抗菌性ファージ、ファージペプチド、及びそれらの使用方法
本発明は、細菌感染を治療及び制御するためのファージ療法の分野に関する。特に、本発明は、新規なバクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、及びF91a/06、その単離されたポリペプチド、前記新規なバクテリオファージ及び/若しくは単離されたポリペプチドの1又は2以上を含む組成物、並びに、単独の、又は他の抗菌療法、例えば抗生物質若しくは他のファージ療法と組み合わされた、細菌感染を治療及び予防するための方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
この国際出願は、「Antibacterial Phage and Uses Thereof」という名称の、2009年2月6日に出願された米国仮特許出願第61/150,585号、及び「Antibacterial Phage, Phage Peptides and Methods of Use Thereof」という名称の、2009年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/218,345号に対する優先権を主張するものである。可能な場合、配列表を含む、これらの仮特許出願の対象及び内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.発明の分野
本発明は、細菌感染を治療及び制御するためのファージ療法の分野に関する。特に、本発明は、新規なバクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、及びF91a/06、その単離されたポリペプチド、新規なバクテリオファージの1又は2以上及び/又は単離されたポリペプチドを含む組成物、並びに、単独の、又は他の抗菌療法、例えば抗生物質若しくは他のファージ療法と組み合わされた、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び/又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が引き起こす細菌感染を治療及び予防するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
バクテリオファージ(ファージ)は、細菌に特異的に感染し、それを溶解するウイルスである。ファージ療法は、細菌感染性疾患を治療するための、ファージウイルス全体を使用する方法であり、1920年代にFelix d'Herelleによって導入された。当初は、ファージ療法は積極的に調べられ、ヒト及び動物における細菌感染の治療のためのファージ療法の可能性を判定するために、多くの研究が行われた。初期の成功によって、複数の市販ファージ調製物の開発が促された。例えば、1940年に、Eli Lilly Company社はヒト用の7つのファージ産物を産生し、それには、ブドウ球菌属菌(Staphylococcus sp.)、大腸菌(E.coli)、及び他の病原性細菌により生じる様々な疾病を治療するためのファージ調製物が含まれる。これらの調製物は、膿瘍、傷の化膿、膣炎、急性・慢性上気道感染症、及び乳様突起感染の原因となる感染の治療に使用された。
【0004】
しかし、1940年代に抗生物質が開発されると、西欧諸国では、ファージに基づいた治療法への関心は減少した。この減少の原因となる最も重要な要因の1つは、標準化された試験プロトコル及び産生方法が欠如していることであった。ファージ治療法を試験するための業界全体での標準を開発できなかったことにより、研究結果のドキュメンテーションが妨げられ、その結果、効力が十分でないとの認識、及びファージ療法の価値に関する信用問題が生じた。さらに、ファージ試料/標本の産生に関する問題が、当初の研究及び調査を困難にした。ファージ治療法の寿命を増大させるために、当初は、様々な安定剤及び防腐剤が使用された。しかし、ファージと様々な安定剤との生物学があまり理解されていなかったため、ファージ調製物の寿命を伸ばすために添加される材料の多くは、ヒトに対して毒性であるか、又は長期の保存に対して悪影響を与えることが証明された。ファージの産生に関する別の問題は、これらのウイルスの市販調製物の純度レベルであった。当時、ファージ療法調製物は、一般的に、所望のファージで処理されている宿主細菌の生溶解物からなるものであった。したがって、多くの調製物は、現在では望ましくない細菌成分であると認識されているもの、例えばエンドトキシンを含有していた。したがって、この調製物は、特にこの調製物を静脈内に投与される患者において、有害事象を伴うことが多かった。それにもかかわらず、抗生物質の利用が制限されていた東ヨーロッパ及びかつてのソビエト連邦において、ファージ療法の開発及び使用は、抗生物質と組み合わせて、又は抗生物質に代わって続けられた。
【0005】
しかし、抗生物質耐性の細菌株が増えると、西欧諸国において、ファージに基づいた治療法への関心は回復した。新規なクラスの抗生物質が開発可能であっても、最終的には細菌が新規な薬剤に対する耐性を発現するであろうと見込まれるため、細菌感染を制御、予防、及び治療するための非化学療法的手段に対する探求が強まった。臨床環境においてファージ療法を使用するための、ファージに基づいた3つの主な戦略が存在し、それは、1)ビルレントファージの投与、2)バクテリオファージによってコードされるエンドリシン(lysin)又は精製リシンの使用、3)細菌性ペプチドグリカンの合成のための、鍵酵素の代謝阻害剤としての、同定されたファージの構造タンパク質の使用である。
【0006】
したがって、病原性細菌を除去するためにインビボで使用するための、有力な治療用及び防止用作用物質としての、新規なバクテリオファージ及びファージ産物の開発が望まれている。特に、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌を含む院内感染細菌を溶解し得るバクテリオファージが望まれている。これまでに研究されたほとんどのファージ及びファージペプチドが示す活性は、それが単離される細菌の、関連種又は亜種に制限されることが多く、ファージに基づいた新規な療法は、通常の環境細菌叢に影響することなく院内感染病原菌を選択的に標的化する、病院内での特定の使用を見出し得る。
【発明の概要】
【0007】
4.発明の概要
本発明は、グラム陽性細菌又はグラム陰性細菌による感染に関連する状態を治療、予防、又は管理するための、単離されたバクテリオファージ、及びバクテリオファージ由来の単離された抗菌性ポリペプチドに関する。特に、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、院内感染病原体、例えば、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・ヒラエ(E.hirae)、エンテロコッカス・アビウム(E.avium)、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、スタフィロコッカス・アウリクラーリス(S.auricularis)、スタフィロコッカス・カピティス(S.capitis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(S.haemolyticus)、スタフィロコッカス・ホミニス(S.hominis)、腐性ブドウ球菌(S.saprophyticus)、スタフィロコッカス・シムランス(S.simulans)、及びスタフィロコッカス・キシローサス(S.xylosis)を含むグラム陽性細菌、並びに/又はこれらに限定されないが、アシネトバクター・バウマニ及び緑膿菌を含むグラム陰性細菌による感染を治療、防止、又は管理するための医薬組成物において使用することができる。ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗生物質耐性の細菌株、例えば黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性株(MRSA、methicillin resistant strains of Staphylococcus aureus)による感染に関連する状態の治療に有用である。特定の実施形態において、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、それを必要とする対象における院内感染病原体による感染の局所的治療に使用される。他の実施形態において、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、患者に由来する試料(例えば、組織、血液、尿、唾液の試料)における感染性作用物質の診断に使用される。他の実施形態において、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、皮膚又は他の表皮表面を含む固体表面の準備のための防止用殺菌剤又は抗感染薬として使用される。
【0008】
ある実施形態において、本発明は、それぞれ配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むゲノムを有し、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF168/08又はF170/08を提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むゲノムを有し、緑膿菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF770/05を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、それぞれ配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むゲノムを有し、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有し、アシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF1245/05を提供する。
【0009】
本発明はまた、1又は2以上の本発明のバクテリオファージに感染した、単離された細菌も包含する。特定の実施形態において、本発明は、配列番号1及び/又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたエンテロコッカス・フェカリスを提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号1及び/又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたエンテロコッカス・フェシウムを提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離された緑膿菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び/又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有する1又は2以上のバクテリオファージに感染した、単離された黄色ブドウ球菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたアシネトバクター・バウマニを提供する。
【0010】
本発明は、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、及び/又はF91a/06から単離されたポリペプチドを包含し、このポリペプチドは、グラム陽性細菌又はグラム陰性細菌、例えばアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を示す。特定の実施形態において、F168/08若しくはF/170/08から単離されたか又はこれらに由来する本発明のポリペプチドは、少なくともエンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を示し、F770/05から単離されたか又はこれに由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも緑膿菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F197/08、F86/06、F87s/06、若しくはF91a/06から単離されたか又はこれらに由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F1245/05から単離されたか又はこれに由来する本発明のポリペプチドは、少なくともアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。
【0011】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、細菌、例えば、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌などのグラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を示す、単離されたエンドリシン又はその断片(例えば、CHAPドメイン)を含むか又はそれからなる。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、単離されたリシンタンパク質、例えば、エンドリシン又は尾部リシンである。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号761〜配列番号816からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるポリペプチドを提供する。
【0012】
他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を有する。この実施形態に従った特定の例において、配列番号68、配列番号184、配列番号202、及び/又は配列番号203のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体は、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。この実施形態に従った他の例において、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、及び/又は配列番号712のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。
【0013】
特定の実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、配列番号68、配列番号446、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のCHAPドメインを含むか又はそれからなる。ある実施形態において、単離されたポリペプチドは、例えばそれぞれ配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する、配列番号68、配列番号446、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のCHAPドメインを含むか又はそれからなる。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の少なくとも1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を有する。さらに他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号761〜配列番号816の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、アシネトバクター・バウマニの少なくとも1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を有する。
【0014】
他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、それが由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を有する、単離された尾部長巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質(例えば、尾部成分、尾部繊維タンパク質、吸着に関連する尾部タンパク質)又はその断片を含むか又はそれからなり、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの少なくとも1又は2以上の種又は株に対するものである。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704又は配列番号795のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、単離された尾部長巻尺タンパク質又は尾部タンパク質である。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704又は配列番号795の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示し、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対するものである。
【0015】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号61又は配列番号63のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対するものである。他の実施形態において、本発明は、配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号204又は配列番号214のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対するものである。
【0016】
ある実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号435又は配列番号438のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、緑膿菌の1又は2以上の株に対するものである。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、配列番号4の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538又は配列番号539のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。他の実施形態において、本発明は、配列番号5の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号567又は配列番号568のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号6の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号632又は配列番号633のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、又は配列番号704のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号761〜816のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、アシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対するものである。
【0019】
ある実施形態において、本発明は、細菌の1又は2以上の株(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌)、又はグラム陽性細菌にもグラム陰性細菌にも分類されない細菌)に対する抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、単離されたポリペプチドを提供し、前記単離されたポリペプチドは、同一の長さの(すなわち、同数の残基からなる)第2のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、前記第2のアミノ酸配列は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816、及び/又はその断片である。
【0020】
本発明はさらに、配列番号8〜130、配列番号131〜343、配列番号344〜438、配列番号439〜553、配列番号554〜616、配列番号617〜681、配列番号682〜759、及び配列番号761〜816のいずれかのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、単離されたポリペプチドを提供する。他の実施形態において、治療用作用物質(例えば、異種ポリペプチド又は小分子)に組換えによって融合しているか又は化学的に結合している(例えば、共有結合又は非共有結合)、本発明の単離されたポリペプチドが提供される。
【0021】
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを包含する。特定の実施形態において、本発明は、配列番号8〜130、配列番号131〜343、配列番号344〜438、配列番号439〜553、配列番号554〜616、配列番号617〜681、配列番号682〜759、及び配列番号761〜816のいずれかのポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離された核酸を提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816のいずれかのポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体をコードする核酸配列を含む、単離された核酸を提供し、前記ポリペプチド、又は活性断片、バリアント、若しくは誘導体は、それが単離される及び/又は由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。本発明はまた、前記核酸を含むベクターにも関するものである。特定の一実施形態において、前記ベクターは、発現ベクターである。本発明はさらに、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する宿主細胞を提供する。
【0022】
本発明は、特に、医薬組成物、すなわち抗微生物組成物において使用するための、本発明のポリペプチド又はその活性断片を産生するための方法を包含する。例えば、本発明のポリペプチドは、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06に感染した細胞培養物(例えば、細菌細胞培養物)から直接単離することができる。或いは、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチド、例えば、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816、又はその活性断片、誘導体、若しくはバリアントをコードする核酸配列を含む発現ベクターを使用して、組換え手段によって得ることができる。本発明のポリペプチド又はその断片は、当技術分野において知られている、ポリペプチドを産生するためのいかなる方法によっても、特に、化学合成によって、又は組換え発現技術によって産生することができる。特定の実施形態において、本発明は、ファージタンパク質、例えば、リシンタンパク質、尾部タンパク質、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体を組換えによって産生するための方法であって、(i)培地内で前記タンパク質を発現させるために適した条件下で、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816のアミノ酸配列又はその断片をコードする核酸配列を含むベクターを含有する宿主細胞を培養すること、及び(ii)前記培地から前記タンパク質を回収することを含む方法に関する。ある実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、異種プロモーターに作動可能に連結している。
【0023】
本発明はまた、細菌感染の臨床所見において原因物質を診断するための方法も包含する。本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドに対する試料内の細菌の感受性を明らかにすることによる、患者の試料における細菌種の決定に役立たせるために使用することができる。このような方法はさらに、本発明の単離されたバクテリオファージ及び/又はポリペプチドの抗菌活性の評価方法を包含する。本発明のバクテリオファージ若しくはポリペプチドの抗菌活性、又はこのような活性に対する未知の試料の感受性を、当技術分野において知られており、及び/又は本明細書に記載するいかなる方法によっても判定することができる。ある実施形態において、抗菌活性及び/又は感受性は、既知の細菌及び/又は患者の組織、血液、体液、若しくはスワブの試料を標準的な技術(例えば、液体培養における、又は寒天プレート上での)に従って培養し、培養物を本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドと接触させ、前記接触の後の細胞の増殖をモニタリングすることによって判定される。例えば、液体培養において、細菌(例えば、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌)は、培養物の指数関数的な増殖の中間点の典型である光学密度(「OD、optical density」)まで増殖し得、培養物は、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドの1又は2以上の濃度に曝され、ODが対照培養物と比較してモニタリングされる。バクテリオファージ及び/又はポリペプチドが、培養物内の試験試料又は細菌の種及び/若しくは株に対して抗菌活性を示す(例えば、溶解死滅活性を示す)と、典型的に、対照培養物と比較してODが減少する。同様に、細菌コロニーが寒天プレート上で形成され得、プレートは、本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドに曝され、その後のコロニーの増殖が対照プレートと比較して評価される。コロニーのサイズの減少、又はコロニーの総数の減少は、バクテリオファージ及び/又はポリペプチドが試験試料及び/又は培養された種若しくは株に対して抗菌活性を有することを示す。
【0024】
本発明はまた、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを含むか又はそれからなる医薬組成物に関する。ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージと、1又は2以上の他のバクテリオファージとを含む。1又は2以上の他のバクテリオファージは、本発明の1若しくは2以上のバクテリオファージ(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するもの)、その1若しくは2以上の株であり得るか、又は当技術分野において知られている1若しくは2以上のバクテリオファージであり得る。さらに、本発明の医薬組成物における1又は2以上のバクテリオファージは、同一の又は異なる細菌種又は細菌株を標的化し得る。ある実施形態において、本発明の1又は2以上のバクテリオファージを含む医薬組成物はさらに、本発明の1若しくは2以上のポリペプチド及び/又は本明細書において記載されるか若しくは当技術分野において知られているような他のファージ産物を含む。
【0025】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージから単離されたポリペプチド又はその活性断片、特に抗微生物活性及び/又は抗菌活性を有するポリペプチド又はその活性断片を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759又は配列番号761〜816のアミノ酸配列を有する1又は2以上のポリペプチドを含む。他の実施形態において、本発明の医薬組成物は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、又は配列番号761〜816のバリアント、誘導体、又は断片であるポリペプチドを含み、前記バリアント、誘導体、又は断片は、それが由来するポリペプチドの生物学的機能、例えば、好ましくはアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を保持するものである。
【0026】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤をさらに含み得る。ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、それを必要とする対象において細菌による感染に関連する疾患又は障害の症状を治療、予防、及び/又は改善するための、抗生物質組成物(それらが抗菌活性を示すという点で)又は治療用組成物である。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌による感染に関連する疾患又は障害の症状を治療、予防、及び/又は改善するための、抗菌組成物又は治療用組成物である。ある実施形態において、本発明の医薬組成物を投与される対象は、哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、霊長類(例えば、ヒト)、齧歯動物、ウサギ、又はトリ(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ))である。
【0027】
本発明は、細菌感染を治療又は予防するための方法であって、それを必要とする対象に、1又は2以上のバクテリオファージ又はファージ産物(例えば、単離されたバクテリオファージポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体)を含む医薬組成物を、場合によって、本明細書に記載の1又は2以上の他のバクテリオファージ又は他のファージ産物に加えて投与することを含む方法を提供する。本発明との関連で、「治療」は、治療的処置及び防止的又は予防的手段を指し、その目的は、病的状態又は障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、その進行を遅らせ、又はそれを遅延若しくは予防することである。本発明の医薬組成物は、これらに限定されないが、アシネトバクター・バウマニ、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・アウリクラーリス、スタフィロコッカス・カピティス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ホミニス、腐性ブドウ球菌、スタフィロコッカス・シムランス、スタフィロコッカス・キシローサス、ミクロコッカス・ルテウス(M.luteus)、枯草菌(B.subtilis)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・ヒラエ、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・アビウム、緑膿菌、及びその組合せを含むあらゆる細菌感染に関連する感染の治療又は管理に使用することができる。ある実施形態において、医薬組成物は、これらに限定されないが、術後眼内炎、心内膜炎、中枢神経系の感染、肺炎、骨髄炎、創傷感染(例えば、糖尿病性の足潰瘍)、乳腺炎、敗血症、食中毒、及び髄膜炎、並びに/又は院内感染細菌の感染に関連する他の状態を含む、細菌感染に関連する状態又は障害の治療に使用することができる。
【0028】
ある実施形態において、本発明は、単剤療法としてのバクテリオファージ又は単離されたファージ産物(例えば、単離されたファージポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体)の使用を提供する。他の実施形態において、本発明は、細菌感染の標準的な又は実験的な治療と組み合わせた、バクテリオファージ又はファージ産物(例えば、単離されたファージポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体)の使用を提供する。このような組合せ療法は、標準的な又は実験的な治療の有効性を増強し得る。本発明のポリペプチドとの組合せにおいて特に有用な治療用作用物質の例は、抗炎症剤、標準的な化学療法抗生物質剤(例えば、ペニシリン、合成ペニシリン、バシトラシン、メチシリン、セファロスポリン、ポリミキシン、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドールナファート、セファゾリン、セフィキシム、セフメタゾール、セフォニオイド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタム、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシムプロキセチル、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフリアキソンモキサラクタム、セフロキシム、セファレキシン、セファロスポリンC、セファロスポリンCナトリウム塩、セファロチン、セファロチンナトリウム塩、セファピリン、セフラジン、セフロキシムアキセチル、セファロチン二水和物、モキサラクタム、ロラカルベフマファート、及びキレート剤)、局所麻酔剤、及び/又はコルチコステロイドである。さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、当技術分野において知られている1又は2以上のバクテリオファージ又はファージ産物と組み合わせることができる。本発明に包含される組合せ療法は、単一の医薬組成物に製剤され得るか、又は別の組成物で、しかし治療レジメン全体の一部として、投与され得る。
【0029】
本発明の医薬組成物は、抗菌化合物の投与(例えば、経口又は非経口(例えば、吸入、筋肉内、静脈内、又は表皮)の送達)に適した、当技術分野において知られているいかなる方法によっても投与することができる。好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、局所的に、例えば、局所製剤で投与される。本発明の組成物は、外科切開部位での感染又はカテーテル若しくはドレーンに関連する感染などの一般的な院内感染を治療及び/又は予防するために局所的に使用することができる。他の実施形態において、本発明の組成物は、皮膚又は真皮上層の細菌感染(例えば、糖尿病性の足潰瘍の感染)を治療するために使用される。
【0030】
本発明の医薬組成物はまた、化粧品における、又は細菌のコロニー形成を予防するために固体表面に使用するための(すなわち、殺菌剤として)スプレー若しくは溶液における抗菌剤などの、従来非治療的である使用に用いることができる。
【0031】
本発明はまた、抗菌活性についてペプチドをスクリーニングするための方法も対象とする。一実施形態において、本方法は、抗菌活性について配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列のオープンリーディングフレームによってコードされる、少なくとも6、10、15、20、又は25残基の長さの連続するアミノ酸配列をスクリーニングすることを含み、前記抗菌活性は、寒天又は液体培養における細菌の増殖を阻害するペプチドの能力によって測定される。
【0032】
4.1 定義
本明細書において使用される場合、「断片」という用語は、タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ酸残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも連続する80個のアミノ酸残基、少なくとも連続する90個のアミノ酸残基、少なくとも連続する100個のアミノ酸残基、少なくとも連続する125個のアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも連続する175個のアミノ酸残基、少なくとも連続する200個のアミノ酸残基、又は少なくとも連続する250個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチドを指す。特定の実施形態において、断片は、それが単離されるタンパク質の少なくとも1つの機能(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解による細胞の死滅))を保持しているという点で、機能的な断片である。
【0033】
本明細書において使用される場合、「活性なバクテリオファージ産物」及び「バクテリオファージ産物」という用語は、本発明のバクテリオファージから単離されたポリペプチド、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を指し、前記ポリペプチド、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体は、それが単離されたか又は由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能又は活性(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解による細胞の死滅))を示す。
【0034】
本明細書において使用される場合、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質との関連における「単離された」という用語は、それが由来する細胞源若しくは組織源の細胞物質若しくは汚染タンパク質をほとんど有さないか、又は、化学合成された場合には化学的前駆体若しくは他の化学物質をほとんど有さない、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質を指す。「細胞物質をほとんど有さない」という表現には、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質が、それが単離されるか又は組換えによって産生される細胞の細胞成分から分離されている、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質の調製物が含まれる。したがって、細胞物質をほとんど有さないペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質には、約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量)未満の異種タンパク質(本明細書においては「汚染タンパク質」とも呼ばれる)を有するペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質の調製物が含まれる。ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質が組換えによって産生される場合には、これはまた、好ましくは、培養培地をほとんど有さず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容積の約20%、10%、又は5%未満に相当する。ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質が化学合成によって産生される場合には、これは、好ましくは、化学的前駆体又は他の化学物質をほとんど有さず、すなわち、これは、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質の合成に関与する化学的前駆体又は他の化学物質から分離されている。したがって、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、又は抗体のこのような調製物は、約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満の、所望のペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質以外の化学的前駆体又は化合物を有する。
【0035】
本明細書において使用される場合、核酸分子との関連における「単離された」という用語は、自らの天然源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子を指す。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、他の細胞物質を、若しくは組換え技術によって産生された場合には培養培地をほとんど有さないか、又は、化学合成された場合には化学的前駆体若しくは他の化学物質をほとんど有さず、かつ、cDNA又は他のゲノムDNA分子を有さない可能性があり、例えば、核酸ライブラリーにおける他のクローンから単離されている。
【0036】
「精製された」という用語は、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、又は核酸分子の濃度が、これらに限定されないが、カラムクロマトグラフィー、HPLC、沈降、電気泳動などを含む、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、又は核酸分子の調製に関与する前駆体又は他の化学物質などの不純物を部分的に、実質的に、又は完全に取り除くためのあらゆる精製プロセスによって、ある程度増大していることを意味する。当業者には、所定の使用に必要な精製の量が理解されよう。例えば、ヒトへの投与を目的とした治療用組成物において使用するための単離されたタンパク質は、通常、規制基準及び適正製造基準に従った高い純度でなくてはならない。
【0037】
本明細書において使用される場合、ポリペプチドとの関連における「誘導体」という用語は、アミノ酸残基の置換、欠失、又は付加の導入によって改変されているアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。本明細書において使用される「誘導体」という用語はまた、修飾されているポリペプチド、すなわち、ポリペプチドへのあらゆるタイプの分子の共有結合による付着によって修飾されているポリペプチドを指す。例えば、これらに限定されないが、ポリペプチドは、例えば、既知の保護基/ブロック基、タンパク質分解による切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによる、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、誘導体化により修飾することができる。誘導ポリペプチドは、これらに限定されないが、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む、当業者に知られている技術を使用した化学的修飾によって産生することができる。さらに、誘導ポリペプチドは、1又は2以上の従来にないアミノ酸を含有し得る。ポリペプチド誘導体は、それが由来するポリペプチドと類似又は同一の機能を有する。生物に「由来する」ポリペプチドに関連して使用される「由来する」という用語はまた、前記生物(例えば、細菌細胞又はファージ)からの直接的なポリペプチドの単離を指し得る。
【0038】
本明細書において使用される場合、「宿主細胞」という用語は、核酸分子でトランスフェクトされた特定の対象細胞、及び、前記核酸分子又はその染色体に組み込まれた形態を含有する、このような細胞の子孫又は潜在的な子孫を指す。このような細胞の子孫は、引き続き起こる核酸分子の生成又は宿主細胞のゲノム内への核酸分子の組込みにおいて生じ得る、突然変異又は環境の影響のため、核酸分子でトランスフェクトされた親細胞とは同一ではない可能性がある。バクテリオファージのタンパク質及びポリペプチドが発現するためには、宿主細胞は好ましくは、バクテリオファージが単離又は培養された種又は株と同一の種又は株のものではない。
【0039】
本明細書において使用される場合、「組み合わせて」という用語は、2以上の防止用及び/又は治療用作用物質の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、防止用及び/又は治療用作用物質を疾患又は障害を有する対象に投与する順序を制限するものではない。第1の防止用又は治療用作用物質は、第2の防止用又は治療用作用物質(第1の防止用又は治療用作用物質とは異なる)の投与の前に(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、又は12週間前)、前記投与と同時に、又は前記投与の後に(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、又は12週間後)、疾患又は障害を有する対象に投与することができる。
【0040】
本明細書において使用される場合、「核酸」及び「ヌクレオチド配列」という用語には、一本鎖及び二本鎖のDNA分子及び/若しくはRNA分子、又はその組合せが含まれる。本明細書において使用される場合、「核酸によってコードされる」という用語は、当技術分野において周知の標準的な遺伝暗号(すなわち、標準的なコドントリプレット)を使用する参照核酸配列のフォワード配列、リバース配列、相補的配列、又は逆相補的配列の翻訳の結果生じるアミノ酸配列を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「防止用作用物質(単数)」及び「防止用作用物質(複数)」という用語は、細菌による感染に関連する1又は2以上の症状の予防、治療、管理、又は改善において使用することができる、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを指す。
【0042】
本明細書において使用される場合、「治療用作用物質(単数)」及び「治療用作用物質(複数)」という用語は、疾患又は障害の、特に細菌感染に関連する疾患又は障害の1又は2以上の症状の予防、治療、管理、又は改善において使用することができる、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを指す。
【0043】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」という用語は、疾患又は障害の、特に細菌感染に関連する疾患又は障害の1又は2以上の症状を改善させるために十分な治療用作用物質の量を指す。
【0044】
本明細書において使用される場合、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、及び「治療すること(treating)」という用語は、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドの投与の結果生じる、細菌感染に関連する1又は2以上の症状の改善を指す。上記で述べたように、「治療」及び関連する用語は、治療的処置及び防止的又は予防的手段を指し、その目的は、病的状態又は障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、その進行を遅らせ、又はそれを遅延若しくは予防することである。
【0045】
本明細書において使用される場合、バクテリオファージ、単離されたバクテリオファージタンパク質(又は、そのバリアント、誘導体、若しくは断片)、又はバクテリオファージ産物に関連する「抗菌活性」及び「抗微生物活性」という用語は、ほぼ同じ意味で使用され、微生物の、特にバクテリオファージが感染する種又は株の細菌を死滅させる能力及び/又は微生物の増殖若しくは繁殖を阻害する能力を指す。ある実施形態において、抗菌活性又は抗微生物活性は、標準的な技術(例えば、液体培養における、又は寒天プレート上での)に従って、細菌(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌)、又はグラム陽性細菌にもグラム陰性細菌にも分類されない細菌)を培養し、培養物を本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドと接触させ、前記接触の後の細胞の増殖をモニタリングすることによって判定される。例えば、液体培養において、細菌は、培養物の指数関数的な増殖の中間点の典型である光学密度(「OD」)まで増殖し得、培養物は、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ又はポリペプチドの1又は2以上の濃度に曝され、ODが対照培養物と比較してモニタリングされる。バクテリオファージ又はポリペプチドが抗菌活性を示す(例えば、溶解死滅活性を示す)と、典型的に、対照培養物と比較してODが減少する。同様に、細菌コロニーが寒天プレート上で形成され得、プレートは、本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドに曝され、その後のコロニーの増殖が対照プレートと比較して評価される。コロニーのサイズの減少、又はコロニーの総数の減少は、バクテリオファージ又はポリペプチドが抗菌活性を有することを示す。
【0046】
本明細書において使用される場合、「CHAPドメイン」は、ファージにコードされるいくつかのペプチドグリカン加水分解酵素において見られる保存されたアミダーゼドメインを指し、「システイン・ヒスチジン依存性アミド加水分解酵素/ペプチダーゼ」の略である。例えば、Rigden D, et. al., Trends Biochem Sci. 2003 May 28(5): 230-4を参照されたい。これは、GSPアミダーゼ及びペプチドグリカン加水分解酵素を含む、アミダーゼのスーパーファミリーにおいて見られる。このファミリーには、少なくとも2つの異なるタイプのペプチドグリカン切断活性、すなわちL−ムラモイル−L−アラニンアミダーゼ活性及びD−アラニルグリシルエンドペプチダーゼ活性が含まれる。CHAPドメインは通常、保存されたシステイン残基及びヒスチジン残基を含有し、γ−グルタミルを含有する基質を加水分解する。これらのシステイン残基は、これらのアミダーゼのうちいくつかの活性に必須であると考えられ、それらのチオール基は、このドメインを含有する全ての酵素の触媒メカニズムにおいて求核試薬として機能すると思われる。CHAPドメインは、ペプチドグリカンを切断する他のドメインを伴って見られることが多く、例えば、特殊な基質を切断するために協働的に作用する。また、Bateman A, et al., Trends Biochem Sci. 2003 May 28(5): 234-7を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】配列番号1の核酸配列を含む、F168/08ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるオープンリーディングフレーム(「ORF、open reading frame」)は、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図2の表形式にも含まれる。
【図2A−X】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF168/08ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図2においてリストされているORF1〜116はそれぞれ、配列番号8〜130のアミノ酸配列をコードする。
【図3A−B】臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(EFS、Enterococcus faecalis)(3A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(EFM、Enterococcus faecium)(3B)株におけるスポット試験によって決定されたF168/08の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図4】配列番号2の核酸配列を含む、F170/08ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図5の表形式にも含まれる。
【図5A−AR】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF170/08ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図5においてリストされているORF1〜213はそれぞれ、配列番号131〜343のアミノ酸配列をコードする。
【図6A−B】臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(EFS)(6A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(EFM)(6B)株におけるスポット試験によって決定されたF170/08の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図7】配列番号3の核酸配列を含む、F770/05ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図8の表形式にも含まれる。
【図8A−AC】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF770/05ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図8においてリストされているORF1〜95はそれぞれ、配列番号344〜438のアミノ酸配列をコードする。
【図9】臨床試料から単離された100の緑膿菌(PSA、Pseudomonas aeruginosa)株におけるスポット試験によって決定されたF770/05の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図10】配列番号4の核酸配列を含む、F197/08ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図11の表形式にも含まれる。
【図11A−AA】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF197/08ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図11においてリストされているORF1〜66はそれぞれ、配列番号439〜553のアミノ酸配列をコードする。
【図12】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA、Staphylococcus aureus)株におけるスポット試験によって決定されたF197/08の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図13】配列番号5の核酸配列を含む、F86/06ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図14の表形式にも含まれる。
【図14A−S】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF86/06ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図14においてリストされているORF1〜63はそれぞれ、配列番号554〜616のアミノ酸配列をコードする。
【図15】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA)株におけるスポット試験によって決定されたF86/06の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図16】配列番号6の核酸配列を含む、F87s/06ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図17の表形式にも含まれる。
【図17A−U】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF87s/06ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図17においてリストされているORF1〜61はそれぞれ、配列番号617〜681のアミノ酸配列をコードする。
【図18】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA)株におけるスポット試験によって決定されたF87s/06の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図19】配列番号7の核酸配列を含む、F91a/06ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図20の表形式にも含まれる。
【図20A−U】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF91a/06ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図20においてリストされているORF1〜64はそれぞれ、配列番号682〜754のアミノ酸配列をコードする。
【図21】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA)株におけるスポット試験によって決定されたF91a/06の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図22】配列番号760の核酸配列を含む、F1245/05ゲノムの概略構成図である。43kbのゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。機能が割り当てられたORFでは、数字の代わりに予測される機能が示されている。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、斜線は、その相対的なゲノム位置と、コードされる産物における推定膜貫通ドメインの存在とに基づいて機能が割り当てられたORFであり、空白の矢印は、データベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。
【図23A−I】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF1245/05ゲノムの特徴を示す図である。
【図24A−E】臨床試料から単離された100のアシネトバクター・バウマニ株におけるスポット試験によって決定されたF1245/05の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
6.詳細な説明
本発明は、院内感染病原体であるアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を有する、単離されたバクテリオファージ及びその単離されたポリペプチド産物に関するものである。一実施形態において、黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性株(MRSA)に対する抗微生物活性及び/又は抗菌活性を示す単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドが提供される。さらに、本発明のバクテリオファージ及びポリペプチドは、これらに限定されないが、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・アウリクラーリス、スタフィロコッカス・カピティス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ホミニス、腐性ブドウ球菌、スタフィロコッカス・シムランス、スタフィロコッカス・キシローサス、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、バチルス・プミルス、エンテロコッカス・ヒラエ、及びエンテロコッカス・アビウムを含む病原性細菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し得る。
【0049】
一実施形態において、本発明は、配列番号1の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムの多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF168/08である。F168/08ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図2に示されている(配列番号8〜130のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0050】
腸球菌(Enterococci)は、群状又は鎖状でコロニーを形成する、グラム陽性の球菌である。それらは、ヒトを含む多くの哺乳動物において、消化管微生物叢の一部として見られる。腸球菌の感染は、全ての院内感染の12%を占める。腸球菌の感染は、合併した腹腔内感染、皮膚及び皮膚構造の感染、尿路感染、並びに血流の感染を引き起こし得、これらは、特に関与する株がいくつかの抗生物質に対して耐性を発現している場合には、治療が困難であり得る。このような場合、感染は、特に患者が既に免疫不全である場合には、生命にかかわるものであり得る。
【0051】
エンテロコッカス・フェカリスは、腸球菌感染の大部分を占め、ヒト及び他の哺乳動物の胃腸管に存在する、グラム陽性の片利共生細菌である。これは、非運動性であり、通性嫌気性である。エンテロコッカス・フェカリスは、特に院内の環境において、ヒトにおける生命にかかわる感染を含む、心内膜炎、並びに膀胱、前立腺、及び精巣上体の感染を引き起こし得る。エンテロコッカス・フェカリスは、多くの一般に使用される抗微生物製剤(例えば、アミノグリコシド、アズトレオナム、セファロスポリン、クリンダマイシン、半合成ペニシリンであるナフシリン及びオキサシリン、トリメトプリムスルファメトキサゾールなど)に対して耐性である。
【0052】
エンテロコッカス・フェシウムは、キノロン及びアミノグリコシドを含むいくつかのタイプの抗生物質に対して耐性を有することが知られている。エンテロコッカス・フェシウムのバンコマイシン耐性株もまた知られている。いくつかの抗生物質に対する耐性及び悪条件に対する許容性によって、エンテロコッカス・フェシウムは、医学界にとっての主要な懸念となり、医学界では、この微生物は「スーパージャーム(supergerm)」と呼ばれている。別の実施形態において、本発明は、配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムの多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF170/08である。F178/08ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図5に示されている(配列番号131〜343のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0053】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、緑膿菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF770/05である。F770/05ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図8に示されている(配列番号344〜438のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0054】
緑膿菌は、土壌、水、皮膚微生物叢、及びほとんどの人工環境において見られる、一般的な、グラム陰性のロッド形状の細菌である。これは、通常の大気だけではなく、通性嫌気性菌のように低酸素下でも増殖し、損傷した組織又は免疫障害を有する個体に感染し得る。このようなコロニー形成が、肺、尿路、及び腎臓などの重大な体内器官において生じると、致命的な結果となることがある。この細菌は表面で増殖するため、カテーテルを含む医療用設備上及び医療用設備内でも見られ、病院及び診療所における交差感染の原因となる。緑膿菌は、最も重要な、日和見性の院内感染病原体の1つであり、10の院内感染のうち1回は、シュードモナス菌(Pseudomonas)によるものであると推定されている。緑膿菌はまた、火傷での感染の最も一般的な原因であり、カテーテルなどの医療機器に最も頻繁にコロニー形成するものである。
【0055】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号4の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF197/08である。F197/08ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図11に示されている(配列番号439〜553のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0056】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号5の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF86/06である。F86/06ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図14に示されている(配列番号554〜616のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0057】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号6の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF87s/06である。F87s/06ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図17に示されている(配列番号617〜681のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0058】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF91a/06である。F91a/06ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図20に示されている(配列番号682〜754のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0059】
黄色ブドウ球菌は、球状の、通性嫌気性のグラム陽性細菌であり、鼻の中及び皮膚上で見られる皮膚微生物叢の一部であることが多い。黄色ブドウ球菌は、吹き出物などの軽度の皮膚感染から、胃腸炎や、肺炎、髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎、毒素性ショック症候群(TSS、toxic shock syndrome)、菌血症、及び敗血症などの生命にかかわる疾患まで、様々な病気の原因となり得る。これは、院内感染の5つの最も一般的な原因の1つであり、術後創傷感染の原因であることが多い。今日では、黄色ブドウ球菌は、多くの一般に使用される抗生物質に対して耐性となっており、全ての黄色ブドウ球菌単離体のわずか2%のみがペニシリンに感受性であると推定されている。メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、及びフルクロキサシリンなどの第二世代ペニシリンが、ペニシリン耐性の黄色ブドウ球菌感染を治療するために開発された。メチシリンは、このクラスで最初に使用された抗生物質であるが、わずか2年後に、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(MRSA)の最初の事例が報告された。1990年代から、病院内でMRSAの流行が爆発し、現在、病院では、これは風土病であると考えられている。
【0060】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、アシネトバクター・バウマニの多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF1245/05である。F1245/05ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図23に示されている(配列番号761〜816のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0061】
アシネトバクター・バウマニは、特に免疫系に障害を有する個体において多くの重篤な臨床感染を生じさせる細菌種である。アシネトバクター・バウマニは、院内環境及び入院患者から通常は単離される、多形性の、好気性のグラム陰性桿菌である。この細菌は、身体の開いた傷、カテーテル、又は呼吸管に侵入することが多い。アシネトバクター・バウマニは、通常、水域環境にコロニー形成し、入院患者の痰又は呼吸器分泌物、傷、及び尿から培養されることが多い。病院内では、アシネトバクター・バウマニは、一般に、かん流溶液及び静脈内注射用溶液にコロニー形成する。これはまた、複数の抗生物質に耐性であることが知られており、アシネトバクター・バウマニが引き起こす院内感染の数は近年増大している。
【0062】
ある実施形態において、本発明のバクテリオファージは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するゲノムを含むか又は前記ゲノムからなり、前記バクテリオファージは、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、及びF1245/05の1又は2以上の、少なくとも1つの生物学的活性、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。或いは、又はさらに、本発明のバクテリオファージは、図2、5、8、11、14、17、20、及び23において記載されるいずれかのオープンリーディングフレームの配列を含む、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列の機能的断片を含むゲノムを有し得る。
【0063】
本発明はまた、本発明のバクテリオファージの1又は2以上に感染した、単離された細菌を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号1及び/又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたエンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムを提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離された緑膿菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び/又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離された黄色ブドウ球菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたアシネトバクター・バウマニを提供する。
【0064】
本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び単離する方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムの培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)緑膿菌の培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)黄色ブドウ球菌の培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)アシネトバクター・バウマニの培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。
【0065】
バクテリオファージは、本明細書において記載されるか又は当技術分野において知られているいかなる方法を使用しても、細菌試料から単離することができる(例えば、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、Carlson, "Working with bacteriophages: common techniques and methodological approaches," In, Kutter and Sulakvelidze (Eds) Bacteriophages: Biology and Applications, 5thed. CRC Press (2005)を参照されたい)。
【0066】
本発明はまた、本発明のバクテリオファージから単離されたポリペプチドを提供する。単離されたポリペプチドは、完全長のバクテリオファージタンパク質であり得るか、又は、バクテリオファージタンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体が、それが由来するバクテリオファージ若しくはポリペプチドに関連する少なくとも1つの生物学的活性を示す限りにおいて、前記断片、バリアント、若しくは誘導体であり得る。ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、バクテリオファージF1245/05(これは、典型的には、アシネトバクター・バウマニに感染する)、F168/08若しくはF170/08(これは、典型的には、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムに感染する)、バクテリオファージF770/05(これは、典型的には、緑膿菌に感染する)、又はバクテリオファージF197/08、F86/06、F87s/06、若しくはF91a/06(これは、典型的には、黄色ブドウ球菌に感染する)から単離される。
【0067】
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760(例えば、それぞれバクテリオファージF168/08、F170/08、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、又はF1245/05)を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンである。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号797、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712を含むか又はそれからなるアミノ酸配列を有するエンドリシン又はリシンである。他の実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、本発明のバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンの断片、バリアント、又は誘導体であり、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが単離されるか又は由来するエンドリシン、リシン、又はバクテリオファージの少なくとも1つの生物学的活性、好ましくは抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。したがって、ある実施形態において、本発明は、本発明のバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンの断片、バリアント、又は誘導体である、単離されたポリペプチドを提供し、前記断片、バリアント、又は誘導体は、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。他の実施形態において、単離されたポリペプチドは、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、又は黄色ブドウ球菌以外の細菌(例えば、緑膿菌)の1又は2以上の種に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、本発明のバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンの断片、バリアント、又は誘導体である。ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、若しくは配列番号203のアミノ酸配列、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含むか又はそれからなり、前記ポリペプチドは、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、若しくは配列番号712のアミノ酸配列、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含むか又はそれからなり、前記ポリペプチドは、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。さらに他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号797のアミノ酸配列、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含むか又はそれからなり、前記ポリペプチドは、アシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。
【0068】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06のエンドリシン又はリシンから単離されたCHAPドメインを含むか又はそれからなる。単離されたCHAPドメインは、それが由来するエンドリシン又はリシンの抗菌活性、例えば溶解死滅活性を保持していることが明らかにされており、CHAPドメインは、当技術分野における通常の方法によって同定及び単離することができる(例えば、それぞれが、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Rigden et al., 2003, Trends Biochem. Sci. 28:230-234、Bateman et al., 2003, Trends Biochem. Sci. 28:234-237を参照されたい)。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を有するポリペプチドから単離されたCHAPドメインを含むか又はそれからなる。特定の実施形態において、本発明は、配列番号68、配列番号446、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドに由来するCHAPドメインを含むか又はそれからなる、単離されたポリペプチドを提供し、前記CHAPドメインは、それぞれ配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号755は、配列番号68のアミノ酸配列を有するポリペプチドに由来するCHAPドメインに対応し、配列番号756は、配列番号446のアミノ酸配列を有するポリペプチドに由来するCHAPドメインに対応するなどである。他の実施形態において、本発明は、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06のエンドリシン又はリシンから単離されたCHAPドメインの断片、バリアント、又は誘導体を提供し、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが由来するCHAPドメインの少なくとも1つの生物学的活性、例えば溶解による細胞の死滅を示し、前記CHAPドメインは、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する。配列番号755〜配列番号759のアミノ酸配列は表1に示される。
【0069】
【表1】
【0070】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ(例えば、それぞれバクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、又はF1245/05)から単離された、尾部長巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質(例えば、尾部成分、尾部繊維タンパク質、吸着に関連する尾部タンパク質)又はその断片を含むか又はそれからなり、前記尾部長巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質又はその断片は、それが由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を有する。特定の実施形態において、尾部長巻尺タンパク質又は尾部タンパク質の抗微生物活性又は抗菌活性は、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の少なくとも1又は2以上の種又は株に対するものである。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、又は配列番号795を含むか又はそれからなるアミノ酸配列を有する尾部巻尺タンパク質又は尾部タンパク質である。他の実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、又は配列番号795のアミノ酸配列の断片、バリアント、又は誘導体であり、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが単離されるか又は由来するバクテリオファージの少なくとも1つの生物学的活性又は機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。好ましい実施形態において、断片、バリアント、又は誘導体の少なくとも1つの生物学的活性又は機能は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対するものである。
【0071】
ある実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、バクテリオファージポリペプチドのバリアントであり、前記バリアントは、同一の長さの(すなわち、同数の残基からなる)第2のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列からなり、前記第2のアミノ酸配列は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号795、又は配列番号797、及び/又はその断片であり、前記バリアントは、細菌(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ)、又はグラム陽性細菌ともグラム陰性細菌とも分類されない細菌)の1又は2以上の株に対して、それが由来するバクテリオファージの少なくとも1つの生物学的機能又は活性(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性))を示す。
【0072】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2〜124、配列番号126〜338、配列番号340〜434、配列番号436〜550、配列番号552〜614、配列番号616〜680、配列番号682〜759、配列番号761〜816のいずれかのアミノ酸配列を有する、単離されたポリペプチド、及びその活性な生物学的断片を提供する。好ましい実施形態において、本発明のバリアントポリペプチドは、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの少なくとも1又は2以上の株に対して、それが単離されたか又は由来するポリペプチド又はバクテリオファージに関連する少なくとも1つの生物学的活性を示す。
【0073】
他の実施形態において、本発明は、配列番号8〜130、配列番号131〜343、配列番号344〜438、配列番号439〜553、配列番号554〜616、配列番号617〜681、配列番号682〜759、配列番号761〜816のうちの1つのアミノ酸配列をコードする、単離された核酸配列、及びその活性断片を提供する。他の実施形態において、本発明は、図2、5、8、11、14、17、20、及び23において同定されているいずれかのオープンリーディングフレームの核酸配列を提供する。
【0074】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、融合タンパク質又はキメラポリペプチドを生成するために、治療用作用物質、例えば、異種ポリペプチド又は小分子に組換えによって融合しているか又は化学的に結合している(共有結合と非共有結合とを含む)。融合は必ずしも直接的である必要はないが、リンカー配列を介して、又は化学結合を介して生じ得る。本発明のポリペプチドが結合し得る治療用作用物質の非限定的な例は、ペプチド性又は非ペプチド性の細胞毒素(抗微生物剤及び/又は抗生物質を含む)、トレーサー/マーカー分子(例えば、放射性核種及びフルオロフォア)、及び当技術分野において知られている他の抗生物質化合物又は抗菌化合物である。
【0075】
6.1 抗生物質組成物
本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、単独で投与することができるか、又は、細菌感染、例えば、これらに限定されないが、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌を含む細菌が引き起こす感染の治療若しくは防止において使用するための医薬組成物内に組み込むことができる。ポリペプチドは、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤と組み合わせることができる。薬学的に許容される担体、賦形剤、及び安定剤の例には、これらに限定されないが、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝液、アスコルビン酸を含む酸化防止剤、低分子量ポリペプチド、血清アルブミン及びゼラチンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトール若しくはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、並びに/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG、polyethylene glycol)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。本発明の医薬組成物(例えば、抗菌組成物)にはまた、上記の材料に加え、潤滑剤、湿潤剤、甘味料、香料、乳化剤、懸濁剤、及び防腐剤も含まれ得る。
【0076】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドはまた、本明細書において記載される、及び/又は当技術分野において知られている、細菌感染の治療に有用な1又は2以上の治療用作用物質及び又は防止用作用物質(例えば、1又は2以上のリシン)と組み合わせることができる。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の2以上の単離されたバクテリオファージ(同一の又は異なる細菌種又は細菌株に対する抗菌活性を有する)、本発明のバクテリオファージとポリペプチドとの組合せ、又は、本発明のバクテリオファージ及び/若しくはポリペプチドと当技術分野において知られているバクテリオファージ及び/若しくは治療用ポリペプチドとの組合せを含み得る。特定の実施形態において、組合せの治療用成分は、2以上の細菌種若しくは細菌株を標的化するか、又は、異なる酵素活性を示す。例えば、リシンは、通常、アミダーゼ活性、エンドペプチダーゼ活性、ムラミダーゼ活性、又はグルコサミダーゼ活性の1つを示す。したがって、異なる活性を示すリシンの組合せによって、本発明の医薬組成物の治療的活性が相乗的に増強され得る。
【0077】
本発明のポリペプチドと組み合わせて使用することができる他の治療用作用物質の例には、これらに限定されないが、標準的な抗生物質剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、及びコルチコステロイドが含まれる。
【0078】
本発明のポリペプチドを含む医薬組成物と共に使用することができる標準的な抗生物質には、所与の感染に対する本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドの治療効果を相加的に又は相乗的に増強するのに有効な量の、これらに限定されないが、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アプラマイシン、リファマイシン、ナフトマイシン、ムピロシン、ゲルダナマイシン、アンサミトシン、カルバセフェム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ファロペネム、ドリペネム、パニペネム/ベタミプロン、ビアペネム、PZ−601、セファロスポリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファザフルール、セファゼドン、セファゾリン、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セフォニシド、セフプロジル、セフロキシム、セフゾナム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフテラム、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、ラタモキセフ、セフクリジン、セフェピム、セフルプレナム、セフォセリス、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、フロモキセフ、セフトビプロール、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アズトレオナム、ペニシリン及びペニシリン誘導体、アクチノマイシン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シノキサシン、フルメキン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピロミド酸、ピペミド酸、ロソキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、ルフロキサシン、バロフロキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、クリナフロキサシン、ガレノキサシン、ゲミフロキサシン、スチフロキサシン、トロバルフロキサシン、プルリフロキサシン、アセタゾールアミド、ベンゾールアミド、ブメタニド、セレコキシブ、クロルタリドン、クロパミド、ジクロルフェンアミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、マフェンジド、メフルシド、メトラゾン、プロベネシド、スルファセタミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルチアム、スマトリプタン、キシパミド、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、ロリテトラサイクリン、並びにそのあらゆる組合せが含まれる。
【0079】
本発明の医薬組成物において使用することができる局所麻酔には、テトラカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジメチソキン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、ブタンベンピクレート、及び塩酸プラモキシンが含まれる。局所麻酔の例示的な濃度は、組成物全体の約0.025重量%〜約5重量%である。
【0080】
本発明のポリペプチド、ファージ、及び/又は医薬組成物との組合せにおいて有用であり得るコルチコステロイドには、ベタメタゾン、ジプロピオネート、フルオシノロン、アクチニド、吉草酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアクチニド、プロピオン酸クロベタゾール、デスオキシメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、アムシノニド、フルランドレノリド、吉草酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、及びデソニドが含まれる。コルチコステロイドの例示的な濃度は、組成物全体の約0.01重量%〜約1重量%である。
【0081】
ある実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを含む製剤はさらに、SM緩衝液(0.05MのTris−HCl(pH7.4〜7.5)、0.1MのNaCl、10mMのMgSO4)を含む。他の実施形態において、製剤はさらに、SM緩衝液及び10mMのMgCl2を含む。さらに他の実施形態において、製剤はさらに、SM緩衝液及び約20%又は約30%のエタノールを含む。
【0082】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを含む医薬組成物は、単回用量製剤又は複数回用量製剤に製剤することができる。適切な製剤は、軟膏剤、液剤、懸濁剤若しくは乳剤、エキス剤、散剤、顆粒剤、スプレー剤、トローチ剤、錠剤、又はカプセル剤からなる群から選択され得、さらに分散剤又は安定剤を含む。
【0083】
本発明の医薬組成物は、吸入によって、坐剤若しくはペッサリーの形態で、局所的に(例えば、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、又は散布剤の形態で)、表皮上に若しくは経皮的に(例えば、皮膚パッチを用いて)、経口的に(例えば、デンプン又は乳糖などの賦形剤を含有し得る錠剤として)、カプセル剤、卵形剤、エリキシル剤、液剤、若しくは懸濁剤として(それぞれ、香料、着色料、及び/又は賦形剤を含有していてもよい)投与することができるか、又は、それらは、非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下)注射することができる。非経口投与では、組成物は、他の物質を含有し得る、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩又は単糖を含有し得る、無菌水性溶液の形態で使用するのが最適であり得る。口腔投与又は舌下投与では、組成物は、従来の様式で製剤され得る錠剤又はトローチ剤の形態で投与することができる。好ましい実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、単一の作用物質として、又は本明細書において記載されるか若しくは当技術分野において知られている他の抗生物質治療と組み合わせて、局所的に投与される。
【0084】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドはまた、皮膚上に又は経皮的に投与することができる。皮膚への局所的投与では、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、1つの担体又は担体の組合せと組み合わせることができ、前記担体には、これらに限定されないが、水性液体、アルコールベースの液体、水溶性ゲル、ローション、軟膏、非水性液体基剤、鉱油基剤、鉱油とワセリンとの混和物、ラノリン、リポソーム、血清アルブミン又はゼラチンなどのタンパク質担体、粉末セルロースカーメル、及びその組合せが含まれる。送達の局所的様式には、塗抹剤、スプレー、徐放性パッチ、液体を吸収させた拭き取り繊維、及びその組合せが含まれ得る。本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、直接的に、又は担体の1つ内で、パッチ又は包帯に塗布することができる。パッチは、湿っていても乾燥していてもよく、ファージ及び/又はポリペプチド(例えば、リシン)は、凍結乾燥された形態でパッチ上に存在する。局所的組成物の担体は、ポリマー濃縮剤、水、防腐剤、界面活性剤、又は、乳化剤、酸化防止剤、日焼け止め、及び溶媒系若しくは混合溶媒系を含む、半固体の及びゲル様の媒体を含み得る。米国特許第5,863,560号明細書は、医薬品への皮膚の曝露に役立ち得る、担体の多くの異なる組合せを開示しており、その内容は、本明細書に組み込まれる。
【0085】
鼻腔内投与又は吸入による投与では、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、乾燥粉末吸入剤の形態で、又は適切な推進剤を使用する加圧容器、ポンプ、スプレー、若しくは噴霧器から出るエアロゾルスプレーの形態で都合良く送達され、前記推進剤は、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A.TM.)若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA.TM.)などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、又は他の適切なガスである。加圧エアロゾルのケースでは、投薬単位は、一定量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレー、又は噴霧器は、例えば、溶媒としてエタノールと推進剤との混合物を使用する、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有し得、前記溶媒はさらに、潤滑剤、例えばソルビタントリオレエートを含有し得る。吸入剤又は吹送剤において使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンで作製される)は、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドと、乳糖又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤することができる。
【0086】
坐剤又はペッサリーの形態での投与では、治療用組成物は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、又は散布剤の形態で、局所的に塗布することができる。本発明の組成物はまた、眼内経路で投与することができる。眼科的使用では、本発明の組成物は、等張の、pH調整された、無菌の生理食塩水内の、微粉化された懸濁液として、又は、好ましくは、等張の、pH調整された、無菌の生理食塩水内の、溶液として、製剤することができ、これは、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤と組み合わされてもよい。或いは、それらは、ワセリンなどの軟膏内に製剤することができる。
【0087】
本発明の医薬組成物の投薬量及び所望の薬剤濃度は、特定の使用に応じて変化し得る。投与の適切な投薬量又は経路の決定は、当業者の技術の範囲内である。動物実験によって、ヒトの治療における有効な用量を決定するための信頼性のあるガイダンスを得ることができる。有効な用量の種間スケーリングは、Mordenti, J. and Chappell, W. "The use of interspecies scaling in toxicokinetics" in Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi et al., Eds., Pergamon Press, New York 1989, pp42-96によって記載されている原理に従って、当業者が行うことができる。
【0088】
6.2 治療的使用
本発明のバクテリオファージ及びポリペプチドは、図3A〜B、6A〜B、9、12、15、18、21、及び23において記載されているように、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの複数の株に対して活性を有する。したがって、本発明の組成物は、ヒトと動物とにおいて、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニに関連する感染を予防及び治療する方法において使用することができる。他の実施形態において、本発明の組成物は、これらに限定されないが、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・アウリクラーリス、スタフィロコッカス・カピティス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ホミニス、腐性ブドウ球菌、スタフィロコッカス・シムランス、スタフィロコッカス・キシローサス、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、バチルス・プミルス、エンテロコッカス・ヒラエ、及び/又はアシネトバクター・バウマニの1若しくは2以上の株、例えば、図24において記載される株の1若しくは2以上を含むこれらの細菌の関連種又は関連株に関連する感染を治療するために使用することができる。
【0089】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物を投与される対象は、哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、霊長類(例えば、ヒト)、齧歯動物、ウサギ、又はトリ(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ))である。本発明との関連で、「治療」は、治療的処置を指し、その目的は、病的状態又は障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、それを改善し、その進行を遅らせ、又はそれを予防することである。「治療」は、治療的処置と防止的又は予防的手段を指し、その目的は、病的状態若しくは障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、その進行を遅らせ、又はそれを遅延若しくは予防することである。本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドが防止的又は予防的手段として作用し、1又は2以上の細菌が引き起こす感染の発病を予防することも企図される。
【0090】
アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌は、特に、免疫系の障害を有する個体において、多くの重篤な日和見感染の原因である。本発明の医薬組成物は、これらに限定されないが、皮膚の感染(これらに限定されないが、皮膚潰瘍、床ずれ、及び糖尿病性の足潰瘍を含む)、創傷内及び創傷周辺の感染、術後感染、カテーテル及び外科用ドレーンに関連する感染、並びに血液の感染を含む、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、若しくは黄色ブドウ球菌に関連する、又は他の細菌種若しくは細菌株に関連する、いかなる感染も治療することが企図される。
【0091】
アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌はまた、流体含有量の高い器官系への感染にも関連し、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、これらの感染の予防及び治療における治療的使用を有することが企図される。例えば、本発明の医薬組成物は、気道、脳脊髄液、腹水、及び尿路の感染の予防又は治療に使用することができる。本発明の組成物はまた、院内肺炎、持続的携帯型腹膜透析(CAPD、continuous ambulatory peritoneal dialysis)、カテーテルに関連する細菌尿、及び院内髄膜炎の予防及び/又は治療に使用することができる。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、特に、創傷、潰瘍、並びにカテーテル挿入及びあらゆる他の医療処置又は医療機器による皮膚開口部に関連する感染を予防するために、病院内で防止的に使用される。
【0093】
ある実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、又は他の細菌種に関連する感染を治療又は予防するための単剤として使用される。本発明の他の実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、他のバクテリオファージ(例えば、異なる細菌種又は細菌株を標的化するもの)を含む他の作用物質と、又はあらゆるグラム陽性細菌、あらゆるグラム陰性細菌、及びグラム陽性細菌ともグラム陰性細菌とも分類されないあらゆる他の細菌群から選択される細菌を含む同一の又は異なる種類の細菌を標的化する抗生物質と組み合わせて使用される。本発明の組成物はまた、当業者に知られている細菌感染を治療するためのいかなる他の手段とも組み合わせて使用することができる。
【0094】
また、本発明によって、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法及び治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、配列番号712、及び/若しくは配列番号797のアミノ酸配列、を含むか又はそれからなるリシン又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む組成物を投与することを含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、親バクテリオファージが単離された細菌種に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す方法も企図される。この実施形態に従った特定の例において、本発明は、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法又は治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、リシンの単離されたCHAPドメイン、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む組成物を投与することを含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが単離されたCHAPドメインの少なくとも1つの生物学的活性(例えば、溶解による細胞の死滅)を示す方法を提供する。ある実施形態において、単離されたCHAPドメインは、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。他の実施形態において、本発明は、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法及び治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、及び/若しくは配列番号795のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる尾部巻尺タンパク質又は尾部タンパク質、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む組成物を投与することを含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、親バクテリオファージに関連する生物学的活性を示す方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法及び治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。本発明の1若しくは2以上のバクテリオファージ又は抗生物質などの他の治療薬を場合によって有する、リシン(又は、上記のその断片、バリアント、若しくは誘導体)と、尾部巻尺タンパク質又は尾部タンパク質(又は上記に記載のその断片、バリアント、若しくは誘導体)の組合せ、並びに本明細書に記載の組合せの1又は2以上を使用した細菌感染の治療方法及び予防方法も企図される。
【0095】
本明細書において使用される場合、「組み合わせて」という用語は、2以上の防止用及び/又は治療用作用物質の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、防止用及び/又は治療用作用物質を疾患又は障害を有する対象に投与する順序を制限するものではない。第1の防止用又は治療用作用物質は、第2の防止用又は治療用作用物質(第1の防止用又は治療用作用物質とは異なる)の投与の前に(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、又は12週間前)、前記投与と同時に、又は前記投与の後に(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、又は12週間後)、疾患又は障害を有する対象に投与することができる。
【0096】
6.3 殺菌剤及び抗感染的使用
細菌性病原体は、粘膜部位(例えば、上気道及び下気道粘膜、腸粘膜、泌尿生殖器粘膜、及び眼の粘膜)で最も多く感染する。粘膜それ自体は、環境において見られる多くの病原性細菌(例えば、肺炎球菌、ブドウ球菌、及び連鎖球菌)の保有宿主であることが多く、保有宿主であるだけのことが時々ある。保菌者の病原性細菌の状態を制御するために設計された抗感染薬は非常にわずかしか存在していない。しかし、研究によって、病院及び養護施設などの環境におけるこの保有宿主を低減させるか又はなくすことによってこれらの細菌による感染の発生が顕著に低減することが示されている。
【0097】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、重篤な感染の発生を予防するか又は低減させるために、細菌(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ)、又はグラム陽性細菌ともグラム陰性細菌とも分類されない細菌)の増殖を制御するための抗感染組成物において使用することができる。粘膜に塗布するための組成物における使用に加え、本組込みのバクテリオファージ及び/又はポリペプチドはまた、体表(例えば、皮膚及び粘膜)(例えば、手術領域、又は医療従事者及び/若しくは患者の手及び皮膚露出部の滅菌のため)及び他の固体表面(例えば、器具、カウンター、及び特に病院の設備)での細菌のコロニー形成を制御又は予防するための、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、又はスプレー剤などの製剤内に組み込むことができる。
【0098】
6.4 診断方法
本発明はまた、細菌感染における原因物質を決定するための診断方法も包含すする。ある実施形態において、細菌感染の所見における原因物質の診断は、(i)患者の組織、血液、又は体液の試料を標準的な技術に従って培養すること、(ii)培養物を本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドと接触させること、並びに(iii)前記接触の後の細胞の増殖及び溶解の形跡をモニタリングすることによって行われる。バクテリオファージ及び/又はその単離された産物(例えば、ポリペプチド、又はその生物学的に活性な断片、バリアント、若しくは誘導体)の活性は、種又は株に特異的である傾向があるため、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドに対する感受性又は感受性の欠如は、感染性細菌の種又は株の存在を示し得る。例えば、配列番号1若しくは配列番号2の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物に接触させた後に、試験培養物の増殖が減少することは、試験試料がエンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムを含むことの指標であり得る。同様に、配列番号3の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物は、緑膿菌による感染を同定するために使用することができ、配列番号760の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物は、アシネトバクター・バウマニによる感染を同定するために使用することができ、一方、配列番号4、配列番号5、配列番号6、若しくは配列番号7の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物は、黄色ブドウ球菌による感染を同定するために使用することができる。
【0099】
6.5 アミノ酸のバリアント
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のバリアントは、それらが置換バリアント、挿入バリアント、又は欠失バリアントとなるように生成し得る。欠失バリアントは、機能(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性)に必須ではない、天然タンパク質の1又は2以上の残基を欠く。挿入突然変異体は、典型的には、ポリペプチド内の末端以外の点に材料が付加されている。置換バリアントは、典型的には、タンパク質内の1又は2以上の部位での、1つのアミノ酸の別のアミノ酸への交換を含有し、他の機能又は特性を喪失することなく、タンパク質溶解による切断に対する安定性などの、ポリペプチドの1又は2以上の特性を変化させるように設計され得る。この種類の置換は、好ましくは保存的なものであり、すなわち、1つのアミノ酸が、類似の形状及び電荷を有する1つのアミノ酸で置き換えられる。保存的置換は、当技術分野において周知であり、例えば、アラニンからセリンへの変化、アルギニンからリジンへの変化、アスパラギンからグルタミン又はヒスチジンへの変化、アスパラギン酸からグルタミン酸への変化、システインからセリンへの変化、グルタミンからアスパラギンへの変化、グルタミン酸からアスパラギン酸への変化、グリシンからプロリンへの変化、ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミンへの変化、イソロイシンからロイシン又はバリンへの変化、ロイシンからバリン又はイソロイシンへの変化、リジンからアルギニンへの変化、メチオニンからロイシン又はイソロイシンへの変化、フェニルアラニンからチロシン、ロイシン、又はメチオニンへの変化、セリンからスレオニンへの変化、スレオニンからセリンへの変化、トリプトファンからチロシンへの変化、チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニンへの変化、及びバリンからイソロイシン又はロイシンへの変化が含まれる。
【0100】
遺伝子の全体的な領域が、本明細書において記載される特定のリシンタンパク質をコードすると同定されると、点突然変異を採用して、どのアミノ酸残基が抗菌活性において重要であるかを詳細に同定することができる。したがって、当業者であれば、DNA鎖において単一の塩基の変化を生じさせて、改変したコドン及びミスセンス突然変異を得ることができよう。
【0101】
好ましくは、タンパク質のアミノ酸の突然変異によって、同等の、又はそれどころか改良された、第2世代の分子が生じる。例えば、あるアミノ酸は、機能(例えば、抗菌活性又は抗微生物活性)の検出可能な喪失を伴うことなく、タンパク質構造において、他のアミノ酸に置換され得る。このような変化を生じさせるために、アミノ酸のハイドロパシー指標が考慮され得る。タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能の付与におけるハイドロパシーアミノ酸指標の重要性は、当技術分野において一般に理解されている。アミノ酸の相対的なハイドロパシー特徴が、得られるタンパク質の二次構造に影響することが認められており、前記二次構造は、タンパク質と他の分子との相互作用、例えばグラム陽性細菌の外層内のペプチドグリカンとの相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性及び電荷特徴に基づいてハイドロパシー指標を割り当てられており、例えば、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、スレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、及びアルギニン(−4.5)である。
【0102】
当技術分野において、類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的に生じ得ることも理解されている。疎水性と同様に、親水性の値は各アミノ酸に割り当てられており、アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、及びトリプトファン(−3.4)である。同等の分子は、1つのアミノ酸を別のアミノ酸に置換することによって得ることができ、それらの親水性指標は、互いの±2以内、好ましくは±1以内、又は最も好ましくは±5以内である。ある実施形態において、本発明は、本明細書において開示されるアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10、又はそれ以上のアミノ酸修飾(例えば挿入、置換、欠失など)を含む、単離されたペプチドを包含する。好ましい実施形態において、特定のポリペプチドの生物学的活性が保持されるように、1又は2以上の突然変異が生じる。例えば、本発明は、本明細書においてリストされるアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10、又はそれ以上のアミノ酸修飾を含むように突然変異されており、かつ、例えばアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌などのグラム陽性細菌又はグラム陰性細菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を示す、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、及び/又はF91a/06から単離されたポリペプチドを包含する。特定の実施形態において、F168/08又はF/170/08に由来する本発明のポリペプチドは、少なくともエンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば、溶解死滅活性を示し、F770/05に由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも緑膿菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06に由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F1245/05に由来する本発明のポリペプチドは、少なくともアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。
【0103】
6.6 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド並びに抗生物質活性及び/又は他の生物学的活性を有する修飾ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに、例えば上記に定義したような、高度のストリンジェンシー、中程度又は低度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドも包含する。
【0104】
当技術分野において知られているいかなる方法によっても、ポリヌクレオチドを得ることができ、このポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、適切な源(例えば、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06)の核酸から生成することができる。ヌクレオチド配列は、当技術分野において知られている通常の方法によってファージゲノムから単離することができる(例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Carlson, "Working with bacteriophages: common techniques and methodological approaches," In, Kutter and Sulakvelidze (Eds) Bacteriophages: Biology and Applications, 5thed. CRC Press (2005)を参照されたい)。特定のポリペプチドをコードする核酸を含有する源が入手不可能であるが、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列が知られている場合、ポリペプチドをコードする核酸を化学的に合成し、当技術分野において周知のあらゆる方法を使用して、複製可能なクローニングベクター内にクローニングすることができる。
【0105】
本発明のポリペプチドのヌクレオチド配列が決定されると、ポリペプチドのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列を操作するための、当技術分野において周知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異生成、PCRなど(例えば、双方とも、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Sambrook et al., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY、及びAusubel et al., eds., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYにおいて記載されている技術を参照されたい)を使用して操作し、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを生成して、例えばアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を生じさせることができる。
【0106】
本発明のさらに別の実施形態において、配列番号760のヌクレオチド1〜ヌクレオチド85のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド87〜ヌクレオチド584のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド594〜ヌクレオチド767のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド724〜ヌクレオチド1035のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド1005〜ヌクレオチド1823のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド1816〜ヌクレオチド2130のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド2132〜ヌクレオチド2383のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド2383〜ヌクレオチド3690のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド3687〜4469のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド4466〜ヌクレオチド5458のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド5632〜ヌクレオチド7956のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド8010〜ヌクレオチド8912のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド8915〜ヌクレオチド9262のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド9252〜ヌクレオチド10223のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド10213〜ヌクレオチド10782のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド10769〜ヌクレオチド11218のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド11202〜ヌクレオチド11420のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド11413〜ヌクレオチド12342のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド12339〜ヌクレオチド12515のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド12512〜ヌクレオチド13165のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド13170〜ヌクレオチド15599のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド15609〜ヌクレオチド15872のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド15979〜ヌクレオチド16173のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド16175〜ヌクレオチド16482のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド16494〜ヌクレオチド18059のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド18072〜ヌクレオチド18815のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド18857〜ヌクレオチド19879のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド19930〜ヌクレオチド20178のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド20180〜ヌクレオチド20545のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド20646〜ヌクレオチド21203のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド21212〜ヌクレオチド23506のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド23506〜ヌクレオチド24186のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド24201〜ヌクレオチド27068のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド27084〜ヌクレオチド30212のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド30214〜ヌクレオチド32505のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド32515〜ヌクレオチド32880のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド32873〜ヌクレオチド33460のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド33460〜ヌクレオチド33816のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド33825〜ヌクレオチド35777のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド35774〜ヌクレオチド35872のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド35869〜ヌクレオチド36027のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド36038〜ヌクレオチド36193のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド36916〜ヌクレオチド36788のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド37209〜ヌクレオチド37427のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド37868〜ヌクレオチド38386のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド38383〜ヌクレオチド38586のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド38912〜ヌクレオチド39406のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド39406〜ヌクレオチド39915のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド39917〜ヌクレオチド40021のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド40018〜ヌクレオチド40101のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド40101〜ヌクレオチド40670のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド40720〜ヌクレオチド41838のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド41822〜ヌクレオチド42127のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド42105〜ヌクレオチド42308のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド42382〜ヌクレオチド42912のヌクレオチド配列、及び配列番号760のヌクレオチド42896〜ヌクレオチド43015のヌクレオチド配列が提供される。
【0107】
6.7 本発明の分子の組換え発現
本発明の分子(例えば、ポリペプチド)をコードする核酸配列が得られると、分子を産生するためのベクターを、当技術分野において周知の技術を使用して、組換えDNA技術によって産生することができる。当業者に周知の方法を使用して、本発明の分子のコード配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロでの組換えDNA技術、合成技術、及びインビボでの遺伝子組換えが含まれる。(例えば、Sambrook et al., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY、及びAusubel et al. eds., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYにおいて記載されている技術を参照されたい)。
【0108】
本発明は、本発明のポリペプチドをコードする発現ベクターを提供する。本発明の方法によって同定された分子のヌクレオチド配列を含む発現ベクターは、従来の技術(例えば、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクション、及びリン酸カルシウム沈殿)によって宿主細胞に移すことができ、その後、トランスフェクトされた細胞を従来の技術によって培養して、本発明の分子を産生する。好ましい実施形態において、宿主細胞は、配列を含むバクテリオファージが由来する親細菌種以外のものである。特定の実施形態において、本発明の分子の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、又は組織特異的プロモーターによって制御される。特定の実施形態において、発現ベクターは、pQE−30(Qiagen社製)又はpET−29(a)(Novagen社製)である。
【0109】
本発明の方法によって同定される分子を発現させるために使用される宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)などのいずれかの細菌細胞(本発明のバクテリオファージタンパク質又はその断片に感受性ではない)であり得る。様々な宿主発現ベクター系を、本発明の方法によって同定される分子を発現させるために利用することができる。このような宿主発現系は、本発明の分子のコード配列を産生し、その後精製し得る媒体に相当するが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換又はトランスフェクトされた場合に本発明の分子をin situで発現し得る細胞にも相当する。これらの宿主発現系には、これらに限定されないが、本発明の方法によって同定される分子についてのコード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、プラスミドDNA発現ベクター、若しくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された、本発明のバクテリオファージタンパク質若しくはその断片に感受性ではない細菌(例えば、大腸菌及び枯草菌)などの微生物、本発明の方法によって同定される分子をコードする配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス、ピチア(Saccharomyces Pichia))、本発明の方法によって同定される分子をコードする配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフワラーモザイクウイルス(CaMV、cauliflower mosaic virus)及びタバコモザイクウイルス(TMV、tobacco mosaic virus)に感染しているか若しくは本発明の方法によって同定される分子をコードする配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系、又は、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)若しくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を有する、哺乳動物細胞系(例えば、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、293細胞、293T細胞、3T3細胞、リンパ球(米国特許第5,807,715号明細書を参照されたい)、Per C.6細胞(Crucell社によって開発されたヒト網膜細胞)が含まれる。
【0110】
本発明のバクテリオファージタンパク質又は断片に感受性ではない細菌系において、多くの発現ベクターが、発現させようとする分子のための使用に応じて、有利に選択され得る。例えば、大量のこのようなタンパク質が産生される場合、ポリペプチドの医薬組成物を生成するために、精製が容易な、高いレベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましい場合がある。このようなベクターには、これらに限定されないが、大腸菌発現ベクターpUR278(Ruther et al., 1983, EMBO J. 2:1791)、pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109、Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などが含まれ、前者では、タンパク質配列は、lacZコード領域と共にベクター内にインフレームで個別にライゲーションされ得、その結果、融合タンパク質が産生される。pGEXベクターもまた、異種ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST、glutathione S-transferase)と共に融合タンパク質として発現させるために使用することができる。通常、このような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズに吸着及び結合させ、その後、遊離グルタチオンの存在下で溶出することによって、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビン切断部位又は因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むように設計され、その結果、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出され得る。
【0111】
昆虫系において、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV、Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)が、外来遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。このウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖する。ポリペプチドをコードする配列を、ウイルスの必須でない領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)内に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0112】
本発明の分子(すなわち、ポリペプチド)が組換えによって発現されると、これは、ポリペプチドの精製のための、当技術分野において知られているいかなる方法によっても、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換アフィニティークロマトグラフィー、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差、又はポリペプチド若しくは抗体を精製するためのいかなる他の標準的な技術によっても精製することができる。
【0113】
上記の記載を読むことで、当業者は、ある修飾及び改良を行うことができよう。全てのこのような修飾及び改良は、簡潔性及び読み易さを目的として、本明細書においては取り除かれているが、以下の特許請求の範囲内に適正に含まれることを理解されたい。
[実施例]
【0114】
7. 実施例
本明細書において記載される以下の実施例及び実施形態が例示のみを目的としていることと、それに照らした様々な修飾又は変更が、当業者にとって示唆的であり、本願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれるものであることとが理解される。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的で、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
別段の指示がない限り、本発明のバクテリオファージは、以下の方法に従って、単離、処理、及び分析されたものである。
【0116】
7.1 方法
7.1.1 ファージの精製
臨床試料から単離されたバクテリオファージのストック調製物を、Carlson, "Working with bacteriophages: common techniques and methodological approaches," In, Kutter and Sulakvelidze (Eds) Bacteriophages: Biology and Applications, 5thed. CRC Press (2005)において記載されているプロトコルに従って調製した("Carlson," は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0117】
バクテリオファージのストック調製物を、Carlson and Yamamoto et al., 2004, PNAS 101:6415-6420において記載されているプロトコルに従って、PEGを用いた沈殿によって濃縮した。簡潔に述べると、ストック調製物を1MのNaClにおいて1時間にわたり4℃で撹拌しながらインキュベートした。次に、PEG8000(AppliChem社製、Cheshire、MA)を、10%(w/v)の最終濃度まで徐々に添加した。次に、組成物を一晩4℃でインキュベートした。インキュベーション期間の後、組成物を10000×gで30分間にわたり4℃で遠心分離した。次に、沈殿物を、1%w/vのゼラチンを有するSM緩衝液(pH7.4の0.05MのTris−HCL、0.1MのNaCl、10mMのMgSO4)内に、再懸濁し、1000rpmで、4℃で10分間にわたり再び遠心分離した。懸濁したファージを含有する上清を、さらに精製するために保存した。Carlsonにおける方法に従って、CsCl勾配を用いて上清を精製した。
【0118】
CsClを、透析によって、精製及び濃縮したファージストックから取り除いた。透析膜Cellu.Sep H1 High Grade Regenerated Cellulose Tubular Membrane(Cellu.Sep社製、River Street、USA)を、製造者の指示に従って調製した。透析は、4℃での、100mMのTris−HCl及び3MのNaCl(pH7.4)における30分間の第1のインキュベーションからなる。この後、4℃での、100mMのTris−HCl及び0.3MのNaCl(pH7.4)における30分間の第2のインキュベーションを行った。透析の後、懸濁したファージを透析容器の内部から取り除き、4℃で保管した。
【0119】
7.1.2 ファージDNAの抽出
5mlの精製及び濃縮したバクテリオファージ試料に、pH8.0の20mMのEDTA、0.5%(p/v)のSDS、及び最終濃度40μg/mlのプロテイナーゼKを添加した。混合物を56℃で1時間にわたりインキュベートした。水相と有機相との間の界面が明らかになるまで、比率が25:24:1のフェノール:クロロホルム:アルコールにおいて連続抽出を行った。次に、水相を等容積のクロロホルムで処理し、13,0000×gで10分間にわたり4℃で遠心分離した。水相をもう一度取り除き、2倍の容積の無水エタノールを添加し、30分間にわたり20℃でインキュベートすることによってDNAを沈殿させた。次に、試料を11,000×gで30分間にわたり4℃で遠心分離した。ペレットを、70%エタノールを使用して室温で洗浄し、50μlの超純水(Gibco社製、California)内に再懸濁した。DNA濃度を、ND-1000分光光度計で、260nmでの吸光度を測定することによって決定した。単離されたファージDNAの完全性を、1%アガロースゲル上で電気泳動することによって分析した。
【0120】
7.1.3 バクテリオファージゲノムの分析
バクテリオファージゲノムの配列決定によって、ゲノム内の潜在的なオープンリーディングフレーム(ORF)の同定が可能となった。バクテリオファージの推定ORFを用いて、BLASTNプログラムを用いて相同DNA配列についてNCBIヌクレオチドコレクションデータベースをサーチした(例えば、Zhang et al., 2000, J. Comput. Biol. 7:203-214を参照されたい)。
【実施例1】
【0121】
7.2 実施例1:バクテリオファージF168/08
バクテリオファージF168/08ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムのわずかな部分のみ(≦1%)が既知の配列との相同性を示すことが明らかになった。F168/08のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図2に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図2において、小文字を付された同一の数字で示される。推定運搬RNA遺伝子(tRNA、transfer RNA)の同定を、tRNAscan−SEプログラム(Lowe, T.M. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 955-964)を用いて行った。
【0122】
図3A〜Bは、臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(B)株に対するバクテリオファージF168/08の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例2】
【0123】
7.3 実施例2:バクテリオファージF170/08
バクテリオファージF170/08ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、そのゲノムの約94%がエンテロコッカスファージΦEF24Cのゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性が80〜100%であることが明らかになった。F170/08のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図5に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図5において、小文字を付された同一の数字で示される。推定運搬RNA遺伝子(tRNA)の同定を、tRNAscan−SEプログラム(Lowe, T.M. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 955-964)を用いて行った。
【0124】
図6A〜Bは、臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(B)株に対するバクテリオファージF170/08の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例3】
【0125】
7.4 実施例3:バクテリオファージF770/05
バクテリオファージF770/05ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムのわずかな部分のみ(≦1%)が既知の配列との相同性を示すことが明らかになった。F170/05のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図8に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。
【0126】
図9は、臨床試料から単離された100の緑膿菌株に対するバクテリオファージF170/05の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例4】
【0127】
7.5 実施例4:バクテリオファージF197/08
バクテリオファージF197/08ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約90%のF197/08ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージphiSauS−IPLA35のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は80〜98%である。F197/08のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図11に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図11において、小文字を付された同一の数字で示される。
【0128】
図12は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF197/08の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例5】
【0129】
7.6 実施例5:バクテリオファージF86/06
バクテリオファージF86/06ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約80%のF86/06ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージtp310−1のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は85〜100%である。F86/06のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図14に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。
【0130】
図15は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF86/06の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例6】
【0131】
7.7 実施例6:バクテリオファージF87s/06
バクテリオファージF87s/06ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約82%のF87s/06ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージΦNM3のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は90〜100%である。F86/06のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図17に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図17において、小文字を付された同一の数字で示される。
【0132】
図18は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF87s/06の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例7】
【0133】
7.8 実施例7:バクテリオファージF91a/06
バクテリオファージF91a/06ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約82%のF91a/06ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージΦNM3のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は86〜99%である。F91a/06のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図20に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図20において、小文字を付された同一の数字で示される。
【0134】
図21は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF91a/06の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例8】
【0135】
7.9 実施例8:バクテリオファージF1245/05
F1245/05のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図23A〜Iに示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。タンパク質の機能を、対応する遺伝子のゲノムの位置決定及びコードされる産物の推定膜貫通ドメインの存在に基づいて予測した(TMHMM server v. 2.0、Krogh, A. et al., 2001. J. Mol. Biol., 305: 567-580。
【0136】
図24A〜Eは、臨床試料から単離された100のアシネトバクター・バウマニ株に対するバクテリオファージF1245/05の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
この国際出願は、「Antibacterial Phage and Uses Thereof」という名称の、2009年2月6日に出願された米国仮特許出願第61/150,585号、及び「Antibacterial Phage, Phage Peptides and Methods of Use Thereof」という名称の、2009年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/218,345号に対する優先権を主張するものである。可能な場合、配列表を含む、これらの仮特許出願の対象及び内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.発明の分野
本発明は、細菌感染を治療及び制御するためのファージ療法の分野に関する。特に、本発明は、新規なバクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、及びF91a/06、その単離されたポリペプチド、新規なバクテリオファージの1又は2以上及び/又は単離されたポリペプチドを含む組成物、並びに、単独の、又は他の抗菌療法、例えば抗生物質若しくは他のファージ療法と組み合わされた、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び/又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が引き起こす細菌感染を治療及び予防するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
バクテリオファージ(ファージ)は、細菌に特異的に感染し、それを溶解するウイルスである。ファージ療法は、細菌感染性疾患を治療するための、ファージウイルス全体を使用する方法であり、1920年代にFelix d'Herelleによって導入された。当初は、ファージ療法は積極的に調べられ、ヒト及び動物における細菌感染の治療のためのファージ療法の可能性を判定するために、多くの研究が行われた。初期の成功によって、複数の市販ファージ調製物の開発が促された。例えば、1940年に、Eli Lilly Company社はヒト用の7つのファージ産物を産生し、それには、ブドウ球菌属菌(Staphylococcus sp.)、大腸菌(E.coli)、及び他の病原性細菌により生じる様々な疾病を治療するためのファージ調製物が含まれる。これらの調製物は、膿瘍、傷の化膿、膣炎、急性・慢性上気道感染症、及び乳様突起感染の原因となる感染の治療に使用された。
【0004】
しかし、1940年代に抗生物質が開発されると、西欧諸国では、ファージに基づいた治療法への関心は減少した。この減少の原因となる最も重要な要因の1つは、標準化された試験プロトコル及び産生方法が欠如していることであった。ファージ治療法を試験するための業界全体での標準を開発できなかったことにより、研究結果のドキュメンテーションが妨げられ、その結果、効力が十分でないとの認識、及びファージ療法の価値に関する信用問題が生じた。さらに、ファージ試料/標本の産生に関する問題が、当初の研究及び調査を困難にした。ファージ治療法の寿命を増大させるために、当初は、様々な安定剤及び防腐剤が使用された。しかし、ファージと様々な安定剤との生物学があまり理解されていなかったため、ファージ調製物の寿命を伸ばすために添加される材料の多くは、ヒトに対して毒性であるか、又は長期の保存に対して悪影響を与えることが証明された。ファージの産生に関する別の問題は、これらのウイルスの市販調製物の純度レベルであった。当時、ファージ療法調製物は、一般的に、所望のファージで処理されている宿主細菌の生溶解物からなるものであった。したがって、多くの調製物は、現在では望ましくない細菌成分であると認識されているもの、例えばエンドトキシンを含有していた。したがって、この調製物は、特にこの調製物を静脈内に投与される患者において、有害事象を伴うことが多かった。それにもかかわらず、抗生物質の利用が制限されていた東ヨーロッパ及びかつてのソビエト連邦において、ファージ療法の開発及び使用は、抗生物質と組み合わせて、又は抗生物質に代わって続けられた。
【0005】
しかし、抗生物質耐性の細菌株が増えると、西欧諸国において、ファージに基づいた治療法への関心は回復した。新規なクラスの抗生物質が開発可能であっても、最終的には細菌が新規な薬剤に対する耐性を発現するであろうと見込まれるため、細菌感染を制御、予防、及び治療するための非化学療法的手段に対する探求が強まった。臨床環境においてファージ療法を使用するための、ファージに基づいた3つの主な戦略が存在し、それは、1)ビルレントファージの投与、2)バクテリオファージによってコードされるエンドリシン(lysin)又は精製リシンの使用、3)細菌性ペプチドグリカンの合成のための、鍵酵素の代謝阻害剤としての、同定されたファージの構造タンパク質の使用である。
【0006】
したがって、病原性細菌を除去するためにインビボで使用するための、有力な治療用及び防止用作用物質としての、新規なバクテリオファージ及びファージ産物の開発が望まれている。特に、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌を含む院内感染細菌を溶解し得るバクテリオファージが望まれている。これまでに研究されたほとんどのファージ及びファージペプチドが示す活性は、それが単離される細菌の、関連種又は亜種に制限されることが多く、ファージに基づいた新規な療法は、通常の環境細菌叢に影響することなく院内感染病原菌を選択的に標的化する、病院内での特定の使用を見出し得る。
【発明の概要】
【0007】
4.発明の概要
本発明は、グラム陽性細菌又はグラム陰性細菌による感染に関連する状態を治療、予防、又は管理するための、単離されたバクテリオファージ、及びバクテリオファージ由来の単離された抗菌性ポリペプチドに関する。特に、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、院内感染病原体、例えば、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・ヒラエ(E.hirae)、エンテロコッカス・アビウム(E.avium)、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、スタフィロコッカス・アウリクラーリス(S.auricularis)、スタフィロコッカス・カピティス(S.capitis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(S.haemolyticus)、スタフィロコッカス・ホミニス(S.hominis)、腐性ブドウ球菌(S.saprophyticus)、スタフィロコッカス・シムランス(S.simulans)、及びスタフィロコッカス・キシローサス(S.xylosis)を含むグラム陽性細菌、並びに/又はこれらに限定されないが、アシネトバクター・バウマニ及び緑膿菌を含むグラム陰性細菌による感染を治療、防止、又は管理するための医薬組成物において使用することができる。ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、抗生物質耐性の細菌株、例えば黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性株(MRSA、methicillin resistant strains of Staphylococcus aureus)による感染に関連する状態の治療に有用である。特定の実施形態において、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、それを必要とする対象における院内感染病原体による感染の局所的治療に使用される。他の実施形態において、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、患者に由来する試料(例えば、組織、血液、尿、唾液の試料)における感染性作用物質の診断に使用される。他の実施形態において、本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、皮膚又は他の表皮表面を含む固体表面の準備のための防止用殺菌剤又は抗感染薬として使用される。
【0008】
ある実施形態において、本発明は、それぞれ配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むゲノムを有し、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF168/08又はF170/08を提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むゲノムを有し、緑膿菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF770/05を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、それぞれ配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むゲノムを有し、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有し、アシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対する抗菌活性を示す、単離されたバクテリオファージF1245/05を提供する。
【0009】
本発明はまた、1又は2以上の本発明のバクテリオファージに感染した、単離された細菌も包含する。特定の実施形態において、本発明は、配列番号1及び/又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたエンテロコッカス・フェカリスを提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号1及び/又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたエンテロコッカス・フェシウムを提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離された緑膿菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び/又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有する1又は2以上のバクテリオファージに感染した、単離された黄色ブドウ球菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたアシネトバクター・バウマニを提供する。
【0010】
本発明は、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、及び/又はF91a/06から単離されたポリペプチドを包含し、このポリペプチドは、グラム陽性細菌又はグラム陰性細菌、例えばアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を示す。特定の実施形態において、F168/08若しくはF/170/08から単離されたか又はこれらに由来する本発明のポリペプチドは、少なくともエンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を示し、F770/05から単離されたか又はこれに由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも緑膿菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F197/08、F86/06、F87s/06、若しくはF91a/06から単離されたか又はこれらに由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F1245/05から単離されたか又はこれに由来する本発明のポリペプチドは、少なくともアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。
【0011】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、細菌、例えば、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌などのグラム陽性細菌及び/又はグラム陰性細菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を示す、単離されたエンドリシン又はその断片(例えば、CHAPドメイン)を含むか又はそれからなる。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、単離されたリシンタンパク質、例えば、エンドリシン又は尾部リシンである。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号761〜配列番号816からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか又はそれからなるポリペプチドを提供する。
【0012】
他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を有する。この実施形態に従った特定の例において、配列番号68、配列番号184、配列番号202、及び/又は配列番号203のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体は、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。この実施形態に従った他の例において、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、及び/又は配列番号712のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。
【0013】
特定の実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、配列番号68、配列番号446、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のCHAPドメインを含むか又はそれからなる。ある実施形態において、単離されたポリペプチドは、例えばそれぞれ配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する、配列番号68、配列番号446、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のCHAPドメインを含むか又はそれからなる。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の少なくとも1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を有する。さらに他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号761〜配列番号816の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、アシネトバクター・バウマニの少なくとも1又は2以上の株に対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば溶解死滅活性を有する。
【0014】
他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、それが由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を有する、単離された尾部長巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質(例えば、尾部成分、尾部繊維タンパク質、吸着に関連する尾部タンパク質)又はその断片を含むか又はそれからなり、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの少なくとも1又は2以上の種又は株に対するものである。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704又は配列番号795のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、単離された尾部長巻尺タンパク質又は尾部タンパク質である。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704又は配列番号795の断片、バリアント、又は誘導体を含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示し、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対するものである。
【0015】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号61又は配列番号63のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対するものである。他の実施形態において、本発明は、配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号204又は配列番号214のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムの1又は2以上の株に対するものである。
【0016】
ある実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号435又は配列番号438のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、緑膿菌の1又は2以上の株に対するものである。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、配列番号4の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538又は配列番号539のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。他の実施形態において、本発明は、配列番号5の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号567又は配列番号568のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号6の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号632又は配列番号633のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、又は配列番号704のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対するものである。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、配列番号761〜816のアミノ酸配列のバリアント、断片、又は誘導体を包含し、前記機能は、アシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対するものである。
【0019】
ある実施形態において、本発明は、細菌の1又は2以上の株(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌)、又はグラム陽性細菌にもグラム陰性細菌にも分類されない細菌)に対する抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、単離されたポリペプチドを提供し、前記単離されたポリペプチドは、同一の長さの(すなわち、同数の残基からなる)第2のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、前記第2のアミノ酸配列は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816、及び/又はその断片である。
【0020】
本発明はさらに、配列番号8〜130、配列番号131〜343、配列番号344〜438、配列番号439〜553、配列番号554〜616、配列番号617〜681、配列番号682〜759、及び配列番号761〜816のいずれかのアミノ酸配列を含むか又はそれからなる、単離されたポリペプチドを提供する。他の実施形態において、治療用作用物質(例えば、異種ポリペプチド又は小分子)に組換えによって融合しているか又は化学的に結合している(例えば、共有結合又は非共有結合)、本発明の単離されたポリペプチドが提供される。
【0021】
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを包含する。特定の実施形態において、本発明は、配列番号8〜130、配列番号131〜343、配列番号344〜438、配列番号439〜553、配列番号554〜616、配列番号617〜681、配列番号682〜759、及び配列番号761〜816のいずれかのポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離された核酸を提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816のいずれかのポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体をコードする核酸配列を含む、単離された核酸を提供し、前記ポリペプチド、又は活性断片、バリアント、若しくは誘導体は、それが単離される及び/又は由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。本発明はまた、前記核酸を含むベクターにも関するものである。特定の一実施形態において、前記ベクターは、発現ベクターである。本発明はさらに、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する宿主細胞を提供する。
【0022】
本発明は、特に、医薬組成物、すなわち抗微生物組成物において使用するための、本発明のポリペプチド又はその活性断片を産生するための方法を包含する。例えば、本発明のポリペプチドは、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06に感染した細胞培養物(例えば、細菌細胞培養物)から直接単離することができる。或いは、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチド、例えば、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816、又はその活性断片、誘導体、若しくはバリアントをコードする核酸配列を含む発現ベクターを使用して、組換え手段によって得ることができる。本発明のポリペプチド又はその断片は、当技術分野において知られている、ポリペプチドを産生するためのいかなる方法によっても、特に、化学合成によって、又は組換え発現技術によって産生することができる。特定の実施形態において、本発明は、ファージタンパク質、例えば、リシンタンパク質、尾部タンパク質、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体を組換えによって産生するための方法であって、(i)培地内で前記タンパク質を発現させるために適した条件下で、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号761〜816のアミノ酸配列又はその断片をコードする核酸配列を含むベクターを含有する宿主細胞を培養すること、及び(ii)前記培地から前記タンパク質を回収することを含む方法に関する。ある実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、異種プロモーターに作動可能に連結している。
【0023】
本発明はまた、細菌感染の臨床所見において原因物質を診断するための方法も包含する。本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドに対する試料内の細菌の感受性を明らかにすることによる、患者の試料における細菌種の決定に役立たせるために使用することができる。このような方法はさらに、本発明の単離されたバクテリオファージ及び/又はポリペプチドの抗菌活性の評価方法を包含する。本発明のバクテリオファージ若しくはポリペプチドの抗菌活性、又はこのような活性に対する未知の試料の感受性を、当技術分野において知られており、及び/又は本明細書に記載するいかなる方法によっても判定することができる。ある実施形態において、抗菌活性及び/又は感受性は、既知の細菌及び/又は患者の組織、血液、体液、若しくはスワブの試料を標準的な技術(例えば、液体培養における、又は寒天プレート上での)に従って培養し、培養物を本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドと接触させ、前記接触の後の細胞の増殖をモニタリングすることによって判定される。例えば、液体培養において、細菌(例えば、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌)は、培養物の指数関数的な増殖の中間点の典型である光学密度(「OD、optical density」)まで増殖し得、培養物は、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドの1又は2以上の濃度に曝され、ODが対照培養物と比較してモニタリングされる。バクテリオファージ及び/又はポリペプチドが、培養物内の試験試料又は細菌の種及び/若しくは株に対して抗菌活性を示す(例えば、溶解死滅活性を示す)と、典型的に、対照培養物と比較してODが減少する。同様に、細菌コロニーが寒天プレート上で形成され得、プレートは、本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドに曝され、その後のコロニーの増殖が対照プレートと比較して評価される。コロニーのサイズの減少、又はコロニーの総数の減少は、バクテリオファージ及び/又はポリペプチドが試験試料及び/又は培養された種若しくは株に対して抗菌活性を有することを示す。
【0024】
本発明はまた、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを含むか又はそれからなる医薬組成物に関する。ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージと、1又は2以上の他のバクテリオファージとを含む。1又は2以上の他のバクテリオファージは、本発明の1若しくは2以上のバクテリオファージ(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するもの)、その1若しくは2以上の株であり得るか、又は当技術分野において知られている1若しくは2以上のバクテリオファージであり得る。さらに、本発明の医薬組成物における1又は2以上のバクテリオファージは、同一の又は異なる細菌種又は細菌株を標的化し得る。ある実施形態において、本発明の1又は2以上のバクテリオファージを含む医薬組成物はさらに、本発明の1若しくは2以上のポリペプチド及び/又は本明細書において記載されるか若しくは当技術分野において知られているような他のファージ産物を含む。
【0025】
ある実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージから単離されたポリペプチド又はその活性断片、特に抗微生物活性及び/又は抗菌活性を有するポリペプチド又はその活性断片を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759又は配列番号761〜816のアミノ酸配列を有する1又は2以上のポリペプチドを含む。他の実施形態において、本発明の医薬組成物は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、又は配列番号761〜816のバリアント、誘導体、又は断片であるポリペプチドを含み、前記バリアント、誘導体、又は断片は、それが由来するポリペプチドの生物学的機能、例えば、好ましくはアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上の株に対する、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を保持するものである。
【0026】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤をさらに含み得る。ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、それを必要とする対象において細菌による感染に関連する疾患又は障害の症状を治療、予防、及び/又は改善するための、抗生物質組成物(それらが抗菌活性を示すという点で)又は治療用組成物である。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌による感染に関連する疾患又は障害の症状を治療、予防、及び/又は改善するための、抗菌組成物又は治療用組成物である。ある実施形態において、本発明の医薬組成物を投与される対象は、哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、霊長類(例えば、ヒト)、齧歯動物、ウサギ、又はトリ(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ))である。
【0027】
本発明は、細菌感染を治療又は予防するための方法であって、それを必要とする対象に、1又は2以上のバクテリオファージ又はファージ産物(例えば、単離されたバクテリオファージポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体)を含む医薬組成物を、場合によって、本明細書に記載の1又は2以上の他のバクテリオファージ又は他のファージ産物に加えて投与することを含む方法を提供する。本発明との関連で、「治療」は、治療的処置及び防止的又は予防的手段を指し、その目的は、病的状態又は障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、その進行を遅らせ、又はそれを遅延若しくは予防することである。本発明の医薬組成物は、これらに限定されないが、アシネトバクター・バウマニ、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・アウリクラーリス、スタフィロコッカス・カピティス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ホミニス、腐性ブドウ球菌、スタフィロコッカス・シムランス、スタフィロコッカス・キシローサス、ミクロコッカス・ルテウス(M.luteus)、枯草菌(B.subtilis)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・ヒラエ、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・アビウム、緑膿菌、及びその組合せを含むあらゆる細菌感染に関連する感染の治療又は管理に使用することができる。ある実施形態において、医薬組成物は、これらに限定されないが、術後眼内炎、心内膜炎、中枢神経系の感染、肺炎、骨髄炎、創傷感染(例えば、糖尿病性の足潰瘍)、乳腺炎、敗血症、食中毒、及び髄膜炎、並びに/又は院内感染細菌の感染に関連する他の状態を含む、細菌感染に関連する状態又は障害の治療に使用することができる。
【0028】
ある実施形態において、本発明は、単剤療法としてのバクテリオファージ又は単離されたファージ産物(例えば、単離されたファージポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体)の使用を提供する。他の実施形態において、本発明は、細菌感染の標準的な又は実験的な治療と組み合わせた、バクテリオファージ又はファージ産物(例えば、単離されたファージポリペプチド、又はその活性断片、バリアント、若しくは誘導体)の使用を提供する。このような組合せ療法は、標準的な又は実験的な治療の有効性を増強し得る。本発明のポリペプチドとの組合せにおいて特に有用な治療用作用物質の例は、抗炎症剤、標準的な化学療法抗生物質剤(例えば、ペニシリン、合成ペニシリン、バシトラシン、メチシリン、セファロスポリン、ポリミキシン、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドールナファート、セファゾリン、セフィキシム、セフメタゾール、セフォニオイド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタム、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシムプロキセチル、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフリアキソンモキサラクタム、セフロキシム、セファレキシン、セファロスポリンC、セファロスポリンCナトリウム塩、セファロチン、セファロチンナトリウム塩、セファピリン、セフラジン、セフロキシムアキセチル、セファロチン二水和物、モキサラクタム、ロラカルベフマファート、及びキレート剤)、局所麻酔剤、及び/又はコルチコステロイドである。さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、当技術分野において知られている1又は2以上のバクテリオファージ又はファージ産物と組み合わせることができる。本発明に包含される組合せ療法は、単一の医薬組成物に製剤され得るか、又は別の組成物で、しかし治療レジメン全体の一部として、投与され得る。
【0029】
本発明の医薬組成物は、抗菌化合物の投与(例えば、経口又は非経口(例えば、吸入、筋肉内、静脈内、又は表皮)の送達)に適した、当技術分野において知られているいかなる方法によっても投与することができる。好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、局所的に、例えば、局所製剤で投与される。本発明の組成物は、外科切開部位での感染又はカテーテル若しくはドレーンに関連する感染などの一般的な院内感染を治療及び/又は予防するために局所的に使用することができる。他の実施形態において、本発明の組成物は、皮膚又は真皮上層の細菌感染(例えば、糖尿病性の足潰瘍の感染)を治療するために使用される。
【0030】
本発明の医薬組成物はまた、化粧品における、又は細菌のコロニー形成を予防するために固体表面に使用するための(すなわち、殺菌剤として)スプレー若しくは溶液における抗菌剤などの、従来非治療的である使用に用いることができる。
【0031】
本発明はまた、抗菌活性についてペプチドをスクリーニングするための方法も対象とする。一実施形態において、本方法は、抗菌活性について配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列のオープンリーディングフレームによってコードされる、少なくとも6、10、15、20、又は25残基の長さの連続するアミノ酸配列をスクリーニングすることを含み、前記抗菌活性は、寒天又は液体培養における細菌の増殖を阻害するペプチドの能力によって測定される。
【0032】
4.1 定義
本明細書において使用される場合、「断片」という用語は、タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ酸残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも連続する80個のアミノ酸残基、少なくとも連続する90個のアミノ酸残基、少なくとも連続する100個のアミノ酸残基、少なくとも連続する125個のアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも連続する175個のアミノ酸残基、少なくとも連続する200個のアミノ酸残基、又は少なくとも連続する250個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチドを指す。特定の実施形態において、断片は、それが単離されるタンパク質の少なくとも1つの機能(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解による細胞の死滅))を保持しているという点で、機能的な断片である。
【0033】
本明細書において使用される場合、「活性なバクテリオファージ産物」及び「バクテリオファージ産物」という用語は、本発明のバクテリオファージから単離されたポリペプチド、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を指し、前記ポリペプチド、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体は、それが単離されたか又は由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能又は活性(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解による細胞の死滅))を示す。
【0034】
本明細書において使用される場合、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質との関連における「単離された」という用語は、それが由来する細胞源若しくは組織源の細胞物質若しくは汚染タンパク質をほとんど有さないか、又は、化学合成された場合には化学的前駆体若しくは他の化学物質をほとんど有さない、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質を指す。「細胞物質をほとんど有さない」という表現には、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質が、それが単離されるか又は組換えによって産生される細胞の細胞成分から分離されている、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質の調製物が含まれる。したがって、細胞物質をほとんど有さないペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質には、約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量)未満の異種タンパク質(本明細書においては「汚染タンパク質」とも呼ばれる)を有するペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質の調製物が含まれる。ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質が組換えによって産生される場合には、これはまた、好ましくは、培養培地をほとんど有さず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容積の約20%、10%、又は5%未満に相当する。ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質が化学合成によって産生される場合には、これは、好ましくは、化学的前駆体又は他の化学物質をほとんど有さず、すなわち、これは、ペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質の合成に関与する化学的前駆体又は他の化学物質から分離されている。したがって、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、又は抗体のこのような調製物は、約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満の、所望のペプチド、ポリペプチド、又は融合タンパク質以外の化学的前駆体又は化合物を有する。
【0035】
本明細書において使用される場合、核酸分子との関連における「単離された」という用語は、自らの天然源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子を指す。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、他の細胞物質を、若しくは組換え技術によって産生された場合には培養培地をほとんど有さないか、又は、化学合成された場合には化学的前駆体若しくは他の化学物質をほとんど有さず、かつ、cDNA又は他のゲノムDNA分子を有さない可能性があり、例えば、核酸ライブラリーにおける他のクローンから単離されている。
【0036】
「精製された」という用語は、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、又は核酸分子の濃度が、これらに限定されないが、カラムクロマトグラフィー、HPLC、沈降、電気泳動などを含む、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、又は核酸分子の調製に関与する前駆体又は他の化学物質などの不純物を部分的に、実質的に、又は完全に取り除くためのあらゆる精製プロセスによって、ある程度増大していることを意味する。当業者には、所定の使用に必要な精製の量が理解されよう。例えば、ヒトへの投与を目的とした治療用組成物において使用するための単離されたタンパク質は、通常、規制基準及び適正製造基準に従った高い純度でなくてはならない。
【0037】
本明細書において使用される場合、ポリペプチドとの関連における「誘導体」という用語は、アミノ酸残基の置換、欠失、又は付加の導入によって改変されているアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。本明細書において使用される「誘導体」という用語はまた、修飾されているポリペプチド、すなわち、ポリペプチドへのあらゆるタイプの分子の共有結合による付着によって修飾されているポリペプチドを指す。例えば、これらに限定されないが、ポリペプチドは、例えば、既知の保護基/ブロック基、タンパク質分解による切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによる、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、誘導体化により修飾することができる。誘導ポリペプチドは、これらに限定されないが、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む、当業者に知られている技術を使用した化学的修飾によって産生することができる。さらに、誘導ポリペプチドは、1又は2以上の従来にないアミノ酸を含有し得る。ポリペプチド誘導体は、それが由来するポリペプチドと類似又は同一の機能を有する。生物に「由来する」ポリペプチドに関連して使用される「由来する」という用語はまた、前記生物(例えば、細菌細胞又はファージ)からの直接的なポリペプチドの単離を指し得る。
【0038】
本明細書において使用される場合、「宿主細胞」という用語は、核酸分子でトランスフェクトされた特定の対象細胞、及び、前記核酸分子又はその染色体に組み込まれた形態を含有する、このような細胞の子孫又は潜在的な子孫を指す。このような細胞の子孫は、引き続き起こる核酸分子の生成又は宿主細胞のゲノム内への核酸分子の組込みにおいて生じ得る、突然変異又は環境の影響のため、核酸分子でトランスフェクトされた親細胞とは同一ではない可能性がある。バクテリオファージのタンパク質及びポリペプチドが発現するためには、宿主細胞は好ましくは、バクテリオファージが単離又は培養された種又は株と同一の種又は株のものではない。
【0039】
本明細書において使用される場合、「組み合わせて」という用語は、2以上の防止用及び/又は治療用作用物質の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、防止用及び/又は治療用作用物質を疾患又は障害を有する対象に投与する順序を制限するものではない。第1の防止用又は治療用作用物質は、第2の防止用又は治療用作用物質(第1の防止用又は治療用作用物質とは異なる)の投与の前に(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、又は12週間前)、前記投与と同時に、又は前記投与の後に(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、又は12週間後)、疾患又は障害を有する対象に投与することができる。
【0040】
本明細書において使用される場合、「核酸」及び「ヌクレオチド配列」という用語には、一本鎖及び二本鎖のDNA分子及び/若しくはRNA分子、又はその組合せが含まれる。本明細書において使用される場合、「核酸によってコードされる」という用語は、当技術分野において周知の標準的な遺伝暗号(すなわち、標準的なコドントリプレット)を使用する参照核酸配列のフォワード配列、リバース配列、相補的配列、又は逆相補的配列の翻訳の結果生じるアミノ酸配列を指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「防止用作用物質(単数)」及び「防止用作用物質(複数)」という用語は、細菌による感染に関連する1又は2以上の症状の予防、治療、管理、又は改善において使用することができる、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを指す。
【0042】
本明細書において使用される場合、「治療用作用物質(単数)」及び「治療用作用物質(複数)」という用語は、疾患又は障害の、特に細菌感染に関連する疾患又は障害の1又は2以上の症状の予防、治療、管理、又は改善において使用することができる、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを指す。
【0043】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」という用語は、疾患又は障害の、特に細菌感染に関連する疾患又は障害の1又は2以上の症状を改善させるために十分な治療用作用物質の量を指す。
【0044】
本明細書において使用される場合、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、及び「治療すること(treating)」という用語は、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドの投与の結果生じる、細菌感染に関連する1又は2以上の症状の改善を指す。上記で述べたように、「治療」及び関連する用語は、治療的処置及び防止的又は予防的手段を指し、その目的は、病的状態又は障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、その進行を遅らせ、又はそれを遅延若しくは予防することである。
【0045】
本明細書において使用される場合、バクテリオファージ、単離されたバクテリオファージタンパク質(又は、そのバリアント、誘導体、若しくは断片)、又はバクテリオファージ産物に関連する「抗菌活性」及び「抗微生物活性」という用語は、ほぼ同じ意味で使用され、微生物の、特にバクテリオファージが感染する種又は株の細菌を死滅させる能力及び/又は微生物の増殖若しくは繁殖を阻害する能力を指す。ある実施形態において、抗菌活性又は抗微生物活性は、標準的な技術(例えば、液体培養における、又は寒天プレート上での)に従って、細菌(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、アシネトバクター・バウマニ、緑膿菌)、又はグラム陽性細菌にもグラム陰性細菌にも分類されない細菌)を培養し、培養物を本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドと接触させ、前記接触の後の細胞の増殖をモニタリングすることによって判定される。例えば、液体培養において、細菌は、培養物の指数関数的な増殖の中間点の典型である光学密度(「OD」)まで増殖し得、培養物は、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ又はポリペプチドの1又は2以上の濃度に曝され、ODが対照培養物と比較してモニタリングされる。バクテリオファージ又はポリペプチドが抗菌活性を示す(例えば、溶解死滅活性を示す)と、典型的に、対照培養物と比較してODが減少する。同様に、細菌コロニーが寒天プレート上で形成され得、プレートは、本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドに曝され、その後のコロニーの増殖が対照プレートと比較して評価される。コロニーのサイズの減少、又はコロニーの総数の減少は、バクテリオファージ又はポリペプチドが抗菌活性を有することを示す。
【0046】
本明細書において使用される場合、「CHAPドメイン」は、ファージにコードされるいくつかのペプチドグリカン加水分解酵素において見られる保存されたアミダーゼドメインを指し、「システイン・ヒスチジン依存性アミド加水分解酵素/ペプチダーゼ」の略である。例えば、Rigden D, et. al., Trends Biochem Sci. 2003 May 28(5): 230-4を参照されたい。これは、GSPアミダーゼ及びペプチドグリカン加水分解酵素を含む、アミダーゼのスーパーファミリーにおいて見られる。このファミリーには、少なくとも2つの異なるタイプのペプチドグリカン切断活性、すなわちL−ムラモイル−L−アラニンアミダーゼ活性及びD−アラニルグリシルエンドペプチダーゼ活性が含まれる。CHAPドメインは通常、保存されたシステイン残基及びヒスチジン残基を含有し、γ−グルタミルを含有する基質を加水分解する。これらのシステイン残基は、これらのアミダーゼのうちいくつかの活性に必須であると考えられ、それらのチオール基は、このドメインを含有する全ての酵素の触媒メカニズムにおいて求核試薬として機能すると思われる。CHAPドメインは、ペプチドグリカンを切断する他のドメインを伴って見られることが多く、例えば、特殊な基質を切断するために協働的に作用する。また、Bateman A, et al., Trends Biochem Sci. 2003 May 28(5): 234-7を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】配列番号1の核酸配列を含む、F168/08ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるオープンリーディングフレーム(「ORF、open reading frame」)は、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図2の表形式にも含まれる。
【図2A−X】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF168/08ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図2においてリストされているORF1〜116はそれぞれ、配列番号8〜130のアミノ酸配列をコードする。
【図3A−B】臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(EFS、Enterococcus faecalis)(3A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(EFM、Enterococcus faecium)(3B)株におけるスポット試験によって決定されたF168/08の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図4】配列番号2の核酸配列を含む、F170/08ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図5の表形式にも含まれる。
【図5A−AR】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF170/08ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図5においてリストされているORF1〜213はそれぞれ、配列番号131〜343のアミノ酸配列をコードする。
【図6A−B】臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(EFS)(6A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(EFM)(6B)株におけるスポット試験によって決定されたF170/08の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図7】配列番号3の核酸配列を含む、F770/05ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図8の表形式にも含まれる。
【図8A−AC】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF770/05ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図8においてリストされているORF1〜95はそれぞれ、配列番号344〜438のアミノ酸配列をコードする。
【図9】臨床試料から単離された100の緑膿菌(PSA、Pseudomonas aeruginosa)株におけるスポット試験によって決定されたF770/05の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図10】配列番号4の核酸配列を含む、F197/08ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図11の表形式にも含まれる。
【図11A−AA】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF197/08ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図11においてリストされているORF1〜66はそれぞれ、配列番号439〜553のアミノ酸配列をコードする。
【図12】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA、Staphylococcus aureus)株におけるスポット試験によって決定されたF197/08の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図13】配列番号5の核酸配列を含む、F86/06ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図14の表形式にも含まれる。
【図14A−S】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF86/06ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図14においてリストされているORF1〜63はそれぞれ、配列番号554〜616のアミノ酸配列をコードする。
【図15】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA)株におけるスポット試験によって決定されたF86/06の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図16】配列番号6の核酸配列を含む、F87s/06ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図17の表形式にも含まれる。
【図17A−U】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF87s/06ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図17においてリストされているORF1〜61はそれぞれ、配列番号617〜681のアミノ酸配列をコードする。
【図18】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA)株におけるスポット試験によって決定されたF87s/06の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図19】配列番号7の核酸配列を含む、F91a/06ゲノムの構成の概略図である。ゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質の既知の機能に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり(同一の又は類似のタンパク質に対する相同性を示す産物をコードするORFは、同一の数字を用いて示され、小文字によって区別される)、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、白又は空白は、利用可能なデータベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。機能を割り当てられたORFもまた、図面内にリストされている。図面内の情報はまた、図20の表形式にも含まれる。
【図20A−U】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF91a/06ゲノムの特徴を示す図である。図面には、ゲノムのORFのリストが含まれ、各ORFについて、(i)ゲノム内でのその位置、(ii)コードされるアミノ酸配列、(iii)そのコードされるポリペプチド内での相同タンパク質及び保存されたドメインのリスト、並びに(iv)推定機能の割り当てが提供されている。図20においてリストされているORF1〜64はそれぞれ、配列番号682〜754のアミノ酸配列をコードする。
【図21】臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌(STA)株におけるスポット試験によって決定されたF91a/06の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する各株の感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までの相対スケールに基づいて評価した。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【図22】配列番号760の核酸配列を含む、F1245/05ゲノムの概略構成図である。43kbのゲノム内で予測されるORFは、矢印で表され、黒字の数字が付してある。機能が割り当てられたORFでは、数字の代わりに予測される機能が示されている。矢印の方向は、転写の方向を示す。色分け:黒は、相同タンパク質に基づいて機能を割り当てることができた産物のORFであり、灰色は、未知の機能を有するタンパク質に類似の産物をコードするORFであり、斜線は、その相対的なゲノム位置と、コードされる産物における推定膜貫通ドメインの存在とに基づいて機能が割り当てられたORFであり、空白の矢印は、データベースにおけるタンパク質との有意な相同性を有さないタンパク質をコードするORFである。
【図23A−I】遺伝子産物と推定機能の割り当てとを含む、バクテリオファージF1245/05ゲノムの特徴を示す図である。
【図24A−E】臨床試料から単離された100のアシネトバクター・バウマニ株におけるスポット試験によって決定されたF1245/05の宿主範囲を示す図である。各スポットは、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液(CsCl精製溶解物から調製された)を含有するものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
6.詳細な説明
本発明は、院内感染病原体であるアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を有する、単離されたバクテリオファージ及びその単離されたポリペプチド産物に関するものである。一実施形態において、黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性株(MRSA)に対する抗微生物活性及び/又は抗菌活性を示す単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドが提供される。さらに、本発明のバクテリオファージ及びポリペプチドは、これらに限定されないが、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・アウリクラーリス、スタフィロコッカス・カピティス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ホミニス、腐性ブドウ球菌、スタフィロコッカス・シムランス、スタフィロコッカス・キシローサス、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、バチルス・プミルス、エンテロコッカス・ヒラエ、及びエンテロコッカス・アビウムを含む病原性細菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し得る。
【0049】
一実施形態において、本発明は、配列番号1の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムの多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF168/08である。F168/08ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図2に示されている(配列番号8〜130のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0050】
腸球菌(Enterococci)は、群状又は鎖状でコロニーを形成する、グラム陽性の球菌である。それらは、ヒトを含む多くの哺乳動物において、消化管微生物叢の一部として見られる。腸球菌の感染は、全ての院内感染の12%を占める。腸球菌の感染は、合併した腹腔内感染、皮膚及び皮膚構造の感染、尿路感染、並びに血流の感染を引き起こし得、これらは、特に関与する株がいくつかの抗生物質に対して耐性を発現している場合には、治療が困難であり得る。このような場合、感染は、特に患者が既に免疫不全である場合には、生命にかかわるものであり得る。
【0051】
エンテロコッカス・フェカリスは、腸球菌感染の大部分を占め、ヒト及び他の哺乳動物の胃腸管に存在する、グラム陽性の片利共生細菌である。これは、非運動性であり、通性嫌気性である。エンテロコッカス・フェカリスは、特に院内の環境において、ヒトにおける生命にかかわる感染を含む、心内膜炎、並びに膀胱、前立腺、及び精巣上体の感染を引き起こし得る。エンテロコッカス・フェカリスは、多くの一般に使用される抗微生物製剤(例えば、アミノグリコシド、アズトレオナム、セファロスポリン、クリンダマイシン、半合成ペニシリンであるナフシリン及びオキサシリン、トリメトプリムスルファメトキサゾールなど)に対して耐性である。
【0052】
エンテロコッカス・フェシウムは、キノロン及びアミノグリコシドを含むいくつかのタイプの抗生物質に対して耐性を有することが知られている。エンテロコッカス・フェシウムのバンコマイシン耐性株もまた知られている。いくつかの抗生物質に対する耐性及び悪条件に対する許容性によって、エンテロコッカス・フェシウムは、医学界にとっての主要な懸念となり、医学界では、この微生物は「スーパージャーム(supergerm)」と呼ばれている。別の実施形態において、本発明は、配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、エンテロコッカス・フェカリス及びエンテロコッカス・フェシウムの多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF170/08である。F178/08ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図5に示されている(配列番号131〜343のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0053】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、緑膿菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF770/05である。F770/05ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図8に示されている(配列番号344〜438のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0054】
緑膿菌は、土壌、水、皮膚微生物叢、及びほとんどの人工環境において見られる、一般的な、グラム陰性のロッド形状の細菌である。これは、通常の大気だけではなく、通性嫌気性菌のように低酸素下でも増殖し、損傷した組織又は免疫障害を有する個体に感染し得る。このようなコロニー形成が、肺、尿路、及び腎臓などの重大な体内器官において生じると、致命的な結果となることがある。この細菌は表面で増殖するため、カテーテルを含む医療用設備上及び医療用設備内でも見られ、病院及び診療所における交差感染の原因となる。緑膿菌は、最も重要な、日和見性の院内感染病原体の1つであり、10の院内感染のうち1回は、シュードモナス菌(Pseudomonas)によるものであると推定されている。緑膿菌はまた、火傷での感染の最も一般的な原因であり、カテーテルなどの医療機器に最も頻繁にコロニー形成するものである。
【0055】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号4の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF197/08である。F197/08ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図11に示されている(配列番号439〜553のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0056】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号5の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF86/06である。F86/06ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図14に示されている(配列番号554〜616のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0057】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号6の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF87s/06である。F87s/06ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図17に示されている(配列番号617〜681のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0058】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、黄色ブドウ球菌の多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF91a/06である。F91a/06ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図20に示されている(配列番号682〜754のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0059】
黄色ブドウ球菌は、球状の、通性嫌気性のグラム陽性細菌であり、鼻の中及び皮膚上で見られる皮膚微生物叢の一部であることが多い。黄色ブドウ球菌は、吹き出物などの軽度の皮膚感染から、胃腸炎や、肺炎、髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎、毒素性ショック症候群(TSS、toxic shock syndrome)、菌血症、及び敗血症などの生命にかかわる疾患まで、様々な病気の原因となり得る。これは、院内感染の5つの最も一般的な原因の1つであり、術後創傷感染の原因であることが多い。今日では、黄色ブドウ球菌は、多くの一般に使用される抗生物質に対して耐性となっており、全ての黄色ブドウ球菌単離体のわずか2%のみがペニシリンに感受性であると推定されている。メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、及びフルクロキサシリンなどの第二世代ペニシリンが、ペニシリン耐性の黄色ブドウ球菌感染を治療するために開発された。メチシリンは、このクラスで最初に使用された抗生物質であるが、わずか2年後に、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌(MRSA)の最初の事例が報告された。1990年代から、病院内でMRSAの流行が爆発し、現在、病院では、これは風土病であると考えられている。
【0060】
さらに別の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを提供する。この実施形態に従った具体的な例は、アシネトバクター・バウマニの多くの株を標的化する、単離されたバクテリオファージF1245/05である。F1245/05ゲノム内のオープンリーディングフレーム(ORF)、このORFによってコードされるアミノ酸配列、及びコードされるアミノ酸配列の推定機能(すなわち、コードされるタンパク質及び/又はポリペプチド)の割り当ては、図23に示されている(配列番号761〜816のアミノ酸配列もまた提供されている)。
【0061】
アシネトバクター・バウマニは、特に免疫系に障害を有する個体において多くの重篤な臨床感染を生じさせる細菌種である。アシネトバクター・バウマニは、院内環境及び入院患者から通常は単離される、多形性の、好気性のグラム陰性桿菌である。この細菌は、身体の開いた傷、カテーテル、又は呼吸管に侵入することが多い。アシネトバクター・バウマニは、通常、水域環境にコロニー形成し、入院患者の痰又は呼吸器分泌物、傷、及び尿から培養されることが多い。病院内では、アシネトバクター・バウマニは、一般に、かん流溶液及び静脈内注射用溶液にコロニー形成する。これはまた、複数の抗生物質に耐性であることが知られており、アシネトバクター・バウマニが引き起こす院内感染の数は近年増大している。
【0062】
ある実施形態において、本発明のバクテリオファージは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するゲノムを含むか又は前記ゲノムからなり、前記バクテリオファージは、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、及びF1245/05の1又は2以上の、少なくとも1つの生物学的活性、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。或いは、又はさらに、本発明のバクテリオファージは、図2、5、8、11、14、17、20、及び23において記載されるいずれかのオープンリーディングフレームの配列を含む、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列の機能的断片を含むゲノムを有し得る。
【0063】
本発明はまた、本発明のバクテリオファージの1又は2以上に感染した、単離された細菌を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号1及び/又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたエンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムを提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離された緑膿菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び/又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離された黄色ブドウ球菌を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染した、単離されたアシネトバクター・バウマニを提供する。
【0064】
本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び単離する方法を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムの培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)緑膿菌の培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号3の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)黄色ブドウ球菌の培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを産生及び/又は単離する方法であって、(i)アシネトバクター・バウマニの培養物を得ること、(ii)この培養物を配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージに感染させること、(iii)培養物の十分な溶解が観察されるまで培養すること、及び(iv)培養物からバクテリオファージを単離することを含む方法を提供する。
【0065】
バクテリオファージは、本明細書において記載されるか又は当技術分野において知られているいかなる方法を使用しても、細菌試料から単離することができる(例えば、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、Carlson, "Working with bacteriophages: common techniques and methodological approaches," In, Kutter and Sulakvelidze (Eds) Bacteriophages: Biology and Applications, 5thed. CRC Press (2005)を参照されたい)。
【0066】
本発明はまた、本発明のバクテリオファージから単離されたポリペプチドを提供する。単離されたポリペプチドは、完全長のバクテリオファージタンパク質であり得るか、又は、バクテリオファージタンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体が、それが由来するバクテリオファージ若しくはポリペプチドに関連する少なくとも1つの生物学的活性を示す限りにおいて、前記断片、バリアント、若しくは誘導体であり得る。ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、バクテリオファージF1245/05(これは、典型的には、アシネトバクター・バウマニに感染する)、F168/08若しくはF170/08(これは、典型的には、エンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムに感染する)、バクテリオファージF770/05(これは、典型的には、緑膿菌に感染する)、又はバクテリオファージF197/08、F86/06、F87s/06、若しくはF91a/06(これは、典型的には、黄色ブドウ球菌に感染する)から単離される。
【0067】
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760(例えば、それぞれバクテリオファージF168/08、F170/08、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、又はF1245/05)を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンである。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号797、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712を含むか又はそれからなるアミノ酸配列を有するエンドリシン又はリシンである。他の実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、本発明のバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンの断片、バリアント、又は誘導体であり、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが単離されるか又は由来するエンドリシン、リシン、又はバクテリオファージの少なくとも1つの生物学的活性、好ましくは抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。したがって、ある実施形態において、本発明は、本発明のバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンの断片、バリアント、又は誘導体である、単離されたポリペプチドを提供し、前記断片、バリアント、又は誘導体は、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、又は黄色ブドウ球菌の1又は2以上に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。他の実施形態において、単離されたポリペプチドは、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、又は黄色ブドウ球菌以外の細菌(例えば、緑膿菌)の1又は2以上の種に対する抗菌活性又は抗微生物活性(例えば、溶解死滅活性)を示す、本発明のバクテリオファージから単離されたエンドリシン又はリシンの断片、バリアント、又は誘導体である。ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、若しくは配列番号203のアミノ酸配列、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含むか又はそれからなり、前記ポリペプチドは、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、若しくは配列番号712のアミノ酸配列、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含むか又はそれからなり、前記ポリペプチドは、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。さらに他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号797のアミノ酸配列、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含むか又はそれからなり、前記ポリペプチドは、アシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。
【0068】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06のエンドリシン又はリシンから単離されたCHAPドメインを含むか又はそれからなる。単離されたCHAPドメインは、それが由来するエンドリシン又はリシンの抗菌活性、例えば溶解死滅活性を保持していることが明らかにされており、CHAPドメインは、当技術分野における通常の方法によって同定及び単離することができる(例えば、それぞれが、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Rigden et al., 2003, Trends Biochem. Sci. 28:230-234、Bateman et al., 2003, Trends Biochem. Sci. 28:234-237を参照されたい)。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を有するポリペプチドから単離されたCHAPドメインを含むか又はそれからなる。特定の実施形態において、本発明は、配列番号68、配列番号446、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドに由来するCHAPドメインを含むか又はそれからなる、単離されたポリペプチドを提供し、前記CHAPドメインは、それぞれ配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号755は、配列番号68のアミノ酸配列を有するポリペプチドに由来するCHAPドメインに対応し、配列番号756は、配列番号446のアミノ酸配列を有するポリペプチドに由来するCHAPドメインに対応するなどである。他の実施形態において、本発明は、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06のエンドリシン又はリシンから単離されたCHAPドメインの断片、バリアント、又は誘導体を提供し、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが由来するCHAPドメインの少なくとも1つの生物学的活性、例えば溶解による細胞の死滅を示し、前記CHAPドメインは、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する。配列番号755〜配列番号759のアミノ酸配列は表1に示される。
【0069】
【表1】
【0070】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ(例えば、それぞれバクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、又はF1245/05)から単離された、尾部長巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質(例えば、尾部成分、尾部繊維タンパク質、吸着に関連する尾部タンパク質)又はその断片を含むか又はそれからなり、前記尾部長巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質又はその断片は、それが由来するバクテリオファージに関連する生物学的機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を有する。特定の実施形態において、尾部長巻尺タンパク質又は尾部タンパク質の抗微生物活性又は抗菌活性は、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌の少なくとも1又は2以上の種又は株に対するものである。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、又は配列番号795を含むか又はそれからなるアミノ酸配列を有する尾部巻尺タンパク質又は尾部タンパク質である。他の実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、又は配列番号795のアミノ酸配列の断片、バリアント、又は誘導体であり、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが単離されるか又は由来するバクテリオファージの少なくとも1つの生物学的活性又は機能、例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性)を示す。好ましい実施形態において、断片、バリアント、又は誘導体の少なくとも1つの生物学的活性又は機能は、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの1又は2以上の株に対するものである。
【0071】
ある実施形態において、本発明の単離されたポリペプチドは、バクテリオファージポリペプチドのバリアントであり、前記バリアントは、同一の長さの(すなわち、同数の残基からなる)第2のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又は前記アミノ酸配列からなり、前記第2のアミノ酸配列は、配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号575、配列番号632、配列番号633、配列番号641、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号712、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号795、又は配列番号797、及び/又はその断片であり、前記バリアントは、細菌(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ)、又はグラム陽性細菌ともグラム陰性細菌とも分類されない細菌)の1又は2以上の株に対して、それが由来するバクテリオファージの少なくとも1つの生物学的機能又は活性(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性(例えば、溶解死滅活性))を示す。
【0072】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2〜124、配列番号126〜338、配列番号340〜434、配列番号436〜550、配列番号552〜614、配列番号616〜680、配列番号682〜759、配列番号761〜816のいずれかのアミノ酸配列を有する、単離されたポリペプチド、及びその活性な生物学的断片を提供する。好ましい実施形態において、本発明のバリアントポリペプチドは、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの少なくとも1又は2以上の株に対して、それが単離されたか又は由来するポリペプチド又はバクテリオファージに関連する少なくとも1つの生物学的活性を示す。
【0073】
他の実施形態において、本発明は、配列番号8〜130、配列番号131〜343、配列番号344〜438、配列番号439〜553、配列番号554〜616、配列番号617〜681、配列番号682〜759、配列番号761〜816のうちの1つのアミノ酸配列をコードする、単離された核酸配列、及びその活性断片を提供する。他の実施形態において、本発明は、図2、5、8、11、14、17、20、及び23において同定されているいずれかのオープンリーディングフレームの核酸配列を提供する。
【0074】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、融合タンパク質又はキメラポリペプチドを生成するために、治療用作用物質、例えば、異種ポリペプチド又は小分子に組換えによって融合しているか又は化学的に結合している(共有結合と非共有結合とを含む)。融合は必ずしも直接的である必要はないが、リンカー配列を介して、又は化学結合を介して生じ得る。本発明のポリペプチドが結合し得る治療用作用物質の非限定的な例は、ペプチド性又は非ペプチド性の細胞毒素(抗微生物剤及び/又は抗生物質を含む)、トレーサー/マーカー分子(例えば、放射性核種及びフルオロフォア)、及び当技術分野において知られている他の抗生物質化合物又は抗菌化合物である。
【0075】
6.1 抗生物質組成物
本発明の単離されたバクテリオファージ又はポリペプチドは、単独で投与することができるか、又は、細菌感染、例えば、これらに限定されないが、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌を含む細菌が引き起こす感染の治療若しくは防止において使用するための医薬組成物内に組み込むことができる。ポリペプチドは、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤と組み合わせることができる。薬学的に許容される担体、賦形剤、及び安定剤の例には、これらに限定されないが、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝液、アスコルビン酸を含む酸化防止剤、低分子量ポリペプチド、血清アルブミン及びゼラチンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトール若しくはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、並びに/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG、polyethylene glycol)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。本発明の医薬組成物(例えば、抗菌組成物)にはまた、上記の材料に加え、潤滑剤、湿潤剤、甘味料、香料、乳化剤、懸濁剤、及び防腐剤も含まれ得る。
【0076】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドはまた、本明細書において記載される、及び/又は当技術分野において知られている、細菌感染の治療に有用な1又は2以上の治療用作用物質及び又は防止用作用物質(例えば、1又は2以上のリシン)と組み合わせることができる。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の2以上の単離されたバクテリオファージ(同一の又は異なる細菌種又は細菌株に対する抗菌活性を有する)、本発明のバクテリオファージとポリペプチドとの組合せ、又は、本発明のバクテリオファージ及び/若しくはポリペプチドと当技術分野において知られているバクテリオファージ及び/若しくは治療用ポリペプチドとの組合せを含み得る。特定の実施形態において、組合せの治療用成分は、2以上の細菌種若しくは細菌株を標的化するか、又は、異なる酵素活性を示す。例えば、リシンは、通常、アミダーゼ活性、エンドペプチダーゼ活性、ムラミダーゼ活性、又はグルコサミダーゼ活性の1つを示す。したがって、異なる活性を示すリシンの組合せによって、本発明の医薬組成物の治療的活性が相乗的に増強され得る。
【0077】
本発明のポリペプチドと組み合わせて使用することができる他の治療用作用物質の例には、これらに限定されないが、標準的な抗生物質剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、局所麻酔剤、及びコルチコステロイドが含まれる。
【0078】
本発明のポリペプチドを含む医薬組成物と共に使用することができる標準的な抗生物質には、所与の感染に対する本発明のバクテリオファージ又はポリペプチドの治療効果を相加的に又は相乗的に増強するのに有効な量の、これらに限定されないが、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アプラマイシン、リファマイシン、ナフトマイシン、ムピロシン、ゲルダナマイシン、アンサミトシン、カルバセフェム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ファロペネム、ドリペネム、パニペネム/ベタミプロン、ビアペネム、PZ−601、セファロスポリン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファザフルール、セファゼドン、セファゾリン、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セフォニシド、セフプロジル、セフロキシム、セフゾナム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフテラム、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、ラタモキセフ、セフクリジン、セフェピム、セフルプレナム、セフォセリス、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、フロモキセフ、セフトビプロール、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アズトレオナム、ペニシリン及びペニシリン誘導体、アクチノマイシン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シノキサシン、フルメキン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピロミド酸、ピペミド酸、ロソキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、ルフロキサシン、バロフロキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、クリナフロキサシン、ガレノキサシン、ゲミフロキサシン、スチフロキサシン、トロバルフロキサシン、プルリフロキサシン、アセタゾールアミド、ベンゾールアミド、ブメタニド、セレコキシブ、クロルタリドン、クロパミド、ジクロルフェンアミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、マフェンジド、メフルシド、メトラゾン、プロベネシド、スルファセタミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルチアム、スマトリプタン、キシパミド、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、ロリテトラサイクリン、並びにそのあらゆる組合せが含まれる。
【0079】
本発明の医薬組成物において使用することができる局所麻酔には、テトラカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジメチソキン、ジブカイン、塩酸ジブカイン、ブタンベンピクレート、及び塩酸プラモキシンが含まれる。局所麻酔の例示的な濃度は、組成物全体の約0.025重量%〜約5重量%である。
【0080】
本発明のポリペプチド、ファージ、及び/又は医薬組成物との組合せにおいて有用であり得るコルチコステロイドには、ベタメタゾン、ジプロピオネート、フルオシノロン、アクチニド、吉草酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアクチニド、プロピオン酸クロベタゾール、デスオキシメタゾン、二酢酸ジフロラゾン、アムシノニド、フルランドレノリド、吉草酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、及びデソニドが含まれる。コルチコステロイドの例示的な濃度は、組成物全体の約0.01重量%〜約1重量%である。
【0081】
ある実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを含む製剤はさらに、SM緩衝液(0.05MのTris−HCl(pH7.4〜7.5)、0.1MのNaCl、10mMのMgSO4)を含む。他の実施形態において、製剤はさらに、SM緩衝液及び10mMのMgCl2を含む。さらに他の実施形態において、製剤はさらに、SM緩衝液及び約20%又は約30%のエタノールを含む。
【0082】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドを含む医薬組成物は、単回用量製剤又は複数回用量製剤に製剤することができる。適切な製剤は、軟膏剤、液剤、懸濁剤若しくは乳剤、エキス剤、散剤、顆粒剤、スプレー剤、トローチ剤、錠剤、又はカプセル剤からなる群から選択され得、さらに分散剤又は安定剤を含む。
【0083】
本発明の医薬組成物は、吸入によって、坐剤若しくはペッサリーの形態で、局所的に(例えば、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、又は散布剤の形態で)、表皮上に若しくは経皮的に(例えば、皮膚パッチを用いて)、経口的に(例えば、デンプン又は乳糖などの賦形剤を含有し得る錠剤として)、カプセル剤、卵形剤、エリキシル剤、液剤、若しくは懸濁剤として(それぞれ、香料、着色料、及び/又は賦形剤を含有していてもよい)投与することができるか、又は、それらは、非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下)注射することができる。非経口投与では、組成物は、他の物質を含有し得る、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩又は単糖を含有し得る、無菌水性溶液の形態で使用するのが最適であり得る。口腔投与又は舌下投与では、組成物は、従来の様式で製剤され得る錠剤又はトローチ剤の形態で投与することができる。好ましい実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、単一の作用物質として、又は本明細書において記載されるか若しくは当技術分野において知られている他の抗生物質治療と組み合わせて、局所的に投与される。
【0084】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドはまた、皮膚上に又は経皮的に投与することができる。皮膚への局所的投与では、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、1つの担体又は担体の組合せと組み合わせることができ、前記担体には、これらに限定されないが、水性液体、アルコールベースの液体、水溶性ゲル、ローション、軟膏、非水性液体基剤、鉱油基剤、鉱油とワセリンとの混和物、ラノリン、リポソーム、血清アルブミン又はゼラチンなどのタンパク質担体、粉末セルロースカーメル、及びその組合せが含まれる。送達の局所的様式には、塗抹剤、スプレー、徐放性パッチ、液体を吸収させた拭き取り繊維、及びその組合せが含まれ得る。本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、直接的に、又は担体の1つ内で、パッチ又は包帯に塗布することができる。パッチは、湿っていても乾燥していてもよく、ファージ及び/又はポリペプチド(例えば、リシン)は、凍結乾燥された形態でパッチ上に存在する。局所的組成物の担体は、ポリマー濃縮剤、水、防腐剤、界面活性剤、又は、乳化剤、酸化防止剤、日焼け止め、及び溶媒系若しくは混合溶媒系を含む、半固体の及びゲル様の媒体を含み得る。米国特許第5,863,560号明細書は、医薬品への皮膚の曝露に役立ち得る、担体の多くの異なる組合せを開示しており、その内容は、本明細書に組み込まれる。
【0085】
鼻腔内投与又は吸入による投与では、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、乾燥粉末吸入剤の形態で、又は適切な推進剤を使用する加圧容器、ポンプ、スプレー、若しくは噴霧器から出るエアロゾルスプレーの形態で都合良く送達され、前記推進剤は、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A.TM.)若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA.TM.)などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、又は他の適切なガスである。加圧エアロゾルのケースでは、投薬単位は、一定量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレー、又は噴霧器は、例えば、溶媒としてエタノールと推進剤との混合物を使用する、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有し得、前記溶媒はさらに、潤滑剤、例えばソルビタントリオレエートを含有し得る。吸入剤又は吹送剤において使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンで作製される)は、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドと、乳糖又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有するように製剤することができる。
【0086】
坐剤又はペッサリーの形態での投与では、治療用組成物は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、又は散布剤の形態で、局所的に塗布することができる。本発明の組成物はまた、眼内経路で投与することができる。眼科的使用では、本発明の組成物は、等張の、pH調整された、無菌の生理食塩水内の、微粉化された懸濁液として、又は、好ましくは、等張の、pH調整された、無菌の生理食塩水内の、溶液として、製剤することができ、これは、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤と組み合わされてもよい。或いは、それらは、ワセリンなどの軟膏内に製剤することができる。
【0087】
本発明の医薬組成物の投薬量及び所望の薬剤濃度は、特定の使用に応じて変化し得る。投与の適切な投薬量又は経路の決定は、当業者の技術の範囲内である。動物実験によって、ヒトの治療における有効な用量を決定するための信頼性のあるガイダンスを得ることができる。有効な用量の種間スケーリングは、Mordenti, J. and Chappell, W. "The use of interspecies scaling in toxicokinetics" in Toxicokinetics and New Drug Development, Yacobi et al., Eds., Pergamon Press, New York 1989, pp42-96によって記載されている原理に従って、当業者が行うことができる。
【0088】
6.2 治療的使用
本発明のバクテリオファージ及びポリペプチドは、図3A〜B、6A〜B、9、12、15、18、21、及び23において記載されているように、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニの複数の株に対して活性を有する。したがって、本発明の組成物は、ヒトと動物とにおいて、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニに関連する感染を予防及び治療する方法において使用することができる。他の実施形態において、本発明の組成物は、これらに限定されないが、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・アウリクラーリス、スタフィロコッカス・カピティス、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ホミニス、腐性ブドウ球菌、スタフィロコッカス・シムランス、スタフィロコッカス・キシローサス、ミクロコッカス・ルテウス、枯草菌、バチルス・プミルス、エンテロコッカス・ヒラエ、及び/又はアシネトバクター・バウマニの1若しくは2以上の株、例えば、図24において記載される株の1若しくは2以上を含むこれらの細菌の関連種又は関連株に関連する感染を治療するために使用することができる。
【0089】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物を投与される対象は、哺乳動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、霊長類(例えば、ヒト)、齧歯動物、ウサギ、又はトリ(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ))である。本発明との関連で、「治療」は、治療的処置を指し、その目的は、病的状態又は障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、それを改善し、その進行を遅らせ、又はそれを予防することである。「治療」は、治療的処置と防止的又は予防的手段を指し、その目的は、病的状態若しくは障害に関連する症状又は根本的原因(例えば、細菌感染)を排除し、低減し、その重症度を低下させ、その進行を遅らせ、又はそれを遅延若しくは予防することである。本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドが防止的又は予防的手段として作用し、1又は2以上の細菌が引き起こす感染の発病を予防することも企図される。
【0090】
アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌は、特に、免疫系の障害を有する個体において、多くの重篤な日和見感染の原因である。本発明の医薬組成物は、これらに限定されないが、皮膚の感染(これらに限定されないが、皮膚潰瘍、床ずれ、及び糖尿病性の足潰瘍を含む)、創傷内及び創傷周辺の感染、術後感染、カテーテル及び外科用ドレーンに関連する感染、並びに血液の感染を含む、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、若しくは黄色ブドウ球菌に関連する、又は他の細菌種若しくは細菌株に関連する、いかなる感染も治療することが企図される。
【0091】
アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌はまた、流体含有量の高い器官系への感染にも関連し、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、これらの感染の予防及び治療における治療的使用を有することが企図される。例えば、本発明の医薬組成物は、気道、脳脊髄液、腹水、及び尿路の感染の予防又は治療に使用することができる。本発明の組成物はまた、院内肺炎、持続的携帯型腹膜透析(CAPD、continuous ambulatory peritoneal dialysis)、カテーテルに関連する細菌尿、及び院内髄膜炎の予防及び/又は治療に使用することができる。
【0092】
好ましい実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、特に、創傷、潰瘍、並びにカテーテル挿入及びあらゆる他の医療処置又は医療機器による皮膚開口部に関連する感染を予防するために、病院内で防止的に使用される。
【0093】
ある実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、又は他の細菌種に関連する感染を治療又は予防するための単剤として使用される。本発明の他の実施形態において、本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、他のバクテリオファージ(例えば、異なる細菌種又は細菌株を標的化するもの)を含む他の作用物質と、又はあらゆるグラム陽性細菌、あらゆるグラム陰性細菌、及びグラム陽性細菌ともグラム陰性細菌とも分類されないあらゆる他の細菌群から選択される細菌を含む同一の又は異なる種類の細菌を標的化する抗生物質と組み合わせて使用される。本発明の組成物はまた、当業者に知られている細菌感染を治療するためのいかなる他の手段とも組み合わせて使用することができる。
【0094】
また、本発明によって、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法及び治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、配列番号712、及び/若しくは配列番号797のアミノ酸配列、を含むか又はそれからなるリシン又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む組成物を投与することを含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、親バクテリオファージが単離された細菌種に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す方法も企図される。この実施形態に従った特定の例において、本発明は、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法又は治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、リシンの単離されたCHAPドメイン、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む組成物を投与することを含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、それが単離されたCHAPドメインの少なくとも1つの生物学的活性(例えば、溶解による細胞の死滅)を示す方法を提供する。ある実施形態において、単離されたCHAPドメインは、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。他の実施形態において、本発明は、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法及び治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、及び/若しくは配列番号795のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる尾部巻尺タンパク質又は尾部タンパク質、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体を含む組成物を投与することを含み、前記断片、バリアント、又は誘導体は、親バクテリオファージに関連する生物学的活性を示す方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、これらに限定されないが、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、及び/又はアシネトバクター・バウマニを含む細菌が引き起こす感染を予防する方法及び治療する方法であって、それを必要とする哺乳動物に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、及び/又は配列番号760の核酸配列を含むか又はそれからなるゲノムを有するバクテリオファージを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。本発明の1若しくは2以上のバクテリオファージ又は抗生物質などの他の治療薬を場合によって有する、リシン(又は、上記のその断片、バリアント、若しくは誘導体)と、尾部巻尺タンパク質又は尾部タンパク質(又は上記に記載のその断片、バリアント、若しくは誘導体)の組合せ、並びに本明細書に記載の組合せの1又は2以上を使用した細菌感染の治療方法及び予防方法も企図される。
【0095】
本明細書において使用される場合、「組み合わせて」という用語は、2以上の防止用及び/又は治療用作用物質の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、防止用及び/又は治療用作用物質を疾患又は障害を有する対象に投与する順序を制限するものではない。第1の防止用又は治療用作用物質は、第2の防止用又は治療用作用物質(第1の防止用又は治療用作用物質とは異なる)の投与の前に(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、又は12週間前)、前記投与と同時に、又は前記投与の後に(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、又は12週間後)、疾患又は障害を有する対象に投与することができる。
【0096】
6.3 殺菌剤及び抗感染的使用
細菌性病原体は、粘膜部位(例えば、上気道及び下気道粘膜、腸粘膜、泌尿生殖器粘膜、及び眼の粘膜)で最も多く感染する。粘膜それ自体は、環境において見られる多くの病原性細菌(例えば、肺炎球菌、ブドウ球菌、及び連鎖球菌)の保有宿主であることが多く、保有宿主であるだけのことが時々ある。保菌者の病原性細菌の状態を制御するために設計された抗感染薬は非常にわずかしか存在していない。しかし、研究によって、病院及び養護施設などの環境におけるこの保有宿主を低減させるか又はなくすことによってこれらの細菌による感染の発生が顕著に低減することが示されている。
【0097】
本発明のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドは、重篤な感染の発生を予防するか又は低減させるために、細菌(例えば、グラム陽性細菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性細菌(例えば、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ)、又はグラム陽性細菌ともグラム陰性細菌とも分類されない細菌)の増殖を制御するための抗感染組成物において使用することができる。粘膜に塗布するための組成物における使用に加え、本組込みのバクテリオファージ及び/又はポリペプチドはまた、体表(例えば、皮膚及び粘膜)(例えば、手術領域、又は医療従事者及び/若しくは患者の手及び皮膚露出部の滅菌のため)及び他の固体表面(例えば、器具、カウンター、及び特に病院の設備)での細菌のコロニー形成を制御又は予防するための、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、又はスプレー剤などの製剤内に組み込むことができる。
【0098】
6.4 診断方法
本発明はまた、細菌感染における原因物質を決定するための診断方法も包含すする。ある実施形態において、細菌感染の所見における原因物質の診断は、(i)患者の組織、血液、又は体液の試料を標準的な技術に従って培養すること、(ii)培養物を本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドと接触させること、並びに(iii)前記接触の後の細胞の増殖及び溶解の形跡をモニタリングすることによって行われる。バクテリオファージ及び/又はその単離された産物(例えば、ポリペプチド、又はその生物学的に活性な断片、バリアント、若しくは誘導体)の活性は、種又は株に特異的である傾向があるため、本発明の1又は2以上のバクテリオファージ及び/又はポリペプチドに対する感受性又は感受性の欠如は、感染性細菌の種又は株の存在を示し得る。例えば、配列番号1若しくは配列番号2の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物に接触させた後に、試験培養物の増殖が減少することは、試験試料がエンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムを含むことの指標であり得る。同様に、配列番号3の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物は、緑膿菌による感染を同定するために使用することができ、配列番号760の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物は、アシネトバクター・バウマニによる感染を同定するために使用することができ、一方、配列番号4、配列番号5、配列番号6、若しくは配列番号7の核酸配列を含むか若しくはそれからなるゲノムを有するバクテリオファージ、又はその単離されたポリペプチド産物は、黄色ブドウ球菌による感染を同定するために使用することができる。
【0099】
6.5 アミノ酸のバリアント
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列のバリアントは、それらが置換バリアント、挿入バリアント、又は欠失バリアントとなるように生成し得る。欠失バリアントは、機能(例えば、抗微生物活性又は抗菌活性)に必須ではない、天然タンパク質の1又は2以上の残基を欠く。挿入突然変異体は、典型的には、ポリペプチド内の末端以外の点に材料が付加されている。置換バリアントは、典型的には、タンパク質内の1又は2以上の部位での、1つのアミノ酸の別のアミノ酸への交換を含有し、他の機能又は特性を喪失することなく、タンパク質溶解による切断に対する安定性などの、ポリペプチドの1又は2以上の特性を変化させるように設計され得る。この種類の置換は、好ましくは保存的なものであり、すなわち、1つのアミノ酸が、類似の形状及び電荷を有する1つのアミノ酸で置き換えられる。保存的置換は、当技術分野において周知であり、例えば、アラニンからセリンへの変化、アルギニンからリジンへの変化、アスパラギンからグルタミン又はヒスチジンへの変化、アスパラギン酸からグルタミン酸への変化、システインからセリンへの変化、グルタミンからアスパラギンへの変化、グルタミン酸からアスパラギン酸への変化、グリシンからプロリンへの変化、ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミンへの変化、イソロイシンからロイシン又はバリンへの変化、ロイシンからバリン又はイソロイシンへの変化、リジンからアルギニンへの変化、メチオニンからロイシン又はイソロイシンへの変化、フェニルアラニンからチロシン、ロイシン、又はメチオニンへの変化、セリンからスレオニンへの変化、スレオニンからセリンへの変化、トリプトファンからチロシンへの変化、チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニンへの変化、及びバリンからイソロイシン又はロイシンへの変化が含まれる。
【0100】
遺伝子の全体的な領域が、本明細書において記載される特定のリシンタンパク質をコードすると同定されると、点突然変異を採用して、どのアミノ酸残基が抗菌活性において重要であるかを詳細に同定することができる。したがって、当業者であれば、DNA鎖において単一の塩基の変化を生じさせて、改変したコドン及びミスセンス突然変異を得ることができよう。
【0101】
好ましくは、タンパク質のアミノ酸の突然変異によって、同等の、又はそれどころか改良された、第2世代の分子が生じる。例えば、あるアミノ酸は、機能(例えば、抗菌活性又は抗微生物活性)の検出可能な喪失を伴うことなく、タンパク質構造において、他のアミノ酸に置換され得る。このような変化を生じさせるために、アミノ酸のハイドロパシー指標が考慮され得る。タンパク質に対する相互作用的な生物学的機能の付与におけるハイドロパシーアミノ酸指標の重要性は、当技術分野において一般に理解されている。アミノ酸の相対的なハイドロパシー特徴が、得られるタンパク質の二次構造に影響することが認められており、前記二次構造は、タンパク質と他の分子との相互作用、例えばグラム陽性細菌の外層内のペプチドグリカンとの相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性及び電荷特徴に基づいてハイドロパシー指標を割り当てられており、例えば、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、スレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、及びアルギニン(−4.5)である。
【0102】
当技術分野において、類似のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的に生じ得ることも理解されている。疎水性と同様に、親水性の値は各アミノ酸に割り当てられており、アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、及びトリプトファン(−3.4)である。同等の分子は、1つのアミノ酸を別のアミノ酸に置換することによって得ることができ、それらの親水性指標は、互いの±2以内、好ましくは±1以内、又は最も好ましくは±5以内である。ある実施形態において、本発明は、本明細書において開示されるアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10、又はそれ以上のアミノ酸修飾(例えば挿入、置換、欠失など)を含む、単離されたペプチドを包含する。好ましい実施形態において、特定のポリペプチドの生物学的活性が保持されるように、1又は2以上の突然変異が生じる。例えば、本発明は、本明細書においてリストされるアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10、又はそれ以上のアミノ酸修飾を含むように突然変異されており、かつ、例えばアシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び/又は黄色ブドウ球菌などのグラム陽性細菌又はグラム陰性細菌の1又は2以上の種又は株に対する抗菌活性を示す、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、及び/又はF91a/06から単離されたポリペプチドを包含する。特定の実施形態において、F168/08又はF/170/08に由来する本発明のポリペプチドは、少なくともエンテロコッカス・フェカリス及び/又はエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性、例えば、溶解死滅活性を示し、F770/05に由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも緑膿菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06に由来する本発明のポリペプチドは、少なくとも黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性又は抗微生物活性を示し、F1245/05に由来する本発明のポリペプチドは、少なくともアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性又は抗微生物活性を示す。
【0103】
6.6 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド並びに抗生物質活性及び/又は他の生物学的活性を有する修飾ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに、例えば上記に定義したような、高度のストリンジェンシー、中程度又は低度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドも包含する。
【0104】
当技術分野において知られているいかなる方法によっても、ポリヌクレオチドを得ることができ、このポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、適切な源(例えば、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F197/08、F86/06、F87s/06、又はF91a/06)の核酸から生成することができる。ヌクレオチド配列は、当技術分野において知られている通常の方法によってファージゲノムから単離することができる(例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Carlson, "Working with bacteriophages: common techniques and methodological approaches," In, Kutter and Sulakvelidze (Eds) Bacteriophages: Biology and Applications, 5thed. CRC Press (2005)を参照されたい)。特定のポリペプチドをコードする核酸を含有する源が入手不可能であるが、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列が知られている場合、ポリペプチドをコードする核酸を化学的に合成し、当技術分野において周知のあらゆる方法を使用して、複製可能なクローニングベクター内にクローニングすることができる。
【0105】
本発明のポリペプチドのヌクレオチド配列が決定されると、ポリペプチドのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列を操作するための、当技術分野において周知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異生成、PCRなど(例えば、双方とも、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、Sambrook et al., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY、及びAusubel et al., eds., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYにおいて記載されている技術を参照されたい)を使用して操作し、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを生成して、例えばアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入を生じさせることができる。
【0106】
本発明のさらに別の実施形態において、配列番号760のヌクレオチド1〜ヌクレオチド85のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド87〜ヌクレオチド584のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド594〜ヌクレオチド767のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド724〜ヌクレオチド1035のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド1005〜ヌクレオチド1823のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド1816〜ヌクレオチド2130のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド2132〜ヌクレオチド2383のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド2383〜ヌクレオチド3690のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド3687〜4469のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド4466〜ヌクレオチド5458のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド5632〜ヌクレオチド7956のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド8010〜ヌクレオチド8912のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド8915〜ヌクレオチド9262のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド9252〜ヌクレオチド10223のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド10213〜ヌクレオチド10782のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド10769〜ヌクレオチド11218のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド11202〜ヌクレオチド11420のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド11413〜ヌクレオチド12342のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド12339〜ヌクレオチド12515のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド12512〜ヌクレオチド13165のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド13170〜ヌクレオチド15599のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド15609〜ヌクレオチド15872のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド15979〜ヌクレオチド16173のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド16175〜ヌクレオチド16482のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド16494〜ヌクレオチド18059のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド18072〜ヌクレオチド18815のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド18857〜ヌクレオチド19879のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド19930〜ヌクレオチド20178のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド20180〜ヌクレオチド20545のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド20646〜ヌクレオチド21203のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド21212〜ヌクレオチド23506のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド23506〜ヌクレオチド24186のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド24201〜ヌクレオチド27068のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド27084〜ヌクレオチド30212のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド30214〜ヌクレオチド32505のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド32515〜ヌクレオチド32880のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド32873〜ヌクレオチド33460のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド33460〜ヌクレオチド33816のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド33825〜ヌクレオチド35777のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド35774〜ヌクレオチド35872のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド35869〜ヌクレオチド36027のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド36038〜ヌクレオチド36193のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド36916〜ヌクレオチド36788のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド37209〜ヌクレオチド37427のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド37868〜ヌクレオチド38386のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド38383〜ヌクレオチド38586のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド38912〜ヌクレオチド39406のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド39406〜ヌクレオチド39915のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド39917〜ヌクレオチド40021のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド40018〜ヌクレオチド40101のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド40101〜ヌクレオチド40670のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド40720〜ヌクレオチド41838のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド41822〜ヌクレオチド42127のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド42105〜ヌクレオチド42308のヌクレオチド配列、配列番号760のヌクレオチド42382〜ヌクレオチド42912のヌクレオチド配列、及び配列番号760のヌクレオチド42896〜ヌクレオチド43015のヌクレオチド配列が提供される。
【0107】
6.7 本発明の分子の組換え発現
本発明の分子(例えば、ポリペプチド)をコードする核酸配列が得られると、分子を産生するためのベクターを、当技術分野において周知の技術を使用して、組換えDNA技術によって産生することができる。当業者に周知の方法を使用して、本発明の分子のコード配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロでの組換えDNA技術、合成技術、及びインビボでの遺伝子組換えが含まれる。(例えば、Sambrook et al., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY、及びAusubel et al. eds., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYにおいて記載されている技術を参照されたい)。
【0108】
本発明は、本発明のポリペプチドをコードする発現ベクターを提供する。本発明の方法によって同定された分子のヌクレオチド配列を含む発現ベクターは、従来の技術(例えば、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクション、及びリン酸カルシウム沈殿)によって宿主細胞に移すことができ、その後、トランスフェクトされた細胞を従来の技術によって培養して、本発明の分子を産生する。好ましい実施形態において、宿主細胞は、配列を含むバクテリオファージが由来する親細菌種以外のものである。特定の実施形態において、本発明の分子の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、又は組織特異的プロモーターによって制御される。特定の実施形態において、発現ベクターは、pQE−30(Qiagen社製)又はpET−29(a)(Novagen社製)である。
【0109】
本発明の方法によって同定される分子を発現させるために使用される宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)などのいずれかの細菌細胞(本発明のバクテリオファージタンパク質又はその断片に感受性ではない)であり得る。様々な宿主発現ベクター系を、本発明の方法によって同定される分子を発現させるために利用することができる。このような宿主発現系は、本発明の分子のコード配列を産生し、その後精製し得る媒体に相当するが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換又はトランスフェクトされた場合に本発明の分子をin situで発現し得る細胞にも相当する。これらの宿主発現系には、これらに限定されないが、本発明の方法によって同定される分子についてのコード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、プラスミドDNA発現ベクター、若しくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された、本発明のバクテリオファージタンパク質若しくはその断片に感受性ではない細菌(例えば、大腸菌及び枯草菌)などの微生物、本発明の方法によって同定される分子をコードする配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス、ピチア(Saccharomyces Pichia))、本発明の方法によって同定される分子をコードする配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフワラーモザイクウイルス(CaMV、cauliflower mosaic virus)及びタバコモザイクウイルス(TMV、tobacco mosaic virus)に感染しているか若しくは本発明の方法によって同定される分子をコードする配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系、又は、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)若しくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を有する、哺乳動物細胞系(例えば、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、293細胞、293T細胞、3T3細胞、リンパ球(米国特許第5,807,715号明細書を参照されたい)、Per C.6細胞(Crucell社によって開発されたヒト網膜細胞)が含まれる。
【0110】
本発明のバクテリオファージタンパク質又は断片に感受性ではない細菌系において、多くの発現ベクターが、発現させようとする分子のための使用に応じて、有利に選択され得る。例えば、大量のこのようなタンパク質が産生される場合、ポリペプチドの医薬組成物を生成するために、精製が容易な、高いレベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましい場合がある。このようなベクターには、これらに限定されないが、大腸菌発現ベクターpUR278(Ruther et al., 1983, EMBO J. 2:1791)、pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109、Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などが含まれ、前者では、タンパク質配列は、lacZコード領域と共にベクター内にインフレームで個別にライゲーションされ得、その結果、融合タンパク質が産生される。pGEXベクターもまた、異種ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST、glutathione S-transferase)と共に融合タンパク質として発現させるために使用することができる。通常、このような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズに吸着及び結合させ、その後、遊離グルタチオンの存在下で溶出することによって、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビン切断部位又は因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むように設計され、その結果、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出され得る。
【0111】
昆虫系において、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV、Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)が、外来遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。このウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖する。ポリペプチドをコードする配列を、ウイルスの必須でない領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)内に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0112】
本発明の分子(すなわち、ポリペプチド)が組換えによって発現されると、これは、ポリペプチドの精製のための、当技術分野において知られているいかなる方法によっても、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換アフィニティークロマトグラフィー、及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差、又はポリペプチド若しくは抗体を精製するためのいかなる他の標準的な技術によっても精製することができる。
【0113】
上記の記載を読むことで、当業者は、ある修飾及び改良を行うことができよう。全てのこのような修飾及び改良は、簡潔性及び読み易さを目的として、本明細書においては取り除かれているが、以下の特許請求の範囲内に適正に含まれることを理解されたい。
[実施例]
【0114】
7. 実施例
本明細書において記載される以下の実施例及び実施形態が例示のみを目的としていることと、それに照らした様々な修飾又は変更が、当業者にとって示唆的であり、本願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれるものであることとが理解される。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、全ての目的で、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
別段の指示がない限り、本発明のバクテリオファージは、以下の方法に従って、単離、処理、及び分析されたものである。
【0116】
7.1 方法
7.1.1 ファージの精製
臨床試料から単離されたバクテリオファージのストック調製物を、Carlson, "Working with bacteriophages: common techniques and methodological approaches," In, Kutter and Sulakvelidze (Eds) Bacteriophages: Biology and Applications, 5thed. CRC Press (2005)において記載されているプロトコルに従って調製した("Carlson," は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0117】
バクテリオファージのストック調製物を、Carlson and Yamamoto et al., 2004, PNAS 101:6415-6420において記載されているプロトコルに従って、PEGを用いた沈殿によって濃縮した。簡潔に述べると、ストック調製物を1MのNaClにおいて1時間にわたり4℃で撹拌しながらインキュベートした。次に、PEG8000(AppliChem社製、Cheshire、MA)を、10%(w/v)の最終濃度まで徐々に添加した。次に、組成物を一晩4℃でインキュベートした。インキュベーション期間の後、組成物を10000×gで30分間にわたり4℃で遠心分離した。次に、沈殿物を、1%w/vのゼラチンを有するSM緩衝液(pH7.4の0.05MのTris−HCL、0.1MのNaCl、10mMのMgSO4)内に、再懸濁し、1000rpmで、4℃で10分間にわたり再び遠心分離した。懸濁したファージを含有する上清を、さらに精製するために保存した。Carlsonにおける方法に従って、CsCl勾配を用いて上清を精製した。
【0118】
CsClを、透析によって、精製及び濃縮したファージストックから取り除いた。透析膜Cellu.Sep H1 High Grade Regenerated Cellulose Tubular Membrane(Cellu.Sep社製、River Street、USA)を、製造者の指示に従って調製した。透析は、4℃での、100mMのTris−HCl及び3MのNaCl(pH7.4)における30分間の第1のインキュベーションからなる。この後、4℃での、100mMのTris−HCl及び0.3MのNaCl(pH7.4)における30分間の第2のインキュベーションを行った。透析の後、懸濁したファージを透析容器の内部から取り除き、4℃で保管した。
【0119】
7.1.2 ファージDNAの抽出
5mlの精製及び濃縮したバクテリオファージ試料に、pH8.0の20mMのEDTA、0.5%(p/v)のSDS、及び最終濃度40μg/mlのプロテイナーゼKを添加した。混合物を56℃で1時間にわたりインキュベートした。水相と有機相との間の界面が明らかになるまで、比率が25:24:1のフェノール:クロロホルム:アルコールにおいて連続抽出を行った。次に、水相を等容積のクロロホルムで処理し、13,0000×gで10分間にわたり4℃で遠心分離した。水相をもう一度取り除き、2倍の容積の無水エタノールを添加し、30分間にわたり20℃でインキュベートすることによってDNAを沈殿させた。次に、試料を11,000×gで30分間にわたり4℃で遠心分離した。ペレットを、70%エタノールを使用して室温で洗浄し、50μlの超純水(Gibco社製、California)内に再懸濁した。DNA濃度を、ND-1000分光光度計で、260nmでの吸光度を測定することによって決定した。単離されたファージDNAの完全性を、1%アガロースゲル上で電気泳動することによって分析した。
【0120】
7.1.3 バクテリオファージゲノムの分析
バクテリオファージゲノムの配列決定によって、ゲノム内の潜在的なオープンリーディングフレーム(ORF)の同定が可能となった。バクテリオファージの推定ORFを用いて、BLASTNプログラムを用いて相同DNA配列についてNCBIヌクレオチドコレクションデータベースをサーチした(例えば、Zhang et al., 2000, J. Comput. Biol. 7:203-214を参照されたい)。
【実施例1】
【0121】
7.2 実施例1:バクテリオファージF168/08
バクテリオファージF168/08ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムのわずかな部分のみ(≦1%)が既知の配列との相同性を示すことが明らかになった。F168/08のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図2に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図2において、小文字を付された同一の数字で示される。推定運搬RNA遺伝子(tRNA、transfer RNA)の同定を、tRNAscan−SEプログラム(Lowe, T.M. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 955-964)を用いて行った。
【0122】
図3A〜Bは、臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(B)株に対するバクテリオファージF168/08の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例2】
【0123】
7.3 実施例2:バクテリオファージF170/08
バクテリオファージF170/08ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、そのゲノムの約94%がエンテロコッカスファージΦEF24Cのゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性が80〜100%であることが明らかになった。F170/08のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図5に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図5において、小文字を付された同一の数字で示される。推定運搬RNA遺伝子(tRNA)の同定を、tRNAscan−SEプログラム(Lowe, T.M. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 955-964)を用いて行った。
【0124】
図6A〜Bは、臨床試料から単離された105のエンテロコッカス・フェカリス(A)株及び56のエンテロコッカス・フェシウム(B)株に対するバクテリオファージF170/08の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例3】
【0125】
7.4 実施例3:バクテリオファージF770/05
バクテリオファージF770/05ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムのわずかな部分のみ(≦1%)が既知の配列との相同性を示すことが明らかになった。F170/05のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図8に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。
【0126】
図9は、臨床試料から単離された100の緑膿菌株に対するバクテリオファージF170/05の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例4】
【0127】
7.5 実施例4:バクテリオファージF197/08
バクテリオファージF197/08ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約90%のF197/08ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージphiSauS−IPLA35のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は80〜98%である。F197/08のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図11に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図11において、小文字を付された同一の数字で示される。
【0128】
図12は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF197/08の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例5】
【0129】
7.6 実施例5:バクテリオファージF86/06
バクテリオファージF86/06ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約80%のF86/06ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージtp310−1のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は85〜100%である。F86/06のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図14に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。
【0130】
図15は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF86/06の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例6】
【0131】
7.7 実施例6:バクテリオファージF87s/06
バクテリオファージF87s/06ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約82%のF87s/06ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージΦNM3のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は90〜100%である。F86/06のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図17に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図17において、小文字を付された同一の数字で示される。
【0132】
図18は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF87s/06の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例7】
【0133】
7.8 実施例7:バクテリオファージF91a/06
バクテリオファージF91a/06ゲノムの推定ORFと、NCBIヌクレオチドデータベース内の配列との比較によって、ゲノムが複数のブドウ球菌ファージゲノムと非常に相同であることが明らかになった。特に、約82%のF91a/06ゲノムが、ブドウ球菌バクテリオファージΦNM3のゲノムに非常に類似しており、個々のORFの同一性は86〜99%である。F91a/06のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図20に示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。同一の1又は2以上のタンパク質との相同性を産物が示したorfは、図20において、小文字を付された同一の数字で示される。
【0134】
図21は、臨床試料から単離された100の黄色ブドウ球菌株に対するバクテリオファージF91a/06の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【実施例8】
【0135】
7.9 実施例8:バクテリオファージF1245/05
F1245/05のORF、それがコードするアミノ酸配列、及び既知の相同タンパク質を、図23A〜Iに示す。GeneMark.hmmプログラム及びMetaGeneAnnotatorプログラム(Besemer, J. and Borodovsky, M. 1999. Nucleic Acids Res., 27: 3911-3920、Noguchi, H. et al., 2008. DNA Res., 15: 387-396)で得られた結果を組み込むことにより、orfの予測を行った。NCBI非冗長タンパク質配列データベースを用いて、BLASTPプログラム(Alschul, S.F. et al., 1997. Nucleic Acids Res., 25: 3389-33402)を用いてタンパク質相同性のサーチを行った。タンパク質の保存ドメインを、NCBIに特殊化したBLAST(Marchler-Bauer, A. et al., 2007. Nucleic Acids Res. 35: 237-240)を用いて予測した。タンパク質の機能を、対応する遺伝子のゲノムの位置決定及びコードされる産物の推定膜貫通ドメインの存在に基づいて予測した(TMHMM server v. 2.0、Krogh, A. et al., 2001. J. Mol. Biol., 305: 567-580。
【0136】
図24A〜Eは、臨床試料から単離された100のアシネトバクター・バウマニ株に対するバクテリオファージF1245/05の活性を判定したスポット試験の結果を示す。各スポットは、CsCl精製溶解物から調製された、示された力価を有する5μlのバクテリオファージ懸濁液からなるものであった。ファージに対する感受性を、混濁(+)な溶解斑から澄明(++++)な溶解斑までのスケールとして表す。ファージ感染に対する耐性を(−)で示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有する、単離されたバクテリオファージ。
【請求項2】
請求項1に記載のバクテリオファージ及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項3】
配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムに対して効果的な1又は2以上のさらなるバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウム以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
配列番号3の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、緑膿菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
配列番号3の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、緑膿菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、黄色ブドウ球菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、黄色ブドウ球菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、アシネトバクター・バウマニに対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、アシネトバクター・バウマニ以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項11】
アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上に対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F197/08、F86/06、F87s/06、若しくはF91a/06から単離されたリシンタンパク質、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体。
【請求項12】
配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、配列番号712、配列番号797のアミノ酸配列を有する請求項11に記載の単離されたリシンタンパク質、又はエンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、及びアシネトバクター・バウマニの1若しくは2以上に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記リシンタンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体。
【請求項13】
配列番号797、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、配列番号712のアミノ酸配列又はその断片を有する同一のサイズの第2のタンパク質に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、単離された第1のタンパク質であって、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上に対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する第1のタンパク質。
【請求項14】
第2のタンパク質に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項13に記載の単離された第1のタンパク質。
【請求項15】
配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を有するポリペプチドから単離されたCHAPドメインである、請求項11に記載の断片。
【請求項16】
配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する、請求項15に記載の断片。
【請求項17】
バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、若しくはF1245/05から単離され、前記単離されたバクテリオファージに関連する生物学的活性を有する、尾部巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体。
【請求項18】
配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号795のアミノ酸配列を有する請求項17に記載の単離された尾部巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質、或いは前記タンパク質が単離されたか若しくは由来するバクテリオファージに関連する生物学的活性を有する、前記尾部巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質の断片、バリアント、又は誘導体。
【請求項19】
配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号795のアミノ酸配列又はその断片を有する同一のサイズの第2のタンパク質に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、単離された第1のタンパク質であって、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、又はF1245/05に関連する生物学的活性を有する第1のタンパク質。
【請求項20】
第2のタンパク質に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項19に記載の単離された第1のタンパク質。
【請求項21】
請求項11又は17に記載の単離されたタンパク質及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項22】
配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、若しくは配列番号214のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はエンテロコッカス・フェカリス若しくはエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、エンテロコッカス・フェカリス若しくはエンテロコッカス・フェシウムに対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、若しくは配列番号214のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はエンテロコッカス・フェカリス若しくはエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する、その断片、バリアント、若しくは誘導体と、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウム以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
配列番号435若しくは配列番号438のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は緑膿菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、緑膿菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又はさらなるタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項25】
配列番号435若しくは配列番号438のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は緑膿菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、緑膿菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項26】
配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する、前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、黄色ブドウ球菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項27】
配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、黄色ブドウ球菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項28】
配列番号761〜816のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する、前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、アシネトバクター・バウマニに対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項29】
配列番号761〜816のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、アシネトバクター・バウマニ以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項30】
請求項11又は17に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【請求項31】
治療的な量の請求項2又は21に記載の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象の細菌感染を治療又は予防する方法。
【請求項32】
細菌感染が、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上による感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
細菌感染が、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌以外の細菌による感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
感染が院内感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
組成物が局所的に投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
対象が哺乳動物である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
哺乳動物がヒトである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
治療される感染が、皮膚の感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
皮膚の感染が、糖尿病性の足潰瘍に付随する感染である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
細菌感染の原因物質を診断するための方法であって、
(i)患者の組織試料を培養するステップ、
(ii)ステップ(i)の培養物を請求項1、11又は17に記載のバクテリオファージ又はタンパク質と接触させるステップ、
(iii)培養物の増殖又は溶解の形跡をモニタリングするステップ
を含み、前記培養物の溶解の形跡が、ステップ(ii)において使用されるバクテリオファージ又はポリペプチドに感受性であることが知られている細菌種又は細菌株を前記培養物が含むことを示す方法。
【請求項41】
組織試料が、患者から回収された血液、体液、組織の生検又はスワブである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
表面を請求項1、11、又は17に記載のバクテリオファージ又はポリペプチドと接触させるステップを含む、前記表面における細菌のコロニー形成又は増殖を低減又は阻害するための方法。
【請求項43】
表面が、哺乳動物の皮膚又は粘膜である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
哺乳動物がヒトである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
表面が、病院の装置又は病院設備の表面である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
装置又は設備が、手術用装置又は手術用設備である、請求項45に記載の方法。
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、又は配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有する、単離されたバクテリオファージ。
【請求項2】
請求項1に記載のバクテリオファージ及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項3】
配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウムに対して効果的な1又は2以上のさらなるバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
配列番号1又は配列番号2の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウム以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
配列番号3の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、緑膿菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
配列番号3の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、緑膿菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、黄色ブドウ球菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
配列番号4、配列番号5、配列番号6、又は配列番号7の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、黄色ブドウ球菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、アシネトバクター・バウマニに対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
配列番号760の核酸配列を含むゲノムを有するバクテリオファージと、アシネトバクター・バウマニ以外の細菌に対して効果的な1又は2以上の追加のバクテリオファージとを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項11】
アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上に対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する、バクテリオファージF1245/05、F168/08、F170/08、F197/08、F86/06、F87s/06、若しくはF91a/06から単離されたリシンタンパク質、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体。
【請求項12】
配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、配列番号712、配列番号797のアミノ酸配列を有する請求項11に記載の単離されたリシンタンパク質、又はエンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、黄色ブドウ球菌、及びアシネトバクター・バウマニの1若しくは2以上に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記リシンタンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体。
【請求項13】
配列番号797、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、配列番号712のアミノ酸配列又はその断片を有する同一のサイズの第2のタンパク質に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、単離された第1のタンパク質であって、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上に対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する第1のタンパク質。
【請求項14】
第2のタンパク質に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項13に記載の単離された第1のタンパク質。
【請求項15】
配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号446、配列番号447、配列番号448、配列番号575、配列番号641、又は配列番号712のアミノ酸配列を有するポリペプチドから単離されたCHAPドメインである、請求項11に記載の断片。
【請求項16】
配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、又は配列番号759のアミノ酸配列を有する、請求項15に記載の断片。
【請求項17】
バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、若しくはF1245/05から単離され、前記単離されたバクテリオファージに関連する生物学的活性を有する、尾部巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質、又はその断片、バリアント、若しくは誘導体。
【請求項18】
配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号795のアミノ酸配列を有する請求項17に記載の単離された尾部巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質、或いは前記タンパク質が単離されたか若しくは由来するバクテリオファージに関連する生物学的活性を有する、前記尾部巻尺タンパク質若しくは尾部タンパク質の断片、バリアント、又は誘導体。
【請求項19】
配列番号61、配列番号63、配列番号204、配列番号214、配列番号435、配列番号438、配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704、配列番号795のアミノ酸配列又はその断片を有する同一のサイズの第2のタンパク質に対して少なくとも85%の配列同一性を有する、単離された第1のタンパク質であって、バクテリオファージF168/08、F170/08、F770/05、F197/08、F86/06、F87s/06、F91a/06、又はF1245/05に関連する生物学的活性を有する第1のタンパク質。
【請求項20】
第2のタンパク質に対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項19に記載の単離された第1のタンパク質。
【請求項21】
請求項11又は17に記載の単離されたタンパク質及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項22】
配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、若しくは配列番号214のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はエンテロコッカス・フェカリス若しくはエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、エンテロコッカス・フェカリス若しくはエンテロコッカス・フェシウムに対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
配列番号61、配列番号63、配列番号68、配列番号184、配列番号202、配列番号203、配列番号204、若しくは配列番号214のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はエンテロコッカス・フェカリス若しくはエンテロコッカス・フェシウムに対する抗菌活性又は抗微生物活性を有する、その断片、バリアント、若しくは誘導体と、エンテロコッカス・フェカリス又はエンテロコッカス・フェシウム以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
配列番号435若しくは配列番号438のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は緑膿菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、緑膿菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又はさらなるタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項25】
配列番号435若しくは配列番号438のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は緑膿菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、緑膿菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項26】
配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する、前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、黄色ブドウ球菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項27】
配列番号440、配列番号525、配列番号526、配列番号527、配列番号528、配列番号529、配列番号530、配列番号531、配列番号532、配列番号533、配列番号534、配列番号535、配列番号536、配列番号537、配列番号538、配列番号539、配列番号567、配列番号568、配列番号632、配列番号633、配列番号700、配列番号701、配列番号702、配列番号703、配列番号704のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又は黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、黄色ブドウ球菌以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項28】
配列番号761〜816のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する、前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、アシネトバクター・バウマニに対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項29】
配列番号761〜816のアミノ酸配列を有する単離されたタンパク質、又はアシネトバクター・バウマニに対する抗菌活性若しくは抗微生物活性を有する前記タンパク質の断片、バリアント、若しくは誘導体と、アシネトバクター・バウマニ以外の細菌に対して効果的な1又は2以上のバクテリオファージ又は追加のタンパク質とを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項30】
請求項11又は17に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
【請求項31】
治療的な量の請求項2又は21に記載の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、前記対象の細菌感染を治療又は予防する方法。
【請求項32】
細菌感染が、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌の1又は2以上による感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
細菌感染が、アシネトバクター・バウマニ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、及び黄色ブドウ球菌以外の細菌による感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
感染が院内感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
組成物が局所的に投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
対象が哺乳動物である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
哺乳動物がヒトである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
治療される感染が、皮膚の感染である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
皮膚の感染が、糖尿病性の足潰瘍に付随する感染である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
細菌感染の原因物質を診断するための方法であって、
(i)患者の組織試料を培養するステップ、
(ii)ステップ(i)の培養物を請求項1、11又は17に記載のバクテリオファージ又はタンパク質と接触させるステップ、
(iii)培養物の増殖又は溶解の形跡をモニタリングするステップ
を含み、前記培養物の溶解の形跡が、ステップ(ii)において使用されるバクテリオファージ又はポリペプチドに感受性であることが知られている細菌種又は細菌株を前記培養物が含むことを示す方法。
【請求項41】
組織試料が、患者から回収された血液、体液、組織の生検又はスワブである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
表面を請求項1、11、又は17に記載のバクテリオファージ又はポリペプチドと接触させるステップを含む、前記表面における細菌のコロニー形成又は増殖を低減又は阻害するための方法。
【請求項43】
表面が、哺乳動物の皮膚又は粘膜である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
哺乳動物がヒトである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
表面が、病院の装置又は病院設備の表面である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
装置又は設備が、手術用装置又は手術用設備である、請求項45に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図2L】
【図2M】
【図2N】
【図2O】
【図2P】
【図2Q】
【図2R】
【図2S】
【図2T】
【図2U】
【図2V】
【図2W】
【図2X】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図5P】
【図5Q】
【図5R】
【図5S】
【図5T】
【図5U】
【図5V】
【図5W】
【図5X】
【図5Y】
【図5Z】
【図5AA】
【図5AB】
【図5AC】
【図5AD】
【図5AE】
【図5AF】
【図5AG】
【図5AH】
【図5AI】
【図5AJ】
【図5AK】
【図5AL】
【図5AM】
【図5AN】
【図5AO】
【図5AP】
【図5AQ】
【図5AR】
【図5AS】
【図5AT】
【図5AU】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図8J】
【図8K】
【図8L】
【図8M】
【図8N】
【図8O】
【図8P】
【図8Q】
【図8R】
【図8S】
【図8T】
【図8U】
【図8V】
【図8W】
【図8X】
【図8Y】
【図8Z】
【図8AA】
【図8AB】
【図8AC】
【図8AD】
【図8AE】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図11K】
【図11L】
【図11M】
【図11N】
【図11O】
【図11P】
【図11Q】
【図11R】
【図11S】
【図11T】
【図11U】
【図11V】
【図11W】
【図11X】
【図11Y】
【図11Z】
【図11AA】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図14F】
【図14G】
【図14H】
【図14I】
【図14J】
【図14K】
【図14L】
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【図14N】
【図14O】
【図14P】
【図14Q】
【図14R】
【図14S】
【図14T】
【図14U】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
【図17J】
【図17K】
【図17L】
【図17M】
【図17N】
【図17O】
【図17P】
【図17Q】
【図17R】
【図17S】
【図17T】
【図17U】
【図17V】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図20I】
【図20J】
【図20K】
【図20L】
【図20M】
【図20N】
【図20O】
【図20P】
【図20Q】
【図20R】
【図20S】
【図20T】
【図20U】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図23E】
【図23F】
【図23G】
【図23H】
【図23I】
【図23J】
【図23K】
【図23L】
【図23M】
【図23N】
【図23O】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図2L】
【図2M】
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【図2O】
【図2P】
【図2Q】
【図2R】
【図2S】
【図2T】
【図2U】
【図2V】
【図2W】
【図2X】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図5I】
【図5J】
【図5K】
【図5L】
【図5M】
【図5N】
【図5O】
【図5P】
【図5Q】
【図5R】
【図5S】
【図5T】
【図5U】
【図5V】
【図5W】
【図5X】
【図5Y】
【図5Z】
【図5AA】
【図5AB】
【図5AC】
【図5AD】
【図5AE】
【図5AF】
【図5AG】
【図5AH】
【図5AI】
【図5AJ】
【図5AK】
【図5AL】
【図5AM】
【図5AN】
【図5AO】
【図5AP】
【図5AQ】
【図5AR】
【図5AS】
【図5AT】
【図5AU】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図8J】
【図8K】
【図8L】
【図8M】
【図8N】
【図8O】
【図8P】
【図8Q】
【図8R】
【図8S】
【図8T】
【図8U】
【図8V】
【図8W】
【図8X】
【図8Y】
【図8Z】
【図8AA】
【図8AB】
【図8AC】
【図8AD】
【図8AE】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図11G】
【図11H】
【図11I】
【図11J】
【図11K】
【図11L】
【図11M】
【図11N】
【図11O】
【図11P】
【図11Q】
【図11R】
【図11S】
【図11T】
【図11U】
【図11V】
【図11W】
【図11X】
【図11Y】
【図11Z】
【図11AA】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図14F】
【図14G】
【図14H】
【図14I】
【図14J】
【図14K】
【図14L】
【図14M】
【図14N】
【図14O】
【図14P】
【図14Q】
【図14R】
【図14S】
【図14T】
【図14U】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
【図17J】
【図17K】
【図17L】
【図17M】
【図17N】
【図17O】
【図17P】
【図17Q】
【図17R】
【図17S】
【図17T】
【図17U】
【図17V】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図20I】
【図20J】
【図20K】
【図20L】
【図20M】
【図20N】
【図20O】
【図20P】
【図20Q】
【図20R】
【図20S】
【図20T】
【図20U】
【図21】
【図22】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図23E】
【図23F】
【図23G】
【図23H】
【図23I】
【図23J】
【図23K】
【図23L】
【図23M】
【図23N】
【図23O】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【公表番号】特表2012−517225(P2012−517225A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549110(P2011−549110)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/PT2010/000003
【国際公開番号】WO2010/090542
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(509302467)テクノファージ, インベスティガサン エ デセンボルビメント エム ビオテクノロジア,エスエー (2)
【出願人】(511189218)テクニファー−インダストリア テクニカ ファーマシューティカ,エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/PT2010/000003
【国際公開番号】WO2010/090542
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(509302467)テクノファージ, インベスティガサン エ デセンボルビメント エム ビオテクノロジア,エスエー (2)
【出願人】(511189218)テクニファー−インダストリア テクニカ ファーマシューティカ,エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】
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