説明

振出カートン

【課題】内容物を少量ないし1個ずつ取り出すことができ,しかも次々と連続して取り出されないようにする。
【解決手段】左側面部12に形成された内容物振出口12Aを開閉する開閉部材が,角筒状振出カートン1の底面部に連続して設けられている。開閉部材は振出口12Aの閉状態において底面部と直角に折られて左側面部12に沿うことで振出口12Aを閉じ,かつ振出口12Aの開状態においては振出口を12A通して外に出される内容物Nを受止める回動自在の開閉受止面部21と,上記開閉受止面部21に連続し,上記振出口12の閉状態においては振出カートン1の上面部13および前側面部にそれぞれ沿い,かつ上記振出口12Aの開状態においては上記内容物Nの振出方向に壁面をつくる壁面部22,23を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,チョコレート,キャンデー,ガム,グミ,ビーズ,おはじき,その他の粒状,球状,楕円球状,直方体状,板状等の種々の形状を持つ菓子類,おもちゃないし玩具類等の内容物を収容し,それを小出しできるようにしたカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
直方体状カートンから内容物を振出す振出口を開閉蓋によって開閉自在としたものが知られている(特許文献1)。このような開閉蓋を用いたカートンでは,一般に開閉蓋から外に出た内容物は手で(ないしは容器で)受け止めなければならない。また,開状態の開閉蓋を下(斜め下)に向けつづけると内容物は次々と外にこぼれ出てしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−16422号公報
【発明の開示】
【0004】
この発明は,振出口から外に出された内容物を落下させずにとどめることができるようにすることを目的とする。
【0005】
この発明はまた,内容物を少量ないし1個ずつ取出すことができ,しかも内容物が次々と取出されないようにすることを目的とする。
【0006】
この発明による振出カートンは,対向する上面部および底面部と,上記上面部および底面部の複数の辺をそれぞれ結ぶ複数の側面部を有する角筒状のものであって,少なくとも一の側面部に内容物振出口が形成されており,この内容物振出口を開閉する開閉部材が設けられており,上記開閉部材は,上記角筒状カートンの底面部に連続し,上記内容物振出口の閉状態においては上記内容物振出口を有する側面部がわに折られて上記内容物振出口を有する側面部に沿うことで上記内容物振出口を閉じ,かつ上記内容物振出口の開状態においては上記内容物振出口を通して外に出される内容物を受止める回動自在の開閉受止面部と,上記開閉受止面部に連続し,上記内容物振出口の閉状態においては上記角筒状カートンの面部に沿い,かつ上記内容物振出口の開状態においては上記内容物の振出方向に壁面をつくる壁面部を備えることを特徴とする。
【0007】
内容物振出口を開閉する回動自在の開閉受止面部が,内容物振出口の開状態において内容物振出口を通して外に出される内容物を受止めるので,内容物振出口から外に出た内容物がそのまま落下してしまうことがない。さらに,開閉受止面部には内容物振出口の開状態において上記内容物の振出方向に壁面をつくる壁面部が連続しているから,上記開閉受止部材によって受止められた内容物は上記壁面部によって堰き止められ,壁面部の向きに滑り落ちるまたは転がり落ちることもない。振出口から外に出た内容物を開閉部材(開閉受止面部および壁面部)に簡易に保持することができる。
【0008】
振出口から外に出た内容物は,上述のように開閉部材(開閉受止面部および壁面部)によって簡易に保持される。開閉部材に内容物がとどまるから,内容物自体によって振出口から次に外に出てくる内容物が堰き止められることになる。振出口から次々と内容物が出てこず,内容物を少量ないし1個ずつ外に振出すことができる。開閉部材によって保持されている内容物を取り除けば,次の内容物を振出口から外に振出すことができるようになる。
【0009】
振出口の閉状態においては,開閉部材の開閉受止部材は振出カートンの振出口を有する側面部に沿って振出口を閉じ,上記開閉受止部材に連続する開閉部材の壁面部は振出カートンの面部(たとえば,上面部)に沿う。閉状態の開閉部材が角筒状振出カートンの全体形状を損なうことがない。
【0010】
一実施態様では,上記壁面部は互いに直交する(厳密に90度でなくてもよい)第1,第2の2つの壁面部を備え,第1,第2の壁面部のそれぞれが,上記開閉受止面部とも互いに直交している。互いに直交する3つの面部によって,振出口から外に出た内容物をほぼ確実に受止めかつ堰き止めることができる。
【0011】
開閉面部が互いに直交する開閉受止面部,第1の壁面部および第2の壁面部を備える場合,たとえば,上記内容物振出口の閉状態において,上記第1の壁面部は上記角筒状カートンの上面部に重ね合わされ,第2の壁面部は上記内容物振出口を有する側面部に隣接する側面部のうち上記内容物振出口に近い側面部に重ね合わされる。開閉受止面部は上述のように内容物振出口を有する側面部に沿う。
【0012】
上記内容物振出口の閉状態において上記開閉部材の端部を差込む差込部を振出カートンに形成してもよい。差込部は切込みによって形成することもできるし,上記開閉部材の端部を上下(表裏)から挟む2枚のパネル(面部)によって形成することもできる。いずれにしても,差込部は閉状態において上記開閉部材の端部が重ね合わされる振出カートンの面部に形成されるのは言うまでもない。開閉部材を閉状態に軽くとどめておくことができ,振出口の簡易なリクローズが実現する。
【0013】
上記内容物振出口の閉状態において上記開閉部材の一部を係合する係合片を振出カートンに形成してもよい。開閉部材の一部を係合片に係合することでも,開閉部材を閉状態に軽くとどめ,振出口の簡易なリクローズが実現する。
【0014】
好ましくは,上記振出カートンは1枚の厚紙の型抜き,折曲げ,接着により作られる。厚紙とは,植物性繊維を材料とするもののみならず,合成繊維を材料の一部または全部とするもの,表面(または両面)に合成樹脂膜をコーティングしたもの等,合成樹脂による厚紙のシート等を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施例の振出カートンの展開図である。
【図2】第1実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図3】第1実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図4】第1実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図5】第1実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図6】第1実施例の振出カートンから内容物を振出している様子を示す斜視図である。
【図7】開閉部材を閉状態とした第1実施例の振出カートンを示す斜視図である。
【図8】第2実施例の振出カートンの展開図である。
【図9】第2実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図10】第2実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図11】第2実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図12】第2実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図13】開閉部材を開状態とした第2実施例の振出カートンの斜視図である。
【図14】開閉部材を閉状態とした第2実施例の振出カートンの斜視図である。
【図15】第3実施例の振出カートンの展開図である。
【図16】第3実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図17】第3実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図18】第3実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図19】第3実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図20】第3実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図21】第3実施例の振出カートンから内容物を振出している様子を示す斜視図である。
【図22】開閉部材を閉状態とした第3実施例の振出カートンを示す斜視図である。
【図23】第4実施例の振出カートンの展開図である。
【図24】第4実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図25】第4実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図26】第4実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【図27】第4実施例の振出カートンの組立て手順を示す斜視図である。
【実施例】
【0016】
第1実施例
図1〜図7は第1実施例の振出カートンを示している。振出カートン1(完成状態について図5を参照)は1枚の厚紙によりつくられる。図1は振出カートン1を形成する型紙(ブランク)の展開図であり,振出カートン1の外側となる面を見たものである。ボール紙,プラスチック・シート,これらの複合材を用いてもよい。破線は振出カートン1をつくるときに山折りされる折り線を示している。折曲げを容易にするために破線に沿って折り線加工または折罫加工が施される。
【0017】
図1を参照して,振出カートン1は矩形の上面部(天面部,正面部)13を備える。上面部13の左右に連続して左,右側面部12,14がそれぞれ反対方向に延びている。左側面部12の左がわに糊代11が,右側面部14の右がわに底面部(背面部)15がそれぞれさらに連続している。
【0018】
左側面部12にはその上端(後述する前側面部16に近い位置)付近に矩形の振出口(開口)12Aがあけられており,この振出口12Aを通して,後述するように,振出カートン1内に収容された内容物が外に振出される。上面部13には,上記振出口12Aに近い位置に,後述する開閉部材20を簡易に係止する(振出口12Aをリクローズする)ために用いられる切込み13Aが入れられている。さらに左右側面部12,14の上下のそれぞれに小フラップ12a,12b,14a,14bが連続している。
【0019】
上面部13の上下のそれぞれに連続して,前,後側面部16,17がそれぞれ反対方向に延びている。前側面部16の上端にはフラップ16aが,後側面部17の下端にはフラップ17aが,それぞれさらに連続している。
【0020】
底面部15の右端の上部分に開閉部材20が連続している。開閉部材20は4つの面部21〜24から構成される。開閉部材20および4つの面部21〜24の詳細は後述する。
【0021】
図2〜図5を参照して,振出カートン1の組立て手順を説明する。はじめに左,右側面部12,14を上面部13に対してほぼ直角に折曲げ,糊代11および底面部15をさらに直角に折曲げる。糊代11の外面を底面部15の内面に接着剤等によって接着すると,前後が開口した角筒(直方体)状となる。次に小フラップ12a,12b,14a,14bをほぼ直角に折曲げ,さらに前後側面部16,17も上面部13に対してほぼ直角に折り曲げる。前後側面部16,17につながるフラップ16a,17aをさらにほぼ直角に折曲げ,前後の開口にそれぞれ差込んで底面部15の内面に沿わせることで,前後の開口が前後側面部16,17によって閉じられる。上面部13,底面部15,左右側面部12,14,前後側面部16,17の6面からなる角筒状(直方体状)のカートンの形状ができあがる(図2)。内容物は前側面部16によって前がわ開口を閉じる前にそこからカートン内に入れてもよいし,上面部13の内面にあらかじめ内容物を載置しておき,その内容物を包み込むようにしてカートンを組み立てることによって,内容物の収容とカートンの組立てを同時に行うようにしてもよい(ラップラウンド方式による組立て)。
【0022】
開閉部材20は上述したように4つの面部21〜24を備える。4つの面部21〜24のうち,底面部15に連続するのが面部21である。面部21は角筒状カートンの左側面部12の幅とほぼ同じ幅を持つ概略矩形状である。次に説明するように,面部21によって上述した左側面部12にあけられた振出口12Aが閉じられる。また,後述するように,面部21は開閉部材20を開状態としたときに振出口12Aから外に振出される内容物を受止め,その落下を防止する。以下の説明において,底面部15に連続する開閉部材20中の面部21を,開閉受止面部21と呼ぶ。
【0023】
開閉受止面部21の上記底面部15に連続している辺と反対側の辺に矩形の面部22が連続し,さらに開閉受止面部21の上辺に矩形の面部23が連続している。これらの2つの面部22,23は,後述するように,振出口12Aから外に出される内容物の障壁を構成する。以下の説明において,開閉部材20中の上記面部22,23を,それぞれ側方壁面部22,前方壁面部23と呼ぶ。前方壁面部23は角筒状カートンの前側面部16の幅とほぼ同じ幅を持つ。
【0024】
前方壁面部23の側端(側方壁面部22と同じ方向)に面部24が連続している。この面部24は上述した開閉受止面部21,側方壁面部22および前方壁面部23を互いに直交した状態に保つ糊代として用いられる。以下の説明において,開閉部材20中の上記面部24を糊代面部24と呼ぶ。
【0025】
開閉受止面部21を左側面部12がわにほぼ直角に折曲げて振出口12Aを閉じる(図3)。続いて前方壁面部23を前側面部16がわにほぼ直角に折曲げ,さらに糊代面部24を上面部13がわにほぼ直角に折曲げる(図4)。最後に側方壁面部22を上面部13がわにほぼ直角に折曲げて糊代面部24に重合わせ,糊代面部24の外面と側方壁面部22の内面を接着剤等によって接着する(図5)。開閉部材20は,互いに直交する開閉受止面部21,側方壁面部22および前方壁面部23は持つものとなる。最後に透明フィルム等(図示略)によって全周囲がラッピングされることで振出カートン1が最終的に完成する。
【0026】
図6は振出カートン1から内容物Nを振出している様子を示す斜視図である。
【0027】
上述した透明フィルム等のラッピングを外した後,開閉部材20を振出カートン1の底面部15の向きに回動させる。底面部15と開閉受止面部21との間の境界が折れ曲がり,この境界を軸として開閉部材20は回動する。左側面部12の振出口12Aが現れる。開状態においても,開閉部材20の開閉受止面部21,側方壁面部22および前方壁面部23の直交状態は維持されたままである。
【0028】
振出口12Aから振出カートン1内の内容物Nが振り出される。振出口12Aは振出カートン1の左側面部12の前方にあけられているから,内容物Nを振出すとき,振出カートン1の左側面部12および前側面部16が下に向けられる。すなわち,振出カートン1の左斜め前が下に向けられる。振出カートン1を軽く揺さぶってもよい。
【0029】
内容物Nが振出口12Aから外に出る。図6を参照して,開閉部材20の開閉受止面部21が振出カートン1の底面部15に連続しているので,振出口12Aから外に出された内容物Nは開閉受止面部21によって受止められる。さらに開閉受止面部21の側辺と上辺のそれぞれにおいて,互いに直交し,かつ上記開閉受止面部21とも直交する側方壁面部22および前方壁面部23によって壁(障壁)がつくられているので,外に出た内容物Nが振出カートン1の左がわおよび前がわ(すなわち,内容物Nの振出方向)に転がり落ちる(滑り落ちる)こともない。振出口12Aから外に出た内容物Nの落下が防止され,内容物Nは開閉部材20に簡易に保持される。
【0030】
振出口12Aの大きさ,形状および左側面部12上における形成位置は任意とすることができる。開閉部材20の大きさは振出カートン1の形状(たとえば,左側面部12の幅,振出口12Aの形成位置)に応じたものとなる。振出カートン1内に収容される内容物Nに沿う大きさおよび形状の振出口12Aを形成し,かつ開閉部材20についても内容物N(振出口12A)に応じたものとすることで,内容物Nは1つずつ振出口12Aから振り出され,それを開閉部材20によって受止めることができる。開閉部材20に保持されている内容物N自体によって振出口12Aから次に出てくる内容物Nが堰き止められるので,内容物Nが連続して振出されない(次々とは外に出てしまわない)ようにすることができる。
【0031】
図7を参照して,開閉部材20を逆向きに回動させて元に戻すと,開閉受止面部21は左側面部12に,側方壁面部22は上面部13に,前方壁面部23は前側面部16にそれぞれ重なり合い,開閉受止面部21によって振出口12Aが閉じられる(リクローズ)。側方壁面部22の端部を上面部13に形成されている切込み13A内に差込むことで,この閉状態が簡易に保持される。
【0032】
上述した第1実施例において振出カートン1の上面部13および底面部15は同一の形状および同一の大きさを持つが,異なる大きさを持つ相似形であってもよい。たとえば底面部15を上面部13よりも大きく形成する。この場合,前後側面部16,17が台形になる。さらに,たとえば上面部13とその左右の左右側面部12,14との境界(かどの部分)は丸みを帯びていてもよい。開閉部材20の形状(開閉受止面部21と側方壁面部22ないし前方壁面部23とがなす角度,かどの丸みなど)は振出カートン1の形状に応じて定められる。このことは,後述する他の実施例においても同様である。
【0033】
第2実施例
図8〜図14は第2実施例の振出カートンを示している。図8の展開図を参照して,第2実施例の振出カートン2は,左側面部12にあけられた振出口12Bが矩形ではなく一部が斜めにカットされている点,開閉部材30を簡易に係止する(振出口12Bをリクローズする)ために用いられる切込み31Aが上面部13ではなく開閉部材30(開閉受止面部31)に形成されている点,糊代面部34が前方壁面部33ではなく開閉受止面部31の上端に連続している点が,第1実施例の振出カートン1(図1参照)と異なる。振出口12Bの斜めにカットされている部分(符号12Cで示す)は,後述するように,開閉受止面部31に形成されている切込み31Aの部分を係合するために用いられる。以下,この部分を係合片12Cと呼ぶ。その他の第1実施例の振出カートン1と同一部材(面部)については同一符号を付し,重複説明を省略する。
【0034】
第1実施例と同様にして角筒状カートンを組立てた後,開閉部材30の組立てに進む(図9)。開閉受止面部31を左側面部12がわにほぼ直角に折曲げて振出口12Bを閉じ,さらに側方壁面部32を直角に折曲げて上面部13の外側に沿わせる(図10)。次に糊代面部34を前側面部16がわにほぼ直角に折曲げ(図11),最後に前方壁面部33を糊代面部34の外側に重ね合わせる(図12)。糊代面部34の外面と前方壁面部33の内面を接着剤等によって接着する。開閉部材30を構成する開閉受止面部31,側方壁面部32および前方壁面部33が互いに直交状態となる。最後に透明フィルム等(図示略)によって全周囲がラッピングされることで振出カートン2ができあがる。
【0035】
第1実施例と同様に,上述した透明フィルム等のラッピングを外した後,開閉部材30を振出カートン2の底面部15の向きに回動させる。底面部15と開閉受止面部31との間の境界が折れ曲がり,底面部15と開閉受止面部31との境界を軸として開閉部材30は回動し,左側面部12の振出口12Bが現れる(図13)。この状態で振出カートン2の左側面部12および前側面部16を下に向けると,内容物Nが振出口12Bから外に出る。第1実施例(図6参照)と同様,第2実施例の振出カートン2も,開閉部材30の開閉受止面部31が振出カートン2の底面部15に連続しているので,振出口12Bから外に出された内容物Nは開閉受止面部31に受止められる。さらに開閉受止面部31の側辺と上辺のそれぞれにおいて上記開閉受止面部31と直交する側方壁面部32および前方壁面部33によって壁がつくられるので,振出カートン2の外に出た内容物Nが振出カートン2の左がわおよび前がわ(振出方向)に転がり落ちるないし滑り落ちることもない。
【0036】
図14を参照して,開閉部材30を逆向きに回動させて元に戻すと,開閉受止面部31は左側面部12に,側方壁面部32は上面部13に,前方壁面部33は前側面部16にそれぞれ重なり,開閉受止面部31によって振出口12Bが閉じられる(リクローズ)。開閉受止面部31に入れられた切込み31Aによって形成される差込片(舌片)を振出カートン2の左側面部12に形成された係合片12Cに掛けることで,閉状態が簡易に保持される。
【0037】
第3実施例
図15〜図22は第3実施例の振出カートンを示している。図15は第3実施例の振出カートン3を形成する型紙(ブランク)の展開図であり,振出カートン3の外側となる面を見たものである。第1,第2実施例と同様に,第3実施例の振出カートン3も1枚の厚紙,ボール紙,プラスチック・シート,これらの複合材などによりつくられる。破線は振出カートン3をつくるときに山折りされる折り線を示し,折曲げを容易にするために破線に沿って折り線加工または折罫加工が施される。
【0038】
図15を参照して,振出カートン3は長方形の底面部43を備える。底面部43の両がわの長辺に連続して,左,右側面部44,42がそれぞれ反対側にのびている。右側面部42および左側面部44にはさらにそれぞれ第1上面部41,第2上面部45が連続している。
【0039】
底面部43の上下の短辺に連続して,前,後側面部46,47がそれぞれ反対方向にのびている。前側面部46の上端にはフラップ48が,後側面部47の下端にはフラップ50がそれぞれさらに連続している。前側面部46に連続するフラップ48の右端に振出口規定パネル49が連続している。振出口規定パネル49は開口用切欠きKを持ち,後述するように,この開口用切欠きKによって内容物の振出口が規定される。
【0040】
右側面部42の上下端に小フラップ42a,42bが,左側面部44の上下端に小フラップ44a,44bがそれぞれ連続している。また,第2上面部45の上端にも小フラップ45aが連続している。
【0041】
左側面部44,および左側面部44につながる第2上面部45には,左側面部44上においては幅方向(横向き)にのび,さらに第2上面部45においては斜め上向きにのびるミシン目Mが形成されている。左側面部44におけるミシン目Mよりも上側の範囲を符号44Aで示す。第2上面部45におけるミシン目Mよりも上側の範囲を符号45Aで示す。第2上面部45のミシン目Mよりも上側の範囲45Aは,第2上面部45の幅の半分程度の幅を持ち,側方に滑らかに突出する形状を持つ。後述するように,第3実施例の振出カートン3では,左側面部44のミシン目Mよりも上側の範囲44A,第2上面部45のミシン目Mよりも上側の範囲45A,左側面部44(その上側範囲44A)の上端につながるフラップ44a,および第2上面部45(その上側範囲45A)の上端につながるフラップ45aが,第1,第2実施例で説明した開閉部材20,30に相当する部分となる。この部分を図15において二点鎖線で囲んで示し,以下,開閉部材60と呼ぶ。第1,第2実施例と符合させるために,以下の説明では,左側面部44のミシン目Mよりも上側の範囲44A,第2上面部45のミシン目Mよりも上側の範囲45A,左側面部44(その上側範囲44A)につながるフラップ44a,および第2上面部45(その上側範囲45A)につながるフラップ45aを,それぞれ開閉受止面部44A,側方壁面部45A,糊代面部44a,前方壁面部45aと呼ぶ。
【0042】
図16〜図20は振出カートン3の組立て手順を示している。図16を参照して,小フラップ42a,42b,44bをほぼ直角に折曲げ,次に左右側面部44,42を底面部43に対してほぼ直角に折曲げる。さらに,前後側面部46,47を底面部43に対してほぼ直角に折曲げる。小フラップ42aの外面と前側面部46の内面,小フラップ42b,44bの外面と後側面部47の内面を接着剤等によって接着する。底面部43,左右側面部44,42,および前後側面部46,47によって規定される直方体状の空間に複数個の内容物Nが入れられる。第3実施例において,内容物Nは小分け包装された直方体状(板状)のもので,これが上下二段に重ねられかつ前後方向に複数個並べられた状態で上記空間に入れられる。前側面部46につながるフラップ48にさらにつながる振出口規定パネル49はほぼ直角に折曲げておく。
【0043】
図17を参照して,前側面部46につながるフラップ48をほぼ直角に折り曲げる。振出口規定パネル49(開口用切欠きK)が左側面部44(開閉受止面部44A)の内側に位置する。後側面部47につながるフラップ50もほぼ直角に折曲げる。第1上面部41をほぼ直角に折曲げ,フラップ48,50の外側に重ね合わせる。
【0044】
図18を参照して,第2上面部45をほぼ直角に折曲げて第1上面部41の外側に重ね合わせる。図19,図20を参照して,糊代面部44aをほぼ直角に折曲げて前側面部46に重ね合わせ,次に前方壁面部45aをほぼ直角に折曲げて糊代面部44aの外側に重ね合わせる。糊代面部44aの外面と前方壁面部45aの内面を接着剤等によって接着する。互いに直交する開閉受止面部44A,側方壁面部45Aおよび前方壁面部45aを有する開閉部材60を持つ振出カートン3が完成する。
【0045】
図21は振出カートン3から内容物Nを振出している様子を示している。
【0046】
はじめに側方壁面部45Aおよび開閉受止面部44Aを,ミシン目Mに沿って上面部45,左側面部44からそれぞれ切り放す。これにより,開閉部材60は,その開閉受止面部44Aが底面部43とつながっている状態となる。底面部43と開閉受止面部44Aとの境界を軸として開閉部材60を回動させると,開閉受止面部44Aの内側に位置する振出口規定パネル49が現れる。上述したように,振出口規定パネル49は開口用切欠きKを持ち,この開口用切欠きKによって内容物Nの振出口が規定される。第3実施例の振出カートン3も,開状態において,開閉部材60の開閉受止面部44A,側方壁面部45Aおよび前方壁面部45aの直交状態は維持される。
【0047】
振出カートン3の左側面部44および前側面部46(左斜め前)を下方に向け,必要に応じて振出カートン3を軽く揺さぶると,内容物Nが開口用切欠き(振出口)Kから外に出る。第3実施例の振出カートン3では,振出口Kから外に出てきた内容物Nが,開閉受止面部44A,側方壁面部45Aないし前方壁面部45aにぶつかる。外に出された内容物Nが振出カートン3からそのまま落下することはない。
【0048】
開口用切欠きKの形状および大きさ,すなわち内容物Nの振出口の形状および大きさは第3実施例の振出カートン3においても任意とすることができる。たとえば,開口用切欠き(振出口)Kの幅を内容物Nの幅よりもわずかに大きく形成し,かつその高さについても内容物Nの高さ(厚さ)よりわずかに大きく形成しておく。この場合,上述したように内容物Nが上下二段に重ねられて振出カートン3内に収容されていれば(図16参照),最前列下段に位置するものから内容物Nは1個ずつ外に出る。開閉部材60によって保持される内容物N自体によって開口用切欠き(振出口)Kから次に出てくる内容物Nが堰き止められるので,内容物Nが連続して外に出てしまうこともない。
【0049】
図22を参照して,開閉部材60を逆向きに回動させて元に戻すと,振出カートン3の開口用切欠き(振出口)Kは,開閉部材60の開閉受止面部44Aによって閉じられる。側方壁面部45Aの端部を第1上面部41とフラップ48の間の隙間(図21参照)に差込むことで,開閉部材60の閉状態が簡易に保持される。
【0050】
第4実施例
図23〜図27は第4実施例の振出カートンを示している。図23の展開図を参照して,第4実施例の振出カートン4は,左右側面部44,42および前後側面部46,47の幅が1個分の内容物N(図24参照)の厚さとほぼ同等である点,上述した振出口規定パネル49が存在しない点が,第3実施例の振出カートン3と異なる。また,第4実施例の振出カートン4では,左側面部44(開閉受止面部44A)の上端に前方壁面部44cが連続し,前方壁面部44cの右端にさらに糊代面部44dが連続している。側方壁面部45Aと糊代面部44dの間には切れ目が入れられている。その他第3実施例の振出カートン3と同一部材(面部)には同一符号を付し,重複説明を省略する。
【0051】
図24を参照して,第3実施例と同様にして小フラップ42a,42b,44b,左右側面部44,42,前後側面部46,47をほぼ直角に折曲げ,底面部43,左右側面部44,42,および前後側面部46,47によって規定される直方体状の空間に複数個の内容物Nを入れる。第4実施例では,小分け包装された直方体状(板状)の内容物Nは一段で前後方向に複数個並べられる。
【0052】
前側面部46につながるフラップ48および後側面部47につながるフラップ50をほぼ直角に折曲げ,さらに第1上面部41をほぼ直角に折曲げて,フラップ48,50の外側に重ね合わせる(図25)。
【0053】
前方壁面部44cをほぼ直角に折曲げて前側面部46に重合わせる(図26)。次に前方壁面部44cにつながる糊代面部44dをほぼ直角に折曲げてフラップ48の外側に重合わせる(図27)。最後に第2上面部45をほぼ直角に折曲げて,側方壁面部45Aの内面と糊代面部44dの外面を接着剤等によって接着すると,互いに直交する開閉受止面部44A,側方壁面部45Aおよび前方壁面部44cを有する開閉部材70を持つ振出カートン4が完成する。
【0054】
第3実施例の振出カートン3と同様に,第4実施例の振出カートン4も,側方壁面部45Aおよび開閉受止面部44Aをミシン目Mに沿って上面部45,左側面部44からそれぞれ切り放し,底面部43と開閉受止面部44Aとの境界を軸として開閉部材70を回動させると,左側面部44に振出口が形成され,そこから内容物Nが1個ずつ取り出される(図21参照)。外に出された内容物Nは開閉部材70(開閉受止面部44A,側方壁面部45Aおよび前方壁面部44c)にぶつかるので,外に出た内容物Nが振出カートン4からそのまま落下することはない。開閉部材70に保持される内容物N自体によって振出口から次に出てくる内容物Nが堰き止められるので,内容物Nが連続して外に出てしまうこともない。
【0055】
上述した第1〜第4実施例では,矩形(四角形)の上面部および底面部と,これらの上面部および底面部の四辺を結ぶ4つの壁面部を備える直方体(四角柱)状の振出カートン1〜4を例示したが,上面部および底面部の形状は三角形,五角形,六角形等の他の多角形であってもよい。上面部および底面部の形状に応じた多角柱状振出カートンとなる。いずれの形状であっても振出カートンの底面部に開閉部材の開閉受止面部が連続し,この開閉受止面部によって振出口が開閉されかつ振出口から外に出る内容物が受止められるとともに,開閉受止面部に連続する壁面部によって外に出た内容物の落下が防止される。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3,4 振出カートン
12,44 左側面部
12A,12B 振出口
12C 係合片
13,41,45 上面部
13A 切込み(差込部)
31A 切込み(係合片)
14,42 右側面部
15,43 底面部
16,46 前側面部
17,47 後側面部
20,30,60,70 開閉部材
21,31,44A 開閉受止面部
22,32,45A 側方壁面部(第1の壁面部)
23,33,44c,45a 前方壁面部(第2の壁面部)
49 振出口規定パネル
K 開口用切欠き
N 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する上面部および底面部と,上記上面部および底面部の複数の辺をそれぞれ結ぶ複数の側面部を有する角筒状カートンにおいて,少なくとも一の側面部に内容物振出口が形成されており,この内容物振出口を開閉する開閉部材が設けられており,
上記開閉部材は,
上記角筒状カートンの底面部に連続し,上記内容物振出口の閉状態においては上記内容物振出口を有する側面部がわに折られて上記内容物振出口を有する側面部に沿うことで上記内容物振出口を閉じ,かつ上記内容物振出口の開状態においては上記内容物振出口を通して外に出される内容物を受止める回動自在の開閉受止面部と,
上記開閉受止面部に連続し,上記内容物振出口の閉状態においては上記角筒状カートンの面部に沿い,かつ上記内容物振出口の開状態においては上記内容物の振出方向に壁面をつくる壁面部を備えている,
振出カートン。
【請求項2】
上記壁面部は互いに直交する第1,第2の2つの壁面部を備え,
第1,第2の壁面部のそれぞれが,上記開閉受止面部とも互いに直交している,
請求項1に記載の振出カートン。
【請求項3】
上記内容物振出口の閉状態において,上記第1の壁面部は上記角筒状カートンの上面部に重ね合わされ,第2の壁面部は上記内容物振出口を有する側面部に隣接する側面部のうち上記内容物振出口に近い側面部に重ね合わされる,請求項2に記載の振出カートン。
【請求項4】
上記内容物振出口の閉状態において上記開閉部材の端部が差込まれる差込部が形成されている,請求項1から3のいずれか一項に記載の振出カートン。
【請求項5】
上記内容物振出口の閉状態において上記開閉部材の一部を係合する係合片が形成されている,請求項1から3のいずれか一項に記載の振出カートン。
【請求項6】
1枚の厚紙,プラスチック・シートまたはこれらの複合材の型抜き,折曲げ,接着により作られている,請求項1から5のいずれか一項に記載の振出カートン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2013−49443(P2013−49443A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187585(P2011−187585)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】