押出加工用ダイス装置及び押出加工方法
【課題】均一な肉厚の製品を押出加工できるようにした押出加工用ダイス装置と押出部材の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、ダイホルダに形成された支持孔に挿入された組立ダイスが具備され、組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して組立ダイスの型孔を通過させて押出成形自在としたダイス装置において、組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、孔部を有するメスダイスを備え、オスダイスの突起部をメスダイスの孔部に望ませてそれらの間に型孔を画成してなり、前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させたことを特徴とする。
【解決手段】本発明は、ダイホルダに形成された支持孔に挿入された組立ダイスが具備され、組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して組立ダイスの型孔を通過させて押出成形自在としたダイス装置において、組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、孔部を有するメスダイスを備え、オスダイスの突起部をメスダイスの孔部に望ませてそれらの間に型孔を画成してなり、前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種のアルミニウム熱交換器に用いられる扁平多穴チューブなどを押出加工する際に用いて好適な押出加工用ダイス装置及び押出加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エバポレータ、コンデンサ、ラジエータ等の熱交換器に用いられる各種のアルミニウム製熱交換用チューブを製造するにあたり、素材であるアルミニウムの融点が低いことから、押出加工法が広く用いられている。
このような押出加工法は、例えば図8に示すように、先端部にダイス101を固定したコンテナ102の孔部内にアルミニウム素材(ビレット)103を挿入し、このコンテナ102内のビレット103を加圧板(ステム)104によってダイス101に形成された開口部105方向へ押圧し、開口部105内に形成された一定の断面形状を有する隙間(型孔105a)から上記アルミニウム素材103を押出すことにより、上記素材を一定の断面形状の押出部品に押出加工するものである。この押出加工法によれば、コンテナ102内に挿入されたビレット103に圧縮力を作用させることにより、一段の変形で非常に複雑な形状の押出部品を得ることができる。
【0003】
図9は、このようなアルミニウムの押出加工法によって成形される、アルミニウム製熱交換器用偏平多穴チューブ106の一例を示すものである。このチューブ106は扁平チューブ状の幅Mの周壁106aと、この周壁106aを複数の流路hに区画する複数の隔壁106bとから構成されている。そして、この押出偏平多穴チューブ106の製造に好適な押出用ダイス装置として、従来から、以下の特許文献1に記載のインサート型のダイスが知られている。
図10と図11に、特許文献1に記載された従来のインサート型のダイス装置の一例を示すが、この例のダイス100は、図9に示すアルミニウム製の押出偏平多穴チューブ106を押出加工するためのもので、図11に示す円盤状ダイスホルダDに形成された複数の貫通孔Hに挿脱自在とされた、嵌合離脱自在な一対の厚肉円盤ブロック状のメスダイス111とオスダイス112とから構成されている。
【0004】
図10においてメスダイス111は、先のオスダイス112と対向する端面の外周に、環状のメス側インロー部113が形成され、このインロー部113の中央側端面114に凹部115が形成されている。そして、凹部115の中央部には、メスダイス111の中心軸線に沿って一端から他端に向けて貫通するスリット状の孔部116が穿設されている。また、前記凹部115を囲む位置には、2つのねじ穴119と2つのピン穴120とが対称位置に形成されている。
【0005】
図10においてオスダイス112は、先のメスダイス111と対向する端面にオス側インロー部122が形成されている。このオスダイス112の中央部には、複数の突起片からなる櫛歯状の突起部123が形成されている。この突起部123は、先のメスダイス111の孔部116内に挿入されることによって孔部116との間に製品形状となる間隙(型孔)を画成するためのものである。そして、オスダイス112には、突起部123の両側に沿うようにオスダイス112の両端面に開口する貫通孔124、124が形成されている。また、オスダイス112において先の貫通孔124、124の周囲側には、2つのねじ穴125と2つのピン126が形成されている。
【0006】
そして、前記構成のオスダイス112とメスダイス111を互いのインロー部113、122を嵌合し、ピン126をピン穴120に嵌合させることにより両者を円柱状に一体化してダイス100が構成され、図11に示す円盤状のダイスホルダDに4基のダイス100を装着して全体を図8に示すコンテナ102に取り付けることで押出加工に供することができる。また、この構成のダイス100はダイスホルダDにおいて1基のダイス100が不良となった場合、該当する1基のダイス100のみ、あるいは、該当するメスダイス111かオスダイス112のみ交換することにより押出加工を再開できるので、一体型のダイスに比較して経済的であるなどの利点を有する。
【0007】
また、本願出願人は、先の押出用の型孔を構成する突起部の部分をコア部材としてオスダイスの他の部分と個別に交換できるように構成したダイスについて特許出願している。(特許文献2参照)
この特許文献2に記載の技術によれば、突起部を備えたコア部材とコア部材を装着するコアケースとからオスダイスを構成し、コア部材を摩耗に強い超硬合金から、コアケースを通常のダイス鋼から構成することにより、ダイスの長寿命化を図り、更に、部分的に損耗や破損などを生じた場合、コア部材とコアケースのいずれかのみを交換して他の部分は再度使用するなどの交換性を高めることができるという特徴を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−124634号公報
【特許文献2】特開2002−45913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図12に前記オスダイス112の櫛刃状の突起部123を拡大して示し、図13に突起部123の先端部を更に拡大して示すが、この突起部123は、基板本体部130の先端側に細長い支柱状の突起体131を複数一列に等間隔で配列してなり、各突起体131の先端部に頭部拡頸部132を有し、隣接する突起体131の間に間隙133が形成されている。
近年、前記扁平多穴チューブ106を製造する場合、チューブ106の幅寸法Mが同じであっても、穴Hの数が、例えば4個から10個あるいは20個などのように増える傾向にある。これは、穴Hの数が多ければ多いほど熱交換効率が上昇する傾向となり、少しでもチューブ106の熱交換効率を高めようとする要求があるためである。
【0010】
しかしながら、このように穴Hの数が増えると、図13に示すように突起体131の個々の頭部拡径部132…どうしの隙間Naが小さくなり、しかも、突起体131どうしの隙間Nbも小さくなることから、アルミニウム素材がこれらの隙間を介して流れ難くなる傾向となる。この結果、押出成形される製品としての扁平多穴チューブ106の隔壁106bの厚さが不足したり、隔壁106bが部分的に欠落するなどの欠陥が生じるおそれを有していた。
【0011】
ところで、前述のダイスホルダDにダイス100を取り付けて押出加工を行う構成のダイス装置においては、ステム104がアルミニウム素材103をダイス100に押し付け、アルミニウム素材の流動性を利用してダイス100のオスダイス112側の貫通孔124、124からメスダイス111側の孔部116に突起部123を介して流動させながら押出加工がなされるが、扁平多穴チューブ106が小型薄肉タイプの場合、突起部123と孔部116との隙間が小さく、アルミニウム素材を流動させて押し出す際に高い圧力が作用するので、オスダイス112の突起部123とメスダイス111の孔部116とが構成する押出加工用の型孔の形状を如何に整えるのかが重要となっている。しかし、この型孔の状態を如何に制御すれば押出成形に有利であるか否かについては、特に確立した理論が存在している訳ではなかった。
また、前述の扁平多穴チューブ106が薄型化、小型化されている状況にあっては、型孔の状態がオスダイス112の突起部123やメスダイス11の孔部116の損耗状況に影響するので、オスダイス112とメスダイス111からなるダイス装置の長寿命化を図るため、あるいは、押出時のダイスの損傷や損壊を防止するために、型孔の望ましい形態の把握が望まれている。
【0012】
本発明は前記した問題に鑑み創案されたものであり、押出製品が複雑な形状であっても、オスダイスの突起部とメスダイスの孔部との隙間によって構成される型孔へ素材をスムーズに流れ込ませることができ、もって欠陥の少ない良好な押出製品を得ることができるようにした押出加工用ダイス装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本願発明は、ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて押出成形自在としたダイス装置において、前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させたことを特徴とする。
【0014】
本発明において、前記メスダイスが、中央孔を有するボディと、このボディの一端面側中央に取り付けられ前記孔部を有したプレート部材とを具備してなり、前記オスダイスが、前記櫛刃状の突起部を備えたコア部材と、このコア部材を内部に挿通して保持するコアケースと、このコアケースに保持されたコア部材を部分的にカバーしてコアケースに取り付けられるキャップ部材とを具備してなり、前記コア部材とキャップ部材を備えたコアケースを前記メスダイスのボディに取り付けることで前記コア部材の突起部の先端を前記メスダイスのプレート部材の孔部に挿入してなる構成とすることができる。
【0015】
本発明において、前記ボディの一端面側に挿入孔を形成し、この挿入孔に前記プレート部材を嵌合して前記メスダイスの孔部の位置決めを行い、前記ボディの一端面側に前記プレート部材の両側に位置する突起部を形成し、これらの突起部に嵌合溝部を形成し、これらの嵌合溝部に前記オスダイスのコアケースの両端部を嵌合して前記コア部材の突起部先端を前記メスダイスの孔部に位置決めしてなる構成とすることができる。
【0016】
本発明の押出加工方法は、ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて成形する押出成形方法において、前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係として押出加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、オスダイスの突起部先端をメスダイスの孔部開口に対して嵌め込みする場合、嵌め込み深さをd、押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させることで、良好な押出成形性を確保できる。
その結果、製品としての押出材が肉薄のものであっても、肉厚の変動無く寸法精度の高い、良好な品質の押出材を製造することができる。また、寸法精度の高い良質の押出材を製造するにあたり、適正な押出成形圧力での製造を実現できるので、オスダイスの突起部とメスダイスの孔部の損耗を削減することができ、ダイス装置として寿命が必要以上に短くなることを防止できる。
【0018】
また、メスダイスをボディとプレート部材とから構成し、オスダイスをコア部材とコアケースとキャップ部材から構成することで、押出加工時にメスダイスやオスダイスの一部が損耗したり損傷しても、その部分のみを交換することで再度生産できるので、メスダイスやオスダイスを一体構造とした従来品に比較し、部品交換時の負荷を軽減して生産効率を向上することができる。
メスダイスのボディの突起に設けた嵌合溝にオスダイスのコアケースの両端部を嵌合し、そのコアケースに取り付けたコア部材の突起部をメスダイスの孔部に位置合わせするので、オスダイスのコア部材の突起部とメスダイスのプレート部材の孔部の位置決めを正確に行うことが可能となり、その状態においてコア部材の突起部先端をプレート部材の孔部開口に対して嵌め込みする場合、嵌め込み深さをd、押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させることで、肉厚の変動無く寸法精度の高い、良好な品質の押出材を製造することができる。
【0019】
本発明の押出材の製造方法によれば、オスダイスの突起部先端をメスダイスの孔部開口に対して嵌め込みする場合、嵌め込み深さをd、押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させること型孔を介してスムーズに素材ビレットを流動させて少ない抵抗でもって素材ビレットから押出材を製造することができる。従ってダイス装置のオスダイスの突起部とその周りにおいて損耗が少ない状態で押出加工できるので、ダイス装置の寿命を長くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係る押出加工用ダイス装置の基本構造を備えた押出加工装置の一例を示す断面図。
【図2】図2は、同ダイス装置と押出部品とを示すための簡略図。
【図3】図3は、同ダイス装置に備えられるダイホルダの平面図。
【図4】図4は、本発明に適用される組立ダイスの一例を示すもので、図4(A)はボディと入れ子部材とコアケースとコア部材とキャップ部材の組立図、図4(B)はボディの正面図、図4(C)は入れ子部材の正面図、図4(D)はコアケースの正面図、図4(E)はコア部材の正面図、図4(F)はキャップ部材の正面図。
【図5】図5は、本発明に適用される組立ダイスに備えられるボディの一例を示すもので、図5(A)は平面図、図5(B)は右側面図、図5(C)は正面図。
【図6】図6は、同組立ダイスに備えられるキャップ部材の一例を示すもので、図6(A)は正面図、図6(B)は右側面図、図6(C)は平面図。
【図7】図7は、同ダイス装置に設けられる型孔を構成するためのコア部材の突起部とメスダイスの孔部の位置関係を示す拡大図。
【図8】図8は従来の押出加工装置の一例を示す断面図。
【図9】図9は押出加工装置により製造される熱交換器用扁平多穴チューブの一例を示す斜視図。
【図10】図10は従来の押出加工装置に適用されている組立ダイス装置の一例を示す分解斜視図。
【図11】図11は同組立ダイス装置の一例が取り付けられるダイホルダの一例を示す斜視図。
【図12】図12は従来のダイス装置に設けられているオスダイスのコア部材における突起部の拡大図。
【図13】図13は図12に示すダイス装置における突起部の部分拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の押出加工用ダイス装置の第1実施形態について説明する。
図1は本発明に係る第1実施形態の押出加工用ダイス装置を備えた押出加工装置の一例を示す断面図、図2は同押出加工装置の簡略図、図3はダイスホルダの背面図、図4はダイスホルダに取り付けられる組立ダイスの一例を示す分解図、図5は同組立ダイスのボディ部分の詳細図、図6は同組立ダイスのキャップ部分の詳細図、図7はオスダイスの突起部とメスダイスの孔部からなる型孔を拡大して示す断面図である。
図1に示す実施形態の押出加工装置Aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる素材ビレットBを収容する収容部1を備えた肉厚筒形容器であるコンテナ2と、このコンテナ2の一側に設けられて収容部1の素材ビレットBを押出自在に設けられたステム(加圧手段)3と、コンテナ2においてステム3の設置側と反対側に設けられたダイホルダ5とバックプレート6とボルスター7とを主体として構成されている。
【0022】
図1に示す実施形態の構造では、ダイリング8の内側に肉厚円盤状のダイホルダ5とバックプレート6とが重ねた状態で挿入されて一体化された構成とされている。
前記ダイホルダ5の内部にはその中心軸回りの対称位置に4つの支持孔9が形成され、これらの支持孔9にそれぞれ図4に示す構造の組立ダイス10が装着されている。
図4に示す如くこの例の組立ダイス10は、中空円柱状のボディ11と、このボディ11の中心部に装着される平面視レーストラック形状の厚肉のプレート部材(入れ子部材)12と、このプレート部材12の上側においてボディ11に重ねるように装着されるコアケース13と、このコアケース13に挿入されるコア部材15と、このコア部材15を部分的に覆ってコアケース13とボディ11とに装着されるキャップ部材16とを主体として構成されている。これらの部材は素材ビレットBとしてアルミニウム合金を想定した場合、ハイスピード鋼、ダイス鋼あるいは超硬合金から構成されることが好ましいが、特に、高圧の素材ビレットBと接触する部分が多い部材については超硬合金から形成することが望ましい。
【0023】
前記ボディ11は、図5に詳細に示す如く、円筒状の基台部20と、この基台部20の上部側から傾斜面21を有して若干先窄まり状に形成された嵌合部22と、この嵌合部22の上部両側に180゜間隔で突出形成された2つの突起部23とを主体として構成されている。また、各突起部23はそれらの中央部分で嵌合溝部24を介して2つに分割されているとともに、各突起部23の外周面は上窄まり状のテーパを有した傾斜面23aとされている。更に、基台部20の上面側において左右の突起部23、23の間の部分は幅広で先の嵌合溝部24よりも若干深い位置にあって基台部20の両端部まで達する凹溝部30が形成されている。
前記基台部20の中央側には基台部20の中央部を貫通するスリット状の長円形状の中央孔25が形成されるとともに、基台部20の中央上部側には中央孔25に連通する入れ子用の挿入孔26が先の凹溝部30の中央部に開口するように形成されていて、この挿入孔26に前記プレート部材(入れ子部材)12が嵌め込まれるように構成されている。また、基台部20の両側には基台部20と嵌合部21とを貫通して嵌合溝部24の中央部に開口する取付孔27が形成されている。これらの取付孔27は、後述するコアケース13とキャップ部材16とをボディ11に装着した場合にそれらの両端側に後述の如く形成されている取付孔と位置合わせができるように形成されている。
【0024】
前記ボディ11には、スリット状の中央孔25の両側を挟む位置にボディ11の底面と挿入孔26の底面に開口する冷媒流入路20aと冷媒流出路20bが形成され、中央孔25の一側に隣接する一対の冷媒流入路20aが挿入孔26の底面に形成されている凹部状の冷媒流路20bにより接続されて側面視コ字状の冷媒流路20Aが形成されている。
【0025】
前記プレート部材(入れ子部材)12はその中央部にスリット状の長円形の孔部31が形成され、この孔部31は先のボディ11の中央孔25とほぼ同じ横断面形状とされている。このプレート部材12は前記ボディ11の挿入孔26に嵌め込み自在な大きさとされていて、挿入孔26にプレート部材12を嵌合した場合にプレート部材12の孔部31がボディ11の凹溝部30の中央部に位置して前記ボディ11の中央孔25と連通するように形成されている。
【0026】
図4に示すコアケース13は、前記ボディ11における2分割された突起部23の間の嵌合溝部24に、コアケース13の左右両端部13aを嵌め込み自在な大きさの横長の板状に形成され、コアケース13の両端部13aを嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において、前記ボディ11の突起部23の外側面の凸曲面状の傾斜面23aに沿うように、コアケース13の両端部13aの外側面には凸曲面状の傾斜面13bが形状されている。
【0027】
前記コアケース13は、前記嵌合溝部24の溝底側に向く底面13cとその両側に配置された前述の傾斜面13bと、これらの傾斜面13b、13bと底面13cに連続する支持面13d、13dと、前記底面13cに対向する支持面13eを有してなり、コアケース13の中央部には、後述のコア部材15を嵌め込むためのスリット状の嵌合孔35がコアケース13を貫通して底面13cと支持面13eの中央部に開口するように形成され、底面13cにおいて嵌合孔35の開口部の両側には突起部36が形成されている。
更に、コアケース13の両端部13aには、コアケース13の両端部13aを嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において前述のボディ11の取付孔27に連通するための挿通孔37が両端部13aを個々に貫通するように形成されている。また、前記突起36の底面13cからの突出長さは、図4(A)に示す如くコアケース13の両端部13aをボディ11の嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において、突起部36の先端がボディ11内のプレート部材12と若干の間隙をあけて対向するように形成されている。
次にコアケース13の支持面13d、13dの中央側に、突起部36、36の間に位置して先の嵌合孔35の延在方向に沿って支持面13dの上部側から底部側にまで延出する段部13gが形成されている。これらの段部13g、13gは押出加工時にコアケース13に沿って流動する素材ビレットの流れを円滑にするための作用を奏する。
【0028】
前記コア部材15は、前記コアケース13のスリット状の嵌合孔35に挿通自在な大きさの扁平のヘッド部15aとヘッド部15aの先端部側に形成された櫛刃状の突起部15bとヘッド部15aの後端側に左右に突出するように形成されたストッパ片15dとからなり、ヘッド部15aの後端部左右側において各ストッパ片15dの基端部側には半円形状の受部15eが形成されている。この構成のコア部材15は、ヘッド部15aを先のコアケース13の嵌合孔35に挿通すると同時に、ストッパ片15dがコアケース13の支持面13eに当接することにより、ヘッド部15の櫛刃部15bを先のプレート部材12の長円形状の孔部31に部分的に対峙させて、孔部31の開口部と櫛刃部15bの先端部との間に隙間を形成することで、この隙間を組立ダイス10における押出成形用の型孔10Aとするように構成されている。
【0029】
前記キャップ部材16は、先のコアケース13の支持面13eに当接される所望の肉厚の横長の板状の部材であり、コアケース13の支持面13eに当接される底面16aと、この底面16aに連続する左右の側面16bと、正面または背面となる主面16dと、先の底面16aに対向する天面16eを有してなる。
また、キャップ部材16の主面16dの中央には、キャップ部材16とコアケース13とを接合一体化した際に先に説明のコアケース13に形成されている段部13gと連続する段部16gが形成されている。このキャップ部材16の段部16gにあっても先のコアケース13の段部と同様に押出加工時の素材ビレットの流れを円滑にする。
【0030】
前記底面部16aの中央部には先のコア15のストッパ片15dを嵌め込み覆うことができる凹部16fが形成され、キャップ部材16の両端部側にはキャップ16をコアケース13の支持面13eに当接させた状態においてコアケース13の挿通孔37に連通するためのネジ穴40が形成されている。
これらのネジ穴40は、ボディ11に対して図4(A)に示すようにプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを装着した状態において、コアケース13の挿通孔37とボディ11の段付き孔型の取付孔27とに連通するように形成されていて、これらの孔を貫通してネジ穴40にボルトなどの締結具を螺合することでボディ11とプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを強固に一体化できるように構成されている。
【0031】
以上説明の如く構成されたボディ11に、図4(A)に示す如くプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを装着し、ボディ11の取付孔27とコアケース13の挿通孔37を介してボルトをキャップ部材16のネジ穴40に螺合することによりこれらを一体化し、組立ダイス10とすることができる。
この組立ダイス10を4基用意し、これらを図1に示すダイホルダ5の4つの支持孔9に個々に挿入することでダイホルダ5が完成する。
【0032】
ダイホルダ5の支持孔9は、コンテナ2の収容部1側に向いて若干先窄まり状となっている輪郭釣鐘型形状とされている。この支持孔9において収容部1側が導入口9aとされ、この導入口9aの部分から若干拡がるように形成された保持孔9bの部分に図4(A)に示す如く組み立てられた組立ダイス10が挿入され、固定されている。支持孔9の導入口9aの部分にはこの導入口9aの中心部を通過するようにロッド状のブリッジ部41が形成されるとともに、導入口9aの開口周縁部には、ダイホルダ5の収容部1側の面に段部42を形成して導入口9aの開口部が拡張されている。
【0033】
本実施形態において、円盤型のダイホルダ5には図3に示す如くその中心部を囲む点対称位置に等間隔で4つの支持孔9が設けられ、これら4つの支持孔9において各導入口9aに形成されている段部42の一例形状を図3に示す。ダイホルダ5において、4つの導入口9aは収容部1側から見ると図3に示す如く個々にブリッジ部41にて2分割されたように見えているので、実際に1つの導入口9aに対してそれぞれ対になるように上下に段部42a、42bが形成されている。
【0034】
これらの支持孔9に組立ダイス10を嵌合して組立ダイス10をダイホルダ5に取り付ける場合、組立ダイス10のキャップ部材16をブリッジ部41の長さ方向に揃って隣接するように配置する。これにより、支持孔9の内部側に、ブリッジ部41の両側に配置された導入口9a、9aから、キャップ部材16の幅方向両側の空間部と、コアケース13の幅方向両側の空間部に連通する素材ビレットの流動路を画成することができる。また、この流動路はボディ11の凹溝部30に至り、組立ダイス10のコア部材15とプレート部材12の開口部との間に画成されている型孔10Aを介し、プレート部材12の内部空間を通過してボディ11の中央孔25に至る一連の流動路を構成する。
【0035】
図3に示すダイホルダ5における段部42の配置構成において、4つの導入口9aの配置された領域において、内側よりに位置する4つの段部42aは、導入口9aの開口部の半円形状の部分を囲み、それよりも若干縦横ともに大きい正面視横長の長方形状に形成され、4つの導入口9aの配置された領域の外側よりに位置する他の4つの段部42bは、先の段部42aよりもダイホルダ5の外側よりの外側部分に膨出部42cが形成されて大きくされ、その他の部分は段部42aと同等の大きさに形成されてなる。
図3では一例として段部42bにおいてそれらの外側部分に膨出部42cを左右方向及び上下方向側に若干膨出させた形状として表記しているが、この膨出形状は一例に過ぎない。本発明では図3に示す形状に限るものではなく、4つの導入口9aがダイホルダ5の中央部側に90゜間隔で配置された場合、4つの導入口9aが占める領域の外側の領域に位置する段部42bの端部側を図3の上下左右のいずれかの方向に必要な幅のみ、任意の方向に他の段部と干渉しないように拡張すれば良い。このように段部を拡張してなる膨出部42bを備えることで、後述する素材ビレット3を押し出す場合の流動抵抗を低減することができる。
【0036】
次に、前述の如く4つの支持孔9が形成されているダイホルダ5の背面側に図1に示す如く設けられたバックプレート6にはダイホルダ5の各支持孔9に連通する通過孔6aが形成され、更にその背面側に設けられているボルスター7にも同様に通過孔7aが形成され、組立ダイス10にて押出加工した押出部品Cを移動することができるように構成されている。なお、図1の構造ではボルスター7の外側に更にプッシュ部材Pが設けられているが、この部材は略しても差し支えない。
【0037】
以上説明の如く構成された押出加工装置により熱交換器用の扁平多穴チューブなどの押出部品を製造するには、組立ダイス10をダイホルダ5に装着して図1に示す押出加工装置にセットし、収容部1にアルミニウムあるいはアルミニウム合金などの素材ビレットBを収容し、この素材ビレットBにステム3で圧力を加える。
この操作により素材ビレットBは収容部1から段部42a、42bを介してダイホルダ5の導入口9a側に流入し、キャップ部材16の幅方向両側の支持孔内空間部と、コアケース13の幅方向両側の支持孔内空間部を通過し、ボディ11の凹溝部30側に至り、組立ダイス10のコア部材15とプレート部材12の開口部との間に画成されている型孔10Aを通過し、この型孔10Aの形状に加工された後、バックプレート6の通過孔6aとボルスター7の通過孔7aとを通過して押出部品Cとして得られる。
本実施形態では図4に示す如く櫛刃状の突起部15bと長円形状の孔部31を有するプレート部材12とにより画成される型孔10Aにより、図2に概略で示す横断面形状の扁平多穴チューブ(押出部品)Cが得られる。この扁平多穴チューブCは、横断面長円形状の周壁50の内側に複数の隔壁51が平行に所定の間隔で複数並列形成された扁平筒形のものとなる。
【0038】
図4に示すコア部材15の突起部15bとプレート部材12の孔部31により画成される型孔10Aは、詳細には図7に示す状態となっている。
即ち、プレート部材12の孔部31の開口部31aに対して突起部15bの先端の嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足する関係とされている。ここで押出部材の肉厚tとは、図2に示す扁平多穴管Cにおいて、周壁50の肉厚あるいは隔壁51の肉厚に相当する。本実施形態では扁平多穴管Cにおいて、周壁50の肉厚と隔壁51の肉厚が同じ値とされているので、いずれも肉厚はtとされる。両者の肉厚が異なる場合は、周壁50の壁の肉厚とする。この理由は、d/tを規定する効果は、隔壁51に比べ、周壁50への影響の方が大きいためである。
【0039】
前述の式の範囲に突起部15bの先端の嵌め込み深さdを規定すると、適正な押出圧力でもって寸法精度の高い押出部品を得ることができる。即ち、薄肉であって隔壁の多い小型の扁平多穴チューブCであっても、適正な押出圧力でもって、肉厚変動の無い、正確な寸法の扁平多穴チューブ(押出部品)Cを製造することができる。
ここで、1.0≦d/t≦3の関係において、d/tの値が1.0を下回ると肉厚変動が生じ易くなり、製品形状が正しく出ないとともに、d/tの値が3を超えると押出圧力が高くなり過ぎ、押出不可となる傾向がある。
【0040】
ところで、以上説明した押出加工工程において、ステム3の押圧力により素材ビレットBに押出方向の面方向に均等に圧力を印加して4つの組立ダイス10側に押し出して成形しようとしても、4つの導入口9aの全面積において如何なる部分であっても等速で素材ビレットBが流動することにはならない。即ち、4つの導入口9aを図3に示すように視認した場合、ダイホルダ5の中心に近い側の導入口9aの一部分とダイホルダ5の外周に近い側の導入口9aの一部分との比較では、中心に近い側を流動する素材の流速が、外周に近い側を流動する素材の流速よりも早くなろうとする。
そこで本実施形態では、4つの導入口9aを配置した領域に位置する段部42において外側部分に膨出部42cを形成して段部の面積を大きくして導入口9aに素材を流れ込み易くしたので、4つの導入口9aの全断面積においてできるだけ素材ビレットBの流動状態を均一化できる結果として組立ダイス10の各部分に均等な圧力を付加することができ、組立ダイス10の各部分に対して適正な押出圧力を印加できる結果として、隔壁51の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
【0041】
また、本実施形態のダイス装置では、導入口9aの素材ビレットB側の開口部に段部42a、42bを設けることで、導入口9aに対する素材ビレットBの導入部分での面積を拡大し、素材導入時の流動抵抗を減少させているので、段部を設けていない従来のダイス装置よりも円滑な素材の流れを生み出すことができ、少ない抵抗で押出加工ができる特徴を有する。
【0042】
次に、本実施形態のダイス装置では、組立ダイス10のキャップ部材16の素材ビレットB側にダイホルダ5のブリッジ部41を設け、このブリッジ部41が素材ビレットBからの圧力を直接受けるように構成し、ブリッジ部41の背後側に存在する組立ダイス10のキャップ部材16に作用する素材ビレットからの圧力を軽減したので、組立ダイス10の特にキャップ部材16に押出成形時の圧力が直に作用することを抑制することができ、ブリッジ部41によりキャップ部材16への圧力を軽減することができ、ひいては組立ダイス10の他の部分への印加圧力軽減をなし得るとともに、組立出ダイス10を保護し、それらの破損や損傷を防止あるいは抑制することができる。
【0043】
次に、先の実施形態のダイス装置では、キャップ部材16の主面16d、16dの中央部に段部16gを形成しているので、この段部16gに沿って素材ビレットBが流動する際の案内となって素材ビレットの流れを安定化する。これにより素材ビレットBの流動性を制御して流動抵抗を軽減する。
そして、この素材ビレットBの流れは次にコアケース13の段部13gに至り、段部13gにおいても素材ビレットBの流動性を整えつつ櫛刃状の突起部15bとプレート部材12の孔部31との間に画成されている型孔10Aを通過して目的の形状に押出加工される。本実施形態のダイス装置では、このようにキャップ部材16とコアケース13のいずれにおいても素材ビレットBの流れを整えることができ、型孔10Aまでの素材ビレットBの流れを円滑にすることができ、押出加工においてもできる限り円滑な加工ができる特徴を有する。
【0044】
また、本実施形態において組立ダイス10を支持孔9に嵌合した場合、メスダイスのボディ11の傾斜面23aが支持孔9の先窄まり形状の傾斜面9cに合致して位置決めとなるので、組立ダイス10の径方向及び長軸方向への位置ずれを防止することができ、この結果として肉厚変動の無い押出部品を製造することが可能であり、例えば、隔壁51の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
【0045】
更に本実施形態において、組立ダイス10を支持孔9に嵌合した場合、コアケース13の両端部に形成されている傾斜面13bが支持孔9の先窄まり状の内面と合致するので支持孔9の内面に挟まれた状態でコアケース13の位置決めもなされ、コアケース13の位置ずれも抑制される結果として、肉厚変動の無い押出部品を製造することが可能であり、例えば、隔壁51の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
【実施例】
【0046】
図1に示す構成のダイス装置に対し、図4に示す構成の組立ダイスを4基組み込み、押出加工を行った。この組立ダイスにおいて、超硬合金からプレート部材とコア部材とを形成し、ダイス鋼からボディ、コアケース、キャップ部材を形成し、押出試験に供した。
JIS規定1050合金の素材アルミニウムを用い、以下の表1に示す押出条件で穴数21、全体幅16mm、全体厚さ1.2mm、周壁と隔壁の肉厚がいずれも0.2mmの押出多穴チューブを製造した。
押出加工装置においてボディの外径は60mm、プレート部材の孔部形状とコア部材の突起部の形状はそれらが画成する目的の押出多穴チューブのサイズと同じになるようにした。ステムによる押出圧力74kg/mm2にて押出加工を行って扁平多穴チューブを製造した。押出加工中、ダイス中央部の温度は500℃で一定であった。
【0047】
得られた扁平多穴チューブに対して、ダイス装置側のプレート部材に対するコア部材の突起部先端の嵌め込み深さdの値と、製造するべき扁平多穴チューブの肉厚tの値、及び得られた扁平多穴チューブにおいて周壁及び隔壁の肉厚変動状況、押出圧力を測定した結果を表1に示す。
肉厚変動状況とは、サンプル数30個の製造を行った場合、目的の壁の肉厚に対し、10%以上薄い肉薄の部分が隔壁あるいは周壁に何箇所発生しているのかを測定した結果を示す。
【0048】
「表1」
肉厚(mm) d/t 肉厚変動部発生数 押出圧力上昇率
0.2 0.5 7 −
0.2 1.0 2 1.5%
0.2 1.5 1 2.0%
0.2 2.0 0 3.0%
0.2 2.5 0 3.2%
0.2 3.0 0 3.8%
0.2 3.5 3 4.5%
【0049】
表1に示す結果から、d/tの値を1.0〜3の範囲とすることで、適正な押出圧力によって肉厚変動部発生数の少ない寸法精度の高い扁平多穴チューブを製造できることが明らかとなった。
これに対し、d/tの値を0.5と少なくして製造した扁平多穴チューブでは肉厚の変動が大きく、寸法精度の低い押出部材となってしまった。また、d/tの値を3.5と大きくして製造した扁平多穴チューブでは、押出圧力が上昇し、押出装置に大きな負荷がかかった。押出圧力がこのように大きくなると、オスダイスのコア部材の突起部とメスダイスのプレート部材の孔部のいずれかに大きな圧力が作用するので、扁平多穴チューブを連続製造した場合に短期間でコア部材あるいはプレート部材の損耗あるいは損傷につながるおそれがある。
従って上述の試験結果から、図1に示すダイス装置に対し図4に示す構造の組立ダイスを適用し、扁平多穴チューブを製造した場合、d/tの値を1.0〜3.0の範囲とすることが重要であることが判明した。
【符号の説明】
【0050】
A…押出加工装置、B…素材ビレット、C…扁平多穴チューブ(押出部材)、1…収容部、2…コンテナ、3…ステム、5…ダイホルダ、6…バックプレート、7…ボルスター、8…ダイリング、9…支持孔、10…組立ダイス、10A…型孔、11…ボディ、12…プレート部材(入れ子部材)、13…コアケース、13b…傾斜面、15…コア部材、15b…突起部、15f…支柱部、15g…頭部、15j…首部、15k…素材導入路、15m…素材通過路、15n…素材連絡路、15p…アール部、16…キャップ部材、31…孔部、
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種のアルミニウム熱交換器に用いられる扁平多穴チューブなどを押出加工する際に用いて好適な押出加工用ダイス装置及び押出加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エバポレータ、コンデンサ、ラジエータ等の熱交換器に用いられる各種のアルミニウム製熱交換用チューブを製造するにあたり、素材であるアルミニウムの融点が低いことから、押出加工法が広く用いられている。
このような押出加工法は、例えば図8に示すように、先端部にダイス101を固定したコンテナ102の孔部内にアルミニウム素材(ビレット)103を挿入し、このコンテナ102内のビレット103を加圧板(ステム)104によってダイス101に形成された開口部105方向へ押圧し、開口部105内に形成された一定の断面形状を有する隙間(型孔105a)から上記アルミニウム素材103を押出すことにより、上記素材を一定の断面形状の押出部品に押出加工するものである。この押出加工法によれば、コンテナ102内に挿入されたビレット103に圧縮力を作用させることにより、一段の変形で非常に複雑な形状の押出部品を得ることができる。
【0003】
図9は、このようなアルミニウムの押出加工法によって成形される、アルミニウム製熱交換器用偏平多穴チューブ106の一例を示すものである。このチューブ106は扁平チューブ状の幅Mの周壁106aと、この周壁106aを複数の流路hに区画する複数の隔壁106bとから構成されている。そして、この押出偏平多穴チューブ106の製造に好適な押出用ダイス装置として、従来から、以下の特許文献1に記載のインサート型のダイスが知られている。
図10と図11に、特許文献1に記載された従来のインサート型のダイス装置の一例を示すが、この例のダイス100は、図9に示すアルミニウム製の押出偏平多穴チューブ106を押出加工するためのもので、図11に示す円盤状ダイスホルダDに形成された複数の貫通孔Hに挿脱自在とされた、嵌合離脱自在な一対の厚肉円盤ブロック状のメスダイス111とオスダイス112とから構成されている。
【0004】
図10においてメスダイス111は、先のオスダイス112と対向する端面の外周に、環状のメス側インロー部113が形成され、このインロー部113の中央側端面114に凹部115が形成されている。そして、凹部115の中央部には、メスダイス111の中心軸線に沿って一端から他端に向けて貫通するスリット状の孔部116が穿設されている。また、前記凹部115を囲む位置には、2つのねじ穴119と2つのピン穴120とが対称位置に形成されている。
【0005】
図10においてオスダイス112は、先のメスダイス111と対向する端面にオス側インロー部122が形成されている。このオスダイス112の中央部には、複数の突起片からなる櫛歯状の突起部123が形成されている。この突起部123は、先のメスダイス111の孔部116内に挿入されることによって孔部116との間に製品形状となる間隙(型孔)を画成するためのものである。そして、オスダイス112には、突起部123の両側に沿うようにオスダイス112の両端面に開口する貫通孔124、124が形成されている。また、オスダイス112において先の貫通孔124、124の周囲側には、2つのねじ穴125と2つのピン126が形成されている。
【0006】
そして、前記構成のオスダイス112とメスダイス111を互いのインロー部113、122を嵌合し、ピン126をピン穴120に嵌合させることにより両者を円柱状に一体化してダイス100が構成され、図11に示す円盤状のダイスホルダDに4基のダイス100を装着して全体を図8に示すコンテナ102に取り付けることで押出加工に供することができる。また、この構成のダイス100はダイスホルダDにおいて1基のダイス100が不良となった場合、該当する1基のダイス100のみ、あるいは、該当するメスダイス111かオスダイス112のみ交換することにより押出加工を再開できるので、一体型のダイスに比較して経済的であるなどの利点を有する。
【0007】
また、本願出願人は、先の押出用の型孔を構成する突起部の部分をコア部材としてオスダイスの他の部分と個別に交換できるように構成したダイスについて特許出願している。(特許文献2参照)
この特許文献2に記載の技術によれば、突起部を備えたコア部材とコア部材を装着するコアケースとからオスダイスを構成し、コア部材を摩耗に強い超硬合金から、コアケースを通常のダイス鋼から構成することにより、ダイスの長寿命化を図り、更に、部分的に損耗や破損などを生じた場合、コア部材とコアケースのいずれかのみを交換して他の部分は再度使用するなどの交換性を高めることができるという特徴を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−124634号公報
【特許文献2】特開2002−45913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図12に前記オスダイス112の櫛刃状の突起部123を拡大して示し、図13に突起部123の先端部を更に拡大して示すが、この突起部123は、基板本体部130の先端側に細長い支柱状の突起体131を複数一列に等間隔で配列してなり、各突起体131の先端部に頭部拡頸部132を有し、隣接する突起体131の間に間隙133が形成されている。
近年、前記扁平多穴チューブ106を製造する場合、チューブ106の幅寸法Mが同じであっても、穴Hの数が、例えば4個から10個あるいは20個などのように増える傾向にある。これは、穴Hの数が多ければ多いほど熱交換効率が上昇する傾向となり、少しでもチューブ106の熱交換効率を高めようとする要求があるためである。
【0010】
しかしながら、このように穴Hの数が増えると、図13に示すように突起体131の個々の頭部拡径部132…どうしの隙間Naが小さくなり、しかも、突起体131どうしの隙間Nbも小さくなることから、アルミニウム素材がこれらの隙間を介して流れ難くなる傾向となる。この結果、押出成形される製品としての扁平多穴チューブ106の隔壁106bの厚さが不足したり、隔壁106bが部分的に欠落するなどの欠陥が生じるおそれを有していた。
【0011】
ところで、前述のダイスホルダDにダイス100を取り付けて押出加工を行う構成のダイス装置においては、ステム104がアルミニウム素材103をダイス100に押し付け、アルミニウム素材の流動性を利用してダイス100のオスダイス112側の貫通孔124、124からメスダイス111側の孔部116に突起部123を介して流動させながら押出加工がなされるが、扁平多穴チューブ106が小型薄肉タイプの場合、突起部123と孔部116との隙間が小さく、アルミニウム素材を流動させて押し出す際に高い圧力が作用するので、オスダイス112の突起部123とメスダイス111の孔部116とが構成する押出加工用の型孔の形状を如何に整えるのかが重要となっている。しかし、この型孔の状態を如何に制御すれば押出成形に有利であるか否かについては、特に確立した理論が存在している訳ではなかった。
また、前述の扁平多穴チューブ106が薄型化、小型化されている状況にあっては、型孔の状態がオスダイス112の突起部123やメスダイス11の孔部116の損耗状況に影響するので、オスダイス112とメスダイス111からなるダイス装置の長寿命化を図るため、あるいは、押出時のダイスの損傷や損壊を防止するために、型孔の望ましい形態の把握が望まれている。
【0012】
本発明は前記した問題に鑑み創案されたものであり、押出製品が複雑な形状であっても、オスダイスの突起部とメスダイスの孔部との隙間によって構成される型孔へ素材をスムーズに流れ込ませることができ、もって欠陥の少ない良好な押出製品を得ることができるようにした押出加工用ダイス装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本願発明は、ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて押出成形自在としたダイス装置において、前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させたことを特徴とする。
【0014】
本発明において、前記メスダイスが、中央孔を有するボディと、このボディの一端面側中央に取り付けられ前記孔部を有したプレート部材とを具備してなり、前記オスダイスが、前記櫛刃状の突起部を備えたコア部材と、このコア部材を内部に挿通して保持するコアケースと、このコアケースに保持されたコア部材を部分的にカバーしてコアケースに取り付けられるキャップ部材とを具備してなり、前記コア部材とキャップ部材を備えたコアケースを前記メスダイスのボディに取り付けることで前記コア部材の突起部の先端を前記メスダイスのプレート部材の孔部に挿入してなる構成とすることができる。
【0015】
本発明において、前記ボディの一端面側に挿入孔を形成し、この挿入孔に前記プレート部材を嵌合して前記メスダイスの孔部の位置決めを行い、前記ボディの一端面側に前記プレート部材の両側に位置する突起部を形成し、これらの突起部に嵌合溝部を形成し、これらの嵌合溝部に前記オスダイスのコアケースの両端部を嵌合して前記コア部材の突起部先端を前記メスダイスの孔部に位置決めしてなる構成とすることができる。
【0016】
本発明の押出加工方法は、ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて成形する押出成形方法において、前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係として押出加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、オスダイスの突起部先端をメスダイスの孔部開口に対して嵌め込みする場合、嵌め込み深さをd、押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させることで、良好な押出成形性を確保できる。
その結果、製品としての押出材が肉薄のものであっても、肉厚の変動無く寸法精度の高い、良好な品質の押出材を製造することができる。また、寸法精度の高い良質の押出材を製造するにあたり、適正な押出成形圧力での製造を実現できるので、オスダイスの突起部とメスダイスの孔部の損耗を削減することができ、ダイス装置として寿命が必要以上に短くなることを防止できる。
【0018】
また、メスダイスをボディとプレート部材とから構成し、オスダイスをコア部材とコアケースとキャップ部材から構成することで、押出加工時にメスダイスやオスダイスの一部が損耗したり損傷しても、その部分のみを交換することで再度生産できるので、メスダイスやオスダイスを一体構造とした従来品に比較し、部品交換時の負荷を軽減して生産効率を向上することができる。
メスダイスのボディの突起に設けた嵌合溝にオスダイスのコアケースの両端部を嵌合し、そのコアケースに取り付けたコア部材の突起部をメスダイスの孔部に位置合わせするので、オスダイスのコア部材の突起部とメスダイスのプレート部材の孔部の位置決めを正確に行うことが可能となり、その状態においてコア部材の突起部先端をプレート部材の孔部開口に対して嵌め込みする場合、嵌め込み深さをd、押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させることで、肉厚の変動無く寸法精度の高い、良好な品質の押出材を製造することができる。
【0019】
本発明の押出材の製造方法によれば、オスダイスの突起部先端をメスダイスの孔部開口に対して嵌め込みする場合、嵌め込み深さをd、押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させること型孔を介してスムーズに素材ビレットを流動させて少ない抵抗でもって素材ビレットから押出材を製造することができる。従ってダイス装置のオスダイスの突起部とその周りにおいて損耗が少ない状態で押出加工できるので、ダイス装置の寿命を長くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明に係る押出加工用ダイス装置の基本構造を備えた押出加工装置の一例を示す断面図。
【図2】図2は、同ダイス装置と押出部品とを示すための簡略図。
【図3】図3は、同ダイス装置に備えられるダイホルダの平面図。
【図4】図4は、本発明に適用される組立ダイスの一例を示すもので、図4(A)はボディと入れ子部材とコアケースとコア部材とキャップ部材の組立図、図4(B)はボディの正面図、図4(C)は入れ子部材の正面図、図4(D)はコアケースの正面図、図4(E)はコア部材の正面図、図4(F)はキャップ部材の正面図。
【図5】図5は、本発明に適用される組立ダイスに備えられるボディの一例を示すもので、図5(A)は平面図、図5(B)は右側面図、図5(C)は正面図。
【図6】図6は、同組立ダイスに備えられるキャップ部材の一例を示すもので、図6(A)は正面図、図6(B)は右側面図、図6(C)は平面図。
【図7】図7は、同ダイス装置に設けられる型孔を構成するためのコア部材の突起部とメスダイスの孔部の位置関係を示す拡大図。
【図8】図8は従来の押出加工装置の一例を示す断面図。
【図9】図9は押出加工装置により製造される熱交換器用扁平多穴チューブの一例を示す斜視図。
【図10】図10は従来の押出加工装置に適用されている組立ダイス装置の一例を示す分解斜視図。
【図11】図11は同組立ダイス装置の一例が取り付けられるダイホルダの一例を示す斜視図。
【図12】図12は従来のダイス装置に設けられているオスダイスのコア部材における突起部の拡大図。
【図13】図13は図12に示すダイス装置における突起部の部分拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の押出加工用ダイス装置の第1実施形態について説明する。
図1は本発明に係る第1実施形態の押出加工用ダイス装置を備えた押出加工装置の一例を示す断面図、図2は同押出加工装置の簡略図、図3はダイスホルダの背面図、図4はダイスホルダに取り付けられる組立ダイスの一例を示す分解図、図5は同組立ダイスのボディ部分の詳細図、図6は同組立ダイスのキャップ部分の詳細図、図7はオスダイスの突起部とメスダイスの孔部からなる型孔を拡大して示す断面図である。
図1に示す実施形態の押出加工装置Aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる素材ビレットBを収容する収容部1を備えた肉厚筒形容器であるコンテナ2と、このコンテナ2の一側に設けられて収容部1の素材ビレットBを押出自在に設けられたステム(加圧手段)3と、コンテナ2においてステム3の設置側と反対側に設けられたダイホルダ5とバックプレート6とボルスター7とを主体として構成されている。
【0022】
図1に示す実施形態の構造では、ダイリング8の内側に肉厚円盤状のダイホルダ5とバックプレート6とが重ねた状態で挿入されて一体化された構成とされている。
前記ダイホルダ5の内部にはその中心軸回りの対称位置に4つの支持孔9が形成され、これらの支持孔9にそれぞれ図4に示す構造の組立ダイス10が装着されている。
図4に示す如くこの例の組立ダイス10は、中空円柱状のボディ11と、このボディ11の中心部に装着される平面視レーストラック形状の厚肉のプレート部材(入れ子部材)12と、このプレート部材12の上側においてボディ11に重ねるように装着されるコアケース13と、このコアケース13に挿入されるコア部材15と、このコア部材15を部分的に覆ってコアケース13とボディ11とに装着されるキャップ部材16とを主体として構成されている。これらの部材は素材ビレットBとしてアルミニウム合金を想定した場合、ハイスピード鋼、ダイス鋼あるいは超硬合金から構成されることが好ましいが、特に、高圧の素材ビレットBと接触する部分が多い部材については超硬合金から形成することが望ましい。
【0023】
前記ボディ11は、図5に詳細に示す如く、円筒状の基台部20と、この基台部20の上部側から傾斜面21を有して若干先窄まり状に形成された嵌合部22と、この嵌合部22の上部両側に180゜間隔で突出形成された2つの突起部23とを主体として構成されている。また、各突起部23はそれらの中央部分で嵌合溝部24を介して2つに分割されているとともに、各突起部23の外周面は上窄まり状のテーパを有した傾斜面23aとされている。更に、基台部20の上面側において左右の突起部23、23の間の部分は幅広で先の嵌合溝部24よりも若干深い位置にあって基台部20の両端部まで達する凹溝部30が形成されている。
前記基台部20の中央側には基台部20の中央部を貫通するスリット状の長円形状の中央孔25が形成されるとともに、基台部20の中央上部側には中央孔25に連通する入れ子用の挿入孔26が先の凹溝部30の中央部に開口するように形成されていて、この挿入孔26に前記プレート部材(入れ子部材)12が嵌め込まれるように構成されている。また、基台部20の両側には基台部20と嵌合部21とを貫通して嵌合溝部24の中央部に開口する取付孔27が形成されている。これらの取付孔27は、後述するコアケース13とキャップ部材16とをボディ11に装着した場合にそれらの両端側に後述の如く形成されている取付孔と位置合わせができるように形成されている。
【0024】
前記ボディ11には、スリット状の中央孔25の両側を挟む位置にボディ11の底面と挿入孔26の底面に開口する冷媒流入路20aと冷媒流出路20bが形成され、中央孔25の一側に隣接する一対の冷媒流入路20aが挿入孔26の底面に形成されている凹部状の冷媒流路20bにより接続されて側面視コ字状の冷媒流路20Aが形成されている。
【0025】
前記プレート部材(入れ子部材)12はその中央部にスリット状の長円形の孔部31が形成され、この孔部31は先のボディ11の中央孔25とほぼ同じ横断面形状とされている。このプレート部材12は前記ボディ11の挿入孔26に嵌め込み自在な大きさとされていて、挿入孔26にプレート部材12を嵌合した場合にプレート部材12の孔部31がボディ11の凹溝部30の中央部に位置して前記ボディ11の中央孔25と連通するように形成されている。
【0026】
図4に示すコアケース13は、前記ボディ11における2分割された突起部23の間の嵌合溝部24に、コアケース13の左右両端部13aを嵌め込み自在な大きさの横長の板状に形成され、コアケース13の両端部13aを嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において、前記ボディ11の突起部23の外側面の凸曲面状の傾斜面23aに沿うように、コアケース13の両端部13aの外側面には凸曲面状の傾斜面13bが形状されている。
【0027】
前記コアケース13は、前記嵌合溝部24の溝底側に向く底面13cとその両側に配置された前述の傾斜面13bと、これらの傾斜面13b、13bと底面13cに連続する支持面13d、13dと、前記底面13cに対向する支持面13eを有してなり、コアケース13の中央部には、後述のコア部材15を嵌め込むためのスリット状の嵌合孔35がコアケース13を貫通して底面13cと支持面13eの中央部に開口するように形成され、底面13cにおいて嵌合孔35の開口部の両側には突起部36が形成されている。
更に、コアケース13の両端部13aには、コアケース13の両端部13aを嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において前述のボディ11の取付孔27に連通するための挿通孔37が両端部13aを個々に貫通するように形成されている。また、前記突起36の底面13cからの突出長さは、図4(A)に示す如くコアケース13の両端部13aをボディ11の嵌合溝部24に嵌め込み接合した状態において、突起部36の先端がボディ11内のプレート部材12と若干の間隙をあけて対向するように形成されている。
次にコアケース13の支持面13d、13dの中央側に、突起部36、36の間に位置して先の嵌合孔35の延在方向に沿って支持面13dの上部側から底部側にまで延出する段部13gが形成されている。これらの段部13g、13gは押出加工時にコアケース13に沿って流動する素材ビレットの流れを円滑にするための作用を奏する。
【0028】
前記コア部材15は、前記コアケース13のスリット状の嵌合孔35に挿通自在な大きさの扁平のヘッド部15aとヘッド部15aの先端部側に形成された櫛刃状の突起部15bとヘッド部15aの後端側に左右に突出するように形成されたストッパ片15dとからなり、ヘッド部15aの後端部左右側において各ストッパ片15dの基端部側には半円形状の受部15eが形成されている。この構成のコア部材15は、ヘッド部15aを先のコアケース13の嵌合孔35に挿通すると同時に、ストッパ片15dがコアケース13の支持面13eに当接することにより、ヘッド部15の櫛刃部15bを先のプレート部材12の長円形状の孔部31に部分的に対峙させて、孔部31の開口部と櫛刃部15bの先端部との間に隙間を形成することで、この隙間を組立ダイス10における押出成形用の型孔10Aとするように構成されている。
【0029】
前記キャップ部材16は、先のコアケース13の支持面13eに当接される所望の肉厚の横長の板状の部材であり、コアケース13の支持面13eに当接される底面16aと、この底面16aに連続する左右の側面16bと、正面または背面となる主面16dと、先の底面16aに対向する天面16eを有してなる。
また、キャップ部材16の主面16dの中央には、キャップ部材16とコアケース13とを接合一体化した際に先に説明のコアケース13に形成されている段部13gと連続する段部16gが形成されている。このキャップ部材16の段部16gにあっても先のコアケース13の段部と同様に押出加工時の素材ビレットの流れを円滑にする。
【0030】
前記底面部16aの中央部には先のコア15のストッパ片15dを嵌め込み覆うことができる凹部16fが形成され、キャップ部材16の両端部側にはキャップ16をコアケース13の支持面13eに当接させた状態においてコアケース13の挿通孔37に連通するためのネジ穴40が形成されている。
これらのネジ穴40は、ボディ11に対して図4(A)に示すようにプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを装着した状態において、コアケース13の挿通孔37とボディ11の段付き孔型の取付孔27とに連通するように形成されていて、これらの孔を貫通してネジ穴40にボルトなどの締結具を螺合することでボディ11とプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを強固に一体化できるように構成されている。
【0031】
以上説明の如く構成されたボディ11に、図4(A)に示す如くプレート部材12とコアケース13とコア部材15とキャップ部材16とを装着し、ボディ11の取付孔27とコアケース13の挿通孔37を介してボルトをキャップ部材16のネジ穴40に螺合することによりこれらを一体化し、組立ダイス10とすることができる。
この組立ダイス10を4基用意し、これらを図1に示すダイホルダ5の4つの支持孔9に個々に挿入することでダイホルダ5が完成する。
【0032】
ダイホルダ5の支持孔9は、コンテナ2の収容部1側に向いて若干先窄まり状となっている輪郭釣鐘型形状とされている。この支持孔9において収容部1側が導入口9aとされ、この導入口9aの部分から若干拡がるように形成された保持孔9bの部分に図4(A)に示す如く組み立てられた組立ダイス10が挿入され、固定されている。支持孔9の導入口9aの部分にはこの導入口9aの中心部を通過するようにロッド状のブリッジ部41が形成されるとともに、導入口9aの開口周縁部には、ダイホルダ5の収容部1側の面に段部42を形成して導入口9aの開口部が拡張されている。
【0033】
本実施形態において、円盤型のダイホルダ5には図3に示す如くその中心部を囲む点対称位置に等間隔で4つの支持孔9が設けられ、これら4つの支持孔9において各導入口9aに形成されている段部42の一例形状を図3に示す。ダイホルダ5において、4つの導入口9aは収容部1側から見ると図3に示す如く個々にブリッジ部41にて2分割されたように見えているので、実際に1つの導入口9aに対してそれぞれ対になるように上下に段部42a、42bが形成されている。
【0034】
これらの支持孔9に組立ダイス10を嵌合して組立ダイス10をダイホルダ5に取り付ける場合、組立ダイス10のキャップ部材16をブリッジ部41の長さ方向に揃って隣接するように配置する。これにより、支持孔9の内部側に、ブリッジ部41の両側に配置された導入口9a、9aから、キャップ部材16の幅方向両側の空間部と、コアケース13の幅方向両側の空間部に連通する素材ビレットの流動路を画成することができる。また、この流動路はボディ11の凹溝部30に至り、組立ダイス10のコア部材15とプレート部材12の開口部との間に画成されている型孔10Aを介し、プレート部材12の内部空間を通過してボディ11の中央孔25に至る一連の流動路を構成する。
【0035】
図3に示すダイホルダ5における段部42の配置構成において、4つの導入口9aの配置された領域において、内側よりに位置する4つの段部42aは、導入口9aの開口部の半円形状の部分を囲み、それよりも若干縦横ともに大きい正面視横長の長方形状に形成され、4つの導入口9aの配置された領域の外側よりに位置する他の4つの段部42bは、先の段部42aよりもダイホルダ5の外側よりの外側部分に膨出部42cが形成されて大きくされ、その他の部分は段部42aと同等の大きさに形成されてなる。
図3では一例として段部42bにおいてそれらの外側部分に膨出部42cを左右方向及び上下方向側に若干膨出させた形状として表記しているが、この膨出形状は一例に過ぎない。本発明では図3に示す形状に限るものではなく、4つの導入口9aがダイホルダ5の中央部側に90゜間隔で配置された場合、4つの導入口9aが占める領域の外側の領域に位置する段部42bの端部側を図3の上下左右のいずれかの方向に必要な幅のみ、任意の方向に他の段部と干渉しないように拡張すれば良い。このように段部を拡張してなる膨出部42bを備えることで、後述する素材ビレット3を押し出す場合の流動抵抗を低減することができる。
【0036】
次に、前述の如く4つの支持孔9が形成されているダイホルダ5の背面側に図1に示す如く設けられたバックプレート6にはダイホルダ5の各支持孔9に連通する通過孔6aが形成され、更にその背面側に設けられているボルスター7にも同様に通過孔7aが形成され、組立ダイス10にて押出加工した押出部品Cを移動することができるように構成されている。なお、図1の構造ではボルスター7の外側に更にプッシュ部材Pが設けられているが、この部材は略しても差し支えない。
【0037】
以上説明の如く構成された押出加工装置により熱交換器用の扁平多穴チューブなどの押出部品を製造するには、組立ダイス10をダイホルダ5に装着して図1に示す押出加工装置にセットし、収容部1にアルミニウムあるいはアルミニウム合金などの素材ビレットBを収容し、この素材ビレットBにステム3で圧力を加える。
この操作により素材ビレットBは収容部1から段部42a、42bを介してダイホルダ5の導入口9a側に流入し、キャップ部材16の幅方向両側の支持孔内空間部と、コアケース13の幅方向両側の支持孔内空間部を通過し、ボディ11の凹溝部30側に至り、組立ダイス10のコア部材15とプレート部材12の開口部との間に画成されている型孔10Aを通過し、この型孔10Aの形状に加工された後、バックプレート6の通過孔6aとボルスター7の通過孔7aとを通過して押出部品Cとして得られる。
本実施形態では図4に示す如く櫛刃状の突起部15bと長円形状の孔部31を有するプレート部材12とにより画成される型孔10Aにより、図2に概略で示す横断面形状の扁平多穴チューブ(押出部品)Cが得られる。この扁平多穴チューブCは、横断面長円形状の周壁50の内側に複数の隔壁51が平行に所定の間隔で複数並列形成された扁平筒形のものとなる。
【0038】
図4に示すコア部材15の突起部15bとプレート部材12の孔部31により画成される型孔10Aは、詳細には図7に示す状態となっている。
即ち、プレート部材12の孔部31の開口部31aに対して突起部15bの先端の嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足する関係とされている。ここで押出部材の肉厚tとは、図2に示す扁平多穴管Cにおいて、周壁50の肉厚あるいは隔壁51の肉厚に相当する。本実施形態では扁平多穴管Cにおいて、周壁50の肉厚と隔壁51の肉厚が同じ値とされているので、いずれも肉厚はtとされる。両者の肉厚が異なる場合は、周壁50の壁の肉厚とする。この理由は、d/tを規定する効果は、隔壁51に比べ、周壁50への影響の方が大きいためである。
【0039】
前述の式の範囲に突起部15bの先端の嵌め込み深さdを規定すると、適正な押出圧力でもって寸法精度の高い押出部品を得ることができる。即ち、薄肉であって隔壁の多い小型の扁平多穴チューブCであっても、適正な押出圧力でもって、肉厚変動の無い、正確な寸法の扁平多穴チューブ(押出部品)Cを製造することができる。
ここで、1.0≦d/t≦3の関係において、d/tの値が1.0を下回ると肉厚変動が生じ易くなり、製品形状が正しく出ないとともに、d/tの値が3を超えると押出圧力が高くなり過ぎ、押出不可となる傾向がある。
【0040】
ところで、以上説明した押出加工工程において、ステム3の押圧力により素材ビレットBに押出方向の面方向に均等に圧力を印加して4つの組立ダイス10側に押し出して成形しようとしても、4つの導入口9aの全面積において如何なる部分であっても等速で素材ビレットBが流動することにはならない。即ち、4つの導入口9aを図3に示すように視認した場合、ダイホルダ5の中心に近い側の導入口9aの一部分とダイホルダ5の外周に近い側の導入口9aの一部分との比較では、中心に近い側を流動する素材の流速が、外周に近い側を流動する素材の流速よりも早くなろうとする。
そこで本実施形態では、4つの導入口9aを配置した領域に位置する段部42において外側部分に膨出部42cを形成して段部の面積を大きくして導入口9aに素材を流れ込み易くしたので、4つの導入口9aの全断面積においてできるだけ素材ビレットBの流動状態を均一化できる結果として組立ダイス10の各部分に均等な圧力を付加することができ、組立ダイス10の各部分に対して適正な押出圧力を印加できる結果として、隔壁51の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
【0041】
また、本実施形態のダイス装置では、導入口9aの素材ビレットB側の開口部に段部42a、42bを設けることで、導入口9aに対する素材ビレットBの導入部分での面積を拡大し、素材導入時の流動抵抗を減少させているので、段部を設けていない従来のダイス装置よりも円滑な素材の流れを生み出すことができ、少ない抵抗で押出加工ができる特徴を有する。
【0042】
次に、本実施形態のダイス装置では、組立ダイス10のキャップ部材16の素材ビレットB側にダイホルダ5のブリッジ部41を設け、このブリッジ部41が素材ビレットBからの圧力を直接受けるように構成し、ブリッジ部41の背後側に存在する組立ダイス10のキャップ部材16に作用する素材ビレットからの圧力を軽減したので、組立ダイス10の特にキャップ部材16に押出成形時の圧力が直に作用することを抑制することができ、ブリッジ部41によりキャップ部材16への圧力を軽減することができ、ひいては組立ダイス10の他の部分への印加圧力軽減をなし得るとともに、組立出ダイス10を保護し、それらの破損や損傷を防止あるいは抑制することができる。
【0043】
次に、先の実施形態のダイス装置では、キャップ部材16の主面16d、16dの中央部に段部16gを形成しているので、この段部16gに沿って素材ビレットBが流動する際の案内となって素材ビレットの流れを安定化する。これにより素材ビレットBの流動性を制御して流動抵抗を軽減する。
そして、この素材ビレットBの流れは次にコアケース13の段部13gに至り、段部13gにおいても素材ビレットBの流動性を整えつつ櫛刃状の突起部15bとプレート部材12の孔部31との間に画成されている型孔10Aを通過して目的の形状に押出加工される。本実施形態のダイス装置では、このようにキャップ部材16とコアケース13のいずれにおいても素材ビレットBの流れを整えることができ、型孔10Aまでの素材ビレットBの流れを円滑にすることができ、押出加工においてもできる限り円滑な加工ができる特徴を有する。
【0044】
また、本実施形態において組立ダイス10を支持孔9に嵌合した場合、メスダイスのボディ11の傾斜面23aが支持孔9の先窄まり形状の傾斜面9cに合致して位置決めとなるので、組立ダイス10の径方向及び長軸方向への位置ずれを防止することができ、この結果として肉厚変動の無い押出部品を製造することが可能であり、例えば、隔壁51の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
【0045】
更に本実施形態において、組立ダイス10を支持孔9に嵌合した場合、コアケース13の両端部に形成されている傾斜面13bが支持孔9の先窄まり状の内面と合致するので支持孔9の内面に挟まれた状態でコアケース13の位置決めもなされ、コアケース13の位置ずれも抑制される結果として、肉厚変動の無い押出部品を製造することが可能であり、例えば、隔壁51の部分に偏肉の生じていない、均一な肉厚の高品質の扁平多穴チューブCを製造することができる。
【実施例】
【0046】
図1に示す構成のダイス装置に対し、図4に示す構成の組立ダイスを4基組み込み、押出加工を行った。この組立ダイスにおいて、超硬合金からプレート部材とコア部材とを形成し、ダイス鋼からボディ、コアケース、キャップ部材を形成し、押出試験に供した。
JIS規定1050合金の素材アルミニウムを用い、以下の表1に示す押出条件で穴数21、全体幅16mm、全体厚さ1.2mm、周壁と隔壁の肉厚がいずれも0.2mmの押出多穴チューブを製造した。
押出加工装置においてボディの外径は60mm、プレート部材の孔部形状とコア部材の突起部の形状はそれらが画成する目的の押出多穴チューブのサイズと同じになるようにした。ステムによる押出圧力74kg/mm2にて押出加工を行って扁平多穴チューブを製造した。押出加工中、ダイス中央部の温度は500℃で一定であった。
【0047】
得られた扁平多穴チューブに対して、ダイス装置側のプレート部材に対するコア部材の突起部先端の嵌め込み深さdの値と、製造するべき扁平多穴チューブの肉厚tの値、及び得られた扁平多穴チューブにおいて周壁及び隔壁の肉厚変動状況、押出圧力を測定した結果を表1に示す。
肉厚変動状況とは、サンプル数30個の製造を行った場合、目的の壁の肉厚に対し、10%以上薄い肉薄の部分が隔壁あるいは周壁に何箇所発生しているのかを測定した結果を示す。
【0048】
「表1」
肉厚(mm) d/t 肉厚変動部発生数 押出圧力上昇率
0.2 0.5 7 −
0.2 1.0 2 1.5%
0.2 1.5 1 2.0%
0.2 2.0 0 3.0%
0.2 2.5 0 3.2%
0.2 3.0 0 3.8%
0.2 3.5 3 4.5%
【0049】
表1に示す結果から、d/tの値を1.0〜3の範囲とすることで、適正な押出圧力によって肉厚変動部発生数の少ない寸法精度の高い扁平多穴チューブを製造できることが明らかとなった。
これに対し、d/tの値を0.5と少なくして製造した扁平多穴チューブでは肉厚の変動が大きく、寸法精度の低い押出部材となってしまった。また、d/tの値を3.5と大きくして製造した扁平多穴チューブでは、押出圧力が上昇し、押出装置に大きな負荷がかかった。押出圧力がこのように大きくなると、オスダイスのコア部材の突起部とメスダイスのプレート部材の孔部のいずれかに大きな圧力が作用するので、扁平多穴チューブを連続製造した場合に短期間でコア部材あるいはプレート部材の損耗あるいは損傷につながるおそれがある。
従って上述の試験結果から、図1に示すダイス装置に対し図4に示す構造の組立ダイスを適用し、扁平多穴チューブを製造した場合、d/tの値を1.0〜3.0の範囲とすることが重要であることが判明した。
【符号の説明】
【0050】
A…押出加工装置、B…素材ビレット、C…扁平多穴チューブ(押出部材)、1…収容部、2…コンテナ、3…ステム、5…ダイホルダ、6…バックプレート、7…ボルスター、8…ダイリング、9…支持孔、10…組立ダイス、10A…型孔、11…ボディ、12…プレート部材(入れ子部材)、13…コアケース、13b…傾斜面、15…コア部材、15b…突起部、15f…支柱部、15g…頭部、15j…首部、15k…素材導入路、15m…素材通過路、15n…素材連絡路、15p…アール部、16…キャップ部材、31…孔部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて押出成形自在としたダイス装置において、
前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、
前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させたことを特徴とする押出加工用ダイス装置。
【請求項2】
前記メスダイスが、中央孔を有するボディと、このボディの一端面側中央に取り付けられ前記孔部を有したプレート部材とを具備してなり、
前記オスダイスが、前記櫛刃状の突起部を備えたコア部材と、このコア部材を内部に挿通して保持するコアケースと、このコアケースに保持されたコア部材を部分的にカバーしてコアケースに取り付けられるキャップ部材とを具備してなり、
前記コア部材とキャップ部材を備えたコアケースを前記メスダイスのボディに取り付けることで前記コア部材の突起部の先端を前記メスダイスのプレート部材の孔部に挿入してなることを特徴とする請求項1に記載の押出加工用ダイス装置。
【請求項3】
前記ボディの一端面側に挿入孔を形成し、この挿入孔に前記プレート部材を嵌合して前記メスダイスの孔部の位置決めを行い、前記ボディの一端面側に前記プレート部材の両側に位置する突起部を形成し、これらの突起部に嵌合溝部を形成し、これらの嵌合溝部に前記オスダイスのコアケースの両端部を嵌合して前記コア部材の突起部先端を前記メスダイスの孔部に位置決めしてなることを特徴とする請求項2に記載の押出加工用ダイス装置。
【請求項4】
ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて成形する押出成形方法において、
前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、
前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係として押出加工することを特徴とする押出加工方法。
【請求項1】
ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて押出成形自在としたダイス装置において、
前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、
前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係を満足させたことを特徴とする押出加工用ダイス装置。
【請求項2】
前記メスダイスが、中央孔を有するボディと、このボディの一端面側中央に取り付けられ前記孔部を有したプレート部材とを具備してなり、
前記オスダイスが、前記櫛刃状の突起部を備えたコア部材と、このコア部材を内部に挿通して保持するコアケースと、このコアケースに保持されたコア部材を部分的にカバーしてコアケースに取り付けられるキャップ部材とを具備してなり、
前記コア部材とキャップ部材を備えたコアケースを前記メスダイスのボディに取り付けることで前記コア部材の突起部の先端を前記メスダイスのプレート部材の孔部に挿入してなることを特徴とする請求項1に記載の押出加工用ダイス装置。
【請求項3】
前記ボディの一端面側に挿入孔を形成し、この挿入孔に前記プレート部材を嵌合して前記メスダイスの孔部の位置決めを行い、前記ボディの一端面側に前記プレート部材の両側に位置する突起部を形成し、これらの突起部に嵌合溝部を形成し、これらの嵌合溝部に前記オスダイスのコアケースの両端部を嵌合して前記コア部材の突起部先端を前記メスダイスの孔部に位置決めしてなることを特徴とする請求項2に記載の押出加工用ダイス装置。
【請求項4】
ダイホルダと、該ダイホルダに形成された支持孔に挿入されて前記ダイホルダに組み込まれた組立ダイスとが具備され、前記組立ダイスを通過させるように素材ビレットを押圧して前記組立ダイスの型孔を通過させて成形する押出成形方法において、
前記組立ダイスが、櫛刃状の突起部を有するオスダイスと、前記突起部を挿入する孔部を有するメスダイスを備え、前記オスダイスの突起部を前記メスダイスの孔部に望ませてそれらの間に前記型孔を画成してなり、
前記オスダイスの突起部先端の前記孔部開口に対する嵌め込み深さをdとし、押出加工により得られる押出材の肉厚をtとした場合、1.0≦d/t≦3の関係として押出加工することを特徴とする押出加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−115872(P2012−115872A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267674(P2010−267674)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000176707)三菱アルミニウム株式会社 (446)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000176707)三菱アルミニウム株式会社 (446)
【Fターム(参考)】
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