説明

折箱

【課題】組み立てが容易であるとともに、箱状本体の各角部の隙間をなくすことができる折箱を提供する。
【解決手段】四角形状の底板部25に折曲部21,22,23,24を介して連接された端板部30,35及び側板部40,45を立設して箱状本体20を組み立てるようにした折箱10であって、各角部11,12,13,14に、各端板部と各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ端板部に折り重ねられる薄板部50が形成され、側板部には、各薄板部の折り重ね位置近傍に端辺部41,46から切欠いて形成された溝部60を有し、各端板部の端辺部31,36両端には、折曲部32,37を介して端板部内面側に折り曲げ可能であり折り曲げ時には側板部に折り重ねられた薄板部とともに側板部を挟着しかつ先端が溝部に係合される係合部70が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四角形状の底板部に連接された端板部及び側板部を立設して組み立てられる折箱に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の物品を収納するための箱状の容器として、例えば、四角形状の底板部の各辺部にV溝等の折曲部を介して一体に連接された端板部及び側板部を有し、各端板部及び各側板部を折曲げ部を介して立設して箱状本体を組み立ててなる折箱が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この折箱では、物品の未収納時に保管等する際には、各板部を展開することによって一枚の板状体とすることができ省スペース化を図ることができ、しかも、展開した状態から各板部を立設させることで容易に組み立てることが可能である。また、各板部を合成樹脂発泡体等の素材とすることによって、軽量で保護性や保温性を備えた折箱を容易に成形することができる。
【0004】
このような折箱は、低温での保存が必要な魚等の生ものや冷凍食品等の物品の運搬等に用いられることが一般的である。その際、前記物品とともに氷等の保冷剤が適宜収納される。しかしながら、上記従来の折箱にあっては、各端板部及び各側板部をそれぞれ立設して組み立てる構成であるから、箱状本体の各角部を完全に密着させることが困難であり、わずかな隙間が生じる。そして、前記物品を長期間収納すると折箱内で結露や氷が溶け出す等して水が発生することが避けられないことから、前記各角部の隙間から液漏れするおそれがあった。また、前記隙間によって外気が内部に侵入する等して折箱の保温効果が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−47126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、組み立てが容易であるとともに、箱状本体の各角部の隙間をなくすことができる折箱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記側板部に折り重ねられる薄板部が形成され、前記側板部には、前記各薄板部の折り重ね位置近傍に端辺部から切欠いて形成された溝部を有し、前記各端板部の端辺部両端には、折曲部を介して前記端板部内面側に折り曲げ可能であり折り曲げ時には前記側板部に折り重ねられた前記薄板部とともに前記側板部を挟着しかつ先端が前記溝部に係合される係合部が形成されていることを特徴とする折箱に係る。
【0008】
請求項2の発明は、前記係合部は、平板状の本体と、該本体の両側辺に立設された挟着片と、前記本体の先端辺に前記両側辺の挟着片と連接して立設された係合片とによって収容凹部を形成し、前記折り曲げ時には、前記係合片が前記溝部に挿入されて係合されるとともに、前記側板部及び折り重ねられた前記薄板部の端辺部側が前記収容凹部に収容されかつ前記挟着片によって挟着される請求項1に記載の折箱に係る。
【0009】
請求項3の発明は、前記溝部の下部に側板部中心側に向かって形成された横溝部を一体に有し、前記係合部の先端には前記折り曲げ時に前記横溝部に係合される爪部が形成されている請求項1又は2に記載の折箱に係る。
【0010】
請求項4の発明は、前記側板部に前記薄板部を収容する薄肉部が形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0011】
請求項5の発明は、前記薄板部が前記側板部外面に折重ねられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0012】
請求項6の発明は、前記各端板部の前記端辺部には前記折曲部を介して前記端板部内面側に折り曲げ可能な端枠部が前記係合部と一体に形成され、前記各側板部の前記各溝部間の前記端辺部には前記側板部内面側に突出した側枠部が形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0013】
請求項7の発明は、前記底板部及び前記端板部並びに前記側板部の厚みが1.5〜6mmである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0014】
請求項8の発明は、前記薄板部の厚みが0.1〜1.5mmである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0015】
請求項9の発明は、前記各板部が合成樹脂発泡体からなる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の折箱に係る。
【0016】
請求項10の発明は、前記合成樹脂発泡体からなる各板部の片面または両面にラミネートシートが貼着されている請求項9に記載の折箱に係る。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明に係る折箱は、それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記側板部に折り重ねられる薄板部が形成され、前記側板部には、前記各薄板部の折り重ね位置近傍に端辺部から切欠いて形成された溝部を有し、前記各端板部の端辺部両端には、折曲部を介して前記端板部内面側に折り曲げ可能であり折り曲げ時には前記側板部に折り重ねられた前記薄板部とともに前記側板部を挟着しかつ先端が前記溝部に係合される係合部が形成されているため、極めて簡易な構成によって箱状本体の各角部の隙間をふさぐことができ、しかも、箱状本体の組み立てが容易である。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1において、前記係合部は、平板状の本体と、該本体の両側辺に立設された挟着片と、前記本体の先端辺に前記両側辺の挟着片と連接して立設された係合片とによって収容凹部を形成し、前記折り曲げ時には、前記係合片が前記溝部に挿入されて係合されるとともに、前記側板部及び折り重ねられた前記薄板部の端辺部側が前記収容凹部に収容されかつ前記挟着片によって挟着されるため、側板部及び折り重ねられた薄板部50の端辺部の露出を防止して外観性の低下を抑制することができるとともに、薄板部の折り重ね状態を容易かつ確実に保持することができる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記溝部の下部に側板部中心側に向かって形成された横溝部を一体に有し、前記係合部の先端には前記折り曲げ時に前記横溝部に係合される爪部が形成されているため、側壁部に対して係合部を確実に固定することができ、不意に係合が解除されることを容易に防止することができる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1ないし3において、前記側板部に前記薄板部を収容する薄肉部が形成されているため、薄板部が側板部の内面または外面から過剰に突出することを抑制することができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1ないし4において、前記薄板部が前記側板部外面に折重ねられるため、収納する物品をあらかじめ底板部に載置した状態で箱状本体を組み立てることが可能であり、作業効率が向上する。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1ないし5において、前記各端板部の前記端辺部には前記折曲部を介して前記端板部内面側に折り曲げ可能な端枠部が前記係合部と一体に形成され、前記各側板部の前記各溝部間の前記端辺部には前記側板部内面側に突出した側枠部が形成されているため、組み立てられた箱状本体の強度を容易に高めることが可能となる。
【0023】
請求項7の発明は、請求項1ないし6において、前記底板部及び前記端板部並びに前記側板部の厚みが1.5〜6mmであるため、十分な強度や保温効果を得ることができるとともに、必要以上にかさばることがなく保管や組み立てしやすい等の利便性にも優れる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1ないし7において、前記薄板部の厚みが0.1〜1.5mmであるため、折り重ねやすくしかも十分な強度も確保することができる。
【0025】
請求項9の発明は、請求項1ないし8において、前記各板部が合成樹脂発泡体からなるため、軽量で保護性や保温性に優れた折箱を提供することができる。
【0026】
請求項10の発明は、請求項9において、前記合成樹脂発泡体からなる各板部の片面または両面にラミネートシートが貼着されているため、当該折箱の外面に容易に装飾性を持たせることができるとともに、各折曲部を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施例に係る折箱の斜視図である。
【図2】図1の折箱の展開図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】薄板部の折り重ね例を模式的に表した要部断面図である。
【図5】係合部の斜視図である。
【図6】箱状本体の組み立て時における側板部の薄板部折り重ね位置近傍の斜視図である。
【図7】係合部の折り曲げ過程を模式的に表した要部断面図である。
【図8】図7のB−B断面図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1,2に示すように、本発明の折箱10は、それぞれ平行な縦辺部a,b及び横辺部c、dからなる四角形状の底板部25と、前記底板部25の各縦辺部a,bに折曲部21,22を介して連設された端板部30,35と、前記底板部25の各横辺部c,dに折曲部23,24を介して連設された側板部40,45とを有し、前記各端板部30,35及び各側板部40,45をそれぞれの折曲部21,22,23,24を介して立設して箱状本体20を組み立てるようにしてなる。この折箱10において、各折曲部21,22,23,24は、V溝や凹状溝等適宜の形状で形成することができ、実施例ではV溝である。
【0029】
この折箱10では、底板部25及び端板部30,35並びに側板部40,45の厚みが、収納する物品の種類や大きさ、用途等に応じて適宜に設定される。特に、利便性や強度、保温性等の観点から、前記各板部25,30,35,40,45の厚みは1.5〜6mmとされる。厚みが1.5mmより薄い場合、十分な強度や保温効果を得ることができず、厚みが6mmより厚い場合、必要以上にかさばって保管に不都合となったり組み立てにくくなる等の利便性の低下のおそれがある。実施例の各板部25、30,35,40,45の厚みは3mmである。
【0030】
この折箱10は、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に薄板部50,50,50,50が形成され、各側板部40,45に溝部60(60A,60B,60C,60D)が形成され、各端板部30,35の端辺部31,36両端に係合部70(70A,70B,70C,70D)が形成されている。
【0031】
薄板部50は、図2に示すように、各端板部30,35と各側板部40,45とを連接する各角部11,12,13,14に形成される。そして、図1,4,6に示すように、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続し、かつ側板部40,45に折り重ねられるように構成される。
【0032】
この薄板部50にあっては、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続するものであるから、隣接する端板部30,35と側板部40,45との隙間をふさいで、箱状本体20として組み立てた際の各角部11,12,13,14の隙間からの水漏れ等を効果的に防ぐことが可能となる。また、この薄板部50は、上記水漏れ等の防止が可能であれば、各角部11,12,13,14に形成する位置や形状等は特に限定されない。特に、薄板部50の外面を端板部30,35及び側板部40,45の外面30B,35B,40B,45Bと面一に形成すれば、薄板部50が成形し易くなる他、箱状本体20を展開した状態で積み重ねて保管する等の際に重ね易くなる等、好都合である。
【0033】
さらに、この薄板部50には、図2の展開図に示すように、底板部25の角部11,12,13,14側から斜め方向に易折部51を形成することが好ましい。易折部51は、図3に示すように、折り曲げ方向の面に適宜の切り込みや溝等からなり、薄板部50の特定位置での折り重ねが容易となって、作業性の向上や折り重ね時のズレ等を防止することができる。
【0034】
実施例の薄板部50では、図4に示すように、側板部40(45)の外面側40B(45B)側に折り重ねられる。このように薄板部50を側板部40(45)の外面40B(45B)側に折り重ねる場合、収納する物品をあらかじめ底板部25に載置した状態で箱状本体20を組み立てることが可能であり、作業効率が向上する。また、図示しないが、薄板部50を側板部40,45の内面40A,45A側に折り重ねることも可能である。薄板部50を側板部40,45の内面40A,45A側に折り重ねるた場合は、箱状本体20を組み立てた際に薄板部50の外部への露出を防止することができる。
【0035】
この薄板部50では、折り重ね易さや強度等の関係から、厚みが0.1〜1.5mmとされる。薄板部50の厚みが0.1mmより薄い場合、十分な強度を得ることが困難であり、破損し易いという問題がある。厚みが1.5mmより厚い場合、折り重ね時の薄板部50が厚くなり過ぎて、折り重ねが困難になるとともに折り重ね部分が不自然に厚くなり、外観性を損なったり物品の収納を妨げるなどの問題が生じる。実施例の薄板部50の厚みは1mmである。
【0036】
また、図1,3,4,6に示すように、側板部40,45の各折り畳み位置に、薄板部50を収納するための薄肉部42,47を形成することが好ましい。この薄肉部42,47は、側板部40,45の厚みより薄く形成された凹部であり、薄板部50の折り重ね側の面(薄板部50を内面40A,45A側に折り重ねる場合は内面40A,45A、外面40B,45B側に折り重ねる場合は外面40B,45B)に設けられる。実施例では、外面40B,45Bに薄肉部42,47が形成されている。
【0037】
薄肉部42,47の形状としては、折り重ねられた薄板部50が収納可能であれば特に限定されない。また、薄肉部42,47の厚みは、折り重ねられた薄板部50が収納可能でかつ側板部40,45の厚みより薄く薄板部50の厚みより厚く形成され、例えば、0.5mm〜1.5mmとされる。薄肉部42,47の厚みが1.5mmより厚い場合、薄板部50を収納するための十分な空間を確保することが困難であり、0.5mmより薄い場合、強度面で問題がある。実施例の薄肉部42,47は、図1,6,7に示すように、薄板部50に隣接して形成された略三角形状で、それぞれ厚みが1mmとされる。
【0038】
この薄肉部42,47に折り重ねられた薄板部50が収納されることにより、薄板部50が側板部40,45の内面40A,45Aまたは外面40B,45Bから過剰に突出することを抑制することができる。薄板部50を内面40A,45A側に折り重ねる場合は、物品の収納の妨げにならず機能性を損なうことがない。薄板部50を外面40B,45B側に折り重ねる場合は、外面40B,45Bと略面一となるので外観性を損なうことがない。
【0039】
溝部60は、図2,6,7に示すように、側板部40,45の各薄板部50の折り重ね位置近傍に端辺部41,46から切欠いて形成される。実施例では、薄板部50を側板部40,45に折り重ねた際の頂点52位置に隣接しかつ薄板部50と重ならない位置に形成されている。なお、図2の符号60Aは側板部40の端板部30側の折り重ね位置近傍に形成された溝部、60Bは側板部40の端板部35側の折り重ね位置近傍に形成された溝部、60Cは側板部45の端板部30側の折り重ね位置近傍に形成された溝部、60Dは側板部45の端板部35側の折り重ね位置近傍に形成された溝部である。
【0040】
また、各溝部60は、下部に側板部40,45中心側に向かって形成された横溝部65を一体に有し、側面視略L字状に形成される。実施例において、側板部40の溝部60Aの横溝部65Aは側板部40中心側すなわち端板部30の反対側に向かって形成され、溝部60Bの横溝部65Bは側板部40中心側すなわち端板部35の反対側に向かって形成されており、溝部60Aと溝部60Bとが側板部40に対称配置された状態となっている。同様に、側板部45の溝部60Cの横溝部65Cは端板部30の反対側に向かって形成され、溝部60Dの横溝部65Dは端板部35の反対側に向かって形成され、溝部60Cと溝部60Dとが側板部45に対称配置される。
【0041】
係合部70は、図1,2に示すように、端板部30,35の端辺部31,36両端に、折曲部32,37を介して端板部30,35内面30A,35A側に折り曲げ可能に形成され、折り曲げ時には側板部30,35に折り重ねられた薄板部50とともに側板部30,35を挟着しかつ先端が溝部60に係合される。実施例では、端板部30の側板部40側に溝部60Aに係合される係合部70A、側板部45側に溝部60Cに係合される係合部70Cがそれぞれ形成され、端板部33の側板部40側に溝部60Bに係合される係合部70B、側板部45側に溝部60Dに係合される係合部70Dがそれぞれ形成されている。
【0042】
係合部70は、図5,6に示すように、平板状の本体71と、該本体71の両側辺に立設された挟着片72,73と、本体71の先端辺に両側辺の挟着片72,73と連接して立設された係合片74とによって収容凹部75を形成している。そして、折り曲げ時には、図6〜図9に示すように、係合片74が溝部60に挿入されて係合されるとともに、側板部40(45)及び折り重ねられた薄板部50の端辺部41(46),53側が収容凹部75に収容されかつ挟着片72,73によって挟着される。これにより、側板部40(45)及び折り重ねられた薄板部50の端辺部41(46),53の露出を防止して外観性の低下を抑制することができるとともに、薄板部50の折り重ね状態を容易かつ確実に保持することができる。なお、実施例では、挟着片72,73は、折曲部32(37)側から先端側に向かって高くなるように傾斜して形成される。
【0043】
また、この係合部70では、その先端に折り曲げ時に横溝部65に係合される爪部76を形成することが好ましい。実施例では係合片74に爪部76が突設され、図7に示すように、側面視略L字状に形成される。これにより、側面視略L字状に一体に形成された溝部及び横溝部65に側面視略L字状に一体に形成された係合片74及び爪部76がそれぞれ係合されるため、側壁部40,45に対して係合部70を確実に固定することができ、不意に係合が解除されることを容易に防止することができる。なお、図2において、符号76A,76B,76C,76Dはそれぞれ対応する係合部70A,70B,70C,70Dの爪部である。
【0044】
また、この折箱10では、図1,2に示すように、各端板部30,35の端辺部31,36に折曲部32,37を介して端板部内面30A,35A側に折り曲げ可能な端枠部80(80A,80B)が係合部70(70A,70B,70C,70D)と一体に形成され、各側板部40,45の各溝部60間の端辺部41,46には側板部内面40A,45A側に突出した側枠部85(85A,85B)が形成されている。各枠部80,85を形成することにより、組み立てられた箱状本体20の強度を容易に高めることが可能となる。
【0045】
この折箱10において、各板部25,30,35,40,45及び係合部70を構成する素材としては、軽量で保形性を備えた合成樹脂発泡体、段ボール、積層紙等の適宜の材料を使用することができる。特には、保護性や保温性等の観点から、各板部25,30,35,40,45及び係合部70を合成樹脂発泡体で構成することが好ましい。用いる合成樹脂としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等であり、これらの発泡成形品からなる。なお、各板部25,30,35,40,45及び係合部70を合成樹脂発泡体とした場合では、各折曲部21,22,23,24,32,37や薄板部50、薄肉部42,47等を公知の加熱圧縮等を用いることによって容易に形成することができる。
【0046】
また、この折箱10では、合成樹脂発泡体からなる各板部25,30,35,40,45及び係合部70の片面または両面にラミネートシートを貼着してもよい。ラミネートシートとしては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の公知の合成樹脂フィルムが好適に用いられる。このラミネートシートによれば、適宜の文字や模様、絵柄等を印刷することによって折箱10外面に容易に装飾性を持たせることが可能となる。特に、端板部30,35に端枠部80,側板部40,45に側枠部85がそれぞれ形成されている場合には、各端辺部31,36,41,46の露出を防止することができ、外観性の低下を抑制することができる。さらに、ラミネートシートを貼着することによって各折曲部21,22,23,24,32,37を補強することもできる。加えて、この折箱10では、このラミネートシートによって薄板部50が形成されるように各板部25,30,35,40,45及び係合部70に貼着することも可能である。
【0047】
なお、図示しないが、当該折箱10では、必要に応じて箱状本体20の上部開口部20Aに適宜の蓋部を設けて開閉可能な構成とすることができる。蓋部としては、例えば、各側板部40,45のいずれか一方(片開き)または双方(両開き)に板状部材を折り曲げ可能に一体に設けることができる。このように蓋部を一体に設けることにより、製造が容易でかつ極めて簡易な構成によって箱状本体の上部開口部の開閉を行うことができ、保護性や保温性も向上させることができる。
【0048】
また、この蓋部は、箱状本体20に対して着脱自在に構成してもよい。蓋部を着脱自在とすれば、同一の折箱10で用途に応じて蓋部の使用または不使用を適宜に選択することができ、折箱10の汎用性が向上する。着脱自在の蓋部を用いた場合でも、前記一体に設けた蓋部と同様に保護性や保温性を向上させることができるのはいうまでもない。
【0049】
さらに、蓋部を透明な合成樹脂フィルムとしてもよい。合成樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、PET樹脂等の公知の合成樹脂フィルムが好適に用いられる。このように透明な合成樹脂フィルムを蓋部として用いれば、箱状本体20の上部開口部20Aを閉鎖した状態でも外部から内容物が視認可能とすることができ、そのままの状態で店頭などに展示することができる。これにより、当該折箱10をコールドチェーン等に好適に用いることが可能となる。
【0050】
次に、本発明の折箱10の組み立て方について説明する。この折箱10では、まず、各端板部30,35及び各側板部40,45が折曲部21,22,23,24を介して略90°折り曲げられて立設される。その際、各端板部30,35及び各側板部40,45を接続する各薄板部50が、図4(a)に示すように、易折部51を介して折り曲げられるとともに、図4(b)に示すように、側板部40,45の外面40B,45B側に薄肉部42,47に収納されるように折り重ねられる。
【0051】
各薄板部50が各側板部40,45に折り重ねられた後、続いて、図6及び図7(a)に示すように、各係合部70が折曲部32,37を介して端板部30,35の内面30A,35A側に折り曲げられる。ここで、折り曲げられた係合部70では、図7(b)に示すように、先端に形成された爪部76が弾性的に屈曲されて係合片74とともに溝部60に挿入され、図7(c)に示すように、横溝部65に達した際に屈曲された爪部76が復元されて、側面視略L字状に一体に形成された溝部及び横溝部65に側面視略L字状に一体に形成された係合片74及び爪部76がそれぞれ係合される。
【0052】
係合部70が溝部60に係合されることにより、図7(c)及び図8に示すように、側板部40,45及び折り重ねられた薄板部50の端辺部41,46,53側が係合部70の収容凹部75収容される。加えて、図8及び図9に示すように、側板部40,45及び折り重ねられた薄板部50の端辺部41,46,53側は、係合部70の挟着片72,73によって挟着され、箱状本体20の組み立てが完了する。
【0053】
以上、図示し説明したように、本発明の折箱10では、各端板部30,35と各側板部40,45を立設した際に隣接する端板部30,35と側板部40,45とを一体に接続する薄板部50を有することにより、極めて簡易な構成で隣接する端板部30,35と側板部40,45との隙間をふさぐことができ、各角部11,12,13,14の隙間からの水漏れ等や外気の侵入等による保温効果の低下等を効果的に防ぐことができる。あわせて、係合部70が側板部40,45の溝部60に係合されて側板部40,45に折り重ねられた薄板部50とともに側板部40,45を挟着するものであるから、極めて簡易な手順で箱状本体20を組み立てることができる。
【0054】
特に、係合部70を折り曲げ係合片74が溝部60に係合された際に、側板部40,45及び折り重ねられた薄板部50の端辺部41,46,53側が収容凹部75に収容されかつ挟着片72,73によって挟着されることにより、側板部40(45)及び折り重ねられた薄板部50の端辺部41(46),53の露出を防止して外観性の低下を抑制することができるとともに、薄板部50の折り重ね状態を容易かつ確実に保持することができる。
【0055】
また、各板部25,30,35,40,45及び係合部70を合成樹脂発泡体で構成すれば、軽量で保護性や保温性に優れた折箱10を提供することができる。この折箱10にあっては、果物,野菜,生肉,鮮魚等の生鮮食品、冷凍食品、氷菓子等を収納し運搬等する際に好適に用いることができる。さらに、この折箱10は、惣菜や弁当、寿司、ケーキ等の食品類を店頭で箱詰めして販売する場合等にも適している。
【0056】
なお、本発明の折箱は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、側板部に折り重ねた薄板部をより確実に固定するために、ステープラーやひも等の補助固定部材を用いてもよい。その際、補助固定部材による固定位置を係合部の収容凹部に収容可能な位置とすれば、補助固定部材が外部に露出せず、外観性が低下する恐れがない。
【0057】
10 折箱
11,12,13,14 角部
20 箱状本体
21,22,23,24 折曲部
25 底板部
30,35 端板部
40,45 側板部
42,47 薄肉部
50 薄板部
60 溝部
70 係合部
80 端枠部
85 側枠部
a,b 縦辺部
c,d 横辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ平行な縦辺部(a,b)及び横辺部(c、d)からなる四角形状の底板部と、前記底板部の各縦辺部に折曲部を介して連設された端板部と、前記底板部の各横辺部に折曲部を介して連設された側板部とを有し、前記各端板部及び各側板部をそれぞれの折曲部を介して立設して箱状本体を組み立てるようにした折箱であって、
前記各端板部と前記各側板部とを連接する各角部に、前記各端板部と前記各側板部を立設した際に隣接する端板部と側板部とを一体に接続し、かつ前記側板部に折り重ねられる薄板部が形成され、
前記側板部には、前記各薄板部の折り重ね位置近傍に端辺部から切欠いて形成された溝部を有し、
前記各端板部の端辺部両端には、折曲部を介して前記端板部内面側に折り曲げ可能であり折り曲げ時には前記側板部に折り重ねられた前記薄板部とともに前記側板部を挟着しかつ先端が前記溝部に係合される係合部が形成されていることを特徴とする折箱。
【請求項2】
前記係合部は、平板状の本体と、該本体の両側辺に立設された挟着片と、前記本体の先端辺に前記両側辺の挟着片と連接して立設された係合片とによって収容凹部を形成し、前記折り曲げ時には、前記係合片が前記溝部に挿入されて係合されるとともに、前記側板部及び折り重ねられた前記薄板部の端辺部側が前記収容凹部に収容されかつ前記挟着片によって挟着される請求項1に記載の折箱。
【請求項3】
前記溝部の下部に側板部中心側に向かって形成された横溝部を一体に有し、前記係合部の先端には前記折り曲げ時に前記横溝部に係合される爪部が形成されている請求項1又は2に記載の折箱。
【請求項4】
前記側板部に前記薄板部を収容する薄肉部が形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項5】
前記薄板部が前記側板部外面に折重ねられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項6】
前記各端板部の前記端辺部には前記折曲部を介して前記端板部内面側に折り曲げ可能な端枠部が前記係合部と一体に形成され、前記各側板部の前記各溝部間の前記端辺部には前記側板部内面側に突出した側枠部が形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項7】
前記底板部及び前記端板部並びに前記側板部の厚みが1.5〜6mmである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項8】
前記薄板部の厚みが0.1〜1.5mmである請求項1ないし7のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項9】
前記各板部が合成樹脂発泡体からなる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の折箱。
【請求項10】
前記合成樹脂発泡体からなる各板部の片面または両面にラミネートシートが貼着されている請求項9に記載の折箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−116438(P2011−116438A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277556(P2009−277556)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(509336303)株式会社ソフトプラテック (3)
【Fターム(参考)】