説明

振り込め詐欺防止システム

【課題】振込人が振り込んだ振込金額を引出手続きできる場所を限定することのできる振り込め詐欺防止システムを提供する。
【解決手段】振り込め詐欺防止システム1では、振込人5がATM2を操作して受取人6の口座に所定の振込金額を振込む際、受取人6の口座に振り込んだ振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関及びその支店を示す金融機関支店コードを少なくとも含む引出条件を設定できるようにしておき、振込人5が引出条件を設定して振り込んだ振込金額については、振込人5が設定した引出条件に適合する引出手続きでなければ受取人6の口座において該振込金額を凍結状態にすることで、振り込め詐欺の実行を予防する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家族などの名前を偽って不正に多額の金額を被害者に振り込ませる振り込め詐欺を防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家族などの名前を偽って不正に多額の金額を被害者に振り込ませる振り込め詐欺が多発し、大勢の人が振り込め詐欺の被害にあっているため、振り込め詐欺に対する防犯対策が社会的に必要になっている。
【0003】
振り込め詐欺に対する防犯対策に係る発明も既に開示され、振り込め詐欺に係る注意を振込人に促す発明として、特許文献1では、振り込め詐欺には携帯電話が多く利用されることに着目し、現金自動預け払い機(以下、「ATM」と記す。ATMは、「Automatic Teller Machine」の略。)内の人の有無と携帯電話の電波強度を検知し、ATM内に人がいて且つ携帯電話の電波強度が所定値以上になると、振り込め詐欺に係る注意を促す警告を発する発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、振り込め詐欺に対して注意喚起を行うために、振り込め詐欺に係る二者択一式の質問項目をATMの画面に表示し、振込人から該質問事項の回答を受付けるようにすることで、振り込め詐欺による被害を防止する発明が開示されている。
【0005】
更に、振り込め詐欺に対する防犯対策に係る発明としては、振り込め詐欺に係る注意を振込人に促す発明ばかりではなく、振込人が振込時に受取人を確認できるようにすることで振り込め詐欺による被害をなくすための発明も開示されており、特許文献3では、受取人に関する写真画像を受取人の口座情報に含ませて記憶しておき、ATMにて振込処理が選択されると、受取人の口座情報に含まれる写真画像を振込処理で利用されるATMの画面に表示することで、見知らぬ人への振込を防止する発明が開示されている。
【0006】
更に、振り込め詐欺にあったとしても、振り込め詐欺による振込金額を全額返還できるようにした発明も開示されており、特許文献4では、受取人の個人情報を振込人に提示し、振込人の承認が無ければ、振込前の受取人の口座残高内においてのみしか現金引出しができないようにすることで、振り込め詐欺による振込金額を全額返還できるようにした発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009―294816号公報
【特許文献2】特開2010―55231号公報
【特許文献3】特開2010―250745号公報
【特許文献4】特開2010―231472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
振り込め詐欺が多発している要因として、銀行の閉店時間(15時)を狙い、被害者となる人に時間切れを気にさせることで、被害者となる人の精神的な焦りを誘い、判断能力を著しく鈍くすることで、判断能力が鈍っている年寄りが主に振り込め詐欺の被害にあいやすくなってしまう要因以外に、コンビニエンスストアなどにATMが設置されるようになり、振り込め詐欺の犯人が引出手続きを行う場所の特定が難しくなっている要因もあるし、また、振込人が振り込んだ振込金額を引出手続きする際に、振込人と受取人の人間関係を検証できない要因もあるが、上述した従来技術は、振り込め詐欺に係る注意を振込人に促したり、振込人が受取人を確認できるようにするための発明で、このような要因を解決するための発明ではない。
【0009】
そこで、本発明は、振込人が振り込んだ振込金額を引出手続きできる場所を限定することのできる振り込め詐欺防止システムを提供することを目的とし、更に、振込人が振り込んだ振込金額を引出手続きする際に、振込人と受取人の人間関係を検証できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決する第1の発明は、複数の現金自動預け払い機(ATM)と、ネットワークを介して前記ATMと接続している複数の金融機関サーバとから少なくとも構成される振込取引管理システムであって、本発明に係る前記ATMは、振込人が振込金額を引出手続きできる場所を指定できるように、振込情報として、前記振込人の口座番号、受取人の口座番号及び振込金額に加え、振込金額の凍結状態を解除できる条件を示す引出条件として、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関とその支店を示す金融機関支店コードを前記振込人から取得し、前記振込人の口座番号で特定される前記金融機関サーバへ前記振込情報を送信する振込手続き手段を備え、更に、前記受取人により引出手続きが選択されると、前記受取人の口座番号及び引出金額を少なくとも引出情報として前記受取人から取得し、前記受取人の口座番号で特定される金融機関サーバへ前記引出情報を送信する引出手続き手段を備える。
【0011】
また、本発明に係る前記金融機関サーバは、振込手続きに係る処理を実行するために、前記ATM又は他の前記金融機関支店コードから前記振込情報が送信されると、該振込情報を記憶して、該振込情報に対応する振込処理を実行した後、前記ATMより前記振込情報を受信した場合は、該振込情報に含まれる前記受取人の口座番号で特定される前記金融機関サーバに対して前記振込情報を送信する振込処理手段を備え、更に、引出手続きに係る処理を実行するために、前記ATMから前記引出情報を受信すると、前記引出情報に含まれる前記受取人の口座番号を含む前記振込情報を検索し、検索した前記振込情報に含まれる前記引出条件に適合する引出手続きであるか確認する処理として、引出手続きで利用されている前記ATMの金融機関支店コードと前記引出条件の金融機関支店コードを少なくとも照合し、該引出条件に適合しない引出手続きの場合、受取人の口座番号で特定される口座残高から該引出条件の振込金額を差し引いた金額を引出手続きの最大金額とすることで該振込金額を凍結状態にし、該引出条件に適合する引出手続きの場合、引出先の口座番号で特定される口座残高を引出手続きの最大金額とすることで該振込金額の凍結状態を解除する引出処理手段を備えている。
【0012】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載された振り込め詐欺防止システムであって、前記ATMは、前記引出条件として、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える時間帯情報を取得し、前記金融機関サーバの前記引出処理手段は、検索した前記振込情報に含まれる前記引出条件に適合する引出手続きであるか確認する処理として、引出手続きの時間と前記時間帯情報を照合することを特徴とする。
【0013】
更に、第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載された振り込め詐欺防止システムにおいて、前記振込人が振り込め詐欺にあったことに気付いた際、所定の金融機関にその旨を通報できるようにした発明で、前記ATMは、前記振込人により振り込め詐欺対策用の通報手続きが選択されると、通報手続きをした前記振込人の口座番号を取得した後、前記振込人の口座番号で特定される前記金融機関サーバへ、前記振込人の口座番号を含む通報情報を送信する通報手続き手段を備え、前記金融機関サーバは、前記ATM又は他の前記金融機関サーバから前記通報情報を受信すると、前記通報情報に含まれる前記振込人の口座番号を含む前記振込情報を検索し、検索した前記振込情報に通報手続きの対象となったことを示すフラグを付加し、更に、前記ATMから前記通報情報を受信した場合は、検索した前記振込情報に含まれる前記受取人の口座番号で特定される前記金融機関サーバへ前記通報情報を送信する通報処理手段を備え、前記金融機関サーバの前記引出処理手段は、検索した前記振込情報に前記フラグが付加されている場合、引出手続きを中断することを特徴とする。
【0014】
更に、第4の発明は、第1の発明乃至第3の発明の一つの発明に記載された振り込め詐欺防止システムにおいて、前記ATMは、前記引出条件として、前記振込人とその知り合いだけが分かる質問文とその回答からなる質問回答情報を取得し、前記金融機関サーバの前記引出処理手段は、検索した前記振込情報に含まれる前記引出条件に適合する引出手続きであるか確認する処理として、引出手続きで利用されている前記ATMに該引出条件の前記質問回答情報に含まれる質問文を送信し、該ATMから得られた回答と該引出条件の前記質問回答情報に含まれる回答を照合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このように、上述した本発明によれば、振込人が引出条件を設定して振り込んだ振込金額については、該引出条件に適合した引出手続きでなければ、受取人の口座において該振込金額は凍結状態になるため、振り込め詐欺の実行を予防することができるようになる。
【0016】
本発明では、振込人が振り込んだ振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行える金融機関とその支店を示す金融機関支店コードが引出条件に含まれるため、振込人が振り込んだ振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行うためには、引出条件の金融機関支店コードで特定される場所で引出手続きを行うことが必要になる。
【0017】
また、振込人が振り込んだ振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行える時間帯を示す時間帯情報を引出条件に含ませれば、振込人が振り込んだ振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行うためには、引出条件の時間帯情報で特定される時間帯に引出手続きを行うことが必要になる。
【0018】
更に、振込人とその知り合いだけが分かる事柄に係る質問文とその回答からなる質問回答情報を引出条件に含ませるようしておけば、振込先となる受取人が引出手続きする際に、振込人と受取人の人間関係を検証できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る振り込め詐欺防止システムの構成を説明する図。
【図2】ATMを説明する図。
【図3】金融機関サーバを説明する図。
【図4】振込手続きを実行する際の金融機関サーバの動作を説明する図。
【図5】通報手続きを実行する際の金融機関サーバの動作を説明する図。
【図6】引出手続きを実行する際の金融機関サーバの動作を説明する図。
【図7】変形例において、振込手続きを実行する際の金融機関サーバの動作を説明する図。
【図8】変形例において、引出手続きを実行する際の金融機関サーバの動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここから,本発明の実施形態について,本発明の技術分野に係わる当業者が,発明の内容を理解し,発明を実施できる程度に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る振り込め詐欺防止システム1の構成を説明する図である。本実施形態に係る振り込め詐欺防止システム1には、指定された口座に所定の振込金額を振込む振込手続きや所定の口座から所定の引出金額を引出す引出手続きなどの金融手続きを行う際に利用される現金自動預け払い機2(以下、「ATM」と記す。ATMは、「Automatic Teller Machine」の略。)と、ネットワークを介してATM2と接続している複数の金融機関サーバ3とから構成され、図1では、金融機関サーバ3として、振込手続きを行う振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3と、振込人5から振込金額を受け取る受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3を図示し、また、ATM2として、振込手続きを行う際に振込人5が利用するATM2と、引出手続きを行う際に受取人6が利用するATM2を図示している。
【0022】
本実施形態の振り込め詐欺防止システム1では、振込人5がATM2を操作して受取人6の口座に所定の振込金額を振込む際、受取人6の口座に振り込んだ振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関及びその支店を示す金融機関支店コードを少なくとも含む引出条件を設定できるようにしておき、振込人5が引出条件を設定して振り込んだ振込金額については、振込人5が設定した引出条件に適合する引出手続きでなければ受取人6の口座において該振込金額を凍結状態にすることで、振り込め詐欺の実行を予防する。
【0023】
振込人5が振り込んだ振込金額を受取人6の口座において凍結状態にするとは、受取人6の口座から引き出せる最大金額が、受取人6の口座残高から振込金額を差し引いた金額になる状態を意味する。例えば、受取人6の口座残高が300万円で、引出条件が設定された振込金額が20万円の場合、引出条件に適合しない引出手続きで引き出せる最大金額は280万円になる。なお、引出条件に適合する引出手続きで引き出せる最大金額は300万円である。
【0024】
本実施形態において、受取人6の口座に振り込まれた振込金額を引き出せる金融機関及びその支店を示す金融機関支店コードを少なくとも含む引出条件を振込人5が設定できるようにしているのは、振り込め詐欺の犯人を確保でき易くすることで、振込詐欺の能動的な防犯効果を向上させためである。
【0025】
振り込め詐欺が多発している要因として、全国の銀行やコンビニエンスストアなどで引出手続きが可能であるため、振り込め詐欺の犯人が引出手続きを行う場所の特定が難しくなっていることがあり、受取人6の口座に振り込まれた振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関及びその支店を振込人5が指定することができれば、振り込め詐欺の犯人が引出手続きを行う場所が事前にわかるため、振り込め詐欺の犯人を確保できるようになり、振り込め詐欺の能動的な防犯効果の向上が期待できる。
【0026】
引出条件には、受取人6の口座に振り込まれた振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関及びその支店を示す金融機関支店コードに加え、他の情報を含ませることも可能で、例えば、受取人6の口座に振り込まれた振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える時間帯情報を引出条件に含ませれば、受取人6の口座に振り込まれた振込金額を引き出せる場所のみならず時間帯も事前にわかるため、振り込め詐欺の犯人をより確保でき易くなり、振り込め詐欺の能動的な防犯効果をより高めることができる。
【0027】
更に、振り込め詐欺にあったことに振込人5が気付いたとき、引出条件の金融機関支店コードで特定される金融機関側でその旨がわかるようにすれば、振込人5が振込金額を振り込んだ口座から引出手続きを行う際に振り込め詐欺の犯人をより確保できやすくなり、振り込め詐欺の能動的な防犯効果をより高めることができるため、本実施形態の振り込め詐欺防止システム1には、振込人5が、振り込め詐欺にあったことを受取人6の口座が開設されている金融機関に通報できる仕組を持たせている。
【0028】
ここから、図1で図示したATM2と金融機関サーバ3について、本実施形態の説明に必要な機能についてのみ説明する。なお、図1では、振込人5が利用するATM2と受取人6が利用するATM2を区別して記載しているが、それぞれは同一の機能を有している。同様に、図1では、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3と受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3を区別して記載しているが、それぞれは同一の機能を有している。
【0029】
図2は、本実施形態に係るATM2を説明する図である。図2に図示したように、本実施形態に係るATM2は、表示機能と操作機能を有するタッチパネル部2bと、紙幣の入金・出金に用いられる紙幣入出金機構部2cと、キャッシュカードに記憶された情報を読み取るキャッシュカード機構部2dなどを備え、更に、コンピュータを利用して実現され、各部を制御するための制御部2aをATM2は備えている。
【0030】
ATM2の制御部2aには、制御部2aを動作せるコンピュータプログラムが実装され、このコンピュータプログラムにより実現される手段として、振り込め詐欺対策用の振込手続きが選択されると、振込人5の口座番号、受取人6の口座番号及び振込金額に加え、振込金額の凍結状態を解除できる条件を示す引出条件を含む振込情報を振込人5から取得し、振込人5の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ振込情報を送信する振込手続き手段20と、引出手続きが選択されると、受取人6の口座番号及び引出金額を少なくとも引出情報として受取人6から取得し、受取人6の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ引出情報を送信する引出手続き手段21と、振り込め詐欺対策用の通報手続きが選択されると、通報手続きをした振込人5の口座番号を取得した後、振込人5の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ、振込人5の口座番号を含む通報情報を送信する通報手続き手段22がATM2に備えられる。
【0031】
ATM2の制御部2aは、様々な金融手続きの中から、ユーザが実行する金融手続きを選択するためのメニュー画面をタッチパネル部2bに表示し、ユーザが選択した金融手続きを実行し、本実施形態では、ATM2のタッチパネル部2bに表示させるメニュー画面に含まれる金融手続きには、通常の振込手続きとは別に、振り込め詐欺対策用の振込手続きが含まれ、振り込め詐欺対策用の振込手続きが選択されると、ATM2の振込手続き手段20が作動し、ATM2の振込手続き手段20は、振込人5の口座番号、受取人6の口座番号及び振込金額に加え、振込金額の凍結状態を解除できる条件を示す引出条件を入力する画面をタッチパネル部2bに表示して、これらの情報を振込情報として振込人5から取得し、振込人5の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ振込情報を送信する処理を行う。
【0032】
なお、本実施形態において、引出条件を入力するための画面には、受取人6の口座に振り込まれた振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関及びその支店を振込人5が選択するためのボタンと、受取人6の口座に振り込まれた振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える時間帯情報を設定するためのボタンが含まれ、ATM2の振込手続き手段20は、受取人6の口座に振り込まれた振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関及びその支店を示す金融機関支店コードと時間帯情報を引出条件として取得する。
【0033】
また、本実施形態では、ATM2のタッチパネル部2bに表示させるメニュー画面に含まれる金融手続きには引出手続きが含まれ、引出手続きが選択されると、ATM2の引出手続き手段21が作動し、ATM2の引出手続き手段21は、受取人6の口座番号及び引出金額を入力する画面をタッチパネル部2bに表示して、これらの情報を引出情報として受取人6から取得し、受取人6の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ引出情報を送信する処理を行う。
【0034】
更に、本実施形態では、振込人5が振り込め詐欺にあったことに気付いた際、このことを金融機関に通報できるようするために、ATM2のタッチパネル部2bに表示させるメニュー画面に含まれる金融手続きには振り込め詐欺用の通報手続きが含まれ、通報手続きが選択されると、ATM2の通報手続き手段22が作動し、ATM2の通報手続き手段22は、通報手続きをした振込人5の口座番号を取得した後、振込人5の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ、振込人5の口座番号を含む通報情報を送信する処理を行う。
【0035】
次に、本実施形態に係る金融機関サーバ3について説明する。金融機関サーバ3は、CPU、RAM、ネットワークインターフェースなどを有する基幹サーバと複数のデータベースサーバとから構成され、様々な金融手続きに係る処理する機能を備える。
【0036】
本実施形態では、金融手続きとして、振込手続き、引出手続き及び通報手続きが関連するため、ここから、それぞれの金融手続きについて説明する。
【0037】
図3は、金融機関サーバ3を説明する図である。図3に図示したように、金融機関サーバ3は、振込人5が振込手続きを行う際に作動する振込処理手段30と、振込人5が通報手続きを行う際に作動する通報処理手段32と、受取人6が引出手続きを行う際に作動する引出処理手段32と、開設されている口座の口座情報(例えば、口座残高や登録時の認証情報など)を記憶する口座DB33(DB: DataBase)と、振込手続きの内容を示す振込情報を記憶する振込DB34を備える。
【0038】
まず、振込手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作について説明する。図4は、振込手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作を説明する図である。
【0039】
振込人5が振込手続きを行う際、ATM2は、ATM2が対応している金融手続きの一覧を表示するメニュー画面をタッチパネル部2bに表示させ、振込人5がメニュー画面から振り込め詐欺対策用の振込続きを選択すると、ATM2の振込手続き手段20は、ATM2のキャッシュカード機構部2dに振込人5が挿入したキャッシュカードから振込人5の口座番号を読み取った後、振込人5の認証情報を取得する画面、受取人6の口座番号を取得する画面、振込金額を取得する画面、そして、引出条件を取得する画面を順に表示して、受取人6の口座番号、振込金額及び引出条件を振込情報として振込人5から取得し、振込人5の口座番号、受取人6の口座番号、振込金額及び引出条件を含む振込情報に加え、振込人5の認証情報及びATM2を設置している金融機関及びその支店を示す金融機関支店コードを、振込人5の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ送信する(S1)。
【0040】
振込人5が利用しているATM2から振込情報等が送信されると、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3の振込処理手段30が作動し、金融機関サーバ3の振込処理手段30は、振込人5が利用しているATM2から送信された認証情報の照合に成功し、振込情報に含まれる振込人5の口座番号に対応する口座残高の確認、振込情報に含まれる受取人6の口座番号の照会などを行った後、振込時のATM2から送信された振込情報を振込DB34に記憶すると共に(S2)、口座DB33を参照し、振込情報に含まれる振込人5の口座番号で特定される口座残高から振込金額を減額した後、振込情報に含まれる受取人6の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ振込情報を送信する(S3)。
【0041】
振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3から振込情報が送信されると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の振込処理手段30が作動し、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の振込処理手段30は、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3から送信された振込情報を振込DB34に記憶した後(S4)、口座DB33を参照し、振込情報に含まれる受取人6の口座番号に対応する口座残高に振込情報に含まれる振込金額を加算した後、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3へ受取側の振込処理が完了したことを通知する(S5)。
【0042】
受取側の振込処理が完了したことが通知されると、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3は、振込処理が完了したことを、振込情報を送信したATM2に通知し(S6)、振込人5が利用しているATM2は振込手続きが完了したことをタッチパネル部2bに表示して(S7)、この手順を終了する。
【0043】
次に、通報手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作について説明する。図5は、通報手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作を説明する図である。
【0044】
ATM2は、ATM2が対応している金融手続きの一覧を表示するメニュー画面をタッチパネル部2bに表示させ、振り込め詐欺にあったことに気付いた振込人5がメニュー画面から通報手続きを選択すると、ATM2の通報手続き手段22は、ATM2のキャッシュカード機構部2dに振込人5が挿入したキャッシュカードから振込人5の口座番号を読み取った後、振込人5の認証情報を取得する画面を表示した後、振込人5の口座番号から特定できる金融機関サーバ3へ、振込人5の口座番号を含む通報情報、振込人5の認証情報及びATM2の金融機関支店コードを送信する(S10)。
【0045】
ATM2から通報情報が送信されると、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3の通報処理手段32が作動し、金融機関サーバ3の通報処理手段32は、ATM2から送信された振込人5の認証情報の照合に成功すると、通報情報に含まれる振込人5の口座番号を含む振込情報を振込DB34から検索し(S11)、検索した振込情報に通報手続きの対象となったことを示すフラグを付加し、検索した振込情報の振込先の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ通報情報を送信する(S12)。
【0046】
振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3から通報情報が送信されると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の通報処理手段32が作動し、通報処理手段32は、通報情報に含まれる振込人5の口座番号を含む振込情報を振込DB34から検索し(S13)、検索した振込情報に通報手続きの対象となったことを示すフラグを付加した後、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3側の処理が終了したことを振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3へ送信し(S14)、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3は、通報情報を送信したATM2へ通報手続きが終了したことを通知し(S15)、ATM2は通報手続きが完了したことをタッチパネル部2bに表示して(S16)、この手順を終了する。
【0047】
次に、引出手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作について説明する。図6は、引出手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作を説明する図である。
【0048】
ATM2が対応している金融手続きの一覧を表示するメニュー画面をタッチパネル部2bに表示させ、受取人6がメニュー画面から引出手続きを選択するためのメニューボタンを選択すると、ATM2の引出手続き手段21は、ATM2のキャッシュカード機構部2dに挿入されたキャッシュカードから受取人6の口座番号を読み取った後、受取人6の認証情報を入力する画面、そして、引出金額を入力する画面を表示して、受取人6が引出す引出金額と受取人6の認証情報を取得し、受取人6の口座番号及び引出金額を含む引出情報、受取人6の認証情報、ATM2の金融機関支店コードを、受取人6の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ送信する(S20)。
【0049】
引出情報が送信されると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31が作動し、引出処理手段31は、まず、引出情報に含まれる受取人6の口座番号(ここでは、受取人6の口座番号になる)を含む振込情報を振込DB34から検索する(S21)。
【0050】
引出情報に含まれる受取人6の口座番号(ここでは、受取人6の口座番号になる)を含む振込情報を振込DB34から検索できないケースもあるが、ここでは、引出情報に含まれる受取人6の口座番号を含む振込情報を振込DB34から検索できたケースについてのみ説明する。
【0051】
引出情報に含まれる受取人6の口座番号を含む振込情報を振込DB34から検索すると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、引出情報に含まれる受取人6の口座番号を含む振込情報に、通報手続きの対象となったことを示すフラグが付加されているか確認する(S22)。
【0052】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、通報手続きの対象となったことを示すフラグが検索した振込情報に付加されているか否かで処理を分岐し、通報手続きの対象となったことを示すフラグが検索した振込情報に付加されている場合、振り込め詐欺の犯人である可能性がある人が引出手続きを行おうとしていると想定できるため、引出情報を送信したATM2の金融機関支店コードに対応する金融機関の支店に振り込め詐欺に係る通報を行い(S23)、通報後に該金融機関から引出しの許可が下りれば、これから説明する手順を実行する。なお、通報後に該金融機関から許可が下りなければ、引出情報に含まれる引出金額の引出しの不許可をATM2に通知して、この手順は終了する。
【0053】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、通報手続きの対象となったことを示すフラグが検索した振込情報に付加されていない場合、又は、通報後に金融機関から引出しの許可が下りた場合、まず、検索した振込情報に含まれる引出条件に含まれる金融機関支店コードと、引出情報と共に受信したATM2の金融機関支店コードを照合することで(S24)、受取人6が利用するATM2が、引出条件に含まれる金融機関支店コードで特定される金融機関及びその支店に設置されているATM2であるか確認する。
【0054】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、金融機関支店コードの照合結果に応じて処理を分岐させ、金融機関支店コードの照合に失敗したときは、受取人6の口座番号で特定される口座残高から引出条件の振込金額を差し引いた金額を引出金額の最大金額とすることで該振込金額を凍結状態にして引出処理を実行し(S27)、ATM2の紙幣入出金機構部2cから引出し金額が支払われるなどして引出処理が終了すると、この手順は終了する。
【0055】
また、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、金融機関支店コードの照合に成功したときは、次に、検索した振込情報に含まれる引出条件に含まれる時間帯情報と引出手続き時の時刻を照合することで(S25)、受取人6が引出手続きを行う時刻が、引出条件に含まれる時間帯情報で示される時間帯内であるか確認する。
【0056】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、引出条件に含まれる時間帯情報と引出手続きを行う時刻の照合結果に応じて処理を分岐させ、該照合に失敗したときは、受取人6の口座番号で特定される口座残高から引出条件の振込金額を差し引いた金額を引出金額の最大金額とすることで該振込金額を凍結状態にして引出処理を実行し(S27)、ATM2の紙幣入出金機構部2cから引出し金額が支払われるなどして引出処理が終了すると、この手順は終了する。
【0057】
また、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、該照合に成功したとき、受取人6の口座番号で特定される口座残高を引出金額の最大金額とすることで該振込金額の凍結状態を解除して引出処理を実行し(S26)、ATM2の紙幣入出金機構部2cから引出し金額が支払われるなどして引出処理が終了すると、この手順は終了する。
【0058】
(変形例)
ここから、上述した実施形態の変形例について説明する。上述した実施形態では、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行える場所と時間帯を限定できるように、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行える金融機関とその支店を示す金融機関支店コードと時間帯情報を引出条件に含ませるようにしていたが、変形例では、振込人5が振り込んだ振込金額を引出手続きできる場所を限定することのできることに加え、更に、振込先となる受取人6が引出手続きする際に、振込人5と受取人6の人間関係を検証できるように、振込人5とその知り合いだけが分かる事柄に係る質問文とその回答からなる質問回答情報を引出条件に含ませるようしておき、振込先となる受取人6が引出手続きする際に、引出条件に含まれる質問回答情報を用いて、引出手続きを行う受取人6と振込人5の人間関係を検証し、該検証に成功しなければ振込金額の凍結状態を解除できないようにしている。
【0059】
なお、振込人5とその知り合いだけが分かる事柄に係る質問文とその回答からなる質問回答情報としては、例えば、振込人5が親で正規の受取人6が子の場合、該質問文としては、子の誕生日を尋ねる質問文や子の初任給で子から親にプレゼントした物を尋ねる質問文にするとよい。
【0060】
まず、変形例において、振込手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作について説明する。図7は、変形例において、振込手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作を説明する図である。
【0061】
振込人5が振込手続きを行う際、ATM2は、ATM2が対応している金融手続きの一覧を表示するメニュー画面をタッチパネル部2bに表示させ、振込人5がメニュー画面から振り込め詐欺対策用の振込続きを選択すると、ATM2の振込手続き手段20は、ATM2のキャッシュカード機構部2dに振込人5が挿入したキャッシュカードから振込人5の口座番号を読み取った後、振込人5の認証情報を取得する画面、受取人6の口座番号を取得する画面、振込金額を取得する画面、そして、引出条件を取得する画面を順に表示して、受取人6の口座番号、振込金額及び引出条件を振込情報として振込人5から取得し、振込人5の口座番号、受取人6の口座番号、振込金額及び引出条件を含む振込情報に加え、振込人5の認証情報及びATM2を設置している金融機関及びその支店を示す金融機関支店コードを、振込人5の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ送信する(S30)。
【0062】
変形例では、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行える金融機関とその支店を示す金融機関支店コード及び時間帯情報に加え、振込人5と振込金額の受取人6の人間関係を検証するための質問回答情報を引出条件に含ませるため、図7のS30において、引出条件を取得する画面には、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きを行える金融機関とその支店を示す金融機関支店コード及び時間帯情報を取得する画面に加え、振込人5と振込金額の受取人6の人間関係を検証するための質問回答情報を取得する画面、すなわち、振込人5とその知り合いだけが分かる事柄に係る質問文とその回答を入力する画面が含まれ、ATM2が、振込人5の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ送信する振込情報の引出条件には質問回答情報が含まれることになる。
【0063】
振込人5が利用しているATM2から振込情報等が送信されると、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3の振込処理手段30が作動し、金融機関サーバ3の振込処理手段30は、振込人5が利用しているATM2から送信された認証情報の照合に成功し、振込情報に含まれる振込人5の口座番号に対応する口座残高の確認、振込情報に含まれる受取人6の口座番号の照会などを行った後、振込時のATM2から送信された振込情報を振込DB34に記憶すると共に(S31)、口座DB33を参照し、振込情報に含まれる振込人5の口座番号で特定される口座残高から振込金額を減額した後、振込情報に含まれる受取人6の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ振込情報を送信する(S32)。
【0064】
振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3から振込情報が送信されると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の振込処理手段30が作動し、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の振込処理手段30は、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3から送信された振込情報を振込DB34に記憶した後(S33)、口座DB33を参照し、振込情報に含まれる受取人6の口座番号に対応する口座残高に振込情報に含まれる振込金額を加算した後、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3へ受取側の振込処理が完了したことを通知する(S34)。なお、変形例では、振込先となる受取人6が引出手続きする際に、振込人5と受取人6の人間関係を検証できるように、振込人5との受取人6の人間関係を検証するための質問回答情報が引出条件に含まれているため、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の振込DB34に記憶される振込情報には、振込人5と受取人6の人間関係を検証するための質問回答情報が含まれていることになる。
【0065】
受取側の振込処理が完了したことが通知されると、振込人5の口座が開設されている金融機関サーバ3は、振込処理が完了したことを、振込情報を送信したATM2に通知し(S35)、振込人5が利用しているATM2は振込手続きが完了したことをタッチパネル部2bに表示して(S36)、この手順を終了する。
【0066】
次に、変形例において、引出手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作について説明する。図8は、変形例において、引出手続きを実行する際の金融機関サーバ3の動作を説明する図である。
【0067】
ATM2が対応している金融手続きの一覧を表示するメニュー画面をタッチパネル部2bに表示させ、受取人6がメニュー画面から引出手続きを選択するためのメニューボタンを選択すると、ATM2の引出手続き手段21は、ATM2のキャッシュカード機構部2dに挿入されたキャッシュカードから受取人6の口座番号を読み取った後、受取人6の認証情報を入力する画面、そして、引出金額を入力する画面を表示して、受取人6が引出す引出金額と受取人6の認証情報を取得し、受取人6の口座番号及び引出金額を含む引出情報、受取人6の認証情報、ATM2の金融機関支店コードを、受取人6の口座番号で特定される金融機関サーバ3へ送信する(S40)。
【0068】
引出情報が送信されると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31が作動し、引出処理手段31は、まず、引出情報に含まれる受取人6の口座番号(ここでは、受取人6の口座番号になる)を含む振込情報を振込DB34から検索する(S41)。
【0069】
引出情報に含まれる受取人6の口座番号(ここでは、受取人6の口座番号になる)を含む振込情報を振込DB34から検索できないケースもあるが、ここでは、引出情報に含まれる受取人6の口座番号を含む振込情報を振込DB34から検索できたケースについてのみ説明する。
【0070】
引出情報に含まれる受取人6の口座番号を含む振込情報を振込DB34から検索すると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、引出情報に含まれる受取人6の口座番号を含む振込情報に、通報手続きの対象となったことを示すフラグが付加されているか確認する(S42)。
【0071】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、通報手続きの対象となったことを示すフラグが検索した振込情報に付加されているか否かで処理を分岐し、通報手続きの対象となったことを示すフラグが検索した振込情報に付加されている場合、振り込め詐欺の犯人である可能性がある人が引出手続きを行おうとしていると想定できるため、引出情報を送信したATM2の金融機関支店コードに対応する金融機関の支店に振り込め詐欺に係る通報を行い(S43)、通報後に該金融機関から引出しの許可が下りれば、これから説明する手順を実行する。なお、通報後に該金融機関から許可が下りなければ、引出情報に含まれる引出金額の引出しの不許可をATM2に通知して、この手順は終了する。
【0072】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、通報手続きの対象となったことを示すフラグが検索した振込情報に付加されていない場合、又は、通報後に金融機関から引出しの許可が下りた場合、まず、検索した振込情報に含まれる引出条件に含まれる金融機関支店コードと、引出情報と共に受信したATM2の金融機関支店コードを照合することで(S44)、受取人6が利用するATM2が、引出条件に含まれる金融機関支店コードで特定される金融機関及びその支店に設置されているATM2であるか確認する。
【0073】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、金融機関支店コードの照合結果に応じて処理を分岐させ、金融機関支店コードの照合に失敗したときは、受取人6の口座番号で特定される口座残高から引出条件の振込金額を差し引いた金額を引出金額の最大金額とすることで該振込金額を凍結状態にして引出処理を実行し(S48)、ATM2の紙幣入出金機構部2cから引出し金額が支払われるなどして引出処理が終了すると、この手順は終了する。
【0074】
また、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、金融機関支店コードの照合に成功したときは、次に、検索した振込情報に含まれる引出条件に含まれる時間帯情報と引出手続き時の時刻を照合することで(S45)、受取人6が引出手続きを行う時刻が、引出条件に含まれる時間帯情報で示される時間帯内であるか確認する。
【0075】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、引出条件に含まれる時間帯情報と引出手続きを行う時刻の照合結果に応じて処理を分岐させ、該照合に失敗したときは、受取人6の口座番号で特定される口座残高から引出条件の振込金額を差し引いた金額を引出金額の最大金額とすることで該振込金額を凍結状態にして引出処理を実行し(S48)、ATM2の紙幣入出金機構部から引出し金額が支払われるなどして引出処理が終了すると、この手順は終了する。
【0076】
引出条件に含まれる時間帯情報と引出手続きを行う時刻の照合に成功すると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、検索した振込情報の引出条件に含まれる質問回答情報を用いて、振込人5と受取人6の人間関係を検証する(S46)。
【0077】
振込人5と受取人6の人間関係を検証する際、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、質問回答情報の質問文を受取人6が操作するATM2へ送信する。質問回答情報の質問文がATM2のタッチパネル部2bに表示された後、受取人6が該質問文の回答をATM2のタッチパネル部2bを用いて入力すると、受取人6がATM2に入力した該質問文の回答がATM2から該金融機関サーバ3へ送信される。そして、ATM2から質問文の回答を受信すると、受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、質問回答情報に含まれる回答とATM2から得られた回答を照合し、この照合に成功すれば、振込人5と受取人6の人間関係の検証に成功したと判定する。
【0078】
受取人6の口座が開設されている金融機関サーバ3の引出処理手段31は、振込人5と受取人6の人間関係の検証結果に応じて処理を分岐させ、該検証に失敗したときは、受取人6の口座番号で特定される口座残高から引出条件の振込金額を差し引いた金額を引出金額の最大金額とすることで該振込金額を凍結状態にして引出処理を実行し(S48)、ATM2の紙幣入出金機構部2cから引出し金額が支払われるなどして引出処理が終了すると、この手順は終了する。
【0079】
また、振込人5と受取人6の人間関係の検証に失敗したときは、受取人6の口座番号で特定される口座残高を引出金額の最大金額とすることで該振込金額の凍結状態を解除して引出処理を実行し(S47)、ATM2の紙幣入出金機構部2cから引出し金額が支払われるなどして引出処理が終了すると、この手順は終了する。
【符号の説明】
【0080】
1 振り込め詐欺防止システム
2 現金自動預け払い機(ATM)
20 振込手続き手段
21 引出手続き手段
22 通報手続き手段
3 金融機関サーバ
30 振込処理手段
31 引出処理手段
32 通報処理手段
33 口座DB
34 振込DB


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の現金自動預け払い機(ATM)と、ネットワークを介して前記ATMと接続している複数の金融機関サーバとから少なくとも構成される振込取引管理システムであって、
前記ATMは、振込人により振り込め詐欺対策用の振込手続きが選択されると、振込情報として、前記振込人の口座番号、受取人の口座番号及び振込金額に加え、振込金額の凍結状態を解除できる条件を示す引出条件として、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える金融機関とその支店を示す金融機関支店コードを前記振込人から取得し、前記振込人の口座番号で特定される前記金融機関サーバへ前記振込情報を送信する振込手続き手段と、前記受取人により引出手続きが選択されると、前記受取人の口座番号及び引出金額を少なくとも引出情報として前記受取人から取得し、前記受取人の口座番号で特定される金融機関サーバへ前記引出情報を送信する引出手続き手段を備え、
前記金融機関サーバは、前記ATM又は他の前記金融機関支店コードから前記振込情報が送信されると、該振込情報を記憶して、該振込情報に対応する振込処理を実行した後、前記ATMより前記振込情報を受信した場合は、該振込情報に含まれる前記受取人の口座番号で特定される前記金融機関サーバに対して前記振込情報を送信する振込処理手段と、前記ATMから前記引出情報を受信すると、前記引出情報に含まれる前記受取人の口座番号を含む前記振込情報を検索し、検索した前記振込情報に含まれる前記引出条件に適合する引出手続きであるか確認する処理として、引出手続きで利用されている前記ATMの金融機関支店コードと前記引出条件の金融機関支店コードを少なくとも照合し、該引出条件に適合しない引出手続きの場合、受取人の口座番号で特定される口座残高から該引出条件の振込金額を差し引いた金額を引出手続きの最大金額とすることで該振込金額を凍結状態にし、該引出条件に適合する引出手続きの場合、引出先の口座番号で特定される口座残高を引出手続きの最大金額とすることで該振込金額の凍結状態を解除する引出処理手段を備えている、
ことを特徴とする振り込め詐欺防止システム。
【請求項2】
前記ATMは、前記引出条件として、振込金額の凍結状態を解除できる引出手続きが行える時間帯情報を取得し、前記金融機関サーバの前記引出処理手段は、検索した前記振込情報に含まれる前記引出条件に適合する引出手続きであるか確認する処理として、引出手続きの時間と該引出条件の時間帯情報を照合することを特徴とする、請求項1に記載された振り込め詐欺防止システム。
【請求項3】
前記ATMは、前記振込人により振り込め詐欺対策用の通報手続きが選択されると、通報手続きをした前記振込人の口座番号を取得した後、前記振込人の口座番号で特定される前記金融機関サーバへ、前記振込人の口座番号を含む通報情報を送信する通報手続き手段を備え、
前記金融機関サーバは、前記ATM又は他の前記金融機関サーバから前記通報情報を受信すると、前記通報情報に含まれる前記振込人の口座番号を含む前記振込情報を検索し、検索した前記振込情報に通報手続きの対象となったことを示すフラグを付加し、更に、前記ATMから前記通報情報を受信した場合は、検索した前記振込情報に含まれる前記受取人の口座番号で特定される前記金融機関サーバへ前記通報情報を送信する通報処理手段を備え、前記金融機関サーバの前記引出処理手段は、検索した前記振込情報に前記フラグが付加されている場合、引出手続きを中断することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された振り込め詐欺防止システム。
【請求項4】
前記ATMは、前記引出条件として、前記振込人とその知り合いだけが分かる質問文とその回答からなる質問回答情報を取得し、前記金融機関サーバの前記引出処理手段は、検索した前記振込情報に含まれる前記引出条件に適合する引出手続きであるか確認する処理として、引出手続きで利用されている前記ATMに該引出条件の前記質問回答情報に含まれる質問文を送信し、該ATMから得られた回答と該引出条件の前記質問回答情報に含まれる回答を照合することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載された振り込め詐欺防止システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−45345(P2013−45345A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183707(P2011−183707)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】