説明

抗CTLA−4に基盤を置く病気の免疫療法の代用治療終末点

【課題】本発明は、ヒトCTLA−4に対するヒト配列抗体を使用する治療方法、特に、癌治療方法を提供する。
【解決手段】本発明は、現状打開事態を引き起こす十分な用量の抗CTLA−4抗体を患者に投与し、患者の現状打開事態を検知することによって、患者における新規の癌治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願についてのクロス・リファレンス>
本出願は、米国仮出願番号第60/475067号(2003年5月30日出願)の優先権を主張し、その内容は、全体において本願明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、一般に分子免疫学とヒトの病気の治療に関する。特に、ヒトCTLA−4に対する抗体を使用する洗練された治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脊椎動物の免疫系は、最適の免疫活性化を達成するために多重信号を必要とする(例えば、Janeway、「Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.1989」、54:1−14、および、Paul William E.編、Raven Press、N.Y.、「Fundamental Immunology」、第4版(1998)、特に第12章および第13章、411ページから478ページを参照のこと)。Tリンパ球(T細胞)と抗原提示細胞(APC)の間の相互作用は、免疫反応に必須である。T細胞とAPC上で見られる多くの粘着性分子のレベルは、免疫反応の間、増加する(Springer他、「A.Rev.Immunol.1987」、5:223−252、ShawおよびShimuzu、「Current Opinion in Immunology」、1988編、KindtおよびLong編、1:92−97、Hemler、「Immunology Today 1988」、9:109−113)。これらの分子の増加レベルは、活性化したAPCが抗原特異性のT細胞増殖反応を刺激する点において、非活性のAPCより効果的である理由の説明に役立つ(Kaiuchi他、「J.Immunol.1983」、131:109−114、Kreiger他、「J.Immunol.1985」、135:2937−2945、McKenzie、「J Immunol.」、1988、141:2907−2911、および、HawrylowiczおよびUnanue、「J.Immunol.1988」、141:4083−4088)。
【0004】
T細胞免疫反応は、特に、APCのようなT細胞と補助細胞の間の細胞間相互作用(Springer他、「A.Rev.Immunol.1987」、5:223−252)と、可溶性の免疫媒体(サイトカインまたはリンフォカイン)の生成(Dinarello、「New Engl.J.Med.1987」、317:940−945、および、Sallusto、「J.Exp.Med.1997」、179:1109−1118)とを含む複合過程である。この反応は、T細胞受容体複合体(Weiss、「Ann.Rev.Immunol.1986」、4:593−619)と他の「補助的な」表面分子(Allison、「Curr.Opin.Immunol.1994」、6:414−419、Springer、1987、前述)を含むいくつかのT細胞表面受容体によって制御される。これらの補助分子の多くは、細胞の表面の単クローン抗体の反応によって定義される自然発生の細胞表面分化(CD)の抗原である。(McMichael編、「Leukocyte TypingIII」、Oxford Univ.Press、Oxford、N.Y.、1987)
【0005】
CD28抗原は、免疫グロブリン超族の一つであるホモダイマ・グリコプロテイン(AruffoおよびSeed、「Proc.Natl.Acad.Sci.1987」、84:8573−8577)であって、大部分の成熟ヒトT細胞(Damle他、「J.Immunol.1983」、131:2296−2300)に見られる補助分子である。現時点における証拠は、この分子が、T細胞受容体複合体によって開始される経路とは異なった別個のT細胞活性化経路において機能していることを示唆している(June他、「Mol.Cell.Biol.1987」、7:4472−4481)。CD28抗原と反応性のある単クローン抗体(MAbs)は、さまざまなポリクローン性の刺激(前述のJune他によって概説される)によって開始されるT細胞反応を増強することができる。これらの刺激性の効果は、増加したmRNA安定化(Lindsten他、1989、上述supra)の結果として、MAb誘導のサイトカイン生成(Thompson他、「Proc.Natl.Acad.Sci 1989」、86:1333−1337、および、Lindsten他、「Science 1989」、244:339−343)から生じる可能性がある。
【0006】
CTLA−4は、CD28活性に対抗し、T細胞活性化を抑制するものと見なされている(Krummel他、「Int’l Immunol.1996」、8:519−523、および、Chambers他、「Immunity.1997」、885−895)。CTLA−4欠損マウスは、大量のリンパ球増殖を被る(前述のChambers他による)。CTLA−4の遮断は、試験管内(Walunas他、「Immunity.1994」、1:405−413)および生体内(Kearney、「J.Immunol.1995」、155:1032−1036)のT細胞反応を増強して、抗腫瘍免疫を悪化させ(Leach、「Science 1996」、271:1734−1736)、誘導された自己免疫性疾患を増進する(Luhder、「J Exp.Med.1998」、187:427−432)と報告されている。CTLA−4は、T細胞免疫反応の最初の特性に対して代替的または付加的な影響を与えることも、以下の文献において報告されている。
Chambers、「Curr.Opin.Immunol.1997」、9:396−404
Bluestone、「J.Immunol.1997」、158:1989−1993
Thompson、「Immunity 1997」、7:445−450
このことは、何人かの自己免疫患者が、CTLA−4に対する自己抗体を有するという知見に矛盾してはいない。CTLA−4を遮断する自己抗体が、これらの患者において病原性の役割を演じることが考えられる。(Matsui、「J.Immunol.1999」、162:4328−4335)
【0007】
非ヒトCTLA−4抗体は、上述のさまざまな研究において使用されている。さらにまた、ヒトCTLA−4に対するヒト抗体は、多くの病気条件(例えば、ウイルス感染および細菌感染の治療または予防、および、癌の治療)における免疫促進モジュレータとして記述されている(例えば、国際公開第01/14424号明細書および国際公開第00/37504号明細書)。米国特許第5855887号明細書は、T細胞をCTLA−4の遮断剤と併用することによって抗原性の刺激に対する哺乳類のT細胞の反応を増大させる方法を開示している。米国特許第5811097号明細書は、CTLA−4の遮断剤を投与することによって非T細胞腫瘍の増殖を減少させる方法を開示している。米国特許出願公開第09/644668号明細書および米国特許出願公開第09/948939号明細書は、ヒトCTLA−4抗体を開示している。これらの各特許と用途は本願明細書に引用して組み込まれているものとする。
【0008】
本願明細書の本節または他の節におけるいかなる参考文献の引用または記述は、本発明の説明を明らかにするだけのためであり、いずれの内容も、本願明細書において記述される、いかなる発明に対する「先行技術」であると容認されるものではない。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、現状打開事態を引き起こす十分な用量の抗CTLA−4抗体を患者に投与し、患者の現状打開事態を検知することによって、患者における新規の癌治療方法を提供するものである。一実施形態において、現状打開事態は、非癌化細胞に存在する抗原に対する自己免疫反応である。別の実施形態において、現状打開事態は、グレード3または4である。本発明の方法によれば、現状打開事態は、抗CTLA−4抗体の用量を増大することによって引き起こされる。さらなる実施形態において、現状打開事態は、投与間隔を短縮して抗CTLA−4抗体を投与することによって引き起こされる。別の実施形態において、現状打開事態は、非腫瘍関連自己免疫の発現である。本発明は、癌の治療に効果的な用量の抗CTLA−4抗体の投与方法を提供する。また、本発明は、また、このような用量の決定方法を提供する。
【0010】
本願明細書において引用される、全ての出版物、図面、GenBank Accession基準受入参照番号(配列)、ATCC Deposits寄託番号、特許、および、特許出願は、個々に示される同じ範囲の全ての意味を参照することにより本願明細書に含まれる。
【0011】
本発明は、より効果的で、予測可能なCTLA−4抗体を基盤とする癌治療法を提供する。本発明の方法は、患者への抗CTLA−4抗体用量が過少量とならないようにするので、抗CTLA−4抗体による癌の治療に有意な成果を示す。有害事象の出現と治療に対する反応の間の統計学的に有意の相互関係が、抗CTLA−4抗体で治療された癌患者において、予想外に存在していた。深刻な「有害事象」の回避が重症癌患者の治療の目的であったのに対して、本発明の方法の目的は、これらの事象(本願明細書において、「現状打開事態」(BE)と呼ばれる)を引き起こし、検出することである。抗CTLA−4抗体の充分な用量による治療は患者の癌症状を改善し、または、余命を伸ばす可能性があるので、有意な、しかし、可逆的な現状打開事態の誘起は、これらの患者においては医学的に適切なものとなる。
【0012】
BE(の誘起)は、急性であり、用量に関連し、容易に探知され、ある範囲までは予測可能である。BE、投薬中止によって、および/または、特異的療法、通常はコルチコステロイド治療を伴う又は伴はない支持看護によって無効となる。抗CTLA−4抗体の用量を投与してBEを誘起して検出することは、抗CTLA−4抗体治療への反応とBEの発現との間の有意な相互関係から、癌治療の効果的な方法である。
【0013】
特定の実施形態において、本発明の抗CTLA−4抗体は、国際公開第01/14424号明細書に開示されている、ヒト単クローン抗体10D1である。
【0014】
本発明は、後述されるように、癌の免疫療法におけるヒト配列の抗CTLA−4抗体の臨床試験中に行なわれた観察に部分的に基づくものである。臨床試験は、BEを引き起こすのに十分な抗CTLA−4抗体の用量が送達される場合の、癌患者の治療における抗CTLA抗体の有効性を証明している。本発明によれば、抗CTLA−4抗体はBEを引き起こすのに十分な用量で投与されて、BEが患者において検出される。
【0015】
さまざまな研究の結果、BEと抗腫瘍の有効性の間の相互関係が認識されるに至った。例えば、コホート1の研究において、ステージIVの黒色腫患者14人が、2つのgp100ペプチドのワクチン接種と併用で、3mg/kgの抗CTLA−4抗体10D1(MDX−010)を3週ごとに8週間投与された。全ての患者は、それらの原発腫瘍のための先行手術を受けていた。6人の患者は、先行の化学療法が行なわれた。11人の患者は、先行の免疫療法を行なわれた。臨床反応は、コンピュータ断層写真(CT)と磁気共鳴(MR)画像で測定された。患者11(先行の化学療法が行なわれた)においては、5回の治療サイクルの後、肺腫瘍、脳腫瘍、および、皮下腫瘍の完全な分解が認められた。患者13(先行の化学療法と先行の免疫療法が行なわれた)においては、副腎腫瘍と肺腫瘍の完全な分解が認められた。患者1(先行の化学療法と先行の免疫療法が行なわれた)は、部分的な応答者であった。3人の各応答者は、グレード3のBEを体験した。患者1(部分的な応答者)には、グレード3の全腸炎と皮膚炎があった。患者1はIVメチルプレドニゾロンで自己免疫全腸炎の治療が行なわれ、24時間以内で著しい改善をもたらした。患者11(完全な応答者)には、グレード3の脳下垂体炎と汎下垂体機能低下症があった。患者11には、チロキシン、テストステロンとハイドロコーチゾンの代替投薬を行なった。患者13(完全な応答者)には、ヒドロキシジンによる治療自に分解したグレード3の皮膚炎があった。予想以上に、この研究においては、3人の全応答者がグレード3の有害事象を体験したことを示した。
【0016】
コホート2の研究において、非切除の転移性黒色腫を有する24人の患者に、抗CTLA−4抗体10D1を3mg/kg、そして、3週ごとに1mg/kgをgp100ペプチドワクチンと一緒に投与した。現在までに、24人の患者のうち3人(13%)には、他覚的な腫瘍反応があった。3人の応答者のうちの1人には、グレード3の有害事象(下痢)があった。
【0017】
統計学的に有意な相互関係を、カイ二乗検定(p=0.0146)とフィッシャーの正確確率検定(p=0.0116)を使用し、応答者と深刻な有害事象を発症させる患者の間におけるコホート1およびコホート2の研究において発見した。「Biostatistics:A methodology for the Health Sciences(FisherおよびVan Belle、1993、J.Wiley and Sons、New York)」 を参照のこと。
【0018】
別の研究において、17人のステージIIIまたはIVの悪性黒色腫患者に、抗CTLA−4抗体10D1を1回投与した。2人の患者は、部分的な応答者であった。深刻な有害事象(グレード3または4)はなかった。
【0019】
13人の悪性黒色腫患者は、MELACINE(登録商標)(シクロホスファミドを含む)の認可療法と組み合わせて、抗CTLA−4抗体10D1(8週間隔で3mg/kgを2回)投与した。他覚的な反応と深刻な有害事象は、観察されなかった。有効性に欠けると考えられる理由は、以下に挙げられる。
(1)シクロホスファミドの阻害作用
(2)長い投薬間隔
(3)ワクチンとしてのMELACINE(登録商標)の弱い力価
【0020】
統計学的に有意の相互関係を、カイ二乗検定(p=0.0028)とフィッシャーの正確確率検定(p=0.0049)を使用して、応答者と深刻な有害事象を発現させる患者の間において発見した。
【0021】
19人のステージIIIまたはIVの黒色腫を完全に切除した患者の研究において、患者を、3つのコホートに分けられ、gp100、チロシナーゼ、および、MART−1ワクチンと組み合わせて、抗CTLA−4抗体10D1を異なる用量(毎月0.1mg/kg、1.0mg/kg、および、3.0mg/kgを6ヵ月間、その後、3ヵ月ごとに2回)で治療した。この研究は、主に皮膚や腸において、器官特異的な自己免疫的な有害事象の用量依存の誘起を示した。自己免疫的な有害事象は、対処可能であり、可逆性であった。
【0022】
転移性黒色腫のある、化学療法未処置の患者の治療研究において、患者を、抗CTLA−4抗体10D1単独で、または、細胞毒性を有する化学療法(ダカルバジン)と組み合わせて治療した。24人の患者が登録された。単一療法を受けている12人の患者のうちの4人、および、組合せ治療を受けている12人の患者のうちの3人は、病気進行を体験していた。グレード3の発疹とそう痒症の1つの深刻な有害事象が観察された。
【0023】
抗CTLA−4抗体の投与は、自己免疫反応を示唆する深刻な有害事象に関連していた。深刻な有害事象の発症は、抗CTLA−4抗体3mg/kgのみを投与された後はほとんど発症しなかった。抗CTLA−4抗体が複数回投与、および、黒色腫ペプチドワクチンと組み合わせて投与されると、有害事象はより頻繁に発生する。ペプチドワクチンと一緒に抗CTLA−4抗体の投与を含む研究において、コホート2の抗CTLA−4抗体の投与量を減少することによって、SAE(有害事象)の発症率を減らした。個々の患者の抗CTLA−4抗体の血漿中濃度とSAEの発症の間の識別可能な相互関係は見られなかった。臨床試験データの統計分析は、BEと治療効力の間において、予想以上の非常に有意な相互関係を確立した。この実験的観察は、BE(用量または/および頻度)を引き起こすまで抗CTLA−4抗体を投与することが、治療的に最大の効果的な服用量の達成を示すという発見の根拠になっている。
【0024】
注釈を除き、用語「患者」または「被検者」が同義的に使用され、哺乳類(ヒト患者および非ヒト霊長類、同じくウサギ、ネズミ、および、マウスのような実験動物、および、他の動物など)に関連する。動物は、全ての脊椎動物(哺乳類および非哺乳類(ヒツジ、イヌ、ウシ、鶏、両生類、および、爬虫類など)を含む。
【0025】
本願明細書において使用される「有害事象」(AE)は、好ましくなく、一般的には意図されず、さらに望ましくない、内科的治療または内科的処置の使用に関連する徴候(異常検査所見を含む)、症状、または、疾患のことである。ほとんどのAEは、内科的治療における投薬の停止または減少時、またはAEの治療によって一時的となり、そして、無効する。
【0026】
National Cancer Instituteは、「有害事象」(AE)を、内科的治療または内科的処置(Cancer Therapy Evaluation Program、Common Terminology Criteria for Adverse Events(Version 3.0)、DCTD、NCI、NIH、DHHS、2003年3月31日 (http://ctep.cancer.gov)、2003年4月16日公開(2003年5月27日にサイトアクセス)に関連するとみなされる、または、みなされない、内科的治療または内科的処置の使用に関連する、好ましくない、一般的には意図されない、さらには、望ましくない徴候(異常検査所見を含む)、症状または疾患として定義している。「有害事象」は、治療の意図しない結果である。有害事象の誘起が、抗CTLA−4抗体の充分な用量が癌の治療のために患者に投与されたことを示すマーカーとなるということは驚くべき発見である。本発明の内容において、「有害」事象は意図されないものであるが、癌の抗CTLA−4ベースの免疫療法の代用治療終末点として役立つため、むしろ故意に得ようとされる。抗CTLA−4治療に一時的に関連する徴候、症状、異常検査所見、および、疾患は、本発明の方法による治療の意図される結果である。このような事象は、本願明細書において「現状打開事態(BE)と称される。
【0027】
本願明細書において使用される「現状打開事態(BE)」は、腫瘍部位において治療効果を与えるだけではない、抗CTLA−4治療に一時的に関連する意図されない徴候(異常検査所見を含む)、症状、または、疾患である。例えば、治療下の黒色腫から間隙をおいて離れた位置において皮膚炎を引き起こす自己免疫反応は、BEである。BEは通常、自己免疫の事象であるが、臨床診療における本発明の使用法に対しては、自己免疫の病因学の病理学的確認は必要でない。例えば、いかなる病因学の臨床的に診断される大腸炎は、定義が特に満たされる場合、現状打開事態である。BEは、有害事象のNCIグレードシステムに従ってグレード化される。
【0028】
「自己免疫現状打開事態(ABE)」は、自己免疫の事象である現状打開事態である。現状打開事態が好ましい本発明を実施する場合は、自己免疫現状打開事態である。したがって、用語「自己免疫現状打開事態」は、本発明の治療法を記載するために頻繁に使用される。しかしながら、このような方法に有用である現状打開事態は、自己免疫の事象を必ずしも必要としないと理解される。自己免疫現状打開事態は、好ましい現状打開事態である。
【0029】
National Cancer Institute(NCI)によって定義される、「深刻な有害事象」(SAE)は、グレード3または4の有害事象である。グレード3のAEは「重症」、グレード4のAEは、「致命的または障害」として通常定義される。また、NCIも、特にグレード3と4の有害事象を明白に定義する。例えば、グレード3の大腸炎は、腹痛、熱、腸閉塞による排便習慣の変化、または、腹膜徴候を含む(Cancer Therapy Evaluation Program、Common Terminology Criteria for Adverse Events(Version 3.0)、DCTD、NCI、NIH、DHHS、2003年3月31日 (http://ctep.cancer.gov)、2003年4月16日公開)。本出版物は、本願明細書において引用され、付録1として添付される。
【0030】
「自己免疫関連の非腫瘍の発現」は、非癌化細胞上の抗原の免疫ターゲッティングから生じる、または、生じるように見えるいかなる臨床事象である。BEなどは、腫瘍免疫を含む全体の免疫の活性強化に関するので、癌細胞において免疫学的に媒介される治療効果を特に示す。
【0031】
用語「治療」は、症状の緩和、または、疾患、状態、または、障害(例えば、自己免疫性疾患)の更なる発現を停止または抑制して、疾患の症状、複雑化、または、生化学徴候の発症を予防、または、遅延させる本発明の化合物、または、薬剤の投与を含む。治療は、予防的(疾患の発症予防または遅延を行なう、または、臨床的症状または準臨床的症状の発症の予防を行なう)に行なうか、疾患の発症後の症状を治療的に抑制または緩和する。
【0032】
用語「進行癌」は、原発腫瘍部位に集中しない癌、または、American Joint Committee on Cancer (AJCC)よるステージIIIまたはIVの癌を意味する。
【0033】
用語「治療効果的な投薬」は、癌の進行を縮めるか、遅くするか、または、止めるのに十分な抗CTLA−4抗体の投薬を意味する。あるいは、「治療効果的な投薬」は、癌患者において部分的、または、完全な反応を引き起こすのに十分な抗CTLA−4抗体の投薬を意味する。
【0034】
本願明細書において使用される用語「リンパ球」は、従来技術における一般的な意味を有し、さらに、単核の、非食細胞の白血球(血液、リンパとリンパ系組織(つまり、Bリンパ球およびTリンパ球)において見られる)のいずれにも言及する。
【0035】
用語「細胞障害性リンパ球関連の抗原−4」(「CTLA−4」)、「CTLA4」、「CTLA−4抗原」と「CD152」(例えば、「Murata (1999)Am.J.Pathol.155:453−460」参照)は、同義的に使用され、ヒトCTLA−4の変異体、イソ体、種相同体、および、CTLA−4を持つ少なくとも1つの共通抗原エピトープを有する類似体を含む(例えば、「Balzano(1992)hit.J.Cancer Suppl.7:28−32」参照)。CTLA−4の完全な配列は、GenBank Accession No.L15006において見られる。
【0036】
用語「エピトープ」は、抗体に特異結合することができるタンパク質決定因子を意味する。エピトープは、アミノ酸または砂糖側鎖のような分子の化学的な活性表面のグループから通常構成され、特異的な三次元構造特性(同じく特異的な電荷特性)を通常有する。配座エピトープと非配座エピトープは、変性溶液がある場合に、後者でなく前者への結合が失われるという点において区別される。
【0037】
無傷の「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続する少なくとも2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本願明細書ではHCVRまたはVHと省略)と重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2、および、CH3)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはVLとして本願明細書において略記される)と軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)から構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域に更に再分割され、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、比較的定常的な領域が散りばめられる。各VHとVLは3つのCDRと4つのFRから構成され、以下の順序でアミノ末端からカルボキシル末端まで配置される:
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互に作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系(例えば、エフェクター細胞)のさまざまな細胞と典型的な補体系の第1の成分(Clq)を含む、宿主組織または要素への免疫グロブリンの結合を媒介する。用語「抗体」は、CTLA−4を結合する能力を保持する無傷の抗体の抗原結合性部分を含む。以下に結合する例を挙げる。
(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、および、CH1ドメインから構成されるFabフラグメント(1価のフラグメント)
(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によってリンクされる2つのFabフラグメントを含む、F(ab’)2フラグメント(2価のフラグメント)
(iii)VHドメインとCH1ドメインから構成されるFdフラグメント
(iv)抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント
(v)VHドメインから構成されるdAbフラグメント(Ward他、(1989)「Nature」、341:544−546)
(vi)分離した相補性決定領域(CDR)
さらに、FvフラグメントのVLドメインとVHドメインは、遺伝子を分離することによって符号化されるにもかかわらず、単一タンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として公知の1価の分子を形成するVL領域およびVH領域の一対)として作ることができる合成リンカによって、その2つのドメインを組換え方法を使用して結合することができる。(例えば、Bird他、「Science 1998」、242:423−426、および、Huston他、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1988」、85:5879−5883参照のこと)。このような単鎖抗体は、用語「抗体」を参照することによって含まれる。フラグメントは、組換え技術または無傷の抗体の酵素切断または化学切断によって調製される。
【0038】
CTLA−4抗体は、ヒトB7抗受容体による相互作用からCTLA−4を抑制するために、ヒトCTLA−4上のエピトープと結合することができる。ヒトB7とのヒトCTLA−4の相互作用がヒトCTLA−4受容体を支えるT細胞の不活性化に導く信号を変換するので、免疫反応を延ばすか、または、増やすかによって、相互作用の拮抗性が効果的に引き起こされ、また、ヒトCTLA−4受容体を支えるT細胞の活性化を増加または延ばす。抗CTLA−4抗体は、米国特許第5811097号明細書、米国特許第5855887号明細書、米国特許第6051227号明細書、PCT公開第01/14424号明細書、PCT公開第00/37504号明細書、および、米国特許出願公開第2002/0039581号明細書において記述される。これらの参考文献それぞれは、抗CTLA−4抗体の説明のために、特に本願明細書に引用される。好ましい臨床的な抗CTLA−4抗体は、国際公開第01/14424号明細書にて開示される通り、ヒト単クローン抗体10D1(MDX010)である。
【0039】
用語「免疫細胞反応」は、免疫細胞移動、標的細胞の死滅、食細胞活動、抗体作成、免疫反応の他の可溶性因子などに生じる免疫細胞における生化学的な変化を生じる外部刺激または内部刺激に対する免疫系細胞(例えば、抗原、サイトカイン、ケモカイン、及び、他の細胞)の反応に言及する。
【0040】
用語「Tリンパ球反応」および「Tリンパ球活性」は、Tリンパ球に依存する免疫反応の要素(つまり、ヘルパーTリンパ球、細胞毒性のキラーTリンパ球、または、サプレッサTリンパ球へのTリンパ球の増殖および/または分化と、ヘルパーTリンパ球によるBリンパ球(抗体産生を引き起こす、または、防ぐ)への信号の提供と、細胞障害性Tリンパ球による特異的な標的細胞の死滅と、そして、他の免疫細胞の機能を調節するサイトカインのような可溶性の要素の放出)に言及するために、同義的に本願明細書において使用される。
【0041】
用語「免疫反応」は、リバー(抗体、サイトカイン、および、補体を含む)によって生じるリンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球と可溶性巨大分子の協調作用に言及し、リバーは、人体への選択的な障害や、人体の破壊や、人体の侵入する病原体、および、病原体、癌細胞によって感染された、または、自己免疫炎症または病理学的炎症の場合の細胞または組織からの除去をもたらす。
【0042】
本願明細書において使用されるように、用語「細胞表面受容体」は、信号を受信し、細胞の特性膜全体に信号の伝達ができる分子の分子と複合体を含む。本発明の「細胞表面受容体」の例は、T細胞受容体(TCR)またはCTLA−4のB7リガンドである。
【0043】
用語「非特異性のT細胞活性」は、抗原特異性から依存するT細胞の刺激に言及する。
【0044】
「標的細胞」は、組成物(例えば、本発明のヒト配列抗体またはヒト単クローン抗体、本発明の特異性分子または多重特異性分子)によって標的とされる被検者(例えば、人間または動物)のいかなる望ましくない細胞をも意味する。標的細胞は、ヒトCTLA−4を発現または過剰発現する細胞となりうる。ヒトCTLA−4を発現する細胞は、腫瘍細胞(リンパ腫)を含むことができる。
【0045】
また、本発明においては変性した抗体を含む。用語「変性した抗体」は、例えば、抗体の部分を削除するか、追加するか、または、置換することによって変性した、単クローン抗体、キメラ抗体およびヒト化抗体などの抗体を含む。例えば、抗体を、定常領域の削除や半減期(例えば、血清半減期)、抗体の安定性または親和性を増加する定常領域と交換することによって変性させることができる。
【0046】
本発明の抗体複合体は、(例えば、エフェクター細胞を補充するため、)得られる生物反応を変えるか、または、生物反応を生成するために使用される。薬用成分は、典型的な化学治療薬に制限されるとしては解釈されない。例えば、薬用成分は、所望の生物活性を所有しているタンパク質またはポリペチドである。このようなタンパク質は、酵素的に活性な毒素またはフラグメントのタンパク質(例えば、アブリン、リシンA、プソイドモナス・エキソトキシン、または、ジフテリアトキシン)と、腫瘍壊死因子またはインターフェロンαなどのタンパク質、または、生体応答調節剤(例えば、リンフォカイン、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)または他の増殖因子)と、を含む。
【0047】
<現状打開事態の誘因>
本方法の目的は、過量投与を防ぐとともに、最も短い時間量においてBEを達成することである。これは、BEを引き起こすために薬物の用量を滴定することによって達成される。所望の効果を達する薬物用量を滴定方法は、例えば、降圧剤の投薬がある高血圧症治療が血圧における所期の効果を達成するために滴定されるように、医術において周知である。このような方法は、例えば、固定された投与間隔において同じ量の薬物の投薬を繰り返すが、用量を増加させるか、投与間隔を減少させるか、または、用量と投与間隔の組み合わせを変化させることがより好ましい。
【0048】
抗CTLA−4抗体の初回投薬は、一般的に、3週間から8週間ごとに投与される抗体の310mg/kgから10mg/kgを含む。抗CTLA−4抗体の初回投薬後、BEを検出するために、患者は、一般的に投与間隔クール、または、1週間から4週間の十分な期間において臨床医によって探知される(検出方法については以下を参照)。BEは、自己反応性T細胞の拡大を必要とするので、いかなる治療効果的な投薬後に明らかとなるのは、1週間から4週間かかることが予想される。探知期間のBEの非発症は、抗CTLA−4抗体の更なる投与が必要であることを臨床医に知らせる。抗CTLA−4抗体の投与後、BEに関して患者を探知すると、少なくとも、BEが引き起こされてと検出されるまで、付加的な用量が投与される。患者の免疫状態(先行の免疫療法、疾病状態、年齢、その他に作用される)を含む要素が、BEを引き起こすのに必要な投薬に影響を与えることができるということが、当業者によって認められよう。熟練した臨床医は、BEを引き起こす以降の投与量同様に初回量を測定するとき、このような要素を考慮に入れることが可能であろう。これらの要素は、BEを引き起こすために、以降の用量も同様に初回量を測定する際に考慮されなければならない。
【0049】
本発明の方法が、患者において服用量過多を引き起こさず、最も短い期間のBEを引き起こすようにするため、BEについての患者の探知期間を1週間から4週間に短くすることは好都合であり、2週間から3週間にすることがより好ましい。付加的な投薬がBEの達成に必要である場合、用量は、前回の用量の10%以上100%以下によって増加される。例えば、患者に3mg/kgの投与を初回に行い、3週後に2回目の投与を行なうように計画されるものの、3週期間の後にBEを達成しない場合、患者への用量は6mg/kg(つまり、100%の増加)に増加することができる。別の例において、患者に10mg/kgの投与を初回に行い、8週後に2回目の投与を行なうように計画されるものの、探知4週間後にBEを達成しない場合、患者への投与間隔は、8週から4週まで減らし、その一方で、10mg/kgの投薬を維持することができる。当業者によって、BEを引き起こす本発明の方法の実施において、さまざまな用量と間隔を変化させることができるということが認められよう。
【0050】
<現状打開事態の検出>
BEは、症状、徴候または検査異常所見として明らかにすることができる。したがって、このような事象の検出は、病歴(自覚徴候に関する)、検診および/または画像診断検査(他覚徴候に関する)、および、検査(異常検査所見に関する)を必要とする。最初の所見に従い、臨床医は、付加的な検査(例えば内視法または生検法)の指示を選択する。
【0051】
臨床医は、皮膚(皮膚炎、発疹、そう痒症)、胃腸管(腹痛、圧痛、下痢)、内分泌系(ホルモン濃度の抑制)と肝臓(肝炎、肝臓機能検査で見られる隆起)に挙げられる、より一般的なBEの検出に関して特に注意を払う。しかしながら、臨床医は、いかなるBEを検出するようにする必要がある。「Cancer Therapy Evaluation Program、Common Terminology Criteria for Adverse Events」は、BE(有害事象)をリスト化し、これらの事象関するグレードシステムを提供する。また、本出版物は、患者の探知、および、BEの検出において臨床医を支援するガイドとして役に立つ。
【0052】
患者の探知は、自覚徴候と総合的な検診に関する周期的で総合的な病歴を含む。BEの影響を受けやすい各器官系が検査される。例えば、皮膚科系に関連する病歴は、痒み、剥れ、痛み、および、皮膚色の変化に関する疑いを含む。皮膚の検診は、例えば、全ての可視性の真皮の細密検査を含む。更に、検査は、臨床医の判断に基づいて、例えば、皮膚生検法を含むことができる。
【0053】
検診を早急に行なう必要がない、無症状の器官系のBEの検出は、検査と画像診断検査によって確実性を付け加えるために必要となる。例えば、肝炎は、検診によって、肝臓機能検査とCTスキャンを使用して、より早い段階で発見される。
【0054】
BEの検出は、抗CTLA−4抗体の投与に続く患者を臨床的に探知することに依存する。広範囲の診断法は、BEを検出するために、臨床医によって使用される。
【0055】
<癌治療法>
本発明および代用治療終末点のCTLA−4抗体は、患者(以前癌ワクチンを投与されたか、または、自然の感染防御免疫が腫瘍対して何らかのレベルを示す)の悪性腫瘍の治療において使用される。抗体は、化学療法、放射線療法、サイトカイン、ケモカインおよび他の生物の信号分子、腫瘍特異性のワクチン、自己幹細胞救済と同種幹細胞救済(例えば、増強移植対腫瘍効果に対する)、他の治療用抗体、治療標的分子、抗血管形成治療、治療目的を有する感染因子(例えば、腫瘍に集まるバクテリア)、および、遺伝子療法などの、単剤、1つ以上の他の治療薬の組み合わせ、または、腫瘍に対する免疫療法ワクチンとの連動として使用される。抗体は、単一投与または多回投与される。単一または上述した治療法に関連して、抗体は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法で使用される。
【0056】
また、BEを治療することを意図される治療薬(例えば、ステロイド)が、本発明の方法において使用される。したがって、BEを治療する治療薬は、BEの診断に続いて患者に投与される。
【0057】
本発明は腫瘍(特に、免疫学的に高感度な腫瘍)の治療を目的し、その腫瘍は、それは免疫療法に反応する癌または免疫不全状態である患者において発症する癌である。一実施形態において、腫瘍は、充実性腫瘍である。本発明に従って治療される腫瘍の例は、以下の肉腫と癌腫を含むが、これらに制限されない。繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、リンパ腫、黒色腫、カポシ肉腫、骨髄原発性肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸直腸癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、卵嚢癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆道癌、絨毛膜癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および、網膜芽細胞腫。
【0058】
別の実施形態において、増殖性異常の変化(例えば、異形成(metaplasias)と異形成(dysplasias))は、子宮頸管、食道、および、肺の上皮組織などにおいて治療または予防される。したがって、本発明は、過形成、異形成(metaplasias)、または、特に、異形成(dysplasias)からなる非腫瘍性細胞発育は発生した場合、新生物または癌への進行に先行すると分かる状態、または、疑わしい状態における治療を提供する。(このような異常増殖条件の概要は、「RobbinsおよびAngell、1976、「Basic Pathology(第2編)」、W.B.Saunders社、Philadelphia、68ページから79ページ」参照のこと。)過形成は、構造または機能の有意な変化なしで、組織または器官における細胞数の増加を含む制御細胞の増殖の形である。1つの例外として、子宮内膜増殖症はしばしば子宮内膜癌に先行する。異形成(metaplasias)は、成人の分化細胞、または、完全な分化細胞の1つのタイプが成体細胞の別のタイプの代わりとなる、制御細胞の発育の形である。異形成(metaplasias)は、上皮細胞組織または結合組織細胞において発生する。異型の異形成(metaplasias)は、やや無秩序な異形成上皮を含む。異形成(dysplasias)は、よく癌の前兆となり、上皮において主に見られ、非腫瘍性細胞の発育で最も無秩序な形であり、個々の細胞の均一性の細胞の構造配列の損失を含む。異形成(dysplasias)の細胞は、しばしば異常に大きな濃染核を有し、多形態性を呈する。異形成(dysplasias)は、慢性刺激または炎症が存在するところにおいて、特徴的に発生し、子宮頸管、気道、口腔、および、胆嚢においてしばしば見られる。このような障害の概要に関しては、「Fishman他、1985、「Medicine(第2編)」、J.B.Lippincott社、Philadelphia」を参照のこと。
【0059】
また、本発明は、不適正な増殖を被る組織に対して、本発明の治療上有効量のベクターを投与することにより、脈管形成によって増大した不適正な細胞増殖または組織増殖を含む非悪性腫瘍と他の障害の治療を目的とする。例えば、本発明が、特に頭蓋内の部位における動静脈(AV)形成異常の治療のために有用であることが考察される。本発明は、また、乾せん症(炎症および血管増殖によって特徴づけられる皮膚科的状態)、前立腺肥大症(炎症および血管増殖に関連する状態)を治療するために使用される。他の過剰増殖の障害の治療もまた、考察される。
【0060】
抗CTLA−4抗体による治療は、癌ワクチンで治療される患者の既存の記憶反応を活性化するために使用される。したがって、ワクチン治療を受ける患者は、免疫反応を引き起こすか、または、強化するために、抗CTLA−4抗体によるさらなる治療に選択される。
【0061】
一実施形態において、患者は、以前抗制癌ワクチンによる治療を受けていた。癌抗原は、例えば、メラノーマ抗原または前立腺癌抗原であり得る。一実施形態において、患者は人間である。好ましい実施形態において、抗CTLA−4抗体は、ヒト抗CTLA−4抗体である。本発明の好ましいヒト抗CTLA−4抗体は10D1であるが、本発明の方法は、いかなるヒトCTLA−4抗体によって使用される。他の実施形態において、抗CTLA−4抗体は、組換え抗体(例えばキメラ型、または、ヒト化(例えば、CDR融合化)の抗CTLA−4抗体である。
【0062】
抗体によるCTLA−4の遮断は、患者の癌細胞に対して、記憶免疫応答または二次免疫応答を強化することができる。CTLA−4に対する抗体は、免疫を刺激するため、免疫原性因子(例えば、癌細胞、精製された腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、および、炭水化物分子を含む)、細胞、および、免疫刺激サイトカインとB7のような細胞表面抗原を符号化する遺伝子でトランスフェクションした細胞(Hurwitz、A.他、(1998)、「Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.1998」、95:10067−10071参照)、または、単独で使用される細胞と組み合わせられる。
【0063】
ワクチン接種に続く、CTLA−4遮断は効果的である。腫瘍に対するワクチン接種の多くの実験的な方式が考案された。以下を参照のこと。
Rosenberg,S.、2000、「Development of Cancer Vaccines」、ASCO Educational Book Spring、60−62
Logothetis,C.、2000、ASCO Educational Book Spring:300−302
Khayat,D.、2000、ASCO Educational Book Spring:414−428
Foon,K.2000、ASCO Educational Book Spring:730−738
Restifo,N.およびSznol,M.、「Cancer Vaccines」、Ch.61、DeVita,V.他(編)におけるpp.3023−3043、1997、「Cancer:Principles and Practice of Oncology」、第5編
これらの方式のうちの1つにおいて、ワクチンは、自己腫瘍細胞または同種腫瘍細胞を使用して調製される。これらの細胞ワクチンは、腫瘍細胞がGM−CSFを発現するために特性導入されるとき、最も効果的であることが示されている。GM−CSFは、腫瘍のワクチン接種のための抗原提示の効力のある活性化因子であることが示されている(Dranoffet他、「Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.1993」、90:3539−43)。
【0064】
GMCSFを修正した腫瘍細胞ワクチンを促進する抗CTLA−4遮断薬は、多くの実験腫瘍モデル(例えば乳癌(Hurwitz他、1998、前述)、原発性前立腺癌(Hurwitz他、「Cancer Research 2000」、60:2444〜8)と黒色腫(van Elsas他、「J.Exp.Med.1999」、190:355−66)においてワクチンの有効性を改良する。これらの例において、非免疫原性腫瘍(例えば、B16黒色腫)は、免疫系による破壊に対して作用を受けやすくなっている。また、腫瘍細胞ワクチンは、他の免疫賦剤(例えば、IL2)、および、特に共刺激性分子を発現するように修正される。
【0065】
さまざまな腫瘍の遺伝子特性発現と大規模な遺伝子特性発現パターンの研究は、いわゆる「腫瘍特異性抗原」の定義に導いた(Rosenberg、「Immunity 1999」、10:281−7)。多くの場合、これらの腫瘍特異性抗原は、腫瘍において、および、腫瘍の発生元の細胞(例えば、メラノサイトの細胞抗原(gp100)、MAGE抗原、Trp−2)において発現する分化抗原である。さらに重要なことに、これらの抗原の多くは、宿主において見られる腫瘍特異性T細胞の標的であることが示される。CTLA−4遮断薬は、組み換え型のタンパク質に対する二次免疫反応または記憶免疫反応を強化するため、腫瘍において発現が見られる組み換え型のタンパク質および/またはペプチドベースのワクチンとともに刺激剤として使用される。組み換え型のタンパク質は、免疫系において自己抗原として通常みなされるため、これらのタンパク質に対して耐性である。また、腫瘍抗原は、タンパク質テロメラーゼを含み、染色体のテロメアの合成に必要とされ、85%より多くのヒト癌において、および、限定された数の体細胞組織だけにおいて発現される(Kim他、「Science 1994」、266:2011−2013)。これらの体細胞組織は、さまざまな手段によって免疫攻撃から保護される。また、腫瘍抗原は、タンパク質配列を変えるか、または、2つの無関係な配列(つまり、フィラデルフィア染色体におけるbcr−abl)間の融合タンパク質を生成する体細胞突然変異、または、B細胞腫瘍からイディオタイプによって癌細胞において発現する「新生抗原」である。他の腫瘍ワクチンは、ヒト癌に関係するウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、肝炎ウイルス(HBVおよびHCV)、および、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KHSV)など)からのタンパク質を含む。CTLA−4遮断薬とともに使用される腫瘍特異性抗原の別の形態は、腫瘍組織自体から分離される精製された熱ショックタンパク質(HSP)である。これらの熱ショックタンパク質は、腫瘍細胞からタンパク質のフラグメントを含み、腫瘍免疫を引き出す抗原提示細胞に対し輸送時において、非常に効果的となる(SuotおよびSrivastava、「Science 1995」、269:1585−1588、および、Tamura他、「Science 1997」、278:117−120)。
【0066】
樹状細胞(DC)は、主な抗原特異性反応に使用される効力のある抗原提示細胞である。DCは、生体外で生じ、腫瘍細胞抽出物と同様にさまざまなタンパク質抗原とペプチド抗原で満たされる(Nestle他、「Nature Medicine 1998」4:328−332)。また、DCは、これらの腫瘍抗原も同様に発現する遺伝子的手段によって特性導入される。さらに、DCは、免疫化)のために、腫瘍細胞に直接溶解する(Kugler他、「Nature Medicine 2000」、6:332−336)。ワクチン接種法としてのDC免疫化は、より効力のある抗腫瘍反応を活性化するためにCTLA−4遮断薬によって効果的に促進される。
【0067】
免疫アジュバント(例えばMELACINE(登録商標)ワクチン、DETOXTM免疫アジュバントを加えた2つのヒトのメラノーム細胞株からのライセート混合薬)と共に、CTLA−4遮断薬と組み合わせられる、別のタイプの黒色腫ワクチンは、メラノーム細胞株ライセートから調製されるワクチンである。ワクチン治療は、付加的な化学療法の治療の有無にかかわらず、抗CTLA4によって促進される。
【0068】
<感染症>
本発明の他の方法は、特定の毒素または病原体に曝された患者を治療するために使用される。上記のように腫瘍に対する用途同様、CTLA−4遮断薬を媒体とする抗体、および、代用治療終末点は、ワクチンと結合して、病原体、毒素、および、自己抗原への二次免疫反応または記憶免疫反応を刺激するために、単独で、または、アジュバントとして使用される。CTLA−4遮断薬は、ブラジル鉤虫(McCoy,K.他、(1997)186(2)、183−187)およびドノバンリーシュマニア(Murphy、M.他(1998)、「J.Immunol.」、161:4153−4160)の感染の急性相に効果的であることが示されている。本治療手段が特に有用である病原体の例は、効果的ワクチンが現在存在しないか、あるいは、従来のワクチンが決して完全に効果的なものではない病原体を含む。これらの病原体には、HIV、(A型、B型、および、C型)肝炎、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア、マラリア、リーシュマニア、黄色ブドウ状球菌と緑膿菌を含むが、これに限定されない。CTLA−4遮断薬は、作用因子(感染の流れにおいて改変した抗原を示すHIVなど)によって確立した感染に対して免疫を促進する際に有用である。これらの新しいエピトープは、抗ヒトCTLA−4投与時に異種として認識される。したがって、CTLA−4による負の信号によって緩衝されない強力なT細胞反応を引き起こす。
【0069】
本発明の方法によって治療可能な感染を引き起こす病原ウイルスのいくつかの例は、(A型、B型、または、C型)肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV−1、HAV−6、HSV−II、CMV、および、エプスタインバーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、はしかウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクチニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、乳頭腫ウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスとアルボウイルス脳炎ウイルスを含む。
【0070】
本発明の方法によって治療可能な感染を引き起こす病原細菌のいくつかの例は、クラミジア、リケッチア菌、放線菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺球菌、髄膜炎菌、淋菌、クレブシェラ菌、プロテウス菌、セラチア菌、シュードモナス菌、レジオネラ菌、ジフテリア、サルモネラ菌、バチルス菌、コレラ菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、炭疽病、ペスト菌、レプトスピラ菌とライム菌を含む。
【0071】
本発明の方法によって治療可能な感染を引き起こす病原菌類のいくつかの例は、カンジダ属(C.albicans、C.krusei、C.glabrata、C.tropicalisなど)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス、アスペルギルス(フミガタス、ニガー、その他)、ケカビ属(ケカビ、アブシディア、クモノスカビ)、スポロトリクス属シェンキィ、ブラストミセス・デルマティティディス、ブラジルパラコクシジオイデス、コクシジオイデス・イミティスとヒストプラズマ・カプスラーツムを含む。
【0072】
本発明の方法によって治療可能な感染を引き起す病原性寄生体のいくつかの例は、赤痢アメーバ、大腸バランチジウム、ネグレリア・フォーレリ、アカントアメーバ種、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム種、ニューモシスチス・カリニ、三日熱マラリア、ネズミバベシア、ブルーストリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、ドノバンリーシュマニア、トキソプラズマ・ゴンディ、ブラジル鉤虫を含む。
【0073】
<有益な自己免疫反応の促進>
【0074】
自己免疫反応を引き起こしてと増幅する抗CTLA−4抗体と代用治療終末点の能力は、多くの実験系(EAE−実験的自己免疫脳脊髄炎、MS(Perrin他、「J Immunol 1996」、157:1333−1336)、および、糖尿病(Luhder他、1998、前述)用マウスのモデル)において実証されている。実際、腫瘍細胞とペプチドワクチンを使用する抗腫瘍反応の誘起は、多くの抗腫瘍反応が抗自己反応を含むことを以下において明らかにする。
前述のvan Elsas他における抗CTLA−4+GM−CSFを修正したB16黒色腫において観察される色素消失
Trp−2のワクチン接種したマウスの色素消失(Overwijk他、「Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999」、96:2982−2987)
TRAMP腫瘍細胞ワクチンによって引き起こされる自己免疫前立腺炎(Hurwitz 2000、前述)
ヒト臨床試験における黒色腫ペプチド抗原のワクチン接種および白斑の観察
【0075】
従って、疾患治療のためのこれらの自己タンパク質に対して免疫反応を効果的に生成するワクチン接種手順を考案するため、さまざまな自己タンパク質と連動して刺激する抗CTLA−4の使用することを考えることが可能である。例えば、アルツハイマー病は脳内のアミロイド蓄積におけるAβペプチドの不適当な蓄積を含み、アミロイドに対する抗体反応によって、これらのアミロイド蓄積を取り除くことができる(Schenk他、Nature 1999、400:173−177)。
【0076】
また、他の自己タンパク質は、標的(アレルギーおよび喘息の治療用のIgE、および、慢性関節リウマチの治療用のTNF)として使用される。最終的には、さまざまなホルモン類への抗体反応は、抗CTLA−4抗体の使用によって引き起こされる。生殖ホルモンに対する中和抗体応答は、避妊のために使用される。また、ホルモン類に対する中和抗体応答および特定の腫瘍の増殖のために必要とされる他の可溶性の要素は、考えられるワクチン接種の標的としてみなされる。
【0077】
抗CTLA−4抗体および代用治療終末点の使用に関する上記に類似の方法は、他の自己抗原(アミロイド蓄積、アルツハイマー病に含まれるAβ、TNFαおよびIgEなどのサイトカイン)の不適切な蓄積を有する患者を治療する、自己免疫反応の誘起のために使用される。
【実施例】
【0078】
また、本発明は、以下の実施例によって記述される。しかしながら、本願明細書のいかなる記述においては、これらの実施例、または、他の実施例の使用が例証されるのみであり、本発明、または、例示されるいかなる用語の範囲および意味を決して制限するものではない。同様に、本発明は、本願明細書において記述されるいかなる特定の好ましい実施形態にも制限されない。実際、本発明の多くの修正および変更は、本願明細書を読む際、当業者にとって明白であり、そして、その趣旨および範囲から逸脱することなく行われる。従って、本発明は、本願請求項が権利を与えられる範囲と同等である包括的な範囲に沿った添付の請求の範囲の用語によってのみ制限されよう。
【0079】
実施例1
<切除したステージIII/IV黒色腫のための黒色腫ペプチド/IFAを有する抗CTLA−4抗体の臨床試験結果>
ステージIII(2人の患者)、または、ステージIV(17人の患者)の黒色腫を摘出した19人の患者に、不完全フロイントアジュバント(IFA)を有するgp100/チロシナーゼ/MART−1のペプチドワクチンの各注射とともにCTLA−4抗体10D1の用量(0.3mg/kg、1mg/kg、および、3mg/kg)を投与した。患者は、HLA−A2+であっておよびIFN−αによる先行治療を受けていなかった。腫瘍は、gp100、チロシナーゼおよび/またはMART−1に対してIHC陽性であった。除外基準には、MDX−010またはMART−1(gp100およびチロシナーゼペプチド)による自己免疫性疾患および先行治療を含めた。チロシナーゼ368−376(370D)、MART−1 26−35(27L)およびgp100209−217(210M)ペプチドは、それぞれ、HLA結合を増加する1つのアミノ酸変性により、正常型とは異なっていた。
【0080】
抗CTLA−4抗体およびペプチドワクチンを、4週間おきに6週間、そして、3ヵ月ごとに×2(2回)(合計投与回数8)投与した。ペプチドワクチンを、IFAにおいて乳化状態にし、1回の投与においてそれぞれ1mgを皮下に投与した。3つのコホートに対して、0.3mg/kgIV、1.0mg/kgIV、または、3.0mg/kgIVの抗CTLA−4抗体を投与した。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
以下のSAEを含む。
1)40歳男性は、3mg/kgの抗CTLA−4抗体の第1回目注入後、グレード2の下痢(2日)、および、グレード3の腹痛(10日)を発症した。腹部および骨盤のCTスキャンにより、肥厚および回腸終末部および盲腸壁の炎症が示された。4日後の繰り返しCTスキャンにより、異常所見の解像が示された。患者に対して、その症状の治療を行い、発症から16日後に回復した。
2)42歳の女性は、3mg/kgの抗CTLA−4抗体の第1回目注入6日後に、グレード3の下痢を発症した。患者に対して、IV水和剤および抗生物質による治療を行なった。
3)54歳の男性は、3mg/kgの抗CTLA−4抗体の第3回目注入後、グレード3の下痢を発症した。患者のスツール検査において、白血球(WBC)に関して陽性だった。下痢は、抗生物質で治療され、発症から8日後に回復した。
4)56歳の男性は、1mg/kgの抗CTLA−4抗体の第2回目注入後、グレード3の血性下痢および両側ブドウ膜炎を発症した。患者のスツール検査においては白血球が陽性であり、S状結腸鏡検査法で炎症を起こした腸壁がみられ、そして、CTスキャンは厚くなった盲腸壁を示した。患者は、経口ステロイドおよび局所ステロイドによる治療に対して、ほぼ即時の反応を示した。全ての症状は、3ヵ月後に回復した。
【0084】
<結論>
最も多い投与のコホートにおいて、再発はなかった。抗CTLA−4抗体用量に依存的で、臓器特異的の自己免疫的な有害事象が観察された。これらの有害事象は、治療可能で、そして、可逆性であった。
【0085】
実施例2
<外科的に切除不能なステージIIIまたはIVの黒色腫患者における抗CTLA−4抗体の単一投与の臨床試験の結果>
フェーズI非盲検多施設臨床試験は、切除不能な進行性悪性黒色腫患者17人のMAb 10D1の安全性および薬物動態学を評価するために実施された。年齢の正中値は、59歳(範囲29歳から79歳)であった。9人の患者は、先行の免疫療法を受け、6人の患者は先行の放射線療法を受け、5人は先行の化学療法を受けていた。全ての患者に、90分にわたって静脈内に3mg/kgの10D1を1回投与し、それから毒性、薬物動態、循環T細胞活性化および臨床的な結果を追跡した。全ての注入において、ほんの軽度の有害事象が発症した。7人の患者は、軽度の、可逆性の発疹またはそう痒症を発症した。抗体の血漿レベルは、1ヶ月から4ヶ月まで持続した。活性化された末梢T細胞における有意な増加、および、軽度の発疹以上の臨床的な自己免疫の所見はなかった。2人の患者は、3つの軟組織塊の分解と、肺質量の50%を超える減少を含む部分寛解を体験した。さらにまた、肺質量における50%を超える減少を体験した患者は、以前に黒色腫ワクチンによって治療された患者であり、抗CTLA−4抗体治療が腫瘍への既存の記憶反応を活性化することが可能であることを示唆した。本研究の結果は、抗CTLA−4治療が、免疫性で明白な所見によって十分に耐容性があり、そして、抗腫瘍活性であることを示す。
【0086】
【表3】

【0087】
実施例3
<gp100ペプチドワクチンと組み合わせた抗CTLA−4抗体の臨床試験結果>
A.コホート1
ステージIVの進行性黒色腫患者14人に、2つのHLA−A*0201制限gp100ペプチドを有するワクチンとともに、抗CTLA−4抗体10D1を投与された。患者特性は、表3にまとめられる。
【0088】
【表4】

【0089】
全ての患者は、60%以上のKamofsky performance statusを有するHLA*0201+であった。6人の患者には、内臓転移があった。患者は、自己免疫疾患または免疫不全疾患の所見がなかった。全ての患者は、それらの一次病巣の先行手術を受けていた。6人の患者は、先行の化学療法を受けていた。11人の患者は、インターフェロン−α(患者2、5から8、10、12および13)、低用量IL−2(患者2、5および13)、高用量IL−2静脈内投与(患者4、7および8)、黒色腫のホールセルワクチン(患者1、2および6)、NY−ESO−1ペプチドワクチン(患者4および5)およびGM−CSF(患者9)を含む先行の免疫療法を有した。患者は、先行のgp100の免疫療法を受けておらず、そして、治療前に3週間は全身性治療も受けていなかった。
【0090】
治療サイクルは3週間ごとに、不完全フロイントアジュバント(IFA)に乳化された1mgのgp100:209−217(210M)ペプチド(IMDQVPFSV)1を第1の肢に皮下注射し、そして、IFAに乳化した1mgのgp100:280−288(288V)ペプチド(YLEPGPVTV)(National Cancer Institute Cancer TherapyEvaluation Programによって提供される合成ペプチド)を第2の肢に皮下注射した後、90分にわたり3mg/kgの抗CTLA−4抗体10D1を静脈内投与するものであった。患者は先行の除去療法を行い、2回の治療サイクルを3週間ごとに行った。末梢血単核細胞(PBMC)は、次に使用するまで、フィコール・ハイパック分離によって分離され、10%のジメチルスルホキシドとともに熱不活性ヒトAB血清において低温保存され、そして、−180℃で保存された。
【0091】
臨床反応は、胸部、腹部および骨盤のコンピュータ断層写真(CT)、および、脳の磁気共鳴画像(磁気共鳴映像法)を使用して評価された。これらの画像診断検査は治療開始4週以内、および、2回の治療サイクルごとに実行された。付加的な放射線学的検査は、疾患部位を評価するために必要なときに使用された。各患者における最も長い腫瘍の直径の合計(世界保健機構RECIST基準)は、治療の前後に計算された。部分寛解は、少なくとも1ヵ月続く全ての評価可能な転移腫瘍のうち最も大きな直径の合計において、30%より多く100%未満の減少、および、新たな腫瘍または拡大した腫瘍はないものとして定義された。完全寛解は、少なくとも1ヵ月続く全ての評価可能な転移腫瘍のうち最も大きな直径の合計において、100%の減少、および、新たな腫瘍または拡大した腫瘍はないものとして定義された
【0092】
患者を、自己免疫反応に対して評価した。患者は、治療前および初期治療3ヵ月後に眼科検査を受けた。全ての患者は、サイログロブリンAb、リウマチ因子および抗核抗体の検査開始前の血清血液検査結果は陰性であった。ヒト抗ヒト(抗イディオタイプ)Ab、赤血球沈降速度、抗核Ab、甲状腺刺激ホルモンおよび遊離T4レベルは、検査の間3週ごとに測定された。
【0093】
MDX−010の血漿中濃度は、CTLA−4−Ig(R&D Systems、Minneapolis、Minnesota)で覆われるマイクロタイタのウェルによって標準のELISAを使用して測定された。プラズマ試料の希釈剤は、プレートで培養された。結合された抗CTLA−4 Abは、アルカリホスファターゼ標識のヤギ抗ヒトIgGF(ab)−特異プローブ(p−NPP基質により発現)によって検出された。
【0094】
12日間の生体外における増感分析(ELISPOT分析またはテトラマ分析より高感度)は、試験可能なPBMCを用いて全11人の患者の免疫反応性を評価するために使用された(Rosenberg,S.A.他、「Immunologic and therapeutic evaluation of a synthetic peptide vaccine for the treatment of patients with metastatic melanoma.Nat.Med.4」、321−327 (1998))。低温保存されたPBMCは、1μMの未変性gp100:209−217またはgp100:280−288のペプチド、および、300IU/mlのIL−2を有する10%の熱不活性ヒトAB血清によって完全なイスコーブをベースにした培地において解凍され、培養した。細胞を、培養の開始の11〜13日後に収集し、そして、腫瘍細胞またはペプチドパルスしたT2細胞によって、一晩、共培養した。上澄み液におけるインターフェロン−γ(IFN−γ)放出は、商業的なELISA分析(Pierce−Endogen、Rockford、Illinois)を使用して測定された。全11人の患者は、1回から4回の治療サイクル後、未変性gp100:209−217ペプチドに対して良好な免疫を呈した。6人の患者は、未変性gp100:280−288のペプチドに対して良好な免疫を呈した。
【0095】
フローサイトメトリ解析を、抗体(BD Biosciences、San Diego、California)またはテトラマ(Beckman Coulter Immunomics、San Diego、California)を用い、Fc受容体ブロッキング、そして、染色後に実行した。9人の患者のPBMC上の表面マーカーの発現を、2回の治療サイクルの前後に比較した。HLA−DR(活性化マーカー)発現は、治療後のCD3+CD4+細胞(P=0.0004、ペアードT検定)、そして、CD3+CD4+(おそらくCD8+)細胞(P=0.04)において、かなり増加した。CD3+CD4+細胞もまた治療後、CD45RO(記憶細胞マーカー)(P=0.04)の発現のかなりの増加を示した。CD69、CD25、および、CTLA−4を発現する細胞群のパーセントは変化なかった。
【0096】
患者1、11、および、13は、応答者であった(表15)。患者1においては、2回の治療サイクル後、孤立性肺病変が収縮した。患者13においては、孤立性肺病変、および、副腎病変が完全に分解した。患者11においては、31か所の肺病変、2か所の皮下病変、および、1か所の脳病変があった。脳病変は、2回の治療サイクル後、0.5cmからほぼ1.0cmに大きくなった。患者11においては、3回の治療サイクル後、脳病変を含む全ての病変が完全に分解した。
【0097】
グレード1/2の有害事象には、下痢(患者3、5、および、14)、皮膚発疹(患者14)、肺浸潤、および、軽度の腹膜性胸痛(患者4)、および、白斑(患者2、および、6)を含んだ。
【0098】
6人の患者においては、皮膚炎(患者1、2、および、13)、大腸炎/腸大腸炎(患者1、および、9)、脳下垂体炎(脳下垂体の炎症)(患者11)、および、肝炎(患者12)を含む7つのグレード3の有害事象が発症した。全ての患者においては、治療を中止し、そして、支持看護および/またはステロイド療法の投与後に回復した。再発または二次的な自己免疫事象はなかった。
【0099】
自己免疫スクリーニング用の血液検査は、抗核抗体(ANA)を発現した患者5、および、12を除いて正常だった。
【0100】
1回目の投与後のMDX−010の平均ピークは、72±33μg/mLあり、2回目の投与前のトラフは、12±7μg/mLであった。血漿中濃度または抗体距離と、腫瘍退縮または毒性の間の明白な相互関係は、観察されなかった。
【0101】
患者1(部分的な応答者)においては、第2の治療サイクルの1週後に、重症のそう痒症と関連する全身性紅斑性の斑丘疹状発疹を発症した。皮膚生検によって、アレルギー性薬疹に一致した血管周囲のリンパ球性浸潤、および、好酸性浸潤、乳頭状の皮膚水腫、および、表皮の海綿症が示された。2日後に、患者1は重症下痢を発病したため、彼にIV水和剤を与えた。胃腸内視鏡検査、および、生検において、著しい十二指腸、および、結腸のリンパ球増多症、プラズマ細胞増加症、および、好酸球増加症を有する炎症、および、複数領域における粘膜潰瘍を示した。免疫組織化学的検査において、炎症性浸潤におけるCD3+細胞(CD8+>CD4+細胞)優位、プラズマ細胞のポリクローン性、および、脈管系、および、上皮系の増加したMHC−1およびHLA−DR発現性を示した。自己免疫性の全腸炎が診断され、そして、患者はIVメチルプレドニゾロンで治療された。患者は、24時間以内で著しく臨床的に改善され、および、ステロイドは5日にかけて序々に減少していった。患者の症状は、再発しなかった。
【0102】
患者2においては、1回目の治療サイクルの1週間後に軽度の全身性そう痒症を発症し、2週間後、ワクチン注射(右腕、および、左脚)を受けた肢において重症で、円形の、紅斑性発疹および黄斑性発疹へと進行した。皮膚生検において、表皮の海綿症、重大な乳頭状の皮膚水腫、および、膠原質の自己免疫に見られるような血管を含む顕著なリンパ球性浸潤、および、好酸性浸潤を示した。患者2には、ヒドロキシジンおよびジフェンヒドラミンによって臨床的に治療を行なった。発疹は、数週間後に消滅した。患者は、3週間後、両上肢において白斑を発症した。
【0103】
患者9は、2回目の治療サイクル11日後に下痢を発症した。内視鏡検査は、全大腸炎を示した。結腸生検において、著しい細胞浸潤、および、陰窩膿瘍を有する重症炎症を示した。免疫組織化学的検査において、大部分のリンパ球浸潤は、CD3+(CD4+細胞優位を有する)であり、プラズマ細胞がポリクローン性であり、そして、上皮性のMHC−1、および、HLA−DRの発現が増加したことを例証した。患者の下痢は、IVメチルプレドニゾロン治療によって改善し、そして、デキサメサゾン経口を徐々に減らすことによって抑制された。
【0104】
患者11(完全な応答者)においては、4回目の治療サイクルのあと、人格変化および記憶障害を発症した。脳のMRIにおいて、左側頭転移、および、他のいかなる異常の消失を示した。更なる評価は、汎下垂体機能低下症が示唆される、甲状腺刺激ホルモン、遊離T4、副腎皮質ホルモン、成長ホルモン、泌乳刺激ホルモン、および、テストステロンにおいて検知不能レベルを示した。繰り返し、集中的なMRIにおいて、標準寸法の最大値となった脳下垂体を示した。患者は、完全な臨床反応を表したので、高用量ステロイドを使用しなかった。患者は、チロキシン、テストステロン、および、ハイドロコーチゾンの代替投与を受けた。患者の人格、および、記憶異常は、回復した。追跡MRIにおいて、6週後に、脳下垂体の大きさがわずかに減少を示した。
【0105】
患者12は、3回目の治療サイクルの3週後に行なわれる定期的な血液検査において異常な肝酵素、および、抗核抗体を発現した。肝生検においては、主にリンパ球から成る多くの病巣の小葉性の炎症を有する急性肝炎を示した。免疫組織化学的検査は、主に門脈周囲領域のCD4+細胞、および、主に肝小葉のCD8+細胞とともに主にCD3+細胞浸潤を明らかにした。次の2週間、患者のアラニンアミノトランスフェラーゼレベルは、2860U/L(正常値は6から41)に達し、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベルは、1193U/L(正常値は9から34)に達した。低用量のプレドニソン経口治療を開始し、全ての値は4ヵ月後に標準値に減少した。
【0106】
患者13(部分的な応答者)は、4回目の治療サイクル1週間後、重症全身性エリトマトーデスとそう痒性の発疹を発症した。皮膚生検は、表面的な真皮内に大量の好酸球性を有する血管周囲のリンパ球性の浸潤を示した。免疫組織化学的検査において、主にCD3+細胞(CD4+細胞>CD8+細胞)がみられた。発疹の生検から培養されるリンパ球は、全てのCD8+であり、そのうち97%は、gp100:209−217:HLA−A*0201テトラマと反応した。発疹は、ヒドロキシジン治療によってゆっくり回復した。
【0107】
B.コホート2
コホート2の手順は、3mg/kgの抗CTLA−4抗体の初回服用の後に、コホート2の患者に、1mg/kgの抗CTLA−4抗体をペプチドワクチンとともに3週ごと投与したこと以外はコホート1と同じ手順である。コホート2の検査は、進行中である。現在までのところ、患者24人のうち3人(13%)は、他覚的な腫瘍反応を示し、患者24人のうち2人(8%)はSAEを発症した。
【0108】
【表5】

【0109】
<結論>
本検査は、黒色腫ペプチドワクチンと組み合わせた抗CTLA−4抗体に対する臨床反応が、自己免疫的な有害副作用の発生に強く関連することを例証した。自己免疫的な深刻な副作用を発症した8人の患者のうちの4人(50%)において、臨床反応を示した。28人の患者のうちの2人(7%)のみは、いかなる深刻な自己免疫的な副作用がない反応があった。
【0110】
実施例4
<MELACINE(登録商標)の認可療法と組み合わせた抗CTLA−4抗体の臨床試験の結果>
【0111】
13人の悪性黒色腫患者に、MELACINE(登録商標)(シクロホスファミドを含む)の認可療法と組み合わせて抗CTLA−4抗体10D1(8週間隔で3mg/kg×2用量)を投与した。他覚的な反応、および、深刻な有害事象は、観察されなかった。
【0112】
実施例5
<実施例3(gp100ペプチドワクチンと組み合わせた抗CTLA−4抗体の臨床試験)の統計分析>
38人の患者のうちの6人において、他覚的な腫瘍反応があった。これら6人の応答者のうち4人(66.7%)において、自己免疫の深刻な有害事象があった。反応のなかった32人の患者のうちの4人(12.5%)だけは、自己免疫の深刻な有害事象を発症しなかった。
【0113】
【表6】

【0114】
連続補正したカイ二乗検定、および、フィッシャーの正確確率検定によって、応答者、および、不応答者の間で自己免疫発現率が異なることを検定した。統計学的に有意の相互関係が、カイ二乗検定(p=0.0146)、および、フィッシャーの正確確率検定(p=0.0116)を使用することによって、応答者、および、自己免疫の深刻な有害事象を発症する患者の間にあることが分かった。
【0115】
実施例6
<実施例2、3、および、4の結果の統計分析>
68人の患者のうちの8人においては、他覚的な腫瘍反応があった。8人の応答者(50%)のうちの4人においては、自己免疫の深刻な有害事象があった。60人の患者のうちの4人の不応答者(6.7%)のみ、自己免疫の深刻な有害事象があった。
【0116】
【表7】

【0117】
連続補正したカイ二乗検定、および、フィッシャーの正確確率検定によって、応答者、および、不応答者の間で自己免疫発現率が異なることを検定した。統計学的に有意の相互関係が、カイ二乗検定(p=0.0028)、および、フィッシャーの正確確率検定(p=0.0049)を使用することによって、応答者、および、自己免疫の深刻な有害事象を発症する患者の間にあることが分かった。
【0118】
<引例>
特許、特許出願、および、様々な出版物を含む多数の参考文献が、本発明の記述において引用、および、記述される。このような参考文献の引用および/または説明は、単に本発明の記述を明らかにするためにのみに提供され、そのいかなる内容は、本願明細書において記述される、本発明の「先行技術」であるとは容認されない。本願明細書において記述され、説明される全ての参考文献は、その全体、かつ、引用によって含まれる個々の内容と同じ範囲において、本願明細書に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における癌治療方法であって、現状打開事態を引き起こし、前記現状打開事態を検出するために十分な用量の抗CTLA−4抗体の投薬を含む方法。
【請求項2】
前記現状打開事態が自己免疫反応である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現状打開事態が、付録1に記載されるように、National Cancer Institute Cancer Therapy Evaluation Program、Common Terminology Criteria for Adverse Events、Version 3.0に従ったグレード3または4の臨床的な事象である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記現状打開事態が、前記抗CTLA−4抗体の用量を増減させて投与することによって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記現状打開事態が、投与間隔を減少させて前記抗CTLA−4を投与することによって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記現状打開事態が、非腫瘍関連自己免疫の発現を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が、免疫学的に高感度な腫瘍である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が、悪性黒色腫である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
癌治療に効果的な用量の抗CTLA−4抗体の決定方法であって、被験者において、現状打開事態が観察されるまで抗CTLA−4抗体の用量および処方計画を調整し、投薬が治療効果のある用量である方法。
【請求項10】
現状打開事態が自己免疫反応である請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記現状打開事態が、付録1に記載されるように、National Cancer Institute Cancer Therapy Evaluation Program、Common Terminology Criteria for Adverse Events、Version 3.0に従ったグレード3または4の臨床的な事象である請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記現状打開事態が、前記抗CTLA−4抗体の用量を増減させて投与することによって引き起こされる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記現状打開事態が、投与間隔を減少させて前記抗CTLA−4を投与することによって引き起こされる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記現状打開事態が、非腫瘍関連自己免疫の発現を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記癌が、免疫学的に高感度な腫瘍である請求項9の方法。
【請求項16】
前記癌が、悪性黒色腫である請求項9に記載の方法。
【請求項17】
このような治療を必要とする患者における黒色腫の治療方法であって、現状打開事態を引き起こすのに十分な用量において抗CTLA−4抗体10D1を投与し、現状打開事態を検出する方法。
【請求項18】
前記現状打開事態が自己免疫反応である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記現状打開事態が、付録1に記載されるような、National Cancer Institute Cancer Therapy Evaluation Program、Common Terminology Criteria for Adverse Events、Version 3.0に従ったグレード3または4の臨床的な事象である請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記現状打開事態は、下痢、全腸炎、皮膚炎、脳下垂体炎、汎下垂体機能低下症、発疹、および、そう痒症から成るグループから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記現状打開事態が、抗CTLA−4抗体の用量を増減させて投与することによって引き起こされる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記現状打開事態が、投与間隔を減少させて抗CTLA−4を投与することによって引き起こされる、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記現状打開事態は、皮膚炎、白斑、および、全腸炎から成るグループから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
付加的な癌治療薬が投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
付加的なBE治療薬が投与される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2007−502330(P2007−502330A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533506(P2006−533506)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/016995
【国際公開番号】WO2005/003298
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(504378238)メダレックス インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】