説明

押出プレス

【課題】本発明は、直行型のビレットローダを用いても品質の優れた押出製品の生産性が向上し、且つ、設備の設置スペースを最少化してスペース生産性が向上する押出プレスを提供することを目的とする。
【解決手段】2つ割りのシールブロックを閉じた時前記シールブロックの当接面に貼着したシール部材と前記シールブロックの内周面に設けたシール部材とを介して前記シールブロックの当接面と押出ステム又はフィックスダミーブロックの外周面に密接させ得るようにし、前記シールブロックのコンテナ側端面に設けたシール部材をコンテナのステム側端面に押圧して密接させ得る押圧手段を押出方向に移動自在に備え、前記シールブロックを押出ステムの軸線方向と交差方向に揺動して開閉自在に設けるとともに、前記シールブロックが開いた状態で前記押出ステムの軸線方向と交差方向に移動自在に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金などの押出プレスによる押出成形に際して、フィックスダミーブロックに対して着脱自在な構造の2つ割のシールブロックで閉じ、前記シールブロックのコンテナ側に配設したシール部材を押圧手段で押圧した後、ビレットが押出される前にコンテナとビレットとの間の空気をコンテナの外に排出し、ビレットに空気を巻き込むことなく、効果的に無駄なく押出すための改善された押出プレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナの内径よりも少し小径のビレットをコンテナ内に装填した後、コンテナ内でビレットを後方の押出ステムでダイスに押し当て、所謂アプセットすると、ビレットが押し潰されコンテナとビレットの間の空気が圧縮される。この圧縮された空気をコンテナの外に排出するために押出ステムとコンテナを僅かに後退させ、ダイスとコンテナの隙間から前述した圧縮空気を抜き、再度コンテナと押出ステムを前進させて押出を開始する。このようにして、圧縮した空気を抜くガス抜き工程をバープサイクルと呼んでいるが、この工程により押出サイクルに無駄な工程が発生する。
【0003】
また、この方法ではバープサイクルで脱気してコンテナをダイスに押付けた時、コンテナ内面とビレット外面との間に、皮1枚程度の薄い状態で空気が大気圧で残っており、十分な脱気は行なわれていない。
【0004】
そこで、ビレットの押出に際していかに残留空気の除去を容易、且つ、確実に行なえるようにした従来型の押出プレスの脱気装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているような装置がある。
特許文献1には、ビレットが装填されるコンテナのステム側端面にリング状の突起部を設けたコンテナライナと、押出ステムの軸線方向と交差する方向に開閉自在でありコンテナ内に残留した空気を排出する排気孔を有した2つ割のシールブロックとを備え、シールブロックを閉じたとき、リング状の突起部の外周面と押出ステムの外周面に同時に密着させてシールを行ない、コンテナ内の空気を排気孔から吸引して脱気する方法が記載されている。
【0005】
特許文献2には、ビレットが装填されるコンテナのステム側端面にリング状の突起部を設けたコンテナライナと、押出ステムの軸線方向と交差する方向に開閉自在でありコンテナ内に残留した空気を排出する排気孔を有した2つ割のシールブロックとを備え、シールブロックを閉じたときシールブロックに貼着したシール部材を介してリング状突起部の側端面と押出ステムの外周面に同時に密着させ得るようにし、押圧手段によりシールブロックのリング状突起部側に貼着したシール部材をリング状突起部の側端面に押出方向に押圧してシールを行ない、コンテナ内の空気を排気孔から吸引して脱気する方法が記載されている。
そして、上記いずれの従来型の脱気装置は、2つ割のシールブロックのそれぞれが押出ステム側のコンテナ端面の上下部に取付けられたガイドに沿って対向する双方向に移動して開閉(押出プレス操作側及び反操作側の両方向に水平移動)するように構成されている。さらに、シールブロックの解放時における退避位置を、コンテナに装填するビレットを載置するビレットローダと干渉することがなく、また、コンテナライナを交換する際に邪魔とならない位置としている。
【0006】
ところで、通常型の押出プレスのコンテナ内へのビレットの供給は、押出終了後に押出ステムが後退しコンテナの端面と後退した押出ステムの端面との隙間にビレットを載置したビレットローダを移動させ、ビレットの装填手段によって行なわれる。
コンテナ内へのビレットの供給を、ビレットの押出プレスへの供給を押出プレスの軸線に交差方向、且つ、軸線に水平方向に行なう直行型のビレットローダを用い、前記のように構成された従来型の脱気装置を用いた押出プレスでは、ビレットローダを押出プレスの操作側又は反操作側のいずれに設ける場合でも、ビレットローダは脱気装置との干渉を避けた位置に配置される。
ビレットローダと脱気装置との干渉を避けるためには、押出ストロークを延長して隙間を確保しなければならず、設備が大型化するとともに、押出サイクル時間が長くなる。
【0007】
また、ビレット移載装置によってビレットローダにビレットが移載されるが、ビレットキャリアも脱気装置の押出プレス軸線と交差方向との干渉を避けた位置に配置される。
ビレット移載装置と脱気装置を避けるためには、ビレットローダの押出プレスに対する移動ストロークを長くすることになり、設備が大型化するとともに、ビレットの供給時間が長くなる。そして、設備の大型化はペース生産性を阻害する。
【0008】
押出終了後に押出ステムが後退し、その後移動してビレットを供給する隙間を確保するリアローディング型のショートストローク押出プレスのコンテナ内へのビレットの供給は、主としてビレットのインサーター(挿入手段)を備えた押出プレスの軸線に交差方向、且つ、軸線に水平方向に行なう直行型のビレットローダが用いられる。
このように構成されたリアローディング型のショートストローク押出プレスに前記従来型の脱気装置を用い、ビレットローダを押出プレスの操作側又は反操作側のいずれに設ける場合でも、ビレットローダは脱気装置との干渉を避けた位置に配置される。
ビレットローダと脱気装置との干渉を避けるためには、押出ストロークを延長して隙間を確保しなければならず、設備が大型化するとともに、押出サイクル時間が長くなる。
【0009】
さらに、ビレット移載装置によってビレットローダにビレットが移載されるが、ビレットキャリアも脱気装置の押出プレス軸線と交差方向との干渉を避けた位置に配置される。
ビレット移載装置と脱気装置を避けるためには、ビレットローダの押出プレスに対する移動ストロークを長くすることになり、設備が大型化するとともに、ビレットの供給時間が長くなる。そして、設備の大型化は設置面積を過剰に占有し、スペース生産性を阻害する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−57335号公報
【特許文献2】特開平10−156426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、その目的は、直行型のビレットローダを用いても押出ストロークの延長やビレットローダの押出プレスに対する移動ストロークを延長することなく、品質の優れた押出製品の生産性が向上し、且つ、設備の設置スペースを最少化してスペース生産性が向上する押出プレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の押出プレスは、2つ割りのシールブロックを閉じた時前記シールブロックの当接面に貼着したシール部材と前記シールブロックの内周面に設けたシール部材とを介して前記シールブロックの当接面と押出ステム又はフィックスダミーブロックの外周面に密接させ得るようにし、前記シールブロックのコンテナ側端面に設けたシール部材をコンテナのステム側端面に押圧して密接させ得る押圧手段を押出方向に移動自在に備えた押出プレスであって、前記シールブロックを押出ステムの軸線方向と交差方向に揺動して開閉自在に設けるとともに、前記シールブロックが開いた状態で前記押出ステムの軸線方向と交差方向に移動自在に設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2に記載の押出プレスは、請求項1に記載の押出プレスにおいて、前記シールブロックの前進移動方向を、前記コンテナに装填するビレットを載置したビレットローダのビレット供給方向に対向する方向としたことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の押出プレスは、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の押出プレスにおいて、前記シールブロックにはコンテナ内の残留空気を排気する排気孔が設けられ、該排気孔が真空ポンプと連通したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
シールブロックは揺動して2つ割に開閉され、シールブロックの分割面をシールするシール部材と押出ステムの外周面をシールするシール部材及びコンテナの端面をシールするシール部材を備え、2つ割りされて開放された状態で一方向へ所定の待機位置から押出プレス中心位置に移動して、シール材が押出ステムの外周面とシールブロックの分割面とをシールするとともに、押出方向に移動してコンテナの端面をシールする構成とした。シールブロックを開閉する手段と前記シールブロックの移動手段をそれぞれ独立しても受けた構成により、シールブロックを備えた脱気装置は、コンテナの操作側又は反操作側のどちらか一方側に設置することが可能となる。このため、脱気装置を配置しない何れかの一方側では、機幅を小さくすることができる。
【0015】
2つ割りのシールブロックの前進移動方向を、ビレットローダのビレット供給方向に対向する方向とした。前述したように、脱気装置を設置した反対側のコンテナ端面と同一面には脱気装置は配置されておらず、ビレットローダをコンテナの端面に近接して設けることができる。このため、押出ストロークを延長することなく押出プレスに脱気装置を設けることができる。
また、ビレット移載装置と干渉する脱気装置は配置されておらず、移載装置を機側に近接して設けることができる。このため、ビレットローダの押出プレスに対する移動ストロークを短くすることができ、ビレットの供給時間を短縮することができる。
以上の構成は、押出プレスの設備が大型化することを防ぎ設備コストの削減が図れ、また、押出プレスの設置面積を縮小してスペース生産性を向上させることができる。
【0016】
2つ割りのシールブロックにはコンテナ内の残留空気を排気する排気孔が設けられ、該排気孔を真空ポンプと連通した。これにより、シールが十分で真空度が高い脱気が行なえる。また、従来のようにバープサイクルを行なうことがないので、押出サイクル時間を短縮することができる。さらに、ブリスタの混入を無くして歩留まりが高く、品質の優れた押出成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る全体構成を説明する図で、シールブロックが後退位置にある正面図である。
【図2】シールブロックが前進位置にある正面図である。
【図3】シールブロックの開閉動作を説明する拡大図である。
【図4】図3のA矢視の断面図である。
【図5】図3のB〜Bの断面図である。
【図6】シールブロックをコンテナのステム側端面に押圧した断面図である。
【図7】図3のC矢視の断面図で、真空ポンプとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の押出プレス装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、押出プレス10の図示しないエンドプラテンに対してコンテナホルダ12とコンテナタイヤ13及びコンテナライナ14で構成されるコンテナ15が、図示しないコンテナシリンダにより押出軸線方向に進退自在なように設けられている。
アプセット時に発生するコンテナ内の圧縮空気を脱気する脱気装置30は、シール手段31とシール手段31の移動手段32とで基本構成され、コンテナ15の押出ステム側の端面に水平に移動自在に配設されている。符号60は、コンテナ15内にビレット61を装填するインサータ(ビレットのコンテナ内への装填手段)を備えた直行型のビレットローダであり、脱気装置30の前進移動方向(押出プレスの中心方向)に対向して前進移動するよう押出プレスの軸線と対称に設けられている。
図1では脱気装置30が所定の位置に後退移動し、ビレットローダ60がビレット61をコンテナ15内に供給するため押出プレスの中心位置へ移動した状態を示している。
符号18は押出プレスのエンドプラテンとメインシリンダを連結するタイバーであり、17はプリコンチューブである。
【0020】
シール手段31はシールブロック40、シールブロック保持部材41、固定軸42、スライド板43、ガイド44、開閉シリンダ45、押圧シリンダ46及び引き戻し手段80などにより要部が構成される。
移動手段32はベースプレート51、ガイド受け52、移動シリンダ53により基本構成される。ベースプレート51はコンテナ12の押出ステム側の端面に取付けられ、ガイド受け52、移動シリンダ53が固設されている。移動シリンダ53のシリンダロッド先端は連結金具を介してシール手段31のスライド板43に固着され、シール手段31を前後移動自在としている。
【0021】
図1に示すように、シール手段31のスライド板43には開閉シリンダ45により揺動して開閉自在に固定軸42に軸支され、シールブロック40とシールブロック保持部材41及びガイド受け52に挿通されるガイド44が取付けられている。ガイド棒44はスライド板43の背面に取付けられ、シール手段31の前後移動の際にガイド受け52内を摺動して移動することで、スライド板43の移動を安定して支持する。シールブロック40を押出方向に移動させる押圧シリンダ46は、スライド板43の先端中心部分に設けられている。
【0022】
図2では、シール手段31が移動シリンダ53により前進移動し、シールブロック保持部材41とシールブロック40とが押出プレスの軸芯へ位置し、コンテナ12内にビレット61を装填したビレットローダ60が機側に近接した所定の後退位置へ移動した状態を示している。
シールブロック保持部材41とシールブロック40は開閉シリンダ45を動作させることにより固定軸42を中心として揺動し、押出ステム19又は押出ステム19の先端に設けたフィックスダミーブロック20に対して開閉自在とされている。
【0023】
図3及び図4に示すように、開閉シリンダ45に駆動されてシールブロック40が閉じられ、シールブロック40の内周面に設けた押出ステム19又はフィックスダミーブロック20のシール部材56が押出ステム19又はフィックスダミーブロック20の外周面に密接するとともに、シールブロック40の分割面に貼着した分割面のシール部材58が互いに密接する。
そして、シールブロック40にはガイドライナ48b〜50bが設けられ、シールブロック保持部材41に設けたガイド軸47とガイドライナ48a〜50aとにより支持および押出方向へ移動する時の案内がなされる構成となっている。シールブロック40のコンテナ側端面にはコンテナ15のステム側端面をシールするシール部材57が設けられている。
図3の二点鎖線でシールブロック保持部材41とシールブロック40がステム19の外周面から開放された状態を、また、符号78はコンテナ内の残留空気を排出する脱気孔を示している。
【0024】
図4に示すように、シールブロック保持部材41の軸受け部41aには軸受けブッシュ41bが嵌着され、軸受けブッシュ41b内を固定軸42が挿通することで軸支される構成となっている。固定軸42は、スライド板43にキープレートにより固定される。41Cはディスタンスピース(軸受けの間隔板)である。
シールブロック40の閉動作は、開閉シリンダ45のシリンダロッドを引き出す方向(シリンダの押し動作)に動作させることで固定軸42を中心とし上側のシールブロック40は時計方向に揺動、また下側のシールブロック40は反時計方向に揺動することで行ない、開き動作は、開閉シリンダ45のシリンダロッドを引き戻す方向(シリンダの引き動作)に動作させることで行なう。このように、シールブロック40の開閉は、固定軸42を中心として上下に2分割された片方ずつが対向する方向に揺動することによって行なう構成としている。
【0025】
また、図4に示すように、シールブロック40を閉じた状態で押出方向へ移動させ、コンテナ15のステム側端面に押圧することでコンテナ15のステム側端面をシールするシール部材57はコンテナライナ14のステム側端面に密接する。押圧シリンダ46はスライド板43に取付けられ、押圧シリンダ46のシリンダロッドはシールブロック40と接離自在に設けられている。押圧シリンダ46を駆動し、シールブロック40をガイドライナ48b〜50bとガイドライナ48a〜50aの当接面を摺動させることで、コンテナ15のステム側端面と押圧自在となる。符号58は、シールブロック40を閉じたときに互いに密接してシールブロック40の分割面をシールするシール部材である。
【0026】
図5に示すように、コンテナ15の押出システム側の端面から所定の位置にシールブロック40を引き戻すための引き戻し手段80がシールブロック保持部材41に設けられている。引き戻し手段80は、シールブロック保持部材41を挿通し先端部がシールブロック40に螺着され端部に段部を有する軸81と、軸81が移動して圧縮されるコイルバネ82と、シールブロック保持部材41に嵌着され軸81の移動を案内する軸受83とにより要部が構成される。47はシールブロック保持部材41に固着されたシールブロック40のガイド軸である。押圧シリンダ46による押圧力を解除することにより、圧縮されたコイルバネ82の復元力により、シールブロック40は元の位置に復帰することができる。図5は、シールブロック40が復帰位置にある状態を示している。
【0027】
図6に示すように、シールブロック40を閉じた状態で押圧シリンダ46により押圧力を作用させ押出方向に移動させることで、コンテナ15のステム側端面をシールするシール部材57によってコンテナ15のステム側端面がシールされる。
このようにして、フィックスダミーブロックの外周面をシールするシール部材56とコンテナ15のステム側端面をシールするシール部材57及びシールブロックの分割面をシールするシール部材58とによって脱気空間62は外部と遮断されるのである。脱気空間62は、ビレット61とコンテナライナ14とにより形成される空隙であり、図6に示す状態で、押出ステム19を押出方向に移動させる動作、所謂アプセット動作によってビレット61が押し潰され、脱気空間62内の空気は圧縮される。
【0028】
図7により、アプセット動作を行なう際に脱気空間62内の残留空気を外部に排出するための構成について説明する。
真空吸引装置70は、電磁弁71、真空計72、74、真空タンク73、真空ポンプ75、電動機76及び配管77により基本構成される。図6に示すように、脱気空間62と外部との通気が遮断された状態で真空吸引装置70を起動し、電磁弁71を励磁して脱気空間62と真空タンク73とを連通することで真空吸引が行なわれる。
アプセット動作によりコンテナのステム側に形成される脱気空間62内の圧縮空気は、シールブロック40に設けた複数の脱気孔78を通り、配管77と電磁弁71を介して真空タンク73へ吸引排出される。このようにして、脱気空間62内の圧縮空気は外部へ素早く、十分に脱気される。
【0029】
脱気動作の開始は、ビレットローダ60によりビレット61が押出プレス10に供給され、ビレットローダ60の装着されたインサータによりビレット61はコンテナ15内に装填される。ビレットローダ60が後退し、次いで押出ステム19が前進してビレット61の後端部がコンテナ15の押出ステム側端面に近い位置まで押し込まれた状態で脱気装置30のシール手段31を前進移動させる。その後、シールブロック40を閉じ、更に、シールブロック40を押出方向に移動させて、脱気空間62と真空吸引装置70とが連通するようにする。
【0030】
脱気動作の完了は、アプセットの完了後、押出ステム19の前進に伴って開始される製品の押出が開始されてから所定の時間(例えば、ビレット61の押出開始前の初期長さから約3分の一程度押出た状態)の経過後に行なう。これと同時に、シールブロック40のコンテナ15端面への押圧を開放し、元の位置に引き戻し戻すとともにシールブロック40を揺動して開放する。次いで、移動手段32の移動シリンダ53を駆動して、シール手段31を押出プレス10の所定の後退位置まで移動して停止させる。
押出プレス10はその後も押出動作を継続し、押出が完了すると押出ステム19を後退させてビレット61を供給、次サイクルに入る。
【0031】
以上説明したことから明らかなように、本発明では、2つ割りのシールブロックの開閉手段と移動手段をそれぞれ設けるとともに、2つ割りのシールブロックの開閉を対向して揺動する構成とした。
これによりコンテナ内に残留した空気を排出する脱気装置を押出プレスの一方の側面に配置することが可能となり、直行型のビレットローダを備えた押出プレスにおいて、押出ストロークを延長することなく脱気装置を装着することができ、押出製品の品質が向上した。
また、脱気装置を押出プレスの一方の側面に配置する構成としたので、ビレットローダにビレットを移送するビレットの移載装置を押出プレス機側に近接して設けることが可能となり、ビレットローダの押出プレスへの移動ストロークが短縮され、ビレット供給に係るサイクル時間が短縮でき、押出プレスの生産性が向上した。
さらに、押出プレス、ビレットローダ等の設備を小型化でき、設備費用を削減するとともに、設備の設置面積を最少化してスペース生産性を向上させることができる優れた効果を有する。
【符号の説明】
【0032】
10 押出プレス
15 コンテナ
19 押出ステム
20 フィックスダミーブロック
30 脱気装置
31 シール手段
32 移動手段
40 シールブロック
45 開閉シリンダ
46 押圧シリンダ
53 移動シリンダ
56 押出ステム又はフィックスダミーブロック外周面のシール部材
57 コンテナの押出ステム側端面のシール部材
58 シールブロック当接面のシール部材
60 ビレットローダ
61 ビレット
70 真空吸引装置
78 排気孔
80 引き戻し手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ割りのシールブロックを閉じた時前記シールブロックの当接面に貼着したシール部材と前記シールブロックの内周面に設けたシール部材とを介して前記シールブロックの当接面と押出ステム又はフィックスダミーブロックの外周面に密接させ得るようにし、前記シールブロックのコンテナ側端面に設けたシール部材をコンテナのステム側端面に押圧して密接させ得る押圧手段を押出方向に移動自在に備えた押出プレスであって、
前記シールブロックを押出ステムの軸線方向と交差方向に揺動して開閉自在に設けるとともに、前記シールブロックが開いた状態で前記押出ステムの軸線方向と交差方向に移動自在に設けたことを特徴とする押出プレス。
【請求項2】
前記シールブロックの前進移動方向を、前記コンテナに装填するビレットを載置したビレットローダのビレット供給方向に対向する方向としたことを特徴とする請求項1に記載の押出プレス。
【請求項3】
前記シールブロックにはコンテナ内の残留空気を排気する排気孔が設けられ、該排気孔が真空ポンプと連通したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押出プレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−194588(P2010−194588A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43249(P2009−43249)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】