説明

拡張型ねじ式接続部とその製造方法

拡張型ねじ式接続部とその製造方法
拡張型ねじ式接続部は、第1と第2のねじ領域(21、22)と、突出隣接面(41a)を含む第1環状トング(41)と第1凹面(43)を備える挿入領域(25)と、を備える雄型端部(1)を備える第1管状コンポーネント;第3と第4のねじ領域(23、24)と、突出隣接面(42a)を含む第2環状トング(42)と第2凹面(44)を備える挿入領域(26)と、を備える雌型端部(2)を備える第2管状コンポーネント;第1と第2のトング(41、42)は各々、組立状態で第2と第1の凹面(44、43)に係合すること、少なくとも一方のトングの隣接面が少なくとも1の凹面と接触すること、雄型端部(1)は第1ねじ領域と第1トングとの間に第1表面(47)を備えること及び雌型端部は第3ねじ領域と第2凹面との間に第2表面(48)を備えること;及び前記第1と第2の表面(47、48)は、組立状態で大きな半径寸法領域(49)と小さな半径寸法領域(50)を備える環状空間を画定し、この管状空間が、拡張後にメタル-メタル接触封止(60)を形成すること及び第1トング(41)が第2トング(42)と連関すること、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、炭化水素等の坑井、例えば地熱井に用いられる、管状コンポーネントの緊密接続部の分野に関する。当該接続部は掘削又は作業中に高い圧縮応力及び引張応力を受けるが壊れてはならない。また、接続部は、内部又は外部の流体圧応力及び曲げやねじり荷重又はこれらの組み合わせを受けるが、強度が変動したり、頻度も変化したりする。緊密性は、負荷や過酷な現場の条件にかかわらず確保されなければならない。
【背景技術】
【0002】
長年、管はそのままで永久塑性変形を起こすように直径方向に拡張されてきた。接続部は、当該接続部が管と共に直径方向に拡張されて塑性変形しても動作を続けなければならない。塑性が直径に拡張した後、ねじ式接続部は、当該接続部が評価される本質的な特性を維持しながら、外部または内部の加圧の存在に関係なく、特に機械的張力/圧縮挙動並びに緊密性を保つことが望まれる。
【0003】
出願人の特許文献1は、「S」字の上部と下部の半径方向にある隙間S形状プロファイルと凹面内で各々係合する2つのトングを備える接続部を提案する。組立終期では、トングの実質的な半径方向表面と実質的な円筒状表面の間が接触して、前記の実質的な円筒状表面間が互いに向き合う。直径方向に拡張中、トングの一方は他方に対して傾倒して、接続部の緊密性が補強される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】FR2834326
【特許文献2】FR1489013
【特許文献3】EP488912
【特許文献4】US4494777
【特許文献5】WO93/25799
【特許文献6】WO98/00626
【特許文献7】WO99/06670
【特許文献8】WO99/35368
【特許文献9】WO00/61915
【特許文献10】GB2344606
【特許文献11】GB2348657
【特許文献12】US5924745
【特許文献13】WO98/42947
【特許文献14】WO2005/064219
【特許文献15】US6409175
【特許文献16】US2006/162937
【特許文献17】US2007/10297
【特許文献18】WO2006/47685
【特許文献19】WO2007/16074
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は当該状態を改良したもので、拡張作用が高い場合(特に、15%を超える場合)、実際には、圧縮拡張作用の緊密性が改良された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
拡張型ねじ式接続部は、炭化水素坑井や地熱井の探査や開発で用いられてよい。拡張型接続部は、外周表面に配置される第1と第2のねじ領域と、第1と第2のねじ領域との間に設けられる挿入領域とを含む雄型端部を備える第1管状コンポーネントを備える。挿入領域は、突出隣接面を備える第1環状トングと前記第1トングに隣接しかつ、それから後退した第1凹面とを備える。
【0007】
拡張型ねじ式接続部は、内周表面上に配置される第3と第4のねじ領域と、前記第3と第4のねじ領域との間に設けられる挿入領域とを含む雌型端部を備える第2管状コンポーネントを備える。挿入領域は、突出隣接面を備える第2環状トングと前記第2トングに隣接し、かつ、それから後退した第2凹面とを備える。雄型端部の第1と第2のねじ領域は、雌型端部と組み立てるため、雌型端部の第3と第4のねじ領域と一致する。当該ねじ領域は各々雄型と雌型のねじ山を備える。第1と第2のトングは組立状態で第1と第2の凹面に各々係合し、第1と第2のトングの少なくとも1の隣接面は少なくとも第2又は第1の凹面と接触する。雄型端部は第1ねじ領域と第1トングとの間に第1表面を備え、雌型端部は第3ねじ領域と第2凹面との間に第2表面を備える。前記第1と第2の表面は、組立状態で第1と第3ねじの領域側に半径が大きい領域と第1トングと第2凹面側に半径が小さい領域を備える環状空間を画定する。半径が小さい領域は、拡張後のメタル-メタル接触による封止を形成しうる。第1トングは第2トングと連関する。
【0008】
半径が大きい領域は、前記トング間のメタル-メタル封止を接触させるため、拡張中に雄型端部の変形を促進し、第1トングの第2トングへの傾倒を促進する。半径が小さい領域は、直径の拡張の開始から第1と第2の表面の間にメタル-メタル封止を形成することができる。
【0009】
1の実施の形態では、第1トングと第1凹面との間に配置される雄型端部の表面と、第2トングと第2凹面との間に配置される雌型端部の表面とは、組立状態で接触する。前記表面の軸方向の長さは、前記第1と第2の表面の軸方向長さと比べると比較的短い。
【0010】
1の実施の形態では、雄型端部の第1表面は突出する。雄型端部の第1表面は、軸部分で第1ねじ領域に近接する凹部と第1トングに近接する凸部を備えてよい。
【0011】
1の実施の形態では、雄型端部の第1表面の最大直径は、第1ねじ領域から当該長さの1/3と2/3の間、好ましくは、1/2と2/3の間に位置する。
【0012】
1の実施の形態では、第1トングに近接する雄型端部の第1表面の直径は、第1ねじ領域に近接するその直径より長い。
【0013】
1の実施の形態では、メタル-メタル接触封止は、雄型端部の第1トングに近接する突出部分により形成される。先細り部分は雌型端部の第2凹面に近接して設けられてよい。
【0014】
1の実施の形態では、雄型端部の第1表面は第1トングの近くで先細りになる。雌型端部の第2表面は第2凹面の近くで先細りになってよい。
【0015】
1の実施の形態では、第1と第3のねじ領域側の半径が大きい領域は、内部先細り表面と円弧状の外部表面との間に画定される。
【0016】
他の実施の形態では、半径が大きい前記領域は、円弧状の内部表面と先細りの外部表面との間に画定される。他の実施の形態では、半径が大きい前記領域は、円弧状の2つの表面の間に画定される。
【0017】
1の実施の形態では、第1トング側と第2凹面側の半径が小さい領域の半径はゼロ寸法である。場合によっては、干渉部が設けられる。つまり、組立中に雄型端部と雌型端部との間が接触する。初めから直径拡張により、雄型端部の第1表面と雌型端部の第2表面との間のメタル-メタル封止が形成される。
【0018】
他の実施の形態では、第1トングと第2凹面側の半径が小さい領域は半径方向に非ゼロ寸法である。組立ては容易である。
【0019】
他の実施の形態では、雄型端部の第1表面には第1ねじ領域に近接する環状溝がある。第1ねじ領域に近接する雌型端部の第2表面には、例えば、第3ねじ領域の延長部に環状溝又は単純で安価な機械加工形状があってよい。雄型端部の第1表面から設けられる環状溝は、第1トングの直径拡張と傾倒を促進する。
【0020】
他の実施の形態では、雌型端部の第2表面には第3ねじ領域に近接する環状溝があり、かつ、雄型端部の第1表面、例えば、第1ねじ領域の延長部は単純な形状でよい。
【0021】
前記溝の深さは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの6%から13%の範囲にあってよい。用語「管状コンポーネントの通常部分」は、2つの端部間、例えば、雄型端部と雌型端部との間に位置する領域を意味する。
【0022】
1の実施の形態では、第1と第3のねじの領域及び/又は第2と第4のねじ領域は、組立状態で、スタビングフランクと負荷フランクの両方に干渉するねじ山を備える。しかしながら、組み立てを促進するために、スタビングフランクに隙間を設けることが有利である。
【0023】
1の実施の形態では、第1と第3のねじ領域及び/又は第2と第4のねじ領域は、半径方向自動掛止めねじ山を備える。半径方向自動掛止めねじ山は、負角のフック及び/又はフランクを含んでよい。半径方向自動掛止めねじ山は蟻継ぎの形態であってよい。ねじ山の形状は、結合解除や飛び出しを防ぐように選択される。
【0024】
1の実施の形態では、雄型端部の第1表面の長さは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの150%から175%の範囲にある。
【0025】
1の実施の形態では、雌型端部の第2表面の長さは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの145%から170%の範囲にある。
【0026】
1の実施の形態では、第2凹面の長さは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの16%から24%の範囲にある。
【0027】
1の実施の形態では、半径が大きい環状空間の領域での雄型端部の厚みは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの66%から76%の範囲にある。
【0028】
1の実施の形態では、半径が小さい環状空間の領域での雄型端部の厚みは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの50%から85%の範囲にある。
【0029】
1の実施の形態では、半径が大きい環状空間の領域での雌型端部の厚みは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの45%から55%の範囲にある。
【0030】
1の実施の形態では、第1トングと第3ねじ領域との間の雄型端部の厚みは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの50%から55%の範囲にある。
【0031】
1の実施の形態では、第2トングと第4ねじ領域との間の雌型端部の厚みは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの62%から66%の範囲にある。
【0032】
1の実施の形態では、第1トングと第1凹面の半径寸法は、管状コンポーネントの通常部分の厚みの22%から27%の範囲にある。
【0033】
1の実施の形態では、第2トングの半径寸法は、管状コンポーネントの通常部分の厚みの10%から15%の範囲にある。
【0034】
1の実施の形態では、第2凹面の半径寸法は、管状コンポーネントの通常部分の厚みの10%から15%の範囲にある。
【0035】
1の実施の形態では、第1と第2トングの軸方向断面は概して矩形である。
【0036】
1の実施の形態では、半径が大きい環状空間の領域と半径が小さい領域は連続する。
【0037】
また、本発明は、前記のねじ式接続部から開始する緊密ねじ式接続部を製造するための方法に関する。前記ねじ式接続部は、管状コンポーネントの内径よりも直径が長い拡張ボールを用いて、塑性変形範囲内で直径が拡張される。当該拡張ボールは前記接続部で軸方向に移動する。前記環状空間は、前記第1と第2の表面が半径方向に干渉して、メタル-メタル封止を形成すると共に半径が大きい環状空間の領域が存続するように、直径拡張で、第1表面が第2表面に向かって軸方向に移動するような寸法にされる。また、前記環状空間は、雄型要素を保ちつつ、雌型要素の変形中に沈下が生じるという事実に起因して第1表面が半径方向に移動するような寸法となる。
【0038】
1の実施の形態では、第1表面は、第1トングの方向へ軸方向に移動する。第1トングは、第1トングの内部表面と第2トングの外部表面とが半径方向に干渉して、メタル-メタル封止を形成するように、第2トングの方向へ傾倒される。それにより、2つの軸方向へ離間したメタル-メタル封止が得られる。
【0039】
1の実施の形態では、拡張の程度は15%を超え、好ましくは、20%を越える。
【0040】
本発明の他の特徴と利点は、以下の記載と添付の図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】組立状態及び拡張状態で第1のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図2】組立状態及び拡張状態で第1のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図3】第1のねじ式接続部の雌型端部の詳細図である。
【図4】第1のねじ式接続部の雄型端部の詳細図である。
【図5】組立状態及び拡張状態で第2のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図6】組立状態及び拡張状態で第2のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図7】組立状態及び拡張状態で第3のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図8】組立状態及び拡張状態で第3のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図9】組立状態及び拡張状態で第4のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図10】組立状態及び拡張状態で第4のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図11】組立状態及び拡張状態で第5のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図12】組立状態及び拡張状態で第5のねじ式接続部の長手方向断面を線図で示す。
【図13】蟻継ぎねじ山の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
添付の図面は本発明を完成するのに役立つのみならず、必要に応じて発明を定義するのに寄与する。本発明は、本発明を制限せずに記載された管接続部の例示に制限されず、当業者により予測されうるあらゆる変形を含む。
【0043】
炭化水素用坑井や地熱坑井を掘削することを考察する。従来、坑井の上部は、例えば、約500mmの大直径ツールを用いて深さ数10メートルで比較的浅く穿孔し、当該直径の管状ストリングを用いてケーシングされる。そして、穿孔穴の直径は坑底に向かって段階的に短くなり、非常に短い直径で穿孔されてよく、上記例では約150mmである。当該坑井はいくつかの同軸の管状ストリングを用いてケーシングされ、各管状ストリングは対応する直径の穿孔が終わると下降され、環状ストリングはすべて表面から垂下され;最大直径の管は表面から数10メートルの深さまで延出し、最小直径の管は表面から数千メートルの深さであってよい坑底まで延出する。ケーシング管と地面との間の空間は、例えば、セメントで固められる。
【0044】
坑井が完全に穿孔されケーシングされた後、生産用の管状ストリングが、特に、炭化水素を表面へ上げるため、即ち、坑井での実際の稼動で、下降される。この配管ストリングの外径は、ケーシングされるストリングの内径よりもわずかに短いことが理解されるであろう。従って、坑井の設備を整えることは、このタイプの接続部の利点のために、種々の長さの直径の管が多数、通常、ねじ式接続部を用いて端部間が接続されることを意味する。当該管は、ケーシング管が表面近くで大きくなり過ぎないようにできるだけ薄いことが求められる。しかしながら、ねじ式接続部に適用される要求と仕様が満たされると、管の通常部分の厚みに比較して厚いねじ式接続部となり;これは、同軸のストリング間の直径が坑井の深さにより長くなければならないことを意味する。
【0045】
管は、管のねじ末端を一方から他方へ組み立てること(一体接続部)により又は当該端部を覆うねじカップリングにより共に接続される。当該管は、先行する管の端部又はカップリングへの組立後、連続的に差し込まれる。
【0046】
米国石油協会(API)仕様のAPI5CTは、2つの非常に長い管の間のねじ式接続部(一体接合配管、エクストリームラインケージング)及びカップリングを使用する2つの非常に長い管の組立ての2つのねじ式接続部を備える、ねじ連結接続部を定義する。当該API接続部は、ねじ山間の隙間を満たす金属粒子が充填されたグリースが適用されてはじめて緊密になりうる。
【0047】
明らかに、管間(又は管とカップリングとの間)の接続部は、各接続部がその下に位置する管を少なくとも部分的に支持するため、管が坑井の中に入り込む場合に管が受ける荷重及び広い範囲の支持体の重量にかかわらず、緊密でなければならない。また、ねじ式接続部の機械的性能は当該幾何学的特性に緊密に連関する。
【0048】
ねじ式接続部で、張力下での接続部の「効率」が定義され、それは、ねじ部領域での管の横断面と管の長手での管の横断面との間の比率により決定される。単一のねじ部がある接続部の場合、当該効率は、先細りのねじ部と逃げねじ山の連結接続部では100%である。対照的に、カップリングの外径が管の外径よりも長い場合は比較的厚い。一体接続部は、管の端部が鍛造によりかなり厚くなる場合に100%の効率を達成できるに過ぎない。2ステップの円筒形ねじ部は、等価嵩に対してあまり効率的ではなく、逃げねじ山がある先細りのねじ部よりも位置決め及び組立に時間がかかる。
【0049】
対照的に、管に作用する内部又は外部の流体圧力が過剰になると、ねじ部間が外れうる。この現象は、用いられるねじ部の形状に部分的にリンクする。ねじ部は、傾斜フランクと丸いクレストがある概して三角形状のねじ部又は傾斜した非対称フランクと切頭クレストがある台形ねじ部である。丸い三角形ねじ山があるねじ部では半径方向の力が大きく、このタイプのねじ部でねじ山の磨耗と離脱がおこる。
【0050】
そうであっても、用いられるねじ部のタイプに関係なく、粒子が充填されたグリースを用いるにもかかわらず、接触していない表面間の隙間のために高圧の流体が移動しうる漏れチャネルが常にある。所定の引張荷重に対して流体圧の閾値があり、その閾値を越えると、張力と圧力が組合わさって、APIねじ式接続部で、接触する雄型部と雌型部のねじ部間がかい離される。
【0051】
ねじ式接続部はこの状態を回避するように改良されている:例えば、特許文献2〜4の特許は、適切に配置されたメタル-メタルシーリング表面と雄型要素と雌型要素との間の隣接のため、特に緊密な高品質の管状ねじ式接続部を生成することを意図する。
【0052】
これは、互いに干渉接触する2つの先細りシーリング表面により達成されることができ、雄型シーリング表面は雄型のねじ部を越えて外部に配置され、雌型シーリング表面は雌型要素上に対応して配置されている。横隣接は、シーリング表面を位置決めし当該効果を強めることを共に行うために用いられる。しかしながら、依然として先細り支持表面間が、外圧の影響で分離する危険があり、また管を坑井に搬入する場合又は稼働中に印加される圧縮と引張荷重で表面間が悪化したり、分離したりするリスクがある。
【0053】
管状ストリングを坑井の中に入れた後、管状ストリングを永久塑性変形で直径拡張させることが意図される。これは、例えば、ストリングの内部に力を加えるボールを用いて行われる:特許文献5〜11を参照。これは、多くの潜在的利点がある:
・低嵩ストリングが、中に入れられて、そして、強制的に拡張されることができ;
・このように、ケース形成ストリングが、所定位置に置かれることができ;
・同様に、腐食や掘削パイプの摩擦によりおこるケーシングや管状ストリングの穴を塞ぐことができ、又は低嵩管が、坑井の中に入れられ、そして、所定位置において一回で望ましい直径に拡大される;
・最終的かつ、特に、直径が均一な坑井が、最低2つの連続するケーシングストリングにわたって穿孔されうる。ケーシングは、全てが同じ直径の管のストリングのいくつかにより生産され、管は、非拡張状態で導入されて、現場で坑井の直径まで拡張される。
【0054】
そして、直径が長い管とより厚みがある管で分散して坑井を装備するのに必要な管の数を実質的に減らすことができる。その結果、坑井のコストが下がる。掘削パイプストリングとして作用するケーシングストリングで直接に坑井を穿孔することもできる。しかしながら、拡張後も性能を維持するねじ式接続部を生産することは非常に困難であるが、それは、ねじ式接続部が、作動状態でも信頼でき(全ての接続部が持ちこたえなければならず)かつ、安定していなければならないからである。
【0055】
特許文献12及び13は、拡張を受けるためのねじ式接続部を記載する。しかしながら、当該発明は、長手方向貫通スロットを備えるEST(拡張型スロット付き配管)コンポーネントとして知られる接続部コンポーネントに関連し、そこでは、当該コンポーネントは、(拡張マンドレルを前記管に通過させることにより)炭化水素坑井の底で直径拡張され;拡大されると、スロットは、コンポーネントの外部の流体(坑井からの炭化水素)がコンポーネントに入り表面に上げられることができる。この場合、明らかに接続部の封止は重要でなく、かつ、封止は坑底にあるので高い機械的荷重を受けない。本発明は、それ自体が封止され、設計で当該タイプの透過性のコンポーネントを使用しない管に関する。
【0056】
管状ストリングの塑性拡張に対する第1の提案は、溶接接続部(溶接により事前に隣接される管のロールであって、表面から巻き出される)又はスリップ接続部(複数のスリップ)に基づいていた。しかしながら、当該接続部は、特に、変化する稼動状態下での機械的強度と靭性の組合せ、及び何度もの分解/組立が行われる可能性に関してはねじ式接続部としての性能はない。
【0057】
特許文献4のねじ式管状接続部のような従来のねじ式管状接続部では、塑性直径拡張ができない。当該接続部が拡張されると、以下のことが観察される:
・(油圧でストリングを貫通するようにボールを押し込み拡張を防止する)封止の欠如;
・動作内径により画定される空間内に内部凹所を形成してストリングの動作内径を大きく、かつ、容認できない程度に減らす接続部の内向きの雄型端部のたわみ;
・恐らく、管厚に比較して雄型と雌型の要素に伴う厚みの変動による、幾つかの特定の応力印加領域において変形容量を超えることによる雄型端部のリップ部の破裂。
【0058】
それ自体が封止された構造があり、かつ、拡張後に望ましい動作容量を有するコンポーネントを接続する意図がある緊密ねじ式接続部を提供することが求められている。求められた封止ねじ式接続部は、ねじ山間の離脱のリスクから適切に保護されるべきである。
【0059】
特許文献14は雌型端部の凹部へ入るリップ部を備える雄型端部を提案し、この雄型端部は拡張中に雌型端部の溝に入りかつ、そこで部分的に突出する。雌型端部のリップ部は、直径の拡張に起因する軸方向変位により前記リップ部間が接触しないことを避けるために十分に長く、かつ、雄型端部のリップ部により印加される力に抵抗するために特に強固でなければならない。さらに、ねじ山間の解離のリスクがなお存在する。さらにまた、当該タイプの接続部の張力下での効率は、当該接続部の機械的な性能を制限する雌型要素の小さな危険域のために、実質的に低くなる。同時に、拡張の程度が大きいために、内部支持表面での雄型要素と雌型要素との間の相対変位は、接触の欠如と溝からのリップ部の解離の原因となりうる。
【0060】
特許文献15は、雄型端部の終端表面に近接する補充シーリング要素を追加することを提案する。シーリング要素に必要な凹部は、危険域を減らして雄型端部を脆弱化する。ねじ山間の解離と雄型端部と雌型端部相互の軸方向変位のリスクは変わらない。
【0061】
特許文献16は、外部から接続部へ加えられたスリーブを記載する。当該スリーブには厚みが加わり、その結果、有効な直径が低下する。スリーブでは拡張がより困難となり、さらに拡張圧力をかけなければならなくなるが、それは望ましくない。
【0062】
特許文献17は特許文献1と類似する。雌型端部の危険域は比較的小さい。
【0063】
特許文献18は、長さが漸進的に増加して組立状態でフランク間の隙間がゼロ寸法となるようなねじ山を有する拡張型ねじ式接続部を記載する。ねじの谷とねじ山の頂との間に半径方向の隙間が存在し、封止が不完全となる。さらに、拡張には、拡張前に接触したねじ山のフランク間の軸方向隙間が再形成されるリスクがある。このように、漏えいのリスクが顕著である。
【0064】
特許文献19は、2つのねじ部間のメタル-メタル接触封止を提案する。ねじ山の軸方向長は、組立終期にフランク間の隙間がゼロ寸法であり漸進的である。当該タイプの接触は、直径拡張が高いとほとんど抵抗できない。雄型と雌型の端部は分離しやすく、それにより、特に、弾性、差分塑性変形と残留応力のために半径方向の空間が形成される。さらに、当該タイプの接続部は、直径拡張を行う条件に感受性が高い。
【0065】
図1では、接続部は、第1管11の端部に配置される雄型のねじ要素すなわち端部1を備える。雄型端部1は、組立により第2管12の端部に配置される雌型要素すなわち端部2に隣接する。ここで、雄型ねじ末端の内径は管11、12の内径と等しい。雌型ねじ末端2の外径は管11、12の外径と等しいが、これは一例にすぎない。図1では、接続部は、直径拡張動作前の、隣接するように組立てられた状態で示される。図2では、接続部は拡張された状態で示される。示される第2管12の管は非常に長い。図示しないが、当該第2管は、半径方向平面で対照的であってもなくてもよく、かつ、他の非常に長い管の端部に位置する雄型要素に組立てられる、一方の側に雌型端部2を、他方の側に雌型端部を備えるカップリングであってよい。
【0066】
雄型端部1は、リップ部/溝領域に近接する先細り部分がある概して円筒状の穿孔1aを備える。雄型端部1は終端表面1bであり、この場合は実質的に放射状である。雄型端部1の終端表面1bは雌型端部2から軸方向へ離間する。雄型端部1は、外周表面上に配置される第1ねじ領域21と外周表面上に配置された直径がより短い第2ねじ領域22を含む。対応して、雌型端部2は、第1ねじ領域21と一致する第3ねじ領域23と第2ねじ領域22と一致する第4ねじ領域24を含む。組立状態で、第1と第3ねじの領域21と23が係合し、第2と第4のねじ領域22と24が係合する。ねじ領域21、22、23、24は各々ねじ山を備える。
【0067】
示した実施の形態では、ねじ山は、ねじ山の飛出しを防ぐために負角で半径方向に自動掛止する:図13も参照のこと。すなわち、ねじ山の少なくとも一部は、ねじ山の谷底よりもねじ山の頂点に近接する幅広の歯がある。
【0068】
図13は、組立状態で対応する頂点に関して鋭角を形成するスタビングフランクと荷重フランクがある蟻継ぎ形態のねじ山を示す。より具体的には、ねじ領域21の歯31には、形状が実質的に円筒状の頂点31a、荷重フランク31b及びスタビングフランク31cがある。歯31は谷底部33と35に囲まれる。歯31は、組立状態で、ねじ領域23に係合する、より正確には、歯32と34との間の谷底部36に突出する。歯31の頂点31aは、谷底部36の底に接触する。雌型ねじ領域22の歯32、34は、各々、雄型ねじ領域21の対応する谷底部33と35からわずかに半径方向に離れた頂点32a、34aを備える。ねじ領域21と23は、先細りである。谷底部33の直径は谷底部35の直径よりも長い。歯34の直径は歯32の直径よりも長い。
【0069】
歯31の荷重フランク31bと歯34の荷重フランク34bは相互に接触する。歯31のスタビングフランク31cと歯32のスタビングフランク32cは、軸方向にわずかに離間する。しかしながら、変形例としては、ねじ部はスタビングフランクにおいて干渉するタイプでよい。この場合、スタビングフランク31cと32cは組立状態で接触する。
【0070】
図1と2をここで参照し、組立かつ拡張状態で、雄型端部1の第2ねじ領域22は、終端表面1bへ近接するように延長されてよく、円筒状又はわずかに先細った表面でそれから離れてもよい。ねじ領域21と22との間に、雄型端部1は、第3と第4のねじ領域23と24の間に雌型端部2に設けられた雌型挿入領域26と接触する雄型挿入領域25を備える。雄型端部1は、第1ねじ領域21をこえて第1管11の方向へ、例えば、先細状の肩部27を備え、それに第2肩部29を介して第1管11の外表面へ接続する実質的に先細り状のシーリング部28が続く。雌型端部2は、回転外表面2aと組立状態で肩部29から離間する、当該例では丸形終端表面2bを備える。雌型端部2は、終端表面2bと第3ねじ領域23との間に、拡張状態かつ可能であれば組立状態で先細りの表面28と接触する内表面2cを備える。終端表面2bに近接する内表面2cは円筒形であり、好ましくは、例えば、円弧形で突出してよい。
【0071】
内表面2cは、組立及び拡張状態で、直接的に、又は、雄型端部1の肩部27に実質的に面する凹領域2dを介して、雌型端部2の第3ねじ領域23に連結しうる。凹面2dは、内表面2cと先細り表面28との間の拡張後の接触を保ちつつ、かつ、終端表面2cが半径方向へ持ち上がるのを防ぐような柔軟性を備える。
【0072】
雄型と雌型の挿入領域25と26は、より詳しくは図3と4で理解できる。雄型挿入領域25は第1トング41を備える。雌型挿入領域26は第2トング42を備える。トング41と42は環状である。トング41、42は各々隣接のための突出面41a、42aを形成する自由端を備える。各トング41、42は、円筒形又はわずかに先細りの小径表面41b、42cと、円筒形又はわずかに先細りの大径表面41c、42bを備える。大径表面41cは、雄型挿入領域25の第1大径表面47と正接する。
【0073】
雄型又は雌型の挿入領域25と26は、各々第1トング41及び第2トング42に隣接して、第1凹面43又はリベート及び第2凹面又はリベート44を含む。第1トング41の小径表面41bは、第1凹面43を画定してその外壁を形成する。ここで、凹面43の小径壁は前記第1凹面43内で第2ねじ領域22まで延出する実質的に円筒形表面45により形成される。凹面43の底は放射状である。第2トング42の大径表面42bは、第2凹面44の半径方向に最内部を備え、それにより、小径壁を形成する。第2凹面44の大径壁は、局所的にわずかに先細り又は丸型である、雌型挿入領域26の第2表面48により形成される。第2凹面44の底は実質的に放射状である。雌型挿入領域26は、第2トング42の小径表面42cに正接し、かつ、雌型端部2の前記第2トング42と第4ねじ領域24との間に延出する表面46がある。組立状態で、雄型挿入領域25の表面45と雌型挿入領域26の表面46は、軸方向へ同じレベルで配置され、かつ、互いに接触してもよく、若しくは、互いにわずかに半径方向の隙間だけ離れてもよい。
【0074】
一般的に、第1トング41と第1凹面43はS形状プロファイルがある。第2トング42と第2凹面44は、対応する寸法がある逆S形状プロファイルがあり、それにより、第1トング41は組立状態で第2凹面44内に突出し、第2トング42が第1凹面43内に突出する。第1トング41の小径表面41bは組立状態で第2トング42の大径表面42bと接触状態にある。拡張状態では、第1と第2のトング41と42の間の当該接触が保たれながら、軸方向にわずかに後退がおこりうる。
【0075】
第1表面47の直径は表面45の直径よりも長い。外表面47は、第1ねじ領域21と第1トング41との間に延出する。図3と4の実施の形態では、第1表面47は、第1ねじ領域21に近接する実質的円筒形の第1部分47a、第1部分47aから直径が大きくなり実質的に先細りの第2部分47b、丸型頂点47c及び実質的に先細りで、直径が第1ねじ領域21からの距離が遠くなるにつれて小さくなる第3部分47dを備える。第3部分47dは第1トング41の大径表面41cと正接に接続する。
【0076】
雄型挿入領域25の第1表面47に向かって、第2表面48は第3ねじ領域23と第2凹面44との間に延出する。拡張前、第2表面48は、第3ねじ領域23に近接して実質的に円筒形状である第1部分48aと、第1部分48aを第2凹面44まで延長し円弧状の第2の部分48bとを備える。
【0077】
図1でわかるように、組立状態で、第1と第2の表面47と48は、それらの間に、第1ねじ領域21と第3ねじ領域23の側の半径が長い領域49と第1トング41と第2凹面44の側の半径が短い又はゼロ寸法の領域50を含む環状空間をおく。用いるスケールのため、図1の領域50は半径がゼロ寸法に見える。しかしながら、領域50の半径は、第1表面47の頂点47cに近接してゼロ寸法でもよく、頂点47cをこえてゼロ寸法でなく短くてもよい。あるいは、小さな半径寸法領域50はそれが頂点47cに近接する位置でも連続する。
【0078】
第1表面47は、概して突出した形状である。第1表面47の頂点47cは、第1ねじ領域21から始まる前記第1表面47の長さの1/3と2/3の間、好ましくは、その長さの1/2と2/3の間に位置する。第3の部分47dの直径は、第1部分47aの直径より大きい。
【0079】
図2に示す拡張状態では、半径が大きい領域49の長さが短くなると共にその半径寸法も短くなる。メタル-メタル接触部60は雌型挿入領域26の第2表面48の丸い部分48bへ第1表面47の頂点47cを圧迫してなる。
【0080】
第1と第2のトング41と42は各々、第2と第1の凹面からわずかに後退する。これにより、第1トング41の突出面41aと第2凹面44の底との間であって、かつ、第1凹面43の底に対する第2トング42の突出面42aの軸方向距離となる。第1トング41は、わずかに時計回り方向へ旋回する。すなわち、第1トング41の直径は、特に、その突出面41aに近づくと短くなる傾向にある。第2メタル-メタル接触部61は、第1トング41の小径表面41bと第2トング42の大径表面42bとの間の境界に形成される。
【0081】
この接続部の寸法決めは特に複雑である。本実施の形態において、個々に又はその他の方法で用いられる以下の寸法が非常に適切である:
・雄型端部1の第1表面47の長さが管状コンポーネントの通常部分の厚みの150%から175%の範囲である。
・雌型端部2の第2表面48の長さが管状コンポーネントの通常部分の厚みの145%から170%の範囲である。
・第2凹面44の長さが管状コンポーネントの通常部分の厚みの16%から24%の範囲である。
・半径が大きい環状空間の領域の雄型端部1の厚みが管状コンポーネントの通常部分の厚みの66%から76%の範囲である。
・半径が小さい環状空間の領域の雄型端部1の厚みが管状コンポーネントの通常部分の厚みの75%から85%の範囲である。
・半径が大きい環状空間の領域の雌型端部2の厚みが管状コンポーネントの通常部分の厚みの45%から55%の範囲である。
・第1トングと第3ねじ領域との間の雄型端部1の厚みが管状コンポーネントの通常部分の厚みの50%から55%の範囲である。
・第2トングと第4ねじ領域との間の雌型端部2の厚みが管状コンポーネントの通常部分の厚みの62%から76%の範囲である。
・第1トング41と第1凹面43の半径寸法が管状コンポーネントの通常部分の厚みの22%から27%の範囲である。
・第2トング42の半径寸法が管状コンポーネントの通常部分の厚みの10%から15%の範囲である。
・第2凹面44の半径寸法が管状コンポーネントの通常部分の厚みの10%から15%の範囲である。
【0082】
図5と6に示される実施の形態では、上記実施の形態と同様の要素は同じ参照番号である。雌型端部2の雌型挿入領域26の第2表面48は上記実施の形態と同様である。雄型端部1の雄型挿入領域25の第1表面47は、軸部分に丸型谷底部47eを形成する環状溝47eを備える。溝47eは、第1部分47aと頂点47cとの間に位置する。すなわち、本実施の形態では、溝47eは図4の第2先細り部47bと置換されている。溝47eは、一方では、当該大半径寸法領域49の環状空間の半径が長くなると共に、他方、雄型端部1の厚みが低下して拡張動作が容易になる。それにより、拡張に要する力が低下する。溝47eの深さ、すなわち両端間では、管状コンポーネントの通常部分の厚みの6%から13%の範囲である。
【0083】
さらに、雌型端部2が雌型挿入領域26の第2表面48と接触する前に、雄型端部1を構成する材料の半径方向の外側へ可能な半径方向への移動を高めることで、溝47eは、第1トング41の半径方向の内側への旋回現象を高める。当該現象は、頂点47cに概ね位置する幾何学的軸か又は雄型挿入領域25の厚みに位置する領域内、及び、実質的に頂点47cで、トング41の旋回に対応する。図6に示される拡張状態では、環状空間の半径が大きい領域49が未だにある程度存在する。メタル-メタル接触60は実質的に頂点47cで、特に、図6に示される円内で形成される。補助のメタル-メタル接触61は、図6の円で囲まれた領域内にトング41と42との間に形成される。
【0084】
図7と8の実施の形態では、雄型端部1は第1の実施の形態と同様である。雌型端部2は、実質的に円筒形の第1部分48aと第2領域48bとの間の雌型挿入領域26で形成される溝48cを備え、本形態では第2領域48bは実質的に先細りである。溝48cは、環状であり、軸部分が丸い。溝48cは、第1の実施の形態に比較して、大きな半径寸法領域49の半径を長くできる。それにより、拡張中に雄型挿入領域25の半径方向の外側への移動が促進され;第1の実施の形態と比較して、第1表面47の溝48cとの係合接触が遅延する。しかしながら、第1トング41の傾倒は、図5と6の実施の形態で観察されるよりもわずかに少なくすることができる。溝48cの深さは管状コンポーネントの通常部分の厚みの6%から13%の範囲である。
【0085】
図9と10の実施の形態では、半径が大きい領域49と半径が小さい領域50とを備える環状空間が連続する。すなわち、第1表面47と第2表面48は、組立状態で半径方向へ離間する。第1表面47は、例えば、小さなテーパーがあるねじ領域21の延長部に位置する第1部分47aを備え、切削ツールの移動が容易になる。次に、ねじ領域21から離れるように移動すると、第1表面47は、溝47eを画定するわずかな肩部47fを備える。一方で、溝47eは、第1トング41の大きな直径表面41cに対して大きな半径部分47dに正接に繋がる先細り部47gで画定される。大きな半径部分47dは円筒形でよい。雌型端部2の挿入領域26の第2表面48は、実質的に円筒形の第1部分48aと、例えば、円弧として形成されるような、きわめてわずかに外側へ突出する第2の部分48bとを備える。
【0086】
図10に例示される拡張状態では、大きな半径寸法領域49の半径は短い。溝47eは、雄型挿入領域25の材料の半径方向の外側へ移動して充填される傾向がある。第1表面47の大きな直径部分47dは、メタル-メタル接触部60を形成するために、第2表面48の第2部分48bとの接触で、円弧状に外向きに変形する。補充のメタル-メタル接触部61は、トング41の半径方向に内側へ移動して形成され、第2トング42と直径方向に干渉する。
【0087】
図11と12の実施の形態では、第1表面47は、大きな直径部分47dが軸部分で円弧上に突出し、組立てると、雌型挿入領域26の第2表面48の第2の部分48bと接触する点で上記の実施の形態と異なる。すなわち、小さな半径寸法領域50の半径はゼロ寸法である。第2表面48は上記の実施の形態と類似する。
【0088】
一般的に、メタル-メタル接触部60は直径の拡張中、第1トング41から離間して、大きな直径部分47dの領域に生成される。実際、第1トング41は、第2トング42に対して半径方向の内側に移動する傾向がある。当該移動は、直径の拡張中であれば相対的であり、トング41と42は、共に半径方向の外側に移動し、かつ、トング41はトング42より移動が短い傾向があり、他方、相対的な半径方向の移動は、第1と第2のトング41と42の対向する表面間に補助メタル-メタル封止61が形成できることを理解すべきである。当該移動は、15%を超える、好ましくは、20%を越える程度の拡張に良好に適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素坑井の探査又は開発で用いられる拡張型ねじ式接続部であって、前記接続部は、外周面上に配置される第1と第2のねじ領域(21、22)と、前記第1と第2のねじ領域(21、22)との間に設けられた挿入領域(25)とを備える雄型端部(1)を備え、前記挿入領域(25)が突出隣接面(41a)を備える第1環状トング(41)と前記第1トングに隣接し、かつ、前記トングから後退した第1凹面(43)とを備える第1管状コンポーネントと;内周表面上に配置される第3と第4のねじ領域(23,24)と、前記第3と第4のねじ領域(23,24)との間に設けられた挿入領域(26)とを備える雌型端部(2)を備え、前記挿入領域(26)は突出隣接面(42a)を備える第2環状トング(42)と前記第2トングに隣接し、かつ、前記トングから後退した第2凹面(44)とを備える第2管状コンポーネント;前記雄型端部の前記第1と第2のねじ領域は、前記雌型端部の第3と第4のねじ領域と一致して互いに組み合わさり、ねじ領域(21、22、23、24)は各々雄型と雌型のねじ山を備え;第1と第2のトング(41、42)は組立状態で第2と第1の凹面(44、43)に係合され、前記第1と第2のトングの少なくとも1の隣接面は前記第1又は第2の凹面と各々接触し、雄型端部(1)は前記第1ねじ領域と前記第1トングとの間に第1表面(47)を備え、及び、前記雌型端部は前記第3ねじ領域と前記第2凹面との間に第2表面(48)を備え;ここで、前記第1と第2の表面(47、48)は、組立状態で前記第1と第3ねじの領域側の半径が大きい領域(49)及び前記第1トングと第2凹面側の半径が小さい領域(50)を備える環状空間を画定し、前記半径が小さい領域は拡張後にメタル-メタル封止(60)を形成でき、そして、前記第1トング(41)は前記第2トング(42)と連関することを特徴とする、前記拡張型ねじ式接続部。
【請求項2】
前記第1トング(41)と前記第1凹面(43)との間に配置される雄型端部の表面及び前記第2トング(42)と前記第2凹面(44)との間に配置される雌型端部の表面は、組立状態で接触することを特徴とする、請求項1記載のねじ式接続部。
【請求項3】
前記雄型端部(1)の前記第1表面(47)は、最大直径がその長さの1/3〜2/3の間に位置することを特徴とする、請求項1又は2記載のねじ式接続部。
【請求項4】
前記第1トング(41)に近接する前記雄型端部(1)の第1表面の直径は、前記第1ねじ領域(21)に近接するその直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項5】
前記メタル-メタル接触封止は、雄型端部の第1トングに近接する突出部分により形成されることを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項6】
前記第1と第3ねじの領域側の半径が大きい領域(49)は、先細り内部表面と円弧状外部表面との間、円弧状の内部表面と先細り外部表面との間、又は2つの円弧状の表面間の間に画定されることを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項7】
前記第1トングと第2凹面側の半径が小さい領域(50)の半径はゼロ寸法であることを特徴とする、請求項1〜6いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項8】
雄型端部(1)の第1表面(47)及び/又は雌型端部(2)の第2表面(48)には、第1ねじ領域に近接した環状溝(47e、48c)があることを特徴とする、請求項1〜7いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項9】
前記溝(47e、48c)の深さは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの6%から13%の範囲であることを特徴とする、請求項8記載のねじ式接続部。
【請求項10】
前記第1と第3のねじの領域(21、23)及び/又は第2と第4のねじ領域(22,24)は、半径方向へ自動掛止するねじ山、好ましくは蟻継ぎ形状の自動掛止するねじ山を備えることを特徴とする、請求項1〜9いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項11】
前記雄型端部(1)の第1表面(47)の長さは管状コンポーネントの通常部分の厚みの150%から175%の範囲であり、雌型端部(2)の第2表面(48)の長さは管状コンポーネントの通常部分の厚みの145%から170%の範囲であり、かつ、第2凹面(44)の長さは管状コンポーネントの通常部分の厚みの16%から24%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜10いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項12】
半径が大きい環状空間の領域における雄型端部(1)の厚みは管状コンポーネントの通常部分の厚みの66%から76%の範囲であり、半径が小さい環状空間の領域における雄型端部(1)の厚みは管状コンポーネントの通常部分の厚みの75%から85%の範囲であり、かつ、半径が大きい環状空間の領域における雌型端部(2)の厚みは管状コンポーネントの通常部分の厚みの45%から55%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜11いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項13】
前記第1トングと前記第2ねじ領域との間の雄型端部(1)の厚みは管状コンポーネントの通常部分の厚みの50%から55%の範囲であり、かつ、前記第2トングと前記第4ねじ領域との間の雌型端部(2)の厚みは、管状コンポーネントの通常部分の厚みの62%から76%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜12いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項14】
前記第1トング(41)と前記第1凹面(43)の半径は管状コンポーネントの通常部分の厚みの22%から27%の範囲であり、前記第2トング(42)の半径は管状コンポーネントの通常部分の厚みの10%から15%の範囲であり、かつ、第2凹面(44)の半径は管状コンポーネントの通常部分の厚みの10%から15%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜13いずれか1項記載のねじ式接続部。
【請求項15】
請求項1〜14いずれか1項記載のねじ式接続部から開始する、緊密ねじ式接続部を製造する方法であって、前記ねじ式接続部は、軸方向に移動する拡張ボールを用いて塑性変形範囲内で直径方向に拡張されるが、ここで当該ボールの直径は前記接続部で軸方向に移動する管状コンポーネントの内径よりも長く;前記環状空間は、前記第1表面が直径方向へ拡張する間に前記第2表面へ半径が移動するような大きさであるが、ここで、前記拡張は前記第1と第2の表面が半径方向へ干渉してメタル-メタル封止を形成すると共に半径が大きい環状空間の領域が存在するように拡張する;ことを特徴とする、前記方法。
【請求項16】
前記第1表面は前記第1トングの方向へ軸方向が移動し、前記第1トングは、前記第1トングの内表面と前記第2トングの外表面とが半径方向へ干渉してメタル-メタル封止を形成するように、第2トングの方向へ傾倒されることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
拡張の程度が15%より高い、好ましくは20%より高いことを特徴とする、請求項15又は16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−519854(P2013−519854A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553365(P2012−553365)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/FR2011/000084
【国際公開番号】WO2011/101554
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(504255249)ヴァルレック・マンネスマン・オイル・アンド・ガス・フランス (30)
【氏名又は名称原語表記】VALLOUREC MANNESMANN OIL & GAS FRANCE
【Fターム(参考)】