説明

折板屋根用連結金具

【課題】 折板屋根に太陽電池モジュール等を設置するに用いる折板屋根用の連結金具を優れた強度を備えて使い勝手の良いものとする。
【解決手段】 連結金具Aを一対の金具本体1、接続プレート6、Uボルト7、上向きボルト8を備えて形成するとともに金具本体1を、底板2、傾斜した対向側板3、天板4を備えてアルミ合金によって鋳造成形した正面台形をなすボックス状一体のものとして形成する。このとき、該金具本体1を同一形状に鋳造成形することによって左右勝手をなくして共通部材として使用できるようにする。接続プレート6に上向きボルトを起立し、一対の金具本体1をUボルト7で一体化して、該一対の金具本体1で折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1を挟持するように用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根(折版屋根といってもよい)に、太陽電池モジュールの支持枠等の載置物を載置固定するに用いる連結金具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の折板屋根のハゼ継ぎ部に設置して該折板屋根に載置物を固定するに用いる連結金具として、例えば、該連結金具を、相互に突合せ配置して上記ハゼ継ぎ部をその交差方向に挟持する一対の金具本体と、該一対の金具本体をハゼ継ぎ部交差方向にナット締着するUボルト又は一対のボルトナット連結するUボルトを備えて形成するとともに上記一対の金具本体を、底板と、該底板の背面から起立した背面板及び正面側に向けて折曲配置した正面突片と、上記背面板から底板に平行に突出し突合せ配置により上向きボルトを挿通する半矩形孔を有する天板とを備え、上記背面板に上記Uボルトのボルト孔及び背面板の背面側に向けて折曲配置した補強突片を、上記天板の半矩形孔から中間部を階段状とするように切欠きを配置するとともに該切欠きの端部に天板と上下の段差をなすように段差プレートを突出し且つ該段差プレートの上記切欠き側の側端に逆L字状をなすように上記上向きボルトのボルト頭を支持する段差プレートと同長の支持突片を配置し、更に背面板の上下中間位置から底板及び正面突片に至る補強リブ、底板、背面板、天板等の各折曲部内側に配置して、鋼板のプレス成形によって一体の断面C字状に形成したものとしてあり、上記段差プレートをそれぞれ他方の天板下面に挿入し、対向する該段差プレートの逆L字状の支持突片にボルト頭を載置して、半矩形孔でボルト頭上部を閉鎖し、階段状をなす切欠きを嵌め合うように一対の金具本体を突合せ配置し、底板の正面突片をハゼ継ぎ部に挿入して底板を該ハゼ継ぎ部近傍の平坦部に載置した上、該一対の金具本体をハゼ継ぎ部交差方向に貫通するUボルトにナットを締着することによって、折板屋根に設置し、上記上向きボルトによって載置物を固定するように用いるものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−281114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の連結金具を使用することによって、例えば、太陽電池モジュールの支持枠等の載置物を折板屋根に載置固定することができるが、一方で、該連結金具は、その一対の金具本体を鋼板にプレス成形を施して形成したものとされるために、該鋼板を用いながら、折板屋根のハゼ継ぎ部に連結固定する構造のものとし且つ載置物の荷重支持を行う構造のものとするために、金具本体の構造及び形状が複雑化する傾向を避けることができず、従って生産に当っては、多数のプレス成形を施す必要を生じる上、搬送や工事に際して、金具本体の角部等に外力を受けるとその変形を招き、該金具本体を用いた連結をなし得ないというトラブルも生じる可能性も残る。
【0005】
本発明はかかる事情に基づいてなされたもので、その解決課題とするところは、可及的簡易な構造にして優れた強度を備えるとともに折板屋根に対する設置を容易且つ確実になし得て良好な使い勝手を確保し、生産も可及的簡易になし得るようにした折板屋根用連結金具を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って請求項1に記載の発明は、連結金具の主要部をなす一対の金具本体を、鉄系、アルミ系等の金属を用いて底板、側板及び天板を備えたボックス状一体に鋳造形成し、可及的簡易な構造として金具本体の強度を確保するとともに該一対の金具本体に加えて金具本体の突合せ時に該一対の金具本体を接続する接続プレート、金具本体の締着用のボルトナット、載置物を固定する上向きボルトを備えて形成し、天板下面に配置した接続プレートによって接続するとともに対向側板の内面上方にハゼ継ぎ部交差方向に貫通する一対のボルト挿通孔に挿通したUボルト又は一対のボルトにナットを締着して該一対の金具本体を突合せ配置し、天板下端の係合突起によって折板屋根のハゼ継ぎ部を挟持する一方、上記接続プレートから上向きボルトを金具本体上方に突出し、該上向きボルトによって載置物の載置固定を行うようにし、折板屋根に対する設置を容易且つ確実になし得て良好な使い勝手を確保し、生産も可及的簡易になし得るようにしたものであって、即ち、これを、折板屋根のハゼ継ぎ部に設置して該折板屋根に載置物を固定するに用いる連結金具であって、該連結金具を、相互に突合せ配置して上記ハゼ継ぎ部をその交差方向に挟持する一対の金具本体と、該金具本体を上記ハゼ継ぎ部交差方向に接続する接続プレートと、該一対の金具本体をハゼ継ぎ部交差方向にナット締着するUボルト又は一対のボルトと、上記載置物を締着するように一対の金具本体から上方に突出配置した上向きボルトを備えて形成するとともに上記一対の金具本体を、折板屋根のハゼ継ぎ部に平行な平坦部に載置する底板と、該底板から上方に起立した対向側板と、該対向側板をその上端で接続し突合せ配置により上向きボルトを挿通する半円孔を有する天板を備え、上記対向側板にハゼ継ぎ部の切欠部と該切欠部下位のハゼ継ぎ部に対接する係合突起を、上記対向側板の内面上方にハゼ継ぎ部交差方向に貫通する一対のボルト挿通孔を、上記天板の下面に上記接続プレートを受入れる対向突条と該対向突条の下位に該接続プレートを貫通してその下位に配置した上記上向きボルトのボルト頭を下支えする支持板とにより中空に形成した中空支持部をそれぞれ配置して、金属の鋳造成形によってボックス状一体に形成してなることを特徴とする折板屋根用連結金具としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記金具本体を左右勝手のない同一形状とした単一部材によって形成し、部材の共通化を可能としてその生産、在庫、搬送、設置のメリットを享受したものとするように、これを、上記一対の金具本体を、同一形状の単一部材によって形成することによって共通部材としてなることを特徴とする請求項1に記載の折板屋根用連結金具としたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記接続プレートを、一対のうち一方の金具本体に接続プレートを一体に配置するとともに他方の金具本体に該一体の接続プレートを受入れる対向突条と該接続プレートを貫通してその下位に配置した上記上向きボルトのボルト頭を下支えする支持板を一体に配置した以外、請求項1に記載の発明と同様に構成して、別体の接続プレートを用いることなく、その部材数を減少したものであって、即ち、これを、折板屋根のハゼ継ぎ部に設置して該折板屋根に載置物を固定するに用いる連結金具であって、該連結金具を、相互に突合せ配置して上記ハゼ継ぎ部をその交差方向に挟持する一対の金具本体と、該一対の金具本体をハゼ継ぎ部交差方向にナット締着するUボルト又は一対のボルトと、上記載置物を締着するように一対の金具本体から上方に突出配置した上向きボルトを備えて形成するとともに上記一対の金具本体を、折板屋根のハゼ継ぎ部に平行な平坦部に載置する底板と、該底板から上方に起立した対向側板と、該対向側板をその上端で接続し突合せ配置により上向きボルトを挿通する半円孔を有する天板を備え、上記対向側板にハゼ継ぎ部の切欠部と該切欠部下位のハゼ継ぎ部の凹陥溝に挿入係合する係合突起を、上記対向側板の内面上方にハゼ継ぎ部交差方向に貫通する一対のボルト挿通孔を、上記一対のうち一方の金具本体における天板の下面に突合せ配置によって他方の金具本体に向けて突出した接続プレートを、該他方の金具本体に該接続プレートを受入れる対向突条と該接続プレートを貫通してその下位に配置した上記上向きボルトのボルト頭を下支えする支持板をそれぞれ配置して、金属の鋳造成形によってボックス状一体に形成してなることを特徴とする折板屋根用連結金具としたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記一対の金具本体の天板と底板間に補強用起立片を備えて、ボックス状一体の金具本体を高荷重支持可能のものとするように、これを、上記天板と底板間に、荷重支持用の補強用起立片を備えてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の折板屋根用連結金具としたものである。
【0010】
本発明は、これらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、連結金具の主要部をなす一対の金具本体を、鉄系、アルミ系等の金属を用いて底板、側板及び天板を備えたボックス状一体に鋳造形成し、可及的簡易な構造として金具本体の強度を確保するとともに該一対の金具本体に加えて金具本体の突合せ時に該一対の金具本体を接続する接続プレート、金具本体の締着用のボルトナット、載置物を固定する上向きボルトを備えて形成し、天板下面に配置した接続プレートによって接続するとともに対向側板の内面上方にハゼ継ぎ部交差方向に貫通する一対のボルト挿通孔に挿通したUボルト又は一対のボルトにナットを締着して該一対の金具本体を突合せ配置し、天板下端の係合突起によって折板屋根のハゼ継ぎ部を挟持する一方、上記接続プレートから上向きボルトを金具本体上方に突出し、該上向きボルトによって載置物の載置固定を行うようにし、折板屋根に対する設置を容易且つ確実になし得て良好な使い勝手を確保し、生産も可及的簡易になし得るようにした折板屋根用連結金具を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、上記金具本体を左右勝手のない同一形状とした単一部材によって形成し、部材の共通化を可能としてその生産、在庫、搬送、設置のメリットを享受したものとすることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上記接続プレートを、一対のうち一方の金具本体に接続プレートを一体に配置するとともに他方の金具本体に該一体の接続プレートを受入れる対向突条と該接続プレートを貫通してその下位に配置した上記上向きボルトのボルト頭を下支えする支持板を一体に配置して、別体の接続プレートを用いることなく、その部材数を減少することにより、請求項1に記載の発明と同様に、折板屋根に対する設置を容易且つ確実になし得て良好な使い勝手を確保し、生産も可及的簡易になし得るようにした折板屋根用連結金具を提供することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、上記一対の金具本体の天板と底板間に補強用起立片を備えて、ボックス状一体の金具本体を高荷重支持可能のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】連結金具の分解斜視図である。
【図2】連結金具と折板屋根の関係を示す分解側面図である。
【図3】連結金具の設置状態を示す平面図である。
【図4】連結金具の設置状態を示す縦断面図である。
【図5】金具本体の平面図である。
【図6】金具本体の正面図である。
【図7】金具本体の背面図である。
【図8】金具本体の側面図である。
【図9】接続プレートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは折板屋根用連結金具であり、該折板屋根用連結金具Aは、折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1に設置して該折板屋根Bに載置物、例えば、太陽電池モジュール又はその支持枠を固定するに用いるものであって、該連結金具Aは、これを、相互に突合せ配置して上記ハゼ継ぎ部B1をその交差方向に挟持する一対の金具本体1と、該金具本体1を上記ハゼ継ぎ部交差方向に接続する接続プレート6と、該一対の金具本体1をハゼ継ぎ部交差方向にナット71締着するUボルト又は一対のボルト、本例にあってはUボルト7と、上記載置物を締着するように一対の金具本体1から上方に突出配置した上向きボルト8を備えて形成するとともに上記一対の金具本体1を、折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1に平行な平坦部に載置する底板2と、該底板2から上方に起立した対向側板3と、該対向側板3をその上端で接続し突合せ配置により上向きボルト8を挿通する半円孔43を有する天板4を備え、上記対向側板3にハゼ継ぎ部B1の切欠部31と該切欠部31下位のハゼ継ぎ部B1に対接する係合突起32を、上記対向側板3の内面上方にハゼ継ぎ部交差方向に貫通する一対のボルト挿通孔33を、上記天板4の下面に上記接続プレート6を受入れる対向突条45と該対向突条45の下位に該接続プレート6を貫通してその下位に配置した上記上向きボルト8のボルト頭81を下支えする支持板46とにより中空に形成した中空支持部44をそれぞれ配置して、金属の鋳造成形によってボックス状一体に形成してあり、このとき本例にあって該一対の金具本体1は、これを、同一形状の単一部材によって形成することによって共通部材としたものとしてある。
【0017】
本例の金具本体1は、例えばアルミ合金によって、肉厚を2〜5mm程度、本例にあっては3〜4mm程度の厚肉にして一体に鋳造成形したものとして、任意の2個を対として連結金具Aとして使用するものとしてあり、該金具本体1は、上記底板2、対向側板3及び天板4を備えて正背面を開放した中空のボックス状としてある。
【0018】
底板2は、折板屋根Bのハゼ継ぎ部長手方向に沿って長寸の平面矩形、例えば長さを11cm、幅を4cm程度とした矩形厚肉のものとするとともに、本例にあって該底板2の背面、即ち、折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1側をやや上向きに傾斜乃至湾曲して該背面側の先端に、例えば起立高さを1cm程度とする底板2全長に亘る起立壁21を配置したものとしてある。
【0019】
対向側板3は、該平面矩形の底板2の側端から対向方向に傾斜起立してあり、該傾斜起立は、後述の天板4の5cm程度の長さの両端に至るように同一傾斜角度、例えば60度程度の角度をなすように、例えば5cm程度の高さを有し、底板2と同等の4cm程度の幅を有するものとしてあり、このとき該対向側板3の背面側、即ち、上記起立壁21側の下端は、これを上記底板2に合せてやや上向き乃至湾曲するとともに該背面側先端を上記底板2の起立壁21の起立高さとして該起立壁21に一体に連続するように係合突起32を配置してある。該係合突起32は、対向側板3の上下中間部に、例えば、高さ及び幅を2cm程度とした矩形状の切欠部31を配置し、該切欠部31の下端が係合突起32の上端をなすようにその配置を行なってある。また、該対向側板3の内面上方には、それぞれ上記折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1に直交するように、例えば内径を1cm弱、外形を1.5cm程度とするボルト挿通孔33を、該対向側板3の全長に亘り又は正面側に変位した位置に、例えば、2cm程度の短寸のものとして配置してある。本例にあって該ボルト挿通孔33は、対向側板3の上端近傍にして、例えば側板3上端から1.5cm程度下位の位置に円の中心を配置するようにしてある。
【0020】
天板4は、上記対向側板3の上端を接続するように上記長さを5cm、幅を4cm程度としたものとしてあり、本例にあってその面内中間位置、例えば、幅方向中央位置からやや背面側に変位した位置に6mm程度のネジ孔41、本例にあっては皿ネジ用のネジ孔を配置するとともに背面側の端部長手方向中央位置に上向きボルト8のボルト軸の略1/2の半円孔43を配置してある。
【0021】
また、該天板4の下面には中空支持部44を配置してあり、該中空支持部44は、例えば、天板4の全幅に亘り又は背面側に変位して、例えば3cm程度の短寸のものとするように、天板4下面から下向きに突出した対向側壁と、該対向側壁の上下中間位置、本例にあっては上下中央位置に配置した一対の対向突条45と、対向側壁下端を連結した底壁、即ち、後述の上向きボルトのボルト頭を支持する支持板46を備えた略矩形断面のものとしてあり、本例にあって、該中空支持部44は、その外形高さを1.5cm、幅を3cm程度として、天板4の長手方向中央位置下面に配置したものとしてある。
【0022】
このとき本例の金具本体1にあって、その上記天板4と底板2間に、荷重支持用の補強用起立片5を備えたものとしてあり、該補強用起立片5は、上記厚肉にして天板4と底板2間、特に天板4下面の上記中空支持部44の支持板46と底板2間に、例えば、正面側から幅方向中間位置に至るように、本例にあって3cm程度の長さを有するものとしてある。
【0023】
以上の構成による本例の金具本体1は、正面及び背面を台形の形状を呈する上記ボックス状一体のものとしてあり、これによって該金具本体1は、その形状による耐荷重性を備えるとともに、上記補強用起立片5の天板4と底板2間介設による耐荷重性を備えて、極めて強度に優れて、重量の嵩む太陽電池モジュール乃至その支持枠等の載置物の支持に好適なものとしてある。
【0024】
接続プレート6は、上記中空支持部44の対向突条45に受入れ自在とするように、例えば、中空支持部44の対向壁間内法寸法より僅かに幅狭の2.5cm程度の幅にして、正背面方向に、長さを、例えば6〜7cm程度とした平面矩形にして、肉厚を3mm程度として、上記中空支持部44の天板4下面と対向突条45間の高さ寸法より僅かに薄くした厚肉鋼板のプレートによるものとしてある。該接続プレート6には、その長手方向一方に変位した幅方向中央位置に、上向きボルト8のボルト軸を挿通する挿通孔61を、また、その長手方向一側に変位した幅方向中央位置に雌ネジを有するナット孔62をそれぞれ透設したものとしてある。
【0025】
Uボルト7は、上記ボルト挿通孔33に合せた軸径と金具本体1の上記5cm程度の幅の2倍程度の長さを有する一対のボルト軸を、平面U字状をなすように備えたものとしてあり、その先端側に、例えば10〜10数cm程度としてそれぞれナット71を螺装自在とするように部分的な雄ネジを刻設したものを用いてある。
【0026】
上向きボルト8は、金具本体1の天板4から載置物をナット82の締着によって金具本体1に載置固定するに必要な長さのボルト軸を、該天板4の上面から起立するように、所定長さ、本例にあっては、例えば5〜6cmの軸長さを有するものとしてある。
【0027】
以上の金具本体1、接続プレート6、Uボルト又は一対のボルト、本例にあってはUボルト7及び上向きボルト8によって構成した連結金具Aは、一対のうちの一方の金具本体1に、その中空支持部44の対向突条45にスライド載置するように接続プレート6を挿入し、その上記ナット孔62に、天板4のネジ孔41からのネジ42、特に皿ネジを螺着して、該一方の金具本体1に接続プレート6を、その上記挿通孔61を他方の金具本体1側に突出するように固定するとともに該挿通孔61に、ボルト頭81を該接続プレート6の裏面に位置するように上向きボルト8のボルト軸を挿通してあり、このように該上向きボルト8を挿通した状態で、各金具本体1の底板2を折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1両側の傾斜又は水平の平坦部に載置し、その金具本体1における各対向側板3の係合突起32を、本例にあっては、更に底板2の起立壁21で折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1を挟み込むとともに一方の金具本体1から突出した接続プレート6の突出部分を他方の金具本体1の中空支持部44の対向突条45にスライド載置するように挿入して、上向きボルト8のボルト頭81を該他方の金具本体1の中空支持部44の支持板46上に受入載置し該上向きボルト8のボルト軸を各天板4の半円孔43を介して該天板4の上方に突出し、該一対の金具本体4によってハゼ継ぎ部B1を挟持した状態で突合せ配置し、その後に、一方の金具本体1のボルト挿通孔33から他方の金具本体1のボルト挿通孔33を貫通するようにUボルト7を挿入し、他方の金具本体1側で該Uボルト7にナット71を螺装してその締着を行うようにして、折板屋根Bに設置固定するものとしてある。このとき、折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1にはその頂部に円形接合部や一方に向けて折曲した折曲接合部があるところ、該接合部は、金具本体の突合せ配置によって、金具本体1の対向側板3に形成した上記切欠部31に収容する結果、折板屋根Bのハゼ継ぎ部B1、特にその垂直の起立部位を挟持した連結金具Aの固定が可能となる。このとき、接続プレート6が一対の金具本体1の上下揺動を防止するように該一対の金具本体1を接続し、Uボルト7とナット71による安定且つ確実な締着を可能とするとともに該Uボルト7とナット71の締着によって該一対の金具本体1をハゼ継ぎ部交差方向に単一部材のように一体化して、該ハゼ継ぎ部B1を挟持することによって安定且つ確実な固定を可能とするようにしてある。また、天板4と底板2間に一体の補強用起立片5を介設したことによって、連結金具Aの耐荷重性を高度に確保することが可能となる。
【0028】
該折板屋根Bに対する連結金具Aの固定によって、該連結金具Aには上方にボルト軸を突出した上向きボルト8が固定されるから、該上向きボルト8を、例えば、載置物乃至その支持枠に透設した挿通孔に挿通し、その上面から該上向きボルト8にナット82を締着するようにして、該載置物乃至その支持枠を折板屋根に載置固定することができる。
【0029】
連結金具Aは、その一対の金具本体1を、アルミ合金の鋳造によって台形をなすようにボックス状に形成したことにより、該金具本体1を可及的簡易な形状と構造としてその鋳造と形状による強度を確保し且つ生産も可及的容易になし得るものとして、これに接続プレート6、Uボルト7とそのナット71、上向きボルト8を用いることによって、折板屋根Bに対する設置を容易且つ確実になし得て良好な使い勝手を確保したものとすることができ、また、金具本体1を同一形状の単一部材としたことによって部材の共通化を行い、その生産、在庫、搬送、設置のメリットを享受したものとすることができる。
【0030】
図示した例は以上のとおりとしたが、上記の接続プレートを用いることなく、一対のうち一方の金具本体における天板の下面に突合せ配置によって他方の金具本体に向けて突出した接続プレートを、該他方の金具本体に該接続プレートを受入れる対向突条と該接続プレートを貫通してその下位に配置した上記上向きボルトのボルト頭を下支えする支持板をそれぞれ配置する形態、即ち、例示的にいえば、接続プレートを一方の金具本体に一体に鋳造配置し、例えば、他方の金具本体に上記と同様の中空支持部を配置し、該接続プレート、特にその突出部を該他方の金具本体の中空支持部の対向突条に受入れ載置するとともに上向きボルトのボルト頭を該中空支持部の支持板上に受入載置する如くにする形態とすることができ、この場合、上記部材の共通化はできないが、一方の金具本体に対する接続プレートの設置を省略することができる一方で、上記と同様な鋳造強度、台形としたときには形状強度、
同じく補強用起立片を一体に介設したときには高度な耐荷重性を確保し、更に、同じく、生産の容易性、安定且つ確実な設置、良好な使い勝手を確保したものとすることができる。
【0031】
更に、金具本体の鋳造形成を鉄系の金属とすること、金具本体の形状を矩形乃至台形以外の多角形のものとすること、Uボルトに代えて一対のボルトナットを用いること等を含めて、本発明の実施に当って、連結金具、載置物、金具本体、Uボルト又は一対のボルト、上向きボルト、必要に応じて用いる接続プレート、中空支持部等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0032】
A 折板屋根用連結金具
B 折板屋根
B1 ハゼ継ぎ部
1 金具本体
2 底板
21 起立壁
3 対向側板
31 切欠部
32 係合突起
33 ボルト挿通孔
4 天板
41 ネジ孔
42 ネジ
43 半円孔
44 中空支持部
45 対向突条
46 支持板
5 補強用起立片
6 接続プレート
61 挿通孔
62 ナット孔
7 Uボルト
71 ナット
8 上向きボルト
81 ボルト頭
82 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根のハゼ継ぎ部に設置して該折板屋根に載置物を固定するに用いる連結金具であって、該連結金具を、相互に突合せ配置して上記ハゼ継ぎ部をその交差方向に挟持する一対の金具本体と、該金具本体を上記ハゼ継ぎ部交差方向に接続する接続プレートと、該一対の金具本体をハゼ継ぎ部交差方向にナット締着するUボルト又は一対のボルトと、上記載置物を締着するように一対の金具本体から上方に突出配置した上向きボルトを備えて形成するとともに上記一対の金具本体を、折板屋根のハゼ継ぎ部に平行な平坦部に載置する底板と、該底板から上方に起立した対向側板と、該対向側板をその上端で接続し突合せ配置により上向きボルトを挿通する半円孔を有する天板を備え、上記対向側板にハゼ継ぎ部の切欠部と該切欠部下位のハゼ継ぎ部に対接する係合突起を、上記対向側板の内面上方にハゼ継ぎ部交差方向に貫通する一対のボルト挿通孔を、上記天板の下面に上記接続プレートを受入れる対向突条と該対向突条の下位に該接続プレートを貫通してその下位に配置した上記上向きボルトのボルト頭を下支えする支持板とにより中空に形成した中空支持部をそれぞれ配置して、金属の鋳造成形によってボックス状一体に形成してなることを特徴とする折板屋根用連結金具。
【請求項2】
上記一対の金具本体を、同一形状の単一部材によって形成することによって共通部材としてなることを特徴とする請求項1に記載の折板屋根用連結金具。
【請求項3】
折板屋根のハゼ継ぎ部に設置して該折板屋根に載置物を固定するに用いる連結金具であって、該連結金具を、相互に突合せ配置して上記ハゼ継ぎ部をその交差方向に挟持する一対の金具本体と、該一対の金具本体をハゼ継ぎ部交差方向にナット締着するUボルト又は一対のボルトと、上記載置物を締着するように一対の金具本体から上方に突出配置した上向きボルトを備えて形成するとともに上記一対の金具本体を、折板屋根のハゼ継ぎ部に平行な平坦部に載置する底板と、該底板から上方に起立した対向側板と、該対向側板をその上端で接続し突合せ配置により上向きボルトを挿通する半円孔を有する天板を備え、上記対向側板にハゼ継ぎ部の切欠部と該切欠部下位のハゼ継ぎ部の凹陥溝に挿入係合する係合突起を、上記対向側板の内面上方にハゼ継ぎ部交差方向に貫通する一対のボルト挿通孔を、上記一対のうち一方の金具本体における天板の下面に突合せ配置によって他方の金具本体に向けて突出した接続プレートを、該他方の金具本体に該接続プレートを受入れる対向突条と該接続プレートを貫通してその下位に配置した上記上向きボルトのボルト頭を下支えする支持板をそれぞれ配置して、金属の鋳造成形によってボックス状一体に形成してなることを特徴とする折板屋根用連結金具。
【請求項4】
上記天板と底板間に、荷重支持用の補強用起立片を備えてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の折板屋根用連結金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−122240(P2012−122240A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273229(P2010−273229)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(392018078)日栄インテック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】