説明

折畳み式のフレーム型コンテナ

【課題】簡易な折り畳みの梱包コンテナで、取り扱いが簡便で、可搬性に優れ、しかも収納効率、搬送効率の向上を図れる折畳み式のフレーム型コンテナを提供する。
【解決手段】鋼枠材を骨組みとした折り畳み式のフレーム型コンテナであって、コンテナの土台となる基礎枠Aと、コンテナに収納される積荷を支持するために、基礎枠内部に設けられた荷受け部とを備える。荷受け部は、少なくとも、積荷を支持する複数の荷受け金具24と、これらの荷受け金具の位置を積荷のサイズに合わせてレール20、27を介して独立に可動調整するスライダー21、24とにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積荷を搭載し運搬するための梱包コンテナに係わり、鋼材フレーム(鋼枠材)を使用した折畳み式フレーム型コンテナに関する。特に、フォークリフト,クレーン等の荷役機械での積荷,運搬作業を可能にし、且つ、積み重ね可能な折り畳み式のコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の折り畳み式コンテナが提案されている。
【0003】
例えば、実開昭57−92621号,実開昭57−92622号,実開昭57−92627号,実開昭56−14834号等の公報に記載のコンテナは、底板(ベース)のコーナに支柱を配設し、この支柱に側板,つま板をヒンジを介して折り畳み可能に取付け、また、コンテナが折り畳まれた状態で積み重ねができるようにして、運搬,保管の簡便化を図っている。
【0004】
また、特開平7−136635号公報では、コンテナ全体をパイプフレームで構成し、且つ、つま枠部及び側枠部を段違いのヒンジを介して折り畳めるようにしたパイプフレーム式のコンテナが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−92621号
【特許文献2】実開昭57−92622号
【特許文献3】実開昭57−92627号
【特許文献4】実開昭56−14834号
【特許文献5】特開平7−136635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のこの種のコンテナは、積荷のサイズに応じてサイズの異なる梱包コンテナを用意しなければならなかった。従って、貨物列車や貨物自動車などの大型貨物コンテナにこれらの折り畳み式の梱包コンテナを複数個収納する場合には、大型貨物コンテナとのサイズの整合性が配慮されておらず、大型貨物コンテナに無駄なスペースが生じることもあり、積荷の収納及び搬送効率の低下につながることもあった。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、簡易な折り畳みの梱包コンテナで、取り扱いが簡便で、可搬性に優れ、しかも収納効率、搬送効率の向上を図れる折畳み式のフレーム型コンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、基本的には、次のような構成されている。
【0009】
すなわち、鋼枠材を骨組みとした折り畳み式のフレーム型コンテナにおいて、
コンテナの土台となる基礎枠と、
コンテナに収納される積荷を支持するために、前記基礎枠内部に設けられた荷受け部と、を備え、
前記荷受け部は、少なくとも、積荷を支持する複数の荷受け金具と、これらの荷受け金具の位置を積荷のサイズに合わせてレールを介して独立に可動調整するスライダーとにより構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、積荷の容積に応じて、荷受け金具の積荷支持位置をレール及びスライダーを介して独立に可動調整できるので、コンテナを形成するフレーム枠の外形を変えることなく、コンテナ内部の積荷容積を実質的に可変調整できるので、共通のコンテナで種々のサイズに対応した積荷を収容することができる。したがって、折り畳み式のフレーム型コンテナ(梱包コンテナ)とこれを収納する貨物車の大型コンテナとのサイズの整合性を予めとっておくことで、複数の梱包コンテナを特定の貨物車の大型コンテナに無駄な空きスペース無く収容できる。さらに、取り扱いが簡便で、可搬性に優れ、しかも収納効率、搬送効率の向上を図れる簡易な折り畳みの梱包コンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係る折畳み式のフレーム型コンテナの使用(積荷搭載可能)状態を示す斜視図。
【図2】上記実施例に係るコンテナの折畳み過程の動作状態を示す斜視図。
【図3】上記実施例に係るコンテナの折畳みの状態を示す斜視図。
【図4】上記実施例に係るコンテナの基礎枠部を取り出した状態を示す斜視図。
【図5】上記実施例に係るコンテナの荷重受けビーム(スライダー)を取り出した状態を示す斜視図。
【図6】上記実施例に係るコンテナの荷受け部を取り出した状態を示す斜視図。
【図7】上記実施例に係るつま枠部及び側枠部の一部を取り出した状態を示す斜視図。
【図8】上記実施例に係るつま枠部の一部支柱の動作状態を示す説明図。
【図9】上記実施例に係る荷重受け支持部及び荷受け部の断面図。
【図10】上記実施例に係るガイド部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例に係る折畳み式のフレーム型コンテナの使用(積荷搭載可能)状態を示す斜視図、図2は、その折畳み過程の動作状態を示す斜視図、図3は、その折畳みの状態を示す斜視図、図4〜図6は、その部品の分解状態を示す斜視図である。
【0014】
本実施例に係るフレーム型コンテナは、大別すると基礎枠部(ベースフレーム部)Aと、対向し合う2つの側枠部(サイドフレーム部)B1,B2と、対向し合う2つのつま枠部(エンドフレーム部)C1,C2とで構成される。いずれのフレーム要素(枠材)も板金加工により各部にあった形状に形成された鋼材(鋼板、中空角鋼、溝形鋼、C形溝形鋼等)を任意に使用する。全体的には、骨組みとなるフレーム要素を縦横に組む込み且つ溶接することで、略直方体に近いフレーム型コンテナを構成する。
【0015】
図4に基礎枠部Aのみを取り出した斜視図を示す。基礎枠部Aは、フレーム型コンテナの土台となるものである。基礎枠部Aは、
(イ)床面や地面に接地する四辺の底枠材11a,11b,11c,11d(ここで、これらの要素を総称する場合には、アルファベット文字を省いて単に底枠材11として示す。その他の部品の符号も同様である。)と、
(ロ)これらの底枠材の上方に配置され且つ底枠材と平行配置される四辺の基礎枠材13a,13b,13c,13dと、
(ハ)上記底枠材11と上記基礎枠材13間を結合して底枠材11上で基礎枠材13を支持する複数の支持枠材12と、
(二)基礎枠材13の四つの角部に配置した支柱受け14と、
(ホ)各支柱受け14上に設けた支柱嵌合部15と、
(ヘ)基礎枠材13で囲まれる面に格子枠を形成する格子枠材16a,16b及び17a,17bと、
(ト)つま枠側の基礎枠材13b及び13dの上方に、これらの基礎枠材と平行配置された補強枠材18と、
(チ)これらの基礎枠材13とそれらに対応する各補強枠材18とを、それぞれ結合する補強用の支持枠材19と、がある。
【0016】
本実施例では、これらのフレーム要素のうち、底枠材11、格子枠材17及び補強支持枠材18を鋼板とし、支持枠材12,基礎枠材13及び格子枠材16を中空角鋼としている。これらのフレーム要素の形状については、任意に採用すれば良く、本実施例のものに限定するものではない。また、必要に応じて、円柱状の管状枠材を採用することも可能である。
【0017】
上記格子枠材16a,16b及びこれらにクロスする格子枠材17a,17bは、積荷(図示省略)の荷重を受ける枠材となる。このうち、格子枠材16a,16bは、互いに平行に配列され且つそれぞれの両端が基礎枠材13b,13dと溶接されている。格子枠材16aの一側面には、ガイドレール(第1のガイドレール)20a,20bが設けられ、格子枠材16bの一側面にはガイドレール(第2のガイドレール)20c,20dが設けられている。これらのガイドレール20は、後述する一対の荷重受けビーム21a,21b(図1、図5参照)の間隔をX方向に可動調整するために使用される。荷重受けビームは、ガイドレール20を介して可動となるスライダーとして機能する。
【0018】
ガイドレール20a,20cは、荷重受けビーム21aのためのガイドレールであり、ガイドレール20b,20dは、荷重受けビーム21bのためのガイドレールである。
【0019】
基礎枠材13a,13cには、格子枠材16a,16bにそれぞれ対向する一側面に、ビーム21a,21bのガイドと固定を行うためのガイド部材22a,22bが溶接により取り付けられている。これらのガイド部材22は、C形鋼(リップ溝形鋼)よりなる。
【0020】
ガイド部材22a,22bを構成するC形鋼は、リップ側を下向きにして取り付けられ、リップと対向する上部平板部には、ビームガイドスリット23a,23b及び23c,23dがそれぞれ設けられている。
【0021】
図1に示すように、荷重受けビーム21a,21bは、基礎枠部Aにガイドレール20(20a,20b,20c,20d)及びビームガイドスリット23(23a,23b,23c,23d)を介して取り付けられる。ここで、ビームガイドスリット23の構造及びそれへのビーム取付け構造について、図1及び図5を参照しながら説明する。
【0022】
図5は、荷重受けビーム21a,21bを単独で取り出した部品説明の斜視図である。
【0023】
各ビーム21a,21bは、それぞれ同形であり、C形鋼(リップ溝形鋼)で形成されている。このビーム(C形鋼)21a,21bは、荷受け金具24a,24b及び24c,24dをスライドさせるためのガイドと固定を行うための荷受け金具用のガイド部材として機能する。具体的には、C形鋼21a,21bは、リップ側を下向きにして取り付けられ、リップと対向する上部平板部には、各荷受け金具24に合わせてガイドスリット26a,26b及び26c,26dがそれぞれ設けられている。また、ビーム21a及び21bの両辺平板部には、荷受け部24のガイドレール(第2のガイドレール)27a,27b及び27c,27dが設けられている。
【0024】
荷受け部24a〜24dは、ガイドレール27a,27b及び27c,27dに嵌合できるC形鋼で構成され(図6参照)、その両辺及びリップ部がガイドレール27a,27b或いは27c,27dと係合している。
【0025】
荷重受けビーム21a,21bの内部には、図9のビーム断面図に示すように、ナットとしてのネジ穴72を有する金属片71が挿入されている。この金属片71のネジ穴72と各荷受け金具24のボルト穴29とにガイドスリット26を介してボルト70が挿通される。このボルト70を緩めることで各荷受け金具24は、金属片71と共にガイドスリット26及びガイドレール27に案内されてそれぞれ独立してスライド可能となる。それにより、一対の荷受け金具24a,24bの間隔調整及び荷受け金具24c,24dの間隔調整(Y軸方向間隔調整)が可能になる。したがって、これらの荷受け金具24は、スライダーを兼ねることになる。また、ボルト70を締め付けることで、ボルト70と金属片71とが荷受け金具24をビーム21に挟み付けることで、各荷受け金具24は、各ビーム21上で固定される。
【0026】
図1や図5に示すように、荷重受けビーム21a,21bの底部には、格子枠材16a,16bに設けたガイドレール20a,20b及び20c,20dとそれぞれ係合するための金具30a,30b及び30c,30dが設けられている。これらの金具30は、例えば、L形鋼よりなり、荷受け金具用のガイドスリット26やガイドレール27とは直交して配置されている。
【0027】
荷重受けビーム21a,21bの長手方向の両端側の底部には、荷重受けビーム21a,21bを固定するための金具31a,31b及び31c,31dが設けられている。この金具31は、ビーム21と共にスライダーとしての要素になる。この金具31に関連して、図10に示すように、ガイド部材22a,22bの内部には、ナットとしてのネジ穴82を有する金属片81が挿入されている。この金属片81のネジ穴82と金具31のボルト穴33とにガイドスリット23を介してボルト80が挿通される。このボルト80を緩めることで金具31a,31b及び31c,31dひいては荷重受けビーム21a,21bは、ガイドスリット23(23a,23b,23c,23d)及びガイドレール20(20a,20b,20c,20d)に案内されてスライド可能となる。それにより、ビーム21a,21b間ひいては荷受け金具24間の間隔調整(X軸方向間隔調整)が可能になる。また、ボルトを締め付けることで、ボルト80と金属片81とが金具31を挟み付けることで、荷重受けビーム21a,21bは固定される。
【0028】
各荷受け金具24a,24b,24c,24dの上部平板部には、積荷のX,Y平面における移動を防止するL形突起25が設けられている。
【0029】
また、各荷重受けビーム21a,21bの底部には、金具31(31a,31b,31c,31d)と同等の厚みを有する荷重受け金具34が設けられている。金具31及び荷重受け金具34の底面には、それぞれゴム板36と35とが設けられている。これらのゴム板が金具31とガイド部材22(22a,22b)との間、および荷重受け金具34と格子枠材16(16a,16b)との間に介在することで、ボルト締め付け状態にあるときのビームの固定力を強化している。
【0030】
図4に示すように、基礎枠部Aの格子枠材17a,17bは、格子枠材16a,16bの下部側に設けた切り欠き部にそれぞれ嵌り合って双方の枠材の底部は同一レベルとなっている。これらの桟に囲まれることで、基礎枠部Aの中央部に方形スペースSが形成され、スペースSの底面に金網などの網状部材37が設けられている。この方形スペースSは、コンテナ内の積荷(貨物)の固定及び梱包に用いたラッシングベルト(図示省略)のような備品を、貨物の搬送及び取り出し完了後に収納する収納部として機能する。このベルト収納部Sは、図1に示すように荷重受けビーム21a,21bの間隔を狭めることで、これらのビームに覆われてラッシングベルトの飛び出しが防止される。また、後述する図2及び図3に示すようにつま枠部C1,C2を構成する40a,40bを内側に折り畳む(回倒する)ことで、これらのつま枠部C1,C2がベルト収納部Sの上部空間を覆うので、上記荷重受けビーム21a,21bと協働してベルトの飛び出しをより確実に防止する。
【0031】
また、格子枠材16a,16bと格子枠材17a,17bとは、上面が段違いになって、格子枠材16a,16b上でビーム21a,21がX軸方向にスライドするときに格子枠材17a,17bが邪魔にならないようにしてある。
【0032】
次につま枠部C1,C2の構成と、このつま枠部Cと基礎枠部Aとの結合関係について説明する。
【0033】
図7につま枠部Cのうちの一方C1を示す。つま枠部Cを構成する枠体40(40a,40b)は、中空角パイプの支柱41(41a,41b及び41c,41d)と、支柱41a,41b間を結合する補強枠材42及び43と、同じく支柱41c,41d間を結合する補強枠材42及び43とにより構成される。
【0034】
各支柱41の内側には、円柱パイプ44が補強により密着挿入され且つ溶接により固定されている。基礎枠部Aの各支柱受け14の下部には、突起45が設けられている。同タイプのフレーム型コンテナを多段に重ねた場合に、上に位置するコンテナの突起45が、その下に位置するコンテナの円柱パイプ44に入ることで、コンテナの多段積み重ねの安定性を図ることができるように設計してある。また、支柱41は、円柱パイプ44と協働して2重構造となるので、支柱の強化を図り得る。
【0035】
ここで、つま枠部Cの各支柱41と基礎枠部Aの支柱嵌合部15との結合関係について説明する。
【0036】
支柱嵌合部15は、断面コの字形の溝形鋼であり、その溝がコンテナのもう一方のつま枠部側、すなわちコンテナ内側に向いている。換言すれば、これらの溝形鋼の溝は、コンテナを構成する一対のつま枠部の対向方向に向いている。支柱嵌合部15の両辺上部 には、一対のU字溝15aが設けられている。一方、各支柱41の両側部には、支柱41を支柱嵌合部15に嵌合した時にU字溝15aに嵌り合う細長突起46が設けられている。図2には、支柱嵌合部15の一部を透視して各支柱41の下部を透視している。この図2及び図7に示すように各支柱41の両側部の下部には、支柱41ひいてはつま枠部Cの折り畳み(すなわちコンテナの内側への回倒)を保証するくの字形のガイド溝(曲がり溝)47が設けられている。くの字形のガイド溝47は、上半部が支柱41の略側面中央に位置し、下半部が自身の背面部側(ひいては支柱嵌合部15の背面部15´)に向けて斜め角度で傾斜して、ガイド溝47の下端部が、これらの背面部側に偏る形状をなしている。このガイド溝47には、支柱嵌合部15の両辺部に設けたボルト穴48を介してボルト49(図8参照)が挿通されている。
【0037】
コンテナの使用状態(図1の積荷の搭載状態)では、図8の実線に示すように、各支柱41は、その下端が支柱嵌合部15の内底15″に至るまで嵌合されており、支柱41ひいてはつま枠部Cは、起立状態にある。この状態では、支柱41の下部(支柱嵌合部15に嵌合された部分)は、嵌合部15の背面内側(壁面)に規制され、且つ突起46がU字溝15aに嵌合して起立状態が保たれた(すなわち回倒不可の)状態にある。積荷がコンテナに無い場合で、支柱41を上方に引き上げると、支柱41の突起46が嵌合部15のU字溝15aから外れ、図8の一点鎖線に示すように支柱41は、ガイド溝47とボルト49とを介して、上方に移動すると共に支柱嵌合部15の背面内側から離れる水平方向にも前進する。これにより支柱41の矢印R方向への回倒が可能になり、ボルト49を支点として、つま枠部Cが図2に示すように回倒し、コンテナ内側へ折り畳まれる。ちなみに、図2では、作図の便宜上、一方のつま枠部C1のみ例示しているが、他方のつま枠部C2も同様の回倒動作を行う。なお、くの字のガイド溝(曲がり溝)を支柱嵌合部15側に設け、ボルト(回転軸)49を支柱側に設けてもよい。
【0038】
次に側枠部B1,B2について説明する。本実施例では、側枠部B1,B2は、それぞれ1本ずつ配置した開閉バー50a,50bよりなる。図1、図2、図7等に示すように、一方のつま枠部C1の支柱41a,41bの上部には、コンテナ内側に向いた面(すなわち、もう一方のつま枠部C2に向いた面)に開閉バー50a,50bのそれぞれの一端側と嵌合するスリーブ51,52が溶接されている。一方の開閉バー50aの一端には、バー50aの枢軸部となる円柱状のピン61が設けられ、このピン61がスリーブ51に回転可能に嵌合される。このピン61の下端にはピン61がスリーブ51から抜けるのを防止する抜け止めワッシャー63(図7参照)が設けられている。
【0039】
開閉バー50aの他端には非枢軸ピン62が設けられている。ピン62は、図1のようなコンテナ使用状態では、もう一方のつま枠部C2の支柱41dに設けたスリーブ(図示省略:スリーブ51,52同様のもの)に嵌合可能にしている。ピン61の長さは、もう一方のピン62及びスリーブ51,52よりも長く設定してある。開閉バー50aを上方に引き上げると、ピン62側がつま枠部C2に設けた支柱41dの図示省略しているスリーブより抜けて、開閉バー50aは支柱41bのスリーブ51に嵌合する枢軸ピン61を中心に水平方向に回転可能となり、コンテナを開けることが可能になる。
【0040】
もう一方の開閉バー50bにも、開閉バー50a同様の枢軸ピン61及びピン62が設けられているが、この配置は、開閉バー50aとは逆の関係にある。すなわち、図1のコンテナ使用状態時には、開閉バー50bの枢軸ピン61は、つま枠部C2側の支柱41cに設けたスリーブ(図示省略)に嵌合し、もう一方のピン62は、つま枠部C1側の支柱41aのスリーブ52に嵌合する。開閉レバー50bを引き上げた場合には、ピン62がつま枠部C1側のスリーブ52より抜け、枢軸ピン61はつま枠部C2側の支柱41cに設けた図示されないスリーブとの嵌合を維持して、開閉レバー50bの水平回動(開動作)を可能にする。
【0041】
このように側枠部の開閉レバー50a,50bの枢軸ピン61,ピン62の配置を逆の関係にすると、つま枠部C1,C2を折り畳む場合に次のような利点がある。
【0042】
前提として、直方体の縦方向及び横方向の長さ、すなわち、四辺の長さは等間隔としてある。つま枠部C1,C2を折り畳む場合には、開閉レバー50a,50bは、上述したようにそれぞれのピン62がスリーブから抜かれた状態になるが、このとき、開閉レバー50aの回動により、レバー50aのピン62は今まで嵌合していた支柱41d側のスリーブから図2に示すように支柱41aのスリーブ52側に移動して該スリーブ62と嵌合することが可能になる。また、開閉レバー50bの回動により、レバー50bのピン62は今まで嵌合していた支柱41a側のスリーブ52から支柱41dのスリーブ側に移動して該スリーブと嵌合することが可能になる。このようにすれば、つま枠部C1,C2を折り畳む場合に、開閉レバー50a,50bがぶらつかず、邪魔になったりせず、折り畳み動作をスムーズに行うことができる。
【0043】
かような開閉レバーの動作を可能にするためには、換言すれば、スリーブは、一方の対角線上にある支柱(41b、41c)の第1のスリーブ51同士を枢軸ピン61用とし、他方の対角線上にある支柱(41a,41b)の第2のスリーブ52同士が非枢軸ピン62用とし、前記枢軸ピンがスリーブに対して抜け止めされ、非枢軸ピンが開閉バーを上げことによりスリーブから抜けられる構成とすることで達成される。
【0044】
さらに本実施例に係るコンテナには、次のような付帯部品が備えられている。
【0045】
基礎枠材13(13a,13b,13c,13d)の内側の適宜箇所に、コンテナ内の積荷を梱包するためのラッシングベルトの止め具54が設けられている。また、支柱受け15と基礎枠材13aとの間は、補強プレート(三角リブ)55が設けられている。同様に支柱受け15と基礎枠材13cとの間には、同様の補強プレート55が設けられている。各支柱受け15の溝側の下部には、支柱41の回り止めとして機能する補強金具56が設けられている。
(1)上記構成においては、図1に示すように支柱41(41a,41b,41c,41d)を、各突起46がU字溝15aに係止するまで、それぞれの支柱嵌合部15に嵌合することで、支柱41ひいてはつま枠部Cは起立状態にある。この状態で、開閉バーを上記の操作で開閉操作させることで、フレーム型コンテナに対する積荷の出し入れが可能になる。また、積荷の大きさに応じて荷受け金具24a,24bの間隔調整を、スライド機構を介して行うことで、フレーム型コンテナ自身の大きさを変えることなく、異なるサイズの積荷、例えばモータや発電機などの回転電機を梱包し搭載できる。
(2)スライド機構を構成するビーム21は荷受け金具24は、いずれもC形鋼を使用し、そのリップをスライドレールに嵌合し、また、ガイドスリップに嵌合することで、スライド機構は逸脱することなく、安定した積荷状態を確保することができる。
(3)本実施例に係るフレーム型コンテナは、貨物列車、貨物自動車等の貨物車両、飛行機、船舶等の輸送用大型コンテナに積まれて搬送されるが、その場合に、フレーム型コンテナが貨物列車などに、複数個無駄なく、びっしりと並んで収まることができるよう、その横幅、縦幅、及び高さが設定してある。そのために、既述したスリーブ51、開閉バー50、ベルト止め具54等の付属品は、フレームの外側にはみ出ないようにしてある。このような規格をフレーム型コンテナに与えたとしても、既述したように積荷は、荷受け金具24の間隔調整で種々のサイズのものが搭載可能となる。
【0046】
なお、大型コンテナにこのフレーム型コンテナを積んだり、大型コンテナから取り出す場合には、フォークリフトのフォークを基礎枠部の柱12間に挿入することで行われる。
(4)また、コンテナ不使用時には、側枠部B1,B2を構成する開閉バー50a,50bを、一端側のピン62を抜き出してつま枠部側の桟の一部にすることで、開閉バーがつま枠部の折り畳みの邪魔になることなく、つま枠部の支柱を引き上げ回倒することが可能となり、コンテナを簡単に折り畳むことができる。特に角形支柱41a〜41dを使用した場合でも、支柱は、回転支点に対して、くの字の溝47に案内されて嵌合部15と干渉することなく回倒できるので、スムーズな折り畳みを可能にする。
(5)このようなフレーム型コンテナを貨物列車、貨物自動車などの大型コンテナで搬送する場合に、荷重受けビーム21a,21bはゴム板36、35に支持されるので、耐振性を図れると共に、ビームを、金具31を介して固定したときのビームの滑り止めが図れる。
(6)折り畳み状態でフレーム型コンテナを返送する場合には、ラッシングベルトを基礎枠部Aの底部に確保した収納部に逸脱することなく収容できるので、コンテナの使い勝手を高めることができる。
(7)この種のフレーム型コンテナを、使用状態において、基礎枠部Aに設けた突起45及び支柱41の上部開口を利用して段重ね可能であり、このような段重ねをしても支柱41は、補強パイプ44との2重構造としてあり、しかも補強板55で支柱41を補強しているので、強度性を高めたコンテナを提供できる。
【0047】
折り畳み状態のコンテナ段重ねは、突起45を支柱嵌合部15の上方開口に嵌め込むことで行われるが、この場合にも、支柱嵌合部15を二重の溝形鋼構造にすることで、強度性を高めることができる。
【符号の説明】
【0048】
A…基礎枠部、B(B1,B2)…側枠部、C(C1,C2)…つま枠部、S…収納部、13(13a〜13d)…基礎枠材、14(14a〜14d)…支柱、15…支柱嵌合部、15a…U字溝、16(16a,16b)…荷重受け枠材(格子枠材)、17(17a,17b)…格子枠材、20(20a〜20d)…第1のガイドレール、21(21a,21b)…(荷受け部:荷重受けビーム:スライダー:ガイド部材)、22…ガイド部材、23(23a〜23d)…ガイドスリット、24(24a〜24b)…(荷受け部:荷受け部:スライダー)、26(26a〜26d)…ガイドスリット、27(27a〜27d)…第2のガイドレール、41(41a〜41d)…支柱、44…補強用中空パイプ、45…突起、46…突起、47…曲がりガイド溝、49…ボルト(回転軸)、50(50a,50b)…開閉バー、61…枢軸ピン、62…非枢軸ピン、70…ボルト、71…ナット部材(金具)、80…ボルト、81…ナット部材(金具)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼枠材を骨組みとした折り畳み式のフレーム型コンテナにおいて、
コンテナの土台となる基礎枠と、
コンテナに収納される積荷を支持するために、前記基礎枠内部に設けられた荷受け部と、を備え、
前記荷受け部は、少なくとも、積荷を支持する複数の荷受け金具と、これらの荷受け金具の位置を積荷のサイズに合わせてレールを介して独立に可動調整するスライダーとにより構成されていることを特徴とする折り畳み式フレーム型コンテナ。
【請求項2】
請求項1において、
前記レールと共に前記スライダーの移動を案内するガイドスリットを備え、前記ガイドスリットを形成したガイド部材を挟んで前記スライダーとナット部材が配置されて、このスライダーとナット部材にボルトが挿通されており、これらのボルト、ナットを締め付けることで、スライダーが固定される構成になっている折り畳み式フレーム型コンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記基礎枠は、四辺の基礎枠材と、この基礎枠材の中に平行配置されている荷重受け枠材とを備え、
この荷重受け枠材には、第1のガイドレールが設けられ、その上面に該荷重受け枠材とクロスするよう一対の荷重受けビームが配置され、これらのビームは、前記第1のガイドレールを介して前記荷重受け枠材の長手方向に互いに独立してスライド可能に取り付けられており、
前記各ビームには、前記第1のガイドレールとクロスする方向に第2のガイドレールが設けられており、そのビーム上面に一対の前記荷受け金具が前記第2のガイドレールを介してそれぞれ独立してスライド可能に取り付けられており、
前記ビーム及び荷受け金具が前記スライダーを構成している折り畳み式フレーム型コンテナ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記基礎枠は、四辺の基礎枠材とこの基礎枠材の中に上面が段違いになるよう組み込まれた格子枠材とを有しており、この格子枠材のうち上面が高い方の平行な一対の格子枠材に、前記スライダーを介して前記荷受け部が配置され、
前記格子枠材に囲まれた空間により、フレーム型コンテナに用いるラッシングベルトが収容可能な収納部が形成されており、
さらに、前記フレーム型コンテナは、コンテナ内側に折り畳み可能な一対のつま枠部を備え、折り畳み状態では、つま枠部の一部が前記収容部の開口に被さるように構成されている折り畳み式フレーム型コンテナ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記基礎枠の四つの角部には、溝形鋼で形成された支柱嵌合部が設けられ、これらの溝形鋼の溝は、コンテナを構成する一対のつま枠部の対向方向に向いており、これらの支柱嵌合部につま枠部の支柱が嵌合されており、
前記支柱は中空角鋼よりなり、
且つ前記支柱は、引き上げることで、前記支柱嵌合部との係止が解放されると共に、前記支柱及び前記支柱嵌合部のいずれか一方に設けた曲がりガイド溝と他方に設けた回転軸との相対移動に案内されて前記支柱嵌合部の背面内側から離れる方向にも前進する機構と、この前進位置で前記回転軸を中心にコンテナ内側に回倒する回転機構とを備え、この支柱回倒により前記つま枠部が折り畳まれる構成とした折り畳み式フレーム型コンテナ。
【請求項6】
請求項5において、前記支柱間の四辺が等しく、
前記一対のつま枠部間には、一端を枢軸部として水平方向に回動可能な2本のコンテナ開閉バーが一対の側枠部のそれぞれを構成するよう配設され、
このバーの一端には、前記枢軸部となる枢軸ピンが設けられ、他端には非枢軸ピンが設けられ、
前記各支柱には、一対の前記つま枠部の対向方向に向いた側面に前記ピンを嵌合するためのスリーブが配設され、これらのスリーブは、対角線上にある第1のスリーブ同士が前記枢軸ピン用とし、もう一つの対角線上にある第2のスリーブ同士が非枢軸ピン用とし、前記枢軸ピンがスリーブに対して抜け止めされ、非枢軸ピンが開閉バーを上げことによりスリーブから抜けられる構成としてある折り畳み式フレーム型コンテナ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、
前記フレーム型コンテナは、これを搬送する輸送用の大型コンテナに無駄な空きスペース無く複数収容し得るサイズに設定されている折り畳み式フレーム型コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−210957(P2012−210957A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77061(P2011−77061)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【特許番号】特許第4854812号(P4854812)
【特許公報発行日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(591033021)株式会社日立ライフ (2)
【Fターム(参考)】