説明

押しボタン装置およびこれを用いた電話装置

【課題】操作面の輝度および視認性を向上させた押しボタン装置およびこれを用いた電話装置の提供。
【解決手段】LED3からの光を透過する導光部7が形成されたラバースイッチ4と、ラバースイッチ4の導光部7の光導出面7aから外壁面8bの一部までを覆うように形成された樹脂ボタン5とを有し、導光部7は、LED3からの光を樹脂ボタンの操作面の一部に集中して導く形状とし、光源からの光がキーパッド部材の導光部から押しボタン部材の操作面の一部に集中的に導かれ、操作面の一部を集中して照らし、その部分の輝度を増すことができるので、この操作面の視認性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に設けた光源により押しボタン部材の操作面を光らせる構造を有する押しボタン装置およびこれを用いた電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、押しボタン式の電話装置においては、夜間時の操作性や意匠の向上等を図るため、押しボタン部材を内部に設けた光源により光らせる、いわゆるバックライト構造が採用されている。従来、このバックライト構造は、各押しボタン部材を透明または半透明の合成樹脂材料により形成し、この押しボタン部材に対応して装置のプリント基板側にLED等の光源を配置し、この光源からの光を押しボタン部材の内部を透過させて操作面を光らせる構成である。例えば、特許文献1には、押しボタン部材の下に導光空間部を備えたキーパッド部材を設け、光源からの光を導光空間部により押しボタン部材の下面まで導く構成が記載されている。
【特許文献1】特開平7−74811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のバックライト構造では、光源から押しボタン部材の天面までの高さが高い場合、光源からの光が拡散してしまうので、押しボタン部材全体がぼんやりと光り、輝度や視認性が不足するという問題がある。特許文献1に記載の押しボタン装置の場合も、光源からの光を導光空間部により押しボタン部材の下面まで導いているものの、押しボタン装置の天面の全体に光が導かれるので、同様に押しボタン部材全体がぼんやりと光るという問題がある。
【0004】
また、特許文献1に記載の押しボタン装置では、光源からの光を導光空間部により押しボタン部材の下面まで導いているものの、光は押しボタン部材の下面とキーパッド部材との間の隙間や、押しボタン部材のフランジ部を透過して装置内部に漏れるので、輝度が不足するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、操作面の輝度および視認性を向上させた押しボタン装置およびこれを用いた電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の押しボタン装置は、光源からの光を透過する導光部が形成されたキーパッド部材と、キーパッド部材の導光部の光導出面から外壁面の一部までを覆うように形成された押しボタン部材とを有し、導光部は、光源からの光を押しボタン部材の操作面の一部に集中して導く形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光源からの光がキーパッド部材の導光部から押しボタン部材の操作面の一部に集中的に導かれ、操作面の一部を集中して照らし、その部分の輝度を増すことができるので、この操作面の視認性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本願の第1の発明は、光源からの光を透過する導光部が形成されたキーパッド部材と、キーパッド部材の導光部の光導出面から外壁面の一部までを覆うように形成された押しボタン部材とを有し、導光部は、光源からの光を押しボタン部材の操作面の一部に集中して導く形状としたことを特徴とする押しボタン装置であり、光源からの光がキーパッド部材の導光部から押しボタン部材の操作面の一部に集中的に導かれ、操作面の一部を集中して照らし、その部分の輝度を増すことができるので、この操作面の視認性を向上させることができる。
【0009】
本願の第2の発明は、押しボタン部材の操作面には押しボタン部材の機能を表示するためのマークが形成され、導光部の光導出面は、マークが形成された部分と同じ大きさに形成されたことを特徴とする押しボタン装置であり、光導出面から導出される光が、押しボタン部材の機能を表示するためのマークが形成された部分に集中的に導かれるので、このマーク部分の輝度および視認性を向上することができる。
【0010】
本願の第3の発明は、導光部は、透明の樹脂材料により形成されたものである押しボタン装置であり、光源からの光が、透明の樹脂材料により形成された導光部を通じて押しボタン部材の操作面まで導かれる。
【0011】
本願の第4の発明は、押しボタン部材は、キーパッド部材の導光部に対峙する部分の厚さが2〜3mmである押しボタン装置であり、キーパッド部材の導光部に対峙する部分の厚さを薄くして導光部から導かれる光が透過しやすくなる。また、光導出面を押しボタン部材の操作面の近傍に配置することが可能となるので、押しボタン部材の操作面の輝度が向上する。
【0012】
本願の第5の発明は、キーパッド部材は、キーパッド部材の一部の変形により対向する接点と接触可能となる接点部を有する押しボタン装置であり、電気接点を有するスイッチとし、電話装置等の電気機器のスイッチとして有用である。
【0013】
本願の第6の発明は、光源は、導後部の光導出面に対向するように配置した押しボタン装置であり、光源からの光をそのまま光導出面から出力することができ、効率よく光らせることができる。
【0014】
本願の第7の発明は、上記押しボタン装置を備えた電話装置であり、操作面の輝度および視認性を向上させた電話装置を提供することができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態における押しボタン装置を備えた電話装置としてのコードレス電話装置本体部の斜視図、図2は図1の押しボタン部分を拡大した平面図、図3はラバースイッチと導光部の構成を示す縦断面図である。図4は図2に示す本実施の形態における押しボタン装置の縦断面図である。図5は図4のキーパッド部材の平面図、図6は図5のキーパッド部材上に押しボタン部材を配置した状態の平面図である。
【0017】
図1〜図6に示すように、本発明の実施の形態におけるコードレス電話装置は、TAM(Telephone Answering Machine;電話応答装置)機能付き電話装置であり、そのコードレス電話装置本体部1(ハンドセット部は図示していない。)の上面にTAM機能の操作を行うための押しボタン装置2を備える。
【0018】
押しボタン装置2は、コードレス電話装置本体部1の内部に配設されたプリント基板1a上に実装された光源としてのLED(発光ダイオード)3と、このLED3上に配設されたキーパッド部材としてのラバースイッチ4と、このラバースイッチ4の上に被せられる押しボタン部材としての樹脂ボタン5とを備える。樹脂ボタン5上には、TAM機能を表示するための録音テープマーク6が印刷されている。
【0019】
ラバースイッチ4は、プリント基板1aの表面に接触状態で配置される板状部4aと、LED3からの光を透過する導光部7が形成された弾性変位部4bと、弾性変位部4bと板状部4aとを連結する薄肉状に形成された可撓連結部4cとから構成される。導光部7は、透明樹脂により録音テープマーク6の形状に合わせて略角柱状に形成されている。導光部7の光導出面7aは、録音テープマーク6が形成された部分と同じ大きさである。なお、導光部7は全面が鏡面仕上げされている。図3に示すように、ラバースイッチ4に設けられた貫通穴に導光部7が挿入されている。
【0020】
ラバースイッチ4は、例えばグレー系のシリコンゴム等の弾性樹脂により形成されている。なお、ラバースイッチ4の色は、グレー系に限らず、弾性変位部4bの導光部7内を通過する光が外部に漏れない色であれば良い。また、弾性変位部4bの内面以外の部分は別の色としても良い。
【0021】
また、ラバースイッチ4の下面には、プリント基板1a上の接点部(図示せず。)と対向する位置に配置された接点部8が設けられている。
【0022】
樹脂ボタン5は、光を透過する乳白色の透光性樹脂により、ラバースイッチ4の弾性変位部4bの導光部7の光導出面7aを含む天端面8aから外壁面8bの一部までを覆うようにキャップ状に形成されている。樹脂ボタン5の色についても、乳白色に限らず、光を透過する色であれば良い。なお、樹脂ボタン5の導光部7に対峙する部分の厚さは、2〜3mmと薄く形成されている。樹脂ボタン5の下端部はフランジ状に形成されており、ボタンホルダ9によりプリント基板1a側に抑えられている。また、ボタンホルダ9上には上蓋10と化粧パネル11とが取り付けられている。
【0023】
上記構成の押しボタン装置2では、LED3からの光がラバースイッチ4の導光部7から樹脂ボタン5の録音テープマーク6が印刷された操作面の一部に集中的に導かれ、この操作面の一部が集中的に照らされる(図2の波線による斜線部参照。)。したがって、この録音テープマーク6部分の輝度が増し、この録音テープマーク6の視認性が向上する。
【0024】
また、樹脂ボタン5の導光部7に対峙する部分の厚さが2〜3mmと薄く形成して、導光部7の光導出面7aを化粧パネル11の表面近傍に配置しているので、ラバースイッチ4の導光部7の光導出面7aからその面方向に漏れる光は化粧パネル11の壁面に反射され、樹脂ボタン5の正面側へのみ照射され、樹脂ボタン5が明るく照らされる。
【0025】
また、樹脂ボタン5は、ラバースイッチ4の導光部7に対峙する部分の厚さが2〜3mmと薄いので、導光部7から導かれる光が透過しやすい。また、これにより、光導出面7aが樹脂ボタン5の操作面の近傍に配置されることになり、樹脂ボタン5の操作面の輝度が向上している。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、内部に設けた光源により押しボタン部材の操作面を光らせる構造を有する押しボタン装置およびこれを用いた電話装置として有用である。特に、本発明は、押しボタン部材の一部に集中的に導光することにより操作面の輝度および視認性を向上させた押しボタン装置およびこれを用いた電話装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態における押しボタン装置を備えた電話装置としてのコードレス電話装置本体部の斜視図
【図2】図1の押しボタン部分を拡大した平面図
【図3】ラバースイッチと導光部の構成を示す縦断面図
【図4】図2に示す本実施の形態における押しボタン装置の縦断面図
【図5】図4のキーパッド部材の平面図
【図6】図5のキーパッド部材上に押しボタン部材を配置した状態の平面図
【符号の説明】
【0028】
1 コードレス電話装置
1a プリント基板
2 押しボタン装置
3 LED
4 ラバースイッチ
4a 板状部
4b 弾性変位部
4c 可撓連結部
5 樹脂ボタン
6 録音テープマーク
7 導光部
7a 光導出面
8 接点部
8a 天端面
8b 外壁面
9 ボタンホルダ
10 上蓋
11 化粧パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を透過する導光部が形成されたキーパッド部材と、
同キーパッド部材の導光部の光導出面から外壁面の一部までを覆うように形成された押しボタン部材とを有し、
前記導光部は、前記光源からの光を前記押しボタン部材の操作面の一部に導く形状としたことを特徴とする押しボタン装置。
【請求項2】
前記押しボタン部材の操作面には当該押しボタン部材の機能を表示するためのマークが形成され、
前記導光部の光導出面は、前記マークが形成された部分と同じ大きさに形成したことを特徴とする請求項1記載の押しボタン装置。
【請求項3】
前記導光部は、透明の樹脂材料により形成されたものである請求項1または2に記載の押しボタン装置。
【請求項4】
前記押しボタン部材は、前記キーパッド部材の導光部に対峙する部分の厚さが2〜3mmである請求項1から3のいずれかに記載の押しボタン装置。
【請求項5】
前記キーパッド部材は、前記キーパッド部材の一部の変形により対向する接点と接触可能となる接点部を有する請求項1記載の押しボタン装置。
【請求項6】
前記光源は、前記導後部の光導出面に対向するように配置した請求項1記載の押しボタン装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の押しボタン装置を備えた電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−302555(P2006−302555A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119253(P2005−119253)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】