説明

拡張モジュール

【課題】ネットワークシステムを構成する既存のデータ送受信装置に対して、分割機能を簡便に追加することができるようにすること。
【解決手段】拡張モジュール100は、データ端末に接続される第1通信部103と、データ送受信装置に接続される第2通信部111と、データ端末から出力され、第1通信部103において受信されたフレームのペイロードに格納されているデータを分割することにより、第2通信部111から出力するフレームの最大フレーム長を示す指示フレーム長以下のフレーム長を有する分割済みフレームを生成し、当該分割済みフレームを、第2通信部111を介して、データ送受信装置に出力する分割部105と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張モジュールに関する。特に、ネットワークに送信するフレームを分割する機能を有する拡張モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
1つの基地局と、1つ以上の加入者局により構成されるネットワークシステムで使用される通信方式の1つとして、通信に用いられる特定の周波数の電波を一定時間毎に区切ることで、このような電波を基地局及び加入者局間で共有して利用するTDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)方式がある。このTDMA方式は、無線LAN(Local Area Network)及び携帯電話等の通信に用いられている。
【0003】
TDMA方式では、基地局より加入者局へ個別に送受信期間が割り当てられる。送受信期間は、通信するデータ量に応じて動的に割り当てられ、加入者局から基地局にデータを送信する上り通信においては、加入者局が基地局に割り当てを要求するデマンドアサイン方式が用いられる。割り当て結果は、ネットワークの通信周期にて、基地局より各々の加入者局へ個別に通知される。
【0004】
このようなTDMA方式を使用して通信するネットワークシステムにおいて、加入者局に蓄積されているデータフレームの送信に要する期間に対して、基地局より割り当てられた送信期間が短い場合、割り当てられた送信期間に収まるようフレームを分割して、ネットワーク帯域を効率的に使用する技術が特許文献1に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載された技術では、加入者局は、送信しようとするフレームのデータサイズが大きいため、割り当てられた送信期間中にこのフレームを送信することができない場合には、割り当てられた送信期間に応じてフレームの分割位置を決定し、分割位置までのデータを含む分割フレームを生成して、この分割フレームを送信する。その後、加入者局は、別途割り当てられた送信期間において、その分割位置より後ろのデータを含む分割後続フレームを生成して、この分割後続フレームを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−269239号公報(段落0023〜0024、図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術を実現するには、ネットワークシステムを構成する全ての加入者局及び基地局に、分割機能及び結合機能がそれぞれ搭載されている必要がある。近年の装置の小型化や低消費電力化に伴い、加入者局及び基地局として使用されるデータ送受信装置が複数の機能を集約したシステムLSIで構成されている場合、分割機能及び結合機能を搭載するためにシステムLSI全体を新たに作り直す必要があり、多大な開発コストが発生する問題がある。
【0008】
一方、システムLSIではなく、個別部品を組み合わせてデータ送受信装置を構成する場合には、新たに分割及び結合機能を実現する部品のみをデータ送受信装置に追加することで、特許文献1に記載された技術を実現することができる。しかしながら、Ethernet(登録商標)フレームを扱う装置では、一般にEthernetフレームの形式を規定する規格(例えば、DIX、IEEE802.3等)に準拠した汎用部品を使用して、開発工程における負担を軽減することが多い。汎用部品では、Ethernet規格に違反する入力フレーム、例えば、最短フレーム長である64バイトに満たない長さのフレームが入力された場合、このような入力フレームは、入力エラーとして廃棄される。例えば、特許文献1に記載された技術では、割り当てられた送信期間に収まるようにフレームを分割するため、分割後に残された分割後続フレームの長さが極端に短くなる場合が発生する。そして、分割後続フレームの長さが64バイトより小さくなった場合、上述の汎用部品は、このような分割後続フレームを削除してしまう。
これに対して、Ethernetフレームを処理する機能を汎用部品で実現しないことにより、フレームの長さ規定の制約を受けずに、極端に短いフレームに分割することも可能ではあるが、汎用部品を使用できないことにより開発工数が増加する問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、ネットワークシステムを構成する既存のデータ送受信装置に接続することで、分割機能を簡便に追加することができる拡張モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1態様に係る拡張モジュールは、ネットワークに接続されたデータ送受信装置と、当該データ送受信装置を介して前記ネットワークとの通信を行うデータ端末と、の間に設けられる拡張モジュールであって、前記データ端末に接続される第1通信部と、前記データ送受信装置に接続される第2通信部と、前記データ端末から出力され、前記第1通信部において受信されたフレームのペイロードに格納されているデータを分割することにより、前記第2通信部から出力するフレームの最大フレーム長を示す指示フレーム長以下のフレーム長を有する分割済みフレームを生成し、当該分割済みフレームを、前記第2通信部を介して、前記データ送受信装置に出力する分割部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1態様によれば、ネットワークシステムを構成する既存のデータ送受信装置に接続することで、分割機能を簡便に追加することができる拡張モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1及び2に係る拡張モジュールの機能構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】実施の形態1及び3におけるデータ送受信装置の機能構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】実施の形態1において、TDMA方式を適用したネットワークシステムの一例を概略的に示す構成図である。
【図4】実施の形態1において、基地局に備えられているデータ送受信装置から、加入者局に備えられているデータ送受信装置に通信帯域を割り当て、割り当てられた通信帯域に基づいて通信を行うTDMA通信の動作例を示す概略図である。
【図5】実施の形態1におけるフレーム生成部が分割済みEthernetフレームを生成する際の処理を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1における再構築情報の一例を示す構成図である。
【図7】実施の形態1において生成される分割済みEthernetフレームを示す概略図である。
【図8】実施の形態2におけるフレーム生成部が分割済みEthernetフレームを生成する際の処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2において生成される分割済みEthernetフレームを示す概略図である。
【図10】実施の形態3に係る拡張モジュールの機能構成を概略的に示すブロック図である。
【図11】実施の形態3において、最大フレーム長を通知するEthernetフレームを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る拡張モジュール100の機能構成を概略的に示すブロック図である。図2は、データ送受信装置130の機能構成を概略的に示すブロック図である。実施の形態1に係る拡張モジュール100は、データ送受信装置130に連結されて用いられる。そこで、まず、データ送受信装置130について説明する。
【0014】
図2に示すように、データ送受信装置130は、コネクタ部131と、PHY部132と、MAC(Media Access Control)部133と、変復調部134と、変換部135と、メモリ部136とを備える。なお、図2の括弧内の符号は、実施の形態3における構成を示している。
【0015】
コネクタ部131は、Ethernetケーブルを連結するインタフェースである。本実施の形態においては、コネクタ部131に一端が連結されるEthernetケーブルの他端には、拡張モジュール100が連結される。
PHY部132は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおける物理層に対応する処理を行う。
MAC部133は、OSI参照モデルにおけるデータリンク層の下位副層であるMAC層に対応する処理を行う。
変復調部134は、MAC部133より与えられたデータを変調することによりデジタル信号を生成し、このデジタル信号を変換部135に与える。また、変復調部134は、変換部135から与えられたデジタル信号を復調することによりデータを生成し、このデータをMAC部133に与える。
変換部135は、変復調部134から与えられたデジタル信号をアナログ信号又は光信号に変換して、このアナログ信号又は光信号をネットワークに出力する。また、変換部135は、ネットワークよりアナログ信号又は光信号の入力を受け付け、このアナログ信号又は光信号をデジタル信号に変換して、このデジタル信号を変復調部134に与える。
メモリ部136は、データ送受信装置130での処理に必要なデータを記憶する。
【0016】
次に、データ送受信装置130の一般的な動作について説明する。図3は、TDMA方式を適用したネットワークシステム150の一例を概略的に示す構成図である。図3において、基地局151と加入者局152との間のネットワーク153は、無線通信、及び光通信を含む有線通信の何れを用いていてもよい。
【0017】
基地局151及び加入者局152は、それぞれ拡張モジュール100及びデータ送受信装置130を備えている。基地局151側のデータ端末161は、基地局151に備えられている拡張モジュール100に接続されており、加入者局152側のデータ端末162は、加入者局152に備えられている拡張モジュール100に接続されている。なお、データ端末161、162は、例えば、データ送受信装置130を介して、ネットワークシステム150上で、データの送受信を行うPC等に代表される情報処理装置である。
【0018】
そして、例えば、基地局151側のデータ端末161は、送信用のデータを格納したEthernetフレームを基地局151に備えられている拡張モジュール100に与え、拡張モジュール100は、与えられたEthernetフレームを分割して、分割済みEthernetフレームを生成する。そして、拡張モジュール100は、分割済みEthernetフレームを基地局150に備えられているデータ送受信装置130に与える。分割済みEthernetフレームが与えられたデータ送受信装置130は、下りデータの送信期間に収まる数の分割済みEthernetフレームを、加入者局152に備えられているデータ送受信装置130に送信する。加入者局152に備えられているデータ送受信装置130は、分割済みEthernetフレームを受信すると、この分割済みEthernetフレームを、加入者局152に備えられている拡張モジュール100に与える。拡張モジュール100は、与えられた分割済みEthernetフレームを結合して、Ethernetフレームを再構築する。そして、拡張モジュール100は、再構築済みEthernetフレームを加入者局152側のデータ端末162に与える。
【0019】
また、加入者局152側のデータ端末162は、送信用のデータを格納したEthernetフレームを加入者局152に備えられている拡張モジュール100に与え、拡張モジュール100は、与えられたEthernetフレームを分割して、分割済みEthernetフレームを生成する。そして、拡張モジュール100は、分割済みEthernetフレームを加入者局152に備えられているデータ送受信装置130に与える。分割済みEthernetフレームが与えられたデータ送受信装置130は、上りデータの送信期間に収まる数の分割済みEthernetフレームを、基地局151に備えられているデータ送受信装置130に送信する。基地局151に備えられているデータ送受信装置130は、分割済みEthernetフレームを受信すると、この分割済みEthernetフレームを、基地局151に備えられている拡張モジュール100に与える。拡張モジュール100は、与えられた分割済みEthernetフレームを結合して、Ethernetフレームを再構築する。そして、拡張モジュール100は、再構築済みEthernetフレームを基地局151側のデータ端末161に与える。
【0020】
以上のように、基地局151に接続されたデータ端末161と、加入者局152に接続されたデータ端末162とは、データの送受信を行うことができ、例えば、基地局151に接続されたデータ端末161はデータサーバとして機能し、加入者局152に接続されたデータ端末162は、データサーバに対するクライアントとして機能する。
なお、基地局151は、データ端末161に接続される代わりに、図示しないインターネットワーキングに接続され、データ端末162が、このインターネットワーキングとの間でデータの送受信を行うように構成することもできる。
【0021】
図4は、図3に示されている基地局151に備えられているデータ送受信装置130が、加入者局152に備えられているデータ送受信装置130に通信帯域を割り当て、割り当てられた通信帯域に基づいて通信を行うTDMA通信の動作例を示す概略図である。
【0022】
通信周期CY1、CY2は、基地局151から加入者局152への下り方向のデータ通信期間DT1、DT2と、加入者局152から基地局151への上り方向のデータ通信期間UT1、UT2とに分けられる。
【0023】
まず、通信周期CY1において、基地局151に備えられているデータ送受信装置130は、加入者局152に送信する下りデータDD1のデータ量及びデータ送信開始時間を、下りデータ割当通知DDI1にて加入者局152へ通知する。
【0024】
次に、基地局151に備えられているデータ送受信装置130は、上り要求割当通知URIにて、上り要求URの送信開始時間を加入者局152に通知する。加入者局152に備えられているデータ送受信装置130は、上り要求割当通知URIで通知された送信開始時間に、上り要求URで、基地局151へ送信するために蓄積されているデータ量を通知することにより、上り帯域を要求する。
【0025】
基地局151に備えられているデータ送受信装置130は、加入者局152からの上り要求URに基づいて、次の通信周期CY2の下りデータDD2のデータ量及び上りデータUDのデータ量を決定し、次の通信周期CY2において、下りデータ割当通知DDI2及び上りデータ割当通知UDIで、これらのデータ量をそれぞれ加入者局152に通知する。加入者局152に備えられているデータ送受信装置130は、下りデータ割当通知DDI2に基づいて、基地局151からの下りデータDD2を受信した後、上りデータ割当通知UDIに基づいて、基地局151へ上りデータUDを送信する。
【0026】
基地局151に備えられているデータ送受信装置130は、複数の加入者局152からの上り要求URを収集して、加入者局152毎に上りデータUDの送信帯域を割り当てるので、加入者局152から要求された帯域のうち一部のみを、上りデータUDの送信帯域として割り当てる場合もある。加入者局152に備えられているデータ送受信装置130は、自身に蓄積されている未送信のデータのうち、割り当てられた通信帯域に収まるデータを選択して、上りデータUDを生成する。
【0027】
下りデータDD1、DD2は、割り当てられた通信帯域に応じて、基地局151に蓄積されたEthernetフレームDDFをそれぞれ連結することで形成される。また、ネットワークのプロトコルによっては、同期をとるためのプリアンブルDDP、並びに連結されたEthernetフレームDDFの連結数及びフレーム種別等の情報を含むヘッダDDHの少なくとも何れか一方が含まれる場合もある。
【0028】
また、上りデータUDも、下りデータDD1、DD2と同様に、割り当てられた通信帯域に応じて、加入者局152に蓄積されたEthernetフレームUDFをそれぞれ連結することで形成される。また、ネットワークのプロトコルによっては、同期をとるためのプリアンブルUDP、並びに連結するEthernetフレームUDFの連結数及びフレーム種別等の情報を含むヘッダUDHの少なくとも何れか一方が含まれる場合もある。
【0029】
加入者局152に備えられているデータ送受信装置130は、通信周期CY1の下り期間DT1において、基地局151よりアナログ信号又は光信号を受信する。データ送受信装置130では、変換部135が、受信されたアナログ信号又は光信号をデジタル信号に変換した後、変復調部134が、このデジタル信号を復調して、送信されてきたデータを取得して、このデータをMAC部133に与える。このようにして、MAC部133は、送信されてきた下りデータ割当通知DDI1にて通知された下りデータDD1のデータ量及びデータ送信開始時間に基づいて、EthernetフレームDDFを一つ以上含む下りデータDD1を取得する。そして、MAC部133は、下りデータDD1に含まれているEthernetフレームDDFを一つずつに分解し、各々のEthernetフレームDDFは、PHY部132を経由してEthernet信号となり、コネクタ部131に連結されたEthernetケーブルを介して、拡張モジュール100へ出力される。
【0030】
一方、加入者局152に備えられているデータ送受信装置130のコネクタ部131には、加入者局152より基地局151に送信されるEthernetフレームUDFが入力される。EthernetフレームUDFは、PHY部132を経由して、MAC部133にて、上りデータの送信帯域が割り当てられるまで、メモリ部136に蓄積される。MAC部133は、まず、上り要求割当通知URIにて通知された送信開始時間に基づいて、上り要求URにおいて、メモリ部136に蓄積されているEthernetフレームUDFのデータ量の合計値を送信する。そして、MAC部133は、通信周期CY2において、上りデータ割当通知UDIにて割り当てられた通信帯域で、メモリ部136に蓄積された分割済みEthernetフレームUDFを一つ以上含む上りデータUDを送信する。
【0031】
図4では、加入者局152は、上り要求URを送信した通信周期CY1の次の通信周期CY2にて、上りデータ割当通知UDIを受信する例を示しているが、通信周期CY2以降に、上りデータ割当通知UDIを受信する場合もある。
【0032】
次に、拡張モジュール100について説明する。拡張モジュール100は、データ端末161、162から入力されるフレームを1つ以上の新たなフレームに分割し、データ送受信装置130が扱うフレームを一定の長さ以下とすることにより、データ送受信装置130が、通信プロトコルに依存することなく、帯域の利用効率を向上させることができるようにするものである。図3に示されるように、データ送受信装置130に用いられる拡張モジュール100は、データ端末161、162と、データ送受信装置130との間に配置される。そして、拡張モジュール100と、データ端末161、162及びデータ送受信装置130とは、それぞれEthernetインタフェースにより連結される。データ端末161、162からは、拡張モジュール100は、データ送受信装置130の一部とみなされ、データ送受信装置130からは、拡張モジュール100は、データ端末161、162の一部とみなされる。言い換えると、データ端末161、162は、データ送受信装置130にフレームを送信することにより、このフレームは、拡張モジュール100に入力される。そして、拡張モジュール100から出力されたフレームは、データ端末161、162からのフレームとして、データ送受信装置130で受信される。また、データ送受信装置130は、データ端末161、162にフレームを送信することにより、このフレームは、拡張モジュール100に入力される。そして、拡張モジュール100から出力されたフレームは、データ送受信装置130からのフレームとして、データ端末161、162からのフレームで受信される。
【0033】
図1に示すように、拡張モジュール100は、第1コネクタ部101と、第1PHY部102と、第1メモリ部104と、フレーム長算出部105と、フレーム生成部106と、フレーム長指示部107と、第2PHY部109と、第2コネクタ部110と、記憶制御部112と、第2メモリ部113と、再構築フレーム読出部114とを備える。なお、図1の括弧内の符号は、実施の形態2における構成を示している。また、第1コネクタ部101及び第1PHY部102により第1通信部103が構成され、第1メモリ部104、フレーム長算出部105、フレーム生成部106及びフレーム長指示部107により分割部108が構成され、第2PHY部109及び第2コネクタ部110により第2通信部111が構成され、記憶制御部112、第2メモリ部113及び再構築フレーム読出部114により再構築部115が構成される。
【0034】
第1コネクタ部101は、Ethernetケーブルを連結するインタフェースである。本実施の形態においては、第1コネクタ部101に一端が連結されるEthernetケーブルの他端には、データ端末161、162が連結される。
第1PHY部102は、OSI参照モデルにおける物理層に対応する処理を行う。
第1メモリ部104は、第1PHY部102より与えられるEthernetフレームを記憶する。
フレーム長算出部105は、第1通信部103で受信されたEthernetフレームの内、FCSを除いた部分のフレーム長を入力フレーム長として計測する。
フレーム生成部106は、フレーム長算出部105で計測された入力フレーム長と、フレーム長指示部107から指示された指示フレーム長とから、出力フレーム長を算出する。ここで、指示フレーム長は、第2通信部から出力するフレームの最大フレーム長を示す。そして、フレーム生成部106は、第1メモリ部104に記憶されているEthernetフレームを分割して、算出された出力フレーム長に対応するデータがペイロードに格納された分割済みEthernetフレームを生成する。
フレーム長指示部107は、フレーム生成部106に対して、指示フレーム長を通知する。ここで、フレーム長指示部107は、フレーム長記憶部107Aを備えており、フレーム長記憶部107Aには、予め設定された指示フレーム長が記憶されている。例えば、Ethernetフレームのフレームサイズは、通常、64〜1518バイトとされているため、指示フレーム長は、この範囲に含まれるように設定されるのが望ましい。但し、Ethernetフレームは、その最大フレームサイズである1518バイトを超えている場合でも、処理可能な場合があるため、指示フレーム長が、1518バイトを超えた値であってもよい。
第2PHY部109は、OSI参照モデルにおける物理層に対応する処理を行う。
第2コネクタ部110は、Ethernetケーブルを連結するインタフェースである。本実施の形態においては、第2コネクタ部110に一端が連結されるEthernetケーブルの他端には、データ送受信装置130が連結される。
記憶制御部112は、第2PHY部109より与えられた分割済みEthernetフレームに含まれているデータを結合する処理を行う。なお、記憶制御部112は、第3メモリ部112Aを備えており、処理に必要なデータを第3メモリ部112Aに記憶させる。
第2メモリ部113は、記憶制御部112の指示に従って、第2PHY部109より与えられた分割済みEthernetフレームに含まれているデータを記憶する。
再構築フレーム読出部114は、記憶制御部112の指示に応じて、第2メモリ部113から、必要なデータを読み出して、Ethernetフレームを再構築する処理を行う。
【0035】
次に、拡張モジュール100の動作について説明する。まず、第1コネクタ部101からEthernetフレームが入力された場合の動作について説明する。
第1コネクタ部101から入力されたEthernetフレームは、第1PHY部102を経由して、第1メモリ部104に記憶され、フレーム長算出部105は、入力されたEthernetフレームにおいて、FCSを含まない部分の入力フレーム長を計測する。そして、フレーム生成部106は、フレーム長算出部105より得た入力フレーム長と、フレーム長指示部107より指示された長さとに基づいて、第1メモリ部104に蓄積されたEthernetフレームから、分割済みEthernetフレームを生成する。分割済みEthernetフレームは、第2PHY部109を経由して、第2コネクタ部110に連結されたEthernetケーブルを介して、データ送受信装置130へ出力される。
【0036】
図5は、フレーム生成部106が分割済みEthernetフレームを生成する際の処理を示すフローチャートである。
【0037】
まず、フレーム生成部106は、第1通信部103で受信されたEthernetフレームのペイロードに格納されているデータの内、分割対象として残っているデータのデータサイズを示す残ペイロード長、及び第1通信部103で受信されたEthernetフレームのペイロードに格納されているデータの内、分割対象として残っているデータを分割することで生成される分割済みEthernetフレームの残数を示す出力フレーム数を算出する(S10)。例えば、フレーム生成部106は、フレーム長算出部105が計測した入力フレーム長から、第1オーバーヘッド長OHiを減じることにより算出される値を、残ペイロード長とする。ここで、ステップS10で算出される残ペイロード長は、第1通信部103で受信されたEthernetフレームのペイロード長である。また、フレーム生成部106は、指示フレーム長から第2オーバーヘッド長OHoを減じることで部分ペイロード長を算出する。そして、フレーム生成部106は、算出された残ペイロード長を、算出された部分ペイロード長で除算し、小数点以下の端数を切り上げた値を、出力フレーム数とする。ここで、第1オーバーヘッド長OHiは、第1メモリ部104に記憶されたEthernetフレームのペイロードの前までのDA(Destination Address)フィールド、SA(Source Address)フィールド、及びT/L(Type/Length)フィールドのそれぞれのデータ長の加算値であり、第2オーバーヘッド長OHoは、分割済みEthernetフレームのペイロード以外のDAフィールド、SAフィールド、T/Lフィールド、及びFCSフィールドのそれぞれのデータ長と、分割済みEthernetフレームからEthernetフレームを再構築するための再構築情報のデータ長との加算値である。
【0038】
図6は、再構築情報RCの一例を示す構成図である。図示するように、再構築情報RCは、再構築情報であることを示す再構築情報識別子RC1と、分割済みEthernetフレームがどのデータ送受信装置130から送信されたものであるかを識別するための装置識別子RC2と、1つのEthernetフレームより分割された残りの分割済みEthernetフレームの数を特定するためのシーケンス番号RC3とにより構成される。
ここで、装置識別子RC2は、データ送受信装置130毎に一意に割り振られたデータ送受信装置番号が用いられてもよく、また、拡張モジュール100毎に一意に割り振られた拡張モジュール装置番号が用いられてもよい。装置識別子RC2として、データ送受信装置番号が用いられる場合には、データ送受信装置130に拡張モジュール100が連結されたときに、データ送受信装置130からデータ送受信装置番号が拡張モジュール100に通知される。例えば、ユーザが、データ送受信装置130の図示していない入力部を介して操作を行うことにより、MAC部133が、データ送受信装置番号を格納したEthernetフレームを拡張モジュールに送信することで、データ送受信装置番号を拡張モジュール100に通知することができる。データ送受信装置番号を格納したEthernetフレームであることは、DAフィールドに、拡張モジュール100のMACアドレスを格納することにより識別することができるようにしてもよいし、また、Ethernetフレームのペイロードにデータ送受信装置番号が格納されていることを示す識別情報を挿入してもよい。
また、シーケンス番号RC3は、各々の分割済みEthernetフレームにおいて、当該分割済みEthernetフレームが生成される毎にデクリメントされる出力フレーム数が用いられるため、このシーケンス番号RC3により、分割済みEthernetフレームを結合する順番及び残りの分割済みEthernetフレームの数を特定することができる。
【0039】
ここで、図6に示される例では、再構築情報識別子RC1を2バイト、装置識別子RC2及びシーケンス番号RC3を1バイトとしているが、この限りではない。例えば、ネットワークシステムを構成する装置台数、並びに、入力フレーム長の最大値及び指示フレーム長により決定されるEthernetフレームの分割数の最大値等に基づいて、それぞれのデータ長を変更することができる。
【0040】
本実施の形態においては、DAフィールド、SAフィールド、T/Lフィールド、FCSフィールド及び再構築情報のデータ長は、それぞれ6バイト、6バイト、2バイト、4バイト及び4バイトであるため、第1オーバーヘッド長OHiは、14バイト、第2オーバーヘッド長OHoは、22バイトとなる。
【0041】
図5に戻り、ステップS10の次に、フレーム生成部106は、残ペイロード長を、出力フレーム数で除算し、小数点以下の端数を切り捨てることにより、出力ペイロード長を算出する(S11)。ここで、出力ペイロード長は、第1通信部103で受信されたEthernetフレームのペイロードに格納されているデータの内、分割対象として残っているデータから分割される分割データのデータサイズである。この出力ペイロード長に対応するデータサイズで分割された分割データが、分割済みEthernetフレームのペイロードに格納される。
【0042】
次に、フレーム生成部106は、出力ペイロード長に出力フレーム数を乗算した乗算値と、残ペイロード長とを比較することにより、ステップS11での除算における剰余の有無を判断する(S12)。例えば、フレーム生成部106は、ステップS12において算出された乗算値が、残ペイロード長と異なる場合には、剰余があるものと判断し、ステップS12において算出された乗算値が、残ペイロード長と等しい場合には、剰余がないものと判断する。そして、フレーム生成部106は、剰余が「0」の場合(ステップS12でYes)は、出力ペイロード長が妥当であるとして、ステップS15の処理に進み、剰余が「0」ではない場合(ステップS12でNo)は、ステップS13の処理に進む。
【0043】
ステップS13では、フレーム生成部106は、残ペイロード長から出力ペイロード長を減算した値を、出力フレーム数より「1」小さい値で除算し、少数点以下の端数を切り捨てた値を、次の出力ペイロード長として算出する。そして、フレーム生成部106は、算出された次の出力ペイロード長が、指示フレーム長より第2オーバーヘッド長OHoを減算した値よりも大きいか否かを判断する。ここで、次の出力ペイロード長が、指示フレーム長より第2オーバーヘッド長OHoを減算した値よりも大きい場合には、ステップS11で算出された出力ペイロード長で分割済みEthernetフレームを出力した後の、次の分割済みEthernetフレームの長さが指示フレーム長を超えることを示している。このため、フレーム生成部106は、ステップS13でYesの場合には、ステップS14の処理に進み、出力ペイロード長を「1」大きくして、ステップS15の処理に進む。
【0044】
ステップS15では、フレーム生成部106は、第1メモリ部104に記憶されているEthernetフレームから、分割済みEthernetフレームを生成する。
例えば、フレーム生成部106は、まず、第1メモリ部104に記憶されているEthernetフレームに付与されたDAフレーム及びSAフレームに格納されている値を抽出して、分割済みEthernetフレームのDAフレーム及びSAフレームの値として特定する。
次に、フレーム生成部106は、第1メモリ部104に記憶されているEthernetフレームに付与されたT/Lフィールドの値が「0」以上「1536」未満である場合、第1メモリ部104に記憶されているフレームは、IEEE802.3に対応するものであり、出力ペイロード長の値に再構築情報の長さを加算した値を、分割済みEthernetフレームのT/Lフィールドの値として特定する。一方、フレーム生成部106は、T/Lフィールドの値が上記以外である場合は、T/Lフィールドの値を抽出して、分割済みEthernetフレームのT/Lフィールドの値として特定する。
そして、フレーム生成部106は、以上のようにして特定した値により、分割済みEthernetフレームのヘッダを生成する。
次に、フレーム生成部106は、再構築情報RCを生成して、この再構築情報RCを、以上のようにして生成されたヘッダに連結する。ここで、再構築情報RCのシーケンス番号RC3には、出力フレーム数の値が用いられる。
次に、フレーム生成部106は、第1メモリ部104に記憶されているEthernetフレームのペイロードに格納されているデータの内、未だステップS15で分割されていない部分の先頭から、出力ペイロード長に対応する長さのデータを分割して、この分割データを再構築情報RCの後に連結する。
次に、フレーム生成部106は、ここまでのデータのチェックサムをFCSとして、ここまでのデータに連結する。
以上により、フレーム生成部106は、分割済みEthernetフレームを生成する。
【0045】
そして、フレーム生成部106は、残ペイロード長から出力ペイロード長を減算して、残ペイロード長を更新するとともに、出力フレーム数を1つ減らすことで、出力フレーム数を更新する(ステップS16)。さらに、フレーム生成部106は、ステップS17において、出力フレーム数がゼロとなるまで、ステップS11〜S16の処理を繰り返す。
【0046】
図7は、図5に示されるフローチャートで生成される分割済みEthernetフレームを示す概略図である。ここでは、フレーム長算出部105により計測される入力フレーム長が337バイト、フレーム長指示部107により指示される指示フレーム長が128バイトであるものとする。
【0047】
図5のステップS10において、残ペイロード長は、319バイト、また、出力フレーム数は、4個となり、フレーム生成部106は、ステップS17にて出力フレーム数が「0」となるまで、ステップS11〜S16の処理を4回繰り返す。ステップS15において、4個生成される分割済みEthernetフレームの出力ペイロード長は、それぞれ79バイト、80バイト、80バイト及び80バイトとなる。このため、1回目に生成される分割済みEthernetフレームDF1のペイロードには、第1メモリ部104に記憶されたEthernetフレームEFのペイロードに格納されているデータから分割された79バイトの分割データDI1が格納され、分割済みEthernetフレームDF1のフレーム長は、101バイトとなる。そして、2〜4回目に生成される分割済みEthernetフレームDF2のペイロードには、第1メモリ部104に記憶されたEthernetフレームEFのペイロードに格納されているデータから分割された80バイトの分割データDI2〜DI4がそれぞれ格納され、分割済みEthernetフレームDF2〜DF4のフレーム長は、それぞれ102バイトとなる。
以上のように、フレーム生成部106は、入力されたEthernetフレームEFから、指示フレーム長128バイト以下の複数の分割済みEthernetフレームDF1〜DF4を生成することができる。
【0048】
ここで、Ethernetフレームの形式を規定する規格であるDIX及びIEEE802.3では、最短フレーム長が64バイトと規定され、拡張モジュール101の第1PHY部102及び第2PHY部109、並びにデータ送受信装置130のPHY部132では、この最短フレーム長に満たない長さのEthernetフレームは破棄される。従って、フレーム生成部106より生成される分割済みEthernetフレームのフレーム長が、64バイトを下回らないようにするため、ステップS11において算出される出力ペイロード長が、その下限値Pminである42(=64−22)バイト以上となるように出力フレーム数を決定する必要がある。なお、この下限値Pminは、最短フレーム長(=64バイト)から第2オーバーヘッド長OHo(=22バイト)を減算したものである。このため、フレーム長指示部107より指示される指示フレーム長は、下限値Pminの2倍に、第2オーバーヘッド長OHoを加算した、106(=42×2+22)バイト以上とする。なお、フレーム長指示部107より指示される指示フレーム長の上限については、特に規定されないが、例えば、Ethernetフレームのフレームサイズは、通常、64〜1518バイトとされているため、この範囲に含まれるよう、1518バイト以下であることが望ましい。但し、Ethernetフレームは、その最大フレームサイズである1518バイトを超えている場合でも、処理可能な場合があるため、指示フレーム長が、1518バイトを超えた値であってもよい。なお、図5のステップS10において、指示フレーム長は、除数となることから、指示フレーム長は、256バイト又は512バイト等のように「2」のべき乗となることが望ましい。
【0049】
次に、第2コネクタ部110から分割済みEthernetフレームが入力された場合の、拡張モジュール100の動作について説明する。
【0050】
第2コネクタ部110から入力された分割済みEthernetフレームは、第2PHY部109を経由して、記憶制御部112に与えられる。
【0051】
記憶制御部112は、受け取った分割済みEthernetフレームに含まれている再構築情報RCを、再構築情報識別子RC1により検出し、装置識別子RC2及びシーケンス番号RC3を抽出する。そして、記憶制御部112は、抽出された装置識別子RC2毎に、シーケンス番号を第3メモリ部112Aに記憶させるとともに、装置識別子RC2毎にEthernetフレームを再構築するため、装置識別子RC2毎に割り振るメモリ領域を第2メモリ部113に通知する。第2メモリ部113は、装置識別子RC2毎に、分割済みEthernetフレームに含まれるデータを記憶する。
【0052】
そして、記憶制御部112は、入力された分割済みEthernetフレームが、分割前のEthernetフレームのペイロードに含まれていたデータの先頭を含む分割先頭フレームであるか否かを判断する。例えば、分割先頭フレームであるか否かは、入力された分割済みEthernetフレームと同一装置識別子RC2が含まれている、一つ前に入力された分割済みEthernetフレームのシーケンス番号RC3が「1」であるか否かで判断される。同一装置識別子RC2が含まれている場合に、シーケンス番号RC3が「1」となった分割済みEthernetフレームが入力された後、次に入力される分割済みEthernetフレームは、必ず分割先頭フレームになる。
【0053】
記憶制御部112は、入力された分割済みEthernetフレームが、分割先頭フレームである場合には、第2メモリ部113に、入力された分割済みEthernetフレームのDAフィールド、SAフィールド及びT/Lフィールドに格納されている値を記憶させるとともに、入力された分割済みEthernetフレームのペイロードに格納されているデータの内、再構築情報RCを除いた部分のデータを記憶させる。一方、記憶制御部112は、入力された分割済みEthernetフレームが、分割先頭フレームではなく、分割前のEthernetフレームのペイロードに含まれていたデータの先頭を含まない分割後続フレームである場合には、第2メモリ部113に、入力された分割済みEthernetフレームのペイロードに格納されているデータの内、再構築情報RCを除いた部分のデータを、既に記憶されているデータに続けて記憶させる。ここで、再構築情報RCは、拡張モジュール100において追加された情報であるため、データ端末161、162への出力は行われない。再構築情報RCは、DA、SA及びT/Lフィールドに続く入力順序と、再構築情報識別子RC1とにより検出可能であるため、再構築情報RCは、第2メモリ部113への書込み対象外となる。また、分割済みEthernetフレームと、再構築済みEthernetフレームとでは、フレーム内のデータの内容が変更されるため、FCSも書込み対象外となる。
【0054】
次に、記憶制御部112は、第2メモリ部113に記憶されたデータからEthernetフレームを再構築できるか否かを判断する。例えば、入力された分割済みEthernetフレームが、分割前のEthernetフレームのペイロードに含まれていたデータの最後尾を含む最後尾フレームである場合には、第2メモリ部113に記憶されたデータからEthernetフレームを再構築することができる。ここで、入力された分割済みEthernetフレームに含まれているシーケンス番号RC3が「1」である場合には、入力された分割済みEthernetフレームが、最後尾フレームとなる。そして、記憶制御部112は、入力された分割済みEthernetフレームに含まれているシーケンス番号RC3が「1」である場合には、入力された分割済みEthernetフレームに含まれているデータを第2メモリ部113に記憶させるとともに、シーケンス番号RC3が「1」となった装置識別子RC2を再構築フレーム読出部114に通知する。このような通知により、記憶制御部112は、この装置識別子RC2に割り振られているメモリ領域に記憶されているデータを第2メモリ部113より読み出すよう、再構築フレーム読出部114に指示する。
【0055】
なお、記憶制御部112は、入力された分割済みEthernetフレームに含まれているシーケンス番号RC3を装置識別子RC2毎に記憶する際に、このシーケンス番号RC3が、「1」ではなく、かつ、同一装置識別子RC2において既に記憶されているシーケンス番号から「1」を減算した値ではない場合には、連続した分割後続フレームではないと判断する。そして、記憶制御部112が連続した分割後続フレームではないと判断した場合は、通信エラー等により、拡張モジュール100により生成された分割済みEthernetフレームが、他の拡張モジュール100に到達するまでの間に消失したことを意味する。このため、記憶制御部112は、次に分割先頭フレームが入力されるまで、この装置識別子RC2に対応する分割済みEthernetフレームから抽出されるデータを第2メモリ部113に記憶させる処理を中止する。例えば、記憶制御部112は、この装置識別子RC2に対応して、第2メモリ部113に既に記憶されているデータを破棄するとともに、この装置識別子RC2において、シーケンス番号が「1」である分割済みEthernetフレームが入力されるまでの期間、この装置識別子RC2に対応するデータを第2メモリ部113に記憶させないようにする。
【0056】
次に、再構築フレーム読出部114は、記憶制御部112から通知された装置識別子RC2に割り振られているメモリ領域に記憶されているデータを第2メモリ部113より読み出す。ここで読み出されるデータは、入力された分割済みEthernetフレームの分割先頭フレームのDA、SA及びT/Lフィールドの値と、分割先頭フレームから最後尾フレームまでの(分割先頭フレームが最後尾フレームである場合には、分割先頭フレームの)ペイロードに格納されたデータの内、再構築情報RCを除いた部分のデータである。
そして、再構築フレーム読出部114は、読み出されたデータの内、T/Lフィールドの値が「0」以上「1536」未満である場合には、このフレームはIEEE802.3に対応したものであるため、読み出されたデータの長さからDA、SA及びT/Lフィールドの長さを減算した値を算出し、算出した値をT/Lフィールドに格納されている値と差し換える。
さらに、再構築フレーム読出部114は、読み出されたデータの最後に、データのチェックサムをFCSとして付与することにより、Ethernetフレームを再構築する。
そして、再構築フレーム読出部114は、再構築済みEthernetフレームを、第1PHY部102及び第1コネクタ部101を経由して、データ端末161、162に転送する。
【0057】
以上のように、拡張モジュール100によれば、Ethernetフレームから、指示フレーム長と等しい、又は指示フレーム長以下の分割済みEthernetフレームを生成し、この分割済みEthernetフレームを出力するため、イーサネット規格に対応した部品を使用しているデータ送受信装置130に、Ethernetフレームの分割機能を容易に追加することができる。
【0058】
また、拡張モジュール100によれば、分割済みEthernetフレームを受信することにより、Ethernetフレームを再構築することができるため、イーサネット規格に対応した部品を使用しているデータ送受信装置130に、Ethernetフレームの結合機能を容易に追加することができる。
【0059】
さらに、拡張モジュール100では、最初に分割フレーム数を求めた後、残ペイロード長を分割フレーム数で除算することにより、出力ペイロード長を決定しているため、分割済みEthernetフレームの長さを均等にすることができる。
【0060】
さらにまた、拡張モジュール100では、指示フレーム長を106バイト以上とすることにより、イーサネットの規格に基づいて、最短フレーム長以上のEthernetフレームを常に生成することができる。
【0061】
加えて、再構築情報RCに連続したシーケンス番号RC3が付与されているため、拡張モジュール100は、分割済みEthernetフレーム群の一部が消失したことを検知することができ、一部のデータが欠落したEthernetフレームをデータ端末161、162に転送してしまうことを防止することができる。
【0062】
実施の形態2.
図1に示すように、実施の形態2に係る拡張モジュール200は、第1コネクタ部101と、第1PHY部102と、第1メモリ部104と、フレーム長算出部105と、フレーム生成部206と、フレーム長指示部107と、第2PHY部109と、第2コネクタ部110と、記憶制御部112と、第2メモリ部113と、再構築フレーム読出部114とを備える。実施の形態2に係る拡張モジュール200は、フレーム生成部206での処理において、実施の形態1に係る拡張モジュール100と異なっている。なお、実施の形態2においては、第1メモリ部104、フレーム長算出部105、フレーム生成部206及びフレーム長指示部107により、分割部208が構成される。
【0063】
実施の形態2におけるフレーム生成部206は、フレーム長算出部105で計測された入力フレーム長と、フレーム長指示部107から指示された指示フレーム長とから、出力フレーム長を算出するが、出力フレーム長の算出方法において、実施の形態1と異なっている。そして、フレーム生成部206は、実施の形態1と同様に、第1メモリ部104に記憶されているEthernetフレームを分割して、分割済みEthernetフレームを生成する。
【0064】
図8は、フレーム生成部206が分割済みEthernetフレームを生成する際の処理を示すフローチャートである。なお、図8においては、実施の形態1における図5のフローチャートと同じ処理については、図5のフローチャートと同じ符号が付されている。
【0065】
まず、フレーム生成部206は、残ペイロード長及び出力フレーム数を算出する(S20)。例えば、フレーム生成部206は、フレーム長算出部105が計測した入力フレーム長から、第1オーバーヘッド長OHi及び出力ペイロード長の下限値Pminを減じることにより算出される値を、残ペイロード長とする。なお、出力ペイロード長の下限値Pminは、上述したように、42(=64−22)バイトである。また、フレーム生成部206は、フレーム長算出部105が計測した入力フレーム長から、第1オーバーヘッド長OHiを減じることで第1の値を算出する。さらに、フレーム生成部206は、指示フレーム長から第2オーバーヘッド長OHoを減じることで部分ペイロード長を算出する。そして、フレーム生成部206は、算出された第1の値を、算出された部分ペイロード長で除算し、小数点以下の端数を切り上げた値により、出力フレーム数を算出する。
【0066】
次に、フレーム生成部206は、出力フレーム数が「1」であるか否かを判断する(S21)。出力フレーム数が「1」である場合には、ステップS15で生成される分割済みEthernetフレームが最後尾フレームとなる。そして、フレーム生成部206は、出力フレーム数が「1」ではない場合(ステップS21でNo)には、ステップS22の処理に進み、出力フレーム数が「1」である場合(ステップS21でYes)には、ステップS23の処理に進む。
【0067】
ステップS22では、フレーム生成部206は、残ペイロード長の値、及び指示フレーム長から第2オーバーヘッド長OHoを減じた値の内、小さい方の値を選択して、出力ペイロード長とする。そして、フレーム生成部206は、ステップS15の処理に進む。
【0068】
ステップS23では、ステップS15で生成される分割済みEthernetフレームが最後尾フレームとなるため、ステップS20において予め減算しておいた、出力ペイロード長の下限値Pminを、残ペイロード長に加算した値を出力ペイロード長とする。そして、フレーム生成部206は、ステップS15の処理に進む。
【0069】
ステップS15〜S17の処理は、図5において、同一の符号が付されている処理と同じである。但し、ステップS17において、「No」と判断された場合には、ステップS21の処理に戻る。
【0070】
図9は、図8に示されるフローチャートで生成される分割済みEthernetフレームを示す概略図である。図9においても、図7と同様に、入力フレーム長は、337バイトであり、指示フレーム長は、128バイトであるものとする。
【0071】
図9のステップS10において、残ペイロード長は、319バイトから、出力フレーム長の下限値42バイトを減算した277バイトとなり、また、出力フレーム数は、4個となる。フレーム生成部106は、ステップS17にて出力フレーム数が「0」となるまで、ステップS21〜S16の処理を4回繰り返す。ステップS15において、4個生成される分割済みEthernetフレームの出力ペイロード長は、それぞれ106バイト、106バイト、65バイト及び42バイトとなる。このため、1回目及び2回目に生成される分割済みEthernetフレームDF21、DF22のペイロードには、第1メモリ部104に記憶されたEthernetフレームEFのペイロードに格納されているデータから分割された106バイトの分割データDI21、DI22がそれぞれ格納され、分割済みEthernetフレームDF21、DF22のフレーム長は、それぞれ128バイトとなる。また、3回目に生成される分割済みEthernetフレームDF23のペイロードには、第1メモリ部104に記憶されたEthernetフレームEFのペイロードに格納されているデータから分割された65バイトの分割データDI23が格納され、分割済みEthernetフレームDF23のフレーム長は、87バイトとなる。さらに、4回目に生成される分割済みEthernetフレームDF24のペイロードには、第1メモリ部104に記憶されたEthernetフレームEFのペイロードに格納されているデータから分割された42バイトの分割データDI24が格納され、分割済みEthernetフレームDF24のフレーム長は、42バイトとなる。
以上のように、フレーム生成部206は、入力されたEthernetフレームEFから、指示フレーム長128バイト以下の複数の分割済みEthernetフレームDF21〜DF24を生成することができる。
【0072】
なお、実施の形態2においても、拡張モジュール200が、Ethernetフレームの最短フレーム長に満たない分割済みEthernetフレームを生成しないように、実施の形態1と同様に指示フレーム長は、106バイト以上となるように設定される。
【0073】
以上のように、実施の形態2における拡張モジュール200は、分割済みEthernetフレームを生成する毎に、残ペイロード長と、再構築情報を追加することで指示フレーム長となる出力ペイロード長の上限値との小さい方の値を選択して、出力ペイロード長とするので、指示フレーム長と等しい、又は指示フレーム長以下の分割済みEthernetフレームを出力することができる。
【0074】
また、実施の形態2では、入力ペイロード長から出力ペイロード長の下限値を予め控除しておき、残ペイロード長に出力ペイロード長の下限値を加算した値を最後尾フレームの出力ペイロード長とすることにより、最後尾フレームが、Ethernetにおける最短フレーム長未満となることを防ぐことができる。
【0075】
以上に記載した実施の形態1及び2に係る拡張モジュール100、200においては、フレーム長指示部107が、指示フレーム長をフレーム生成部106、206に通知するように構成されているが、例えば、フレーム生成部106、206が、フレーム長記憶部107Aから、指示フレーム長を読み出すように構成することもできる。このような場合には、フレーム長指示部107は必要なく、フレーム長記憶部107Aがあればよい。
【0076】
実施の形態3.
図10は、実施の形態3に係る拡張モジュール300の機能構成を概略的に示すブロック図である。ここで、実施の形態3に係る拡張モジュール300は、基地局151と加入者局152をそれぞれ構成するデータ送受信装置330間において送受信されるデータの伝播状態に応じて、基地局151にて最大フレーム長を決定する。そして、加入者局152を構成する拡張モジュール300は、基地局151にて決定された最大フレーム長に応じて、分割済みEthernetフレームを生成することにより、基地局151と加入者局152間の通信プロトコルに依存することなく、帯域の利用効率を向上させることができる。
【0077】
図10に示すように、拡張モジュール300は、第1コネクタ部101と、第1PHY部102と、第1メモリ部104と、フレーム長算出部105と、フレーム生成部306と、コマンドデコード部316と、第2PHY部109と、第2コネクタ部110と、記憶制御部112と、第2メモリ部113と、再構築フレーム読出部114とを備える。実施の形態3に係る拡張モジュール300は、フレーム生成部306での処理の点、及びフレーム長指示部107の代わりにコマンドデコード部316が設けられている点において、実施の形態1に係る拡張モジュール100と異なっている。なお、実施の形態3においては、第1メモリ部104、フレーム長算出部105、フレーム生成部306及びコマンドデコード部316により分割部308が構成される。
【0078】
実施の形態3におけるフレーム生成部306は、フレーム長算出部105で計測された入力フレーム長と、コマンドデコード部316より指示された指示フレーム長とから、出力フレーム長を算出する。出力フレーム長の算出方法は、実施の形態1と同様であるが、実施の形態2と同様の方法としてもよい。そして、フレーム生成部306は、実施の形態1と同様に、第1メモリ部104に記憶されているEthernetフレームを分割して、分割済みEthernetフレームを生成する。
【0079】
コマンドデコード部316は、第2PHY部109より、最大フレーム長を通知するEthernetフレームを取得して、このEthernetフレームで通知される最大フレーム長を、指示フレーム長としてフレーム長記憶部316Aに記憶させる。そして、コマンドデコード部316は、フレーム長記憶部316Aに記憶されている指示フレーム長をフレーム生成部306に通知する。
【0080】
次に、実施の形態3におけるデータ送受信装置330について説明する。図2に示すように、データ送受信装置330は、コネクタ部131と、PHY部132と、MAC部333と、変復調部134と、変換部135と、メモリ部136とを備える。実施の形態3におけるデータ送受信装置330は、MAC部333での処理において、実施の形態1におけるデータ送受信装置130と異なっている。
【0081】
実施の形態3におけるMAC部333は、実施の形態1におけるMAC部133と同様の処理を行うほか、基地局151に備えられているデータ送受信装置330のMAC部333は、最大フレーム長を算出して、この最大フレーム長を加入者局152に備えられているデータ送受信装置330に通知する処理を行う。
例えば、基地局151に備えられているデータ送受信装置330のMAC部333は、データ割当通知及び要求割当通知等の通信周期に必要なオーバーヘッドと、データ伝搬状態とから、上りデータに割り当てることのできる最大データ長を算出し、この最大データ長を定数1/K(Kは任意の整数)倍した値を、最大フレーム長とする。具体的には、MAC部333は、下りデータ割当通知、上り要求割当通知、上りデータ割当通知のように、データを送受信するために必要な要求及び通知を送受信する期間を通信周期から除き、データの送受信のみに使用できる時間Tを求める。次に、MAC部333は、変復調部134より、一定時間(単位時間)に復調されるデータ量Bを取得して、T×Bの値をバイト換算した値を上りデータに割り当てることができる最大データ長とする。
なお、MAC部333は、最大データ長を、通信周期毎に算出してもよく、予め定められた期間が経過する毎に算出してもよい。また、以上のようにして算出した最大データ長と、前回算出した最大データ長との差分が、予め定められた閾値以上である場合に、最大フレーム長を加入者局152に通知してもよい。
【0082】
なお、基地局151に備えられているデータ送受信装置330のMAC部333は、例えば、下りデータ割当通知を利用して、最大フレーム長を、加入者局152に備えられているデータ送受信装置330に通知する。例えば、下りデータ割当通知に最大フレーム長を含めて、データ送受信装置330に通知する。
【0083】
一方、加入者局152に備えられているデータ送受信装置330のMAC部333は、最大フレーム長の通知を受けると、この最大フレーム長を通知するEthernetフレームを生成する。そして、このMAC部333は、生成されたEthernetフレームを、PHY部132及びコネクタ部131から拡張モジュール300に送信させる。
【0084】
図11は、最大フレーム長を通知するEthernetフレームMEFを示す概略図である。DAフィールドMEF1には、コネクタ部131に連結されている拡張モジュール300のMACアドレス、SAフィールドMEF2には、加入者局152に備えられているデータ送受信装置330のMACアドレスが格納される。なお、図11に示されるEthernetフレームMEFは、データ送受信装置330のPHY部132及び拡張モジュール300の第2PHY部109を経由するため、最短フレーム長規格を満たす必要がある。このため、MAC部333は、DAフィールドMEF1からFCSフィールドMEF6までの長さが64バイトとなるよう、最大フレーム長MEF4以降を、例えばゼロ値でパディングする。
【0085】
以上のようなEthernetフレームMEFを受信した拡張モジュール300では、コマンドデコード部316が、EternetフレームMEFのDAフィールドMEF1に格納されているMACアドレスを識別して、格納されている最大フレーム長MEF4を読み取る。
【0086】
実施の形態3においては、基地局151と加入者局152とをそれぞれ構成するデータ送受信装置330間で送受信されるデータの伝播状態が変化することにより、通信周期内に通信できるデータ量が増減した場合、基地局151を構成するデータ送受信装置330は、下りデータ割当通知にて、最大フレーム長を変更して、加入者局152を構成するデータ送受信装置330に通知する。このため、加入者局152を構成するデータ送受信装置330より送信される上りデータに含まれる分割済みEthernetフレームの長さを変更でき、伝播状態に応じた通信が継続できる。
【0087】
実施の形態3においては、DAフィールドMEF1に拡張モジュール300のMACアドレスを格納することにより、最大フレーム長を通知するEthernetフレームMEFであることを識別することができるようにしているが、このような例に限定されるものではなく、例えば、EthernetフレームMEFのペイロードに最大フレーム長が格納されていることを示す識別情報を格納するようにしてもよい。
【0088】
また、実施の形態3においては、基地局151を構成するデータ送受信装置330のMAC部333が最大フレーム長を算出して、算出された最大フレーム長を加入者局152を構成するデータ送受信装置330に通知するようにしているが、例えば、基地局151を構成するデータ送受信装置330のMAC部333が、基地局151を構成する拡張モジュール300にも、最大フレーム長を通知するようにしてもよい。
【0089】
さらに、実施の形態3に係る拡張モジュール300では、コマンドデコード部316が、指示フレーム長をフレーム生成部306に通知するように構成されているが、フレーム生成部306が、フレーム長記憶部316Aから指示フレーム長を読み出すように構成してもよい。
【0090】
なお、以上の実施の形態1〜3におけるデータ送受信装置130、330は、TDMA方式を採用しているが、これに限らず、例えば、CSMA方式等の通信アクセス方式を採用することもできる。
【0091】
また、拡張モジュール100〜300において、フレーム生成部106、305の出力をデータ送受信装置130、330のMAC部133、333に直結するとともに、MAC部133、333の出力を、拡張モジュール100、200の記憶制御部112及び第2メモリ部113、又は拡張モジュール300の記憶制御部112、第2メモリ部113及びコマンドデコード部316に直結することにより、データ送受信装置130、330のPHY部132及びコネクタ部131、並びに拡張モジュール100〜300の第2コネクタ部110及び第2PHY部109を省略することができる。
【0092】
以上に記載した実施の形態1〜3に係る拡張モジュール100〜300においては、フレーム長算出部105は、第1メモリ部104に記憶されるEthernetフレームのFCSを除いた部分のフレーム長を計測しているが、例えば、EthernetフレームのFCSを含んだ部分のフレーム長を計測するようにしてもよい。このような場合には、第1オーバーヘッド長OHiは、第1メモリ部104に記憶されたEthernetフレームのDAフィールド、SAフィールド、T/Lフィールド、及びFCSフィールドのそれぞれのデータ長の加算値であればよい。
【0093】
以上に記載した実施の形態1〜3に係る拡張モジュール100〜300において、第1通信部103が指示フレーム長以下のEthernetフレームを受信した場合には、分割部108〜308は、このようなEthernetフレームから、分割済みEthernetフレームを生成せずに、このようなEthernetフレームをそのまま、第2通信部111からデータ送受信装置130、330に送信するようにしてもよい。そして、第2通信部111を介して、再構築情報RCが含まれていないEthernetフレームを受信した拡張モジュール100〜300では、再構築部115は、このようなEthernetフレームをそのまま、第1通信部103からデータ端末161、162に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100,200,300:拡張モジュール、 101:第1コネクタ部、 102:第1PHY部、 103:第1通信部、 104:第1メモリ部、 105:フレーム長算出部、 106,206,306:フレーム生成部、 107:フレーム長指示部、 107A:フレーム長記憶部、 108,208,308:分割部、 109:第2PHY部、 110:第2コネクタ部、 111:第2通信部、 112:記憶制御部、 113:第2メモリ部、 114:再構築フレーム読出部、 115:再構築部、 316:コマンドデコード部、 316A:フレーム長記憶部、 130,330:データ送受信装置、 131:コネクタ部、 132:PHY部、 133,333:MAC部、 134:変復調部、 135:変換部、 136:メモリ部、 151:基地局、 152:加入者局、 161,162:データ端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたデータ送受信装置と、当該データ送受信装置を介して前記ネットワークとの通信を行うデータ端末と、の間に設けられる拡張モジュールであって、
前記データ端末に接続される第1通信部と、
前記データ送受信装置に接続される第2通信部と、
前記データ端末から出力され、前記第1通信部において受信されたフレームのペイロードに格納されているデータを分割することにより、前記第2通信部から出力されるフレームの最大フレーム長である指示フレーム長以下のフレーム長を有する分割済みフレームを生成し、当該分割済みフレームを、前記第2通信部を介して、前記データ送受信装置に出力する分割部と、
を備えることを特徴とする拡張モジュール。
【請求項2】
前記分割部は、
前記受信されたフレームを記憶する第1記憶部と、
前記受信されたフレームの少なくともペイロードを含む部分のデータ長を入力フレーム長として計測するフレーム長算出部と、
前記指示フレーム長を記憶するフレーム長記憶部と、
フレーム生成部と、を備え、
前記フレーム生成部は、
前記入力フレーム長から、前記受信されたフレームのペイロード長を算出する第1ペイロード長算出処理と、
前記受信されたフレームのペイロード長を残ペイロード長とする残ペイロード長特定処理と、
前記指示フレーム長から、前記分割済みフレームのペイロード長を算出する第2ペイロード長算出処理と、
前記分割済みフレームのペイロード長より、前記分割済みフレームからフレームを再構築するために必要な再構築情報のデータ長を減算した部分ペイロード長を算出する部分ペイロード長算出処理と、
前記受信されたフレームのペイロード長を、前記部分ペイロード長で除算し、小数点以下の値を切り上げることにより、出力フレーム数を特定する出力フレーム数特定処理と、
前記残ペイロード長を前記出力フレーム数で除算した第1除算値に剰余がない場合には、当該第1除算値を出力ペイロード長とし、当該第1除算値に剰余があり、かつ、前記残ペイロード値から当該第1除算値の整数部分を減算した値を、出力フレーム数から1を減算した値で除算した第2除算値が、前記部分ペイロード長よりも小さい場合には、当該第1除算値の整数部分を出力ペイロード長とし、当該第1除算値に剰余があり、かつ、当該第2除算値が前記部分ペイロード長以上の場合には、当該第1除算値の整数部分に1を加算した値を出力ペイロード長とする出力ペイロード長特定処理と、
前記受信されたフレームのペイロードから、前記出力ペイロード長のデータを分割データとして取得する分割データ取得処理と、
前記再構築情報であることを示す再構築情報識別子、前記データ送受信装置から送信されたことを識別するための装置識別子、及び、前記出力フレーム数を示すシーケンス番号を含む前記再構築情報と、前記分割データとをペイロードに含む前記分割済みフレームを生成する分割処理と、
前記出力フレーム数から1を減算することで、前記出力フレーム数を更新し、前記残ペイロード長から前記出力ペイロード長を減算することで、前記残ペイロート長を更新する更新処理と、を行い、
前記フレーム生成部は、前記出力フレーム数が0となるまで、前記出力ペイロード長特定処理、前記分割データ取得処理、前記分割処理及び前記更新処理を繰り返すこと
を特徴とする請求項1に記載の拡張モジュール。
【請求項3】
前記分割部は、
前記受信されたフレームを記憶する第1記憶部と、
前記受信されたフレームの少なくともペイロードを含む部分のデータ長を入力フレーム長として計測するフレーム長算出部と、
前記指示フレーム長を記憶するフレーム長記憶部と、
フレーム生成部と、を備え、
前記フレーム生成部は、
前記入力フレーム長から、前記受信されたフレームのペイロード長を算出する第1ペイロード長算出処理と、
Ethernetの規格で定められた最短フレームにおけるペイロード長から、前記分割済みフレームからフレームを再構築するために必要な再構築情報のデータ長を減算した下限値を算出し、前記受信されたフレームのペイロード長から、当該下限値を減算した値を残ペイロード長とする残ペイロード長特定処理と、
前記指示フレーム長から、前記分割済みフレームのペイロード長を算出する第2ペイロード長算出処理と、
前記分割済みフレームのペイロード長より、前記再構築情報のデータ長を減算した部分ペイロード長を算出する部分ペイロード長算出処理と、
前記受信されたフレームのペイロード長を、前記部分ペイロード長で除算し、小数点以下の値を切り上げることにより、出力フレーム数を特定する出力フレーム数特定処理と、
前記出力フレーム数が1ではない場合には、前記残ペイロード長及び前記部分ペイロード長の何れか小さい方の値を出力ペイロード長とし、前記出力フレーム数が1である場合には、前記残ペイロード長に、前記下限値を加算した値を出力ペイロード長として特定する出力ペイロード長特定処理と、
前記受信されたフレームのペイロードから、前記出力ペイロード長のデータを分割データとして取得する分割データ取得処理と、
前記再構築情報であることを示す再構築情報識別子、前記データ送受信装置から送信されたことを識別するための装置識別子、及び、前記出力フレーム数を示すシーケンス番号を含む前記再構築情報と、前記分割データとをペイロードに含む前記分割済みフレームを生成する分割処理と、
前記出力フレーム数から1を減算することで、前記出力フレーム数を更新し、前記残ペイロード長から前記出力ペイロード長を減算することで、前記残ペイロート長を更新する更新処理を行うフレーム生成部と、を行い、
前記フレーム生成部は、前記出力フレーム数が0となるまで、前記出力ペイロード長特定処理、前記分割データ取得処理、前記分割処理及び前記更新処理を繰り返すこと
を特徴とする請求項1に記載の拡張モジュール。
【請求項4】
前記フレーム生成部は、前記分割処理において
前記再構築情報及び前記分割データを含むペイロードに、前記受信されたフレームのヘッダを追加し、さらに、FCSを追加することで、前記分割済みフレームを生成すること
を特徴とする請求項2又は3に記載の拡張モジュール。
【請求項5】
前記フレーム生成部は、前記ヘッダのType/Lengthフィールドに、データサイズが格納されている場合には、前記分割済みフレームのペイロードのデータサイズを当該Type/Lengthフィールドに格納すること
を特徴とする請求項4に記載の拡張モジュール。
【請求項6】
前記分割済みフレームは、Ethernetの規格で定められた最短フレーム長以上のフレーム長を有すること
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の拡張モジュール。
【請求項7】
前記分割済みフレームがEthernetの規格で定められた最短フレーム長以上のフレーム長となるように、前記指示フレーム長を予め定められた値以上とすること、
を特徴とする請求項6に記載の拡張モジュール。
【請求項8】
前記データ送受信装置が出力し、前記第2通信部において受信された分割済みフレームのペイロードに格納されている分割データを結合し、当該結合された分割データをペイロードに含む再構築済みフレームを生成し、当該再構築済みフレームを、前記第1通信部を介して、前記データ端末に出力する再構築部をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の拡張モジュール。
【請求項9】
記憶制御部と、
前記記憶制御部の指示に応じて、前記第2通信部において受信された分割済みフレームに含まれているデータを、前記受信された分割済みフレームに格納されている再構築情報に含まれている装置識別子毎に記憶する第2メモリ部と、
前記第2メモリ部からデータを読み出して、再構築済みフレームを生成し、当該再構築済みフレームを、第1通信部を介して、前記データ端末に出力する再構築フレーム読出部と、を備え、
前記記憶制御部は、
前記受信された分割済みフレームが、分割前のフレームのペイロードに含まれていたデータの先頭を含む分割先頭フレームである場合には、前記受信された分割済みフレームのヘッダ、及び、前記受信された分割済みフレームのペイロードに含まれている分割データを前記第2メモリ部に記憶させ、前記受信された分割済みフレームが、前記分割先頭フレームではない場合には、前記受信された分割済みフレームのペイロードに含まれている分割データを前記第2メモリ部に記憶させる処理と、
前記受信された分割済みフレームが、分割前のフレームのペイロードに含まれていたデータの最後尾を含む最後尾フレームである場合に、前記受信された分割済みフレームに格納されている再構築情報に含まれている装置識別子を、前記再構築フレーム読出部に通知する処理と、を行い、
前記再構築フレーム読出部は、
前記記憶制御部より通知された装置識別子に対応するデータを、前記第2メモリ部より読み出し、当該読み出されたデータにFCSを追加することで、前記再構築済みフレームを生成すること
を特徴とする請求項2から5の何れか一項に記載の拡張モジュール。
【請求項10】
前記前記再構築フレーム読出部は、前記読み出されたデータに含まれるヘッダのType/Lengthフィールドに、データサイズが格納されている場合には、前記第2メモリ部より読み出されたデータに含まれる分割データのデータサイズを当該Type/Lengthフィールドに格納すること
を特徴とする請求項9に記載の拡張モジュール。
【請求項11】
前記記憶制御部は、
前記受信された分割済みフレームが、前記分割後続フレームである場合に、前記受信された分割済みフレームに格納されている再構築情報に含まれているシーケンス番号が連続していないときには、当該再構築情報に含まれている装置識別子に対応するデータを前記第2メモリ部より消去するとともに、当該装置識別子に対応する分割先頭フレームが受信されるまで、当該装置識別子に対応する分割済みフレームに含まれているデータを前記第2メモリ部に記憶させないこと
を特徴とする請求項9又は10に記載の拡張モジュール。
【請求項12】
前記分割部は、
前記第2通信部が、前記データ送受信装置から、前記最大フレーム長を通知するフレームを受信した場合に、当該フレームから前記最大フレーム長を抽出し、前記抽出された最大フレーム長を前記指示フレーム長として、前記フレーム長記憶部に記憶させるコマンドデコード部をさらに備えること
を特徴とする請求項2から5の何れか一項に記載の拡張モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−134800(P2012−134800A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285677(P2010−285677)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】