説明

折り畳み式囲い部材

【課題】設置された囲い部材の領域より大きくなることなく畳むことができ、かつ一工程で畳むことができる折り畳み式囲い部材を提供すること。また、囲いの状態に設置する際に、常に開口が矩形形状を保つことができる折り畳み式囲い部材を提供すること。
【解決手段】第1側面形成部材10a、第2側面形成部材10bをコの字状に三つ折りにする。そして、第1側面形成部材10aの第1左側側面形成面13aが第2側面形成部材10bの第2左側側面形成面13bの外側に配置されるように重ね合わせ、他方、第2側面形成部材10bの第2右側側面形成面12bが第1側面形成部材10aの第1右側側面形成面12aの外側に配置されるように重ね合わせる。その後、第1側面形成部材10aの第1左側側面形成面13aの端部と第2側面形成部材10bの第2左側側面形成面13bの面とを結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式囲い部材に関し、特に路上に設置されて収納領域を形成するための折り畳み式囲い部材に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、折り畳み可能な自立型囲い部材として、シート部材若しくは網状部材より形成される四つの矩形面を有し、平面及び底面が開放された角筒状に形成される折り畳み可能な自立型囲い部材であって、各矩形面の間で屈曲自在となるように各稜線若しくは各稜線の近傍に形成される袋体と、該袋体の内部に挿入されて各稜角において互いに間隔を空けて設けられる剛性部材と、一の矩形面とこれに隣接する他の矩形面との間を開閉可能に連結する連結開閉手段とを備えることを特徴とする折り畳み可能な自立型囲い部材を提案している(特許文献1)。
【0003】
しかし、かかる自立型囲い部材では、図14に示すように、一旦、対向する面を水平にずらして平らに潰した後に二つ折りにしなければならない。そのため、一旦、正面の面積の2倍の面積を有する長方形の平板状になるので、取り扱いづらく、また狭い場所で折り畳むのは困難であった。また、畳む際に、ずらして平板状にし、その後に二つ折りにするという2工程を必要とするため、手間がかかるものであった。さらに、二つ折りにするためには、正面の幅と側面の幅が同じ幅でなければならないため、開口が正方形でなければならず、長方形の開口を有する自立型囲い部材を作製することができないという問題があった。また、前述した自立型囲い部材は設置する者が目視で立方体となるように設置しなければならない。そのため、設置した際に開口が平行四辺形をなすように設置されることがあり、開口が平行四辺形をなすと収納領域の体積が小さくなってしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2007−153403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、こうした課題を鑑みてなされたものであり、拡げた状態からはみ出すことなく囲い部材の領域内で折り畳むことができ、かつ一工程で畳むことができる折り畳み式囲い部材を提供することを主目的とし、また、囲いの状態に拡げる際に、常に開口を容易に矩形形状にすることができ、かつ矩形形状を保つことができる折り畳み式囲い部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために、以下の手段を採った。
【0006】
本発明にかかる折り畳み式囲い部材は、矩形の中央面と、前記中央面の両側に設けられた矩形の左側側面形成面と右側側面形成面と、を有し、かつ前記中央面と前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面とが屈曲されて三つ折り可能な2つの側面形成部材で形成される少なくとも4面を有する枠体を備え、
前記枠体は、2つの前記側面形成部材のそれぞれの前記左側側面形成面同士及び前記右側側面形成面同士を重ねて、外側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の端部が、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の一部を内側に延出させた延出片を有するように、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面上に回動可能に結合されてなる2つの連結側面部と、2つの前記中央面と、からなることを特徴とする。
【0007】
本発明の折り畳み式囲い部材によれば、連結側面部が外側に配置された左側側面形成面及び右側側面形成面の端辺と内側に配置された左側側面形成面及び右側側面形成面の面上とが回動自在に連結されているので、連結側面部は内側へ二つ折り可能になる。そのため、連結側面部を内側へ折り畳みながら2つの中央面を接近させることによって、中央面の面積を有する板状に折り畳むことができる。よって、コンパクトで取り扱い易い折り畳み囲い部材とすることができる。また、その際に略立方体又略直方体の状態になっている囲い状態の領域内で折り畳むことができるので、狭い場所であっても容易に折り畳むことができる。また、延出片が連結側面部の内側に配置されているので、延出片が外側に配置された側面形成面に当接されて連結側面部が外側へ膨らむことが防止される。そのため、折り畳み式囲い部材内に収納物を収納した際に、連結側面部が外側へ膨らむのを防止することができ、立方体の形状を保持しやすい。
【0008】
また、本発明にかかる折り畳み式囲い部材は、矩形の中央面と、この中央面の両側に設けられた矩形の左側側面形成面と右側側面形成面と、を有し、前記中央面と前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面とが屈曲されて三つ折り可能な2つの側面形成部材を備え、
2つの前記側面形成部材のそれぞれの前記左側側面形成面同士及び前記右側側面形成面同士を重ねて、外側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の端部が、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の一部を内側に延出させた延出片を有するように、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面上に回動可能に結合されてなる2つの連結側面部と、2つの前記中央面と、からなる略四角柱状の枠体を形成されてなり、
前記枠体のそれぞれ隣接する2つの前記連結側面部及び2つの前記中央面の底辺間に架設された4つの屈曲又は湾曲可能な架設部材を備えていてもよい。
【0009】
本発明の折り畳み式囲い部材によれば、連結側面部が外側に配置された左側側面形成面及び右側側面形成面の端辺と内側に配置された左側側面形成面及び右側側面形成面の面上とが回動自在に連結されているので、連結側面部は内側へ二つ折り可能になる。そのため、連結側面部を内側へ折り畳みながら2つの中央面を接近させることによって、中央面の面積を有する板状に折り畳むことができる。よって、コンパクトで取り扱い易い折り畳み囲い部材とすることができる。また、その際に略立方体又略直方体の状態になっている囲い状態の領域内で折り畳むことができるので、狭い場所であっても容易に折り畳むことができる。また、延出片が連結側面部の内側に配置されているので、延出片が外側に配置された側面形成面に当接されて連結側面部が外側へ膨らむことが防止される。そのため、折り畳み式囲い部材内に収納物を収納した際に、連結側面部が外側へ膨らむのを防止することができ、立方体の形状を保持しやすい。さらに、2つの連結側面部及び2つの中央面のうち、それぞれ隣接する面に架設された4つの架設部材を備えているので、隣接する面部は90°以上に開くことはない。従って、枠体は立方体又は直方体の形状に開口され、平行四辺形の上面を有する状態に組み立てられることが防止される。
【0010】
また、本発明にかかる折り畳み式囲い部材として、内側に配置された延出片は、外側に配置された左側側面形成面の幅又は右側側面形成面の幅より短くてもよい。
【0011】
すなわち、本発明の延出片は、必ずしも左側側面形成面の幅及び右側側面形成面の幅と同じ幅である必要はなく、枠体の内側へ延出していれば構わない。かかる構成を採用することによって、正面の幅より、側面形成面の幅が長い直方体の囲い部材であっても、延出片の長さを調整することによって、干渉することなく折り畳むことが可能な折り畳み式囲い部材となる。
【0012】
さらに、本発明にかかる折り畳み式囲い部材として、内側に配置される左側側面形成面及び右側側面形成面の幅の合計が、中央面の幅以下であってもよい。
【0013】
かかる構成を採用することによって、折り畳む際に、対向する連結側面部の2つの延出片が干渉することなく、よりコンパクトに折り畳むことができる。
【0014】
さらに、本発明に係る折り畳み式囲い部材として、前記延出片と、外側に配置される左側側面形成面及び右側側面形成面と、を固定可能な固定部材を備えていてもよい。
【0015】
かかる構成を採用することによって、一旦囲い部材を組み立てた後に、連結側面形成面が内側に折り畳まれるのを防止することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る折り畳み式囲い部材として、中央面の下辺に連設され、連設部において枠体内側に折り畳み可能に設けられている底面板を有してもよい。
【0017】
かかる構成を採用することによって、箱状の収容容器として使用することができるようになる。しかも、底面板を設置した場合には、連結側面部を支持する支持部材としての機能をも有するため、囲いの状態の際に連結側面部が内側へ折り畳まれるのを防止することができる。また、底面板は、枠体の底面に設けられた架設部材によって、底面位置で位置決めされるので、特に底面位置で位置決めする手段を新たに設ける必要がない。
【0018】
さらに、本発明に係る折り畳み式囲い部材として、一方の前記側面形成部材の前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面のいずれもが前記連結側面部の内側に配置されてなり、
前記底面板は、一方の前記側面形成部材の前記中央面の下辺に設けられていてもよい。
【0019】
係る構成を採用することによって、底面板を底面位置に倒す際に、底面板は延出片を押し広げるように移動するため、底面板が延出片の端部にぶつかることなく、スムーズに底板位置へ移動させることができる。また、延出片は、囲い状態に設置した場合に、若干枠体の内側に配置されることになるが、この状態からいわば無理押しして底面板を底板位置に配置することによって、内側に押圧する延出片の力と、外側へ押圧する底面板の力とが互いに支持し合って、より堅固な囲い状態を保持することができる。
【0020】
さらに、本発明に係る折り畳み式囲い部材として、底面部には、把持部を備えていてもよい。
【0021】
かかる構成を採用することによって、把持部を摘んで持ち上げることによって底面板を容易に底板位置から起こすことができる。
【0022】
さらに、本発明に係る折り畳み式囲い部材として、枠体の内側の平面形状と同様の形状を有し、枠体内側に配置される蓋体を備えていてもよい。
【0023】
かかる構成を採用することによって、上面が覆われた囲い部材とすることができる。この際に蓋部材は枠体の内側に配置されているので、枠体上方側で2つの連結側面部、及び2つの中央面を支持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る折り畳み式囲い部材によれば、畳む際に略立方体又略直方体の状態になっている囲い状態の領域内で折り畳むことができ、かつ一工程で畳むことができる折り畳み式囲い部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態にかかる畳み式囲い部材100の側面形成部材10の構成の概略を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の組み立て方法の概略を示す斜視図である
【図4】第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の側面形成部材10の結合方法の構成の概略を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の延出片17a、17bの構成の概略を示す斜視図である。
【図6】第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の架設部材50の構成の概略を示す透視斜視図である。
【図7】第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の折り畳み方法の概略を示す平面図である。
【図8】第2実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の折り畳み方法の概略を示す平面図である。
【図10】第3実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す透視斜視図である。
【図11】第4実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す透視斜視図である。
【図12】変形例の折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す斜視図である。
【図13】さらなる変形例の折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す斜視図である。
【図14】従来例の折り畳み自立型囲い部材の構成の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、幅の長さとは、図2にいうαやβの方向の長さをいう。
【0027】
(第1実施形態)
第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100は、図1に示すように、2つの第1側面形成部材10a、第2側面形成部材10bを組み合わせて、4つの側面を有する矩形の筒状に形成してある。4つの側面は、相対向する第1中央面11aからなる正面部、第2中央面11bからなる背面部と、相対向する2つの左側連結側面部40a、右側連結側面部40bとからなる。それゆえ、折り畳み式囲い部材100は、上面及び底面が開放された、全体として立方体状又は直方体状の筒状の枠体30を構成する。
【0028】
第1側面形成部材10a、第2側面形成部材10bは、段ボールプラスチックで作製されており、第1側面形成部材10aは、図2aに示すように、長方形の第1中央面11aと、この第1中央面11aに屈曲部14でそれぞれ屈曲可能に連結された長方形の第1右側側面形成面12a及び第1左側側面形成面13aとを有し、コの字状に三つ折り可能に形成されている。第1右側側面形成面12aの幅α及び第1左側側面形成面13aの幅γは、中央面の幅βよりも短く形成されている。また、第1右側側面形成面12aの幅αは、第1左側側面形成面13aの幅γより、長く形成されている。
【0029】
他方、第2側面形成部材10bは、図2bに示すように、長方形の第2中央面11bと、この第2中央面11bに屈曲部14で屈曲可能に連結された長方形の第2右側側面形成面12b及び第2左側側面形成面13bとを有し、コの字状に三つ折り可能に形成されている。第2右側側面形成面12bの幅γ’及び第2左側側面形成面13bの幅α’は、第2中央面の幅β’よりも短く形成されている。また、第2右側側面形成面12bの幅γ’は、第2左側側面形成面13bの幅α’より、短く形成されている。第1右側側面形成面12aの幅αと第2左側側面形成面13bの幅α’は同じ長さに形成され、第1中央面の幅βと第2中央面の幅β’は同じ長さに形成され、第1左側側面形成面13aの幅γと第2右側側面形成面の幅γ’は同じ長さに形成されている。
【0030】
こうして作製された第1側面形成部材10a及び第2側面形成部材10bは、以下のようにして枠体30を作製する。まず、図3に示すように、第1側面形成部材10a、第2側面形成部材10bをコの字状に三つ折りにする。そして、第1左側側面形成面13aが第2左側側面形成面13bの外側に配置されるように重ね合わせ、他方、第2右側側面形成面12bが第1右側側面形成面12aの外側に配置されるように重ね合わせる。その後、第1左側側面形成面13aの端部15aが第2左側側面形成面13bの面上で結合される。他方、第2右側側面形成面12bの端部15bが第1右側側面形成面12aの面上で結合される。結合方法としては、図4aに示すように、面状の接着テープで貼り付けてもよいし、図4bに示すように、第1側面形成部材10aの第1左側側面形成面13aの端部15aに取り付けしろ16を設け、この取り付けしろ16と第2左側側面形成面13bの面とをのり付けしたり、ステープルで止めたりしてもよい。こうして、図1に示すように、正面部を形成する第2中央面11b、背面部を形成する第1中央面11a、第1左側側面形成面13aと第2左側側面形成面13bとで形成される左側連結側面部40a及び第1右側側面形成面12aと第2右側側面形成面12bとで形成される右側連結側面部40bで、四方を囲まれた四角柱状の枠体30が形成される。枠体30の右側連結側面部40bは、図5に示すように、第1右側側面形成面12aの先端の一部が内側に配置され、第2右側側面形成面12と重ね合わされる領域である右側延出片17aを有する。右側延出片17aは、第2右側側面形成面12bの端部15bを軸として回動可能に形成される。同様に、枠体30の左側連結側面部40aは、第1左側側面形成面13aの先端の一部が内側に配置され、第2左側側面形成面13bと重ね合わされる領域である左側延出片17bを有する。左側延出片17bは、第1左側側面形成面13aの端部15aを軸として回動可能に形成される。左側延出片17bと第1左側側面形成面13aとが重ね合わされる面には、固定部材として雄の面ファスナー60a、雌の面ファスナー60bがそれぞれ設けられている。同様に、右側延出片17aと第2右側側面形成面12bとが重ね合わされる面には、雄の面ファスナー61a、雌の面ファスナー61bがそれぞれ設けられている。
【0031】
次に、図6に示すように、第1中央面11a、第2中央面11b、左側連結側面部40a及び右側連結側面部40bのそれぞれ隣接する面部を架設するように底辺に架設部材50として布状の面テープが配設される。すなわち、第2中央面11bと左側連結側面部40a、左側連結側面部40aと第1中央面11a、第1中央面11aと右側連結側面部40b及び右側連結側面部40bと第2中央面11bが、合計4本の架設部材50により、それぞれ架設されることになる。架設部材50は、屈曲自在又は湾曲自在であり、枠体30の折り畳みを邪魔することはない。
【0032】
以上のように作製された折り畳み式囲い部材100は、以下のようにして使用される。折り畳み式囲い部材100を囲いとしての使用している状態(開いている状態)が図7aに示されている。この状態から折り畳む場合は、両側の右側連結側面部40b、左側連結側面部40aを押圧する。押圧により、図7bに示すように、端部15b及び端部15aを軸として右側延出片17a及び左側延出片17bは、枠体30の内側に移動していく。そして、第1中央面11aと第2中央面11bをさらに近接させることによって、図7cに示すように、それぞれ右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aが第1中央面11a及び第2中央面11bに近づき、最終的には図7dに示すように右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aが第1中央面11a及び第2中央面11bがそれぞれほぼ平行な状態になり、板状体まで折り畳まれることになる。折り畳まれた状態から囲いとしての使用状態にするには、前述と反対の操作を行えばよい。
【0033】
第1実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100によれば、右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aを押圧して若干でも内側に折れれば、その後は第1中央面11a及び第2中央面11bを近づけるだけで、右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aも折り畳まれていき、容易に折り畳むことができる。従って、従来の折り畳み容器と比較して迅速に折り畳むことができるようになる。また、折り畳む際には、略立方体又略直方体をなす囲いの領域内で折り畳むことができるので、折り畳み式囲い部材が設置可能な場所であれば、必ず折り畳むことが可能になる。折り畳み状態から囲い状態へ拡げる場合においても、右側延出片17a及び左側延出片17bが右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aの内側に配置されているので、この右側延出片17a及び左側延出片17bが第2右側側面形成面12b及び第1左側側面形成面13aに当接することで係止片の機能を有し、右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aが平面状態より外側へ膨らむのを防止する。そのため右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aが広がりすぎて、囲い領域を狭くすることを防止することができる。さらに、右側連結側面部40b及び左側連結側面部40a、第1中央面11a及び第2中央面11bのうち、それぞれ隣接する面部間に架設された4つの架設部材50を備えているので、隣接する面部は90°以上に開くことはない。従って、必ず枠体30は、立方体又は直方体の形状に拡げられることになる。よって、平行四辺形のような状態になることはなく、囲い領域が狭くなるのを防止することができる。
【0034】
(第2実施形態)
第2実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す斜視図が図8に示されている。第2実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100は、第2左側側面形成面13bの幅αと第1右側側面形成面12aの幅α’との合計の幅が、中央面の幅βより短く形成されている。その他の点は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0035】
第2実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100によれば、図9aから図9dに示すように,折り畳んでいく過程で右側延出片17aと左側延出片17bが干渉することがない。また、最終的に板状の状態にした場合でも、右側延出片17aと左側延出片17bが互いに干渉することはないため、第1右側側面形成面12a、第2右側側面形成面12b、第1左側側面形成面13a、第2左側側面形成面13bをほぼ完全に平行にすることができる。そのため、第1実施形態より薄い板状体に折り畳むことができる。
【0036】
(第3実施形態)
第3実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す透視斜視図が、図10に示されている。第3実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100は、右側延出片17aと左側延出片17bが、いずれも一方の第1側面形成部材10a側にある。そして、第1側面形成部材10aの第1中央面11aの底辺には、連結部で屈曲可能に連設されている底面板70を備えている。底面板70は、架設部材50の上側に配置されていて、枠体30の内部で可倒可能に形成されている。底面板70の一部には、底面板70を持ち上げやすいように把持部71が取り付けられている。その他の点は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0037】
第3実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100によれば、底面板70が底面を形成するので、容器として使用することができる。また、底面板70を倒せば、架設部材50が底面を支えて底面位置に位置決めされる。そのため、底面板70を設置する場合には、底面板70を倒すだけで設置することができ、底面板70を設置した後に固定する作業をする必要がない。さらに、底面板70が右側延出片17aと左側延出片17bを有する第1側面形成部材10a側の底辺に設けてあるので、底面板70を倒し込むことによって、底面板70が右側延出片17aと左側延出片17bを押圧するので、枠体30は、自然に拡げられることなる。よって、底面板70を倒すだけで、折り畳み式囲い部材100を組み立てることができる。さらに、左側連結側面部40aと右側連結側面部40bは厳密な意味では平面ではなく、右側延出片17aと左側延出片17bが若干枠体30内側に位置している。従って、底面板70を倒し込むことによって、左側連結側面部40aと右側連結側面部40bをより堅固の支持することができる。すなわち、例えば、図10に示すように、右側連結側面部40bが平面だとすると仮想線δの位置に存在するが、実際には、右側連結側面部40bは、仮想線δより枠体30内側に存在している。従って、底面板70を倒すと、底面板70が右側延出片17aをいわば無理押しのように外側に押し広げることになる。この状態で右側連結側面部40bは反対に内側に押圧することになる。このようにお互いに押圧し合うことで、右側連結側面部40bは固定され安定した囲い状態を保つことができる。同様にして左側連結側面部40aも固定される。
【0038】
(第4実施形態)
第4実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100の構成の概略を示す斜視図が、図11に示されている。第4実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100は、第1側面形成部材10aの第1中央面11aの上辺に連結部で屈曲可能に連設されている蓋体80を備えている。蓋体80は、枠体30内側の大きさと同様の大きさに形成されており、枠体の内側に配置することによって、第3実施形態の底面板と同様に右側連結側面部40b及び左側連結側面部40aと互いに押し合って固定される。従って、支持部材を有することなく蓋として機能することができる。その他の点は第3実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0039】
第4実施形態にかかる折り畳み式囲い部材100は、蓋体を80有しているので、密閉する容器として使用することができる。蓋体80は枠体30内に配置されることによって、左側連結側面部40aと右側連結側面部40bをより堅固に支持することができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施しうる。
【0041】
前述した実施形態においては、すべて架設部材を設けているが、必ずしもこれは必須ではなく、設けなくてもよい。
【0042】
前述した実施形態においては、すべて板状のプラスチック段ボールを用いて説明したが、必ずしもプラスチック段ボールでなくても構わない。例えば、図12に示すように網状部材を用いたり、図13に示すように金属の網の矩形部材を用いたりしたものであっても構わない。
【0043】
網状部材を用いたものとしては、図12に示すように、第1側面形成部材10aの第1中央面11a、第1右側側面形成面12a、第1左側側面形成面13aの面は、いずれも網状部材(即ちネット状又はメッシュ状)で形成されている。第2側面形成部材10bの第2中央面11b、第2右側側面形成面12b、第2左側側面形成面13bも同様に、網状部材で作製される。それぞれの稜線の位置には、帯状の袋体91がそれぞれ縫製により設けられている。袋体91の内部には、プラスチック製の棒状又は平板状の剛性部材92が挿入されている。剛性部材92は、自立状態の折り畳み式囲い部材100の稜線に剛性を付与して矩形状を保つことを補助する。なお、隣り合う二つのプラスチック製の棒状又は平板状の剛性部材92は、それぞれの端部が稜角において、互いに間隔を空けて直接接触しないように設けられている。このため、各稜角においても屈曲自在である。平板状の剛性部材を用いるときは、稜角に配置すると、屈曲させづらくなるので、各稜角の近傍に配置する。更に、第2側面形成部材10bの第2右側側面形成面12bの端部15bと、第1側面形成部材10aの第1右側側面形成面12aの面にも剛性部材92が挿入されていて、それぞれを縫製することによって、端部15bと、第1右側側面形成面12aとが回動可能に形成され、右側連結側面部40aを構成する。同様にして、左側連結側面部40bも形成される。第1側面形成部材10a及び第2側面形成部材10bの面をすべて網状部材で作製することによって、軽量で折り畳み易い折り畳み式囲い部材100を提供することができる。
【0044】
上述した実施形態では、架設部材として布状のテープを使用したが、これに限定されるものではなく、紐状のロープであっても構わないし、鎖であっても構わない。要するに、枠体の折り畳みを妨げず、かつ隣接する面が90°以上に広がらなければどのような素材、形態のものを使用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
上述した実施の形態で示すように、自立型の折り畳み式の囲いとして産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10a…第1側面形成部材、10b…第2側面形成部材、11a…第1中央面、11b…第2中央面、12…第2右側側面形成面、12a…第1右側側面形成面、12b…第2右側側面形成面、13a…第1左側側面形成面、13b…第2左側側面形成面、14…屈曲部、15a…端部、15b…端部、17a…右側延出片、17b…左側延出片、30…枠体、40a…左側連結側面部、40b…右側連結側面部、50…架設部材、70…底面板、71…把持部、80…蓋体、91…袋体、92…剛性部材、100…折り畳み式囲い部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の中央面と、前記中央面の両側に設けられた矩形の左側側面形成面と右側側面形成面と、を有し、かつ前記中央面と前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面とが屈曲されて三つ折り可能な2つの側面形成部材で形成される少なくとも4面を有する枠体を備え、
前記枠体は、2つの前記側面形成部材のそれぞれの前記左側側面形成面同士及び前記右側側面形成面同士を重ねて、外側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の端部が、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の一部を内側に延出させた延出片を有するように、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面上に回動可能に結合されてなる2つの連結側面部と、2つの前記中央面と、からなることを特徴とする折り畳み式囲い部材。
【請求項2】
請求項1記載の折り畳み式囲い部材において、
矩形の中央面と、前記中央面の両側に設けられた矩形の左側側面形成面と右側側面形成面と、を有し、かつ前記中央面と前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面とが屈曲されて三つ折り可能な2つの側面形成部材で形成される少なくとも4面を有する枠体と、
さらに、前記枠体の隣接する各面に架設される屈曲又は湾曲可能な架設部材と、を備え、
前記枠体は、2つの前記側面形成部材のそれぞれの前記左側側面形成面同士及び前記右側側面形成面同士を重ねて、外側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の端部が、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の一部を内側に延出させた延出片を有するように、内側に配置された前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面上に回動可能に結合されてなる2つの連結側面部と、2つの前記中央面と、からなり、
前記架設部材は、前記枠体のそれぞれ隣接する2つの前記連結側面部及び2つの前記中央面の底辺間に架設されてなることを特徴とする折り畳み式囲い部材。
【請求項3】
内側に配置された前記延出片の幅は、外側に配置された前記左側側面形成面又は前記右側側面形成面の幅より短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の折り畳み式囲い部材。
【請求項4】
内側に配置される前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面の幅の合計が、前記中央面の幅以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の折り畳み式囲い部材。
【請求項5】
前記延出片と、外側に配置される前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面と、を固定可能な固定部材を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の折り畳み式囲い部材。
【請求項6】
前記中央面の下辺に連設され、連設部において前記枠体内側に折り畳み可能に設けられている底面板を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の折り畳み式囲い部材。
【請求項7】
一方の前記側面形成部材の前記左側側面形成面及び前記右側側面形成面のいずれもが前記連結側面部の内側に配置されてなり、
前記底面板は、一方の前記側面形成部材の前記中央面の下辺に設けられていることを特徴とする請求項6記載の折り畳み式囲い部材。
【請求項8】
前記底面板には、把持部を備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載の折り畳み式囲い部材。
【請求項9】
前記枠体の内側の平面形状と同様の形状を有し、前記中央面の上辺に連設され、連設部において前記枠体内側に配置される蓋体を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の折り畳み式囲い部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−140152(P2012−140152A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293286(P2010−293286)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(304022115)株式会社アイベックス (7)
【Fターム(参考)】