説明

振り出し容器

【課題】板バネ部材によりキャップ本体内に配した排出口開閉部材を付勢し、この排出口開閉部材の押し下げにて排出口が開くようにした振り出し容器で、排出口開閉部材を押し下げたときに変形している板バネ部材が、排出口に向かう粒状物の移動を妨げないようにし、キャップの広幅壁に排出口を位置させて、粒状物を振り出すときにその排出口の開閉状態を簡単に確認できるようにして、簡易な構成にて振り出し容器をより一層操作し易いものとする。
【解決手段】押し下げ釦部材11を上方に付勢する板バネ部材14に、キャップ本体7下部側で容器外方に向けて折れ出て板バネ部材14の撓み変形による反発力を低減する反発力低減手段18を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
粒菓子などの粒状物を収納して必要に応じてこの粒状物を振り出すようにした片手で手持ちできる携帯可能な大きさの振り出し容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来容器には、対の広幅壁を対向させて平断面形状を扁平としたキャップを同様に平断面形状を扁平とした容器の天部開口に取り付けて、粒状物を収納する容器を構成していて、前記キャップには、キャップ本体を、広幅壁の間の一方の狭幅壁に振り出し口として排出口を開口するとともに、天壁側にも二つの広幅壁に亘るように切り欠いた押し込み口を開口したものとし、このキャップ本体の内部に排出口開閉部材を上げ下げ可能にして配置し、天壁側に常時付勢状態とした排出口開閉部材が天壁側にあるときには排出口が閉じられ、押し込み口からの排出口開閉部材の押し下げ操作によって排出口開閉部材が下がることで排出口が開放され、この開放された排出口から粒状物を振り出すことができるものがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
そして、このような粒状物を振り出すことができる振り出し容器において、特許文献3などに示されているように、キャップ本体内に上げ下げ可能に配された排出口開閉部材を常時上方に付勢するためのバネ部材として、キャップ本体の下部に可撓性を有する板バネ部材をヒンジを介して連結させ、この板バネ部材をキャップ本体内に曲げ入れて端部を排出口開閉部材に当接状態で係止させ、撓みにより生じる反発力で排出口開閉部材を上方に付勢する工夫が提案されている。そして、この振り出し容器において、キャップ本体と排出口開閉部材とを合成樹脂材にて一体成形して、キャップを二つのパーツにて構成する工夫もなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭60−025422号公報
【特許文献2】実公昭61−026212号公報
【特許文献3】実開昭57−162177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した振り出し容器は振り出し口(排出口)がキャップの狭幅壁に位置しているため、排出口開閉部材を押し込む方向(容器高さ方向での下方)と粒状物が排出される方向(容器幅方向)とが異なっていて、排出の動作を行なうときには、容器を持つ手の親指が排出口開閉部材を上手く押し下げできるように親指を掛けることが第一の動作となることから、手で持つ容器の保持の仕方が前記排出口開閉部材がよく見える方向でその容器を持つ状態となり易く、そのため、排出口が視認し難い持ち方となっている。まして低年齢の子供が食する粒菓子を収容している商品である場合、その子供が前述のような容器の持ち方で操作するため、排出口が見え難いので出る量が必要以上に多くなってしまい受け手からこぼれてしまったり、排出口が開くことに注意が回らずに排出口開閉部材を不用意に押し下げて間違って粒状物が出てしまうなどの不都合さがあった。
【0006】
このような不都合に対して、上述した排出口から誤って粒状物が出易いなどの点では、排出口をキャップの広幅壁側に位置させることが対策として考えられる。しかし、従来の振り出し容器に採用されているところの、キャップ本体内に上下移動可能に配した排出口開閉部材を、そのキャップ本体に連結された板バネ部材で付勢する押し上げ構造は、簡易な構造ではあるものの、排出口開閉部材を押し下げたときに板バネ部材が大きく曲がった状態でキャップ本体の狭幅壁側に張り出てしまい、容器本体側からキャップ本体の広幅壁にある排出口に向かって移動する粒状物と、狭幅壁側に向けて張り出た形状の板バネ部材とが干渉し易くなる。すなわち、従来のように狭幅壁に排出口があった場合には、狭幅壁側に張り出るように曲がった板バネ部材に容器本体側から排出口に向かう粒状物がぶつかってせき止められるというようなことはなかったが、広幅壁に排出口を配すると、張り出た板バネ部材の部分を迂回しないと粒状物が排出口に至らなくなり、詰まりを起こすことが懸念される。
【0007】
排出口開閉部材を押し下げたときの板バネ部材の狭幅壁側への大きな張り出し変形を抑えるには、その板バネ部材の長さを短くすればよいが、上述したようにキャップが、板バネ部材を備えたキャップ本体と排出口開閉部材との2パーツとなっている構成の容器では、容器の製造段階において、手作業にて、排出口開閉部材をキャップ本体内にセットし、そのあとに板バネ部材をキャップ本体内に曲げ入れてその端部を排出口開閉部材の所要位置に当接状態で係止させる細かな作業が必要であり、容器製造に係る作業工程が複雑で多いため、コストの低減も難しく、現状においても問題のあるものとなっている。そして、このような手作業では、上述した板バネ部材の長さを短くした場合、板バネ部材をキャップ本体内に曲げ入れるときの反発力が大きくなってしまい、排出口開閉部材への係止作業がさらに困難なものとなるという不都合が発生する。さらに、板バネ部材と排出口開閉部材とは別部材であり、板バネ部材が係止しているだけの構造となるため、容器がなんらかの衝撃を受けた場合など、大きな反発力を有した状態の板バネ部材が排出口開閉部材から外れてしまう可能性が高くなってしまう。
【0008】
そこで本発明は上記事情に鑑み、板バネ部材によりキャップ本体内に配した排出口開閉部材を付勢し、この排出口開閉部材の押し下げにて排出口が開くようにした振り出し容器において、排出口開閉部材を押し下げたときに変形している板バネ部材が、排出口に向かう粒状物の移動を妨げないようにすることを課題とし、キャップの広幅壁に排出口を位置させて、粒状物を振り出すときにその排出口の開閉状態を簡単に確認できるようにして、簡易な構成にて振り出し容器をより一層操作し易いものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、粒状物を収納する容器本体の開放された天部にキャップを取り付けていて、前記キャップは、キャップ本体に開口されている排出口とこの排出口を開閉する排出口開閉部材とからなる粒排出手段を有している振り出し容器において、
前記排出口開閉部材は、キャップ本体の内部に上下移動可能に組み入れられて前記キャップ本体に開口の釦孔から押し下げ操作により降下可能に設けられている押し下げ釦状部材と、この押し下げ釦状部材に連動して上下移動して前記排出口を開閉するシャッター部材と、可撓性を備えてキャップ本体下部側からキャップ本体内の曲げ入れでの撓み変形により生じる反発力によって前記シャッター部材が排出口閉じ位置となるように押し下げ釦部材を付勢可能な板バネ部材とから構成されていて、
前記板バネ部材には、キャップ本体下部側で容器外方に向けて折れ出て板バネ部材の撓み変形による反発力を低減する反発力低減手段が設けられていることを特徴とする振り出し容器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0010】
(請求項2の発明)
本発明において、上記キャップ本体と排出口開閉部材とは合成樹脂材により一体に成形されているものとすることが可能である。
【0011】
(請求項3の発明)
また、本発明において、上記板バネ部材の一端が上記キャップ本体下部に第一のヒンジを介して連結されているとともに、板バネ部材の他端が上記押し下げ部材に第二のヒンジを介して連結され、板バネ部材の前記第一のヒンジの近傍に第三のヒンジからなる上記反発力低減手段が設けられているものとすることが良好である。
【0012】
(請求項4の発明)
また、本発明において、上記キャップ本体の下部における上記板バネ部材が位置している部分以外の部分に、容器本体の天部の開口内に差し入れられる側壁が設けられて、前記側壁の端部が板バネ部材の近傍に位置していて、
キャップ本体内に曲げ入れられている板バネ部材に、該板バネ部材の近傍に位置する前記側壁端部に係脱可能に係止して、該係止により上記反発力低減手段の容器外方への折れ出しを抑える外れ防止突起が設けられているものとすることが可能である。
【0013】
(請求項5の発明)
また、本発明において、上記板バネ部材には、押し下げられた押し込み釦部材が当接して押し下げ量を定める下限位置規制リブが設けられているものとすることが可能である。
【0014】
(請求項6の発明)
また、本発明において、上記キャップ本体は対の広幅壁を有してこの広幅壁が相対して平断面形状が扁平とされ、上記排出口が少なくとも一つの広幅壁に位置しているものとすることが可能である。
【0015】
(請求項7の発明)
また、本発明において、上記キャップ本体の天壁の内部には、上記排出口の上縁高さ位置、またはこの上縁高さ位置より下方となる高さ位置を下縁高さ位置とする粒排出制御リブが設けられているものとすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、板バネ部材をキャップ本体に曲げ入れるに際して、板バネ部材の一部分として反発力低減手段を容器外方に折り出すことで、反発力低減手段の位置からキャップ本体内側に位置させる端部までの部分をキャップ本体の外位置からキャップ本体内になるように撓ませればよく、その部分を鋭角に撓ませなくとも、キャップ本体内側に位置させる端部が所定位置側となるように板バネ部材をキャップ本体内に向けて撓ませて曲げ入れることができ、その際の板バネ部材側からの反発力が低減されて、板バネ部材の曲げ入れ操作が困難にならない。そして、前記反発力低減手段を、容器本体の天部開口の内周面側に対応する高さ位置にして、キャップを容器本体の天部に取り付けるときに、反発力低減手段を容器本体の内周面側となるように容器外方への折れ出しを無くすことで、その反発力低減手段の位置からキャップ本体内の押し下げ釦部材側の端部までの部分で強い反発力を発現させることができる。そのため、板バネ部材の長さを短く設定することが可能となり、長さを短くした板バネ部材にて排出口が閉鎖となる方向に付勢されている押し下げ釦部材を押し下げても、撓み変形した板バネ部材がキャップ本体内で容器幅方向(押し下げ釦部材の押し下げ方向に直交する方向)に張り出ることがなく、振り出したときに容器本体側からキャップの排出口側に流れる粒状物と板バネ部材との干渉を少なくして、粒状物が適正に排出口側に向けて移動できるようになる。
【0017】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、キャップを構成する部材が1パーツとなって、キャップを製造するときの部材管理が頗る簡単になるとともに、キャップ本体内に排出口開閉部材を組み入れる作業が簡単になる。
【0018】
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によれば、反発力低減部材が板バネ部材の長さ方向での途中の位置にあるヒンジであるため、その反発力低減部材の部分の作成が極めて簡単になる。
【0019】
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明によれば、キャップ本体内への排出口開閉部材の組み入れに際して容器外方に折り出されている反発力低減手段を容器外方に突出しないように押し入れたときに、外れ防止突起が側壁端部に係止し、その反発力低減手段が容器外方に凸とならない状態を別途の用具などを用いずに維持でき、キャップの容器本体への取り付けが簡単になる。
【0020】
(請求項5の発明の効果)
請求項5の発明によれば、押し下げ釦部材が必要以上に押し下げられないようにすることができ、振り出し操作をする作業者に、その押し下げ釦部材が下限位置に達したことで排出口が開くに十分な位置までシャッター部材が下がっていることを判らせることができる。
【0021】
(請求項6の発明の効果)
押し下げ釦部材を押し下げるときには、手の親指をキャップ本体の扁平形状での長手方向と交差する方向に掛けることでその押し下げ釦部材の押し込みがやり易いものである。そこで、請求項6の発明によれば、そのように親指を掛けて押し下げ釦部材を押し下げるときには、キャップ本体の広幅壁が押し下げ作業者の顔側に面することとし易く、排出口の開閉状態の確認が容易になる。
【0022】
(請求項7の発明の効果)
請求項7の発明によれば、振り出しの際にシャッター部材が降りて開いた排出口側で、その排出口の上縁高さ以上のキャップ本体天壁側に粒状物が移動するのが防止されることとなり、開いた排出口部分での粒状物の詰まりを防止する上で効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る振り出し容器の一例での排出口がある広幅壁側の面を示す説明図である。
【図2】一例を上方から見た状態で示す説明図である。
【図3】もう一方の広幅壁側の面を示す説明図である。
【図4】排出口が閉じた状態を斜視状態で示す説明図である。
【図5】広幅壁が対向する方向での断面を示す説明図である。
【図6】キャップ本体の排出口側の広幅壁を切り欠いた状態でのキャップを示す説明図である。
【図7】一例でのキャップ本体と排出口開閉部材とを側方から見た状態で示す説明図である。
【図8】一例でのキャップ本体と排出口開閉部材とを上方から見た状態で示す説明図である。
【図9】キャップ本体の排出口側の広幅壁を切り欠いた状態での押し下げ釦部材を押し下げた状態を示す説明図である。
【図10】排出口が開いた状態を斜視状態で示す説明図である。
【図11】反発力低減部材が折れ出た状態を示す説明図である。
【図12】板バネ部材の外れ防止突起が側壁端部に係止している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
つぎに本発明を図1から図12に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は振り出し容器で、該振り出し容器1は、縦長で対の広幅壁が対向している平断面形状が扁平の容器本体2の天部が開放され、容器本体2の天部の開口内周面側に一部を差し入れる形にしてその容器本体2の天部にキャップ3を取り付けたものである。前記キャップ3も、容器本体2の平断面形状にならうように平断面形状が扁平とされ、四方の側面の内の対向する一組が対の広幅壁4となって対向し、他の対向する一組が対の狭幅壁5となって対向しているとともに、このキャップ3の天壁6は、二つの広幅壁4を横断する縦断面方向での縦断面形状が上方に凸の曲面を有する形状とされ、その二つの広幅壁4の緩やかな曲面を呈する上部部分と前記天壁6とが連続している。
【0025】
振り出し容器1は粒菓子などの粒状物を容器本体2に収容して、振り出し操作でキャップ3からその粒状物を排出できるようにするもので、そのためにキャップ3では、上述したそれぞれ対となる広幅壁4と狭幅壁5と天壁6とを構成して容器本体2に取り付ける側である下方を開放しているキャップ本体7において一つの広幅壁4の曲面を呈している上部の位置に開口された振り出し口である排出口8とこの排出口8を開閉する排出口開閉部材9とからなる粒排出手段10を有している。
【0026】
粒排出手段10の排出口開閉部材9は、図4に示すようにキャップ本体7の内部に配置される押し下げ釦部材11と、この押し下げ釦部材11に連結されているシャッター部材12と、前記押し下げ釦部材11の下部にヒンジ13を介して連結されている可撓性を有する板バネ部材14とから構成されている。前記押し下げ釦部材11は、キャップ本体7の上部一隅を切り欠くようにして対の広幅壁4と一方の狭幅壁5と天壁6に亘る釦孔15に、キャップ本体7の内部側から表出位置できるとともに、広幅壁4の内面に形成されている縦のガイドリブ16に案内されて上下移動可能に設けられていて、前記釦孔15からの押し下げ操作(容器高さ方向での下方に向けて押し下げる操作)により降下可能に設けられている。シャッター部材12は、排出口8がある広幅壁4の内方側に位置するようにして押し下げ釦部材11に連結されていて、上げ下げされる押し下げ釦部材11に連動してその一方の広幅壁内方側を沿う形で上下移動して、上位置にあったときには排出口8を閉じるものである。
【0027】
排出口開閉部材9での押し下げ釦部材11と上記板バネ部材14との連結部分(ヒンジ13の位置)は、押し下げ釦部材11において、上記釦孔15が及んでいる一方の狭幅壁5の内面に沿う側の下部である。そして、押し下げ釦部材11との前記連結部分をヒンジ13としている板バネ部材14は、そのもう一方の端部が、釦孔15が及んでいる一方の狭幅壁5の下部にヒンジ17を介して連結されていて、排出口開閉部材9が通常の動作をする状態時、つまり、前記押し下げ釦部材11がキャップ本体7の内部に配されているときに撓んで反発力を生じるように設けられていて、その反発力によって押し下げ釦部材11が上方に向けて常時付勢され、上記シャッター部材12が排出口8をキャップ本体内方から覆う状態となったときにその押し下げ釦部材11の上限が設定され、この位置から上述のように押し下げ釦部材11を、前記反発力に抗して押し下げればシャッター部材12が降下して排出口8が開き、押し下げる力を解除すれば、押し下げ釦部材11が押し上げられてこれに連動するシャッター部材12が上昇して排出口8を閉じる。
【0028】
板バネ部材14が上述のようにキャップ本体7の内部で曲げ入れられた状態で撓んで押し下げ釦部材11を常時上方に向けて付勢するようにしたキャップ3にあっては、図5と図6とに示すようにキャップ本体7と上記排出口開閉部材9とが合成樹脂材にて一体に成形されて、キャップ3が1パーツからなるものとされ、上記ヒンジ13とヒンジ17とはセルフヒンジとして形成されている。そして、一体成形では前記排出口開閉部材9がキャップ本体7の外方にて位置するようにしており、押し下げ釦部材11とシャッター部材12をキャップ本体7の内部に組み入れるときに板バネ部材14をキャップ本体7の内部に曲げ入れるようにして上記反発力を生じさせている。
【0029】
さらに本発明では、板バネ部材14での狭幅壁5側のヒンジ17を第一のヒンジとし、押し下げ釦部材11側のヒンジ13を第二のヒンジとして、この第一のヒンジ17と第二のヒンジ13との間に第三のセルフヒンジタイプのヒンジからなる反発力低減手段18が設けられている。この反発力低減手段18は、キャップ3を容器本体2に取り付けたときのその容器本体2の天部開口の内周面位置に対応する高さ位置となるようにして、板バネ部材14の長さ方向において前記第一のヒンジ17側に寄った位置に設定されており、第一のヒンジ17から第三のヒンジである反発力低減手段18までの板バネ部材14の部分を短寸部19とし、第二のヒンジ13から反発力低減手段18までの板バネ部材14の部分を前記短寸部19に対して長さの長い長寸部20に区分されている。
【0030】
そして、反発力低減手段18は、上述した押し下げ釦部材11のキャップ本体7の内部への組み入れの際に同じくしてキャップ本体7の内部に板バネ部材14を曲げ入れるときに容器外方に向けて折れ出るように設けられていて、押し下げ釦部材11を位置させる側の上記狭幅壁5より、さらにその狭幅壁5の位置より容器外方に向けて反発力低減手段18が折れ出ることで、上記長寸部20が撓むものの、板バネ部材を押し下げ釦部材の狭幅壁側端部から狭幅壁下部に亘って曲げ込む場合に比べて反発力がそれほど大きくならず、よって、押し下げ釦部材11の組み入れの作業が簡単なものとなる。なお、短寸部19はその長さが短いことから短寸部自体には撓むような曲がりが生じず、また、第一のヒンジ17で狭幅壁5の下部に連結されているため、板バネ部材14をキャップ本体7の内部に向けて曲げ入れをするときに、短寸部19がある程度の剛性を持って第一のヒンジ17の位置からすぐに容器外方に向けて回動することとなり、反発力低減手段18の折れ出しがすぐに生じるようになる。
【0031】
押し下げ釦部材11とシャッター部材12とを内部に組み入れたキャップ3を容器本体2の天部開口に取り付ける場合には、上述したように容器外方に折れ出された反発力低減手段18を、容器本体2の天部開口の内周面側に位置するように押し込んだ状態にしてキャップ3の下部部分を容器本体2の天部開口に組み込めばよい。この操作をより簡便にするべく、折れ出された反発力低減手段18を容器外方に向けて凸とならない状態に維持する工夫が設けられている。まず、キャップ本体7の下部に沿ってかつ、上記板バネ部材14が連結されている部分以外の部分に亘って、容器本体2の天部の開口の内側にその内周片に摺接する状態にして差し入れることのできる側壁21が設けられていて、さらにその側壁21のキャップ本体7の周方向での端部22それぞれが、板バネ部材14の近傍に位置している。そして、キャップ本体7の内部に曲げ入れられる板バネ部材14の長寸部20での反発力低減手段18側の端辺それぞれに、その長寸部20の一般部の幅寸法より大となるようにして長寸部20の幅方向に突出する外れ防止突起23が設けられていて、前記側壁21の端部22の間に、キャップ本体外からキャップ本体内側に向く方向で反発力低減手段18を押し込むときには、この外れ防止突起23は端部22に接しながらキャップ本体中心側に向けて移動して端部22間を抜け、キャップ本体内からキャップ本体外側に向く方向で外れ防止突起23が前記端部22に相対するときには、この端部22に当接して係止するものであり、前記外れ防止突起23を端部22に係止させた状態で湾曲した長寸部20が押し下げ釦部材11を上方に向けて付勢するように設けられている。このように外れ防止突起23が側壁21の端部22に係脱可能に係止することで反発力低減手段18の外方に凸とならない押し込み状態が維持され、これによってキャップ3の容器本体2に対する取り付けが簡単になる。なお、押し下げ釦部材11を押し下げた場合には、長寸部20の反発力低減手段18側の端部が側壁端部22間から抜け出ようとする圧力が高まるが、そのときには容器本体2の天部開口の内周面に反発力低減手段18が対応する位置となるため、折り出しは生じない。
【0032】
上記板バネ部材14での短寸部19には図示するように、上記押し下げ釦部材11が降下したときに沿う側となる面に下限位置規制リブ24が設けられていて、押し下げられた押し下げ釦部材11が第一のヒンジ17の位置で当接して必要以上の押し下げが行なえないように押し下げ量を定めている。
【0033】
また、図示されているようにキャップ本体7における上記天壁6のキャップ本体内方側となる面には粒排出制御リブ25が、狭幅壁5が対向する方向にある程度の長さをもって設けられていて、その粒排出制御リブ25の下縁高さ位置26を、排出口8の上縁高さ位置27、またはこの上縁高さ位置27より下方となる高さ位置にして、振り出し操作をしたときに粒状物が排出口8の位置より天壁6側に入り込んで詰まりや、その天壁6側に入り込んでしまった粒状物を、上昇したシャッター部材12の上端で挟み込んでしまうことが無いように設けられている。
【符号の説明】
【0034】
1…振り出し容器
2…容器本体
3…キャップ
4…キャップ側の広幅壁
5…キャップ側の狭幅壁
6…キャップ側の天壁
7…キャップ本体
8…排出口
9…排出口開閉部材
10…粒排出手段
11…押し下げ釦部材
12…シャッター部材
13…押し下げ釦部材下部位置のヒンジ
14…板バネ部材
15…釦孔
16…ガイドリブ
17…狭幅壁下部位置のヒンジ
18…反発力低減手段
19…短寸部
20…長寸部
21…キャップ本体下部位置の側壁
22…側壁の端部
23…外れ防止突起
24…下限位置規制リブ
25…粒排出制御リブ
26…粒排出制御リブの下端高さ位置
27…粒出口の上縁高さ位置
28…粒排出制御リブの下縁高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物を収納する容器本体の開放された天部にキャップを取り付けていて、前記キャップは、キャップ本体に開口されている排出口とこの排出口を開閉する排出口開閉部材とからなる粒排出手段を有している振り出し容器において、
前記排出口開閉部材は、キャップ本体の内部に上下移動可能に組み入れられて前記キャップ本体に開口の釦孔から押し下げ操作により降下可能に設けられている押し下げ釦状部材と、この押し下げ釦状部材に連動して上下移動して前記排出口を開閉するシャッター部材と、可撓性を備えてキャップ本体下部側からキャップ本体内の曲げ入れでの撓み変形により生じる反発力によって前記シャッター部材が排出口閉じ位置となるように押し下げ釦部材を付勢可能な板バネ部材とから構成されていて、
前記板バネ部材には、キャップ本体下部側で容器外方に向けて折れ出て板バネ部材の撓み変形による反発力を低減する反発力低減手段が設けられていることを特徴とする振り出し容器。
【請求項2】
上記キャップ本体と排出口開閉部材とは合成樹脂材により一体に成形されているものである請求項1に記載の振り出し容器。
【請求項3】
上記板バネ部材の一端が上記キャップ本体下部に第一のヒンジを介して連結されているとともに、板バネ部材の他端が上記押し下げ部材に第二のヒンジを介して連結され、板バネ部材の前記第一のヒンジの近傍に第三のヒンジからなる上記反発力低減手段が設けられている請求項1または2に記載の振り出し容器。
【請求項4】
上記キャップ本体の下部における上記板バネ部材が位置している部分以外の部分に、容器本体の天部の開口内に差し入れられる側壁が設けられて、前記側壁の端部が板バネ部材の近傍に位置していて、
キャップ本体内に曲げ入れられている板バネ部材に、該板バネ部材の近傍に位置する前記側壁端部に係脱可能に係止して、該係止により上記反発力低減手段の容器外方への折れ出しを抑える外れ防止突起が設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の振り出し容器。
【請求項5】
上記板バネ部材には、押し下げられた押し込み釦部材が当接して押し下げ量を定める下限位置規制リブが設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の振り出し容器。
【請求項6】
上記キャップ本体は対の広幅壁を有してこの広幅壁が相対して平断面形状が扁平とされ、上記排出口が少なくとも一つの広幅壁に位置している請求項1から5のいずれか一項に記載の振り出し容器。
【請求項7】
上記キャップ本体の天壁の内部には、上記排出口の上縁高さ位置、またはこの上縁高さ位置より下方となる高さ位置を下縁高さ位置とする粒排出制御リブが設けられている請求項1から6のいずれか一項に記載の振り出し容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−178424(P2011−178424A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43316(P2010−43316)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(390002990)株式会社ロッテホールディングス (24)
【Fターム(参考)】