説明

抗HPA

【課題】ヒト血小板アロ抗原を検出する新たな手段を提供すること。
【解決手段】ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体、前記抗体を用いて少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原の有無を検出する方法、前記抗体の産生方法、前記抗体を含む医薬組成物、および前記抗体を含有するキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体、前記抗体を用いて少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原の有無を検出する方法、前記抗体の産生方法、前記抗体を含む医薬組成物、および前記抗体を含有するキットに関する。
【背景技術】
【0002】
血小板アロ抗原に対する抗体は、免疫媒介疾患において重要な役割を果たす。HPA−1およびHPA−5は、病的状況に関係している最も重要な血小板アロ抗原である。白色人種におけるHPA−5に関する近似的な遺伝子型頻度は、HPA−5aaが79.4%、HPA−5abが19.4%、HPA−5bbが1.2%である。したがって、人口の相当程度の比率が、妊娠または輸血後にHPA−5抗原で免疫される危険性に瀕している。HPA−5のこの2つの対立形質間の差異を含有するアロ抗原は、糖タンパクIa(GPIa)上に配置され、このGPIaはGPIIaと非共有結合で結合している。HPA−5b対立遺伝子は、1648番塩基にグアニンの代わりにアデニンを含有するため、2つの当該対立遺伝子の免疫学的差異の原因となるグルタミン酸からリジンへのアミノ酸置換が生じている。GPIa/IIa(VLA−2、CD49b/CD29)は、細胞間および細胞・マトリックス間の相互作用に関与する接着受容体のインテグリンファミリーに属する。機能的に、GPIaはコラーゲン結合部位を含有している。血管が損傷した場合、内皮下のコラーゲンが露出する。血小板の重要な生理的活性化剤として、GPIa/IIaに結合するコラーゲンは凝集および接着を誘発する。
【0003】
GPIa/IIa上のHPA−5bに対するアロ抗体は、同種免疫性新生児血小板減少(NAIT)の症例および多回輸血患者の血清において初めて見出された。発明者等の経験では、HPA−5bに対する同種免疫が原因のNAITの発症は、HPA−1aに対する場合とほぼ同頻度であるが、臨床症状はそれ程重くないことが多い。NAITの発生率は生児出生1000件当たり1.3件である。致死の危険性はかなりあり、罹患幼児の20%が神経性の後遺症に罹り、死亡率は約10%である。NAITの症例は、その大部分が血小板特異的アロ抗原HPA−1aに対する母親の免疫が原因であり(NAIT症例の80%)、その他の症例は抗HPA−5b反応が主因である。血小板輸血不応例では、アロ抗HPA−5bはアロ抗HPA−1aより頻度が高い。他の研究では、抗HPA−5bアロ抗体の方がはるかに頻度が高い。リヨン(Lyon)血液センターでは、抗HPA−5bの頻度が90%である。NAITの軽度例または無症状例で誘導されるような低濃度のアロ抗体ですら、出産後何年にも亘り輸血後紫斑病(PTP)の危険性を高めることが知られている免疫記憶を起こす。PTPの臨床経過は、原因となる輸血から約1週後の顕著な血小板減少および重度の出血性素因を特徴とする。血小板アロ抗原に関連する重大な合併症は、妊娠時の同種不適合状況だけでなく、多回輸血患者でも、骨髄移植例でさえも見出される。まとめると、こうした臨床的合併症から、ABO血液型系に対する日常的なタイピングと平行して、血小板型の日常的タイピングが必要であることが強調されている。この理由および血小板アロ抗体の検出のために、広範な使用に適し、少数の基準検査室による実施に留まらない簡潔で信頼すべき診断アッセイが必要とされている。
【0004】
現在までのところ、HPA−5bのフェノタイピングは、血小板特異的アロ抗体を含有する希少なヒトポリクローナル血清の入手性に依存してきた。しかし、こうした血清の大部分は、特にHLAクラスI抗原に対するアロ抗体の存在で損なわれており、大掛かりな吸収および精製の手順に委ねなければならない。更に、こうした抗血清の品質は、ドナー血清の抗体力価の揺らぎのために、バッチ間で大きな変動がある。
【0005】
最近になって、GPIIb/IIIa上のHPA−1aに対する特異的なヒトアロ抗体が、ファージディスプレー技術により単離され、全長IgG1抗体として産生された。抗HPA−1a特異的ファージの選択のために、精製したGPIIb/IIIaが入手可能であった。HPA−1を含有する該IIb/IIIaは、血小板1個当たり50000〜80000コピーで発現されるが、HPA−5を有するGPIa/IIaの発現はそれの100分の1である(血小板1個当たり800〜2800コピー)。この低い発現量のために、抗HPA−5b特異的Fabファージの選択にその後使用できる、GPIa/IIaの十分量を精製することは極めて困難であった。そういう理由で、この技術は、抗HPA−5bモノクローナル抗体の産生には非効率的である。
【0006】
更に、血小板型タイピング血液産物のパネルの確立は、効力あるポリクローナル抗HPA−5b血清が必要な現行のフェノタイピングアッセイにより複雑化している。また、血清および血漿中のアロ抗体を検出し、血小板のフェノタイピングに使用される標準法である、血小板抗原のモノクローナル抗体特異的固定化(MAIPA)アッセイは、ポリクローナル抗血清に依存している。このポリクローナル抗血清は、希少であり、新生児に同種免疫された婦人からの血液提供に依存している。更に、このような血清の使用は、ABO血液型またはHLAなどの他の多型抗原に対する抗体の存在で損なわれる恐れがある。該ポリクローナル抗血清を診断アッセイでの使用に好適にするには、吸収および精製の複雑な手順が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の基礎となる問題は、ヒト血小板アロ抗原を検出する新たな手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のこの技術的問題に対する解決は、特許請求の範囲に特徴を示した実施形態により実現される。
【0009】
特に本発明は、ヒト血小板アロ抗原(HPA)を選択的に認識するモノクローナル抗体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書で使用する場合の用語「抗体」とは、任意の抗体でもよく、それには、抗体と実質的に同じ生物学的機能、例えば、特定のヒト血小板アロ抗原に対する結合能を有する該抗体の生物活性断片も含まれる。特に、本発明による抗体には、従来のハイブリドーマ技法で誘導される抗体、および組換え技法、例えばファージディスプレーまたはリボソームディスプレーで得られる抗体または抗体断片であり得る。本発明の好ましい実施形態では、該抗体は、Bリンパ球の不死化技術により産生されるモノクローナル抗体である。本発明の別の好ましい実施形態では、該抗体はアロ抗体である。本発明の別の好ましい実施形態では、該抗体はヒト抗体である。本発明の別の好ましい実施形態では、該モノクローナル抗体は、ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体の断片である。
【0011】
本発明の抗体は、任意の免疫グロブリンクラスに属してもよい。本発明の好ましい実施形態では、該モノクローナル抗体は、主としてIgGであるが、IgMおよびIgAも包含し得る。本発明のより好ましい実施形態では、該抗体はIgG1抗体である。
【0012】
本明細書で使用する場合の用語「ヒト血小板アロ抗原(HPA)」とは、個々のヒト血小板アロ抗原と実質的に同じ生物学的機能を有する、ヒト血小板アロ抗原の任意の生物活性誘導体、例えば、ヒト血小板アロ抗原の実質的に同じ生物学的性質を有する断片またはハプテンにも関する。本発明の好ましい実施形態では、HPAはHPA−5である。本発明のより好ましい実施形態では、HPAはHPA−5bである。
【0013】
更に本発明は、少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原を含有する系を前記定義の少なくとも1種の抗体を含有する系と接触させるステップを含む、少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原を検出する方法に関する。
【0014】
その上、本発明は、少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原の有無を検出する方法であって、
(a)少なくとも1種のHPAを含有する第1の系と前記定義の少なくとも1種の抗体を含有する第2の系とを、抗体/抗原複合体形成条件下でインキュベートするステップ、および
(b)ステップ(a)で形成される抗体/抗原複合体を定性的および/または定量的に評価するステップ
を含む方法に関する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、HPAは前記定義のHPAである。
【0016】
少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原を含有する該第1の系は、少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原を含有する任意のインビトロ系でもよい。本発明の一実施形態では、その系は、全血、血清、血漿および組織からなる群から選択される溶液などの天然の系でもよい。更にその系は、天然系由来の少なくとも1つの血小板を含有する溶液、例えば、単離した血中化合物または処理した血液産物を含有する溶液を含んでもよい。本発明の別の実施形態では、その系は、ヒト血小板アロ抗原を発現する細胞、例えば細胞培養系を含んでもよい。上記の系を得るための方法は従来技術で公知である。
【0017】
第1の系および第2の系のインキュベーションは、抗体/抗原複合体形成に適当な任意の条件下で全く制約なしに実行される。これには、例えば、適当な任意の緩衝系、温度、時間および緩衝液の撹拌が含まれる。本発明の好ましい実施形態では、インキュベーションは、約4℃〜約37℃の範囲の温度で約5分〜約45分間実行される。本発明のより好ましい実施形態では、インキュベーションは、ほぼ室温で約30分間実行される。
【0018】
前記方法の一実施形態では、前記定義の1種または複数の抗体が、固体基材上に固定化される。本発明の別の実施形態では、前記定義の1種または複数のHPAが固体基材上に固定化される。用語「基材」には何ら特定の制約はなく、例えば不溶性ポリマー材料に関しているが、その材料は、ポリアミドやビニルポリマー(例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレンおよびポリビニルアルコール、もしくはその誘導体)などの有機ポリマー、セルロース、デキストラン、アガロース、キチン、ポリアミノ酸などの天然ポリマー、またはガラスや金属水酸化物などの無機ポリマーであり得る。該基材は、微小担体、粒子、膜、細片、紙、フィルム、ビーズ(pearl)、またはマイクロタイタープレートやマイクロアレイなどのプレートの形態とすることができる。本明細書で使用する場合の用語「マイクロアレイ」とは、基材上のアドレス可能位置における抗体または抗原の任意の配列であって、いわゆる「バイオチップ」を生じる配列を意味する。抗体または抗原は、共有結合によるカップリングで直接、または基材上に固定化したリンカー分子や抗体などの担体を介して、基材上に固定化することができる。
【0019】
形成された抗体/抗原複合体は、当技術分野で周知の方法により定性的および/または定量的に評価することができる。前記複合体の評価例は、それだけに限らず、例えば、血液凝集の評価、フローサイトメトリー、MAIPA試験、ウェスタンブロット、酵素免疫吸着法(ELISA)および他の免疫アッセイ、またはHPAを選択的に認識するモノクローナル抗体に対する標識抗体の使用である。
【0020】
本発明によるHPAを選択的に認識するモノクローナル抗体は、検出可能な標識に共有結合で連結してもよい。本明細書で使用する場合の用語「検出可能な標識」は、生化学的検出マーカーなどの特定の型の検出標識に限定されず、検出に適当な当技術分野で公知の任意の残基を包含する。
【0021】
検出可能な標識を測定する検知法は、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)のような酵素アッセイ、発色アッセイ、発光アッセイ、蛍光アッセイおよび放射免疫アッセイからなる群から、例えば選択することができる。検出可能な標識の検出を行うための反応条件は、選択する検出法に依存する。使用する個々の検出系に対する緩衝系、温度、pHなどの最適なパラメーターを選択することは、当業者の知識の範囲内である。更に、該検出法は、免疫ブロッティング、免疫沈降、免疫捕捉、血小板抗原のモノクローナル抗体固定化、ELISA、フローサイトメトリー、タンパク質アレイ技術、分光法、質量分析、クロマトグラフィー、表面プラズモン共鳴、蛍光消光、蛍光エネルギー移動、エバネッセンス技術および/または全内部反射蛍光光度法からなる群から選択される1種または複数の検出法を含み得る。
【0022】
本発明は更に、輸血用ドナー血液を検査するための前記方法の使用に関する。その上、本発明は更に、輸血用の受容者血液を検査するための前記方法の使用に関する。本明細書で使用する場合の用語「血液」は、例えば、血清、血漿などの抗体スクリーニングの実施に適当な任意の血液成分および/または血液産物、あるいはHPAを含有し得る他の体液または組織を包含する。
【0023】
加えて、本発明は、HPAが前記定義のHPAである、該HPAの2つの同種変異型(即ち、aおよびb)を識別するための前記方法の使用に関する。この方法は、血小板の表現型を判定するために使用することができる。
【0024】
本発明は更に、ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体を作製する方法であって、
(a)抗HPA−5b抗体を産生するBリンパ球を単離するステップ、
(b)抗HPA−5b抗体を産生する少なくとも1個のリンパ球を増殖させるステップ、
(c)少なくとも1つの該Bリンパ球をエプスタイン・バーウィルスに感染させるステップ、
(d)フィーダー細胞の存在下、限界希釈により少なくとも1個の該Bリンパ球をクローニングするステップ、
(e)該クローン化細胞を少なくとも1種の抗CD40抗体と共にインキュベートするステップ、
(f)少なくとも1つのモノクローナル細胞系を同定し、クローニングするステップ、
(g)少なくとも1つの該モノクローナル細胞系を培養し、その抗体を採取するステップ
を含む方法に関する。
【0025】
上記方法の各ステップは、何ら制約なく、従来技術で公知の適当な任意の条件下で実施される。これには、例えば、適当な任意の緩衝系、温度、時間および緩衝液の撹拌が含まれる。
【0026】
ステップ(a)では、Bリンパ球は、任意の天然源、例えば血液細胞から、例えば単離してもよい。ステップ(c)では、EBV感染は、例えば電気穿孔またはマイクロインジェクションを介して実施してもよい。ステップ(g)での細胞の培養は、例えば連続または回分で実施してもよく、抗体の発現は、例えば構成的または誘導的に実施してもよく、抗体の単離は、例えば培地から、または形質転換細胞の採取により実施してもよい。本発明の好ましい実施形態では、該抗体は、培養細胞の上清から採取される。別の好ましい実施形態では、該抗体は、例えば陰イオン交換クロマトグラフィーまたはアフィニティクロマトグラフィーにより更に精製される。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、該抗体は前記定義の抗体である。
【0028】
本発明は、ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体を作製する方法であって、(i)抗HPA−5b抗体を産生し、エプスタイン・バーウィルスに感染した少なくとも1つのBリンパ球のDNAを単離するステップ、および(ii)該モノクローナル抗体を適当な系中で発現させるステップを含む方法にも関する。モノクローナル抗体を発現させる適当なその系は、当技術分野で公知の適当な任意の系でもよい。
【0029】
本発明は、前記定義の方法によって得られる前記定義の抗体にも関する。
【0030】
加えて、本発明は、前記定義の抗体を含む医薬組成物にも関する。本発明は更に、同種免疫を予防および/または治療するための本発明による医薬組成物の使用にも関する。
【0031】
本発明は更に、同種免疫の予防および/または治療における前記定義の抗体の使用にも関する。
【0032】
本発明は更に、個体の同種免疫を予防する方法であって、(a)個体におけるHPAの存在を判定するステップ、および(b)前記HPAを選択的に認識する本発明による抗体を投与するステップを含む方法にも関する。本発明は、個体の同種免疫を治療する方法であって、(a)個体におけるHPAの存在を判定するステップ、および(b)前記HPAを選択的に認識する本発明による抗体を投与するステップを含む方法にも関する。HPAの存在は、例えば、その個体のゲノム中にHPAをコードする核酸配列の存在を判定すること、またはその個体の血液構成要素中にHPAの存在を検出することにより、判定することができる。本発明の好ましい実施形態では、HPAの存在は、本発明による少なくとも1種のHPAの有無を検出する方法を用いて判定される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、該同種免疫は抗HPA−5b同種免疫である。
【0034】
本発明の別の好ましい実施形態では、該同種免疫は原発性止血障害を起こす。本発明のより好ましい実施形態では、原発性止血障害は、輸血後紫斑病(PTP)および同種免疫性新生児血小板減少症(NAIT)からなる群から選択される同種免疫性血小板減少症である。
【0035】
本発明による抗体は、コラーゲン上への血小板の接着を実質的に阻害し、コラーゲンにより誘発される血小板の凝集を実質的に阻害する。したがって、本発明による医薬組成物および/または本発明による抗体は、例えば、同種免疫に起因する血小板の接着および凝集に関連する止血障害を予防および/または治療するために使用し得る。
【0036】
該医薬組成物は、例えば薬学的に許容される担体、希釈剤、塩、緩衝剤または賦形剤からなる群から選択される補助剤を更に含んでもよい。前記の医薬組成物は、前記定義の出血性障害の治療に使用することができる。更に、該医薬組成物は、従来技術で公知の任意の経路により投与してもよい。一例では、該医薬組成物は静脈内に投与し得る。
【0037】
前記定義の抗体は、母親の血漿中にある前記定義のHPAを中和するために使用でき、胎児中または羊水中に注入することができる。その上、前記定義の抗体は、血漿交換操作(選択的血漿交換)中に該血漿をビーズやポリマーなどの支持体と共にインキュベートする際、HPAを枯渇させるために、こうした支持体上にグラフト化することができる。
【0038】
本発明は更に、前記定義の同種免疫から生じる原発性止血障害を予防および/または治療する医薬の製造における、前記定義の抗体の使用に関する。
【0039】
本発明は、前記定義の抗体を含有するキットにも関する。
【0040】
加えて、本発明は、診断使用のための本発明によるキットに関する。本発明の好ましい実施形態では、該診断使用は、妊婦が、胎児細胞と反応し、最終的に新生児溶血性疾患を起こす、HPAに対する抗体を有するか否かを検出するために、母体血液中の1種または複数のHPAの有無を検出するステップを含む。本発明の別の好ましい実施形態では、該診断は、輸血を実施できるか否かを判定するために、輸血のドナーおよび/または受容者の血液中に1種または複数のHPAの有無を検出するステップ、即ち輸血前検査を含む。本発明の別の好ましい実施形態では、該診断は、臓器移植が成功するか否かを判定するために、臓器移植のドナーおよび/または受容者の血液中に1種または複数のHPAの有無を検出するステップ、即ち臓器移植前検査を含む。本発明の別の好ましい実施形態では、該診断は、前記定義の同種免疫から生じる原発性止血障害の有無を検出するステップを含む。
【0041】
本発明による抗体は、現在の診断で使用されているヒトポリクローナル血清を代替することができ、抗体媒介血小板破壊においてある役割を果たしている機構を調査する手段となり得る。前記定義の抗体は、希少ドナーに依存し、大掛かりな吸収および精製をしなければならないポリクローナル血清と比較して、幾つかの利点を有する。特に、該抗体は、需要に応じて一定の品質で、抗血清に認められるバッチ間の変動なく作製することができる。加えて、本発明による抗体の診断への適用は、少数の基準検査室でしか得られない専門技術に依存しない。その上、本発明による抗体は、同種免疫性新生児血小板減少症の予防、または血小板の接着および凝集の阻害による血栓症の予防に対する治療適用を有することができる。
【0042】
各図には以下のことが示されている。
【実施例】
【0043】
本発明を、それに限定されることのない以下の実施例でこれから更に例示する。
【0044】
[実施例1]
血液試料、血小板およびポリクローナル抗血清
同種免疫されたある婦人からの、抗HPA−5b抗体の高い力価を有する血液試料(UPN220574MN)を出産から1カ月後に得た。全ての実験に用いた血小板は、HPA−5a(HPA−5aa)、HPA−5b(HPA−5bb)のいずれかについてホモ接合性であった(配列特異的なプライミング(PCR−SSP)を用いるポリメラーゼ連鎖反応の使用でタイピングを行い、MAIPA法の使用で実証した)。
【0045】
[実施例2]
EBV形質転換B細胞系の生成
末梢血単核細胞(MNC)を標準的なFicoll−Hypaque勾配遠心によって分離した。選択したドナーからの血液MNCの10〜90×10個をEBV感染後にCD40系中で、本質的には以前に記載の通り(Peyron et al.,1994 Human monoclonal antibodies specific for bullous pemphigoid antigen (BPAg1) J Immunol 153,1333−1339)であるが、幾つか変更を加えて培養した。即ち、丸底96穴培養プレート(Nunc、Roskilde、デンマーク)中に、1000〜5000細胞/穴のMNCを、照射した(7000ラド)CD32トランスフェクトL細胞5000個/穴(Peltz et al.,1988 Cloned and expressed human Fc receptor for IgG mediates anti CD3 dependent lymphoproliferation J Immunol 141,1891−1896)および0.5pg/mlの抗CD40 mAb89(Vallt et al.,1989 Serum free medium for generation and propagation of functional human cytotoxic and helper T cells clones J Immunolo Methods 72,219−227)と共に播種した。培養は、15%熱不活化FCS、2mMのL−グルタミンおよび50pg/mlのゲンタマイシンを補充したYssel改変Iscove培地中で行った。10〜15日間の培養後、上清を収集し、抗HPA−5b抗体の有無をMAIPAアッセイで検査した。次いで、陽性と確認したオリゴクローナル細胞系を増殖させて更なる分析用の上清を産生し、フィーダー細胞として照射済み同種血液MNCを用いた限界希釈によりクローニングした。2〜4週後に細胞増殖を示した培養穴の上清を、上記の通り抗HPA−5b抗体についてスクリーニングした。1×Nutridoma HU(Boehringer Mannheim、Mannheim、ドイツ)で補充したRPMI 1640中で培養した×3細胞の上清を硫安で沈殿させた後、プロテインG−セファロース4Bアフィニティカラム上でHuMAb×3を精製した。抗HPA−5bヒトモノクローナル抗体を産生するクローンをHF2H11と命名した。
【0046】
[実施例3]
抗HPA−5b抗体のSDS−PAGEおよびウェスタンブロット
精製IgG 0.5μgと、タンパク質精製の前(装填液)および後(通過液)の細胞非含有上清とを、4×還元性試料用緩衝液15μlに添加し、95℃、5分間加熱し、12%SDS−ポリアクリルアミドゲル上およびウェスタンブロットで分析したが、そのためにHRP標識ポリクローナル抗ヒトIgG抗体(The Binding Site Ltd.、Birminghman、英国)および発色剤としての4−クロロ−1−ナフトール(Merck、Darmstadt、ドイツ)と共にインキュベートした。Rainbow(商標)着色分子マーカーCFA756RPN756(Amersham Pharmacia Biotech)の3μlを分子量(MW)標準として用いた。総タンパク質染色は、Bio−Safe(商標)クーマシー(Bio−Rad Laboratories)を用い、製造業者の使用説明書に従って行った。
【0047】
[実施例4]
ELISA試験を目的としたHRPOによる抗HPA−5bモノクローナル抗体の標識
シッフ塩基反応に基づく自前技術を用いて、精製抗体を西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)で標識した。
【0048】
[実施例5]
免疫ドットアッセイおよび血小板抗原のモノクローナル抗体特異的固定化(MAIPA)アッセイによるヒト抗HPA−5bの特異性試験
抗HPA−5b抗体の特異性を判定するために、免疫ドットアッセイを行った。
【0049】
MAIPAアッセイは、Kiefel et al.,Blood. 1987;70: 1722−1726 に記載の通り行った。手短に言えば、マウス抗GPIa/IIaモノクローナル抗体(Gi9、抗CD49b、Immunotech、フランス)をPBS/EDTA/0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)中、タイピングした血小板(25×10/ml)および抗HPA−5b(225μg/ml)とインキュベートした。次いで、血小板を溶解し、ヤギ抗マウスIgGで予備被覆したマイクロタイタープレート(Jackson ImmunoResearch、米国)上に固定化した。TBS洗浄用緩衝液(Triton X−100を2%、Tween20を0.1%含有するpH7.4のTris緩衝塩水)で大掛かりに洗浄した後、結合した抗HPA−5bを、抗ヒトIgG−HRP(Jackson ImmunoResearch、米国)とのインキュベーション、ならびに蒸留水12mlおよび30%H5ml(使用直前に添加)に溶解した基質溶液100μl(1,2−o−フェニレンジアミンジクロリドレートの3.5mgタブレット(Dako Diagnostics AG、スイス))の添加によって検出した。
【0050】
発色反応は、0.5M HSOの添加により15〜20分後に停止させ、吸光度をλ=490nmで測定した。
【0051】
[実施例6]
フローサイトメトリーで評価した血小板上のHPA−5b発現
新鮮な非活性化血小板を人血9mlから分離し、pH5.5のクエン酸ナトリウム3.8%を1ml用いて抗凝固処理をした。CL−2Bセファロース(Amersham Pharmacia Biotech、スイス)を用いて、血小板を血漿から分離した。陽性対照として組換えヒト抗HPA−5bまたはトロンビン(Becton Dickinson、スイス)を、HEPES/BSA0.1%中の血小板(5×10細胞/ml)に添加した。次いで、血小板をCaCl(2mM)およびMgCl(1mM)を含有するHEPES中のHF2H11モノクローナル抗体で染色した。37℃、15分間インキュベーション後、血小板をPBS 0.1% BSA中で洗浄した。洗浄後、血小板を抗ヒトIgG FITCと30分間インキュベートし、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson、San Jose、CA、米国)を用いたFACScan(FACSCalibur、Becton Dickinson、San Jose、CA、米国)上のフローサイトメトリーで分析した。血小板を前方および側方散乱に基づいてゲート制御した。
【0052】
[実施例7]
凝集の阻害
血小板凝集試験では、血小板凝集計(Servibio)を用いて血漿の曇り(濁度)を測定する。血漿試料にコラーゲン(6.5μg/ml)を添加すると、血小板が凝集し、液の透明度が増加する。次いで、血小板凝集計で試料を通して増加した光透過率を測定する。
【0053】
この試験は、HF2H11抗体の無添加、および様々な濃度の抗体存在下で行った。血小板凝集計はコラーゲン添加後の濁度および時間を記録する。幾つかのパラメーターとして、対照(抗体なし)と比較した場合の阻害率(%)、遅延時間および凝集速度を計算する。
【0054】
[実施例8]
接着の阻害
PFA−100試験(Dade Behring)では、毛細管を通して引き上げる血液が、コラーゲンおよびエピネフリン(CEPI)またはコラーゲンおよびADP(CADP)で被覆した膜を詰まらせるのに要する時間を測定する。これは閉鎖時間(CT)と称し、秒単位で測定される。したがって、この試験は血小板の接着および凝集の組合せ尺度である。この試験は、HF2H11抗体の無添加、および様々な濃度の抗体存在下で行った。
【0055】
[実施例9]
MAIPAアッセイにおける天然HPA−5bに対するモノクローナル抗体の特異性
全血小板上の天然HPA−5bに対する抗HPA−5bの結合をELISAで検査したところ、HPA−5bbまたは5abの血小板には強い結合を示し、HPA−5aaの血小板には全く結合しなかった(図1)。
【0056】
[実施例10]
HPA−5bに特異的なIgG1抗体の産生および精製
HF2H11b細胞系をDEMF12+10%FCS中、2つの系を用いて培養した。第1の系は「静置培養」と称し、50mlフラスコ(Falcon)中で行った。第2の系は、高密度用装置(IBS Integra製のIntegra cellline 1000)中で行った。播種から10日後に細胞非含有上清を収集し、プロテインGセファロースを用いてIgGを精製した。SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析の結果、図2に示すように、組換えIgGは他のタンパク質からの優れた分離および精製を示した。抗体産生の収量は、静置法では上清1リットル当たり10mgまで、高密度技術では1リットル当たり1000mgまでであった。
【0057】
[実施例11]
タイピングした血小板に対する抗HPA−5bの特異性の検査
ヒト抗HPA−5b抗体をHRPOで標識し、HPA−5bへの結合性について血小板上での免疫ドットアッセイで検査した。様々なドナー由来の血小板上に発現したGPIa/IIaの量的変動をモニターするために、対立遺伝子「a」および「b」に同等に結合する抗GPIa/IIa抗体を使用した。参照として、大掛かりに吸収し、精製したポリクローナルヒト抗HPA−5b血清を同じアッセイで分析した。血小板上のFcγ受容体に対する免疫グロブリンの抗原非関連結合を調べるために、ヒトポリクローナルIgGを対照として用いた。ヒト抗HPA−5b抗体は、ポリクローナルヒト抗HPA−5b血清と同様に、HPA−5aaとHPA−5bbの血小板とを識別することができた。HPA−5の低抗原発現量を考慮して、抗体濃度を一定にし、血小板の量を増加させる滴定を行った。図2で明らかな抗原濃度に対する強い依存性は、結合抗体の検出にとって抗原が限定的となり得ることを示しており、血小板10個をアッセイに使用した場合でも、プラトーに到達しない(図3)。
【0058】
[実施例12]
MAIPA法を用いたヒトモノクローナル抗HPA−5b抗体の性能
MAIPAアッセイは、血小板のアロ抗原/アロ抗体診断法に現在使用されている標準法であり、少数の専門的検査室に限られている。この方法は、血小板上のHPA−5bを選択的に認識できるように、大掛かりに吸収し、精製したポリクローナルヒト抗血清の供給源に依存している。MAIPAアッセイを行うために、ヒト抗HPA−5b抗体HF2H11を血小板およびマウスモノクローナル抗GPIa/IIa抗体と共にインキュベートした。次いで、血小板を溶解し、抗マウスIgG被覆マイクロタイタープレート上に固定化した。このアッセイでは、抗ヒトIgG−HRP抗体を用いて発現させた。様々なドナーからの血小板を用いて、この実験を6回繰り返した。この組換え抗HPA−5b抗体は、HPA−5aとHPA−5bとを明瞭に識別し、HPA−5aaの血小板には全く結合しない(図4)。
【0059】
[実施例13]
ヒトモノクローナル抗HPA−5bの新鮮な非活性化血小板に対する生理的効果
GPIa上にあるコラーゲン受容体などのインテグリンは、血小板活性化および血小板凝集体の形成に関与している。コラーゲン受容体の近傍にあるアロ抗原(HPA−5a/b)に結合する抗体は、血小板を活性化する能力を示すのではないかと思われる。この可能性を試験するために、新鮮な非活性化血小板を抗HPA−5b抗体HF2H11と37℃、15分間混合し、血小板の活性化は、血小板活性化の初期マーカーであるCD62(P−セクレチン)のアップレギュレーションをフローサイトメトリーで測定することにより判定した。
【0060】
しかし、血小板に結合したヒト抗HPA−5b抗体(データは示していない)は、陽性対照として用いたトロンビンとは対照的に血小板を活性化しなかった(図6)。
【0061】
[実施例14]
ヒト抗HPA−5b抗体の血小板凝集に対する効果
新鮮な非活性化血小板(5×10/ml)を抗HPA−5b抗体0.25、6.25または25mg/ml(四角)と共にインキュベートし、同濃度の非関連抗体(三角)と比較した。この試験は、当該抗体がコラーゲンに誘発される凝集を抑制することを示している。図5は、25μg/mlを用いたとき、該抗体が凝集を80%抑制することを示している。
【0062】
[実施例15]
ヒト抗HPA−5b抗体の血小板接着に対する効果
この効果はPFA−100試験を用いて評価した。HPA5abドナーからの新鮮血を抗HPA−5b抗体50mg/mlと共にインキュベートし、HPA5aaドナーからの同濃度の新鮮血と比較した。この試験は、当該抗体がコラーゲン+ADPに誘発される接着を抑制することを示している(表1)。
【0063】
結論として、抗CD40抗体の使用によるBリンパ球刺激、およびEBVの使用による不死化を用いて完全ヒト抗HPA−5b抗体を単離することができた。HF2H11抗体は、全長IgG1抗体として産生されたものであり、HPA−5の対立遺伝子「a」と「b」との識別に使用することができる。
【0064】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】HF2H11ヒト抗体は、ELISA試験でヒト血小板上に存在するHPA5b対立遺伝子に特異的である。遺伝子型がHPA5aまたは5bと知られている60サンプルを評価した図である。この試験ではフェノタイピングとジェノタイピングとの乖離はない。
【図2】全長ヒト抗HPA−5b抗体の精製に関するSDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析を示す図である。全長ヒト抗HPA−5b抗体は、プロテインGアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。装填液(細胞非含有上清)、通過液、および精製抗HPA−5b IgGを、還元性条件下で12%SDS−ポリアクリルアミドゲル上、およびウェスタンブロットで分析した。免疫グロブリンの軽鎖および重鎖は、HRPとコンジュゲートしたポリクローナル抗HuIgG抗体で検出した。総タンパク質はクーマシーブルーによるゲルの染色によって分析した。
【図3】モノクローナル抗体HF2H11と抗血清(ポリクローナルヒト抗HPA−5b抗体)との比較による、ヒト抗HPA−5b抗体の特異性を示す図である。2種の技法でドナー50点およびパネル血小板10点を試験した。内訳は、ドナー遺伝子型がHPA−5b陰性は38点、HPA−5b陽性は12点、パネル血小板はHPA−5b陰性と知られているもの3点、HPA−5b陽性は7点である。
【図4】MAIPAアッセイにおける抗HPA−5bの性能を示す図である。MAIPAアッセイは、HPA−5aおよびHPA−5bについてタイピングがなされた様々なドナーの血小板に対する組換え抗HPA−5b抗体の特異性を検査するために行った。マウスモノクローナル抗ヒトGPIa/IIaを、タイピングした血小板および抗HPA−5bと共にインキュベートした。血小板を溶解し、プレート上に結合したヤギ抗マウスIgGにより固定化した。洗浄後、結合抗HPA−5bを抗HuIgG−HRPで検出した。吸光度はλ=490nmで読み取った。HPA−5aaの血小板についてはシグナルが検出されなかった。2種の技法でドナー50点およびパネル血小板10点を試験した。内訳は、ドナー遺伝子型がHPA−5b陰性は38点、HPA−5b陽性は12点、パネル血小板はHPA−5b陰性と知られているもの3点、HPA−5b陽性は7点である。
【図5】ヒト抗HPA−5b抗体の血小板凝集に対する効果を示す図である。新鮮な非活性化血小板を抗HPA−5b抗体0.25、6.25または25μg/ml(四角)と共にインキュベートし、同濃度の非関連抗体(三角)と比較した。この試験は、当該抗体がコラーゲンに誘発される凝集を抑制することを示している。
【図6】HF2H11抗体で標識した血小板のフローサイトメーター分析を示す図である。HPA−5bエピトープに特異的な抗ヒトモノクローナル抗体HF2H11による、HPA−5b−(黒色)およびHPA−5b+(灰色)血小板の標識を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体またはその断片。
【請求項2】
前記抗体がヒト抗体である、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
前記抗体がIgG1抗体である、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体。
【請求項4】
ヒト血小板アロ抗原がHPA−5bである、請求項1から3のいずれかに記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体の断片である、請求項1から4のいずれかに記載のモノクローナル抗体。
【請求項6】
少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原の有無を検出する方法であって、
(a)少なくとも1種のヒト血小板アロ抗原を含有する第1の系と、請求項1から5のいずれかに記載の少なくとも1種の抗体を含有する第2の系とを、抗体/抗原複合体形成条件下でインキュベートするステップ、および
(b)ステップ(a)で形成される抗体/抗原複合体を定性的および/または定量的に評価するステップ
を含む方法。
【請求項7】
ヒト血小板アロ抗原がHPA−5bである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ヒト血小板アロ抗原を選択的に認識するモノクローナル抗体を作製する方法であって、
(a)抗HPA−5b抗体を産生するBリンパ球を単離するステップ、
(b)抗HPA−5b抗体を産生する少なくとも1個のリンパ球を増殖(expand)させるステップ、
(c)少なくとも1つの該Bリンパ球をエプスタイン・バーウィルスに感染させるステップ、
(d)フィーダー細胞の存在下、限界希釈により少なくとも1個の該Bリンパ球をクローニングするステップ、
(e)該クローン化細胞を少なくとも1種の抗CD40抗体と共にインキュベートするステップ、
(f)少なくとも1つのモノクローナル細胞系を同定し、クローニングするステップ、
(g)少なくとも1つの該モノクローナル細胞系を培養し、その抗体を採取するステップ
を含む方法。
【請求項9】
前記抗体が請求項1から5のいずれかに記載の抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から5のいずれかに記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項11】
同種免疫(alloimmunisation)を予防および/または治療するための請求項10に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
請求項1から5のいずれかに記載の抗体を含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−13175(P2009−13175A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151577(P2008−151577)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(503217082)
【氏名又は名称原語表記】Stiftung fur Diagnostische Forschung
【住所又は居所原語表記】Praz Rond, 1785 Cressier sur Morat, Swizerland
【Fターム(参考)】