説明

折り畳みハンドル付調理器具

【課題】調理器具を入れ子式にしたとき、取出しや違反ドルを備えた調理器具を提供する。
【解決手段】調理器具1は、底面4と側面5を有する容器3と、側面5に取り付けられて、アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)で構成される少なくとも1つのハンドル10,11と、を含み、各アセンブリ20,40は容器3に連結されて、保管位置と、2つのアセンブリ20,40が側面5へと半径方向に延びる単一ユニットを形成する作業位置と、の間で旋回する。本発明において、保管位置では、各アセンブリ20,40が側面5に基本的に沿った状態となり、アセンブリ2(40)は、調理器具1をそれよりわずかに大きな同様の調理器具2に挿入し、またはそこから取り出す際に、使用者が調理器具1を持つことができるように容器3より高い位置まで延びる把持部47を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具、より詳しくは、折り畳みハンドルを有するキャセロールまたはシチュー鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、容器と、容器に取り付けられた2つの旋回(pivoting)するハンドルと、を有する調理器具に関し、ハンドルは、ハンドルが容器から半径方向に延びる作業位置と、ハンドルが容器付近に折り畳まれる保管位置と、の間で移動する。
【0003】
しかしながら、このような調理器具は、ハンドルが保管位置にあるときには、それよりわずかに大きい別の同様の調理器具の上に置くことしかできない。この調理器具の容器は、どのような場合でも、それよりわずかに大きな調理器具の容器の中に完全に入れて、体積が最小限で済むような安定したスタックを形成することができないかもしれない。
【0004】
また、特許文献2は、容器と、容器に取り付けられた2つの旋回するハンドルと、を有する調理器具に関し、ハンドルは、ハンドルが容器から半径方向に延びる伸展作業位置と、ハンドルが容器に沿って下げられている保管位置と、の間で移動する。この調理器具は、ハンドルが保管位置にあるときに、それよりわずかに大きな同様の調理器具の中に挿入し、またはそこから取り出すことができる。したがって、いくつかの調理器具を入れ子式に設置することによって保管してもよい。
【0005】
しかしながら、このようなタイプの積み重ねでは、2つの容器の間の空間が小さくなり、別の調理器具の中に入っている1つの調理器具を使用者の手指で持つ、または掴むことができない。1つの調理器具を別の調理器具の中に挿入する際、それがもう一方の調理器具の中の最終的な保管位置に到達するまで、使用者がその1つの調理器具を持つことのできるような把持部はない。別の調理器具の中に保管された1つの調理器具を取り出すとき、使用者は持ち方が分からず、方法を自分で考えなければならず、例えば、調理器具全部をひっくり返して、1つがもう一方から滑り出るようにする。この工程中に、調理器具が相互にぶつかり、擦れ合って傷が付く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0999777号明細書
【特許文献2】欧州特許第1541074号明細書
【特許文献3】欧州特許第1871206号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の欠点を除去し、使用者が完全に安全な方法で移動させ、それよりわずかに大きな同様の調理器具の中に簡単に保管できる、人間工学的に最適化された調理器具を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、わずかにより大きな調理器具の容器の中に完全に格納され、体積が最小限で済む、安定したスタックを形成し得る容器を有する調理器具を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、単純で合理的な作業設計の調理器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、底面と側面を有する容器と、側面に取り付けられて、2つのアセンブリで構成される少なくとも1つのハンドルと、を含む調理器具によって達成され、各アセンブリは、保管位置と、2つのアセンブリが側面から半径方向に延びる1つのアセンブリを形成する作業位置と、の間で旋回できるような方法で容器に連結され、保管位置においては、各アセンブリが側面に対して基本的に並行であり、アセンブリ2は、ユーザが調理器具をそれよりわずかに大きな同様の調理器具の中に挿入し、またはそこから取り出す際に、調理器具を持つことができるように容器の上に延びる把持部を有する。
【0011】
保管位置において容器より高い位置まで延びる把持部により、使用者は、容易に調理器具を持ち、または、それを完全に挿入されるまで下げることによって別の調理器具の中に保管し、あるいは反対の方法により、それを別の調理器具の中の積み重ね位置から取り出すことができる。したがって、調理器具が相互にぶつかったり、擦れ合うことが回避できる。
【0012】
1つの利点は、アセンブリ1および2が底面に並行な回転軸の周りに連結される(articulated)ことである。
【0013】
この構成により、ほとんど邪魔にならずに、保管位置において側面に対して半径方向に延びるハンドルが得られる。ハンドルは2つのアセンブリに分割され、第1のアセンブリは側面に沿って下方に延び、第2のアセンブリは垂直に上方に延びる。
【0014】
アセンブリ1および2は、作業位置において、相互にロックされて、単一ユニットを形成することが好ましい。
【0015】
この構成により、使用者は調理器具を完全に安全な方法で移動させることができる。2つのアセンブリは、作業位置においてロックされて、1つのアセンブリからなるハンドルと同じものとなる。2つのアセンブリのロックは、調理器具を移動させるときに、その自重によってより強力となる。
【0016】
1つの利点は、アセンブリ1および2がそれぞれ回転するときに連動することである。
【0017】
この構成により、使用者は片手で2つのハンドルアセンブリを作業位置と保管位置との間で移動させることができる。調理器具はしばしば、容器の垂直面上の正反対の位置に2つのハンドルを有し、したがって、使用者は容易に各ハンドルをそれぞれの手で同時に移動させることができる。
【0018】
好ましくは、アセンブリ1および2は、それぞれ、歯車を形成する歯付き部分を有する。
【0019】
この構成により、アセンブリ1および2を一緒に作動させて、特に合理的に回転させることができる。
【0020】
1つの利点は、ハンドルがアセンブリ1および2を作業位置に戻すメカニズムを含むことである。
【0021】
この構成により、保管位置から作業位置への自動的な移動が可能となり、作業位置において2つのアセンブリをより容易にロックすることができる。
【0022】
この構成により、初期位置を調理のために通常使用される作業位置とすることもでき、したがって、保管位置において下側に角度がついたまま、火元に近すぎる状態にあるアセンブリ1の外側が焼けるのが回避される。
【0023】
好ましくは、アセンブリ1および2を作業位置に戻す方法は、少なくとも1つのばねを含む。
【0024】
この構成により、戻りアセンブリを特に合理的な方法で使用することができる。
【0025】
1つの利点は、調理器具が、側面の縁上に置かれかつ最高地点を有するように設計された蓋を含み、蓋を調理器具の上に載せたときに、把持部が容器の上、すなわち蓋の最高地点の上よりも最大2センチメートル高い位置まで延びることである。
【0026】
「蓋の最高地点」とは、調理器具が置かれる作業面に関して最も高い地点を意味する。
【0027】
好ましくは、容器より上に延びる把持部は、最高地点より上には延びない。
【0028】
したがって、最高地点と把持部の縁辺は底面に平行な平面を形成し、これが調理器具の高さを制限する。蓋を載せた状態の調理器具をそれよりわずかに大きな調理器具の内側に重ねる際、この平面は、わずかに大きな調理器具の蓋の内面によって形成される平面に対応する。
【0029】
1つの利点は、調理器具がキャセロール(casserole)またはシチュー鍋(stewpot)であることである。
【0030】
本発明は、それが添付の図面に示されるように構成されると(ただし、これに限定されない)、最も効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1つの実施形態による、別の調理器具の中に挿入された調理器具の断面図である。
【図2】保管位置にある図1の調理器具のハンドルの断面図である。
【図3】作業位置にある図1の調理器具のハンドルの断面図である。
【図4】保管位置にある図1の調理器具のハンドルの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に示すように、調理器具(1)は基本的に円筒形であり、底面(4)、側面(5)(基本的に垂直である)および開口部(9)の縁辺を形成する上端を有する容器(3)からなり、開口部(9)から食品を調理器具の中に入れることができる。2つのハンドル(10,11)は、正反対の方位で側面(5)に取り付けられる。調理器具(1)は、特許文献3に記載された種類の2つの折り畳み式ハンドルが付いていて、側面の上端の縁辺の上に置かれて開口部(9)を閉じるように設計された蓋(6)を有していてもよい。調理器具(1)は、それよりわずかに大きな同様の調理器具(2)の中に挿入され、大きな調理器具(2)もまた蓋(7)を有していてもよい。
【0033】
図2、図3および図4に示されるように、ハンドル(10)は、側面(5)に取り付けられた基底部(12)を含む。アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は、基底部(12)の中で旋回(pivot)する。アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)はU字型を形成する。したがって、各アセンブリ(20,40)は、円形部分によって連結されて、自由な延長部(23,43)を形成する2つの枝(21,22,41,42)を有する。U字の各枝の端部には、軸受(24,25,44,45)が取り付けられて、U字の内側に延びる。U字の各枝の端部に位置付けられた軸受(24,25,44,45)は、回転軸(26,46)を形成して、それぞれアセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)を成す。2つの回転軸(26,46)は、上下に重なり、底面(4)に平行である。
【0034】
アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は基底部(12)に連結され、各アセンブリ(20,40)が垂直で基本的に側面(5)に平行となる保管位置(図2、図4)と、2つのアセンブリ(20,40)が側面から半径方向に基本的に水平方向に延びて単一ユニットを形成する作業位置(図3)と、の間で旋回する。したがって、ハンドル(10)は2つのアセンブリ(20,40)に分割され、保管位置において、側面との半径方向の干渉をより小さくする。例えば、直径18、22、16センチメートルの積み重ね可能な調理器具の場合、直径の差はほぼ4センチメートルである。したがって、保管位置では、基底部(12)、アセンブリ1(20)およびアセンブリ2(40)は、内側の垂直面(5)に向かって最大2センチメートルだけ半径方向に延びる。
【0035】
本発明では、保管位置において、アセンブリ2(40)は垂直面(5)に沿って上方に延び、容器(3)よりも高い位置に延びる。把持部(47)は、使用者がわずかにより大きい別の調理器具(2)の内部に重ねられた調理器具(1)を取り出したいときに、それを手で容易に持つことができるような大きさである。また把持部(47)は、使用者がこれら2つの調理器具を重ねたいときに、調理器具(1)が別の調理器具(2)の中の最終的な保管位置に到達するまで、その調理器具(1)を持つことができるような大きさでもある。把持部(47)は縁(48)のある端部を含み、調理器具を保管するために移動するときに、使用者の指が滑らないようになっている。
【0036】
図1に示されるように、蓋(6)は、作業面に平行な平面を形成する最高地点(8)を有する。把持部(47)は、この平面まで延びる。わずかに大きな調理器具(2)の蓋(7)の内面は、最高地点(8)の平面のすぐ上に位置付けられる。
【0037】
作業位置(図3)において、アセンブリ2(40)は容器の壁から半径方向に延びて、基本的に水平であり、アセンブリ1(20)は容器の壁から半径方向に延び、上方向に角度が付いている。アセンブリ1(20)の自由端(23)は周辺延長部(27)を含み、この周辺延長部は上方向に延びて、アセンブリ2(40)の自由端(43)を受け入れるためのハウジング(28)を形成する。したがって、作業位置では、アセンブリ2(40)の自由端(43)は、アセンブリ1(20)の自由端(23)のハウジング(28)の中に入り込み、使用者が調理器具を使用する際に使用者によって把持される単一ユニットを形成する。
【0038】
使用者が調理器具(1)を持ち上げると、アセンブリ2(40)の自由端(43)がアセンブリ1(20)の周辺延長部(27)を圧迫して力を加え、両方のアセンブリ(20,40)をロックする。したがって、この作業位置では、アセンブリ2(40)によってアセンブリ1(20)は上方に回転することができない。調理器具(1)とその中に入れられる食品の重量が大きいほど、強化する力が大きくなり、その結果、ロックがより強くなる。
【0039】
図4に示されるように、基底部(12)はベース(13)とフード(14)を含み、これらは4つのハウジング(16,17,18,19)を含む。軸受(24,25,44,45)は、各ハウジング(16,17,18,19)の中に嵌合する。調理器具(1)の側面(5)はスタッド(60)を有し、それははんだ付けされて、ねじ穴(62)を含む。フード(14)は、横方向の開口部(15)を有し、これによって固定ねじ(61)を挿入することができる。基底部(12)は、ねじ穴の中でねじ(61)を締めることによって側面(5)に取り付けられる。
【0040】
アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)の各枝(21,22,41,42)の端部は、回転軸(26,46)を取り囲む歯付き部分(29,30,49,50)を含み、これらは共同で歯車を形成する。アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は、それぞれ、軸受(25,44)に隣接して位置付けられて、2つのアセンブリ(20,40)をそれらの作業位置に戻すねじりばね(31,51)を有する。
【0041】
作業面にあるときの調理器具(1)をわずかに大きな別の調理器具(2)の中に保管するために、使用者は、片手の掌でアセンブリ1(20)の自由端(23)を押して旋回させ、歯付き部分(29,30,49,50)を使ってアセンブリ2(40)を回転させる。次に使用者は把持部(47)をつかみ、アセンブリ2(40)を垂直位置に移動させ、それによって、アセンブリ1(20)もまた垂直位置に移動して、側面(5)に沿った状態となる。この保管位置において、把持部(47)は容器(30)より高い位置にあり、それによって、使用者は調理器具(1)を持ち、それをもう一方のそれよりもわずかに大きな調理器具(2)の中に、手を離さずに挿入することができる。
【0042】
勿論、本発明は上記の実施形態には一切限定されず、図は例として提供されたに過ぎない。特に、本発明の保護範囲から逸脱することなく、別の項目を追加するか、技術的同等物と代替するという観点から、その他の変形も可能である。
【0043】
したがって、1つの実施形態において、ハンドルはアセンブリ1と2を保管位置に保持する位置と、アセンブリ1と2をその状態から解除する位置と、の間で移動するストッパを有する。したがって、移動可能なストッパが保持位置にあるときに、保管位置は安定したハンドルをもたらす。移動可能なストッパが解放されると、アセンブリ1および2は、戻りばねからの圧力を受けて、作業位置へと旋回する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面(4)と側面(5)を有する容器(3)と、側面(5)に取り付けられて、アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)で構成される少なくとも1つのハンドル(10,11)と、を含む調理器具(1)であって、
各アセンブリ(20,40)は容器(3)に連結されて、保管位置と、2つのアセンブリ(20,40)が側面(5)に対して半径方向に延びる単一ユニットを形成する作業位置と、の間で旋回し、保管位置では、各アセンブリ(20,40)が基本的に側面(5)に沿った状態となり、アセンブリ2(40)は、調理器具(1)をそれよりわずかに大きい同様の調理器具(2)の中に挿入するとき、またはそこから取り出すときに使用者が調理器具(1)を持つことができるように、容器(3)より高い位置まで延びる把持部(47)を含むことを特徴とする調理器具(1)。
【請求項2】
アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は、底面(4)に平行な回転軸(26,28)の周りに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の調理器具(1)。
【請求項3】
アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は、作業位置において相互にロックされて、単一ユニットを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の調理器具(1)。
【請求項4】
アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は、それぞれの回転において連動することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項5】
アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は、それぞれ、歯車を形成する歯付き部分(29,30,40,50)を有することを特徴とする請求項4に記載の調理器具(1)。
【請求項6】
ハンドル(10)は、アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)をその作業位置に戻すメカニズムを有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項7】
アセンブリ1(20)とアセンブリ2(40)は、少なくとも1つのばね(31,51)を使ってそれらを作業位置に戻すメカニズムを有することを特徴とする請求項6に記載の調理器具(1)。
【請求項8】
側面の縁の上に載せられて、最高地点(8)を画定するように設計された蓋(6)を有し、
容器(3)より高い位置まで延びる把持部(47)は、蓋(6)が調理器具(1)の上に載せられたときに、蓋(6)の最高地点(8)より最大で2センチメートル高い位置まで延びることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項9】
側面の縁の上に載せられて、最高地点(8)を画定するように設計された蓋(6)を有し、
容器(3)より高い位置まで延びる把持部(47)は、最高地点(8)より高い位置まで延びないことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の調理器具(1)。
【請求項10】
キャセロールまたはシチュー鍋であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の調理器具(1)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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