説明

持手器具

【課題】書類、資料などを保管している段ボール製の箱の側部に設けられた取っ手が破損する割合を低減することができる持手器具を提供すること。
【解決手段】持手器具(1)は、側部(W)と密接する平面(A)を有する本体(11)を備える。本体(11)は、取っ手(21)に嵌合する突起部(12)と、側部(W)と密接する平面(A)側に突起部(12)が設けられた設置部(13)と、設置部(13)と突起部(12)とを貫通して形成される把持部(14)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持運び用孔が側部に設けられた段ボール製の箱を移動するときに用いられる剛性部材からなる持手器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボール製の箱には、外部の衝撃から内容物を守る優れた緩衝性があること、軽量ながら頑丈であること、不要となったものでも資源として有効に活用できることなど、様々な利点がある。このことから、図9に示すように、多くの会社では、書類、資料などを整理して保管する容器として段ボール製の箱2が用いられている。この段ボール製の箱2は、倉庫や棚など、例えば、鉄製のキャビネット3に収納されている。この段ボール製の箱2には、段ボール製の箱2を持って移動しやすいように、段ボール製の箱2の側部に取っ手21が設けられたものがある。しかしながら、取っ手21が設けられた段ボール製の箱2では、取っ手21を用いて段ボール製の箱2を移動する際に、この取っ手21が破損することがある。
【0003】
近時、左右両側面部が三重の側面板を有する文書保存箱が提案されている(特許文献1参照)。この構成によれば、文書保存箱の強度が全面的に高められ、積み重ねにも十分耐え得る文書保存箱を提供することができる。
【特許文献1】特開平10−45122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文書保存箱を用いて取っ手21が破損する割合を低減するには、段ボール製の箱2の内容物を全て入れ換える作業が必要となる。この作業には、多くの会社では、既に、従来の段ボール製の箱2が大量に用いられていることから、多大な時間と労力とが必要となるという問題がある。また、従来の段ボール製の箱2と同じ量の内容物を上記文書保存箱に入れるためには、側面板を重ねて生じる幅だけ幅寸法が必要となる。したがって、上記文書保存箱では、従来の段ボール製の箱2に入れられた内容物を保管する場合に、従来の段ボール製の箱2と比べて広い収納場所が必要となるという問題がある。
【0005】
本発明は、書類、資料などを保管している段ボール製の箱の側部に設けられた取っ手が破損する割合を低減することができる持手器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、具体的には以下のようなものを提供する。
【0007】
(1) 持運び用孔が側部に設けられた段ボール製の箱を移動するときに用いられる剛性部材からなる持手器具であって、前記側部と密接する平面を有する本体を備え、前記本体は、前記持運び用孔に嵌合する突起部と、前記側部と密接する平面側に前記突起部が設けられた設置部と、該設置部と前記突起部とを貫通して形成される把持部と、を有することを特徴とする持手器具。
【0008】
(1)に記載の発明によれば、突起部は、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔に嵌合する。例えば、持運び用孔を直に掴んで段ボール製の箱を持ち運ぶときは、手から持運び用孔の各部にかかる力は不均一となる。これに対し、剛性部材からなる持手器具を持運び用孔に取付けて、把持部を持って段ボール製の箱を持ち運ぶときは、手と持運び用孔との間に、把持部、即ち剛性部材が介するので、手から持運び用孔の各部にかかる力は均一となる。ここで、持運び用孔の局所部分に手からの力がかかることで、持運び用孔が局所部分で破損することがある。それ故、持手器具によれば、手からの力が持運び用孔の局所部分にかかることを防止することができるので、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔の破損の頻度を低減することができる場合がある。
【0009】
例えば、持運び用孔を直に掴んで段ボール製の箱をキャビネットなどから引き出す場合には、手から持運び用孔にかかる力は一部分に集中することがある。これに対し、剛性部材からなる持手器具を段ボール製の箱の内側から持運び用孔に取付けて、把持部を持って段ボール製の箱をキャビネットから引き出す場合には、手から持運び用孔にかかる力は本体の有する平面全体で受けられる。それ故、持手器具によれば、持運び用孔の一部分に手からの力が集中することを防止することができるので、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔の破損の頻度を低減することができる場合がある。
【0010】
したがって、持手器具によれば、書類、資料などを保管している段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔が破損する割合を低減することができる。
【0011】
更に、この構成によれば、段ボール製の箱により書類、資料などが保管されているか否かにかかわらず、持手器具を取付けることができる。更に、この構成によれば、移動する段ボール製の箱にのみ持手器具を取付けることができるので、段ボール製の箱を移動するか否かがわからないものに持手器具を取付けるという手間を省くことができる。
【0012】
(2) (1)記載の持手器具において、前記突起部は、前記持運び用孔に脱着可能に構成されていることを特徴とする持手器具。
【0013】
(2)に記載の発明によれば、持手器具は、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔に取付けられ、又は取り外される。この構成によれば、大量の段ボール製の箱を保管している場合であったとしても、大量の段ボール製の箱の各々に対して持手器具が必要とならない。それ故、大量の段ボール製の箱を保管している場合であったとしても、段ボール製の箱の数にかかわらず持手器具の購入を検討することができ、購入のための費用の削減を図ることができる。
【0014】
(3) (1)又は(2)に記載の持手器具において、前記本体は、磁石を含むことを特徴とする持手器具。
【0015】
(3)に記載の発明によれば、本体が磁石を含むので、持手器具を鉄製のものにくっつけることができる。例えば、段ボール製の箱を保管するキャビネットが鉄製である場合には、このキャビネットに持手器具をくっつけておくことで、段ボール製の箱を移動する必要があるときに持手器具を迅速に準備することができる。ここで、一般に、鉄製のものは至る所に存在する。したがって、所望する所に持手器具をくっつけることができるので、持手器具の紛失の防止を図ることができる。
【0016】
(4) 上壁と側壁と下壁とで囲まれて構成され、前記上壁と前記側壁とが交わる部分に角を有する持運び用孔が側部に設けられた段ボール製の箱を移動するときに用いられる剛性部材からなる持手器具であって、前記側部と密接する平面を有する本体を備え、前記本体は、前記角に接することなく前記持運び用孔に嵌め込まれる突起部と、前記側部と密接する平面側に前記突起部が設けられた設置部と、該設置部と前記突起部とを貫通して形成される把持部と、を有することを特徴とする持手器具。
【0017】
(4)に記載の発明によれば、突起部は、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔に嵌め込まれる。例えば、持運び用孔を直に掴んで段ボール製の箱を持ち運ぶときは、手から持運び用孔の各部にかかる力は不均一となる。これに対し、剛性部材からなる持手器具を持運び用孔に取付けて、把持部を持って段ボール製の箱を持ち運ぶときは、手と持運び用孔との間に、把持部、即ち剛性部材が介するので、手から持運び用孔の各部にかかる力は均一となる。ここで、持運び用孔の局所部分に手からの力がかかることで、持運び用孔が局所部分で破損することがある。それ故、持手器具によれば、手からの力が持運び用孔の局所部分にかかることを防止することができるので、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔の破損の頻度を低減することができる場合がある。
【0018】
例えば、持運び用孔を直に掴んで段ボール製の箱をキャビネットなどから引き出す場合には、手から持運び用孔にかかる力は一部分に集中することがある。これに対し、剛性部材からなる持手器具を段ボール製の箱の内側から持運び用孔に取付けて、把持部を持って段ボール製の箱をキャビネットから引き出す場合には、手から持運び用孔にかかる力は本体の有する平面全体で受けられる。それ故、持手器具によれば、持運び用孔の一部分に手からの力が集中することを防止することができるので、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔の破損の頻度を低減することができる場合がある。
【0019】
したがって、持手器具によれば、書類、資料などを保管している段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔が破損する割合を低減することができる。
【0020】
更に、この構成によれば、段ボール製の箱により書類、資料などが保管されているか否かにかかわらず、持手器具を取付けることができる。更に、この構成によれば、移動する段ボール製の箱にのみ持手器具を取付けることができるので、段ボール製の箱を移動するか否かがわからないものに持手器具を取付けるという手間を省くことができる。
【0021】
ここで、角を有する持運び用孔を掴んで段ボール製の箱を移動するときに、持運び用孔が破損する頻度が多い箇所は、一般に、角の部分である。これに対し、突起部は、持運び用孔が有する角に接することなく持運び用孔に嵌め込まれる。したがって、この構成によれば、破損する頻度が多い角の部分に対して突起部から直に力がかかることを防止することができるので、持運び用孔の破損の頻度を更に低減することができる場合がある。
【0022】
(5) (4)記載の持手器具において、前記突起部は、前記持運び用孔に脱着可能に構成されていることを特徴とする持手器具。
【0023】
(5)に記載の発明によれば、持手器具は、段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔に取付けられ、又は取り外される。この構成によれば、大量の段ボール製の箱を保管している場合であったとしても、大量の段ボール製の箱の各々に対して持手器具が必要とならない。それ故、大量の段ボール製の箱を保管している場合であったとしても、段ボール製の箱の数にかかわらず持手器具の購入を検討することができ、購入のための費用の削減を図ることができる。
【0024】
(6) (4)又は(5)に記載の持手器具において、前記本体は、磁石を含むことを特徴とする持手器具。
【0025】
(6)に記載の発明によれば、本体が磁石を含むので、持手器具を鉄製のものにくっつけることができる。例えば、段ボール製の箱を保管するキャビネットが鉄製である場合には、このキャビネットに持手器具をくっつけておくことで、段ボール製の箱を移動する必要があるときに持手器具を迅速に準備することができる。ここで、一般に、鉄製のものは至る所に存在する。したがって、所望する所に持手器具をくっつけることができるので、持手器具の紛失の防止を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、書類、資料などを保管している段ボール製の箱の側部に設けられた持運び用孔が破損する割合を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1の(a)は、持手器具1と段ボール製の箱2とを示す斜視図である。図1の(b)は、図1の(a)に示す持手器具1の拡大図である。
【0029】
図1の(a)を参照するに、持手器具1と段ボール製の箱2とが示されている。持手器具1については、図1の(b)を参照して詳細に説明する。段ボール製の箱2は、側部Wを有する。段ボール製の箱2の側部Wには、点線状の孔25(いわゆるミシン目)が略U字状に設けられている。この点線状の孔25に沿って側部Wに設けられた折返し部26が内側に折り曲げられることにより、上壁22と側壁23と下壁24とで囲まれて構成される取っ手21が形成される。この点線状の孔25に沿って設けられた折返し部26が外側に折り曲げられることにより、上壁22と側壁23と下壁24とで囲まれて構成される取っ手21が形成されてもよい。取っ手21は、上壁22と側壁23とが交わる部分に角27を有する。
【0030】
図1の(b)には、持手器具1が示されている。持手器具1は、段ボール製の箱2の側部Wと密接する平面Aを有する本体11を備える。持手器具1は、剛性部材からなる。具体的には、持手器具1は、プラスチックからなる。
【0031】
本体11は、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21(持運び用孔)に嵌合する突起部12と、側部Wと密接する平面Aの側に突起部12が設けられた設置部13と、を有する。突起部12は、取っ手21に脱着可能に構成されている。この構成によれば、移動を所望する段ボール製の箱2にのみ持手器具1を取付けることができるので、段ボール製の箱2を移動するか否かがわからないものに持手器具1を取付けるという手間を省くことができる。更に、この構成によれば、大量の段ボール製の箱2を保管している場合であったとしても、大量の段ボール製の箱2の各々に対して持手器具1が必要とならない。それ故、大量の段ボール製の箱2を保管している場合であったとしても、段ボール製の箱2の数にかかわらず持手器具1の購入を検討することができ、購入のための費用の削減を図ることができる。
【0032】
本体11は、設置部13と突起部12とを貫通して形成される把持部14を有する。把持部14は、掴みやすいように湾曲して形成されている湾曲部15を有する。把持部14は、幅寸法のうち最も小さい幅寸法として幅寸法Bと高さ寸法のうち最も小さい高さ寸法として高さ寸法Cとを有する。幅寸法B及び高さ寸法Cの各々は、湾曲部15を人が掴むことができる程度の長さを有する。第1の実施形態において、幅寸法Bは、7cmであり、高さ寸法Cは、2cmである。
【0033】
図2の(a)は、持手器具1の使用状態の一例を示す図である。図2の(b)は、図2の(a)に示す切り取り部分Qの拡大断面図である。
【0034】
図2の(a)には、段ボール製の箱2の外側に持手器具1が取付けられた使用状態の一例が示されている。具体的には、段ボール製の箱2には、書類、資料など(以下「内容物」という)が収納され(図示せず)、段ボール製の箱2は、幅広の丈夫な粘着テープ28、いわゆるガムテープにて封がされている。この段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21に、段ボール製の箱2の外側から持手器具1の突起部12が嵌め込まれている。図2の(a)には、取っ手21の幅寸法X及び取っ手21の高さ寸法Yが示されているが、これらについては、図2の(b)を参照して説明する。
【0035】
図2の(b)には、突起部12が取っ手21に嵌合した状態の断面が示されている。具体的には、側部Wと平面Aとが密接し、突起部12と上壁22及び下壁24とが密接している。図示は省略しているが、突起部12は、側壁23にも密接している。このように、突起部12は、上壁22と側壁23と下壁24とに密接して取っ手21に取付けられている。
【0036】
図2の(b)を参照するに、本体11の高さ寸法C1と本体11の厚み寸法Dと突起部12の突起長さ寸法Eと側部Wの厚み寸法Zとが示されている。突起長さ寸法Eは、厚み寸法Zより大きい。ここで、段ボール製の箱2に収納された内容物に折返し部26が接触し、折返し部26を内側に折り曲げられない場合には、折返し部26を外側に折り曲げることが想定される。更に、後述の図3に示すように、段ボール製の箱2の内側から持手器具1を取付けることが想定される。したがって、平面Aが折返し部26と密接する場合があることから、突起長さ寸法Eは、厚み寸法Zの2倍の大きさより大きく構成されることが好適である。
【0037】
他方、突起長さ寸法Eが過度に大きいと、段ボール製の箱2に収納された内容物に突起部12がぶつかり、側部Wに平面Aが密接されないおそれがある。このことから、突起長さ寸法Eは、厚み寸法Zの2倍の大きさより大きく、取っ手21の高さ寸法Yよりも小さく構成されることが好適である。
【0038】
この構成によれば、段ボール製の箱2に内容物が保管されているか否かにかかわらず、持手器具1を取付けることができる。
【0039】
更に、高さ寸法C1は、幅寸法Xよりも小さく構成され、厚み寸法Dは、高さ寸法Yよりも小さく構成される。この構成によれば、後述の図3に示すように、取っ手21から持手器具1を段ボール製の箱2に入れることができる。したがって、粘着テープ28にて封がされた段ボール製の箱2であっても、封を切らずに、段ボール製の箱2の内側から持手器具1を取付けることができる。
【0040】
例えば、取っ手21を直に掴んで段ボール製の箱2を持ち運ぶときは、手から取っ手21の各部にかかる力は不均一となる。これに対し、剛性部材からなる持手器具1を取っ手21に取付けて、把持部14を持って段ボール製の箱2を持ち運ぶときは、手と取っ手21との間に、把持部14、即ち剛性部材が介するので、手から取っ手21の各部にかかる力は均一となる。ここで、取っ手21の局所部分に手からの力がかかることで、取っ手21が局所部分で破損することがある。それ故、持手器具1によれば、手からの力が取っ手21の局所部分にかかることを防止することができるので、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21の破損の頻度を低減することができる場合がある。
【0041】
したがって、持手器具1によれば、内容物を保管している段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21が破損する割合を低減することができる。
【0042】
図2の(b)を参照するに、磁石16が示されている。即ち、持手器具1は、磁石16を有する。具体的には、本体11の上部に1つの磁石16が埋め込まれ、本体11の下部に1つの磁石16が埋め込まれている。なお、磁石16の個数、大きさ、及び持手器具1に設けられる位置は、適宜設計することができる。持手器具1が有する磁石16の利用については、図4を参照して説明する。
【0043】
図3は、持手器具1の使用状態の一例を示す図である。この持手器具1の構成については、上述したものと同様であり、図2に示した持手器具1の使用状態が異なるので、以下では、相違点のみを説明する。
【0044】
図3には、段ボール製の箱2の内側に持手器具1が取付けられた使用状態の一例が示されている。具体的には、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21に、段ボール製の箱2の内側から持手器具1の突起部12が嵌め込まれている。
【0045】
ここで、取っ手21を直に掴んで段ボール製の箱2をキャビネット3などから引き出す場合には、手から取っ手21にかかる力は一部分に集中することがある。これに対し、剛性部材からなる持手器具1を段ボール製の箱2の内側から取っ手21に取付けて、把持部14を持って段ボール製の箱2をキャビネット3から引き出す場合には、手から取っ手21にかかる力は本体11の有する平面A全体で受けられる。それ故、持手器具1によれば、取っ手21の一部分に手からの力が集中することを防止することができるので、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21の破損の頻度を低減することができる場合がある。
【0046】
図4は、持手器具1の保管状態の一例を示す図である。
【0047】
図4には、段ボール製の箱2に係る作業を行う作業者Pが持手器具1を鉄製のキャビネット3にくっつけた場面が示されている。作業者Pには、段ボール製の箱2を新たに持込む者、不要になった段ボール製の箱2を破棄する者(言い換えるならば、段ボール製の箱2を管理する者)、段ボール製の箱2の収納物を閲覧する者などが含まれる。
【0048】
このキャビネット3に持手器具1をくっつけておくことで、作業者Pは、段ボール製の箱2を移動する必要があるときに持手器具1を迅速に準備することができる。ここで、一般に、鉄製のものは至る所に存在する。それ故、持手器具1をくっつける場所は、キャビネット3に限られるものではなく、例えば、鉄製のドアであってもよい。この場合には、所望する所に持手器具1をくっつけて持手器具1を保管することができるので、持手器具1の紛失の防止を図ることができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図5の(a)は、持手器具1’を示す斜視図である。図5の(b)は、図5の(a)に示す持手器具1’の平面図である。
【0050】
図5の(a)には、持手器具1’が示されている。図5の(a)を参照するに、持手器具1’は、基本的に、第1の実施形態で示した持手器具1と同様の構成を有している。言い換えるならば、持手器具1’の構成は、第1の実施形態で示した持手器具1の構成のうち本体11の構成と突起部12の構成とが異なる。そこで、以下では、本体11に対応する本体11’の構成と突起部12に対応する突起部12’の構成とについて詳細に説明する。なお、段ボール製の箱2は、第1の実施形態と第2の実施形態とで同一の構成を有している。
【0051】
図5の(a)には、持手器具1’が示されている。持手器具1’は、段ボール製の箱2の側部Wと密接する平面Aを有する本体11’を備える。持手器具1’は、剛性部材からなる。具体的には、持手器具1’は、プラスチックからなる。
【0052】
本体11’は、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21(持運び用孔)に嵌合する突起部12’と、側部Wと密接する平面Aの側に突起部12’が設けられた設置部13と、を有する。本体11’は、設置部13と突起部12’とを貫通して形成される把持部14を有する。
【0053】
突起部12’は、取っ手21に脱着可能に構成されている。この構成によれば、移動を所望する段ボール製の箱2にのみ持手器具1’を取付けることができるので、段ボール製の箱2を移動するか否かがわからないものに持手器具1’を取付けるという手間を省くことができる。更に、この構成によれば、大量の段ボール製の箱2を保管している場合であったとしても、大量の段ボール製の箱2の各々に対して持手器具1’が必要とならない。それ故、大量の段ボール製の箱2を保管している場合であったとしても、段ボール製の箱2の数にかかわらず持手器具1’の購入を検討することができ、購入のための費用の削減を図ることができる。
【0054】
図5の(b)を参照するに、突起部12’の外周は、丸みをおびている。このことから、突起部12’が取っ手21に嵌め込まれた場合であっても、突起部12’は、上壁22と側壁23とが交わる部分の角27に接することがない。即ち、本体11’は、上壁22と側壁23とが交わる部分の角27に接することなく取っ手21に嵌め込まれる突起部12’を有する。
【0055】
図6は、持手器具1’の使用状態の一例を示す図である。
【0056】
図6には、段ボール製の箱2の取っ手21に外側から持手器具1’が取付けられ、作業者Pが持手器具1’を掴んで段ボール製の箱2を持ち上げている状態の一例が示されている。一般に、作業者Pが角27を有する取っ手21を直に掴んで段ボール製の箱2を移動するときに、取っ手21が破損する頻度が多い箇所は、角27の部分である。これに対し、突起部12’は、取っ手21が有する角27に接することなく取っ手21に嵌め込まれている。したがって、この構成によれば、破損する頻度が多い角27の部分に対して突起部12’から直に力がかかることを防止することができるので、取っ手21の破損の頻度を更に低減することができる場合がある。
【0057】
<第3の実施形態>
図7の(a)は、持手器具1’’を示す斜視図である。図7の(b)は、持手器具1’’の使用状態の一例を示す図である。
【0058】
図7の(a)には、持手器具1’’が示されている。図7の(a)を参照するに、持手器具1’’は、基本的に、第1の実施形態で示した持手器具1と同様の構成を有している。言い換えるならば、持手器具1’’の構成は、第1の実施形態で示した持手器具1の構成のうち本体11の構成と突起部12の構成とが異なる。そこで、以下では、本体11に対応する本体11’’の構成と突起部12に対応する突起部12’’の構成とについて詳細に説明する。なお、段ボール製の箱2は、第1の実施形態と第3の実施形態とで同一の構成を有している。
【0059】
図7の(a)には、持手器具1’’が示されている。持手器具1’’は、段ボール製の箱2の側部Wと密接する平面Aを有する本体11’’を備える。持手器具1’’は、剛性部材からなる。具体的には、持手器具1’’は、プラスチックからなる。
【0060】
本体11’’は、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21(持運び用孔)に嵌合する突起部12’’と、側部Wと密接する平面Aの側に突起部12’’が設けられた設置部13と、を有する。本体11’’は、設置部13と突起部12’’とを貫通して形成される把持部14を有する。
【0061】
突起部12’’は、取っ手21に脱着可能に構成されている。この構成によれば、移動を所望する段ボール製の箱2にのみ持手器具1’’を取付けることができるので、段ボール製の箱2を移動するか否かがわからないものに持手器具1’’を取付けるという手間を省くことができる。更に、この構成によれば、大量の段ボール製の箱2を保管している場合であったとしても、大量の段ボール製の箱2の各々に対して持手器具1’’が必要とならない。それ故、大量の段ボール製の箱2を保管している場合であったとしても、段ボール製の箱2の数にかかわらず持手器具1’’の購入を検討することができ、購入のための費用の削減を図ることができる。
【0062】
突起部12’’は、軟性部材からなる紐状の紐部41を有する。具体的には、突起部12’’は、設置部13に設置される面と向かい合う面Fを有し、面Fに一端が固着された紐部41を有する。突起部12’’は、一端が固着された紐部41を面Fの両端に有する。紐部41の他端には、止め具42が設けられている。止め具42は、磁石又は鉄を含んでいる。なお、紐部41の本数、長さ、太さ、及び持手器具1’’に設けられる位置は、適宜設計することができる。
【0063】
図7の(b)には、段ボール製の箱2の取っ手21に内側から持手器具1’’が取付けられ、本体11’’が有する磁石16に対向する位置の側部Wに止め具42がくっつけられた状態の一例が示されている。
【0064】
具体的には、先ず、作業者Pは、紐部41又は止め具42を掴んで、取っ手21から持手器具1’’を段ボール製の箱2に入れる。次に、作業者Pは、掴んだ紐部41又は止め具42を引っ張ることにより、持手器具1’’を手繰り寄せる。続いて、作業者Pは、持手器具1’’取っ手21に取付ける。最後に、作業者Pは、本体11’’が有する磁石16に対向する位置の側部Wに止め具42をくっつける。
【0065】
ここで、作業者Pが直に掴んだ持手器具1’’を取っ手21から段ボール製の箱2に入れて、この持手器具1’’を取っ手21に取付けようとすると、持手器具1’’は、掴みやすいように湾曲して形成されている湾曲部15のみを用いてこのような作業することではないことから、手を滑らせて持手器具1’’を段ボール製の箱2の内側に落としてしまうことがある。これに対し、持手器具1’’の構成によれば、作業者Pは、紐部41又は止め具42を掴んで持手器具1’’を取っ手21から段ボール製の箱2に入れて、この持手器具1’’を取っ手21に取付けことができるので、持手器具1’’が段ボール製の箱2の内側に落ちてしまう頻度を低減することができる。
【0066】
更に、持手器具1’’の構成によれば、磁石16に対向する位置の側部Wに止め具42がくっつけられるので、段ボール製の箱2に持手器具1’’を強く固定することができる。例えば、段ボール製の箱2の取っ手21に外側から持手器具1’’が取付けられ、この段ボール製の箱2をキャビネット3から引き出す場合には、取っ手21から持手器具1’’が外れてしまうこともある。しかしながら、持手器具1’’の構成によれば、段ボール製の箱2に持手器具1’’を更に強く固定することができるので、取っ手21から持手器具1’’が外れてしまう頻度を低減することができる。
【0067】
<第4の実施形態>
図8は、持手器具1’’’と段ボール製の箱2とを示す斜視図である。図8を参照するに、持手器具1’’’は、基本的に、第1の実施形態で示した持手器具1と同様の構成を有している。言い換えるならば、持手器具1’’’の構成は、第1の実施形態で示した持手器具1の構成のうち本体11の構成が異なる。そこで、以下では、本体11に対応する本体11’’’の構成について詳細に説明する。なお、段ボール製の箱2は、第1の実施形態と第4の実施形態とで同一の構成を有している。
【0068】
図8には、持手器具1’’’が示されている。持手器具1’’’は、段ボール製の箱2の側部Wと密接する平面Aを有する本体11’’’を備える。本体11’’’は、剛性部材からなる。具体的には、本体11’’’は、プラスチックからなる。
【0069】
本体11’’’は、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21(持運び用孔)に嵌合する突起部12と、側部Wと密接する平面Aの側に突起部12が設けられた設置部13と、を有する。本体11’’’は、設置部13と突起部12とを貫通して形成される把持部14を有する。
【0070】
本体11’’’は、突起部12の底部と所定の長さ寸法Gだけ離れた位置に側部Wと密接する平面A側に板状部材51を有する。板状部材51は、平面Aと直交し、段ボール製の箱2の底面Vと密接する平面Hを有する。具体的には、所定の長さ寸法Gは、取っ手21の下壁24と底面Vとの間の長さ寸法Uと同一の寸法を有する。
【0071】
したがって、段ボール製の箱2の取っ手21に持手器具1’’’が取付けられると、平面Hが底面Vと密接することになる。例えば、作業者Pが段ボール製の箱2の取っ手21に持手器具1’’’を取付けて、この段ボール製の箱2を持ち上げる場合には、手から段ボール製の箱2に係る力は、突起部12が勘合された取っ手21及び平面Hに密接する底面Vに分散されることになる。それ故、持手器具1’’’によれば、手からの力が取っ手21のみにかかることを防止することができるので、段ボール製の箱2の側部Wに設けられた取っ手21の破損の頻度を低減することができる場合がある。
【0072】
以上、第1の実施形態〜第4の実施形態について説明したが、これに限られるものではない。
【0073】
第1の実施形態〜第4の実施形態では、持手器具は、プラスチックからなる構成を採用したがこれに限られるものではない。例えば、持手器具は、金属、木、ガラスなどからなる構成を採用してもよい。更に、持手器具は、プラスチック、金属、木、ガラスなどを適宜組み合わせてなる構成を採用してもよい。
【0074】
第3の実施形態では、第1の実施形態で示した持手器具1の構成のうち本体11に本体11’’の構成、突起部12に突起部12’’の構成を適用したがこれに限られるものではない。例えば、第2の実施形態で示した持手器具1’の構成のうち本体11’に本体11’’の構成、突起部12’に突起部12’’の構成を適用してもよい。
【0075】
第4の実施形態では、第1の実施形態で示した持手器具1の構成のうち本体11に本体11’’の構成を適用したがこれに限られるものではない。例えば、第2の実施形態で示した持手器具1’の構成のうち本体11’に本体11’’の構成を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態に係る持手器具と段ボール製の箱とを示す斜視図(a)及び拡大図(b)である。
【図2】第1の実施形態に係る持手器具の使用状態の一例を示す図(a)及び拡大断面図(b)である。
【図3】第1の実施形態に係る持手器具の使用状態の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る持手器具の保管状態の一例を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る持手器具を示す斜視図(a)及び平面図(b)である。
【図6】第2の実施形態に係る持手器具の使用状態の一例を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る持手器具を示す斜視図(a)及び持手器具の使用状態の一例を示す図(b)である。
【図8】第4の実施形態に係る持手器具と段ボール製の箱とを示す斜視図である。
【図9】従来における段ボール製の箱が保管されている場面を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1、1’、1’’、1’’’ 持手器具
2 段ボール製の箱
3 キャビネット
11、11’、11’’、11’’’ 本体
12、12’、12’’ 突起部
13 設置部
14 把持部
15 湾曲部
16 磁石


【特許請求の範囲】
【請求項1】
持運び用孔が側部に設けられた段ボール製の箱を移動するときに用いられる剛性部材からなる持手器具であって、
前記側部と密接する平面を有する本体を備え、
前記本体は、前記持運び用孔に嵌合する突起部と、前記側部と密接する平面側に前記突起部が設けられた設置部と、該設置部と前記突起部とを貫通して形成される把持部と、を有することを特徴とする持手器具。
【請求項2】
請求項1に記載の持手器具において、前記突起部は、前記持運び用孔に脱着可能に構成されていることを特徴とする持手器具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の持手器具において、前記本体は、磁石を含むことを特徴とする持手器具。
【請求項4】
上壁と側壁と下壁とで囲まれて構成され、前記上壁と前記側壁とが交わる部分に角を有する持運び用孔が側部に設けられた段ボール製の箱を移動するときに用いられる剛性部材からなる持手器具であって、
前記側部と密接する平面を有する本体を備え、
前記本体は、前記角に接することなく前記持運び用孔に嵌め込まれる突起部と、前記側部と密接する平面側に前記突起部が設けられた設置部と、該設置部と前記突起部とを貫通して形成される把持部と、を有することを特徴とする持手器具。
【請求項5】
請求項4に記載の持手器具において、前記突起部は、前記持運び用孔に脱着可能に構成されていることを特徴とする持手器具。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の持手器具において、前記本体は、磁石を含むことを特徴とする持手器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−114907(P2008−114907A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301928(P2006−301928)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】