説明

折箱用資材

【課題】 組立時の容易さを維持しつつ、搬送性がよくなるようにする。
【解決手段】 折り曲げ可能に直列して連結された複数の側壁部1a、5aからなる内側壁部材1及び外側壁部材5と、該両側壁部材1、5を角環状に組み立てた際に形成されるいずれか一方側の開口部に取り付けられる底部材10と、底部材10が嵌め込まれる反対側の開口部において載置される蓋部材11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げ可能に直列して連結された複数の側壁部からなる側壁部材を備えた折箱用資材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の折箱用資材は、例えば横方向に連設された複数の側壁部と、該各側壁部の下端に連設された底壁部と、適所に設けられた糊しろ部とを備えている。そして、展開された状態の折箱用資材の各糊しろ部を貼り合わせることによって、各側壁部及び底壁部より折箱が組み立てられるよう、また、組み立てた折箱を折り畳めるように構成されている。
【0003】
さらに、他の従来例としては、折箱用資材を組み立てた折箱内部に、複数の空間を形成するための仕切り板を別途設けたものも公知になっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2760766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記いずれの折箱用資材も、納品する際には、搬送効率をよくすることと、納品先での組立作業を容易にすることを考慮して、折り畳まれた状態の折箱を搬送しているのが一般的である。即ち、折り畳まれた状態の折箱を搬送するには、展開された状態の折箱用資材を糊付けする作業と、糊付け後に折り畳む作業とが必要になり、その分手間がかかるという問題がある。
【0005】
また、折箱用資材が剛性を有する肉厚のものであれば、折り畳んでも嵩張る場合があり、搬送効率が低くなるという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、組立時の容易さを維持しつつ、搬送性がよくなるような折箱用資材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る折箱用資材は、折り曲げ可能に直列して連結された複数の側壁部1a、5aからなる側壁部材1,5と、該側壁部材1、5を角環状に組み立てた際に形成されるいずれか一方側の開口部に取り付けられる底部材10とを備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、折り曲げ可能な側壁部1a、5aが直列して連結されているため、各側壁部1a、5aを折り曲げるだけで、両端の側壁部1a、5aが突き合わせられ、折箱の側壁部を角環状に容易に組み立てられる。しかも、角環状の一方側の開口部を底部材10で閉塞すれば、簡単に折箱を組み立てられる。
【0009】
さらに、搬送する際は、側壁部材1、5と底部材10とが別体であるので、展開した状態の側壁部材1、5と、底部材10とを個別に搬送でき、一度に多くの折箱用資材を搬送できる一方、従来のように搬送前の予備工程(糊付け作業と、その後の折り畳み作業)が不要になる。
【0010】
また、本発明の折箱用資材は、側壁部材1、5を、内外二重構造となるよう、外側壁部材5と内側壁部材1とで構成し、該内側壁部材1を、外側壁部材5に対し、該外側壁部材5の側壁部5aの整数個分だけずれた状態で部分的に貼り合わせるような構成を採用することもできる。
【0011】
この場合、組み立てられる折箱は、外側の各側壁部5aと内側の各側壁部1aが重なり合って(面接合)、外側壁部材5が内側壁部材1を囲繞することになり、折箱の側壁が二重構造にでき、充分な強度を確保できる。
【0012】
そして、内側壁部材1を、外側壁部材5に対し、外側壁部材5の側壁部5aの整数個分だけずれた状態で部分的に貼り合わせるようにしたので、外側の各側壁部5aと内側の各側壁部1aの貼り合わせの位置によって、展開した状態の収納スペースの大きさ、及び組み立てた状態の強度が決定される。したがって、これらを考慮して貼り合わせの位置を適宜選択することが好ましい。
【0013】
例えば、一方端の外側の側壁部5aと他方端の内側の側壁部1aとが重なるように貼り合わせた場合は、展開した状態の長さが大きくなるが、両端の外側の側壁部5aの突き合わせの位置と、両端の内側の側壁部1aの突き合わせの位置とが異なる位置になるので強度は確保できる。
【0014】
また、一方端の外側の側壁部5aと他方端の内側の側壁部1aを除くよう、残りの外側の側壁部5a及び内側の側壁部1aを貼り合わせるようにすれば、展開した状態の長さが小さくなり搬送しやすくて、組立時の強度も確保できる。
【0015】
さらに、各側壁部1a、5aの貼り合わせは部分的であるので、効率よく貼り合わせ作業が行える。
【0016】
また、本発明の折箱用資材は、底部材10の周縁部を、内側壁部材1又は外側壁部材5の内面に長手方向に沿って形成される挿入用溝1cに嵌め込むような構成を採用することもできる。
【0017】
この場合、底部材10の周縁部を、内側壁部材1、又は外側壁部材5の内面に形成された挿入溝1cに挿入した状態で、各側壁部1a、5aを折り曲げれば、簡単に有底筒状の折箱を組み立てられる。しかも、底部材10の周縁部が内側壁部材1、又は外側壁部材5の挿入溝1cによって挿入支持されるので、底部材10の支持強度も確保できる。なお、外側壁部材5に挿入溝を形成する場合は、内側壁部材1よりも幅寸法を大きくする必要がある。
【0018】
また、本発明の折箱用資材は、外側壁部材5を、底部材10が嵌め込まれる反対側の開口部において、内側壁部材1よりも延出されるような幅寸法に形成し、該外側壁部材5と内側壁部材1とで形成される段部に載置される蓋部材11をさらに備えるような構成を採用することもできる。
【0019】
この場合、外側壁部材5と内側壁部材1とで形成される段部に蓋部材11を載置するだけでよく、蓋付きの折箱を簡単に組立できる。
【0020】
また、本発明の折箱用資材は、側壁部材1、5を、帯板に対し幅方向にV字形状の折曲用溝1b,5bを複数形成することにより構成するようにしてもよい。
【0021】
この場合、折曲用溝1b、5bの両側の壁面が各側壁部1a、5aを折り曲げた際に当接することで、折箱の各角部の角度が容易に決まる。即ち、各側壁部1a、5aを折り曲げるだけで所望の多角形状の折箱を迅速に組み立てられる。しかも、各側壁部1a、5aのそれぞれの連結部の強度を確保できると共に、折箱全体の強度がより向上される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の折箱用資材は、側壁部材が帯板であるので嵩張らず、搬送しやすい効果がある。さらに、側壁部材の各側壁部が折り曲げ可能に直列して連結されるので、各側壁部を折り曲げるだけで角環状体を形成できるため、この角環状体のいずれか一方の開口部を底部材で閉塞すれば簡単に有底筒状の折箱を組立できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る折箱について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態に係る折箱は、図1に示すように、帯板状の内側壁部材1と、該内側壁部材1を囲繞できる大きさの帯板状の外側壁部材5と、角環状に組み立てられた内側壁部材1の一方(下側)の開口部を閉塞するための平面視四角形状の底部材10と、角環状の内側壁部材の他方(上側)の開口部を閉塞するための、該底部材10よりも少し大きい蓋部材11とから構成されている。なお、折箱用資材として使用される材料は、紙材、木材、合成樹脂材のいずれであってもよく、これらの材料を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
内側壁部材1は、図2(イ)、(ロ)に示すように、折り曲げ可能に直列して連結された矩形状の複数の側壁部1aを有している。しかも、該各側壁部1aは、V字形状の折曲用溝1bが側壁部1aの短辺(幅方向)に沿って形成されている。さらに、内側壁部材1の一方の長辺端部に沿って、底部材10の周縁部が挿入される挿入用溝1cが形成されている。
【0026】
外側壁部材5は、内側壁部材1と同様に、矩形状の複数の側壁部5aが折曲用溝5bによって折り曲げ可能に直列して連結されている。しかも、側壁部5aの長辺は、各側壁部1aの長辺よりも若干大きく、外側壁部材5を角環状に組み立てた際、角環状の内側壁部材1の外側を囲繞できる大きさになっている。加えて、内側壁部材1の短辺は、外側壁部材5の短辺よりも小さくなっている。
【0027】
そして、一方端の側壁部5aと他方端の側壁部1aを除いて、残りの各側壁部5aが外側に、各側壁部1aが内側になるよう重ね合わされると共に、外側壁部材5の一方(下側)の長辺端部と、内側壁部材1の挿入用溝1cが形成されている側(下側)の長辺端部とを互いに揃えた状態で重ね合わされており、外側壁部材5の一方端から二つめの側壁部5aと、内側壁部材1の一方端の側壁部1aとが部分的に貼り合わされている(図2(ロ)の太線部位参照)。
【0028】
この貼り合わせによって、外側壁部材5が、底部材10が嵌め込まれる反対側の開口部において、内側壁部材1よりも延出されるような幅寸法に形成されている。即ち、外側壁部材1の他方(上側)の長辺端部と、内側壁部材5の他方(上側)の長辺端部とに段差が生じ、折箱を組み立てる際、この段差部15に蓋部材11が載置される。
【0029】
また、両端の側壁部5aの短辺端部と、両端の側壁部1aの短辺端部とに、傾斜面1d、5cが形成されており、該傾斜面1d、5c同士を突き合わせた際、傾斜面1d、5cが面接合(合致)することになって、各角部が略直角のきれいな角環状が形成される。傾斜面1d、5c同士の突き合わせによって、外力に対して最も弱い突き合わせ部位の強度を確保できる。
【0030】
つぎに折箱の組立手順について説明する。まず、図2(イ)、(ロ)に示すように、外側壁部材5を下側にした状態で、外側壁部材5及び内側壁部材1を展開し、内側壁部材1の側壁部1aの挿入溝1cに底部材10の周縁部(一辺端部)を挿入し、続いて、底部材10の残りの各辺端部を各側壁部1aの挿入溝1cに挿入しながら、各側壁部1aによって四角形状の開口部が形成されるよう折り曲げて、両端の側壁部1aの短辺端部の傾斜面1dを互いに当接させて貼り合わせる。
【0031】
その後、外側壁部材5の各側壁部5aを、各側壁部1aに当接して、両端の側壁部5aの短辺端部の傾斜面5cを互いに面接合させて貼り合わせて有底筒状体を形成する。最後に、外側壁部材5と内側壁部材1との段差部15に、蓋部材11を載置して上側の開口部を閉塞し、折箱を完成させる。
【0032】
なお、前記実施形態の場合、外側壁部材5と内側壁部材1との二重構造としたが、一つの側壁部材で構成してもよい。
【0033】
また、前記実施形態の場合、組み立てられる折箱として、多角柱状としているが、円柱状、楕円柱状を含む非円形の柱体も組み立てられる。但し、この場合、展開した状態で外側壁部材5及び内側壁部材1を搬送しようとすると、嵩張ることになるので多角柱状であることが好ましい。
【0034】
さらに、前記実施形態の場合、内側壁部材1の挿入溝1cを一方の長辺端部に沿って形成するようにしたが、他方の長辺端部にも形成するようにしてもよい。この場合、両側の開口部が閉塞されるので、一方の閉塞部材に穴を穿設すると共に、該穴を開閉する開閉部材を設ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る折箱用資材を示す斜視図。
【図2】(イ)は展開した状態の外側壁部材と内側壁部材を示す平面図、(ロ)は展開した状態の外側壁部材と内側壁部材を示す側面図。
【符号の説明】
【0036】
1…内側壁部材、1a…側壁部、1b…折曲用溝、1c…挿入用溝、1d…傾斜面、5…外側壁部材、5a…側壁部、5b…折曲用溝、5c…傾斜面、10…底部材、11…蓋部材、15…段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ可能に直列して連結された複数の側壁部(1a、5a)からなる側壁部材(1、5)と、
該側壁部材(1、5)を角環状に組み立てた際に形成されるいずれか一方側の開口部に取り付けられる底部材(10)とを備えることを特徴とする折箱用資材。
【請求項2】
上記側壁部材(1、5)は、内外二重構造となるよう、外側壁部材(5)と内側壁部材(1)とで構成され、該内側壁部材(1)は、外側壁部材(5)に対し、該外側壁部材(5)の側壁部(5a)の整数個分だけずれた状態で部分的に貼り合わせられてなることを特徴とする請求項1に記載の折箱用資材。
【請求項3】
上記底部材(10)は、その周縁部が内側壁部材(1)又は外側壁部材(5)の内面に長手方向に沿って形成される挿入用溝(1c)に嵌め込まれることにより取り付けられてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の折箱用資材。
【請求項4】
上記外側壁部材(5)は、底部材(10)が嵌め込まれる反対側の開口部において、内側壁部材(1)よりも延出されるような幅寸法に形成され、該外側壁部材(5)と内側壁部材(1)とで形成される段部に載置される蓋部材(11)をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の折箱用資材。
【請求項5】
上記側壁部材(1、5)は、帯板に対し幅方向にV字形状の折曲用溝(1b、5b)が複数形成されることにより構成されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の折箱用資材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−204109(P2007−204109A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24445(P2006−24445)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(594199452)株式会社鈴木松風堂 (10)
【Fターム(参考)】