説明

抗腫瘍活性を有するカンプトテシンの7−イミノ誘導体

式(I)のカンプトテシンのカンプトテシン誘導体:


(式中、基R1、R2およびR3は明細書に定義の通り)を開示する。式(I)の化合物は抗腫瘍活性を備え、良好な治療係数を示す。式(I)の化合物の調製方法およびその腫瘍、ウイルス感染および抗熱帯熱マラリア原虫(antiplasmodium falciparum)の治療に有用な医薬の調製における使用も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍活性を有する化合物、特にカンプトテシンの新規誘導体、その調製方法、抗腫瘍薬としてのその使用およびそれを活性成分として含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カンプトテシンは、Nyssaceae科の樹木 Camptoteca acuminata(これは、中国由来の植物)からWall et al. (J. Am. Chem. Soc. 88、3888-3890 (1966))により最初に単離されたアルカロイドである。
【0003】
該分子は環Eにラクトンを有する五環式構造からなり、これは細胞傷害性に必須である。
【0004】
該薬剤は広範な、特に、結腸腫瘍、その他の固形腫瘍および白血病に対して抗腫瘍活性を示し、最初の臨床試験は70年代初期に行われた。カンプトテシン (以下CPTと略称する)は水溶性が低いため臨床試験の準備のため、National Cancer Institute (NCI)は水溶性のナトリウム塩を調製した(NSC100880)。フェーズIおよびIIの臨床試験は、該化合物によって示された高い毒性によって完了しなかった(出血性膀胱炎、胃腸毒性、例えば、悪心、嘔吐、下痢、および骨髄抑制、特に白血球減少症および血小板減少症)。
【0005】
いずれにせよ、ナトリウム塩はCPTより活性が低かった。というのは、pH 7.4においては、不活性形態(開環)が、pH< 4.0で優勢となるラクトン-活性形態(閉環)より優勢となるからである。
【0006】
その後、多くのCPTアナログが毒性が低く水溶性が高い化合物を得るために合成された。2つの薬剤が上市されており、イリノテカン(CPT-11、Upjohnによって商標Camptosarとして上市)およびトポテカン(商標HymcamptaminまたはThycantinとして Smith Kline Beechamにより上市)が挙げられる。その他の誘導体は、フェーズIIにおける臨床開発の様々な段階にあり、例えば、NSC-603071 (9-アミノ-カンプトテシン)、9-NCまたは9-ニトロカンプトテシン、9-アミノカンプトテシンへと変換する経口プロドラッグ、GG-211 (GI 147211)、およびDX-8591fが挙げられ、後者は水溶性である。今日までに同定されてきたすべての誘導体は細胞傷害性に必須な5つの環を有する親構造を含む。第一の環に対する修飾は、例えば、上記薬剤の場合、水溶性を上昇させ、薬剤の高い耐容性を可能とすることが示されている。
【0007】
水溶性イリノテカンは、多くの固形腫瘍および腹水(結腸-直腸、皮膚、胃、乳房、小細胞および非小細胞肺、頸部および卵巣癌および非ホジキンリンパ腫)の治療のために認可されている。さらに、イリノテカンはトポテカン、ビンクリスチンまたはメルファランに耐性の固形腫瘍において活性となり、MDR-1細胞は該薬剤にわずかに耐性となる。活性の代謝産物は10-ヒドロキシ誘導体 (SN-38)として同定され、カルボキシルエステラーゼの作用で生じる。CPT-11は、様々な投与経路、例えば、腹腔内、静脈内、経口 (Costin、D.、Potmhexyl、M.. Advances in Pharmacol.、29B、51-72 1994)を用いて良好な活性を示す。
【0008】
CPT-11はまた、シスプラチンまたはエトポシドとともに投与され、DNA修復を妨げる能力によって相乗効果を示した。しかしながらこの場合も、グレード3および4の白血球減少症および下痢が起こった(Sinha、B.K.、(1995)、Topoisomerase inhibitors. Drugs、49、11-19、1995)。
【0009】
トポテカンは有意な経口バイオアベイラビリティーを有する。経口投与は薬剤に対する長い曝露を達成するのに便宜であることが判明し、一時的なカテーテルの使用は必要ではなかった(Rothenberg、M.L.、Annals of Oncology、8、837-855、1997)。またこの水溶性CPTアナログは、腹腔内、静脈内、皮下、経口等の様々な投与経路で様々なタイプの腫瘍に対して活性を示した。より有望な結果が、静脈内注入5日間のトポテカン塩酸塩によって、様々な腫瘍、例えば、小細胞および非小細胞肺、卵巣、乳房、胃、肝臓、前立腺、軟部肉腫、頭頸部、食道、抵抗性結腸-直腸、多形神経膠芽腫、慢性および急性骨髄球性白血病において得られた。しかし、この場合も、重篤な副作用、例えば、好中球減少および血小板減少症が起こったが、一方、胃腸毒性、例えば。悪心、嘔吐および下痢はより穏やかであった。
【0010】
該薬剤の主な変換および排除経路は、ラクトン加水分解および尿中排泄を含むことが示された:実際、ラクトン形態は注入の30分後には50%が加水分解されて開環する。トポテカンは血液脳関門(hematoencephalic barrier)を注入の10分後には通過する(血漿に対して脳脊髄液中30%)。一方、カンプトテシンは有意な量が血液脳関門を通過せず、それはおそらくタンパク質とのその結合による。
【0011】
9-アミノカンプトテシンの臨床開発はその水溶性の低さにより妨げられた。最近、コロイド分散が調製され、これによってフェーズII臨床試験に入ることが可能となった。長期曝露(72時間〜21日間)は、その短い半減期のために抗腫瘍活性を示すのに必須であるようであった(Dahut、et al.、1994)。未治療の結腸-直腸、および乳癌および抵抗性リンパ腫を患う患者における応答が注目された。Pgp-陽性腫瘍に対して示された活性は抵抗性 MDR-1細胞に対する交差耐性が無いことを示唆した。この場合も、骨髄および胃腸毒性が観察された。
【0012】
ラルトテカン(Lurtotecan)はもっとも水溶性のアナログであり、インビトロでトポテカンに匹敵する活性を示す。2つの投与計画を採用した:1日1回の30-分間注入を3週間ごとに5日間、および1回の72-時間注入を3週間に1回。頸部、卵巣、乳房、肝臓腫瘍を患う患者における応答が観察された。この場合も、血液毒性が検出された。
【0013】
該分子は以下の通り:
【化1】

【0014】
9-ニトロカンプトテシンは投与後ただちに9-アミノカンプトテシンへと変換される経口プロドラッグである。応答は、膵臓、卵巣、および乳癌を患う患者において観察された。
【0015】
腫瘍細胞の大部分は、高い酵素レベルのためにトポイソメラーゼI阻害剤に非常に感受性であるにも拘わらず、いくつかの腫瘍系統は抵抗性であった。これはMDR1およびMRP (多剤関連タンパク質)遺伝子およびそれぞれそのプロドラッグ、P (Pgp) 糖タンパク質およびMRPタンパク質(これらに対してトポテカンまたはCPT-11はあまりよい基質ではない)の過剰発現ではなく、別の機構によるようである(Kawato、Y.、et al.、J. Pharm. Pharmacol.、45、444-448、(1993))。
【0016】
実際、いくつかの抵抗性腫瘍細胞がtopo Iの突然変異形態を含み、したがってtopo I-DNA複合体の形成が阻害されるか、あるいは、いくらかの細胞が活性代謝産物SN-38へのCPT-11の変換に必須なカルボキシルエステラーゼ活性を欠き、したがってこの薬剤に抵抗性となることが観察された(Rothenberg、1997、前掲)。
【0017】
腫瘍療法に用いられている薬剤のなかでトポイソメラーゼI酵素の阻害剤における興味は以下の考察に起因する: a)常套の薬剤(トポイソメラーゼII阻害剤を含む)に通常は抵抗性の腫瘍に対する効力; b) topo I酵素レベルが周期のすべての期において上昇したままである; c)多くの腫瘍は高レベルの標的酵素を発現する; d)多剤耐性現象に関与するタンパク質(Pgp またはMRP)による認識の欠損およびグルタチオン依存系 (グルタチオンペルオキシダーゼおよびグルタチオン S-トランスフェラーゼ)に関連する解毒酵素-媒介代謝の非存在 (Gerrits、CJH.、et al.、Brit. J. Cancer、76、952-962)。
【0018】
広範な腫瘍に対してアッセイされる抗腫瘍活性、および薬剤耐性を誘導しにくいという両方の点からトポイソメラーゼI阻害剤の潜在的臨床的利点を考慮すると、本研究は上市されているか臨床段階にある薬剤によって示されるものと比べて毒性が低いtopo I阻害剤を同定することを目的とする。カンプトテシンアナログの相対的能力を決定する因子には以下が含まれるa)トポイソメラーゼI阻害の固有の活性; b)薬剤平均寿命; c)血漿タンパク質との相互作用; d)循環性活性形態 (ラクトン)および比活性形態 (カルボキシラート)の比; e) 糖タンパク質 PまたはMRPに媒介される細胞流出と関係する薬剤感受性; f)トポイソメラーゼIとの結合安定性(Rothenberg、1997、前掲)。
【0019】
イリノテカンおよびその他のカンプトテシン誘導体の主な副作用のなかで、骨髄抑制および胃腸毒性、例えば、下痢および嘔吐が観察されている。下痢は初期発症または後期発症であり得、用量制限因子であり得る。嘔吐および後期下痢は多くの抗腫瘍薬によって誘導され、一方、注入の途中または直後に起こる初期下痢はイリノテカンおよびいくつかのカンプトテシン誘導体にほぼ特異的である。
【0020】
有害作用は主に腸管において起こる。
【0021】
下痢を抑制するために、CPT-11をいくつかの臨床試験において以下と組み合わせて投与した。合成オピオイドであり、mu-オピオイド腸内受容体のアゴニストであるロペラミド (Abigerges、1994; Abigerges、1995)、およびエンケファリン分解酵素の阻害剤(acetorfan)または5-HT3 受容体のアンタゴニストであるオンダンセトロン、またはH1 受容体のアンタゴニストであるジフェニドラミン(diphenidramine)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
今日までの、カンプトテシン誘導体の抗腫瘍薬としての使用に伴う問題は以下の事項に要約できる:
- カンプトテシン(CPT)、および多くのその活性誘導体は水溶性が低い;
-後続の誘導体は、胃腸および骨髄レベルで重篤な副作用を有する;
- いくつかの腫瘍系統ではトポイソメラーゼI阻害剤に対する抵抗性が発達している;
-より良好な治療係数についての研究が続いている。
【0023】
特許出願 WO 97/31003号は7、9および10位において置換されたカンプトテシン誘導体を開示する。7位は以下の置換基を提供する: -CN、-CH(CN)-R4、-CH=C(CN)-R4、-CH2-CH=C(CN)-R4、-C(=NOH)-NH2、-CH=C(NO2)-R4、-CH(CN)-R5、-CH(CH2NO2)-R5、5-テトラゾリル、2-(4,5-ジヒドロキサゾリル)、1,2,4-オキサジアゾリジン-3-イル-5-オン、ここで、R4は水素、炭素原子数1〜6の直鎖状または分枝状アルキル、ニトリル、カルボキシアルコキシ。これらの可能な化合物の中で、WO 97/31003は7位に基-CNおよび-CH=C(CN)2を有し、9位および10位が非置換であるカンプトテシン誘導体のみを開示する。
【0024】
これら化合物のなかで、最良のものは7-ニトリル (R4 = -CN)であることが判明し、これを以下CPT 83と称する。CPT 83は、非小細胞肺癌 (non-SCLC、H-460)に対して細胞傷害性活性を有する。この腫瘍系統は元々細胞傷害性療法に抵抗性であり、標的酵素の過剰発現にもかかわらず、トポイソメラーゼI阻害剤に穏やかに応答するのみである。CPT 83は参照化合物としたトポテカンよりも活性が高く、総合的にみてそれは耐容性の点からもより良好な薬理特性を示し、そしてより良好な治療係数を示す。
【0025】
CPT 83は、7-ヒドロキシメチルカンプトテシンからカンプトテシン 7-アルデヒドへの酸化、カンプトテシン 7-アルデヒドのオキシムへの変換および最後にニトリルへの変換を含む合成経路によって調製される。
【0026】
出発化合物および中間体は、Sawada et al.、Chem. Pharm. Bull.、39、(10)、2574、(1991)に開示されている。この文献は1981年優先権のパテントファミリー、例えば、1982年公開の欧州特許出願EP0056692号を参照している。これら文献において、とりわけ化合物、カンプトテシン 7-アルデヒドおよびそのオキシムが開示されている。これら誘導体の有用性は、7-ヒドロキシメチルカンプトテシンから出発した毒性の低い抗腫瘍活性を有する化合物を提供することである。Chem. Pharm. Bull.、39、(10) 2574、(1991)にて公表された論文において、著者らは、上記特許出願では予測されていなかったカンプトテシンについて、7-アルキルおよび7-アシルオキシメチル誘導体がマウス白血病 L1210の系統に対してより活性な化合物であり、カンプトテシンについて極性の高い7-置換基、例えばヒドラゾンおよびオキシム-CH(=NOH)を有する化合物の活性が低いことが観察された。
【0027】
欧州特許EP 1 044 977は7位でO-置換したオキシムを有するカンプトテシン誘導体を開示する。一般式は7位にエナミン基を有するカンプトテシン誘導体も含む。この文献において、主な教示はオキシム誘導体の抗腫瘍活性に関するものであり、イミンは合成のいくつかの例において示されているに過ぎず、薬理データは提供されていない。上記特許の発明者らのその後の研究は、オキシム誘導体、特にtert-ブトキシのものに焦点をあてており、これはGimatecanという名称で現在臨床試験中である。イミンはオキシムの代替とみなされているにすぎず、最初の薬理アッセイによりこのクラスのさらなる開発が失望された。
【課題を解決するための手段】
【0028】
発明の概要
このたび7位に芳香族エナミノ基を有するカンプトテシンが抗腫瘍活性を有することが驚くべきことに見いだされた。該化合物はよりよい治療係数を有する。
【0029】
したがって、本発明の目的は一般式(I)の化合物:
【化2】

[式中:
R1は、−C(R5)=N-R4 基、ここでR4はフェニル基であって、所望により以下からなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよい: ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、C1-C8 アルキル、C1-C8 アルコキシ、フェニル、シアノ、ニトロ、-NR6R7、ここでR6および R7は同一であっても異なっていてもよく、水素、(C1-C8) 直鎖状または分枝状アルキル; -S-S-(2-アミノフェニル)、-S-S-(4-アミノフェニル)、-S-(4-アミノフェニル)、-SCH3および-CH2ON=C(CH3)2;
R5は、水素、C1-C8 直鎖状または分枝状アルキル、C1-C8 直鎖状または分枝状アルケニル、C3-C10 シクロアルキル、(C3-C10) シクロアルキル - (C1-C8) 直鎖状または分枝状アルキル、C6-C14 アリール、(C6-C14) アリール - (C1-C8) 直鎖状または分枝状アルキル;
R2およびR3は同一であっても異なっていてもよく、水素、ヒドロキシ、C1-C8 直鎖状または分枝状アルコキシ];
その N1-オキシド、その単一の異性体、特にC(R5)=N-R4 基のsynおよびanti異性体、その可能性のあるエナンチオマー、ジアステレオ異性体および関連混合物、その医薬上許容される塩およびその活性代謝産物である。
【0030】
本発明は上記式(I)の化合物の、医薬、特に腫瘍の治療に有用な医薬の活性成分としての使用を含む。本発明のさらなる目的はウイルス感染の治療に有用な医薬の活性成分としての式(I)の化合物の使用である。本発明の別の目的は抗熱帯熱マラリア原虫活性を有する医薬の活性成分としての式(I)の化合物の使用である。
【0031】
本発明は、医薬上許容される媒体および賦形剤と混合して活性成分として式(I)の化合物を含む医薬組成物を含む。
【0032】
本発明は、式(I)の化合物および関連鍵中間体の調製方法も含む。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明の範囲において、C1-C8 直鎖状または分枝状アルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、その可能性のある異性体、例えばイソプロピル、イソブチル、tert-ブチルが挙げられる。
【0034】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
【0035】
医薬上許容される塩の例は、窒素原子が塩基性の特性を有する場合、医薬上許容される酸との塩であり、酸としては、無機酸および有機酸、例えば、塩酸、硫酸、酢酸が挙げられ、酸性の基、例えばカルボキシル基を有する場合、医薬上許容される塩基との塩であり、無機塩基および有機塩基、例えば、アルカリおよびアルカリ土類水酸化物、水酸化アンモニウム、アミン、複素環のものが挙げられる。
【0036】
第一群の好ましい化合物は、R4がフェニルであって以下からなる群から選択される少なくとも1つの残基によって置換されているものである:メチル、ter-ブチル、メトキシ、ヒドロキシ、クロロ、ヨード、ニトロ、-S-S-(2-アミノフェニル)、-S-S-(4-アミノフェニル)、-S-(4-アミノフェニル)、-SCH3 および-CH2ON=C(CH3)2。特にフェニル基はもっとも好ましくはオルト位で置換されている。
【0037】
第二の群の特に好ましい化合物は以下を含む:
7-(2-メチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2212)
7-(2-クロロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2228)
7-(2,6-ジメチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2317)
7-(2-ヨードフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2316)
7-(2-メトキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2343)
7-(4-メチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2478)
7-(2-ヒドロキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2389)
7-(4-クロロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2412)
7-(4-メトキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2477)
7-[(4-イソプロピリデン-アミノ-オキシメチル)フェニル]イミノメチルカンプトテシン (ST2460)
7-(2-t-ブチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2388)
7-フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST1546)
7-(4-ニトロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST1561)
7-2-(2-アミノフェニルジチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST1737)
7-4-(4-アミノフェニルジチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST2034)
7-4-(4-アミノフェニルチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST2069)
7-(2-メチルチオフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2138)
7-(4-tert-ブチルフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2619)
7-(4-メチルチオフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2667)
7-(4-ヒドロキシフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2616)。
【0038】
式(I)の化合物は7-イミノメチル基の窒素に結合したR4 基の性質に応じて異なる方法で調製できる。
【0039】
R4が上記に定義したものである式(I)の化合物はカンプトテシン 7-アルデヒド (式 Ia、R5 は水素)または 7-ケト カンプトテシン (式 Ia、R5は水素と異なる)から出発して調製できる。
【化3】

ここで、R1は、基 -C(R5)=Oであり、R5は式(I)について定義したとおり、R2およびR3は式(I)において定義したとおりである。式 (Ia)の化合物を式 (IIb) R4-NH2、(R4は上記の通り)の化合物と反応させ、R1 が基 C(R5)=N-R4である式(I)の化合物を得る(R4 は式 1において定義したとおり)。反応は当業者に周知のイミンの通常の形成方法である常套方法によって行うとよい。好ましくは、7-アルデヒドまたは7-ケトカンプトテシンとアミンのモル比は1:3〜3:1である。目的のアミンの塩を用いてもよい。反応は、塩基、例えば無機塩基、例えば炭酸カリウム、または有機塩基、例えば、トリエチルアミンまたはジアザビシクロノネンの存在下で、極性溶媒、好ましくはメタノールまたはエタノールを用いて行い、反応は室温から溶媒の沸点の温度とし、所望により脱水剤、例えば硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウム、分子ふるいの存在下で行う。所望により反応は触媒、例えばルイス酸の存在下で行うことも可能である (例えば、 Moretti and Torre、Synthesis、1970、141;または Kobayashi、et al.、Synlett、1977、115に開示)。
【0040】
カンプトテシン 7-アルデヒドおよびカンプトテシン 7-オキシムは特許出願 EP 0 056 692および上記 Sawada、et al.、Chem. Pharm. Bull.、39、(10) 2574 (1991)に開示されている。
【0041】
式(I)の化合物のN1-オキシドは芳香族複素環窒素の酸化の周知方法にしたがって調製され、好ましくは酢酸またはトリフルオロ酢酸および過酸化水素により酸化するか、有機ペルオキシ酸との反応によって行う(A. Albini and S. Pietra、Heterocyclic N-Oxide、CRC、1991)。
【0042】
式 IIの様々な反応体(reactives)に存在するR4の様々な意味に関して、これら反応体は市販されているか当業者が参照できる文献とその知識により周知の方法にしたがって調製できる。
【0043】
医薬上許容される塩は文献にみられる常套方法によって得られ、さらに開示する必要はない。
【0044】
本発明に開示する化合物は抗増殖活性を示し、それゆえその治療活性に有用であり、医薬組成物に製剤するのに好適とする物理化学特性を有する。
【0045】
医薬組成物は少なくとも式(I)の化合物を、有意な治療効果をもたらす量含み、その効果は特に抗腫瘍効果である。本発明に含まれる組成物は常套のものであり、医薬工業で一般に用いられている方法によって得られる。所望の投与経路によって、組成物は固体または液体形態であり、経口、非経口、静脈内経路に好適なものである。本発明による組成物は活性成分とともに少なくとも医薬上許容される媒体または賦形剤を含む。製剤佐剤、例えば、可溶化剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤が特に有用である。
【0046】
式(I)の化合物は例えばその他の抗腫瘍薬等の他の活性成分と組み合わせて用いてもよく、別々の形態でも単位一用量形態でもよい。
【0047】
本発明による化合物は例えば、肺腫瘍、例えば非小細胞肺腫瘍、結腸-直腸、前立腺の腫瘍、神経膠腫において抗腫瘍活性を有する医薬として有用である。
【0048】
本発明の化合物の細胞傷害性活性をヒト腫瘍細胞の細胞システムにおいて細胞障害能の評価方法として抗増殖活性試験を用いてアッセイした。
【0049】
用いた細胞株は、NCI H460と称される非小細胞ヒストタイプ(hystotype)に属する肺非小細胞癌である。
【0050】
インビボ研究のために、可溶化を二回蒸留水(bidistilled water)中の10% DMSO中で行い、生理的食塩水中への可溶化は不可能であり、経口経路での投与を容量10 ml/kgで行った。
【0051】
抗腫瘍活性
胸腺欠損 nu/nu Swiss マウス (Charles River、Calco、Italia)、10-12週齡を用いた。動物をUnited Kingdom Co-ordination Committee Cancer Researchのガイドラインにしたがって層流室中に維持した。実験プロトコールは、Istituto Nazionale per lo Studio e la Cura dei Tumoriの動物実験について倫理委員会の認可を受けた。
【0052】
皮下に106細胞のNCI H460/マウスを接種されたマウス由来の約2x2x2 mmの腫瘍断片は、各群5匹の群において両側から皮下移植した。
【0053】
動物は腫瘍が触診可能になり始めたときに化合物で処置した。
【0054】
週に2回ノギスを用いて、腫瘍の幅、最小直径(l)、長さおよび最大直径(L)をmm単位で測定した。腫瘍体積(mm3)は式 l2xL/2にしたがって計算した。分子の有効性は式 TVI% = 100-(T/Cx100)にしたがって、処置群対対照群のTVIパーセントとして評価した(ここでTは処置群の腫瘍体積の平均値およびC は対照群の腫瘍体積の平均値)。化合物はTVI% が50以上の場合に活性とする。
【0055】
これら分子のさらなる利点は有効量の広い間隔において同定でき、治療係数の上昇および治療用途での高い取り扱い性を示し、特に長期投与が予測される場合、とりわけ注射可能製剤において、様々なスキームおよび用量が使用される。
【0056】
従来のカンプトテシンの重要な欠点は、三重複合体(薬剤-DNA-酵素)におけるその結合の可逆性である。この可逆性は薬効に影響する。というのはそれは、二本鎖DNA切断への一本鎖DNA切断の変換をDNA合成の際に可能としないからである。
【0057】
本発明による化合物によりもたらされる利点は当該技術水準に対して、三重複合体の可逆性の制限を克服するという点で明らかである。
【0058】
前臨床調査において、本発明の化合物は、様々な腫瘍細胞株において細胞傷害活性を示した。
【0059】
この広範な抗癌活性はヒト腫瘍異種移植片を移植したマウス、例えば、NSCLC (H460、A549)、前立腺癌(JCA-1)、グリア芽腫 (GBM/7)、胃癌(MKN28)、骨肉腫 (U2OS)、卵巣癌 (A2780/Dx、A2780/DDP)および結腸 (HT29、CoBA) 癌、ならびにマウス肺癌 (M109) および白血病モデル (L1210)において確認された。
【0060】
前臨床データは、本発明の化合物はヒトの癌、特に非小細胞肺癌 (NSCLC)、グリア芽腫および前立腺癌に対して活性な抗癌薬でありうることを示唆する。
【0061】
本発明の例示的化合物の抗腫瘍活性を以下の表1に示す。
【0062】
表1
【表1】

【0063】
化合物 ST1737のインビボ活性を以下の表2に示す。
表2
経口でq4dx4投与したST 1737の、皮下にMKN-28 ヒト胃癌を担持する胸腺欠損ヌードマウスにおける効果
【表2】

【0064】
対照マウスにおける平均腫瘍倍加時間は 7.1±1.3 および 5.4±1.4日 (それぞれexp. 656および664)であった。
1対照腫瘍に対する治療腫瘍の最後の処置の11-12日後の腫瘍体積阻害 %
2薬剤処置によって誘導された体重減少%
3死/処置マウス。
【0065】
ここで例示的に好ましい化合物の1つ、ST 1737について示す本発明の化合物の高い細胞傷害能も、強力な抗腫瘍活性によって反映される。トポテカン (TPT) に対する有意な応答性 (即ち、TVI > 80%)によって特徴づけられる腫瘍異種移植片のパネルを用いて本発明の化合物の、多数のヒト腫瘍モデルに対する抗腫瘍活性範囲は有意に改善された。特に、印象的な抗腫瘍効果が多くの腫瘍モデルの処置においてみられ、ここで多数の処置動物において高い退行が達成された。さらに、本発明の化合物はMDR-表現型によって特徴づけられる腫瘍においてかなりのCRを誘導することが出来た。この観察は非常に重要であり、本発明の化合物がP-糖タンパク質の基質でないことを示す。
【0066】
本発明の化合物のさらなる治療的利点は以下に関する: a)治療係数の向上、b) 大きな用量範囲での薬効、c)トポテカンと比べて本発明の化合物を治療スケジュールに依存しないようにする、様々なスケジュールを用いた効力の証拠。
【0067】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0068】
実施例1
一般方法: 4ÅMSを含む5 mlの無水 CH2Cl2中のYb(OTf)3 (16 mg、0.03 mmol)の懸濁液に20 mlの CH2Cl2中の7-ホルミルカンプトテシン (100 mg、0.26 mmol)の溶液を添加し、次いで0.5 mlのCH2Cl2 中のアミン(0.26 mmol)の溶液を添加する。その結果得られた混合物を反応が完了するまで室温で撹拌する。篩をろ過した後、20 mlの水を添加し、二相を分離する。水層を迅速にジクロロメタンで3回抽出する。混合有機相を乾燥させて蒸発させ、生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0069】
以下の化合物が得られた。いくつかの場合では抗腫瘍活性を示す(H-460に対するIC50、μM)。
【0070】
7-(2-メチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2212)
IC50 (H-460、 μM): 0.10
M.P. 247-248 ℃ dec.、 1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.87 (t、J = 7 Hz、H3-18)、 1.7-1.9 (m、H2-19)、2.5 (s、Ar-CH3)、5.4 (s、H2-17)、5.60 (s、H2-5)、6.55 (s、-OH)、7.25-7.50 (m、4H Ar、H-14)、7.75 (m、H-11)、7.95 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、9.10 (dd、H-9)、9.65 (s、CH=N).
【0071】
7-(2-クロロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2228)
IC50 (H-460、 μM): 0.07
M.P. >240℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ:0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.45 (s、H2-17)、5.60 (s、H2-5)、6.50 (s、-OH)、7.35-7.50 (m、H-14; 4H Arom.)、7.85 (m、H-11)、7.95 (m、H-10)、8.30 (dd、H-12)、9.10 (dd、H-9)、9.70 (s、CH=N).
【0072】
7-(2,6-ジメチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2317)
IC50 (H-460、μM): 0.15
M.P. 250 ℃ dec.、 1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.87(t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19 )、2.25 (s、2Ar-CH3)、5.4 (s、H2-17)、5.60 (s、H2-5)、6.55 (s、-OH)、7.0-7.30 (m、3H Ar)、7.40 (s、H-14)、7.8 (m、H-11)、7.9 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.85 (dd、H-9)、9.5 (s、CH=N).
【0073】
7-(2-ヨードフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2316)
IC50 (H-460、μM): 0.06
M.P. 240 ℃ dec.、 1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.87(t、J = 7 Hz、H3-18)、1.8-1.9 (m、H2-19)、5.45 (s、H2-17)、5.75 (s、H2-5)、6.55 (s、-OH)、7.1-7.6 (m、4H Ar、H-14)、7.8 (m、H-11)、7.9 (m、H-10)、8.30 (dd、H-12)、9.10 (dd、H-9)、9.65 (s、CH=N).
【0074】
7-(2-メトキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2343)
IC50 (H-460、μM): 0.06
M.P. 244-246℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ:0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、3.95 (s、OCH3)、5.45 (s、H2-17)、5.55 (s、H2-5)、6.45 (s、-OH)、7.0-7.50 (m、H-14; 4H Arom.)、7.7 (m、H-11)、7.85 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.9 (dd、H-9)、9.70 (s、CH=N).
【0075】
7-(4-メチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2478)
IC50 (H-460、μM): 0.18
M.P. 159-160℃dec.、1H NMR(DMSO-d6)δ:0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、2.35 (s、Ar-CH3)、5.37 (s、H2-17)、5.5 (s、H2-5)、6.45 (s、-OH)、7.25-7.35 (m、H-14; 2H Arom.)、7.4-7.5 (m、2H arom.)、7.7 (m、H-11)、7.85 (m、H-10)、8.16 (dd、H-12)、8.9 (dd、H-9)、9.55 (s、CH).
【0076】
7-(2-ヒドロキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2389)
IC50 (H-460、μM): 0.06
M.P. 252-254 ℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.87 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.4 (s、H2-17)、5.60 (s、H2-5)、6.55 (s、-OH)、6.90-7.5 (m、4H Ar、H-14)、7.85-8.0 (m、H-11、H-10)、8.35 (dd、H-12)、8.90 (dd、H-9)、9.70 (s、CH=N).
【0077】
7-(4-クロロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2412)
IC50 (H-460、μM): 0.08
M.P. 246-247℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ:0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.40 (s、H2-17)、5.55 (s、H2-5)、6.45 (s、-OH)、7.35 (s、H-14)、7.50-7.60 (m、4H arom.)、7.85 (m、H-11)、7.95 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.95 (dd、H-9)、9.55 (s、CH=N).
【0078】
7-(4-メトキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2477)
IC50 (H-460、μM): 0.16
M.P. 252-255 ℃ dec.、 1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.87(t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、3.8 (s、-OCH3)、5.4 (s、H2-17)、5.45 (s、H2-5)、6.55 (s、-OH)、7.05 (d、2H Ar)、7.35 (s、H-14)、7.60 (d、2H Ar)、7.85 (m、H-11)、7.9 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.8 (dd、H-9)、9.5 (s、CH).
【0079】
7-[(4-イソプロピリデン-アミノ-オキシメチル)フェニル]イミノメチルカンプトテシン (ST2460)
IC50 (H-460、μM): 0.01
M.P. 147℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.85 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19、C(CH3),2)、5.05 (s、CH2-O)、5.40-5.55 (m、H2-17、H2-5)、6.50 (s、-OH)、7.35 (s、H-14)、7.40-7.60 (m、4H arom.)、7.75-7.85 (m、H-11)、7.86-7.95 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.95 (dd、H-9)、9.60 (s、CH=N).
【0080】
7-(2-t-ブチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2388)
IC50 (H-460、 μM): 0.07
M.P. 215℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.85 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.45 (s、9H、tBut)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.35-5.75 (m、H2-17、H2-5)、6.50 (s、-OH)、7.05-7.5 (m、H-14; 4H arom.)、7.75-7.85 (m、H-11)、7.88-7.95 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.95 (dd、H-9)、9.45 (s、CH=N).
【0081】
7-フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST1546)
IC50 (H-460、μM): 0.13
1H NMR (DMSO-d6)δ:0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.37 (s、H2-17)、5.5 (s、H2-5)、6.45 (s、-OH)、7.25-7.35 (m、H-14; H arom.)、7.4-7.5 (m、4H arom)、7.7 (m、H-11)、7.85 (m、H-10)、8.16 (dd、H-12)、8.9 (dd、H-9)、9.55 (s、CH=N)
【0082】
7-(4-ニトロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST1561)
IC50 (H-460、μM): 0.28
M.P. 260-265℃dec. 1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.85 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.35 (s、H2-17)、5.48 (s、H2-5)、6.45 (s、-OH)、7.3 (s、H-14)、7.6-7.7 (m、2 Ar),7.8 (m、H-11)、7.9 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.35-8.40 (m、2 Ar)、8.9 (dd、H-9)、9.67 (s、CH=N).
【0083】
7-2-(2-アミノフェニルジチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST1737)
IC50 (H-460、μM): 0.017
1H NMR (DMSO-d6)δ:0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18) 1.7-1.9 (m、H2-19) 5.35-5.75(6H、m、H2-5 + H-17 + NH2)、6.40 (1H、m、ArH)、6.5-6.6 (2H、m、1 ArH + OH)、6.90 (1H、m、ArH)、7.25-7.45 (4H、m、3 ArH + H-14)、7.15-8.0 (4H、m、4 ArH)、8.25 (1H、dd)、9.75 (1H、s、CH=N).
【0084】
7-4-(4-アミノフェニルジチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST2034)
IC50 (H-460、μM): 0.39
M.P. 154-155℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ:0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.40 (s、H2-17)、5.55 (s、H2-5 + NH2)、6.50 (s、-OH)、6.55 (m、2H Ar)、7.25 (m、2H Ar),7.35 (s,H-14)、7.60 (m、4H Ar)、7.8 (m、H-11)、7.9(m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、9.0 (dd、H-9)、9.70 (s、CH=N).
【0085】
7-4-(4-アミノフェニルチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST2069)
IC50 (H-460、μM): 0.24
M.P. 187-188℃ dec.、 1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.87 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、5.4 (s、H2-17)、5.55 (s、H2-5 + NH2)、6.55 (s、-OH)、6.65 (m、2H Ar)、7.10-7.50 (m、6H Ar + H-14)、7.8 (m、H-11)、7.9 (m、H-10)、8.30 (dd、H-12)、9.0 (dd、H-9)、9.5 (s、CH=N).
【0086】
7-(2-メチルチオフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2138)
IC50 (H-460、μM): 0.06
M.P. >250℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ:s0.83 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、2.50 (s、SCH3)、5.40 (s、H2-17)、5.70 (s、H2-5)、6.45 (s、-OH)、7.25-7.35 (m、H-14; 3H arom.)、7.6 (m、1H arom)、7.8 (m、H-11)、7.95 (m、H-10)、8.30 (dd、H-12)、9.10 (dd、H-9)、9.55 (s、CH=N).
【0087】
実施例2
7 mLの無水 CH2Cl2中の20S-カンプトテシン-7-アルデヒド (1) (100 mg、0.26 mmol)の懸濁液に適当なアミン (0.78 mmol)およびYb(OTf)3 (16 mg、0.03 mmol)を添加した。その結果得られた混合物を室温で反応が完了するまで撹拌した。篩をろ過した後、溶媒を蒸発させ、生成物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーで精製した (Merck 230-400 メッシュ)。
【0088】
以下の化合物が得られた。
【0089】
7-(4-tert-ブチルフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2619)
溶液を1.5時間撹拌する。フラッシュクロマトグラフィー (溶出液: CH2Cl2:MeOH 99:1). 黄色粉末. 収率 50%、M.P. 250℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ:0.88 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.30 (s、tBut)、1.75-1.95 (m、H2-19)、5.45 (s、H2-17)、5.55 (s、H2-5)、6.55 (s、-OH)、7.35 (s、H-14)、7.45-7.60 (m、4H Ar)、7.80 (m、H-11)、7.95 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、8.95 (dd、H-9)、9.7 (s、CH=N).
IC50 (H-460、μM): 0.09
【0090】
7-(4-メチルチオフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2667)
溶液を22時間撹拌する。フラッシュクロマトグラフィー (溶出液: CH2Cl2:MeOH 98 : 2). 黄色粉末. 収率 36%、M.P. 160℃dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ : 0.87 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.7-1.9 (m、H2-19)、2.55 (s、-SCH3)、5.45 (s、H2-17)、5.55 (s、H2-5)、6.50 (s、-OH)、7.35 (s、H-14)、7.40 (d、2H Ar)、7.55 (d、2H Ar)、7.80 (m、H-11)、7.9 (m、H-10)、8.20 (dd、H-12)、8.95 (dd、H-9)、9.7 (s、CH=N).
IC50 (H-460、μM): 0.074
【0091】
7-(4-ヒドロキシフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2616)
溶液を3時間撹拌する。フラッシュクロマトグラフィー (溶出液: CH2Cl2:MeOH 96:4). 黄色粉末. 収率 79%、M.P. 250 ℃ dec.、1H NMR (DMSO-d6)δ: 0.90 (t、J = 7 Hz、H3-18)、1.75-2.0 (m、H2-19)、5.4 (s、H2-17)、5.55 (s、H2-5)、6.50 (s、-OH)、6.90 (d、2H Ar)、7.35 (s、H-14)、7.55 (d、2H Ar)、7.80 (m、H-11)、7.90 (m、H-10)、8.25 (dd、H-12)、9.0 (dd、H-9)、9.70 (s、CH=N).
IC50 (H-460、μM): 0.22

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

[式中:
R1は、-C(R5)=N-R4 基、ここでR4はフェニル基であり、以下からなる群から選択される1以上の基で置換されていてもよい: ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、C1-C8 アルキル、C1-C8 アルコキシ、フェニル、シアノ、ニトロ、-NR6R7、ここでR6およびR7は同じであっても異なっていてもよく、水素、(C1-C8) 直鎖状または分枝状アルキル; -S-S-(2-アミノフェニル)、-S-S-(4-アミノフェニル)、-S-(4-アミノフェニル)、-SCH3 および -CH2ON=C(CH3)2;
R5は、水素、C1-C8 直鎖状または分枝状アルキル、C1-C8 直鎖状または分枝状アルケニル、C3-C10 シクロアルキル、 (C3-C10) シクロアルキル - (C1-C8) 直鎖状または分枝状アルキル、C6-C14 アリール、 (C6-C14) アリール - (C1-C8) 直鎖状または分枝状アルキル;
R2およびR3は、同じであっても異なっていてもよく、水素、ヒドロキシ、C1-C8 直鎖状または分枝状アルコキシ];
そのN1-オキシド、その単一の異性体、特に-C(R5)=N-R4 基のsynおよび anti異性体、その可能性のあるエナンチオマー、ジアステレオ異性体および関連混合物、その医薬上許容される塩およびその活性代謝産物。
【請求項2】
R4が以下からなる群から選択される少なくとも1の残基で置換されたフェニルである請求項1の化合物:メチル、ter-ブチル、メトキシ、ヒドロキシ、クロロ、ヨード、ニトロ、-S-S-(2-アミノフェニル)、-S-S-(4-アミノフェニル)、-S-(4-アミノフェニル)、-SCH3 および CH2ON=C(CH3)2; そのN1-オキシド、その単一の異性体、特に-C(R5)=N-R4 基のsynおよび anti異性体、その可能性のあるエナンチオマー、ジアステレオ異性体および関連混合物、その医薬上許容される塩およびその活性代謝産物。
【請求項3】
フェニル基がオルト位で置換されている請求項1または2の化合物。
【請求項4】
以下からなる群から選択される請求項1または2の化合物:
7-(2-メチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2212)
7-(2-クロロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2228)
7-(2,6-ジメチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2317)
7-(2-ヨードフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2316)
7-(2-メトキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2343)
7-(4-メチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2478)
7-(2-ヒドロキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2389)
7-(4-クロロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2412)
7-(4-メトキシフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2477)
7-[(4-イソプロピリデン-アミノ-オキシメチル)フェニル]イミノメチルカンプトテシン (ST2460)
7-(2-t-ブチルフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2388)
7-フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST1546)
7-(4-ニトロフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST1561)
7-2-(2-アミノフェニルジチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST1737)
7-4-(4-アミノフェニルジチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST2034)
7-4-(4-アミノフェニルチオ)フェニルイミノメチルカンプトテシン (ST2069)
7-(2-メチルチオフェニル)イミノメチルカンプトテシン (ST2138)
7-(4-tert-ブチルフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2619)
7-(4-メチルチオフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2667)
7-(4-ヒドロキシフェニルイミノメチル)-カンプトテシン (ST 2616)、
そのN1-オキシド、その単一の異性体、特に-C(R5)=N-R4 基のsynおよびanti異性体、その可能性のあるエナンチオマー、ジアステレオ異性体および関連混合物、その医薬上許容される塩およびその活性の代謝産物。
【請求項5】
式 (Ia) の化合物
【化2】

[式中、R1 は 基 -C(R5)=O、および R5は式(I)において定義したとおり、R2および R3は式(I)において定義したとおり]と、式 (IIa) R4-NH2の化合物との反応、そして所望により得られた式(I)の化合物の、そのN1-オキシド、その単一の異性体、特に-C(R5)=N-R4 基の synおよび anti異性体、その可能性のあるエナンチオマー、ジアステレオ異性体および関連混合物、その医薬上許容される塩への変換を含む請求項1〜4の化合物の調製方法。
【請求項6】
式 (Ia)の化合物と式 (IIa)の化合物のモル比が1:3〜3:1である請求項5の方法。
【請求項7】
医薬としての請求項1-4のいずれかの化合物。
【請求項8】
治療上有効量の請求項1-4の少なくとも1つの化合物を医薬上許容される媒体および賦形剤と混合して含む医薬組成物。
【請求項9】
治療上有効量の請求項1-4の少なくとも1つの化合物を医薬上許容される媒体および賦形剤と混合して所望によりその他の活性成分と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項10】
該その他の活性成分が抗腫瘍性である請求項9の医薬組成物。
【請求項11】
腫瘍の治療に有用な医薬の調製のための請求項1-4の化合物の使用。
【請求項12】
該腫瘍が非小細胞肺腫瘍、結腸-直腸、前立腺の腫瘍、神経膠腫からなる群から選択される請求項 11の使用。
【請求項13】
ウイルス感染の治療に有用な医薬の調製のための請求項1-4の化合物の使用。
【請求項14】
抗熱帯熱マラリア原虫活性を有する医薬の調製のための請求項1-4の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−520807(P2006−520807A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507637(P2006−507637)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000118
【国際公開番号】WO2004/083214
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【出願人】(591030835)
【氏名又は名称原語表記】ISTITUTO NAZIONALE PER LO STUDIO E LA CURA DEI TUMORI
【Fターム(参考)】