説明

抱き枕

【課題】変化に富んだ触感が得られると共に、ユーザーの好みに応じて、それぞれの部位における触感を変えることができるようにした抱き枕を提供する。
【解決手段】抱き枕10は、それぞれの内袋31、41、51、61に異なる材質のクッション材35、45、55、65を充填して形成された複数のクッション体30、40、50、60を、外袋ファスナー21によって開閉可能とされた1つの外袋20で包んで形成したものである。ユーザーの好みに応じて、外袋20の中のクッション体30、40、50、60を入れ換えることが容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横たわった際に抱きつくようにして使用し、身体の適所を支えることができる抱き枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の抱き枕としては、布帛などを縫製して所定の抱き枕状とした枕外皮の内側にカポック、パンヤ、羽毛、スポンジ、そば殻、ビーズなどの詰め物を、単独若しくは混合したものを充填した様々な形状のものが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、本体内部を隔壁部により区画した複数の収納部を形成し、少なくとも一方の収納部に多数の木製の小躯体を収納して木製の小躯体の移動により前記隔壁部を含む一方の収納部の形状・形態を変形可能とし、また少なくとも他方の収納部には木材の薄片の集合物を充填して当該他方の収納部に柔軟な芯材性を付与し、使用時において人体と少なくとも前記他方の収納部が直接的および/または間接的に接触可能とした枕などの本体が開示されている。
【特許文献1】特開平11−290183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に抱き枕は、体の圧力を分散させ就寝しやすいように、ここちよい硬さ、長さ、触感が求められている。
【0005】
しかし、既存の抱き枕においては、抱き枕のカバー内に直接クッション材を入れているので、ユーザーが体の接触部分に合わせて抱き枕の触感を変えることができなかった。
【0006】
一方、上記特許文献1記載の枕においては、本体内部を隔壁部により区画した複数の収納部を形成し、各収納部に異なるクッション材(木製の小躯体、木材の薄片の集合物)を充填しているので、枕の部位によって触感を変えることができる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の枕においても、各収納部が一つのカバーに一体に形成されているので、複数種類のクッション材の配置をユーザーが自由に換えることはできず、ユーザーの好みに応じて触感を変えることができなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、変化に富んだ触感が得られると共に、ユーザーの好みに応じて、それぞれの部位における触感を変えることができるようにした抱き枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、内袋にクッション材を充填して形成された複数のクッション体を、ファスナーによって開閉可能とされた1つの外袋で包んで構成された抱き枕において、前記各クッション体の前記クッション材が、触感の異なる材質で構成されていることを特徴とする抱き枕を提供するものである。
【0010】
上記発明によれば、触感の異なる材質のクッション材を充填した複数のクッション体を外袋で包んでいるので、抱き枕の部位によって異なる触感が得られ、変化に富んだ触感を楽しむことができる。
【0011】
また、複数のクッション体の配置を換えることにより、ユーザーの好みに応じてそれぞれの部位における触感を変えることができる。
【0012】
更に、クッション体の数を減らして、外袋の端部を折り畳むことにより、抱き枕の大きさや長さを変更することもできる。
【0013】
また、クッション体を外袋で覆うことで、クッション体の内袋が破損した際にもクッション材が外に飛び出すのを防ぎ高いシール性を得ることができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記外袋は、前記クッション体を1列に並べて収容できるように細長い袋状をなしていることが好ましい。この態様によれば、比較的長尺で抱きやすい形状にすることができると共に、クッション体とクッション体との間で抱き枕を容易に曲げることができるので、好みに応じた形状にして使用することができる。
【0015】
更に、本発明の好ましい態様によれば、前記内袋及び前記外袋は、伸縮性のある布で形成されていることが好ましい。この態様によれば、外部から抱き枕を押圧すると、外袋及び内袋が伸縮してクッション体が自由に変形するので、クッション材の触感をより良好に味わうことができる。
【0016】
更に、本発明の好ましい態様によれば、前記クッション材の組合せが、天然又は合成繊維からなるわた、合成樹脂からなるパイプ状ビーズ、発泡樹脂からなるビーズ、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ、羽毛、穀類の殻、木製又はコルク製の粒状体から選ばれた2種以上であることが好ましい。この態様によれば、触感や硬さの異なる複数のクッション材を組合せて、変化に富んだ触感を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の抱き枕によれば、触感の異なる材質のクッション材を充填した複数のクッション体を外袋で包んで構成されているので、抱き枕の部位によって異なる触感が得られ、変化に富んだ触感を楽しむことができ、複数のクッション体の配置を換えることにより、ユーザーの好みに応じてそれぞれの部位における触感を変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1〜5を参照して、本発明の抱き枕の一実施形態について説明する。図1及び図2に示すように、本発明の抱き枕10は、各内袋31、41、51、61にそれぞれ触感の異なる材質のクッション材35、45、55、65を充填して形成された複数のクッション体30、40、50、60を、ファスナー26により開閉可能とされた1つの外袋20で包んで構成されている。
【0019】
図1に示すように、前記各クッション体を包み込む外袋20は、細長の帯状をなして所定間隔を設けて平行に配置された一対の布生地22,22と、該一対の布生地22,22の外周を囲むと共に、その周縁に縫い合わされた側生地24とからなっており、図2に示されるように、複数のクッション体を一列に並べて収容できるように、細長い袋状をなしている。また、前記側生地24の一側面には、長手方向に沿って所定長さで開口部25が形成されており、この開口部25にファスナー26が装着されていて、これにより開口部26を開閉可能となっている。
【0020】
また、上記外袋20に用いられる素材としては、ユーザーが直接触れる部分であるので、通気性や肌触り、フィット感が良く、柔軟性も有する布材等の素材で形成されていることが好ましい。例えば、綿を100%とした素材等を好ましく採用することができる。更に、上記素材は、伸縮性のある織物で形成されていることがより好ましい。また、この外袋20によって、後述する複数のクッション体を覆うようにして収容しているので、各クッション体の内袋が破損した際にクッション材が外に飛び出すのを確実に防ぐことができるようになっている。
【0021】
次に、上記外袋20内に収容されるクッション体について説明すると、各クッション体30、40、50、60は、内袋31、41、51、61にそれぞれ触感の異なる材質のクッション材35、45、55、65を充填して形成されたものである。各クッション体を構成する内袋31,41,51,61は、円筒状をなした外周生地31a,41a,51a,61aと、各外周生地の両側部にそれぞれ縫い合わされた側生地31b,41b,51b,61bとからなっており、全体として俵状をなしている。更に、各外周生地の周方向一箇所には、ファスナー32,42,52,62がそれぞれ装着されていて、各内袋に充填されるクッション材を適宜入れ替えることができるようになっている。それにより、ユーザーの好みに合わせてクッション材の種類や分量を調整することができる。
【0022】
上記の各内袋に用いられる素材としては、その内部に充填されるクッション材の機能を最大限に発揮するため、通気性や、柔軟性を有する素材が用いられる。更に、内袋の素材も、前記の外袋20と同様に、伸縮性のある布で形成されていることがより好ましい。例えば、ナイロン繊維と、ポリウレタン繊維とを混ぜ合わせてなる「2ウェイ」と呼ばれる素材を好ましく採用することができる。
【0023】
また、前記各内袋に充填するクッション材としては、弾力性、通気性、触感等がよいものが好ましく、例えば、天然又は合成繊維からなるわた(ポリエステル綿、アクリル綿、絹、パンヤ繊維)、合成樹脂からなるパイプ状ビーズ(直径2〜10mm、長さ5〜15mmであるものが好ましい)、発泡樹脂からなるビーズ(直径1〜10mmであるものが好ましい)、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ又はその粉砕物、羽毛、羊毛、穀類の殻(蕎麦殻、もみ殻等)、木製又はコルク製の粒状体、桧チップ、ウレタン、茶葉、炭、小石、磁石等から適宜選択されて、各内袋に充填されるようになっている。なお、これらのクッション材には、芳香剤等を添加してもよい。
【0024】
また、前記各クッション材を2種以上組み合わせて内袋に充填してもよい。このクッション材の組合せとしては、天然又は合成繊維からなるわた、合成樹脂からなるパイプ状ビーズ、発泡樹脂からなるビーズ、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ、羽毛、穀類の殻、木製又はコルク製の粒状体から選ばれた2種以上であることが好ましい。これにより、触感や硬さの異なる複数のクッション材を組合せて、変化に富んだ触感を得られるようになっている。
【0025】
ここで、本発明の抱き枕10において、各内袋には、触感の異なる材質のものが充填されており、その結果、クッション体30、40、50、60の触感がそれぞれ異なるようになっている。この実施形態においては、内袋31には、ウレタン等の合成樹脂からなるスポンジに、低反発性を有する合成樹脂からなるスポンジを混ぜたものが充填され、内袋41には、合成繊維からなるわたであるポリエステル綿が充填され、内袋51には、発泡樹脂からなるビーズが充填され、内袋61には、合成樹脂からなるパイプ状ビーズが充填されている。これにより、各クッション体の触感が異なるようになっている。
【0026】
次に本発明の抱き枕10の使用方法について説明する。
【0027】
図3に示すように、本発明の抱き枕10の一つの使用方法としては、ベッドや布団の上等で横たわった際に、抱きつくようにして用いられる。すなわち、使用者は、抱き枕10の一端部を両手で抱きかかえ、抱き枕10の他端部を両足で挟み込んで使用する。このようにして、抱き枕10に抱きつくと、頭部や、首、腕、胸部及び腹部、太もも、すね等の各部分が抱き枕10に触れ合って、これによって使用者に心地よさを供与することができる。
【0028】
このとき、本発明の抱き枕10においては、触感の異なる材質のクッション材を充填した複数のクッション体30、40、50、60を外袋20で包んでいるので、抱き枕10の部位によって異なる触感が得られ、変化に富んだ触感を楽しむことができるようになっている。
【0029】
また、図3に示すように、ユーザーが抱き枕10に抱きついた場合には、それにより抱き枕10が押圧されるが、このとき、抱き枕10の外袋20及び各内袋は伸縮性のある布で形成されているので、外袋20及び各内袋が伸縮して各クッション体が自由に変形し、その結果、クッション材の触感をより良好に味わうことができる。
【0030】
上記のように、抱き枕10にはユーザーが抱きつくようになっているが、このときの抱き枕10から付与される触感、すなわち、抱き枕10の首、腕、足等に接する部分の硬さ、触感の好みは使用するユーザー毎に異なる。このような場合には、外袋20の外周に装着されたファスナー26を所定方向にスライドさせて、開口部25を開き、外袋20の内部に収容された各クッション体を取り出して、クッション体の配置を適宜入れ替えればよい。
【0031】
例えば、この実施形態の場合、図1に示すように、抱き枕10の長さ方向一端部(腕で抱きかかえる方の端部)には、パイプ状ビーズが充填され、通気性がよく抱き応えがある触感のクッション体60が配置され、他端部(足で挟み込む方の端部)には、ウレタン等の合成樹脂からなるスポンジに、低反発性を有する合成樹脂からなるスポンジを混ぜたものが充填され、柔軟性及び適度な反発性を備えフィット感もよい触感のクッション体30が配置されている。
【0032】
これに対して、ユーザーが、抱き枕10の腕で抱きかかえる方に適度な反発性やフィット感等がある方が好ましく、他方、足で挟む方の端部に通気性等を求める場合には、クッション体30とクッション体60を外袋20から取り出して入れ換えればよい。このように、本発明の抱き枕は、外袋に入れた各クッション体のクッション材が、それぞれ触感の異なる材質で構成されているので、クッション材の中身を入れ換えることなくクッション体の配置を換えるだけで、ユーザーの好みに応じて触感を変えることができる。
【0033】
ところで、ユーザーの身長、体型に合わせて抱き枕10の大きさや長さを変更したい場合には、外袋の中のクッション体の数を増減させることで、抱き枕の大きさや長さを変更することもできる。例えば、身長の比較的小さな子供等がこの抱き枕10を使用したいときには、クッション体を4個から3個に減らす必要があるが、この場合は、外袋20のファスナー26をスライドさせて開口部25を開き、一つのクッション体30を取り出した後、ファスナー26を上記とは反対方向にスライドさせて開口部25を閉める。そして、外袋30のクッション体30を取り除かれて弛んだ一端部を折り返して、未だ袋状をなした部分に差し込んで、図4に示すように内側に畳むことにより、余分な弛み部分をなくして、抱き枕10をユーザーの所望の長さに調整することができる。このように、外袋に複数のクッション体が収容されているので、ユーザーの身長、体型に合わせてクッション体の数量を増減させることで、抱き枕の長さを容易に調節することができる。
【0034】
更に、ユーザーの好みに合わせて抱き枕10の形状を変更したい場合には、図5に示すようにクッション体とクッション体との間を曲げることで、抱き枕の形状を変えることができる。すなわち、この抱き枕10の外袋は図2に示すように複数のクッション体を1列に並べて収容できるように細長い袋状をなしているので、比較的長尺で抱きやすい形状にすることができると共に、クッション体とクッション体との間で抱き枕を容易に曲げることができ、ユーザーの好みに応じた形状にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の抱き枕の分解斜視図である。
【図2】本発明のクッション体を外袋に内包した状態の斜視図である。
【図3】本発明の抱き枕の使用形態を示す図である。
【図4】本発明の抱き枕の内部状態を示す模式図である。
【図5】本発明の抱き枕の他の使用形態を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 抱き枕
20 外袋
26 ファスナー
30、40、50、60 クッション体
31、41、51、61 内袋
35、45、55、65 クッション材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内袋にクッション材を充填して形成された複数のクッション体を、ファスナーによって開閉可能とされた1つの外袋で包んで構成された抱き枕において、前記各クッション体の前記クッション材が、触感の異なる材質で構成されていることを特徴とする抱き枕。
【請求項2】
前記外袋は、前記クッション体を1列に並べて収容できるように細長い袋状をなしている請求項1記載の抱き枕。
【請求項3】
前記内袋及び前記外袋は、伸縮性のある布で形成されている請求項1又は2記載の抱き枕。
【請求項4】
前記クッション材の組合せが、天然又は合成繊維からなるわた、合成樹脂からなるパイプ状ビーズ、発泡樹脂からなるビーズ、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ、羽毛、穀類の殻、木製又はコルク製の粒状体から選ばれた2種以上である請求項1〜3のいずれか1つに記載の抱き枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−188157(P2008−188157A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24113(P2007−24113)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(505342449)ヤマセイ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】