説明

抗肥満用免疫原性ハイブリッドポリペプチド及びこれを含む抗肥満ワクチン組成物(Anti−ObeseImmunogenicHybridPolypeptidesAndAnti−ObeseVaccineCompositionComprisingTheSame)

本発明はN-末端から順次にアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープ模造ポリペプチド:狂犬病ウイルスのヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ;及びマウスアポリポたんぱく質CIIのC-末端ポリペプチド断片またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープ模造ポリペプチドが融合された免役原性ハイブリッドポリペプチド、及び上記の免役原性ハイブリッドポリペプチド含有する肥満予防及び治療用ワクチン組成物に関する。また、本発明は上記の免役原性ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、上記のポリヌクレオチド含む再結合発現ベクター、上記の再結合発現ベクターに形質変換された宿主細胞及び上記の再結合発現ベクターで形質変換された宿主細胞を培養して免役原性ハイブリッドポリペプチドを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はN末端から順次にアポリポたんぱく質B-100(Apolipoprotein B-100)のB細胞エピトープの模造ペプチド;狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ;及びマウスのアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドが融合された免疫原性ハイブリッドポリペプチドに関する。また、本発明は上記の免疫原性ハイブリッドポリペプチドを含む肥満予防または治療用ワクチン組成物に関する。また、本発明は上記の免疫原性ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、上記のポリヌクレオチドを含む再構成発現ベクター、上記の再構成発現ベクターに形質転換された宿主細胞及び上記の再構成発現ベクターに形質転換された宿主細胞を培養して、免疫原性ハイブリッドポリペプチドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、西洋式食生活の影響で肥満による代謝性疾患の糖尿病、動脈硬化症及び冠状動脈疾患(Coronary Atherosclerotic Disease : CAD)が次第に増加動向であって、これはヒトだけでなくイヌやネコなどのペットまたは家畜の場合も同様である。このような疾患の原因になる血清脂質としてはコレステロール(Cholesterol)、トリグリセリド(Triglyceride:TG)、遊離脂肪酸(Free Fatty Acid)及びホスホリピド(Phospholipid)などがあって、これらの血清脂質はアポリポたんぱく質と共に脂たんぱく質(Lipoprotein)を形成して血液循環を通って運搬されている。その中でVLDL(Very Low DensityLipoprotein)及びLDL(Low Density Lipoprotein)は主にTG及びコレステロールの運搬を担当し、LDLーコレステロール数値の変化は上記の疾病の予後を示す尺度になる。
【0003】
脂質代謝に関わる成人病の主な因子のLDL-コレステロールは各組織の細胞膜のLDL受容体と結合して組織内に保存、活用されたり清掃細胞(スカベンジャーセル)に捕獲された後に加水分解されて、遊離コレステロールの形態でアポリポたんぱく質と共にHDLで伝達され肝にて再活用されたり、胆汁酸の形態で処理され排泄される経路が明らかになっている。この過程で、アポリポたんぱく質は脂たんぱくの構造的な定常性を維持し、脂肪質分解酵素の補助因子機能及び細胞膜上の特定受容体と結合する非常に重要な機能を遂行している。
【0004】
アポリポたんぱく質B-100はこのような底密度たんぱく質(LDL)の主なたんぱく質成分であり、またIDL(Intermediate Density Lipoprotein)、VLDLに存在しているので、血液中にある抗体がアポリポたんぱく質B-100を認識するように誘導すれば、食細胞によるLDL-除去が容易に起こるだろう。最近、このような根拠でワクチンを用いてLDL-コレステロールの数値を下げ、動脈硬化を減少させるための研究が試されている。このような抗-コレステロールワクチン療法により誘導された抗体はIgMタイプでVLDL、IDL及びLDLと結合することと見なされ、これを通じて高密度コレステロール及び、アテローム性動脈硬化症に対する予防及び、治療用ワクチンの可能性が提示されている(べイリー, et al., コレステロールワクチン. サイエンス264, 1067-1068, 1994;Palinski W., et al., Proc Natl Acad Sci U S A.92, 821-5, 1995;Wu R. de Faire U., et al., ハイパーテンション. 33, 53-9, 1999)。また、アポリポたんぱく質B-100は4560個のアミノ酸残基(24個のシグナルペプチドを含めて)で構成された巨大なたんぱく質分子で、分子量は500kDaを超過する。(Elovson J.,et al., バイオケミストリー, 24 : 1569-1578, 1985)。アポリポたんぱく質B-100は主に肝で分泌され両親媒性を有する分子であるため、脂たんぱく質の脂質と相互作用もでき、水溶液の環境とも相互作用できる。(Segrest J. P., et al., Adv. プロテイン ケミストリー., 45: 303-369, 1994)。アポリポたんぱく質B-100はLDL粒子のサイズと構造を安定化させる役割と受容器との結合を通じ、血漿内のLDL-コレステロールの定常性を調節する重要な役割をする。(ブラウン MS., et al., サイエンス, 232 : 34-47, 1986)。
【0005】
本発明者により出願された韓国特許登録番号第10-0639397号は、アポリポたんぱく質B-100のエピトープに対する模造ペプチドが抗肥満効果を有し、これをヘルパーT細胞エピトープと融合させた免疫原性ハイブリッド ポリペプチド(B4T)及び、これを含む組成物が肥満予防または治療に効果があるということを開示している。しかし上記出願では、単にアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチド及び、これと結合されたヘルパーT細胞エピトープの融合ポリペプチドがヒトにおいて肥満を予防または治療に効果的だと開示しただけで、ヒト以外の動物の場合はヒトとは違う免疫関連物質及び代謝作用により同一な効果を期待できない。また、上記の登録された融合ポリペプチドはたんぱく質の折り畳み構造が多少不安定なので、一つのグループ内にて同一に免疫化されても個体によって抗体誘導反応の偏差が大きいという問題がある。
【0006】
一方、ハプテンの免疫原性を高めるため、媒体たんぱく質と融合させようとする多くの試みがあったが一律的な上昇効果を得ることができなかった。特に、本発明のように、B細胞エピトープとT細胞エピトープの線形連結時、これらの方向性や各々のエピトープの種類によりかえって免疫原性が消失される場合もあり(フランシス, M. J. et al., ネイチャー 330 ; 168-170, 1987)、リンカーの存在により抗原性が減少する場合もあった(パルティド, C. et al., Mol. イムノル.29 ; 651-658, 1992)。このように、ペプチドワクチンのデザインには一貫的に適用できる様態が存在しなくて、デザインされたワクチンの効能も予測できない。同一な理由で、疎水性が非常に強いアポリポたんぱく質B-100のエピトープに対する模造ペプチドを、異種ペプチドの狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、またはアポリポたんぱく質CIIと融合させる場合、かえって抗原性を示す部分を分子内部へ没入させ、抗体誘導能が低下される可能性も排除できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録番号第10-0639397号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】べイリー, et al., コレステロールワクチン. サイエンス264, 1067-1068, 1994
【非特許文献2】Palinski W., et al., Proc Natl Acad Sci U S A.92, 821-5, 1995
【非特許文献3】Wu R. de Faire U., et al., ハイパーテンション. 33, 53-9, 1999
【非特許文献4】Elovson J.,et al., バイオケミストリー, 24 : 1569-1578, 1985
【非特許文献5】Segrest J. P., et al., Adv. プロテイン ケミストリー., 45: 303-369, 1994
【非特許文献6】ブラウン MS., et al., サイエンス, 232 : 34-47, 1986
【非特許文献7】フランシス, M. J. et al., ネイチャー 330 ; 168-170, 1987
【非特許文献8】パルティド, C. et al., Mol. イムノル.29 ; 651-658, 1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景の下で、本発明者はヒトだけでなくイヌやウシ等の家畜を含む動物にも適用可能で、個体間に均一な抗体反応を誘導できる安定的な抗肥満ワクチンを提供するため多様に試み、その結果、N末端から順次にアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドの四量体(B4)に狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープ(R)、またはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ(T)、及びアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片(CII)またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドの二量体(B2)を融合させた融合ポリペプチドが優秀な免疫増強効果を示し、ヒトだけでなく動物においても肥満の予防または治療に効果的に使用されるということを確認することによって、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の目的は、N末端から順次にアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチド;狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ;及びマウスのアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド、またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドが融合された免疫原性ハイブリッドポリペプチドを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、上記の免疫原性ハイブリッドポリペプチドを含む肥満予防または治療用ワクチン組成物を提供することである。
【0012】
本発明のまた他の目的は、上記の免疫原性ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することである。
【0013】
本発明のまた他の目的は、上記のポリヌクレオチドを含む再構成発現ベクターを提供することである。
【0014】
本発明のまた他の目的は、上記の再構成発現ベクターに形質転換された宿主細胞を提供することである。
【0015】
本発明のまた他の目的は、上記の再構成発現ベクターに形質転換された宿主細胞を培養して上記の免疫原性ハイブリッドポリペプチドを製造する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1の(a)は、アポリポたんぱく質CII遺伝子のPCR産物を電気泳動した写真である。(レーン1:25/100bp ミックスDNAラダー、レーン2:PCR産物、2μl/ウェル ロード、2%アガロースゲル、TBEバッファーシステム) 図1の(b)は、再構成ApoCII/pQE30ベクターに形質転換されたイー.コライJM109にて断片の挿入の可否を確認した電気泳動の写真である。
【図2】図2の(a)は、RVNP遺伝子のPCR産物を電気泳動した写真である。(レーン1:100bp ラダー(バイオニア)、レーン2:PCR産物、2μl/ウェル ロード、2%アガロースゲル、TBE バッファーシステム) 図2の(b)は、B4RCII/pQE30ベクターに形質転換されたイー.コライJM109よりプラスミドを分離してSal(サル)で切断し、断片が正しい方向に挿入されたことを確認した結果である。 図2の(c)は、B4RB2/pQE30ベクターに形質転換されたイー.コライJM109よりプラスミドを分離してSalIで切断し、断片が正しい方向に挿入されたことを確認した結果である。 図2の(d)は、B4TB2/pQE30ベクターに形質転換されたイー.コライJM109よりプラスミドを分離してSalIとHindIIIで切断し、断片が正しい方向に挿入されたことを確認した結果である。
【図3】図3は、B4RCII融合ポリペプチドを発現する再構成発現ベクターの製造過程を示す概略図である。
【図4】図4は、B4RB2、融合ポリペプチドを発現する再構成発現ベクターの製造過程を示す概略図である。
【図5】図5は、B4TB2融合ポリペプチドを発現する再構成発現ベクターの製造過程を示す概略図である。
【図6】図6は、B4RCIIの遺伝子及びたんぱく質配列をDNAシークエンシングを通って確認した結果である。
【図7】図7は、B4RB2の遺伝子及びたんぱく質配列をDNAシークエンシングを通って確認した結果である。
【図8】図8は、B4TB2の遺伝子及びたんぱく質配列をDNAシークエンシングを通って確認した結果である。
【図9】図9の(a)は、形質転換されたイー.コライM15/B4RCIIをIPTGにB4RCIIの発現を誘導した後、時間に伴ってSDS-PAGEで分析した結果を示したものである。(レーンM:たんぱく質サイズマーカー(NEB)、レーン1:IPTGー誘導されないイー.コライM15、レーン2乃至5:IPTG-誘導1時間乃至4時間後のイー.コライM15/B4RCII、B4TB2) 図9の(b)は、形質転換されたイー.コライM15/B4RB2をIPTGでB4RB2の発現を誘導した後、時間に伴ってSDS-PAGEで分析した結果を示したものである。(レーンM:たんぱく質サイズマーカー(NEB)、レーン1:IPTGー誘導されなかったイー.コライM15、レーン2乃至5 : IPTG-誘導1時間乃至4時間後のイー.コライM15/B4RB2) 図9の(c)は、形質転換されたイー.コライM15/B4TB2をIPTGでB4RB2の発現を誘導した後、時間に伴ってSDS-PAGEで分析した結果を示したものである。(レーンM:たんぱく質サイズマーカー(NEB)、レーン 1: IPTGー誘導されないイー.コライM15、レーン2乃至3:IPTG-誘導3時間乃至5時間後のイー.コライM15/B4TB2、レーン4:全体の 可溶性プロテイン、レーン5:全体の 可溶化プロテイン by 8Mウルア) 図9の(d)は、ラビット抗-B4多クローン抗体を利用したB4RCIIのウェスタンブロッティングした結果を示したものである。
【図10】図10の(a)は、樹脂結合されたB4RCIIよりB4RCIIを溶出するため、イミダゾール線形濃度勾配を精製グラフで示したものであり、図6の(b)はSDS-PAGEで示したものである。(M1:NEB プレステインド マーカー、レーン1:ノ インダクション セル クルード エクストラクト、レーン2:4hr インダクション セル クルード エクストラクト、レーン3:全体の可溶性プロテイン、レーン4:全体の可溶化プロテイン by 8Mウルア(樹脂結合前)、レーン5:フロースル、レーン6: 洗淨断片 (50mM イミダゾール)、レーン7:溶出断片(500mM イミダゾール)、 各ウェル当 7.5μlずつロード) 図10の(c)は、樹脂結合されたB4RB2よりB4RB2を溶出するため、イミダゾール線形濃度勾配を精製グラフで示したものであり、図10の(d)はSDS-PAGEをもって示したものである。(レーン1 : エルピス プレステインド プロテイン マーカー、レーン2:全体の可溶性プロテイン、レーン3:全体の可溶化プロテイン by 8Mウレア(樹脂結合前)、レーン4 : フロースル、 レーン6:溶出断片(500mM イミダゾール)、各ウェル当 3μlずつロード) 図10の(e)は、樹脂結合されたB4TB2よりB4TB2を溶出するため、イミダゾール線形濃度勾配を精製グラフで示したものであり、図10の(f)はSDS-PAGEで示したものである。(レーン1 : エルピス プレステインド プロテイン マーカー、レーン2 : 全体の可溶性プロテイン、レーン3 : 全体の可溶化プロテイン by 8Mウルア(樹脂結合前)、レーン4:フロースル、レーン5:洗淨断片 (50mM イミダゾール)、レーン6:溶出断片(500mM イミダゾール)-1、レーン7:溶出断片(500mM イミダゾール)-2 各ウェル当 7.5μlずつロード)
【図11】図11は、B4RCII、B4RB2及びB4TB2を注射した時、C57BL/6マウスグループの体重増加を比較したグラフである。青い矢印はDIOのスタート時点を、赤い矢印はワクチン処理する時点を示したものである。
【図12】図12は、B4RCII、B4RB2及びB4TB2を注射に伴う抗B4特異的抗体濃度の変化を示したものである。
【図13】図13は、ワクチンの3次のブースティングした1週間後(16週齢)に得た血清内脂肪成分の濃度を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一つの様態として、本発明はN末端から順次にアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチド;狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープ、またはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ;及びマウスのアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片、またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドが融合された免疫原性ハイブリッドポリペプチドに関する。
【0018】
本発明で使用される用語「エピトープの模造ペプチド」はエピトープの最小部分を模倣するペプチドとして、最小部分エピトープは天然エピトープと類似しているので天然エピトープに対する特異抗体として認識される。またはそのエピトープは天然エピトープに交差結合して抗体力価を増加させられる。模造ペプチドはミモトプ(mimotope)ともいう。このような模造ペプチドは生体内にて非自己に認知され免疫反応において自己耐性の問題を克服できるという長所がある。上記した「アポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチド」はアポリポたんぱく質B-100と特異的に結合する抗体によって認識されることとして、アポリポたんぱく質B-100と特異的に結合する抗体はアポリポたんぱく質B-100を特異的に認識して結合する多クローン抗体と単クローン抗体を含み、これらの断片、例えばFc、Fab、F(ab')2、scFv等も含む。この中で、好ましくは単クローン抗体が使用され、もっと好ましくはMab B9及びB23が使用される。
【0019】
本発明でアポリポたんぱく質B-100エピトープの模造ペプチドは配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を含む。本発明者は韓国特許登録番号第10ー0639397号で開始したようにファージディスプレイペプチドライブラリーからバイオパニングによりアポリポたんぱく質B-100に対する単クローン抗体Mab B9またはMab B23によって認識される模造ペプチド(配列番号1、2及び3)を分離した。上記した配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を含むアポリポたんぱく質B-100エピトープの模造ペプチドは上記した配列番号のアミノ酸配列1個で成り立つ単量体の形態である場合もあるが、免疫原性をもっと増加させるため上記した配列番号のアミノ酸配列が2個以上、好ましくは3個乃至8個、より好ましくは3個乃至6個が連結された多量体の形態を取る場合もあり、もっと好ましくは4個が連結された四量体(配列番号4)の場合もある。多量体の形態を取る場合、単量体を形成するアミノ酸配列は直接的共有結合、またはリンカーを通る共有結合で連結されることもできる。リンカーを通って連結される場合、リンカーに使用されるアミノ酸はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、スレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、リジン及びアルギニン等の中での1個乃至5個のアミノ酸残基で成り立つこともあり、リンカーとして使用される好ましいアミノ酸はバリン、ロイシン、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、プロリン等を挙げられる。もっと好ましくは遺伝子操作の容易性を考慮してバリン、ロイシン、アスパラギン酸等の中で選択された2個のアミノ酸を連結して使用することもある。好ましい模造ペプチドは上記の配列番号1、2及び3の中で選択された2個以上のアミノ酸配列コピーをリンカーを通って連結することによって、準備できる。
【0020】
本発明で使用される用語「T細胞エピトープ」は、適宜な効率でMHCクラスII分子に結合でき、T細胞を刺激したり、またはMHCクラスIIとの複合体でT細胞と結合できるアミノ酸配列を意味する。これはT細胞上に存在する特定受容体によって認識され、B細胞が抗体生産細胞に分化するのに要求される信号を提供する役割もし、細胞毒性T細胞(CTL)を誘導し標的細胞の溶菌を誘導することもある。本発明の目的のため、ヘルパーT細胞エピトープは上記の特定受容体の認識目標として好ましく使用され、本発明の場合、特に狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープを使用する場合、効果が良いということを発見した。
【0021】
狂犬病ウイルスはイヌ、ネコのようなペットだけでなく、家畜、野生の動物にも伝染される疾病として、獣医学的にワクチン接種が必須的である。従って、本発明において狂犬病ウイルスリボヌクレオプロテイン遺伝子(NCBI gene ID ; AF406695)からの遺伝子操作により宿主のヘルパーT細胞エピトープを含む58個のアミノ酸ペプチド断片(R)を導入し、そのアミノ酸配列を配列番号6で示した。(Ertl, H. C. J., et al., ジャーナル オブ ビロロジー , 63(7), 2885-2892, 1989)。
【0022】
B型肝炎ウイルス(HBV)遺伝子の長さは3.2kbであり、4つの重要なたんぱく質に対する情報を有し、S遺伝子(表面抗原たんぱく質)、C遺伝子(コアたんぱく質)P遺伝子(DNA重合酵素)及びX遺伝子で構成されている。この中でS遺伝子の場合、HBsAgをコードしているS領域とpreS領域に分けることができる。preS領域はHBV菌株に伴って、108または119個のアミノ酸をコードしているpreS1とサブタイプに関係なく55個のアミノ酸残基でからなるpreS2に分ける。HBVpreS2たんぱく質は体内の免疫反応過程でヘルパーT細胞を活性化させ、これはHBVに対する抗体形成を促進させる。本発明にて使用したHBVヘルパーT細胞エピトープに対するアミノ酸配列を配列番号7で示した。
【0023】
また、本発明の免疫原性ハイブリッドポリペプチドはC-末端にマウスのアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片、またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドを含む。
【0024】
マウスのアポリポたんぱく質CIIは、主に小腸と肝で生成される分子量8800aD、79アミノ酸残基(Hoffer, M, J., et al., ゲノミックス 17(1), 45-51, 1993)として、カイロミクロン、VLDL及びHDLにて存在し、アポリポたんぱく質リパーゼ(LPL)が酵素活性をするための必須的な補助因子(essential cofactor)の機能を現わす(Storjohann, R., et al., バイオケミカ et バイオフィジカアクタ, 1486, p253-264, 2000)。本発明の好ましい実施例にては、アポリポたんぱく質CIIのLPL活性を調節するC-末端の33個のアミノ酸残基で構成されるペプチドをマウスのアポリポたんぱく質CII遺伝子(NCBI gene ID ; NM009695)よりクローニングし、配列番号8で示した。
【0025】
本発明の免疫原性ハイブリッドポリペプチドのC-末端に結合するアポリポたんぱく質B-100エピトープの模造ペプチドは配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を含む。上記した配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を含むアポリポたんぱく質B-100エピトープの模造ペプチドは、上記した配列番号のアミノ酸配列1個で成り立つ単量体の形態である場合もあるが、免疫原性をもっと増強させるため上記した配列番号のアミノ酸配列が2個乃至4個が連結された多量体の形態を取る場合もあり、好ましくは2個が連結された二量体である場合もある。多量体の形態を取る場合、単量体を形成するアミノ酸配列は直接的に、またはリンカーを通って共有結合で連結されることもある。
【0026】
本発明で使用される用語「免疫原性」というのは、細胞性免疫及び体液性免疫反応の両方を誘導して、異物質に対処する能力をいい、このような免疫反応を誘導する物質を免疫原という。本発明は免疫原性物質としてアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープ、狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、及びアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片で成り立つ融合ポリペプチドを使用する。
【0027】
本発明においてのペプチドの場合のように、B細胞エピトープとT細胞エピトープのエピトープ部分が融合され免疫原性物質として使用される場合、T細胞エピトープがポリペプチドの折り畳み構造の内側に、B細胞エピトープが外側に位置する場合のみ効率的な免疫反応が誘導されるというのは周知の事実であるところ(パルティド C, et al., Eur ジェー イムノル., 22(10) : 2675-80, 1992)、本願発明者たちは、アポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドとT細胞エピトープだけを連結させた既存のB4T融合ポリペプチドの構成に追加して、T細胞エピトープのC-末端にアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片、またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドを追加連結させ、その結果、本発明においての融合ポリペプチドはT細胞エピトープがB細胞エピトープにより囲まれて、外に露出される部分が最小化され、融合ポリペプチドの折り畳み構造がもっと安定化されるだけでなく、より均一な抗体反応を誘導できるということを確認した。
【0028】
本発明で使用される用語「ポリペプチド」は、2個以上のアミノ酸を含む残基が共有ペプチド結合により結合されたフルレングスのアミノ酸鎖を含む用語としてジペプチド 、トリペプチド 、オリゴペプチド 及びポリペプチド 等が含まれ、特に本発明では数個乃至数十個のアミノ酸が共有結合されたペプチド
2種以上が互いに連結されたハイブリットポリペプチドを意味する。ポリペプチドを構成する各々のペプチド配列は上記したようなエピトープに該当するアミノ酸配列を含み、それに隣接に配置された配列を含むこともある。これらのペプチドはLーアミノ酸、Dーアミノ酸または2種の相違な配置のアミノ酸の多様な構成ができる。
【0029】
本発明で使用される用語「ハイブリッドポリペプチド」は、一般的に起源の違う他の異種のペプチドが連結された様態のペプチドを称し、本発明ではB細胞エピトープに狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープ(R)、またはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ(T)、及びアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片(CII)、またはアポリポたんぱく質B-100のB細胞エピトープの模造ペプチドを連結した様態のペプチドを意味する。
【0030】
好ましい一つの様態で、本発明に従うハイブリッドポリペプチドは、配列番後1のアミノ酸配列を有するペプチド4個が連結されたポリペプチド(B4)、上記のペプチドのC−末端に連結された狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープ(R)及び、上記のヘルパーT細胞エピトープのC−末端に連結されたマウスアポリポたんぱく質CIIのC−末端ペプチド断片(CII)が融合されたポリペプチド(B4RCII)を意味する(配列番号9)。他の様態では、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチド4個が連結されたポリペプチド(B4)、上記のペプチドのC−末端に連結された狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープ(R)、及び上記のヘルパーT細胞エピトープのC−末端に連結された配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチド2個が連結されたポリペプチド(B2)が融合されたポリペプチド(B4RB2)を意味する(配列番号10)。また他の様態では、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチド4個が連結されたポリペプチド(B4)、上記のペプチドのC−末端に連結されたB型肝炎ウイルスの表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ(T)、及び上記のヘルパーT細胞エピトープのC−末端に連結された配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチド2個が連結されたポリペプチド(B2)が融合されたポリペプチド(B4RB2)を意味する。(配列番号11)
【0031】
本発明のハイブリッドポリペプチドは、全面的に上記したようなB細胞エピトープ、狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープ、またはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、アポリポたんぱく質CIIのC−末端ペプチド断片、及び任意にこの引接配列を含む抗原性部分だけでなることもでき、付加配列も含まれる。しかし、このような付加配列は全体の免疫原性を減少させないことが好ましい。このような付加配列ではリンカー配列を例として挙げられる。リンカーを通じて連結される場合、これによる免疫反応誘導に不利な影響を及ぼさないように選定されるべきである。
【0032】
また他の様態として、本発明は上記した免疫原性ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びこれを含む再結合ベクター、また上記の再結合ベクターに形質転換された宿主細胞及び、上記の宿主細胞を培養し、上記のポリペプチドを生産する方法に関することである。
【0033】
本発明のハイブリッドポリペプチドは、各々のパートナーが決定した後、化学的に合成したりまたは遺伝子再結合の方法で発現及び精製し取得できる。具体的に、遺伝子再結合の方法で本発明の免疫原性ハイブリッドポリペプチドを生産する過程は次の段階を含む。
【0034】
最初に、ハイブリッドペプチドをコードする遺伝子をベクターに挿入し、再結合ベクターを製造する段階である。外来遺伝子を挿入するためのベクターとしては、プラスミド、ウイルス、コスミド等、多様な様態のベクターを使用できる。再結合ベクターは、クロニングベクター及び発現ベクターを含む。クロニングベクターは複製基点、例えば、プラスミド、バクテリオファージまたはコスミドの複製起点を含み、他のDNA断片が付着され、その付着された断片が複製されることができる「レプリコン」である。発現ベクターは、たんぱく質を合成するに使用されるように開発された。再結合ベクターは、通常の外来DNAの断片が挿入された媒介体として、一般的に二本鎖DNAの断片を意味する。ここで用語「外来DNA」とは、外来種から起源されるDNAを意味したり、同一な種から起源される場合には、本来の様態から実質的に変形された様態を意味する。また、細胞で正常的に発現、変化されないDNA配列も含む。この場合、外来遺伝子は伝写される特定な目的の核酸としてポリペプチドを暗号化する。再結合ベクターは、宿主細胞で形質感染遺伝子の発現水準を高めるために、当該の遺伝子が選択された発現宿主内で機能を発揮する伝写及び、解読発現の調節配列に作動が可能するように連結されるべきである。上記の再結合ベクターは個体の細胞内で遺伝子挿入物が発現されるように作動が可能に連結された必修的な調節要素を含む遺伝子作製物として、このような遺伝子作製物を製造するため標準再結合DNA技術を用いられる。再結合ベクターは、原核細胞及び真核細胞の各種の宿主細胞で目的とする遺伝子を発現し、目的とするたんぱく質を生産する機能をしたら、その種類が特に限定されないが、強力な活性を示すプロモーターと強い発現力を保有しながら自然の状態と類似した様態の外来たんぱく質を大量に生産できるベクターが好ましい。再結合ベクターは少なくとも、プロモーター、開始コドン、目的とするたんぱく質を暗号化する遺伝子、終結コドン、ターミネーターを含んでいることが好ましい。それ以外に、信号ペプチドをコードするDNA、エンハンサー配列、目的とする遺伝子の5'側、及び3'側の解読されない領域、選別マーカー領域、または複製可能段位等を適宜に含まれる。
【0035】
2番目、上記の再結合ベクターを使用して宿主細胞を形質転換させた後、培養する段階である。再結合ベクターを宿主細胞に導入し形質転換体を製造するための方法としては、文献(Sambrook, J., et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual(2版), Cold Spring Harbor Laboratory, 1.74, 1989)に記されたリン酸カルシウム法、または塩化カルシウム−塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法(Electroporation)、電気注入法(Electroinjection)、PEG等の化学的処理方法、遺伝子銃(Gene gun)等を用いる方法等がある。上記の再結合ベクターが発現される形質転換体を栄養培地で培養すると、有用なたんぱく質を多量に製造、分離可能である。培地と培養条件は、宿主細胞によって慣用されるのを適当に選択し用いられる。培養の時、細胞の成育とたんぱく質の大量生産に適合するように温度、培地のpH及び培養時間等の条件を適宜に調節するべきである。本発明に従う再結合ベクターに形質転換されることができる宿主細胞は、原核細胞と真核細胞全部を含みDNAの導入効率が高く、導入されたDNAの発現効率の高い宿主が通常使用される。細菌、例えば、大腸菌、シェードモナス、バチルス、ストレプトミセス、真菌、イーストのような周知の真核及び原核宿主ら、Spodoptera frugiperda(SF9)のような昆虫細胞、CHO、COS1、COS7、BSC1、BSC40、BMT10等の動物細胞等が使用されることのできる宿主細胞の例である。好ましくは、イー・コライが使用されることもできる。
【0036】
3番目に、ハイブリッドペプチドの発現を誘導、蓄積する段階である。本発明では、誘導因子IPTGを使用してペプチドの発現を誘導し、誘導時間はたんぱく質の量を最大化されるように調節した。
【0037】
最後に、ハイブリッドペプチドを分離、精製する段階である。一般的に、再結合的に生産されたペプチドは培地または細胞分解物から回収できる。膜結合形の場合、適合な界面活性剤溶液(例、トリトン−X100)を使用したり、または酵素的な切断により膜から遊離されることができる。ハイブリッドペプチドの発現に使用された細胞は、凍結−解凍の繰り返し、音波処理、機械的破壊または細胞分解剤のような多様な物理的、または化学的手段により破壊されることもでき、通常的な生化学分離技術により分離、精製が可能である。(Sambrook J., et al., Molecular Cloning, : A Laboratory Manual, (2版), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989 ; Deuscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, Vol.182. Academic Press. Inc., San diego, CA, 1990)電気泳動、遠心分離、ゲル濾過、沈殿、透析、クロマトグラピー、(イオン交換クロマトグラピー、親和力クロマトグラピー、免疫吸着親和力クロマトグラピー、逆状HPLC、ゲル浸透HPLC)等、電性フォーカス及びこの多様な変化及び複合方法を含むが、これに限定されない。
【0038】
本発明者は好ましい実施例として、B細胞エピトープを有するが、これ自体ではT細胞エピトープの部分が欠如されている抗肥満機能的ペプチドのアポリポたんぱく質B−100模造ペプチドの四量体様態のB4のC−末端部分とT細胞エピトープを有する狂犬病ウイルスのヌクレオたんぱく質遺伝子の一部(R断片)及びマウスアポリポたんぱく質遺伝子の一部(CII断片)を連結し、B4RCII遺伝子断片を作製した(図3)。B4断片は、韓国特許登録番号第10−0639397号で開始したB4断片を使用し、アポリポたんぱく質CIIとRVNP(Rabbis Virusのたんぱく質中ヘルパーT細胞のエピトープが存在する核たんぱく質部分)は、RT−PCR法により各々の遺伝子を得た。B4RCIIの発現のためにはpQE30プラスミドを使用したが、これはベクター自体内にある開始コドンからたんぱく質の発現が開始され、精製を便利にするためヒスチジン6個も共に発現され、エンテロキナーゼ部位も発現される。このように発現されるたんぱく質は、アミノ酸の分子量で計算された大きさが約21KDaであり、SDS−PAGEで計算され大きさは約22KDaであった。時間帯別にサンプルを得て、SDS−PAGEを通じて発現されることを確認した(図9)。
【0039】
また他の様態として、本発明は上記の免疫原生ハイブリッドポリペプチドを含む肥満予防、または治療用ワクチン組成物に関することである。
【0040】
上記したように、ペプチドワクチンのデザインに一貫的に適用できる様態が存在しないし、デザインされたワクチンの効能も予測できない。同一な理由で、疎水性の強いB4ペプチドを異種ペプチドであるT細胞エピトープと融合させる場合、かえって抗原性を示す部位を分子内部へ内面化させ、抗体誘導能が低下される可能性もある。このように、その結果を類推し難い状況で、本発明者たちはN−末端から順次にアポリポたんぱく質B−100のB細胞エピトープの模造ペプチドに狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ及びアポリポたんぱく質CIIのC−末端ペプチド断片、またはアポリポたんぱく質B−100のB細胞エピトープの模造ペプチドを融合させた融合ポリペプチドを設計し、抗肥満に対するこれらの免疫原生を証明した。
【0041】
本発明に従う免疫原生ハイブリッドポリペプチドを上記したように遺伝子再結合の方法により発現、及び精製し、マウスに接種した後、動物個体の(a)体重増加の推移観察、(b)血清内の抗体力価の観察、及び(c)血清内の脂質含量の変化を通じて免疫反応の効果を検定し、抗原の優秀な様態を証明した。その結果、ハイブリッドポリペプチド(B4RCII、B4RB2、及びB4TB2)にワクチン化されたグループが対照グループに比べて体重増加が抑制され、模造ペプチドに対する抗体力価が高くて残存期間も長いし、TG、及びLDL−コレステロール数値も下がると確認した。
【0042】
具体的に、抗原注射による体重変化を6週齢ICRマウスに、精製したB4RCII、B4RB2、及びB4TB2を腹腔に50μg/150μlに2週間ごと3回注射した後、体重変化を体重増加グラフで確認した(図11)。1次ブースチングの以後、高脂肪食を食べさせDIO(Diet Induced Obesity)を誘導した。1次注射とブースチングの時までは、各グルーフ別身体質量は22乃至23gで類似していたが、DIOを始まった以後、対照群(肥満、Obesity)は急激に体重が増加した反面、B4RCII、B4RB2、及びB4TB2を注射したグルーフは軽微な体重増加を見せた。14週齢(1次の注射から8週経過)の時、対照群とB4RB2を注射したグルーフの体重の差は約8gが現われた。これは、最初の注射(Primary)により微弱な免疫反応が2次注射によりブースチングされた後、増強された免疫応答反応により体重増加が抑制されるのを示唆されたことである。そして、3次注射後の体重増加の偏差は予想通り維持されていることと測定された。
【0043】
また、ワクチン処理されたグルーフでICRマウスの抗体力価は7、10、12、14、16、18週齢で間接的ELISA分析をした(図12)。また、血清内の脂質水準はワクチン処理されたグルーフがワクチン処理されなかった対照群(肥満)グルーフより全体的に総コレステロール(TC)、中性脂肪(TG)、HDLコレステロール、及びLDLコレステロールの数値が低く現われた。(図13)
【0044】
上記の結果から、本発明によるB4RCII、B4RB2、及びB4TB2融合ポリペプチドは効果的な抗肥満用ワクチンとして使用できることを示す。これら融合ポリペプチドは、既存のB4T融合ポリペプチドに比べてさらに均質で安定的な免疫反応を誘導することにより、効果的な抗肥満用ワクチン組成物を構成することができる。
【0045】
本発明の抗肥満ワクチンは、抗原、薬剤学的許容可能な担体、適宜な補助剤、及び他の通常的な物質で構成され、免疫学的効果量を投与する。本発明で「免疫学的効果量」というのは、肥満治療及び、予防効果を示す程度の十分な量と副作用や深刻な、または過度な免疫反応を起こさない程度の量を意味し、正確な投与濃度は投与される特定の免疫原により異なり、免疫反応の発生を検査するため当業者が公知の方法を用いてこれを決定できる。また、投与様態、及び経路、受容者の年齢、健康、及び体重、症状の特性と程度、現在の治療法の種類、及び治療回数により変化できる。担体は当分野の公知のもので安定化剤、希釈剤、及び緩衝液を含む。適宜な安定化剤はソルビトール、ラクトース、マン二トール、澱粉、糖、デキストラン及び葡萄糖のような炭水化物;アルブミン、またはカゼインのようなたんぱく質などを含む。適宜な希釈剤には、塩、Hanks均衡塩、及び点滴液などを含む。適宜な緩衝液には、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、及びアルカリ土金属炭酸塩などを含む。また、ワクチンには免疫反応を改善、または強化させるため1個以上の補助剤等を含む。適宜な補助剤にはペプチド;水酸化アルミニウム;リン酸アルミニウム;酸化アルミニウム;Marcol52のようなミネラルオイル、または植物性オイル及び1個以上の乳化剤で構成された組成物またはリゾレシチン、多重陽イオン、多重陰イオンのような表面活性物質等を含む。本発明のワクチン組成物は、個別治療剤として投与したり、他の治療剤と併用して投与されることができ、従来の治療剤と順次に、または同時に投与することができる。ワクチン組成物は、公知の投与経路を通じて投与される。このような方法には、経口、経皮、筋肉、腹膜、静脈、皮下、鼻腔の経路を用いられるが、これに限定されない。また、製薬組成物は、活性物質が標的細胞へ移動できる任意の装置により投与されることができる。
【実施例】
【0046】
以下の実施例を通じて、本発明をより具体的に説明する。これはただ例示するためのことで、下記の実施例により本発明の範囲が限定されることはない。
【0047】
実施例1.実験材料及び実験動物の準備
DNAミニプレプキット(Miniprep kit)とゲルでDNAを抽出するため使用されたキットはヌクレオジュン製品を、細胞培養に必要なバクト−トリプトン(Bacto-trypton)、バクト−酵素抽出物(Bacto-yeast extract)、細菌培養基(Agar)等はDifco社(Detroit、MI)製品を、制限酵素はタカラ製品を、T4DNAリガーゼはNEB製品を使用した。使用ベクターは、ブルースクリプトIISK(Stratagene社)、PCR2.1(インビトロジェン、カールスバッド、CA)、pQE30(キアゲン社)を、菌種はイー・コライJM109及びM15(キアゲン社)を使用した。
【0048】
たんぱく質の生成を誘導するためのIPTGはシグマ社製品を、発現されたたんぱく質を精製するため使用されたNi−NTA樹脂はアマシャム製品を使用した。SDS−PAGE及びウェストンブロッティング、ECL等に使用された予備染色されたマーカー(Prestained marker)にはNEB社の製品を使用した。たんぱく質を変成状態に作るため使用されたウレアは、Duchefa製品を使用した。精製に使用されたイミダゾールは、USB製品を使用した。透析に使用された膜は、MWCO3500スペクトラム製品で、たんぱく質の凝集防止のため使用された試薬はCHAPSでAmersco製品である。ELISAに使用された抗体は、HRP結合された抗−マウスIgGとしてシグマ製品を使用した。ウェストンブロッティングとECLに使用された基質溶液としては、BCIP/NBTで、シグマ社の製品である。また、ECLplusウェストンブロッティングの検出試薬は、アマシャム製品を使用した。補助剤は、フロインド アジュバントでシグマ社製品と水酸化アルミニウム(Aluminum hydroxide;Reheis社)を使用した。 たんぱく質の濃縮は、BCAたんぱく質検査法(ピアス社)とブラッドフォード検査法(バイオラッド社)で実行した。
【0049】
ICRマウスは(株)中央実験動物で購入し、6週齢以上の雌を使用した。ICRマウスはブースティングの時まではノーマルダイエットを(株)Samtako製品、成分:天然たんぱく質18%以上、粗脂肪5.3%以上、粗繊維4.5%、無機物8.0%)で飼育し、それ以後は高脂肪食(60%kCal fat、D12492、リサーチ ダイエット Inc.、ニューブランズウイック、NJ)で飼育した。
【0050】
実施例2:マウスApoCII遺伝子複製
2−1.マウスの肝組織から全体RNAの分離
全体RNAの分離は、トリゾール(インビトロジェン)を使用して分離し、RNA分離に使用された全ての溶液は0.1%のジエチルピロカーボネート処理したウォーター(DEPC−dH2O)で処理しRNase活性を阻害した。マウスから分離した肝組織50mg当りトリゾール2mlを加え、均質化し粉砕した。氷で20分間反応させた後、粉砕物を4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。たんぱく質を除外するように注意しながら新しいチューブに上層液だけを移した後、200μlのクロロホルム(Merck)を入れて30秒間ボルテックスした。氷で20分間反応させた後、混合物を4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。新しいチューブに上層液だけを移し、同量のフェノール−クロロホルム、0.2Mアセト酸ナトリウム(pH5.2)を入れて5秒間ボルテックスした。氷で20分間反応させた後、混合物を4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。上層液と同一量のイソプロパノール(Merck)を加え混ぜ、−70℃で1時間保存した後、4℃、14000rpmの速度で10分間遠心分離し、全体RNAペリット(Pellet)を確認できた。RNAペリットを1mlの75%エタノールで洗って乾燥させ、DEPC−dH20で再均質化させた後、−70℃で保存した。RNA濃度はGenequantII(ファルマシア バイオテック)で測定し、分離したRNAは1%アガロースゲル(0.5TAE)で1μlを電気泳動して確認した。
【0051】
2−2.全体RNAを用いたcDNA合成O
cDNA合成はcDNA サイクルTMキット(インビトロジェン)を使用した。PCRチューブに上記で得たRNAを400ng入れ反応溶液の体積が11.5μlになるようにDEPC−dH20を入れた。オリゴdTプライマー1μlを入れ十分に混ぜて65℃のウォーターバスで10分間、室温で2分間反応させた。これに、RNase反応抑制剤1.0μl、5X RTバッファ4.0μl、100mM dNTPs1.0μl、80mMピロリン酸ナトリニウム(Sodium Pyrophosphate)1.0μl、AMV逆転写酵素0.5μlを加え、軽く叩いて混ぜた後、42℃のウォーターバスで1時間、95℃で2分間反応させた後、素早く氷で保存した。0.5MEDTA(pH8.0)1.0μl、フェノール−クロロホルム20μlを入れてボルテックスした後、4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。上層液を新しいチューブへ移し、アンモニウムアセテート22μl、75%エタノール88μlを入れてボルテックスした後、−70℃で一晩保存した。4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した後、上層液を捨て、ペリットを20μlの3次蒸留水で再懸濁(Resuspension)させ、1%のアガロースゲル(0.5%YAEバッハァ)で電気泳動して確認した。
【0052】
2−3.マウスアポリポたんぱく質CIIC−末端のPCR
本実験に使用された全てのPCRは、DNAサーマル サイクラー480を使用した。マウスアポリポたんぱく質CIIのリパーゼ activating リージョンを含む99個の遺伝子を増幅するためApoCII−センスプライマー(5’tc aga GTC GAC gat gag aaa ctc agg gac 3’)とApoCII−アンチセンスプライマー(5’tat AAg CTT ggg ctt gcc tgg cag cag cta c 3’)を使用してPCRを遂行した。まず、PCRチューブにApoCII−センスプライマーとApoCII−アンチセンスプライマー(2pmol/μl)を各々1μlずつ入れ、2.2.1.2で作ったcDNAを2μl入れた。10Xバッハァ5μl、dNTP8μl、TaqDNA重合酵素(タカラ社)1μlを入れ、最終体積が50μlになるように準備した。PCR条件は94℃で5分反応させた後、98℃で30秒、56℃で30秒、72℃で30秒を1セットとして30回反復反応させた後、72℃で5分反応させ氷で保存した。1.5%アガロース(0.5%TAEバッハァ)で1μlを電気泳動して確認した(図1b)。
【0053】
2−4.ApoCII/pQE30の作製
ApoCII断片を得るためApoCIIPCR断片は、ApoCIISalIとHindIIIとこの断片を挿入するためのpQE30ベクターもSalIとHindIII制限酵素を用いて切り出した。
【0054】
pQE30とCII断片をT4DNAリガーゼを用いて16℃で夜通し連結させた。たんぱく質を発現させるため選択されたベクターシステムは、pQE30プラスミドシステムとして、このべクターは発現させようとするたんぱく質の6Xヒスチヂンアミノ酸と融合たんぱく質の様態で発現され精製し易くなるように考案された。再結合プラスミドは、JM109イー・コライに形質転換され増幅された。上記の形質転換体から標本を抽出し得たプラスミドはSalIとHindIIIで処理した後、遺伝子断片の挿入を確認した。
【0055】
実施例3.RCII人工遺伝子の作成
3−1.狂犬病ウイルス(Rabies virus)ストレーンERAから遺伝子RNAの分離
全体のRNA分離は、トリゾール(インビトロジェン)を使用して分離し、RNA分離に使用された全ての溶液は0.1%ジエチル ピロカーボネート処理したウォータ(DEPC−dH2O)で処理してRNase活性を阻害した。狂犬病予防ワクチンに入っている狂犬病ウイルスからトータルRNAを分離するため、まずワクチン1.2mlに2.5MNaClを含む20%(W/V)ポリエチレングリコール−8000溶液を200μl加え1時間氷で放置した後、14000rpm、4℃で10分間遠心分離した。このようにして得られたウイルスペリットに、トリゾール1mlを加えピペット(Pipetting)して十分に混ぜた。氷で20分間反応させた後、粉砕物を4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。たんぱく質を除外するように注意しながら、新しいチューブに上層液だけを移した後、200μlのクロロホルムを入れ30秒間ボルテックスした。氷で20分間反応させた後、混合物を4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。新しいチューブに上層液だけを移し、同量のフェノール−クロロホルム、0.2Mアセト酸ナトリウム(pH5.2)を入れて5秒間ボルテックスした。氷で20分間反応させた後、混合物を4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。上層液と同一量のイソプロパノール(Merck)を添加して混ぜ、−70℃で1時間保存した後、4℃、14000rpmの速度で10分間遠心分離し、全体のRNAペリットを確認できた。RNAペリットを1mlの75%エタノールで洗って乾燥させ、DEPC−dH2Oで再均質化させた後、−70℃で保存した。RNA濃度はGenequantII(ファルマシア バイオテック)で測定し、分離したRNAは1%アガロースゲル(0.5%TAE)で1μlを電気泳動して確認した。
【0056】
3-2.ゲノムRNAを用いたcDNA合成
cDNA合成はcDNAサイクルTMキット(インビトロジェン)を使用した。PCRチューブに、上記で得たRNAを400ng入れ、反応溶液の体積が11.5μlになるようにDEPCーdH2Oを入れる。ランダムな六量体約1μlを入り十分に混ぜて、65℃のウォーターバスで10分間、室温で2分間反応させた。ここに、RNase阻害剤1.0μl 、5X RTバッファ4.0μl、100mM dNTPs 1.0μl、80mMのピロリン酸ナトリウム1.0μl、AMV逆転写酵素0.5μlを加え軽く叩いて混ぜた後、42℃のウォーターバスで1時間、95℃で2分間反応させて、素早く氷に保管した。0.5M EDTA(pH8.0)1.0μl、フェノール-クルロロポム20μlを入れてボルテックス(vortex)した後、4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した。上層液を新しいチューブに移し、酢酸アンモニウム(ammonium acetate)22μl、75%のエチルアルコール88μlを入れてボルテックスした後、-70℃で夜通し保管した。4℃、14000rpmの速度で15分間遠心分離した後、上層液を捨て、ペリットを20μlの3次蒸溜水で再懸濁させ、1%アガロースゲル(0.5%TAE バッファ)で電気泳動で確認した。
【0057】
3-3.狂犬病ウイルス(Rabies virus)ストレーンERA核たんぱく質遺伝子のPCR
狂犬病ウイルス(Rabies virus)ストレーンERAの核たんぱく質遺伝子の中、T細胞エピトゥプに明らかになった(2)174個の遺伝子を増幅するためにより、RVNP-センスプライマー(5’-ATA CTC GAG GAC GTA GCA CTG GCA GAT G-3’)とRVNP-アンチセンスプライマー(5’-ATA CTC GAG GTT TGG ACG GGC ATG ACG-3’)を使用してPCRを遂行した。まず、PCRのチューブにRVNP-センスプライマーとRVNP-アンチセンスプライマー(2pmol/μl)を各々1μlずつ入れ、2.2.2.2で作ったcDNAを2μlを入れた。10Xのバッファ5μl、dNTP 8μl、タク(Taq)DNA 重合酵素(タカラ) 1μlを入れ、最終体積が50μlになるように準備した。PCRの条件は94℃で5分間反応した後、98℃で30秒、54℃で30秒、72℃で30秒を1セットにして30回反復反応させた後、72℃で5分間反応させ氷に保管した。1.5%アガロースゲル(0.5%TAE バッファ)で1μl電気泳動で確認した。
【0058】
3-4.RCII/pQE30の作製
R断片を得るために、RVNP PCR断片はXhoIで、この断片を挿入するためのApoCII/pQE30ベクターはXhoIとSalI制限酵素を用いて切り出した。線形化されたApoCII/pQE30とR断片をT4DNAリガーゼを用いて、16℃で夜通し結合させた。JM109イー.コライ(E. coli)ストレーン(strain)に形質変換させた後、プラスミドを分離してSalIとHindIIIで切断して、断片が正しい方向に挿入されたことを確認した。
【0059】
実施例4.B4RCIIベクターの作成
韓国特許登録番号第10ー0639397号で開始したようなpQE30に入っているB4断片をXhoIで切断し得た。RCIIの断片が挿入されているpQE30ベクターをXhoIで切断した後、上記で得たB4断片とT4DNA重合酵素で16℃に夜通し結合させて、B4RCII/pQE30(B4RCII)を得た。固定された(anchoring)B4RCIIの塩基配列を確認するために、(株)コスモジンテクにDNA配列をプラスミド濃度300〜500ng/μlで依頼した。また、B4RCII/pQE30ベクターに形質変換させたイー・コルライJM109からプラスミドを分離してSalIで切断し、断片が正しい方向に挿入されたことを確認した(図2b)。B4RCIIのアミノ酸配列は配列番号9で示した。
【0060】
実施例5.B4RB2ベクターの作成
韓国特許登録番号第10ー0472841号で開始したBX2/pQE30(pB2)ベクターをXhoIとSalI制限酵素を用いて切り出し、線形化されたBX2/pQE30と実施例3で得たR断片をT4DNAリガーゼを用いて、16℃で夜通し結合させてRBX2/pQE30(pRB2)を得た。
【0061】
実施例4で得たB4RCIIをXhoIの制限酵素で切り出しB4断片を得た後、XhoIで切断したpTB2とT4DNAリガーゼを用いて、16℃で15時間以上反応させ、B4RBX2/pQE30(B4RB2)を得た。B4RBX2/pQE30ベクターに形質変換させたイー・コルライJM109からプラスミドを分離し、SalIで切断し断片が正しい方向に挿入されたことを確認した(図2c)。B4RB2のアミノ酸配列は配列番号10で示した。
【0062】
実施例6.B4TB2ベクターの作成
韓国特許登録番号第10-0472841号で開始したBX2/pQE30(pB2)ベクターをSalIとXhoIの制限酵素を用いて切り出し、線形化されたBX2/pQE30を得て、韓国特許登録番号第10-0639397号で開始したPCR2.1ベクターをSalIの制限酵素を用いて切り出し、T断片を得る。上記の線形化されたBX2/pQE30とT断片をT4DNAリガーゼを用いて16℃で、夜通し結合させてTBX2/pQE30(pTB2)を得る。
【0063】
韓国特許登録番号第10-0639397号で開始したpブルースクリプト(pBluescript)IISKをSalIとXhoIの制限酵素を用いて切り出しB4断片を得て、SalIで切断したpTB2とB4断片をT4DNAリガーゼを用いて16℃で夜通し結合させ、B4TBX2/pQE30(B4TB2)を得た。B4TB2/pQE3ベクターに形質変換させたイー・コルライJM109からプラスミドを分離して、SalIとHindIIIで切断し、断片が正しい方向に挿入されたことを確認した(図2d)。B4TB2のアミノ酸配列は配列番号11に示した。
【0064】
実施例7.再結合B4RCII、B4RB2及びB4TB2の発現
ペプチドの発現に使用した宿主細胞はM15として、アンピシリンとカナマイシンが含有されたLB培地に塗抹してコロニを得た後、Amp(50μg/ml)とKan(50μg/ml)が含有されたLB培地10mlで夜通し培養した。時間変化に伴うたんぱく質の流入を調べてみるために、夜通し培養した培養液の中1mlを新鮮なLB培地50mlに注入した。本培養液を600nmで吸光度が0.4乃至0.5になるまで37℃で1時間30分間揺すりながら培養した後、最終1mMの濃度になるようにIPTGを加えて5時間培養を続け、毎1時間ごとに1mlずつ分取った。IPTGを加える前に1mlを予め取り非誘導対照群で使用した。各々の培養液は14000rpmで1分間遠心分離してペリットを得た後、2X SDSサンプル バッファ30μlに溶かしてSDSーPAGEの時サンプルで使用した。そのようにして、計算されたたんぱく質の大きさは、各々B4RCIIは22kDa、B4RB2は21kDa、B4TB2は20kDaで、時間帯別にサンプルを取りSDS-PAGEを通じて発現されることを確認した結果を図9(a)、(b)、(c)に示した。
【0065】
実施例8.再結合B4RCII、B4RB2及びB4TB2のウェスタンブロッティング (western blotting)
SDS-PAGEで大きさの分析を通じてB4RCII、B4RB2及びB4TB2を確認したが、正確なたんぱく質が発現されるのを確認するために、B4RCII、B4RB2及びB4TB2を認識することができる2種類の抗体を用いて、ウェスタンブロッティングを遂行した。ウェスタンブロッティングの対照群ではM15にクローニングされないpQE30ベクターを形質転換させて使用した。サンプルはIPTGに誘導する前のものと誘導後4時間のものにした。
【0066】
1次抗体はラビット抗-B4多クローン抗体を、PBSで1:10000に希釈して使用した。1次抗体を認識することができる2次抗体は、ペルオキシダーゼが結合しているゴート(goat)抗-ラビットIgGをPBSで1:10000に希釈して使用した。発色反応はECLPlusウェスタンブロッティングキットを使用し、膜をカセットに入れて富士医学(Fiji medical)のX-線フィルムを入れた後、10秒間露出して現像した。図9(d)で示されたようにB4RCIIが正確に発現したことを確認することができた。
【0067】
実施例9.再結合B4RCII、B4RB2及びB4TB2のバクテリア細胞の位置確認
実施例5の方法のように、誘導された細胞を4℃、9000rpmで30分間遠心分離した後、得られたペリットを、しばらく-20で凍らせて氷で溶かした後、超音波分解緩衝液をペリットの1gに対して5mlの割合で入れて再懸濁した。細胞を溶解させるために30秒ずつ15サイクル(サイクルの間に1分間休止)で超音波破砕した。4℃、9000rpmで30分間遠心分離して上層液を分離し、可溶性たんぱく質が入っている加工されなかったものを抽出物Aで、残っているペリットは不溶性たんぱく質が入っている加工されなかったものを抽出物Bで使用した。各々サンプルに2XSDSサンプル緩衝液を混ぜ、95で5分間沸かした後SDS-PAGEを遂行した(図10)。
【0068】
実施例10.再結合B4RCII、B4RB2及びB4TB2の精製用緩衝溶液の製造
ソニケーション(sonication)バッファは5mMイミダゾール、0.5MNaCl、20mMトリス-Cl、pH7.9、結合バッファは5mMイミダゾール、0.5M NaCl、20mMトリス-Cl、8Mウレア、pH7.9、ウオッシング(washing) バッファは50mMイミダゾール、0.5MNaCl、20mM トリス-Cl、8M ウレア 、pH7.9、イルーション(elution)バッファは400mMイミダゾール、0.5M NaCl、20mM トリス-Cl、8Mウレア、pH7.9にした。
【0069】
実施例11.再結合B4RCII、B4RB2及びB4TB2の精製
ペプチドを精製するために、ヒスチジンタグ(tag)たんぱく質用のNi-NTA樹脂(Novagen)を使用した。この樹脂は樹脂に結合されているNi+とN-末端にヒスチジンヘキサマー(ヒスチジン六量体)融合たんぱく質が相互作用する性質を用いることで、親和力を用いた親和性クロマトグラフィーの一つの方法である。LB培地10mlを夜通し培養した培養液を500mlのLB培地に全量注射し、600nmで吸光度が0.4乃至0.5になるまで37℃で培養した。IPTGを1mM加えて4時間培養した後、4℃、9000rpmで30分間遠心分離して、細胞ペリットを得て-20℃に置いた。氷で溶かしたペリットに超音波粉砕緩衝液を湿潤細胞と5ml/gの割合で入れ再懸濁させて、超音波粉砕を遂行した。実施例5のような方法で超音波粉砕をして細胞を溶解させ、4℃、9000rpmで30分間遠心分離してペリットを得る。残っていた上層液の体積と同一な結合緩衝液をペリットに入れた後再懸濁させ、細胞残骸を除去するために超音波粉砕を3サイクル遂行した。これをまた4℃、9000rpmで30分間遠心分離して得た上層額を精製用サンプルに使った。
【0070】
Ni-NTA樹脂パッキングコラムの大きさは直径1cm、高さ15cmであり、樹脂は2ml、流速は2ml/分にした。樹脂をコラムにパッキングした後、3乃至5倍の体積の蒸溜水で洗浄し、5倍の体積のIX荷電された緩衝液(50mM NiSO4)を流しNi2+を結合した後、結合緩衝液で平衡化してNi-キレート化親和性樹脂を製造した。樹脂にサンプルローディングを2サイクル遂行した。このようにしてサンプルローディングが完了すれば、また結合緩衝液で1.0範囲の280nm吸光度で基線に到達するまで流した。その後、洗浄緩衝液で10分間流して平衡化が完了すれば、溶出緩衝液を流しながら溶出されるたんぱく質をチューブに集めた。精製されたたんぱく質は8Mウレア状態で、ウレアを除去するためにPBSを使用して透析を遂行した。また、たんぱく質の正確な折り畳み構造のために、徐々にウレアの濃度を下げながら遂行した。その結果、図6(a)、(c)、(e)に示したように、クロマトグラフィー過程の中に280nm吸光度をグラフに各々示し、図10(b)、(d)、(f)に示したように段階別に得た断片を各々SDS-PAGEで確認した。
【0071】
実施例12.再結合B4RCII、B4RB2及びB4TB2の定量
B4RCIIはPBSで徐々に透析を遂行し、ウレアの濃度を下げても、たんぱく質の凝集による沈殿が発生しなかったので、この状態でたんぱく質の定量を遂行した。定量はBCAたんぱく質の定量法、UV吸収法を用いて実施した。BCAたんぱく質の定量法に使用した標準は2mg/mlのBSAを1000、500、250、 125、62.5μg/mlに順次に希釈して用いた。BCA分析は溶液A:溶液Bを50:1の割合で作り、サンプルと37℃で30分間反応させ562nmで吸光度を測定し、定量線を用いてたんぱく質の濃度を定量した。UV吸収法はB4RCIIの価は163で280nmでの吸光度を価に分けて濃度を決定した。
【0072】
実施例13.ICRマウスの免役化
ICRマウスでの免役は対照群(DIOを誘導した肥満グループ)、対照群(DIOを誘導しない正常グループ)、B4RCIIで免役化したグループ、B4RB2で免役化したグループ及びB4TB2で免役化したグループ等、5つのグループに分け実行した。6週齢(week old)ICRのマウスに精製したB4RCII、B4RB2及びB4TB2を各々50μgを100μlで腹腔に注射した。注射は2週間ごとで3回実施した後、体重の変化を体重増加グラフで確認した。1次ブスティング以後、高脂肪食を食べさせてDIOを誘導した。1次のブスティングをした後、1週間目に、2次のブスティングした後、1週間目、3週間目、5週間目に尾で採血をした。
【0073】
その結果、図11に示したように、1次の注射とブスティングするまでは各グループ別の体重は22乃至23gで類似しているが、DIOを始めた以後、対照群(肥満)は急激に体重が増加した反面、B4RCII、B4RB2及びB4TB2を注射したグループは軽微な体重増加を見せた。14週齢(1次の注射から8週経過)の場合、対照群とB4RB2を注射したグループの体重は約8gの差があった。これは最初注射により微弱な免疫反応が、2次注射によりブスティングした後増強された免疫応答反応により、体重増加が抑制されることを示唆することである。そして、3次注射後の体重増加の偏差は予想した通り維持されていることが分かった。
【0074】
実施例14.間接的なELISAを用いる各ペプチドによる抗体力価測定
血清サンプルを用いて抗体力価を測定した。微細力価平板にB4を各ウェル(well)に100ngの濃度で100μlずつ入れた。そして、4℃で夜通し処理した後プロッキン溶液(PBS、0.5%カセイン、0.02%NaN3)を添加して、37℃で1時間に恒温処理した。洗浄緩衝液で3回洗い落として、実施例10の方法を通じて得た血清をPBSに1:1000~1:8000に希釈して100μlずつ使用し、37で1時間に恒温処理した。洗浄緩衝液で3回洗い落とした後、2次抗体ではゴート抗−マウスIgG-HRP結合抗体を1:1000で希釈して使用した。OPDで発色して、450nmの吸光度で測定した。
【0075】
その結果、図12に示されたように、B4RB2及びB4TB2で免疫化されたグループは14週齢まで抗体力価が増加してその後減少し、B4RCIIで免疫化したグループは16週齢まで抗体役價が増加してその後減少することを分かった。3つのグループ全ての抗体をよく誘導して、免疫原性が高いと分かった。
【0076】
実施例15.血清脂質含有量の測定
TGと総コレステロールの測定は発色試薬200μlに血清4μlを入れ、37℃で5分間恒温処理した後、各々505nm、500nmで吸光度を測定した。HDLの測定は血清と沈殿試薬を1:1に混ぜて室温で10分間放置した後、3000rpm以上記で10分間遠心分離して得た上層液を発色試薬200μlに4μlを入れ、37℃で5分間恒温処理した後、555nmで吸光度を測定した。LDLコレステロールの測定はEZ LDLコレステロール キット(シグマ社製品)を、LDLカリブレーターはRandox社製品を使用し、製造会社から提供されたプロトコルによりキット内の試薬1,150μlに血清4μlを入れて37で5分間反応させた後、試薬250μlを添加して、また37℃で5分間反応させた後、600nmで吸光度を測定した。各測定キットで得た吸光度と標準試液を比較して濃度を計算した。
【0077】
その結果、図13に示したように、血清内の脂質水準はワクチン処理されたグループがワクチン処理されなかった対照群(肥満)グループより全体的に総コレステロール(TC)、中性脂肪(TG)、HDLコレステロール数値が低く現われた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の免疫原性ハイブリッドポリペプチドを含むワクチン組成物は、ヒトのみならずイヌやウシ、ネコなどの家畜を含む動物にも適用可能で、個体間に均一な抗体反応を誘導することができる安定的なワクチンとして、ヒト及び動物の肥満予防及び治療にも効果的である。
【図1(a)】

【図1(b)】

【図2(a)】

【図2(b)】

【図2(c)】

【図2(d)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を有するペプチドの単量体または多量体;ii)上記のペプチドの単量体または多量体のC-末端に連結された、狂犬病ウイルスヘルパーT細胞エピトープまたはB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ;iii)及び上記のヘルパーT細胞エピトープのC-末端に連結された、マウスのアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片また、配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を有するペプチドの単量体または多量体が融合された免役原性ハイブリッドポリペプチド。
【請求項2】
請求項1において、i)ペプチドの多量体は配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を有するペプチドが2乃至8個連結されたものであるポリペプチド。
【請求項3】
請求項2において、上記の多量体は配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を有するペプチドが4個連結されたものであるポリペプチド。
【請求項4】
請求項3において、上記の多量体は配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドが4個連結されたものであるポリペプチド。
【請求項5】
請求項4において、上記の多量体は配列番号5のアミノ酸配列を有するものであるポリペプチド。
【請求項6】
請求項1において、狂犬病ウイルスのヘルパーT細胞エピトープが配列番号6のアミノ酸配列を有するものであるポリペプチド。
【請求項7】
請求項1において、B型肝炎ウイルスの表面抗原ヘルパーT細胞エピトープが配列番号7のアミノ酸配列を有するものであるポリペプチド。
【請求項8】
請求項1において、マウスアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片が配列番号8のアミノ酸配列を有するものであるポリペプチド。
【請求項9】
請求項1において、iii)ポリペプチドの多量体は配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を有するペプチドが2乃至4個連結されたものであるポリペプチド。
【請求項10】
請求項9において、上記の多量体は配列番号1、2及び3の中で選択されたアミノ酸配列を有するペプチドが2個連結されたものであるポリペプチド。
【請求項11】
請求項10において、上記の多量体は配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドが2個連結されたものであるポリペプチド。
【請求項12】
請求項1において、i)配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドが4個連結されたポリペプチド、ii)上記のポリペプチドのC-末端に連結された狂犬病ウイルス ヘルパーT細胞エピトープ、及びiii)上記のヘルパーT細胞エピトープのC-末端に連結された、マウスのアポリポたんぱく質CIIのC-末端ペプチド断片が融合された免役原性ハイブリッドポリペプチド。
【請求項13】
請求項12において、配列番号9のアミノ酸配列を有する免役原性ハイブリッドポリペプチド。
【請求項14】
請求項1において、i)配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドが4個連結されたポリペプチド、ii)上記のポリペプチドのC-末端に連結された狂犬病ウイルス ヘルパーT細胞エピトープ、及びiii)上記のヘルパーT細胞エピトープのC-末端に連結された、配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドが2個連結されたポリペプチドが融合された免役原性ハイブリッドポリペプチド。
【請求項15】
請求項14において、配列番号10のアミノ酸配列を有する免役原性ハイブリッドポリペプチド。
【請求項16】
請求項1において、i)配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドが4個連結されたポリペプチド、ii)上記のペプチドのC-末端に連結されたB型肝炎ウイルス表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ;及びiii)上記のヘルパーT細胞エピトープのC-末端に連結された配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドが2個連結されたポリペプチドが融合された免役原性ハイブリッドポリペプチド。
【請求項17】
請求項16において、配列番号11のアミノ酸配列を有する免役原性ハイブリッドポリペプチド。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17の中でいずれの1項において、免役原性ハイブリッドポリペプチドを含む肥満予防及び治療用ワクチン。
【請求項19】
請求項1乃至請求項17の中でいずれの1項において、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項20】
請求項19のポリヌクレオチドを含む再結合発現ベクター。
【請求項21】
請求項20の再結合発現ベクターに形質変換された宿主細胞。
【請求項22】
請求項20の再結合発現ベクターに形質変換された宿主細胞を培養し、請求項1のポリペプチドを製造する方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図9(d)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【図10(d)】
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【図10(e)】
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【図10(f)】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−504094(P2010−504094A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529132(P2009−529132)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004692
【国際公開番号】WO2008/038990
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509083197)エスジェイ バイオメッド インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SJ BIOMED INC.
【住所又は居所原語表記】604 Business Incubator Center,1271,Sa 1−dong,Sangrok−gu,Ansan−si,Gyeonggi−do 426−791,Republic of Korea
【Fターム(参考)】