指紋品質計算装置、指紋品質計算方法、指紋品質計算プログラム
【課題】設定された指紋領域における指紋品質を正確に評価する。
【解決手段】局所指紋品質の計算を行う指紋芯線品質計算装置10が、指紋芯線特徴点を起点として芯線上にマーキングを行うと共に垂線と隣接芯線との交点を起点としたマーキングを行うマーキング設定手段と、任意の芯線点を起点とした探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、芯線に対する隣接芯線上に芯線幅端点AおよびBを設定し、この芯線幅線分ABの距離を上記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段から成る芯線幅測定部を備えた。
【解決手段】局所指紋品質の計算を行う指紋芯線品質計算装置10が、指紋芯線特徴点を起点として芯線上にマーキングを行うと共に垂線と隣接芯線との交点を起点としたマーキングを行うマーキング設定手段と、任意の芯線点を起点とした探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、芯線に対する隣接芯線上に芯線幅端点AおよびBを設定し、この芯線幅線分ABの距離を上記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段から成る芯線幅測定部を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋画像による指紋照合を行う指紋照合システムに関し、特に、指紋画像における指紋品質の評価を行う指紋品質計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された指紋画像と予め記憶された指紋画像との照合を行う指紋照合システムでは、一般に、指紋画像における指紋隆線を芯線化した指紋芯線画像を利用した局所指紋品質計算を行う。
局所指紋品質計算では、指紋芯線画像内の特定領域における隣り合う指紋芯線の幅(つまり、指紋芯線間の距離)である芯線幅を測定すると共にその安定度を算出する(局所指紋品質計算)。
【0003】
局所指紋品質計算では、例えば、図8に示すように、点線円領域内の芯線上の点(芯線点)における、隣接する芯線(隣接芯線)までの距離(矢印の長さ)を芯線幅として測定し、特定の領域(ここでは、点線円領域とする)における芯線幅の分散を計算し、この計算結果である分散値が一定値より低い場合には芯線幅の安定度が高いと判定され、この場合、指紋品質が高いと判定される。
【0004】
また、局所指紋品質計算では、図9に示すように、点線円領域内の芯線点における隣接芯線までの距離(矢印の長さ)を芯線幅として測定すると共に点線円領域における芯線幅の分散を計算し、この計算結果である分散値が一定値より高い場合には、この領域における芯線幅の安定度が一定値より低いと判定され、この場合、指紋品質が低いと判定される。
【0005】
一般に、指紋照合装置における指紋照合において、指紋品質が一定レベルより低い指紋領域は、指紋特徴点の誤認識が生じやすいことが知られており、指紋品質が低い指紋領域を照合対象から除外した場合に、指紋照合処理結果の正確さ(指紋照合精度)が高まることが知られている。
【0006】
このため、上述のように導出した芯線幅の安定度が一定値より高い領域を指紋照合対象とし、一方、導出された芯線幅の安定度が一定値より低い領域を指紋照合対象から除外することによって、より精度の高い指紋照合を行うことが可能となる。
【0007】
しかしながら、局所指紋品質計算を行う領域内に端点や分岐点といった指紋特徴点が存在する場合、領域全体における指紋芯線の安定度に比して、指紋品質が著しく低く算出されてしまう傾向がある。
【0008】
ところで、芯線画像を見た場合、人間は芯線だけからも、その領域における隆線らしさを認識することができる。
しかしながら、例えば、図10に示すように、人間の感覚としては、設定された領域内全体として芯線幅の安定度が高く、指紋品質が高いと思われる指紋芯線領域においても、上述のように、各芯線点における芯線幅に基づき算出された分散値に基づき指紋品質を評価する手法では、指紋品質が著しく低いと判定されてしまうといった不都合がある。
【0009】
この場合、設定された指紋領域全体としては芯線幅の安定度が高いにも関わらず、指紋品質が低いと判定され、指紋照合の対象から除外されてしまうといった不都合が生じ得る。
指紋照合は、上述のように、指紋品質の高い、より広い領域を指紋照合対象とすることにより、照合精度をより高めることができる。
これに対して、指紋品質の高い指紋領域が指紋照合の対象から除外された場合、指紋照合精度の著しい低下がしてしまう可能性がある。
【0010】
これに対する関連技術として、指紋特徴点(特徴点)を含まない領域の芯線安定度を芯線幅に基づき求めることにより、指紋照合の対象領域を決定する手法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−173445公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に開示された関連技術では、特徴点に近似する領域について、指紋芯線幅の安定度の計算対象としないため、指紋照合の対象領域が限定されてしまう。このため、指紋照合の精度が軽減されてしまう不都合が生じ得る。
【0013】
[発明の目的]
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、設定した指紋領域に特徴点が含まれている場合でも、当該指紋領域における指紋品質を正確に評価し得る指紋品質計算装置、指紋品質計算方法、および指紋品質計算プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る指紋品質計算装置は、指紋芯線画像における領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点から当該芯線点を含む芯線に隣接する芯線を示す隣接芯線までの距離としての芯線幅を測定する芯線幅測定部と、この測定結果の分散の度合いに基づき前記領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部とを備えた指紋品質計算装置であって、前記芯線幅測定部は、前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定手段と、前記芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点が前記マーキングされていない場合に当該交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
また、本発明にかかる指紋品質計算方法は、指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価する指紋品質計算方法であって、前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行い、前記領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定し、前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する構成とし、これらの各動作手順を前記指紋品質計算装置が実行するようにしたことを特徴としている。
【0016】
又、本発明にかかる指紋品質計算プログラムは、指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価するための指紋品質計算プログラムであって、前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に隣接する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定機能と、前記領域に含まれる芯線上の点としての芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定機能と、前記芯線に対する隣接芯線と前記探索垂線との交点にマーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定機能とを、前記指紋品質計算装置の有するコンピュータに実現させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、指紋芯線特徴点を起点として芯線上にマーキングを行うと共に垂線と隣接芯線との交点を起点としたマーキングを行うマーキング設定手段と、任意の芯線点を起点とした探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、芯線に対する隣接芯線上に芯線幅端点AおよびBを設定し、この芯線幅端点AおよびB間(芯線幅線分AB)の距離を上記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段を備えた構成としたことにより、特徴点が含まれる指紋領域においても、当該指紋領域における指紋品質を正確に評価することを可能とする指紋品質計算装置、指紋品質計算方法、および指紋品質計算プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】指紋品質計算装置を含む指紋照合システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した指紋照合システム内の指紋品質計算装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に開示した指紋品質計算装置におけるマーキングが成された端点近辺の芯線領域を示す説明図である。
【図4】図2に開示した指紋品質計算装置におけるマーキングが成された分岐点近辺の芯線領域を示す説明図である。
【図5】図2に開示した指紋品質計算装置における端点近辺で芯線幅を測定する手法を示す説明図である。
【図6】図2に開示した指紋品質計算装置における分岐点近辺で芯線幅を測定する手法を示す説明図である。
【図7】図7(A)は、一般の指紋品質計算手法により設定された、芯線画像における芯線品質の高い(および、低い)領域を示す説明図である。図7(B)は、図2に開示した指紋品質計算装置により設定された、芯線画像における芯線品質の高い(および、低い)領域を示す説明図である。
【図8】芯線画像における指紋品質が高い芯線画像領域の一例を示す説明図である。
【図9】芯線画像における指紋品質が低い芯線画像領域の一例を示す説明図である。
【図10】芯線画像における特徴点近辺の芯線画像領域の一例を示す説明図である。
【図11】図2に開示した指紋品質計算装置における動作内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態について、その基本的構成内容を説明する。
【0020】
本実施形態である指紋照合システム1は、利用者の指紋入力を受け付けると共に、入力された画像を指紋画像として記憶する指紋入力装置8と、指紋画像内の隆線を芯線化した指紋芯線画像を生成する指紋特徴抽出装置9と、指紋特徴抽出装置9から入力された指紋芯線画像における芯線幅の安定度に基づき局所指紋品質の計算を行う指紋芯線品質計算装置10を備えた構成を有する。
また、指紋照合システム1は、指紋芯線品質計算装置10による指紋芯線画像の局所指紋品質計算結果に基づき指紋照合を行う(指紋照合機能)。
【0021】
尚、指紋入力装置8は、利用者の指紋を撮影し画像データとして取得するスキャン手段と、撮像された画像を指紋画像として記憶する画像記憶手段を備えているものとする。
【0022】
また、指紋特徴抽出装置9の内部には、入力された濃淡をもつ指紋画像を二値化する処理を行う二値化部91と、二値化された指紋画像における隆線の形状に基づき細線化処理を行なうことにより芯線画像を生成する細線化部92と、細線化された芯線画像の芯線から端点、分岐点といった特徴点の抽出処理を行う特徴点抽出部93が設けられている。
【0023】
更に、上記特徴点抽出部93は、芯線画像内における特徴点の位置を指定する特徴点位置指定部31と、指定された各特徴点における特徴点方向を決定する特徴点方向決定部32と、特徴点方向が決定された各特徴点の種別を特定する(つまり、各特徴点が端点または分岐点であるかを特定する)特徴点種別特定手段33を備えた構成を有するものとする。
【0024】
以下、本願に係る実施形態としての指紋芯線品質計算装置(指紋照合補助装置)10について、図2に基づき詳説する。
【0025】
指紋芯線品質計算装置(指紋照合補助装置)10は、入力された指紋芯線画像における一定領域(「設定領域」という)に含まれる指紋芯線(以下「芯線」という)について、芯線上の特定の点を示す対象芯線点から当該対象芯線点を含む芯線(「対象芯線」という)に隣接する芯線(「隣接芯線」とする)までの距離を示す芯線幅を測定する芯線幅測定部12と、この測定結果の分散の度合いに基づき、上記設定領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部13を備えた構成を有する。
【0026】
芯線幅測定部12は、上記設定領域に含まれる芯線の特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行う(マーキング設定機能:マーキング設定手段に対応)。
このマーキング設定機能で、芯線幅測定部12は、特徴点が端点である場合に、この端点から図4に示すように、芯線上を1方向に一定距離マーキングを行う。一方、特徴点が分岐点である場合には、この分岐点から3方向(1〜3:図4)に、芯線上を一定距離マーキングする処理を行う。
【0027】
また、芯線幅測定部12は、芯線画像上に設定された各特徴点の特徴点方向に対して垂直な直線を示す特徴点垂線を設定する。ここで、特徴点垂線は、特徴点を起点として特徴点方向に対して垂直な方向へと直線を伸ばすことにより設定されるものとする。
このとき、上記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線と設定された特徴点垂線と、の交点が特定される。
【0028】
芯線幅測定部12は、この交点を起点として、上記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行う(マーキング設定機能、手段)。
【0029】
この隣接芯線マーキング設定機能で、芯線幅測定部12は、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、隣接芯線および特徴点垂線の交点(m,n:図3)を起点として、図3に示すように、上記端点における特徴点方向とは逆方向に隣接芯線上を一定距離マーキングする。
一方、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、芯線幅測定部12は、隣接芯線および特徴点垂線の各交点(m’,n’:図4)を起点として、図4に示すように、隣接芯線上を両方向に一定距離マーキングする。
【0030】
更に、芯線幅測定部12は、設定領域内における芯線上の任意点としての対象芯線点を設定し、各対象芯線点における芯線の方向を示す芯線方向直線に、対象芯線点上で直交する探索垂線を設定する(探索垂線設定手段、機能)。
尚、上記芯線方向直線は各対象芯線点における芯線の方向(流れ方向)示す直線であり、芯線方向直線は、例えば、対象芯線点を接点とした芯線に対する接線を示すものとする。
【0031】
更に、芯線幅測定部12は、隣接芯線(第1の隣接芯線)および探索垂線の交点が予めマーキングされている場合、この交点を芯線幅端点Aに設定し、この探索垂線を延長する(つまり、対象芯線から遠ざかる方向へと探索垂線を延長する)。
【0032】
尚、上記第1の隣接芯線は、対象芯線点から探索垂線を延長したときに最初に交点が設定される芯線を示す。
また、芯線幅測定部12が芯線幅端点Aから上記探索垂線を延長して設定した場合に交点が最初に設定される芯線を第2隣接芯線とする。
【0033】
芯線幅測定部12は、第1隣接芯線に対して対象芯線とは反対側で(第1隣接芯線に)隣接する芯線である第2隣接芯線と、延長した探索垂線との交点が特定された場合に、この交点がマーキングされているか否かを判定する。
ここで、上記探索垂線と第2隣接芯線との交点がマーキングされていない場合に、この交点を芯線幅端点Bとする(芯線幅測定手段、芯線幅測定機能)。
【0034】
芯線幅測定部12は、芯線幅端点AおよびBの距離を測定し、この測定された芯線幅を上記対象芯線点における芯線幅として設定する(芯線幅測定手段、芯線幅測定機能)。
【0035】
また、芯線幅測定部12は、設定領域に含まれる各対象芯線点について、各対象芯線点における芯線方向直線に直交する直線(芯線幅直線)と隣接する芯線(隣接芯線)との交点を特定し、マーキングがされていない場合には、対象芯線点とこの交点との距離を上記各対象芯線点に対応する芯線幅として測定する(通常芯線幅測定:芯線幅測定手段、機能)。
【0036】
尚、芯線幅測定部12により、上述のように測定された、各対象芯線点に対応する芯線幅は予め設定された記憶部に、芯線幅測定結果として記憶保持されるものとする。
【0037】
芯線品質計算部13は、上述のように、芯線幅測定部12による芯線幅の測定結果に基づき、設定領域に含まれる各対象芯線点における芯線幅の分散の度合い(分散値)を算出する。
【0038】
ここで、算出された分散値が予め設定された一定値より低い場合、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が高いと判定する。一方、分散の度合いが予め設定された一定値より高い場合には、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が低いと判定する。
【0039】
また、芯線品質計算部13は、芯線画像上に設定された各領域について指紋照合の対象領域とするか否かの判定を行うものとする。
尚、芯線品質計算部13は、芯線画像を格子状に分割することにより、判定対象の各領域を設定する設定であっても良い。
これにより、芯線品質計算部13は、入力された芯線画像中における局所指紋品質が高いと判定した領域を指紋照合の対象領域とし、局所指紋品質が低いと判定した領域を指紋照合の対象から除外することにより、指紋照合の対象領域を決定する。
【0040】
具体的には、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域ごとに芯線幅の分散に基づき指紋品質を数値化した品質スコアを導出し、この品質スコアが一定値より低い領域を照合対象から除外し、品質スコアが一定値より高い領域を照合対象として設定する。
【0041】
これにより、芯線品質計算部13では、設定領域に特徴点が含まれている場合でも、指紋品質の高い領域を指紋照合の対象として正確に抽出することができ、このため、指紋品質の高いより多くの領域を指紋照合対象とすることができ、これにより、指紋芯線品質計算装置10における指紋照合処理の精度をより高めることができる。
【0042】
以上のように、指紋芯線品質計算装置10では、探索垂線と隣接芯線の交点がマーキングされている場合には、その交点に近似する位置に特徴点があることが示され、このとき、芯線幅測定部12が、芯線幅端点AおよびBの距離を設定し当該芯線幅端点AおよびBの距離を対象芯線点における芯線幅として導出する。
これにより、特徴点に近似する位置にある対象芯線点に対応した芯線幅を、設定領域内における全体的な芯線品質を反映した芯線幅として導出することが可能となる。
【0043】
また、上述のような構成とすることにより、特徴点の存在する位置の周辺領域(特徴点を含むその周辺領域)においても、領域内全体としての芯線品質が著しく低く判定(評価)されることを抑制し、照合対象の選択ミスの発生を有効に抑制することができ、指紋芯線品質の高い領域を照合対象領域として適切に抽出することができるため、指紋照合の精度を有効に高めることが可能となる。
【0044】
[実施形態の動作説明]
次に、上記実施形態の動作について、その概略を説明する。
まず、指紋芯線品質計算装置10の芯線幅測定部12が、設定された領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として、芯線上に一定の長さのマーキングを行い、指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばしこの垂線とマーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として、隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行う(マーキング設定工程)。
次に、芯線幅測定部12は、設定領域に含まれる芯線点を起点とし当該芯線点における芯線(対応芯線)の方向に対して垂直な方向を示す探索垂線を設定する(探索垂線設定工程)。
【0045】
ここで、芯線幅測定部12は、対応芯線に対する隣接芯線と探索垂線との交点にマーキングが行われている場合に、この交点を芯線幅端点Aとし、この探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点が予めマーキングされていない場合に、当該交点を芯線幅端点Bとする。
次いで、芯線幅測定部12は、芯線幅端点AおよびB間の距離を、対象芯線点における隣接芯線との芯線幅として導出する(芯線幅測定工程)。
【0046】
ここで、上記マーキング設定工程、探索垂線設定工程、および芯線幅測定工程については、その実行内容をプログラム化し、コンピュータに実行させるように構成してもよい。
また、本プログラムは、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリなどに記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0047】
次に、本実施形態である指紋特徴点情報設定装置の動作について詳説する。
【0048】
まず、指紋入力装置8が、スキャン手段により撮像した画像を指紋画像として取得し、予め設定された記憶手段(例えば、ハードディスクドライブとする)に指紋画像として記憶する。
次に、指紋特徴抽出装置9が、入力された濃淡をもつ指紋画像を二値化し(二値化部91)、二値化された画像中の隆線を芯線化した指紋芯線画像を生成する(細線化部92)。
【0049】
次いで、特徴点抽出部93が、細線化された芯線画像の芯線から端点、分岐点といった特徴点の位置を特定し(特徴点位置指定部31)、各特徴点における特徴点方向を決定する(特徴点方向決定部32)と共に、各特徴点の種別(端点または分岐点)を特定し(特徴点種別特定手段33)、この芯線画像を指紋芯線品質計算装置10に渡す。
【0050】
以下、指紋芯線画像における芯線幅の安定度に基づき局所指紋品質の計算を行う指紋芯線品質計算装置10の処理動作について、図11のフローチャートに基づき説明する。
【0051】
まず、指紋芯線品質計算装置(指紋照合補助装置)10の芯線幅測定部12は、指紋特徴抽出装置9から渡された指紋芯線画像内における、予め設定された大きさ、位置の領域を設定領域として設定する。
【0052】
次いで、芯線幅測定部12は、上記設定領域に含まれる芯線の特徴点を起点として、芯線上に一定の長さのマーキングを行う(ステップS101:マーキング設定機能)。
【0053】
このとき、芯線幅測定部12は、上記特徴点が端点である場合には、図3に示すように、この端点から芯線上の一定距離を(1)方向(特徴点方向)に向かってマーキングを行う。
一方、特徴点が分岐点である場合には、図4に示すように、この分岐点から3方向((1)〜(3):図4)に芯線上の一定距離をマーキングする。
【0054】
次いで、芯線幅測定部12は、各特徴点の特徴点方向に対して垂直な直線である特徴点垂線を設定する。
ここで、特徴点垂線は、各特徴点を起点として特徴点方向に対して垂直な方向へと直線を伸ばすことにより設定されるものとする。これにより、この特徴点垂線とマーキングした芯線の両隣りにある隣接芯線との交点が特定される。
【0055】
芯線幅測定部12は、この隣接芯線と特徴点垂線との交点を起点として、上記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行う(ステップS102:隣接芯線マーキング設定機能)。
尚、芯線幅測定部12は、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、隣接芯線および特徴点垂線の交点(m,nとする:図3)を起点として、図3に示すように、上記端点における特徴点方向とは逆方向に隣接芯線上を一定距離のマーキングを行う。
【0056】
一方、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、芯線幅測定部12は、隣接芯線および特徴点垂線の交点(m’,n’とする:図4)を起点として、図4に示すように、隣接芯線上を両方向に一定距離のマーキングを行うものとする。
【0057】
次いで、芯線幅測定部12は、設定領域内の芯線上の任意点としての対象芯線点(図5および図6の各円部中心点)を抽出し、各対象芯線点における芯線(「対象芯線」という)の方向を示す芯線方向直線に対して、対象芯線点上で直交する探索垂線を設定する(ステップS103:探索垂線設定機能)。
尚、上記芯線方向直線は、対象芯線点を接点とした芯線に対する接線を示すものであってもよい。
【0058】
ここで、芯線幅測定部12は、設定した探索垂線と隣接芯線(第1の隣接芯線)との交点が予めマーキングされているか否かの判定を行う(ステップS104:マーキングされている?)。
第1の隣接芯線および探索垂線の交点が予めマーキングされていない場合に(ノー:ステップS104)、芯線幅測定部12は、この交点(芯線幅端点Bとする)と対象芯線点(芯線幅端点Aとする)との距離を測定し(通常の芯線幅測定)、上記対象芯線点における芯線幅として記憶する(ステップS105:芯線幅を取得)。
具体的には、芯線幅測定部12は、図5および図6における、それぞれ左側の円部中心点を芯線幅端点A、これに対応する隣接芯線と探索垂線との交点それぞれを芯線幅端点B1,B2に設定し、芯線幅端点Aと芯線幅端点B1,B2それぞれとの距離を測定する。
【0059】
ここで、隣接芯線(第1の隣接芯線)と探索垂線との交点が予めマーキングされている場合(イエス:ステップS104)、芯線幅測定部12は、この交点を芯線幅端点A’に設定すると共に、探索垂線を対象芯線点から遠ざかる方向へと延長する(ステップS107:探索垂線を延長)。
【0060】
次いで、芯線幅測定部12は、延長した探索垂線と第2隣接芯線との交点がマーキングされているか否かを判定し、この交点がマーキングされていない場合に、この交点を芯線幅端点B’に設定する(芯線幅端点設定機能)。
【0061】
尚、第2隣接芯線と延長した探索垂線との交点がマーキングされていた場合には、芯線幅測定部12は、新たに特定されたこの交点を芯線幅端点A’に設定すると共に、探索垂線を対象芯線点から遠ざかる方向へと延長し(ステップS107)、第3隣接芯線と探索垂線の交点がマーキングされているか否かを判定する(ステップS104:マーキングされている?)。
ここでは、芯線幅測定部12は、マーキングされていない交点(つまり、芯線幅端点B’)が見つかるまで探索垂線を延長し、芯線幅端点A’およびB’をそれぞれ設定するものとする。
【0062】
次いで、マーキングされていない交点が見つかった場合に(ノー:ステップS104)、芯線幅測定部12は、この交点を芯線幅端点B’、ひとつ前の交点を芯線幅端点A’にそれぞれ設定する。
【0063】
具体的には図5において、芯線幅測定部12は、右側の対象芯線点(円部中心点A)を基準として探索垂線を設定し、隣接芯線との交点を芯線幅端点A’、下側の隣接芯線(c:図5)との交点を芯線幅端点Bとする。
また、芯線幅測定部12は、上側の芯線幅端点A’はマーキングされているため、探索垂線を延長し第2隣接芯線(d:図5)との交点を芯線幅端点B’に設定する。
【0064】
ここで、芯線幅測定部12は、芯線幅端点A’B’の距離(図5)を測定すると共に取得し(ステップS105)、取得した芯線幅を対応する対象芯線点(円部中心点A:図5)における芯線幅として記憶する(ステップS106:測定芯線幅設定機能)。
【0065】
また、図6においては、芯線幅測定部12は、右側の対象芯線点(円部中心点)を基準として探索垂線を設定することにより特定した上側の芯線幅端点をA’1、下側の芯線幅端点をA’2にそれぞれ設定し、芯線幅端点A’1から探索垂線を延長し第2隣接芯線(c)との交点を芯線幅端点B’1に、芯線幅端点A’2から探索垂線を延長し第2隣接芯線(d)との交点を芯線幅端点B’2に、それぞれ設定する。
【0066】
次いで、芯線幅測定部12は、芯線幅端点A’およびB’の距離(芯線幅端点A’1B’1の距離、芯線幅端点A’2B’2の距離:図6)を測定すると共に取得し(ステップS105)、取得した芯線幅を対応する対象芯線点(図6における右側の円部中心点)における芯線幅として記憶する(ステップS106:測定芯線幅設定機能)。
【0067】
次いで、芯線品質計算部13が、芯線幅測定部12による芯線幅の測定結果に基づき、設定領域に含まれる各対象芯線点における芯線幅の分散値を算出する。
【0068】
ここで、算出された分散値が予め設定された一定値より低い場合に、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が高いと判定する。一方、分散の度合いが一定値より高い場合、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が低いと判定する。
【0069】
更に、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域ごとに、上記算出した芯線幅の分散に基づき指紋芯線品質を数値化した品質スコアを導出する。
ここで、芯線品質計算部13は、この品質スコアが一定値より低い領域を照合対象から除外し、品質スコアが一定値より高い領域を照合対象として設定する。
【0070】
これにより、芯線品質計算部13は、入力された芯線画像中における局所指紋品質が高いと判定した領域を指紋照合の対象領域とし、局所指紋品質が低いと判定した領域を指紋照合の対象から除外することにより、例えば、予め図7(A)の白部分とされていた指紋照合対象部分を、図7(B)に示すように、より広い領域として決定することができる。
【0071】
尚、図7(B)は、本実施形態による上記照合対象設定機能が実施された場合を示す。図7(B)では、図7(A)における特徴点近辺の掌紋照合除外領域(グレーゾーン)の一部が掌紋照合対象領域を示す白ゾーンに変化していることが示されている。
【0072】
これにより、芯線品質計算部13は、設定領域に特徴点が含まれている場合でも、指紋品質の高い領域を指紋照合の対象として抽出を行うため、指紋品質の高い、より多くの領域を指紋照合対象とすることができる。このため、指紋芯線品質計算装置10における指紋照合処理の精度をより高めることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、特徴点に近似する領域に含まれる対象芯線点に対応した芯線幅を、設定領域内における全体的な芯線品質を反映した芯線幅として導出することが可能となる。
これにより、指紋品質が低いと判定されるべき領域の指紋品質が誤って高く判定されたり、指紋品質の低い領域が照合対象とされたりしてしまうことを有効に抑制することができる。
【0074】
更には、特徴点の存在する領域においても、領域内全体としての芯線品質が著しく低く判定(評価)されることが軽減されるので、照合対象の選択ミスの発生を有効に抑制することができ、指紋芯線品質の高い領域を照合対象領域として適切に抽出することが可能となるため、精度の高い指紋照合を行うことができる。
【0075】
上述の実施形態については、その新規な技術的内容の要点をまとめると、以下のようになる。
尚、上記実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0076】
(付記1)
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点から当該芯線点を含む芯線に隣接する芯線を示す隣接芯線までの距離としての芯線幅を測定する芯線幅測定部と、この測定結果の分散の度合いに基づき前記領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部とを備えた指紋品質計算装置であって、
前記芯線幅測定部は、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定手段と、
前記芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点が前記マーキングされていない場合に当該交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段とを備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【0077】
(付記2)
付記1に記載の指紋品質計算装置において、
前記探索垂線設定手段は、前記芯線上の芯線点を接点とする前記芯線の接線を設定すると共に、前記芯線点で前記接線に直交する直線を前記探索垂線として設定する探索垂線設定機能を備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【0078】
(付記3)
付記1に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が分岐点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を中心として前記隣接芯線上の両方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋品質計算装置。
【0079】
(付記4)
付記1または3に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が端点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を起点として前記端点の特徴点方向と逆の方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋照合補助装置。
【0080】
(付記5)
指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価する指紋品質計算方法であって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、
この垂線と前記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行い、
前記領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定し、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、
前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、
前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する構成とし、これらの各動作手順を前記指紋品質計算装置が実行するようにしたことを特徴とする指紋品質計算方法。
【0081】
(付記6)
指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価するための指紋品質計算プログラムであって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に隣接する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定機能と、
前記領域に含まれる芯線上の点としての芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定機能と、
前記芯線に対する隣接芯線と前記探索垂線との交点にマーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定機能とを、前記指紋品質計算装置の有するコンピュータに実現させることを特徴とした指紋品質計算プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、指紋芯線品質を照合対象領域の再定義を行うシステム、特徴点の確信度の設定を行うシステム、および複数隆線の抽出結果の合成を行うシステムなどに対して有用に適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 指紋照合システム
8 指紋入力装置
9 特徴抽出装置
10 指紋芯線品質計算装置
12 芯線幅測定部
13 芯線品質計算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋画像による指紋照合を行う指紋照合システムに関し、特に、指紋画像における指紋品質の評価を行う指紋品質計算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された指紋画像と予め記憶された指紋画像との照合を行う指紋照合システムでは、一般に、指紋画像における指紋隆線を芯線化した指紋芯線画像を利用した局所指紋品質計算を行う。
局所指紋品質計算では、指紋芯線画像内の特定領域における隣り合う指紋芯線の幅(つまり、指紋芯線間の距離)である芯線幅を測定すると共にその安定度を算出する(局所指紋品質計算)。
【0003】
局所指紋品質計算では、例えば、図8に示すように、点線円領域内の芯線上の点(芯線点)における、隣接する芯線(隣接芯線)までの距離(矢印の長さ)を芯線幅として測定し、特定の領域(ここでは、点線円領域とする)における芯線幅の分散を計算し、この計算結果である分散値が一定値より低い場合には芯線幅の安定度が高いと判定され、この場合、指紋品質が高いと判定される。
【0004】
また、局所指紋品質計算では、図9に示すように、点線円領域内の芯線点における隣接芯線までの距離(矢印の長さ)を芯線幅として測定すると共に点線円領域における芯線幅の分散を計算し、この計算結果である分散値が一定値より高い場合には、この領域における芯線幅の安定度が一定値より低いと判定され、この場合、指紋品質が低いと判定される。
【0005】
一般に、指紋照合装置における指紋照合において、指紋品質が一定レベルより低い指紋領域は、指紋特徴点の誤認識が生じやすいことが知られており、指紋品質が低い指紋領域を照合対象から除外した場合に、指紋照合処理結果の正確さ(指紋照合精度)が高まることが知られている。
【0006】
このため、上述のように導出した芯線幅の安定度が一定値より高い領域を指紋照合対象とし、一方、導出された芯線幅の安定度が一定値より低い領域を指紋照合対象から除外することによって、より精度の高い指紋照合を行うことが可能となる。
【0007】
しかしながら、局所指紋品質計算を行う領域内に端点や分岐点といった指紋特徴点が存在する場合、領域全体における指紋芯線の安定度に比して、指紋品質が著しく低く算出されてしまう傾向がある。
【0008】
ところで、芯線画像を見た場合、人間は芯線だけからも、その領域における隆線らしさを認識することができる。
しかしながら、例えば、図10に示すように、人間の感覚としては、設定された領域内全体として芯線幅の安定度が高く、指紋品質が高いと思われる指紋芯線領域においても、上述のように、各芯線点における芯線幅に基づき算出された分散値に基づき指紋品質を評価する手法では、指紋品質が著しく低いと判定されてしまうといった不都合がある。
【0009】
この場合、設定された指紋領域全体としては芯線幅の安定度が高いにも関わらず、指紋品質が低いと判定され、指紋照合の対象から除外されてしまうといった不都合が生じ得る。
指紋照合は、上述のように、指紋品質の高い、より広い領域を指紋照合対象とすることにより、照合精度をより高めることができる。
これに対して、指紋品質の高い指紋領域が指紋照合の対象から除外された場合、指紋照合精度の著しい低下がしてしまう可能性がある。
【0010】
これに対する関連技術として、指紋特徴点(特徴点)を含まない領域の芯線安定度を芯線幅に基づき求めることにより、指紋照合の対象領域を決定する手法が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−173445公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に開示された関連技術では、特徴点に近似する領域について、指紋芯線幅の安定度の計算対象としないため、指紋照合の対象領域が限定されてしまう。このため、指紋照合の精度が軽減されてしまう不都合が生じ得る。
【0013】
[発明の目的]
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、設定した指紋領域に特徴点が含まれている場合でも、当該指紋領域における指紋品質を正確に評価し得る指紋品質計算装置、指紋品質計算方法、および指紋品質計算プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る指紋品質計算装置は、指紋芯線画像における領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点から当該芯線点を含む芯線に隣接する芯線を示す隣接芯線までの距離としての芯線幅を測定する芯線幅測定部と、この測定結果の分散の度合いに基づき前記領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部とを備えた指紋品質計算装置であって、前記芯線幅測定部は、前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定手段と、前記芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点が前記マーキングされていない場合に当該交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
また、本発明にかかる指紋品質計算方法は、指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価する指紋品質計算方法であって、前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行い、前記領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定し、前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する構成とし、これらの各動作手順を前記指紋品質計算装置が実行するようにしたことを特徴としている。
【0016】
又、本発明にかかる指紋品質計算プログラムは、指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価するための指紋品質計算プログラムであって、前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に隣接する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定機能と、前記領域に含まれる芯線上の点としての芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定機能と、前記芯線に対する隣接芯線と前記探索垂線との交点にマーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定機能とを、前記指紋品質計算装置の有するコンピュータに実現させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のように構成され機能するので、これによると、指紋芯線特徴点を起点として芯線上にマーキングを行うと共に垂線と隣接芯線との交点を起点としたマーキングを行うマーキング設定手段と、任意の芯線点を起点とした探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、芯線に対する隣接芯線上に芯線幅端点AおよびBを設定し、この芯線幅端点AおよびB間(芯線幅線分AB)の距離を上記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段を備えた構成としたことにより、特徴点が含まれる指紋領域においても、当該指紋領域における指紋品質を正確に評価することを可能とする指紋品質計算装置、指紋品質計算方法、および指紋品質計算プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】指紋品質計算装置を含む指紋照合システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した指紋照合システム内の指紋品質計算装置の一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に開示した指紋品質計算装置におけるマーキングが成された端点近辺の芯線領域を示す説明図である。
【図4】図2に開示した指紋品質計算装置におけるマーキングが成された分岐点近辺の芯線領域を示す説明図である。
【図5】図2に開示した指紋品質計算装置における端点近辺で芯線幅を測定する手法を示す説明図である。
【図6】図2に開示した指紋品質計算装置における分岐点近辺で芯線幅を測定する手法を示す説明図である。
【図7】図7(A)は、一般の指紋品質計算手法により設定された、芯線画像における芯線品質の高い(および、低い)領域を示す説明図である。図7(B)は、図2に開示した指紋品質計算装置により設定された、芯線画像における芯線品質の高い(および、低い)領域を示す説明図である。
【図8】芯線画像における指紋品質が高い芯線画像領域の一例を示す説明図である。
【図9】芯線画像における指紋品質が低い芯線画像領域の一例を示す説明図である。
【図10】芯線画像における特徴点近辺の芯線画像領域の一例を示す説明図である。
【図11】図2に開示した指紋品質計算装置における動作内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態について、その基本的構成内容を説明する。
【0020】
本実施形態である指紋照合システム1は、利用者の指紋入力を受け付けると共に、入力された画像を指紋画像として記憶する指紋入力装置8と、指紋画像内の隆線を芯線化した指紋芯線画像を生成する指紋特徴抽出装置9と、指紋特徴抽出装置9から入力された指紋芯線画像における芯線幅の安定度に基づき局所指紋品質の計算を行う指紋芯線品質計算装置10を備えた構成を有する。
また、指紋照合システム1は、指紋芯線品質計算装置10による指紋芯線画像の局所指紋品質計算結果に基づき指紋照合を行う(指紋照合機能)。
【0021】
尚、指紋入力装置8は、利用者の指紋を撮影し画像データとして取得するスキャン手段と、撮像された画像を指紋画像として記憶する画像記憶手段を備えているものとする。
【0022】
また、指紋特徴抽出装置9の内部には、入力された濃淡をもつ指紋画像を二値化する処理を行う二値化部91と、二値化された指紋画像における隆線の形状に基づき細線化処理を行なうことにより芯線画像を生成する細線化部92と、細線化された芯線画像の芯線から端点、分岐点といった特徴点の抽出処理を行う特徴点抽出部93が設けられている。
【0023】
更に、上記特徴点抽出部93は、芯線画像内における特徴点の位置を指定する特徴点位置指定部31と、指定された各特徴点における特徴点方向を決定する特徴点方向決定部32と、特徴点方向が決定された各特徴点の種別を特定する(つまり、各特徴点が端点または分岐点であるかを特定する)特徴点種別特定手段33を備えた構成を有するものとする。
【0024】
以下、本願に係る実施形態としての指紋芯線品質計算装置(指紋照合補助装置)10について、図2に基づき詳説する。
【0025】
指紋芯線品質計算装置(指紋照合補助装置)10は、入力された指紋芯線画像における一定領域(「設定領域」という)に含まれる指紋芯線(以下「芯線」という)について、芯線上の特定の点を示す対象芯線点から当該対象芯線点を含む芯線(「対象芯線」という)に隣接する芯線(「隣接芯線」とする)までの距離を示す芯線幅を測定する芯線幅測定部12と、この測定結果の分散の度合いに基づき、上記設定領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部13を備えた構成を有する。
【0026】
芯線幅測定部12は、上記設定領域に含まれる芯線の特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行う(マーキング設定機能:マーキング設定手段に対応)。
このマーキング設定機能で、芯線幅測定部12は、特徴点が端点である場合に、この端点から図4に示すように、芯線上を1方向に一定距離マーキングを行う。一方、特徴点が分岐点である場合には、この分岐点から3方向(1〜3:図4)に、芯線上を一定距離マーキングする処理を行う。
【0027】
また、芯線幅測定部12は、芯線画像上に設定された各特徴点の特徴点方向に対して垂直な直線を示す特徴点垂線を設定する。ここで、特徴点垂線は、特徴点を起点として特徴点方向に対して垂直な方向へと直線を伸ばすことにより設定されるものとする。
このとき、上記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線と設定された特徴点垂線と、の交点が特定される。
【0028】
芯線幅測定部12は、この交点を起点として、上記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行う(マーキング設定機能、手段)。
【0029】
この隣接芯線マーキング設定機能で、芯線幅測定部12は、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、隣接芯線および特徴点垂線の交点(m,n:図3)を起点として、図3に示すように、上記端点における特徴点方向とは逆方向に隣接芯線上を一定距離マーキングする。
一方、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、芯線幅測定部12は、隣接芯線および特徴点垂線の各交点(m’,n’:図4)を起点として、図4に示すように、隣接芯線上を両方向に一定距離マーキングする。
【0030】
更に、芯線幅測定部12は、設定領域内における芯線上の任意点としての対象芯線点を設定し、各対象芯線点における芯線の方向を示す芯線方向直線に、対象芯線点上で直交する探索垂線を設定する(探索垂線設定手段、機能)。
尚、上記芯線方向直線は各対象芯線点における芯線の方向(流れ方向)示す直線であり、芯線方向直線は、例えば、対象芯線点を接点とした芯線に対する接線を示すものとする。
【0031】
更に、芯線幅測定部12は、隣接芯線(第1の隣接芯線)および探索垂線の交点が予めマーキングされている場合、この交点を芯線幅端点Aに設定し、この探索垂線を延長する(つまり、対象芯線から遠ざかる方向へと探索垂線を延長する)。
【0032】
尚、上記第1の隣接芯線は、対象芯線点から探索垂線を延長したときに最初に交点が設定される芯線を示す。
また、芯線幅測定部12が芯線幅端点Aから上記探索垂線を延長して設定した場合に交点が最初に設定される芯線を第2隣接芯線とする。
【0033】
芯線幅測定部12は、第1隣接芯線に対して対象芯線とは反対側で(第1隣接芯線に)隣接する芯線である第2隣接芯線と、延長した探索垂線との交点が特定された場合に、この交点がマーキングされているか否かを判定する。
ここで、上記探索垂線と第2隣接芯線との交点がマーキングされていない場合に、この交点を芯線幅端点Bとする(芯線幅測定手段、芯線幅測定機能)。
【0034】
芯線幅測定部12は、芯線幅端点AおよびBの距離を測定し、この測定された芯線幅を上記対象芯線点における芯線幅として設定する(芯線幅測定手段、芯線幅測定機能)。
【0035】
また、芯線幅測定部12は、設定領域に含まれる各対象芯線点について、各対象芯線点における芯線方向直線に直交する直線(芯線幅直線)と隣接する芯線(隣接芯線)との交点を特定し、マーキングがされていない場合には、対象芯線点とこの交点との距離を上記各対象芯線点に対応する芯線幅として測定する(通常芯線幅測定:芯線幅測定手段、機能)。
【0036】
尚、芯線幅測定部12により、上述のように測定された、各対象芯線点に対応する芯線幅は予め設定された記憶部に、芯線幅測定結果として記憶保持されるものとする。
【0037】
芯線品質計算部13は、上述のように、芯線幅測定部12による芯線幅の測定結果に基づき、設定領域に含まれる各対象芯線点における芯線幅の分散の度合い(分散値)を算出する。
【0038】
ここで、算出された分散値が予め設定された一定値より低い場合、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が高いと判定する。一方、分散の度合いが予め設定された一定値より高い場合には、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が低いと判定する。
【0039】
また、芯線品質計算部13は、芯線画像上に設定された各領域について指紋照合の対象領域とするか否かの判定を行うものとする。
尚、芯線品質計算部13は、芯線画像を格子状に分割することにより、判定対象の各領域を設定する設定であっても良い。
これにより、芯線品質計算部13は、入力された芯線画像中における局所指紋品質が高いと判定した領域を指紋照合の対象領域とし、局所指紋品質が低いと判定した領域を指紋照合の対象から除外することにより、指紋照合の対象領域を決定する。
【0040】
具体的には、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域ごとに芯線幅の分散に基づき指紋品質を数値化した品質スコアを導出し、この品質スコアが一定値より低い領域を照合対象から除外し、品質スコアが一定値より高い領域を照合対象として設定する。
【0041】
これにより、芯線品質計算部13では、設定領域に特徴点が含まれている場合でも、指紋品質の高い領域を指紋照合の対象として正確に抽出することができ、このため、指紋品質の高いより多くの領域を指紋照合対象とすることができ、これにより、指紋芯線品質計算装置10における指紋照合処理の精度をより高めることができる。
【0042】
以上のように、指紋芯線品質計算装置10では、探索垂線と隣接芯線の交点がマーキングされている場合には、その交点に近似する位置に特徴点があることが示され、このとき、芯線幅測定部12が、芯線幅端点AおよびBの距離を設定し当該芯線幅端点AおよびBの距離を対象芯線点における芯線幅として導出する。
これにより、特徴点に近似する位置にある対象芯線点に対応した芯線幅を、設定領域内における全体的な芯線品質を反映した芯線幅として導出することが可能となる。
【0043】
また、上述のような構成とすることにより、特徴点の存在する位置の周辺領域(特徴点を含むその周辺領域)においても、領域内全体としての芯線品質が著しく低く判定(評価)されることを抑制し、照合対象の選択ミスの発生を有効に抑制することができ、指紋芯線品質の高い領域を照合対象領域として適切に抽出することができるため、指紋照合の精度を有効に高めることが可能となる。
【0044】
[実施形態の動作説明]
次に、上記実施形態の動作について、その概略を説明する。
まず、指紋芯線品質計算装置10の芯線幅測定部12が、設定された領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として、芯線上に一定の長さのマーキングを行い、指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばしこの垂線とマーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として、隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行う(マーキング設定工程)。
次に、芯線幅測定部12は、設定領域に含まれる芯線点を起点とし当該芯線点における芯線(対応芯線)の方向に対して垂直な方向を示す探索垂線を設定する(探索垂線設定工程)。
【0045】
ここで、芯線幅測定部12は、対応芯線に対する隣接芯線と探索垂線との交点にマーキングが行われている場合に、この交点を芯線幅端点Aとし、この探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点が予めマーキングされていない場合に、当該交点を芯線幅端点Bとする。
次いで、芯線幅測定部12は、芯線幅端点AおよびB間の距離を、対象芯線点における隣接芯線との芯線幅として導出する(芯線幅測定工程)。
【0046】
ここで、上記マーキング設定工程、探索垂線設定工程、および芯線幅測定工程については、その実行内容をプログラム化し、コンピュータに実行させるように構成してもよい。
また、本プログラムは、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリなどに記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
【0047】
次に、本実施形態である指紋特徴点情報設定装置の動作について詳説する。
【0048】
まず、指紋入力装置8が、スキャン手段により撮像した画像を指紋画像として取得し、予め設定された記憶手段(例えば、ハードディスクドライブとする)に指紋画像として記憶する。
次に、指紋特徴抽出装置9が、入力された濃淡をもつ指紋画像を二値化し(二値化部91)、二値化された画像中の隆線を芯線化した指紋芯線画像を生成する(細線化部92)。
【0049】
次いで、特徴点抽出部93が、細線化された芯線画像の芯線から端点、分岐点といった特徴点の位置を特定し(特徴点位置指定部31)、各特徴点における特徴点方向を決定する(特徴点方向決定部32)と共に、各特徴点の種別(端点または分岐点)を特定し(特徴点種別特定手段33)、この芯線画像を指紋芯線品質計算装置10に渡す。
【0050】
以下、指紋芯線画像における芯線幅の安定度に基づき局所指紋品質の計算を行う指紋芯線品質計算装置10の処理動作について、図11のフローチャートに基づき説明する。
【0051】
まず、指紋芯線品質計算装置(指紋照合補助装置)10の芯線幅測定部12は、指紋特徴抽出装置9から渡された指紋芯線画像内における、予め設定された大きさ、位置の領域を設定領域として設定する。
【0052】
次いで、芯線幅測定部12は、上記設定領域に含まれる芯線の特徴点を起点として、芯線上に一定の長さのマーキングを行う(ステップS101:マーキング設定機能)。
【0053】
このとき、芯線幅測定部12は、上記特徴点が端点である場合には、図3に示すように、この端点から芯線上の一定距離を(1)方向(特徴点方向)に向かってマーキングを行う。
一方、特徴点が分岐点である場合には、図4に示すように、この分岐点から3方向((1)〜(3):図4)に芯線上の一定距離をマーキングする。
【0054】
次いで、芯線幅測定部12は、各特徴点の特徴点方向に対して垂直な直線である特徴点垂線を設定する。
ここで、特徴点垂線は、各特徴点を起点として特徴点方向に対して垂直な方向へと直線を伸ばすことにより設定されるものとする。これにより、この特徴点垂線とマーキングした芯線の両隣りにある隣接芯線との交点が特定される。
【0055】
芯線幅測定部12は、この隣接芯線と特徴点垂線との交点を起点として、上記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行う(ステップS102:隣接芯線マーキング設定機能)。
尚、芯線幅測定部12は、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、隣接芯線および特徴点垂線の交点(m,nとする:図3)を起点として、図3に示すように、上記端点における特徴点方向とは逆方向に隣接芯線上を一定距離のマーキングを行う。
【0056】
一方、設定された特徴点垂線の起点となった特徴点が端点である場合に、芯線幅測定部12は、隣接芯線および特徴点垂線の交点(m’,n’とする:図4)を起点として、図4に示すように、隣接芯線上を両方向に一定距離のマーキングを行うものとする。
【0057】
次いで、芯線幅測定部12は、設定領域内の芯線上の任意点としての対象芯線点(図5および図6の各円部中心点)を抽出し、各対象芯線点における芯線(「対象芯線」という)の方向を示す芯線方向直線に対して、対象芯線点上で直交する探索垂線を設定する(ステップS103:探索垂線設定機能)。
尚、上記芯線方向直線は、対象芯線点を接点とした芯線に対する接線を示すものであってもよい。
【0058】
ここで、芯線幅測定部12は、設定した探索垂線と隣接芯線(第1の隣接芯線)との交点が予めマーキングされているか否かの判定を行う(ステップS104:マーキングされている?)。
第1の隣接芯線および探索垂線の交点が予めマーキングされていない場合に(ノー:ステップS104)、芯線幅測定部12は、この交点(芯線幅端点Bとする)と対象芯線点(芯線幅端点Aとする)との距離を測定し(通常の芯線幅測定)、上記対象芯線点における芯線幅として記憶する(ステップS105:芯線幅を取得)。
具体的には、芯線幅測定部12は、図5および図6における、それぞれ左側の円部中心点を芯線幅端点A、これに対応する隣接芯線と探索垂線との交点それぞれを芯線幅端点B1,B2に設定し、芯線幅端点Aと芯線幅端点B1,B2それぞれとの距離を測定する。
【0059】
ここで、隣接芯線(第1の隣接芯線)と探索垂線との交点が予めマーキングされている場合(イエス:ステップS104)、芯線幅測定部12は、この交点を芯線幅端点A’に設定すると共に、探索垂線を対象芯線点から遠ざかる方向へと延長する(ステップS107:探索垂線を延長)。
【0060】
次いで、芯線幅測定部12は、延長した探索垂線と第2隣接芯線との交点がマーキングされているか否かを判定し、この交点がマーキングされていない場合に、この交点を芯線幅端点B’に設定する(芯線幅端点設定機能)。
【0061】
尚、第2隣接芯線と延長した探索垂線との交点がマーキングされていた場合には、芯線幅測定部12は、新たに特定されたこの交点を芯線幅端点A’に設定すると共に、探索垂線を対象芯線点から遠ざかる方向へと延長し(ステップS107)、第3隣接芯線と探索垂線の交点がマーキングされているか否かを判定する(ステップS104:マーキングされている?)。
ここでは、芯線幅測定部12は、マーキングされていない交点(つまり、芯線幅端点B’)が見つかるまで探索垂線を延長し、芯線幅端点A’およびB’をそれぞれ設定するものとする。
【0062】
次いで、マーキングされていない交点が見つかった場合に(ノー:ステップS104)、芯線幅測定部12は、この交点を芯線幅端点B’、ひとつ前の交点を芯線幅端点A’にそれぞれ設定する。
【0063】
具体的には図5において、芯線幅測定部12は、右側の対象芯線点(円部中心点A)を基準として探索垂線を設定し、隣接芯線との交点を芯線幅端点A’、下側の隣接芯線(c:図5)との交点を芯線幅端点Bとする。
また、芯線幅測定部12は、上側の芯線幅端点A’はマーキングされているため、探索垂線を延長し第2隣接芯線(d:図5)との交点を芯線幅端点B’に設定する。
【0064】
ここで、芯線幅測定部12は、芯線幅端点A’B’の距離(図5)を測定すると共に取得し(ステップS105)、取得した芯線幅を対応する対象芯線点(円部中心点A:図5)における芯線幅として記憶する(ステップS106:測定芯線幅設定機能)。
【0065】
また、図6においては、芯線幅測定部12は、右側の対象芯線点(円部中心点)を基準として探索垂線を設定することにより特定した上側の芯線幅端点をA’1、下側の芯線幅端点をA’2にそれぞれ設定し、芯線幅端点A’1から探索垂線を延長し第2隣接芯線(c)との交点を芯線幅端点B’1に、芯線幅端点A’2から探索垂線を延長し第2隣接芯線(d)との交点を芯線幅端点B’2に、それぞれ設定する。
【0066】
次いで、芯線幅測定部12は、芯線幅端点A’およびB’の距離(芯線幅端点A’1B’1の距離、芯線幅端点A’2B’2の距離:図6)を測定すると共に取得し(ステップS105)、取得した芯線幅を対応する対象芯線点(図6における右側の円部中心点)における芯線幅として記憶する(ステップS106:測定芯線幅設定機能)。
【0067】
次いで、芯線品質計算部13が、芯線幅測定部12による芯線幅の測定結果に基づき、設定領域に含まれる各対象芯線点における芯線幅の分散値を算出する。
【0068】
ここで、算出された分散値が予め設定された一定値より低い場合に、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が高いと判定する。一方、分散の度合いが一定値より高い場合、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域の局所指紋品質が低いと判定する。
【0069】
更に、芯線品質計算部13は、芯線点を含む領域ごとに、上記算出した芯線幅の分散に基づき指紋芯線品質を数値化した品質スコアを導出する。
ここで、芯線品質計算部13は、この品質スコアが一定値より低い領域を照合対象から除外し、品質スコアが一定値より高い領域を照合対象として設定する。
【0070】
これにより、芯線品質計算部13は、入力された芯線画像中における局所指紋品質が高いと判定した領域を指紋照合の対象領域とし、局所指紋品質が低いと判定した領域を指紋照合の対象から除外することにより、例えば、予め図7(A)の白部分とされていた指紋照合対象部分を、図7(B)に示すように、より広い領域として決定することができる。
【0071】
尚、図7(B)は、本実施形態による上記照合対象設定機能が実施された場合を示す。図7(B)では、図7(A)における特徴点近辺の掌紋照合除外領域(グレーゾーン)の一部が掌紋照合対象領域を示す白ゾーンに変化していることが示されている。
【0072】
これにより、芯線品質計算部13は、設定領域に特徴点が含まれている場合でも、指紋品質の高い領域を指紋照合の対象として抽出を行うため、指紋品質の高い、より多くの領域を指紋照合対象とすることができる。このため、指紋芯線品質計算装置10における指紋照合処理の精度をより高めることができる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、特徴点に近似する領域に含まれる対象芯線点に対応した芯線幅を、設定領域内における全体的な芯線品質を反映した芯線幅として導出することが可能となる。
これにより、指紋品質が低いと判定されるべき領域の指紋品質が誤って高く判定されたり、指紋品質の低い領域が照合対象とされたりしてしまうことを有効に抑制することができる。
【0074】
更には、特徴点の存在する領域においても、領域内全体としての芯線品質が著しく低く判定(評価)されることが軽減されるので、照合対象の選択ミスの発生を有効に抑制することができ、指紋芯線品質の高い領域を照合対象領域として適切に抽出することが可能となるため、精度の高い指紋照合を行うことができる。
【0075】
上述の実施形態については、その新規な技術的内容の要点をまとめると、以下のようになる。
尚、上記実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0076】
(付記1)
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点から当該芯線点を含む芯線に隣接する芯線を示す隣接芯線までの距離としての芯線幅を測定する芯線幅測定部と、この測定結果の分散の度合いに基づき前記領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部とを備えた指紋品質計算装置であって、
前記芯線幅測定部は、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定手段と、
前記芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点が前記マーキングされていない場合に当該交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段とを備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【0077】
(付記2)
付記1に記載の指紋品質計算装置において、
前記探索垂線設定手段は、前記芯線上の芯線点を接点とする前記芯線の接線を設定すると共に、前記芯線点で前記接線に直交する直線を前記探索垂線として設定する探索垂線設定機能を備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【0078】
(付記3)
付記1に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が分岐点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を中心として前記隣接芯線上の両方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋品質計算装置。
【0079】
(付記4)
付記1または3に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が端点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を起点として前記端点の特徴点方向と逆の方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋照合補助装置。
【0080】
(付記5)
指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価する指紋品質計算方法であって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、
この垂線と前記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行い、
前記領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定し、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、
前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、
前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する構成とし、これらの各動作手順を前記指紋品質計算装置が実行するようにしたことを特徴とする指紋品質計算方法。
【0081】
(付記6)
指紋芯線画像の一定領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価するための指紋品質計算プログラムであって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に隣接する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定機能と、
前記領域に含まれる芯線上の点としての芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定機能と、
前記芯線に対する隣接芯線と前記探索垂線との交点にマーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定機能とを、前記指紋品質計算装置の有するコンピュータに実現させることを特徴とした指紋品質計算プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、指紋芯線品質を照合対象領域の再定義を行うシステム、特徴点の確信度の設定を行うシステム、および複数隆線の抽出結果の合成を行うシステムなどに対して有用に適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 指紋照合システム
8 指紋入力装置
9 特徴抽出装置
10 指紋芯線品質計算装置
12 芯線幅測定部
13 芯線品質計算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点から当該芯線点を含む芯線に隣接する芯線を示す隣接芯線までの距離としての芯線幅を測定する芯線幅測定部と、この測定結果の分散の度合いに基づき前記領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部とを備えた指紋品質計算装置であって、
前記芯線幅測定部は、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定手段と、
前記芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合に当該交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段とを備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指紋品質計算装置において、
前記探索垂線設定手段は、前記芯線上の芯線点を接点とする前記芯線の接線を設定すると共に、前記芯線点で前記接線に直交する直線を前記探索垂線として設定する探索垂線設定機能を備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【請求項3】
請求項1に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が分岐点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を中心として前記隣接芯線上の両方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋品質計算装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が端点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を起点として前記端点の特徴点方向と逆の方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋品質計算装置。
【請求項5】
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価する指紋品質計算方法であって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、
この垂線と前記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行い、
前記領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定し、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、
前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、
前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する構成とし、これらの各動作手順を前記指紋品質計算装置が実行するようにしたことを特徴とする指紋品質計算方法。
【請求項6】
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価するための指紋品質計算プログラムであって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に隣接する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定機能と、
前記領域に含まれる芯線上の点としての芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定機能と、
前記芯線に対する隣接芯線と前記探索垂線との交点にマーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定機能とを、前記指紋品質計算装置の有するコンピュータに実現させることを特徴とした指紋品質計算プログラム。
【請求項1】
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点から当該芯線点を含む芯線に隣接する芯線を示す隣接芯線までの距離としての芯線幅を測定する芯線幅測定部と、この測定結果の分散の度合いに基づき前記領域における指紋芯線の品質を評価する芯線品質計算部とを備えた指紋品質計算装置であって、
前記芯線幅測定部は、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に対する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定手段と、
前記芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定手段と、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合に当該交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定手段とを備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【請求項2】
請求項1に記載の指紋品質計算装置において、
前記探索垂線設定手段は、前記芯線上の芯線点を接点とする前記芯線の接線を設定すると共に、前記芯線点で前記接線に直交する直線を前記探索垂線として設定する探索垂線設定機能を備えたことを特徴とする指紋品質計算装置。
【請求項3】
請求項1に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が分岐点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を中心として前記隣接芯線上の両方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋品質計算装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の指紋品質計算装置において、
前記マーキング設定手段は、前記指紋芯線特徴点が端点である場合に、前記隣接芯線と前記垂線との交点を起点として前記端点の特徴点方向と逆の方向に一定の長さのマーキングを行うことを特徴とした指紋品質計算装置。
【請求項5】
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価する指紋品質計算方法であって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、
この垂線と前記マーキングされた芯線に対応する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行い、
前記領域に含まれる芯線上の任意点である芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定し、
前記芯線に対応する隣接芯線と前記探索垂線との交点に前記マーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、
前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、
前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する構成とし、これらの各動作手順を前記指紋品質計算装置が実行するようにしたことを特徴とする指紋品質計算方法。
【請求項6】
指紋芯線画像内に設定された領域に含まれる異なる芯線間の距離である芯線幅を測定する指紋品質計算装置にあって、前記芯線幅に基づき指紋芯線の品質を評価するための指紋品質計算プログラムであって、
前記領域に含まれる各指紋芯線特徴点を起点として芯線上に一定の長さのマーキングを行うと共に、前記指紋芯線特徴点から当該指紋芯線特徴点の特徴点方向に対して垂直な垂線を伸ばし、この垂線と前記マーキングされた芯線に隣接する隣接芯線との交点を起点として前記隣接芯線上に一定の長さのマーキングを行うマーキング設定機能と、
前記領域に含まれる芯線上の点としての芯線点を起点として当該芯線点における前記芯線の方向に対して垂直な探索垂線を設定する探索垂線設定機能と、
前記芯線に対する隣接芯線と前記探索垂線との交点にマーキングが行われている場合にこの交点を芯線幅端点Aとし、前記探索垂線を延長して前記隣接芯線に対して隣接する芯線との交点がマーキングされていない場合にこの交点を芯線幅端点Bとし、前記芯線幅端点AおよびB間の距離を前記芯線点における芯線幅として導出する芯線幅測定機能とを、前記指紋品質計算装置の有するコンピュータに実現させることを特徴とした指紋品質計算プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−88918(P2012−88918A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234785(P2010−234785)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000232092)NECソフト株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]