抗IL−6モノクローナル抗体およびその使用
本発明は、IL-6に特異的に結合する新規モノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、本明細書に開示するVH領域およびそのアミノ酸変異体のいずれかから選択される可変重鎖(VH)領域、ならびに/または本明細書に開示するVL領域およびそのアミノ酸変異体のいずれかから選択される可変軽鎖(VL)領域を含んでいる。本発明は、IL-6発現および/または活性に関わる疾病および不全症を治療するための方法をも提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノクローナル抗体、ならびに疾病および不全症の治療におけるその使用の分野に関係する。さらに特定すると、本発明はサイトカインIL-6に特異的に結合するモノクローナル抗体、ならびにIL-6活性または発現が関わる疾病および不全症の治療のためのその抗体の使用に関係する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン-6(IL-6)は、成長刺激および炎症誘発活性を提示する22〜27 kDaの分泌糖タンパク質である。IL-6は、インターフェロン-β2(IFN-β2)、IL-1誘導性26 kDaタンパク質、肝細胞刺激因子、細胞傷害性T細胞分化因子、およびB細胞刺激因子としても知られている(非特許文献1)。IL-6は各種の細胞型によって分泌される。IL-6は以下の2種の膜糖タンパク質で構成される高親和性受容体複合体への結合を介して、その活性を発揮する: IL-6と低親和性で結合する80 kDaの受容体成分(IL-6R)、およびそれ自体はIL-6と結合しないが、IL-6のこの複合体との高親和性結合のために必要な130 kDaのシグナル伝達性成分(gp130)(図11参照; BioCarta)。IL-6Rは膜貫通型メタロプロテイナーゼによって切断されて、可溶性IL-6Rとなることができる。
【0003】
IL-6の血中レベルは、多種の感染性、炎症性、および自己免疫疾患ならびにがんにおいて、感染、外傷、および免疫学的チャレンジによって刺激されたその他のサイトカインの合成の増加を伴って、上昇する(非特許文献1)。
【0004】
IL-6は以下などの多種の疾病および不全症に関係するとされてきた: 多発性骨髄腫(非特許文献2)、リンパ腫(非特許文献3)、神経変性、星状細胞増加および脳内血管形成などの神経学的不全症(非特許文献4)、自己免疫不全症(例えば、リューマチ様関節炎など)、炎症性疾患、アルツハイマー病、心筋梗塞、ページェット病、骨粗しょう症、固形腫瘍、前立腺および膀胱がん(非特許文献1)、敗血性ショック、組織移植、中枢神経系の急性感染症、心臓粘液腫(非特許文献5)、腫瘍が誘発する悪疫質(非特許文献6)、がん関連うつ、ならびに脳腫瘍に続発性の心臓浮腫(非特許文献7)。
【0005】
その上、抗IL-6抗体はいくつかの疾病および不全症の治療に有効であることが示された。例えば、抗IL-6モノクローナル抗体はミエローマ細胞の増殖をin vivoおよびin vitroの両方でブロックすることが示された(非特許文献2)。抗IL-6抗体の慢性リューマチ様関節炎患者への投与がこの疾病の症候を緩和することがわかった(非特許文献8)。抗IL-6抗体は、AIDS関連リンパ腫(非特許文献3)、および転移性腎細胞がん(非特許文献9)の治療に有効であることも示された。各種のその他の疾病および不全症を治療するための抗IL-6抗体の投与が関与する臨床結果が以下で総括されている: 非特許文献1。
【0006】
抗IL-6抗体は当分野で既知である。例えば、マウスモノクローナル抗体(SK2)由来の再構築ヒト(すなわち、ヒト化)抗IL6モノクローナル抗体が以下で発表されている:特許文献1および特許文献2。その他の抗IL-6抗体として以下が含まれる: CLB-6/8として知られている抗体(非特許文献10)およびcCLB8として知られているそのキメラ型(非特許文献11)。B-E8と命名されたマウス抗IL-6モノクローナル抗体(mAb)が、各種のIL-6関連疾病および不全症を治療するために、臨床的に使用されてきている(例えば以下参照: 非特許文献12、非特許文献2、非特許文献13、および非特許文献3)。
【0007】
マウス抗IL-6抗体を含むマウス抗体の使用は、標的抗原による選択性の変動性、短い血清半減期、およびヒト抗マウス抗体(HAMA)の出現などの問題によって劣勢である。これらの難題はキメラ抗体(ここではげっ歯類定常領域がそれに対応するヒト領域と置換されている)またはヒト化/CDR-移植/再構築抗体(ここではCDRのみが非ヒト起源のものである)の開発によってある程度解消される(総括的に以下を参照されたい: 非特許文献14)。それでもなお、ヒト化抗体に関しては以下のような多くの実用上の制限がある: (1) 有効なヒト化mAbの構築経路の限られた選択肢、(2)抗体構造もしくはモデル化の詳細な知識の必要性、(3) 親和性保持と導入する外来アミノ酸との兼ね合いによる予期し得ない免疫原性、ならびに(4) 前駆体mAbの起源である動物についての抗体の種類の制限(非特許文献15)。これらの制限はヒトモノクローナル抗体の使用によって対処できるものとみられる(非特許文献15)。
【0008】
したがって、ヒト抗IL-6 mAbを含む、臨床適用のための別の抗IL-6モノクローナル抗体に対する需要が当分野に存在する。本発明は当分野に存在するこの要請に対処するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,618,700号公報
【特許文献2】米国特許第5,856,135号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Trikha et al., Clin. Cancer Res. 9:4653-4665(2003)
【非特許文献2】Rossi et al., Bone Marrow Transplantation 36:771-779(2005)
【非特許文献3】Emilie et al., Blood 84:2472-2479(1994)
【非特許文献4】Campbell et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 90:10061-10065(1993)
【非特許文献5】Wijdenes et al., Mol. Immunol. 28:1183-1192(1991)
【非特許文献6】Cahlin et al., Cancer Res. 60:5488-5489(2000)
【非特許文献7】Musselman et al., Am. J. Psychiatry 158:1252-1257(2001)
【非特許文献8】Wendling et al., J. Rheumatol. 20:259-262(1993)
【非特許文献9】Blay et al., Int. J. Cancer 72:424-430(1997)
【非特許文献10】Brakenhoff et al., J. Immunol. 145:561-568(1990)
【非特許文献11】Van Zaanen et al., J. Clin. Invest. 98:1441-1448(1996)
【非特許文献12】Bataille et al., Blood 86:685-691(1995)
【非特許文献13】Haddad et al., Blood 15:1590-1597(2001)
【非特許文献14】Vaughan et al., Nat. Biotech. 16:535-539(1998)
【非特許文献15】Lonberg, Nat. Biotechnol. 23:1117-1125(2005)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、IL-6に特異的に結合する新規モノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、本明細書に開示するVH領域およびそのアミノ酸変異体のいずれかから選択される可変重鎖(VH)領域、ならびに/または本明細書に開示するVL領域およびそのアミノ酸変異体のいずれかから選択される可変軽鎖(VL)領域を含んでいる。
【0012】
本発明の代表的な一実施形態において、ヒトVHおよびVL遺伝子の一ライブラリーから複数のVHおよびVL領域を取得した。このライブラリーから取得したヒトVH領域を含有する抗体重鎖を既知のマウス抗IL-6 mAbの1種(すなわち、B-E8)からの軽鎖と組み合わせた。同様に、このライブラリーから取得したヒトVL領域を含有する抗体軽鎖を既知のマウス抗IL-6 mAbの1種(すなわち、B-E8)からの重鎖と組み合わせた。生成した抗体を、IL-6抗原に特異的に結合する能力についてスクリーニングした。この工程から、18種のヒトVL(配列番号1〜18として示す)および7種のヒトVH(配列番号19〜25として示す)を同定した。
【0013】
同定したVLの全部を同定したVHの全部と交差結合させた。生成した抗体を、ELISAによるIL-6との結合親和性、およびIL-6が誘発する細胞増殖をブロックする能力について、試験した。この工程から、実質的な結合親和性およびブロック活性を提示した33種のヒトVH/VLの組み合わせを同定した。
【0014】
上記の工程で同定した特定のヒトVHおよびVLにアミノ酸置換を導入した。この変異体VHおよびVLをそれぞれヒトVLおよびVHと組み合わせて、生成した抗体を、再度IL-6結合親和性およびブロック活性について試験した。これらの実験から、当初のマウスB-E8抗体(またはそのキメラ)に匹敵する結合およびブロック活性を持ついくつかの抗体を同定した。したがって、本発明として、上に概説し、かつ下記の実施例で詳述する工程によって取得される変異体VHおよびVLの任意の組み合わせを含んでいる抗体も含まれる。
【0015】
また本発明として、本明細書に開示するVHおよび/またはVL領域のいずれかをコードする核酸分子、ならびにこの核酸分子を含んでいるベクターおよび宿主細胞も含まれる。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体について、種特異性、ヒトIL-6との結合性、またはその検出における有用性が実証される。いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体は、ヒトおよびサルIL-6に結合またはその検出に有用であるが、マウスもしくはラットIL-6には結合せず、有用性はない。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体は、マウスB9(ECACC)ミエローマ細胞またはヒトU266ミエローマ細胞などの、IL-6が誘発する細胞の増殖を抑制する。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体はIL-6に結合するが、その他のIL-6スーパーファミリーメンバーには結合しない。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体との結合を抑制する。
【0020】
本発明として、本発明の抗体を製造する方法も含まれ、その方法は以下を含んでいる: (i) 本発明の抗体をコードする1以上の核酸配列を発現する宿主細胞を培養し、そして(ii) その培養培地から抗体を回収する。
【0021】
本発明として、本発明の抗体を含んでいる医薬組成物も含まれる。その医薬組成物はさらに製薬上許容される担体、アジュバント、またはそれらの組み合わせを含んでいる場合もあることを想定している。
【0022】
本発明として、IL-6活性または発現に関係する疾病および/または不全症を予防または治療する方法も含まれ、その方法は、本発明の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。一実施形態において、その方法は、治療上または予防上効果的な量の、本発明の抗体および製薬上許容される担体を含んでいる医薬組成物を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。いくつかの実施形態において、疾病もしくは不全症として、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、あらゆる疾病もしくは不全症が含まれる。いくつかの実施形態において、治療すべき疾病もしくは不全症は以下からなる群から選択される: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【0023】
本発明として、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、疾病もしくは不全症の治療用の、医薬の製造のための、本発明の抗体の使用も含まれる。特定の一実施形態において、本発明は、以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、本発明の抗体の使用をも対象としている: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【0024】
本発明として、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、疾病もしくは不全症の治療における、本発明の抗体の使用も含まれる。特定の一実施形態において、本発明は以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、本発明の抗体の使用をも対象としている: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明の抗体内に含ませることができる、配列番号19〜25で表される代表的なヒトVH領域のアライメントを示す図である。
【図2】図2はビオチニル化ヒト組換えIL-6を各種抗IL-6抗体とともにインキュベートした後、IL-6受容体産生U266細胞を添加する、IL-6結合性の抑制アッセイの結果を示す図である。フローサイトメトリー分析を使用して、各種抗IL-6抗体濃度でのIL-6結合性の抑制パーセントを定量した。
【図3】図3は部位特異的突然変異誘発によって作製したライブラリーからのmAbの親和性選択のために使用した一般的工程を説明する図である。
【図4】図4はヒト組換えIL-6を各種抗IL-6抗体とともにインキュベートした後、IL-6受容体産生U266細胞を添加する、IL-6結合性の抑制アッセイの結果を示す図である。その後、精製したマウスIL-6抗体およびAPCとコンジュゲートしたポリクローナルヤギ抗マウス二次抗体を添加した。フローサイトメトリー分析を使用して、各種抗IL-6抗体濃度でのIL-6ブロック活性を定量した。
【図5A】図5Aは一群のIL-6スーパーファミリーメンバーへの結合性について、対照mAb 88(キメラB-E8)(図5A)、または親和性が改善されたmAb候補、ヒトmAb 1339(図5B)をELISAによって試験する、結合特異性実験の結果を示す図である。
【図5B】図5Bは一群のIL-6スーパーファミリーメンバーへの結合性について、対照mAb 88(キメラB-E8)(図5A)、または親和性が改善されたmAb候補、ヒトmAb 1339(図5B)をELISAによって試験する、結合特異性実験の結果を示す図である。
【図6A】図6Aはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6特異的mAbを、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。各グラフ棒は3回の実験のの平均+/-標準偏差を表している。図6A中、mAbの濃度は0.5μg/mlである。各mAbについて、4本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100.0、50.0、25.0、および12.5 ng/mlのIL-6濃度でのIL-6のIL-6受容体との結合性の抑制パーセントを示している。
【図6B】図6Bはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用に対する各種抗IL-6 mAbの抑制効果を説明する、100 ng/ml IL-6での、1回の代表的な実験の結果を示す図である。黒色実線はmAb不在中での100 ng/ml IL-6単独を表し; 灰色実線はmAb存在中での100 ng/ml IL-6を表し; そして点線はIL-6不在中でのmAb単独を表す。図6B中、mAbが存在する場合の濃度は0.5μg/ml mAbである。
【図7A】図7Aはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6特異的mAbを、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。各グラフ棒は3回の実験のの平均+/-標準偏差を表している。図7A中、IL-6の濃度は500 ng/mlである。図7A中の各mAbについて、8本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ5000、2500、1250、625.0、156.3、78.1、および39.1 ng/mlのmAb濃度でのIL-6のIL-6受容体との結合性の抑制パーセントを示している。
【図7B】図7Bはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用に対する各種抗IL-6 mAbの抑制効果を説明する、100 ng/ml IL-6での、1回の代表的な実験の結果を示す図である。黒色実線はmAb不在中での100 ng/ml IL-6単独を表し; 灰色実線はmAb存在中での100 ng/ml IL-6を表し; そして点線はIL-6不在中でのmAb単独を表す。図7B中、mAbが存在する場合の濃度は0.3μg/ml mAbである。
【図8】図8は3種の別々のIL-6結合性の抑制アッセイの結果を示す、要約図である。
【図9】図9はmAb 1339二重遺伝子ベクター(H1579重鎖可変領域を含有する重鎖およびL298軽鎖可変領域を含有する軽鎖を発現する)のマップである。
【図10】図10はmAb 1339二重遺伝子ベクターを発現する各種CHO由来細胞系単離物によって取得したmAbの収量を示す図である。
【図11】図11はIL-6シグナル伝達経路の図説である(BioCartaで入手可能)。
【図12】図12はIL-6特異的mAbを、マウスB9(ECACC)ミエローマ細胞系のIL-6依存性増殖を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。IgG1 KappaおよびmB-Z1はそれぞれヒトおよびマウスIgG1アイソタイプ対照抗体である。各mAbについて、7本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100、10、1、0.1、0.01、0.001、および0.0001 ng/mlのmAb濃度での、IL-6(10 pg/ml)で誘発させたB9細胞増殖の抑制パーセントを示す。各グラフ棒は3回の実験の平均+/-標準偏差を表す。
【図13】図13はIL-6特異的mAbを、ヒトU266ミエローマ細胞系のIL-6依存性増殖を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。各mAbについて、6本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ1000、333、111、37、12、および4 ng/mlのmAb濃度での、IL-6(500 pg/ml)で誘発させたU266細胞増殖の抑制パーセントを示す。各グラフ棒は3回の実験の平均+/-標準偏差を表す。
【図14】図14はIL-6特異的mAbを、ELISAによってマウスIL-6(図14)またはラットIL-6(図15)を検出するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。ビオチニル化ポリクローナル抗体(pAb)対照は抗ヒトIL-6、抗マウスIL-6、抗ラットIL-6、および抗ヒトIL-2である。サンプル「0」については、抗体を添加していない。各サンプルについて、4本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100、50、25、および12.5 ng/mlの抗体濃度での、100 ng/mlマウスまたはラットIL-6への結合性に関連する光学密度を表している。各グラフ棒は2回の実験の平均+/-標準偏差を表している。
【図15】図15はIL-6特異的mAbを、ELISAによってマウスIL-6(図14)またはラットIL-6(図15)を検出するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。ビオチニル化ポリクローナル抗体(pAb)対照は抗ヒトIL-6、抗マウスIL-6、抗ラットIL-6、および抗ヒトIL-2である。サンプル「0」については、抗体を添加していない。各サンプルについて、4本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100、50、25、および12.5 ng/mlの抗体濃度での、100 ng/mlマウスまたはラットIL-6への結合性に関連する光学密度を表している。各グラフ棒は2回の実験の平均+/-標準偏差を表している。
【図16】図16はIL-6特異的mAbを、LPSで24時間活性化した末梢血単核細胞(PBMNC)からのヒト単球中の天然細胞質内のIL-6を検出するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。濃い線はLPSで刺激した単球からのIL-6のmAb検出を表し、一方薄い線は添加抗体の不在を表している。
【図17】図17はIL-6特異的mAbを、血漿からのIL-6を検出するためのその能力について試験した、実験の結果を示す図である。mAbを添加しない「血清のみ」のサンプルを参照として供した。「血清のみ」のサンプルと比較した、IL-6特異的抗体サンプル中の光学密度シグナルの低下は、血清IL-6と抗体の相互作用を意味する。抗体は5μg/mlで試験した。図17中、4本のグラフ棒は、左から右へ、1、1/2、1/4、および1/8の血清希釈度でのヒト血清中のヒトIL-6の検出に関連する光学密度を示している。各グラフ棒は2回の実験の平均+/-標準偏差を表している。
【図18】図18はIL-6特異的mAbを、血漿からのIL-6を検出するためのその能力について試験した、実験の結果を示す図である。mAbを添加しない「血清のみ」のサンプルを参照として供した。「血清のみ」のサンプルと比較した、IL-6特異的抗体サンプル中の光学密度シグナルの低下は、血清IL-6と抗体の相互作用を意味する。抗体は5μg/mlで試験した。図18中、4本のグラフ棒は、左から右への1/10、1/20、1/40、1/80、1/160、1/320、および1/640の血清希釈度での、赤毛ザル血清中のサルIL-6の検出に関連する光学密度を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
特に明記しない限り、本明細書で使用するすべての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に共通して解釈される意味を持つ。
【0027】
抗体
本発明は、IL-6に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。
【0028】
本明細書で使用する、用語「抗体」として、ジスルフィド結合で相互連結された4種のポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖、を含んでいるイムノグロブリン分子が含まれる。各重鎖は重鎖可変領域(本明細書中略してVH)および重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3で構成される。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書中略してVL)および軽鎖定常領域で構成される。どの脊椎動物種からの抗体(イムノグロブリン)の軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に識別される型に分類することができる。カッパ軽鎖の可変領域は本明細書ではVKと称される。本明細書で使用するVLの表現は、カッパ型軽鎖からの可変領域(VK)およびラムダ型軽鎖からのものの両方を含むことを想定している。軽鎖定常領域には1ドメイン、CLが含まれている。VHおよびVL領域には、相補性決定領域(CDR)と命名された高度可変領域が、フレームワーク領域(FR)と命名された、より保存的な領域と組み合わさって、含まれている。各VHおよびVLは3つのCDRと4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序で配置されている: FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4。
【0029】
抗体は、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、別種のクラスに振り分けられる。完全抗体には以下の5種の主要なクラスがあり: IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、これらのいくつかはさらに、例えば以下のサブクラス(アイソタイプ)に分けることができる: IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2。別種のクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、およびμと称される。別種のクラスのイムノグロブリンのサブユニット構造および三次元立体構造は周知である。本発明には前記のあらゆるクラスまたはサブクラス(アイソタイプ)の抗体が含まれる。
【0030】
本明細書で使用する用語「抗体」は、抗体、その消化断片、特定化した部分および変異体を包含することも意図しており、これには抗体または特定化した断片またはそれらの部分の構造および/または機能を模倣する、抗体模倣体あるいは抗体の部分を含むものも含まれ、単鎖抗体およびその断片も含まれるが、それぞれ少なくとも1種のCDRを含んでいる。機能性断片として、IL-6抗原に結合する抗原結合性断片が含まれる。例えば、IL-6もしくはその部分に結合する能力がある抗体断片として、限定するわけではないがFab(例えば、パパイン消化によるもの)、facb(例えば、プラスミン消化によるもの)、pFc'(例えば、ペプシンもしくはプラスミン消化によるもの)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元および再凝集によるもの)、FvまたはscFv(例えば、分子生物学的技法によるもの)断片が含まれるが、これらは本発明に包含される。抗体断片として、例えば、ドメイン欠失抗体、ジアボディ、線状抗体、単鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多重特異性抗体を含むことも想定している。
【0031】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から取得した1抗体を称し、例えば、その集団に含まれる個々の抗体が、可能な天然に生起する突然変異または微小な翻訳後変異が存在し得る以外は、実質的に同一であるものである。モノクローナル抗体は高度に特異性であって、単一の抗原部位に特異的なものである。さらに、典型的には別種の決定基(エピトープ)に特異的な別種の抗体を含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体はその抗原上の単一の決定基に特異的である。修飾語「モノクローナル」とは、実質的に均質な抗体の集団から取得した抗体としての特徴を意味し、何らかの特定の方法による抗体の製造を必要とすると解釈すべきでない。本発明のモノクローナル抗体は好ましくは組換えDNA方法で製造するか、あるいは本明細書で別記するように、スクリーニング方法によって取得する。
【0032】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」には、重および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同であるが、その鎖(群)のその他の部分は、別の種(例えば、マウスもしくはラット)に由来するか別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(イムノグロブリン)、ならびにこうした抗体の断片であって、ただし所望の生物学的活性を提示するもの、が含まれる(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。本発明で対象とするキメラ抗体として、非ヒト霊長類(例えば、旧世界サル、ヒヒ、赤毛ザルもしくはカニクイザルなど)由来の可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含んでいる「霊長類化」抗体が含まれる(U.S. Pat. No. 5,693,780)。
【0033】
こうして、本発明には、例えば、キメラ重鎖および/またはキメラ軽鎖を含んでいるキメラモノクローナル抗体が含まれる。このキメラ重鎖は非ヒト抗体の重鎖定常領域と融合した、本明細書に記載する重鎖可変(VH)領域またはその突然変異体もしくは変異体のいずれを含んでいてもよい。そのキメラ軽鎖は非ヒト抗体の軽鎖定常領域と融合した、本明細書に記載する軽鎖可変(VL)領域またはその突然変異体もしくは変異体のいずれを含んでいてもよい。
【0034】
本明細書で使用する用語「ヒト抗体」には、Kabatらが記載しているヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列に対応する可変および定常領域を持つ抗体が含まれる(Kabat, et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、参照)。本発明のヒト抗体は、例えばCDR中、特にCDR3中に、ヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基を含んでいてもよい(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によるか、in vivoでの体細胞突然変異によって導入した突然変異)。そのヒト抗体は、少なくとも1つの位置でヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列にコードされない1アミノ酸残基、例えば活性を強化するアミノ酸残基で置換されていてもよい。本発明に関しては、このヒト抗体は20までの位置でヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列のものでないアミノ酸残基で置換されていてもよい。別の実施形態において、10まで、5まで、3まで、または2までの位置で置換されていてもよい。しかし、本明細書で使用する用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含むことは意図していない。
【0035】
語句「組換えヒト抗体」には、組換え手段によって調製、発現、作製または単離したヒト抗体が含まれ、以下などがある: 宿主細胞中にトランスフェクトした組換え発現ベクターを使用して発現させた抗体、組換え体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離した抗体、ヒトイムノグロブリン遺伝子を導入した動物から単離した抗体、またはヒトイムノグロブリン遺伝子配列の別のDNA配列へのスプライシングが関与する、別の任意の手段によって調製、発現、作製または単離した抗体。こうした組換えヒト抗体はヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列由来の可変および定常領域を持っている(Kabat, et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、参照)。本発明に関しては、組換えヒト抗体として、in vitro突然変異誘発(またはヒトIg配列を導入した動物を使用する場合、in vivo体細胞突然変異誘発)をしたヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列であり、したがってその組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列由来であって、かつこれに関連していても、in vivoではヒト抗体生殖細胞系の範囲に天然には存在しないこともある、配列が含まれる。しかし、特定の実施形態において、こうした組換え抗体は選択的突然変異誘発手法もしくは復帰突然変異またはその両方の結果である。
【0036】
本発明の抗体は単離した抗体とすることができる。本発明で使用する「単離した抗体」には、別種の抗原特異性を持つその他の抗体を実質的に含まない抗体が含まれる。さらに、単離した抗体はその他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まないものである。
【0037】
本発明の抗体は、好ましくはIL-6抗原に特異的に結合するものである。本明細書で使用する、「IL-6抗原」には、例えば、完全IL-6タンパク質またはIL-6タンパク質の断片の1つが含まれることを意図している。用語「IL-6抗原」は、天然に生起するIL-6(例えば、正常条件下でIL-6を発現する細胞から精製したIL-6)、そして組換えIL-6ならびにその変異体および突然変異体を包含することを意図している。好ましくは、IL-6抗原はIL-6受容体に結合する能力があるものである。
【0038】
本発明の抗体は、例えば、その抗体がIL-6抗原に結合し、かつIL-6分子以外とは何ら有意な結合性を示さないならば、IL-6抗原に特異的に結合する。特定の実施形態において、抗体がIL-6抗原以外の抗原と結合する親和性よりも、少なくとも1000倍、少なくとも500倍、少なくとも200倍、少なくとも100倍、少なくとも90倍、少なくとも80倍、少なくとも70倍、少なくとも60倍、少なくとも50倍、少なくとも40倍、少なくとも30倍、少なくとも20倍、少なくとも10倍または少なくとも2倍大きい親和性でIL-6抗原と結合するならば、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0039】
本発明の抗体がIL-6抗原に特異的に結合するかどうかは、例えば、IL-6抗原とIL-6抗原以外の少なくとも1種を含む、一群の抗原を利用する、ELISAなどの結合アッセイによって、判定することができる。特異性を評価するための代表的な方法を下記実施例5に提示する。ここでは、本発明のヒト抗IL-6抗体(mAb 1339)を、以下などの無関係な抗原との結合性について、ELISAによって試験した: ヒトインスリン、ヒト血清アルブミン、ヒトヘモグロビン、およびウシ血清アルブミン。非IL-6抗原との結合性は観察されなかったので、mAb 1339はIL-6に特異的に結合するものと判断された。
【0040】
特定の実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合するが、その他のIL-6スーパーファミリーメンバーには結合しない。特定の実施形態において、本発明の抗体が例えばCNFT、オンコスタチンM、IL-11またはNNT-1などのIL-6スーパーファミリーメンバーと結合する親和性よりも、少なくとも1000倍、少なくとも500倍、少なくとも200倍、少なくとも100倍、少なくとも90倍、少なくとも80倍、少なくとも70倍、少なくとも60倍、少なくとも50倍、少なくとも40倍、少なくとも30倍、少なくとも20倍、少なくとも10倍または少なくとも2倍大きい親和性でIL-6抗原と結合するならば、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。例えば、mAb 1339はELISAによってIL-6に結合することが示されたが、CNFT、オンコスタチンM、IL-11またはNNT-1とは、わずかなレベルの結合性しか示さなかった(実施例5および図5B参照)。これまたは類似のアッセイを使用して、任意の抗体がIL-6抗原と特異的に結合するかどうかを評価することができる。
【0041】
別の実施形態において、本発明の抗体はIL-6抗原と、その解離定数(Kd)が約10-8 Mの場合、特異的に結合する。特定の実施形態において、抗体は、Kdが約5x10-9 Mの場合、「高親和性」で、Kdが約5x10-10 Mの場合、「極めて高親和性」で、IL-6抗原と特異的に結合すると言われる。
【0042】
本発明との関連で、抗体がIL-6抗原と特異的に結合するかどうかは、機能性アッセイによっても判定することができる。例えば、IL-6受容体を発現する細胞をIL-6とともに試験抗体の存在中でインキュベートするアッセイを実施することができる。並行するアッセイで、その試験抗体の存在中で、別の受容体を発現する細胞をその受容体のためのリガンドとともにインキュベートする。抗体が第1のアッセイ(IL-6およびそのIL-6受容体を発現する細胞が含まれるもの)で抑制効果を示すが、第2のアッセイ(別種のリガンドおよびそのリガンドのための受容体を発現する細胞が含まれるもの)では抑制効果を示さない場合、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合すると結論することができる。抗体が細胞上のIL-6受容体へのIL-6の結合性の生物学的効果を抑制するかどうかの判定のためのアッセイは、本明細書中で別に議論する。例えば、実施例5は、本発明のヒト抗IL-6抗体の、IL-6が誘発するヒトミエローマ細胞の増殖を抑制する能力を示している。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、100%(すなわち、完全)抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、90%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、80%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、70%またはそれ以上、60%またはそれ以上、50%またはそれ以上、40%またはそれ以上、30%またはそれ以上、20%またはそれ以上、10%またはそれ以上、あるいは5%またはそれ以上、あるいは1%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、100%(すなわち、完全)抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、90%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、80%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、70%またはそれ以上、60%またはそれ以上、50%またはそれ以上、40%またはそれ以上、30%またはそれ以上、20%またはそれ以上、10%またはそれ以上、あるいは5%またはそれ以上、あるいは1%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体について、種特異性、ヒトIL-6との結合性またはその検出時の利用性が実証される。いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体は、ヒトまたはサルIL-6に結合してその検出に役立つが、マウスまたはラットIL-6とは結合しない。
【0046】
本発明のヒト抗体は多様な方法によって取得することができる。例えば、IL-6に結合するヒトモノクローナル抗体は、例えば、1以上のヒトVLおよびVH cDNAライブラリーを、IL-6またはその一部について、ファージディスプレー技術などによってスクリーニングすることによって、選択することができる(McCafferty et al., Nature 348:552-554(1990))。本発明のヒト抗体は、例えばトランスジェニックマウスなどのトランスジェニック動物から取得することもできる(Jakobovits, Curr. Opin. Biotechnol. 6:561-566(1995))。本発明には、ヒト抗体を作成するための当分野で既知のあらゆる方法によって取得されるヒト抗IL-6抗体が含まれる。
【0047】
本発明の抗体を作製するために使用することができる代表的な方法は、例えば以下に開示されている: U.S. Patent Appl. Publication No. 2005/0196755。この内容の全部を参照として、組み入れる。
【0048】
こうして、本発明には、ヒト重鎖可変領域(VH)を含んでいるモノクローナル抗体であって、そのヒトVHは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変軽鎖領域(VL)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるもの、が含まれる。
【0049】
本発明には、ヒト軽鎖可変領域(VL)を含んでいるモノクローナル抗体であって、そのヒトVLは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変重鎖領域(VH)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるもの、も含まれる。特定の実施形態において、このヒトVLはカッパサブタイプのもの(すなわち、VK)である。
【0050】
本発明には、ヒト重鎖可変領域(VH)およびヒト軽鎖可変領域(VL)を含んでいるモノクローナル抗体であって、そのヒトVHは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変軽鎖領域(VL)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるものであり、またそのヒトVLは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変重鎖領域(VH)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるもの、も含まれる。
【0051】
特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は以下からなる群から選択されるアミノ酸配列の1つを含んでいる可変重鎖領域(VH)を含んでいる: H415(配列番号19)、H884(配列番号20)、H1077(配列番号21)、H1078(配列番号22)、H1079(配列番号23)、H1081(配列番号24)、H1089(配列番号25)、H1511(配列番号26)、H1420(配列番号27)、H1432(配列番号28)、H1515(配列番号29)、H1362(配列番号30)、H1437(配列番号31)、H1461(配列番号32)、H1519(配列番号38)、H1520(配列番号39)、H1521(配列番号40)、H1522(配列番号41)、H1553(配列番号42)、およびH1579(配列番号43)。この抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0052】
特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は以下からなる群から選択されるアミノ酸配列の1つを含んでいる可変軽鎖領域(VLもしくはVK)を含んでいる: L112(配列番号1)、L151(配列番号2)、L158(配列番号3)、L159(配列番号4)、L164(配列番号5)、L165(配列番号6)、L166(配列番号7)、L167(配列番号8)、L168(配列番号9)、L169(配列番号10)、L170(配列番号11)、L171(配列番号12)、L172(配列番号13)、L173(配列番号14)、L174(配列番号15)、L175(配列番号16)、L189(配列番号17)、L198(配列番号18)、L314(配列番号33)、L305(配列番号34)、L303(配列番号35)、L298(配列番号36)、およびL321(配列番号37)。この抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0053】
当業者であれば、本発明の文脈内で記載された「可変重鎖領域(VH)を含んでいる抗体」および「可変軽鎖領域(VLもしくはVK)を含んでいる抗体」は、例えば、1種以上の定常重鎖領域(例えば、CH1、CH2および/もしくはCH3)ならびに/または定常軽鎖領域(CL)などの、抗体分子に通常見られる、1種以上の追加の領域(または「ドメイン」)を含んでいてもよいことが理解できるはずである。
【0054】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号19〜32または38〜43のいずれか1つと以下の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖領域(VH)を含んでおり、その抗体はIL-6抗原と特異的に結合する: 少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0055】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号1〜18または33〜37のいずれか1つと以下の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖領域(VLもしくはVK)を含んでおり、その抗体はIL-6抗原と特異的に結合する: 少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0056】
本明細書で使用する用語「同一性」とは、2以上のポリペプチド分子の配列をアラインメントして、比較することによって判定した、その配列間の関連性を称する。「同一性パーセント」は、比較する分子中のアミノ酸間で同一の残基のパーセントを意味し、これは比較する分子の最小のサイズに基づいて算出される。これらの算出のためには、アラインメント分子中のギャップ(もしあれば)を、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対応させる必要がある。アラインメントしたポリペプチドの同一性を算出するために使用することができる方法として、以下に記載されたものが含まれる: Computational Molecular Biology, (Lesk, A. M., ed.), 1988, New York: Oxford University Press; Biocomputing Informatics and Genome Projects, (Smith, D. W., ed.), 1993, New York: Academic Press; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, (Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.), 1994, New Jersey: Humana Press; von Heinje, G., 1987, Sequence Analysis in Molecular Biology, New York: Academic Press; Sequence Analysis Primer, (Gribskov, M. and Devereux, J., eds.), 1991, New York: M. Stockton Press; およびCarillo et al., 1988, SIAM J. Applied Math. 48: 1073。
【0057】
同一性パーセントを算出する際、比較する配列を、その配列間で最大の一致が得られるように、アラインメントする。同一性パーセントを決定するために使用するコンピュータプログラムには、GAPを含むGCGプログラムがある(Devereux et al., 1984, Nucl Acid Res 12:387; Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wisc.)。コンピュータアルゴリズムGAPは、配列同一性パーセントを決定しようとする2つのポリペプチド鎖をアラインメントするために使用する。これらの配列を、その対応するアミノ酸が最適一致になるようにアラインメントする(アルゴリズムで決定した「一致スパン」)。このアルゴリズムと連携させて、以下を使用する: ギャップオープニングペナルティ(3回の平均ダイアゴナルとして算出され、この「平均ダイアゴナル」は使用した比較マトリックスのダイアゴナルの平均であり、この「ダイアゴナル」とは、特定の比較マトリックスによって、それぞれ完全なアミノ酸一致になるように割り当てられたスコアまたは個数である)、およびギャップエクステンションペナルティ(通常、前記ギャップオープニングペナルティの10分の1である)、さらにPAM 250もしくはBLOSUM 62などの比較マトリックス。特定の実施形態において、アルゴリズムで、標準的比較マトリックスも使用する(PAM 250比較マトリックスについて、Dayhoff et al., 1978, Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352; BLOSUM 62比較マトリックスについて、Henikoff et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919、参照)。
【0058】
GAPプログラムを使用してポリペプチド鎖についての同一性パーセントを決定するために推奨されるパラメーターは以下である:
アルゴリズム: Needleman et al., 1970、J. Mol. Biol. 48:443-453;
比較マトリックス: BLOSUM 62、上記Henikoff et al., 1992、より;
ギャップペナルティ: 12(ただし、末端ギャップについてはペナルティ無し);
ギャップ長ペナルティ: 4;
相同性の閾値: 0。
【0059】
2つのアミノ酸配列をアラインメントするための特定のアラインメントスキームは、結果として2つの配列の短い領域だけを一致させるものがあるが、この短いアラインメント領域は、この2つの全長配列間に有意な関連性がないとしても、非常に高い配列同一性を有する。したがって、選択したアラインメント方法(GAPプログラム)を必要に応じて、標的ポリペプチド鎖の少なくとも50個の連続したアミノ酸の範囲のアラインメントの結果となるように調節する。
【0060】
本明細書に記載する抗IL-6抗体について、アミノ酸配列修飾(群)を想定している。例えば、抗IL-6抗体の結合親和性および/またはその他の生物学的性質を改善するために、これが望ましいことがある。
【0061】
抗IL-6抗体について、この抗体の重または軽鎖をコードする核酸中に適切なヌクレオチド変換を導入するか、またはペプチド合成によって、そのアミノ酸配列変異体を調製することができる。代表的な修飾として、その抗体の重および/または軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を変更するものが含まれる。特に好ましいのは、本発明の抗体の重および/または軽鎖の可変領域の1以上のCDRのアミノ酸配列を変更する修飾である。
【0062】
代表的な修飾として、例えば、抗IL-6抗体のアミノ酸配列内の残基について、これらからの欠失、および/またはその中への挿入、および/またはそれらの置換が含まれる。最終構築物が所望の特性(例えば、IL-6抗原と特異的に結合する抗体の部分を形成する能力)を保有する限り、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを作成して、最終構築物とすることができる。アミノ酸の変更は、グリコシル化部位の数または位置を変更するなどの、抗IL-6抗体の翻訳後プロセスを変更するものでもよい。
【0063】
本発明の抗体のVHおよびVL領域内にアミノ酸変更を導入するための代表的な方法の1つを下記実施例2で説明する。この方法によれば、例えばVHまたはVLのCDR内の特定の位置に、NNKを導入する。ここでNはA、T、G、またはC、そしてKはTまたはGが可能である。NNKを使用して、それぞれの位置に、20アミノ酸の全部および1停止コドンを導入することができる。
【0064】
突然変異誘発のために好ましい位置となる抗IL-6抗体可変重鎖領域および可変軽鎖領域の特定の残基または領域の同定のために有用な別の方法は、以下に記載されている、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれるものである: Cunningham and Wells, Science 244:1081-1085(1989)。この場合、標的残基の1残基または残基群(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)を同定し、中性または陰性荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)と置換する。次に、この置換に対して機能的な感応性を呈するアミノ酸の位置を、置換の部位に、さらに、または別の変異を導入することによって、改良する。こうして、アミノ酸配列の変更を導入するための部位は事前に決定することができるが、その突然変異自体の性質は事前に決定する必要はない。例えば、所定の部位の突然変異の性向を分析するためには、その標的コドンまたは領域で、アラニンスキャニングまたはランダム突然変異誘発を実行し、発現したVH変異体および/またはVL変異体を、それぞれ可変軽鎖または可変重鎖と組み合わせたときの、所望の活性についてスクリーニングする。
【0065】
アミノ酸配列の挿入として、1残基から100もしくはそれ以上の残基を含有するポリペプチド鎖までの長さの範囲のアミノ-および/またはカルボキシル-末端融合、ならびに単一または複数アミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例として、N-末端メチオニル残基を持つ抗IL-6 VHもしくは抗IL-6 VL、または細胞傷害性ポリペプチド鎖と融合した抗IL-6 VHもしくは抗IL-6 VLが含まれる。
【0066】
別のタイプの変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体はVHもしくはVL分子中で、少なくとも1アミノ酸残基が別の残基と置換されている。本発明の抗IL-6抗体のVHおよびVL領域の置換による突然変異誘発について最大の関心がある部位として、超可変領域が含まれるが、FR変更も想定している。
【0067】
保存置換を「好ましい置換」のタイトルで、表1に示す。こうした置換の結果として生物学的活性に変更があれば、表1中に「代表的な置換」と命名するか、またはアミノ酸クラスについてさらに以下に記載する、より実質的な変更を導入して、生成物をスクリーニングすることができる。
【表1】
【0068】
本発明の抗IL-6抗体の生物学的性質の実質的改変は、以下を維持する効果について、顕著に異なる置換を選定することによって、達成することができる: (a) 例えば、シート状もしくはへリックス立体構造としての、置換部位のポリペプチド鎖骨格の構造、(b) 標的部位の分子の荷電もしくは疎水性、または(c) 側鎖の大きさ。天然に生起する残基は一般的な側鎖の性質に基づいて、以下のグループに分けられる:
(1) 疎水性: norleu、met、ala、val、leu、ile;
(2) 中性、親水性: cys、ser、thr;
(3) 酸性: asp、glu;
(4) 塩基性: asn、gln、his、lys、arg;
(5) 鎖配向性に影響を与える残基: gly、pro; および
(6) 芳香族: trp、tyr、phe。
【0069】
非保存置換とは、これらのクラスの1メンバーを別のクラスのものと交換することを伴うものである。
【0070】
抗IL-6抗体の立体構造の特性を維持することに関与していないいずれかのシステイン残基を、一般的にはセリンと置換して、その分子の酸化安定性を改善し、かつ異常な交差結合を防止することもできる。逆に、(特に抗IL-6抗体がFv断片などの抗体断片の場合)、抗IL-6抗体にシステイン結合(群)を加えて、その安定性を改善することができる。
【0071】
特に好ましいタイプの置換変異には、親抗体の1以上の超可変領域残基の置換が関与する。一般的に、さらに開発するために選択して生成する変異体(群)は、それらを作製するための親抗体に比較して、改善された生物学的性質(例えば、IL-6抗原への改善された親和性)を持つものとなる。こうした置換変異体を作製するための代表的な方法の1つは、ファージディスプレーを使用する親和性成熟である。簡単に述べると、いくつかの超可変領域部位(例えば、6〜7部位)を突然変異させて、それぞれの部位で可能なすべてのアミノ置換を作製する。こうして作製した抗体変異体を、線状ファージ粒子から一価状態で、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物との融合体としてディスプレーさせる。次に、ファージディスプレーさせた変異体を、本明細書に開示したように、その生物学的活性(例えば、結合親和性)について、スクリーニングする。修飾のための超可変領域部位の候補を同定するため、アラニンスキャニング突然変異誘発を実施して、抗原との結合に顕著に寄与する超可変領域残基を同定することができる。それに代えて、またはそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と抗原の接触位置を同定することも、有益である。こうした接触残基および隣接残基は、本明細書に詳述する技法にしたがう置換のための候補である。こうした変異体を作製した後、一群の変異体を本明細書に記載するスクリーニングにかけて、1以上の関連するアッセイで優秀な性質を持つ抗体を、その後の開発のために選択することができる。
【0072】
本明細書に提示する抗IL-6抗体の別のタイプのアミノ酸変異体は、抗IL-6抗体の当初のグリコシル化パターンを変更するものである。こうした変更として、抗IL-6抗体中にある1以上の炭水化物部分の欠失、および/または抗IL-6抗体中に存在しない1以上のグリコシル化部位の付加が含まれる。
【0073】
ポリペプチド鎖のグリコシル化は、典型的にはN-連結またはO-連結のいずれかである。N-連結とはアスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の接続を意味する。トリペプチド配列、アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン、ここでXはプロリン以外の任意のアミノ酸、はアスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的接続についての認識配列である。こうして、ポリペプチド鎖中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在が、可能なグリコシル化部位を形成する。O-連結グリコシル化とは、糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、もしくはキシロースの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も普通にはセリンもしくはトレオニンへの接続を意味する。ただし、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンも使用することができる。
【0074】
抗IL-6抗体へのグリコシル化部位の付加は、そのアミノ酸配列を、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むように変更することによって、好都合に達成することができる(N-連結グリコシル化部位について)。その変更は、当初の抗IL-6抗体の配列に1以上のセリンもしくはトレオニン残基の付加、またはこれによる置換によっても、作成することができる(O-連結グリコシル化部位について)。
【0075】
特定の実施形態において、本発明の抗体内に含まれるVHドメインは、1〜20アミノ酸の置換がある以外には、配列番号19〜32または38〜43のいずれか1つと同一のアミノ配列の1つを含んでいる。例えば、VHは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のアミノ酸の置換がある以外には、配列番号19〜32または38〜43と同一のアミノ配列の1つを持っている。置換(群)は配列番号19〜32または38〜43中にある配列内のどの位置でもよい。特定の実施形態において、置換(群)はVHドメインの1以上のCDR内にある。例えば、置換(群)はCDR1、CDR2および/またはCDR3内のものが可能である。
【0076】
同様に、特定の実施形態において、本発明の抗体内に含まれるVLドメインは、1〜20アミノ酸の置換がある以外には、配列番号1〜18または33〜37のいずれか1つと同一のアミノ配列の1つを含んでいる。例えば、VLは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸の置換がある以外には、配列番号1〜18または33〜37と同一のアミノ配列の1つを持っている。置換(群)は配列番号1〜18または33〜37中にある配列内のどの位置でもよい。特定の実施形態において、置換(群)はVLドメインの1以上のCDR内にある。例えば、置換(群)はCDR1、CDR2および/またはCDR3内のものが可能である。
【0077】
1以上のアミノ酸残基が配列番号19〜32もしくは38〜43とは異なるVH領域および/または1以上のアミノ酸残基が配列番号1〜18もしくは33〜37とは異なるVL領域を含んでいる本発明の抗IL-6抗体は、好ましくはIL-6抗原に特異的に結合する能力を保持している。
【0078】
本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVHが表2に示すいずれかのCDR1を含んでいるもの、が含まれる。
【表2】
【0079】
本発明にはVHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが、配列番号51〜55からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6または7)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号51〜55のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR1を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR1を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0080】
本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVHが表3に示すいずれかのCDR2を含んでいるもの、も含まれる。
【表3】
【0081】
本発明にはVHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが、配列番号56〜61または97からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号56〜61または97のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR2を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR2を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0082】
本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVHが表4に示すいずれかのCDR3を含んでいるもの、も含まれる。
【表4】
【0083】
本発明にはVHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが、配列番号62〜73または98からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号62〜73または98のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR3を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR3を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0084】
その上、本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVLが表5に示すいずれかのCDR1を含んでいるもの、が含まれる。
【表5】
【0085】
本発明にはVLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが、配列番号74〜79からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号74〜79のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR1を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR1を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0086】
本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVLが表6に示すいずれかのCDR2を含んでいるもの、も含まれる。
【表6】
【0087】
本発明にはVLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが、配列番号80〜85からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6または7)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号80〜85のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR2を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR2を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0088】
本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVLが表7に示すいずれかのCDR3を含んでいるもの、も含まれる。
【表7】
【0089】
本発明にはVLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが、配列番号86〜96からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号86〜96のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR3を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR3を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0090】
実施例1で示すように、ヒトVHの一ライブラリをスクリーニングすることによって同定した第1世代ヒト可変重鎖領域(VH)は、互いに大幅な配列同一性を共有している。ヒトVH間のこのアミノ配列同一性を表10に示し、また図1で説明する。例えば、同定したヒトVHのCDR1はすべてアミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)を共有している。その上、同定したヒトVHのCDR2はすべてアミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)を共有している。
【0091】
こうして、本発明にはアミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)を持つ可変重鎖CDR1(VH-CDR1)を含んでいるモノクローナル抗体が含まれ、ここでX1、X2およびX3はどのアミノ酸でもよい。例えば、X1、X2および/またはX3は以下であり得る: イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、フェニルアラニン(P)、メチオニン(M)、システイン(C)、アラニン(A)、グリシン(G)、プロリン(P)、トレオニン(T)、セリン(S)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはアルギニン(R)。代表的な一実施形態において、X1はメチオニン(M)またはバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X1はバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X2はシステイン(C)、アラニン(A)、セリン(S)またはグリシン(G)である。別の代表的な実施形態において、X3はセリン(S)またはグリシン(G)である。好ましくは、アミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)を持つVH-CDR1を含んでいる本発明の抗体は、IL-6抗原に特異的に結合する。
【0092】
本発明には、アミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)を持つ可変重鎖CDR2(VH-CDR2)を含んでいるモノクローナル抗体も含まれる。ここでX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8はどんなアミノ酸でもよい。例えば、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7および/またはX8は以下であり得る: イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、フェニルアラニン(P)、メチオニン(M)、システイン(C)、アラニン(A)、グリシン(G)、プロリン(P)、トレオニン(T)、セリン(S)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはアルギニン(R)。代表的な一実施形態において、X1はロイシン(L)、フェニルアラニン(F)またはバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X1はロイシン(L)である。別の代表的な実施形態において、X2はイソロイシン(I)またはバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X2はイソロイシン(I)である。別の代表的な実施形態において、X3はチロシン(Y)またはフェニルアラニン(F)である。別の代表的な実施形態において、X4はリシン(K)またはアルギニン(R)である。別の代表的な実施形態において、X5はアルギニン(R)、チロシン(Y)、またはヒスチジン(H)である。別の代表的な実施形態において、X6はセリン(S)またはアスパラギン(N)である。別の代表的な実施形態において、X6はセリン(S)である。別の代表的な実施形態において、X7はアルギニン(R)、リシン(K)、グルタミン酸(E)またはセリン(S)である。別の代表的な実施形態において、X7はリシン(K)である。別の代表的な実施形態において、X8はセリン(S)またはアスパラギン(N)である。好ましくは、アミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)を持つVH-CDR2を含んでいる本発明の抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0093】
本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが配列番号1〜18または33〜37からの非CDR(例えば、フレームワーク領域)アミノ酸の1以上が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号1〜18または33〜37のいずれかと同一であるもの、も含まれる。本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが配列番号19〜32または38〜43からの非CDR(例えば、フレームワーク領域)アミノ酸の1以上が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号19〜32または38〜43のいずれかと同一であるもの、も含まれる。好ましくはVHおよび/またはVK配列のフレームワーク領域内に1個以上のアミノ酸の変更を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0094】
本発明には以下の任意の組み合わせを含んでいる抗体が含まれる:
(1) 本明細書に提示する可変重鎖領域(VH)、または本明細書に提示する1以上のCDRを含んでいるVH; および
(2) 本明細書に提示する可変軽鎖領域(VL)、または本明細書に提示する1以上のCDRを含んでいるVL。
【0095】
例えば、本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体が含まれる: H415(配列番号19)およびL112(配列番号1); H415(配列番号19)およびL151(配列番号2); H415(配列番号19)およびL158(配列番号3); H415(配列番号19)およびL159(配列番号4); H415(配列番号19)およびL164(配列番号5); H415(配列番号19)およびL165(配列番号6); H415(配列番号19)およびL166(配列番号7); H415(配列番号19)およびL167(配列番号8); H415(配列番号19)およびL168(配列番号9); H415(配列番号19)およびL169(配列番号10); H415(配列番号19)およびL170(配列番号11); H415(配列番号19)およびL171(配列番号12); H415(配列番号19)およびL172(配列番号13); H415(配列番号19)およびL173(配列番号14); H415(配列番号19)およびL174(配列番号15); H415(配列番号19)およびL175(配列番号16); H415(配列番号19)およびL189(配列番号17); H415(配列番号19)およびL198(配列番号18); H415(配列番号19)およびL314(配列番号33); H415(配列番号19)およびL305(配列番号34); H415(配列番号19)およびL303(配列番号35); H415(配列番号19)およびL298(配列番号36); またはH415(配列番号19)およびL321(配列番号37)。
【0096】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H884(配列番号20)およびL112(配列番号1); H884(配列番号20)およびL151(配列番号2); H884(配列番号20)およびL158(配列番号3); H884(配列番号20)およびL159(配列番号4); H884(配列番号20)およびL164(配列番号5); H884(配列番号20)およびL165(配列番号6); H884(配列番号20)およびL166(配列番号7); H884(配列番号20)およびL167(配列番号8); H884(配列番号20)およびL168(配列番号9); H884(配列番号20)およびL169(配列番号10); H884(配列番号20)およびL170(配列番号11); H884(配列番号20)およびL171(配列番号12); H884(配列番号20)およびL172(配列番号13); H884(配列番号20)およびL173(配列番号14); H884(配列番号20)およびL174(配列番号15); H884(配列番号20)およびL175(配列番号16); H884(配列番号20)およびL189(配列番号17); H884(配列番号20)およびL198(配列番号18); H884(配列番号20)およびL314(配列番号33); H884(配列番号20)およびL305(配列番号34); H884(配列番号20)およびL303(配列番号35); H884(配列番号20)およびL298(配列番号36); またはH884(配列番号20)およびL321(配列番号37)。
【0097】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1077(配列番号21)およびL112(配列番号1); H1077(配列番号21)およびL151(配列番号2); H1077(配列番号21)およびL158(配列番号3); H1077(配列番号21)およびL159(配列番号4); H1077(配列番号21)およびL164(配列番号5); H1077(配列番号21)およびL165(配列番号6); H1077(配列番号21)およびL166(配列番号7); H1077(配列番号21)およびL167(配列番号8); H1077(配列番号21)およびL168(配列番号9); H1077(配列番号21)およびL169(配列番号10); H1077(配列番号21)およびL170(配列番号11); H1077(配列番号21)およびL171(配列番号12); H1077(配列番号21)およびL172(配列番号13); H1077(配列番号21)およびL173(配列番号14); H1077(配列番号21)およびL174(配列番号15); H1077(配列番号21)およびL175(配列番号16); H1077(配列番号21)およびL189(配列番号17); H1077(配列番号21)およびL198(配列番号18); H1077(配列番号21)およびL314(配列番号33); H1077(配列番号21)およびL305(配列番号34); H1077(配列番号21)およびL303(配列番号35); H1077(配列番号21)およびL298(配列番号36); またはH1077(配列番号21)およびL321(配列番号37)。
【0098】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1078(配列番号22)およびL112(配列番号1); H1078(配列番号22)およびL151(配列番号2); H1078(配列番号22)およびL158(配列番号3); H1078(配列番号22)およびL159(配列番号4); H1078(配列番号22)およびL164(配列番号5); H1078(配列番号22)およびL165(配列番号6); H1078(配列番号22)およびL166(配列番号7); H1078(配列番号22)およびL167(配列番号8); H1078(配列番号22)およびL168(配列番号9); H1078(配列番号22)およびL169(配列番号10); H1078(配列番号22)およびL170(配列番号11); H1078(配列番号22)およびL171(配列番号12); H1078(配列番号22)およびL172(配列番号13); H1078(配列番号22)およびL173(配列番号14); H1078(配列番号22)およびL174(配列番号15); H1078(配列番号22)およびL175(配列番号16); H1078(配列番号22)およびL189(配列番号17); H1078(配列番号22)およびL198(配列番号18); H1078(配列番号22)およびL314(配列番号33); H1078(配列番号22)およびL305(配列番号34); H1078(配列番号22)およびL303(配列番号35); H1078(配列番号22)およびL298(配列番号36); またはH1078(配列番号22)およびL321(配列番号37)。
【0099】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1079(配列番号23)およびL112(配列番号1); H1079(配列番号23)およびL151(配列番号2); H1079(配列番号23)およびL158(配列番号3); H1079(配列番号23)およびL159(配列番号4); H1079(配列番号23)およびL164(配列番号5); H1079(配列番号23)およびL165(配列番号6); H1079(配列番号23)およびL166(配列番号7); H1079(配列番号23)およびL167(配列番号8); H1079(配列番号23)およびL168(配列番号9); H1079(配列番号23)およびL169(配列番号10); H1079(配列番号23)およびL170(配列番号11); H1079(配列番号23)およびL171(配列番号12); H1079(配列番号23)およびL172(配列番号13); H1079(配列番号23)およびL173(配列番号14); H1079(配列番号23)およびL174(配列番号15); H1079(配列番号23)およびL175(配列番号16); H1079(配列番号23)およびL189(配列番号17); H1079(配列番号23)およびL198(配列番号18); H1079(配列番号23)およびL314(配列番号33); H1079(配列番号23)およびL305(配列番号34); H1079(配列番号23)およびL303(配列番号35); H1079(配列番号23)およびL298(配列番号36); またはH1079(配列番号23)およびL321(配列番号37)。
【0100】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1081(配列番号24)およびL112(配列番号1); H1081(配列番号24)およびL151(配列番号2); H1081(配列番号24)およびL158(配列番号3); H1081(配列番号24)およびL159(配列番号4); H1081(配列番号24)およびL164(配列番号5); H1081(配列番号24)およびL165(配列番号6); H1081(配列番号24)およびL166(配列番号7); H1081(配列番号24)およびL167(配列番号8); H1081(配列番号24)およびL168(配列番号9); H1081(配列番号24)およびL169(配列番号10); H1081(配列番号24)およびL170(配列番号11); H1081(配列番号24)およびL171(配列番号12); H1081(配列番号24)およびL172(配列番号13); H1081(配列番号24)およびL173(配列番号14); H1081(配列番号24)およびL174(配列番号15); H1081(配列番号24)およびL175(配列番号16); H1081(配列番号24)およびL189(配列番号17); H1081(配列番号24)およびL198(配列番号18); H1081(配列番号24)およびL314(配列番号33); H1081(配列番号24)およびL305(配列番号34); H1081(配列番号24)およびL303(配列番号35); H1081(配列番号24)およびL298(配列番号36); またはH1081(配列番号24)およびL321(配列番号37)。
【0101】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1089(配列番号25)およびL112(配列番号1); H1089(配列番号25)およびL151(配列番号2); H1089(配列番号25)およびL158(配列番号3); H1089(配列番号25)およびL159(配列番号4); H1089(配列番号25)およびL164(配列番号5); H1089(配列番号25)およびL165(配列番号6); H1089(配列番号25)およびL166(配列番号7); H1089(配列番号25)およびL167(配列番号8); H1089(配列番号25)およびL168(配列番号9); H1089(配列番号25)およびL169(配列番号10); H1089(配列番号25)およびL170(配列番号11); H1089(配列番号25)およびL171(配列番号12); H1089(配列番号25)およびL172(配列番号13); H1089(配列番号25)およびL173(配列番号14); H1089(配列番号25)およびL174(配列番号15); H1089(配列番号25)およびL175(配列番号16); H1089(配列番号25)およびL189(配列番号17); H1089(配列番号25)およびL198(配列番号18); H1089(配列番号25)およびL314(配列番号33); H1089(配列番号25)およびL305(配列番号34); H1089(配列番号25)およびL303(配列番号35); H1089(配列番号25)およびL298(配列番号36); またはH1089(配列番号25)およびL321(配列番号37)。
【0102】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1511(配列番号26)およびL112(配列番号1); H1511(配列番号26)およびL151(配列番号2); H1511(配列番号26)およびL158(配列番号3); H1511(配列番号26)およびL159(配列番号4); H1511(配列番号26)およびL164(配列番号5); H1511(配列番号26)およびL165(配列番号6); H1511(配列番号26)およびL166(配列番号7); H1511(配列番号26)およびL167(配列番号8); H1511(配列番号26)およびL168(配列番号9); H1511(配列番号26)およびL169(配列番号10); H1511(配列番号26)およびL170(配列番号11); H1511(配列番号26)およびL171(配列番号12); H1511(配列番号26)およびL172(配列番号13); H1511(配列番号26)およびL173(配列番号14); H1511(配列番号26)およびL174(配列番号15); H1511(配列番号26)およびL175(配列番号16); H1511(配列番号26)およびL189(配列番号17); H1511(配列番号26)およびL198(配列番号18); H1511(配列番号26)およびL314(配列番号33); H1511(配列番号26)およびL305(配列番号34); H1511(配列番号26)およびL303(配列番号35); H1511(配列番号26)およびL298(配列番号36); またはH1511(配列番号26)およびL321(配列番号37)。
【0103】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1420(配列番号27)およびL112(配列番号1); H1420(配列番号27)およびL151(配列番号2); H1420(配列番号27)およびL158(配列番号3); H1420(配列番号27)およびL159(配列番号4); H1420(配列番号27)およびL164(配列番号5); H1420(配列番号27)およびL165(配列番号6); H1420(配列番号27)およびL166(配列番号7); H1420(配列番号27)およびL167(配列番号8); H1420(配列番号27)およびL168(配列番号9); H1420(配列番号27)およびL169(配列番号10); H1420(配列番号27)およびL170(配列番号11); H1420(配列番号27)およびL171(配列番号12); H1420(配列番号27)およびL172(配列番号13); H1420(配列番号27)およびL173(配列番号14); H1420(配列番号27)およびL174(配列番号15); H1420(配列番号27)およびL175(配列番号16); H1420(配列番号27)およびL189(配列番号17); H1420(配列番号27)およびL198(配列番号18); H1420(配列番号27)およびL314(配列番号33); H1420(配列番号27)およびL305(配列番号34); H1420(配列番号27)およびL303(配列番号35); H1420(配列番号27)およびL298(配列番号36); またはH1420(配列番号27)およびL321(配列番号37)。
【0104】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1432(配列番号28)およびL112(配列番号1); H1432(配列番号28)およびL151(配列番号2); H1432(配列番号28)およびL158(配列番号3); H1432(配列番号28)およびL159(配列番号4); H1432(配列番号28)およびL164(配列番号5); H1432(配列番号28)およびL165(配列番号6); H1432(配列番号28)およびL166(配列番号7); H1432(配列番号28)およびL167(配列番号8); H1432(配列番号28)およびL168(配列番号9); H1432(配列番号28)およびL169(配列番号10); H1432(配列番号28)およびL170(配列番号11); H1432(配列番号28)およびL171(配列番号12); H1432(配列番号28)およびL172(配列番号13); H1432(配列番号28)およびL173(配列番号14); H1432(配列番号28)およびL174(配列番号15); H1432(配列番号28)およびL175(配列番号16); H1432(配列番号28)およびL189(配列番号17); H1432(配列番号28)およびL198(配列番号18); H1432(配列番号28)およびL314(配列番号33); H1432(配列番号28)およびL305(配列番号34); H1432(配列番号28)およびL303(配列番号35); H1432(配列番号28)およびL298(配列番号36); またはH1432(配列番号28)およびL321(配列番号37)。
【0105】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1515(配列番号29)およびL112(配列番号1); H1515(配列番号29)およびL151(配列番号2); H1515(配列番号29)およびL158(配列番号3); H1515(配列番号29)およびL159(配列番号4); H1515(配列番号29)およびL164(配列番号5); H1515(配列番号29)およびL165(配列番号6); H1515(配列番号29)およびL166(配列番号7); H1515(配列番号29)およびL167(配列番号8); H1515(配列番号29)およびL168(配列番号9); H1515(配列番号29)およびL169(配列番号10); H1515(配列番号29)およびL170(配列番号11); H1515(配列番号29)およびL171(配列番号12); H1515(配列番号29)およびL172(配列番号13); H1515(配列番号29)およびL173(配列番号14); H1515(配列番号29)およびL174(配列番号15); H1515(配列番号29)およびL175(配列番号16); H1515(配列番号29)およびL189(配列番号17); H1515(配列番号29)およびL198(配列番号18); H1515(配列番号29)およびL314(配列番号33); H1515(配列番号29)およびL305(配列番号34); H1515(配列番号29)およびL303(配列番号35); H1515(配列番号29)およびL298(配列番号36); またはH1515(配列番号29)およびL321(配列番号37)。
【0106】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1362(配列番号30)およびL112(配列番号1); H1362(配列番号30)およびL151(配列番号2); H1362(配列番号30)およびL158(配列番号3); H1362(配列番号30)およびL159(配列番号4); H1362(配列番号30)およびL164(配列番号5); H1362(配列番号30)およびL165(配列番号6); H1362(配列番号30)およびL166(配列番号7); H1362(配列番号30)およびL167(配列番号8); H1362(配列番号30)およびL168(配列番号9); H1362(配列番号30)およびL169(配列番号10); H1362(配列番号30)およびL170(配列番号11); H1362(配列番号30)およびL171(配列番号12); H1362(配列番号30)およびL172(配列番号13); H1362(配列番号30)およびL173(配列番号14); H1362(配列番号30)およびL174(配列番号15); H1362(配列番号30)およびL175(配列番号16); H1362(配列番号30)およびL189(配列番号17); H1362(配列番号30)およびL198(配列番号18); H1362(配列番号30)およびL314(配列番号33); H1362(配列番号30)およびL305(配列番号34); H1362(配列番号30)およびL303(配列番号35); H1362(配列番号30)およびL298(配列番号36); またはH1362(配列番号30)およびL321(配列番号37)。
【0107】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1437(配列番号31)およびL112(配列番号1); H1437(配列番号31)およびL151(配列番号2); H1437(配列番号31)およびL158(配列番号3); H1437(配列番号31)およびL159(配列番号4); H1437(配列番号31)およびL164(配列番号5); H1437(配列番号31)およびL165(配列番号6); H1437(配列番号31)およびL166(配列番号7); H1437(配列番号31)およびL167(配列番号8); H1437(配列番号31)およびL168(配列番号9); H1437(配列番号31)およびL169(配列番号10); H1437(配列番号31)およびL170(配列番号11); H1437(配列番号31)およびL171(配列番号12); H1437(配列番号31)およびL172(配列番号13); H1437(配列番号31)およびL173(配列番号14); H1437(配列番号31)およびL174(配列番号15); H1437(配列番号31)およびL175(配列番号16); H1437(配列番号31)およびL189(配列番号17); H1437(配列番号31)およびL198(配列番号18); H1437(配列番号31)およびL314(配列番号33); H1437(配列番号31)およびL305(配列番号34); H1437(配列番号31)およびL303(配列番号35); H1437(配列番号31)およびL298(配列番号36); またはH1437(配列番号31)およびL321(配列番号37)。
【0108】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1461(配列番号32)およびL112(配列番号1); H1461(配列番号32)およびL151(配列番号2); H1461(配列番号32)およびL158(配列番号3); H1461(配列番号32)およびL159(配列番号4); H1461(配列番号32)およびL164(配列番号5); H1461(配列番号32)およびL165(配列番号6); H1461(配列番号32)およびL166(配列番号7); H1461(配列番号32)およびL167(配列番号8); H1461(配列番号32)およびL168(配列番号9); H1461(配列番号32)およびL169(配列番号10); H1461(配列番号32)およびL170(配列番号11); H1461(配列番号32)およびL171(配列番号12); H1461(配列番号32)およびL172(配列番号13); H1461(配列番号32)およびL173(配列番号14); H1461(配列番号32)およびL174(配列番号15); H1461(配列番号32)およびL175(配列番号16); H1461(配列番号32)およびL189(配列番号17); H1461(配列番号32)およびL198(配列番号18); H1461(配列番号32)およびL314(配列番号33); H1461(配列番号32)およびL305(配列番号34); H1461(配列番号32)およびL303(配列番号35); H1461(配列番号32)およびL298(配列番号36); またはH1461(配列番号32)およびL321(配列番号37)。
【0109】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1519(配列番号38)およびL112(配列番号1); H1519(配列番号38)およびL151(配列番号2); H1519(配列番号38)およびL158(配列番号3); H1519(配列番号38)およびL159(配列番号4); H1519(配列番号38)およびL164(配列番号5); H1519(配列番号38)およびL165(配列番号6); H1519(配列番号38)およびL166(配列番号7); H1519(配列番号38)およびL167(配列番号8); H1519(配列番号38)およびL168(配列番号9); H1519(配列番号38)およびL169(配列番号10); H1519(配列番号38)およびL170(配列番号11); H1519(配列番号38)およびL171(配列番号12); H1519(配列番号38)およびL172(配列番号13); H1519(配列番号38)およびL173(配列番号14); H1519(配列番号38)およびL174(配列番号15); H1519(配列番号38)およびL175(配列番号16); H1519(配列番号38)およびL189(配列番号17); H1519(配列番号38)およびL198(配列番号18); H1519(配列番号38)およびL314(配列番号33); H1519(配列番号38)およびL305(配列番号34); H1519(配列番号38)およびL303(配列番号35); H1519(配列番号38)およびL298(配列番号36); またはH1519(配列番号38)およびL321(配列番号37)。
【0110】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1520(配列番号39)およびL112(配列番号1); H1520(配列番号39)およびL151(配列番号2); H1520(配列番号39)およびL158(配列番号3); H1520(配列番号39)およびL159(配列番号4); H1520(配列番号39)およびL164(配列番号5); H1520(配列番号39)およびL165(配列番号6); H1520(配列番号39)およびL166(配列番号7); H1520(配列番号39)およびL167(配列番号8); H1520(配列番号39)およびL168(配列番号9); H1520(配列番号39)およびL169(配列番号10); H1520(配列番号39)およびL170(配列番号11); H1520(配列番号39)およびL171(配列番号12); H1520(配列番号39)およびL172(配列番号13); H1520(配列番号39)およびL173(配列番号14); H1520(配列番号39)およびL174(配列番号15); H1520(配列番号39)およびL175(配列番号16); H1520(配列番号39)およびL189(配列番号17); H1520(配列番号39)およびL198(配列番号18); H1520(配列番号39)およびL314(配列番号33); H1520(配列番号39)およびL305(配列番号34); H1520(配列番号39)およびL303(配列番号35); H1520(配列番号39)およびL298(配列番号36); またはH1520(配列番号39)およびL321(配列番号37)。
【0111】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1521(配列番号40)およびL112(配列番号1); H1521(配列番号40)およびL151(配列番号2); H1521(配列番号40)およびL158(配列番号3); H1521(配列番号40)およびL159(配列番号4); H1521(配列番号40)およびL164(配列番号5); H1521(配列番号40)およびL165(配列番号6); H1521(配列番号40)およびL166(配列番号7); H1521(配列番号40)およびL167(配列番号8); H1521(配列番号40)およびL168(配列番号9); H1521(配列番号40)およびL169(配列番号10); H1521(配列番号40)およびL170(配列番号11); H1521(配列番号40)およびL171(配列番号12); H1521(配列番号40)およびL172(配列番号13); H1521(配列番号40)およびL173(配列番号14); H1521(配列番号40)およびL174(配列番号15); H1521(配列番号40)およびL175(配列番号16); H1521(配列番号40)およびL189(配列番号17); H1521(配列番号40)およびL198(配列番号18); H1521(配列番号40)およびL314(配列番号33); H1521(配列番号40)およびL305(配列番号34); H1521(配列番号40)およびL303(配列番号35); H1521(配列番号40)およびL298(配列番号36); またはH1521(配列番号40)およびL321(配列番号37)。
【0112】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1522(配列番号41)およびL112(配列番号1); H1522(配列番号41)およびL151(配列番号2); H1522(配列番号41)およびL158(配列番号3); H1522(配列番号41)およびL159(配列番号4); H1522(配列番号41)およびL164(配列番号5); H1522(配列番号41)およびL165(配列番号6); H1522(配列番号41)およびL166(配列番号7); H1522(配列番号41)およびL167(配列番号8); H1522(配列番号41)およびL168(配列番号9); H1522(配列番号41)およびL169(配列番号10); H1522(配列番号41)およびL170(配列番号11); H1522(配列番号41)およびL171(配列番号12); H1522(配列番号41)およびL172(配列番号13); H1522(配列番号41)およびL173(配列番号14); H1522(配列番号41)およびL174(配列番号15); H1522(配列番号41)およびL175(配列番号16); H1522(配列番号41)およびL189(配列番号17); H1522(配列番号41)およびL198(配列番号18); H1522(配列番号41)およびL314(配列番号33); H1522(配列番号41)およびL305(配列番号34); H1522(配列番号41)およびL303(配列番号35); H1522(配列番号41)およびL298(配列番号36); またはH1522(配列番号41)およびL321(配列番号37)。
【0113】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1553(配列番号42)およびL112(配列番号1); H1553(配列番号42)およびL151(配列番号2); H1553(配列番号42)およびL158(配列番号3); H1553(配列番号42)およびL159(配列番号4); H1553(配列番号42)およびL164(配列番号5); H1553(配列番号42)およびL165(配列番号6); H1553(配列番号42)およびL166(配列番号7); H1553(配列番号42)およびL167(配列番号8); H1553(配列番号42)およびL168(配列番号9); H1553(配列番号42)およびL169(配列番号10); H1553(配列番号42)およびL170(配列番号11); H1553(配列番号42)およびL171(配列番号12); H1553(配列番号42)およびL172(配列番号13); H1553(配列番号42)およびL173(配列番号14); H1553(配列番号42)およびL174(配列番号15); H1553(配列番号42)およびL175(配列番号16); H1553(配列番号42)およびL189(配列番号17); H1553(配列番号42)およびL198(配列番号18); H1553(配列番号42)およびL314(配列番号33); H1553(配列番号42)およびL305(配列番号34); H1553(配列番号42)およびL303(配列番号35); H1553(配列番号42)およびL298(配列番号36); またはH1553(配列番号42)およびL321(配列番号37)。
【0114】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1579(配列番号43)およびL112(配列番号1); H1579(配列番号43)およびL151(配列番号2); H1579(配列番号43)およびL158(配列番号3); H1579(配列番号43)およびL159(配列番号4); H1579(配列番号43)およびL164(配列番号5); H1579(配列番号43)およびL165(配列番号6); H1579(配列番号43)およびL166(配列番号7); H1579(配列番号43)およびL167(配列番号8); H1579(配列番号43)およびL168(配列番号9); H1579(配列番号43)およびL169(配列番号10); H1579(配列番号43)およびL170(配列番号11); H1579(配列番号43)およびL171(配列番号12); H1579(配列番号43)およびL172(配列番号13); H1579(配列番号43)およびL173(配列番号14); H1579(配列番号43)およびL174(配列番号15); H1579(配列番号43)およびL175(配列番号16); H1579(配列番号43)およびL189(配列番号17); H1579(配列番号43)およびL198(配列番号18); H1579(配列番号43)およびL314(配列番号33); H1579(配列番号43)およびL305(配列番号34); H1579(配列番号43)およびL303(配列番号35); H1579(配列番号43)およびL298(配列番号36); またはH1579(配列番号43)およびL321(配列番号37)。
【0115】
当業者ならば、VH領域およびVL領域の組み合わせの1つを含んでいる前記の抗体のいずれでも、抗体分子中に普通に存在する1以上の追加の領域(または「ドメイン」)、例えば、1以上の定常重鎖領域(例えば、CH1、CH2および/もしくはCH3)、ならびに/または定常軽鎖領域(CL)など、を含んでもよいことが理解できるであろう。好ましくは、本明細書に提示するVH領域およびVL領域の組み合わせの1つを含んでいる抗体は、IL-6抗原に特異的に結合する。
【0116】
核酸分子、ベクターおよび細胞
本発明には、VH領域の任意のアミノ酸変異体を含めて、本明細書に提示するVH領域のいずれか1つを含んでいる抗IL-6抗体重鎖をコードする核酸分子が含まれる。本発明には、VL領域の任意のアミノ酸変異体を含めて、本明細書に提示するVL領域のいずれか1つを含んでいる抗IL-6抗体軽鎖をコードする核酸分子も含まれる。特定の実施形態において、この核酸分子は抗IL-6抗体重鎖の一部または抗IL-6抗体軽鎖の一部をコードする。例えば、本発明には、配列番号51〜73で表されるCDRの任意の1つなどの、本明細書に提示する抗IL-6 VHの1以上のCDRを含んでいるポリペプチドをコードする核酸分子が含まれる。本発明には、配列番号74〜96で表されるCDRの任意の1つなどの、本明細書に提示する抗IL-6 VLの1以上のCDRを含んでいるポリペプチドをコードする核酸分子も含まれる。
【0117】
本発明には、配列番号19〜32および38〜43で表されるVH領域の任意の1つなどの、本明細書に提示するVH領域のいずれかをコードする核酸分子も含まれる。本発明には、配列番号19〜32および38〜43のいずれか1つと以下のアミノ酸配列同一性を持つVH領域の1つであって、そのVH領域を含んでいる抗体がIL-6と特異的に結合するもの、をコードする核酸分子が含まれる:少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0118】
本発明には、配列番号1〜18および33〜37で表されるVL領域の任意の1つなどの、本明細書に提示するVL領域のいずれかをコードする核酸分子も含まれる。本発明には配列番号1〜18および33〜37のいずれか1つと以下のアミノ酸配列同一性を持つVL領域の1つであって、そのVL領域を含んでいる抗体がIL-6と特異的に結合するもの、をコードする核酸分子が含まれる:少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0119】
本発明には、本明細書に記載する核酸分子のいずれかを含んでいる発現ベクターも含まれる。代表的なベクターとして、プラスミド、ファージミド、コスミド、ウイルスおよびファージ核酸、または自己複製するか原核もしくは真核細胞中で複製することが可能な、その他の核酸分子が含まれる。特定の実施形態において、このベクターは哺乳動物細胞中で複製することができるものである。典型的な発現ベクターは、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、ならびに本発明の核酸分子の発現の調節に有用なプロモーターを含んでいる。このベクターは、少なくとも1つの独立したターミネーター配列、真核生物および原核生物の両方でそのベクターの複製を可能にする配列、すなわちシャトルベクター、ならびに原核および真核系の両方のための選択マーカーを含んでいる遺伝子発現カセットをも含んでいてもよい。ベクターには好ましくは、アンピシリンまたはネオマイシンなどの抗生物質への耐性を付与するなどの、形質転換した宿主細胞の選択用の、表現型形質を持たせるため、マーカーの1つを含有させる。
【0120】
本発明の核酸分子を1以上のプロモーターの制御下に置くことができる。例えば、核酸分子を構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下に置くことができる。代表的なプロモーターとして以下が含まれる: ヒトサイトメガロウイルス由来のプロモーター、メタロチオニンプロモーター、SV-40初期プロモーター、SV-40後期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルスプロモーター、ルー肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞中での発現に効果を示すその他のプロモーター。
【0121】
本発明には、本発明の核酸分子またはベクターを含んでいる宿主細胞も含まれる。「宿主細胞」とは、本発明の核酸分子またはベクターを導入する1細胞または細胞の集団を意味する。本発明の宿主細胞は好ましくは1真核細胞または細胞系、好ましくは植物、動物、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類、マウス、霊長類、もしくはヒト細胞または細胞系である。「宿主細胞の集団」とは、本発明の核酸分子またはベクターを導入かつ発現させることができる、一群の培養細胞を意味する。本発明の核酸分子またはベクターからの発現を支援することができる、あらゆる宿主細胞を想定している。宿主細胞の集団は単一培養物、すなわち、集団内の各細胞が同一の細胞型、のものであることが好ましいが、混合細胞培養物も想定している。本発明の宿主細胞は接着性、すなわち固体基質に接着して生育する宿主細胞でもよいが、あるいは宿主細胞が浮遊状態でもよい。宿主細胞には以下のものがある: 原発腫瘍由来の細胞、転移腫瘍由来の細胞、初代細胞、接触阻止を喪失した細胞、形質転換初代細胞、不死化初代細胞、アポトーシスを実行できる細胞、およびこれらから誘導される細胞系。
【0122】
本発明には本発明の抗体を製造する方法も含まれ、その方法は以下を含んでいる: (i) 本発明の抗体をコードする1以上の核酸配列を発現する宿主細胞を培養し、そして(ii) その培養培地から抗体を回収する。
【0123】
医薬組成物
本発明の抗IL-6抗体を、対象体への投与に好適な医薬組成物中に組み込むことができる。典型的には、その医薬組成物は、本発明の抗体もしくは抗体の一部と製薬上許容される担体を含んでいる。本明細書で使用する「製薬上許容される担体」には、生理学的に適合する溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗細菌および抗カビ剤、等張化および吸収遅延剤、などのいずれか、ならびに全部が含まれる。製薬上許容される担体の例として以下の1以上が含まれる: 水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせ。多くの場合、組成物中に例えば以下などの等張化剤を含ませるのが好ましいものとなる: 糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウム。製薬上許容される担体はさらに、以下などの微量の補助剤を含んでいてもよい: 抗体もしくは抗体部分の保存期間または有効性を増強するための、湿潤もしくは乳化剤、保存剤またはバッファー。
【0124】
本発明の医薬組成物は多様な形態のものとすることができる。これらとして例えば以下などの液状、半固形および固形投与剤形が含まれる: 溶液剤(例えば、注射および注入溶液)、分散もしくは懸濁液、錠剤、ピル、粉剤、リポソームおよび坐剤。好ましい形態は目的とする投与様式および治療上の適用如何による。典型的な好ましい組成物は、その他の抗体でのヒトの受動免疫化に使用されるものと同様の組成物などの注射もしくは注入溶液である。好ましい投与様式は腸管外(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋内)である。好ましい一実施形態において、抗体を静脈内注入もしくは注射によって投与する。別の好ましい実施形態において、抗体を筋内もしくは皮下注射によって投与する。
【0125】
治療用組成物は典型的には製造および保存条件下で無菌かつ安定性でなければならない。組成物を、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高薬物濃度に好適なその他の適確な形状として、製剤化することができる。無菌注射用溶液は、必要量の活性化合物(すなわち、抗体または抗体部分)を、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに、適切な溶媒中に組み入れた後、ろ過滅菌することによって、調製することができる。一般的に、塩基性分散培地および上に列挙したものからの必要なその他の成分を含有する無菌ビヒクル中に、活性化合物を組み込むことによって、分散液を調製する。無菌注射溶液の調製用の無菌粉剤の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であって、これによって活性成分プラス所望のその他の成分の、事前に無菌ろ過したそれらの溶液からの粉剤が生成する。溶液の適正な流動性は、例えば以下によって維持することができる: レシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の場合ならば必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用。注射用組成物の吸収の長期化は、その組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含ませることによって、実現させることができる。
【0126】
本発明の抗IL-6抗体は、当分野で知られている多様な方法によって投与することができる。ただし、治療での多くの適用については、好ましい投与経路/様式は静脈内注射または注入である。当業者には理解できるように、投与の経路および/または様式は所望する結果によって、変わるものである。特定の実施形態において、活性化合物は、その化合物の急速な放出を防止する担体とともに、制御放出製剤、例えばインプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムなどに、調製される。以下などの、生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる: エチレン-酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸。こうした製剤の調製のための多くの方法が特許になるか、または当業者に一般的に知られている。例えば以下を参照されたい: Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978。
【0127】
特定の実施形態において、本発明の抗IL-6抗体を、例えば、不活性希釈剤または吸収可食性担体とともに、経口投与してもよい。この化合物を(所望ならばその他の成分とともに)、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセルに封入、錠剤に圧縮、または対象体の食餌に直接組み入れることもできる。経口治療用投与のためには、化合物を賦形剤と組み合わせて、以下の摂取可能な形態で使用することができる: 錠剤、バッカル剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、など。本発明の化合物を腸管外投与以外で投与するためには、化合物を、その不活性化を防止する物質でコーティングするか、その化合物をこれと一緒に投与する必要がある。
【0128】
補助的な活性化合物をこの組成物と組み合わせることもできる。特定の実施形態において、本発明の抗体または抗体部分を、1以上の別の治療薬とともに製剤化し、かつ/または同時投与する。いくつかの実施形態において、1以上の別の治療薬は、本明細書に記載する疾病または症状、特に「本発明の抗IL-6抗体の治療用途」のタイトルの節で記載する疾病もしくは不全症、の治療のための1薬物または薬物群である。例えば、本発明の抗IL-6抗体を、IL-6もしくはその他の標的と結合する、1以上の別の抗体、例えば、IL-6受容体と結合する抗体とともに製剤化し、かつ/または同時投与することができる。
【0129】
本明細書で使用する、用語「治療する」および「治療」とは、治療用の処置を意味し、これには予防または抑制の意味も含まれ、その場合、その目的は疾病もしくは不全症に関係する、望ましくない生理学的変化を防止または緩慢化(低下)することである。有益な、または所望の臨床結果として、限定するわけではないが、検出可能または検出不能にかかわらず、以下が含まれる: 症候の緩和、疾病もしくは不全症の重篤度の低下、疾病もしくは不全症の安定化(すなわち、この場合、疾病もしくは不全症が悪化しない)、疾病もしくは不全症の進行の遅滞または緩慢化、疾病もしくは不全症の改善または緩和、および疾病もしくは不全症の(部分的でも総合的でも)寛解。「治療」には、治療を受けない場合に予想される余命に比較して、余命の延長の意味もある。治療が必要な対象として、すでにその疾病もしくは不全症があるものとともに、その疾病もしくは不全症になる傾向があるもの、またはその疾病もしくは不全症を予防しなければならないものが含まれる。
【0130】
本発明の医薬組成物には、「治療上効果的な量」または「予防上効果的な量」の本発明の抗IL-6抗体が含まれる。「治療上効果的な量」とは、投与時および必要な期間、所望の治療結果を達成するために、効果的な量を意味する。治療上効果的な抗体の量は、以下などの要因によって変わるものである: 個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに抗体もしくは抗体部分の、その個体に必要とされる応答を引き出す能力。また、治療上効果的な量は、治療上有益な効果が、その抗体もしくは抗体部分のいずれの有毒または有害作用よりも上回るものである。「予防上効果的な量」とは、投与時および必要な期間、所望の予防結果を達成するために、効果的な量を意味する。典型的には、予防投与剤は疾病の前、または初期段階に対象体に使用するので、予防上効果的な量は治療上効果的な量よりも少ないものとなる。
【0131】
投与処方は、最適の所望の応答(例えば、治療上または予防上の応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラス投与する、時間をかけて数回量に分けて投与する、または治療状況の危急度に応じて、投与量を段階に減らすか増やすことができる。投与の容易性および投与量の均一性のためには、腸管外組成物を単位投与剤形に製剤化するのが特に有益である。本明細書で使用する単位投与剤形とは、治療すべき哺乳動物対象のための単一投与量に適合させた、物理的に不連続な単位であって、各単位は必要な医薬用担体と組み合わせて、所望の治療効果をもたらすように計算して、あらかじめ決定した量の活性化合物を含んでいる。本発明の単位投与剤形についての詳細は以下によって決められ、かつこれらに直接左右される: (a) 活性化合物の独特の特性および達成すべき特定の治療上もしくは予防上の効果、ならびに(b) 個体中の感応度の処理に関するこうした活性化合物の配合技術に特有の制限。
【0132】
本発明の抗IL-6抗体の治療上または予防上効果的な量についての代表的な、限定するわけではない範囲は、0.1〜20 mg/kg、より好ましくは1〜10 mg/kgである。投与量は緩和すべき症状のタイプおよび重篤度によって変更されることに留意すべきである。いずれの特定の対象体についても、特定の投与処方を、個々の必要度、および組成物を投与するかまたはその投与を監督する者の専門的判断にしたがって、時間をかけて調整すべきであり、また本明細書に示す投与量範囲は単に例示であって、特許を請求する組成物の範囲または実践を限定する意図はないことを理解すべきである。
【0133】
本発明の抗IL-6抗体の治療用途
本発明の抗体は、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、あらゆる疾病もしくは不全症の治療のために、使用することができる。例えば、本発明の抗体を使用して、IL-6のIL-6受容体との結合の結果である疾病もしくは不全症を治療することができる。本発明の抗体は、IL-6のIL-6受容体との結合の直接または間接的な結果である、細胞内シグナル伝達事象に起因する疾病もしくは不全症を治療するために、使用することができる。代表的な細胞内IL-6シグナル伝達経路を図11で説明する。本発明の抗体は、図11で説明するいずれかの分子であって、その活性がIL-6のIL-6受容体との結合に影響されるもの、の活性に起因するか、これと関連がある、あらゆる疾病もしくは不全症を治療するために使用することができる。
【0134】
こうして、本発明には、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、疾病もしくは不全症の治療のための方法が含まれる。その方法は、本明細書に開示する抗IL-6抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。表現「本明細書に開示する抗IL-6抗体」は、本明細書に示すVH領域および/またはVL領域のいずれかを含んでいるあらゆる抗IL-6抗体、その上本明細書に示すVH領域のいずれかの変異体および/または本明細書に示すVL領域のいずれかの変異体を含んでいるあらゆる抗IL-6抗体を意味することを意図している。「本明細書に開示する抗IL-6抗体」は、本明細書に開示する1以上のVH CDR(例えば、CDR1、CDR2、および/もしくはCDR3)ならびに/または1以上のVL CDR(例えば、CDR1、CDR2、および/もしくはCDR3)を含んでいるあらゆる抗IL-6抗体を意味することも想定している。好ましくは、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0135】
いくつかの実施形態において、治療される疾病もしくは不全症は以下からなる群から選択される: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【0136】
代表的な一実施形態において、本発明は、自己免疫疾患もしくは不全症を治療する方法を提供するが、その方法は、本明細書に開示する抗IL-6抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。本発明の抗IL-6抗体によって治療することができる代表的な自己免疫疾患および不全症として、例えば以下が含まれる: 同種移植拒絶、自己免疫性甲状腺疾患(例えば、グレーブス病およびHashimoto甲状腺炎)、自己免疫ぶどう膜網膜炎、巨細胞性動脈炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、肉芽腫性腸炎、遠位回腸炎、限局性回腸炎、および終末回腸炎など)、インスリン依存性糖尿病、多発硬化症、悪性貧血、乾癬、関節炎、リューマチ様関節炎、サルコイドーシス、強皮症、および全身性エリテマトーデス。
【0137】
本発明には、異常または不適切な血管形成に関係する疾病および不全症を治療する方法が含まれ、その方法は、本明細書に開示する抗IL-6抗体を、それを必要とする患者に投与することを含んでいる。本発明の抗IL-6抗体によって治療することができる異常または不適切な血管形成に関係する代表的な疾病および不全症として、例えば以下が含まれる: 心血管疾患、血管腫、血管線維腫、血管変形、アテローム性動脈硬化症、シネキアおよび浮腫性硬化症など、ならびに眼科疾患、角膜移植後の血管新生、血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、血管形成性角膜疾患、黄斑変性、翼状片、網膜変性、後水晶体線維形成症、および顆粒性結膜炎など。本発明の抗IL-6抗体で治療することができる不適切な血管形成に関係する炎症性疾患として、例えば以下が含まれる: 関節炎、皮膚疾患、乾癬、毛細管拡張症、化膿性肉芽腫、脂漏性皮膚炎、静脈潰瘍、アクネ、しゅさ(しゅさ性アクネもしくはエリテマトーザ)、いぼ(ゆうぜい)、湿疹、血管腫、およびリンパ管形成など。
【0138】
本発明には、がんを治療する方法が含まれ、その方法は本明細書に開示する抗IL-6抗体を、それを必要とする患者に投与することを含んでいる。本発明の抗IL-6抗体によって治療することができる代表的ながんとして、例えば以下が含まれる: 免疫細胞異常性に起因するがん、例えば骨髄がん、多発性骨髄腫、および骨髄性白血病(CML)など、さらにリンパ性白血病(CLLおよびALL)およびリンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫(NHL)。本発明の抗体を使用して、例えば以下を治療することもできる: 腎がん、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、移植後リンパ腫、および移植後リンパ増殖性疾患(移植後リンパ球増多症とも称される)。
【0139】
本発明の抗IL-6抗体によって治療することができるその他の症状として、例えば以下が含まれる: 骨関節症、特発性若年性関節炎、リューマチ様関節炎および線維化症状(内部および外部組織瘢痕など)。
【0140】
本発明には、本明細書に記載する疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、本発明の抗体の使用も含まれる。
【0141】
当業者にとって、本明細書に記載する組成物、方法および適用に対して、その他の好適な改変および適応が自明であり、また、それは本発明もしくはその実施形態のどの範囲とも離れることなく、行うことができることが、容易に明らかになるであろう。本発明をここに詳細に説明してきたが、以下の実施例を参照して、さらに明確に理解されるであろう。これらの実施例は説明のみを目的とするものであって、本発明を限定する意図はない。
【0142】
(実施例)
【実施例1】
【0143】
IL-6に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体の第1世代
本実施例の目的は、B-E8として知られている(Elsilimomabとしても知られている)マウスIL-6抗体から出発して、ヒト抗IL-6モノクローナル抗体を作製することである。
【0144】
マウスB-E8抗体のVKもしくはVH領域と組み合わせたときに、IL-6に特異的に結合する抗体を形成した、ヒトVHおよびVK領域を同定するため、ワクシニアウイルスに基づく抗体選択プラットフォームを使用して、スクリーニング工程を実施した。次に、選択したヒトVHおよびVKを使用して、IL-6に特異的に結合するヒトVKおよびVHをそれぞれ選択した。ワクシニアウイルスに基づくスクリーニングプラットフォームの詳細は、例えば以下に開示されている: U.S. Patent Appl. Publication No. 2005/0196755。このスクリーニング工程から、マウスB-E8またはヒトVHのいずれかを使用して、18種のヒトVK遺伝子を同定した。同定したヒトVK遺伝子の核酸配列およびそれらに対応するアミノ酸配列を決定した。同定したヒトVK遺伝子のアミノ酸配列を下記表8に掲載する。
【表8】
【0145】
【0146】
下線を付けた配列はそれぞれCDR 1〜3を表している。
【0147】
その上、マウスB-E8またはヒトVKのいずれかを使用して、7種のヒトVH遺伝子を同定した。同定したヒトVH遺伝子の核酸配列およびそれらに対応するアミノ酸配列を決定した。同定したヒトVH遺伝子のアミノ酸配列を下記表9に掲載する。
【表9】
【0148】
下線を付けた配列はそれぞれCDR 1〜3を表している。
【0149】
同定したヒトVH領域のアミノ酸配列は、下記表10で説明するように、互いに有意な配列同一性を提示した。
【表10】
【0150】
同定したヒトVH領域のアラインメントの1つを図1に示す。
【0151】
同定したヒトVKの全部が同定したヒトVHの全部と交差対形成した。これらの交差対形成で生成した抗体を、ELISAによって、IL-6と結合するそれらの能力について、試験した。これらの抗体について、IL-6が誘発する細胞増殖またはIL-6のIL-6Rとの結合性のブロッキングアッセイで、機能的活性についても試験した。
【0152】
以下に示された操作法に基づいて、ELISAによって、選択した抗体のIL-6との親和性を測定した: J. of Immunology Methods 77(1985) 305-319。簡単に述べると、プレートを、ウェル毎にコーティングバッファー中2μg/mlのmBE4捕捉抗体、100μlでコーティングした。プレートを一晩インキュベートした。次に、プレートを3回洗浄し、水切り(tapped dry)した。次に、プレートを1ウェルについてAssay DiluentまたはPBS中10% FBS 200μlでブロッキングし、2時間インキュベートした。プレートのブロッキングの間に、約2 ng/ml濃度のAb 65μlを各種濃度のrhIL6(1:2連続希釈で5.12μg/ml〜5 ng/ml、合計12種の濃度、IL-6を含まないもの1種を含む)65μlと事前インキュベートすることによって、溶液中で競合反応を開始させた。反応物をRTで3〜4時間放置した。したがって、競合溶液中の最終rhIL6は、モノマーIL-6として、98.46、49.23、24.62、12.31、6.15、3.08、1.54、0.77、0.38、0.19、0.10および0 nMであった。次に、プレートを3回洗浄し、水切りした。BE4コーティングプレートの各ウェルに、50 ng/mlの組換えヒトIL-6 100μlを添加した。プレートを1〜2時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、水切りした。次に、IL-6捕捉プレートに、上記のmAbサンプル100μlを添加した。プレートをRTで2時間インキュベートした(したがって、この時点で未結合のmAbがあれば、ELISAによって測定される)。その後、プレートを5回洗浄し、水切りした。1:20,000希釈または1:40,000希釈(ロットによる)の検出用Abヤギ抗ヒトIgG F(ab)'2-HRP(Jackson lab)100μlを添加し、プレートを1〜2時間インキュベートした。プレートを7回洗浄し、水切りした。次に、Developer Substrate(等量ずつのキット中の各試薬)を予備混合し、室温にした後、使用した。次に、各ウェルにDeveloper 100μlを添加した。プレートを暗所貯蔵引き出し内で封をしないで15分間反応させた。最後に、各ウェルに2N H2SO4 100μlを添加することによって、反応を停止させ、プレートを450 nm〜570 nmでのEndpointとして読み取った。
【0153】
ブロッキングアッセイは、本明細書で別に記載するようにして、実施した。
【0154】
VH/VK交差対形成から、33種の第1世代mAbを同定した。これらの第1世代mAbを下記表11に列挙する。
【表11】
【0155】
*mAb 88はキメラB-E8対照抗体である。
【0156】
上記の表から示されるように、取得したすべての第1世代ヒト抗IL-6抗体が、何らかの程度のIL-6に対する親和性とブロッキングアッセイでの機能的活性を提示した。簡単に述べると、12.5 ng/mlのビオチニル化ヒト組換えIL-6を、指定した濃度で抗IL-6抗体とともに氷上で20分インキュベートした。次に、FcRブロックしたU266細胞(約250,000細胞)を添加し、氷上でさらに30分、共にインキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン-PEを添加して、細胞表面に結合したIL-6を明示させた。洗浄後、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。
【0157】
一定の代表的な第1世代mAbの、U266細胞上でのIL-6のIL-6受容体との結合をブロックする能力を図2に示す。
【0158】
したがって、この実施例から、生物学的に機能的ないくつかのヒト抗IL-6モノクローナル抗体の生成が実証された。
【実施例2】
【0159】
ヒト抗IL-6抗体の親和性の改善
実施例1で同定した第1世代ヒトmAbの機能的活性をさらに改善するため、突然変異誘発を使用した。特に、PCRに基づく突然変異誘発を使用して、mAb 416のVH(H1079)およびVK(L198)のCDR3内にアミノ酸配列の変換を取り入れた。
【0160】
多様化性を導入するため、VHおよびVK遺伝子内の特定の位置に、配列NNKを導入した。ここで、NはA、T、G、またはCが可能で、そしてKはTまたはGである。NNKを使用して、各位置に全20アミノ酸および1停止コドンを導入することができる(NNK配列については4 x 4 x 2の32種の可能な組み合わせがある)。
【0161】
H1079およびL198の両方のCDR3残基の全部を、1回に1残基ずつ、変換した。軽鎖(VK)CDR3は9アミノ酸、そして重鎖(VH)CDR3は12アミノ酸からなっている。H1079のCDR1およびCDR2中の選択した残基も同様に、この工程を使用して変換した。
【0162】
突然変異を作製するため、PCR反応のために、NNKによって置換する1アミノ酸をコードし、かつCDR3およびフレームワーク領域4を増幅させるアンチセンスプライマーを、目的の鎖内のフレームワーク領域1内でハイブリダイズするセンスプライマーと対形成させた。各PCR産物は完全VKまたはVH鎖をコードし、1アミノ酸位置がNNKに転換されている。
【0163】
このPCR産物を、ヒトガンマI(VH突然変異体について)、またはカッパ(VK突然変異体について)の定常ドメインを含有する、哺乳動物発現ベクター中にクローン化し、それによって全長重または軽鎖を生成させた。
【0164】
このクローンを96ウェルプレートフォーマットに、1ウェルについて1クローンずつ入れた。各クローンからプラスミドDNAを精製し、その後各クローンを、CHO細胞中のトランスフェクションによって、相補鎖とともに発現させた(例えば、突然変異させたVKがVHとともに発現することになる)。より高親和性で結合するものを選択し、特性決定した。この操作法の概要を図3に示す。
【0165】
より高親和性の突然変異体を同定し、その突然変異体を配列決定し、生成したmAbをCHO細胞中のトランスフェクションによって産生させ、その後フローサイトメトリーに基づくIL-6ブロッキングアッセイで、特異性、親和性および機能について試験した。
【0166】
この工程によって、以下のH1079およびL198変異体を取得した。
【表12】
【0167】
* アミノ酸番号はKabat番号を表す。
【0168】
§ 四角で囲んだ残基は、H1079の配列に比較して変更された残基である。下線を付けた配列はそれぞれCDR1〜3を表す。
【表13】
【0169】
* アミノ酸番号はKabat番号を表す。
【0170】
§ 四角で囲んだ残基は、L198の配列に比較して変更された残基である。下線を付けた配列はそれぞれCDR1〜3を表す。
【0171】
表12に示したH1079変異体を、L198と組み合わせて使用して、以下の抗体を作成した。
【表14】
【0172】
IL-6のIL-6R発現細胞への結合をブロックする能力について、モノクローナル抗体416、926、810、963、968および992を、対照mAb 88とともに、試験した。簡単に述べると、1 nMのヒト組換えIL-6を1μg/ml - 0.1μg/ml - 10 ng/ml - 0 ng/mlの抗IL-6抗体とともに、氷上で30分、インキュベートした。次にFcRがブロックされたU266細胞(約250,000細胞)を添加し、氷上でさらに30分、共にインキュベートした。洗浄後、精製したIL-6特異的マウス抗体(B-F6)を添加して、細胞とともに氷上で30分インキュベートした。最後に、APCとコンジュゲートしたポリクローナルヤギ抗マウスFcガンマを添加し、氷上で30分インキュベートした。洗浄後、細胞を生細胞の集団のみにゲートを設定する、フローサイトメトリーによって、分析した。各サンプルを250,000細胞で開始した。全フローサイトメトリーデータは最少で10,000生(PI陰性)細胞に基づいている。これらの実験の結果を図4に示す。
【0173】
表13に示したL198変異体を、H1079と組み合わせて使用して、以下の抗体を作製した。
【表15】
【0174】
上に概説した操作法によって、H1079の多重突然変異も調製した。
【表16】
【0175】
* アミノ酸番号はKabat番号を表す。
【0176】
§ 四角で囲んだ残基は、H1079の配列に比較して変更された残基である。
【0177】
下線を付けた配列はそれぞれCDR1〜3を表す。
【0178】
その上、H1079のCDR2中に1個のアミノ酸変換(F52W)をさせることによって、H1553と命名した変異体重鎖を作製した。H1553は以下のアミノ酸配列からなっている。
【化1】
【0179】
さらに、H1553のCDR2内にあるアミノ酸変更を、H1522内のCDR3の4アミノ酸置換体と組み合わせて、以下のアミノ酸配列を持つH1579を作製した。
【化2】
【0180】
VHおよびVK変異体を組み合わせることによって、下記表17に示す、以下のmAbを取得した。
【表17】
【0181】
代表的なmAbのIL-6に対する親和性を、IC50 ELISAおよびBiacoreによって、下記表18に示すように、決定した。IC50 ELISAは上記のようにして実施した。Biacoreによる親和性分析は、製造者のプロトコルにしたがい、HBS-EPバッファー(Biacore AB)を使用して、実施した。簡単に述べると、Biacore 2000システム(Biacore AB)上で、100μg/mlヤギ抗ヒトIgG(Sigma-Aldrich Co.)をCM5センサーチップ(Biacore AB)の表面に固定化し、各IL-6 mAbとの親和性について、5μg/mlのmAb 15μlを流速5μl/分で注入した後、40 nM〜1.25 nMのヒトIL-6(Strathmann Biotec GmbH & Co.KG)100μlを流速30μl/分で注入することによって、決定した。
【表18】
【0182】
モノクローナル抗体1259、1337、1338、1339および1340はIgG1カッパである。その定常ドメインはすべて同一である。この定常ドメインが発現プラスミド内にあるので、これはmAb間で変わらない。VHおよびVKドメインのみがそのライブラリーから選択される。
【0183】
したがって、この実施例では、PCRに基づく突然変異誘発によって取得した変異体VHおよびVK鎖を含んでいる、別のヒト抗IL-6モノクローナル抗体の製造を説明している。
【実施例3】
【0184】
配列およびベクター
代表的な重鎖および軽鎖配列
マウスmAb B-E8重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列を表19に示す。
【表19】
【0185】
ヒトmAb 926重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を表20に示す。
【表20】
【0186】
ヒトmAb 1339重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を表21に示す。
【表21】
【0187】
Mab 1339の重鎖および軽鎖を発現する二重遺伝子ベクターの構築
重鎖H1579のpConG1中へのクローニング
H1579を当初の発現ベクターから、その可変領域をBssHIIおよびBstEII制限酵素で消化することによって、pACeL重ベクター中にサブクローン化した。H1579pAcEL-HをHindIII/ApaIで消化し、HindIII/ApaIで切断したpConG1中に連結した。H1579.pConG1クローンを配列確認した。
【0188】
軽鎖L298のpConK2へのクローニング
L298を当初の発現ベクターから、可変領域をApaL1/XhoIで消化し、ワクシニア転移ベクターVKEに連結することによって、サブクローン化し、その後の二重遺伝子クローニングのために必要な制限酵素部位をコードする、適切な配列を準備した。可変配列をPCR増幅して、5'末端にHindIII部位を、そして3'末端にBsiWI部位を付加した。PCR産物をTOPO中にクローン化して、その後のクローニング反応でのHindIIIおよびBsiWIによる完全消化を促進させた。L298.TOPO配列を確認し、HindIII/BsiWIで消化し、HindIII/BsiWIで切断したpConK2中に連結した。L298.pConK2を配列確認した。
【0189】
二重遺伝子ベクターの作製
重鎖発現カセットを、H1579.pConG1の24時間の消化によって、NotI/PvuI断片として取り出した。L298.pConK2をAviIIで消化して、親クローンの再形成を防止し、PvuIおよびNotI消化によってL298可変領域カセットを取り出した。ゲル精製後、重鎖および軽鎖カセットを、1:1比で、14℃で一晩の連結反応によって、連結した。全細胞PCRによって、コロニーを重鎖および軽鎖挿入物の両方の存在についてスクリーニングし、配列決定によって陽性クローンを確認した。二重遺伝子ベクターのマップを図9に示す。この二重遺伝子ベクターの配列を表22に掲載する。
【表22】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【実施例4】
【0194】
Mab 1339を発現するCHO細胞系の作製
高密度浮遊培養で増殖するように順応させた細胞系である、CHO-K1 HDに、mAb 1339二重遺伝子ベクター(上記実施例3に記載)をトランスフェクトした。CHO-K1 HD細胞はトランスフェクションの時まで、浮遊液にしておいた。トランスフェクションの前日、浮遊液系を、血清を入れた6ウェルプレートに播種し、細胞を接着させた。
【0195】
4回の別々のトランスフェクションを、それぞれ7日間隔で、CHO-K1 HD細胞のその後の継代物と、別々のプラスミドDNA調製物からその都度精製および消化したDNAを使用して、実施した。1週毎に、細胞を2つの6ウェルプレートに、1プレートは2.5:1のDNA: リポフェクトアミン比、他方は3.0:1の比になるように、播種した。したがって、4週間にわたって、合計で48プールをトランスフェクトした。各プールの増殖および抗体産生レベルについて追跡調査した。プールの全部は薬物選択で生存しなかった。プールを以下の命名法で表示した。mAb名/トランスフェクション番号、DNA:リポフェクトアミン比、トランスフェクトしたウェルの記号、およびディッシュ番号(例: mAb 1339/1 2.5 B2プール)。
【0196】
3日間の分泌アッセイを使用して、産生効率を測定した。データをmAb力価(μg/ml)および産生比(μg/100万細胞/日)で示す。抗体力価および特異性をELISAによって決定した。試験したすべての1339プールからの分泌アッセイの結果を表23に掲載する。
【表23】
【0197】
小規模な分泌実験からのmAb収量を図10に示す。
【実施例5】
【0198】
抗体特異性および生物学的活性
抗体特異性
精製したmAb 1339を、IL-6に対する特異性を確認するため、試験した。精製したmAb 1339を、ヒトインスリン、ヒト血清アルブミン、ヒトヘモグロビン、およびウシ血清アルブミンを含む、1群の対照抗原との結合性について、ELISAによって試験した。これらの抗原との非特異的結合性は見られなかった(データは掲載していない)。
【0199】
その上、精製したmAb 1339および対照mAb 88を、以下の群のIL-6スーパーファミリーメンバーとの結合性について、ELISAによって試験した: CNFT、オンコスタチンM、IL-11、およびNNT-1。図5Aおよび5Bに示すように、ELISAではmAb 1339およびmAb 88のいずれも、これらのサイトカインのどれとも結合しなかった。
【0200】
IL-6が誘発するマウスおよびヒト細胞の増殖の抑制
ヒト抗IL-6 mAbの生物学的活性を評価するため、これらについて、IL-6が誘発するマウスB9ミエローマ細胞増殖(図12)およびIL-6が誘発するヒトU266細胞増殖(図13)を抑制する能力を評価した。このマウスB9細胞系はヒトIL-6感受性である。
【0201】
図12に示すように、mAbs 926、1259、1337、1338、1339および1340の全部が、IL-6が誘発するマウスミエローマ細胞の増殖に対して用量依存性抑制効果を示した。例えば、100 ng/mlのmAb濃度では、mAbs 926、1337、1338および1339について観察される抑制レベルは、マウスmAb B-E8について観察される抑制レベルに非常に近似している。
【0202】
図13に示すように、mAbs 416、926、および1339は、IL-6が誘発するヒトミエローマ細胞増殖に対して、用量依存性抑制効果を示した。
【0203】
IL-6とIL-6Rの間の相互作用の抑制
ヒト抗IL-6 mAbの生物学的活性をさらに評価するため、フローサイトメトリーを使用して、それらがIL-6とそのIL-6受容体間の相互作用を抑制する能力を評価した。
【0204】
フローサイトメトリーは、標準的方法を使用して、実施した。最初に、U266細胞に対するFc-受容体ブロッキングを実施した。U266はIgEおよびIL-6産生性ヒト形質細胞腫系の1種である。U266細胞を収穫して、遠沈した。細胞を計数し、フローバッファー(FB)で2回洗浄し、96ウェルプレートの各ウェルに150,000細胞として計算して、概算でアッセイに必要な最終細胞の120%になるように、調整した。細胞をFB中に5x10e6細胞/mlで再懸濁させ、0.1 mg huIgG/mlに調整した。細胞を混合して、氷上で20〜30分インキュベートした。次に、15倍容量のFBを添加し、細胞を遠沈した。上清を廃棄し、細胞をFB 20 mlでさらに2回洗浄した。次に、細胞を密度1.5x10e6細胞/mlになるように再懸濁させて、100μlずつをプレインキュベーションプレートの各ウェルに添加した。次に、組換えヒトIL-6および抗ヒトIL-6 mAbを共にインキュベートした。mAbおよびIL-6のFB中の必要な希釈物のすべてを、最初に調製した。次に、mAb 50μlをIL-6 50μl(好ましくは最終的に1 nM)とともに、このプレートをプレートボルテックス上、中速で30秒混合した後、氷上で30分、予備インキュベートした。各mAbの対照ウェルには、IL-6を入れないか、または抗体不在のIL-6を含ませるかのいずれかとした。次に、U266細胞をIL-6および抗IL6 mAbとともにインキュベートした。ブロッキングし、洗浄した細胞をFB 100μl中で、上記からのIL6/MAb混合物に添加した。最終インキュベーション容積は200μlとした。この細胞を氷上で30分、インキュベートした。インキュベーション間の洗浄ステップは、以下のようにして実施した: 最初にインキュベーションプレートを、4℃に設定した遠心分離器中、250xgで4分間遠心した。ペレットを動かさないで、プレートを注意深く傾けて、ふき取った。次に、プレートのさらに高速での10秒間のボルテックスによって、細胞を再懸濁させた。FB 220μlを添加し、プレートを再び遠心した。この洗浄ステップをもう一度繰り返し、最後にボルテックスした細胞ペレットを、それぞれの抗体希釈物100μl中に再懸濁させた。その後、細胞をマウス抗IL-6抗体B-F6
とともにインキュベートした。短時間のボルテックスによってほぐした、上記からの洗浄した細胞ペレットに、抗体100μl[FB中5μg/ml]を直接添加し、その後中速で15秒間、注意深く再びボルテックスした。細胞を氷上で30分インキュベートし、洗浄した。次に、細胞をAPCと連結したヤギ抗マウスIgG1とともにインキュベートした。ほぐして、洗浄した細胞ペレットを標識抗体[アロフィコシアニン2.5μg/ml]100μl中に再懸濁させた。細胞を暗所に保存し、ボルテックスして、氷上で30分インキュベートした。細胞を洗浄し、FB 200〜400μl中に再懸濁させた。その後、フローサイトメトリーによる分析を実施した。最初に、ヨウ化プロピジウム(PI)を、PI原液の150倍希釈物を使用して、添加した。Fl-3 vs. FSCで観測することによる、PIの排除に基づくライブゲート(live gate)を設定した。PIはその次の細胞サンプルのみに添加して、細胞のPIとの長時間のインキュベーションを回避した。
【0205】
図6Aおよび6Bに示すように、mAb 926、1259、1337、1338、1339および1340はすべて、抗体濃度を0.5μg/mlの一定に保持しながら、IL-6の濃度を増加させたとき、U266細胞上でのIL-6のIL-6受容体との結合に対して抑制効果を示した。mAb 1339については、注目すべき高レベルの抑制が観測された。同様に、図7Aおよび7Bは、IL-6濃度を500 ng/mlの一定に保持しながら、mAbの濃度を増加させたときの、U266細胞上でのIL-6のIL-6受容体との結合に対する、mAb 242、416、926および1339の抑制効果を示すものである。
【0206】
mAbの抑制効果は、ビオチニル化IL-6を使用したときにも証明された(データは掲載していない)。
【0207】
これらの結果は、mAb 242、416、926、1259、1337、1338、1339および1340がIL-6とその受容体間の相互作用を抑制することができることを示しているので、これらのmAbの生物学的活性が確認される。
【0208】
最後に、実施例2中で図4について記載した競合アッセイを、mAb 416、926、1259、1337、1338、1339および1340を、対照mAb 88とともに使用して、実施した。図8に示すように、試験したmAbの全部が組換えヒトIL-6のIL-6受容体との結合に対して用量依存性抑制を提示した。
【実施例6】
【0209】
mAb 926および1339のmAb特異性
mAbs 926および1339について、上記のようにELISAによって、マウスおよびラットIL-6との交差反応性を判定した。ウェルを、100 ng/mlマウスまたはラットIL-6(R&D Systems) 100μl/ウェルでコーティングした。ヒトモノクローナル抗体を使用する実験については、IgG1 Kappa(ヒトミエローマIgG1; Sigma-Aldrich Co.)mAbを対照として使用した。mAbの検出用に、1/10,000の希釈率のウサギ抗ヒトIgG-HRP(Dako)を、100μl/ウェルで添加した。ポリクローナル抗体(pAb)対照として、ビオチニル化ヤギ抗ヒトIL-6(Peprotech)、ビオチニル化ヤギ抗マウスIL-6(Peprotech)、およびビオチニル化ヤギ抗ヒトIl-2(Peprotech)を含ませた。pAbについては、検出用にストレプトアビジン-HRP(Prozyme)を100μl/ウェルで添加した。抗体を12.5、25、50、および100 ng/mlの濃度で使用した。それぞれ図14および15に示すように、mAbs 926および1339は、ELISAによって、コーティングした組換えマウスまたはラットIL-6を検出しない。
【実施例7】
【0210】
天然ヒトおよびサルIL-6の検出
mAb 926および1339の天然ヒトIL-6を検出する能力を、活性化したヒト単球中で分析した。末梢血単核細胞からの単球を、IL-6の細胞質内発現を誘発するため、リポポリサッカライド(LPS; 20μg/ml; Sigma-Aldrich Co.)で24時間活性化した(データは掲載していない)。LPS処理が終わる6時間前に、細胞を1μg/ml Brefeldin A(Sigma-Aldrich Co.)で処理して、IL-6の上清への移動を抑制した。活性化した細胞を、前記のようにフローサイトメトリーによって、0.8μg/mlビオチニル化mAb 88、1339、926、B-E8(抗マウスIL-6; Diaclone)、B-Z1(マウスIgG1; Diaclone)、およびヒトIgG1 Kappa(Sigma-Aldrich Co.)について分析した。各抗体について3回の独立した実験を実施した。代表的な実験を図16に示すが、これはmAb 926および1339が天然細胞質内IL-6を認識することを示している。
【0211】
その上、mAb 926および1339がヒト血清からの天然ヒトIL-6を検出する能力を、Diaclone High Sensitivity ヒトIL-6 ELISAキットを製造者のプロトコルに従って使用する、ELISAによって判定した。後者のキットを使用して、ELISAプレートウェル上にコーティングしたIL-6抗体とのmAbの競合(5μg/ml)による、ヒトIL-6の検出を判定した。競合抗体の不在中で、IL-6を含有する血清(Serum AB batch 5; Blood Center, Besancon, France)の添加の結果、ELISAキットによるIL-6の検出ができる。競合抗体の存在中でのIL-6を含有する血清の添加の結果、血清中のIL-6を検出するELISAキットの能力が低下する。対照抗体には、B-E8(抗マウスIL-6; Diaclone)、B-Z1(マウスIgG1; Diaclone)、およびヒトIgG1 Kappa(Sigma-Aldrich Co.)を含ませた。図17に示すように、mAb 926および1339は健康なドナー血清からの天然IL-6を検出する。
【0212】
mAb 1339が赤毛ザル血清(BPRC, The Netherlands)からの天然サルIL-6を検出する能力を、U-Cytech Monkey IL-6 ELISAキット(U-Cytech biosciences)を製造者のプロトコルに従って使用する、ELISAによって判定した。後者のキットを使用して、ELISAプレートウェル上にコーティングしたIL-6抗体とのmAbの競合(5μg/ml)によって、サルIL-6の検出を判定した。競合抗体の不在中で、IL-6を含有する血清の添加の結果、ELISAキットによるIL-6の検出ができる。競合抗体の存在中で、IL-6を含有する血清の添加の結果、血清中のIL-6を検出するELISAキットの能力が低下する。サルIgG1 Kappaを対照抗体として供した。図18に示すように、mAb 1339はサル血清からの天然IL-6を検出する。
【0213】
ここまで本発明を、解釈を明確にする目的で、説明および例示として多少詳しく、全体的に記載してきたが、本発明またはその特定の実施形態のいずれの範囲にも影響することなく、条件、製剤化およびその他のパラメータの広範で等価な範囲内で、本発明を改変または変更することによって、同一のことが実施できること、またこうした改変または変更が、添付する特許請求の範囲内に含まれることを想定していることは、当業者にとって明らかであろう。
【0214】
本明細書中で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技術レベルの指標となるものであって、個々の刊行物、特許および特許出願が特定的かつ個別に参照として組み込まれているものと同程度に、参照として、本明細書に組み込むものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノクローナル抗体、ならびに疾病および不全症の治療におけるその使用の分野に関係する。さらに特定すると、本発明はサイトカインIL-6に特異的に結合するモノクローナル抗体、ならびにIL-6活性または発現が関わる疾病および不全症の治療のためのその抗体の使用に関係する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン-6(IL-6)は、成長刺激および炎症誘発活性を提示する22〜27 kDaの分泌糖タンパク質である。IL-6は、インターフェロン-β2(IFN-β2)、IL-1誘導性26 kDaタンパク質、肝細胞刺激因子、細胞傷害性T細胞分化因子、およびB細胞刺激因子としても知られている(非特許文献1)。IL-6は各種の細胞型によって分泌される。IL-6は以下の2種の膜糖タンパク質で構成される高親和性受容体複合体への結合を介して、その活性を発揮する: IL-6と低親和性で結合する80 kDaの受容体成分(IL-6R)、およびそれ自体はIL-6と結合しないが、IL-6のこの複合体との高親和性結合のために必要な130 kDaのシグナル伝達性成分(gp130)(図11参照; BioCarta)。IL-6Rは膜貫通型メタロプロテイナーゼによって切断されて、可溶性IL-6Rとなることができる。
【0003】
IL-6の血中レベルは、多種の感染性、炎症性、および自己免疫疾患ならびにがんにおいて、感染、外傷、および免疫学的チャレンジによって刺激されたその他のサイトカインの合成の増加を伴って、上昇する(非特許文献1)。
【0004】
IL-6は以下などの多種の疾病および不全症に関係するとされてきた: 多発性骨髄腫(非特許文献2)、リンパ腫(非特許文献3)、神経変性、星状細胞増加および脳内血管形成などの神経学的不全症(非特許文献4)、自己免疫不全症(例えば、リューマチ様関節炎など)、炎症性疾患、アルツハイマー病、心筋梗塞、ページェット病、骨粗しょう症、固形腫瘍、前立腺および膀胱がん(非特許文献1)、敗血性ショック、組織移植、中枢神経系の急性感染症、心臓粘液腫(非特許文献5)、腫瘍が誘発する悪疫質(非特許文献6)、がん関連うつ、ならびに脳腫瘍に続発性の心臓浮腫(非特許文献7)。
【0005】
その上、抗IL-6抗体はいくつかの疾病および不全症の治療に有効であることが示された。例えば、抗IL-6モノクローナル抗体はミエローマ細胞の増殖をin vivoおよびin vitroの両方でブロックすることが示された(非特許文献2)。抗IL-6抗体の慢性リューマチ様関節炎患者への投与がこの疾病の症候を緩和することがわかった(非特許文献8)。抗IL-6抗体は、AIDS関連リンパ腫(非特許文献3)、および転移性腎細胞がん(非特許文献9)の治療に有効であることも示された。各種のその他の疾病および不全症を治療するための抗IL-6抗体の投与が関与する臨床結果が以下で総括されている: 非特許文献1。
【0006】
抗IL-6抗体は当分野で既知である。例えば、マウスモノクローナル抗体(SK2)由来の再構築ヒト(すなわち、ヒト化)抗IL6モノクローナル抗体が以下で発表されている:特許文献1および特許文献2。その他の抗IL-6抗体として以下が含まれる: CLB-6/8として知られている抗体(非特許文献10)およびcCLB8として知られているそのキメラ型(非特許文献11)。B-E8と命名されたマウス抗IL-6モノクローナル抗体(mAb)が、各種のIL-6関連疾病および不全症を治療するために、臨床的に使用されてきている(例えば以下参照: 非特許文献12、非特許文献2、非特許文献13、および非特許文献3)。
【0007】
マウス抗IL-6抗体を含むマウス抗体の使用は、標的抗原による選択性の変動性、短い血清半減期、およびヒト抗マウス抗体(HAMA)の出現などの問題によって劣勢である。これらの難題はキメラ抗体(ここではげっ歯類定常領域がそれに対応するヒト領域と置換されている)またはヒト化/CDR-移植/再構築抗体(ここではCDRのみが非ヒト起源のものである)の開発によってある程度解消される(総括的に以下を参照されたい: 非特許文献14)。それでもなお、ヒト化抗体に関しては以下のような多くの実用上の制限がある: (1) 有効なヒト化mAbの構築経路の限られた選択肢、(2)抗体構造もしくはモデル化の詳細な知識の必要性、(3) 親和性保持と導入する外来アミノ酸との兼ね合いによる予期し得ない免疫原性、ならびに(4) 前駆体mAbの起源である動物についての抗体の種類の制限(非特許文献15)。これらの制限はヒトモノクローナル抗体の使用によって対処できるものとみられる(非特許文献15)。
【0008】
したがって、ヒト抗IL-6 mAbを含む、臨床適用のための別の抗IL-6モノクローナル抗体に対する需要が当分野に存在する。本発明は当分野に存在するこの要請に対処するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,618,700号公報
【特許文献2】米国特許第5,856,135号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Trikha et al., Clin. Cancer Res. 9:4653-4665(2003)
【非特許文献2】Rossi et al., Bone Marrow Transplantation 36:771-779(2005)
【非特許文献3】Emilie et al., Blood 84:2472-2479(1994)
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【非特許文献6】Cahlin et al., Cancer Res. 60:5488-5489(2000)
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【非特許文献15】Lonberg, Nat. Biotechnol. 23:1117-1125(2005)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、IL-6に特異的に結合する新規モノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、本明細書に開示するVH領域およびそのアミノ酸変異体のいずれかから選択される可変重鎖(VH)領域、ならびに/または本明細書に開示するVL領域およびそのアミノ酸変異体のいずれかから選択される可変軽鎖(VL)領域を含んでいる。
【0012】
本発明の代表的な一実施形態において、ヒトVHおよびVL遺伝子の一ライブラリーから複数のVHおよびVL領域を取得した。このライブラリーから取得したヒトVH領域を含有する抗体重鎖を既知のマウス抗IL-6 mAbの1種(すなわち、B-E8)からの軽鎖と組み合わせた。同様に、このライブラリーから取得したヒトVL領域を含有する抗体軽鎖を既知のマウス抗IL-6 mAbの1種(すなわち、B-E8)からの重鎖と組み合わせた。生成した抗体を、IL-6抗原に特異的に結合する能力についてスクリーニングした。この工程から、18種のヒトVL(配列番号1〜18として示す)および7種のヒトVH(配列番号19〜25として示す)を同定した。
【0013】
同定したVLの全部を同定したVHの全部と交差結合させた。生成した抗体を、ELISAによるIL-6との結合親和性、およびIL-6が誘発する細胞増殖をブロックする能力について、試験した。この工程から、実質的な結合親和性およびブロック活性を提示した33種のヒトVH/VLの組み合わせを同定した。
【0014】
上記の工程で同定した特定のヒトVHおよびVLにアミノ酸置換を導入した。この変異体VHおよびVLをそれぞれヒトVLおよびVHと組み合わせて、生成した抗体を、再度IL-6結合親和性およびブロック活性について試験した。これらの実験から、当初のマウスB-E8抗体(またはそのキメラ)に匹敵する結合およびブロック活性を持ついくつかの抗体を同定した。したがって、本発明として、上に概説し、かつ下記の実施例で詳述する工程によって取得される変異体VHおよびVLの任意の組み合わせを含んでいる抗体も含まれる。
【0015】
また本発明として、本明細書に開示するVHおよび/またはVL領域のいずれかをコードする核酸分子、ならびにこの核酸分子を含んでいるベクターおよび宿主細胞も含まれる。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体について、種特異性、ヒトIL-6との結合性、またはその検出における有用性が実証される。いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体は、ヒトおよびサルIL-6に結合またはその検出に有用であるが、マウスもしくはラットIL-6には結合せず、有用性はない。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体は、マウスB9(ECACC)ミエローマ細胞またはヒトU266ミエローマ細胞などの、IL-6が誘発する細胞の増殖を抑制する。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体はIL-6に結合するが、その他のIL-6スーパーファミリーメンバーには結合しない。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体との結合を抑制する。
【0020】
本発明として、本発明の抗体を製造する方法も含まれ、その方法は以下を含んでいる: (i) 本発明の抗体をコードする1以上の核酸配列を発現する宿主細胞を培養し、そして(ii) その培養培地から抗体を回収する。
【0021】
本発明として、本発明の抗体を含んでいる医薬組成物も含まれる。その医薬組成物はさらに製薬上許容される担体、アジュバント、またはそれらの組み合わせを含んでいる場合もあることを想定している。
【0022】
本発明として、IL-6活性または発現に関係する疾病および/または不全症を予防または治療する方法も含まれ、その方法は、本発明の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。一実施形態において、その方法は、治療上または予防上効果的な量の、本発明の抗体および製薬上許容される担体を含んでいる医薬組成物を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。いくつかの実施形態において、疾病もしくは不全症として、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、あらゆる疾病もしくは不全症が含まれる。いくつかの実施形態において、治療すべき疾病もしくは不全症は以下からなる群から選択される: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【0023】
本発明として、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、疾病もしくは不全症の治療用の、医薬の製造のための、本発明の抗体の使用も含まれる。特定の一実施形態において、本発明は、以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、本発明の抗体の使用をも対象としている: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【0024】
本発明として、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、疾病もしくは不全症の治療における、本発明の抗体の使用も含まれる。特定の一実施形態において、本発明は以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、本発明の抗体の使用をも対象としている: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明の抗体内に含ませることができる、配列番号19〜25で表される代表的なヒトVH領域のアライメントを示す図である。
【図2】図2はビオチニル化ヒト組換えIL-6を各種抗IL-6抗体とともにインキュベートした後、IL-6受容体産生U266細胞を添加する、IL-6結合性の抑制アッセイの結果を示す図である。フローサイトメトリー分析を使用して、各種抗IL-6抗体濃度でのIL-6結合性の抑制パーセントを定量した。
【図3】図3は部位特異的突然変異誘発によって作製したライブラリーからのmAbの親和性選択のために使用した一般的工程を説明する図である。
【図4】図4はヒト組換えIL-6を各種抗IL-6抗体とともにインキュベートした後、IL-6受容体産生U266細胞を添加する、IL-6結合性の抑制アッセイの結果を示す図である。その後、精製したマウスIL-6抗体およびAPCとコンジュゲートしたポリクローナルヤギ抗マウス二次抗体を添加した。フローサイトメトリー分析を使用して、各種抗IL-6抗体濃度でのIL-6ブロック活性を定量した。
【図5A】図5Aは一群のIL-6スーパーファミリーメンバーへの結合性について、対照mAb 88(キメラB-E8)(図5A)、または親和性が改善されたmAb候補、ヒトmAb 1339(図5B)をELISAによって試験する、結合特異性実験の結果を示す図である。
【図5B】図5Bは一群のIL-6スーパーファミリーメンバーへの結合性について、対照mAb 88(キメラB-E8)(図5A)、または親和性が改善されたmAb候補、ヒトmAb 1339(図5B)をELISAによって試験する、結合特異性実験の結果を示す図である。
【図6A】図6Aはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6特異的mAbを、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。各グラフ棒は3回の実験のの平均+/-標準偏差を表している。図6A中、mAbの濃度は0.5μg/mlである。各mAbについて、4本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100.0、50.0、25.0、および12.5 ng/mlのIL-6濃度でのIL-6のIL-6受容体との結合性の抑制パーセントを示している。
【図6B】図6Bはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用に対する各種抗IL-6 mAbの抑制効果を説明する、100 ng/ml IL-6での、1回の代表的な実験の結果を示す図である。黒色実線はmAb不在中での100 ng/ml IL-6単独を表し; 灰色実線はmAb存在中での100 ng/ml IL-6を表し; そして点線はIL-6不在中でのmAb単独を表す。図6B中、mAbが存在する場合の濃度は0.5μg/ml mAbである。
【図7A】図7Aはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6特異的mAbを、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。各グラフ棒は3回の実験のの平均+/-標準偏差を表している。図7A中、IL-6の濃度は500 ng/mlである。図7A中の各mAbについて、8本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ5000、2500、1250、625.0、156.3、78.1、および39.1 ng/mlのmAb濃度でのIL-6のIL-6受容体との結合性の抑制パーセントを示している。
【図7B】図7Bはフローサイトメトリーによって分析した、IL-6とU266細胞上で発現させたIL-6受容体の相互作用に対する各種抗IL-6 mAbの抑制効果を説明する、100 ng/ml IL-6での、1回の代表的な実験の結果を示す図である。黒色実線はmAb不在中での100 ng/ml IL-6単独を表し; 灰色実線はmAb存在中での100 ng/ml IL-6を表し; そして点線はIL-6不在中でのmAb単独を表す。図7B中、mAbが存在する場合の濃度は0.3μg/ml mAbである。
【図8】図8は3種の別々のIL-6結合性の抑制アッセイの結果を示す、要約図である。
【図9】図9はmAb 1339二重遺伝子ベクター(H1579重鎖可変領域を含有する重鎖およびL298軽鎖可変領域を含有する軽鎖を発現する)のマップである。
【図10】図10はmAb 1339二重遺伝子ベクターを発現する各種CHO由来細胞系単離物によって取得したmAbの収量を示す図である。
【図11】図11はIL-6シグナル伝達経路の図説である(BioCartaで入手可能)。
【図12】図12はIL-6特異的mAbを、マウスB9(ECACC)ミエローマ細胞系のIL-6依存性増殖を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。IgG1 KappaおよびmB-Z1はそれぞれヒトおよびマウスIgG1アイソタイプ対照抗体である。各mAbについて、7本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100、10、1、0.1、0.01、0.001、および0.0001 ng/mlのmAb濃度での、IL-6(10 pg/ml)で誘発させたB9細胞増殖の抑制パーセントを示す。各グラフ棒は3回の実験の平均+/-標準偏差を表す。
【図13】図13はIL-6特異的mAbを、ヒトU266ミエローマ細胞系のIL-6依存性増殖を抑制するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。各mAbについて、6本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ1000、333、111、37、12、および4 ng/mlのmAb濃度での、IL-6(500 pg/ml)で誘発させたU266細胞増殖の抑制パーセントを示す。各グラフ棒は3回の実験の平均+/-標準偏差を表す。
【図14】図14はIL-6特異的mAbを、ELISAによってマウスIL-6(図14)またはラットIL-6(図15)を検出するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。ビオチニル化ポリクローナル抗体(pAb)対照は抗ヒトIL-6、抗マウスIL-6、抗ラットIL-6、および抗ヒトIL-2である。サンプル「0」については、抗体を添加していない。各サンプルについて、4本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100、50、25、および12.5 ng/mlの抗体濃度での、100 ng/mlマウスまたはラットIL-6への結合性に関連する光学密度を表している。各グラフ棒は2回の実験の平均+/-標準偏差を表している。
【図15】図15はIL-6特異的mAbを、ELISAによってマウスIL-6(図14)またはラットIL-6(図15)を検出するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。ビオチニル化ポリクローナル抗体(pAb)対照は抗ヒトIL-6、抗マウスIL-6、抗ラットIL-6、および抗ヒトIL-2である。サンプル「0」については、抗体を添加していない。各サンプルについて、4本のグラフ棒は、左から右へ、それぞれ100、50、25、および12.5 ng/mlの抗体濃度での、100 ng/mlマウスまたはラットIL-6への結合性に関連する光学密度を表している。各グラフ棒は2回の実験の平均+/-標準偏差を表している。
【図16】図16はIL-6特異的mAbを、LPSで24時間活性化した末梢血単核細胞(PBMNC)からのヒト単球中の天然細胞質内のIL-6を検出するその能力について試験した、実験の結果を示す図である。濃い線はLPSで刺激した単球からのIL-6のmAb検出を表し、一方薄い線は添加抗体の不在を表している。
【図17】図17はIL-6特異的mAbを、血漿からのIL-6を検出するためのその能力について試験した、実験の結果を示す図である。mAbを添加しない「血清のみ」のサンプルを参照として供した。「血清のみ」のサンプルと比較した、IL-6特異的抗体サンプル中の光学密度シグナルの低下は、血清IL-6と抗体の相互作用を意味する。抗体は5μg/mlで試験した。図17中、4本のグラフ棒は、左から右へ、1、1/2、1/4、および1/8の血清希釈度でのヒト血清中のヒトIL-6の検出に関連する光学密度を示している。各グラフ棒は2回の実験の平均+/-標準偏差を表している。
【図18】図18はIL-6特異的mAbを、血漿からのIL-6を検出するためのその能力について試験した、実験の結果を示す図である。mAbを添加しない「血清のみ」のサンプルを参照として供した。「血清のみ」のサンプルと比較した、IL-6特異的抗体サンプル中の光学密度シグナルの低下は、血清IL-6と抗体の相互作用を意味する。抗体は5μg/mlで試験した。図18中、4本のグラフ棒は、左から右への1/10、1/20、1/40、1/80、1/160、1/320、および1/640の血清希釈度での、赤毛ザル血清中のサルIL-6の検出に関連する光学密度を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
特に明記しない限り、本明細書で使用するすべての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に共通して解釈される意味を持つ。
【0027】
抗体
本発明は、IL-6に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。
【0028】
本明細書で使用する、用語「抗体」として、ジスルフィド結合で相互連結された4種のポリペプチド鎖、2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖、を含んでいるイムノグロブリン分子が含まれる。各重鎖は重鎖可変領域(本明細書中略してVH)および重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3で構成される。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書中略してVL)および軽鎖定常領域で構成される。どの脊椎動物種からの抗体(イムノグロブリン)の軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に識別される型に分類することができる。カッパ軽鎖の可変領域は本明細書ではVKと称される。本明細書で使用するVLの表現は、カッパ型軽鎖からの可変領域(VK)およびラムダ型軽鎖からのものの両方を含むことを想定している。軽鎖定常領域には1ドメイン、CLが含まれている。VHおよびVL領域には、相補性決定領域(CDR)と命名された高度可変領域が、フレームワーク領域(FR)と命名された、より保存的な領域と組み合わさって、含まれている。各VHおよびVLは3つのCDRと4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序で配置されている: FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4。
【0029】
抗体は、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、別種のクラスに振り分けられる。完全抗体には以下の5種の主要なクラスがあり: IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、これらのいくつかはさらに、例えば以下のサブクラス(アイソタイプ)に分けることができる: IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2。別種のクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、およびμと称される。別種のクラスのイムノグロブリンのサブユニット構造および三次元立体構造は周知である。本発明には前記のあらゆるクラスまたはサブクラス(アイソタイプ)の抗体が含まれる。
【0030】
本明細書で使用する用語「抗体」は、抗体、その消化断片、特定化した部分および変異体を包含することも意図しており、これには抗体または特定化した断片またはそれらの部分の構造および/または機能を模倣する、抗体模倣体あるいは抗体の部分を含むものも含まれ、単鎖抗体およびその断片も含まれるが、それぞれ少なくとも1種のCDRを含んでいる。機能性断片として、IL-6抗原に結合する抗原結合性断片が含まれる。例えば、IL-6もしくはその部分に結合する能力がある抗体断片として、限定するわけではないがFab(例えば、パパイン消化によるもの)、facb(例えば、プラスミン消化によるもの)、pFc'(例えば、ペプシンもしくはプラスミン消化によるもの)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元および再凝集によるもの)、FvまたはscFv(例えば、分子生物学的技法によるもの)断片が含まれるが、これらは本発明に包含される。抗体断片として、例えば、ドメイン欠失抗体、ジアボディ、線状抗体、単鎖抗体分子、および抗体断片から形成された多重特異性抗体を含むことも想定している。
【0031】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から取得した1抗体を称し、例えば、その集団に含まれる個々の抗体が、可能な天然に生起する突然変異または微小な翻訳後変異が存在し得る以外は、実質的に同一であるものである。モノクローナル抗体は高度に特異性であって、単一の抗原部位に特異的なものである。さらに、典型的には別種の決定基(エピトープ)に特異的な別種の抗体を含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体はその抗原上の単一の決定基に特異的である。修飾語「モノクローナル」とは、実質的に均質な抗体の集団から取得した抗体としての特徴を意味し、何らかの特定の方法による抗体の製造を必要とすると解釈すべきでない。本発明のモノクローナル抗体は好ましくは組換えDNA方法で製造するか、あるいは本明細書で別記するように、スクリーニング方法によって取得する。
【0032】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」には、重および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するか特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同であるが、その鎖(群)のその他の部分は、別の種(例えば、マウスもしくはラット)に由来するか別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(イムノグロブリン)、ならびにこうした抗体の断片であって、ただし所望の生物学的活性を提示するもの、が含まれる(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。本発明で対象とするキメラ抗体として、非ヒト霊長類(例えば、旧世界サル、ヒヒ、赤毛ザルもしくはカニクイザルなど)由来の可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含んでいる「霊長類化」抗体が含まれる(U.S. Pat. No. 5,693,780)。
【0033】
こうして、本発明には、例えば、キメラ重鎖および/またはキメラ軽鎖を含んでいるキメラモノクローナル抗体が含まれる。このキメラ重鎖は非ヒト抗体の重鎖定常領域と融合した、本明細書に記載する重鎖可変(VH)領域またはその突然変異体もしくは変異体のいずれを含んでいてもよい。そのキメラ軽鎖は非ヒト抗体の軽鎖定常領域と融合した、本明細書に記載する軽鎖可変(VL)領域またはその突然変異体もしくは変異体のいずれを含んでいてもよい。
【0034】
本明細書で使用する用語「ヒト抗体」には、Kabatらが記載しているヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列に対応する可変および定常領域を持つ抗体が含まれる(Kabat, et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、参照)。本発明のヒト抗体は、例えばCDR中、特にCDR3中に、ヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基を含んでいてもよい(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によるか、in vivoでの体細胞突然変異によって導入した突然変異)。そのヒト抗体は、少なくとも1つの位置でヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列にコードされない1アミノ酸残基、例えば活性を強化するアミノ酸残基で置換されていてもよい。本発明に関しては、このヒト抗体は20までの位置でヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列のものでないアミノ酸残基で置換されていてもよい。別の実施形態において、10まで、5まで、3まで、または2までの位置で置換されていてもよい。しかし、本明細書で使用する用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含むことは意図していない。
【0035】
語句「組換えヒト抗体」には、組換え手段によって調製、発現、作製または単離したヒト抗体が含まれ、以下などがある: 宿主細胞中にトランスフェクトした組換え発現ベクターを使用して発現させた抗体、組換え体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離した抗体、ヒトイムノグロブリン遺伝子を導入した動物から単離した抗体、またはヒトイムノグロブリン遺伝子配列の別のDNA配列へのスプライシングが関与する、別の任意の手段によって調製、発現、作製または単離した抗体。こうした組換えヒト抗体はヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列由来の可変および定常領域を持っている(Kabat, et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242、参照)。本発明に関しては、組換えヒト抗体として、in vitro突然変異誘発(またはヒトIg配列を導入した動物を使用する場合、in vivo体細胞突然変異誘発)をしたヒト生殖細胞系イムノグロブリン配列であり、したがってその組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列由来であって、かつこれに関連していても、in vivoではヒト抗体生殖細胞系の範囲に天然には存在しないこともある、配列が含まれる。しかし、特定の実施形態において、こうした組換え抗体は選択的突然変異誘発手法もしくは復帰突然変異またはその両方の結果である。
【0036】
本発明の抗体は単離した抗体とすることができる。本発明で使用する「単離した抗体」には、別種の抗原特異性を持つその他の抗体を実質的に含まない抗体が含まれる。さらに、単離した抗体はその他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まないものである。
【0037】
本発明の抗体は、好ましくはIL-6抗原に特異的に結合するものである。本明細書で使用する、「IL-6抗原」には、例えば、完全IL-6タンパク質またはIL-6タンパク質の断片の1つが含まれることを意図している。用語「IL-6抗原」は、天然に生起するIL-6(例えば、正常条件下でIL-6を発現する細胞から精製したIL-6)、そして組換えIL-6ならびにその変異体および突然変異体を包含することを意図している。好ましくは、IL-6抗原はIL-6受容体に結合する能力があるものである。
【0038】
本発明の抗体は、例えば、その抗体がIL-6抗原に結合し、かつIL-6分子以外とは何ら有意な結合性を示さないならば、IL-6抗原に特異的に結合する。特定の実施形態において、抗体がIL-6抗原以外の抗原と結合する親和性よりも、少なくとも1000倍、少なくとも500倍、少なくとも200倍、少なくとも100倍、少なくとも90倍、少なくとも80倍、少なくとも70倍、少なくとも60倍、少なくとも50倍、少なくとも40倍、少なくとも30倍、少なくとも20倍、少なくとも10倍または少なくとも2倍大きい親和性でIL-6抗原と結合するならば、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0039】
本発明の抗体がIL-6抗原に特異的に結合するかどうかは、例えば、IL-6抗原とIL-6抗原以外の少なくとも1種を含む、一群の抗原を利用する、ELISAなどの結合アッセイによって、判定することができる。特異性を評価するための代表的な方法を下記実施例5に提示する。ここでは、本発明のヒト抗IL-6抗体(mAb 1339)を、以下などの無関係な抗原との結合性について、ELISAによって試験した: ヒトインスリン、ヒト血清アルブミン、ヒトヘモグロビン、およびウシ血清アルブミン。非IL-6抗原との結合性は観察されなかったので、mAb 1339はIL-6に特異的に結合するものと判断された。
【0040】
特定の実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合するが、その他のIL-6スーパーファミリーメンバーには結合しない。特定の実施形態において、本発明の抗体が例えばCNFT、オンコスタチンM、IL-11またはNNT-1などのIL-6スーパーファミリーメンバーと結合する親和性よりも、少なくとも1000倍、少なくとも500倍、少なくとも200倍、少なくとも100倍、少なくとも90倍、少なくとも80倍、少なくとも70倍、少なくとも60倍、少なくとも50倍、少なくとも40倍、少なくとも30倍、少なくとも20倍、少なくとも10倍または少なくとも2倍大きい親和性でIL-6抗原と結合するならば、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。例えば、mAb 1339はELISAによってIL-6に結合することが示されたが、CNFT、オンコスタチンM、IL-11またはNNT-1とは、わずかなレベルの結合性しか示さなかった(実施例5および図5B参照)。これまたは類似のアッセイを使用して、任意の抗体がIL-6抗原と特異的に結合するかどうかを評価することができる。
【0041】
別の実施形態において、本発明の抗体はIL-6抗原と、その解離定数(Kd)が約10-8 Mの場合、特異的に結合する。特定の実施形態において、抗体は、Kdが約5x10-9 Mの場合、「高親和性」で、Kdが約5x10-10 Mの場合、「極めて高親和性」で、IL-6抗原と特異的に結合すると言われる。
【0042】
本発明との関連で、抗体がIL-6抗原と特異的に結合するかどうかは、機能性アッセイによっても判定することができる。例えば、IL-6受容体を発現する細胞をIL-6とともに試験抗体の存在中でインキュベートするアッセイを実施することができる。並行するアッセイで、その試験抗体の存在中で、別の受容体を発現する細胞をその受容体のためのリガンドとともにインキュベートする。抗体が第1のアッセイ(IL-6およびそのIL-6受容体を発現する細胞が含まれるもの)で抑制効果を示すが、第2のアッセイ(別種のリガンドおよびそのリガンドのための受容体を発現する細胞が含まれるもの)では抑制効果を示さない場合、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合すると結論することができる。抗体が細胞上のIL-6受容体へのIL-6の結合性の生物学的効果を抑制するかどうかの判定のためのアッセイは、本明細書中で別に議論する。例えば、実施例5は、本発明のヒト抗IL-6抗体の、IL-6が誘発するヒトミエローマ細胞の増殖を抑制する能力を示している。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、100%(すなわち、完全)抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、90%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、80%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの細胞の、IL-6が誘発する増殖を、70%またはそれ以上、60%またはそれ以上、50%またはそれ以上、40%またはそれ以上、30%またはそれ以上、20%またはそれ以上、10%またはそれ以上、あるいは5%またはそれ以上、あるいは1%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。
【0044】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、100%(すなわち、完全)抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、90%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、80%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体はIL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体への結合を、70%またはそれ以上、60%またはそれ以上、50%またはそれ以上、40%またはそれ以上、30%またはそれ以上、20%またはそれ以上、10%またはそれ以上、あるいは5%またはそれ以上、あるいは1%またはそれ以上の抑制レベルで、抑制する。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体について、種特異性、ヒトIL-6との結合性またはその検出時の利用性が実証される。いくつかの実施形態において、本発明の新規モノクローナル抗体は、ヒトまたはサルIL-6に結合してその検出に役立つが、マウスまたはラットIL-6とは結合しない。
【0046】
本発明のヒト抗体は多様な方法によって取得することができる。例えば、IL-6に結合するヒトモノクローナル抗体は、例えば、1以上のヒトVLおよびVH cDNAライブラリーを、IL-6またはその一部について、ファージディスプレー技術などによってスクリーニングすることによって、選択することができる(McCafferty et al., Nature 348:552-554(1990))。本発明のヒト抗体は、例えばトランスジェニックマウスなどのトランスジェニック動物から取得することもできる(Jakobovits, Curr. Opin. Biotechnol. 6:561-566(1995))。本発明には、ヒト抗体を作成するための当分野で既知のあらゆる方法によって取得されるヒト抗IL-6抗体が含まれる。
【0047】
本発明の抗体を作製するために使用することができる代表的な方法は、例えば以下に開示されている: U.S. Patent Appl. Publication No. 2005/0196755。この内容の全部を参照として、組み入れる。
【0048】
こうして、本発明には、ヒト重鎖可変領域(VH)を含んでいるモノクローナル抗体であって、そのヒトVHは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変軽鎖領域(VL)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるもの、が含まれる。
【0049】
本発明には、ヒト軽鎖可変領域(VL)を含んでいるモノクローナル抗体であって、そのヒトVLは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変重鎖領域(VH)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるもの、も含まれる。特定の実施形態において、このヒトVLはカッパサブタイプのもの(すなわち、VK)である。
【0050】
本発明には、ヒト重鎖可変領域(VH)およびヒト軽鎖可変領域(VL)を含んでいるモノクローナル抗体であって、そのヒトVHは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変軽鎖領域(VL)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるものであり、またそのヒトVLは非ヒト抗IL-6モノクローナル抗体(例えば、B-E8など)の可変重鎖領域(VH)と組み合わせたときに、IL-6抗原に特異的に結合する1抗体となるもの、も含まれる。
【0051】
特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は以下からなる群から選択されるアミノ酸配列の1つを含んでいる可変重鎖領域(VH)を含んでいる: H415(配列番号19)、H884(配列番号20)、H1077(配列番号21)、H1078(配列番号22)、H1079(配列番号23)、H1081(配列番号24)、H1089(配列番号25)、H1511(配列番号26)、H1420(配列番号27)、H1432(配列番号28)、H1515(配列番号29)、H1362(配列番号30)、H1437(配列番号31)、H1461(配列番号32)、H1519(配列番号38)、H1520(配列番号39)、H1521(配列番号40)、H1522(配列番号41)、H1553(配列番号42)、およびH1579(配列番号43)。この抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0052】
特定の実施形態において、本発明のモノクローナル抗体は以下からなる群から選択されるアミノ酸配列の1つを含んでいる可変軽鎖領域(VLもしくはVK)を含んでいる: L112(配列番号1)、L151(配列番号2)、L158(配列番号3)、L159(配列番号4)、L164(配列番号5)、L165(配列番号6)、L166(配列番号7)、L167(配列番号8)、L168(配列番号9)、L169(配列番号10)、L170(配列番号11)、L171(配列番号12)、L172(配列番号13)、L173(配列番号14)、L174(配列番号15)、L175(配列番号16)、L189(配列番号17)、L198(配列番号18)、L314(配列番号33)、L305(配列番号34)、L303(配列番号35)、L298(配列番号36)、およびL321(配列番号37)。この抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0053】
当業者であれば、本発明の文脈内で記載された「可変重鎖領域(VH)を含んでいる抗体」および「可変軽鎖領域(VLもしくはVK)を含んでいる抗体」は、例えば、1種以上の定常重鎖領域(例えば、CH1、CH2および/もしくはCH3)ならびに/または定常軽鎖領域(CL)などの、抗体分子に通常見られる、1種以上の追加の領域(または「ドメイン」)を含んでいてもよいことが理解できるはずである。
【0054】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号19〜32または38〜43のいずれか1つと以下の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖領域(VH)を含んでおり、その抗体はIL-6抗原と特異的に結合する: 少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0055】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号1〜18または33〜37のいずれか1つと以下の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖領域(VLもしくはVK)を含んでおり、その抗体はIL-6抗原と特異的に結合する: 少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0056】
本明細書で使用する用語「同一性」とは、2以上のポリペプチド分子の配列をアラインメントして、比較することによって判定した、その配列間の関連性を称する。「同一性パーセント」は、比較する分子中のアミノ酸間で同一の残基のパーセントを意味し、これは比較する分子の最小のサイズに基づいて算出される。これらの算出のためには、アラインメント分子中のギャップ(もしあれば)を、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対応させる必要がある。アラインメントしたポリペプチドの同一性を算出するために使用することができる方法として、以下に記載されたものが含まれる: Computational Molecular Biology, (Lesk, A. M., ed.), 1988, New York: Oxford University Press; Biocomputing Informatics and Genome Projects, (Smith, D. W., ed.), 1993, New York: Academic Press; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, (Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.), 1994, New Jersey: Humana Press; von Heinje, G., 1987, Sequence Analysis in Molecular Biology, New York: Academic Press; Sequence Analysis Primer, (Gribskov, M. and Devereux, J., eds.), 1991, New York: M. Stockton Press; およびCarillo et al., 1988, SIAM J. Applied Math. 48: 1073。
【0057】
同一性パーセントを算出する際、比較する配列を、その配列間で最大の一致が得られるように、アラインメントする。同一性パーセントを決定するために使用するコンピュータプログラムには、GAPを含むGCGプログラムがある(Devereux et al., 1984, Nucl Acid Res 12:387; Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wisc.)。コンピュータアルゴリズムGAPは、配列同一性パーセントを決定しようとする2つのポリペプチド鎖をアラインメントするために使用する。これらの配列を、その対応するアミノ酸が最適一致になるようにアラインメントする(アルゴリズムで決定した「一致スパン」)。このアルゴリズムと連携させて、以下を使用する: ギャップオープニングペナルティ(3回の平均ダイアゴナルとして算出され、この「平均ダイアゴナル」は使用した比較マトリックスのダイアゴナルの平均であり、この「ダイアゴナル」とは、特定の比較マトリックスによって、それぞれ完全なアミノ酸一致になるように割り当てられたスコアまたは個数である)、およびギャップエクステンションペナルティ(通常、前記ギャップオープニングペナルティの10分の1である)、さらにPAM 250もしくはBLOSUM 62などの比較マトリックス。特定の実施形態において、アルゴリズムで、標準的比較マトリックスも使用する(PAM 250比較マトリックスについて、Dayhoff et al., 1978, Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352; BLOSUM 62比較マトリックスについて、Henikoff et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915-10919、参照)。
【0058】
GAPプログラムを使用してポリペプチド鎖についての同一性パーセントを決定するために推奨されるパラメーターは以下である:
アルゴリズム: Needleman et al., 1970、J. Mol. Biol. 48:443-453;
比較マトリックス: BLOSUM 62、上記Henikoff et al., 1992、より;
ギャップペナルティ: 12(ただし、末端ギャップについてはペナルティ無し);
ギャップ長ペナルティ: 4;
相同性の閾値: 0。
【0059】
2つのアミノ酸配列をアラインメントするための特定のアラインメントスキームは、結果として2つの配列の短い領域だけを一致させるものがあるが、この短いアラインメント領域は、この2つの全長配列間に有意な関連性がないとしても、非常に高い配列同一性を有する。したがって、選択したアラインメント方法(GAPプログラム)を必要に応じて、標的ポリペプチド鎖の少なくとも50個の連続したアミノ酸の範囲のアラインメントの結果となるように調節する。
【0060】
本明細書に記載する抗IL-6抗体について、アミノ酸配列修飾(群)を想定している。例えば、抗IL-6抗体の結合親和性および/またはその他の生物学的性質を改善するために、これが望ましいことがある。
【0061】
抗IL-6抗体について、この抗体の重または軽鎖をコードする核酸中に適切なヌクレオチド変換を導入するか、またはペプチド合成によって、そのアミノ酸配列変異体を調製することができる。代表的な修飾として、その抗体の重および/または軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を変更するものが含まれる。特に好ましいのは、本発明の抗体の重および/または軽鎖の可変領域の1以上のCDRのアミノ酸配列を変更する修飾である。
【0062】
代表的な修飾として、例えば、抗IL-6抗体のアミノ酸配列内の残基について、これらからの欠失、および/またはその中への挿入、および/またはそれらの置換が含まれる。最終構築物が所望の特性(例えば、IL-6抗原と特異的に結合する抗体の部分を形成する能力)を保有する限り、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを作成して、最終構築物とすることができる。アミノ酸の変更は、グリコシル化部位の数または位置を変更するなどの、抗IL-6抗体の翻訳後プロセスを変更するものでもよい。
【0063】
本発明の抗体のVHおよびVL領域内にアミノ酸変更を導入するための代表的な方法の1つを下記実施例2で説明する。この方法によれば、例えばVHまたはVLのCDR内の特定の位置に、NNKを導入する。ここでNはA、T、G、またはC、そしてKはTまたはGが可能である。NNKを使用して、それぞれの位置に、20アミノ酸の全部および1停止コドンを導入することができる。
【0064】
突然変異誘発のために好ましい位置となる抗IL-6抗体可変重鎖領域および可変軽鎖領域の特定の残基または領域の同定のために有用な別の方法は、以下に記載されている、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれるものである: Cunningham and Wells, Science 244:1081-1085(1989)。この場合、標的残基の1残基または残基群(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)を同定し、中性または陰性荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)と置換する。次に、この置換に対して機能的な感応性を呈するアミノ酸の位置を、置換の部位に、さらに、または別の変異を導入することによって、改良する。こうして、アミノ酸配列の変更を導入するための部位は事前に決定することができるが、その突然変異自体の性質は事前に決定する必要はない。例えば、所定の部位の突然変異の性向を分析するためには、その標的コドンまたは領域で、アラニンスキャニングまたはランダム突然変異誘発を実行し、発現したVH変異体および/またはVL変異体を、それぞれ可変軽鎖または可変重鎖と組み合わせたときの、所望の活性についてスクリーニングする。
【0065】
アミノ酸配列の挿入として、1残基から100もしくはそれ以上の残基を含有するポリペプチド鎖までの長さの範囲のアミノ-および/またはカルボキシル-末端融合、ならびに単一または複数アミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例として、N-末端メチオニル残基を持つ抗IL-6 VHもしくは抗IL-6 VL、または細胞傷害性ポリペプチド鎖と融合した抗IL-6 VHもしくは抗IL-6 VLが含まれる。
【0066】
別のタイプの変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体はVHもしくはVL分子中で、少なくとも1アミノ酸残基が別の残基と置換されている。本発明の抗IL-6抗体のVHおよびVL領域の置換による突然変異誘発について最大の関心がある部位として、超可変領域が含まれるが、FR変更も想定している。
【0067】
保存置換を「好ましい置換」のタイトルで、表1に示す。こうした置換の結果として生物学的活性に変更があれば、表1中に「代表的な置換」と命名するか、またはアミノ酸クラスについてさらに以下に記載する、より実質的な変更を導入して、生成物をスクリーニングすることができる。
【表1】
【0068】
本発明の抗IL-6抗体の生物学的性質の実質的改変は、以下を維持する効果について、顕著に異なる置換を選定することによって、達成することができる: (a) 例えば、シート状もしくはへリックス立体構造としての、置換部位のポリペプチド鎖骨格の構造、(b) 標的部位の分子の荷電もしくは疎水性、または(c) 側鎖の大きさ。天然に生起する残基は一般的な側鎖の性質に基づいて、以下のグループに分けられる:
(1) 疎水性: norleu、met、ala、val、leu、ile;
(2) 中性、親水性: cys、ser、thr;
(3) 酸性: asp、glu;
(4) 塩基性: asn、gln、his、lys、arg;
(5) 鎖配向性に影響を与える残基: gly、pro; および
(6) 芳香族: trp、tyr、phe。
【0069】
非保存置換とは、これらのクラスの1メンバーを別のクラスのものと交換することを伴うものである。
【0070】
抗IL-6抗体の立体構造の特性を維持することに関与していないいずれかのシステイン残基を、一般的にはセリンと置換して、その分子の酸化安定性を改善し、かつ異常な交差結合を防止することもできる。逆に、(特に抗IL-6抗体がFv断片などの抗体断片の場合)、抗IL-6抗体にシステイン結合(群)を加えて、その安定性を改善することができる。
【0071】
特に好ましいタイプの置換変異には、親抗体の1以上の超可変領域残基の置換が関与する。一般的に、さらに開発するために選択して生成する変異体(群)は、それらを作製するための親抗体に比較して、改善された生物学的性質(例えば、IL-6抗原への改善された親和性)を持つものとなる。こうした置換変異体を作製するための代表的な方法の1つは、ファージディスプレーを使用する親和性成熟である。簡単に述べると、いくつかの超可変領域部位(例えば、6〜7部位)を突然変異させて、それぞれの部位で可能なすべてのアミノ置換を作製する。こうして作製した抗体変異体を、線状ファージ粒子から一価状態で、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物との融合体としてディスプレーさせる。次に、ファージディスプレーさせた変異体を、本明細書に開示したように、その生物学的活性(例えば、結合親和性)について、スクリーニングする。修飾のための超可変領域部位の候補を同定するため、アラニンスキャニング突然変異誘発を実施して、抗原との結合に顕著に寄与する超可変領域残基を同定することができる。それに代えて、またはそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と抗原の接触位置を同定することも、有益である。こうした接触残基および隣接残基は、本明細書に詳述する技法にしたがう置換のための候補である。こうした変異体を作製した後、一群の変異体を本明細書に記載するスクリーニングにかけて、1以上の関連するアッセイで優秀な性質を持つ抗体を、その後の開発のために選択することができる。
【0072】
本明細書に提示する抗IL-6抗体の別のタイプのアミノ酸変異体は、抗IL-6抗体の当初のグリコシル化パターンを変更するものである。こうした変更として、抗IL-6抗体中にある1以上の炭水化物部分の欠失、および/または抗IL-6抗体中に存在しない1以上のグリコシル化部位の付加が含まれる。
【0073】
ポリペプチド鎖のグリコシル化は、典型的にはN-連結またはO-連結のいずれかである。N-連結とはアスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の接続を意味する。トリペプチド配列、アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン、ここでXはプロリン以外の任意のアミノ酸、はアスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的接続についての認識配列である。こうして、ポリペプチド鎖中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在が、可能なグリコシル化部位を形成する。O-連結グリコシル化とは、糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、もしくはキシロースの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も普通にはセリンもしくはトレオニンへの接続を意味する。ただし、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンも使用することができる。
【0074】
抗IL-6抗体へのグリコシル化部位の付加は、そのアミノ酸配列を、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むように変更することによって、好都合に達成することができる(N-連結グリコシル化部位について)。その変更は、当初の抗IL-6抗体の配列に1以上のセリンもしくはトレオニン残基の付加、またはこれによる置換によっても、作成することができる(O-連結グリコシル化部位について)。
【0075】
特定の実施形態において、本発明の抗体内に含まれるVHドメインは、1〜20アミノ酸の置換がある以外には、配列番号19〜32または38〜43のいずれか1つと同一のアミノ配列の1つを含んでいる。例えば、VHは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のアミノ酸の置換がある以外には、配列番号19〜32または38〜43と同一のアミノ配列の1つを持っている。置換(群)は配列番号19〜32または38〜43中にある配列内のどの位置でもよい。特定の実施形態において、置換(群)はVHドメインの1以上のCDR内にある。例えば、置換(群)はCDR1、CDR2および/またはCDR3内のものが可能である。
【0076】
同様に、特定の実施形態において、本発明の抗体内に含まれるVLドメインは、1〜20アミノ酸の置換がある以外には、配列番号1〜18または33〜37のいずれか1つと同一のアミノ配列の1つを含んでいる。例えば、VLは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸の置換がある以外には、配列番号1〜18または33〜37と同一のアミノ配列の1つを持っている。置換(群)は配列番号1〜18または33〜37中にある配列内のどの位置でもよい。特定の実施形態において、置換(群)はVLドメインの1以上のCDR内にある。例えば、置換(群)はCDR1、CDR2および/またはCDR3内のものが可能である。
【0077】
1以上のアミノ酸残基が配列番号19〜32もしくは38〜43とは異なるVH領域および/または1以上のアミノ酸残基が配列番号1〜18もしくは33〜37とは異なるVL領域を含んでいる本発明の抗IL-6抗体は、好ましくはIL-6抗原に特異的に結合する能力を保持している。
【0078】
本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVHが表2に示すいずれかのCDR1を含んでいるもの、が含まれる。
【表2】
【0079】
本発明にはVHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが、配列番号51〜55からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6または7)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号51〜55のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR1を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR1を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0080】
本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVHが表3に示すいずれかのCDR2を含んでいるもの、も含まれる。
【表3】
【0081】
本発明にはVHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが、配列番号56〜61または97からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号56〜61または97のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR2を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR2を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0082】
本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVHが表4に示すいずれかのCDR3を含んでいるもの、も含まれる。
【表4】
【0083】
本発明にはVHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが、配列番号62〜73または98からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号62〜73または98のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR3を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR3を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0084】
その上、本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVLが表5に示すいずれかのCDR1を含んでいるもの、が含まれる。
【表5】
【0085】
本発明にはVLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが、配列番号74〜79からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号74〜79のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR1を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR1を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0086】
本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVLが表6に示すいずれかのCDR2を含んでいるもの、も含まれる。
【表6】
【0087】
本発明にはVLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが、配列番号80〜85からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6または7)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号80〜85のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR2を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR2を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0088】
本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、そのVLが表7に示すいずれかのCDR3を含んでいるもの、も含まれる。
【表7】
【0089】
本発明にはVLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが、配列番号86〜96からのアミノ酸の1以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9)が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号86〜96のいずれかと同一であるアミノ酸配列を持つ変異体CDR3を含んでいるもの、が含まれる。好ましくは変異体CDR3を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0090】
実施例1で示すように、ヒトVHの一ライブラリをスクリーニングすることによって同定した第1世代ヒト可変重鎖領域(VH)は、互いに大幅な配列同一性を共有している。ヒトVH間のこのアミノ配列同一性を表10に示し、また図1で説明する。例えば、同定したヒトVHのCDR1はすべてアミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)を共有している。その上、同定したヒトVHのCDR2はすべてアミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)を共有している。
【0091】
こうして、本発明にはアミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)を持つ可変重鎖CDR1(VH-CDR1)を含んでいるモノクローナル抗体が含まれ、ここでX1、X2およびX3はどのアミノ酸でもよい。例えば、X1、X2および/またはX3は以下であり得る: イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、フェニルアラニン(P)、メチオニン(M)、システイン(C)、アラニン(A)、グリシン(G)、プロリン(P)、トレオニン(T)、セリン(S)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはアルギニン(R)。代表的な一実施形態において、X1はメチオニン(M)またはバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X1はバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X2はシステイン(C)、アラニン(A)、セリン(S)またはグリシン(G)である。別の代表的な実施形態において、X3はセリン(S)またはグリシン(G)である。好ましくは、アミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)を持つVH-CDR1を含んでいる本発明の抗体は、IL-6抗原に特異的に結合する。
【0092】
本発明には、アミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)を持つ可変重鎖CDR2(VH-CDR2)を含んでいるモノクローナル抗体も含まれる。ここでX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8はどんなアミノ酸でもよい。例えば、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7および/またはX8は以下であり得る: イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V)、フェニルアラニン(P)、メチオニン(M)、システイン(C)、アラニン(A)、グリシン(G)、プロリン(P)、トレオニン(T)、セリン(S)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、ヒスチジン(H)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リシン(K)、またはアルギニン(R)。代表的な一実施形態において、X1はロイシン(L)、フェニルアラニン(F)またはバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X1はロイシン(L)である。別の代表的な実施形態において、X2はイソロイシン(I)またはバリン(V)である。別の代表的な実施形態において、X2はイソロイシン(I)である。別の代表的な実施形態において、X3はチロシン(Y)またはフェニルアラニン(F)である。別の代表的な実施形態において、X4はリシン(K)またはアルギニン(R)である。別の代表的な実施形態において、X5はアルギニン(R)、チロシン(Y)、またはヒスチジン(H)である。別の代表的な実施形態において、X6はセリン(S)またはアスパラギン(N)である。別の代表的な実施形態において、X6はセリン(S)である。別の代表的な実施形態において、X7はアルギニン(R)、リシン(K)、グルタミン酸(E)またはセリン(S)である。別の代表的な実施形態において、X7はリシン(K)である。別の代表的な実施形態において、X8はセリン(S)またはアスパラギン(N)である。好ましくは、アミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)を持つVH-CDR2を含んでいる本発明の抗体はIL-6抗原に特異的に結合する。
【0093】
本発明には、VLドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VLが配列番号1〜18または33〜37からの非CDR(例えば、フレームワーク領域)アミノ酸の1以上が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号1〜18または33〜37のいずれかと同一であるもの、も含まれる。本発明には、VHドメインを含んでいる抗IL-6抗体であって、この際VHが配列番号19〜32または38〜43からの非CDR(例えば、フレームワーク領域)アミノ酸の1以上が任意の別のアミノ酸で置換されている以外は、配列番号19〜32または38〜43のいずれかと同一であるもの、も含まれる。好ましくはVHおよび/またはVK配列のフレームワーク領域内に1個以上のアミノ酸の変更を含んでいる抗IL-6抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0094】
本発明には以下の任意の組み合わせを含んでいる抗体が含まれる:
(1) 本明細書に提示する可変重鎖領域(VH)、または本明細書に提示する1以上のCDRを含んでいるVH; および
(2) 本明細書に提示する可変軽鎖領域(VL)、または本明細書に提示する1以上のCDRを含んでいるVL。
【0095】
例えば、本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体が含まれる: H415(配列番号19)およびL112(配列番号1); H415(配列番号19)およびL151(配列番号2); H415(配列番号19)およびL158(配列番号3); H415(配列番号19)およびL159(配列番号4); H415(配列番号19)およびL164(配列番号5); H415(配列番号19)およびL165(配列番号6); H415(配列番号19)およびL166(配列番号7); H415(配列番号19)およびL167(配列番号8); H415(配列番号19)およびL168(配列番号9); H415(配列番号19)およびL169(配列番号10); H415(配列番号19)およびL170(配列番号11); H415(配列番号19)およびL171(配列番号12); H415(配列番号19)およびL172(配列番号13); H415(配列番号19)およびL173(配列番号14); H415(配列番号19)およびL174(配列番号15); H415(配列番号19)およびL175(配列番号16); H415(配列番号19)およびL189(配列番号17); H415(配列番号19)およびL198(配列番号18); H415(配列番号19)およびL314(配列番号33); H415(配列番号19)およびL305(配列番号34); H415(配列番号19)およびL303(配列番号35); H415(配列番号19)およびL298(配列番号36); またはH415(配列番号19)およびL321(配列番号37)。
【0096】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H884(配列番号20)およびL112(配列番号1); H884(配列番号20)およびL151(配列番号2); H884(配列番号20)およびL158(配列番号3); H884(配列番号20)およびL159(配列番号4); H884(配列番号20)およびL164(配列番号5); H884(配列番号20)およびL165(配列番号6); H884(配列番号20)およびL166(配列番号7); H884(配列番号20)およびL167(配列番号8); H884(配列番号20)およびL168(配列番号9); H884(配列番号20)およびL169(配列番号10); H884(配列番号20)およびL170(配列番号11); H884(配列番号20)およびL171(配列番号12); H884(配列番号20)およびL172(配列番号13); H884(配列番号20)およびL173(配列番号14); H884(配列番号20)およびL174(配列番号15); H884(配列番号20)およびL175(配列番号16); H884(配列番号20)およびL189(配列番号17); H884(配列番号20)およびL198(配列番号18); H884(配列番号20)およびL314(配列番号33); H884(配列番号20)およびL305(配列番号34); H884(配列番号20)およびL303(配列番号35); H884(配列番号20)およびL298(配列番号36); またはH884(配列番号20)およびL321(配列番号37)。
【0097】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1077(配列番号21)およびL112(配列番号1); H1077(配列番号21)およびL151(配列番号2); H1077(配列番号21)およびL158(配列番号3); H1077(配列番号21)およびL159(配列番号4); H1077(配列番号21)およびL164(配列番号5); H1077(配列番号21)およびL165(配列番号6); H1077(配列番号21)およびL166(配列番号7); H1077(配列番号21)およびL167(配列番号8); H1077(配列番号21)およびL168(配列番号9); H1077(配列番号21)およびL169(配列番号10); H1077(配列番号21)およびL170(配列番号11); H1077(配列番号21)およびL171(配列番号12); H1077(配列番号21)およびL172(配列番号13); H1077(配列番号21)およびL173(配列番号14); H1077(配列番号21)およびL174(配列番号15); H1077(配列番号21)およびL175(配列番号16); H1077(配列番号21)およびL189(配列番号17); H1077(配列番号21)およびL198(配列番号18); H1077(配列番号21)およびL314(配列番号33); H1077(配列番号21)およびL305(配列番号34); H1077(配列番号21)およびL303(配列番号35); H1077(配列番号21)およびL298(配列番号36); またはH1077(配列番号21)およびL321(配列番号37)。
【0098】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1078(配列番号22)およびL112(配列番号1); H1078(配列番号22)およびL151(配列番号2); H1078(配列番号22)およびL158(配列番号3); H1078(配列番号22)およびL159(配列番号4); H1078(配列番号22)およびL164(配列番号5); H1078(配列番号22)およびL165(配列番号6); H1078(配列番号22)およびL166(配列番号7); H1078(配列番号22)およびL167(配列番号8); H1078(配列番号22)およびL168(配列番号9); H1078(配列番号22)およびL169(配列番号10); H1078(配列番号22)およびL170(配列番号11); H1078(配列番号22)およびL171(配列番号12); H1078(配列番号22)およびL172(配列番号13); H1078(配列番号22)およびL173(配列番号14); H1078(配列番号22)およびL174(配列番号15); H1078(配列番号22)およびL175(配列番号16); H1078(配列番号22)およびL189(配列番号17); H1078(配列番号22)およびL198(配列番号18); H1078(配列番号22)およびL314(配列番号33); H1078(配列番号22)およびL305(配列番号34); H1078(配列番号22)およびL303(配列番号35); H1078(配列番号22)およびL298(配列番号36); またはH1078(配列番号22)およびL321(配列番号37)。
【0099】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1079(配列番号23)およびL112(配列番号1); H1079(配列番号23)およびL151(配列番号2); H1079(配列番号23)およびL158(配列番号3); H1079(配列番号23)およびL159(配列番号4); H1079(配列番号23)およびL164(配列番号5); H1079(配列番号23)およびL165(配列番号6); H1079(配列番号23)およびL166(配列番号7); H1079(配列番号23)およびL167(配列番号8); H1079(配列番号23)およびL168(配列番号9); H1079(配列番号23)およびL169(配列番号10); H1079(配列番号23)およびL170(配列番号11); H1079(配列番号23)およびL171(配列番号12); H1079(配列番号23)およびL172(配列番号13); H1079(配列番号23)およびL173(配列番号14); H1079(配列番号23)およびL174(配列番号15); H1079(配列番号23)およびL175(配列番号16); H1079(配列番号23)およびL189(配列番号17); H1079(配列番号23)およびL198(配列番号18); H1079(配列番号23)およびL314(配列番号33); H1079(配列番号23)およびL305(配列番号34); H1079(配列番号23)およびL303(配列番号35); H1079(配列番号23)およびL298(配列番号36); またはH1079(配列番号23)およびL321(配列番号37)。
【0100】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1081(配列番号24)およびL112(配列番号1); H1081(配列番号24)およびL151(配列番号2); H1081(配列番号24)およびL158(配列番号3); H1081(配列番号24)およびL159(配列番号4); H1081(配列番号24)およびL164(配列番号5); H1081(配列番号24)およびL165(配列番号6); H1081(配列番号24)およびL166(配列番号7); H1081(配列番号24)およびL167(配列番号8); H1081(配列番号24)およびL168(配列番号9); H1081(配列番号24)およびL169(配列番号10); H1081(配列番号24)およびL170(配列番号11); H1081(配列番号24)およびL171(配列番号12); H1081(配列番号24)およびL172(配列番号13); H1081(配列番号24)およびL173(配列番号14); H1081(配列番号24)およびL174(配列番号15); H1081(配列番号24)およびL175(配列番号16); H1081(配列番号24)およびL189(配列番号17); H1081(配列番号24)およびL198(配列番号18); H1081(配列番号24)およびL314(配列番号33); H1081(配列番号24)およびL305(配列番号34); H1081(配列番号24)およびL303(配列番号35); H1081(配列番号24)およびL298(配列番号36); またはH1081(配列番号24)およびL321(配列番号37)。
【0101】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1089(配列番号25)およびL112(配列番号1); H1089(配列番号25)およびL151(配列番号2); H1089(配列番号25)およびL158(配列番号3); H1089(配列番号25)およびL159(配列番号4); H1089(配列番号25)およびL164(配列番号5); H1089(配列番号25)およびL165(配列番号6); H1089(配列番号25)およびL166(配列番号7); H1089(配列番号25)およびL167(配列番号8); H1089(配列番号25)およびL168(配列番号9); H1089(配列番号25)およびL169(配列番号10); H1089(配列番号25)およびL170(配列番号11); H1089(配列番号25)およびL171(配列番号12); H1089(配列番号25)およびL172(配列番号13); H1089(配列番号25)およびL173(配列番号14); H1089(配列番号25)およびL174(配列番号15); H1089(配列番号25)およびL175(配列番号16); H1089(配列番号25)およびL189(配列番号17); H1089(配列番号25)およびL198(配列番号18); H1089(配列番号25)およびL314(配列番号33); H1089(配列番号25)およびL305(配列番号34); H1089(配列番号25)およびL303(配列番号35); H1089(配列番号25)およびL298(配列番号36); またはH1089(配列番号25)およびL321(配列番号37)。
【0102】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1511(配列番号26)およびL112(配列番号1); H1511(配列番号26)およびL151(配列番号2); H1511(配列番号26)およびL158(配列番号3); H1511(配列番号26)およびL159(配列番号4); H1511(配列番号26)およびL164(配列番号5); H1511(配列番号26)およびL165(配列番号6); H1511(配列番号26)およびL166(配列番号7); H1511(配列番号26)およびL167(配列番号8); H1511(配列番号26)およびL168(配列番号9); H1511(配列番号26)およびL169(配列番号10); H1511(配列番号26)およびL170(配列番号11); H1511(配列番号26)およびL171(配列番号12); H1511(配列番号26)およびL172(配列番号13); H1511(配列番号26)およびL173(配列番号14); H1511(配列番号26)およびL174(配列番号15); H1511(配列番号26)およびL175(配列番号16); H1511(配列番号26)およびL189(配列番号17); H1511(配列番号26)およびL198(配列番号18); H1511(配列番号26)およびL314(配列番号33); H1511(配列番号26)およびL305(配列番号34); H1511(配列番号26)およびL303(配列番号35); H1511(配列番号26)およびL298(配列番号36); またはH1511(配列番号26)およびL321(配列番号37)。
【0103】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1420(配列番号27)およびL112(配列番号1); H1420(配列番号27)およびL151(配列番号2); H1420(配列番号27)およびL158(配列番号3); H1420(配列番号27)およびL159(配列番号4); H1420(配列番号27)およびL164(配列番号5); H1420(配列番号27)およびL165(配列番号6); H1420(配列番号27)およびL166(配列番号7); H1420(配列番号27)およびL167(配列番号8); H1420(配列番号27)およびL168(配列番号9); H1420(配列番号27)およびL169(配列番号10); H1420(配列番号27)およびL170(配列番号11); H1420(配列番号27)およびL171(配列番号12); H1420(配列番号27)およびL172(配列番号13); H1420(配列番号27)およびL173(配列番号14); H1420(配列番号27)およびL174(配列番号15); H1420(配列番号27)およびL175(配列番号16); H1420(配列番号27)およびL189(配列番号17); H1420(配列番号27)およびL198(配列番号18); H1420(配列番号27)およびL314(配列番号33); H1420(配列番号27)およびL305(配列番号34); H1420(配列番号27)およびL303(配列番号35); H1420(配列番号27)およびL298(配列番号36); またはH1420(配列番号27)およびL321(配列番号37)。
【0104】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1432(配列番号28)およびL112(配列番号1); H1432(配列番号28)およびL151(配列番号2); H1432(配列番号28)およびL158(配列番号3); H1432(配列番号28)およびL159(配列番号4); H1432(配列番号28)およびL164(配列番号5); H1432(配列番号28)およびL165(配列番号6); H1432(配列番号28)およびL166(配列番号7); H1432(配列番号28)およびL167(配列番号8); H1432(配列番号28)およびL168(配列番号9); H1432(配列番号28)およびL169(配列番号10); H1432(配列番号28)およびL170(配列番号11); H1432(配列番号28)およびL171(配列番号12); H1432(配列番号28)およびL172(配列番号13); H1432(配列番号28)およびL173(配列番号14); H1432(配列番号28)およびL174(配列番号15); H1432(配列番号28)およびL175(配列番号16); H1432(配列番号28)およびL189(配列番号17); H1432(配列番号28)およびL198(配列番号18); H1432(配列番号28)およびL314(配列番号33); H1432(配列番号28)およびL305(配列番号34); H1432(配列番号28)およびL303(配列番号35); H1432(配列番号28)およびL298(配列番号36); またはH1432(配列番号28)およびL321(配列番号37)。
【0105】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1515(配列番号29)およびL112(配列番号1); H1515(配列番号29)およびL151(配列番号2); H1515(配列番号29)およびL158(配列番号3); H1515(配列番号29)およびL159(配列番号4); H1515(配列番号29)およびL164(配列番号5); H1515(配列番号29)およびL165(配列番号6); H1515(配列番号29)およびL166(配列番号7); H1515(配列番号29)およびL167(配列番号8); H1515(配列番号29)およびL168(配列番号9); H1515(配列番号29)およびL169(配列番号10); H1515(配列番号29)およびL170(配列番号11); H1515(配列番号29)およびL171(配列番号12); H1515(配列番号29)およびL172(配列番号13); H1515(配列番号29)およびL173(配列番号14); H1515(配列番号29)およびL174(配列番号15); H1515(配列番号29)およびL175(配列番号16); H1515(配列番号29)およびL189(配列番号17); H1515(配列番号29)およびL198(配列番号18); H1515(配列番号29)およびL314(配列番号33); H1515(配列番号29)およびL305(配列番号34); H1515(配列番号29)およびL303(配列番号35); H1515(配列番号29)およびL298(配列番号36); またはH1515(配列番号29)およびL321(配列番号37)。
【0106】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1362(配列番号30)およびL112(配列番号1); H1362(配列番号30)およびL151(配列番号2); H1362(配列番号30)およびL158(配列番号3); H1362(配列番号30)およびL159(配列番号4); H1362(配列番号30)およびL164(配列番号5); H1362(配列番号30)およびL165(配列番号6); H1362(配列番号30)およびL166(配列番号7); H1362(配列番号30)およびL167(配列番号8); H1362(配列番号30)およびL168(配列番号9); H1362(配列番号30)およびL169(配列番号10); H1362(配列番号30)およびL170(配列番号11); H1362(配列番号30)およびL171(配列番号12); H1362(配列番号30)およびL172(配列番号13); H1362(配列番号30)およびL173(配列番号14); H1362(配列番号30)およびL174(配列番号15); H1362(配列番号30)およびL175(配列番号16); H1362(配列番号30)およびL189(配列番号17); H1362(配列番号30)およびL198(配列番号18); H1362(配列番号30)およびL314(配列番号33); H1362(配列番号30)およびL305(配列番号34); H1362(配列番号30)およびL303(配列番号35); H1362(配列番号30)およびL298(配列番号36); またはH1362(配列番号30)およびL321(配列番号37)。
【0107】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1437(配列番号31)およびL112(配列番号1); H1437(配列番号31)およびL151(配列番号2); H1437(配列番号31)およびL158(配列番号3); H1437(配列番号31)およびL159(配列番号4); H1437(配列番号31)およびL164(配列番号5); H1437(配列番号31)およびL165(配列番号6); H1437(配列番号31)およびL166(配列番号7); H1437(配列番号31)およびL167(配列番号8); H1437(配列番号31)およびL168(配列番号9); H1437(配列番号31)およびL169(配列番号10); H1437(配列番号31)およびL170(配列番号11); H1437(配列番号31)およびL171(配列番号12); H1437(配列番号31)およびL172(配列番号13); H1437(配列番号31)およびL173(配列番号14); H1437(配列番号31)およびL174(配列番号15); H1437(配列番号31)およびL175(配列番号16); H1437(配列番号31)およびL189(配列番号17); H1437(配列番号31)およびL198(配列番号18); H1437(配列番号31)およびL314(配列番号33); H1437(配列番号31)およびL305(配列番号34); H1437(配列番号31)およびL303(配列番号35); H1437(配列番号31)およびL298(配列番号36); またはH1437(配列番号31)およびL321(配列番号37)。
【0108】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1461(配列番号32)およびL112(配列番号1); H1461(配列番号32)およびL151(配列番号2); H1461(配列番号32)およびL158(配列番号3); H1461(配列番号32)およびL159(配列番号4); H1461(配列番号32)およびL164(配列番号5); H1461(配列番号32)およびL165(配列番号6); H1461(配列番号32)およびL166(配列番号7); H1461(配列番号32)およびL167(配列番号8); H1461(配列番号32)およびL168(配列番号9); H1461(配列番号32)およびL169(配列番号10); H1461(配列番号32)およびL170(配列番号11); H1461(配列番号32)およびL171(配列番号12); H1461(配列番号32)およびL172(配列番号13); H1461(配列番号32)およびL173(配列番号14); H1461(配列番号32)およびL174(配列番号15); H1461(配列番号32)およびL175(配列番号16); H1461(配列番号32)およびL189(配列番号17); H1461(配列番号32)およびL198(配列番号18); H1461(配列番号32)およびL314(配列番号33); H1461(配列番号32)およびL305(配列番号34); H1461(配列番号32)およびL303(配列番号35); H1461(配列番号32)およびL298(配列番号36); またはH1461(配列番号32)およびL321(配列番号37)。
【0109】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1519(配列番号38)およびL112(配列番号1); H1519(配列番号38)およびL151(配列番号2); H1519(配列番号38)およびL158(配列番号3); H1519(配列番号38)およびL159(配列番号4); H1519(配列番号38)およびL164(配列番号5); H1519(配列番号38)およびL165(配列番号6); H1519(配列番号38)およびL166(配列番号7); H1519(配列番号38)およびL167(配列番号8); H1519(配列番号38)およびL168(配列番号9); H1519(配列番号38)およびL169(配列番号10); H1519(配列番号38)およびL170(配列番号11); H1519(配列番号38)およびL171(配列番号12); H1519(配列番号38)およびL172(配列番号13); H1519(配列番号38)およびL173(配列番号14); H1519(配列番号38)およびL174(配列番号15); H1519(配列番号38)およびL175(配列番号16); H1519(配列番号38)およびL189(配列番号17); H1519(配列番号38)およびL198(配列番号18); H1519(配列番号38)およびL314(配列番号33); H1519(配列番号38)およびL305(配列番号34); H1519(配列番号38)およびL303(配列番号35); H1519(配列番号38)およびL298(配列番号36); またはH1519(配列番号38)およびL321(配列番号37)。
【0110】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1520(配列番号39)およびL112(配列番号1); H1520(配列番号39)およびL151(配列番号2); H1520(配列番号39)およびL158(配列番号3); H1520(配列番号39)およびL159(配列番号4); H1520(配列番号39)およびL164(配列番号5); H1520(配列番号39)およびL165(配列番号6); H1520(配列番号39)およびL166(配列番号7); H1520(配列番号39)およびL167(配列番号8); H1520(配列番号39)およびL168(配列番号9); H1520(配列番号39)およびL169(配列番号10); H1520(配列番号39)およびL170(配列番号11); H1520(配列番号39)およびL171(配列番号12); H1520(配列番号39)およびL172(配列番号13); H1520(配列番号39)およびL173(配列番号14); H1520(配列番号39)およびL174(配列番号15); H1520(配列番号39)およびL175(配列番号16); H1520(配列番号39)およびL189(配列番号17); H1520(配列番号39)およびL198(配列番号18); H1520(配列番号39)およびL314(配列番号33); H1520(配列番号39)およびL305(配列番号34); H1520(配列番号39)およびL303(配列番号35); H1520(配列番号39)およびL298(配列番号36); またはH1520(配列番号39)およびL321(配列番号37)。
【0111】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1521(配列番号40)およびL112(配列番号1); H1521(配列番号40)およびL151(配列番号2); H1521(配列番号40)およびL158(配列番号3); H1521(配列番号40)およびL159(配列番号4); H1521(配列番号40)およびL164(配列番号5); H1521(配列番号40)およびL165(配列番号6); H1521(配列番号40)およびL166(配列番号7); H1521(配列番号40)およびL167(配列番号8); H1521(配列番号40)およびL168(配列番号9); H1521(配列番号40)およびL169(配列番号10); H1521(配列番号40)およびL170(配列番号11); H1521(配列番号40)およびL171(配列番号12); H1521(配列番号40)およびL172(配列番号13); H1521(配列番号40)およびL173(配列番号14); H1521(配列番号40)およびL174(配列番号15); H1521(配列番号40)およびL175(配列番号16); H1521(配列番号40)およびL189(配列番号17); H1521(配列番号40)およびL198(配列番号18); H1521(配列番号40)およびL314(配列番号33); H1521(配列番号40)およびL305(配列番号34); H1521(配列番号40)およびL303(配列番号35); H1521(配列番号40)およびL298(配列番号36); またはH1521(配列番号40)およびL321(配列番号37)。
【0112】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1522(配列番号41)およびL112(配列番号1); H1522(配列番号41)およびL151(配列番号2); H1522(配列番号41)およびL158(配列番号3); H1522(配列番号41)およびL159(配列番号4); H1522(配列番号41)およびL164(配列番号5); H1522(配列番号41)およびL165(配列番号6); H1522(配列番号41)およびL166(配列番号7); H1522(配列番号41)およびL167(配列番号8); H1522(配列番号41)およびL168(配列番号9); H1522(配列番号41)およびL169(配列番号10); H1522(配列番号41)およびL170(配列番号11); H1522(配列番号41)およびL171(配列番号12); H1522(配列番号41)およびL172(配列番号13); H1522(配列番号41)およびL173(配列番号14); H1522(配列番号41)およびL174(配列番号15); H1522(配列番号41)およびL175(配列番号16); H1522(配列番号41)およびL189(配列番号17); H1522(配列番号41)およびL198(配列番号18); H1522(配列番号41)およびL314(配列番号33); H1522(配列番号41)およびL305(配列番号34); H1522(配列番号41)およびL303(配列番号35); H1522(配列番号41)およびL298(配列番号36); またはH1522(配列番号41)およびL321(配列番号37)。
【0113】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1553(配列番号42)およびL112(配列番号1); H1553(配列番号42)およびL151(配列番号2); H1553(配列番号42)およびL158(配列番号3); H1553(配列番号42)およびL159(配列番号4); H1553(配列番号42)およびL164(配列番号5); H1553(配列番号42)およびL165(配列番号6); H1553(配列番号42)およびL166(配列番号7); H1553(配列番号42)およびL167(配列番号8); H1553(配列番号42)およびL168(配列番号9); H1553(配列番号42)およびL169(配列番号10); H1553(配列番号42)およびL170(配列番号11); H1553(配列番号42)およびL171(配列番号12); H1553(配列番号42)およびL172(配列番号13); H1553(配列番号42)およびL173(配列番号14); H1553(配列番号42)およびL174(配列番号15); H1553(配列番号42)およびL175(配列番号16); H1553(配列番号42)およびL189(配列番号17); H1553(配列番号42)およびL198(配列番号18); H1553(配列番号42)およびL314(配列番号33); H1553(配列番号42)およびL305(配列番号34); H1553(配列番号42)およびL303(配列番号35); H1553(配列番号42)およびL298(配列番号36); またはH1553(配列番号42)およびL321(配列番号37)。
【0114】
本発明には、以下のVH領域およびVL領域の組み合わせの任意の1つを含んでいる抗IL-6抗体も含まれる: H1579(配列番号43)およびL112(配列番号1); H1579(配列番号43)およびL151(配列番号2); H1579(配列番号43)およびL158(配列番号3); H1579(配列番号43)およびL159(配列番号4); H1579(配列番号43)およびL164(配列番号5); H1579(配列番号43)およびL165(配列番号6); H1579(配列番号43)およびL166(配列番号7); H1579(配列番号43)およびL167(配列番号8); H1579(配列番号43)およびL168(配列番号9); H1579(配列番号43)およびL169(配列番号10); H1579(配列番号43)およびL170(配列番号11); H1579(配列番号43)およびL171(配列番号12); H1579(配列番号43)およびL172(配列番号13); H1579(配列番号43)およびL173(配列番号14); H1579(配列番号43)およびL174(配列番号15); H1579(配列番号43)およびL175(配列番号16); H1579(配列番号43)およびL189(配列番号17); H1579(配列番号43)およびL198(配列番号18); H1579(配列番号43)およびL314(配列番号33); H1579(配列番号43)およびL305(配列番号34); H1579(配列番号43)およびL303(配列番号35); H1579(配列番号43)およびL298(配列番号36); またはH1579(配列番号43)およびL321(配列番号37)。
【0115】
当業者ならば、VH領域およびVL領域の組み合わせの1つを含んでいる前記の抗体のいずれでも、抗体分子中に普通に存在する1以上の追加の領域(または「ドメイン」)、例えば、1以上の定常重鎖領域(例えば、CH1、CH2および/もしくはCH3)、ならびに/または定常軽鎖領域(CL)など、を含んでもよいことが理解できるであろう。好ましくは、本明細書に提示するVH領域およびVL領域の組み合わせの1つを含んでいる抗体は、IL-6抗原に特異的に結合する。
【0116】
核酸分子、ベクターおよび細胞
本発明には、VH領域の任意のアミノ酸変異体を含めて、本明細書に提示するVH領域のいずれか1つを含んでいる抗IL-6抗体重鎖をコードする核酸分子が含まれる。本発明には、VL領域の任意のアミノ酸変異体を含めて、本明細書に提示するVL領域のいずれか1つを含んでいる抗IL-6抗体軽鎖をコードする核酸分子も含まれる。特定の実施形態において、この核酸分子は抗IL-6抗体重鎖の一部または抗IL-6抗体軽鎖の一部をコードする。例えば、本発明には、配列番号51〜73で表されるCDRの任意の1つなどの、本明細書に提示する抗IL-6 VHの1以上のCDRを含んでいるポリペプチドをコードする核酸分子が含まれる。本発明には、配列番号74〜96で表されるCDRの任意の1つなどの、本明細書に提示する抗IL-6 VLの1以上のCDRを含んでいるポリペプチドをコードする核酸分子も含まれる。
【0117】
本発明には、配列番号19〜32および38〜43で表されるVH領域の任意の1つなどの、本明細書に提示するVH領域のいずれかをコードする核酸分子も含まれる。本発明には、配列番号19〜32および38〜43のいずれか1つと以下のアミノ酸配列同一性を持つVH領域の1つであって、そのVH領域を含んでいる抗体がIL-6と特異的に結合するもの、をコードする核酸分子が含まれる:少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0118】
本発明には、配列番号1〜18および33〜37で表されるVL領域の任意の1つなどの、本明細書に提示するVL領域のいずれかをコードする核酸分子も含まれる。本発明には配列番号1〜18および33〜37のいずれか1つと以下のアミノ酸配列同一性を持つVL領域の1つであって、そのVL領域を含んでいる抗体がIL-6と特異的に結合するもの、をコードする核酸分子が含まれる:少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性。
【0119】
本発明には、本明細書に記載する核酸分子のいずれかを含んでいる発現ベクターも含まれる。代表的なベクターとして、プラスミド、ファージミド、コスミド、ウイルスおよびファージ核酸、または自己複製するか原核もしくは真核細胞中で複製することが可能な、その他の核酸分子が含まれる。特定の実施形態において、このベクターは哺乳動物細胞中で複製することができるものである。典型的な発現ベクターは、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、ならびに本発明の核酸分子の発現の調節に有用なプロモーターを含んでいる。このベクターは、少なくとも1つの独立したターミネーター配列、真核生物および原核生物の両方でそのベクターの複製を可能にする配列、すなわちシャトルベクター、ならびに原核および真核系の両方のための選択マーカーを含んでいる遺伝子発現カセットをも含んでいてもよい。ベクターには好ましくは、アンピシリンまたはネオマイシンなどの抗生物質への耐性を付与するなどの、形質転換した宿主細胞の選択用の、表現型形質を持たせるため、マーカーの1つを含有させる。
【0120】
本発明の核酸分子を1以上のプロモーターの制御下に置くことができる。例えば、核酸分子を構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下に置くことができる。代表的なプロモーターとして以下が含まれる: ヒトサイトメガロウイルス由来のプロモーター、メタロチオニンプロモーター、SV-40初期プロモーター、SV-40後期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルスプロモーター、ルー肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞中での発現に効果を示すその他のプロモーター。
【0121】
本発明には、本発明の核酸分子またはベクターを含んでいる宿主細胞も含まれる。「宿主細胞」とは、本発明の核酸分子またはベクターを導入する1細胞または細胞の集団を意味する。本発明の宿主細胞は好ましくは1真核細胞または細胞系、好ましくは植物、動物、脊椎動物、哺乳動物、げっ歯類、マウス、霊長類、もしくはヒト細胞または細胞系である。「宿主細胞の集団」とは、本発明の核酸分子またはベクターを導入かつ発現させることができる、一群の培養細胞を意味する。本発明の核酸分子またはベクターからの発現を支援することができる、あらゆる宿主細胞を想定している。宿主細胞の集団は単一培養物、すなわち、集団内の各細胞が同一の細胞型、のものであることが好ましいが、混合細胞培養物も想定している。本発明の宿主細胞は接着性、すなわち固体基質に接着して生育する宿主細胞でもよいが、あるいは宿主細胞が浮遊状態でもよい。宿主細胞には以下のものがある: 原発腫瘍由来の細胞、転移腫瘍由来の細胞、初代細胞、接触阻止を喪失した細胞、形質転換初代細胞、不死化初代細胞、アポトーシスを実行できる細胞、およびこれらから誘導される細胞系。
【0122】
本発明には本発明の抗体を製造する方法も含まれ、その方法は以下を含んでいる: (i) 本発明の抗体をコードする1以上の核酸配列を発現する宿主細胞を培養し、そして(ii) その培養培地から抗体を回収する。
【0123】
医薬組成物
本発明の抗IL-6抗体を、対象体への投与に好適な医薬組成物中に組み込むことができる。典型的には、その医薬組成物は、本発明の抗体もしくは抗体の一部と製薬上許容される担体を含んでいる。本明細書で使用する「製薬上許容される担体」には、生理学的に適合する溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗細菌および抗カビ剤、等張化および吸収遅延剤、などのいずれか、ならびに全部が含まれる。製薬上許容される担体の例として以下の1以上が含まれる: 水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせ。多くの場合、組成物中に例えば以下などの等張化剤を含ませるのが好ましいものとなる: 糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウム。製薬上許容される担体はさらに、以下などの微量の補助剤を含んでいてもよい: 抗体もしくは抗体部分の保存期間または有効性を増強するための、湿潤もしくは乳化剤、保存剤またはバッファー。
【0124】
本発明の医薬組成物は多様な形態のものとすることができる。これらとして例えば以下などの液状、半固形および固形投与剤形が含まれる: 溶液剤(例えば、注射および注入溶液)、分散もしくは懸濁液、錠剤、ピル、粉剤、リポソームおよび坐剤。好ましい形態は目的とする投与様式および治療上の適用如何による。典型的な好ましい組成物は、その他の抗体でのヒトの受動免疫化に使用されるものと同様の組成物などの注射もしくは注入溶液である。好ましい投与様式は腸管外(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋内)である。好ましい一実施形態において、抗体を静脈内注入もしくは注射によって投与する。別の好ましい実施形態において、抗体を筋内もしくは皮下注射によって投与する。
【0125】
治療用組成物は典型的には製造および保存条件下で無菌かつ安定性でなければならない。組成物を、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高薬物濃度に好適なその他の適確な形状として、製剤化することができる。無菌注射用溶液は、必要量の活性化合物(すなわち、抗体または抗体部分)を、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに、適切な溶媒中に組み入れた後、ろ過滅菌することによって、調製することができる。一般的に、塩基性分散培地および上に列挙したものからの必要なその他の成分を含有する無菌ビヒクル中に、活性化合物を組み込むことによって、分散液を調製する。無菌注射溶液の調製用の無菌粉剤の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であって、これによって活性成分プラス所望のその他の成分の、事前に無菌ろ過したそれらの溶液からの粉剤が生成する。溶液の適正な流動性は、例えば以下によって維持することができる: レシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の場合ならば必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用。注射用組成物の吸収の長期化は、その組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含ませることによって、実現させることができる。
【0126】
本発明の抗IL-6抗体は、当分野で知られている多様な方法によって投与することができる。ただし、治療での多くの適用については、好ましい投与経路/様式は静脈内注射または注入である。当業者には理解できるように、投与の経路および/または様式は所望する結果によって、変わるものである。特定の実施形態において、活性化合物は、その化合物の急速な放出を防止する担体とともに、制御放出製剤、例えばインプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムなどに、調製される。以下などの、生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる: エチレン-酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸。こうした製剤の調製のための多くの方法が特許になるか、または当業者に一般的に知られている。例えば以下を参照されたい: Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978。
【0127】
特定の実施形態において、本発明の抗IL-6抗体を、例えば、不活性希釈剤または吸収可食性担体とともに、経口投与してもよい。この化合物を(所望ならばその他の成分とともに)、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセルに封入、錠剤に圧縮、または対象体の食餌に直接組み入れることもできる。経口治療用投与のためには、化合物を賦形剤と組み合わせて、以下の摂取可能な形態で使用することができる: 錠剤、バッカル剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、など。本発明の化合物を腸管外投与以外で投与するためには、化合物を、その不活性化を防止する物質でコーティングするか、その化合物をこれと一緒に投与する必要がある。
【0128】
補助的な活性化合物をこの組成物と組み合わせることもできる。特定の実施形態において、本発明の抗体または抗体部分を、1以上の別の治療薬とともに製剤化し、かつ/または同時投与する。いくつかの実施形態において、1以上の別の治療薬は、本明細書に記載する疾病または症状、特に「本発明の抗IL-6抗体の治療用途」のタイトルの節で記載する疾病もしくは不全症、の治療のための1薬物または薬物群である。例えば、本発明の抗IL-6抗体を、IL-6もしくはその他の標的と結合する、1以上の別の抗体、例えば、IL-6受容体と結合する抗体とともに製剤化し、かつ/または同時投与することができる。
【0129】
本明細書で使用する、用語「治療する」および「治療」とは、治療用の処置を意味し、これには予防または抑制の意味も含まれ、その場合、その目的は疾病もしくは不全症に関係する、望ましくない生理学的変化を防止または緩慢化(低下)することである。有益な、または所望の臨床結果として、限定するわけではないが、検出可能または検出不能にかかわらず、以下が含まれる: 症候の緩和、疾病もしくは不全症の重篤度の低下、疾病もしくは不全症の安定化(すなわち、この場合、疾病もしくは不全症が悪化しない)、疾病もしくは不全症の進行の遅滞または緩慢化、疾病もしくは不全症の改善または緩和、および疾病もしくは不全症の(部分的でも総合的でも)寛解。「治療」には、治療を受けない場合に予想される余命に比較して、余命の延長の意味もある。治療が必要な対象として、すでにその疾病もしくは不全症があるものとともに、その疾病もしくは不全症になる傾向があるもの、またはその疾病もしくは不全症を予防しなければならないものが含まれる。
【0130】
本発明の医薬組成物には、「治療上効果的な量」または「予防上効果的な量」の本発明の抗IL-6抗体が含まれる。「治療上効果的な量」とは、投与時および必要な期間、所望の治療結果を達成するために、効果的な量を意味する。治療上効果的な抗体の量は、以下などの要因によって変わるものである: 個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに抗体もしくは抗体部分の、その個体に必要とされる応答を引き出す能力。また、治療上効果的な量は、治療上有益な効果が、その抗体もしくは抗体部分のいずれの有毒または有害作用よりも上回るものである。「予防上効果的な量」とは、投与時および必要な期間、所望の予防結果を達成するために、効果的な量を意味する。典型的には、予防投与剤は疾病の前、または初期段階に対象体に使用するので、予防上効果的な量は治療上効果的な量よりも少ないものとなる。
【0131】
投与処方は、最適の所望の応答(例えば、治療上または予防上の応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラス投与する、時間をかけて数回量に分けて投与する、または治療状況の危急度に応じて、投与量を段階に減らすか増やすことができる。投与の容易性および投与量の均一性のためには、腸管外組成物を単位投与剤形に製剤化するのが特に有益である。本明細書で使用する単位投与剤形とは、治療すべき哺乳動物対象のための単一投与量に適合させた、物理的に不連続な単位であって、各単位は必要な医薬用担体と組み合わせて、所望の治療効果をもたらすように計算して、あらかじめ決定した量の活性化合物を含んでいる。本発明の単位投与剤形についての詳細は以下によって決められ、かつこれらに直接左右される: (a) 活性化合物の独特の特性および達成すべき特定の治療上もしくは予防上の効果、ならびに(b) 個体中の感応度の処理に関するこうした活性化合物の配合技術に特有の制限。
【0132】
本発明の抗IL-6抗体の治療上または予防上効果的な量についての代表的な、限定するわけではない範囲は、0.1〜20 mg/kg、より好ましくは1〜10 mg/kgである。投与量は緩和すべき症状のタイプおよび重篤度によって変更されることに留意すべきである。いずれの特定の対象体についても、特定の投与処方を、個々の必要度、および組成物を投与するかまたはその投与を監督する者の専門的判断にしたがって、時間をかけて調整すべきであり、また本明細書に示す投与量範囲は単に例示であって、特許を請求する組成物の範囲または実践を限定する意図はないことを理解すべきである。
【0133】
本発明の抗IL-6抗体の治療用途
本発明の抗体は、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、あらゆる疾病もしくは不全症の治療のために、使用することができる。例えば、本発明の抗体を使用して、IL-6のIL-6受容体との結合の結果である疾病もしくは不全症を治療することができる。本発明の抗体は、IL-6のIL-6受容体との結合の直接または間接的な結果である、細胞内シグナル伝達事象に起因する疾病もしくは不全症を治療するために、使用することができる。代表的な細胞内IL-6シグナル伝達経路を図11で説明する。本発明の抗体は、図11で説明するいずれかの分子であって、その活性がIL-6のIL-6受容体との結合に影響されるもの、の活性に起因するか、これと関連がある、あらゆる疾病もしくは不全症を治療するために使用することができる。
【0134】
こうして、本発明には、IL-6の作用によって仲介されるか、これに関係するか、またはこれに起因する、疾病もしくは不全症の治療のための方法が含まれる。その方法は、本明細書に開示する抗IL-6抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。表現「本明細書に開示する抗IL-6抗体」は、本明細書に示すVH領域および/またはVL領域のいずれかを含んでいるあらゆる抗IL-6抗体、その上本明細書に示すVH領域のいずれかの変異体および/または本明細書に示すVL領域のいずれかの変異体を含んでいるあらゆる抗IL-6抗体を意味することを意図している。「本明細書に開示する抗IL-6抗体」は、本明細書に開示する1以上のVH CDR(例えば、CDR1、CDR2、および/もしくはCDR3)ならびに/または1以上のVL CDR(例えば、CDR1、CDR2、および/もしくはCDR3)を含んでいるあらゆる抗IL-6抗体を意味することも想定している。好ましくは、その抗体はIL-6抗原に特異的に結合するものである。
【0135】
いくつかの実施形態において、治療される疾病もしくは不全症は以下からなる群から選択される: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【0136】
代表的な一実施形態において、本発明は、自己免疫疾患もしくは不全症を治療する方法を提供するが、その方法は、本明細書に開示する抗IL-6抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる。本発明の抗IL-6抗体によって治療することができる代表的な自己免疫疾患および不全症として、例えば以下が含まれる: 同種移植拒絶、自己免疫性甲状腺疾患(例えば、グレーブス病およびHashimoto甲状腺炎)、自己免疫ぶどう膜網膜炎、巨細胞性動脈炎、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、肉芽腫性腸炎、遠位回腸炎、限局性回腸炎、および終末回腸炎など)、インスリン依存性糖尿病、多発硬化症、悪性貧血、乾癬、関節炎、リューマチ様関節炎、サルコイドーシス、強皮症、および全身性エリテマトーデス。
【0137】
本発明には、異常または不適切な血管形成に関係する疾病および不全症を治療する方法が含まれ、その方法は、本明細書に開示する抗IL-6抗体を、それを必要とする患者に投与することを含んでいる。本発明の抗IL-6抗体によって治療することができる異常または不適切な血管形成に関係する代表的な疾病および不全症として、例えば以下が含まれる: 心血管疾患、血管腫、血管線維腫、血管変形、アテローム性動脈硬化症、シネキアおよび浮腫性硬化症など、ならびに眼科疾患、角膜移植後の血管新生、血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、血管形成性角膜疾患、黄斑変性、翼状片、網膜変性、後水晶体線維形成症、および顆粒性結膜炎など。本発明の抗IL-6抗体で治療することができる不適切な血管形成に関係する炎症性疾患として、例えば以下が含まれる: 関節炎、皮膚疾患、乾癬、毛細管拡張症、化膿性肉芽腫、脂漏性皮膚炎、静脈潰瘍、アクネ、しゅさ(しゅさ性アクネもしくはエリテマトーザ)、いぼ(ゆうぜい)、湿疹、血管腫、およびリンパ管形成など。
【0138】
本発明には、がんを治療する方法が含まれ、その方法は本明細書に開示する抗IL-6抗体を、それを必要とする患者に投与することを含んでいる。本発明の抗IL-6抗体によって治療することができる代表的ながんとして、例えば以下が含まれる: 免疫細胞異常性に起因するがん、例えば骨髄がん、多発性骨髄腫、および骨髄性白血病(CML)など、さらにリンパ性白血病(CLLおよびALL)およびリンパ腫、特に非ホジキンリンパ腫(NHL)。本発明の抗体を使用して、例えば以下を治療することもできる: 腎がん、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、移植後リンパ腫、および移植後リンパ増殖性疾患(移植後リンパ球増多症とも称される)。
【0139】
本発明の抗IL-6抗体によって治療することができるその他の症状として、例えば以下が含まれる: 骨関節症、特発性若年性関節炎、リューマチ様関節炎および線維化症状(内部および外部組織瘢痕など)。
【0140】
本発明には、本明細書に記載する疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、本発明の抗体の使用も含まれる。
【0141】
当業者にとって、本明細書に記載する組成物、方法および適用に対して、その他の好適な改変および適応が自明であり、また、それは本発明もしくはその実施形態のどの範囲とも離れることなく、行うことができることが、容易に明らかになるであろう。本発明をここに詳細に説明してきたが、以下の実施例を参照して、さらに明確に理解されるであろう。これらの実施例は説明のみを目的とするものであって、本発明を限定する意図はない。
【0142】
(実施例)
【実施例1】
【0143】
IL-6に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体の第1世代
本実施例の目的は、B-E8として知られている(Elsilimomabとしても知られている)マウスIL-6抗体から出発して、ヒト抗IL-6モノクローナル抗体を作製することである。
【0144】
マウスB-E8抗体のVKもしくはVH領域と組み合わせたときに、IL-6に特異的に結合する抗体を形成した、ヒトVHおよびVK領域を同定するため、ワクシニアウイルスに基づく抗体選択プラットフォームを使用して、スクリーニング工程を実施した。次に、選択したヒトVHおよびVKを使用して、IL-6に特異的に結合するヒトVKおよびVHをそれぞれ選択した。ワクシニアウイルスに基づくスクリーニングプラットフォームの詳細は、例えば以下に開示されている: U.S. Patent Appl. Publication No. 2005/0196755。このスクリーニング工程から、マウスB-E8またはヒトVHのいずれかを使用して、18種のヒトVK遺伝子を同定した。同定したヒトVK遺伝子の核酸配列およびそれらに対応するアミノ酸配列を決定した。同定したヒトVK遺伝子のアミノ酸配列を下記表8に掲載する。
【表8】
【0145】
【0146】
下線を付けた配列はそれぞれCDR 1〜3を表している。
【0147】
その上、マウスB-E8またはヒトVKのいずれかを使用して、7種のヒトVH遺伝子を同定した。同定したヒトVH遺伝子の核酸配列およびそれらに対応するアミノ酸配列を決定した。同定したヒトVH遺伝子のアミノ酸配列を下記表9に掲載する。
【表9】
【0148】
下線を付けた配列はそれぞれCDR 1〜3を表している。
【0149】
同定したヒトVH領域のアミノ酸配列は、下記表10で説明するように、互いに有意な配列同一性を提示した。
【表10】
【0150】
同定したヒトVH領域のアラインメントの1つを図1に示す。
【0151】
同定したヒトVKの全部が同定したヒトVHの全部と交差対形成した。これらの交差対形成で生成した抗体を、ELISAによって、IL-6と結合するそれらの能力について、試験した。これらの抗体について、IL-6が誘発する細胞増殖またはIL-6のIL-6Rとの結合性のブロッキングアッセイで、機能的活性についても試験した。
【0152】
以下に示された操作法に基づいて、ELISAによって、選択した抗体のIL-6との親和性を測定した: J. of Immunology Methods 77(1985) 305-319。簡単に述べると、プレートを、ウェル毎にコーティングバッファー中2μg/mlのmBE4捕捉抗体、100μlでコーティングした。プレートを一晩インキュベートした。次に、プレートを3回洗浄し、水切り(tapped dry)した。次に、プレートを1ウェルについてAssay DiluentまたはPBS中10% FBS 200μlでブロッキングし、2時間インキュベートした。プレートのブロッキングの間に、約2 ng/ml濃度のAb 65μlを各種濃度のrhIL6(1:2連続希釈で5.12μg/ml〜5 ng/ml、合計12種の濃度、IL-6を含まないもの1種を含む)65μlと事前インキュベートすることによって、溶液中で競合反応を開始させた。反応物をRTで3〜4時間放置した。したがって、競合溶液中の最終rhIL6は、モノマーIL-6として、98.46、49.23、24.62、12.31、6.15、3.08、1.54、0.77、0.38、0.19、0.10および0 nMであった。次に、プレートを3回洗浄し、水切りした。BE4コーティングプレートの各ウェルに、50 ng/mlの組換えヒトIL-6 100μlを添加した。プレートを1〜2時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、水切りした。次に、IL-6捕捉プレートに、上記のmAbサンプル100μlを添加した。プレートをRTで2時間インキュベートした(したがって、この時点で未結合のmAbがあれば、ELISAによって測定される)。その後、プレートを5回洗浄し、水切りした。1:20,000希釈または1:40,000希釈(ロットによる)の検出用Abヤギ抗ヒトIgG F(ab)'2-HRP(Jackson lab)100μlを添加し、プレートを1〜2時間インキュベートした。プレートを7回洗浄し、水切りした。次に、Developer Substrate(等量ずつのキット中の各試薬)を予備混合し、室温にした後、使用した。次に、各ウェルにDeveloper 100μlを添加した。プレートを暗所貯蔵引き出し内で封をしないで15分間反応させた。最後に、各ウェルに2N H2SO4 100μlを添加することによって、反応を停止させ、プレートを450 nm〜570 nmでのEndpointとして読み取った。
【0153】
ブロッキングアッセイは、本明細書で別に記載するようにして、実施した。
【0154】
VH/VK交差対形成から、33種の第1世代mAbを同定した。これらの第1世代mAbを下記表11に列挙する。
【表11】
【0155】
*mAb 88はキメラB-E8対照抗体である。
【0156】
上記の表から示されるように、取得したすべての第1世代ヒト抗IL-6抗体が、何らかの程度のIL-6に対する親和性とブロッキングアッセイでの機能的活性を提示した。簡単に述べると、12.5 ng/mlのビオチニル化ヒト組換えIL-6を、指定した濃度で抗IL-6抗体とともに氷上で20分インキュベートした。次に、FcRブロックしたU266細胞(約250,000細胞)を添加し、氷上でさらに30分、共にインキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン-PEを添加して、細胞表面に結合したIL-6を明示させた。洗浄後、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。
【0157】
一定の代表的な第1世代mAbの、U266細胞上でのIL-6のIL-6受容体との結合をブロックする能力を図2に示す。
【0158】
したがって、この実施例から、生物学的に機能的ないくつかのヒト抗IL-6モノクローナル抗体の生成が実証された。
【実施例2】
【0159】
ヒト抗IL-6抗体の親和性の改善
実施例1で同定した第1世代ヒトmAbの機能的活性をさらに改善するため、突然変異誘発を使用した。特に、PCRに基づく突然変異誘発を使用して、mAb 416のVH(H1079)およびVK(L198)のCDR3内にアミノ酸配列の変換を取り入れた。
【0160】
多様化性を導入するため、VHおよびVK遺伝子内の特定の位置に、配列NNKを導入した。ここで、NはA、T、G、またはCが可能で、そしてKはTまたはGである。NNKを使用して、各位置に全20アミノ酸および1停止コドンを導入することができる(NNK配列については4 x 4 x 2の32種の可能な組み合わせがある)。
【0161】
H1079およびL198の両方のCDR3残基の全部を、1回に1残基ずつ、変換した。軽鎖(VK)CDR3は9アミノ酸、そして重鎖(VH)CDR3は12アミノ酸からなっている。H1079のCDR1およびCDR2中の選択した残基も同様に、この工程を使用して変換した。
【0162】
突然変異を作製するため、PCR反応のために、NNKによって置換する1アミノ酸をコードし、かつCDR3およびフレームワーク領域4を増幅させるアンチセンスプライマーを、目的の鎖内のフレームワーク領域1内でハイブリダイズするセンスプライマーと対形成させた。各PCR産物は完全VKまたはVH鎖をコードし、1アミノ酸位置がNNKに転換されている。
【0163】
このPCR産物を、ヒトガンマI(VH突然変異体について)、またはカッパ(VK突然変異体について)の定常ドメインを含有する、哺乳動物発現ベクター中にクローン化し、それによって全長重または軽鎖を生成させた。
【0164】
このクローンを96ウェルプレートフォーマットに、1ウェルについて1クローンずつ入れた。各クローンからプラスミドDNAを精製し、その後各クローンを、CHO細胞中のトランスフェクションによって、相補鎖とともに発現させた(例えば、突然変異させたVKがVHとともに発現することになる)。より高親和性で結合するものを選択し、特性決定した。この操作法の概要を図3に示す。
【0165】
より高親和性の突然変異体を同定し、その突然変異体を配列決定し、生成したmAbをCHO細胞中のトランスフェクションによって産生させ、その後フローサイトメトリーに基づくIL-6ブロッキングアッセイで、特異性、親和性および機能について試験した。
【0166】
この工程によって、以下のH1079およびL198変異体を取得した。
【表12】
【0167】
* アミノ酸番号はKabat番号を表す。
【0168】
§ 四角で囲んだ残基は、H1079の配列に比較して変更された残基である。下線を付けた配列はそれぞれCDR1〜3を表す。
【表13】
【0169】
* アミノ酸番号はKabat番号を表す。
【0170】
§ 四角で囲んだ残基は、L198の配列に比較して変更された残基である。下線を付けた配列はそれぞれCDR1〜3を表す。
【0171】
表12に示したH1079変異体を、L198と組み合わせて使用して、以下の抗体を作成した。
【表14】
【0172】
IL-6のIL-6R発現細胞への結合をブロックする能力について、モノクローナル抗体416、926、810、963、968および992を、対照mAb 88とともに、試験した。簡単に述べると、1 nMのヒト組換えIL-6を1μg/ml - 0.1μg/ml - 10 ng/ml - 0 ng/mlの抗IL-6抗体とともに、氷上で30分、インキュベートした。次にFcRがブロックされたU266細胞(約250,000細胞)を添加し、氷上でさらに30分、共にインキュベートした。洗浄後、精製したIL-6特異的マウス抗体(B-F6)を添加して、細胞とともに氷上で30分インキュベートした。最後に、APCとコンジュゲートしたポリクローナルヤギ抗マウスFcガンマを添加し、氷上で30分インキュベートした。洗浄後、細胞を生細胞の集団のみにゲートを設定する、フローサイトメトリーによって、分析した。各サンプルを250,000細胞で開始した。全フローサイトメトリーデータは最少で10,000生(PI陰性)細胞に基づいている。これらの実験の結果を図4に示す。
【0173】
表13に示したL198変異体を、H1079と組み合わせて使用して、以下の抗体を作製した。
【表15】
【0174】
上に概説した操作法によって、H1079の多重突然変異も調製した。
【表16】
【0175】
* アミノ酸番号はKabat番号を表す。
【0176】
§ 四角で囲んだ残基は、H1079の配列に比較して変更された残基である。
【0177】
下線を付けた配列はそれぞれCDR1〜3を表す。
【0178】
その上、H1079のCDR2中に1個のアミノ酸変換(F52W)をさせることによって、H1553と命名した変異体重鎖を作製した。H1553は以下のアミノ酸配列からなっている。
【化1】
【0179】
さらに、H1553のCDR2内にあるアミノ酸変更を、H1522内のCDR3の4アミノ酸置換体と組み合わせて、以下のアミノ酸配列を持つH1579を作製した。
【化2】
【0180】
VHおよびVK変異体を組み合わせることによって、下記表17に示す、以下のmAbを取得した。
【表17】
【0181】
代表的なmAbのIL-6に対する親和性を、IC50 ELISAおよびBiacoreによって、下記表18に示すように、決定した。IC50 ELISAは上記のようにして実施した。Biacoreによる親和性分析は、製造者のプロトコルにしたがい、HBS-EPバッファー(Biacore AB)を使用して、実施した。簡単に述べると、Biacore 2000システム(Biacore AB)上で、100μg/mlヤギ抗ヒトIgG(Sigma-Aldrich Co.)をCM5センサーチップ(Biacore AB)の表面に固定化し、各IL-6 mAbとの親和性について、5μg/mlのmAb 15μlを流速5μl/分で注入した後、40 nM〜1.25 nMのヒトIL-6(Strathmann Biotec GmbH & Co.KG)100μlを流速30μl/分で注入することによって、決定した。
【表18】
【0182】
モノクローナル抗体1259、1337、1338、1339および1340はIgG1カッパである。その定常ドメインはすべて同一である。この定常ドメインが発現プラスミド内にあるので、これはmAb間で変わらない。VHおよびVKドメインのみがそのライブラリーから選択される。
【0183】
したがって、この実施例では、PCRに基づく突然変異誘発によって取得した変異体VHおよびVK鎖を含んでいる、別のヒト抗IL-6モノクローナル抗体の製造を説明している。
【実施例3】
【0184】
配列およびベクター
代表的な重鎖および軽鎖配列
マウスmAb B-E8重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列を表19に示す。
【表19】
【0185】
ヒトmAb 926重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を表20に示す。
【表20】
【0186】
ヒトmAb 1339重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を表21に示す。
【表21】
【0187】
Mab 1339の重鎖および軽鎖を発現する二重遺伝子ベクターの構築
重鎖H1579のpConG1中へのクローニング
H1579を当初の発現ベクターから、その可変領域をBssHIIおよびBstEII制限酵素で消化することによって、pACeL重ベクター中にサブクローン化した。H1579pAcEL-HをHindIII/ApaIで消化し、HindIII/ApaIで切断したpConG1中に連結した。H1579.pConG1クローンを配列確認した。
【0188】
軽鎖L298のpConK2へのクローニング
L298を当初の発現ベクターから、可変領域をApaL1/XhoIで消化し、ワクシニア転移ベクターVKEに連結することによって、サブクローン化し、その後の二重遺伝子クローニングのために必要な制限酵素部位をコードする、適切な配列を準備した。可変配列をPCR増幅して、5'末端にHindIII部位を、そして3'末端にBsiWI部位を付加した。PCR産物をTOPO中にクローン化して、その後のクローニング反応でのHindIIIおよびBsiWIによる完全消化を促進させた。L298.TOPO配列を確認し、HindIII/BsiWIで消化し、HindIII/BsiWIで切断したpConK2中に連結した。L298.pConK2を配列確認した。
【0189】
二重遺伝子ベクターの作製
重鎖発現カセットを、H1579.pConG1の24時間の消化によって、NotI/PvuI断片として取り出した。L298.pConK2をAviIIで消化して、親クローンの再形成を防止し、PvuIおよびNotI消化によってL298可変領域カセットを取り出した。ゲル精製後、重鎖および軽鎖カセットを、1:1比で、14℃で一晩の連結反応によって、連結した。全細胞PCRによって、コロニーを重鎖および軽鎖挿入物の両方の存在についてスクリーニングし、配列決定によって陽性クローンを確認した。二重遺伝子ベクターのマップを図9に示す。この二重遺伝子ベクターの配列を表22に掲載する。
【表22】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【実施例4】
【0194】
Mab 1339を発現するCHO細胞系の作製
高密度浮遊培養で増殖するように順応させた細胞系である、CHO-K1 HDに、mAb 1339二重遺伝子ベクター(上記実施例3に記載)をトランスフェクトした。CHO-K1 HD細胞はトランスフェクションの時まで、浮遊液にしておいた。トランスフェクションの前日、浮遊液系を、血清を入れた6ウェルプレートに播種し、細胞を接着させた。
【0195】
4回の別々のトランスフェクションを、それぞれ7日間隔で、CHO-K1 HD細胞のその後の継代物と、別々のプラスミドDNA調製物からその都度精製および消化したDNAを使用して、実施した。1週毎に、細胞を2つの6ウェルプレートに、1プレートは2.5:1のDNA: リポフェクトアミン比、他方は3.0:1の比になるように、播種した。したがって、4週間にわたって、合計で48プールをトランスフェクトした。各プールの増殖および抗体産生レベルについて追跡調査した。プールの全部は薬物選択で生存しなかった。プールを以下の命名法で表示した。mAb名/トランスフェクション番号、DNA:リポフェクトアミン比、トランスフェクトしたウェルの記号、およびディッシュ番号(例: mAb 1339/1 2.5 B2プール)。
【0196】
3日間の分泌アッセイを使用して、産生効率を測定した。データをmAb力価(μg/ml)および産生比(μg/100万細胞/日)で示す。抗体力価および特異性をELISAによって決定した。試験したすべての1339プールからの分泌アッセイの結果を表23に掲載する。
【表23】
【0197】
小規模な分泌実験からのmAb収量を図10に示す。
【実施例5】
【0198】
抗体特異性および生物学的活性
抗体特異性
精製したmAb 1339を、IL-6に対する特異性を確認するため、試験した。精製したmAb 1339を、ヒトインスリン、ヒト血清アルブミン、ヒトヘモグロビン、およびウシ血清アルブミンを含む、1群の対照抗原との結合性について、ELISAによって試験した。これらの抗原との非特異的結合性は見られなかった(データは掲載していない)。
【0199】
その上、精製したmAb 1339および対照mAb 88を、以下の群のIL-6スーパーファミリーメンバーとの結合性について、ELISAによって試験した: CNFT、オンコスタチンM、IL-11、およびNNT-1。図5Aおよび5Bに示すように、ELISAではmAb 1339およびmAb 88のいずれも、これらのサイトカインのどれとも結合しなかった。
【0200】
IL-6が誘発するマウスおよびヒト細胞の増殖の抑制
ヒト抗IL-6 mAbの生物学的活性を評価するため、これらについて、IL-6が誘発するマウスB9ミエローマ細胞増殖(図12)およびIL-6が誘発するヒトU266細胞増殖(図13)を抑制する能力を評価した。このマウスB9細胞系はヒトIL-6感受性である。
【0201】
図12に示すように、mAbs 926、1259、1337、1338、1339および1340の全部が、IL-6が誘発するマウスミエローマ細胞の増殖に対して用量依存性抑制効果を示した。例えば、100 ng/mlのmAb濃度では、mAbs 926、1337、1338および1339について観察される抑制レベルは、マウスmAb B-E8について観察される抑制レベルに非常に近似している。
【0202】
図13に示すように、mAbs 416、926、および1339は、IL-6が誘発するヒトミエローマ細胞増殖に対して、用量依存性抑制効果を示した。
【0203】
IL-6とIL-6Rの間の相互作用の抑制
ヒト抗IL-6 mAbの生物学的活性をさらに評価するため、フローサイトメトリーを使用して、それらがIL-6とそのIL-6受容体間の相互作用を抑制する能力を評価した。
【0204】
フローサイトメトリーは、標準的方法を使用して、実施した。最初に、U266細胞に対するFc-受容体ブロッキングを実施した。U266はIgEおよびIL-6産生性ヒト形質細胞腫系の1種である。U266細胞を収穫して、遠沈した。細胞を計数し、フローバッファー(FB)で2回洗浄し、96ウェルプレートの各ウェルに150,000細胞として計算して、概算でアッセイに必要な最終細胞の120%になるように、調整した。細胞をFB中に5x10e6細胞/mlで再懸濁させ、0.1 mg huIgG/mlに調整した。細胞を混合して、氷上で20〜30分インキュベートした。次に、15倍容量のFBを添加し、細胞を遠沈した。上清を廃棄し、細胞をFB 20 mlでさらに2回洗浄した。次に、細胞を密度1.5x10e6細胞/mlになるように再懸濁させて、100μlずつをプレインキュベーションプレートの各ウェルに添加した。次に、組換えヒトIL-6および抗ヒトIL-6 mAbを共にインキュベートした。mAbおよびIL-6のFB中の必要な希釈物のすべてを、最初に調製した。次に、mAb 50μlをIL-6 50μl(好ましくは最終的に1 nM)とともに、このプレートをプレートボルテックス上、中速で30秒混合した後、氷上で30分、予備インキュベートした。各mAbの対照ウェルには、IL-6を入れないか、または抗体不在のIL-6を含ませるかのいずれかとした。次に、U266細胞をIL-6および抗IL6 mAbとともにインキュベートした。ブロッキングし、洗浄した細胞をFB 100μl中で、上記からのIL6/MAb混合物に添加した。最終インキュベーション容積は200μlとした。この細胞を氷上で30分、インキュベートした。インキュベーション間の洗浄ステップは、以下のようにして実施した: 最初にインキュベーションプレートを、4℃に設定した遠心分離器中、250xgで4分間遠心した。ペレットを動かさないで、プレートを注意深く傾けて、ふき取った。次に、プレートのさらに高速での10秒間のボルテックスによって、細胞を再懸濁させた。FB 220μlを添加し、プレートを再び遠心した。この洗浄ステップをもう一度繰り返し、最後にボルテックスした細胞ペレットを、それぞれの抗体希釈物100μl中に再懸濁させた。その後、細胞をマウス抗IL-6抗体B-F6
とともにインキュベートした。短時間のボルテックスによってほぐした、上記からの洗浄した細胞ペレットに、抗体100μl[FB中5μg/ml]を直接添加し、その後中速で15秒間、注意深く再びボルテックスした。細胞を氷上で30分インキュベートし、洗浄した。次に、細胞をAPCと連結したヤギ抗マウスIgG1とともにインキュベートした。ほぐして、洗浄した細胞ペレットを標識抗体[アロフィコシアニン2.5μg/ml]100μl中に再懸濁させた。細胞を暗所に保存し、ボルテックスして、氷上で30分インキュベートした。細胞を洗浄し、FB 200〜400μl中に再懸濁させた。その後、フローサイトメトリーによる分析を実施した。最初に、ヨウ化プロピジウム(PI)を、PI原液の150倍希釈物を使用して、添加した。Fl-3 vs. FSCで観測することによる、PIの排除に基づくライブゲート(live gate)を設定した。PIはその次の細胞サンプルのみに添加して、細胞のPIとの長時間のインキュベーションを回避した。
【0205】
図6Aおよび6Bに示すように、mAb 926、1259、1337、1338、1339および1340はすべて、抗体濃度を0.5μg/mlの一定に保持しながら、IL-6の濃度を増加させたとき、U266細胞上でのIL-6のIL-6受容体との結合に対して抑制効果を示した。mAb 1339については、注目すべき高レベルの抑制が観測された。同様に、図7Aおよび7Bは、IL-6濃度を500 ng/mlの一定に保持しながら、mAbの濃度を増加させたときの、U266細胞上でのIL-6のIL-6受容体との結合に対する、mAb 242、416、926および1339の抑制効果を示すものである。
【0206】
mAbの抑制効果は、ビオチニル化IL-6を使用したときにも証明された(データは掲載していない)。
【0207】
これらの結果は、mAb 242、416、926、1259、1337、1338、1339および1340がIL-6とその受容体間の相互作用を抑制することができることを示しているので、これらのmAbの生物学的活性が確認される。
【0208】
最後に、実施例2中で図4について記載した競合アッセイを、mAb 416、926、1259、1337、1338、1339および1340を、対照mAb 88とともに使用して、実施した。図8に示すように、試験したmAbの全部が組換えヒトIL-6のIL-6受容体との結合に対して用量依存性抑制を提示した。
【実施例6】
【0209】
mAb 926および1339のmAb特異性
mAbs 926および1339について、上記のようにELISAによって、マウスおよびラットIL-6との交差反応性を判定した。ウェルを、100 ng/mlマウスまたはラットIL-6(R&D Systems) 100μl/ウェルでコーティングした。ヒトモノクローナル抗体を使用する実験については、IgG1 Kappa(ヒトミエローマIgG1; Sigma-Aldrich Co.)mAbを対照として使用した。mAbの検出用に、1/10,000の希釈率のウサギ抗ヒトIgG-HRP(Dako)を、100μl/ウェルで添加した。ポリクローナル抗体(pAb)対照として、ビオチニル化ヤギ抗ヒトIL-6(Peprotech)、ビオチニル化ヤギ抗マウスIL-6(Peprotech)、およびビオチニル化ヤギ抗ヒトIl-2(Peprotech)を含ませた。pAbについては、検出用にストレプトアビジン-HRP(Prozyme)を100μl/ウェルで添加した。抗体を12.5、25、50、および100 ng/mlの濃度で使用した。それぞれ図14および15に示すように、mAbs 926および1339は、ELISAによって、コーティングした組換えマウスまたはラットIL-6を検出しない。
【実施例7】
【0210】
天然ヒトおよびサルIL-6の検出
mAb 926および1339の天然ヒトIL-6を検出する能力を、活性化したヒト単球中で分析した。末梢血単核細胞からの単球を、IL-6の細胞質内発現を誘発するため、リポポリサッカライド(LPS; 20μg/ml; Sigma-Aldrich Co.)で24時間活性化した(データは掲載していない)。LPS処理が終わる6時間前に、細胞を1μg/ml Brefeldin A(Sigma-Aldrich Co.)で処理して、IL-6の上清への移動を抑制した。活性化した細胞を、前記のようにフローサイトメトリーによって、0.8μg/mlビオチニル化mAb 88、1339、926、B-E8(抗マウスIL-6; Diaclone)、B-Z1(マウスIgG1; Diaclone)、およびヒトIgG1 Kappa(Sigma-Aldrich Co.)について分析した。各抗体について3回の独立した実験を実施した。代表的な実験を図16に示すが、これはmAb 926および1339が天然細胞質内IL-6を認識することを示している。
【0211】
その上、mAb 926および1339がヒト血清からの天然ヒトIL-6を検出する能力を、Diaclone High Sensitivity ヒトIL-6 ELISAキットを製造者のプロトコルに従って使用する、ELISAによって判定した。後者のキットを使用して、ELISAプレートウェル上にコーティングしたIL-6抗体とのmAbの競合(5μg/ml)による、ヒトIL-6の検出を判定した。競合抗体の不在中で、IL-6を含有する血清(Serum AB batch 5; Blood Center, Besancon, France)の添加の結果、ELISAキットによるIL-6の検出ができる。競合抗体の存在中でのIL-6を含有する血清の添加の結果、血清中のIL-6を検出するELISAキットの能力が低下する。対照抗体には、B-E8(抗マウスIL-6; Diaclone)、B-Z1(マウスIgG1; Diaclone)、およびヒトIgG1 Kappa(Sigma-Aldrich Co.)を含ませた。図17に示すように、mAb 926および1339は健康なドナー血清からの天然IL-6を検出する。
【0212】
mAb 1339が赤毛ザル血清(BPRC, The Netherlands)からの天然サルIL-6を検出する能力を、U-Cytech Monkey IL-6 ELISAキット(U-Cytech biosciences)を製造者のプロトコルに従って使用する、ELISAによって判定した。後者のキットを使用して、ELISAプレートウェル上にコーティングしたIL-6抗体とのmAbの競合(5μg/ml)によって、サルIL-6の検出を判定した。競合抗体の不在中で、IL-6を含有する血清の添加の結果、ELISAキットによるIL-6の検出ができる。競合抗体の存在中で、IL-6を含有する血清の添加の結果、血清中のIL-6を検出するELISAキットの能力が低下する。サルIgG1 Kappaを対照抗体として供した。図18に示すように、mAb 1339はサル血清からの天然IL-6を検出する。
【0213】
ここまで本発明を、解釈を明確にする目的で、説明および例示として多少詳しく、全体的に記載してきたが、本発明またはその特定の実施形態のいずれの範囲にも影響することなく、条件、製剤化およびその他のパラメータの広範で等価な範囲内で、本発明を改変または変更することによって、同一のことが実施できること、またこうした改変または変更が、添付する特許請求の範囲内に含まれることを想定していることは、当業者にとって明らかであろう。
【0214】
本明細書中で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技術レベルの指標となるものであって、個々の刊行物、特許および特許出願が特定的かつ個別に参照として組み込まれているものと同程度に、参照として、本明細書に組み込むものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したモノクローナル抗体:
(a) 以下を含んでいる可変重鎖領域(VH):
(i) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVH-CDR1: 配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号51〜55のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(ii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVH-CDR2: 配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号97、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号56〜61または97のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(iii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVH-CDR3: 配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号98、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号62〜73または98のいずれかと同一のアミノ酸配列; ならびに
(b) 以下を含んでいる可変軽鎖領域(VL):
(i) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVL-CDR1: 配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号74〜79のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(ii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVL-CDR2: 配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号80〜85のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(iii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVL-CDR3: 配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号86〜96のいずれかと同一のアミノ酸配列。
【請求項2】
アミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)(ここでX1、X2およびX3は任意のアミノ酸である)を持つ可変重鎖CDR1(VH-CDR1)を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したヒトモノクローナル抗体。
【請求項3】
X1がメチオニン(M)またはバリン(V)である、請求項2記載の抗体。
【請求項4】
X1がバリン(V)である、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
X2がシステイン(C)、アラニン(A)、セリン(S)またはグリシン(G)である、請求項2記載の抗体。
【請求項6】
X3がセリン(S)またはグリシン(G)である、請求項2記載の抗体。
【請求項7】
アミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)(ここでX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8は任意のアミノ酸である)を持つ可変重鎖CDR2(VH-CDR2)を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したヒトモノクローナル抗体。
【請求項8】
X1がロイシン(L)、フェニルアラニン(F)またはバリン(V)である、請求項7記載の抗体。
【請求項9】
X1がロイシン(L)である、請求項8記載の抗体。
【請求項10】
X2がイソロイシン(I)またはバリン(V)である、請求項7記載の抗体。
【請求項11】
X2がイソロイシン(I)である、請求項10記載の抗体。
【請求項12】
X3がチロシン(Y)またはフェニルアラニン(F)である、請求項7記載の抗体。
【請求項13】
X4がリシン(K)またはアルギニン(R)である、請求項7記載の抗体。
【請求項14】
X5がアルギニン(R)、チロシン(Y)、またはヒスチジン(H)である、請求項7記載の抗体。
【請求項15】
X6がセリン(S)またはアスパラギン(N)である、請求項7記載の抗体。
【請求項16】
X6がセリン(S)である、請求項15記載の抗体。
【請求項17】
X7がアルギニン(R)、リシン(K)、グルタミン酸(E)またはセリン(S)である、請求項7記載の抗体。
【請求項18】
X7がリシン(K)である、請求項17記載の抗体。
【請求項19】
X8がセリン(S)またはアスパラギン(N)である、請求項7記載の抗体。
【請求項20】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖CDR1(VH-CDR1): 配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号51〜55のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VH-CDR1を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項21】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖CDR2(VH-CDR2): 配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号97、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号56〜61または97のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VH-CDR2を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項22】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖CDR3(VH-CDR3): 配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号98、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号62〜73または98のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VH-CDR3を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項23】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖CDR1(VL-CDR1): 配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号74〜79のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VL-CDR1を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項24】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖CDR2(VL-CDR2): 配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号80〜85のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VL-CDR2を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項25】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖CDR3(VL-CDR3): 配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号86〜96のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VL-CDR3を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項26】
以下を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したモノクローナル抗体:
(a) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖領域(VH):
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21)
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24);
(7) H1089(配列番号25); および
(8) 配列番号19〜25のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列; ならびに
(b) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖領域(VL):
(9) L112(配列番号1);
(10) L151(配列番号2);
(11) L158(配列番号3);
(12) L159(配列番号4);
(13) L164(配列番号5);
(14) L165(配列番号6);
(15) L166(配列番号7);
(16) L167(配列番号8);
(17) L168(配列番号9);
(18) L169(配列番号10);
(19) L170(配列番号11);
(20) L171(配列番号12);
(21) L172(配列番号13);
(22) L173(配列番号14);
(23) L174(配列番号15);
(24) L175(配列番号16);
(25) L189(配列番号17);
(26) L198(配列番号18); および
(27) 配列番号1〜18のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項27】
VHがH415(配列番号19)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項28】
VHがH884(配列番号20)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項29】
VHがH1077(配列番号21)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項30】
VHがH1078(配列番号22)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項31】
VHがH1079(配列番号23)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項32】
VHがH1081(配列番号24)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項33】
VHがH1089(配列番号25)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項34】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL112(配列番号1)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項35】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL165(配列番号6)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項36】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL172(配列番号13)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項37】
VHがH1079(配列番号23)を含み、かつVLがL159(配列番号4)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項38】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項39】
VHがH1079(配列番号23)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項40】
VHがH1081(配列番号24)を含み、かつVLがL172(配列番号13)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項41】
VHがH1077(配列番号21)を含み、かつVLがL158(配列番号3)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項42】
VHがH1078(配列番号22)を含み、かつVLがL158(配列番号3)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項43】
VHがH1081(配列番号24)を含み、かつVLがL159(配列番号4)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項44】
VHがH1079の変異体である、請求項26記載の抗体。
【請求項45】
H1079の変異体が、H1079のCDR1、CDR2またはCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項44記載の抗体。
【請求項46】
H1079の変異体が、H1079のCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項45記載の抗体。
【請求項47】
H1079の変異体が以下からなる群から選択される、請求項46記載の抗体: H1511(配列番号26); H1420(配列番号27); H1432(配列番号28); H1515(配列番号29); H1362(配列番号30); H1437(配列番号31); およびH1461(配列番号32)。
【請求項48】
H1079の変異体が以下からなる群から選択される、請求項46記載の抗体: H1519(配列番号38); H1520(配列番号39); H1521(配列番号40); およびH1522(配列番号41)。
【請求項49】
VLがL198の変異体である、請求項26記載の抗体。
【請求項50】
L198の変異体が、L198のCDR1、CDR2またはCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項49記載の抗体。
【請求項51】
L198の変異体が、L198のCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項50記載の抗体。
【請求項52】
L198の変異体が以下からなる群から選択される、請求項51記載の抗体: L314(配列番号33); L305(配列番号34); L303(配列番号35); L298(配列番号36); およびL321(配列番号37)。
【請求項53】
H1079の変異体がH1553(配列番号42)またはH1579(配列番号43)である、請求項44記載の抗体。
【請求項54】
以下を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したモノクローナル抗体:
(a) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖領域(VH):
(1) H1522(配列番号41);
(2) H1533(配列番号42);
(3) H1579(配列番号43); および
(4) 配列番号41〜43のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列; ならびに
(b) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖領域(VL):
(5) L198(配列番号18);
(6) L305(配列番号34);
(7) L314(配列番号33);
(8) L298(配列番号36);
(9) L321(配列番号37); および
(10) 配列番号18、33、34、36または37のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項55】
VHがH1522(配列番号41)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項56】
VHがH1553(配列番号42)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項57】
VHがH1579(配列番号43)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項58】
VHがH1522(配列番号41)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項59】
VHがH1522(配列番号41)を含み、かつVLがL305(配列番号34)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項60】
VHがH1522(配列番号41)を含み、かつVLがL314(配列番号33)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項61】
VHがH1553(配列番号42)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項62】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項63】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL305(配列番号34)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項64】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL314(配列番号33)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項65】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL298(配列番号36)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項66】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL321(配列番号37)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項67】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる抗IL-6抗体可変重鎖領域(VH)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる、単離した核酸分子:
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21);
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24);
(7) H1089(配列番号25); および
(8) 配列番号19〜25のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項68】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる抗IL-6抗体可変軽鎖領域(VL)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子:
(1) L112(配列番号1);
(2) L151(配列番号2);
(3) L158(配列番号3);
(4) L159(配列番号4);
(5) L164(配列番号5);
(6) L165(配列番号6);
(7) L166(配列番号7);
(8) L167(配列番号8);
(9) L168(配列番号9);
(10) L169(配列番号10);
(11) L170(配列番号11);
(12) L171(配列番号12);
(13) L172(配列番号13);
(14) L173(配列番号14);
(15) L174(配列番号15);
(16) L175(配列番号16);
(17) L189(配列番号17);
(18) L198(配列番号18); および
(19) 配列番号1〜18のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項69】
以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変重鎖領域(VH)の相補性決定領域(CDR)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子:
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21)
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24); および
(7) H1089(配列番号25)。
【請求項70】
ヌクレオチド配列が、以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変重鎖領域(VH)のCDR3をコードする、請求項69記載の核酸分子:
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21)
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24); および
(7) H1089(配列番号25)。
【請求項71】
以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変軽鎖領域(VL)の相補性決定領域(CDR)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる、単離した核酸分子:
(1) L112(配列番号1);
(2) L151(配列番号2);
(3) L158(配列番号3);
(4) L159(配列番号4);
(5) L164(配列番号5);
(6) L165(配列番号6);
(7) L166(配列番号7);
(8) L167(配列番号8);
(9) L168(配列番号9);
(10) L169(配列番号10);
(11) L170(配列番号11);
(12) L171(配列番号12);
(13) L172(配列番号13);
(14) L173(配列番号14);
(15) L174(配列番号15);
(16) L175(配列番号16);
(17) L189(配列番号17); および
(18) L198(配列番号18)。
【請求項72】
ヌクレオチド配列が、以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変軽鎖領域(VL)のCDR3をコードする、請求項71記載の核酸分子:
(1) L112(配列番号1);
(2) L151(配列番号2);
(3) L158(配列番号3);
(4) L159(配列番号4);
(5) L164(配列番号5);
(6) L165(配列番号6);
(7) L166(配列番号7);
(8) L167(配列番号8);
(9) L168(配列番号9);
(10) L169(配列番号10);
(11) L170(配列番号11);
(12) L171(配列番号12);
(13) L172(配列番号13);
(14) L173(配列番号14);
(15) L174(配列番号15);
(16) L175(配列番号16);
(17) L189(配列番号17); および
(18) L198(配列番号18)。
【請求項73】
請求項67記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項74】
請求項68記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項75】
請求項69記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項76】
請求項71記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項77】
請求項73記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項78】
請求項74記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項79】
請求項75記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項80】
請求項76記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項81】
炎症性疾患を治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項82】
自己免疫疾患を治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項83】
自己免疫疾患がリューマチ様関節炎である、請求項82記載の方法。
【請求項84】
がんを治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項85】
がんが多発性骨髄腫である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
がんが以下からなる群から選択される、請求項84記載の方法: 腎がん、乳がん、前立腺がん、リンパ腫および移植後リンパ腫。
【請求項87】
特発性若年性関節炎を治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項88】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体を製造する方法であって、以下を含んでいる方法: (i) 抗体をコードする1以上の核酸配列を発現する宿主細胞を培養し、そして(ii) その培養培地から抗体を回収する。
【請求項89】
以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体の使用: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【請求項90】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体と製薬上許容される担体を含んでいる、医薬組成物。
【請求項91】
以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療における医薬として使用するための、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【請求項92】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体であって、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの、IL-6が誘発する細胞の増殖を、80%またはそれ以上の抑制レベルで抑制する、抗体。
【請求項93】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体であって、IL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体との結合を80%またはそれ以上の抑制レベルで抑制する、抗体。
【請求項1】
以下を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したモノクローナル抗体:
(a) 以下を含んでいる可変重鎖領域(VH):
(i) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVH-CDR1: 配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号51〜55のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(ii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVH-CDR2: 配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号97、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号56〜61または97のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(iii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVH-CDR3: 配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号98、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号62〜73または98のいずれかと同一のアミノ酸配列; ならびに
(b) 以下を含んでいる可変軽鎖領域(VL):
(i) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVL-CDR1: 配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号74〜79のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(ii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVL-CDR2: 配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号80〜85のいずれかと同一のアミノ酸配列;
(iii) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいるVL-CDR3: 配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号86〜96のいずれかと同一のアミノ酸配列。
【請求項2】
アミノ酸配列T-S-G-X1-X2-V-X3(配列番号99)(ここでX1、X2およびX3は任意のアミノ酸である)を持つ可変重鎖CDR1(VH-CDR1)を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したヒトモノクローナル抗体。
【請求項3】
X1がメチオニン(M)またはバリン(V)である、請求項2記載の抗体。
【請求項4】
X1がバリン(V)である、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
X2がシステイン(C)、アラニン(A)、セリン(S)またはグリシン(G)である、請求項2記載の抗体。
【請求項6】
X3がセリン(S)またはグリシン(G)である、請求項2記載の抗体。
【請求項7】
アミノ酸配列X1-X2-X3-W-D-D-D-X4-X5-Y-X6-P-S-L-X7-X8(配列番号100)(ここでX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7およびX8は任意のアミノ酸である)を持つ可変重鎖CDR2(VH-CDR2)を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したヒトモノクローナル抗体。
【請求項8】
X1がロイシン(L)、フェニルアラニン(F)またはバリン(V)である、請求項7記載の抗体。
【請求項9】
X1がロイシン(L)である、請求項8記載の抗体。
【請求項10】
X2がイソロイシン(I)またはバリン(V)である、請求項7記載の抗体。
【請求項11】
X2がイソロイシン(I)である、請求項10記載の抗体。
【請求項12】
X3がチロシン(Y)またはフェニルアラニン(F)である、請求項7記載の抗体。
【請求項13】
X4がリシン(K)またはアルギニン(R)である、請求項7記載の抗体。
【請求項14】
X5がアルギニン(R)、チロシン(Y)、またはヒスチジン(H)である、請求項7記載の抗体。
【請求項15】
X6がセリン(S)またはアスパラギン(N)である、請求項7記載の抗体。
【請求項16】
X6がセリン(S)である、請求項15記載の抗体。
【請求項17】
X7がアルギニン(R)、リシン(K)、グルタミン酸(E)またはセリン(S)である、請求項7記載の抗体。
【請求項18】
X7がリシン(K)である、請求項17記載の抗体。
【請求項19】
X8がセリン(S)またはアスパラギン(N)である、請求項7記載の抗体。
【請求項20】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖CDR1(VH-CDR1): 配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号51〜55のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VH-CDR1を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項21】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖CDR2(VH-CDR2): 配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号97、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号56〜61または97のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VH-CDR2を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項22】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖CDR3(VH-CDR3): 配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号98、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号62〜73または98のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VH-CDR3を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項23】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖CDR1(VL-CDR1): 配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号74〜79のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VL-CDR1を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項24】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖CDR2(VL-CDR2): 配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号80〜85のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VL-CDR2を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項25】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖CDR3(VL-CDR3): 配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、および1〜5個のアミノ酸置換がある以外は配列番号86〜96のいずれかと同一のアミノ酸配列; をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子であって、前記VL-CDR3を含んでいる抗体分子がIL-6抗原に特異的に結合する、核酸分子。
【請求項26】
以下を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したモノクローナル抗体:
(a) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖領域(VH):
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21)
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24);
(7) H1089(配列番号25); および
(8) 配列番号19〜25のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列; ならびに
(b) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖領域(VL):
(9) L112(配列番号1);
(10) L151(配列番号2);
(11) L158(配列番号3);
(12) L159(配列番号4);
(13) L164(配列番号5);
(14) L165(配列番号6);
(15) L166(配列番号7);
(16) L167(配列番号8);
(17) L168(配列番号9);
(18) L169(配列番号10);
(19) L170(配列番号11);
(20) L171(配列番号12);
(21) L172(配列番号13);
(22) L173(配列番号14);
(23) L174(配列番号15);
(24) L175(配列番号16);
(25) L189(配列番号17);
(26) L198(配列番号18); および
(27) 配列番号1〜18のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項27】
VHがH415(配列番号19)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項28】
VHがH884(配列番号20)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項29】
VHがH1077(配列番号21)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項30】
VHがH1078(配列番号22)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項31】
VHがH1079(配列番号23)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項32】
VHがH1081(配列番号24)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項33】
VHがH1089(配列番号25)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項34】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL112(配列番号1)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項35】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL165(配列番号6)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項36】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL172(配列番号13)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項37】
VHがH1079(配列番号23)を含み、かつVLがL159(配列番号4)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項38】
VHがH415(配列番号19)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項39】
VHがH1079(配列番号23)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項40】
VHがH1081(配列番号24)を含み、かつVLがL172(配列番号13)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項41】
VHがH1077(配列番号21)を含み、かつVLがL158(配列番号3)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項42】
VHがH1078(配列番号22)を含み、かつVLがL158(配列番号3)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項43】
VHがH1081(配列番号24)を含み、かつVLがL159(配列番号4)を含んでいる、請求項26記載の抗体。
【請求項44】
VHがH1079の変異体である、請求項26記載の抗体。
【請求項45】
H1079の変異体が、H1079のCDR1、CDR2またはCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項44記載の抗体。
【請求項46】
H1079の変異体が、H1079のCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項45記載の抗体。
【請求項47】
H1079の変異体が以下からなる群から選択される、請求項46記載の抗体: H1511(配列番号26); H1420(配列番号27); H1432(配列番号28); H1515(配列番号29); H1362(配列番号30); H1437(配列番号31); およびH1461(配列番号32)。
【請求項48】
H1079の変異体が以下からなる群から選択される、請求項46記載の抗体: H1519(配列番号38); H1520(配列番号39); H1521(配列番号40); およびH1522(配列番号41)。
【請求項49】
VLがL198の変異体である、請求項26記載の抗体。
【請求項50】
L198の変異体が、L198のCDR1、CDR2またはCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項49記載の抗体。
【請求項51】
L198の変異体が、L198のCDR3中に1個以上のアミノ酸の相違を含む、請求項50記載の抗体。
【請求項52】
L198の変異体が以下からなる群から選択される、請求項51記載の抗体: L314(配列番号33); L305(配列番号34); L303(配列番号35); L298(配列番号36); およびL321(配列番号37)。
【請求項53】
H1079の変異体がH1553(配列番号42)またはH1579(配列番号43)である、請求項44記載の抗体。
【請求項54】
以下を含み、IL-6抗原に特異的に結合する、単離したモノクローナル抗体:
(a) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変重鎖領域(VH):
(1) H1522(配列番号41);
(2) H1533(配列番号42);
(3) H1579(配列番号43); および
(4) 配列番号41〜43のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列; ならびに
(b) 以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる可変軽鎖領域(VL):
(5) L198(配列番号18);
(6) L305(配列番号34);
(7) L314(配列番号33);
(8) L298(配列番号36);
(9) L321(配列番号37); および
(10) 配列番号18、33、34、36または37のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項55】
VHがH1522(配列番号41)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項56】
VHがH1553(配列番号42)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項57】
VHがH1579(配列番号43)またはこれと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項58】
VHがH1522(配列番号41)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項59】
VHがH1522(配列番号41)を含み、かつVLがL305(配列番号34)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項60】
VHがH1522(配列番号41)を含み、かつVLがL314(配列番号33)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項61】
VHがH1553(配列番号42)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項62】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL198(配列番号18)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項63】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL305(配列番号34)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項64】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL314(配列番号33)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項65】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL298(配列番号36)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項66】
VHがH1579(配列番号43)を含み、かつVLがL321(配列番号37)を含んでいる、請求項54記載の抗体。
【請求項67】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる抗IL-6抗体可変重鎖領域(VH)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる、単離した核酸分子:
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21);
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24);
(7) H1089(配列番号25); および
(8) 配列番号19〜25のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項68】
以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいる抗IL-6抗体可変軽鎖領域(VL)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子:
(1) L112(配列番号1);
(2) L151(配列番号2);
(3) L158(配列番号3);
(4) L159(配列番号4);
(5) L164(配列番号5);
(6) L165(配列番号6);
(7) L166(配列番号7);
(8) L167(配列番号8);
(9) L168(配列番号9);
(10) L169(配列番号10);
(11) L170(配列番号11);
(12) L171(配列番号12);
(13) L172(配列番号13);
(14) L173(配列番号14);
(15) L174(配列番号15);
(16) L175(配列番号16);
(17) L189(配列番号17);
(18) L198(配列番号18); および
(19) 配列番号1〜18のいずれかと少なくとも80%の同一性があるアミノ酸配列。
【請求項69】
以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変重鎖領域(VH)の相補性決定領域(CDR)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる単離した核酸分子:
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21)
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24); および
(7) H1089(配列番号25)。
【請求項70】
ヌクレオチド配列が、以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変重鎖領域(VH)のCDR3をコードする、請求項69記載の核酸分子:
(1) H415(配列番号19);
(2) H884(配列番号20);
(3) H1077(配列番号21)
(4) H1078(配列番号22);
(5) H1079(配列番号23);
(6) H1081(配列番号24); および
(7) H1089(配列番号25)。
【請求項71】
以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変軽鎖領域(VL)の相補性決定領域(CDR)をコードするヌクレオチド配列を含んでいる、単離した核酸分子:
(1) L112(配列番号1);
(2) L151(配列番号2);
(3) L158(配列番号3);
(4) L159(配列番号4);
(5) L164(配列番号5);
(6) L165(配列番号6);
(7) L166(配列番号7);
(8) L167(配列番号8);
(9) L168(配列番号9);
(10) L169(配列番号10);
(11) L170(配列番号11);
(12) L171(配列番号12);
(13) L172(配列番号13);
(14) L173(配列番号14);
(15) L174(配列番号15);
(16) L175(配列番号16);
(17) L189(配列番号17); および
(18) L198(配列番号18)。
【請求項72】
ヌクレオチド配列が、以下からなる群から選択される抗IL-6抗体可変軽鎖領域(VL)のCDR3をコードする、請求項71記載の核酸分子:
(1) L112(配列番号1);
(2) L151(配列番号2);
(3) L158(配列番号3);
(4) L159(配列番号4);
(5) L164(配列番号5);
(6) L165(配列番号6);
(7) L166(配列番号7);
(8) L167(配列番号8);
(9) L168(配列番号9);
(10) L169(配列番号10);
(11) L170(配列番号11);
(12) L171(配列番号12);
(13) L172(配列番号13);
(14) L173(配列番号14);
(15) L174(配列番号15);
(16) L175(配列番号16);
(17) L189(配列番号17); および
(18) L198(配列番号18)。
【請求項73】
請求項67記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項74】
請求項68記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項75】
請求項69記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項76】
請求項71記載の核酸分子を含んでいる発現ベクター。
【請求項77】
請求項73記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項78】
請求項74記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項79】
請求項75記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項80】
請求項76記載の発現ベクターを含んでいる宿主細胞。
【請求項81】
炎症性疾患を治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項82】
自己免疫疾患を治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項83】
自己免疫疾患がリューマチ様関節炎である、請求項82記載の方法。
【請求項84】
がんを治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項85】
がんが多発性骨髄腫である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
がんが以下からなる群から選択される、請求項84記載の方法: 腎がん、乳がん、前立腺がん、リンパ腫および移植後リンパ腫。
【請求項87】
特発性若年性関節炎を治療するための方法であって、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の抗体を、これを必要とする患者に投与することを含んでいる、方法。
【請求項88】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体を製造する方法であって、以下を含んでいる方法: (i) 抗体をコードする1以上の核酸配列を発現する宿主細胞を培養し、そして(ii) その培養培地から抗体を回収する。
【請求項89】
以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療用の医薬の製造のための、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体の使用: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【請求項90】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体と製薬上許容される担体を含んでいる、医薬組成物。
【請求項91】
以下からなる群から選択される疾病もしくは不全症の治療における医薬として使用するための、請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体: 自己免疫疾患もしくは不全症、異常もしくは不適切な血管形成に関係する疾病もしくは不全症、がん、骨関節症、特発性若年性関節炎、および線維化症状。
【請求項92】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体であって、マウスB9(ECACC)またはヒトU266ミエローマ細胞などの、IL-6が誘発する細胞の増殖を、80%またはそれ以上の抑制レベルで抑制する、抗体。
【請求項93】
請求項1〜19または26〜66のいずれか1項記載の単離したモノクローナル抗体であって、IL-6に特異的に結合して、IL-6のその受容体との結合を80%またはそれ以上の抑制レベルで抑制する、抗体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2009−545319(P2009−545319A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522880(P2009−522880)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/017337
【国際公開番号】WO2008/019061
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509015501)バクシネックス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/017337
【国際公開番号】WO2008/019061
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509015501)バクシネックス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
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