説明

抗菌性アクリル系繊維の製造方法

【課題】染色性と耐久性に優れた抗菌性アクリル系繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】アニオン性共重合成分を0.60質量%以上2.10質量%以下含有するアクリル系繊維を、抗菌剤成分として第四級アンモニウム塩を含有する処理液に含浸せしめ、前記第四級アンモニウム塩を前記アニオン性共重合成分とイオン交換させ抗菌剤成分を繊維に固着させる抗菌性アクリル系繊維の製造方法であり、特に、上記の第四級アンモニウム塩を含有する処理液の含浸を、繊維の乾熱処理後の繊維緻密化された状態で行うことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性を機能付与されたアクリル系繊維の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
豊かで快適な生活環境を求める消費者の増加に伴い、より清潔で快適な衣料および寝装ホーム製品向けの繊維製品が広く流通している。特に、肌着用途に関しては、人間の汗により雑菌の増殖を抑制し、不快な異臭の発生を防止する目的で、抗菌性を付与した抗菌性繊維製品が広く流通している。これらの抗菌製品に求められる特性としては、抗菌成分が繊維から溶出あるいは脱落したりせずに抗菌性が持続されることにある。
【0003】
繊維に抗菌性を付与する方法としては、例えば、繊維を形成するポリマー中に銀または銀化合物を添加する方法(特許文献1参照。)、または、銀を担持させた結晶性微粒子(特許文献2参照。)を繊維に含有させることにより繊維に抗菌性を付与する方法が提案されている。
【0004】
また別に、抗菌剤についても、キトサンを繊維中に練り込んだアクリル繊維を製造する方法(特許文献3参照。)や、第四級アンモニウム塩等を抗菌剤として液中処理にて繊維表面付与することで抗菌製品を得る方法(特許文献4参照。)が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記の銀を抗菌剤として用いた場合では、晒し処理により銀が変性し、抗菌性が失われる問題がある。加えて、結晶微粒子に銀を担持させることにより、銀の抗菌性を保持する技術では粒子径を制御する必要があるなどの課題がある。また、有効成分としての抗菌剤を繊維中に練り込む場合では、成分が凝集することで紡糸口金孔での詰まりが発生し、操業性悪化を引き起こす可能性がある。また、抗菌剤を繊維表面に付与する方法は、簡便で生産性に優れるものの洗濯などにより有効成分が脱落するなど耐久性に問題がある。また、第四級アンモニウム塩には腐食性を有する塩化物イオンを含有するものもあるため、紡糸や紡績などの装置に錆が生じる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−199418号公報
【特許文献2】特開2010−18895号公報
【特許文献3】特開平10−140418号公報
【特許文献4】特開昭59−130371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アクリル系繊維に抗菌性を付与するにあたり、浴中処理による抗菌成分の表面付与では洗濯するなどした場合に有効成分が脱落するなど耐久性に乏しく、また、塩化物イオンを含有する第四級アンモニウム塩を抗菌剤として使用した場合、高次加工工程において、装置を腐食させるなどの課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、染色性と耐久性に優れた抗菌性アクリル系繊維の製造方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、塩化物イオンを含有する第四級アンモニウム塩を抗菌剤成分として使用しても、アニオン交換されるため、高次加工工程における装置への腐食を防止することができる抗菌性アクリル系繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明の抗菌性アクリル系繊維の製造方法は、アニオン性共重合成分を0.60質量%以上2.10質量%以下含有するアクリル系繊維を、抗菌剤成分として第四級アンモニウム塩を含有する処理液に含浸せしめ、前記第四級アンモニウム塩を前記アニオン性共重合成分とイオン交換させ抗菌剤成分を繊維に固着させることを特徴とする抗菌性アクリル系繊維の製造方法である。
【0011】
本発明の抗菌性アクリル系繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の第四級アンモニウム塩の繊維に対する含有率は、0.27質量%以上0.45質量%以下である。
【0012】
本発明の抗菌性アクリル系繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の第四級アンモニウム塩を含有する処理液の含浸は、繊維の乾熱処理後の繊維緻密化された状態で行うことである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造上容易で、染色性と耐久性に優れた抗菌性アクリル系繊維を得ることが可能である。さらに、塩化物イオンを含有する第四級アンモニウム塩を抗菌剤成分として使用しても、アニオン交換されるため、高次加工における装置への腐食を防止することが可能である。
【0014】
このように、本発明により得られる抗菌性アクリル系繊維は、洗濯耐久性に優れた抗菌性能を有していることから、繊維製品が使用環境で受ける処理がなされても抗菌性能を維持できる。また、発色性においても、既存のアクリル系繊維と同等であることから、混紡時に何ら制約を受けない。また、抗菌剤に塩化物系の第4級アンモニウム塩を選択しても高次加工における周辺機器への錆の発生等の問題がない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、アニオン性共重合成分を含有するアクリル系繊維を、抗菌剤成分として第四級アンモニウム塩を含有する処理液に含浸せしめて、前記の第四級アンモニウム塩を前記のアニオン性共重合成分とイオン交換させ抗菌剤成分を繊維に固着させる抗菌性アクリル系繊維の製造方法である。
【0016】
本発明で用いられるアクリル系繊維は、アクリロニトリルを85質量%以上、好ましくは90質量%以上含有するアクリル系ポリマーからなる繊維である。アクリル系ポリマーにおけるアクリロニトリルが85質量%未満では、アクリル系繊維としての耐熱性が劣るものとなる。
【0017】
また、本発明で用いられるアクリロニトリルと共重合されるアニオン性共重合成分としては、メタリルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ、およびイソプレンスルホン酸ソーダ等のイオン性不飽和単量体等が好ましく選択される。中でも、メタリルスルホン酸ソーダとスチレンスルホン酸ソーダが好ましく用いられる。
【0018】
アニオン性共重合成分のアクリル系繊維に対する含有量は、0.6〜2.1質量%であり、好ましくは0.9〜1.5質量%である。上記の含有量が0.6質量%以下では抗菌性の低下を惹起し、含有量が2.1質量%を超えると延伸性が低下したり、単糸間での膠着を生じ易くなる。
【0019】
本発明において、その他、アクリロニトリルと共重合させる不飽和単量体としては、アクリル酸メチルやアクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸エチルやメタクリル酸イソプロピルなどのメタクリル酸エステル、スチレンおよび酢酸ビニルなどが挙げられる。許容される共重合の割合は、好ましくは6〜13質量%である。共重合の割合が6質量%未満では紡糸性が低下し、13質量%を超えるとピリングの脱落性(抗ピル性)が悪化する傾向を示す。
【0020】
本発明で用いられるアクリル系繊維の横断面は、湿式紡糸において形成されるβ状断面、円型断面、その他扁平、Y状およびC状など任意の断面について適用される。また、アクリル系繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.5〜5.6dtexの範囲で繊維製品への用途展開が可能である。
【0021】
本発明で用いられるアクリル系繊維は、湿式紡糸により製造される。湿式紡糸に使用される紡糸原液の重合方法は、懸濁重合法,乳化重合法および溶液重合法等のうち何れでも良いが、連鎖移動定数より有機溶媒にジメチルスルホキシド(以下、DMSOということがある。)を選択した溶液重合が望ましく用いられる。
【0022】
溶液重合で用いられる重合体濃度は、好ましくは20〜25質量%であり、より好ましくは21〜23質量%である。重合体濃度が20質量%より少ないと得られる繊維が失透し、光沢が失われるとともに発色性低下をきたす。また、重合体濃度が25質量%を超えると紡糸性が著しく悪化する傾向を示す。
【0023】
得られた重合体溶液を紡糸原液として、紡糸口金から水を主成分とする貧溶媒中に吐出し凝固する。このとき使用する紡糸浴での溶媒としては、DMSO、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられるが、重合原液の溶媒と同溶媒を使用することが溶媒回収の観点から、さらに連鎖移動定数の点で、DMSOが好ましく用いられる。
【0024】
紡糸浴に紡糸原液をと出する際の紡糸ドラフトは、1.5〜2.2の範囲が好ましい。紡糸ドラフトが1.5未満では口金から引取ローラー間で糸が緩み、浴中の乱流による糸揺れによる糸切れが起こり易い。また、紡糸ドラフトが2.2を超えると、糸が張りすぎることにより口金面から糸が切れることがある。凝固糸条は、濃度55〜75重量%、好適にはDMSO濃度60〜70の浴中で好ましくは3.5〜5.0倍に延伸される。延伸倍率が3.5倍より小さいと紡糸操業性の低下を招き、延伸倍率が5.0倍を超えると強度が高くなる。
【0025】
延伸された糸条は、好適には温度40〜60℃の温水中で溶媒を除去された後、好適には150〜165℃の温度の乾熱下で好ましくは5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化緊張熱処理を施す。収縮率が5%を超える場合、または熱処理温度が150℃より低い場合には、紡糸ドラフトを好ましくは1.5〜2.2にして、該繊維の繊維配向を高めた効果が維持され難い。加えて、乾燥緻密化と緊張熱処理は、通常分離せずに熱風乾燥機で行われるが、分離する方法を用いてもよい。
【0026】
本発明にて使用される抗菌剤は、第4級アンモニウム塩である。第4級アンモニウム塩としては、抗菌活性に優れる点で、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セトリモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムおよび臭化ドミフェンなど長鎖アルキル基を有するものが好ましく用いられる。
【0027】
これら抗菌剤成分については、任意の割合で水またはその他工程油剤と混合し、調整油剤(処理液)として繊維に含浸付与することができる。このとき調整油剤の有効成分における抗菌剤の比率としては、60〜70%が好ましい。付与方法としては、ガイドを設置した油剤浴中に繊維(束)を通過させる。これにより、繊維表面と抗菌剤成分とのアニオン交換が起こり、繊維表面に抗菌剤成分を固着される。油剤浴中を走行した繊維(束)は、ニップローラーにて一定圧で絞られることにより繊維(束)による持ち出し量が定量となるため、油剤浴濃度を調整することにより繊維への付着量が調整される。油剤浴における抗菌剤成分の濃度範囲は、1.6〜2.8%の範囲が好ましい。この範囲を逸脱すると抗菌性能が得られなかったり、持ち出された余剰分が高次加工の際に脱落して、機器を腐食させる可能性がある。工程油剤は、糸の対金属摩擦を低減させる(滑りやすくする)ために付与するものであり、高次加工におけるローラーカード(糸を開繊する機械)の通過性を向上させるものである。
【0028】
また、油剤浴には、繊維による持ち出し量に応じて、油剤浴液面が一定になるように抗菌油剤を供給することができる。加えて、付与においては繊維の乾燥緻密化後に実施することが好ましい。繊維構造が未だ疎構造にある緻密化前に付与すると、繊維表面にとどまらず繊維内層部への抗菌剤の浸透により染着座席の封鎖されることにより染色性に影響を及ぼす問題がある。乾燥緻密化と未だ疎構造にある緻密化前は、製造工程において、乾熱処理機を通過する前後で区別することができる。乾熱処理を行う前の膨潤状態にある繊維束を“未だ疎構造にある”としている。
【0029】
本発明で用いられる第四級アンモニウム塩は、熱に弱い(塩化ベンザルコニウムの熱分解温度135℃に対して、乾熱温度150℃以上)ため、緻密化処理前に実施すると抗菌性能に影響する。また他の利点としては、乾熱状態(水分が少ない状態)で油剤浴を通過するため持ち込み水分が少ないため浴濃度管理が易しいことが挙げられる。
【0030】
抗菌油剤を付与した後は、繊維に捲縮を付与しさせた後に乾燥させることにより、本発明で意図する抗菌性アクリル系繊維が得られる。
【0031】
本発明における第4級アンモニウム塩の繊維への付着量は、十分な抗菌性能を与えるために0.27質量%以上とし、染色性および紡績工程での脱落を防ぐ上で0.45質量%以下であることが好ましい。
【0032】
本発明の抗菌性アクリル系繊維と他繊維との紡績より得られた紡績糸において、抗菌性を得るためには、本発明の抗菌性アクリル系繊維が40質量%以上で混紡されることが好ましい。本発明の抗菌アクリル系繊維と混紡する繊維としては、綿、レーヨン、ウール、ポリエステルなどが挙げられる。対象用途としては靴下、水廻りマット、肌着、ジャージ、毛布などがある。
【実施例】
【0033】
次に、実施例により、本発明の抗菌性アクリル系繊維の製造方法について、具体的に説明する。
【0034】
(抗菌剤成分の測定方法)
抗菌剤成分を付与したアクリル系繊維2gを測定サンプルとし、ソックスレー抽出器を使用して抽出溶媒に繊維に付着している抗菌油剤を抽出する。抽出溶媒には、メタノールとクロロホルムの混合液(混率3:1)を使用する。抽出液は、質量既知の(A)のアルミトレイに採取し、溶媒を留去する。アルミトレイの質量を測定(B)することにより付着している油剤質量を測定し、下表に基づき油剤付着率を算出する。
油剤付着率=(B−A)/2×100
使用している油剤の成分構成は既知であるから、抗菌剤成分の成分比率から、抗菌剤成分の付着率(含有量)を算出する。
【0035】
(1)抗菌性能測定
抗菌性能の評価方法については、繊維評価技術協議会の抗菌防臭加工繊維製品の認証基準にある JIS 1902(2011年)(繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果)の定量試験法(菌液吸収法)にて行い、静菌活性値を求めた。
【0036】
洗濯後の抗菌性評価についても同手法にて行い、洗濯方法については同協議会が定める「SEKマーク繊維製品の洗濯マニュアル」に準じた。また、洗濯回数については、所定回数により10回実施した。求めた静菌活性値については、次の3段階で判定し、優秀(◎)と良(○)を有効とした。
優秀(◎) :静菌活性値≧ 3.0
良 (○) :静菌活性値= 2.2 〜 2.9
不良(×) :静菌活性値< 2.2
(2)発錆性評価
得られた原綿10gで高次加工にて使用されるカード機に使用されるワイヤー(硬鋼線)を包み込み、金網筒に入れて恒温恒湿機(温度30℃、湿度70%RH)に7日間放置した。その後に取り出したワイヤー表面の発生の度合いを下記目視評価し、3級以上を合格とした。
1級:発錆大(ワイヤー表面の50%以上に錆)
2級:発錆中(ワイヤー表面の5%以上に錆)
3級:発錆小(ワイヤー表面の5%未満に錆)
4級:発錆なし
(3)染色性評価
本発明により得られた抗菌性アクリル系繊維250gを、開繊して繊維ウェブ状にしたものを試料綿とし、次の染色液を用いて浴温度を80分で100℃まで昇温し、そのまま100℃の温度で30分間の染色を行った。
【0037】
<染色液>
Astrzon Gollden Yellow GL−E 1.00 owf%
Astrzon Red F3BL 0.48 owf%
Malachite Green 0.22 owf%
染色助剤(均染剤カチオーゲンL 1.00 owf%、酢酸ナトリウム 0.50 owf%、酢酸 0.60 owf%)。
【0038】
抗菌剤成分を使用せず、紡績油剤のみ付与したアクリル系繊維について、同じ条件で染色を行い、これを対照綿として試料綿とのL値の差を比較し、次の3段階で判定して優秀(◎)と良(○)を合格とした。
優秀 (◎):|L値(対照綿)−L値(試料綿)|<1.0
良 (○):|L値(対照綿)−L値(試料綿)|=1.0〜2.0
不良 (×):|L値(対照綿)−L値(試料綿)|≧2.0
(実施例1〜2、比較例1〜3)
実施例1については、原料モノマーにアクリロニトリル、アニオン性共重合成分にメタリルスルホン酸ソーダ、その他共重合成分にアクリル酸メチルをそれぞれ選択し、アクリロニトリル/メタリルスルホン酸ソーダ/アクリル酸メチルをそれぞれ質量%で91.8/1.2/7.0の割合でDNSOに溶解させて溶液重合をおこない、作製した重合体のDMSO溶液を紡糸原液とした。この紡糸原液を濃度64%、浴温度48℃のDMSO水溶液である凝固浴中に口金を使用して吐出し、湿式紡糸をおこなった。凝固糸については5.0倍延伸し、水洗後に160℃の温度の乾熱下で5%以下の収縮率を保ちながら、乾燥緻密化を実施する。緻密化した繊維束は抗菌剤成分に塩化ベンザルコニウムを選択し、調整した抗菌油剤に通過させることにより繊維表面にてイオン交換させることで付与した。調整した油剤浴濃度は、3.1%とした。質量成分比は、抗菌成分1.9%、非イオン性界面活性剤の紡績油剤を1.2%、水96.9%とした。油剤浴の温度については40℃、浸漬時間としては紡糸速度73.0m/minで1.8秒間、ガイドを通じて油剤浴中を通過させた(ディップ方式)。
【0039】
表1に記載する組成割合と製造条件に基づき、単繊維繊度1.0dtexの抗菌性アクリル系繊維をそれぞれ作製した。比較例1は、抗菌油剤を乾燥緻密化前に付与、比較例2は抗菌油剤をスプレーにて繊維束に付与、比較例3はアニオン性共重合成分の比率を0.5質量%とすること以外は、実施例と同様の製法を選択した。
【0040】
【表1】

【0041】
作製した抗菌性アクリル系繊維については、上述の(1)〜(3)の評価を行い、結果を表2に示した。その結果、本発明による抗菌性アクリル系繊維は、洗濯耐久性に優れた抗菌性能を有し、発色性においても優れている。また、発錆評価より高次加工における周辺機器への腐食性を抑制できる。
【0042】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性共重合成分を0.60質量%以上2.10質量%以下含有するアクリル系繊維を、抗菌剤成分として第四級アンモニウム塩を含有する処理液に含浸せしめ、前記第四級アンモニウム塩を前記アニオン性共重合成分とイオン交換させ抗菌剤成分を繊維に固着させることを特徴とする抗菌性アクリル系繊維の製造方法。
【請求項2】
第四級アンモニウム塩の繊維に対する含有率が、0.27質量%以上0.45質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の抗菌性アクリル繊維およびその製造方法。
【請求項3】
第四級アンモニウム塩を含有する処理液の含浸を、繊維の乾熱処理後の繊維緻密化された状態で行うことを特徴とする抗菌性アクリル繊維の製造方法。

【公開番号】特開2013−76188(P2013−76188A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217120(P2011−217120)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】