説明

折り畳み式運搬用容器

【課題】折り畳み作業をより一層容易に行うことができるように構成された折り畳み式運搬用容器を提供する。
【解決手段】折り畳み式運搬用容器の容器本体21は、長四角板状の底壁と、各一対の短側壁23及び長側壁24とを備えている。短側壁23両端部外側面には上下にスライド可能な一対の係合部材25が添設されている。短側壁23両端部には規制凸部が突設され、長側壁24両端部に設けられた規制板51の規制孔内に係入される。各係合部材25の外端部には係合突起61が突設され、長側壁24両端部の係合凹部54内に挿入されるとともに係合凸部55と係合される。係合部材25の基端部には操作部62が設けられている。係合部材25の裏面には付勢突起66が突設され、短側壁23外側面の側壁凸部45と係合されて係合部材25を上方に付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不使用時には小さくコンパクトに折り畳んで収納及び運搬することができるように構成された折り畳み式運搬用容器に関するものである。より詳しくは、折り畳み作業を非常に簡単に行うことができるように構成された折り畳み式運搬用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の折り畳み式運搬用容器としては、特許文献1に開示されている折り畳み式コンテナが知られている。この折り畳み式コンテナは、矩形状の底板の四辺部に対して直接的に若しくはそこに形成された基部に対して、それぞれ側壁を構成する壁板を、その下辺部において丁番構造をもって内方に折り畳み可能に取り付けた構造を有している。さらに、このコンテナには、前記側壁の角部を構成する、互いに隣り合った前記壁板の相互に隣接する側辺部において、その何れか一方の側辺部に対して、他方の側辺部に係止されてそれら両壁板の外方への開きを相互に規制する係止部材が設けられている。加えて、前記隣接する側辺部のうちの何れか一方の側辺部に対して、他方の側辺部に形成された係合孔に付勢力をもって離脱可能に係合されてそれら両壁板の内方への回動を相互に規制する係合部材が設けられている。そして、前記両係合部材を付勢力に抗して横方向にスライド操作し、前記係合孔に対する係合を解くことによって、前記係合部材が設けられた側壁を内方に回動させて容易に折り畳むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−117725号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来の折り畳み式コンテナでは、係合部材を横方向にスライド操作することによって係合孔から離脱させ、係合部材と係合孔との係合状態を解除するように構成されていた。そして、前記係合部材が設けられた側壁を折り畳む際には、前記側壁の両端部に両手を添えた状態で、各係合部材のスライド方向に押圧力を加えた後、その押圧力を適度に維持したまま前記側壁の折り畳み方向(回動方向)に押圧力を加える必要があった。
【0005】
前記係合部材のスライド方向は前記側壁の端部から中央部へと向かう水平方向であり、前記側壁の折り畳み方向はその側壁の外側面から内側面へと向かうほぼ水平方向(僅かに斜め下方向)であることから、互いにほぼ直交する方向に同時に押圧力を加えなければならなかった。従って、この折り畳み式コンテナでは、上述したように、押圧力を微妙に加減調節しながら前記側壁を折り畳む作業を行う必要があったことから、その折り畳み作業時の作業性を高めることは極めて困難であった。
【0006】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、折り畳み作業をより一層容易に行うことができるように構成された折り畳み式運搬用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の折り畳み式運搬用容器は、四角板状に形成された底壁と、その底壁の対向する一側縁に沿って立設された一対の第一側壁と、前記底壁の対向する他側縁に沿って立設された一対の第二側壁とを備えた有底四角箱状の容器本体から構成され、前記各側壁の下端部には、各側壁を容器本体の内方に折り畳むための回動手段を設けるとともに、前記第一側壁を底壁の上面に折り畳んだ後、第二側壁を第一側壁の上面に折り畳むことによって、容器本体を折り畳み可能に構成した折り畳み式運搬用容器であって、前記第一側壁の外側面に係合部材を添設し、該係合部材の外端部に係合突起を設けるとともに前記係合部材に操作部を設け、前記第二側壁の両端部には、第一側壁の外方への回動を規制するための規制板を設け、前記係合部材の操作部を上動又は下動させることにより、前記第一側壁の内方への回動を許容するように構成し、前記第一側壁と前記係合部材との間に空間を形成し、該空間に前記係合突起を所定方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明の折り畳み式運搬用容器は、請求項1に記載の発明において、前記操作部を下動させることにより、前記第一側壁の内方への回動を許容するように構成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明の折り畳み式運搬用容器は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記係合突起の外側部に傾斜面を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
各請求項に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の折り畳み式運搬用容器によれば、折り畳み作業をより一層容易に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明の折り畳み式運搬用容器によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、組み立て状態の容器本体を運搬する際の誤作動を容易に防止することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明の折り畳み式運搬用容器によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、容器本体の組み立て作業をさらに容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)及び(b)はいずれも、実施形態の折り畳み式運搬用容器の容器本体の一部を示す部分拡大側面図、(c)は図1(a)の1c−1c線から見た容器本体を示す断面図。
【図2】(a)は実施形態の折り畳み式運搬用容器の容器本体を示す正面図、(b)は同じく正断面図。
【図3】実施形態の一部の側壁を折り畳んだ容器本体を示す平面図。
【図4】実施形態の一部を破断した容器本体を示す側面図。
【図5】実施形態の折り畳まれた状態の容器本体を示す側面図。
【図6】(a)は実施形態の長側壁を示す側面図、(b)は同じく側断面図、(c)は図6(a)の6c−6c線から見た長側壁を示す断面図。
【図7】(a)は実施形態の短側壁の一部を示す正面図、(b)は同じく側面図。
【図8】(a)は実施形態の係合部材を示す正面図、(b)は同じく背面図。
【図9】実施形態の係合部材が添設された容器本体を示す平断面図。
【図10】(a)〜(c)はいずれも、実施形態の容器本体を組み立て又は折り畳む際の作用を示す正断面図。
【図11】(a)及び(b)はいずれも、実施形態以外の折り畳み式運搬用容器の容器本体の一部を示す部分拡大側面図。
【図12】(a)は実施形態以外の容器本体の一部を示す部分拡大側面図、(b)は図12(a)の12b−12b線から見た容器本体を示す断面図。
【図13】(a)及び(b)はいずれも、実施形態以外の折り畳み式運搬用容器の容器本体の一部を示す部分拡大側面図。
【図14】(a)及び(b)はいずれも、実施形態以外の折り畳み式運搬用容器の容器本体の一部を示す部分拡大側面図。
【図15】(a)及び(b)はいずれも、実施形態以外の折り畳み式運搬用容器の容器本体の一部を示す部分拡大側面図。
【図16】(a)は実施形態以外の一方の係合部材を示す正面図、(b)は同じく底面図。
【図17】実施形態以外の容器本体の一部を示す部分拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2〜図5に示すように、折り畳み式運搬用容器を構成する容器本体21は、合成樹脂(ポリプロピレン)により有底長四角箱状に形成されている。この容器本体21は、長四角板状に形成された底壁22と、その底壁22の対向する一側縁に沿って立設された一対の短側壁23と、前記底壁22の対向する他側縁に沿って立設された一対の長側壁24とを備えている。さらに、各短側壁23の両端部外側面の上方位置には、合成樹脂(ポリプロピレン)によりほぼ長四角板状に形成された左右一対の係合部材25が添設されている。この折り畳み式運搬用容器の容器本体21は、一対の短側壁23を底壁22の上面に折り畳んだ後、一対の長側壁24を短側壁23の上面に折り畳むことによって、折り畳み可能に構成されている。
【0015】
底壁22の対向する一側縁には、ほぼ四角柱状に形成された支持突条31aが容器本体21のコーナ部間を繋ぐように立設され、その上端面で短側壁23を支持している。また、底壁22の対向する他側縁には、ほぼ長四角柱状に形成された支持突条31bが容器本体21のコーナ部間を繋ぐように立設され、その上端面で長側壁24を支持している。前記支持突条31aの高さは、短側壁23の厚みとほぼ同じになるように形成されている。前記支持突条31bの高さは、短側壁23の厚みと長側壁24の厚みとを加えた長さとほぼ同じになるように形成されている。
【0016】
各支持突条31a,31bの上端部内方位置には、所定間隔をおいて回動手段を構成する軸受け部32が設けられ、短側壁23及び長側壁24の下端部内方位置に設けられた回動手段を構成する回動軸33を回動可能に軸着している。この構成によって、各短側壁23及び長側壁24は、容器本体21の内方に回動することができるとともに、容器本体21の外方に回動され難くなっている。さらに、前記短側壁23及び長側壁24の下端面並びに支持突条31a,31bの上端面は、いずれも水平方向に延びる平坦面によって構成されており、容器本体21を組み立てたとき、短側壁23及び長側壁24が支持突条31a,31b上で安定状態で立設されやすくなっている。
【0017】
一方、支持突条31aの外側部には、ほぼ長四角形状に凹設された左右一対の収容凹部35が設けられている。また、短側壁23及び長側壁24の上端部中央には、把持孔36a,36bが長四角孔状に凹設され、容器本体21を容易に把持することができるように構成されている。
【0018】
図7に示すように、短側壁23の両端部には、その外側部上方位置を長四角形状に凹設することによって掛合凹部41が設けられている。この掛合凹部41の下端部、中央部及び上端部には、いずれも側面ほぼ逆コ字状に形成された規制手段を構成する下部規制凸部42a、中央部規制凸部42b及び上部規制凸部42cが短側壁23の外側方に延びるように突設されている。上部規制凸部42cの基端部中央には、長四角孔状に形成された第1長孔43が横方向に延びるように貫設されている。また、前記第1長孔43の内側方位置には、掛合凹部41の周縁に沿って突設された側壁リブの基端部を長四角孔状に貫設することによって第2長孔44が設けられている。
【0019】
前記第2長孔44の内方に位置する短側壁23の外側面には、付勢手段を構成する側面逆ハ字状に形成された左右一対の側壁凸部45が外側方に突設されている。図9に示すように、各側壁凸部45の両側方に位置する短側壁23の外側面には、平断面ほぼL字状に形成された各一対のスライド掛合突起46が外側方に突設されている。また、前記スライド掛合突起46の基端部には、短側壁23を成形する際の金型において、上型と下型のみによる上下抜きによりスライド掛合突起46を形成させることができるように構成された長孔46aが貫設されている。
【0020】
図6に示すように、長側壁24の両端部には、長四角板状に形成された折返し部50が短側壁23と平行に延びるように突設されている。この折返し部50の先端部には、長四角板状に形成された規制板51が短側壁23と平行に延びるように突設され、容器本体21を組み立てたとき、前記短側壁23の掛合凹部41内に収容されるように構成されている。この規制板51は、前記折返し部50よりも薄い板状に形成され、容器本体21を組み立てたとき、短側壁23が容器本体21の外方に回動するのを規制するように構成されている。また、前記規制板51が設けられた側の折返し部50の端面は、容器本体21を組み立てたとき、前記短側壁23の掛合凹部41の外端縁と接合されるように構成されている。
【0021】
この規制板51の下端部、中央部及び上端部には、いずれも長四角孔状に形成された規制手段を構成する下部規制孔52a、中央部規制孔52b及び上部規制孔52cが貫設されている。さらに、中央部規制孔52bの裏面には、中央部規制孔52bの周縁に沿って長四角枠状に形成された規制手段を構成する掛合枠部53が容器本体21の内方に延びるように突設されている。これら規制孔52a,52b,52cは、容器本体21を組み立てたとき、前記短側壁23の規制凸部42a,42b,42cが係入されるように構成されており、長側壁24が容器本体21の外方に回動するのを規制するように構成されている。また、図5に示すように、容器本体21を折り畳んだとき、これら規制板51及び掛合枠部53は、前記支持突条31aの収容凹部35内に収容されるようになっている。
【0022】
図6(b)及び(c)に示すように、規制板51の基端部には、長側壁24の両端部内側面をほぼ長四角形状に凹設することによって係合凹部54が設けられている。この係合凹部54の上端部には、前記折返し部50の内側面に沿って延びるとともに、前記規制板51と平行に延びる係合凸部55が垂下されている。この係合凸部55の先端部容器本体21内方側には、先端ほど容器本体21の外方へと傾斜するように形成された傾斜面55aが設けられている。
【0023】
図1及び図8に示すように、合成樹脂によりほぼ長四角板状に形成された係合部材25は、短側壁23の左右両端部において、その短側壁23の上端部外側面に沿って上下方向に所定幅スライド可能となるように添設されている。各係合部材25の外端部(先端部)には、長四角柱状に形成された係合突起61が外側方に延びるように突設されている。各係合突起61の上端部外側には、上端ほど容器本体21の内方へと傾斜するように形成された第2傾斜面61aが設けられている。また、係合突起61を除く各係合部材25の上端面は操作部62となっており、その操作部62を下方に押圧操作することによって、係合部材25及び係合突起61を下動させることができるように構成されている。
【0024】
係合部材25の中央部には、係合部材25を構成する壁面を外側方に向かって四角箱状に突出させることによって突設部63が設けられており、この突設部63の裏面は四角形状に凹設された凹設部64となっている。なお、この凹設部64は、係合部材25の裏面側及び下面側において開口されている。また、前記突設部63の両側面基端部には、左右一対のスライド掛合孔65が上下方向に延びる長孔状に貫設されている。
【0025】
図8及び図9に示すように、前記凹設部64の中央部には、側面下向き矢印状に形成された付勢手段を構成する付勢突起66が係合部材25の裏面側に設けられている。この付勢突起66は、長四角柱状に形成された付勢凸部66aと、その付勢凸部66aの両側面下端部から斜め上方に延びるように突設された左右一対の付勢板66bとから構成されている。前記付勢凸部66aの基端部は凹設部64の壁面から突設されているうえ、その先端部には前記両付勢板66bが突設されている。これら付勢板66bは、付勢凸部66aの長さ方向(鉛直方向)に対しほぼ45°の角度で斜め上方に延びるように設けられているうえ、図1(b)に示すように付勢凸部66aに対し所定角度弾性変形可能に構成されている。
【0026】
上記のように構成された係合部材25は、短側壁23の端部外側面の所定位置に組み付けられて使用される。この係合部材25を組み付ける場合には、まず、図1(a)に示すように、係合部材25の係合突起61を短側壁23の一端部に設けられた第2長孔44及び第1長孔43内に挿入する。次に、係合部材25の各スライド掛合孔65を短側壁23のスライド掛合突起46と対応させた状態で係合部材25を短側壁23の外側面に向かって押圧する。その結果、前記各スライド掛合突起46がスライド掛合孔65の周縁部に無理嵌めされ、係合部材25が短側壁23の外側面に添着される。
【0027】
このとき、各係合部材25は、短側壁23の外側面に設けられた一対のスライド掛合突起46がスライド掛合孔65の周縁部と係合された状態で上下方向に所定幅スライドすることができるようになっている。さらに、一対の付勢板66bが短側壁23の側壁凸部45の上端部と当接されることによって常に上方に付勢されている。また、係合部材25を下方に押圧してスライドさせた場合には、図1(b)に示すように、前記両付勢板66bが側壁凸部45の上端部に摺接しながら弾性変形されるように構成されている。さらに、図3に示すように、前記係合突起61の先端は、長側壁24の内側面と掛合凹部41の外端縁との中間位置に配設されており、折り畳み状態の容器本体21における支持突条31bの内側面と当接しないように構成されているうえ、組み立て途中の長側壁24の内側面と当接しないように構成されている。
【0028】
一方、図4に示すように、組み立て状態の容器本体21は、短側壁23両端部の掛合凹部41の外側面に長側壁24の規制板51の内側面が近接又は当接して配置されているうえ、前記掛合凹部41の各規制凸部42a,42b,42cが各規制孔52a,52b,52c内に係入された状態となっている。さらに、図1(a)に示すように、各係合部材25先端部の係合突起61は、基端側から順に短側壁23の第2長孔44及び第1長孔43内に挿通された状態になっている。加えて、図1(c)に示すように、前記係合突起61の先端部は、長側壁24の係合凹部54内に挿入されているうえ、係合凸部55と係合された状態となっている。
【0029】
上記折り畳み式運搬用容器の作用について以下に記載する。
さて、上記折り畳み式運搬用容器を折り畳む際には、まず、一方の短側壁23の両端部上方位置に両手を添えた状態で、その短側壁23の上端部に設けられた左右一対の係合部材25の操作部62を同時に下方に押圧し、短側壁23の外側面上で両係合部材25を下方にスライドさせる。このとき、図1(b)に示すように両付勢板66bの付勢力に抗して係合部材25が下方にスライドされるのに伴って係合突起61が下動され、図1(c)に二点鎖線で示されるように係合突起61と長側壁24の係合凸部55との係合状態が解除され、短側壁23が容器本体21の内方に回動可能な状態になる。なお、前記各係合部材25は、その内端部下面が把持孔36aの外側面上端部と当接されることにより、所定幅以上は下動されないようになっている。
【0030】
次に、前記操作部62を下方に押圧した状態のままで、前記短側壁23を容器本体21の内方に回動させることによって、短側壁23が底壁22の上面(容器本体21の内方)に折り畳まれる。さらに、他方の短側壁23についても同様に底壁22の上面に折り畳んだ後、一対の長側壁24を前記折り畳まれた両短側壁23の上面に折り畳むことによって、図3及び図5に示されるように、容器本体21が平板状に小さくコンパクトに折り畳まれる。このとき、図5に示されるように、長側壁24の両端部に突設されている規制板51は、支持突条31aの収容凹部35内に収容されており、折り畳まれた状態の長側壁24の上端面が低い位置に配置されている。また、この折り畳み式運搬用容器の容器本体21は、折り畳まれた状態で上下に積み重ねることができる。
【0031】
一方、上記折り畳まれた状態の折り畳み式運搬用容器を組み立てる際には、一対の長側壁24を回動軸33を中心に90°回動させて支持突条31bの上端面上に立設させた後、一対の短側壁23を同様に回動させて支持突条31aの上端面上に立設させる。前記短側壁23を回動させる際には、まず、図10(a)に示されるように、短側壁23の両端部に突設された両中央部規制凸部42bの先端部が、隣接する両長側壁24の規制板51に設けられた掛合枠部53の先端部と係合される。その結果、前記短側壁23と隣接する左右の長側壁24が支持突条31b上で安定状態で立設された状態となるとともに、前記短側壁23の回動方向が定められ、前記短側壁23と両長側壁24との相対的な位置関係が固定される。
【0032】
続いて、図10(b)及び(c)に示されるように、前記中央部規制凸部42bが掛合枠部53内に係入されるとともに、短側壁23の下部規制凸部42aの先端部が、隣接する両長側壁24の規制板51に設けられた下部規制孔52aと係合される。さらに、短側壁23の上部規制凸部42cの先端部が、隣接する両長側壁24の規制板51に設けられた上部規制孔52cと係合され、短側壁23と両長側壁24との位置関係がより一層強力に固定される。すなわち、短側壁23の回動に伴う両長側壁24の外側方及び内側方への回動が確実に規制された状態となる。
【0033】
またこのとき、各係合部材25の係合突起61は、その第2傾斜面61aが長側壁24の係合凸部55と当接された後、その傾斜面55a上を滑りながら前記付勢手段に抗して一旦下動された後、前記係合凸部55との当接状態の終了とともに付勢手段の付勢力に従って上動される。その結果、図10(c)に示されるように、前記係合突起61の先端部が係合凹部54内に挿入されるとともに係合凸部55と係合された状態となり、前記短側壁23が容器本体21の内方に回動するのが防止される。さらに、前記長側壁24の規制板51が短側壁23の外側面を覆うように突設されていることから、短側壁23の外方への回動も規制されている。従って、この組み立て状態の短側壁23は、容器本体21の内方及び外方のいずれの方向にも回動規制され、支持突条31aの上端面上で垂直方向に立設固定されている。
【0034】
また、左右一対の長側壁24は、短側壁23の両端部外側面と当接された状態で配置されていることから、容器本体21内方への回動が防止されている。さらに、図4に示されるように、長側壁24の規制板51に設けられた各規制孔52a,52b,52c内に、短側壁23の両端部に設けられた各規制凸部42a,42b,42cが係入されていることから、長側壁24の容器本体21外方への回動も規制されている。従って、この組み立て状態の一対の長側壁24は、容器本体21の内方及び外方のいずれの方向にも回動規制され、支持突条31bの上端面上で垂直方向に立設固定されている。
【0035】
この折り畳み式運搬用容器は、一対の短側壁23又は長側壁24の中央部に設けられた把持孔36a又は36bを両手で把持することによって運搬される。また、この折り畳み式運搬用容器の容器本体21は、組み立てられた状態で上下に積み重ねることができるとともに、組み立てられた状態の容器本体21の上下に、上記折り畳まれた状態の容器本体21を積み重ねることもできる。
【0036】
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の折り畳み式運搬用容器は、長四角板状に形成された底壁22と、その底壁22の対向する一側縁に沿って立設された一対の短側壁23と、前記底壁22の対向する他側縁に沿って立設された一対の長側壁24とを備えている。さらに、前記各側壁23,24の下端部には、各側壁23,24を容器本体21の内方に折り畳むための軸受け部32及び回動軸33が設けられ、前記短側壁23を底壁22の上面に折り畳んだ後、長側壁24を短側壁23の上面に折り畳むことによって、容器本体21が折り畳み可能に構成されている。
【0037】
加えて、各短側壁23の両端部外側面に左右一対の係合部材25を添設し、短側壁23の端部側に位置する係合部材25の先端部に係合突起61を突設するとともに、短側壁23の内側方側に位置する係合部材25の基端部に操作部62が設けられている。そのうえ、長側壁24の両端部には、短側壁23の外方への回動を規制するための規制板51が突設されているうえ、前記係合突起61と係合して短側壁23の内方への回動を規制する係合凸部55が設けられている。さらに、前記規制板51と短側壁23の両端部との接合部には、長側壁24の外方への回動を規制するための規制孔52a,52b,52c及び規制凸部42a,42b,42cが設けられている。そして、前記係合部材25の操作部62を上下動させることにより、前記係合突起61と係合凸部55との係合状態を解除するように構成されている。
【0038】
このため、短側壁23の両端部上方位置に両手を添えた状態で、左右一対の係合部材25の操作部62を上下方向にスライドさせることによって、係合突起61と係合凸部55との係合状態を容易に解除することができ、短側壁23を折り畳み可能な状態にすることができる。さらに、短側壁23に添えられた両手の位置を変えることなく、そのままの状態で短側壁23を容器本体21の内方に押圧することによって、極めて容易に短側壁23を底壁22の上面に折り畳むことが可能である。従って、この折り畳み式運搬用容器は、組み立て状態の容器本体21を極めて容易に折り畳むことができる。また、容器本体21の組み立て時においても、1枚の短側壁23を支持突条31a上に立設固定する作業を片手のみを用いてほぼワンタッチで行うことができることから、組み立て作業も容易に行うことができる。
【0039】
特に、左右一対の係合部材25の操作部62が上下方向にスライドするように構成されていることから、前記従来の折り畳み式コンテナと比較して、操作部62に対する押圧力を極めて容易かつ効果的に伝えることができるうえ、操作部62の押圧操作を容易に行うことができる。すなわち、前記操作部62を上下動させる際の押圧方向と、短側壁23を回動させる際の押圧方向とは、互いに無理のない指の動作によって極めて自然に行うことが可能である。従って、これら両押圧操作を同時に行うのが極めて容易であることから、短側壁23を折り畳む作業の作業性を容易に高めることができるうえ、押圧力を極めて効果的に伝えることができる。
【0040】
・ 短側壁23と係合部材25との接合部に、係合突起61と係合凸部55との係合状態を維持するように、係合突起61を所定方向に付勢する側壁凸部45及び付勢突起66を設けることによって、容器本体21の組み立て作業を極めて容易に行うことができる。すなわち、この構成により、回動軸33を中心に一対の長側壁24を回動して立設させた後、同様に一対の短側壁23を回動して立設させることによって、前記係合突起61と係合凸部55とを自動的に係合させることが可能となる。さらに、前記側壁凸部45及び付勢突起66により、容器本体21の組み立て状態を容易に維持することも可能であり、容器本体21の使用時における使いやすさを充分に発揮させることができる。
【0041】
・ 操作部62を下動させることにより、係合突起61と係合凸部55との係合状態を解除するように構成することによって、組み立て状態の容器本体21を運搬する際の誤作動を容易に防止し、運搬時の作業性を容易に高めることができる。すなわち、組み立て状態の容器本体21を運搬する際には、容器本体21の下方から上方へ向かって指を引掛けることにより、容器本体21を持ち上げるように構成されている。このとき、誤って係合部材25の下端面に指を引掛ける可能性が極めて高いが、本実施形態の折り畳み式運搬用容器では、たとえ係合部材25の下端面に指を引掛けた場合であっても、容器本体21の形状はそのままの状態で維持されるように構成されている。
【0042】
さらに、この折り畳み式運搬用容器では、短側壁23を実際に折り畳む際に、その短側壁23の外側面から内側面へと向かうほぼ水平方向僅かに斜め下方に向かって短側壁23を押圧することによって、短側壁23の回動を著しく容易に行うことができるように構成されている。このとき、前記短側壁23の回動方向は、操作部62の押圧方向と一部重複した方向となることから、操作部62の押圧操作と短側壁23の回動操作とを同時に行うことが極めて容易である。従って、本実施形態の操作部62を下方に押圧操作する構成の折り畳み式運搬用容器においては、容器本体21の折り畳み作業を極めて容易に行うことが可能である。
【0043】
・ 係合突起61と係合凸部55とが当接する当接部において、係合突起61の外側部(容器本体21の外側面側)に第2傾斜面61aを備えることによって、容器本体21の組み立て時に、係合突起61を容易かつ滑らかに係合凸部55と係合させることができる。このため、容器本体21の組み立て作業を容易かつ迅速に行うことができる。さらに、前記当接部において、係合凸部55の内側部(容器本体21の内側面側)に傾斜面55aを備えることによって、容器本体21の組み立て作業をさらに容易かつ迅速に行うことができる。
【0044】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図11に示すように、短側壁23の外側面に側面横C字状に形成された側壁凸部71を突設するとともに、係合部材25の凹設部64にバネ部材72を配設すること。なお、前記バネ部材72の上端部は凹設部64の上壁下面に当接され、下端部は側壁凸部71に係合されている。さらに、このバネ部材72の中央部は、図11(b)に示されるように弾性変形可能に構成され、前記係合部材25(操作部62)を常に上方に付勢している。そして、これら側壁凸部71及びバネ部材72によって付勢手段を構成すること。
【0045】
・ 図12(a)及び(b)に示すように、短側壁23の外側面に側壁凸部45を突設する代わりに、中央部に円孔又は長孔が貫設された側壁凸部73を突設するとともに、凹設部64の上壁下面から固定棒74を垂下させ、その固定棒74の先端部を前記側壁凸部73の孔内に挿通させるように構成すること。さらに、前記固定棒74の周囲にコイルバネ75を配設し、そのコイルバネ75の上端部が凹設部64の上壁下面に当接するとともに、下端部が前記側壁凸部73の上面に当接するように構成することによって、係合部材25(操作部62)を常に上方に付勢するように構成すること。そして、これら側壁凸部73、固定棒74及びコイルバネ75によって付勢手段を構成すること。
【0046】
・ 図13に示すように、短側壁23の外側面に横円柱状(側面円形状)に形成された側壁凸部76を突設するとともに、係合部材25の係合突起61を前記側壁凸部76に当接させるように配設すること。さらに、前記係合部材25を弾性変形容易な合成樹脂により構成することによって、係合部材25の操作部62を常に上方に付勢するように構成すること。加えて、係合凹部54を上部規制孔52cの上端部とほぼ同じ高さに設けるとともに、係合凸部55を係合凹部54の下端部から上方に延びるように突設すること。そして、これら係合突起61及び側壁凸部76によって付勢手段を構成すること。
【0047】
・ 図14に示すように、係合部材25を、ほぼ横方向に延びる操作部としての操作棒81と、その操作棒81の外端部に設けられるとともに斜め方向に延びる連結棒82と、前記連結棒82の外端部に設けられるとともに横方向に延びる係合突起61とから構成すること。さらに、前記連結棒82の両端部は、操作棒81の外端部及び係合突起61の基端部に対し、それぞれ短側壁23の外側面と平行な垂直面内で回動することができるように軸着されている。
【0048】
また、前記操作棒81の外端部裏面及び係合突起61の基端部(内端部)裏面には、側面円形状に形成された図示しないスライド嵌合凸部が突設され、短側壁23外側面の対応する位置に設けられた長四角枠状のスライド嵌合突起83に無理嵌めされている。操作棒81の外端部に設けられたスライド嵌合凸部は、スライド嵌合突起83内で上下方向に所定幅スライドすることができるように構成され、係合突起61の基端部に設けられたスライド嵌合凸部は、スライド嵌合突起83内で横方向に所定幅スライドすることができるようになっている。なお、前記スライド嵌合突起83は、短側壁23に貫設された長孔83aにより、短側壁23を成形する際の金型において、上型と下型のみによる上下抜きにより成形させることができるように構成されている。さらに、前記操作棒81の内端部裏面には、側面円形状に形成された回動軸部84が突設され、短側壁23外側面の対応する位置に設けられた図示しない円孔状の回動孔内に無理嵌めされている。
【0049】
一方、係合突起61の中央部上下面には、それぞれ斜め上方及び斜め下方に延びる上下一対の付勢板66bが突設されている。これら付勢板66bと対応する位置の短側壁23の外側面には、側面横ハ字状に形成された側壁凸部45が突設され、係合突起61を常に短側壁23の外側方に付勢している。また、第2長孔44の大きさは、係合突起61とほぼ対応する大きさに形成されている。
【0050】
さらに、上記実施形態における係合凸部55の先端部を係合凹部54の下端部まで延設することによって、係合凹部54が側面四角孔状に凹設されている。その結果、図14(a)の状態では、前記係合凹部54内に挿入されている係合突起61の先端部は、前記係合凸部55の一側面(内側面)と当接可能に配設されており、短側壁23が容器本体21の内方に回動されないようになっている。
【0051】
加えて、前記係合突起61の先端部外側部に、先端ほど容器本体21の内方へと傾斜するように形成された第2傾斜面61aを設けるように構成するのが好ましい。そのうえ、前記係合凸部55の裏面(容器本体21内方側の側面)の端縁に沿って、端部側ほど容器本体21の外方へと傾斜するように形成された傾斜面55aを設けるように構成するのが好ましい。
【0052】
このように構成した場合、前記操作棒81の中央部又は外端部を下方に押圧することによって、図14(b)に示されるように、連結棒82を介して係合突起61が短側壁23の内側方に向かって横方向にスライドされ、係合突起61の先端部が係合凹部54内から抜け出される。その結果、前記係合突起61と係合凸部55との係合状態が解除され、短側壁23が容器本体21の内方に折り畳み可能な状態になる。従って、上記構成により、容器本体21の折り畳み作業を極めて容易に行うことができる。
【0053】
・ 図15に示すように、係合突起61の中央部又は基端部に回動部85を設け、その回動部85を中心に係合部材25(係合突起61)が短側壁23の外側面と平行な垂直面内で回動可能となるように添設すること。さらに、上記実施形態のスライド掛合突起46及びスライド掛合孔65を省略するとともに、短側壁23の側壁凸部45と係合部材25の凹設部64に設けられた付勢突起66とにより、係合部材25の操作部62を常に上方に付勢するように構成すること。加えて、係合凹部54を上部規制孔52cの上端部とほぼ同じ高さに設けるとともに、係合凸部55を係合凹部54の下端部から上方に延びるように突設すること。或いは、前記回動部85を係合部材25の内端部(操作部62の内端部又は操作部62よりも内方位置)に設けるとともに、係合凹部54を上部規制孔52cの下端部とほぼ同じ高さに設け、さらに係合凸部55を係合凹部54の上端部から垂下するように設けてもよい。
【0054】
・ 図16に示される一方の係合部材86と、図示しない他方の係合部材とを、図17に示されるように短側壁23の外側面両端部に添着するように構成すること。
図16(a)及び(b)に示すように、短側壁23の一端部に添着される一方の係合部材86は、合成樹脂によりほぼ長四角柱状に形成されている。この係合部材86の先端部には係合突起61が突設され、基端部には長四角板状に形成されたスライド掛合板87が突設されている。また、この係合部材86の上端面は操作部62となっている。
【0055】
図16(b)に示すように、係合部材86の中央部には、その外側面を所定深さ凹設することによって添着凹部88が設けられている。この添着凹部88の先端部外側面には、三角柱状に形成された添着突起89が突設されている。さらに、この添着突起89は、係合部材86の先端側ほど低くなるように形成されている。
【0056】
係合部材86の下端面中央部には、その係合部材86の先端部へと向かって斜め下方に延びる付勢手段を構成する下部付勢板90が突設されている。この下部付勢板90は、係合部材86の下端面に対しておよそ30°の角度をなすように延設されているうえ、弾性変形可能に構成されている。また、短側壁23の他端部に添着される他方の係合部材は、前記一方の係合部材86と左右対称となる形状に形成されている。
【0057】
一方、図17に示すように、短側壁23は、上記実施形態における側壁凸部45が省略されている。さらに、各短側壁23について合計4個設けられていたスライド掛合突起46及び長孔46aのうち、内側方に位置する2個を省略してその個数が合計2個となるように構成されている。加えて、第2長孔44が設けられている側壁リブの外端部には、長四角板状に形成された添着板91が短側壁23の内側方に延びるように設けられている。この添着板91、前記側壁リブ及びそのリブに上下に隣接する側壁リブ、並びに短側壁23によって、短側壁23の上端部外側には一対の添着ポケット92が形成されている。加えて、この添着ポケット92を構成する添着板91の中央部には、上下方向に長孔状に延びる添着スライド孔93が貫設されている。
【0058】
そして、前記一方の係合部材86を容器本体21の短側壁23一端部外側面に添着する際には、図17に示すように、まず、一方の添着ポケット92内に一方の係合部材86の先端部を挿入し、係合突起61を第1長孔43及び第2長孔44内に挿通させるとともに、添着スライド孔93内に添着突起89を係入させる。続いて、係合部材86の基端部に設けられたスライド掛合板87を容器本体21の内方に押圧して無理嵌めすることによりスライド掛合突起46と掛合させ、係合部材86を短側壁23の一端部外側面に添着させる。また、他方の係合部材も同様にして短側壁23の他端部外側面に添着させる。
【0059】
この係合部材86は、先端部外側面に突設された添着突起89が短側壁23の添着スライド孔93内で上下方向にガイドされながらスライドするとともに、基端部に突設されたスライド掛合板87がスライド掛合突起46と掛合しながらスライドするように構成されている。そして、この係合部材86は、短側壁23の外側面に沿って上下方向にスライドすることができるとともに、前記添着スライド孔93により所定幅以上は上動及び下動されないようになっている。さらに、この係合部材86は、その下面に突設された下部付勢板90の先端部が、付勢手段を構成する添着ポケット92の下端部(側壁リブの上面)と当接していることから、常に上方に付勢されている。そして、この折り畳み式運搬用容器の容器本体21は、上記実施形態と全く同様に折り畳み及び組み立てを行うことができる。このように構成した場合、付勢手段の構成を容易に簡略化することができる。
【0060】
・ 図16及び図17に示される折り畳み式運搬用容器において、下部付勢板90を一方の係合部材86及び他方の係合部材の下面に突設する代わりに、前記下部付勢板90の先端部が当接している側壁リブの上面に突設させるように構成してもよい。
【0061】
・ 係合凸部55又は係合突起61の先端部に傾斜面55a又は第2傾斜面61aを形成しないこと。或いは、係合凸部55及び係合突起61の先端部に傾斜面55a及び第2傾斜面61aを形成しないこと。
【0062】
・ 係合部材25の操作部62を付勢手段により常に下方に付勢するように構成すること。さらに、操作部62を上動させることによって、係合突起61と係合凸部55との係合状態を解除するように構成すること。
【0063】
・ 付勢手段を省略するとともに、係合部材25と短側壁23との接合部に、係合部材25を所定位置に係止するための係止手段を設けること。さらに、操作部62を上動又は下動させることによって、前記係止手段による係止状態が比較的容易に解除されるように構成するとともに、係合突起61と係合凸部55との係合状態を解除することができるように構成すること。このように構成した場合、容器本体21を組み立てる際には、短側壁23を支持突条31a上に立設した直後に操作部62を押圧操作(下動又は上動)して係合突起61と係合凸部55とを係合させることによって、容器本体21を容易に組み立てることが可能である。また、容器本体21を折り畳む作業は、上記実施形態と同様に極めて容易に行うことができる。
【0064】
・ 左右一対の係合部材25を短側壁23の両端部外側面に沿って添設する代わりに、長側壁24の両端部外側面に沿って添設すること。
・ 操作部62を係合部材25の上端面に設ける代わりに、各係合部材25の下端部外側面に、横方向に延びる操作部としての操作リブを突設してもよい。このように構成した場合、前記操作リブに指を容易に引掛けることができることから、係合部材25を上下動させる操作をより一層容易に行うことができる。
【0065】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 係合突起と係合凸部とが当接する当接部において、前記係合凸部の内側部に傾斜面を備えたことを特徴とする折り畳み式運搬用容器。このように構成した場合、容器本体の組み立て作業をより一層容易に行うことができる。
【0066】
・ 前記係合部材の操作部の上動幅又は下動幅を所定範囲内に規制するように構成したことを特徴とする折り畳み式運搬四容器。このように構成した場合、折り畳み式運搬用容器の破損を容易に防止することができる。
【0067】
・ 容器本体を合成樹脂により構成するとともに、係合部材を弾性変形可能な合成樹脂により構成したことを特徴とする折り畳み式運搬用容器。このように構成した場合、折り畳み式運搬用容器を容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0068】
21…容器本体、22…底壁、23…第一側壁としての短側壁、24…第二側壁としての長側壁、25…係合部材、32…回動手段を構成する軸受け部、33…回動手段を構成する回動軸、42a…規制手段を構成する下部規制凸部、42b…規制手段を構成する中央部規制凸部、42c…規制手段を構成する上部規制凸部、45…付勢手段を構成する側壁凸部、51…規制板、52a…規制手段を構成する下部規制孔、52b…規制手段を構成する中央部規制孔、52c…規制手段を構成する下部規制孔、53…規制手段を構成する掛合枠部、55…係合凸部、61…係合突起、61a…傾斜面としての第2傾斜面、62…操作部、66…付勢手段を構成する付勢突起、71,73,76…付勢手段を構成する側壁凸部、72…付勢手段を構成するバネ部材、74…付勢手段を構成する固定棒、75…付勢手段を構成するコイルバネ、81…操作部としての操作棒、86…係合部材、90…付勢手段を構成する下部付勢板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角板状に形成された底壁と、
その底壁の対向する一側縁に沿って立設された一対の第一側壁と、
前記底壁の対向する他側縁に沿って立設された一対の第二側壁とを備えた有底四角箱状の容器本体から構成され、
前記各側壁の下端部には、各側壁を容器本体の内方に折り畳むための回動手段を設けるとともに、
前記第一側壁を底壁の上面に折り畳んだ後、第二側壁を第一側壁の上面に折り畳むことによって、容器本体を折り畳み可能に構成した折り畳み式運搬用容器であって、
前記第一側壁の外側面に係合部材を添設し、該係合部材の外端部に係合突起を設けるとともに前記係合部材に操作部を設け、
前記第二側壁の両端部には、第一側壁の外方への回動を規制するための規制板を設け、
前記係合部材の操作部を上動又は下動させることにより、前記第一側壁の内方への回動を許容するように構成し、
前記第一側壁と前記係合部材との間に空間を形成し、該空間に前記係合突起を所定方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする折り畳み式運搬用容器。
【請求項2】
前記操作部を下動させることにより、前記第一側壁の内方への回動を許容するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式運搬用容器。
【請求項3】
前記係合突起の外側部に傾斜面を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の折り畳み式運搬用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−137656(P2009−137656A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30845(P2009−30845)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【分割の表示】特願2001−152539(P2001−152539)の分割
【原出願日】平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】