説明

振れ補正機能を有する光学装置および双眼鏡

【課題】 本発明の目的は、装置の姿勢や外部から加わる衝撃力に影響されずに安定して動作し、小さなスペースに効率よく配置することが可能なロック機構を組み込まれた振れ補正機能を有する光学装置を提供することである。
【解決手段】 本発明は、振れ補正機能を有する光学装置において、プランジャとラッチソレノイドをロックの駆動源とし、可動鏡筒をロックするロック部材とプランジャとを共に光軸方向に移動可能に支持し、お互いの移動方向が逆になるように揺動連結部材で連結した。更に、ロック部材に調整ウエイトを付加して、外部から加えられる光軸方向の加速度に対して揺動連結部材に作用するモーメントが釣り合う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ光学系の一部のレンズもしくはレンズ群を光軸に垂直な平面内で移動させることで振れ補正を行う光学装置および双眼鏡に関するものである。例えば、ビデオカメラ、デジタルおよび銀塩スチルカメラ等の撮影装置や、望遠鏡およびフィールドスコープ等のいわゆる単眼の装置や両目で観察する双眼鏡などの観察装置に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として少なくとも永久磁石とコイルとで構成される非接触型の電磁アクチュエータを用いて振れ補正用のレンズを光軸に垂直な平面内で移動させることで振れ補正を行うものが知られている。このような振れ補正機能を有する光学装置では、振れ補正機能の非作動時に振れ補正用レンズを所定の位置に保持するための機械的なロック機構を有するものがあり、種々の構成が提案されている。なかでも、作動部材であるプランジャと呼ばれる可動鉄心と、永久磁石とヨークで、可動鉄心を介して磁気回路を閉じるようにした自己保持型のいわゆるラッチソレノイドと、プランジャを引き出し方向に付勢するバネを組み合わせた構成は良く知られている。プランジャとラッチソレノイドを用いたロック機構は構成が簡単で、応答が速く、プランジャの双方向への移動時のみにソレノイドへの通電が必要で、ロックおよびロック解除位置への保持には電力を消費しないという特徴がある。
【0003】
特許文献1では、プランジャとラッチソレノイドを駆動源として、補正レンズを保持する支持枠の孔に、一端で回転可能に支持されたメカロックアームの先端の突起を嵌入させて支持枠を係止する構成が説明されている。メカロックアームはバネにより係止が解除される方向に付勢されており、メカロックアームの回転に伴う先端の突起の移動方向とプランジャの移動方向は略同方向である。本特許文献1では前述のいわゆるプランジャはスライダと称されており、いわゆるラッチソレノイドはステータヨークと永久磁石およびコイルにより構成されている。メカロックアームの係止解除状態の保持は付勢するバネ力に拠っているが、係止状態への移行時にはコイルに流す電流によりスライダを吸引する力を発生させるので、省電力の観点からは必要以上にバネ力を大きくすることは好ましくない。
【0004】
つまり、バネ力は、係止解除時にコイルに通電する事でスライダを引き抜くことが可能で、かつ、無通電時に永久磁石の吸引力に逆らって係止解除状態を保持できる範囲内で出来るだけ小さく設定する必要があると述べられている。つまり、本構成において、限られたスペースと電力のもとでは設定できるバネ力の大きさには限界がある。メカロックアームの回転に伴う先端の突起の移動方向とスライダの移動方向は略同方向なので、係止の解除状態は外部から加えられる衝撃による一定値以上の加速度では係止状態へ移行してしまうという問題がある。更に、係止と係止解除の双方向への移行時にメカロックアームとスライダの動きが妨げられる方向の加速度が過度に作用すると状態の移行に失敗する可能性がある。また、外部からの衝撃による加速度が働かない場合でも、装置の姿勢によってメカロックアームとスライダに作用する重力の方向が変化するので、バネ力の大きさやスライダの吸引力に供するコイルへの通電量には相応の余裕が必要である。
【0005】
特許文献2では、プランジャとラッチソレノイドを駆動源として、回転するレバーでロックピンを駆動してレンズ枠の凹部に嵌入させることでロックする構成が開示されている。ロックピンは光軸方向に移動してレンズ枠をロックし、プランジャは異なる方向に作動している。両者の動きは回転するレバーにより伝えられている。本特許文献2では、ブレ補正装置に不用意な衝撃力を受けた場合にロックする係止が外れないように、ロックピンおよびプランジャに対するバランスを調整するカウンターバランスを回転するレバーに備えている。しかしながら、ブレ補正装置に作用する衝撃力の方向は光軸方向に特定されず、任意の方向についてロックする係止を保証する必要がある。その為には(変形形態)の(1)で述べられている様にレバーを略十字形状として更にカウンターバランスを備えることは必須となり、回転するレバーにカウンターバランスを設けるには大きなスペースが必要となるという問題がある。
【0006】
特許文献3では、プランジャとラッチソレノイドを駆動源として、回転するレバーでロックピンを駆動してレンズ枠の凹部に嵌入させることでロックする構成が開示されている。プランジャとロックピンの移動可能な方向はともに光軸方向であり、回転するレバーを介して逆方向に動くように連結されている。しかしながら、本特許文献3では、外部から加わる衝撃力による誤動作や装置の姿勢による影響などについての記述はなく、構成上でも特段の配慮もなされていない。更に、(他の実施形態)の(1)においては、「レバーを省略してプランジャによってレンズ枠を直接ロック及びロック解除してもよい」とあるので、プランジャとラッチソレノイドを用いたロック機構の上述の問題点について意識されていないことは明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−043871号公報
【特許文献2】特開2003−337361号公報
【特許文献3】特開平11−271833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、装置の姿勢や外部から加わる衝撃力に影響されずに安定して動作し、小さなスペースに効率よく配置することが可能なロック機構を組み込まれた振れ補正機能を有する光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の振れ補正機能を有する光学装置は、
複数のレンズから構成され、一部のレンズもしくはレンズ群を光軸に垂直な平面内で移動させることで通過光束を偏角させるレンズ光学系とを有し、
光軸に垂直な平面内で移動させる前記一部のレンズもしくはレンズ群を保持する補正レンズ保持部材と
前記補正レンズ保持部材の光軸に垂直な平面内での移動を軸部と穴部の係合により不可とするように光軸方向へ移動可能に支持されたロック部材と
光軸方向へ移動可能に配置された駆動部材を含むロック駆動手段と
前記ロック部材と前記駆動部材の動きを光軸に沿った逆方向に連動させるように揺動中心を有する揺動連結部材と
前記ロック部材に一体的に固定される調整ウエイトとから成り
一体化された前記ロック部材と前記調整ウエイトとの合成の質量と
前記駆動部材および前記揺動連結部材のそれぞれの質量に加えられたある加速度により
前記揺動連結部材にそれぞれ作用するモーメントの総和が小さくなるようにした。
【0010】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置の姿勢や外部から加わる衝撃力に影響されずに安定して動作し、小さなスペースに効率よく配置することが可能なロック機構を組み込まれた振れ補正機能を有する光学装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の振れ補正ユニットの後ろ側から見た分解斜視図
【図2】実施例1の振れ補正ユニットの前側から見た分解斜視図
【図3】実施例1の双眼鏡の外観斜視図
【図4】実施例1の双眼鏡の断面図
【図5】実施例1の双眼鏡の分解斜視図
【図6】実施例1の左右一対のポロ2型プリズムの斜視図
【図7】実施例1の横方向ガイドと後部ベースの組込み状態での斜視図
【図8】実施例1の支持ボールに対する付勢力との関係を説明する図
【図9】実施例1の可動鏡筒の連結部分の変形を説明する斜視図
【図10】実施例1の支持ボールとベース鏡筒および可動鏡筒との関係を説明する図
【図11】実施例1のガイドボールとガイド溝の形状と関係を説明する図
【図12】実施例1のガイドボールとガイド溝の形状と関係を説明する図
【図13】実施例1のメカロックユニットと可動鏡筒の分解斜視図
【図14】実施例1の振れ補正ユニットの左右の対称面での断面図
【図15】実施例1の振れ補正ユニットと電気基板の斜視図
【図16】実施例1の振れ補正ユニットと電気基板の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
[実施例1]
図1から図16は本発明を振れ補正機能を有する双眼鏡に適用した第一の実施例を説明する図である。
【0015】
図3、図4、図5は双眼鏡の全体構成を説明する図である。図3は双眼鏡の外観斜視図であり、それぞれ一点鎖線で示すOLは左の対物光学系の光軸、ORは右の対物光学系の光軸、ELは左の接眼光学系の光軸、ERは右の接眼光学系の光軸である。左と右は双眼鏡を観察する両眼の左右とに対応させている。また、図3は左右の対物光学系の光軸OL、ORの間隔と左右の接眼光学系の光軸EL、ERの間隔が同一の状態を表している。図4は図3の状態の双眼鏡で、対物光学系の左の光軸OLと接眼光学系の左の光軸ELを共に含む平面で切った双眼鏡の断面図である。図5は図3の双眼鏡の構成の説明を容易にするために適宜、分解して表示した分解斜視図である。以下、図3、図4、図5を参照しながら説明する。尚、同一部材には同一の符号が付けられている。また、双眼鏡を成す光学系は左右一対で構成されているので、図3、図4、図5では右の光学系が示されていない部分が一部あるが、ここでは一括して説明する。
【0016】
まず、光学系の構成について説明する。L1L、L1Rは左右一対の保護ガラスである。L2L、L2Rは左右一対の前玉レンズ、L3L、L3Rは左右一対の固定レンズ、L4L、L4Rは左右一対の対物光学系の一部のレンズもしくはレンズ群であるところの左右一対の可動レンズである。L2L、L3L、L4Lの組み合わせとL2R、L3R、L4Rの組み合わせで、左右一対の対物光学系を構成している。L5L、L5Rは左右一対の正立光学系であるところの左右一対のいわゆるポロ2型プリズムである。ここで、図6を参照して補足説明をする。図6は左右一対のポロ2型プリズムL5L、L5Rの斜視図である。ポロ2型プリズムL5Lは周知のように、90度の角度を成すふたつの反射面を持つ大プリズムL5Laと反射面角度が入射面に対して45度のふたつの小プリズムL5Lb、L5Lcを所定の関係で貼り合わせたものである。ポロ2型プリズムL5Lは左の対物光学系により結像される被写体の像を正立させると共に左の対物光学系の光軸OLを左の接眼光学系の光軸ELへ偏芯させる働きをしている。同様の働きは周知のダハプリズム、平行四辺形のプリズム、ミラー等を組み合わせて実現してもよい。図4は対物光学系の左の光軸OLと接眼光学系の左の光軸ELを共に含む平面で図3の双眼鏡を切った断面図であるので、左のポロ2型プリズムL5Lは図6に示すふたつの小プリズムL5Lb、L5Lcの一部のみが示されている。右のポロ2型プリズムL5Rも右の光学系に対して、L5Lと同様の作用を成すが、図6に示すように大プリズムとふたつの小プリズムとの組み合わせは面対称の構成になっている。再び、図3、図4、図5に戻って説明を続ける。L6L、L6Rは左右一対の接眼光学系であるところの左右一対の接眼レンズ群である。右の接眼レンズ群L6Rの光軸は当然、右の接眼光学系の光軸ERと同一である。以上により左右一対の観察光学系を構成している。
【0017】
続いて、メカ構成について説明する。1L、1Rは、それぞれ前玉レンズL2L、L2Rを保持する前玉鏡筒、2は左右一対の固定レンズL3L、L3Rと左右一対の可動レンズL4L、L4Rとを含む振れ補正ユニットである。振れ補正ユニット2の詳細については後述する。前玉鏡筒1L、1Rは振れ補正ユニット2の左右の先端部に、周知のいわゆるバヨネット結合で、それぞれ光軸方向の位置が決められる。3は位置決めピンであり、左右それぞれ2本で、前玉鏡筒1L、1Rのそれぞれの光軸が振れ補正ユニット2内の左右一対の固定レンズL3L、L3Rそれぞれの光軸と一致するように位置が決められる。図5の分解斜視図においては、前玉鏡筒1Lは振れ補正ユニット2に結合している状態であり、前玉鏡筒1Rは分解した状態を示している。左右それぞれ2本の位置決めピンの内、1本は前玉鏡筒1L、1Rと振れ補正ユニット2に設けられた基準の穴部に貫通して挿入され、他方は前玉鏡筒1L、1Rに設けられた穴部と振れ補正ユニット2に設けられた溝部に挿入される。4は振れ補正ユニット2を駆動制御するための電気基板であり、振れ補正ユニット2に一体的に固定されている。
【0018】
5Lは左右一対の左の接眼レンズ群L6Lを保持する接眼鏡筒であり、右の接眼レンズ群L6Rを保持する接眼鏡筒も図示しないが同様である。6L、6Rは左右一対のポロ2型プリズムL5L、L5Rを保持するプリズムホルダ。7Lは接眼鏡筒5Lを保持する左の接眼ホルダであり、7Rは図示しない右の接眼レンズ群L6Rを保持する接眼鏡筒を保持する右の接眼ホルダである。プリズムホルダ6L、6Rと接眼ホルダ7L、7Rはそれぞれ、左右一対のポロ2型プリズムL5L、L5Rと左右一対の接眼レンズ群L6L、L6Rが所定の位置関係になるようにビス等により一体化される。8L、8Rは左右の接眼鏡筒それぞれに一体的に固定された目当てゴムである。左右一対の接眼鏡筒の外周壁にはオスヘリコイドネジが、接眼ホルダ7L、7Rの内周壁にはメスヘリコイドネジがそれぞれ結合するように形成されており、いずれかの接眼鏡筒を回転させて光軸方向に進退せしめることで左右の視度調節が可能となっている。以上の構成により左右一対の接眼ユニット9L、9Rを構成している。
【0019】
10は左右一対の接眼ユニット9L、9Rを対物光学系の光軸OL、ORを軸として回転可能に支持すると共に、左右一対の対物光学系の全部を光軸方向に進退させて観察する被写体距離に応じてピント合わせを行う構成の支持部となるベース部材である。ベース部材10には高い剛性と精度が必要なので比較的厚い金属の板金などは好適である。
【0020】
ベース部材10には対物光学系の光軸OL、ORに垂直な10a部に、それぞれの光軸に同軸の開口部10L、10Rが設けられ、プリズムホルダ6L、6Rにそれぞれに設けられた円筒部6La、6Raが回転可能に嵌合せしめられる。11L、11Rはプリズムホルダ6L、6Rの円筒部6La、6Raでの回転の動きを連動させるための連動板である。連動板11L、11Rには所定の位置に組み込まれることで光軸方向に付勢力を発生させる複数の腕部11Lb、11Rbがそれぞれ設けられ、ベース部材の10a部を挟んでプリズムホルダ6L、6Rと連動板11L、11Rとはそれぞれビスにて締結される。また、連動板11L、11Rには、それぞれギア部11La、11Raが設けられている。12L、12Rはアイドラギアであり、その回転軸はギア部11La、11Raと噛み合うようにベース部材の10a部に加締め等で固定される。ギア部11La、アイドラギア12L、12R、ギア部11Raとを所定の関係で噛み合わせることで、接眼ユニット9L、9Rの回転の動きを連動させることができる。図5の分解斜視図においては、接眼ユニット9Lおよび、連動板11L、アイドラギア12Lはベース部材の10a部に組み込まれた状態、接眼ユニット9Rおよび、連動板11R、アイドラギア12Rは分解した状態を示した。接眼ユニット9L、9Rの接眼光学系の光軸EL、ERはポロ2型プリズムL5L、L5Rにより左右の対物光学系の光軸OL、ORに対して所定の量だけ偏芯しているので、内向きもしくは外向きに回転させることで接眼光学系の光軸EL、ERの幅が変化する。これにより、双眼鏡を使用する観察者に固有である左右の瞳の間隔と接眼光学系の光軸EL、ERの間隔を一致させる、いわゆる眼幅調整が可能となる。
【0021】
10bは左右の対物光学系の光軸OL、ORに共に平行なベース部材10の平坦部であり、左右一対の対物光学系の全部を光軸方向に進退させて、観察する被写体距離に応じてピント合わせを行う構成の支持部である。13は対物光学系が固定されるフォーカス支持部材であり、ベース部材10の平坦部10bに対してガイド機構により光軸方向に進退自在に支持および案内されている。14は送りねじ。15は送りねじ14とその後端部にて結合される操作ダイアル。16は送りねじ14と結合された操作ダイアル15を定位置で回転可能なように支持する軸受けであり、ベース部材10の10a部にビスにて固定される。17は送りねじ14と噛み合うラックである。18はラック17を送りねじ14に押し付けて噛み合いを維持するためのラックバネであり、ラック17とラックバネ18はビス等で一体化され、ラックバネ18はフォーカス支持部材13にビスにて固定される。以上の構成により、操作ダイアル15を回転させることでフォーカス支持部材13を光軸方向に進退させることが出来る。左右一対の対物光学系を成す、前玉鏡筒1L、1Rがその先端部に組み込まれた振れ補正ユニット2は、4本の対物固定ビス19によりフォーカス支持部材13に一体的に固定される。すなわち、フォーカス支持部材13の光軸方向の進退に伴って、左右一対の対物光学系が全体として移動することで、観察する被写体距離に応じてピント合わせを行うことが可能となる。
【0022】
20は下カバー、21は上カバーである。下カバー20と上カバー21は4本のカバー固定ビス22(1本は図示せず)により一体化され、上述の構成を内包して保護する。下カバー20には振れ補正ユニット2を駆動制御するための電気基板4に電力を供給するための電池を収納する電池室20aを有する。また、ベース部材10は、3箇所の10c部がそれぞれ緩衝ゴム23(1箇所は図示せず)を介して下カバー20の所定位置にビスにて固定される。上カバー21は左右一対の保護ガラスL1L、L1Rを保持している。24は保護ゴムであり、下カバー20と上カバー21の先端部の保護ガラスL1L、L1Rの外側を覆うことで、落下等による内部への衝撃を緩和する。25は振れ補正機能の動作の作動と不作動を切り替える操作スイッチ、26はその動作状態を表示するLEDである。尚、電力を供給されることで動作する電気基板4、操作スイッチ25、LED26等への電気的接続手段については、上述の説明では図示を省略している。以上が双眼鏡の全体構成の説明である。
【0023】
次に、振れ補正ユニット2の構成について図を参照しながら詳細に説明する。まず、説明する上での方向を定義する。左右の対物光学系の光軸OL、ORに垂直な平面に対して左右の光軸を結ぶ向きを横方向、横方向に直交する向きを縦方向とし、接眼光学系側を後ろ側、その反対を前側とする。また、図4の双眼鏡の断面図で操作ダイアル15のある側を上とし、図示している姿勢(左右の対物光学系の光軸OL、ORを含む平面が地面に対して平行の状態)を双眼鏡の使用上の正姿勢と称する。図1と図2は振れ補正ユニット2の分解斜視図であり、図1は後ろ側から、図2は前側から見た図である。同一部材には同一の符号が付けられている。以下、図1と図2を主に参照しながら説明する。
【0024】
31はベース鏡筒であり、左右一対の固定レンズL3L、L3Rを保持している。32は補正レンズ保持部材であるところの可動鏡筒であり、左右一対の可動レンズL4L、L4Rを保持している。32Jは可動鏡筒32の連結部分であり、連結部分32Jの曲げおよび捩れ変形を生じる可撓性については後述する。33L、33Rは左右一対の振れ補正用レンズ群のそれぞれの周囲に配置された、左右それぞれ3個の支持ボールである。材質はステンレスのSUS440Cやセラミック等で硬くて形状精度や表面仕上げの良好なボールベアリング用などは適している。SUS440Cは強磁性体であり磁石に強く引き付けられるが、セラミックは非磁性体で磁石に吸着されないので周囲の磁気により作動上の性能や組み立て性に影響を及ぼす場合には好適である。31aL、31aRはベース鏡筒31に設けられた左右それぞれ3個の支持ボール33L、33Rのそれぞれが底面の平面部に当接しながら転動可能な領域を制限する規制部である支持ボール収納部である。32aL、32aRは可動鏡筒32に設けられた、左右それぞれ3個の支持ボール33L、33Rが当接する支持ボール当接面である。
【0025】
34は縦方向ガイドであり、それぞれ2個の35b、35cは縦方向ガイドボールである。可動鏡筒32の32bはそれぞれの縦方向ガイドボール35bの為のガイド溝、32cはそれぞれの縦方向ガイドボール35cの為のガイド溝である。縦方向ガイド34の34bはそれぞれの縦方向ガイドボール35bの為のガイド溝、34cはそれぞれの縦方向ガイドボール35cの為のガイド溝である。それぞれのガイド溝の形状については別の図を参照しながら後述する。以上、可動鏡筒32と縦方向ガイド34とは縦方向ガイドボール35b、35cをそれぞれのガイド溝32b、34bおよび32c、34cで挟み込むことで縦方向のみに相対移動可能となっている。36は横方向ガイドであり、2個の37dと37eは横方向ガイドボールである。縦方向ガイド34の34dはそれぞれの横方向ガイドボール37dの為のガイド溝、34eは横方向ガイドボール37eの為のガイド溝である。横方向ガイド36の36dは、それぞれの横方向ガイドボール37dの為のガイド溝、36eは横方向ガイドボール37eの為のガイド溝である。それぞれのガイド溝の形状については、縦方向と同様に別の図を参照しながら後述する。
【0026】
以上、縦方向ガイド34と横方向ガイド36とは横方向ガイドボール37d、37eをそれぞれのガイド溝34d、36dおよび34e、36eで挟み込むことで横方向のみに相対移動可能となっている。38は可動鏡筒32の位置決めの基準となる後部ベースである。後部ベース38は上部に設けた後ろ側に向いている面38aと前側に向いている38bで、ベース鏡筒31に設けられた対応する面を光軸方向に挟み込み、2本の固定ビス39でベース鏡筒31に所定の位置で一体化される。36f、36gは横方向ガイド36の後ろ面に設けられた位置決めピンである。後部ベース38には位置決めピン36f、36gに対応してそれぞれ、位置決め穴38f、位置決め長穴38gが若干の隙間を有する嵌合設定で設けられ、横方向ガイド36は後部ベース38に対して光軸方向へは移動自在に位置決めされる。40は左右一対に配置された光軸方向付勢バネである。光軸方向付勢バネ40は圧縮コイルバネであり、それぞれ横方向ガイド36に設けられた円形の凹部36hと後部ベース38に設けられた円形の凹部38hにそれぞれの両端の外径が規制されて収納される。光軸方向付勢バネ40は固定の後部ベース38に対して横方向ガイド36を、位置決めピン36f、36gと位置決め穴38f、位置決め長穴38gとをガイドにして光軸方向の前側に付勢している。
【0027】
41は回転方向付勢バネである。回転方向付勢バネ41は圧縮コイルバネであり、横方向ガイド36に設けられた円筒の突起を有する座面36iと後部ベース38に設けられた円筒の突起を有する座面38iとの間でそれぞれの円筒の突起に両端の内径が規制されて組み込まれる。回転方向付勢バネ41は固定の後部ベース38に対して横方向ガイド36を下方向に付勢している。
【0028】
ここで、横方向ガイド36と後部ベース38との組み込み時の関係について、図7の(a)と(b)を参照して更に説明する。図7の(a)と(b)はそれぞれ、横方向ガイド36と後部ベース38の組込み状態での斜視図であり、図7(a)は前側から、図7(b)は後ろ側から見た図である。回転方向付勢バネ41以外は不図示であり、光軸方向付勢バネ40は内部に組み込まれている。同一部材、同一部分には同一の符号が付けられている。図7(a)に示すように、横方向ガイド36と後部ベース38との所定の組み込み状態では回転方向付勢バネ41の取り付け座面である座面36iと座面38iはほぼ上下方向で対向しており、回転方向付勢バネ41は横方向ガイド36を下方向に付勢している。また、図7(b)に示すように、横方向ガイド36を光軸方向にガイドしている位置決めピン36f、36gは回転方向付勢バネ41の付勢力により矢印A−A方向に位置決め穴38f、位置決め長穴38gに押し付けられて回転方向の姿勢が規制されている。
【0029】
再び、図1と図2に戻って説明を続ける。42mは振れ補正ユニット2に搭載されている後述する電気的素子と図5にて説明した電気基板4とを電気的に接続するためのフレキシブル基板の一部である。42cは電気基板4上に実装されたコネクタ(不図示)への差込み部である。43はフレキシブル基板42m部を固定するためのフレキ押え板である。44は左右一対の可動鏡筒付勢バネである。可動鏡筒付勢バネ44は引っ張りコイルバネであり、両端のフックはそれぞれ可動鏡筒32の引っ掛け部32dとベース鏡筒31の引っ掛け部31dとにそれぞれ引っ掛けられ、ベース鏡筒31に対して可動鏡筒32を前方向に引っ張っている。可動鏡筒付勢バネ44の具体的な作用については後述する。
【0030】
続けて、左右一対の可動レンズL4L、L4Rを保持している可動鏡筒32を光軸と垂直な平面内で任意の方向に移動可能にする為の駆動手段と位置検出手段について説明する。45Pは上下方向の駆動力を発生させるための左右一対の駆動コイル、45Yは左右方向の駆動力を発生させるための左右一対の駆動コイルである。それぞれの駆動コイル45P、45Yは可動鏡筒32に接着等で一体化されている。42L、42Rはフレキシブル基板の一部であり、説明の都合で切れた状態で図示しているがフレキシブル基板42m部とは一体である。フレキシブル基板42L部には左側の駆動コイル45P、45Yが、フレキシブル基板42R部には右側の駆動コイル45P、45Yが接続されており、フレキシブル基板42mの差込み部42cを介して電気基板4から電力が供給される。46は駆動磁石であり、47は駆動磁石46の発生する磁束を閉じて磁気回路を形成するための駆動ヨークである。駆動磁石46は双眼鏡の断面図である図4に示すように、駆動コイル45Pの駆動力の発生方向である上下方向に磁極であるNSが上下で逆になるように2極に着磁されている。
【0031】
駆動ヨーク47は駆動磁石46の背面ヨークである47a部と駆動コイル45Pにて駆動力を得る為の空気層を形成する対向ヨークである47b部より成る。駆動コイル45Yに対しては、図1および図2で示すように駆動磁石46および駆動ヨーク47は横向きにベース鏡筒31に配置され、それぞれの駆動ヨーク47はそれぞれ固定ビス48にてベース鏡筒31の所定の位置に固定される。以上により、上下および左右方向の駆動手段を構成している。
【0032】
次に位置検出手段について説明する。49Pは上下方向の位置情報を供給するセンサ磁石セット、49Yは左右方向の位置情報を供給するセンサ磁石セットである。それぞれの裏面にはセンサバックヨーク50P、50Yが配置されており、可動鏡筒32を前側と後側から磁気的吸着力で挟み込むことで、可動鏡筒32に固定されている。上下方向の位置情報を供給するセンサ磁石セット49Pは2個の磁石よりなり、それぞれは横方向に幅の広い直方体の同じ形状の磁石であり、光軸方向に着磁された磁束の方向が逆になるように配置されている。
【0033】
図2においては、表面の磁極は上の磁石がN極、下の磁石がS極になっている。また、それぞれの磁石の裏面はセンサバックヨーク50Pにより磁路が閉じられている。センサ磁石セット50Yも同じ構成のものが90度の角度で配置されており左右方向の位置情報を供給する。51Pは可動鏡筒32の上下方向の位置を検出するホール素子、51Yは左右方向の位置を検出するホール素子である。42Hはフレキシブル基板の一部であり、説明の都合で切れた状態で図示しているがフレキシブル基板42m部とは一体である。ホール素子51P、51Yはフレキシブル基板42H部に実装されている。52はホール素子位置決め板金であり、フレキシブル基板42H部を押さえ、開口部52P、52Yでホール素子51P、51Yを位置決めした状態で4本の固定ビス53によりベース鏡筒31に固定される。以上により、上下および左右方向の位置検出手段を構成している。
【0034】
更に、54は左右一対の自重支持バネである。自重支持バネ54は引張りコイルバネであり、それぞれの両端は、縦方向ガイド34のフック34fと可動鏡筒32のフック32fに引っ掛けられている。縦方向ガイド34は横方向ガイド36に対して横方向のみに相対移動可能であり、横方向ガイド36は後部ベース38に対して光軸方向の前後方向にのみ相対移動可能である。つまり、自重支持バネ54によって、縦方向ガイド34に対して可動鏡筒32を上方向に引き上げることが出来る。可動鏡筒32には左右一対の可動レンズL4L、L4R、駆動コイル45P、45Y、センサ磁石セット49P、49Y、センサバックヨーク50P、50Yなどが一体化されている。これらの可動する部分の重さに対して自重支持バネ54を双眼鏡の使用上の正姿勢において、上下方向の可動中心位置近傍に釣り合うように設定することで、通常使用状態において、駆動コイル45Pに供給する電力を大幅に削減することが可能となる。
【0035】
以上が可動鏡筒32を光軸と垂直な平面内で任意の方向に移動可能とする構成であるが、振れ補正機能の非作動時には可動鏡筒32は所定の位置に機械的に保持される。60は機械的なロック機構であるメカロックユニットである。メカロックユニット60の構成の詳細と作用については後述する。
【0036】
以下に続けて、支持ボール、縦および横方向ガイドボールとそれぞれのボールと関連する部品との関係について詳細に説明する。図8は支持ボールに対する付勢力との関係を説明する図である。左右一対の光軸方向付勢バネ40は後部ベース38と横方向ガイド36の間で圧縮されて、光軸方向の付勢力を発生させている。その付勢力は横方向ガイド36から横方向ガイドボール37d、37eを介して縦方向ガイド34に作用し、更に、縦方向ガイドボール35b、35cに伝えられる。つまり、可動鏡筒32は直接的には縦方向ガイドボール35b、35cにより光軸方向に付勢されている。具体的には、その合力は左右一対の光軸方向付勢バネ40の中心を結ぶ線Aと2個の縦方向ガイドボール35bを結ぶ線BLおよび2個の縦方向ガイドボール35cを結ぶ線BRとの交点であるCLおよびCRの位置に作用している。
【0037】
更に、可動鏡筒32は左右一対の可動鏡筒付勢バネ44により光軸の前方向に引っ張られている。その合力は、交点CL、CRとそれぞれの可動鏡筒付勢バネ44の中心を結ぶ線上のDLおよびDRの位置に作用する。DLおよびDRの位置は、左右それぞれ3個の支持ボール33L、33Rがそれぞれ作る三角形の領域の内部であり、三角形の重心位置付近に設定するとそれぞれの支持ボールに作用する力をより均等にすることが出来る。ただし、可動鏡筒付勢バネ44は左右別の付勢力の作用位置をより適正化する為に付加したものであり、支持ボール33L、33R、縦方向ガイドボール35b、35cおよび光軸方向付勢バネ40の配置の適正化により廃止することも可能である。振れ補正ユニット2の構成について上述したように、可動鏡筒32は左右一対の可動レンズL4L、L4Rを一体的に保持する為に連結部分32Jで繋がった形状となっている。可動レンズL4Lに対して周囲に設けた3箇所の支持ボール当接面32aLの光軸方向の高さを必要な機械的精度で揃えることは比較的に容易である。3箇所の支持ボール当接面32aLの高さを全て同じにする必要はなく、相対する固定レンズL3Lとのレンズ間隔と相対倒れが光学性能的に許容出来る範囲内に収まればよい。逆に、3箇所の支持ボール当接面32aLの高さを全て同じにすることは極めて困難である。可動レンズL4Rに対する支持ボール当接面32aRについても同様である。
【0038】
また、ベース鏡筒31についても、固定レンズL3Lに対して周囲に設けた3箇所の支持ボール収納部31aLの底面のボール当接面の光軸方向の高さ、およびに、固定レンズL3Rに対する支持ボール収納部31aRについても同様である。したがって、6個の支持ボールとボールの受け面である32aL、32aR、31aL、31aRは、それぞれの部材を所定の位置に組み込んでも、付勢力を作用させなければ全ての面がボールと当接する状態になることは極めて稀である。仮に、可動鏡筒32が全体として非常に剛性が高く、どこも変形しなければ、付勢力が作用しても6個の支持ボールの内、3個の支持ボールのみが当接することになる。このような状態では、可動鏡筒32の移動する位置により、当接する3個の支持ボールが変化する可能性もあり、光軸方向のガタつきの原因になりかねない。しかし、可動鏡筒32は少なくとも曲げおよび捩れ変形を生じる可撓性を有する連結部分32Jを介して左右一対の可動レンズL4L、L4Rを保持している。連結部分32Jが光軸方向付勢バネ40および可動鏡筒付勢バネ44による付勢力で変形することで、左右それぞれ3個の支持ボール33L、33Rとベース鏡筒31および可動鏡筒32との当接状態が維持可能となる。その結果、固定レンズL3Lと可動レンズL4Lおよび固定レンズL3Rと可動レンズL4Rは、それぞれ3個の支持ボール33L、33Rにてレンズの間隔と相対倒れが、それぞれ所定の状態に保たれる。
【0039】
図9(a)と(b)は可動鏡筒32の連結部分32Jの可撓性を説明する図である。図9(a)は可動鏡筒の連結部分の曲げ変形を説明する斜視図、図9(b)は可動鏡筒の連結部分の捩れ変形を説明する斜視図である。図9(a)において、Aは連結部分32Jが曲げ変形をすることにより生じる、矢印Bおよび矢印C方向の左右一対の可動レンズL4L、L4Rの倒れの仮想中心軸である。逆方向の変形も同様である。図9(b)において、Dは連結部分32Jが捩れ変形をすることにより生じる、矢印Eおよび矢印F方向の左右一対の可動レンズL4L、L4Rの相対捩れの仮想中心軸である。同じく逆方向の変形も同様である。実際には、曲げ変形と捩れ変形が複合して生じることで、左右それぞれ3個の支持ボール33L、33Rとベース鏡筒31および可動鏡筒32との当接状態の維持が可能となる。図10は支持ボール33L、33Rとベース鏡筒31および可動鏡筒32との関係を説明する図である。
【0040】
図10(a)、図10(b)において、支持ボール33L(33R)とベース鏡筒31に設けられた支持ボール収納部31aL(31aR)と可動鏡筒32に設けられた支持ボール当接面32aL(32aR)は付勢力により互いに当接した状態を表している。括弧内の添え字Rを符した右側の構成も以下同様である。図10(a)は支持ボール33Lが支持ボール収納部31aLの転動可能な領域を制限する規制部のほぼ中央に位置し、可動鏡筒32も移動可能な範囲の中央にある状態を示している。図10(b)は図10(a)の位置から可動鏡筒32が矢印Aで示す右方向に移動した状態である。このとき、支持ボール33Lは上下の面に当接しているので摩擦力により矢印Bの方向に滑らずに転がることになる。二点鎖線で示す円は図10(a)で示す支持ボール33Lの位置である。つまり、可動鏡筒32の駆動に伴う抵抗は、滑り摩擦ではなく転がり摩擦である。転がり摩擦の大きさはボールの直径や、ボールおよび受け面の表面粗さや硬度により変化するが、滑り摩擦に対しては少なくとも10分の1以下程度であり、微小量の駆動に対して有利である。
【0041】
次に、光軸に対して垂直な面内での可動鏡筒32の回転の防止について説明する。既に説明したように、可動鏡筒32と縦方向ガイド34とは縦方向ガイドボール35b、35cをそれぞれのガイド溝32b、34bおよび32c、34cで挟み込むことで縦方向のみに相対移動可能となっている。また、縦方向ガイド34と横方向ガイド36とは横方向ガイドボール37d、37eをそれぞれのガイド溝34d、36dおよび34e、36eで挟み込むことで横方向のみに相対移動可能となっている。更に、ベース鏡筒31に一体化される後部ベース38に設けられた位置決め穴38f、位置決め長穴38gと横方向ガイド36に設けられた位置決めピン36f、36gと回転方向付勢バネ41により、横方向ガイド36の回転方向の姿勢が規制されている。以上の構成により、光軸に対して垂直な面内で、可動鏡筒32は回転すること無しに、縦および横の任意の方向に移動が可能となっている。
【0042】
図11はガイドボールとガイド溝の形状と関係を説明する図である。図11(a)は縦方向の相対移動を案内している、縦方向ガイドボール35bとガイド溝32bおよび34bの断面図である。紙面に対して垂直方向が相対移動を案内している方向である。括弧内は横方向の相対移動を案内している、横方向ガイドボール37dとガイド溝34dおよびガイド溝36dである。構成は同一なので縦方向について説明する。ガイド溝32bおよび34bの断面は図示するように、共に角度θの斜面を持ち、案内方向に同一の形状を有している。縦方向ガイドボール35bは、光軸方向付勢バネ40の付勢力によりガイド溝32bおよび34bの角度θの斜面に挟み込まれることで、案内方向とは直角方向のガイド溝32bおよび34bの動きを規制している。図11(b)、図11(c)は縦方向ガイドボール35bとガイド溝32bおよび34bの案内方向の構成を説明する概念図である。32bおよび34bで示している直線は、図11(a)にて説明した、ガイド溝の角度θの斜面と縦方向ガイドボール35bとが接している部分を表している。ガイド溝32bおよび34bは案内方向の両端に縦方向ガイドボール35bの転動可能な領域を制限する規制端部32bw、34bwをそれぞれ有している。図11(b)は縦方向ガイドボール35bがガイド溝32bおよび34bの転動可能な領域を制限する規制端部32bw、34bwのほぼ中央に位置し、可動鏡筒32も移動可能な範囲の中央にある状態を示している。図11(c)は図11(b)の位置から可動鏡筒32が矢印Aで示す方向に移動した状態である。このとき、縦方向ガイドボール35bは上下の角度θの斜面に当接しているので摩擦力により矢印Bの方向に滑らずに転がることになる。二点鎖線で示す円は図11(b)で示す縦方向ガイドボール35bの位置である。
【0043】
以上の縦方向ガイドボール35bとガイド溝32bおよび34bの組み合わせでの案内構成は縦方向に距離を隔てて2組配置してあるので、可動鏡筒32と縦方向ガイド34とは、ガタなく縦方向のみの相対移動が可能となっている。横方向ガイドボール37dとガイド溝34dおよびガイド溝36dも同様の案内構成で横方向に距離を隔てて2組配置してあり、縦方向ガイド34と横方向ガイド36とは、ガタなく横方向のみの相対移動が可能となっている。
【0044】
図12はガイドボールとガイド溝の形状と関係を説明する図である。縦方向の相対移動を支持している、縦方向ガイドボール35cとガイド溝32cおよび34cの断面図である。紙面に対して垂直方向が相対移動している方向である。括弧内は横方向の相対移動を支持している、横方向ガイドボール37eとガイド溝34eおよびガイド溝36eである。ボールを受けている面の形状は同一なので縦方向について説明する。ガイド溝32cの断面は図示するように、大きな角度φの斜面を持ち、ガイド溝34cの底面は平面であり、移動方向に同一の形状を有している。縦方向ガイドボール35cは光軸方向付勢バネ40の付勢力によりガイド溝32cの大きな角度φの斜面と34cの平面に挟み込まれることで、縦方向ガイド34を可動鏡筒32上に支持している。
【0045】
縦方向ガイドボール35cとガイド溝32cおよび34cの移動方向の様子は、図11(b)、図11(c)に示す、縦方向ガイドボール35bとガイド溝32bおよび34bの案内方向とほぼ同様なので説明図は省略する。可動鏡筒32と縦方向ガイド34との縦方向の相対移動は、縦方向ガイドボール35bとガイド溝32bおよび34bの2組の組み合わせでガタなく案内されている。したがって、縦方向ガイドボール35cに対してガイド溝34cの底面を平面にすることで過剰な規制を避けている。また、ガイド溝32cの大きな角度φの斜面は縦方向ガイドボール35cの側壁への不要な接触を避ける為に設けている。縦方向ガイドボール35cとガイド溝32cおよび34cによる支持構成は縦方向ガイドボール35bとガイド溝32bおよび34bの組み合わせでの案内構成と同様に、縦方向に距離を隔てて2組配置してある。上述したガイドボールとガイド溝による可動鏡筒32の回転を防止する構成はすべてガイドボールの転がりにより案内されており、微小量の駆動に対して有利である。
【0046】
以上の説明において、それぞれのボールとボールの転がり範囲を規制する部分との位置関係は、ボールと移動する部材が共に移動可能な範囲の中央にある状態を初期状態として説明した。このとき、ボールの転がりを規制する部分は移動する部材が移動可能な全域を移動してもボールが規制する部分に当たらない大きさを有するように設定している。しかし、実際の組み込み状態では、初期状態でいずれかのボールの初期位置がずれている場合が考えられる。この場合には、移動する部材を移動可能な全域で、一旦動かせば、その過程でボールが規制する部分に当たって転がれなくなると滑りが生じ、移動する部材を初期の位置に戻せば、図10(a)や図11(b)の状態にすることが可能である。ボールとボールが当接している面に適度な粘度を有する潤滑油を塗布しておけば、転がれなくなった状態での滑りが容易になると同時に、光軸方向への衝撃等により当接面への付勢力が一瞬失われても油の粘着力によりボールの位置ずれを防止する効果がある。
【0047】
次に、機械的なロック機構の構成の詳細と作用について、図13と図14(a)、(b)にて説明する。図13はメカロックユニット60と可動鏡筒32の分解斜視図である。図14は振れ補正ユニット2の左右の対称面での断面図であり、図14(a)はロック状態、図14(b)はロック解除状態の図である。
【0048】
61は光軸方向へ移動可能に支持されたロック部材であるところのロックスライダー。62は光軸方向へ移動可能に配置された駆動部材であるところのプランジャ。63はラッチソレノイドであり、周知のステータヨークと永久磁石およびコイルにより構成されている。プランジャ62とラッチソレノイド63の組み合わせがロック駆動手段である。64は揺動連結部材であるところのロックレバー。65はロックレバー64の揺動の中心を成す回転ピン。66はカウンターウエイト。67はカウンターウエイト66をロックスライダー61と一体化するための固定ビス。カウンターウエイト66と固定ビス67にて調整ウエイトを成している。68はロック解除バネであり左右対称位置に2個配置されている。ロック解除バネ68は圧縮コイルバネであり、ロックスライダー61を矢印A方向に常に付勢している。69はメカロックベース。ラッチソレノイド63はメカロックベース69に70のビス2本にて固定されている。更に、メカロックベース69は71のビス2本でベース鏡筒31に位置決めの上で固定されている。
【0049】
ロックスライダー61の前後端部は円筒部61aと61bより成り、円筒部61aはメカロックベース69の穴部69aに、円筒部61bはベース鏡筒31の穴部31lにそれぞれ嵌合しており、光軸方向に移動可能となっている。プランジャ62はラッチソレノイド63の内部に設けられた円筒状の収納部で光軸方向に移動可能となっており、ラッチソレノイド63のステータヨークと永久磁石が構成する磁気回路の一部を成し、材質は透磁率の高い鉄などである。図14(a)では上述の磁気回路が閉じている状態であり、図14(b)ではプランジャ62はロック解除バネ68の力で引き出されて、ラッチソレノイド63の内部で先端部62aに磁気回路の空隙が生じて引き込み力が小さい状態で保持されている。回転ピン65はロックレバー64の穴部64aを貫通し、その両端部がベース鏡筒31の所定の位置に固定されており、ロックレバー64を揺動可能に支持している。プランジャ62の端部には溝部62bを有し、ロックレバー64の端部の円筒部64bと若干の隙間を持って係合している。ロックレバー64の他端部64cはその先端R部がロックスライダー61の円筒部61bの上部に設けた溝部61cに嵌り込んでおりロック解除バネ68の付勢力により端面に当接している。更に、ロックスライダー61の円筒部61bの内部には穴部61lが設けられ、可動鏡筒32には左右の対称面位置に円筒凸部32lが設けられている。
【0050】
図14(a)はプランジャ62とラッチソレノイド63で磁気回路が閉じた自己保持の状態であり、ロックスライダー61の穴部61lは可動鏡筒32の円筒凸部32lと係合してロック状態である。プランジャ62とラッチソレノイド63の自己保持力は大きいのでロック解除バネ68の力ではプランジャ62をラッチソレノイド63から引き出すことは出来ずロック状態はコイルへの通電なしで維持される。図14(a)の状態で、ラッチソレノイド63のコイルに、プランジャ62を自己保持状態にしている永久磁石が発生する磁気回路内の磁束をキャンセルする方向の通電をすると、プランジャ62は自己保持力を失い光軸方向に移動可能な状態になる。このとき、ロックスライダー61はロック解除バネ68の力で光軸の前方向へ移動し、ロックスライダー61の穴部61lと可動鏡筒32の円筒凸部32lの係合状態は解除されロック解除状態となる。同時に、ロックスライダー61はロックレバー64を介してプランジャ62をロックスライダー61の動きとは逆方向の光軸の後ろ方向へ移動させ、プランジャ62はベース鏡筒31の所定の壁に当接した図14(b)のロック解除状態へ移行する。この状態でラッチソレノイド63のコイルへの通電を停止しても、ロック解除バネ68がロックレバー64を介してプランジャ62に及ぼす力がラッチソレノイド63の収納部へプランジャ62が引き込まれる力に勝っているのでロック解除状態が維持される。
【0051】
図14(b)の状態で、ラッチソレノイド63のコイルに、磁気回路内に永久磁石が発生する磁束と同方向の磁束を発生する通電をし、プランジャ62に働く引き込み力がロック解除バネ68の力に勝ると図14(a)のロック状態へ移行する。コイルへの通電が停止されてもロック状態は維持される。尚、ロック状態への移行時には、ラッチソレノイド63のコイルへの通電に先立って、ロックスライダー61の穴部61lと可動鏡筒32の円筒凸部32lとが係合可能なように可動鏡筒32は所定の位置へ移動後にその位置が維持される。
【0052】
ここで、外部から衝撃力が加えられた場合のロック機構の挙動について説明する。まず、図14(b)のロック解除状態の無通電時に光軸の後ろから前方向(図の右から左の方向)に衝撃による加速度が加えられた場合について説明する。既に説明したようにプランジャ62の材質は磁気回路の一部を成すが故に透磁率の高い鉄などであり密度が高く大きさに対する質量は多く、加速度に比例して大きな力を受ける。ロック解除バネ68がロックスライダー61に及ぼす力は、無通電状態でプランジャ62がラッチソレノイド63の収納部へ引き込まれる力に勝る程度に設定してあるので、仮にプランジャ62が自己保持の位置に移動してしまうとロック状態に移行してしまう。しかし、ロックスライダー61にはカウンターウエイト66が固定ビス67で一体化されており、受けた加速度に対してプランジャ62と同一方向に力が作用する。プランジャ62とロックスライダー61はロックレバー64によって連結されている。
【0053】
従って、それぞれがロックレバー64の揺動中心に対して及ぼすモーメントおよびロックレバー64そのものに働くモーメントの総和が零ならば、ロックレバー64は回転せずロック解除状態は維持される。ロックスライダー61は色々な機能を果たすために複雑な形状をしているので合成樹脂の成型品は好適である。合成樹脂は鉄に比べると密度がそれほど高くないので、プランジャ62の質量とのバランスを限られたスペースで取るにはカウンターウエイト66は例えば真鋳のような比較的密度の高い金属が好適である。逆に光軸の前から後ろ方向(図の左から右の方向)に衝撃による加速度が加えられた場合では、プランジャ62は力の作用する方向で既にベース鏡筒31に当接しているのでロックレバー64と共に状態を維持する。ロックスライダー61は本実施例ではロック解除バネ68によりロックレバー64に当接する構成である。したがって、一旦、光軸の後ろ方向(ロックする方向)に加速度による力で移動するが、加速度がなくなればロック解除バネ68の力により元の位置に復帰してロック解除状態は維持される。
【0054】
次に図14(a)のロック状態の無通電時に光軸の後ろから前方向(図の右から左の方向)に衝撃による加速度が加えられた場合について説明する。図14(b)の場合と同様にロックレバー64に作用するモーメントの総和が零でロック状態が維持される。逆方向の光軸の前から後ろ方向(図の左から右の方向)の衝撃による加速度の場合では、プランジャ62の自己保持力よりも大きな力が作用する加速度の大きさではプランジャ62とロックレバー64はロック解除方向に一旦、移動する。しかし、このときロックレバー64はロックスライダー61とは当接していないのでロック解除バネ68の力は作用しておらず、加速度がなくなればプランジャ62は自己保持の位置へ引き込まれロック状態は維持される。
【0055】
本実施例では組み立て性を良くする目的で、ロックレバー64はロックスライダー61とは一方向のみ当接する構成としているが、プランジャ62とロックレバー64の溝部62bと円筒部64bとの係合部と同様の構成で係合させてもよい。その構成では、上述した光軸に沿った加速度の片方の方向でロックスライダー61もしくはプランジャ62に生じる単独の動きは、ロックレバー64を介して係合している他方の部材に働く力でバランスが取られることで妨げられる。加えられる加速度については光軸方向について説明したが、プランジャ62とロックスライダー61は共に光軸方向にのみ移動可能に支持されているので、任意の方向の加速度に対しては光軸方向のベクトル成分が上述の作用を及ぼすことになる。また、加速度が加わる瞬間はロック状態およびロック解除状態のコイルに通電していない場合について説明した。しかし、コイルに通電もしくは逆方向に通電することでロック状態とロック解除状態の双方向へ移行する瞬間に外部から加速度が加わる場合にも、加速度がロックレバー64に及ぼすモーメントは釣合っているので、安定した移行動作が可能となる。更に、地球の重力も加速度そのものなので、加速度の方向、すなわち、装置の姿勢によらず安定したロックおよびロック解除動作が可能である。
【0056】
本実施例は本発明を振れ補正機能を有する双眼鏡に適用した。可動鏡筒32をロックする為の円筒凸部32lを左右の対称面位置に設けて、ロック機構を左右一対の対物光学系の間に配置することで内部空間を有効に活用することが可能である。更に、円筒凸部32lは可動鏡筒32に一体的に固定されている部材を含めて、左右の重心位置近傍に位置しており、ロック状態で装置に上下方向の加速度が作用した場合に作用するモーメントが小さくなる利点がある。仮に、重心位置からかなり離れた位置に円筒凸部を設けると、大きなモーメントが作用して縦方向ガイド34を押し上げて回転し、左右の接眼光学系で観察される像が上下方向にずれてしまう。
【0057】
図15は振れ補正ユニット2に電気基板4がビスにて一体的に固定されている状態での斜視図であり、図16は振れ補正ユニット2と電気基板4の分解斜視図である。電気基板4は振れ補正ユニット2を駆動制御する。電気基板4に実装されている4a、4bは角速度を検出するセンサであり、例えば振動ジャイロである。振動ジャイロ4aは縦方向の像振れの原因となるピッチング方向の角速度を検出し、振動ジャイロ4bは横方向の像振れの原因となるヨーイング方向の角速度を検出する。4cはマイクロコンピュータであり、振動ジャイロ4a、4bのピッチング方向およびヨーイング方向の角速度の情報に基づいて、可動鏡筒32を縦および横方向に移動させて像振れを適切に補正する。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
OL、OR 左右の対物光学系の光軸
EL、ER 左右の接眼光学系の光軸
L1L、L1R 左右一対の保護ガラス
L2L、L2R 左右一対の前玉レンズ
L3L、L3R 左右一対の固定レンズ
L4L、L4R 左右一対の可動レンズ
L5L、L5R 左右一対のポロ2型プリズム
L6L、L6R 左右一対の接眼レンズ群
1L、1R 前玉鏡筒
2 振れ補正ユニット
3 位置決めピン
4 電気基板
5L 接眼鏡筒
6L、6R プリズムホルダ
7L、7R 接眼ホルダ
8L、8R 目当てゴム
9L、9R 接眼ユニット
10 ベース部材
11L、11R 連動板
12L、12R アイドラギア
13 フォーカス支持部材
14 送りねじ
15 操作ダイアル
16 軸受け
17 ラック
18 ラックバネ
19 対物固定ビス
20 下カバー
21 上カバー
22 カバー固定ビス
23 緩衝ゴム
24 保護ゴム
25 操作スイッチ
26 LED
31 ベース鏡筒
31aL、31aR 支持ボール収納部
32 可動鏡筒
32aL、32aR 支持ボール当接面
33L、33R 左右それぞれ3個の支持ボール
34 縦方向ガイド
35b、35c 縦方向ガイドボール
36 横方向ガイド
37d、37e 横方向ガイドボール
38 後部ベース
39 固定ビス
40 光軸方向付勢バネ
41 回転方向付勢バネ
42m、42L、42R、42H フレキシブル基板
43 フレキ押え板
44 可動鏡筒付勢バネ
45P、45Y 駆動コイル
46 駆動磁石
47 駆動ヨーク
48 固定ビス
49P、49Y センサ磁石セット
50P、50Y センサバックヨーク
51P、51Y ホール素子
52 ホール素子位置決め板金
53 固定ビス
54 自重支持バネ
60 メカロックユニット
61 ロックスライダー
62 プランジャ
63 ラッチソレノイド
64 ロックレバー
65 回転ピン
66 カウンターウエイト
67 固定ビス
68 ロック解除バネ
69 メカロックベース
70 ビス
71 ビス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズから構成され、一部のレンズもしくはレンズ群を光軸に垂直な平面内で移動させることで通過光束を偏角させるレンズ光学系において、
光軸に垂直な平面内で移動させる前記一部のレンズもしくはレンズ群を保持する補正レンズ保持部材と、
前記補正レンズ保持部材の光軸に垂直な平面内での移動を軸部と穴部の係合により不可とするように光軸方向へ移動可能に支持されたロック部材と、
光軸方向へ移動可能に配置された駆動部材を含むロック駆動手段と、
前記ロック部材と前記駆動部材の動きを光軸に沿った逆方向に連動させるように揺動中心を有する揺動連結部材と、
前記ロック部材に一体的に固定される調整ウエイトとから成り、
一体化された前記ロック部材と前記調整ウエイトとの合成の質量と、
前記駆動部材および前記揺動連結部材のそれぞれの質量に加えられたある加速度により
前記揺動連結部材にそれぞれ作用するモーメントの総和が小さくなるようにした
ことを特徴とする振れ補正機能を有する光学装置。
【請求項2】
左右一対の対物光学系と左右一対の正立光学系と左右一対の接眼光学系から構成され、
前記左右一対の対物光学系の一部のレンズもしくはレンズ群を光軸に垂直な平面内で移動させることで通過光束を偏角させる双眼鏡の光学系において、
光軸に垂直な平面内で移動させる前記左右一対のレンズもしくはレンズ群を一体的に保持する補正レンズ保持部材と、
前記補正レンズ保持部材の光軸に垂直な平面内での移動を軸部と穴部の係合により不可とするように光軸方向へ移動可能に支持されたロック部材と、
光軸方向へ移動可能に配置された駆動部材を含むロック駆動手段と、
前記ロック部材と前記駆動部材の動きを光軸に沿った逆方向に連動させるように揺動中心を有する揺動連結部材と、
前記ロック部材に一体的に固定される調整ウエイトとから成り、
一体化された前記ロック部材と前記調整ウエイトとの合成の質量と、
前記駆動部材および前記揺動連結部材のそれぞれの質量に加えられたある加速度により
前記揺動連結部材にそれぞれ作用するモーメントの総和が小さくなるようにし、
前記補正レンズ保持部材と前記ロック部材との係合する前記軸部と穴部は前記左右一対のレンズもしくはレンズ群の左右の対称面位置に配置した
ことを特徴とする振れ補正機能を有する双眼鏡。
【請求項3】
前記ロック部材を合成樹脂製とし前記調整ウエイトを密度の高い金属製としたことを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能を有する光学装置。
【請求項4】
前記ロック部材を合成樹脂製とし前記調整ウエイトを密度の高い金属製としたことを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能を有する双眼鏡。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−80083(P2013−80083A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219767(P2011−219767)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】