説明

拡大フラ・シール

【課題】燃焼器に使用するためのフラ・シールを提供する。
【解決手段】フラ・シール(210)は、複数のスロット(230)を画成する複数の脚部(220)を含む。これらのスロット(230)は複数の拡大スロット(250)を含むことができる。本出願の他の実施形態において提供される、燃焼器を動作させる方法は、フラ・シールに複数の拡大スロットを画成する段階と、フラ・シールを燃焼器ライナー及び遷移部材の周りに位置決めする段階と、燃焼器ライナーからフラ・シールの拡大スロットを通して漏洩流を円周方向に拡げる段階とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、ガスタービン・エンジンに関し、より具体的には、例えば燃焼器ライナーと遷移部材との間のインターフェースとして拡大フラ・シール(hula seal) を使用することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
既知の燃焼器は、燃焼器ライナーと遷移部材との間のインターフェースとしてフラ・シールを使用することができる。燃焼器ライナー・キャップ組立体と燃焼器ライナーと/又はガスタービン・エンジンのその他の場所との間に同様な種類のフラ・シールを使用することができる。米国特許第6334310号に記載されているように、フラ・シールは、一般に、丸いループの形に形成された複数の板バネより成る装置として定義されていて、2つの同心のダクトの間の摺動界面継手又は環状の間隙を封止するために用いられる。
【0003】
フラ・シール付近を低い温度に維持するために、一般に、或る特定の量の質量流が該フラ・シールを通って漏洩するようにされる。頭端部へ進む空気の質量流を減少させるように一層多くの空気流をライナーの高温側へ直接差し向けるために、漏洩面積を一層大きくしたフラ・シールを使用することができる。この流れはまた、希薄バーンアウト余裕を増大させるのに役立つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6334310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、それを通り抜ける流れを増大させることのできる改良フラ・シール設計が要望されている。このように流れを増大させると、遷移部材の頭端部の周りの熱放射輝度を低減するように圧力降下が低減されよう。またこのように流れを増大させると、総合燃焼器効率が増大すると共に、システム効率が全体として増大されよう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃焼器に使用するためのフラ・シールを提供する。該フラ・シールは、複数のスロットを画成する複数の脚部を含む。これらのスロットは複数の拡大スロットを含むことができる。
【0007】
本出願では更に、燃焼器を動作させる方法を提供する。本方法は、フラ・シールに複数の拡大スロットを画成する段階と、フラ・シールを燃焼器ライナー及び遷移部材の周りに位置決めする段階と、燃焼器ライナーからフラ・シールの拡大スロットを通して漏洩流を円周方向に拡げる段階とを含むことができる。
【0008】
本出願では更に、燃焼器を提供する。該燃焼器は、ライナーと、遷移部材と、ライナー及び遷移部材の周りに位置決めされたフラ・シールとを含むことができる。フラ・シールは複数の拡大スロットを含むことができる。
【0009】
本出願のこれらの及び他の特徴は、当業者には、以下の詳しい説明を添付の図面並びに特許請求の範囲の記載と共に検討することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、ガスタービン・エンジンの概略図である。
【図2】図2は、燃焼器のライナー及び遷移部材の垂直断面図である。
【図3】図3は、燃焼器ライナーの側面図である。
【図4】図4は、既知のフラ・シールの側面図である。
【図5】図5は、既知のフラ・シールの斜視図である。
【図6】図6は、スロットを持つフラ・シールの平面図である。
【図7】図7は、本書で述べるような拡大スロットを持つ拡大フラ・シールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面について説明すると、幾つかの図全体にわたって同様な参照数字は同様な要素を表している。図1は、ガスタービン・エンジン10の概略図を示す。既知のように、ガスタービン・エンジン10は、入来する空気流を圧縮するために圧縮機20を含むことができる。圧縮機20は圧縮した空気流を燃焼器30へ送り出す。燃焼器30は圧縮空気流を圧縮燃料流と混合して、その混合物に点火する。(単一の燃焼器30のみが図示されているが、ガスタービン・エンジン10は任意の数の燃焼器30を含むことができる)。次いで、高温の燃焼ガスがタービン40へ送り出される。高温の燃焼ガスは、機械的な仕事を生成するようにタービン40を駆動する。タービン40で生成された機械的な仕事は、圧縮機と、発電機などのような外部負荷50とを駆動する。ガスタービン・エンジン10は、天然ガス、様々な種類の合成ガス、及び他の種類の燃料を使用することができる。
【0012】
ガスタービン・エンジン10は、米国ニューヨーク州スケネクタディ所在のゼネラル・エレクトリック・カンパニイ社によって提供されている9FA型タービン又は同様な装置であってよい。他の種類のガスタービン・エンジンもここでは用いることができる。ガスタービン・エンジン10は他の構成を持つことができ、また他の種類の構成要素を使用することができる。複数のガスタービン・エンジン10、他の種類のタービン及び他の種類の発電設備をここでは一緒に使用することができる。
【0013】
図2は、燃焼器100の部分断面図を示す。既知のように、燃焼器100は燃焼器ライナー110及び遷移部材120を含む。遷移部材120は内壁122及び外壁124を含む。ライナー110は流れスリーブ130及び燃焼域140を含む。ライナー110及び遷移部材120はフラ・シール150によって接合することができる。図3には、その上にフラ・シール150を設けた燃焼器ライナー110を示している。
【0014】
前に述べたように、フラ・シール150は一般に、丸いループの形に形成された複数の板バネより成る装置である。フラ・シール150はインコネルX750(約700°C(1290°F)までの高い温度でクリープ破断強度を持つ、アルミニウム及びチタンの添加によって析出硬化可能に作られたニッケル−クロム合金)又は同様な種類の材料から作ることができる。図4は、燃焼器ライナー110と遷移部材120の内壁122との間のインターフェースを示す。圧縮機空気流160の一部分は、複数の漏洩流の矢印170で示される漏洩流路に従う傾向がある。漏洩流170は一般に、燃焼器100の動作中の圧縮機空気流160とライナー110内の高温ガス流180との間の差圧によって生じる。圧縮機空気流160は、高温ガス流180よりも静圧が相対的に高く且つ温度が相対的に低くなることができる。
【0015】
図5及び図6はフラ・シール150を示している。図示されているように、フラ・シール150は、複数のスロット200を画成する複数の脚部190を含む。スロット200は一般に大きさ及び形状が一様である。漏洩流170はスロット200を通過することができる。
【0016】
図7は、本書で述べるようなフラ・シール210を示す。図示のように、フラ・シール210はまた、複数のスロット230を画成する複数の脚部220を含む。しかしながら、この例では、脚部220の後端部240が拡大スロット250を含む。図示されているように、脚部220は切欠き260を含み、これにより、拡大スロット250が、前端部270で始まるスロット230よりも幅広くなるようにする。切欠き260は任意の所望の形状にすることができるが、図には斜めの形状280が示されている。切欠き260は脚部220の全て又は一部に設けることができる。
【0017】
このように拡大スロット250を持つフラ・シール210は、漏洩流170を円周方向に拡げる。その流れ170はまた圧力降下を減少させ且つ遷移部材120の頭端部の周りの熱放射輝度を低減する。拡大スロット250はより多くの空気流を高温ガス流の中へ漏洩させて、全空気質量流を低減するようにする。この流れにより、火炎希薄バーンアウトが防止され、またフラ・シール210による圧力降下が減少し、また遷移部材120の全体の耐久性が改善されよう。切欠き260は、同様に、フラ・シール210の出口拡大角及び面積を最適化する。
【0018】
上記の説明は本発明の特定の実施形態にのみ関するものであること、また特許請求の範囲の記載及びその等価なものによって規定されるような発明の全体的な精神及び範囲から逸脱せずに様々な変更及び修正が当業者によって為し得ることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0019】
10 ガスタービン・エンジン
20 圧縮機
30 燃焼器
40 タービン
50 外部負荷
100 燃焼器
110 燃焼器ライナー
120 遷移部材
122 内壁
124 外壁
130 流れスリーブ
140 燃焼域
150 フラ・シール
160 圧縮機空気流
170 漏洩流
180 高温ガス流
190 脚部
200 スロット
210 フラ・シール
220 脚部
230 スロット
240 後端部
250 拡大スロット
260 切欠き
270 前端部
280 斜めの形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器(30)に使用するためのフラ・シール(210)であって、
当該フラ・シール(210)が複数の脚部(220)を有し、該複数の脚部(220)が複数のスロット(230)を画成し、更に、該複数のスロット(230)が複数の拡大スロット(250)を有していること、
を特徴とするフラ・シール(210)。
【請求項2】
前記複数の脚部(220)の各々は、前記拡大スロット(250)を画成するようにその中に切欠き(260)を有している、請求項1記載のフラ・シール(210)。
【請求項3】
前記切欠き(260)は前記複数の脚部(220)の各々の後端部(240)に位置している、請求項2記載のフラ・シール(210)。
【請求項4】
前記切欠き(260)は斜めの形状(280)を有している、請求項2記載のフラ・シール(210)。
【請求項5】
前記拡大スロット(250)は、前端部(270)と比べて後端部(240)でより広くなっている、請求項1記載のフラ・シール(210)。
【請求項6】
更に、ニッケル−クロム合金を含んでいる請求項1記載のフラ・シール(210)。
【請求項7】
前記複数のスロット(250)はそれらを通る複数の漏洩流路(170)を画成している、請求項1記載のフラ・シール(210)。
【請求項8】
燃焼器(30)を動作させる方法であって、
フラ・シール(210)に複数の拡大スロット(250)を画成する段階と、
前記フラ・シール(210)を燃焼器ライナー(110)及び遷移部材(120)の周りに位置決めする段階と、
前記燃焼器ライナー(110)から前記フラ・シール(210)の前記拡大スロット(250)を通して漏洩流(170)を円周方向に拡げる段階と、
を有する方法。
【請求項9】
更に、前記フラ・シール(210)による圧力降下を減少させる段階を有している請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−276018(P2010−276018A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113832(P2010−113832)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】