説明

折丁搬送用ターンテーブル

【課題】 多様な折丁サイズの変更にも迅速に対応し得る折丁搬送用ターンテーブルを提供する。
【解決手段】 小束載置面100aに水平搬送された折丁の小束を回転させるテーブル本体110と、小束載置面100aから上昇して小束を上方に搬送する昇降部材120とを備える折丁搬送用ターンテーブル100であって、テーブル本体110に出没可能に設けられ、使用時に小束載置面100aから突出して小束の縁部と当接する規制部材114を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平搬送された折丁の小束を回転して上方に搬送する折丁搬送用ターンテーブルに関し、より詳しくは、輪転機から搬送された折丁を集積して結束するスタッカーバンドラーに好適に使用される折丁搬送用ターンテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスタッカーバンドラーとして、例えば、特許文献1に開示された構成が知られている。図3に示すように、このスタッカーバンドラー1は、プレスローラ2,2’、搬送装置3、瀬切り装置4、腰付けローラ5,5’、小束集積装置6、大束作製部7、プレス装置8等を有している。輪転機(図示せず)から排出された折丁9は、プレスローラ2により折丁の袋状の膨らみが潰されて堰電気除去がなされた後、搬送装置3により搬送され、腰付けローラ5,5’によっていわゆる「腰」が付与されて、小束集積装置6に順次落下する。
【0003】
小束集積装置6は、折丁9の前縁部を衝止する前縁規制部材10や、前縁規制部材10と対向配置される後縁規制部材11の他に、幅方向規制板12、昇降台13、仮受け板14を主な構成要素として備えており、後縁規制部材11は、一方の腰付けローラ5とプーリ11bとに巻回された規制ベルト11aによって構成されている。折丁9は、規制ベルト11aとの摩擦接触により順次落下して略水平状態で束状に集積され、前縁規制部材10及び後縁規制部材11により前後方向が揃えられる一方、幅方向は幅方向規制板12により揃えられる。そして、小束集積装置6に一定部数の折丁9が集積されると瀬切り装置4が作動し、搬送装置3により搬送される折丁9の流れを一時的にせき止めた後、集積された折丁9を載せた昇降台13が図示の位置まで下降して、プッシャー等により大束作製部7に折丁の小束が送られる。
【0004】
昇降台13が下降している間は、仮受け板14が進出して、瀬切り装置4によるせき止め解除後に小束集積装置6に落下する折丁9を受ける。そして、昇降台13が上昇すると仮受け板14が後退して、折丁9が昇降台13に引き渡される。
【0005】
大束作製部7では、小束集積装置6で集積された折丁9の小束を受け入れ、集積させて折丁の大束を作製する。そして、所定部数に達したところで、折丁の大束は、結束部に運ばれて束の上下に当紙が供給され、プレス装置8によりプレスされた後、結束される。
【0006】
大束作製部7において小束の折り目が同じ向きのまま集積されると、折り目側が嵩高であるために大束が傾斜し易くなり、バランスが悪くなる。このため、大束作製部7にはターンテーブルが設けられており、集積される小束の折り目の位置を、ターンテーブルの回動により交互に反転することが従来から行われている。
【0007】
例えば、図4に示すように、特許文献2に開示されたターンテーブル20は、水平シリンダ21により水平方向に駆動されるプッシャ22の進出により、小束集積装置6から小束載置面20aに水平搬送された小束を、水平面に沿って所定角度回転させ、上下シリンダ23のプランジャが上昇することにより、小束を段積み部24に搬送する。こうして段積み部24に順次搬送された小束は、段積み処理により集積されて、大束が形成される。
【0008】
ターンテーブル20は、図5に示すように、上面に小束載置面20aが形成されたテーブル本体25と、テーブル本体25の中央に形成された開口を介して出没可能な昇降部材26とを備えており、昇降部材26は、上記の上下シリンダ23により昇降自在に設けられている。テーブル本体25及び昇降部材26は、一体的に水平回転可能であり、テーブル本体25に対して昇降部材26が上昇することで、小束を上方へ搬送することができる。
【0009】
テーブル本体25の小束載置面20aには、昇降部材26の周囲4箇所(図5では2箇所のみ図示)にフェンス27が設けられている。各フェンス27は、垂直軸線のまわりに回動開閉可能に設けられており、閉じた状態で小束の搬送方向前縁及び後縁を係止する。また、各フェンス27は、小束載置面20aに形成された溝28に沿って、小束の搬送方向に対して垂直な左右方向に移動可能とされており、小束の左右方向長さに応じて位置調整が可能である。小束の左右方向両側(図5では片側のみ図示)にはフェンス29が設けられており、このフェンス29を左右方向に移動させることで、小束の両側縁を係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−20157号公報
【特許文献2】特開平7−132912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献2に開示されたターンテーブルによれば、搬送される小束のサイズに応じて各フェンス27の位置調整を行うことにより、例えば、横長の状態で搬送されるA3サイズの小束、及び、縦長の状態で搬送されるA4サイズの小束のように、搬送方向長さが等しい小束をフェンス27により正確に位置規制することが可能である。
【0012】
ところが、各フェンス27は、小束の搬送方向長さに合わせた位置調整ができないことから、例えば、A5の2丁付けの折丁の小束のように、A3サイズやA4サイズよりも搬送方向長さが小さい小束を位置規制することができず、折丁サイズの変更に対して迅速に対応できないおそれがあった。
【0013】
そこで、本発明は、多様な折丁サイズの変更にも迅速に対応し得る折丁搬送用ターンテーブルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の前記目的は、小束載置面に水平搬送された折丁の小束を回転させるテーブル本体と、前記小束載置面から上昇して小束を上方に搬送する昇降部材とを備える折丁搬送用ターンテーブルであって、前記テーブル本体に出没可能に設けられ、使用時に前記小束載置面から突出して小束の縁部と当接する規制部材を備えることを特徴とする折丁搬送用ターンテーブルにより達成される。
【0015】
この折丁搬送用ターンテーブルにおいて、前記規制部材は、上下方向に回動可能に支持されていることが好ましく、収容時に前記小束載置面に対して面一または下方に収容される一方、使用時に前記小束載置面に対して起立するように構成することができる。
【0016】
また、前記規制部材は、搬送された小束の前縁及び後縁と当接して小束を挟持できるように前記昇降部材を挟んで両側に設けられていることが好ましい。
【0017】
また、前記規制部材を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の駆動を制御する制御手段とを更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の折丁搬送用ターンテーブルによれば、多様な折丁サイズの変更にも迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る折丁搬送用ターンテーブルの平面図である。
【図2】図1示す折丁搬送用ターンテーブルのB−B断面図である。
【図3】従来のスタッカーバンドラーの概略構成図である。
【図4】従来のターンテーブルの概略構成図である。
【図5】図4に示すターンテーブルの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る折丁搬送用ターンテーブルの平面図である。本実施形態のターンテーブルは、図4及び図5に示す従来のターンテーブルと置き換えることにより、スタッカーバンドラーを構成することができる。
【0021】
図1に示すように、ターンテーブル100は、テーブル本体110と、昇降部材120とを備えている。昇降部材120は、テーブル本体110の中央に形成された開口を介して出没可能に構成されており、従来のターンテーブルと同様に、シリンダ(図示せず)により昇降自在に設けられている。テーブル本体110及び昇降部材120は、水平面に沿って矢示両方向に回転駆動可能に構成されており、両者の上面は面一の状態で小束載置面100aを形成している。折丁の小束は、矢示A方向に搬送されて小束載置面100aに載置された後、テーブル本体110及び昇降部材120の一体的な回転により向きを変え、昇降部材120の上昇により上方に搬送される。テーブル本体110及び昇降部材120の回転駆動機構については、例えば上記特許文献2に開示された公知のものを適用可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0022】
テーブル本体110の上面には、従来のフェンスと同様に、小束載置面100aに沿って矢示のように回動可能に支持された4つの扉112が設けられており、各扉112を図示のように閉じることにより、所定サイズ(例えば、横長状態で搬送されるA3サイズや、縦長状態で搬送されるA4サイズ)の小束の搬送方向前縁及び後縁と当接して、小束載置面100a上における小束の位置決めを行う。搬送方向前方の2つの扉112は、図示の状態から搬送方向前方に回動して開放することができ、搬送方向後方の2つの扉112は、図示の状態から搬送方向後方に回動して小束を受け入れることができる。
【0023】
また、テーブル本体110の上面には、小束の搬送方向Aに垂直な幅方向の両側縁と当接する側方ガイド113が、左右に2箇所ずつ合計4箇所に設けられている。各側方ガイド113は、コンベア113aの駆動により幅方向に移動可能に構成されており、左右の1つずつが対となって両者の間隔を調整することにより、幅方向の長さが異なる種々の小束を小束載置面100aに受け入れて、幅方向の位置決めを行うことができる。
【0024】
また、本実施形態においては、テーブル本体110の上面に、小束載置面100aから出没可能な規制部材114が、昇降部材120を挟んで小束の搬送方向前後両側に2箇所ずつ合計4箇所に設けられている。各規制部材114は、板状に形成されており、一端側が回動軸115を介してテーブル本体110に上下方向へ回動自在となるように支持されている。規制部材114は、収容時においては、図2(a)にB−B断面図で示すように、テーブル本体110の上面に形成された収容溝110aに収容されて小束載置面100aと面一の状態になる一方、使用時には、図2(b)に示すように、小束載置面100aに対して起立状態となって、小束の前縁又は後縁と当接する。収容状態の規制部材114は、本実施形態のように小束載置面100aと面一であることが好ましいが、小束搬送時に引っかかり等のトラブルが生じない場合には、小束載置面100aよりも下方に収容してもよい。
【0025】
規制部材114の2つは、昇降部材120の搬送方向前方において、昇降部材120と2つの扉112との間に起立し、小束の前縁と当接する。これら2つの規制部材114は、小束載置面100aの下方において連結部材116により連結されており、同じく小束載置面100aの下方に支持された空圧シリンダ117のロッド117aの進退により連結部材116を回動して、2つの規制部材114を収容状態と起立状態との間で切り替えることができる。ロッド117aの先端と連結部材116との間には、連結部材116に対して回動可能なヘッド117bが介在されており、ロッド117aの水平方向の進退によりヘッド117bが回動することで、連結部材116の出没がスムーズに行われる。
【0026】
昇降部材120の搬送方向後方側に配置された2つの規制部材114についても上記と同様に構成されており、連結部材116により連結されて、空圧シリンダ117のロッド117aの進退により、収容又は起立することができる。これらの規制部材114は、小束の前縁及び後縁と当接して小束を挟持できるように配置されていることが好ましいが、必ずしも本実施形態のように4箇所に設ける必要はなく、例えば、幅広の規制部材114を小束の前後各1箇所に設けた構成であってもよい。また、規制部材114の収容又は起立は、空圧シリンダ117で行う他、油圧シリンダなど他のアクチュエータで行うことも可能であり、あるいはこのような駆動手段を設ける代わりに、手動で行うように構成してもよい。規制部材114の出没は、本実施形態のように回動で行う代わりに、上下方向のロッド等の進退により行うことも可能である。
【0027】
以上の構成を備えるターンテーブル100によれば、搬送方向の長さが等しい小束(例えば、横長状態のA3サイズと縦長状態のA4サイズ)については、従来の構成と同様に、扉112を閉じて小束の搬送方向前縁と当接させ、小束の幅方向を側方ガイド113により規制することで、所定の位置に正確に位置決めすることができる。したがって、例えばA3とA4のように同列で数字が連続する折丁サイズの変更に容易に対応することができる。
【0028】
一方、小束の搬送方向長さが、通常搬送される小束の搬送方向長さよりも小さい場合、例えば、上記のA3及びA4サイズからA5の2丁付けにサイズ変更する場合には、扉112を搬送方向前方に回動して開放状態にした後、空圧シリンダ117の駆動により前方2箇所の規制部材114を回動して起立させる。これにより、小束の前縁は扉112よりも搬送方向手前側で規制部材114と当接し、昇降部材120により確実に上方搬送可能となるように小束が位置決めされる。本実施形態においては、後方2箇所にも規制部材114が設けられているため、図2(b)に示すように、前方の規制部材114の起立後に後方の規制部材114も起立させることにより、各規制部材114を小束の前縁及び後縁に当接させて小束を挟持することができ、小束の位置決めをより確実にすることができる。各規制部材114の起立は、サイズ変更に伴いオペレータが入力操作を行うか、或いは、搬送される折丁サイズをセンサにより検知する等して起立信号を発生させ、制御装置(図示せず)がこの起立信号に基づき空圧シリンダ117を駆動することにより、自動で行うことができる。
【0029】
折丁サイズを再びもとのサイズに変更する場合には、図2(a)に示すように、空圧シリンダ117の駆動により規制部材114を小束載置面100aに対して好ましくは面一、あるいは小束載置面100aの下方に収容する。これにより、規制部材114が小束の搬送を妨げるおそれがなく、迅速なサイズ変更を行うことができる。
【0030】
このように、本実施形態のターンテーブル100は、従来の構成に比べて対応可能なサイズバリエーションを広げることができ、多様な折丁サイズの変更に迅速に対応することができる。本実施形態においては、規制部材114を回動する回動軸115のテーブル本体110に対する位置を固定しているが、この回動軸115を小束の搬送方向に沿ってスライド可能として、所望の位置でテーブル本体110に固定できるように構成することで、規制部材114の位置調整を行うことができ、より多様なサイズ変更への対応を可能にすることができる。
【0031】
また、規制部材114は、本実施形態においてはテーブル本体110に設けられているが、小束載置面100aへの搬送時に小束の前後の位置規制を行い、ターンテーブル100と共に回転可能であれば、テーブル本体110以外に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 スタッカーバンドラー
100 ターンテーブル
100a 小束載置面
110 テーブル本体
112 扉
113 側方ガイド
114 規制部材
115 回動軸
117 空圧シリンダ
120 昇降部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小束載置面に水平搬送された折丁の小束を回転させるテーブル本体と、前記小束載置面から上昇して小束を上方に搬送する昇降部材とを備える折丁搬送用ターンテーブルであって、
前記テーブル本体に出没可能に設けられ、使用時に前記小束載置面から突出して小束の縁部と当接する規制部材を備えることを特徴とする折丁搬送用ターンテーブル。
【請求項2】
前記規制部材は、上下方向に回動可能に支持されており、収容時に前記小束載置面に対して面一または下方に収容される一方、使用時に前記小束載置面に対して起立する請求項1に記載の折丁搬送用ターンテーブル。
【請求項3】
前記規制部材は、搬送された小束の前縁及び後縁と当接して小束を挟持できるように前記昇降部材を挟んで両側に設けられている請求項1または2に記載の折丁搬送用ターンテーブル。
【請求項4】
前記規制部材を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の駆動を制御する制御手段とを更に備える請求項1から3のいずれかに記載の折丁搬送用ターンテーブル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の折丁搬送用ターンテーブルを備えるスタッカーバンドラー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−163176(P2010−163176A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5459(P2009−5459)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】