触させることを含み、ここで前記タンパク質もしくはその相同体またはそれらの活性断片のHDAC活性の阻害が、前記化合物を、潜在的抗真菌活性を有するか、または抗真菌剤の抗真菌活性を増強する能力を有するものとして同定する、前記方法。
【請求項3】
抗真菌化合物を、抗真菌HDAC阻害剤との潜在的相乗作用について試験するための方法であって、前記方法は、HOS2ノックアウト真菌株を提供すること、ノックアウト変異株を試験化合物で処理すること、HOS2ノックアウト真菌株の試験化合物に対する感受性を決定すること、野生型株、RPD3ノックアウト変異株、HDA1ノックアウト変異株、HOS1ノックアウト変異株、HOS3ノックアウト変異株およびSIR2ノックアウト変異株からなる群から選択される1種または2種以上の対照真菌株を提供すること、1種または2種以上の対照真菌株を試験化合物で処理すること、1種または2種以上の対照真菌株の試験株に対する感受性を決定すること、およびHOS2ノックアウト株の試験化合物に対する感受性を、1種または2種以上の対照真菌株の試験株に対する感受性と比較することを含み、ここで、HOS2ノックアウト変異株が試験化合物に対して、1種または2種以上の対照株より感受性が高ければ、試験化合物はHOS2阻害剤との相乗作用を有する抗真菌化合物であると考えられる、前記方法。
【請求項4】
真菌増殖を阻害するための方法であって、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む、前記方法。
【請求項5】
抗真菌化合物の存在下における真菌のトレーリング発育を阻害するための方法であって、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む、前記方法。
【請求項6】
抗真菌化合物に対する真菌の耐性を阻害するための方法であって、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む、前記方法。
【請求項7】
抗真菌化合物の存在下における真菌の生存を阻害するための方法であって、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む、前記方法。
【請求項8】
抗真菌化合物の抗真菌活性に抵抗する、真菌の能力を低下させるための方法であって、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および、真菌を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処理することを含む、前記方法。
【請求項9】
真菌の、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはHOS2遺伝子産物もしくはその相同体の活性の阻害により増強される抗真菌化合物に対する感受性を、増強するための方法であって、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害することを含む、前記方法。
【請求項10】
抗真菌化合物の抗真菌活性を増強するための方法であって、該抗真菌化合物の活性は、HOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはHOS2遺伝子産物もしくはその相同体の活性の阻害により増強されるものであり、真菌HOS2もしくはその相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害することを含む、前記方法。
【請求項11】
真菌感染を有する生物を治療的に処置するための方法であって、真菌感染を有する生物において真菌HOS2もしくはその真菌相同体の発現を阻害すること、またはその遺伝子産物の活性を阻害すること、および該生物を、その活性がHOS2もしくはその真菌相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処置することを含む、前記方法。
【請求項12】
生物において真菌感染を予防するための方法であって、該生物を、その活性がHOS2もしくはその相同体の発現の阻害またはその遺伝子産物の活性の阻害により増強される抗真菌化合物で処置すること、および該生物を、HOS2および/またはHos2阻害化合物で予防的に処置することを含む、前記方法。
【請求項13】
抗真菌化合物の増強剤を同定するための方法であって、真菌株に試験化合物を投与すること、試験化合物がHOS2またはその相同体の発現を阻害するかどうかを決定すること、および、試験化合物がHOS2またはその相同体を阻害した場合に、試験化合物を抗真菌化合物の増強剤として同定することを含む、前記方法。
【請求項14】
Hos2もしくはその相同体、または真菌HOS2もしくはその相同体の、阻害剤。
【請求項15】
請求項14に記載の阻害剤および薬学的に許容し得る担体を含む、組成物。
【請求項16】
Hos2またはその相同体を阻害する方法であって、Hos2またはその相同体を、請求項14に記載の阻害剤と接触させることを含む、前記方法。
【請求項17】
HOS2またはその相同体を阻害する方法であって、HOS2またはその相同体を、請求項14に記載の阻害剤と接触させることを含む、前記方法。
【請求項18】
Hos2またはその相同体の阻害剤が、ヒドロキサム酸塩化合物である、請求項14に記載の阻害剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−500033(P2010−500033A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523995(P2009−523995)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/075563
【国際公開番号】WO2008/021944
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(500301027)メチルジーン インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】