説明

押し釦スイッチ操作機構

【課題】内装されたロック形押しボタンスイッチ20に対する外部からの押込操作も回転操作も可能にする押し釦スイッチ操作機構30を誤操作しない形で而も簡便に実現する。
【解決手段】外装板13の外方に操作回転体33を設け、更にその外方に最上覆装体34を固定設置し、操作回転体33を側方から摘んで回転操作すればその回転動作が進退自在回転伝動機構32,31にてスイッチ操作部22に伝達されるようにする。また、指先遊挿穴34a,33a,13a,32aを総て連通させることで、その奥のスイッチ操作部22を指先で押し込めるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内装されたロック形押しボタンスイッチを外部から操作するための押し釦スイッチ操作機構に関する。
この発明の押し釦スイッチ操作機構が用いられるロック形押しボタンスイッチは、押込操作に応じて操作部が後退してロックが掛かる一方、回転操作に応じてロックが解除されて操作部が復帰するようになっており、外装板の指先遊挿穴から指を入れて押込操作を行える所にスイッチ操作部が配置されている。
なお、本願において、指先遊挿穴は、人間の指先を容易に出し入れできる大きさの貫通穴を、意味する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道の列車防護装置には押し釦スイッチが付設されているが、そのスイッチは箱体や筐体に内装されており、その箱体等は駅のホームなど駅員や乗降客の指で操作可能な所に設置されている。
そのようなスイッチには、押し釦スイッチの中でもロック形押しボタンスイッチが使い易く(例えば非特許文献1参照)、その中でも圧下動作と復帰動作とが個別操作にてなされるスイッチが多用されている。具体的には、ロック形押しボタンスイッチのうち、指先でスイッチ操作部を押し込むとスイッチ操作部が後退してその位置にロックされるが、スイッチ操作部を例えば数十゜ほど回転させるとロックが解除されて更にスイッチ操作部が前進して元の位置に復帰するものが、多く使用されている。
【0003】
また、箱体等には開閉式の扉や脱着式の蓋などからなる外装板が具備されており、その外装板には、外部から内部へ指先を差し込める指先遊挿穴が形成されている。このような箱体等にロック形押しボタンスイッチを内装するときには、スイッチ全体が外装板の内方に設けられるとともに、スイッチ操作部が外装板の指先遊挿穴の近くであって指先の届く所に配置されるので、常態ではスイッチの外方が指先遊挿穴の部分は別として外装板によって覆われているが、必要であれば外装板のところを解放することによりスイッチ操作部を露呈させることができるようになっている。
【0004】
このような列車防護装置では、箱体等の外から外装板の指先遊挿穴を介して箱体等の内へ指先を差し込んでスイッチ操作部を指先で押し込んだときだけ、ロック形押しボタンスイッチが作動して、防護信号等が発せられる。しかも、その際、スイッチが押込操作に応じてロックするので、スイッチが復帰操作されるまで発報が継続する。
そして、安全が確認されたら、スイッチ操作部を露呈させ、それを指先等で摘んで回転させる。この回転操作によって、スイッチのロックが解除され、更にスイッチ操作部が復帰して、発報が止むので、その後、スイッチの外方に外装板を戻す。
【0005】
【非特許文献1】「電子工学ポケットブック第3版」5−69頁「9.2.2押しボタンスイッチ」株式会社オーム社出版、平成4年5月20日第3版第17刷発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来の列車防護装置では、ロック形押しボタンスイッチが箱体等に内装されているので、乗降客等が無意識に触ったり不用意にぶつかったとしても、それだけでスイッチが作動してしまうという不所望な事態の発生が簡便かつ的確に防止される。
しかしながら、押込操作されてロックしたスイッチを後で復帰操作する場合、スイッチ操作部の押込操作は外装板を解放しなくても指先遊挿穴を介して外部から直ちに行えるのに対し、スイッチの復帰操作に必要なスイッチ操作部の回転操作は、外装板を解放しなければ、行うことができない。このため、ロック形押しボタンスイッチの復帰操作には手間もひまもかかってしまう。
【0007】
これに対しては、労力や時間をあまり費やさなくても外装板の内方のスイッチを復帰操作することができるよう、外部から回転操作しうる押し釦スイッチ操作機構を付加することが考えられるが、その場合、スイッチの回転操作についても、乗降客等が無意識に触ったり不用意にぶつかったりしただけでスイッチのロックが解除されてしまうという不所望な事態の発生を的確に防止することが重要となる。
そこで、内装されたロック形押しボタンスイッチに対する外部からの押込操作も回転操作も可能にする押し釦スイッチ操作機構を誤操作の生じない形で実現することが技術的な課題となる。また、その機構を簡便に具体化することが更なる技術課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の押し釦スイッチ操作機構は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、指先遊挿穴の形成された外装板の内方に設けられたロック形押しボタンスイッチを外部から操作するための押し釦スイッチ操作機構であって、指先遊挿穴が形成されており前記外装板の外方に設けられて前記外装板の指先遊挿穴に自己の指先遊挿穴を連通させる回転操作可能な操作回転体と、指先遊挿穴が形成されており前記操作回転体の更に外方に設けられて前記操作回転体の指先遊挿穴に自己の指先遊挿穴を連通させる固定の最上覆装体と、前記外装板の内方に設けられて前記ロック形押しボタンスイッチのスイッチ操作部を前記外装板の指先遊挿穴の方向へ進退自在な状態に維持しながら前記操作回転体の回転動作を前記スイッチ操作部に伝達する進退自在回転伝動機構とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構は(解決手段2)、上記解決手段1の押し釦スイッチ操作機構であって、前記最上覆装体が前記操作回転体の外方の外面を完全に覆うものであることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の押し釦スイッチ操作機構は(解決手段3)、上記解決手段2の押し釦スイッチ操作機構であって、前記最上覆装体が前記操作回転体の側方の外面を完全に解放するものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構は(解決手段4)、上記解決手段3の押し釦スイッチ操作機構であって、前記操作回転体が弧状長穴の形成されたものであり、前記最上覆装体を前記外装板に固定する部材が前記弧状長穴を挿通するものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構は(解決手段5)、上記解決手段1〜4の押し釦スイッチ操作機構であって、前記進退自在回転伝動機構に、前記スイッチ操作部に装着されるスイッチ装着体と、指先遊挿穴が形成されており前記操作回転体に連結して前記外装板の内方に設けられて前記外装板の指先遊挿穴に自己の指先遊挿穴を連通させる従動回転体とが具備され、前記スイッチ装着体と前記従動回転体とが摺動自在なスライド軸とスライド穴とで係り合っていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構は(解決手段6)、上記解決手段5の押し釦スイッチ操作機構であって、前記従動回転体と前記操作回転体との連結子が、前記外装板の指先遊挿穴の内周に沿って遊動しうるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明の押し釦スイッチ操作機構にあっては(解決手段1)、指先遊挿穴が総て連通しており、その奥にスイッチ操作部が進退自在な状態で存在しているので、外からロック形押しボタンスイッチを作動させるときには指先遊挿穴から指先を差し込んでスイッチ操作部を指先で押し込めば良い。
また、操作回転体が外装板の外方に設けられ、その回転動作が進退自在回転伝動機構によってスイッチ操作部に伝達されるようになっているので、スイッチを復帰させるときには操作回転体を露出している側方から摘んで回転操作すれば良い。
そのため、押込操作ばかりか回転操作も、スイッチ操作のために外装板を解放する必要がなく、外部から直ちに行えることとなる。
【0015】
しかも、押込操作対象のスイッチ操作部が外装板の内方に内装されたままなので、乗降客等が無意識に触ったり不用意にぶつかった程度ではスイッチが作動しないという長所が引き継がれているばかりか、回転操作対象の操作回転体が外装板と最上覆装体との間に位置して操作回転体の外方の外面が最上覆装体によって覆われているので、乗降客等が無意識に触ったり不用意にぶつかった程度ではスイッチのロックが解除されることもない。
したがって、この発明によれば、内装されたロック形押しボタンスイッチに対する外部からの押込操作も回転操作も可能にする押し釦スイッチ操作機構を誤操作の生じない形で実現することができる。
【0016】
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構にあっては(解決手段2)、操作回転体の外方の外面が最上覆装体によって完全に覆われていることから、外装板によって半分近く規制されている側方からは別としてそれ以外のところから操作回転体の操作される虞がないので、乗降客等が無意識に触ったり不用意にぶつかったりしただけでスイッチのロックが解除されてしまうという不所望な事態の発生が、より的確に防止されることとなる。
【0017】
さらに、本発明の押し釦スイッチ操作機構にあっては(解決手段3)、操作回転体の外方の外面は最上覆装体によって完全に覆われたまま、操作回転体の側方の外面が完全に解放されているので、操作回転体を側方から意識して摘めば、操作回転体の回転操作が容易に行えることとなる。これにより、誤操作はより的確に防止しつつ正規の回転操作は容易なものにすることができる。
【0018】
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構にあっては(解決手段4)、最上覆装体を外装板に固定する部材を操作回転体の弧状長穴に挿通させたことにより、操作回転体の外方の外面は完全に覆いながら操作回転体の側方は完全に解放する最上覆装体が具現化されるうえ、最上覆装体を外装板に固定する部材によって操作回転体の回転動作の案内までも具現化される。
したがって、この発明によれば、内装されたロック形押しボタンスイッチに対する外部からの押込操作も回転操作も可能にする押し釦スイッチ操作機構を誤操作の生じない形で而も簡便に実現することができる。
【0019】
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構にあっては(解決手段5)、進退自在回転伝動機構が簡便に具体化される。
また、本発明の押し釦スイッチ操作機構にあっては(解決手段6)、操作回転体と従動回転体との連結に加えて回転動作の案内までも簡便に具体化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
このような本発明の押し釦スイッチ操作機構について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜3に示した実施例1は、上述した解決手段1〜6(出願当初の請求項1〜6)を総て具現化したものである。
【実施例1】
【0021】
本発明の押し釦スイッチ操作機構の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、ロック形押しボタンスイッチ20に押し釦スイッチ操作機構30を装着したところを示しており、(a)が平面図、(b)が側面図、(c)が展開斜視図である。
【0022】
この押し釦スイッチ操作機構30の操作対象は、例えば列車防護装置のスイッチ箱11〜13に内装されたロック形押しボタンスイッチ20であり、このスイッチ20は、スイッチ本体21とスイッチ操作部22とを具えていて、スイッチ操作部22がスイッチ本体21の方に押し込まれるとスイッチ操作部22が後退してロックが掛かり、その状態でスイッチ操作部22が数十゜ほど軸回転させられるとロックが解除されてスイッチ操作部22が例えば内蔵バネの弾撥力によって前進位置に復帰するようになっている。
スイッチ箱11〜13は、駅のホームの柱などに取り付けられる内装板11と、内装板11に植設された支持板12と、内装板11から一定距離のところに支持板12にて保持された外装板13を具えており、外装板13の中央にはほぼ円形の指先遊挿穴13aが形成され、その周縁には複数の最上覆装体固定ピン取付穴13bが形成されている。そのうる指先遊挿穴13aは、後述する遊動連結子32cの遊動穴でもある。
【0023】
押し釦スイッチ操作機構30は、上述のロック形押しボタンスイッチ20を押込操作時ばかりか回転操作時にも外部から操作するのを可能にすべく、スイッチ20に装着されるスイッチ装着体31と、外装板13に回転操作可能な状態で装着される従動回転体32及び操作回転体33と、外装板13に固定して装着される最上覆装体34とを具えている。どの部材31〜34もリング状部材を主体としており、スイッチ装着体31の中央穴31aの大きさはスイッチ操作部22の外径に適合しているが、従動回転体32の中央の指先遊挿穴32aと操作回転体33の中央の指先遊挿穴33aと最上覆装体34の中央の指先遊挿穴34aは人間の指先を容易に出し入れできる大きさの貫通穴になっている。
【0024】
スイッチ装着体31は、中央穴31aを持つリング体(環状部材)が二つ割りされたものに、摺動用のスライド穴31bが穿孔され、締結用の小ネジ31cが付設されたものであり、小ネジ31cを緩めて中央穴31aにスイッチ操作部22を嵌め込み、それから小ネジ31cを締めると、スイッチ操作部22に固定されて、スライド穴31bを軸方向に即ち中央穴31aと平行な方向やスイッチ操作部22の進退方向に向けるようになっている。
【0025】
従動回転体32は、中央に指先遊挿穴32aが形成された形状のリング体(環状部材)に対し、スイッチ装着体31側の面にはスライド軸32bが植設され、反対向きの面すなわち外装板13や操作回転体33の方を向く面には、操作回転体33に連結するための遊動連結子32cが植設されている。この遊動連結子32cは、外装板13の指先遊挿穴13aに通して従動回転体32と操作回転体33とを連結するためのものであり、従動回転体32と操作回転体33は相互に固定するが、外装板13の指先遊挿穴13aの内周に沿って遊動しうるようになっているので、操作回転体33の軸回転を許容するとともに、操作回転体33の回転動作をそのまま従動回転体32に伝える役目も果たす。
【0026】
また、従動回転体32のスライド軸32bをスイッチ装着体31のスライド穴31bに嵌め込むと、軸方向へは自在に摺動するようになっているので、スイッチ装着体31と従動回転体32との離隔距離の変化は規制されないが、従動回転体32の回転運動はスイッチ装着体31に伝達されることとなる。そして、このように摺動自在なスライド軸32bとスライド穴31bとで係り合っている従動回転体32とスイッチ装着体31は、外装板13の内方に設けられてロック形押しボタンスイッチ20のスイッチ操作部22を外装板13の指先遊挿穴13aの方向へ進退自在な状態に維持しながら操作回転体33の回転動作をスイッチ操作部22に伝達する進退自在回転伝動機構となっている。
【0027】
操作回転体33は、中央に指先遊挿穴33aが形成された形状のリング体(環状部材)に、軸方向に即ち指先遊挿穴33aと平行に貫通穿孔された軸方向弧状長穴33bと、上述の遊動連結子32cに対応した遊動連結子取付穴33cと、外周面すなわち側方の外面に分散している凹み33dとが形成されたものである。操作回転体33は、回転操作の対象物なので、外周面に指先が掛かるよう軸方向の厚みが数mm以上であることが好ましいが、誤操作防止の観点からは薄い方が良い。凹み33dは、操作回転体33の外周面を指先で摘んで操作回転体33を回転操作したときに、不所望な滑りを防止するためのものであり、突起や凹凸などでも良く、滑りにくい部材には省いても良い。
【0028】
最上覆装体34は、中央に指先遊挿穴34aが形成された形状のリング体(環状部材)に、固定ピン34bを植設したものである。固定ピン34bは、操作回転体33の厚みより少し長く、凹み33dに遊挿可能な細いピンからなり、凹み33dに挿通された状態で外装板13の最上覆装体固定ピン取付穴13bに取り付けられて、操作回転体33の更に外方に最上覆装体34を固定するものとなっている。最上覆装体34の外径は操作回転体33の外径と同じかそれより大きく、最上覆装体34の内径すなわち指先遊挿穴34aの直径は操作回転体33の内径すなわち指先遊挿穴33aの直径と同じかそれより小さいので、最上覆装体34は操作回転体33の外方の外面を完全に覆うものとなっている。
【0029】
また、最上覆装体34を外装板13に固定する固定ピン34bが、操作回転体33の弧状長穴33bを挿通していて、操作回転体33の側方には出ていないので、最上覆装体34は操作回転体33の側方の外面を完全に解放するものとなっている。
このようなスイッチ装着体31と従動回転体32と操作回転体33と最上覆装体34とからなる押し釦スイッチ操作機構30は、簡素な構成であって、スイッチ装着体31をスイッチ20に装着し、従動回転体32と操作回転体33と最上覆装体34を外装板13に装着して使用できる便利なものであり、装着時には中央穴31aと指先遊挿穴32aと指先遊挿穴33aと指先遊挿穴34aとが一軸上に並んで連通するようになっている。
【0030】
この実施例1の押し釦スイッチ操作機構30の装着手順を、図面を引用して説明する。図2は、ロック形押しボタンスイッチ20に押し釦スイッチ操作機構30を装着するときの手順を示し、(a)〜(h)は何れも側面図である。なお、ここで述べる手順は一例にすぎないので、他の手順で装着しても良い。
【0031】
操作回転体33を挟んで(図2(a)参照)、最上覆装体34を外方から外装板13に固定ピン34bで固定し(図2(b)参照)、従動回転体32の遊動連結子32cを内方から外装板13の指先遊挿穴13aに差し込んで(図2(c)参照)、従動回転体32を操作回転体33に連結することにより(図2(d)参照)、押し釦スイッチ操作機構30のうち従動回転体32と操作回転体33と最上覆装体34が外装板13に装着される。
【0032】
また、外装板13を外した解放状態のスイッチ箱11〜12にロック形押しボタンスイッチ20を収めて(図2(e)参照)、スイッチ本体21を内装板11に固定し(図2(f)参照)、小ネジ31cを外すか緩めたスイッチ装着体31をスイッチ操作部22に被せてから小ネジ31cを締めてスイッチ装着体31をスイッチ操作部22に装着することにより(図2(g)参照)、押し釦スイッチ操作機構30のうち残りのスイッチ装着体31がスイッチ20に装着される。
【0033】
それから、解放状態のスイッチ箱11〜12に外装板13を取り付けて(図2(h)参照)、最終的なスイッチ箱11〜13を組み上げるが、その際、従動回転体32のスライド軸32bが(図2(d)参照)、スイッチ装着体31のスライド穴31bに(図2(g)参照)、嵌め込まれるよう留意する。
こうして、押し釦スイッチ操作機構30がスイッチ20と外装板13とに装着されると(図1参照)、最上覆装体34の指先遊挿穴34aの奥には指先遊挿穴33aや指先遊挿穴32aを通して従動回転体32の中央穴31aやスイッチ操作部22が見え、操作回転体33の外方は最上覆装体34で隠されるが操作回転体33の側方は指先で摘める状態になる。
【0034】
この実施例1の押し釦スイッチ操作機構30について、装着後の使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図3は(a)〜(f)何れも側面図である。
【0035】
押し釦スイッチ操作機構30の装着されたロック形押しボタンスイッチ20を操作するには、先ず押込操作の場合(図3(a)〜(b)参照)、従来とほとんど同様に行える。すなわち、指先を最上覆装体34の中央に向けて(図3(a)参照)、指先遊挿穴34a,指先遊挿穴33a,指先遊挿穴32aの中へ進め、更にその先のスイッチ装着体31及びスイッチ操作部22を指先で押し込めば良い(図3(b)参照)。そうすると、ロック形押しボタンスイッチ20が作動して例えば防護信号がスイッチ20から列車防護装置の本体へ送出されるとともに、スイッチ操作部22がロックされてスイッチ本体21寄りの後退位置にとどまる。
【0036】
次に復帰操作の場合(図3(c)〜(f)参照)、外装板13と最上覆装体34との間から露呈している操作回転体33の外周面を側方から指先で摘み(図3(c)参照)、操作回転体33を軸回転させると良い(図3(d)参照)。その回転操作を十分に例えば数十゜ほど行えば、スイッチ操作部22のロックが解除されて、スイッチ操作部22とスイッチ装着体31が前進して従動回転体32寄りのところに戻り(図3(e)参照)、防護信号の発報が止むので、後は操作回転体33から指を離して良い(図3(f)参照)。
そして、指を離せば、スイッチ操作部22が逆回転し、それに伴って従動回転体32と操作回転体33も逆回転するので、ロック形押しボタンスイッチ20も押し釦スイッチ操作機構30も完全に元の状態に戻る。
【0037】
こうして、押し釦スイッチ操作機構30にあっては、押込操作ばかりか回転操作までもスイッチ箱11〜13の外部から行われる。そのため外装板13を解放する必要がない。
しかも、操作回転体33の外方の外面が最上覆装体34によって完全に覆われているので、乗降客等が無意識に触ったり不用意にぶつかったとしても、それだけでスイッチが作動してしまうという不所望な事態の発生が押込操作ばかりか回転操作についても的確に防止される。また、操作回転体33の側方の外面が完全に解放されているので、意識して摘めば回転操作が楽に行える。さらに、指先遊挿穴34a,33a,32aが一直線に並んでいるので、押込操作も意識すれば容易に行える。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の押し釦スイッチ操作機構は、上述した列車防護装置に適用が限られる訳でなく、指先遊挿穴の形成された外装板の内方にロック形押しボタンスイッチが設けられているところであれば種々の応用に適用することができる。
また、外装板は、既述した開閉式の扉や脱着式の蓋などに限らず、固定式の箱板や筐体パネルであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例1について、押し釦スイッチ操作機構の構造を示し、(a)が平面図、(b)が側面図、(c)が展開斜視図である。
【図2】押し釦スイッチ操作機構の装着手順を示し、(a)〜(h)は何れも側面図である。
【図3】押し釦スイッチ操作機構の操作と動作を示し、(a)〜(f)は何れも側面図である。
【符号の説明】
【0040】
11…内装板、12…支持板、13…外装板、
13a…指先遊挿穴、13b…最上覆装体固定ピン取付穴、
20…ロック形押しボタンスイッチ、
21…スイッチ本体、22…スイッチ操作部、
30…押し釦スイッチ操作機構、31…スイッチ装着体、
31a…中央穴、31b…スライド穴、31c…小ネジ、
32…従動回転体、32a…指先遊挿穴、32b…スライド軸、
32c…遊動連結子、33…操作回転体、33a…指先遊挿穴、
33b…弧状長穴、33c…遊動連結子取付穴、
34…最上覆装体、34a…指先遊挿穴、34b…固定ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指先遊挿穴の形成された外装板の内方に設けられたロック形押しボタンスイッチを外部から操作するための押し釦スイッチ操作機構であって、指先遊挿穴が形成されており前記外装板の外方に設けられて前記外装板の指先遊挿穴に自己の指先遊挿穴を連通させる回転操作可能な操作回転体と、指先遊挿穴が形成されており前記操作回転体の更に外方に設けられて前記操作回転体の指先遊挿穴に自己の指先遊挿穴を連通させる固定の最上覆装体と、前記外装板の内方に設けられて前記ロック形押しボタンスイッチのスイッチ操作部を前記外装板の指先遊挿穴の方向へ進退自在な状態に維持しながら前記操作回転体の回転動作を前記スイッチ操作部に伝達する進退自在回転伝動機構とを備えたことを特徴とする押し釦スイッチ操作機構。
【請求項2】
前記最上覆装体が前記操作回転体の外方の外面を完全に覆うものであることを特徴とする請求項1記載の押し釦スイッチ操作機構。
【請求項3】
前記最上覆装体が前記操作回転体の側方の外面を完全に解放するものであることを特徴とする請求項2記載の押し釦スイッチ操作機構。
【請求項4】
前記操作回転体が弧状長穴の形成されたものであり、前記最上覆装体を前記外装板に固定する部材が前記弧状長穴を挿通するものであることを特徴とする請求項3記載の押し釦スイッチ操作機構。
【請求項5】
前記進退自在回転伝動機構に、前記スイッチ操作部に装着されるスイッチ装着体と、指先遊挿穴が形成されており前記操作回転体に連結して前記外装板の内方に設けられて前記外装板の指先遊挿穴に自己の指先遊挿穴を連通させる従動回転体とが具備され、前記スイッチ装着体と前記従動回転体とが摺動自在なスライド軸とスライド穴とで係り合っていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された押し釦スイッチ操作機構。
【請求項6】
前記従動回転体と前記操作回転体との連結子が、前記外装板の指先遊挿穴の内周に沿って遊動しうるものであることを特徴とする請求項5記載の押し釦スイッチ操作機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−282549(P2008−282549A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123092(P2007−123092)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000207470)大同信号株式会社 (83)
【Fターム(参考)】