説明

拡散反射を融合した発光性表示器

【課題】
融合された表示コンテンツおよび反射コンテンツを視聴者に提供する装置を提示する。
【解決手段】
装置は、デジタルコンテンツを提供する表示スクリーンを備えた発光性表示装置を有する。発光性表示装置は、特定の照明レベルで表示スクリーンを透過する光を選択的に生成する光源を備え、テキストや図形等のデジタルコンテンツを表示する。装置は、表示スクリーンを覆って配置されたテーマ別オーバレイを備え、テーマ別オーバレイは、光源が非活性状態にある場合、即ち低輝度である場合に、視聴空間から照射される光を拡散反射して、視聴者にほぼ不透明であると視認されるように構成された前面を有し、視聴者は表示スクリーンを視認できない。光源が活性状態にある場合に、表示スクリーンは隠された状態に維持されるが、表示コンテンツは発光性表示コンテンツとして拡散反射コンテンツとともに視認可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に投影像および発光性表示器に関する。より具体的には、本発明は、視聴者によって発見されることを制限または回避するように、表示装置またはコンテンツソースがカモフラージュされた状態すなわち隠された状態で、投影コンテンツまたは発光性コンテンツを提供するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況において、情報や画像が視聴者や通行人に絶えず提供されている。例えば、ショッピングモールや空港ターミナルには、情報や広告を提供する多くの表示器が存在する。これらの表示器の多くは、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ装置等の従来のテレビモニタや表示装置の周囲に構築される。これらの表示器は、広告、再プログラム可能な標識、情報ステーション、およびメニューボードのための標準的なツールとなっている。
【0003】
このような表示装置が普遍的になった理由の1つは、表示器上のコンテンツおよびメッセージの少なくとも一方を迅速かつ容易に変更でき、ひいては、コストが低減され、新しく、かつ変化するコンテンツや最新の情報を効率的に提供可能となる点にある。さらに、LCD等の表示装置のコストが徐々に低下し続ける一方、このような表示器の寸法は極小スクリーンから数平方フィートにまで及んでいるため、多くのビジネスモデルにおいて価値ある有用なものとなっている。
【0004】
しかし、多くの状況において、LCD等の従来の表示器の使用は、好ましくない。例えば、テーマパークやレストラン等での状況では、従来のTV型によって及ぼされる景観への影響のために、LCDや類似装置の使用は好ましくない。これらの状況では、テーマに応じた装飾を施した環境を提供することに多大な努力を費やしてきたが、LCDや類似装置を単純に設置するだけでは、所望の効果は得られない。例えば、植民地の村や魔法グッズ店の店頭では、テレビは非常に場違いである。同様に、「ワイルド・ウェスト」レストランやルネッサンスフェアのブースでLCDをメニューボードとして使用することは、テーマに即さない。
【0005】
LCD等の発光性表示器の代替物として、バックライトで照らされたスライドやフィルムを用いて、人目を引くグラフィックスを提供するライトボックス型表示器が存在する。このスライドやフィルムは、バックライトのフィルタリングおよび拡散を行うほか、周辺光を拡散反射させる。バックライトは一般的に、白熱灯、蛍光灯、LED、または類似の光源で生成された白色光によって提供される。ライトボックスは、高解像度(例えば、LCDモニタで実用化されている解像度よりも高い解像度)のグラフィックスを提供するとともに、照明色が豊富である点で人目を引く。ただし、従来のライトボックスは、表示の変更が静的(シングルスライドモデルの場合)または低速(マルチスライドモデルの場合)であるため、情報表示を動的に変化させるためには実用的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
単にテレビモニタやコンピュータ表示スクリーン等の電子表示装置の形態ではなく、よりテーマに即した形態で、メニューボード、広告、情報標識等のように変更や更新が容易なコンテンツを表示することに対するニーズが、依然として存在している。さらには、ライトボックス型表示器の鮮やかで人目を引くグラフィック表示を提供する一方で、動的に変化する情報を提示する能力を提供する情報表示装置および方法に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、モニタ等の発光性表示スクリーン上に表示されたデジタルコンテンツに対して、拡散光透過および反射により提供されたコンテンツを融合させるように構成された表示システムを提供することによって、上記問題に対処する。このことは、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)表示器、有機発光ダイオード(OLED)表示器、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、陰極線管(CRT)等の利用可能な発光性表示技術に基づく発光性表示装置をスライドや拡散性フィルム等の形態の光拡散表示要素や光調和コンポーネント等のテーマ別オーバレイとの組み合わせで提供することによって、部分的に実現することができる。拡散性フィルムは、透過光、反射光、またはその両者を拡散するものであり、画像パターンを提供するものであってもよい。一実施形態において、テーマ別オーバレイは、視聴者に不透明であると視認される前面を有しており、光の反射によってその前面および前面上の任意の「コンテンツ」(例えば、印刷グラフィックス、テキスト、またはそのパターンや色等のみ)が視聴者に視認される。発光性表示装置を活性モード、即ち「点灯」モードで作動させると、その表示コンテンツがテーマ別オーバレイを透過して、この発光性表示コンテンツとテーマ別オーバレイが提供する画像等の効果とを融合したものが視聴者に同時に視認される。この表示システムにおいて、発光性表示装置(例えば、LCD等)の照明レベルは、発光性表示の輝度が反射性表示の輝度と融合されるように、視聴者側光源の照明レベルに適合するように選択される。
【0008】
より具体的には、視聴空間で視聴者にコンテンツを表示する装置が提供される。この装置または表示システムは、デジタルコンテンツを提供する表示スクリーンを備えた発光性表示装置を有する。この発光性表示装置は、特定の照明レベルでデジタルコンテンツが表示スクリーン上の表示コンテンツとして視認されるように光を選択的に生成して表示スクリーンを透過させる光源(例えば、400〜1000cd/m(400〜1000nit)以上のLCDまたはプラズマディスプレイデバイス等)をさらに備える。この装置は、表示スクリーン上に配置されたテーマ別オーバレイまたは光調和オーバレイをさらに備える。一部の実施形態において、このテーマ別オーバレイは、表示スクリーンに対向する第2面(例えば、後面等)と、視聴者にとって実質的に不透明であると視認されるように視聴空間から(別の静的なコンテンツ画像の層を介して)照射された光を発光性表示画素へ拡散および反射、あるいは拡散または反射する第2面の反対側の第1面(例えば、前面等)とを備える。
【0009】
特定の場合には、上記光源は、第1に、非活性モード(即ち、非表示モード)で作動し、このような非活性モードでは、視聴者による表示スクリーンの全体または一部の視認は、テーマ別オーバレイによって防止される。この光源は、第2に、光が表示スクリーンを透過する活性モード(即ち、表示モード)で作動する。この活性モードでは、表示コンテンツは、発光性表示コンテンツとしてテーマ別オーバレイを透過する。前面から離間する光は、発光性表示コンテンツと同時に、拡散反射および透過コンテンツとして視聴者にとって視認可能である。一部の実施形態では、発光性表示コンテンツの輝度が、拡散反射および透過コンテンツの輝度と少なくともほぼ等しくなるような照明レベルを設定するように、光源が調節可能である。特定の場合には、表示装置の光源の輝度は、発光性表示コンテンツの輝度が拡散反射の輝度のおよそ90〜110%となるようなレベルに調節され、ひいては、視聴者は表示コンテンツのソースを容易に識別できなくなる。一部の実施形態では、拡散反射コンテンツがパターンを有するグラフィック成分を含み、発光性表示コンテンツが前記パターンと整合し、かつパターンを繰り返すグラフィック成分(例えば、ベニヤ板の木目の繰り返し、印刷ポスタのカラーグラフィック画像の繰り返し、物理的なテクスチャの提供等)を含む。この装置において、テーマ別オーバレイは、前面上に、ベニヤ板パネル、印刷織物、及び印刷されたグラフィックを有するフィルムの少なくとも1つを備えていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】発光性表示装置およびテーマ別オーバレイを備えた表示システムの機能ブロック図であって、表示システムが、拡散反射および透過によって視聴者に提供されたコンテンツと、発光性表示装置のモニタまたは表示スクリーンからの光との融合を可能にすることを示す図。
【図2A】発光性表示装置がオフモード、即ち非表示モードの作動状態にある場合の例示的な表示システムを示す図。
【図2B】発光性表示装置が表示モードの作動状態にある場合の例示的な表示システムを示す図。
【図3A】2つの動作状態を有する図2Aおよび図2Bに類似した別の例示的な表示システムを示す図であって、テーマ別オーバレイが表示器またはモニタを隠している様子を示す図。
【図3B】2つの動作状態を有する図2Aおよび図2Bに類似した別の例示的な表示システムを示す図であって、表示器またはモニタが視認されないように隠されたまま、テーマ別オーバレイを介して表示コンテンツを発光するように作動する様子を示す図。
【図4】LCD、プラズマディスプレイ等の発光性表示装置への入力として用いられるデジタルコンテンツファイルの作成方法を示した流れ図。
【図5】表示システムの作動方法を示す流れ図。
【図6】拡散表示要素からのコンテンツを提供する織物層(例えば、可撓性で薄い、あるいは可撓性であるか薄い材料等)と、透明または部分的に半透明な材料の構造シートと、テーマ別オーバレイを提供するマスク層との組み合わせを用いる表示システムの一部を示す図。
【図7】図6の表示システムの後面または裏面(即ち、視聴者側または視聴空間から離間する側の面)を示す図であって、発光性表示装置を除去することにより、構造シートおよび織物層用の、または拡散表示要素層によって提供されるコンテンツ用の不規則な開口または表示窓を画定するためのマスク層の一構成(および、錯視または装置部品を明らかにし得る硬質縁部の存在を回避または制限するように、発光性表示装置からの光のために縁部を羽毛状にすること)を示す図。
【図8】図6の表示システムの前面図、即ち視聴者側から見た図(POV)であって、(利用可能な周辺光源またはその他の視聴者側光源に基づいて)織物層からの拡散反射および透過コンテンツと同時に視認可能なグラフィック画像または発光性デジタルコンテンツを表示するように発光性表示装置が作動している状態を示す図。
【図9】発光性表示装置がコンテンツ層をさらに備えることによって、3次元(3D)効果を提供する別の実施形態の表示システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の記載は、表示システムに関し、該表示システムは、モニタまたは表示スクリーンから放射または表示されたコンテンツを、テーマ別オーバレイの前面または露出面から反射または透過されたコンテンツ、グラフィック画像、およびパターンと融合するように構成される。テーマ別オーバレイから反射および透過の少なくとも一方がなされるコンテンツは、単に表示要素表面(例えば、薄い木製パネルまたはベニヤ板)のテクスチャであってもよく、壁紙、ポスタ、織物、透明基板上のプリント、表面に成形された物理的なテクスチャ等の上の画像、パターン、テキスト等であってもよい。
【0012】
「オン」モード、即ち活性モードにおいて、画像、グラフィックス、テキスト等のデジタルコンテンツが表示され、一連の発光性表示コンテンツが拡散表示要素を通過するように作用し、テーマ別オーバレイは、「オフ」モード、即ち非活性モードにおいても、「オン」モード、即ち活性モードにおいても、モニタまたは表示スクリーンの存在を隠蔽または覆い隠すという点において、「カモフラージュ」している。カモフラージュすることに加えて、テーマ別オーバレイは、物質に対して透過および反射する両方の光を調和するスクリーンまたは要素としても作用するため、テーマ別光調和オーバレイまたはテーマ別光折衝オーバレイと考えてもよい(作動中の構成部品を隠蔽またはカモフラージュするように作用してテーマに応じた環境に融合させる)。なお、オーバレイは、実体を有するスクリーンである必要はなく、所望の透過量および反射量を有するように選択された塗料等であっても良い。テーマ別オーバレイによって提供されるコンテンツは、発光性表示コンテンツと融合して、すべての画像および情報が反射されたように視認される単一の合成画像を視聴者に提供する(即ち、視聴者が投影に気づいたり、識別したりすることはない)。この目的のため、モニタまたは表示スクリーンの照明レベルは、例えば、照明レベルを少なくとも視聴者側光源のレベル以下(特定の場合には、拡散反射コンテンツのレベルと同等)に維持するように、モニタまたは表示スクリーン用光源を抑制または停止することにより、2つのコンテンツの融合を容易にするように調整または調節される。
【0013】
(テーマパーク等の多くの状況における)テーマ別の視聴空間において、LCD、または類似の発光性表示器を単純に設置するだけでは、視聴者の体験価値を損ねてしまう。例えば、旧西部、海賊船、中世の城等の場面で、現代的な製品を用いて、情報を表示すると、来訪者向けの時代設定テーマが直ちに損なわれる。従来、テーマに応じた環境の設計者および運用者は、デジタルコンテンツの使用を回避するか、または、入念かつ美しく構築した環境に吊り下げられた矩形のテレビまたはモニタの外観や雰囲気に耐える必要があった(あるいは、手動でのみ更新可能なコンテンツやメッセージを含む静的な標識やメニューボードに依存する必要があった)。該表示システムは、焦点距離の長いプロジェクタが使えない小空間または短空間あるいは小さくて短い空間において表示や興味深い効果を提供するという必要性や要望に応える。該表示システムは、耐久使用時間が2000時間に満たない高価な短焦点レンズや投影用ランプ等の多くの従来の投影技術より頑強で、寿命が長い。さらに、この表示システムは、屋内と屋外との両方で情報や広告コンテンツを強制的かつテーマまたは環境に即した態様で提示する等の様々な目的で、白昼光や周辺光が明るい状況、照明レベルを変化させる場合(例えば、バックライトの光源等の強度を増減させることにより視聴者側での照明レベルの変化に対応する場合等)に有用である。
【0014】
本明細書の記載および(例えば、1500cd/m以上の)超高輝度LCDを用いた実験から明確になるように、本発明者らは、LCD等の表示装置が視聴者に視認されず、ほぼ任意の環境で利用可能となるように、多くのカモフラージュする方法を提示する。該表示システムは、(LCD等の表示装置と視聴者との間に配置された)テーマ別オーバレイに関して、いくつかの導光原理を用い、様々な反射および透過の性質を有する特定の材料を実装する(例えば、部分反射ガラス枠、生地または織物シート、木材または紙類の薄膜層等)。導光原理としては、拡散層または要素の前面の照明(例えば、図1に示すテーマ別オーバレイ層または表面からのコンテンツ等)および拡散層または要素の後面の照明と表示コンテンツとの微妙な調和を図ることが挙げられる(例えば、1000〜1500cd/m以上という高い輝度を有するLCD、プラズマディスプレイ、テレビ、またはコンピュータモニタ等の発光性表示装置の表示またはモニタスクリーンを使用する)。
【0015】
テーマ別オーバレイは、すべての物質が、様々な程度または量の光を照射されると、光の一部を反射し、一部を吸収し、一部を透過するという概念を利用する。対象物または物質の表面(例えば、テーマ別オーバレイの前面即ちコンテンツ生成層または表面等)に光が照射されると、視聴者の目が対象物表面から得られる光を感知し、脳がその色、テクスチャ、輝度等を判断する。本明細書に記載の表示システムは、環境のテーマに関連する適切な材料を利用し、テーマ別オーバレイからの光は、入射光線が(例えば、鏡面加工された表面による鏡面反射等ではなく)外見上、多数の角度に反射されるように凹凸または粒状の表面で反射され、一般に「拡散反射」した光である。また、この表示システムは、テーマ別オーバレイの前面および後面上の光の調和を調節して(例えば、発光性表示装置の出力光レベルの調節と、すべての光が反射されて、視聴者の目には投影がないと視認されるように調和を図る視聴者側光源の調節または制御との少なくとも一方によって)、視聴者が視認できる内容と、表示コンテンツまたは前面からの拡散表示要素コンテンツのみを視認できるタイミングとを決定または選択的に規定する。
【0016】
特定の例示的表示システムにおいて、印刷シフォン、薄いベニヤ板、特注のグラフィックス印刷フィルム等のテーマ別オーバレイの後方に高解像度の高輝度LCDモニタ(例えば、1500cd/m)が配置される。表示システムが休止状態、即ち非活性状態の間(例えば、テーマ別オーバレイの背面に光が放射されていない場合)、モニタの表示コンテンツまたはメディアは、黒色の映像のみを表示するようにしてもよい。テーマ別オーバレイの前面の前方照明、即ち視聴者側照明は、視聴者に対して物質が画像、テクスチャ、色、パターン等を反射できるだけの所望の輝度レベルに調整されてもよい(例えば、人間の目でこの拡散反射コンテンツは視認できるが要素後方に配置されたモニタは視認できないように、最低レベルの照明または輝度を使用してもよい)。このように、テーマ別オーバレイは、例えば板材、物理的な筆筋を有する塗装、あるいは硫酸紙等のように、中実または比較的厚くて不透明であるよう視認される。
【0017】
ただし、次の作動状態では、モニタ上のメディアまたは表示コンテンツが変化して、テーマ別オーバレイを透過するために十分な高いレベルでより明るく点灯または照らされるようになる(例えば、反射光と同程度の輝度で透過する)。発光性表示コンテンツは、モニタと重なる領域または隣接する領域で、前面の照明レベルを大きく超え、視聴者の注意を引き付ける。例えば、この状態で視聴者は、反射光を介してテーマ別オーバレイの前面の隣接部分と同時に、表示コンテンツを視認し得る。コンテンツは、メニュー、広告メッセージ、展示会等の場所特有の情報、アニメのキャラクタ、あるいは幻想的に見える任意の他の視覚効果であって、視聴者が過去から未来にわたって中実で不透明であると認識し続けるような表面に融合する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による表示システム100の機能ブロック図を示している。図示されるように、システム100は、アミューズメントパークのレストラン、富裕層向けショッピングモールの通路、及びテレビ型の正方形または長方形のモニタの使用が望ましくないその他の場所等での視聴空間104に位置する視聴者102に対して、テーマ別オーバレイからのコンテンツ128および発光性表示コンテンツ140を融合した独特の表示を行うように構成されている。
【0019】
この目的のために、システム100は、視聴者102から最も近い部分となるように視聴空間104の近傍または内部に配置されたテーマ別オーバレイまたは物理的スクリーン装置(即ち、カモフラージュ用表示要素、あるいは光調和または折衝装置)110を備える。具体的には、テーマ別オーバレイ110は、視聴空間104に対向する拡散表示要素層または表面、即ち前面114からのコンテンツを含む。また、表示システム100は、周辺光または視聴者側光124を提供する視聴者側光源120を備え、周辺光または視聴者側光124は、拡散表示要素面114に照射されて、拡散反射コンテンツ128として、視聴者102にとって視認可能となる。この光源120は、太陽または他の周辺光源や、光124の輝度と表示コンテンツ138の輝度とを調和させて、コンテンツ128および140の両方が表面114から拡散反射していると視認されるように、システム100の設計者によって制御または設定された照明レベル122を有する照明システム等、システム100を実現するための多くの形態を有し得る。
【0020】
表示システム100は、(例えば、光源134が作動した際に表示コンテンツ138を後面116上に投影、即ち提供するために)表示要素110の後面116に対向するように表示要素の後方に配置された発光性表示装置をさらに備える。表示システム100の重要な点は、表示装置130の作動中に表示装置130の存在を隠蔽または少なくとも偽装するようにテーマ別オーバレイ110が選択されるか、または設計されることにある。具体的には、発光性表示装置130(または少なくともテレビモニタ型の矩形形状を隠すための外枠部材)は、オフモード即ち非活性モード(光源134からの光のレベル136が低いかゼロのモード)で作動し、かつ視聴者側光源120が周辺光または視聴者側光124を提供している場合、視聴者102にとって視認可能でないことが好ましい。さらに、表示装置130は、光源134が活性モード、即ちオンモードで作動して、後面116に表示コンテンツ138を提供している場合に(そして、拡散反射コンテンツ128と同時に視聴者が視認できる発光性表示コンテンツ140として表示要素110を透過する場合に)、容易に視認できない。
【0021】
このような偽装または隠蔽の機能を提供するため、テーマ別オーバレイ110は、少なくとも一部が半透明または透明に構成されて、光124を反射することなく表示コンテンツ138を通過させる。この目的のため、要素110は、表示装置130からの光が透過できるように選択された厚さtを有していてもよい(この厚さtは、織物、ベニヤ板、印刷スクリーンまたはフィルム等、表示要素110のために選択された材料によって決まる)。テーマ別オーバレイの表面114は、光源120の予測し得る最も高い照明レベル122でも表示装置が視聴者102に視認されないように選択された彩色および材料の印刷シフォンで形成されてもよい。他の実施形態において、表示要素110は、表示コンテンツ138を透過するが、光124の大部分を反射して、拡散反射コンテンツ128を提供する紙または厚紙であってもよい。さらに別の場合には、表示要素110は、表面116に照射される光(例えば、表示コンテンツ138等)を透過するが、光124の多くを拡散反射コンテンツ128として反射する薄いベニヤ板パネル、または類似の材料で形成してもよい。
【0022】
これらの各実施例において、光124は、表示要素110を通過した後、モニタスクリーン132に衝突して反射し、次にテーマ別オーバレイ110を透過し、拡散反射コンテンツ128は、この光124のレベルを大きく超えるものであり、これにより、表示装置が非活性作動モードの場合は、視聴者102は表面114が中実で不透明であると視認し、コンテンツ128を認識する。テーマ別オーバレイの表面114は通常、反射光128が鏡面反射されたものではなく、拡散反射されたものとなるように、鏡面加工されない。このために、表面114は、多くの紙類、織物、ベニヤ板、および表示要素に用いられるその他類似の材料等のように、多孔質であってもよい。視聴者102が視認するコンテンツ128は、単に表面114上の色、テクスチャ、およびパターン(例えば、木材パネルの茶色の縞等)であってもよいし、テーマに応じた環境を視聴空間104に提供する際、広告コンテンツを提供する際と、および情報(例えば、メニューボード、ショー時刻または情報ボード等)を提供する際との少なくとも1つの場合において有用なグラフィックスまたはテキストを含んでいてもよい。
【0023】
表示システム100は、テーマ別オーバレイ110の後面116に対向する表示またはモニタスクリーン132を備えた発光性表示装置130をさらに備える。スクリーン132は、視聴者102に対して表示装置130の存在をさらに偽装するため、表面116から例えば2.54〜15.24センチメートル(1〜6インチ)以上の距離dSPACINGだけ離間していてもよい。一方、システム100の一部の実施形態では、(例えば、表示要素110がベニヤ板等の比較的不透明であることと、構造的に堅牢であることとの少なくとも一方の特徴を有する材料で形成されている場合に)スクリーン132が後面116に当接している。表示装置130は、調節可能または選択可能な照明レベル136を有する光源134を備える。好ましくは、光源134の輝度または照明レベル136は調整可能であって、発光性表示装置130は、表示コンテンツ138が発光性表示コンテンツ140として拡散反射コンテンツ128と融合され、さらに表示装置130が検出されることを防止するように、表示コンテンツ138の輝度を調整する(例えば、コンテンツ140は、表面114上に幻想的に出現し、かつ拡散反射コンテンツ128の一部であるように出現する)。
【0024】
表示装置130としては、システム100を実現するために多くの形態が考えられる(当然、2つ以上のモニタスクリーン132を用いて装置130を提供してもよい)。例えば、スクリーン132には、ほぼ任意のコンピュータまたはテレビ型モニタを使用してもよい(寸法や形状は本実施形態に限定されない)。一方、特定のシステムは、太陽光の下でも見えるように構成されたLCD等の高輝度LCDおよびプラズマディスプレイの少なくとも一方を装置130に用いてもよい。特定の場合には、光源134が1500cd/m等の超高レベルの輝度136を提供可能であってもよい。
【0025】
表示システム100は、プロセッサ152を備えたコンピュータや類似の電子装置の形態が考えられるデジタルメディアソースまたは制御装置150をさらに備える。プロセッサ152は、入出力装置154(例えば、キーボード、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス等のほか、モニタ、プリンタ等)の作動を管理して、オペレータがデータや命令を入力できる(例えば、照明レベル136の手動調整、表示コンテンツ170の選択、コンテンツファイル168の生成等を行える)ようにするとともに、モニタ154上のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)表示等を介してデジタルコンテンツ168の出力を受け付けたり一部にアクセスしたりできるようにする。メディアソース150は、メモリ(図4および図5に示す方法等の特定機能をコンピュータ150またはプロセッサ152に実行させるコンピュータ可読コード装置)を備えていても良い。
【0026】
プロセッサ152は、オペレータがデジタルコンテンツファイル168を生成できるとともに、(ファイル168から)表示コンテンツ170を表示装置130に提供することにより、表示装置130を選択的に作動させて、表示コンテンツ138を出力させる表示プログラム164等、メモリ160に格納されたコード、即ちプログラムを実行するものであってもよい。表示装置130は、コンテンツ170に含まれるメディアを、表示またはモニタスクリーン132上に提供する。このメディアは、光源134の照明レベル136の設定に応じた表示コンテンツ138の輝度で表示される。照明レベルは、表示プログラム164で設定され得る。
【0027】
特定の場合において、照明レベル136は、発光性表示コンテンツ140の輝度または照明レベルが拡散反射コンテンツ128の輝度または照明レベル以下となるように選択される。この目的のため、オペレータは、例えば視聴者側光源120の1つ以上の照明レベル122ならびに表示要素110およびテーマ別オーバレイ表面114からのコンテンツの特定構成に基づいて光源134の照明レベル136を手動で試験して、調節することにより、表示プログラム164で照明レベル136の設定を行うようにしてもよい。他の場合において、表示システム100は、光源120の照明レベル122(即ち、視聴空間で表面114に照射される光124の輝度)を決定するために配置された光センサ180を備えても良い。表示プログラム164は、センサ180からの輝度データを処理して、光源134の照明レベル136の適切な設定(表示装置130に送られる光制御信号184参照)を決定するようにしてもよい。この設定は、望ましくは拡散反射コンテンツ128と融合する(例えば、表示コンテンツ140の輝度が表面114上のコンテンツ140の発光部分からのコンテンツ128を少なくとも超える程度の(即ち、わずかに高い)レベル134を選択する)、あるいは反射コンテンツ128よりも低輝度である発光性表示コンテンツ140として表示コンテンツ138がテーマ別オーバレイ110を透過するように選択されてもよい。
【0028】
この点について、システム100及びその部品によって提供されるような表示システムの特定の実装例および作動例を示す。図2Aおよび図2Bは、表示システム200を示しており、表示システム200は、図2Aに示されるように、非活性モード、即ち第1作動状態で作動し、次に、図2Bに示されるように、活性モード、即ち第2作動状態で作動する。システム200は、薄いシート状またはパネル状のベニヤ板の形態のテーマ別オーバレイ210を備える。図2Aおよび図2Bは、視聴空間にいる視聴者から見える表示要素210の前面212を示している。
【0029】
視聴者は、表面212をその色(茶色と黒色)およびグラフィック要素214(例えば、木材自体の自然なパターンまたは縞等)と合わせて視認可能である。また、テキスト要素またはコンテンツ216、218、219も視認可能であり、この場合には、表示要素210がレストランおよびそのメニューに関連する情報を表示するために用いられている。テキスト要素216、218、219は、表示要素210を含む視聴空間のテーマに合ったフォントまたはスタイルで表面212上に印刷されてもよい。グラフィックまたは表面コンテンツ214およびテキストコンテンツ216、218、219は、視聴者側光源からの光(場合によっては、周辺光)(図示せず)が前面212で反射することにより拡散反射として視聴者に視認される。この場合、視聴者は、表示要素210を環境または視聴空間の中実で不透明な要素と認識する。
【0030】
システム200は、発光性表示装置をさらに備えるが、テーマ別オーバレイ210によって視認されないように隠されているため、図2Aおよび図2Bには示されていない。図示したように、視聴者は、LCDや類似の装置が表示要素210のすぐ後方に配置されていることを視認できない。また、図2Aに示すように発光性表示要素がオフ状態即ち非活性状態で作動している場合(黒色映像のみを表示するか、または光源をオフまたは極低輝度レベルとしている場合)、視聴者は、テーマ別オーバレイ210の前面212にグラフィックまたは表面コンテンツおよび印刷テキストコンテンツ214、216、218、219のみを認識可能である。
【0031】
図2Bにおいては、発光性表示要素(例えば、図1の要素130等)がオンモード即ち活性モードで作動しており、光源が高い輝度レベルにある(例えば、部分領域220、230からの光の拡散反射を超えている)ため、発光性表示コンテンツが生成されている。点線220、230は視聴者にとって視認可能ではないが、発光性表示モニタまたはスクリーンがデジタルコンテンツファイルに基づくコンテンツを表示する領域を示している。この領域220、230では、表示スクリーンが照らされて、グラフィックまたは表面コンテンツ224、234ならびにテキストコンテンツ222、232を表示している。興味深いことに、グラフィックまたは表面コンテンツ224、234は、テーマ別オーバレイ210の前面212の表面またはグラフィック特性214と適合および整合するように構成されている(例えば、背景画像またはメディア224、234は、色およびテクスチャ等の点で表面212と同じであって、その既存の特性214と適合している)。このようにして、領域220、230の画像がテーマ別オーバレイ210の後方の表示器によって提供されているものと、視聴者が認識することは困難となる。テキストコンテンツ要素222、232は、テキスト要素218、219と整合し、これら要素のスタイル、色、寸法、フォント等と整合するように選択されてもよい。これにより、これら幻想的に出現する要素222、232は、要素218、219と同様に、表面212上に印刷されているように視認される。例えば、LCD上で再生している映像は、LCDの前方の物理的材料上に印刷されたものと同じファイル(例えば、“x”.jpgファイル等)であってもよい。
【0032】
図2Aおよび図2Bの例は、ベニヤやパネル材が視聴空間や環境に整合するウェスタン・フロンティア(西部の辺境)等の特定のテーマ環境の一部であるように見え、かつ単純にモニタまたは表示スクリーンであるようには視認されないデジタルメニューを生成したい場合に有用であり得る。ベニヤの代わりに、木製フェンスやれんが壁等の高解像度の画像が、ベニヤパネルまたはシートの代わりに、テーマ別オーバレイ210として使用可能なグラフィックフィルム上に設けられても良い。他の場合には、壁紙として印刷された織物または紙材料が、発光性表示装置のモニタまたは表示スクリーン用の部分の後方を切り抜いた壁に接着される。別の態様としては、不透明な外側印刷領域が透明な透過領域へと段階的に変化するアセテート上の透明印刷が挙げられる。
【0033】
図示された例において、ベニヤ板が非常に薄く形成され、発光性表示装置の存在を隠蔽しながらも半透明の性質を有し得る(図2Aおよび図2Bから明らかなように、発光性表示装置は視認不可能であるが、空間220、230に発光性表示コンテンツを提供するように用いられている)。モニタに発光性表示コンテンツを提供するメディアやデジタルコンテンツファイルには、モニタ上に表示されて、テーマ別オーバレイを介して視聴者にとって視認可能にされる特注のフォントや図柄を含んでいてもよい。
【0034】
発光性表示コンテンツのデザインは、テーマ別オーバレイの外観や雰囲気(前面に提供されるグラフィック要素およびテキスト要素)と融合されることが好ましく、バックライト光源の作動によってモニタまたは表示スクリーンから調節可能または選択可能な輝度で提供される。一部の実施形態において、表示システムは、テーマ別オーバレイの前面を選択的に照明するように前方または周辺の照明レベルを規定可能なコンポーネントまたは部材を備える。この実施例において、発光性表示装置に設けられた連係コンピュータワークステーションおよびソフトウェア(例えば、図1のソースまたは制御装置150等)またはハードウェアおよびソフトウェアによって、視聴空間に設定されたテーマを阻害または喪失することなく、随時メニュー内容を変更可能である。例えば、発光性表示装置は16:9の映像スクリーン(例えば、LCD等)であってもよく、視聴空間の視聴者や客は、映像スクリーンの存在に気付いたり見抜いたりせず、あるいは、メニューボード上で情報がどのように変更または更新されたかを判定することはできない。
【0035】
図3Aおよび図3Bは、室内すなわち視聴空間310にある図柄またはグラフィックポスタにおいて更新可能な情報を提示するための別の表示システム300を示している。視聴空間またはテーマに応じた環境310は、壁面312と、1つ以上の照明レベルに設定して室内すなわち空間310に周辺光を提供可能な視聴者側光源314とを有する。表示システム300は、壁面312に掛けられた拡散表示装置330の後方に(見えないように隠された)発光性表示装置320をさらに備える。この発光性表示装置320は、図3Aでは第1状態、即ち非活性状態(即ち、照明レベルがゼロか低い状態)で作動している。図3Aに示されるように、発光性表示装置320は光源314からの光では容易に視認できないが、この光によりテーマ別オーバレイ330の前面332からの拡散反射コンテンツは、テキスト及びグラフィックの少なくとも一方の要素または成分334を含めて視聴者の目に視認される。
【0036】
図3Bにおいては、発光性表示コンテンツが拡散表示装置330の前面332から空間すなわち領域350に提供されるように、発光性表示装置320が高い照明レベルで作動している。発光性表示コンテンツは、(光源314からの光の拡散反射により視認可能である)グラフィック画像334と同時に視認可能である。適切な融合が行われるように(例えば、投影が検出されないように)、領域350のコンテンツには、色、スタイル、テクスチャ、パターン、サイズ、および位置(例えば、適切な配置)について表面332上のグラフィック要素334と適合するグラフィック成分または背景成分358を含んでいても良い。さらに、領域350のコンテンツには、室内すなわち視聴空間310のテーマに適合したスタイルのテキストベースの情報356を含んでいてもよい。この例では、発光性表示コンテンツ356が近々開催されるミュージカルショーまたはイベントに関する情報を提供しており、当然のことながら、コンテンツ356は随時(毎日、毎週、毎月等)容易に変更可能であることが望ましい。このような更新は、発光性表示装置の表示コンテンツのソースとして使用されるデジタルコンテンツファイルを更新することによって可能である(例えば、テキスト356を変更して新しいバンドが演奏していることが表示されるが、整合し、かつテーマと適合した背景またはグラフィック成分358は維持される)。
【0037】
発光性表示装置320の輝度または照明レベルは、拡散反射によりコンテンツ356、358が表示空間または領域350において視認可能になるように、テーマ別オーバレイ330の厚さおよび材料、ならびに視聴空間310における光314の輝度に応じて調節または選択される。ただし、そのレベルは、空間310にいる視聴者が容易に発光性表示装置320のモニタまたはスクリーンを認識できるほど高くない。
【0038】
図4は、テーマ別オーバレイを介して(拡散反射コンテンツとともに)表示されるコンテンツを発光性表示装置に提供する際に用いられるファイル168等のデジタルコンテンツファイルの生成方法400を示している。方法400は、ステップ410から開始し、例えば、所望の効果または表示の種別および表示システムが用いられるテーマおよび環境が計画される。方法400の次のステップ420において、特定のコンテンツを表面に設けたテーマ別オーバレイが選択される。上述のように、この表示要素は織物であってもよいし、コンテンツ表面はグラフィック成分およびテキスト成分の少なくとも一方を含む印刷パターンを有していてもよい。また、別の実施形態としては、印刷テキストまたは画像の有無を問わずベニヤ板を利用してもよいし、印刷グラフィックスまたはテキストを含むプラスチックまたは紙シートを利用してもよく、印刷グラフィックスまたはテキストをデジタル的に増強可能であってもよい。
【0039】
ステップ430では、例えば、コンピュータシステム(図1のデジタルメディアソース150等)のメモリに格納された前面のデジタル画像を作成することによって、拡散表示要素表面によって提供されるコンテンツに対するデジタル画像ファイルを作成する。特定の場合において、ステップ420は、デジタル画像を用いて拡散表示要素表面によって提供されるコンテンツを作成し、このデジタル画像ファイルは、ステップ430で読み出されて、発光性コンテンツファイルの作成に用いられる。ステップ430で作成されたファイルは、拡散反射によりテーマ別オーバレイの前面で視認可能となる画像またはテキストに関連した表面パターン、形状、テキスト、色等の情報を規定する。方法400のステップ440は、表示コンテンツを生成するか、読み出す。即ち、ステップ440では、設計者が表示したいコンテンツをメモリから読み出すか、作成する。コンテンツは、メニューや広告等のテキスト情報と、グラフィック要素または映像との少なくとも一方を含んでも良い。表示可能なコンテンツの範囲にはほぼ制限がないが、ステップ440では、表示システムが用いられる視聴空間すなわち環境のテーマ(例えば、西部のモチーフ、中世の城、富裕層向けショッピングモール、熱帯島の村等)に適合するように選択され、設計される。
【0040】
方法400のステップ450は、ステップ430で得られた拡散表示要素表面ファイルからのコンテンツに表示コンテンツを追加または挿入して、発光性表示装置用のメディアまたはデジタル表示ファイルを作成する。ステップ460は、メディアソースまたは制御装置(例えば、図1の装置150等)から、または発光性表示装置から直接アクセス可能なメモリに該ファイルを格納する。方法400は、ステップ490で終了してもよいし、同一または他の発光性表示装置に対してデジタルコンテンツファイルをさらに生成することもできる。ステップ450では、ステップ440で得られた表示コンテンツについて、拡散表示要素表面によって提供されるコンテンツに含まれる既存成分と正確に整合させることと、寸法、スタイル、テーマ等により良好に適合させることとの少なくとも一方のために操作が必要であってもよい。例えば、ステップ450では、反射表面からの背景グラフィック画像を保持し、ステップ440で得られたテキストコンテンツを重ね合わせ、これら背景画像およびテキストコンテンツを拡散表示要素表面からのコンテンツの隣接部分と適合させるようにしてもよい(例えば、表示コンテンツは通常、反射表面コンテンツの一部にすぎないため、視聴者が同時に視聴する反射表面の周囲または隣接部分と整合および適合させることが好ましい)。
【0041】
図5は、テーマ別オーバレイからのコンテンツを発光性コンテンツと適正に融合させて、発光性表示装置の表示スクリーンまたはモニタの存在を隠蔽する表示システム(例えば、図1のシステム100等)の作動方法500を示している。方法500は、ステップ510で開始し、発光性表示装置およびテーマ別オーバレイを選択する。例えば、テーマ別オーバレイには印刷フィルムを選択し、テーマ別オーバレイが太陽光または非常に明るい光に露出された前面を有する場合は、太陽光下でも見ることができる発光性表示装置としてLCDを選択する。方法500の次のステップ520は、テーマ別オーバレイの後方に発光性表示装置を配置し、表示スクリーンの位置をテーマ別オーバレイの後面の所望部分と整合させることを含む。
【0042】
方法のステップ530では、初めに発光性表示装置を第1作動状態(即ち、非表示または非活性モード)で作動させてもよい。この状態では、発光性表示装置がブラック映像を表示するか、または、テーマ別オーバレイから発光性コンテンツが表示されないように光源を「オフ」にし、即ち非活動状態にする。ステップ536では、制御装置またはメディアソースが表示プログラムに応じて、表示を活性化すべきか否かを判定し、活性化すべきでないと判定した場合は、発光性表示装置が第1状態、即ち非活性状態に維持される。
【0043】
方法500のステップ536において活性化すべきと判定された場合には、ステップ540において、制御装置が視聴空間の(例えば、拡散表示要素表面からのコンテンツにおける)照明レベルを検出するか、または、視聴空間にて予測される1つ以上の既定の照明レベルから選択する。方法500の次のステップ550では、発光性表示装置の光源の照明(または輝度)レベルを視聴者側の光レベルに合わせて調整または設定する。即ち、発光性表示装置は、視聴者が反射表示表面上の発光性表示領域からの拡散反射ではなく同表面から透過した発光性表示コンテンツを視認できるようなレベルで発光性表示コンテンツを含むモニタまたは表示スクリーンを照明するように、手動または自動で(制御装置またはメディアソース等を介して)調節を行ってもよい。これには、同程度の輝度(即ち、コンテンツがこの装置の厚さ方向に沿って透過するとともに、視聴者への反射光によって視認可能にされるように、拡散表示装置の後面で数%〜10%以上高い割合とした輝度)が必要であってもよい。
【0044】
方法500の次のステップ560では、発光性表示装置を作動させて、選択された輝度レベルでデジタルコンテンツファイルを表示する。これにより、テーマ別オーバレイ表面によって提供されるコンテンツの視聴者は、テーマ別オーバレイによって提供されるコンテンツおよび発光性表示コンテンツ(例えば、図1のコンテンツ128、140)を同時に認識または視認する。次に、方法500は、ステップ530の発光性表示装置を第1作動モード即ち非活性作動モードに戻ることと、ステップ540において、視聴空間または拡散表示要素表面によって提供されるコンテンツにおいて照明レベルの変化を検出することとの少なくとも一方を実行する。また、方法500のステップ570は、表示コンテンツを更新すべきか否かを判定してもよい(例えば、メニューボードを変更して、朝食から昼食、または昼食から夕食に変更された新たなメニューを表示する)。更新すべきでないと判定した場合、方法500は再度判定を行ってもよいし、ステップ590で処理を終了してもよい。更新すべきと判定した場合には、方法500は、ステップ580において、メディアソースのメモリから次のコンテンツファイルを読み出し、ステップ540から(発光性表示装置の照明レベルに変化がない場合はステップ560から直接)処理を継続してもよい。
【0045】
図6は、拡散表示要素からのコンテンツを表示コンテンツと融合させてモニタまたは表示スクリーンを用いていることを偽装した表示が可能な表示システム600の別の実施形態を示している。図示された表示システム600は、モニタまたは表示スクリーン614を備えたLCDテレビ等の発光性表示装置610を備える。システム600は、スクリーン614の形状および境界の少なくとも一方を偽装するマスクを備えた薄い透明材料(例えば、プラスチック、ガラス)等のマスキング要素620を有し(例えば、反射光または放射光によって視認可能となるスクリーン614の形状を変えるようにスクリーン614の一部を隠すために、薄いシートの表面上の不透明な塗装層の形状は不規則であって良い)、マスクは硬調または羽毛状の階調となっている。
【0046】
システム600は、構造支持部630をさらに備え、構造支持部630上には、可撓性のテーマ別オーバレイ640が、前面642を外側(例えば、視聴空間にいる視聴者側)に向け、かつ表示コンテンツを受け入れるように後面644をスクリーン614に向けた状態で、貼付されている。一実施形態において、構造支持部630は、ポリカーボネート製シートやLexan(登録商標)製シート等、枠状またはシート状の透明材料であり、要素640は、視聴者側光の拡散反射により視聴者に視認可能である表面642上のグラフィックまたはテキストコンテンツを提供する印刷を施した織物またはシフォンのシートである。
【0047】
図7は、発光性表示装置610を取り外して、マスキング要素620を示した表示システム600の背面図である。図示したように、マスキング要素620は不透明な羽毛状マスク621(例えば、要素620の枠またはシート表面に適用された黒色塗装等)を備え、マスク621は、構造シート630を貫く視聴用孔または視聴用窓631の不規則形状(モニタとして予測されるような単なる正方形、長方形、円形等ではない)、および羽毛状の縁部を画定する。発光性表示装置610が表示モード、即ち活性モードで作動する場合、発光性表示装置610のスクリーン614は、視聴孔または視聴窓631を介してテーマ別オーバレイ640の後面644にコンテンツを表示すること、および光を放射することのみが可能である。
【0048】
図8は、表示システム600の前面図、即ち視聴者のPOV図であって、発光性表示装置610は、スクリーン614がバックライト光源に照らされた活性モードで作動している。バックライトは、表示コンテンツがテーマ別オーバレイ640(ならびに、マスキング要素620および構造シート630)を介して発光性表示コンテンツ615として視聴者に視認可能になる輝度または照明レベルにある。表示コンテンツ615は、視聴窓631を介してのみ視認可能であって、本実施例におけるパターンまたはグラフィックス643等のテーマ別オーバレイ640の前面642からの拡散反射コンテンツと同時に視認されるか、認識される。図8に示されるように、表示またはモニタスクリーン614自体は、視聴者に視認されず、表示コンテンツのみが視認可能である。
【0049】
図9は、視聴者902のために、3次元(3D)効果を実現するように使用可能な別の表示システム910を示している。表示システム910は、バックライト光源912を備え、バックライト光源912の上には、背景テクスチャまたはグラフィック画像(あるいはテキスト)を提供するシート状の紙類や織物等の半透明層914が配置されている。バックライト光源912が半透明層914を照らすように作動すると、システム910は、他の構成を必要とすることなく、視聴者902が、半透明層914によって提供される背景コンテンツを視認することを可能にする。システム910は、テキストまたはグラフィックス等の前景コンテンツのソースとして作用する表示モニタ916をさらに備える。バックライト光源912が、モニタ916とともに作動する際に、システム910は、テクスチャ層、即ち背景層914からのコンテンツと、表示モニタ、即ち前景コンテンツソース916からのコンテンツとを含む融合されたテクスチャ及び表示コンテンツ918を出力する。
【0050】
一部の実施形態において、表示モニタ916は、(例えば、図1のメディアソースからの)前景コンテンツをデジタル的に提示するように作用する分極層を備えたLCDモニタまたは表示スクリーンの形態を有する。前景コンテンツは、(例えば、半透明層914およびモニタ916を光が透過する輝度における)バックライト光源912の作用によって、半透明層914のコンテンツと同時に表示されることができる。半透明層914をモニタ916の前面から離間して配置することによって、3D視差効果が実現されるとともに、視聴者902に認識される。使用の際に、モニタ916によって提示されるコンテンツは、背景層914およびそのメディアまたはコンテンツを維持した状態で、容易に変更および更新可能である。
【0051】
本発明を詳細に説明してきたが、本開示内容は例示的なものに過ぎない。当業者であれば、特許請求の範囲に開示したように、本発明の精神および権利範囲から逸脱することなく、各部の組み合わせや配置に関する多数の変形例を容易に想到することができる。
【0052】
本発明に特有の表示器の実現方法を詳しく説明するために、現時点では、図1の表示装置またはシステム100について、さらに議論することが便利であり得る。テーマ別オーバレイ110は、一部が不透明で一部が透明という同じ特性の白色印刷層または基板114を備えていても良い。例えば、後面116は、一部が特定の割合で透明なグラフィック印刷層を備えていても良い。光源120からの光124は、前面114を通過して、この印刷層または後面116に衝突し、画像またはコンテンツ128を視聴者の目102に向けて反射する。本実施例において、白色の裏板が、前面114を照らす「バックライト」を形成するように作用し、前面114上の画像を、より明るく、「力強い」画像にする。裏板は、その拡散性により、「画素ボックス」の拡散にも関わる。テーマ別オーバレイ116の透明度または透明の割合は、反射画像128が、表示装置130からのコンテンツ138に基づいて視聴者120まで放射されるコンテンツ140と、望まれるように融合され、ひいては、光およびコンテンツ(または画像)128、140の組み合わせの全てが反射されたものとして視聴者102に認識されるように選択される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴空間において視聴者にコンテンツを表示する装置であって、
表示スクリーン及び光源を備える発光性表示装置であって、前記表示スクリーンはデジタルコンテンツを提供し、前記光源は、光を選択的に発生し、かつ前記表示スクリーンを透過させて、特定の照明レベルで前記デジタルコンテンツを前記表示スクリーンの表面上の表示コンテンツとして視認可能にする前記発光性表示装置と、
前記表示スクリーンを覆って配置されたテーマ別オーバレイであって、前記テーマ別オーバレイは、前記表示スクリーンに対向する後面、および該後面の反対に位置する前面を備え、前記前面は前記視聴空間から前記前面に衝突する光を拡散反射して、前記前面を前記視聴者にとって実質的に不透明であると視認されるようにする前記テーマ別オーバレイとを備える装置。
【請求項2】
前記光源は、第1に、非活性モードで作動し、前記視聴者による前記表示スクリーンの視認は前記テーマ別オーバレイによって防止される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光源は、第2に、前記光が前記表示スクリーンを透過する活性モードで作動し、該活性モードにおいて、前記表示コンテンツは、発光性表示コンテンツとして、前記テーマ別オーバレイを透過する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記前面で反射した光は、前記発光性表示コンテンツと同時に、拡散反射コンテンツとして前記視聴者にとって視認可能である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記光源は、前記発光性表示コンテンツの輝度が、前記拡散反射コンテンツの輝度と少なくともほぼ等しくなるような前記照明レベルを設定するように、調節可能である請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記拡散反射コンテンツは、パターンを有するグラフィック成分を含み、前記発光性表示コンテンツは前記パターンと整合し、かつ前記パターンを繰り返すグラフィック成分を含む請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記テーマ別オーバレイは、前記前面上に、ベニヤ板パネル、印刷織物、及び印刷されたグラフィックを有するフィルムの少なくとも1つを備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
コンテンツを表示するための方法であって、
少なくとも部分的に半透光性であり、かつ光を拡散反射する露出された前面を有するテーマ別オーバレイの後方に発光性表示装置を配置する工程と、
前記テーマ別オーバレイの後面に対向する表示スクリーン上にデジタルコンテンツのファイルを表示するように前記発光性表示装置を作動させる工程と、
前記前面からの光の拡散反射の輝度に基づいて、前記発光性表示装置の光源の照明レベルを調節する工程であって、前記デジタルコンテンツの表示が前記テーマ別オーバレイを透過し、かつ発光性表示コンテンツとして前記拡散反射と融合するように前記照明レベルを調節する工程とを備える方法。
【請求項9】
前記照明レベルは、前記発光性表示コンテンツの輝度が前記拡散反射の輝度と少なくとも等しくなるように、設定される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記デジタルコンテンツのファイルは、前記テーマ別オーバレイの前面のデジタル画像を生成することによって、部分的に生成されて、前記デジタルコンテンツのファイルは前記前面からの少なくとも1つのグラフィック成分を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記デジタルコンテンツのファイルの表示を停止するように前記発光性表示装置を作動させる工程と、
次に、前記表示スクリーン上に、付加的なデジタルコンテンツのファイルを表示して、付加的な発光性表示コンテンツを提供するように、前記発光性表示装置を作動させる工程とをさらに備える請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記前面に照射される光を供給する視聴者側光源を調節して、前記拡散反射および前記表示コンテンツの融合を変化させる工程をさらに備え、該工程によって、前記表示スクリーンの視認は前記テーマ別オーバレイにより防止される請求項8に記載の方法。
【請求項13】
表示されるデジタルコンテンツを提供するメディアソースと、
前記メディアソースに通信可能に接続された電子表示装置であって、前記デジタルコンテンツを表示するモニタスクリーン、及び該モニタスクリーンに選択可能な輝度で光を供給する光源を有する前記電子表示装置と、
視聴空間および前記モニタスクリーンの間に配置された拡散表示要素層であって、前記拡散表示要素層は、前記モニタスクリーンに対向する後面および前記視聴空間に対向する前面を備え、前記前面は前記視聴空間の光源からの光を拡散反射し、前記電子表示装置の光源は、前記拡散表示要素層によって提供されるコンテンツを、前記デジタルコンテンツが発光性表示コンテンツとして通過するために十分大きな輝度を有する前記拡散表示要素層とを備える表示システム。
【請求項14】
前記拡散表示要素層は所定の厚さの織物、木材、紙類、ガラス、又はプラスチックを備え、前記後面および前記前面は、少なくとも部分的に半透光性である請求項13に記載の表示システム。
【請求項15】
前記表示装置の光源の輝度は、前記発光性表示コンテンツの輝度が前記拡散反射の輝度の90〜110%となるようなレベルに調節される請求項13に記載の表示システム。
【請求項16】
前記電子表示装置は、少なくとも約400cd/mの輝度を有するLCDまたはプラズマディスプレイを備える請求項13に記載の表示システム。
【請求項17】
前記表示システムは、前記モニタスクリーンと、前記拡散表示要素層の後面との間に配置されたマスキング要素をさらに備え、該マスキング要素は、ほぼ不透光性のマスクを備えており、前記モニタスクリーンより小さい寸法と、前記モニタスクリーンとは異なる形状を有する表示窓を画定し、かつ羽毛状または硬質の縁部を備える請求項13に記載の表示システム。
【請求項18】
前記前面に照射される光が、前記拡散反射によって、前記拡散表示要素層を通る前記モニタスクリーンの視認が防止されるような輝度レベルを提供するように、前記視聴空間の光源は調節される請求項13に記載の表示システム。
【請求項19】
前記メディアソースによって提供されるデジタルコンテンツは、前記前面上のグラフィック要素に適合するグラフィック要素を備え、前記モニタスクリーンは、前記デジタルコンテンツのグラフィック要素の一部を前記前面上のグラフィック要素に整合させるように、前記後面に整合する請求項13に記載の表示システム。
【請求項20】
前記拡散表示要素層は所定の厚さの半透明材料を備え、前記前面は前記視聴空間の光源からの光を非鏡面反射するように多孔質である請求項13に記載の表示システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−118513(P2012−118513A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238949(P2011−238949)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(504399716)ディズニー エンタープライゼス インコーポレイテッド (73)
【Fターム(参考)】