説明

折り畳みテーブル装置

【課題】テーブルを安定よく昇降しうるように支持しうるとともに、テーブルを上限位置において後下方に回動させることにより、使用状態に保持しうるようにした、安価な折り畳みテーブル装置を提供する。
【解決手段】左右のテーブル支持部材5の対向面に突設した後部内向突壁12と、後部内向突壁12よりも前方のテーブル支持部材5の対向面に、上下方向に向けたテーブルが昇降しうるだけの間隔を設けて突設された上下1対の前部内向突壁13とを備え、後部内向突壁12と上下の前部内向突壁13とにより囲まれた回動空間S内において、上限位置まで引き上げたテーブルの下端部が前上方に回動することにより、テーブルの前端部の上面が上方の前部内向突壁13の下面に、かつ同じく前端部より後方の下面が、後部内向突壁12の上面にそれぞれ当接することにより、テーブルをほぼ水平の使用状態に保持しうるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば学校の講堂や公共施設の会議室、劇場等に設置される椅子における背凭れの背面、または最前列の椅子の前方の壁面等に装着され、テーブルを、上下方向を向く不使用状態と、ほぼ水平をなす使用状態との間を移動しうるように支持してなる折り畳みテーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子の背凭れの背面に装着したテーブル装置におけるテーブルを、上下方向を向く不使用状態から上限位置まで引き上げたのち、後席の着座者が筆記作業等を行いうる水平の使用状態まで、後下方に回動しうるように支持したものは、例えば特許文献1〜3に記載されており、公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3459219号公報
【特許文献2】特開2006−181093号公報
【特許文献3】特開2009−112461号公報(図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2に記載されているものにおいては、いずれも、背凭れの背面に、テーブルを不使用状態に収納しておくためのテーブル収納箱や、箱状のテーブル台枠を取り付けているので、背凭れの背面が後方に大きく突出し、後席の着座者の下肢前方の空間が狭くなったり、前後の椅子の間を通行する際の障害になったりすることがある。これを防止するためには、前後の椅子を間隔を広げて設置すればよいが、このようにすると、椅子の設置数が少なくなるという問題が生じる。
【0005】
特許文献3に記載のものにおいては、テーブル収納箱等はなく、背凭れの背面に取付けた左右1対のテーブル支持部により、テーブルの両側部を上下に摺動可能かつ前後に回動自在に支持しているので、上記のような問題の生じる恐れは小さい。
しかし、左右のテーブル支持部は、テーブルの回動範囲を規制するストッパピンを有する支持ベースと、これに回動自在に嵌合され、テーブルの両側部のガイドレールに摺動可能に嵌合される上下1対のガイドピンを有する回動ケースと、支持ベースと回動ケースとの間に収容され、前記両ストッパピンの回動範囲を規制する1対のスペーサとにより構成されているので、部品点数が多く、コスト高となるとともに、テーブル装置の組立工数も多い。
また、テーブルの両側部が、支持ベースに対し回動自在な回動ケースのガイドピンにより支持されているので、テーブルを安定よく引き上げることができず、引き上げる途中において、テーブルが前後方向に揺動したり、後向きに回動したりすることがある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく、かつ構造の簡単な左右1対のテーブル支持部材により、テーブルを、安定よく昇降しうるように支持して、上下方向を向く不使用状態としうるとともに、テーブルを上限位置において後下方に回動させることにより、使用状態に保持しうるようにした、安価な折り畳みテーブル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(1)椅子の背凭れの背面または椅子の前方の壁面等に取付けられた左右1対のテーブル支持部材により、テーブルの両側部を、上下方向を向く不使用状態と、この不使用状態より引き上げ、上限の引上げ位置において後下方に回動することにより、ほぼ水平をなす使用状態とに移動しうるように支持してなる折り畳みテーブル装置において、前記左右のテーブル支持部材の対向面に突設した後部内向突壁と、前記テーブル支持部材の対向面における前記後部内向突壁よりも前方かつそれより上方と下方の部位に、前記後部内向突壁との間に上下方向に向けたテーブルが昇降しうるだけの間隔を設けて突設された上下1対の前部内向突壁とを備え、前記後部内向突壁と上下の前部内向突壁とにより囲まれた回動空間内において、引上げ位置まで引き上げた前記テーブルの下端部が前上方に回動することにより、テーブルの前端部の上面が前記上方の前部内向突壁の下面に、かつ同じく前端部より後方の下面が、前記後部内向突壁の上面にそれぞれ当接することにより、前記テーブルをほぼ水平の使用状態に保持しうるようにする。
【0008】
このような構成とすると、テーブルは、左右1対のテーブル支持部材の対向面に突設した後部内向突壁と、上下の前部内向突壁との間を、前後方向に揺動することなく、不使用状態から上限の引上げ位置までの間を安定よく昇降させることができる。
また、引上げ位置まで引き上げたテーブルを後下方に回動させると、その下端部が回動空間内において前上方に回動し、テーブルの前部側の上面と下面とが、それぞれ、上方の前部内向突壁の下面と、後部内向突壁の上面とにそれぞれ当接することにより、テーブルをほぼ水平の使用状態に保持することができる。
従って、テーブル支持部材の構造が簡単となり、かつ部品点数や組付工数が少なくて済むので、小型で安価な折り畳みテーブル装置を提供することができる。
しかも、前後の内向突壁は、テーブル支持部材を合成樹脂等により成形する際に、容易に一体成形しうるので、部品点数が大幅に削減される。
【0009】
(2)上記(1)項において、前後の内向突壁間において左右のテーブル支持部材の対向面に、内向きの支持突部を突設し、この両支持突部に、テーブルの両側面に設けた長手方向を向くガイド溝を、上下に摺動自在に嵌合し、前記テーブルを、前記支持突部が前記ガイド溝の下端と当接する引上げ位置において、前記支持突部を中心としてほぼ水平の使用状態まで回動しうるようにする。
【0010】
このような構成とすると、テーブルを、前後方向にぐらつくのを防止して安定よく昇降させることができるとともに、左右の支持突部は、テーブルを昇降させるガイド手段と、テーブルを上限の引上げ位置において後下方に回動させる支軸との二つの機能を有するので、部品点数を削減することができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)項において、上下の前部内向突壁の後面に、後向きのガイド突部を突設し、この上下のガイド突部を、不使用状態におけるテーブルの両側端部の前面に設けた上下方向を向くガイド溝に、前記テーブルを上下方向に向けた状態で上下に摺動自在に嵌合させる。
【0012】
このような構成とすると、テーブルの左右方向へのぐらつきが防止されるので、テーブルを、より安定よく昇降させることができる。
【0013】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、左右の後部内向突壁の前面及び上面にガイド突条を突設し、このガイド突条を、不使用状態におけるテーブルの両側部後面に設けた上下方向を向くガイド溝に、摺動自在に嵌合させる。
【0014】
このような構成とすると、テーブルを上下方向に向けた際には、その両側面に設けたガイド溝が、前面のガイド突条に嵌合することにより、テーブルを、左右方向にぐらつくのを防止して安定よく昇降させることができる。
また、テーブルを使用状態に回動させた際には、テーブルの下面に位置するガイド溝が、上面のガイド突条に嵌合することにより、使用状態においてテーブルが左右方向にぐらつくのが防止される。
【0015】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、上下の前部内向突壁の間に、上限位置まで引き上げたテーブルを使用状態まで回動する際において、前記テーブルの下端が当接して前方に弾性変形することにより、前記テーブルの後下方への回動に抵抗力を付与する回動抵抗付与手段を設ける。
【0016】
このような構成とすると、テーブルの回動に抵抗力が付与され、テーブルを緩速で後下方に回動させることができるので、テーブルが後部内向突壁の上面や上方の前部内向突壁の下面に当接する際の衝撃が緩和され、大きな当接音を発することがなくなる。
また、上下の前部内向突壁の間に、回動抵抗付与手段を設けてあるので、テーブル支持部材を特別な形状としたり、大型化したりする必要はない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、テーブル支持部材の構造が簡単となり、かつ部品点数や組付工数が少なくて済むので、小型で安価な折り畳みテーブル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の折り畳みテーブル装置の一実施形態を備える連結椅子を後方より見た斜視図である。
【図2】同じく、テーブルを使用状態としたときの折り畳みテーブル装置の平面図である。
【図3】同じく、正面図である。
【図4】同じく、側面図である。
【図5】同じく、斜視図である。
【図6】同じく、テーブルとカバーを取り外した状態の拡大斜視図である。
【図7】同じく、テーブルを不使用状態としたときの折り畳みテーブル装置の平面図である。
【図8】同じく、正面図である。
【図9】同じく、側面図である。
【図10】同じく、斜視図である。
【図11】図2のXI−XI線拡大縦断面図である。
【図12】同じく、XII−XII線拡大縦断面図である。
【図13】同じく、XIII−XIII拡大縦断側面図である。
【図14】同じく、テーブルを不使用状態としたときの図13と同部位の拡大縦断側面図である。
【図15】図2のXV−XV線拡大縦断面図である。
【図16】図13のXVI−XVI線拡大横断平面図である。
【図17】図14のXVII−XVII線拡大横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、学校の講堂等に設置される連結椅子の斜視図で、各椅子1の背凭れ2の背面には、本発明の折り畳みテーブル装置(以下、テーブル装置と略称する)3が取り付けられている。
図2〜図5は、テーブル装置3における後記するテーブル4を使用状態としたときを、図7〜図10は、同じくテーブル4を不使用状態としたときを、それぞれ示している。
【0020】
図2〜図5に示すように、テーブル装置3は、方形のテーブル4と、その左右両側部を支持する1対のテーブル支持部材5、5とを備えている。テーブル4の両側面には、その長さとほぼ等しいガイドレール6、6が、止めねじ7、7により取り付けられている。
【0021】
図11及び図12は、テーブル4を使用状態としたときの拡大縦断面図で、左右のガイドレール6、6における外側面と上面と下面とには、それぞれ、外側方に開口する内向きU字状断面のガイド溝8と、上方に開口する下向き円弧状断面のガイド溝9と、下方に開口する下向きコ字状断面のガイド溝10とが、前後方向に向かって形成されている。外側面と下面のガイド溝8、10は、ガイドレール7の前部と後部を除いた部分に、上面のガイド溝9は、ガイドレール7の後部を除いた全長に、それぞれ形成されている。
また、外側面のガイド溝8と上面のガイド溝9の深さは、ガイドレール6の後部に向かうにしたがって漸次浅くなるようにしてある。
【0022】
左右のガイド溝8、8は、左右のテーブル支持部材5に設けた後記する支持ピン34に、左右の上面のガイド溝9、9は、同じく後記するガイドピン30に、左右の下面のガイド溝10、10は、同じく後記する左右の後部内向突壁12の上部に突設したガイド突条15に、それぞれ摺動可能に嵌合されるようになっている。なお、これらのガイド溝8、9、10は、ガイドレール7を省略し、その分幅広としたテーブル4の両側端部に直接設けることもある。
【0023】
図13に示すように、上面のガイド溝9の前端部は、前端に向かうにしたがって漸次円弧状に深くしてある。これは、テーブル4を下降させて、上下方向を向く不使用状態とする際に、ガイド溝9の下端部が後記する下方のガイドピン30にスムーズに嵌合されるようにするためである。
【0024】
テーブル支持部材5、5は左右対称をなし、図2〜図6に示すように(図6は、テーブル4と後記するカバー19を取り外して示してある)、側面形状がほぼ後向き台形をなす垂直かつ厚肉の基板11と、その後端部の内側面の上下方向の中間部に突設された後部内向突壁12と、基板11の前端部の内側面の上下部に、互いに上下に対向するように突設された1対の前部内向突壁13、13と、両前部内向突壁13の内側面に、互いに上下に対向するように内向き突設された、背凭れ2にねじ止めするための1対の取付突部14、14とを備え、テーブル支持部材5全体は合成樹脂により一体成形されている。
【0025】
後部内向突壁12と上下の前部内向突壁13との内方への突出寸法はほぼ等しく、かつ後部内向突壁12の上面と、上方の前部内向突壁13の下面との間には、テーブル4の厚さとほぼ同等の空間が形成されている(図13参照)。
【0026】
また、後部内向突壁12と、上下の前部内向突壁13及び上下の取付突部14との間には、ほぼテーブル4の厚さ分の空間が形成され、その間を上下方向に向けたテーブル4が昇降しうるようになっている(図14参照)。
【0027】
さらに、後部内向突壁12、上下の前部内向突壁13及び上下の取付突部14により囲まれた空間を、上限の引上げ位置まで引き上げたテーブル4を使用状態まで後下方に回動させる際に、その下端部(前端部)の前上方への回動を許容する回動空間Sとしてある(図13〜図15参照)。
【0028】
左右の後部内向突壁12の前上部には、前方及び上方に突出するとともに、前角部を円弧状の曲面としたガイド突条15が突設され、このガイド突条15には、上述した左右のガイドレール7の裏面のガイド溝10が摺動可能に嵌合されるようになっている(図13参照)。
【0029】
図6及び図15に示すように、左右のテーブル支持部材5、5は、それらの前面にねじ止めされた左右方向の連結板16により連結され、互いに左右方向に位置決めした状態で背凭れ2の背面に取付けうるようにしてある。
【0030】
図6及び図15に示すように、上部の取付突部14の前端部上面より起立する上向片14aと、下部の取付突部14とに設けた前後方向を向くボルト挿通孔17、17に挿入したボルト18、18を、連結板16を貫通させて、背凭れ2の背面に螺挿することにより、左右のテーブル支持部材5は背凭れ2の背面に固定されている。
テーブル支持部材5の取付後において、左右の上部の取付突部14、14間には、カバー19が着脱自在に装着され、左右の取付突部14の上面と後面、及び左右の前部内向突壁13、13との間の空間が体裁よく覆われている。
【0031】
図6及び図15に示すように、左右の下部の取付突部14には、テーブル4を使用状態とする際、その回動に抵抗力を付与するための回動抵抗付与手段20が取り付けられている。
この回動抵抗付与手段20は、側面視後向き倒立L字状断面をなす基部21と、この基部21の後向片21aの後端部より斜め前上方に向かって起立する弾性撓曲片22とからなり、基部21の下向片21bを、取付突部14の前面に設けた前方及び上方に開口する上下方向の凹溝23に嵌合させ、かつ下部の取付突部14固定用のボルト18を、下向片21bに穿設した通孔24に挿通させて共締めすることにより、下方の前部内向突壁13に固定されている。
【0032】
弾性撓曲片22は、回動空間S内において、上下の前部内向突壁13、13間の前後方向の中間部に位置するようにしてある。
弾性撓曲片22の後面は、前上方に向かってなだらかに湾曲する凹曲面をなし、かつ板厚を上端に向かうにしたがって漸次薄肉とすることにより、上部ほど前方に撓み易くしてある。また、後向片20aと弾性撓曲片22との連設隅部に、前上方に開口する欠円形断面の凹部25を設けることにより、弾性撓曲片22全体が凹部25を中心として前方に弾性変形しうるようにしてある。
【0033】
図15に示すように、上部の取付突部14に穿設された上下方向を向くめねじ孔26には、下端が、使用状態としたテーブル4の前端部上面と当接することにより、その角度を調節するための調節ボルト27が螺挿されている。調節ボルト27における下方への突出端部には、緩み止め用のロックナット28が螺合されている。
【0034】
図13に示すように、左右のテーブル支持部材5における上下の前部内向突壁13、13には、前後両方向に開口するとともに、後端部を小径孔29aとした段付孔29、29が形成され、両段付孔29には、それよりも短寸をなすとともに、後端面に後向きのガイドピン30が一体的に連設された、前方に開口する有底筒状のプランジャ31が、ガイドピン30を小径孔29aより後方に突出させて、前後方向に摺動可能に嵌合されている。ガイドピン30の先端部は、テーブル4が上下方向を向く不使用状態にあるとき、その上面に設けたガイド溝9に摺動可能に嵌合されるようになっている。
【0035】
プランジャ31内には、圧縮コイルばね32が収容され、この圧縮コイルばね32は、その前端を、左右のテーブル支持部材5の後面に固定された連結板16の後面に当接させることにより、段付孔29及びプランジャ31からの抜止めがなされている。
また、連結板16の取付時に、圧縮コイルばね32を若干圧縮させることにより、ガイドピン30及びプランジャ31を常時後向きに付勢し、ガイドピン30の先端が、ガイドレール6の上面に設けたガイド溝9の奥面に圧接するようにしてある。
【0036】
図16に示すように、左右のテーブル支持部材5の基板11のやや後部寄りに形成された厚肉部11aには、左右両方向に開口するとともに、内側端部を小径孔33aとした段付孔33が形成され、この段付孔33には、それよりも短寸をなすとともに、内端面に内側方を向く支持ピン34が一体的に連設された、外側方に開口する有底筒状のプランジャ35が、左右方向に摺動可能に嵌合されている。
【0037】
支持ピン34は、後部内向突壁12の斜め前上方、すなわち、後部内向突壁12と上部の前部内向突壁13との対向面間の中央部において、小径孔33aより内側方に突出するようにしてある。左右の支持ピン34の先端部は、テーブル4の両側面を支持しうるように、左右のガイドレール6の側面のガイド溝8に摺動可能に常時嵌合されている(図11参照)。
また、テーブル4を上下方向に向けた状態において、そのガイド溝8の上下両端に支持ピン34が当接することにより、テーブル4は下限位置と上限位置で停止するようになっている。なお、テーブル4を下限位置と上限位置で停止させる手段は、例えば、左右のテーブル支持部材5と、テーブル4の上下の端部との少なくともいずれか一方に突設したストッパ等であってもよい。
【0038】
プランジャ35内には、圧縮コイルばね36が収容され、この圧縮コイルばね36は、段付孔33の側端部の内周面に形成した雌ねじ37に、押え板38の外周面の雄ねじ39を螺合することにより、段付孔33及びプランジャ35からの抜止めがなされている。この際、押え板38により圧縮コイルばね36を圧縮することにより、支持ピン34及びプランジャ35を常時内側方に付勢し、支持ピン34の先端が、ガイドレール6の側面に設けたガイド溝8の奥面に圧接するようにしてある。
押え板38の外側面には、これを工具をもって着脱しうるように、六角孔40を設けてある。
【0039】
上記実施形態のテーブル装置3において、テーブル4を、上下方向を向く不使用状態から、ほぼ水平の使用状態とするには、テーブル4の後面上部の中央部に設けた凹状の手掛部41を把持して、テーブル4を上限の引上げ位置まで、すなわち左右のガイドレール6、6の外側面に設けたガイド溝8、8の下端が、それに摺動可能に嵌合された左右のテーブル支持部材5における支持ピン34、34に当接して停止するまで引き上げる。この際、図7に示すように、左右のガイドレール6に設けたガイド溝8、9、10には、それぞれ、左右のテーブル支持部材5に設けた左右1対の支持ピン34、左右の上下1対のガイドピン30、及び左右1対のガイド突条15が摺動可能に嵌合されているので、テーブル4を、前後左右方向のぐらつきを防止して、安定よく引き上げることができる。
【0040】
ついで、図13及び図15に示すように、上限位置まで引き上げたテーブル4を、左右の支持ピン34を中心として後下方に回動させると、テーブル4の下端部(前端部)が、回動空間S内において前上方に回動することにより、テーブル4における支持ピン34より後方の前端部下面が、後部内向突壁12の上面に、同じく支持ピン34より前方の前端部上面が、調節ボルト27の下端にそれぞれ当接し、テーブル4はほぼ水平の使用状態となる。この際、ガイドレール6の下面のガイド溝10が、ガイド突条15の上部に嵌合するので、テーブル4の使用状態において、これが左右方向にぐらつくのが防止される。また、図16に示すように、ガイドレール6取付用の前部の止めねじ7の頭部が、テーブル支持部材5における基板11の厚肉部11aの前面に当接または近接することにより、テーブル4が後方に抜け外れるのが確実に防止される。
なお、調節ボルト27を下方に突出させる必要のないときには、テーブル4の前端部上面は、上方の前部内向突壁13の下面に当接する。
【0041】
テーブル4の下向き回動時において、その下端(前端)が回動抵抗付与手段20における弾性撓曲片22の後面に当接し、これを前方に弾性変形させることにより、テーブル4の回動に抵抗力が付与され、テーブル4を緩速で下向きに回動させることができる。従って、テーブル4が後部内向突壁12や調節ボルト27に当接する際の衝撃が緩和されるので、大きな当接音を発することがなくなる。
なお、テーブル4の角度の調整は、調節ボルト27を回動させて行うことができる。
【0042】
使用状態としたテーブル4を、上下方向を向く不使用状態とするには、図14に示すように、まず、手掛部41を把持して、テーブル4を、左右のガイドレール6の上面が上方の前部内向突壁13の後面に、同じく裏面が後部内向突壁12の前面にそれぞれ当接するまで、前上方に起立させる。すると、両ガイドレール6の上面のガイド溝9が、上方の後部内向突部13のガイドピン30に嵌合する。
【0043】
この状態で、テーブル4を下降させると、ガイド溝9が、下方の後部内向突壁13のガイドピン30にも嵌合し、テーブル4は、左右の上下2個ずつのガイドピン30により案内されて、後部内向突壁12と上下の前部内向突壁13との間を円滑に下降する。この際、上述したように、ガイド溝9の前端部(不使用状態では下端部)を、前端(下端)に向かうにしたがって漸次円弧状に深くしてあるので、図14の2点鎖線で示すように、ガイド溝9に下方のガイドピン30がスムーズに嵌合する。
【0044】
左右のガイドレール6の下面に設けたガイド溝10には、左右の後部内向突壁12に設けたガイド突条15が摺動自在に嵌合されているので、テーブル4は、左右方向へのぐらつきが防止されて、より安定よく下降する。
【0045】
テーブル4が下限位置まで、すなわち、左右のガイド溝8の上端が左右の支持ピン34と当接する位置まで自重により下降することにより、テーブル4は不使用状態となる。この状態において、テーブル4は、後部内向突壁12と上下の前部内向突壁13とにより保持されているので、前後方向に妄りに揺動する恐れはない。
【0046】
テーブル4を下降させて不使用状態とする際、上述したように、ガイド溝8とガイド溝9の深さを、後端(不使用状態では上端)に向かうにしたがって漸次浅くなるようにしてあるので、図16及び図17に示すように、テーブル4が下限位置まで下降するにしたがって、ガイドピン30は前方に、支持ピン34は外側方に、それぞれ圧縮コイルばね32、36を圧縮して移動させられる。
【0047】
これにより、圧縮コイルばね32、36の弾性反発力により、ガイドピン30と支持ピン34との先端が、上方に行くにしたがって、徐々に両ガイド溝8、9の奥面に強く圧接し、その際の摺動摩擦抵抗により、テーブル4の下降速度を徐々に遅くすることができる。
その結果、テーブル4が下限位置で停止した際の衝突音を小さくしうるとともに、テーブル4の下端が後席の着座者の膝の上に勢いよく当たるのを防止することができる。
【0048】
以上説明したように、上記実施形態のテーブル装置3においては、テーブル4は、左右1対のテーブル支持部材5の対向面に突設した後部内向突壁12と、上下の前部内向突壁13、13との間を、前後方向に揺動することなく、不使用状態から上限位置までの間を安定よく昇降することができる。
【0049】
また、上限位置において、テーブル4を後下方に回動させると、その下端部(前端部)が、テーブル支持部材5の対向面の回動空間S内において前上方に回動することにより、テーブル4の前端部上面と下面とが、それぞれ、調節ボルト27の下端または上方の前部内向突壁13の下面と、後部内向突壁12の上面とにそれぞれ当接し、テーブル4をほぼ水平の使用状態に保持することができる。
【0050】
このように、左右1対のテーブル支持部材5の対向面に、後部内向突壁12と、上下の前部内向突壁13、13とを突設するだけで、テーブル4を安定よく昇降させうるとともに、後下方に回動させてほぼ水平の使用状態としうるので、テーブル支持部材5の構造が簡単となり、かつ部品点数や組付工数も少なくて済むので、小型で安価なテーブル装置3を提供することができる。
【0051】
また、左右のテーブル支持部材5に設けた上下のガイドピン30、30と支持ピン34とを、それぞれ、テーブル4の両側面のガイドレール6、6における上面と外側面に設けた、溝の深さが上方に向かうにしたがって漸次浅くなるようにしたガイド溝8、9に嵌合してその奥面に圧接させるとともに、両ガイドピン30、34を圧縮コイルばね32、36により常時付勢し、テーブル4を下降させて上下方向を向く不使用状態とする際の摺動摩擦抵抗を大とすることにより、その下降速度を減速しうるようにしてあるので、構造が複雑で高価なオイルダンパー付きのバランスばねや、ロータリーダンパ等の減速手段を用いる必要がない。
従って、テーブル4の支持や回動機構等が大型化するなどの問題はなく、テーブル装置3を小型・軽量化しうるとともに、コスト低減が図れる。
【0052】
なお、上記実施形態においては、テーブル装置3を、椅子1の背凭れ2の背面に取付けた例を説明したが、最前列の椅子の着座者がテーブルを使用しうるように、その最前列の椅子の前方の壁面等に、上記と同様のテーブル装置3を取付けることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 椅子
2 背凭れ
3 テーブル装置
4 テーブル
5 テーブル支持部材
6 ガイドレール
7 止めねじ
8 ガイド溝
9 ガイド溝
10 ガイド溝
11 基板
11a厚肉部
12 後部内向突壁
13 前部内向突壁
14 取付突部
14a上向片
15 ガイド突条
16 連結板
17 ボルト挿通孔
18 ボルト
19 カバー
20 回動抵抗付与手段
21 基部
21a後向片
21b下向片
22 弾性撓曲片
23 凹溝
24 通孔
25 凹部
26 めねじ孔
27 調節ボルト
28 ロックナット
29 段付孔
29a小径孔
30 ガイドピン(ガイド突部)
31 プランジャ
32 圧縮コイルばね
33 段付孔
33a小径孔
34 支持ピン(支持突部)
35 プランジャ
36 圧縮コイルばね
37 雌ねじ
38 押え板
39 雄ねじ
40 六角孔
41 手掛部
S 回動空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子の背凭れの背面または椅子の前方の壁面等に取付けられた左右1対のテーブル支持部材により、テーブルの両側部を、上下方向を向く不使用状態と、この不使用状態より引き上げ、上限の引上げ位置において後下方に回動することにより、ほぼ水平をなす使用状態とに移動しうるように支持してなる折り畳みテーブル装置において、
前記左右のテーブル支持部材の対向面に突設した後部内向突壁と、
前記テーブル支持部材の対向面における前記後部内向突壁よりも前方かつそれより上方と下方の部位に、前記後部内向突壁との間に上下方向に向けたテーブルが昇降しうるだけの間隔を設けて突設された上下1対の前部内向突壁
とを備え、前記後部内向突壁と上下の前部内向突壁とにより囲まれた回動空間内において、引上げ位置まで引き上げた前記テーブルの下端部が前上方に回動することにより、テーブルの前端部の上面が前記上方の前部内向突壁の下面に、かつ同じく前端部より後方の下面が、前記後部内向突壁の上面にそれぞれ当接することにより、前記テーブルをほぼ水平の使用状態に保持しうるようにしたことを特徴とする折り畳みテーブル装置。
【請求項2】
前後の内向突壁間において左右のテーブル支持部材の対向面に、内向きの支持突部を突設し、この両支持突部に、テーブルの両側面に設けた長手方向を向くガイド溝を、上下に摺動自在に嵌合し、前記テーブルを、前記支持突部が前記ガイド溝の下端と当接する引上げ位置において、前記支持突部を中心としてほぼ水平の使用状態まで回動しうるようにしてなる請求項1記載の折り畳みテーブル装置。
【請求項3】
上下の前部内向突壁の後面に、後向きのガイド突部を突設し、この上下のガイド突部を、不使用状態におけるテーブルの両側端部の前面に設けた上下方向を向くガイド溝に、前記テーブルを上下方向に向けた状態で上下に摺動自在に嵌合させてなる請求項1または2記載の折り畳みテーブル装置。
【請求項4】
左右の後部内向突壁の前面及び上面にガイド突条を突設し、このガイド突条を、不使用状態におけるテーブルの両側部後面に設けた上下方向を向くガイド溝に、摺動自在に嵌合させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の折り畳みテーブル装置。
【請求項5】
上下の前部内向突壁の間に、引上げ位置まで引き上げたテーブルを使用状態まで回動する際において、前記テーブルの下端が当接して前方に弾性変形することにより、前記テーブルの後下方への回動に抵抗力を付与する回動抵抗付与手段を設けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の折り畳みテーブル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−165931(P2012−165931A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30402(P2011−30402)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】