振れ補正装置および光学機器
【課題】好適な振れ補正を行うことができる振れ補正装置および光学機器を提供すること。
【解決手段】振れ補正装置(1、1b)は、像振れを補正するための光学部材(4a)を有し、振動可能な振動部(4)と、前記振動部(4)の固有振動数(fn)を記憶可能な記憶部(70)と、前記記憶部(70)に記憶された前記固有振動数(fn)を用いて、前記振動部(4)を制御する制御部(10,10a,10b)とを含む。
【解決手段】振れ補正装置(1、1b)は、像振れを補正するための光学部材(4a)を有し、振動可能な振動部(4)と、前記振動部(4)の固有振動数(fn)を記憶可能な記憶部(70)と、前記記憶部(70)に記憶された前記固有振動数(fn)を用いて、前記振動部(4)を制御する制御部(10,10a,10b)とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振れ補正装置および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影時に生じるブレに対して、手持ちなどの撮影状況に応じて防振モードを選択し、レンズ鏡筒に内蔵される光学部品をブレ方向とは反対方向にシフトさせることによりブレを補正する技術が知られている。
【0003】
カメラを三脚に固定して撮影する時には、シャッタなどのカメラ内部の機構の動作が原因で三脚ブレが発生することがある。一般的なブレ補正装置は手持ち撮影時のブレ補正をメインに対応しているが、三脚ブレを効果的に補正することは難しい。
【0004】
このような三脚ブレの問題に対し、三脚固定時には、ブレ補正の駆動信号に対し制御ゲインを変更することにより、代表的な三脚ブレの振動周波数である30Hz付近の周波数におけるブレ補正効果を高める技術が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、ブレ補正のための光学部品の質量や、使用する三脚やカメラボディによっても、実際の撮影時の振動周波数は異なる。従来の技術では、三脚やカメラボディが異なる条件で撮影した場合などのように、使用条件に応じて正確にブレ補正を行うことが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−115253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、好適な振れ補正を行うことができる振れ補正装置および光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る振れ補正装置(1、1b)は、
像振れを補正するための光学部材(4a)を有し、振動可能な振動部(4)と、
前記振動部(4)の固有振動数(fn)を記憶可能な記憶部(70)と、
前記記憶部(70)に記憶された前記固有振動数(fn)を用いて、前記振動部(4)を制御する制御部(10,10a,10b)とを含む。
【0009】
この装置では、予め記憶部(70)に記憶された振動部(4)の固有振動数(fn)に基づき、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0010】
振れ補正装置(1、1b)は、装置が三脚に固定されているか否かを検出可能な検出部(22)を有し、前記制御部(10,10a,10b)は、前記検出部(22)により前記装置(1、1b)が三脚に固定されていることが検出されたとき、前記固有振動数(fn)を用いて、前記振動部(4)を制御するための制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を変更しても良い。
【0011】
この制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を用いて、防振ユニット(4)を制御しても良い。
【0012】
振れ補正装置(1、1b)が三脚に固定されていることが検出されたとき、記憶部(70)に記憶された固有振動数(fn)に基づき制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を変更することで、たとえば三脚撮影に適したブレ補正を行うことができる。
【0013】
前記固有振動数(fn)は、少なくとも前記振動部(4)の可動部(4a、41)の質量と、前記振動部(4)を支持する弾性体(46)の剛性とから決定される前記振動部(4)の固有値であっても良い。
【0014】
前記記憶部(70)には、レンズ鏡筒(1b)に組み合わせられるカメラボディ(1a)の情報毎に、前記固有振動数(fn)に基づく制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)のデータが記憶してあっても良い。
【0015】
振れ補正装置(1、1b)は、像振れを補正するための光学部材(4a)を有し、振動可能な振動部(4)と、前記振れ検出部(22)により検出された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを記憶可能な記憶部(70)と、前記記憶部(70)に記憶された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを用いて、前記第1撮影動作よりも後の第2撮影動作時に前記振動部(4)を制御する制御部(10,10a,10b)とを含んでも良い。
【0016】
振れ補正装置(1、1b)は、第1撮影の後の第2撮影時に、前記第1撮影の時に振れ検出センサ(15,15a)で検出された振れ情報(fpeak)に基づいて、防振ユニット(4)を制御しても良い。たとえば振れ補正装置(1、1b)は、前記第2撮影の前に行われる複数の第1撮影の時に前記振れ検出センサ(15,15a)でそれぞれ検出された複数の振れ情報(fpeak)に基づいて、前記防振ユニット(4)を制御しても良い。あるいは前記第2撮影時に使用される前記振れ情報(fpeak)は、前記第2撮影の直前に行われる第1撮影の時に前記振れ検出センサ(15,15a)で検出された振れ情報(fpeak)に基づき、撮影毎に更新されても良い。
【0017】
前回撮影時に記憶部(70)に記憶された制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を用いて振動部(4)を制御することにより、直近の情報を用いて正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0018】
振れ補正装置(1、1b)は、撮影に必要な機械的動作を行う撮影機構(8)を有し、前記振れ検出部(22)は、前記第1撮影動作に対応した前記撮影機構(8)の機械的動作に起因した前記装置の振れを検出しても良い。
【0019】
ミラーアップなどの撮影に必要な機械的動作に起因した振れ補正装置(1、1b)の振れを検出することにより、機械的動作を考慮し、より正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0020】
前記光学部材(4a)は、光を透過する光学系(4a)、及び、光の像を撮像する撮像部(9)の少なくとも一方であっても良い。
【0021】
本発明に係る光学機器は、上記の振れ補正装置(1、1b)を含む。
【0022】
なお、上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために、実施形態を示す図面の符号に対応つけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るカメラのブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す防振ユニットの断面図である。
【図3】図3は、図1に示すカメラのブレ補正演算のブロック図である。
【図4】図4(A)は図3に示す振れ周波数算出部56の構成を示す概略図、図4(B)は、量子化値ω1を度数分布化した度数分布図である。
【図5】図5は、図3に示す目標駆動位置演算部における演算を示すブロック図である。
【図6】図6は、図1に示すカメラの振れ補正制御を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図1に示すカメラの振れ補正制御を示すフローチャートである。
【図8】図8は、振れ周波数に対する制御ゲインの値を示すグラフである。
【図9】図9は、図3に示す振れ周波数算出部において量子化値ω1がサンプリングされる様子を示すグラフである。
【図10】図10は、周波数特性を示すグラフである。
【図11】図11は、周波数に対するゲインの値と、周波数に対する位相を示すグラフである。
【図12】図12は、制御誤差ΔLの低減効果を示す波形図である。
【図13】図13(A)および図13(B)は、制御ゲインを変更したときの防振特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る振れ補正装置として、カメラシステムを模式的に示したブロック図である。ここでは、カメラシステムの概要を説明する。なお、本実施形態において、振れ補正とは、ピッチング方向(X軸回りの方向)とヨーイング方向(Y軸回りの方向)の補正を行うことをいう。Z軸は光軸であり、Y軸は、Z軸およびカメラボディ1aの底面1cに垂直な方向である。X軸は、Z軸およびY軸に垂直な方向である。X軸、Y軸、およびZ軸は相互に垂直になっている。
【0025】
また、カメラシステムについては、ここでは、デジタル一眼レフカメラを想定しているが、例えば、デジタル一眼レフカメラのような交換式ではなく、コンパクトカメラのような非交換式でもよい。また、銀塩フィルムカメラでもよい。カメラシステムは、振れ補正装置を備えた光学装置の一例として示したものであって、たとえば、望遠鏡、双眼鏡等の適宜の光学機器に振れ補正装置を搭載してもよい。
【0026】
図1に示す制御部10は、マイクロコンピュータ等で構成され、カメラボディ1aとレンズ鏡筒1bから構成されるカメラ1の全制御を受け持つ。制御部10は、主制御部10aと振れ制御部10bに独立したワンチップマイクロコンピュータとして構成され、以下の制御を行う。ただし、これに限定されるものではない。たとえば、主制御部10aをさらにいくつかの制御ブロックとしたり、主制御部10aと振れ制御部10bをひとつのワンチップマイクロコンピュータと構成することも可能である。また、複数のワンチップマイクロコンピュータ等で構成することも可能であるし、それぞれの制御ブロックをシリアル通信等で通信し、同様な動作を行うことも可能である。
【0027】
カメラ1には、ズーミングレンズ3、振れ補正の為のシフトレンズ4a(以下、単に補正レンズと言う)、補正レンズ4aを有する防振ユニット4、およびフォーカシングレンズ5からなる撮影光学系を有し、被写体からの光を撮像素子9に投影する。
【0028】
撮像素子9は、主制御部10aにより制御され、主制御部10aは、得られた画像を処理し、撮影結果等を外部液晶モニタ20に表示させると共に、必要に応じて撮影画像をボディメモリ21に記憶させると共に、ボディメモリ21から記憶された撮影画像の読み出しを行う。
【0029】
主制御部10aは、ズーミングレンズ位置検出部13によりズーミングレンズ3の位置を検出し、又、ズーミングレンズ駆動部12によりズーミングレンズ3を撮影光軸Z方向に駆動させることで、撮影焦点距離を変化させる。
【0030】
主制御部10aは、フォーカシングレンズ位置検出部17によりフォーカシングレンズ5の位置を検出し、また、フォーカシングレンズ駆動部16によりフォーカシングレンズ5を撮影光軸Z方向に駆動させることで、撮像素子9面のピントを調整する。主制御部10aは、撮像素子9から得られた撮像画像から、例えば撮像面のコントラスト量を検出し、コントラストが極値となるフォーカシングレンズ5の位置をピント位置と判断する。
【0031】
主制御部10aは、シャッタ駆動部18を用いてシャッタ8を制御し、レリーズスイッチ23の信号を検出したタイミングでシャッタ8の開閉を行う。
【0032】
主制御部10aは、必要なタイミングで、閃光回路部11を通じてキセノン管等を用いた閃光部6を発光させたフラッシュ撮影を行うことが可能である。
【0033】
主制御部10aには、操作部19が接続され、ユーザの撮影モード等の情報を入力や設定が可能であり、又、設定した撮影モード等の情報を外部液晶モニタ20により、ユーザに表示することが可能である。
【0034】
また、主制御部10aは、振れ制御部10bを介して、三脚モード選定スイッチ22によりカメラ1の状態情報を判定している。
【0035】
図1に示す防振ユニット4の構成を図2に示す。なお、実際にはピッチング方向とヨーイング方向について、それぞれの振れ補正機構が存在するが、本実施形態では説明を簡略化するために、片軸分の制御機構のみを記す。
【0036】
防振ユニット4は補正レンズ4aを有し、補正レンズ4aは可動枠41によって支持されている。可動枠41は固定部40に対してX−Y平面に沿って移動自在に配置してあり、バネ46によって、可動枠41に支持された補正レンズ4aを、光軸Zの中心に保持している。
【0037】
永久磁石44は、固定部40の内側に、ヨーク48aを介してコイル45と対向するように配置されている。コイル45を挟んでヨーク48aの反対側には、ヨーク48bが配置してある。このように、ヨーク48a,48b、永久磁石44、コイル45によってVCMが構成されている。コイル45は図1に示す振れ補正部14と接続している。このようなVCMにおいて、振れ補正部14からの命令によりコイル45に電流を流すことにより生じるローレンツ力を受けて、可動枠41が駆動され、補正レンズ4aがX−Y平面に沿って駆動される。
【0038】
固定部40には、LED配置板40aが内部に突出しており、LED配置板40aの片面にLED42が配置されている。可動枠41のLED42と対向する位置には、スリット47が形成されている。LEDからの光を通過させるスリット47を挟んで対向するように、PSD(Position Sensitive Detector)43が固定部40に配置されている。
【0039】
PSD43は、その表面におけるLED光の受光状態を、図1に示す振れ補正部14に出力し、補正レンズ4aの位置を検出可能になっている。PSD43からの出力信号は、図1に示す振れ補正部14へ入力され、振れ制御部10bによって補正レンズ4aの位置を検出し、その検出信号に応じて、上述したコイル45に対する電流の制御を行う。
【0040】
図1に示す振れ補正部14および振れ検出部15の詳細を図3に示す。図1と図3とに示す角速度センサ15aは対応関係にあり、図1に示すカメラ1に生じた振れの角速度を検出する。
【0041】
角速度センサ15aで検出された信号は、図3に示す振れ検出部15に出力され、LPF(ローパスフィルタ)52により、手振れとは無関係な高周波がカットされる。そして、オフセット電圧調整部53により、角速度センサ15aのオフセット電圧が調整され、A/D変換器54により量子化される。この量子化値をω1とする。
【0042】
その後、量子化値ω1は、振れ角速度基準値算出部55および振れ周波数算出部56に入力され、振れ角速度基準値算出部55では量子化値ω1の振れ角速度基準値ω0が演算される。そして、量子化値ω1から振れ角速度基準値ω0を差し引くことで、振れ角速度ωが演算される。
【0043】
積分部58では、角速度の単位で表されている振れ角速度ωを時間積分して、振れ角度に換算し、補正レンズ目標位置LCを振れ検出部14に出力する。
【0044】
振れ周波数算出部56では、量子化値ω1から振れ周波数fpeakを求め、振れ検出部14に出力する。図4(A)に示すように、振れ周波数算出部56は、周波数度数分布算出部56aと振れ判別部56bとによって構成されている。量子化値ω1は周波数度数分布算出部56aに入力され、周波数度数分布算出部56aによって振れの周波数の度数分布が演算される。演算結果から振れ判別部56bにより振れ周波数fpeakが求められ、振れ判別部56bは振れ周波数fpeakを振れ検出部14に出力する。振れ周波数fpeakについては、後述する。
【0045】
補正レンズ目標位置LCおよび振れ周波数fpeakが演算される一方で、図3に示すPSDからの出力信号は、上述したように振れ検出部14に出力され、位置信号出力部62により補正レンズ現在位置LRが出力される。
【0046】
目標駆動位置演算部60は、制御誤差ΔLと振れ周波数fpeakに応じて目標駆動位置情報Vpidを演算する。目標駆動位置演算部60の詳細については、後に図5で説明する。図3に示す駆動信号演算部61は、目標駆動位置情報Vpidからコイル45の駆動信号を出力し、PSD43からの出力信号に応じて図2に示す補正レンズ4aを駆動させる。
【0047】
積分部58から出力された補正レンズ目標位置LCと、位置信号出力部62から出力された補正レンズ現在位置LRとで、制御誤差ΔLが算出される。具体的には、制御誤差ΔLは、補正レンズ目標位置LCから補正レンズ現在位置LRを差し引くことで算出される。
【0048】
図3に示す目標駆動位置演算部60の詳細を図5に示す。目標駆動位置演算部60は、補正レンズ目標位置LCが入力される微分回路およびFF項演算回路と、制御誤差ΔLが入力される積分回路および微分回路とを有する。
【0049】
制御誤差ΔLは、積分回路と微分回路とに入力され、積分回路の出力値はゲインKiを介して積分項Viが演算される。微分回路の出力値はゲインKdを介して微分項Vdが演算される。また同時に制御誤差ΔLは、ゲインKpを介してVpが演算される。
【0050】
補正レンズ目標位置LCは微分回路とFF(フィードフォワード)項回路とに入力され、微分回路の出力値はゲインKcffおよび可変ゲインf1を介して、Vcffが演算される。FF項回路の出力値はゲインKffおよび可変ゲインf2を介して、Vffが演算される。
【0051】
目標駆動位置演算部60は、一般的なサーボ制御方式のPID制御を用いている。Kp、Ki、Kd、Kff、Kcffは、各制御項の固定値ゲインである。この固定値ゲインは防振ユニット4aの機械仕様に加え、工場出荷時や実際の撮影時の制御サンプリングから決定される。
【0052】
f1、f2は、図3に示す振れ周波数算出部56が出力する振れ周波数fpeakに応じて変化する可変のゲイン(CFF項ゲインf1、FF項ゲインf2)である。振れ周波数に応じた制御ゲインが、後述するように図8に示すテーブルより選択される。
【0053】
目標駆動位置演算部60によるPID制御は、制御誤差ΔLに対して、それに比例する比例項Vp、積分値に比例する積分項Vi、微分値に比例する微分項Vdを加算することにより演算される。さらに、補正レンズ制御誤差ΔLに対して、補正レンズ目標位置LCに比例するFF項Vff、補正レンズ目標位置LCの微分値に比例する速度FF項Vcffを加算し、PID+FF制御量Vpidとして演算する。
【0054】
本実施形態における振れ補正装置の制御について、図6および図7に示すフローチャートに基づき説明する。なお、以下の各ステップ(S100〜S122)は、図1に示す制御部10(主制御部10aおよび/または振れ制御部10b)の各処理を示しており、重複する説明は適宜省略する。
【0055】
図6のステップS100において、図1に示す振れ制御部10bは、レリーズスイッチ30の半押しONに同期した主制御部10aからの振れ補正開始コマンドを認識する。つぎに図6のステップS101において、制御部10は、図1に示す三脚モード選択スイッチ72がONであるか否かを検出する。
【0056】
ステップS101において三脚モードがONであると制御部10が判定した場合にはステップS102に進み、三脚振れ補正制御を開始する。つぎに、ステップS103において、制御部10が、三脚モードに入ってから1回目の撮影であるか否かを検出する。ここでは、三脚モード選定スイッチ72の切換後の最初の撮影を1回目の撮影とする。
【0057】
三脚モードに入ってから1回目の撮影であると判定された場合にはステップS104に進み、制御パラメータを制御部10がレンズメモリ70から読み込む。ステップS104において読み込まれる制御パラメータは、工場出荷時にレンズメモリ70に記憶してある固有振動数(fn)を基にして求められる初期値であり、その振動数の振れ補正効果が最大になるFF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2の値である。固有振動数(fn)は、図2に示す防振ユニット4の可動部(補正レンズ4a+可動枠41)の質量と、バネ46のバネ定数などから決定される防振ユニット4の固有値である。すなわち、図1に示す防振ユニット4を有するレンズ鏡筒1bの機種に固有の値である。ステップS104においては、たとえば振動数f=40Hzの場合において、FF項ゲインf1=0%、CFF項ゲインf2=100%の各値を制御部10が選択する(図8に示す)。
【0058】
なお、図1に示すレンズメモリ70には、カメラボディの機種毎の情報(固有振動数fnに基づく制御ゲインのデータ(a1,b1、a2,b2、f1,f2))が予め記憶されている。したがって、図1に示すレンズ鏡筒1bに連結されるカメラボディの組合せによって、カメラ1に加わる支配的な振動数f(後述する)の値を、ある程度予測することができる。
【0059】
図8に示すように、たとえばカメラボディAをレンズ鏡筒1b(図1参照)に連結した場合には、カメラボディA+レンズ鏡筒1bに予測される支配的な振動数fαに基づき、FF項ゲインf1=a1、CFF項ゲインf2=b1を、レンズメモリ70から制御部10が選択する。同様にして、たとえばカメラボディBをレンズ鏡筒1bに連結した場合には、カメラボディB+レンズ鏡筒1bに予測される支配的な振動数fβに基づき、FF項ゲインf1=a2、CFF項ゲインf2=b2を、レンズメモリ70から制御部10が選択する。
【0060】
なお、実際の撮影においては、レンズ鏡筒1bに連結するカメラボディの個体差や、三脚との組合せにより振動数が異なってくるので、1回目の撮影時において、後述するように実際の支配的な振動数に基づき、図8に示すテーブルからFF項ゲインf1,CFF項ゲインf2を求め、制御部10がボディメモリ21に記憶しておく。
【0061】
図6に示すフローチャートに戻り、引き続き1回目の撮影における制御部10の制御について説明する。ステップS104の次に、ステップS107に進み、ステップS104において選択されたFF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2を用いて振れ補正制御を継続する。
【0062】
次に、ステップS108において、図1に示すレリーズスイッチ23の半押しがOFFにされたか否かを制御部10が検出し、半押しOFFが検出された場合にはステップS109に進み、制御部10が振れ補正制御を停止し、撮影動作を終了する(ステップS110)。
【0063】
ステップS108において、半押しON状態が依然として継続していることを制御部10が検出した場合にはステップS109に進み、図1に示すレリーズスイッチ23が全押しされたか否かが制御部10によって検出される。
【0064】
ステップS111において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出しなかった場合にはステップS107に戻り、引き続き撮影の待機を行う。
【0065】
ステップS111において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出した場合には、ステップS112に進み、ミラーアップやシャッタ開閉などの撮影動作が行われる。このとき、次回の三脚固定時における撮影動作時の振れ補正制御を、さらに正確なものにするために、次に示すステップS113において実際に生じる振れの支配的な振動数が測定される。
【0066】
ステップS113において、ステップS112における撮影動作に基づく実際に生じる振れの支配的な振動数を図3に示す振れ周波数算出部56が演算する。撮影動作に基づき測定される振動数とは、撮影動作時に振れ周波数算出部56が演算した振れ周波数fpeakの値であり、図4(B)に示すように、最も度数の大きい値が検出された振れ周波数である。すなわち、振れ周波数fpeakとは、振れを生じさせる支配的な周波数であると言える。振れ周波数fpeakは、図1に示すボディメモリ21に記憶され、2回目以降の三脚固定撮影時に使用される。
【0067】
図10の周波数分布Cに示すように、たとえば三脚撮影時には、振れを生じさせる支配的な周波数は40Hz近傍にピークが検出される傾向にある。また、乗物乗車時の撮影では、周波数分布Dに示すように振れを生じさせる支配的な周波数は20Hz近傍にピークが検出され、手持ち撮影時には、周波数分布Eに示すように振れを生じさせる支配的な周波数は5Hz近傍にピークが検出される傾向にある。
【0068】
ステップS113において、実際に演算された振れ周波数fpeakに基づき、図8に示すテーブルデータからFF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2が更新される。そして、ステップS101に戻り、同様の制御を繰り返す。また、ステップS113の次に、図1に示すレリーズスイッチ23が半押しであるか否かを制御部10が検出し、半押しであることを制御部10が判定した場合にステップS100に戻ってもよい。
【0069】
次に、2回目以降の撮影時の制御部10の制御について述べる。図6のステップS103に戻り、三脚モードに入ってから1回目の撮影でないと制御部10が判定した場合にはステップS105に進み、ステップS113において演算された前回撮影時の振れ周波数fpeakを、制御部10がボディメモリ21から読み込む。
【0070】
次に、ステップS106に進み、ステップS105において読み込まれた振れ周波数fpeakに基づいて、FF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2を制御部10が選択する。この制御ゲインf1およびf2を用いて、図5に示すように目標駆動位置演算部60によってVpidが演算され、このVpidに基づいて、ステップS107において振れ補正効果を最大にした振れ補正制御が行われる。
【0071】
なお、本実施形態に係る振れ補正装置は、図1に示すボディメモリ21に記憶してある振れ情報(振れ周波数fpeak)をリセットするリセット手段を有する。たとえば、図1に示す三脚モード選定スイッチ22のOFFにより、振れ周波数fpeakがリセットされる。なお、振れ周波数fpeakをリセットするのは、電源スイッチでも良いし、ソフトウェアによりリセットしても良い。
【0072】
次に、図6に示すステップS101にて、三脚モードでないと判断された場合について説明する。
【0073】
その場合には、図7に示すステップS114に進み、三脚モードではない通常の振れ補正制御が開始される。次に、ステップS115において、現時点での振れ周波数fpeakを制御部10が取得して、たとえば図1に示すボディメモリ21に保存する。振れ周波数fpeakは、図4(A)に示すように、振れ量子化値ω1から振れ周波数算出部56を介して演算される。図9に示すように、振れ量子化値ω1は刻々と変化しており、手持ち撮影時においては、その変化も大きいものとなる。この振れ量子化値ω1の値は、たとえば制御部10のクロック周波数ごとにサンプリングされ、刻々と振れ周波数fpeakが求められている。
【0074】
次に、ステップS116において、図8に示すテーブルデータから、ステップS116の直前において制御部10が取得した振れ周波数fpeakに基づいて、FF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2を制御部10が選択する。具体的には、ステップS116の直前の振れ周波数fpeakを基にして、図8に示すテーブルデータから制御ゲインf1=ap,f2=bpを制御部10が選択する。
【0075】
または、ステップS116の直前までに刻々と求められ、図1に示すボディメモリ21に記憶されている振れ周波数fpeakの平均値あるいは移動平均を基にして、図8に示すテーブルデータから制御ゲインf1=ap,f2=bpを制御部10が選択しても良い。
【0076】
上述したように、手振れの場合には、三脚ブレの場合に比較して振れ周波数fpeakが低い傾向にある。したがって、図8に示す制御ゲインテーブルから、手振れに特徴的な低周波におけるf1=ap,f2=bpを制御部10が選択することになる。
【0077】
次に、図7に示すステップS117に進み、ステップS116において選択された制御ゲインf1=ap,f2=bpを用いて振れ補正制御を行う。
【0078】
次に、ステップS118において、図1に示すレリーズスイッチ23の半押しがOFFにされたか否かを制御部10が検出し、半押しOFFが検出された場合にはステップS119に進み、制御部10が振れ補正制御を停止させ、撮影動作を終了させる(ステップS120)。
【0079】
ステップS118において、半押しON状態が依然として継続していることを制御部10が検出した場合にはステップS121に進み、図1に示すレリーズスイッチ23が全押しされたか否かが制御部10によって検出される。
【0080】
ステップS121において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出しなかった場合にはステップS115に戻り、引き続き撮影の待機を行う。
【0081】
ステップS121において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出した場合には、ステップS122に進み、ミラーアップやシャッタ開閉などの撮影動作が行われる。そして、ステップS101に戻り、同様の制御を繰り返す。
【0082】
次に、本実施形態に係る振れ補正装置を用いたカメラシステムの作用効果について述べる。まず、図2に示す補正レンズ4a、可動部枠41およびバネ46を有する振動系の周波数特性について、図11を用いて説明する。
【0083】
防振ユニット4の振動系の周波数特性は、図11のボード線図に示すように、この振動系の固有振動周波数数fn以上の周波数で変位利得が減衰する特性となっている。この周波数fnは、可動枠41を支持するバネ46のバネ定数と、可動枠41および補正レンズ4aで構成される可動部の重量とで決まる。
【0084】
可動部の固有振動周波数を図11に示す手振れ周波数帯域f0(1〜12Hz)よりも高く設定することで、上述した減衰領域(振れ補正できない領域)が振れ補正帯域と重ならないようにすることが望ましい。
【0085】
図11に示すように、固有振動数fn以上の帯域では可動部の変位利得Gが減衰し、その位相も遅れる。このため、目標値入力に対して可動部を駆動させる時に応答遅れが生ずる。また、固有振動数fn以下の手振れ周波数帯域では、変位利得は一定だが、位相は若干遅れ続けている。
【0086】
この位相遅れが大きいほど、PID+FF制御で補正しきれない制御誤差ΔLとして残る。この制御誤差を低減させるためには、図2に示すバネ46のバネ定数を大きくするか、可動部の重量を減らさなければならない。しかし、光学性能によりレンズ重量が決まるので、可動部の重量を容易に変更することは難しい。また、バネ定数を大きくするには、可動部を駆動させる大きな電力やマグネットが必要となり、防振ユニットの大型化や消費電力の増加につながる。
【0087】
図5に示すように、補正レンズ目標位置LCの微分値である速度FF(CFF)項を加算するということは、レンズ目標位置LCの90°位相が進んだ波形にゲインを掛けた値を加算するということである。この速度FF(CFF)項を加算することにより、PID+FF制御で補正しきれなかった制御誤差ΔLを低減することができる。
【0088】
たとえば、図6に示すステップS104,S106あるいは図7に示すステップS116において制御部10が選択したパラメータf1,f2を用いて、FF項f1に速度FF(CFF)項f2を加算して制御誤差ΔLを低減させることにより、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0089】
図12に、制御誤差ΔLの低減効果を示す。横軸は時間t(100msec/div)、縦軸は制御誤差ΔL(2um/div)とする。波形FはPID+FF制御のみの時の制御誤差であり、波形GはPID+FF制御に速度FF項を加算したときの制御誤差である。このように、目標位置の主となる入力周波数と同じ周波数の制御誤差を低減することができる。
【0090】
図13(A)の変位利得グラフは、速度FF項とFF項の制御パラメータを変更したときの防振特性を示している。ここでは、振れ周波数fpeakが3Hz、9Hz、14Hzを、補正する制御帯域の中心とした。
【0091】
図13(A)から、振れ周波数fpeak=3Hzの場合は、3Hzで変位利得が0dBで、fpeak=9Hzの場合や、fpeak=14Hzの場合にも、それぞれの振れ周波数fpeakで変位利得が0dBとなり、補正効果が最大となるように制御パラメータを選定している。
【0092】
また、図13(B)に示す位相グラフから、振れ周波数fpeakが大きいほど、速度FF(CFF)項のパラメータ(f2)を大きくして、位相進み効果を得ている。
【0093】
本実施形態においては、予め図1に示すレンズメモリ70に記憶された防振ユニット4の固有振動数(fn)に基づき、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0094】
さらに、図1に示すカメラ1が三脚に固定されていることが検出されたとき、レンズメモリ70に記憶された固有振動数(fn)に基づき制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を変更することで、たとえば三脚撮影に適したブレ補正を行うことができる。
【0095】
具体的には、図6に示すステップS106では、前回撮影時に図3に示す振れ周波数算出部56が演算した振れ周波数fpeakを基にして制御部10が制御ゲインf1,f2を選択し、ステップS107では、選択した制御ゲインを用いて振れ補正制御が行われる。したがって、実際に撮影を行ったときの直近の振れ周波数fpeakを基にして振れ補正制御が行われるので、より精度の高い三脚振れ補正制御を行うことができる。
【0096】
また、初回の三脚固定撮影時には、レンズメモリ70に記憶された初期値パラメータの制御ゲイン(a,b、a1,b1、a2,b2)を用いて防振ユニット4を制御することにより、初回の三脚固定時の撮影においても、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0097】
さらに、本実施形態によれば、手振れ補正モードでの撮影においては、撮影直前に、図1に示す角速度センサ15aで検出された振れ情報(fpeak)に基づいて、防振ユニット4を制御することにより、正確な手振れ補正制御を行うことができる。
【0098】
なお、図5に示すブロック図の説明において、本実施形態では目標駆動位置演算部60は、補正レンズ目標位置LCから速度を演算してPID制御に用いたが、加速度を演算して用いても良い。すなわち、速度フィードフォワード項を微分した加速度フィードフォワード項VaffをVpidに加算し、補正帯域を上げることで、三脚固定時の振れの周波数帯域を低減することができる。加速度フィードフォワード項Vaffを加算することで、高周波側のゲインが大きくなるために、防振制御の発振余裕が少なくなることが考えられるが、楕円フィルタ等で高周波帯域のゲインを低減させることで、発振余裕を大きくすることができる。
【0099】
さらに、図6に示すステップS105において、もし前回撮影時の露光時間が短く精度の高い振れ周波数fpeakが得られない場合は、前々回の振れ周波数fpeakもしくは初期値のfpeakを取得しても良い。
【0100】
なお、たとえば三脚使用時には上述した実施形態で述べたような三脚ブレ補正制御(図6に示すステップS102〜S113)を行う一方で、手持ち撮影時には公知の手振れ補正手段を用いた手振れ補正制御を行っても良い。すなわち、手持ち撮影時には、振れ周波数fpeakを用いない通常の振れ補正制御を行っても良い。さらに、手持ち撮影の時には、本実施形態における手振れ補正制御(図7に示すステップS114〜S122)と公知の手振れ補正制御との組合せの中で、最も有効に手ブレを補正できるような制御手段を選択できるようにしてもよい。
【0101】
また、図6に示すステップS104において、図1に示すレンズ鏡筒1bに着脱されるレンズフードなどのアクセサリが装着されているか否かを、たとえば制御部10によって検出し、ステップS104における制御をアクセサリの有無に応じて異ならせても良い。アクセサリの有無によって三脚撮影時のブレ周波数が異なる可能性があるためである。
【0102】
なお、図8に示す固有振動数(fn)を演算するために必要な三脚座の位置情報は、レンズ鏡筒またはカメラボディに内蔵されたメモリ70または21に予め記憶されていることが好ましい。
【0103】
なお、上述した本実施形態では、図1に示すレンズ鏡筒に内蔵された防振ユニット4を用いて振れ補正を行うレンズシフト防振の例を示したが、これに限定されず、撮像素子ユニットを光軸に対して交差する方向に移動させることにより防振を行う撮像素子ユニットシフト防振にも適用することができる。
【0104】
本実施形態に係る振れ補正装置を有する光学機器は、たとえばスチルカメラ、ビデオカメラ、レンズ鏡筒、カメラボディ、携帯電話などであっても良い。
【符号の説明】
【0105】
1…カメラ
4…防振ユニット
4a…補正レンズ
10…制御部
10a…主制御部
10b…振れ制御部
14…振れ補正部
15…振れ検出部
15a…角速度センサ
21…ボディメモリ
22…三脚モード選定スイッチ
56…振れ周波数算出部
60…目標駆動位置演算部
70…レンズメモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、振れ補正装置および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影時に生じるブレに対して、手持ちなどの撮影状況に応じて防振モードを選択し、レンズ鏡筒に内蔵される光学部品をブレ方向とは反対方向にシフトさせることによりブレを補正する技術が知られている。
【0003】
カメラを三脚に固定して撮影する時には、シャッタなどのカメラ内部の機構の動作が原因で三脚ブレが発生することがある。一般的なブレ補正装置は手持ち撮影時のブレ補正をメインに対応しているが、三脚ブレを効果的に補正することは難しい。
【0004】
このような三脚ブレの問題に対し、三脚固定時には、ブレ補正の駆動信号に対し制御ゲインを変更することにより、代表的な三脚ブレの振動周波数である30Hz付近の周波数におけるブレ補正効果を高める技術が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、ブレ補正のための光学部品の質量や、使用する三脚やカメラボディによっても、実際の撮影時の振動周波数は異なる。従来の技術では、三脚やカメラボディが異なる条件で撮影した場合などのように、使用条件に応じて正確にブレ補正を行うことが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−115253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、好適な振れ補正を行うことができる振れ補正装置および光学機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る振れ補正装置(1、1b)は、
像振れを補正するための光学部材(4a)を有し、振動可能な振動部(4)と、
前記振動部(4)の固有振動数(fn)を記憶可能な記憶部(70)と、
前記記憶部(70)に記憶された前記固有振動数(fn)を用いて、前記振動部(4)を制御する制御部(10,10a,10b)とを含む。
【0009】
この装置では、予め記憶部(70)に記憶された振動部(4)の固有振動数(fn)に基づき、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0010】
振れ補正装置(1、1b)は、装置が三脚に固定されているか否かを検出可能な検出部(22)を有し、前記制御部(10,10a,10b)は、前記検出部(22)により前記装置(1、1b)が三脚に固定されていることが検出されたとき、前記固有振動数(fn)を用いて、前記振動部(4)を制御するための制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を変更しても良い。
【0011】
この制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を用いて、防振ユニット(4)を制御しても良い。
【0012】
振れ補正装置(1、1b)が三脚に固定されていることが検出されたとき、記憶部(70)に記憶された固有振動数(fn)に基づき制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を変更することで、たとえば三脚撮影に適したブレ補正を行うことができる。
【0013】
前記固有振動数(fn)は、少なくとも前記振動部(4)の可動部(4a、41)の質量と、前記振動部(4)を支持する弾性体(46)の剛性とから決定される前記振動部(4)の固有値であっても良い。
【0014】
前記記憶部(70)には、レンズ鏡筒(1b)に組み合わせられるカメラボディ(1a)の情報毎に、前記固有振動数(fn)に基づく制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)のデータが記憶してあっても良い。
【0015】
振れ補正装置(1、1b)は、像振れを補正するための光学部材(4a)を有し、振動可能な振動部(4)と、前記振れ検出部(22)により検出された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを記憶可能な記憶部(70)と、前記記憶部(70)に記憶された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを用いて、前記第1撮影動作よりも後の第2撮影動作時に前記振動部(4)を制御する制御部(10,10a,10b)とを含んでも良い。
【0016】
振れ補正装置(1、1b)は、第1撮影の後の第2撮影時に、前記第1撮影の時に振れ検出センサ(15,15a)で検出された振れ情報(fpeak)に基づいて、防振ユニット(4)を制御しても良い。たとえば振れ補正装置(1、1b)は、前記第2撮影の前に行われる複数の第1撮影の時に前記振れ検出センサ(15,15a)でそれぞれ検出された複数の振れ情報(fpeak)に基づいて、前記防振ユニット(4)を制御しても良い。あるいは前記第2撮影時に使用される前記振れ情報(fpeak)は、前記第2撮影の直前に行われる第1撮影の時に前記振れ検出センサ(15,15a)で検出された振れ情報(fpeak)に基づき、撮影毎に更新されても良い。
【0017】
前回撮影時に記憶部(70)に記憶された制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を用いて振動部(4)を制御することにより、直近の情報を用いて正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0018】
振れ補正装置(1、1b)は、撮影に必要な機械的動作を行う撮影機構(8)を有し、前記振れ検出部(22)は、前記第1撮影動作に対応した前記撮影機構(8)の機械的動作に起因した前記装置の振れを検出しても良い。
【0019】
ミラーアップなどの撮影に必要な機械的動作に起因した振れ補正装置(1、1b)の振れを検出することにより、機械的動作を考慮し、より正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0020】
前記光学部材(4a)は、光を透過する光学系(4a)、及び、光の像を撮像する撮像部(9)の少なくとも一方であっても良い。
【0021】
本発明に係る光学機器は、上記の振れ補正装置(1、1b)を含む。
【0022】
なお、上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために、実施形態を示す図面の符号に対応つけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るカメラのブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す防振ユニットの断面図である。
【図3】図3は、図1に示すカメラのブレ補正演算のブロック図である。
【図4】図4(A)は図3に示す振れ周波数算出部56の構成を示す概略図、図4(B)は、量子化値ω1を度数分布化した度数分布図である。
【図5】図5は、図3に示す目標駆動位置演算部における演算を示すブロック図である。
【図6】図6は、図1に示すカメラの振れ補正制御を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図1に示すカメラの振れ補正制御を示すフローチャートである。
【図8】図8は、振れ周波数に対する制御ゲインの値を示すグラフである。
【図9】図9は、図3に示す振れ周波数算出部において量子化値ω1がサンプリングされる様子を示すグラフである。
【図10】図10は、周波数特性を示すグラフである。
【図11】図11は、周波数に対するゲインの値と、周波数に対する位相を示すグラフである。
【図12】図12は、制御誤差ΔLの低減効果を示す波形図である。
【図13】図13(A)および図13(B)は、制御ゲインを変更したときの防振特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る振れ補正装置として、カメラシステムを模式的に示したブロック図である。ここでは、カメラシステムの概要を説明する。なお、本実施形態において、振れ補正とは、ピッチング方向(X軸回りの方向)とヨーイング方向(Y軸回りの方向)の補正を行うことをいう。Z軸は光軸であり、Y軸は、Z軸およびカメラボディ1aの底面1cに垂直な方向である。X軸は、Z軸およびY軸に垂直な方向である。X軸、Y軸、およびZ軸は相互に垂直になっている。
【0025】
また、カメラシステムについては、ここでは、デジタル一眼レフカメラを想定しているが、例えば、デジタル一眼レフカメラのような交換式ではなく、コンパクトカメラのような非交換式でもよい。また、銀塩フィルムカメラでもよい。カメラシステムは、振れ補正装置を備えた光学装置の一例として示したものであって、たとえば、望遠鏡、双眼鏡等の適宜の光学機器に振れ補正装置を搭載してもよい。
【0026】
図1に示す制御部10は、マイクロコンピュータ等で構成され、カメラボディ1aとレンズ鏡筒1bから構成されるカメラ1の全制御を受け持つ。制御部10は、主制御部10aと振れ制御部10bに独立したワンチップマイクロコンピュータとして構成され、以下の制御を行う。ただし、これに限定されるものではない。たとえば、主制御部10aをさらにいくつかの制御ブロックとしたり、主制御部10aと振れ制御部10bをひとつのワンチップマイクロコンピュータと構成することも可能である。また、複数のワンチップマイクロコンピュータ等で構成することも可能であるし、それぞれの制御ブロックをシリアル通信等で通信し、同様な動作を行うことも可能である。
【0027】
カメラ1には、ズーミングレンズ3、振れ補正の為のシフトレンズ4a(以下、単に補正レンズと言う)、補正レンズ4aを有する防振ユニット4、およびフォーカシングレンズ5からなる撮影光学系を有し、被写体からの光を撮像素子9に投影する。
【0028】
撮像素子9は、主制御部10aにより制御され、主制御部10aは、得られた画像を処理し、撮影結果等を外部液晶モニタ20に表示させると共に、必要に応じて撮影画像をボディメモリ21に記憶させると共に、ボディメモリ21から記憶された撮影画像の読み出しを行う。
【0029】
主制御部10aは、ズーミングレンズ位置検出部13によりズーミングレンズ3の位置を検出し、又、ズーミングレンズ駆動部12によりズーミングレンズ3を撮影光軸Z方向に駆動させることで、撮影焦点距離を変化させる。
【0030】
主制御部10aは、フォーカシングレンズ位置検出部17によりフォーカシングレンズ5の位置を検出し、また、フォーカシングレンズ駆動部16によりフォーカシングレンズ5を撮影光軸Z方向に駆動させることで、撮像素子9面のピントを調整する。主制御部10aは、撮像素子9から得られた撮像画像から、例えば撮像面のコントラスト量を検出し、コントラストが極値となるフォーカシングレンズ5の位置をピント位置と判断する。
【0031】
主制御部10aは、シャッタ駆動部18を用いてシャッタ8を制御し、レリーズスイッチ23の信号を検出したタイミングでシャッタ8の開閉を行う。
【0032】
主制御部10aは、必要なタイミングで、閃光回路部11を通じてキセノン管等を用いた閃光部6を発光させたフラッシュ撮影を行うことが可能である。
【0033】
主制御部10aには、操作部19が接続され、ユーザの撮影モード等の情報を入力や設定が可能であり、又、設定した撮影モード等の情報を外部液晶モニタ20により、ユーザに表示することが可能である。
【0034】
また、主制御部10aは、振れ制御部10bを介して、三脚モード選定スイッチ22によりカメラ1の状態情報を判定している。
【0035】
図1に示す防振ユニット4の構成を図2に示す。なお、実際にはピッチング方向とヨーイング方向について、それぞれの振れ補正機構が存在するが、本実施形態では説明を簡略化するために、片軸分の制御機構のみを記す。
【0036】
防振ユニット4は補正レンズ4aを有し、補正レンズ4aは可動枠41によって支持されている。可動枠41は固定部40に対してX−Y平面に沿って移動自在に配置してあり、バネ46によって、可動枠41に支持された補正レンズ4aを、光軸Zの中心に保持している。
【0037】
永久磁石44は、固定部40の内側に、ヨーク48aを介してコイル45と対向するように配置されている。コイル45を挟んでヨーク48aの反対側には、ヨーク48bが配置してある。このように、ヨーク48a,48b、永久磁石44、コイル45によってVCMが構成されている。コイル45は図1に示す振れ補正部14と接続している。このようなVCMにおいて、振れ補正部14からの命令によりコイル45に電流を流すことにより生じるローレンツ力を受けて、可動枠41が駆動され、補正レンズ4aがX−Y平面に沿って駆動される。
【0038】
固定部40には、LED配置板40aが内部に突出しており、LED配置板40aの片面にLED42が配置されている。可動枠41のLED42と対向する位置には、スリット47が形成されている。LEDからの光を通過させるスリット47を挟んで対向するように、PSD(Position Sensitive Detector)43が固定部40に配置されている。
【0039】
PSD43は、その表面におけるLED光の受光状態を、図1に示す振れ補正部14に出力し、補正レンズ4aの位置を検出可能になっている。PSD43からの出力信号は、図1に示す振れ補正部14へ入力され、振れ制御部10bによって補正レンズ4aの位置を検出し、その検出信号に応じて、上述したコイル45に対する電流の制御を行う。
【0040】
図1に示す振れ補正部14および振れ検出部15の詳細を図3に示す。図1と図3とに示す角速度センサ15aは対応関係にあり、図1に示すカメラ1に生じた振れの角速度を検出する。
【0041】
角速度センサ15aで検出された信号は、図3に示す振れ検出部15に出力され、LPF(ローパスフィルタ)52により、手振れとは無関係な高周波がカットされる。そして、オフセット電圧調整部53により、角速度センサ15aのオフセット電圧が調整され、A/D変換器54により量子化される。この量子化値をω1とする。
【0042】
その後、量子化値ω1は、振れ角速度基準値算出部55および振れ周波数算出部56に入力され、振れ角速度基準値算出部55では量子化値ω1の振れ角速度基準値ω0が演算される。そして、量子化値ω1から振れ角速度基準値ω0を差し引くことで、振れ角速度ωが演算される。
【0043】
積分部58では、角速度の単位で表されている振れ角速度ωを時間積分して、振れ角度に換算し、補正レンズ目標位置LCを振れ検出部14に出力する。
【0044】
振れ周波数算出部56では、量子化値ω1から振れ周波数fpeakを求め、振れ検出部14に出力する。図4(A)に示すように、振れ周波数算出部56は、周波数度数分布算出部56aと振れ判別部56bとによって構成されている。量子化値ω1は周波数度数分布算出部56aに入力され、周波数度数分布算出部56aによって振れの周波数の度数分布が演算される。演算結果から振れ判別部56bにより振れ周波数fpeakが求められ、振れ判別部56bは振れ周波数fpeakを振れ検出部14に出力する。振れ周波数fpeakについては、後述する。
【0045】
補正レンズ目標位置LCおよび振れ周波数fpeakが演算される一方で、図3に示すPSDからの出力信号は、上述したように振れ検出部14に出力され、位置信号出力部62により補正レンズ現在位置LRが出力される。
【0046】
目標駆動位置演算部60は、制御誤差ΔLと振れ周波数fpeakに応じて目標駆動位置情報Vpidを演算する。目標駆動位置演算部60の詳細については、後に図5で説明する。図3に示す駆動信号演算部61は、目標駆動位置情報Vpidからコイル45の駆動信号を出力し、PSD43からの出力信号に応じて図2に示す補正レンズ4aを駆動させる。
【0047】
積分部58から出力された補正レンズ目標位置LCと、位置信号出力部62から出力された補正レンズ現在位置LRとで、制御誤差ΔLが算出される。具体的には、制御誤差ΔLは、補正レンズ目標位置LCから補正レンズ現在位置LRを差し引くことで算出される。
【0048】
図3に示す目標駆動位置演算部60の詳細を図5に示す。目標駆動位置演算部60は、補正レンズ目標位置LCが入力される微分回路およびFF項演算回路と、制御誤差ΔLが入力される積分回路および微分回路とを有する。
【0049】
制御誤差ΔLは、積分回路と微分回路とに入力され、積分回路の出力値はゲインKiを介して積分項Viが演算される。微分回路の出力値はゲインKdを介して微分項Vdが演算される。また同時に制御誤差ΔLは、ゲインKpを介してVpが演算される。
【0050】
補正レンズ目標位置LCは微分回路とFF(フィードフォワード)項回路とに入力され、微分回路の出力値はゲインKcffおよび可変ゲインf1を介して、Vcffが演算される。FF項回路の出力値はゲインKffおよび可変ゲインf2を介して、Vffが演算される。
【0051】
目標駆動位置演算部60は、一般的なサーボ制御方式のPID制御を用いている。Kp、Ki、Kd、Kff、Kcffは、各制御項の固定値ゲインである。この固定値ゲインは防振ユニット4aの機械仕様に加え、工場出荷時や実際の撮影時の制御サンプリングから決定される。
【0052】
f1、f2は、図3に示す振れ周波数算出部56が出力する振れ周波数fpeakに応じて変化する可変のゲイン(CFF項ゲインf1、FF項ゲインf2)である。振れ周波数に応じた制御ゲインが、後述するように図8に示すテーブルより選択される。
【0053】
目標駆動位置演算部60によるPID制御は、制御誤差ΔLに対して、それに比例する比例項Vp、積分値に比例する積分項Vi、微分値に比例する微分項Vdを加算することにより演算される。さらに、補正レンズ制御誤差ΔLに対して、補正レンズ目標位置LCに比例するFF項Vff、補正レンズ目標位置LCの微分値に比例する速度FF項Vcffを加算し、PID+FF制御量Vpidとして演算する。
【0054】
本実施形態における振れ補正装置の制御について、図6および図7に示すフローチャートに基づき説明する。なお、以下の各ステップ(S100〜S122)は、図1に示す制御部10(主制御部10aおよび/または振れ制御部10b)の各処理を示しており、重複する説明は適宜省略する。
【0055】
図6のステップS100において、図1に示す振れ制御部10bは、レリーズスイッチ30の半押しONに同期した主制御部10aからの振れ補正開始コマンドを認識する。つぎに図6のステップS101において、制御部10は、図1に示す三脚モード選択スイッチ72がONであるか否かを検出する。
【0056】
ステップS101において三脚モードがONであると制御部10が判定した場合にはステップS102に進み、三脚振れ補正制御を開始する。つぎに、ステップS103において、制御部10が、三脚モードに入ってから1回目の撮影であるか否かを検出する。ここでは、三脚モード選定スイッチ72の切換後の最初の撮影を1回目の撮影とする。
【0057】
三脚モードに入ってから1回目の撮影であると判定された場合にはステップS104に進み、制御パラメータを制御部10がレンズメモリ70から読み込む。ステップS104において読み込まれる制御パラメータは、工場出荷時にレンズメモリ70に記憶してある固有振動数(fn)を基にして求められる初期値であり、その振動数の振れ補正効果が最大になるFF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2の値である。固有振動数(fn)は、図2に示す防振ユニット4の可動部(補正レンズ4a+可動枠41)の質量と、バネ46のバネ定数などから決定される防振ユニット4の固有値である。すなわち、図1に示す防振ユニット4を有するレンズ鏡筒1bの機種に固有の値である。ステップS104においては、たとえば振動数f=40Hzの場合において、FF項ゲインf1=0%、CFF項ゲインf2=100%の各値を制御部10が選択する(図8に示す)。
【0058】
なお、図1に示すレンズメモリ70には、カメラボディの機種毎の情報(固有振動数fnに基づく制御ゲインのデータ(a1,b1、a2,b2、f1,f2))が予め記憶されている。したがって、図1に示すレンズ鏡筒1bに連結されるカメラボディの組合せによって、カメラ1に加わる支配的な振動数f(後述する)の値を、ある程度予測することができる。
【0059】
図8に示すように、たとえばカメラボディAをレンズ鏡筒1b(図1参照)に連結した場合には、カメラボディA+レンズ鏡筒1bに予測される支配的な振動数fαに基づき、FF項ゲインf1=a1、CFF項ゲインf2=b1を、レンズメモリ70から制御部10が選択する。同様にして、たとえばカメラボディBをレンズ鏡筒1bに連結した場合には、カメラボディB+レンズ鏡筒1bに予測される支配的な振動数fβに基づき、FF項ゲインf1=a2、CFF項ゲインf2=b2を、レンズメモリ70から制御部10が選択する。
【0060】
なお、実際の撮影においては、レンズ鏡筒1bに連結するカメラボディの個体差や、三脚との組合せにより振動数が異なってくるので、1回目の撮影時において、後述するように実際の支配的な振動数に基づき、図8に示すテーブルからFF項ゲインf1,CFF項ゲインf2を求め、制御部10がボディメモリ21に記憶しておく。
【0061】
図6に示すフローチャートに戻り、引き続き1回目の撮影における制御部10の制御について説明する。ステップS104の次に、ステップS107に進み、ステップS104において選択されたFF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2を用いて振れ補正制御を継続する。
【0062】
次に、ステップS108において、図1に示すレリーズスイッチ23の半押しがOFFにされたか否かを制御部10が検出し、半押しOFFが検出された場合にはステップS109に進み、制御部10が振れ補正制御を停止し、撮影動作を終了する(ステップS110)。
【0063】
ステップS108において、半押しON状態が依然として継続していることを制御部10が検出した場合にはステップS109に進み、図1に示すレリーズスイッチ23が全押しされたか否かが制御部10によって検出される。
【0064】
ステップS111において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出しなかった場合にはステップS107に戻り、引き続き撮影の待機を行う。
【0065】
ステップS111において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出した場合には、ステップS112に進み、ミラーアップやシャッタ開閉などの撮影動作が行われる。このとき、次回の三脚固定時における撮影動作時の振れ補正制御を、さらに正確なものにするために、次に示すステップS113において実際に生じる振れの支配的な振動数が測定される。
【0066】
ステップS113において、ステップS112における撮影動作に基づく実際に生じる振れの支配的な振動数を図3に示す振れ周波数算出部56が演算する。撮影動作に基づき測定される振動数とは、撮影動作時に振れ周波数算出部56が演算した振れ周波数fpeakの値であり、図4(B)に示すように、最も度数の大きい値が検出された振れ周波数である。すなわち、振れ周波数fpeakとは、振れを生じさせる支配的な周波数であると言える。振れ周波数fpeakは、図1に示すボディメモリ21に記憶され、2回目以降の三脚固定撮影時に使用される。
【0067】
図10の周波数分布Cに示すように、たとえば三脚撮影時には、振れを生じさせる支配的な周波数は40Hz近傍にピークが検出される傾向にある。また、乗物乗車時の撮影では、周波数分布Dに示すように振れを生じさせる支配的な周波数は20Hz近傍にピークが検出され、手持ち撮影時には、周波数分布Eに示すように振れを生じさせる支配的な周波数は5Hz近傍にピークが検出される傾向にある。
【0068】
ステップS113において、実際に演算された振れ周波数fpeakに基づき、図8に示すテーブルデータからFF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2が更新される。そして、ステップS101に戻り、同様の制御を繰り返す。また、ステップS113の次に、図1に示すレリーズスイッチ23が半押しであるか否かを制御部10が検出し、半押しであることを制御部10が判定した場合にステップS100に戻ってもよい。
【0069】
次に、2回目以降の撮影時の制御部10の制御について述べる。図6のステップS103に戻り、三脚モードに入ってから1回目の撮影でないと制御部10が判定した場合にはステップS105に進み、ステップS113において演算された前回撮影時の振れ周波数fpeakを、制御部10がボディメモリ21から読み込む。
【0070】
次に、ステップS106に進み、ステップS105において読み込まれた振れ周波数fpeakに基づいて、FF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2を制御部10が選択する。この制御ゲインf1およびf2を用いて、図5に示すように目標駆動位置演算部60によってVpidが演算され、このVpidに基づいて、ステップS107において振れ補正効果を最大にした振れ補正制御が行われる。
【0071】
なお、本実施形態に係る振れ補正装置は、図1に示すボディメモリ21に記憶してある振れ情報(振れ周波数fpeak)をリセットするリセット手段を有する。たとえば、図1に示す三脚モード選定スイッチ22のOFFにより、振れ周波数fpeakがリセットされる。なお、振れ周波数fpeakをリセットするのは、電源スイッチでも良いし、ソフトウェアによりリセットしても良い。
【0072】
次に、図6に示すステップS101にて、三脚モードでないと判断された場合について説明する。
【0073】
その場合には、図7に示すステップS114に進み、三脚モードではない通常の振れ補正制御が開始される。次に、ステップS115において、現時点での振れ周波数fpeakを制御部10が取得して、たとえば図1に示すボディメモリ21に保存する。振れ周波数fpeakは、図4(A)に示すように、振れ量子化値ω1から振れ周波数算出部56を介して演算される。図9に示すように、振れ量子化値ω1は刻々と変化しており、手持ち撮影時においては、その変化も大きいものとなる。この振れ量子化値ω1の値は、たとえば制御部10のクロック周波数ごとにサンプリングされ、刻々と振れ周波数fpeakが求められている。
【0074】
次に、ステップS116において、図8に示すテーブルデータから、ステップS116の直前において制御部10が取得した振れ周波数fpeakに基づいて、FF項ゲインf1およびCFF項ゲインf2を制御部10が選択する。具体的には、ステップS116の直前の振れ周波数fpeakを基にして、図8に示すテーブルデータから制御ゲインf1=ap,f2=bpを制御部10が選択する。
【0075】
または、ステップS116の直前までに刻々と求められ、図1に示すボディメモリ21に記憶されている振れ周波数fpeakの平均値あるいは移動平均を基にして、図8に示すテーブルデータから制御ゲインf1=ap,f2=bpを制御部10が選択しても良い。
【0076】
上述したように、手振れの場合には、三脚ブレの場合に比較して振れ周波数fpeakが低い傾向にある。したがって、図8に示す制御ゲインテーブルから、手振れに特徴的な低周波におけるf1=ap,f2=bpを制御部10が選択することになる。
【0077】
次に、図7に示すステップS117に進み、ステップS116において選択された制御ゲインf1=ap,f2=bpを用いて振れ補正制御を行う。
【0078】
次に、ステップS118において、図1に示すレリーズスイッチ23の半押しがOFFにされたか否かを制御部10が検出し、半押しOFFが検出された場合にはステップS119に進み、制御部10が振れ補正制御を停止させ、撮影動作を終了させる(ステップS120)。
【0079】
ステップS118において、半押しON状態が依然として継続していることを制御部10が検出した場合にはステップS121に進み、図1に示すレリーズスイッチ23が全押しされたか否かが制御部10によって検出される。
【0080】
ステップS121において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出しなかった場合にはステップS115に戻り、引き続き撮影の待機を行う。
【0081】
ステップS121において、レリーズスイッチ23の全押しを制御部10が検出した場合には、ステップS122に進み、ミラーアップやシャッタ開閉などの撮影動作が行われる。そして、ステップS101に戻り、同様の制御を繰り返す。
【0082】
次に、本実施形態に係る振れ補正装置を用いたカメラシステムの作用効果について述べる。まず、図2に示す補正レンズ4a、可動部枠41およびバネ46を有する振動系の周波数特性について、図11を用いて説明する。
【0083】
防振ユニット4の振動系の周波数特性は、図11のボード線図に示すように、この振動系の固有振動周波数数fn以上の周波数で変位利得が減衰する特性となっている。この周波数fnは、可動枠41を支持するバネ46のバネ定数と、可動枠41および補正レンズ4aで構成される可動部の重量とで決まる。
【0084】
可動部の固有振動周波数を図11に示す手振れ周波数帯域f0(1〜12Hz)よりも高く設定することで、上述した減衰領域(振れ補正できない領域)が振れ補正帯域と重ならないようにすることが望ましい。
【0085】
図11に示すように、固有振動数fn以上の帯域では可動部の変位利得Gが減衰し、その位相も遅れる。このため、目標値入力に対して可動部を駆動させる時に応答遅れが生ずる。また、固有振動数fn以下の手振れ周波数帯域では、変位利得は一定だが、位相は若干遅れ続けている。
【0086】
この位相遅れが大きいほど、PID+FF制御で補正しきれない制御誤差ΔLとして残る。この制御誤差を低減させるためには、図2に示すバネ46のバネ定数を大きくするか、可動部の重量を減らさなければならない。しかし、光学性能によりレンズ重量が決まるので、可動部の重量を容易に変更することは難しい。また、バネ定数を大きくするには、可動部を駆動させる大きな電力やマグネットが必要となり、防振ユニットの大型化や消費電力の増加につながる。
【0087】
図5に示すように、補正レンズ目標位置LCの微分値である速度FF(CFF)項を加算するということは、レンズ目標位置LCの90°位相が進んだ波形にゲインを掛けた値を加算するということである。この速度FF(CFF)項を加算することにより、PID+FF制御で補正しきれなかった制御誤差ΔLを低減することができる。
【0088】
たとえば、図6に示すステップS104,S106あるいは図7に示すステップS116において制御部10が選択したパラメータf1,f2を用いて、FF項f1に速度FF(CFF)項f2を加算して制御誤差ΔLを低減させることにより、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0089】
図12に、制御誤差ΔLの低減効果を示す。横軸は時間t(100msec/div)、縦軸は制御誤差ΔL(2um/div)とする。波形FはPID+FF制御のみの時の制御誤差であり、波形GはPID+FF制御に速度FF項を加算したときの制御誤差である。このように、目標位置の主となる入力周波数と同じ周波数の制御誤差を低減することができる。
【0090】
図13(A)の変位利得グラフは、速度FF項とFF項の制御パラメータを変更したときの防振特性を示している。ここでは、振れ周波数fpeakが3Hz、9Hz、14Hzを、補正する制御帯域の中心とした。
【0091】
図13(A)から、振れ周波数fpeak=3Hzの場合は、3Hzで変位利得が0dBで、fpeak=9Hzの場合や、fpeak=14Hzの場合にも、それぞれの振れ周波数fpeakで変位利得が0dBとなり、補正効果が最大となるように制御パラメータを選定している。
【0092】
また、図13(B)に示す位相グラフから、振れ周波数fpeakが大きいほど、速度FF(CFF)項のパラメータ(f2)を大きくして、位相進み効果を得ている。
【0093】
本実施形態においては、予め図1に示すレンズメモリ70に記憶された防振ユニット4の固有振動数(fn)に基づき、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0094】
さらに、図1に示すカメラ1が三脚に固定されていることが検出されたとき、レンズメモリ70に記憶された固有振動数(fn)に基づき制御ゲイン(a1,b1、a2,b2、f1,f2)を変更することで、たとえば三脚撮影に適したブレ補正を行うことができる。
【0095】
具体的には、図6に示すステップS106では、前回撮影時に図3に示す振れ周波数算出部56が演算した振れ周波数fpeakを基にして制御部10が制御ゲインf1,f2を選択し、ステップS107では、選択した制御ゲインを用いて振れ補正制御が行われる。したがって、実際に撮影を行ったときの直近の振れ周波数fpeakを基にして振れ補正制御が行われるので、より精度の高い三脚振れ補正制御を行うことができる。
【0096】
また、初回の三脚固定撮影時には、レンズメモリ70に記憶された初期値パラメータの制御ゲイン(a,b、a1,b1、a2,b2)を用いて防振ユニット4を制御することにより、初回の三脚固定時の撮影においても、正確な振れ補正制御を行うことができる。
【0097】
さらに、本実施形態によれば、手振れ補正モードでの撮影においては、撮影直前に、図1に示す角速度センサ15aで検出された振れ情報(fpeak)に基づいて、防振ユニット4を制御することにより、正確な手振れ補正制御を行うことができる。
【0098】
なお、図5に示すブロック図の説明において、本実施形態では目標駆動位置演算部60は、補正レンズ目標位置LCから速度を演算してPID制御に用いたが、加速度を演算して用いても良い。すなわち、速度フィードフォワード項を微分した加速度フィードフォワード項VaffをVpidに加算し、補正帯域を上げることで、三脚固定時の振れの周波数帯域を低減することができる。加速度フィードフォワード項Vaffを加算することで、高周波側のゲインが大きくなるために、防振制御の発振余裕が少なくなることが考えられるが、楕円フィルタ等で高周波帯域のゲインを低減させることで、発振余裕を大きくすることができる。
【0099】
さらに、図6に示すステップS105において、もし前回撮影時の露光時間が短く精度の高い振れ周波数fpeakが得られない場合は、前々回の振れ周波数fpeakもしくは初期値のfpeakを取得しても良い。
【0100】
なお、たとえば三脚使用時には上述した実施形態で述べたような三脚ブレ補正制御(図6に示すステップS102〜S113)を行う一方で、手持ち撮影時には公知の手振れ補正手段を用いた手振れ補正制御を行っても良い。すなわち、手持ち撮影時には、振れ周波数fpeakを用いない通常の振れ補正制御を行っても良い。さらに、手持ち撮影の時には、本実施形態における手振れ補正制御(図7に示すステップS114〜S122)と公知の手振れ補正制御との組合せの中で、最も有効に手ブレを補正できるような制御手段を選択できるようにしてもよい。
【0101】
また、図6に示すステップS104において、図1に示すレンズ鏡筒1bに着脱されるレンズフードなどのアクセサリが装着されているか否かを、たとえば制御部10によって検出し、ステップS104における制御をアクセサリの有無に応じて異ならせても良い。アクセサリの有無によって三脚撮影時のブレ周波数が異なる可能性があるためである。
【0102】
なお、図8に示す固有振動数(fn)を演算するために必要な三脚座の位置情報は、レンズ鏡筒またはカメラボディに内蔵されたメモリ70または21に予め記憶されていることが好ましい。
【0103】
なお、上述した本実施形態では、図1に示すレンズ鏡筒に内蔵された防振ユニット4を用いて振れ補正を行うレンズシフト防振の例を示したが、これに限定されず、撮像素子ユニットを光軸に対して交差する方向に移動させることにより防振を行う撮像素子ユニットシフト防振にも適用することができる。
【0104】
本実施形態に係る振れ補正装置を有する光学機器は、たとえばスチルカメラ、ビデオカメラ、レンズ鏡筒、カメラボディ、携帯電話などであっても良い。
【符号の説明】
【0105】
1…カメラ
4…防振ユニット
4a…補正レンズ
10…制御部
10a…主制御部
10b…振れ制御部
14…振れ補正部
15…振れ検出部
15a…角速度センサ
21…ボディメモリ
22…三脚モード選定スイッチ
56…振れ周波数算出部
60…目標駆動位置演算部
70…レンズメモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像振れを補正するための光学部材を有し、振動可能な振動部と、
前記振動部の固有振動数を記憶可能な記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記固有振動数を用いて、前記振動部を制御する制御部とを含むことを特徴とする振れ補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載された振れ補正装置であって、
装置が三脚に固定されているか否かを検出可能な検出部を有し、
前記制御部は、前記検出部により前記装置が三脚に固定されていることが検出されたとき、前記固有振動数を用いて、前記振動部を制御するための制御ゲインを変更することを特徴とする振れ補正装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された振れ補正装置であって、
前記固有振動数は、少なくとも前記振動部の可動部の質量と、前記振動部を支持する弾性体の剛性とから決定される前記振動部の固有値であることを特徴とする振れ補正装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された振れ補正装置であって、
前記記憶部には、レンズ鏡筒に組み合わせられるカメラボディの情報毎に、前記固有振動数に基づく制御ゲインのデータが記憶してあることを特徴とする振れ補正装置。
【請求項5】
第1撮影動作に対応した装置の振れを検出可能な振れ検出部と、
像振れを補正するための光学部材を有し、振動可能な振動部と、
前記振れ検出部により検出された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを記憶可能な記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを用いて、前記第1撮影動作よりも後の第2撮影動作時に前記振動部を制御する制御部とを含むことを特徴とする振れ補正装置。
【請求項6】
請求項5に記載された振れ補正装置であって、
撮影に必要な機械的動作を行う撮影機構を有し、
前記振れ検出部は、前記第1撮影動作に対応した前記撮影機構の機械的動作に起因した前記装置の振れを検出することを特徴とする振れ補正装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載された振れ補正装置であって、
前記光学部材は、光を透過する光学系、及び、光の像を撮像する撮像部の少なくとも一方であることを特徴とする振れ補正装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された振れ補正装置を含むことを特徴とする光学機器。
【請求項1】
像振れを補正するための光学部材を有し、振動可能な振動部と、
前記振動部の固有振動数を記憶可能な記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記固有振動数を用いて、前記振動部を制御する制御部とを含むことを特徴とする振れ補正装置。
【請求項2】
請求項1に記載された振れ補正装置であって、
装置が三脚に固定されているか否かを検出可能な検出部を有し、
前記制御部は、前記検出部により前記装置が三脚に固定されていることが検出されたとき、前記固有振動数を用いて、前記振動部を制御するための制御ゲインを変更することを特徴とする振れ補正装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された振れ補正装置であって、
前記固有振動数は、少なくとも前記振動部の可動部の質量と、前記振動部を支持する弾性体の剛性とから決定される前記振動部の固有値であることを特徴とする振れ補正装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された振れ補正装置であって、
前記記憶部には、レンズ鏡筒に組み合わせられるカメラボディの情報毎に、前記固有振動数に基づく制御ゲインのデータが記憶してあることを特徴とする振れ補正装置。
【請求項5】
第1撮影動作に対応した装置の振れを検出可能な振れ検出部と、
像振れを補正するための光学部材を有し、振動可能な振動部と、
前記振れ検出部により検出された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを記憶可能な記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記第1撮影動作に対応した装置の振れを用いて、前記第1撮影動作よりも後の第2撮影動作時に前記振動部を制御する制御部とを含むことを特徴とする振れ補正装置。
【請求項6】
請求項5に記載された振れ補正装置であって、
撮影に必要な機械的動作を行う撮影機構を有し、
前記振れ検出部は、前記第1撮影動作に対応した前記撮影機構の機械的動作に起因した前記装置の振れを検出することを特徴とする振れ補正装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載された振れ補正装置であって、
前記光学部材は、光を透過する光学系、及び、光の像を撮像する撮像部の少なくとも一方であることを特徴とする振れ補正装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載された振れ補正装置を含むことを特徴とする光学機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−249942(P2010−249942A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97315(P2009−97315)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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