説明

抗菌・抗ウイルス組成物

合成化学農薬の使用を低減する、環境保全型の作物保護方法を提供する。
具体的には、ラッカーゼまたはラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物、および下記一般式(I)で表される一種もしくは二種以上のフェノール誘導体またはその塩を含む抗菌・抗ウイルス組成物を提供する。さらに、該組成物を含む植物病害防除剤、種子消毒剤、およびポストハーベスト剤、養液殺菌剤ならびにそれらの薬剤を用いることを特徴とする植物病害防除法、種子消毒法、ポストハーベスト処理法、および水耕栽培または固形培地耕栽培における養液殺菌法を提供する。


(式中、R〜Rはそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、核炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のカルボキシル基、炭素数1〜10のカルボニル基、またはハロゲン原子を表し、かつ、R〜Rの少なくとも一つは炭素数1〜10のアルケニル基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌および/または抗ウイルス組成物、ならびに、その組成物を含む植物病害防除剤、土壌病害防除剤、種子消毒剤、およびポストハーベスト剤に関する。さらに、本発明の抗菌および/または抗ウイルス組成物を用いた新たな植物病害防除方法、種子消毒方法、ポストハーベスト処理法、ならびに水耕栽培及び固形培地耕栽培の養液殺菌法に関する。
【背景技術】
【0002】
安定した農産物の生産のため、農耕地では、農薬の使用が不可欠になっている。しかしながら、自然界に存在しない化学物質を含む化学合成農薬を長期間、大量に農耕地に散布してきたため、さまざまな弊害が現れてきた。最も深刻な問題は、人畜および環境生物に与える影響である。近年では、生物に対する化学合成農薬の選択毒性が飛躍的に向上してきたため、標的外生物に対する毒性は低減されてきた。しかしながら、依然として化学合成農薬の危険性は存在する。とりわけ、化学合成農薬の製造時に生成、残留した副産物が、高い毒性を有し、標的外生物に影響を与える可能性が懸念されている。このため、環境に安全な資材の開発が望まれている。
【0003】
例えば、稲育苗栽培においては、稲苗の立枯性病害を防除する方法として、3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾール(ヒドロキシイソキサゾール)またはS−(4−メチルスルホニルオキシフェニル)−N−メチルチオカルバメート(メタスルホカルブ)を有効成分とする薬剤を、種籾の播種前に予め土壌に混和するか、播種直後または発芽後に灌中処理をする方法などが知られている。しかし、作業工程が多く、使用後の薬剤処理が必要であり、これらの化学合成農薬に替わる薬剤の開発が望まれている。
【0004】
一方、稲の種子の伝染性病害の防除のために、広く種子消毒法が採用されている。一般に、種子消毒は、一定時間薬液に種籾を浸漬するか、または種籾に薬剤を粉衣したのち風乾し、ついで停滞水中に浸種する方法が採用されており、作業が煩雑であり、時間がかかるという問題点がある。また、稲栽培における省力化の一環として共同育苗が広く行われているが、この場合は種子消毒において使用される薬液量が多く、その廃液は、環境汚染防止のため、石灰等による処理をする必要がある。したがって、このような従来の種子消毒法に代わる方法の確立が望まれている。
【0005】
また、ポストハーベスト過程における細菌やカビによる汚染を防止する目的で様々な抗菌剤および抗カビ剤が開発されてきている。例えば、(1)銀や亜鉛などの無機系抗菌剤(2)焼成Caや焼成Mgなどのアルカリ性抗菌剤・保存剤(3)TBZ、OPP、ジフェニルに代表される有機抗カビ剤(4)アルコール系殺菌剤(5)アルコール製剤に持続性のある抗菌成分を加えた持続的アルコール除菌製剤(6)次亜塩素酸ソーダに代表される塩素系殺菌剤、などが開発されてきた。しかしながら、従来から使用されている抗菌・抗カビ剤の多くは、多量摂取により人体に対し害を及ぼす成分を含有する。このため、従来の抗菌・抗カビ剤には残留安全性に問題があった。
【0006】
さらに、土の代わりに植物に必要な栄養成分を含む水溶液(以下、「養液」という)を用いて作物を栽培する養液栽培が知られている。該養液栽培は水耕栽培と固形培地耕栽培とに大別される。水耕は湛液型水耕、養液薄膜水耕(NFT)などに、固形培地耕はロックウール耕、礫耕、砂耕などに各々代表される。
湛液型水耕、養液薄膜水耕(NFT)は養液を再利用する循環式であり、ロックウール耕は循環式と非循環(掛け流し)式とがあるが、地下水や河川の汚染などの環境問題から循環式に移行しつつある。
養液栽培は、土壌伝染性病害を回避することができる栽培方法として研究・開発され、連作障害を回避することができ、収穫量が多い点が最大の特徴といえる。しかしその反面、土壌栽培とは異なり病原菌に対する拮抗菌も存在しないため、栽培ベッドや養液循環系に病原菌が入り込んだ場合の被害は非常に大きいものとなる。さらに養液栽培は、土壌のような緩衝作用が少なく、病原菌の拡散が容易で、根との接触機会が多いので、養液中に菌が混入すると土壌耕栽培よりも菌が蔓延しやすい。一般に養液中の病原菌は、胞子、菌糸や遊走子の形で液中を伝播し、根から植物に侵入し、根腐れ病などを引き起こす。特に、ピシウム菌・リゾクトニア菌・フザリウム菌などによる立ち枯れ病・萎凋病は、養液栽培植物のほとんどが被害の対象になり得る。従って、養液を殺菌処理して養液中の病原菌を効果的に殺菌する必要性が高く、そのための手段が求められている。
【0007】
にもかかわらず、水耕栽培用として登録されている農薬は、オクトクロス(サトウセン製)という銀を布に含浸させた殺菌剤(2004年2月登録)しかない。しかし、該殺菌剤は養液の温度が30℃以上であったり、養液中のアンモニア濃度やpHが変動すると植物根が焼けるなどの甚大な薬害を起こす懸念があり、使用には極めて慎重な対応が必要である。また、養液栽培は養液を頻繁に交換するため、地下水や河川の汚染などの環境問題、コストや手間の点から、該殺菌剤の使用は好ましい対処法とはいえない面がある。
また、養液栽培において農薬を使用しない殺菌法として、紫外線・オゾン・加熱などによる殺菌方法が知られているが、紫外線だけでは十分な効果が得られがたく、また加熱装置やオゾン発生装置などの装置は維持管理が煩雑であったり、高価であるなどの問題がある。
【0008】
このため、生物学的防除法、生態学的防除法、耕種的防除法および予防的防除法との組み合わせにより、化学合成農薬の使用量を低減する方法が注目されている。自然界に存在する微生物や微生物の生産するタンパク質などを利用した微生物農薬・資材を用いる方法はその有効な手段の一つである。
【0009】
微生物農薬としては、イチゴ炭疽病を防除するタラロマイセス菌製剤、灰色かび病を防除するバチルス菌製剤、ハクサイ軟腐病を防除するハクサイ軟腐病菌の非病原菌を含む製剤などが知られている。しかし、これらの微生物農薬は、一定の効果は得られるものの、安定した効果の発現が困難な場合があったり、対象病害が限られているため、何種類もの微生物農薬を併用しなければならない場合がある。
【0010】
また、生体内物質であるラッカーゼを用いて微生物やウイルスを防除する方法が知られている(特表2001−522784号参照)。当該方法は、ラッカーゼとフェノール誘導体からなる防除組成物を用いる。当該方法は、微生物の種類によらず一定の抗菌性や抗ウイルス性を示すが、植物病害の防除に使用したときに十分な効果が発現しない場合があり、さらなる改良が望まれていた。
【発明の開示】
【0011】
上記のように、化学合成農薬の使用を低減する環境保全型の作物保護方法が望まれており、また防除対象病害のより広い微生物農薬が望まれている。本発明はこれらの課題を解決することにある。
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため、抗菌および/または抗ウイルス組成物、特に、植物および農作物に悪影響を与えることなく、植物病原菌および/またはウイルスの病害の発生および蔓延を抑制することができる抗菌および/または抗ウイルス組成物を見出し、本発明を完成した。具体的には、本発明者は、ラッカーゼおよび特定構造のフェノール誘導体を含む組成物が、幅広い種類の植物病原菌および/またはウイルスに対して、高い抗菌および/または抗ウイルス活性を有することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものである。
【0013】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ラッカーゼまたはラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物、および下記一般式(I)で表される1種もしくは2種以上のフェノール誘導体またはその塩を含む、抗菌および/または抗ウイルス組成物。
【0014】

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換の炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換または無置換の核炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のカルボキシル基、炭素数1〜10のカルボニル基、またはハロゲン原子を表し、かつ、R〜Rの少なくとも一つは炭素数1〜10のアルケニル基である。ただし、RおよびRのいずれもがアルコキシ基である場合を除く。)
【0015】
(2)前記一般式(I)におけるRが、下記一般式(II)で表されることを特徴とする、(1)に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。
【0016】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または炭素数1〜4のカルボニル基を表し、シス位またはトランス位のいずれにあってもよく、nは0または1の整数を表す。)
【0017】
(3)前記微生物が、糸状菌または細菌であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。
(4)前記糸状菌が、担子菌または木材腐朽菌であることを特徴とする、(3)に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。
(5)前記微生物が、トラメテス(Trametes)属、シゾフィラム(Schizophyilum)属、ファネロキーテ(Phanerochaete)属、ジェルカンデラ(Bjerkandera)属、イルペックス(Irpex)属、プレウロタス(Pleurotus)属、マイセリオフトラ(Myceliophthora)属、レンチネラ(Lentinera)属、ピクノポラス(Pycnoporus)属、レンチナス(Lentinus)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、フナリア(Funalia)属、メルリウス(Merulius)属、コプリヌス(Coprinus)属、アガリクス(Agaricus)属、フォリオタ(Phoriota)属、フラムロナ(Flammulona)属、ガノデルマ(Ganoderma)属、ダエダレオプシス(Daedaleopsis)属、ファポラス(Favolus)属、リオフィラム(Lyophylum)属、オーリキュラリア(Auricularia)属、グロエオフィラム(Gloeophyllum)属、タイロマイセス(Tyromyces)属、コニオフォラ(Coniophora)属、ヘテロバシディオン(Heterobasidion)属、フォメス(Fomes)属、ケトミウム(Chaetomium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、スクレロチウム(Sclerotium)属、フミコーラ(Humicola)属、モニリア(Monilia)属、キシラリア(Xylalia)属、クラドリナム(Cladorrhinum)属、グラフィウム(Graphium)属、スコプラリプシス(Scopularipsis)属、スフェロプシス(Sphaeropsis)属、フザリウム(Fusarium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ボツリティス(Botrytis)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アクレモニウム(Acremonium)属、またはバチルス(Bacillus)属のいずれかに属する菌であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれか一項に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物を含む植物病害防除剤。
(7)(1)〜(5)のいずれか一項に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物を含む種子消毒剤。
(8)(1)〜(5)のいずれか一項に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物を含むポストハーベスト剤。
(9)(6)に記載の植物病害防除剤を植物または植物を栽培する土壌に施用することを特徴とする、植物病害を防除する方法。
(10)(7)に記載の種子消毒剤で種子を処理することを特徴とする、植物種子を消毒する方法。
(11)(8)に記載のポストハーベスト剤で農作物を処理することを特徴とする、ポストハーベスト処理法。
(12)(6)に記載の植物病害防除剤を水耕栽培もしくは固形培地耕栽培の植物、または水耕栽培の養液もしくは固形培地耕栽培の固形培地分を除いた養液に施用することを特徴とする、植物病害を防除する方法。
【0018】
以下、本明細書では、抗菌活性または抗ウイルス活性の一方または両方を、「抗菌・抗ウイルス活性」ということがある。
【0019】
本発明によれば、ラッカーゼまたはラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物、および特定のフェノール誘導体を含む組成物が提供される。本発明の組成物は、抗菌・抗ウイルス活性を有するため、この組成物を用いることにより、様々な植物病原菌および/またはウイルスの病害を効果的に抑制することが可能になり、農作物等の植物を病害から保護する新しい方法が提供される。さらに、該組成物を含む植物病害防除剤を植物または植物を栽培する土壌等に施用することにより、該組成物を含む種子消毒剤を種子に処理することにより、該組成物を含むポストハーベスト剤を農作物に施用することにより、あるいは該組成物を含む植物病害防除剤を水耕栽培もしくは固形培地耕栽培の植物または水耕栽培の養液もしくは固形培地耕栽培の固形培地分を除いた養液に施用することにより、化学農薬の使用を低減することが可能になる。さらに、広範な植物病害に効果があり、かつ、優れた効果を示す新しい微生物農薬が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の抗菌および/または抗ウイルス組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、ラッカーゼまたはラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物、および前記一般式(I)で表される1種もしくは2種以上のフェノール誘導体またはその塩(以下、単に「フェノール誘導体」ということがある)を含む。
【0021】
本発明に用いる「ラッカーゼ」(E.C.1.10.3.2)は、前記フェノール誘導体とともに抗菌・抗ウイルス活性を示すものである限り種類は特に制限されず、植物、細菌、糸状菌、酵母等の微生物または動物由来の酵素を用いることができる。また、天然に由来するラッカーゼに限られず、遺伝子組換え技術により製造される組換え体、変異体であってもよい。
【0022】
本発明において「ラッカーゼを産生する微生物」とは、ラッカーゼを産生する担子菌あるいは木材腐朽菌を含む糸状菌またはバチルス属細菌等が挙げられる。好ましくは、トラメテス属、シゾフィラム属、ファネロキーテ属、ジェルカンデラ属、イルペックス属、プレウロタス属、マイセリオフトラ属、レンチネラ属、ピクノポラス属、レンチナス属、リゾクトニア属、フナリア属、メルリウス属、コプリヌス属、アガリクス属、フォリオタ属、フラムロナ属、ガノデルマ属、ダエダレオプシス属、ファポラス属、リオフィラム属、オーリキュラリア属、グロエオフィラム属、タイロマイセス属、コニオフォラ属、ヘテロバシディオン属、フォメス属、ケトミウム属、ニューロスポラ属、スクレロチウム属、フミコーラ属、モニリア属、キシラリア属、クラドリナム属、グラフィウム属、スコプラリプシス属、スフェロプシス属、フザリウム属、トリコデルマ属、ボツリティス属、アスペルギルス属、アクレモニウム属、またはバチルス属のいずれかに属する、ラッカーゼを産生する菌が挙げられる。
【0023】
本発明において「ラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物」とは、例えば、上記した菌のいずれかに属する菌の菌体、またはその破砕物、抽出物、もしくはそれらの分画物をいう。「処理物」の一実施形態としては、糸状菌の培養液をホモジナイズすることにより菌糸を切断した処理物が挙げられる。
【0024】
また、本発明において「ラッカーゼ」は、微生物から単離した精製酵素、あるいは粗精製酵素であってもよいが、上記したいずれかの微生物の菌体外に放出されたラッカーゼが好適なものとして例示される。
【0025】
本発明の組成物中には、一種類または複数種のラッカーゼ、および/あるいは一種類または複数種のラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物が含まれていてもよい。
【0026】
本発明に用いられる特定構造を有するフェノール誘導体は、上記一般式(I)に示されるフェノール誘導体である。好ましくは、R上記一般式(II)で表される上記一般式(I)に示されるフェノール誘導体である。さらに好ましくは、下記構造式(III)で表されるフェノール誘導体をあげることができる。
【0027】

(式中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0028】
さらにより好ましくは、上記構造式(III)で表されるフェノール誘導体のうち、R〜Rが水素であり、R10が水素、メチル基またはエチル基で表されるフェノール誘導体を挙げることができる。
【0029】
尚、一般式(I)で表されるフェノール誘導体は、塩を形成していてもよい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。好ましい塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
【0030】
本発明の組成物は、前記ラッカーゼまたはラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物、およびフェノール誘導体を含むこと以外は、通常の方法により製剤化することもできる。すなわち、必要に応じて各種任意成分と共に製剤化してもよい。剤型としては、液剤、粉剤、粒剤、乳剤、油剤、カプセル剤、水和剤、塗布剤およびフロアブル等が含まれる。製剤化においては、液体担体、固体担体、界面活性剤(乳化剤、分散剤、消泡剤等が含まれる)、および補助剤等を用いることができる。
【0031】
液体担体としては、水、植物油、液体動物油、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、および生理食塩水等が用いられうる。固体担体としては、カチオンクレー、バイロフィライトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、および珪藻土類を含む天然鉱物粉末、ケイ酸、アルミナ、およびケイ酸塩を含む合成鉱物粉末、ならびに結晶性セルロース、コーンスターチ、ゼラチン、およびアルギン酸を含む高分子性天然物等が用いられうる。これらの液体担体および/または固体担体は、一種類を単独で使用してもよく、二種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−脂肪アルコールエーテル、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、およびアリールスルフォネート等が用いられうる。
【0033】
補助剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、グリセリン、アラビアゴム、デンプン、および乳糖などが用いられうる。
【0034】
本発明の特定の実施形態においては、本発明の組成物は、水系溶媒を担体とする液剤とすることができる。この液剤を製造する場合には、溶媒中での混合物の水和性を向上させるために、水溶性高分子を添加することが好ましい。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、およびポリアクリルアミド等が含まれる。さらに組成物の植物への付着性を改善し、製剤中におけるラッカーゼの安定性を向上させるために、キシログルカン、グアーガム等の多糖類を配合することが好ましい。
【0035】
本発明の組成物中のラッカーゼの濃度は、任意の濃度とすることができるが、0.0001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%とするのが好ましい。ラッカーゼを産生する微生物の濃度は、任意の濃度とすることができるが、10〜1011cfu/g製剤、好ましくは10〜10cfu/g製剤とするのが好ましい。
【0036】
本発明の組成物中のフェノール誘導体の濃度は、任意の濃度とすることができるが、0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%とするのが好ましい。
【0037】
本発明の組成物は、抗菌・抗ウイルス活性を有し、例えば、植物病害防除剤、種子消毒剤、ポストハーベスト剤、または水耕栽培もしくは固形培地耕栽培の養液殺菌剤として使用することができる。本発明の組成物を植物病害の防除に用いる場合、施用法は、剤型、剤型等の使用形態、対象作物の種類、ならびに対象病害および/またはウイルスの種類によって、任意の方法を適宜選択することができる。
【0038】
例えば、本発明の組成物を植物もしくは植物を栽培する土壌に施用する方法、本発明の組成物で種子を処理する方法、本発明の組成物を収穫後の農作物に処理する方法、あるいは本発明の組成物を水耕栽培もしくは固形培地耕栽培の植物、または水耕栽培の養液もしくは固形培地耕栽培の固形培地分を除いた養液に施用する方法が挙げられる。ここで、本発明の組成物を「土壌に施用する」または「養液に施用する」とは、組成物の構成成分(例えば、ラッカーゼまたはラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物、およびフェノール誘導体)を別個に施用し、土壌または養液中で組成物を構成させることを含む。具体的な施用、処理法としては、例えば、地上液剤散布法、地上固形散布法、空中液剤散布法、空中固形散布法、水面施用法、施設内施用法、表面処理法(種子粉衣処理および種子塗布処理を含む)、育苗箱施用法、単花処理法、および株元処理法が挙げられる。
好ましい施用法としては、各種剤型の農園芸用殺菌剤組成物を、栽培植物の種子にコートする、栽培植物の花に単花処理する、栽培植物の茎葉に処理する、栽培植物の傷口箇所、剪定部に塗布する方法が含まれる。本発明の組成物をポストハーベスト剤として使用する場合には、本発明の組成物を水和剤とし、収穫物の貯蔵前や輸送前に当該水和剤を散布する方法や、水和剤に浸す等の方法をとることができる。
【0039】
本発明の組成物を植物病害防除剤として、養液殺菌に使用する場合には、水耕栽培の養液の殺菌、及び固形培地分を取り除いた(例えば砂ろ過などによる)固形培地耕栽培の養液の殺菌に用いることができる。本発明の組成物は、1)予防を兼ねた低濃度(ラッカーゼ及びフェノール誘導体の濃度が0.01wt%以下)での定期的な殺菌、2)低い濃度の病原菌の発生(10〜10cfu/ml)を確認した後、病害の拡大を緊急的に阻止するための直前殺菌、3)病原菌の大発生後の養液の殺菌など、いずれの時期の養液の殺菌に用いてもよい。また病気の発生状況に応じて本発明の組成物の濃度を調整させて、殺菌に用いることができる。
さらに、養液のpHを5.0〜6.0に調整したり、養液の温度を30〜35℃に調整することで殺菌を短時間で効果的に行うこともできる。
【0040】
水耕栽培は水耕栽培装置で行うことができるが、水耕栽培装置での具体的な殺菌法として、例えば以下の方法を用いることができる。10アールの水耕栽培では養液を10t使用する。その養液の半分(5t)をリザーブタンクに湛水し、残りの半分を栽培植物根に回流させる。養液中に病原菌が発生または大量発生した場合には、リザーブタンク中の養液に本発明の組成物を添加し、約30分程度リサイクルループから独立させて撹拌させることにより、ほぼ完全にリザーブタンク中の病原菌を殺菌することができる。また、殺菌効率を上げる方法として、養液のpHをリン酸などにより5.0〜6.0、好ましくは5.5に調整し、本発明の組成物を処理し、殺菌終了後に重炭酸カリウムなどを用いてpHを中性付近に戻すこともできる。
この後、リサイクルループに連結すれば、植物根への影響を最小限に留めることができる。10tの養液中の全病原菌を殺菌するには、5tのリザーブタンクによるバッチ処理を5〜6回繰り返す必要がある。また、養液中の病原菌発生状況に応じて、本発明の組成物の濃度を変化させることもできる。
さらに、本発明の組成物を使った定期的な殺菌法として、10アールの水耕栽培中の養液10tに、本発明の組成物を定期的に添加して、ラッカーゼ及びフェノール誘導体の濃度を低濃度(例えば、0.01〜0.001wt%程度)に維持して、養液中の病原菌を殺菌することで、養液中の病原菌を含む微生物濃度を10cfu/ml以下に抑えることができる。ラッカーゼ酵素は養液中で比較的安定に存在するため(温度、養液中の微生物濃度によって異なるが、半減期は約2〜14日)、いったん本発明の組成物を添加したら、ラッカーゼ酵素の濃度が初濃度の30%以下に低下するまでフェノール誘導体(例えばオイゲノール)のみを定期的に添加してもよく、それによりコストを抑えながら殺菌を継続することができる。
【0041】
本発明の組成物を、農園芸用殺菌剤組成物として栽培植物または植物を栽培する土壌、あるいは水耕栽培または固形培地耕栽培の養液に施用するに際して、任意の他の剤を混合施用、もしくは混合せずに交互施用、または同時施用してもよい。他の剤としては、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺菌剤、植物成長調節剤、肥料、および土壌改良資材(泥炭、腐食酸資材、ポリビニルアルコール系資材を含む)が含まれる。
【0042】
本発明の組成物は非選択的抗菌・抗ウイルス活性を発現するため、広範な病害やウイルスに適用することができる。特に効果を示す病害としては、例えば、ウリ類のうどんこ病(病原菌学名:Sphaer otheca fuliginea)、各種野菜および花弁の灰色かび病(病原菌学名:Botrytis cinerea)、トマトうどんこ病(病原菌学名:Oidium violaeなど)、トマト、ナスの青枯れ病(Pseudomonas solanacearm)、イチゴうどんこ病(病原菌学名:Sphaerotheca macularis)、およびバラうどんこ病(病原菌学名:Sphaerotheca ponnosa)などが挙げられ、幅広い病害に適用することができる。
【0043】
また、本発明の組成物は汁液伝染性植物ウイルス、生物媒介伝染性植物ウイルスによる病害にも効果を示す。これらの植物ウイルスとしては、タバコモザイルウイルス(tobacco mosaic virus;TMV)、タバコラットルウイルス(tobacco rattle virus)、タバコ矮化ウイルス(tobacco stunt virus;TStuV)、タバコ葉巻ウイルス(tobacco leaf curl virus;VLCV)、タバコ脈葉モザイクウイルス(TVBMV)、タバコ壊疽萎縮ウイルス(TNDV)、タバコストリークウイルス(tobacco streak virus;TSV)、ジャガイモXウイルス(potato virus X;PVX)、ジャガイモY,S,M,Aウイルス、ジャガイモ黄斑ウイルス(potato acuba mosaic virus;PAMV)、ジャガイモモップトップウイルス(PMTV)、ジャガイモ葉巻ウイルス(potato leaf−roll virus;PLRV)、アルファルファモザイクウイルス(alfalfa mosaic virus;AMV)、キュウリモザイクウイルス(cucumber mosaic virus;CMV)、キュウリ緑斑モザイクウイルス(cucumber green mottlemosaic virus;CGMMV)、キュウリ黄化ウイルス(cucumber yellows virus;CuYV)、カボチャモザイクウイルス(watermelon mosaic virus;WMV)、トマト黄化壊疽ウイルス(tomato spotted wilt virus;TSWV)、トマト輪点ウイルス(tomato ringspot virus;TomRSV)、サトウキビモザイクウイルス(sugarcane mosaic virus;SCMV)、イネ萎縮ウイルス(rice drawf virus)、イネ縞葉枯ウイルス(rice stripe virus)、イネ黒条萎縮ウイルス(rice black−streaked drawf virus)、イチゴモットルウイルス(strawberry mottle virus;SMoV)、イチゴベインバンデングウイルス(strawberry vein banding virus;SVBV)、イチゴマイルドイエローエッジウイルス(strawberry mild yellow edge virus;SMYEV)、イチゴクリンクルウイルス(strawberry crinkle virus;SCrV)、ソラマメウイルトウイルス(broad beanwilt virus;BBWV)、メロン壊疽斑点ウイルス(melonnecrotic spot virus;MNSV)等が含まれる。
【0044】
本明細書における「抗菌」「抗ウイルス」とは当業者が一般的に理解する意味であるが、「抗菌」とは、カビや細菌の殺菌または発育阻害の意味を含み、「抗ウイルス」とは、ウイルスの増殖阻止およびウイルス病害の発生阻止の意味を含む。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例1】
【0046】
特表2001−522784号に記載された方法と同様の方法により精製したラッカーゼ酵素10mgを脱イオン水10ccに溶解し(0.1重量%溶液)、下記構造式(IV)に示されるオイゲノール、および構造式(V)に示されるメチルシリンゲートを、それぞれ別個に0.01重量%混合し、2つの抗菌・抗ウイルス組成物を調製した。
【0047】

【0048】
得られた2つの組成物を直径8mmのペーパーディスクに染み込ませ、このペーパーディスクを、各種の植物病原菌を混合したショ糖−ポテト寒天平板培地の上に置き、25℃で培養した。1週間後に、ペーパーディスクの周辺に形成される阻止円の大きさを調べた。結果を表1に示す。これらの結果から、いずれの組成物とも、各種病原菌に対して抗菌活性を有することが確認された。
【0049】

【実施例2】
【0050】
ポテトデキストロース24gを1lの水道水に溶解させて液体培地を調製し、その50mlを、内容積250mlのマイヤーフラスコに注入した。シリコ栓により密栓した後、121℃で20分間、殺菌処理をした。次に、このマイヤーフラスコを室温にまで冷却し、ラッカーゼ生産微生物であるシゾフィラム・コムネ(Schizophilum commune;IFO6505)を、1白金耳植種した。ついで、培養液を28℃において14日間にわたり、静置培養した。
【0051】
培養したシゾフィラム・コムネ(Schizophilum commune;IFO6505)の培養液ホモジナイザーを用いて菌糸を切断し、水を加えて10cfu/g製剤に調整した。これに、オイゲノール(0.01重量%)、リグニンスルホン酸カルシウム(3重量%)、ラウリル硫酸ナトリウム(2重量%)を添加、混合し、微生物の菌体処理物を含む水和剤を調製した。
【0052】
このようにして得られた水和剤の、トマト灰色かび病に対する防除効果を試験した。灰色かび病菌を感染させて培養したミカン果実を吊り下げた硝子温室内にて、トマトを栽培することにより試験を行った。トマトは、瑞健(品種)を用いた。試験区は1区画あたり、12株とした。
【0053】
トマトの第3花房開花期に、上記水和剤を施用量200L/10aにて、3日間隔で計3回散布(茎葉部噴霧処理)した。最終散布の7日後に、発病果および発病花を測定した。一方、上記水和剤を処理しなかったトマトについても同様の手順で試験を行い、発病果および発病花を測定した。発病度および防除価は下記式(1)および(2)によって算出した。防除価は70%であった。
【0054】


【0055】
対照として、上記水和剤を市販のバシタック(商品名、主成分;メプロニル、クミアイ化学製、1500ppm)に替えて、同様の試験を行い、同様に防除価を算出した。本試験における防除価は80%であった。
【実施例3】
【0056】
実施例2における前記ラッカーゼ生産微生物を含む水和剤の代わりに、特表2001−522784号に記載された方法と同様の方法により精製したラッカーゼ酵素10mgを水10ccに溶解し、0.1重量%溶液として、オイゲノール0.01重量%、リグニンスルホン酸カルシウム3重量%、ラウリル硫酸ナトリウム2重量%になるように添加し、混合して得た水和剤を用いて、実施例2と同様の試験を行った。防除価は75%であった。
【実施例4】
【0057】
イネばか苗病菌(Gibberella fujikuroi)を、開花期のイネに接種して得た感染苗から籾を得た。この籾に、イネもみ枯細菌(Pseudomonas glumae)を接種し、実施例1で調製した2つの組成物液に24時間浸漬処理を行った。その後、育苗培土を詰めた2つのプラスチック製ポットに、ポットあたり4.5gの前記籾を播種した。ついで、ポットを育苗器内で3日間30℃に保持した後、温室内で14日間栽培した。発病状態を調査し、罹病度を下記式(3)により算出した。
【0058】

【0059】
この結果を表2に示す。なお、罹病度0は、罹病していないことを意味し、罹病度100は、薬剤無処理対照群の場合と同じであることを意味する。
【0060】

【実施例5】
【0061】
試験対象として、PMMV(コショウ軽度斑点ウイルス)を使用した。ピーマンに人為的にPMMVを感染させ、4週間後に症状を示している葉を数枚、および症状を示している小根を採取して、室温で約2週間、乾燥させた。その後、この材料の葉を1g、および根を1g計量して、ビーカー中の1lの水中に加えた。さらに、特表2001−522784号に記載された方法と同様の方法により精製したラッカーゼ酵素1gとオイゲノール0.1gをそれぞれ添加した。添加後、一定時間(30分、2時間)処理し、葉および根を取り出して水洗し、組成物の作用をとめた。水洗後の葉および根をすりつぶした。これを、処理ごとに3本の試験植物の葉タバコのそれぞれ3枚の葉に接種した。接種した材料にウイルスが残存していれば、接種された葉に局所病斑が現れる。
【0062】
接種5日後に、この病斑の数を数えた。処理ごとに、9枚の葉の病斑数を数えた。無処理のものと比較して、ウイルスの殺菌率を算出した。結果を表5に示す。
【0063】

【実施例6】
【0064】
トマト水耕栽培で使用している養液(硝酸カリウム8g、硝酸石灰9.45g、硫酸マグネシウム5g、及びリン安1.5gを、水10Lに溶解させたもの)100mlを120℃で20分間、高圧蒸気滅菌処理した。この滅菌処理した養液に、軟腐病菌(Erwinia carotovorasp.carotvora)、トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.lycopersiciの小型分生胞子)を添加し、濃度が10cfu/mlとなるように調製した。
この調製液にラッカーゼ酵素(特表2001−522784号に記載された方法により精製されたもの)、およびオイゲノールをそれぞれ0.01wt%になるように添加した。添加後、一定時間(1、5、10、20、30分)経過後に、1000倍希釈した液を普通寒天培地に塗布し、希釈平板法により菌数を算出した。その結果を表4に示す。
【0065】
<比較例1>
紫外線出力1.7W,ランプ電力13Wの二重管流水殺菌灯を用いて、上記実施例6と同様にして調製した軟腐病菌(Erwinia carotovorasp.carotvora)、トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.lycopersiciの小型分生胞子)の濃度が10cfu/mlの調製液に、254nmを主波長とする紫外線照射を行った。紫外線照射後、培養液を撹拌し、実施例6と同様にして希釈平板法により殺菌効果を測定した。結果を表4に示す。
【0066】

【0067】
表4に示された結果から、本発明の組成物により、養液栽培で問題とされている、養液中の病原菌が効果的に殺菌されていることがわかる。よって養液栽培で栽培される植物の植物病害を防ぐことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッカーゼまたはラッカーゼを産生する微生物の菌体もしくはその処理物、および下記一般式(I)で表される1種もしくは2種以上のフェノール誘導体またはその塩を含む、抗菌および/または抗ウイルス組成物。

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換の炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換または無置換の核炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のカルボキシル基、炭素数1〜10のカルボニル基、またはハロゲン原子を表し、かつ、R〜Rの少なくとも一つは炭素数1〜10のアルケニル基である。ただし、RおよびRいずれもがアルコキシ基である場合を除く。)
【請求項2】
前記一般式(I)におけるRが、下記一般式(II)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または炭素数1〜4のカルボニル基を表し、シス位またはトランス位のいずれにあってもよく、nは0または1の整数を表す。)
【請求項3】
前記微生物が、糸状菌または細菌であることを特徴とする、請求項1または2に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。
【請求項4】
前記糸状菌が、担子菌または木材腐朽菌であることを特徴とする、請求項3に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。
【請求項5】
前記微生物が、トラメテス(Trametes)属、シゾフィラム(Schizophyilum)属、ファネロキーテ(Phanerochaete)属、ジェルカンデラ(Bjerkandera)属、イルペックス(Irpex)属、プレウロタス(Pleurotus)属、マイセリオフトラ(Myceliophthora)属、レンチネラ(Lentinera)属、ピクノポラス(Pycnoporus)属、レンチナス(Lentinus)属、リゾクトニア(Rhizoctonia)属、フナリア(Funalia)属、メルリウス(Merulius)属、コプリヌス(Coprinus)属、アガリクス(Agaricus)属、フォリオタ(Phoriota)属、フラムロナ(Flammulona)属、ガノデルマ(Ganoderma)属、ダエダレオプシス(Daedaleopsis)属、ファポラス(Favolus)属、リオフィラム(Lyophylum)属、オーリキュラリア(Auricularia)属、グロエオフィラム(Gloeophyllum)属、タイロマイセス(Tyromyces)属、コニオフォラ(Coniophora)属、ヘテロバシディオン(Heterobasidion)属、フォメス(Fomes)属、ケトミウム(Chaetomium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、スクレロチウム(Sclerotium)属、フミコーラ(Humicola)属、モニリア(Monilia)属、キシラリア(Xylalia)属、クラドリナム(Cladorrhinum)属、グラフィウム(Graphium)属、スコプラリプシス(Scopularipsis)属、スフェロプシス(Sphaeropsis)属、フザリウム(Fusarium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ボツリティス(Botrytis)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アクレモニウム(Acremonium)属、またはバチルス(Bacillus)属のいずれかに属する菌であることを特徴とする、請求項1または2に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物を含む植物病害防除剤。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物を含む種子消毒剤。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌および/または抗ウイルス組成物を含むポストハーベスト剤。
【請求項9】
請求項6に記載の植物病害防除剤を植物または植物を栽培する土壌に施用することを特徴とする、植物病害を防除する方法。
【請求項10】
請求項7に記載の種子消毒剤で種子を処理することを特徴とする、植物種子を消毒する方法。
【請求項11】
請求項8に記載のポストハーベスト剤で農作物を処理することを特徴とする、ポストハーベスト処理法。
【請求項12】
請求項6に記載の植物病害防除剤を水耕栽培もしくは固形培地耕栽培の植物、または水耕栽培の養液もしくは固形培地耕栽培の固形培地分を除いた養液に施用することを特徴とする、植物病害を防除する方法。

【国際公開番号】WO2004/100660
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506185(P2005−506185)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006455
【国際出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】