説明

抗菌性第4級アンモニウムオルガノシラン組成物

抗菌性顆粒は、第4級アンモニウムオルガノシランを含有する結合剤により凝集させた担体粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第4級アンモニウムオルガノシランを含む抗菌性組成物に関する。「抗菌性」に関して、我々は、組成物がバクテリア、菌類、ウィルス、かび及び/若しくは藻を死滅させる、又はその増殖を阻害することを意味する。多くの第4級アンモニウムオルガノシランはこれら細菌すべての増殖を阻害するのに効果的である。
【背景技術】
【0002】
第4級アンモニウムオルガノシランは、例えば化粧品、殺菌剤、洗浄剤組成物及びコーティングにおいて、織物、パルプ及び紙、食品、又は油及びガスの製造において、並びに木材防腐及び建築材料保護において、生物学的増殖が見られ得る媒体における乳濁液、分散液又は溶液の防腐剤として有用である。
【0003】
第4級アンモニウムオルガノシランは、第4級アンモニウム基がオルガノシラン部分に結合しているので、ほとんどの抗菌剤と比較して耐拡散又は浸出性の利点を有する。第4級アンモニウムオルガノシランは塗布された表面にとどまり、よって他の第4級アンモニウム化合物のような他の抗菌剤より長い有効寿命を有する。
【0004】
しかしながら、より容易かつ安全に基質に塗布することができる抗菌性第4級アンモニウムオルガノシラン組成物が必要である。第4級アンモニウムオルガノシランは室温でワックス状固体形態を有し;こうした材料の取扱いは容易ではない。第4級アンモニウムオルガノシランは溶液形態でも入手可能だが、通常の溶媒は毒性かつ可燃性であるメタノールである。
【0005】
米国特許第4921701号明細書では、第4級アンモニウムシランと制汗剤塩、デンプン、粘土及び糖から選択される水溶性粉末とを組み合わせることにより形成されるコロイド懸濁液について記載する。懸濁液は乾燥させて粉末にすることができ、これを水に再溶解させ、第4級アンモニウムシランを放出し、基質に塗布することができる溶液を形成する。
【0006】
米国特許第4985023号は、悪臭低減、細菌の制御並びに細菌性発疹及びアレルギーの低減の利点を提供する目的で、シランに共有結合した部分中和アクリル酸系ポリマーゲルの架橋親水性ナトリウム塩形態で形成された抗菌性超吸収剤について記載する。
【0007】
国際公開第2006/102366号では、1つの態様について、抗菌性ケイ素含有第4級アンモニウム塩と該ケイ素含有第4級アンモニウム塩と反応する官能基を含有するモノマー又はポリマーと反応させ、持続的抗菌特性を有するコポリマーを形成するステップについて記載し、第2態様では、抗菌性重合性ケイ素含有第4級アンモニウム塩モノマーの溶液を第2重合性モノマーと又はポリマーと、第1ケイ素含有第4級アンモニウムモノマーを重合してブレンドポリマーを形成する条件下でブレンドするステップについて記載する。国際公開第2006/102367号はケイ素含有第4級アンモニウム基を含有する抗菌性ポリマーに関し、このポリマーは国際公開第2006/102366号のプロセスにより製造することができる、
【0008】
米国特許第7410538号では、5〜15重量部のオルガノポリシロキサン成分、10〜50重量部の水溶性又は水分散性結合剤及び50〜90重量部の担体粒子を含み、セメントの重量に対して0.01〜5重量%のオルガノシロキサン成分をもたらす、セメント及び顆粒状疎水性添加剤を含む粉末形態のセメント系材料について記載する。
【0009】
米国特許第7311770号では、石膏、顆粒状疎水性添加剤及び組成物のpHを水の存在下で8〜12.5の範囲内に維持するのに十分な量のpH調節添加剤を含有する疎水性石膏組成物を提供するステップについて記載する。顆粒はケイ素結合水素を有するオルガノポリシロキサン、水溶性又は水分散性結合剤、及び担体、好適には石膏又はステアリン酸塩を含有する。
【0010】
国際公開第2008/62018号では、疎水性特性を示すセメント系材料、及びセメント系材料に疎水性を与えるための有機ケイ素成分を含む顆粒状添加剤について記載する。有機ケイ素成分の乳化剤を有機ケイ素成分及び結合剤とともに粒子状担体上に沈着させ、顆粒状添加剤を形成する。
【発明の概要】
【0011】
本発明によると、抗菌性顆粒は第4級アンモニウムオルガノシランを含有する結合剤により凝集させた担体粒子を含む。「凝集」により、我々は担体粒子を組み合わせ、それぞれ複数の担体粒子を含むより大きな粒子にすることを意味し;これらのより大きな粒子を「顆粒」と称する。
【0012】
本発明は、分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体結合媒体を担体粒子に塗布し、該液体結合媒体を塗布した該担体粒子を乾燥させ、該担体粒子を凝集させて顆粒にするステップを含む、抗菌性顆粒の製造プロセスにも関する。あるいは、本プロセスは、分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体及び液体結合媒体を担体粒子に粒子の乾燥前に同時に塗布し、担体粒子を凝集させて顆粒にするステップを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第4級アンモニウムオルガノシランは、一般的には下式からなり、
【化1】

式中、各Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;R’は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;aは0、1又は2であり;Zは1〜4個の炭素原子を有するアルキレン基を表し;R、R及びRのそれぞれは1〜18個の炭素原子を有するアルキル若しくはヒドロキシアルキル基又は7〜10個の炭素原子を有するアラルキル基を表し;Xはアニオンを表す。R、R及びRの2つを結合し、複素環を形成することができ、又はN+R部分はピリジニウム基とすることができる。
【0014】
下式の第4級アンモニウムオルガノシランにおいて、
【化2】

各Rはメチル、エチル、プロピル又はブチルとすることができるが、好適にはメチル又はエチルである。aは好適には0であるが、R’は存在する場合メチル又はエチルである。アルキレン基Z、例えば1,3−プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン又は1,4−ブチレン基は、好適には3又は4個の炭素原子を有する。Rは好適にはメチル又はエチル基であり;Rは好適には8〜18個の炭素原子を有するアルキル基又はアラルキル基であり;Rは1〜18個の炭素原子を有するいずれかのアルキル又はヒドロキシアルキル基であってもよい。アニオンXは、例えば塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、スルホン酸基、とくにトルエン−4−スルホン酸のようなアリールスルホン酸基、又は酢酸塩とすることができる。
【0015】
好適な第4級アンモニウムオルガノシランの例としては、
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C18H37Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+CH3(C10H21)2Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C18H37Br-
(CH3O)3Si(CH2)3N+CH3(C10H21)2Br-
(C2H5O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C18H37Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2CH2C6H5Cl-
が挙げられる。適切な第4級アンモニウムオルガノシランのさらなる例としては、
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)3Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C4H9Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+(C2H5)3Cl-
及び3−ピリジニウムプロピルトリメトキシシラン塩化物が挙げられる。
【0016】
第4級アンモニウムオルガノシランは部分加水分解することができる、すなわち基RO−のいくつかをHO−基とすることができる。第4級アンモニウムオルガノシランは純粋なモノマー形態とすることができ、又は部分縮合することができる。第4級アンモニウムオルガノシランは好適にはケイ素原子1個当たり少なくとも1個のケイ素結合アルコキシ基の平均を維持する。
【0017】
担体粒子は不水溶性、水溶性又は水分散性であってもよい。担体粒子の適切な例としては、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩及び酸化物が挙げられる。好適なシリカ粒子の例としては、珪藻土、焼成珪藻土、石英、砂及びシリカヒュームが挙げられる。好適なケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩の例としては、ゼオライト、メタカオリン、長石、タルク、海泡石、珪灰石、マイカのようなフィロケイ酸塩、及びベントナイトのような粘土材料が挙げられる。好適な炭酸塩の例としては、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム及びドロマイトが挙げられる。好適な硫酸塩の例としては、硫酸カルシウム、石膏、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸鉄が挙げられる。好適な酸化物及び酸化物材料の例としては、アルミナ、二酸化チタニウム、酸化マグネシウム、石灰、セメント、及び水酸化カルシウムが挙げられる。適切な担体粒子のさらなる例としては、デンプン、米デンプン、天然デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリスチレンビーズ、ポリアクリレートビーズ、酢酸ナトリウム、泥炭、木粉、糖及び糖誘導体、コーンコブのような有機材料、並びにフライアッシュ又はスラグのような工業産物又は副産物が挙げられる。担体粒子は0.2〜1000μm、より好適には0.2〜50μm、もっとも好適には1〜10μmの平均直径を有することが好ましい。
【0018】
建築材料に用いられる抗菌性顆粒について、建築材料それ自体において有用な役割を果たす材料を用いることが好ましくあり得、例えばセメント系組成物において担体粒子はアルミノケイ酸塩又はセメントそのものとすることができ、石膏組成物において担体粒子は石膏粒子とすることができる。炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム又は糖のような高度水溶性担体粒子は一般的には建築材料に用いるのには適さないが、洗浄組成物に用いるのに好ましくあり得る。
【0019】
そこから分散第4級アンモニウムオルガノシランを担体粒子に塗布する液体結合媒体は、好適には乾燥により固化することができる結合剤の水溶液である。結合剤は好適にはポリマーであり、一般的には第4級アンモニウムオルガノシランを粒子状担体に結合するのを補助する膜形成材料である。結合剤ポリマーは水溶性又は不水溶性とすることができる、すなわち水中に溶解する、又は乳化して担体に塗布する有機ケイ素成分の水性乳濁液にすることができる。こうした結合剤材料(水溶性又は不水溶性)は好適には室温、すなわち20〜25℃で固体コンシステンシーを有する材料である。適切な水溶性又は水分散性結合剤材料の例としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリカルボキシレート、カチオン性ポリマー、及び他の膜形成ポリマーが挙げられる。適切な不水溶性だが水分散性(乳化性)結合剤材料の例としては、ポリ酢酸ビニルのようなポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー及びアクリレートエステルポリマーが挙げられる。上述のような結合剤材料のブレンド、例えばポリビニルアルコールのような水溶性結合剤ポリマーとポリ酢酸ビニルのような不水溶性結合剤ポリマーとのブレンドを用いることができる。得られる顆粒の水分散は水溶性及び不水溶性結合剤材料の適当なブレンドにより促進することができる。
【0020】
カチオン性ポリマー結合剤は洗濯及び織物処理のような用途について特定の利点を有し、洗濯される織物又は処理される織物上の第4級アンモニウムオルガノシランの沈着を向上させることができる。適切なカチオン性ポリマー結合剤の例としては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、メジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリロキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリロキシアルキルアンモニウム塩、若しくはジアリル第4級アンモニウム塩単位、及び/又はピリジニウム、イミダゾリウム、若しくは4級化ピロリジン単位を含むポリマーが挙げられる。
【0021】
好適な結合剤のさらなる例としては、ワックス、好適には30〜100℃、より好適には40〜90℃の範囲内の融点を有するワックスがある。ワックスの例としては、パラフィンワックス又は微結晶ワックスのような石油由来ワックス、カルボン酸エステルワックス、ポリエーテルワックス及び脂肪(長鎖)酸、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪族アミド、エトキシル化脂肪酸又は脂肪族アルコール、並びに長鎖アルキルフェノールがある。好適なワックスとしては、エトキシル化脂肪族アルコール系ワックス及びエトキシル化脂肪族アルコールワックス/C16〜20脂肪酸混合物が挙げられる。好適な脂肪酸はステアリン酸である。
【0022】
ワックス状結合剤は上述のような水溶液又は懸濁液から塗布することができ、又はあるいは溶融状態で担体粒子に塗布し、冷却により固化することができる。第4級アンモニウムオルガノシランは溶融ワックス状結合剤に溶解又は分散させることができる。
【0023】
抗菌性顆粒をセメント系建築材料に用いる場合、結合剤材料の水溶性は好適には、水をその塗布又は使用前にセメント系材料に添加する場合、セメント系材料の水和プロセスを阻害しないほどに十分でなければならない。
【0024】
粒子状担体及び結合剤は好適には第4級アンモニウムオルガノシランと非反応性となるように選択され、カチオン性シランと抗菌性顆粒のその他の成分との間に化学反応はない。これは、殺生物剤として登録される第4級アンモニウムオルガノシランを確実に顆粒状製剤において化学的に不変にする。
【0025】
第4級アンモニウムオルガノシラン及び結合剤は水性乳濁液から粒子状担体に塗布することができる。存在する乳化剤は、例えば非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性乳化剤とすることができるが、非イオン性乳化剤が好ましい。非イオン性乳化剤の例としては、ポリビニルアルコール、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー、アルキル基が8〜18個の炭素原子を有するアルキル又はアルカリルポリエトキシレート、アルキルポリグリコシド又は長鎖脂肪酸若しくはアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールのようないくつかの水溶性ポリマーはよって結合剤ポリマー及び乳化剤の両方の機能を果たすことができる。いくつかの好適な乳濁液において、ポリビニルアルコールはポリ酢酸ビニルのような不水溶性ポリマーとともに乳化剤として及びまた結合剤ポリマーの一部としての機能を果たす。アニオン性界面活性剤の例としては、12〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩、スルホン酸又は硫酸アルカリル並びに長鎖スルホン酸又は硫酸アルキルが挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、8〜20個の炭素原子を有する少なくとも1個の長鎖アルキル基を含有する第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0026】
第4級アンモニウムオルガノシランはあるいは、結合剤と混合及び担体粒子に塗布する前にエタノール又はイソプロパノールのような水混和性有機溶媒に溶解することができるが、このプロセスは水混和性有機溶媒が環境中に漏れ出すことを防ぐ必要性のため好ましくない。
【0027】
分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体結合媒体は、例えば噴霧することにより、例えば流動床において担体粒子上に沈着させる。処理した担体粒子は好適にはまだ流動化している間に乾燥させ、結合剤及び第4級アンモニウムオルガノシランの混合剤を担体粒子上で固化し、担体粒子を凝集させて自由流動粉末を形成するより大きな粒子にする。分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体結合媒体の担体粒子の流動床上への噴霧、その後の乾燥はバッチ式で行うことができるが、好適には連続的に行う。例えば、分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体結合媒体は、担体粒子が落下するタワー中に噴霧することができる。あるいは、液体結合媒体及び分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体はこうしたタワーにおいて個別の噴霧ノズルから担体粒子上に噴霧することができる。固化は空気逆流の使用により促進し、存在するいずれの溶媒の蒸発も補助することができる。完全固化は液体結合媒体が担体粒子上に沈着する前に起こるべきではない。タワーは例えば、管状ハウジング内で回転するブレードが取り付けられたシャフトを備え、分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体結合媒体がブレードの上で担体粒子と接触するようにブレードの上に担体粒子の入口及び液体の噴霧入口を有する、垂直連続造粒ミキサーとすることができる。顆粒状抗菌性添加剤を次にタワーの底で回収する。
【0028】
別の造粒方法では、第4級アンモニウムオルガノシランの乳濁液及び液体結合剤ポリマーを、担体粒子を含有するドラムミキサー中に同時に噴霧する、又は結合剤ポリマーの溶液中の第4級アンモニウムオルガノシランの乳濁液を、担体粒子を含有するドラムミキサー中に噴霧する。噴霧液滴は担体粒子との接触の際に一部蒸発する。混合後、粒子を流動床に移し、そこで蒸発を周囲空気で完了する。顆粒状抗菌性添加剤は流動床から回収することができる。造粒方法は、欧州特許出願公開第811584(A)号明細書及び欧州特許出願公開第496510(A)号明細書を含む多数の特許明細書にも記載されている。
【0029】
ワックス結合剤を融液として担体粒子に塗布する場合、造粒はワックス結合剤、第4級アンモニウムシラン及び担体粒子の混合物を冷却することにより達成することができる。混合物は例えば流動床において冷却することができ、又は第4級アンモニウムシランを含有する溶融ワックス結合剤は、担体粒子が落下するタワー中に噴霧することができる。こうしたタワーは、上述のような回転ブレード及び任意で冷気の上昇を有し、溶融ワックスの固化を補助することができる。
【0030】
造粒に有用な一般的な装置としては、Eirich(登録商標)パン型造粒機、Schugi(登録商標)ミキサー、Paxeson−Kelly(登録商標)ツインコアブレンダー、Lodige(登録商標)プラウシェアミキサー又は多数のタイプの流動床装置の1つ、例えばAeromatic(登録商標)流動床造粒機が挙げられる。
【0031】
抗菌性顆粒は好適には0.1〜2.0mmの粒径範囲である。上記装置の多くにおいて、製造された顆粒は主にこの粒径範囲である。より大きな粒子は造粒装置において製造することができ;こうしたより大きな粒子は次に粉砕し、ふるいにかけることにより選別し、所望粒径の疎水性添加剤の抗菌性顆粒を製造することができる。
【0032】
第4級アンモニウム基を含まないオルガノポリシロキサン及び/又はオルガノシランは第4級アンモニウムオルガノシランとともに抗菌性顆粒に含めることができる。こうしたオルガノポリシロキサン及び/又はオルガノシランは、対象用途に疎水性、補強、又は接着性のような利点をもたらすように選択することができる。オルガノポリシロキサンは、例えば線状揮発性ポリジメチルシロキサン、環状揮発性ポリジメチルシロキサン、アルキルメチルポリシロキサン、シリコーン油、オルガノポリシロキサン樹脂、オルガノポリシロキサンエラストマー、オルガノポリシロキサンガム、シリコーンアクリレート、シリコーンカルビノール流体、シリコーンポリエーテル、非揮発性ポリジオルガノシロキサン、サッカリド−シロキサンコポリマー、スルホン化オルガノポリシロキサン、又はこれらの2つ以上の組み合わせとすることができる。オルガノシランは、例えばアルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルトリアルコキシシラン、メタクリロキシアルキルトリアルコキシシラン若しくはアクリロキシアルキルトリアルコキシシラン又はこれらの2つ以上の組み合わせとすることができる。
【0033】
オルガノポリシロキサン、及びいくつかのオルガノシランは、セメント系製品、石膏製品及び他の建築材料の疎水性添加剤として知られている。こうした疎水性有機ケイ素添加剤は本発明の顆粒に組み込み、とくに抗菌性顆粒を建築材料に用いる場合、抗菌性かつ疎水性である顆粒を製造することができる。疎水性有機ケイ素添加剤は、一般的には液体媒体から第4級アンモニウムオルガノシランとともに担体粒子に塗布する。疎水性有機ケイ素添加剤及び第4級アンモニウムオルガノシランは例えば結合剤の水溶液中に一緒に乳化し、担体粒子上に噴霧することができる。
【0034】
建築材料において疎水性添加剤として有用なオルガノシランの例としては、少なくとも3個、例えば8〜18個の炭素原子を有するアルキル基を含有するアルキルアルコキシシランが挙げられる。疎水性オルガノシランは好適にはジアルコキシシラン又はトリアルコキシシランである。こうしたオルガノシランの例としては、n−オクチルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシラン及びn−オクチルトリエトキシシランがある。
【0035】
建築材料において疎水性添加剤として有用なオルガノポリシロキサンの例としては、アルキル基が2〜20個の炭素原子を含有するメチルアルキルシロキサン単位、とくにアルキル基が6〜20個の炭素原子を含有するものを含むポリジメチルシロキサン(PDMS)及びポリジオルガノシロキサン、例えばダウコーニングより商品名DOW CORNING(登録商標)BY 16−846 FLUIDで販売されるジメチルメチルオクチルシロキサンコポリマーが挙げられる。オルガノポリシロキサンのアルキル基のいくつかは、トリアルコキシシリル部分により置換し、得られるオルガノシロキサン成分のセメント系材料に対する適当な反応性もたらすことができ、例えばオルガノシロキサンはダウコーニングより商品名DOW CORNING(登録商標)BY 16−606で販売されるトリメチルシロキシ及びアルコキシ末端ジメチルメチルアルキルシロキサンコポリマーとすることができる。
【0036】
抗菌性顆粒は、要求に応じて、オルガノシラン疎水性添加剤及びオルガノポリシロキサン疎水性添加剤の両方を含有することができる。
【0037】
同様に、ポリジオルガノシロキサン及びアミノ官能性オルガノポリシロキサンのようなオルガノポリシロキサンは、洗濯組成物において及び織物仕上げ剤において柔軟剤として広く用いられている。こうした柔軟剤は本発明の顆粒に組み込み、例えば粉末洗濯洗剤又は粉末形態で販売される織物仕上げ組成物に用いられる、抗菌性かつ柔軟性である顆粒を製造することができる。オルガノポリシロキサン柔軟剤は液体媒体から第4級アンモニウムオルガノシランとともに担体粒子に塗布することができる。
【0038】
抗菌性顆粒は好適には、40〜95重量%の粒子状担体、1〜20重量%の結合剤ポリマー、0.2〜、通常は0.5又は1〜30又は40重量%の第4級アンモニウムオルガノシラン及び0〜40重量%(存在する場合好適には5〜35%)の有機ケイ素疎水剤又はオルガノポリシロキサン柔軟剤を含む。
【0039】
抗菌性顆粒は担体粒子、結合剤、第4級アンモニウムオルガノシラン及び任意で有機ケイ素疎水剤又はオルガノポリシロキサン柔軟剤のみからなることが好ましいが、追加の成分、例えば粘度調節剤、顔料、着色料、防腐剤、ゲル化剤、pH調節剤、緩衝剤、凝結促進剤、又は凝結遅延剤を含めることができる。しかしながら、こうした追加の任意成分は顆粒の総重量の5重量%を超える量とならないことが好ましい。
【0040】
本発明の抗菌性顆粒は、建築物及び壁の表面の微生物汚染及び劣化の解消及び防止、並びに各種建設材料、とくにモルタル、グラウト、及びシーラントのようなセメント系材料並びにプラスターのような石膏製品の変質及び生物劣化の防止に用いることができる。本発明は、上で定義したような本発明による抗菌性顆粒を含有するセメント系又は石膏建築材料を含む。抗菌性顆粒は好適には建築材料中に、セメント又は石膏の乾燥重量に対して0.001〜0.5重量%の第4級アンモニウムオルガノシランが存在するような量で存在する。より好適には、抗菌性顆粒の量は好適には乾燥セメント又は石膏の0.01〜5重量%であり、第4級アンモニウムオルガノシランの量はセメント又は石膏の乾燥重量に対して0.002〜1重量%である。
【0041】
本発明の抗菌性顆粒は、顆粒のセメント系又は石膏建築材料への添加を、抗菌性顆粒を建築材料と、建築材料が乾燥、粉末形態である段階で乾燥混合することにより便利に行うことができるという利点を有する。あるいは、抗菌性顆粒はセメント又は石膏の水和中又は後、例えばセメント系材料を基質に塗布するプロセスの直前又はその間に添加することができる。
【0042】
第4級アンモニウムオルガノシランを顆粒の担体ではなく顆粒の結合剤に含有するので、第4級アンモニウムオルガノシランは顆粒を建築材料に組み込んだ後必ずしも担体に結合しているわけではない。疎水性である第4級アンモニウムオルガノシランは、もっとも効果的である建築材料の表面に集中する。担体粒子は建築材料全体により均一に分散する。これは、抗菌剤を担体上に直にコーティングする又は抗菌剤を担体と反応させる、すなわち担体が抗菌剤とともに基質表面に見られ、表面外観を損ない得る場合と比較して、有利な点である。
【0043】
結合剤も建築材料全体により均一に分散するように選択することができ、例えば、顆粒が水和させるセメント又は石膏のような建築材料用である場合、水溶性又は水分散性結合剤を用いることができる。
【0044】
本発明の抗菌性顆粒は、化粧品、殺菌剤、織物、パルプ及び紙、パッケージ、木材防腐、水処理、水移動、食品、油及びガス、並びにコーティングにおける、生物学的増殖が見られ得る媒体において乳濁液、分散液、又は溶液の防腐剤として用いることもできる。抗菌性顆粒は、織物のような基質の生物劣化の防止に用いることができる。こうした生物劣化は、材料の表面における黒い点の存在により容易に観察することができる。汚染は、目に見える表面増殖、変色、又は悪臭の形態をとり得る。かびは健康に害を及ぼし;それらは目、皮膚及び呼吸器への刺激を引き起こす。それらは摂取又は吸入すると有害であり得る。
【0045】
抗菌性顆粒を塗布することができる織物の例としては、カーペット、合成運動場表面、ソックス、ろ過媒体、ベッドシーツ、ブランケット、ベッドカバー、カーテン、消防ホース、加湿帯、マットレスパッド、マットレス布団地、肌着、使い捨ておむつ、上着、靴下、屋根材、サンドバッグ、テント、防水布、帆、ロープ、運動及びカジュアル靴、靴底、トイレシートカバー、小型敷物、タオル、傘、アップホルスタリー用繊維充填材、下着、並びに布巾に用いられる織布、ニット又は不織布織物が挙げられる。抗菌性顆粒は計量及び取扱に便利な形態であり、水溶液から織物に塗布することができ、例えばそれらは織物の洗濯若しくは洗浄に用いられる水、又は織物の仕上げに用いられるいずれかの水溶液に添加することができる。第4級アンモニウムオルガノシランが顆粒の担体に永久的に結合することなく、顆粒は第4級アンモニウムオルガノシランを織物の表面に塗布し、第4級アンモニウムオルガノシランは織物表面に結合することができる。
【0046】
粉末形態で販売される製品、例えば粉末洗濯洗剤に用いるため、抗菌性顆粒は粉末製品と容易に混合することができる。抗菌性顆粒は、粉末形態でも液体形態でも、低温で用いるために設計されている洗濯製品において有益である。低温洗浄製品はエネルギーを節約するため好まれることが多く、低温で汚れを除去するという点で効果的である洗浄製品が考案されている。抗菌性顆粒は、高温洗浄により破壊されるが低温洗浄を生き残り得るバクテリアを死滅させるのに有効である。抗菌性顆粒はセラミックタイルのような硬質表面の洗浄製品にも用いることができる。
【0047】
本発明の抗菌性顆粒はプラスチック材料に組み込むことができ、これを押出又は別の方法で成形し、例えばパイプ、トイレタンク、シャワーカーテン又はパッケージを製造する。パッケージにおける抗菌性顆粒の使用はパッケージングされた製品にさらに抗菌保護をもたらし、製品そのものの中の防腐剤の量の低減を可能にすることができる。
【0048】
抗菌性顆粒はビニル紙を含む壁紙に、ポリウレタンクッションに、又は医療機器に組み込むこともできる。
【0049】
本発明の抗菌性顆粒は、既知の形態の第4級アンモニウムオルガノシランより、安全性及び取扱上の利点を有する。抗菌性顆粒は、最大30重量%の高い第4級アンモニウムオルガノシラン含有量を有していても、200℃を超える引火点を有するが、既知の液体形態の第4級アンモニウムオルガノシランは約20℃の引火点を有する。顆粒は、分割固体を容易に回収することができるので、皮膚との接触のリスクも環境への放出のリスクも低減した。顆粒状形態の第4級アンモニウムオルガノシランは、水中での第4級アンモニウムオルガノシランの加水分解又は縮合により有効性を失う可能性も低い。
【実施例】
【0050】
本発明を以下の実施例により例示するが、部及びパーセントはとくに指定のない限り重量による。
【0051】
(実施例1)
3.9gの商標AEGIS Microbe Shield(登録商標)−AEM 5772で販売されるオクタデシルジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウム塩化物を24.9gのn−オクチルトリエトキシシランと混合した。25.2gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを一滴ずつ50gの商標Mowiol 4/88で販売されるポリビニルアルコールの20%溶液に添加した。第4級アンモニウムオルガノシラン及びn−オクチルトリエトキシシランの混合物を乳濁液中に混合した。56.2gの得られる乳濁液を120gの粒径約2〜5μmのゼオライトNA上に噴霧し、ゼオライト粒子を顆粒として接着した。得られた顆粒を次に流動床において乾燥させ、乾燥後Grindomix(登録商標)において4秒間8000rpmで粉砕し、0.2〜0.5mmの所望顆粒径を達成した。顆粒は1.0%のオクタデシルジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウム塩化物を含有した。
【0052】
54gの砂、18gのポートランドセメント及び0.5gの実施例1の顆粒を乾燥混合した。9.5gの水を添加及び混合し、モルタルを形成した。混合物をプラスチックモールドに入れ、7cm×7cm×3cmサイズのモルタルブロックを製造した。モルタルのブロックを、制御雰囲気(室温で100%相対湿度(RH))下、7日間放置して硬化する。
【0053】
(比較例C1)
37.5gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを一滴ずつ75gの20%ポリビニルアルコールMowiol 4/88溶液に添加し、乳濁液を形成した。37.5gのn−オクチルトリエトキシシランを乳濁液に添加した。42.1gの得られる乳濁液を80gのゼオライトNA上に噴霧した。得られた顆粒を実施例1に記載したように乾燥及び粉砕し、粒径0.2〜0.5mmの疎水性顆粒を形成した。0.5gの顆粒を実施例1に記載したようなモルタルブロックの製造に用いた。
【0054】
(比較例C2)
54gの砂、18gのポートランドセメント、0.5gの比較例C1の顆粒及び0.05gのAEGIS Microbe Shield(登録商標)−AEM 5772オクタデシルジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウム塩化物を乾燥混合した。9.5gの水を添加及び混合し、モルタルを形成し、それを実施例1に記載したようなモルタルブロックに製造した。
【0055】
(比較例C3)
98gのゼオライトNAを3gのAEGIS Microbe Shield(登録商標)−AEM 5772オクタデシルジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウム塩化物でコーティングした。54gの砂、18gのポートランドセメント、0.5gの比較例C1の顆粒及び0.5gの第4級アンモニウムシランでコーティングしたゼオライトを乾燥混合した。9.5gの水を添加及び混合し、モルタルを形成し、それを実施例1に記載したようなモルタルブロックに製造した。
【0056】
実施例1及び比較例C1〜C3のモルタルブロックを抗菌活性及び耐水吸収性について試験を行った。実施例1に記載したプロセスによるが、いずれの添加剤もなしで製造されたモルタルブロックも試験した。
【0057】
抗菌性試験はISO 846試験方法により測定された静真菌活性に基づく。モルタルブロックを、温度(28±1℃)及び湿度(90%)の特定の条件下、特定の期間(28日)菌類の選択された株の活性に露出した。真菌増殖に対する耐性は目視及び立体顕微鏡検査により評価する。真菌増殖は尺度:0〜5で評価した。抗菌性試験の結果を表1に示す。
0−立体顕微鏡下明らかな増殖なし
1−肉眼で見える増殖はないが、立体顕微鏡下では明確に視認できる
2−肉眼で見える増殖、試験表面の最大25%を覆う
3−肉眼で見える増殖、試験表面の最大50%を覆う
4−かなりの増殖、試験表面の50%を超える領域を覆う
5−激しい増殖、試験表面全体を覆う
【0058】
抗菌性試験を上述のように硬化した新鮮な試料について、並びに35℃及び70%R.H.で28日間経年劣化させた試料についても行った。試験前、各モルタルブロックを24時間50℃でオーブンにおいて乾燥させた。
【表1】

【0059】
抗菌性試験は、撥水剤のみであるニートなn−オクチルトリエトキシシランで処理したモルタル(C1)が未処理モルタルと比較して生物学的増殖を抑制しないことを示す。個別に添加されたn−オクチルトリエトキシシラン及び第4級アンモニウムシランで処理したモルタル(C2)はいくらかの抗菌効果を示したが、これは実施例1の顆粒又は第4級アンモニウムシランでコーティングしたゼオライト(C3)より小さかった。
【0060】
疎水性能試験では、計量した乾燥モルタルブロック試料を水に試料の最上部より3cm上の水位で浸漬した。1、3、24及び72時間後、試料を水から除去した。過剰水を試料から拭き取り、各試料を計量した。試料により吸収された水の質量を計算し、(乾燥ブロックの重量と比べて)吸収された水のパーセントを表2に示す。
【表2】

【0061】
表2の結果は、n−オクチルトリエトキシシランが疎水性能を向上させる、すなわち水吸収を低下させることを示す。表2は、n−オクチルトリエトキシシランに添加した場合の第4級アンモニウムシランの水吸収に対する影響も示す。すべての例において、これは疎水性能を低下させているが、実施例1(及び比較例C2)について、水吸収はまだ許容可能であり、未処理モルタルの水吸収よりまだかなり少ない。第4級アンモニウムシランでコーティングしたゼオライト(C3)の添加はモルタルの水吸収を実質的に増加させ、72時間後未処理モルタルの水吸収より高くなる。
【0062】
実施例1及び比較例C1〜C3のモルタルブロックの物理的外観及び取扱特性を未処理モルタルから製造したモルタルブロックと比較し、以下の尺度:1〜5で評価した。
0 添加剤のモルタルブロックに対する動的な影響:セメントペーストは硬化していない
1 添加剤のモルタルブロックの物理的特性に対する取消的な影響:セメントペーストは硬化したが、モルタルブロックの低い物理的特性(非常に多孔性で砕けやすい)をもたらした
2 添加剤のモルタルブロックの物理的特性に対する視覚的な影響:未処理モルタルブロックよりマクロ多孔性
3 添加剤のモルタルブロックに対する美的影響:未処理と処理モルタルとの間の色の違い
4 添加剤のモルタルブロックに対する美的影響:汚れの存在
5 添加剤のモルタルブロックに対する影響は見られない
【表3】

【0063】
表3の結果は、添加剤の添加はモルタルの物理的特性に対して有害な影響を有することができることを示す。例えば、比較例C2のようなニートな第4級アンモニウムシランの添加は有害な影響を有し;C2のモルタルブロックは未処理モルタルブロック又は実施例1のモルタルブロックよりかなり多孔性で砕けやすい。C2のモルタルブロックが砕けやすいという事実により、その製品は建設用途には不適切である。
【0064】
表3は、比較例C3のようなゼオライト上にコーティングした第4級アンモニウムシランの美的影響が小さいことも示す。ゼオライトによる白い汚れは、おそらくセメントペーストにおける生成物の分散不良のため、C3のモルタルブロックには見られない。
【0065】
実施例1の顆粒及び比較例C3の顆粒のバルク粉末特性をDIN ISO 787 Teil 11及びASTM B 527−70に従って振動体積計STAV 2003により試験した。顆粒の注入密度は、それらを体積計に注入した後顆粒の初期高さから計算する。次にタッピングを行い、100及び500タップ後顆粒の高さ、並びによってタップ密度を測定する。粉末又は顆粒の圧縮性及び凝集性は、タップ密度のルーズ(注入)密度に対する比であるハウスナー比によりDIN試験において測定する。1.0〜1.2のハウスナー比はバルク粉末がわずかに圧縮性及び凝縮性であることを示すが、1.2〜1.4のハウスナー比はバルク粉末が圧縮性及び凝縮性であることを示す。流動性はASTM試験において(タップ密度マイナス注入密度)の注入密度に対する比であるカー指数により測定する。0.15未満のカー指数は良好な流動性を示すが、0.25を超えるカー指数は流動性不良を示す。結果を表4に示す。
【表4】

【0066】
振動体積計試験は、実施例1の顆粒が第4級アンモニウムシランでコーティングしたゼオライトより良好な流動性を有することを示す。
【0067】
(実施例2)
50gの第4級アンモニウムシランAEGIS Microbe Shield(登録商標)AEM5772を50gの20%ポリビニルアルコールMowiol 4/88水溶液に乳化した。49gの乳濁液を100gのゼオライト上に噴霧した。得られた顆粒を次に流動床において乾燥させた。乾燥工程後に得られた顆粒をGrindomix(登録商標)において4秒間8000rpmで粉砕し、0.2〜0.5mmの所望粒径を達成した。
【0068】
0.69gの実施例2の顆粒をリニテストタンクにおいて100gの軟水に添加した。5×5cm綿織物片をリニテストタンクに添加し、30分間30℃で45rpmの撹拌で処理した。綿織物を次に一晩空気乾燥させた。
【0069】
処理した綿織物の抗菌性能はブロモフェノールブルー分析に基づき予測することができる。この試験では、ブロモフェノールブルーのナトリウム塩水溶液の一滴を乾燥処理織物に塗布する。ブロモフェノールブルーのアニオンは第4級アンモニウムシランのカチオンとそれが基質上にある間に錯体を形成することができる。形成された青色錯体は、基質上のカチオンの存在を質的に示し、よって所定の基質上の抗菌剤の範囲を示す。色度標準に対する残存青色の強度の比較を用い、第4級アンモニウムシランの量を織物表面で測定する。織物上の青色の滴の形状も0(弱い色、織物全体広がる滴)〜10(強い色、小円形の滴)の尺度について視覚的に評価する。強い青色及び滑らかな円形の滴は、高レベルのすぐに利用可能な抗菌性第4級アンモニウムシランを示す。実施例2に従って処理した織物についてのこうした試験の結果を、市販のAEGIS Microbe Shield(登録商標)AEM5772を織物に塗布した比較試験(C4)とともに表4に示す。
【0070】
(比較例C5)
4.8gの第4級アンモニウムシランAEGIS Microbe Shield(登録商標)−AEM5700(メタノールに希釈したオクタデシルジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウム塩化物)を115gの水に添加した。15gのアルミニウムジルコニウム塩を添加し、一緒に30℃、200rpmで25分間混合した。この比較例は米国特許第US−A−4921701号の実施例2に基づく。最終製剤を空気乾燥させ、水よびメタノールを除去した。乾燥生成物を粉砕し、0.2〜0.5mmの所望粒径を得た。生成物を実施例2に記載したように試験した。
【0071】
試験した織物に2回の経年劣化工程を行った。各経年劣化工程はリニテストタンクにおいて30℃で水中での25分の浸漬、その後織物の乾燥及び再評価を含んだ。結果を表5に示す。
【表5】

【0072】
実施例2の顆粒により塗布された第4級アンモニウムシランは比較例C4及びC5と比較して織物上にしっかりと付着していることが表4から明らかである。とくに、抗菌性第4級アンモニウムシランは、C5のプロセスにより塗布された第4級アンモニウムシランとは違い、2回の水中での浸漬後、織物上で効果的なままである。
【0073】
(実施例3)
75gの第4級アンモニウムシランAEGIS Microbe Shield(登録商標)AEM5772を75gの20%ポリビニルアルコールMowiol 4/88水溶液において乳化した。95.5gの乳濁液を100gの焼成珪藻土上に噴霧した。得られた顆粒を次に流動床において乾燥させた。乾燥工程後に得られた顆粒をGrindomix(登録商標)において4秒間8000rpmで粉砕し、0.2〜0.5mmの所望粒径を達成した。
【0074】
実施例2及び3の顆粒の引火点をクローズドカップ法により測定した。
実施例2の引火点:>200℃
実施例3の引火点:>150℃
比較すると、AEGIS Microbe Shield(登録商標)AEM5772の引火点は22℃である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第4級アンモニウムオルガノシランを含有する結合剤により凝集した担体粒子を含む抗菌性顆粒。
【請求項2】
前記担体粒子が、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩及び酸化物粒子から選択される、請求項1に記載の抗菌性顆粒。
【請求項3】
前記担体粒子がゼオライト粒子である、請求項2に記載の抗菌性顆粒。
【請求項4】
前記担体粒子の平均粒径が1〜10μmの範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性顆粒。
【請求項5】
前記顆粒の平均粒径が0.1〜2.0mmの範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性顆粒。
【請求項6】
前記結合剤が、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリカルボキシレート、及びカチオン性ポリマーから選択される、水溶性又は水分散性ポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌性顆粒。
【請求項7】
前記結合剤が、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルエチレンコポリマー及びアクリレートエステルポリマーから選択される乳化不水溶性ポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌性顆粒。
【請求項8】
前記第4級アンモニウムオルガノシランが下式からなり、
【化1】

式中、各Rはメチル又はエチル基を表し;aは0、1又は2であり;R’は存在する場合メチル又はエチル基を表し;Zは3〜4個の炭素原子を有するアルキレン基を表し;Rはメチル又はエチル基を表し;Rは8〜18個の炭素原子を有するアルキル基又はアラルキル基を表し;Rは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し;Xは塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、アリールスルホン酸アニオン及び酢酸塩から選択されるアニオンを表す、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌性顆粒。
【請求項9】
前記顆粒の前記第4級アンモニウムオルガノシラン含有量が、0.5〜30重量%の範囲である、請求項1〜8のいずれかに記載の抗菌性顆粒。
【請求項10】
前記結合剤が、アミン若しくは第4級アンモニウム官能基を有さない、オルガノシラン又はオルガノポリシロキサンをさらに含有する、請求項1〜9のいずれかに記載の抗菌性顆粒。
【請求項11】
前記アミン又は第4級アンモニウム官能基を有さないオルガノシランが、少なくとも3個の炭素原子を有するアルキル基を含有する疎水性アルキルアルコキシシランである、請求項10に記載の抗菌性顆粒。
【請求項12】
分散した第4級アンモニウムオルガノシラン含有する液体結合媒体を担体粒子に塗布した後、該液体結合媒体を塗布した該担体粒子を固化し、該担体粒子を顆粒に凝集させる工程を含む、抗菌性顆粒の製造プロセス。
【請求項13】
分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する液体及び液体結合媒体を担体粒子に同時に塗布した後、該液体結合媒体を塗布した担体粒子を乾燥させ、該担体粒子を凝集させて顆粒にするステップを含む、抗菌性顆粒の製造プロセス。
【請求項14】
前記液体結合媒体が結合剤の水溶液である、請求項12又は請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記結合剤がポリビニルアルコールである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第4級アンモニウムオルガノシランを前記結合剤の溶液中に乳化させる、請求項12に記載のプロセス。
【請求項17】
前記プロセスが、分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する前記液体結合媒体を前記担体粒子上に噴霧する工程をさらに含む、請求項12〜16のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
前記分散第4級アンモニウムオルガノシランを含有する前記液体結合媒体が塗布された前記担体粒子を乾燥させる工程を流動床において行う、請求項12〜17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
セメント又は石膏と、請求項1〜8のいずれかに記載の抗菌性顆粒又は請求項9〜17のいずれかに記載のプロセスにより製造された抗菌性顆粒とを含む、セメント系又は石膏建築材料。


【公表番号】特表2013−501742(P2013−501742A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524157(P2012−524157)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004988
【国際公開番号】WO2011/020586
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】