説明

折り畳み式シャワー支援装置

【課題】 障害者を支援するための折り畳み式シャワー支援装置を提供する
【解決手段】 折り畳み式シャワー支援装置は、(i)ヒンジ機構により互いに連結された1対の細長フレーム部材であって、各細長フレーム部材が、畳まれたポジションと組み立てられたポジションとの間でヒンジ機構まわりに回転可能となっていて、組み立てられたポジションであるときには、各細長フレーム部材の上面が同一平面内に配列され、かつ、該細長フレーム部材のうちの少なくとも1つがシャワー装置の空間部内に伸びるものと、(ii)細長フレーム部材の上面にスライド可能に取り付けられ、細長フレーム部材に沿って前後にスライドすることが可能となっているプラットホームと、(iii)プラットホームの上面に取り付けられ、使用時における直立したポジションから、非使用時における最も低いポジションに移動させられる障害者支持手段とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人、典型的には身体障害者(disabled person)がシャワーを浴びるときに、これらの人たちを支援するための折り畳み式シャワー支援装置(retractable shower support)に関するものであり、典型的にはシャワー用の折り畳み椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
肉体的な病気又は身体障害を伴った人の洗浄(washing)は面倒な仕事であり、これらの人をシャワー装置(shower)で洗浄することは、何にも増して面倒である。
【0003】
標準的なシャワー装置についての問題は、濡れているときには非常に滑りやすくなるので、身体障害を伴った人にとっては、非常に出入りしにくいということである。また、介護者が、身体障害者をかかえているときにシャワー装置内で滑ることにより、自分自身が怪我をする高い危険性も存在する。
【0004】
介護者によってシャワー装置に出入りさせられるときに人が怪我をするケースは、多々存在する。介護者は、通常、濡れており、かつ、一方の手をかかえるために用い、他方の手を洗浄するのに用いるので、身体のコントロールはさほどきかない。一般に、身体障害者は、その家に、特別な濡れ領域(wet area)を伴ったシャワー装置を設ける必要があるが、これは多大な出費を伴うとともに、常に実用的であるとは限らない。また、人が家を離れる場合、このようなシャワー装置をもって行くことはできない(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−79152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの肉体的に不自由な人又は身体障害者は、彼らを狭い領域内で世話をしようと試みる見知らぬ人のそばで、非常に恥ずかしく面倒な思いをしながら、シャワーを浴びるといった経験をするであろう。
【0006】
現在の解決手段は、一般的には、大きくて非常にかさばり、容易に輸送することができない。かくして、身体障害者は家に閉じこもりがちとなり、休日に思い切って外出することがなくなり、及び/又は、普通の社会と部分的なつながりをもつだけとなるであろう。
【0007】
既知のシャワー装置を用いる介護者は、患者をかかえてシャワー装置に出入りさせることを試みなければならないが、この場合、滑って介護者自身及び患者が怪我をする危険性が高い。
【0008】
現在の解決手段は、家の持ち主、及び/又は、行政又は慈善の機関に非常に高いコストを負担させつつ、濡れ領域を備えたシャワー装置を設けることである。シャワー用の椅子は、このような濡れ領域を備えたシャワー装置では用いることはできるが、標準的なシャワーユニット(shower unit)では用いることができない。なぜなら、介護者は、患者のまわりで移動する空間がない状態で、椅子をシャワートレー(shower tray)の上方に持ち上げて、患者にシャワーを浴びさせるようにつとめなければならないからである。
【0009】
すべての従来技術の不具合は、それらをある場所から他の場所へ容易に輸送することができず、非常に非実用的であるということである。なぜなら、それらの部品がシャワー装置又は浴室に取り残された場合、他の人が動くためのスペースがなくなるほど大きいスペースを占めるからである。
【0010】
本発明の目的は、従来技術の不具合又は制約(limitations)を改善することができ、又は少なくとも社会に有用な選択の自由を与えることができる、シャワー装置内の人(以下「障害者(invalid)」という。)を支援するための折り畳み式シャワー支援装置、典型的にはシャワー用の椅子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、障害者(invalid)をシャワー装置に出入りさせるための、典型的にはシャワー用の折り畳み椅子の形態の折り畳み式シャワー支援装置を提供する。この折り畳み式シャワー支援装置は、(i)ヒンジ機構により互いに連結された少なくとも1対の細長フレーム部材であって、各細長フレーム部材が、畳まれたポジション(stowed position)と組み立てられたポジションとの間でヒンジ機構まわりにピボット回転可能となっていて、これにより、組み立てられたポジションであるときには、各細長フレーム部材の上面が同一平面内に配列され、かつ、該細長フレーム部材のうちの少なくとも1つがシャワー装置の空間部(cavity)内に伸びるようになっているものと、(ii)細長フレーム部材の上面にスライド可能(slidably)に取り付けられ、細長フレーム部材に沿って前後にスライドする(slide、滑動する)ことが可能となっているプラットホーム(platform)と、(iii)プラットホームの上面に取り付けられ、使用時における直立したポジション(upright position)から、非使用時における最も低いポジション(lowermost position)に移動させられるようになっている障害者支持手段とを含んでいる。ここで、細長フレーム部材が組み立てられたポジションにあり、かつ、障害者支持手段が直立したポジションにあるときには、障害者支持手段の上にのっている障害者は、細長フレーム部材に沿って前後にスライドしてシャワー装置の空間部に出入りできるようになっている。折り畳み式シャワー支援装置は非使用時には畳まれ、障害者支持手段は最も低いポジションとなり、かつ、細長フレーム部材は該折り畳み式シャワー支援装置の格納及び輸送のためにヒンジ機構のまわりに回転して半分に(in half)折り畳まれる。
【0012】
本発明のもう1つの態様は、障害者をシャワー装置に出入りさせるための、典型的にはシャワー用の折り畳み椅子の形態の折り畳み式シャワー支援装置を提供する。この折り畳み式シャワー支援装置は、(i)その上でプラットホームが第1のポジションと第2のポジションとの間をスライドするようになっている少なくとも1つの細長フレーム部材と、(ii)プラットホームの上面に取り外し可能に取り付けられ、使用時における直立したポジションから、非使用時における最も低いポジションに移動させられるようになっている、障害者を支持する障害者支持手段とを含んでいる。ここで、使用時には細長フレーム部材の第1の部分はシャワー装置の空間部内に伸びるようになっており、細長フレーム部材の第2の部分はシャワー装置の空間部の外側に伸びるようになっていて、これにより、第1及び第2の部分の上面は同一平面内に配列される。プラットホームは、細長フレーム部材の第2の部分の上に位置するときにおいて第1のポジションにあるときに、障害者は障害者支持手段にのることができ、障害者支持手段が細長フレーム部材の第1の部分の上に位置する第2のポジションにスライドさせられたときに、障害者はシャワー装置の空間部内に配置されることができる。さらに、非使用時には、障害者支持手段は最も低いポジションまで低下させられることができ、かつ、細長フレーム部材は、第1及び第2の部分をともにピボット回転可能に連結するヒンジ機構のまわりに回転して、典型的には半分に折り畳まれ、これにより該折り畳み式シャワー支援装置が容易に収納され及び/又は輸送されることができる。
【0013】
障害者支持手段は、最も低いポジションにあるときには、プラットホームから取り外されて、該折り畳み式シャワー支援装置が容易に格納及び/又は輸送されることができるようになっているのが好ましい。
【0014】
プラットホームが、下側部分(lower portion)及び上側部分(upper portion)の2つの部分を含んでいて、上側部分は、下側部分に対して相対的に回転できるように、下側部分に回転可能に連結され、これにより、上側部分及び障害者支持手段が、細長フレーム部材に対して360°回転して障害者がシャワー装置内において全範囲にわたって移動することを可能にし、下側部分が、細長フレーム部材の上面にスライド可能に取り付けられて、プラットホームが細長フレーム部材に沿って前後に行き来するのを可能にしているのが好ましい。
【0015】
細長フレーム部材は、プラットホームに取り付けられた車輪が前後に移動して障害者支持手段がシャワー装置の空間部に出入りするのを可能にする軌道を含んでいるのが好ましい。
【0016】
各細長フレーム部材が、該各細長フレーム部材の下面に連結された少なくとも2つの支持脚を有し、該支持脚が、シャワートレー(shower tray)の最高地点(highest most point)の上でありかつ床の上である予め決められた高さの位置で、細長フレーム部材を支持するようになっているのが好ましい。
【0017】
各細長フレーム部材の支持脚のうちの1つ(少なくとも1つ)は、鉛直方向に長さが調整可能となっていて、これにより、該折り畳み式シャワー支援装置の高さが調整されて、該折り畳み式シャワー支援装置が水平化されるの(to be level)を可能にするようになっているのが好ましい。
【0018】
すべての支持脚が調整可能となっているのが好ましい。
【0019】
プラットホームは、典型的にはプラットホーム中心部に形成された孔を有していて、これにより、水が容易に通り抜けることができるようになっているのが好ましい。
【0020】
プラットホームが、該プラットホームに取り付けられたフットレストを有していて、これにより、障害者支持手段の上の障害者が足を休めることができ、障害者支持手段を移動させてシャワー装置に出入りするときに足が怪我するのを防止するようになっているのが好ましい。
【0021】
各細長フレーム部材がその中心でヒンジ留めされ、該細長フレーム部材が、格納及び輸送のために半分に折り畳まれることが可能となっているのが好ましい。
【0022】
車輪は、ナイロンの車輪又はボールベアリングの車輪であるのが好ましい。
【0023】
プラットホームは、障害者が障害者支持手段に出入りさせられるときに該プラットホームが移動するのを防止するロック手段(locking means)を有しているのが好ましい。
【0024】
ロック手段がロックボルト又はロックピンであって、該ロックボルト又はロックピンが、細長フレーム部材の上の協働孔と係合するようになっているのが好ましい。
【0025】
障害者支持手段は、シートと、該シートに対して下側に位置する4本の椅子脚と、背もたれと、2本のアームレストとを有する椅子であるのが好ましい。
【0026】
シートと椅子脚と背もたれとは、互いにピボット回転可能に連結されているのが好ましい。
【0027】
椅子の後側の椅子脚が、プラットホームの上部に取り外し可能に固定され(また、前側の椅子脚はプラットホームの上部に取り外し可能に固定され、)、椅子が障害者を支持するために直立したポジションで固定され、かつ、そこから取り外されるようになっていて、椅子が非使用時には最も低い位置まで低下することが可能となっているのが好ましい。
【0028】
シートは、トイレットシート(便座)の形態であるのが好ましい。
【0029】
トイレットシートは、その洗浄のために及び/又は交換のために取り外し可能であるのが好ましい。
【0030】
トイレットシート又はシートは、プラスチック材料でつくられているのが好ましい。
【0031】
アームレストは、取り外し可能であり、これにより、該アームレストが取り外されたときに障害者を椅子に出入りさせることができ、かつアームレストが取り付けられたときに障害者をシートに固定することができるようになっているのが好ましい。
【0032】
該折り畳み式シャワー支援装置は、軽量であり、多用途であり、かつ固い材料、典型的にはアルミニウムもしくはプラスチック材料又はその他の同種の適切な既知の材料でつくられているのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照しつつ、単なる例示として、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1に示す折り畳み式シャワー支援装置は、本発明の好ましい実施の形態である。図1に示すように、折り畳み式シャワー支援装置Aは、第2の細長フレーム部D(elongate frame portion)に沿って位置決めされる(situated)椅子Bを伴った使用ポジション(使用形態)で示されている。椅子Bはシート8を有し、このシート8には、その下側に位置する内側及び外側の椅子脚10、28、12、25と、背もたれ50(back rest)と、取り外し可能なアーム3とが取り付けられている。背もたれ50は、外側の椅子脚12、25の上部1(upper portion)に取り外し可能に取り付けられている。取り外し可能なアーム3の前部は、内側の椅子脚10、28の上部(upper portion)に取り外し可能に取り付けられている。また、取り外し可能なアーム3の後部は、背もたれ50の側部の上部に取り付けられている。背もたれ50及び取り外し可能なアーム3の側部の上部は、好ましくは管状であり、アルミニウムもしくはプラスチック材料又は任意の類似の(similar)軽量材料でつくられている。
【0034】
図1に示す内側の椅子脚10、28及び外側の椅子脚12、25は、それぞれ、互いに十字交差(criss-crossing)したものであり、ボルト−ナット結合(bolt-nut combination)などの適切な留め具11、26(fastener)により、内側及び外側の対応する各椅子脚にピボット回転可能に取り付けられている。背もたれ50は、快適さを得るために、好ましくゴム材料でつくられている。なお、背もたれ50は、人又は障害者を椅子Bに拘束する必要がある場合に拘束紐(retraining strap)を取り付けることができるように、切り抜かれたスロット4(細長い穴)を有していてもよい。
【0035】
椅子Bは、下側部分44(lower portion、図7、図8参照)と該下側部分44に回転可能に取り付けられた上側部分23(upper portion)とを有するプラットホーム(platform:基台)に取り外し可能に取り付けられている。このプラットホームは、第2の細長フレーム部Dと、該第2の細長フレーム部Dにピボット回転可能に連結された第1の細長フレーム部Cとを有する細長フレーム部材(elongate frame member)の軌道15(track)の上でスライド(滑動)するようになっている。細長フレーム部材は、ゴム製の足18(feet)を備えた、下向き取り付けられた支持脚20を有している。これらの支持脚20は、典型的には、細長フレーム部材の下側に調節可能(長さないしは高さが)に取り付けられている。これらの支持脚20は、折り畳み式シャワー支援装置Aを、シャワー装置の内外において床の上であり、かつ、シャワートレーの最高地点の上である位置に配置し、水平化することを可能にする。支持脚20は、細長フレーム部材に固定された脚支持部16、21内の、あるいはは細長フレーム部材内の、ネジが切られた孔部と協働するネジ付きシャフトを有している。
【0036】
非使用時又は運搬時には、細長フレーム部材は二つ折りないしは半分に(in half)折り畳まれる。その結果、折り畳み式シャワー支援装置Aを格納することができ、又は、他の場所に輸送することができる。図5は、部分的に折り畳まれた状態における第1及び第2の細長フレーム部C、Dを示し、図2は好ましく完全に折り畳まれた状態における、プラットホーム23(椅子は図示せず)を伴った細長フレーム部C、Dを示している。
【0037】
長さないしは高さが調節可能な支持脚20は、椅子Bをスライドさせてシャワー装置に出し入れするとき、及び、シャワートレーの床がシャワー装置外の床よりも高いとき(これが、通常の場合である)に、細長フレーム部材を水平(level)に保つようになっている。
【0038】
図5及び図6に示すように、第1及び第2の細長フレーム部C、Dは、ヒンジピン33(hinge pin)及びヒンジ受け入れ手段35(hinge receiving means)を備えたヒンジ機構により、互いにピボット回転可能にヒンジ結合(ちょうつがい結合)されている。このヒンジ機構は、その2つの構成部品をヒンジ機構のまわりに回転させ、かつ、容易に取り外すことを可能にする。その結果、ヒンジピン33を取り外すことにより、2つの細長フレーム部C、Dを分離することができる。これは、シャワー装置のドアを閉めることが望ましい状況、又は、椅子Bに座っているシャワー装置内の障害者にアクセスする(近づく)ことが望ましい状況では、非常に有用である。細長フレーム部Dは、シャワー装置内にぴったり収まるようにその寸法が調整され、かつ、シャワー装置の床の上で該細長フレーム部Dを支持している4つの支持脚20ないし足18を有している。細長フレーム部Cは、その寸法が調整され、細長フレーム部Dから外向きに伸長するようになっており、好ましく、細長フレーム部Cの自由端19の下にだけ、隣り合う2つの支持脚20ないし足18を有している。
【0039】
プラットホームの上側部分23は、椅子脚受け入れ支持部22(図1、図8参照)を有している。椅子脚受け入れ支持部22は、椅子Bが輸送されるのを可能にするようになっている。さらに、椅子Bは、各椅子脚受け入れ支持部22から内側及び外側の椅子脚10、28、12、25を1つずつ取り外すことにより、プラットホームから取り外すことができる。これらの図に示すように、脚受け入れ支持部22は、C字形の断面を有するものであり、椅子脚10、28、12、25はC字形の開口部(mouth)で支持されている。その他の既知の形態のブラケット及びクランプ手段を用いることができるということが理解されるであろう。
【0040】
プラットホームの上側部分23及び下側部分44は、ボルト/ワッシャ手段48、30により、互いに回転可能に結合されている。上記2つの部分23、44間の相対的な回転を助勢するために、プラスチック材料、好ましくはウルトラwpeプラスチック24(ultra wpe plastic)が、上記2つの部分23、44間に配置されている。上側部分23、ひいては椅子Bは、低い方のプラットホームと折り畳み式シャワー支援装置Aのその他の部分とに対して360°回転することができる。その結果、椅子Bを、所望の方向に自由に回転させることができ、かつ、折り畳み式シャワー支援装置Aを使用している障害者がシャワー装置内で十分に回転移動することを可能にし、ひいては障害者が全身を洗浄し、かつ全身にシャワーを浴びることを可能にする。図1、図4及び図8に示すように、プラットホームの下側部分44には、フットレスト14が、ヒンジ39を介してピボット回転可能に取り付けられている。このフットレスト14は、障害者の足を支持した状態で、該障害者を細長フレーム部材に沿ってシャワー装置内にスライドさせることを可能にする。非使用時には、フットレスト14は、跳ね上げる(立ち上げる)ことができる(図6参照)。
【0041】
図7及び図8は、折り畳み式シャワー支援装置Aをスライド動作させるための好ましい機構ないし装置を示している。細長フレーム部材は、軌道車輪42を収容するように形成されている2つの平行な軌道15(軌道部材)を有し、これによりプラットホームに固定された軌道車輪42が走行することができるようになっている。プラットホームの下側部分44には、縦長の車輪支持部38、46が設けられている。
【0042】
車輪支持部38、46は、互いにある距離を隔てて平行に配置され、軌道車輪42が各軌道15又は細長フレーム部材に沿って走行することを可能にする。図8には、車輪支持部38、46の各端部に隣り合って固定された、各車輪支持部に2つずつ設けられた、4つの軌道車輪42を示している。これらの軌道車輪42は、自由に回転できるように、ナット及びボルト手段43、45により、車輪支持部38、46に取り付けられている。なお、車輪−車軸の組み合わせなどのその他の形態の車輪組立体も用いることができることが理解されるであろう。軌道15は、好ましくC字形に形成され、車軸/シャフト45及びロックナット43を有する軌道車輪42を収容するようになっている。これにより、車軸/シャフト45は、ブラケット41の孔を通り抜け、ロックナット43は、車軸/シャフト45をブラケット41に固定する。ブラケット41はプラットホーム23(上側部分)を支持し、その結果、使用時には、プラットホームは、軌道15内を移動する軌道車輪42により、折り畳み式シャワー支援装置Aに沿ってその長手方向に前後に移動することができる。
【0043】
椅子Bは、好ましくアルミニウムでつくられ、軽量であってさびることもなく、軌道15の側部のハンドル36(取っ手)によって容易に運搬(担持)することができる。折り畳み式シャワー支援装置Aの寸法は、好ましくは、長さが140mmであり、幅が400mmである。折り畳み式シャワー支援装置Aは、軽量のアルミニウムでつくられ、任意の寸法のシャワー装置に適合する。アルミニウムに代えて、多用途で、固くかつ軽量であるその他の既知の適切な材料も用いることができるということが理解されるであろう。
【0044】
肉体的に不具合がある人又は身体障害者にシャワーを浴びさせるときに、折り畳み式シャワー支援装置Aは、介護者が彼らを伴って濡れた領域に入る必要がなくなることを可能にする。かくして介護者は、滑ったり、濡れたりすることはなく、怪我の危険もない。身体障害者は、シャワー装置の外の椅子Bに座らされ、この後シャワー装置内に運び入れられる。そして、身体障害者は、シャワーを終えたときに、濡れた領域から運び出され、身体障害者又は介護者の怪我の危険もなく、体を乾かすことができる。人々が狭い空間でシャワーする必要がないので、シャワーに要する時間を半分に低減することができる。
【0045】
身体障害者及び老人は、休日に遠くへ出かけることができ、あるいは、他人の家に滞在することができる。この場合、折り畳み式シャワー支援装置Aは持ち運び可能であり、かつ容易に格納できるので、彼らはどこででもシャワーを浴びることができるということが分かる。使用後は、折り畳み式シャワー支援装置Aは、折り畳んでシャワー装置内、ベッドの下、あるいは戸棚の中に収容することができ、またおそらく自動車のトランク内にも収容することができる。
【0046】
ゴム製の足18は、その中にモールドされた(molded)12mmのステンレススチール製のナット34を有している。ナット34は、12mmのネジ付きロッド20に接続されて上下の調節を可能にしている。ステンレススチール製のネジ付きロッド20は、35×65mmの丸い固いチューブ21(中心をタップダウンされ(tapped down)、ネジ付きロッドがねじり込まれ又はねじり出されるのを可能にする穴部を備えている)に接続されている。35×65mmの丸い固いチューブ21は、軌道15の側面に溶接され、ユニットの重量を支えている。軌道15は、両軌道間に溶接され、使用時にかけられる重量が変化したときにベースユニットが撓むのを食い止める50×20×3mmのアングル19を有している。軌道15の前後の2つの断面(端面)は、2mmのステンレススチール製の留めピン33によってともに連結され、これにより、シャワー装置のドアを閉めるべきときに軌道15の前部を離脱させることができる(図6参照)。
【0047】
前側のフットレスト14は、椅子Bへのアクセス(着座)を容易にするために、折り畳み及び平坦にすることができる。フットレスト14は、2つの90mmのステンレススチール製のバットヒンジ39(背出しちょうつがい)で、プラットホーム44(下側部分)にヒンジ留めされている。補強のために前側のフットレスト14の下にリベット留めされた50×50×4mmのアングル40、41が存在し、このアングル40、41もまた、前側のフットレスト14が軌道15と接触するのを食い止める。
【0048】
ユニットがヒンジ35によりヒンジ留めされている軌道15の中央に、容易に持ち上げるためのハンドル36(取っ手)が存在する。ステンレススチール製の車軸45に連結され、軌道15を行き来して走行する4つのプラスチック製の軌道車輪42が存在する。車軸45は、下側プラットホーム44にリベット留めされた50×50×4mmのアングル38、46にボルト締結されている。上部プラットホーム23を360°旋回させるために、下側プラットホーム44は、該プラットホーム44(下側部分)にリベット留めされたウルトラwpeプラスチック24を有している。
【0049】
3つのレベル(levels)が、ともに、中心の20mmのステンレススチール製のボルト30でもってボルト締結されている。ここで、椅子Bは、上部プラットホームリテーナ22(固定器具)に挟まり(clip into)、移動することはできない。椅子Bは、ともに10mmのステンレススチール製のボルト26に固定された4つの50×12mmの椅子脚10、12、25、28を有している。これらの椅子脚10、12、25、28は、上部プラットホームリテーナ22に挟まる椅子脚10mmのステンレススチール製のボルト26に固定された4つの50×12mmの椅子脚10、12、25、28の各端部に溶接された25mmの丸いチューブ13を有している。シート8は、該シート8の下側に溶接された2つの30mmのチューブ49を有している。シート8は25mmのチューブ13のまわりにぴったりはまり、このため、シート8は自由に行き来して(up and down)移動することができる。ゴム製のパッド5を備えた背もたれ50は、椅子Bの後側の椅子脚25、12の頂部に溶接された30mmのチューブ2に挟まれている。かくして、アーム3は背もたれ50のチューブ2の頂部にぴったりはまり、アーム3の前部は、椅子Bの前側の椅子脚28、10の頂部に配置された前側チューブ9に挟まれる。トイレットシート6は、アルミニウムシート8にボルト締結されている。
【0050】
図2に示すように、通常、折り畳み式シャワー支援装置Aは、使用前には、格納及び運搬を容易にするために、椅子Bが取り外され、解体された状態にある。使用するためには、折り畳み式シャワー支援装置Aは、細長フレーム部材の2つの細長フレーム部C、Dをヒンジ機構のまわりの回転運動で伸長させることにより、折り畳み状態が解除される。その結果、これらの2つの細長フレーム部C、Dは、図4に示すように、同一水平面内に並ぶ。この後、伸長させられた細長フレーム部材の2つの細長フレーム部C、Dは、その一方がシャワー装置の空間部(cavity)内に配置されるとともに、他方がシャワー装置の空間部(空洞)の外に伸長するといった形態で、シャワー装置の空間部内に挿入される。この段階で、支持脚20を、折り畳み式シャワー支援装置Aを水平化する(level)ために調節することができる。この後、椅子脚10、12、25、28の1つを、プラットホーム上の椅子脚支持部22の1つに対して位置決めすることにより、スライド可能なプラットホームに椅子Bが取り付けられる。この状態において、椅子Bは、使用することが望まれるまで解体された状態(knockdown state)のままであってもよい。使用状態において組み立てるためには、その他の椅子脚10、12、25、28がその他の椅子脚支持部22に挿入される。組み立てが必要な状態になれば、背もたれ50、サイドアーム3及び引き具(harness)を所定の位置に取り付けることができる。また、フットレスト14も水平位置におろすことができる。この後、組み立てられた折り畳み式シャワー支援装置Aを使用することができる。障害者を折り畳み式シャワー支援装置Aにのせるために、椅子Bはプラットホームとともにスライドさせられて、シャワー装置の空間部の外の細長フレーム部材の一部に配置される。椅子B及びプラットホームは、障害者を椅子Bに収容して配置するために回転させることができる。もし必要であれば、この後、障害者及び/又は介護者が怪我をするのを防止するために、障害者を拘束すべく椅子に押さえ込む(harness)ことができる。障害者が椅子に取り付けられれば、椅子B及びプラットホームを細長フレーム部材の軌道15に沿ってシャワー装置の空間部内へスライド(滑動)させることにより、障害者は、シャワー装置の空間部内に運び込まれる。かくして、障害者と椅子Bとプラットホームとが、シャワー装置の空間部内において細長フレーム部材の一部分の上に配置される。シャワーが完了すれば、障害者(患者)はシャワー装置の空間部から運び出され、乾かされ、椅子Bからおろされる。非使用時には、折り畳み式シャワー支援装置Aは、解体し、格納し、あるいは他の障害者による使用のために他の場所に運搬することができる。
【0051】
(部品の置き換え)
1. 軌道は、ステンレススチール製のものに代えてもよい。
2. 折り畳み式シャワー装置の類(mate)を構築するのに用いられる材料は、より軽くより強い材料に代えてもよい。
3. ナイロン製の軌道車輪は、ステンレススチール製のボールベアリングに代えてもよい。
4. 椅子のシート及び背もたれは、プラスチック製のものであってもよい。
【0052】
(商業上ないしは実用上の利点)
1. 時間を節約することができる。
2. 介護者の怪我が生じない。
3. コスト性がよい。
4. 軽量である。
5. 持ち運び可能である。
6. コンパクトである。
7. 容易に組み立てることができる。
8. 環境に優しい。
9. 容易にリサイクル(再使用)することができる。
10. 美観に優れている。
11. 丈夫(堅固)である。
【0053】
(変形例)
本明細書のすべての記述において、「含む(comprise)」との語句、及び、この語句の変形体、例えば「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」などは、他の追加的な部品、整数(integer)、ステップ(step)などを排斥する意図を有するものではない。
【0054】
本明細書における上記の説明は、本発明の例示としてなされたことはもちろんであり、当業者にとっては、特許請求の範囲に規定された本発明の広い範囲及び領域内に属するであろう、種々のあらゆる修正及び変形は自明なことであるということが認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る、組み立てられた折り畳み式シャワー支援装置の斜視図である。
【図2】本発明の好ましい実施の形態に係る、障害者支持手段を取り除いた、折り畳まれた折り畳み式シャワー支援装置の斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施の形態に係る、シャワー装置に配置された折り畳み式シャワー支援装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の好ましい実施の形態に係る、障害者を載せるポジションにおける、組み立てられた折り畳み式シャワー支援装置の斜視図である。
【図5】本発明の好ましい実施の形態に係る折り畳み式シャワー支援装置のためのヒンジ装置を示す拡大斜視図である。
【図6】本発明の好ましい実施の形態に係る解体されたヒンジ装置を示す拡大斜視図である。
【図7】本発明の好ましい実施の形態に係る折り畳み式シャワー支援装置のスライド軌道装置を示す図である。
【図8】本発明の好ましい実施の形態に係る折り畳み式シャワー支援装置のプラットホームの下面を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 椅子の背もたれを固定するためのアルミニウム製のチューブ
2 アームを取り付けるための、背もたれに溶接されたアルミニウム製のチューブ
3 アルミニウム製の椅子のアーム
4 拘束紐を取り付けるための、背もたれに切り抜かれたスロット(細長い穴)
5 背中を快適にするためのゴム製のパッド
6 プラスチック製のトイレットシート(便座)
7 自己浄化を容易にするためのアルミニウムシートの穴部
8 アルミニウムシート
9 アームを椅子の前部に取り付けるためのアルミニウム製のチューブ
10 アルミニウム製の内側の椅子脚
11 椅子脚をともに固定するための、ステンレススチール製の10mmロックナット
12 アルミニウム製の外側の椅子脚
13 椅子脚のためのチューブ状の底部支持部材
14 フットレストプラットホーム
15 椅子の軌道車輪のためのアルミニウム製の軌道
16 右側のアルミニウム製の足のレベル調節支持部
17 軌道のためのアルミニウム製のエンドキャップ
18 取り外し及び交換を容易にするための、モールドされたステンレス製の12mmナットを伴ったゴム製の足
19 補強のための、50×3mmアングルクロス部材
20 椅子を水平にするための、ステンレススチール製の12mmネジ付きロッド
21 左側のアルミニウム製の足のレベル調節支持部
22 プラットホームの上側部分のための、チューブ状の底部支持部のためのアルミニウム製のロック
23 その上に椅子を載せるためのプラットホームの上側部分
24 椅子を360°回転させるためのウルトラwpeプラスチック
25 アルミニウム製の外側椅子脚
26 椅子脚を固定するためのステンレススチール製の10mmボルト
27 トラックを曲がらないように支持するための、アルミニウム製のアングルアイアン(山形鋼)
28 アルミニウム製の内側椅子脚
29 アームを椅子に保持するためのクリップベアリング(挟み軸受け)
30 トッププラットホームの回転を可能にするためのステンレススチール製の20mmボルト
31 シャワー椅子に座っている女性
32 シャワーのドア
33 前側及び後側のトラックをともにロックするためのステンレススチール製のロックピン(固定ピン)
34 足が移動するのを防止するための12mmロックナット
35 ユニットを折り畳み、かつシャワーのドアを閉じるために前部を取り外すためのヒンジ
36 ユニットを持ち上げるためのハンドル(取っ手)
37 足が移動するのを防止するための12mmロックナット
38 左側のアルミニウム製のアングル状の50×50×4mm下側プラットホーム支持部
39 前側のフットレストを昇降させるための、ステンレススチール製の90mmバットヒンジ(背出しちょうつがい)
40 フットプラットホームを支持するための、右側の50×50×4mmアングル
41 フットプラットホームを支持するための、左側の50×50×4mmアングル
42 トラックの上下でプラットホームを走行させるプラスチック製の軌道車輪
43 軌道車輪が外れるのを防止するための10mmロックナット
44 アルミニウム製のプラットホームの下側部分
45 ステンレススチール製の車軸
46 ボトムプラットホームを支持するための右側の50×50×4mmアングル
47 つなぎ合わせるためのアルミニウム製のリベット
48 ステンレススチール製のワッシャ
49 シートチューブ
50 背もたれ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害者をシャワー装置に出入りさせるための折り畳み式シャワー支援装置(A)であって、
(i) ヒンジ機構(33、35)により互いに連結された少なくとも1対の細長フレーム部材(C、D)であって、各細長フレーム部材(C、D)が、畳まれたポジションと組み立てられたポジションとの間で上記ヒンジ機構(33、35)まわりにピボット回転可能となっていて、これにより、組み立てられたポジションであるときには、各細長フレーム部材(C、D)の上面が同一平面内に配列され、かつ、該細長フレーム部材(C、D)のうちの少なくとも1つがシャワー装置の空間部内に伸びるようになっているものと、
(ii) 上記細長フレーム部材(C、D)の上面にスライド可能に取り付けられ、上記細長フレーム部材(C、D)に沿って前後にスライドすることが可能となっているプラットホーム(23、44)と、
(iii) 上記プラットホーム(23、44)の上面に取り付けられ、障害者をのせるシート(8)と該シート(8)を支持する脚部(10、12、25、28)とを備えていて、上記シート(8)を上向き及び下向きに移動させ、かつ、使用時における直立したポジションから、非使用時における最も低いポジションに移動させられるようになっている障害者支持手段とを含み、
上記細長フレーム部材(C、D)が組み立てられたポジションにあり、かつ、上記障害者支持手段が直立したポジションにあるときには、上記障害者支持手段の上記シート(8)の上にのっている障害者が上記細長フレーム部材(C、D)に沿って前後にスライドしてシャワー装置の空間部に出入りできるようになっていて、
該折り畳み式シャワー支援装置は非使用時には畳まれ、上記障害者支持手段は最も低いポジションとなり、かつ、上記細長フレーム部材(C、D)は、上記ヒンジ機構(33、35)のまわりに回転して上記細長フレーム部材(C、D)の長手方向に関して半分に折り畳まれるようになっていることを特徴とする折り畳み式シャワー支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−220968(P2008−220968A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100441(P2008−100441)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【分割の表示】特願2005−23389(P2005−23389)の分割
【原出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(505038335)シャワーバディ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SHOWERBUDDY LIMITED
【Fターム(参考)】