説明

振り出し容器

【課題】振り出し部材から粉体を必要とする量分、目標位置に向かって正確にかつスムースに振り出し可能にし、容器本体や振り出し口部材の洗浄を簡易化する。
【解決手段】
容器本体1の開口部に着脱可能に密接される嵌合部4および該嵌合部4の上部に連続し、上方に延びて上部を斜めカットし、斜め開口部を形成した斜めカット筒部からなる振り出し口部材2と、斜め開口部10を塞ぐように着脱可能に設けられた振り出し部材3と、を備えて、容器本体1内に収納された粉体をメッシュ部材3から容器本体1外へ振り出し可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収納した粉状物や粒状物(以下、粉体と称することもある。)を、メッシュ部材や孔部材を通して容器外に振り出すための振り出し容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小麦粉や抹茶などの粉状物(粉末)や食塩、粗引き胡椒、調味料など粒状物を収納した容器の口頚部外周に装着され、その容器を手で振ることによって、振り出し孔から前記粉状物や粒状物を容器外へ振り出すことができる振り出しキャップが、種々提案されている。この振り出しキャップは、前記振り出し孔を多数有し、これらの振り出し孔を被うように、この振り出しキャップに蓋部材が着脱自在に装着されている。
【0003】
ところで、かかる振り出しキャップによれば、容器を手で持って粉状物や粒状物を容器外に振り出す場合に、これらを目標位置に対して命中させることができず、大抵その目標位置から外れた位置付近に分散または散乱してしまう。その理由は、振り出し孔が大きめの一定サイズであるためであり、この場合には定量の振り出しも行えないという不都合があった。
【0004】
これに対し、装着部頂壁の中央部に正六角形状の窓孔を穿設して、該窓孔上部に第1振出孔を穿設した一対の傾斜頂壁および第2振出孔を穿設した一対の垂壁を有する可変振出部を設けるとともに、該振出部を反転させる左右一対の反転壁を設け、各反転壁の反転により、第1振出孔あるいは第2振出孔からの振り出しを可能に振出部を反転させる振り出しキャップが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この振り出しキャップでは、指掛け突起を操作することで選んだ、サイズ、個数、形状が異なる振り出し孔の何れかから内容物を振り出し可能にし、その振り出しを略目標位置対し行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6‐87251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来の振り出しキャップにあっては、振り出し部の構造が傾斜頂壁や垂壁を備え複雑であるために内部の洗浄が困難である。また、第1振出孔を穿設した一対の傾斜頂壁は互いに外に開くように傾斜し、第2振出孔を穿設した一対の垂壁は互いに外に閉じるように傾斜しているため、それぞれの振り出し孔から振り出される粉状物や粒状物などの内容物を目標位置に命中させることは難しい。特に、第2の振出孔をセットしたときには、前部および後部閉塞板が、第2の振出孔の目視を妨げる状態となる。また、2種類の振り出し孔を設けたことによるメリットは乏しい。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、粉体を必要とする量分、目標位置に向かって略正確に振り出すことができるとともに、さらに洗浄を簡単に行える振り出し容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係る振り出し容器は、上端に開口部を有する容器本体と、全体として筒状をなし、前記容器本体の開口部に着脱可能に密接される嵌合部および該嵌合部の上部に連続し、上方に延びて上部を斜めカットし、斜め開口部を形成した斜めカット筒部からなる振り出し口部材と、前記斜め開口部を塞ぐように着脱可能に設けられた振り出し部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、振り出し口部の嵌合部は容器本体に密接することで、この容器本体に対し、容易に脱抜することなく安定保持され、透明容器の開口部上縁に密接するフランジ部とともに、内容物である粉体が容器本体の外へ漏れ出ることを確実に防止できる。振り出し口部材に斜めカット筒部を形成したことにより、内容物を振り出す際に振り出し面を目視できるため、目標位置に必要量を振り出すことが可能となる。
【0011】
また、振り出し口部材は、振り出し部材を装着する斜めカット筒部と嵌合部とを一体化した構成であるため、嵌合部単独の紛失はない。さらに容器本体や振り出し口部材が汚れたり、振り出し部材が目詰まりしたりする場合にも、これらの洗浄を簡単に実施することができる。
【0012】
また、本発明に係る振り出し容器は、前記容器本体が透明のガラス容器であることを特徴とする。この構成により、このガラス容器内の粉体の量や形態を外部から看取できるため、振り出し操作時に振り出し口部からメッシュ部に向かって流れる粉体の量や形態の看取が可能になり、斜め開口部における粉体の看取が可能であることと相俟って、粉体の振り出し量や振り出し方向を観測でき、従って、適量の粉体を目標位置に命中させることができる。
【0013】
また、本発明に係る振り出し容器は、前記嵌合部が、前記容器本体の開口部の外周または内周に嵌合されていることを特徴とする。これにより前記開口部からの粉体の漏れを簡単に防止できる。
【0014】
また、本発明に係る振り出し容器は、前記嵌合部が、前記容器本体の開口部に螺合によりまたは挿入嵌合によりパッキンを介在して密嵌されていることを特徴とする。これにより前記開口部からの粉体の漏れを略完全に防止できる。
【0015】
また、本発明に係る振り出し容器は、前記振り出し部材が、弾性部材により形成されていることを特徴とする。これにより振り出し部材の振り出し口部材に対する装着を容易化できる。
【0016】
また、本発明に係る振り出し容器は、前記振り出し口部材の斜め開口部を塞ぐ振り出し面がメッシュ状または孔状であることを特徴とする。これにより粉体をメッシュサイズや孔径に応じた量および速さで振り出すことができる。特に、振り出し面をメッシュ状としたメッシュ部材とすると、そのメッシュ部材の内側に仕切られている粉体を上方から容易に看取可能にする。したがって、その振り出し面からの粉体の振り出し量や振り出し方向を見定めやすく、目標位置に命中するように最適量の粉状物や粒状物を振り出すことができる。
【0017】
また、本発明に係る振り出し容器は、リング部材11の一部には円周方向の所定領域に亘って突子が設けられ、この突子が設けられる部位以外では、前記リング部材の外周縁は、斜めカット筒部上端の内周に形成されたリング溝内に嵌め込まれ、前記突子が設けられた部位では、リング部材の外周縁が斜めカット部の上方向および内周方向に開放する切欠に嵌め込まれていることを特徴とする。
これにより前記突子を、メッシュ部材の開閉操作用および斜めカット筒部に対するメッシュ部材の位置決め用の目印として利用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、粉体が振り出される振り出し口部材の斜め開口部を目視しながら、容器本体の振り出し操作が行えるので、振り出し部材から粉体を必要とする量分、目標位置に向かって正確にかつスムースに振り出すことができる。また、斜め開口部に振り出し部材を着脱可能とした簡単な構造としたので、容器本体や振り出し口部材の洗浄を簡単に行うことができる。
【0019】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態による振り出し容器を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態による振り出し容器を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態による振り出し容器を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態による振り出し容器を分解して示す正面図である。
【図5】図3のA‐A線断面図である。
【図6】図3のB‐B線断面図である。
【図7】本発明の実施形態による振り出し容器の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態の振り出し容器は、上端に開口部を有する容器本体と、全体として筒状をなし、前記容器本体の開口部に着脱可能に密接される嵌合部および該嵌合部の上部に連続し、上方に延びて上部を斜めカットし、斜め開口部を形成した斜めカット筒部からなる振り出し口部材と、前記斜め開口部を塞ぐように着脱可能に設けられた振り出し部材と、を備えて構成される。ここで、容器本体は、合成樹脂製またはガラス製の容器であり、例えばホウケイ酸ガラスなどの耐熱性で透明のガラス容器が採用され、このガラス容器内に収納された内容物(粉体)は外から透視(看取)可能である。また、この容器本体は上方に向けて開口し、有底の円筒状や方形筒(角筒)状をなし、円筒状の場合には、キャップなどとの嵌合部は例えば螺合構造とすることもできる。また、そのサイズは、人が手で掴むことができる長さ(高さ)、幅または外径であり、テーブル上で倒れても容易に割れない厚み、強度を持つ。この容器本体1の内周面は円滑面であり、全周面に亘って同一径をなす。
【0022】
振り出し口部材は、筒状をなし、シールパッキン部(嵌合部)と、フランジ部と、斜めカット筒部とを一体に有し、シリコーンゴム、エラストマー、天然ゴム、ポリエチレン、EVAのいずれかから選ばれる材料によって一体成形されている。容器本体と振り出し口部材(嵌合部)とは、容器本体の開口部内面と振り出し口部材(嵌合部)とを密接するように嵌合する内嵌合構造や、容器本体の開口部外面と振り出し部材(嵌合部)とを密接するように嵌合する外嵌合構造や、容器本体の開口部内外面と振り出し口部材(嵌合部)を密接させるように嵌合する内外嵌合構造とすることができる。また、いずれの嵌合構造の場合でも、必要に応じて螺合も可能である。このように螺合により嵌合構造を形成する場合には、ポリプロピレン、ABS、AS、ポリエチレン、EVAのいずれかから選ばれる材料によって振り出し口部材を成形することができる。
シールパッキン部は容器本体の開口部内周面に対し着脱自在に密接され、上下方向に複数個、例えば3個が所定間隔をおいて並設されている。これらのシールパッキン部の外径寸法および形状は共に等しく、振り出し口部材の他の部位に比べると弾力性および柔軟性に富んでいる。これらのシールパッキン部は外周縁部に向かって徐々に肉薄とされ、容器本体内周との密着性が良好に維持される。
【0023】
フランジ部は、シールパッキン部の上部に設けられ、その外周縁はシールパッキン部の外径よりもさらに外方に突出している。このフランジの突出量は容器本体の上端開口縁上面に載置可能な寸法とされている。斜めカット筒部はフランジ部の上部に連設され、所定幅(高さ)の腰部と斜めカット部とからなる。腰部は全幅に亘って外径が略同一寸法であり、斜めカット部は外径寸法が上端に向かって徐々に径小に変化している。また、斜めカット筒は腰部に比べて肉薄で水平方向に撓み易くなっている。腰部の外周には等間隔の3箇所に、キャップの振り出し口部材に対する装着性を密にするために小突起が設けられている。斜めカット部の上部は、例えば30度の傾きの縁面を持つ斜め開口部である。このフランジ部の形状としては、上記で説明したものだけでなく、振り出し口部材が容器本体の開口部と当接し、容器本体に対して振り出し口部材の位置決めをするための役割をするものを意味する。
【0024】
振り出し部材は、強度、剛性、耐熱性の良好なポリプロピレンなどの樹脂からなる楕円形のリング部材と、このリング部材の内周面にポリエステルメッシュが張設されたメッシュ部材、またはポリエステルプレートに多数の小孔が施された孔部材が使用できる。孔部材を用いる場合には振り出し用の孔のほかこの孔よりも小さい空気抜き用孔が並設される。この空気抜き孔は振り出し用の孔がある位置とは異なる部位、例えば斜めカット筒部に設けることも可能である。
また、本発明に係る振り出し容器は、前記メッシュ部材が、ポリプロピレンのリング部材にポリエステルのメッシュを一体に張設したものであることを特徴とする。この構成により、メッシュ部材が合成樹脂の一体成形によって容易に得られるほか、粉体の振り出しをスムースかつ適量ずつ行うことができる。
なお、必要に応じてポリエステルメッシュに変えて金属メッシュとすることもできる。
【0025】
この振り出し容器の実施例を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1〜図4は本実施形態にかかる振り出し容器Aの外観図であり、この振り出し容器Aは容器本体1と、振り出し口部材2と、メッシュ部材3(振り出し部材)と、を備えて構成される。これらのうち容器本体1は、合成樹脂製またはガラス製の容器であり、好ましくはホウケイ酸ガラスなどの耐熱性で透明のガラス容器が採用される。従って、このガラス容器内に収納された内容物(粉体)は外から透視(看取)可能である。また、この容器本体1は例えば有底円筒状や方形筒状をなし、人が手で掴むことができる長さ(高さ)と外形寸法を持つ。この容器本体1の内周面は円滑面であり、全周面に亘って同一径をなす。
【0026】
振り出し口部材2は全体として筒状をなし、嵌合部としてのシールパッキン部4と、フランジ部5と、斜めカット筒部6とを一体に有する。この振り出し口部材2は耐熱性ゴムとしての、例えばシリコーンゴムによって一体成形されている。シリコーンゴムからなる振り出し口部材2において、シールパッキン部4は容器本体1の開口部内周面に対し着脱自在に密接され、図示のように上下方向に3個が所定間隔をおいて並設されている。これらのシールパッキン部4の外径寸法および形状は共に等しく、振り出し口部材2の他の部位に比べると弾力性および柔軟性に富んでいる。特に、これらのシールパッキン部4は外周縁部に向かって徐々に肉薄とされているため、容器本体1内周の前記円滑面に対する密着性がより良好となる。
【0027】
また、フランジ部5はシールパッキン部4の上部に所定幅の頸部2aをおいて設けられ、その外周縁はシールパッキン部4の外径よりもさらに外方に突出している。このフランジ部5の突出量は容器本体1の外径より僅か外方に及び、後述のように、容器本体1の上端開口縁1a上面に載置可能なサイズとされている。このフランジ部5は、シールパッキン部4一枚の厚みに比べて十分に(例えば、3〜4倍程度)に厚く、振り出し口部材2を前記上端開口縁1a上面において支える。
【0028】
斜めカット筒部6はフランジ部5の上部に連設され、所定幅(高さ)の腰部7と斜めカット部8とからなる。これらのうち腰部7は全幅(全高さ)に亘って外径が略同一寸法であり、斜めカット部8は外径寸法が上端に向かって徐々に径小に変化し、腰部7に比べて径小である。また、腰部7は斜めカット部8の肉厚に比べて僅か厚めであり、この腰部7に比べて斜めカット部8は肉薄で水平方向に撓み易くなっている。さらに、腰部7の外周には円周方向における等間隔の3箇所に、小突起9が設けられている。これらの小突起9は、後述のキャップ16の振り出し口部材2に対する装着性を密にするために設けられる。斜めカット筒部6を形成する斜めカット部8の上部は、図示のように、例えば30度の傾きの縁面を持つ斜め開口部10となっている。
【0029】
前記メッシュ部材3は、強度、剛性、耐熱性の良好なポリプロピレンなどの樹脂からなる楕円形のリング部材11と、このリング部材11の内周面に張設された、振り出し部材としての楕円形のポリエステルメッシュ12とからなる。このポリエステルメッシュ12はリング部材11の成形時に外周縁部を同時にインサート成形して得られる。なお、必要に応じて、ポリエステルメッシュ12に代えて金属メッシュとすることもできる。
【0030】
リング部材11の一部には図3〜図5に示すように、円周方向の所定領域に亘って突子13が設けられている。この突子13はメッシュ部材3の開閉操作用および斜めカット筒部6に対するメッシュ部材3の位置決め用の目印として利用される。そして、突子13が設けられる部位以外において、リング部材11の外周縁は、斜めカット筒部6上端の内周に形成されたリング溝14内に嵌め込まれ、突子13が設けられた部位では、リング部材11の外周縁が斜めカット部6の上方向および内周方向に開放する切欠15内に嵌め込まれている。
【0031】
ここで、ポリエステルメッシュ12が張られたリング部材11は所定の硬さ(抗張力)を有し、容易に変形や撓みを生じることがなく、斜めカット筒部6の斜め開口部10を外方に押し開くようにして前記リング溝14及び切欠15内に嵌め込まれる。従って、メッシュ部材3は前記斜め開口部10に弾性的に、しかも安定的に保持される。また、フランジ部5の上面に下縁が密接するように、キャップ16が振り出し口部材2の上に被せられる。このキャップ16は例えばアクリロニトリルスチレンのコポリマーなどの透明樹脂からなる。
【0032】
かかる構成になる振り出し容器Aは、図4に示すように、容器本体1の上端開口内に振り出し口部材2のシールパッキン部4を矢印P方向に圧入することによって、フランジ部5を容器本体1の上端開口縁1a上面に密着させる。また、この作業に前後して、斜めカット筒部6の斜めカット部8内にこれを外方へ押し広げるようにして、メッシュ部材3を矢印Q方向に挿入し、リング溝14及び切欠15にメッシュ部材3を構成するリング部材11を嵌合させる。この嵌合操作では、前記突子13を斜めカット部8の外周付近に設けた目印(図示しない)に合致させて行う。これにより、斜めカット筒部6の内周に対して楕円形のメッシュ部材3が密嵌される。
【0033】
また、容器本体1に前述のように装着された振り出し口部材2を被うように、キャップ16が被せられる。このときキャップ16の下縁はフランジ部5の上面に対し密接し、下端部内周は振り出し口部材2の腰部7外周に小突起9を介して密接する。これにより小突起9はその下端部内周に圧接し、キャップ16の振り出し口部材2からの自由な脱落、脱抜が防止される。この振り出し容器Aを使用する場合には、キャップ16を振り出し口部材2から取り外した後、この振り出し口部材2を指で摘んで容器本体1の開口部上方に引き上げる。このとき、その引き上げ力によってシールパッキン部4は容器本体1の内周をゆっくり滑って上昇した後、容器本体1から安全に脱抜される。これにより容器本体1の開口部から粉体を収納することができる。また、この収納作業後にはシールパッキン部4を容器本体1内に挿し込んで再び図1〜図3の状態にする。
【0034】
また、別の方法として、容器本体1の上部に被せてあるキャップ16を外し、前記メッシュ部材3を構成するリング部材11の突子13を指で摘んで、切欠15の上方へ引き上げ、さらにこの切欠15およびリング溝14内からリング部材11を引き剥がす。これによりメッシュ部材3が振り出し口部材2から分離され、斜め開口部10が開放状態になる。
【0035】
これにより、メッシュ部材3が開かれた斜め開口部10から容器本体1内に粉体を収納することができる。この粉体の収納後は、再びメッシュ部材3を斜め開口部10内に挿入し、前記リング溝14および切欠15にメッシュ部材3を構成するリング部材11を嵌合する。
【0036】
このようにして、粉体を容器本体1内に収納した振り出し容器Aは、これを使用するに当たって、図7に示すように、容器本体1を、メッシュ部材3が装着された振り出し口部材2のうち、フランジ部5より最も長く突出している突出部分Kを下に向けて略30度の傾きにて手で支える。このとき容器本体1内の粉体は、これまで容器本体1内の底部に向かって堆積していた状態から、次第にメッシュ部材3に向かって崩れだし、前記最も突出した突出部分Kに向かって傾斜する山が形成され、さらにその突出部分Kに向かって流下する。そして容器本体1を手で支えながら軽く上下または左右に振ると、遂にはその突出部分Kに臨むメッシュ部材3を通して粉体が振り出される。
【0037】
このとき、前記突出部分K以外の部位は、空気の取り込み口となり、粉体の流れをよりスムースにする。この粉体の振り出し状態は、使用者が容器本体1内の粉体を見ながら、さらにメッシュ部材3を通して前記突出部分Kに移動してきた粉体を見ながら行えるため、その振り出し方向と振り出し量とが略正確に調節することができる。つまり、所望量の粉体を目標位置に命中させることができる。
【0038】
この場合において、粉状体の振り出しを満遍なくかつスムースに行うメッシュ部材3としてポリエステルメッシュを用いているが、必要に応じ金属メッシュを用いることもできる。また、容器本体1、振り出し口部材2、メッシュ部材3は、図4に示すようにそれぞれ個別の部品に分解可能に組み立てることができるので、これらが汚れたり、メッシュ部材3が目詰まりしたりした場合の洗浄や保守、修繕が極めて容易に実施できる利点が得られる。さらにシールパッキン部4はフランジ部5などと共に一体化されているため、シールパッキン部4のみの紛失がなくなる。
【0039】
以上のように、本実施形態の振り出し容器Aは、
上端に開口部を有する容器本体1と、全体として筒状をなし、前記容器本体1の開口部に着脱可能に密接される嵌合部4および該嵌合部4の上部に連続し、上方に延びて上部を斜めカットし、斜め開口部10を形成した斜めカット筒部6からなる振り出し口部材2と、前記斜め開口部10を塞ぐように着脱可能に設けられたメッシュ部材3と、を備えた構成である。
【0040】
これにより、振り出し口部材2は、嵌合部4が容器本体1の内周に密接することで、この容器本体1に対し、容易に脱抜することなく、安定保持され、容器本体1の上端開口縁1aに密接するフランジ部5とともに、内容物である粉体が容器本体1外へ漏れ出ることを確実に防止できる。また、メッシュ部材3は一つ一つの透孔が小さいので粉体物の振り出しには最適である。
【0041】
さらに、振り出し口部材2の斜め開口部10を塞ぐメッシュ部材3は、そのメッシュ部材3の内側に仕切られている粉体を上方から容易に看取可能にしているため、容器本体1内の粉体の量や形態を外から容易に看守可能であることと合わせて、粉体の振り出し量や振り出し方向を見定めやすく、目標位置に対し最適量の振り出しを行うことができる。
【0042】
また、振り出し口部材2は、メッシュ部材3を装着する斜めカット筒部6と共に嵌合部4が一体であるため、嵌合部4を紛失するおそれがない。さらに振り出し容器Aが汚れたり、メッシュ部材3のポリエステルメッシュが目詰まりしたりする場合にも、これらの洗浄を簡単に実施することができる。
【0043】
なお、前記メッシュ部材3を、インサート成形によって合成樹脂製のリング部材11に一体化された金属メッシュ12とした場合には、この金属メッシュ12を振り出し口部材2の斜め開口部10に装着可能とすることで、ポリエステルメッシュ同様に粉体の振り出しをスムースかつ適量宛行うことができる。
【0044】
さらに、前記容器本体1を透明のガラス容器としたことで、このガラス容器内の粉体の量や形態を外部から看取できるため、振り出し操作時に振り出し口部2からメッシュ部材3に向かって流れる粉体の量や流れの形態の看取と合わせて、粉体の量や方向を観測でき、従って、粉状体や粒状を目標に位置に最適量分振り出させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は粉体を必要とする量分、目標位置に向かって正確にかつスムースにメッシュ部を介して振り出すことができ、さらに洗浄を簡単に行うことができるという効果を有し、内部に収納した粉体を、メッシュ部材を通して容器本体外に振り出すための振り出し容器等に有用である。
【符号の説明】
【0046】
A 振り出し容器
1 容器本体
1a 上端開口縁
2 振り出し口部材
3 メッシュ部材(振り出し部材)
4 シールパッキン部(嵌合部)
5 フランジ部
6 斜めカット筒部
7 腰部
8 斜めカット部
9 小突起
10 斜め開口部
11 リング部材
12 ポリエステルメッシュ
13 突子
14 リング溝
15 切欠
16 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口部を有する容器本体と、
全体として筒状をなし、前記容器本体の開口部に着脱可能に密接される嵌合部および該嵌合部の上部に連続し、上方に延びて上部を斜めカットし、斜め開口部を形成した斜めカット筒部からなる振り出し口部材と、
前記斜め開口部を塞ぐように着脱可能に設けられた振り出し部材と、
を備えたことを特徴とする振り出し容器。
【請求項2】
前記容器本体が、透明のガラス容器であることを特徴とする請求項1に記載の振り出し容器。
【請求項3】
前記嵌合部が、前記容器本体の開口部の外周または内周に嵌合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の振り出し容器。
【請求項4】
前記嵌合部が、前記容器本体の開口部に螺合によりまたは挿入嵌合によりパッキンを介在して密嵌されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の振り出し容器。
【請求項5】
前記振り出し口部材が、弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の振り出し容器。
【請求項6】
前記振り出し部材の振り出し面がメッシュ状または孔状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の振り出し容器。
【請求項7】
リング部材11の一部には円周方向の所定領域に亘って突子が設けられ、この突子が設けられる部位以外では、前記リング部材の外周縁は、斜めカット筒部上端の内周に形成されたリング溝内に嵌め込まれ、前記突子が設けられた部位では、リング部材の外周縁が斜めカット部の上方向および内周方向に開放する切欠に嵌め込まれていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の振り出し容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−144277(P2012−144277A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4382(P2011−4382)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(508315486)株式会社岩城ハウスウエア (6)
【Fターム(参考)】