説明

振動伝達装置および振動伝達方法

【課題】被振動部の強度に影響されることなくアクチュエータに適正な圧力を加えることができ、効果的な振動伝達を行うことができる振動伝達装置および振動伝達方法を提供すること。
【解決手段】入力信号に基づいて振動を発現するアクチュエータ部13と、このアクチュエータ部13からの振動を受け取る振動受動部11とを伸縮部材12aで形成した結合部12で接合し、アクチュエータ部13、振動受動部11および結合部12を一体化して被振動部7に取り付けることで、アクチュエータ部13を加圧して被振動部7への振動の伝達を調整する際に、被振動部7の強度に影響されることなくアクチュエータ部13に適正な圧力を加えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音響システム、映像装置等のスピーカーの発音源として用いられる磁歪アクチュエータ、積層型圧電アクチュエータ等の振動を被振動各部に伝達する振動伝達装置、および振動伝達方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、磁石やコイルを使用したフレミングの左手の法則に基づく、いわゆるダイナミックスピーカーとは異なる磁歪素子、積層型圧電素子等を用いたアクチュエータを発音源とするスピーカーが提案され、これまでの音響システム、映像装置とは異なる、例えば特許文献1、2のような音響システムや映像装置が市販されてきている。
【0003】
従来、この種のアクチュエータからスピーカーの振動板への振動伝達は、例えば特許文献3に示されるように、振動板の表面にアクチュエータを直接、取り付けることで行っている。すなわち、図5に示すように、変位伝達部材として働く一対のL字状アングル9−1、9−2を対向して配置し、これらL字状アングル9−1、9−2の対向面にアクチュエータ100を挟持した状態で、取り付けネジ8−1、8−2により振動板7の表面に取り付けている。
【0004】
上記アクチュエータ100から発音部分である振動板7への振動伝達特性の調整は、アクチュエータ100の後方部分のL字状アングル9−2に貫挿した振動伝達調整ネジ10を締め付け、あるいは緩めてアクチュエータ100の長手方向に加える圧力を変化させることで行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−166027号公報
【特許文献2】特開2010−93769号公報
【特許文献3】特開2006−238575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記アクチュエータ100を取り付ける振動板7は、従来からスピーカーに用いられてきた紙、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂等の高分子材料、アルミニウムやマグネシウム等の金属材料、あるいは高分子材料と金属との複合材料等で形成されている。そして、その厚さは、効果的な発音がなされるには1mm前後と薄いのが好ましいとされている。
【0007】
しかしながら、このような薄い振動板7にアクチュエータ100をL字状アングル9−1、9−2で取り付けると、振動伝達調整ネジ10からアクチュエータ100に圧力を加えた時に、取り付け部18−1、18−2が支点となり、図6に示すように振動板7に反りを生じ、L字状アングル9−1、9−2の上端が開いてしまう。その結果、L字状アングル9−1、9−2の対向面の間隔ΔAが大きくなり、アクチュエータ100に最適な振動伝達に必要な適正圧力を印加することができず、十分な振動伝達特性が得られない、という問題があった。
【0008】
一方、振動板7を厚くして構造的に強度を高める、あるいは高強度材料を用いれば振動板7の反りを抑制してアクチュエータ100に適正な圧力を与えることができ、効果的な振動伝達を行うことができるが、振動板7が高強度のために入力信号のエネルギーに対して振動の振幅が小さく、換言すれば伝達エネルギー効率が悪くなり再生音圧が低くなる、という新たな問題が発生する。
【0009】
本発明は、上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、被振動部の強度に影響されることなくアクチュエータに適正な圧力を加えることができ、効果的な振動伝達を行うことができる振動伝達装置および振動伝達方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る本発明の振動伝達装置は、一端側が加圧され、入力信号に基づいて振動を発現するアクチュエータ部と、前記アクチュエータ部における他端側の振動子端から振動を受け取り、前記被振動部に伝達する振動受動部と、前記アクチュエータ部と前記振動受動部との間の前記振動子端の外周部に設けられ、伸縮部材で形成された結合部とを具備し、前記アクチュエータ部、前記振動受動部および前記結合部を一体化してなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る本発明は、請求項1記載の振動伝達装置において、前記結合部の伸縮部材は、前記アクチュエータ部および前記振動受動部の前記被振動部への取り付け部と反対側の部分の少なくとも一部を接合することを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に係る本発明は、請求項1または2記載の振動伝達装置において、前記伸縮部材は、弾性体材料、金属バネ、または伸縮作用がある構造の金属板を含むことを特徴とする。
【0013】
さらにまた、請求項4に係る本発明は、請求項1記載の振動伝達装置において、前記アクチュエータ部は、磁歪素子を用いたアクチュエータまたは圧電素子を用いたアクチュエータを含むことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項5に係る本発明の振動伝達方法は、アクチュエータの一端を加圧し、前記アクチュエータ他端から突出させた振動子端を、振動受動部に当接させるとともに、前記振動子端の外周部に伸縮部材を介在して前記振動受動部と前記伸縮部材とを接合し、前記アクチュエータへの入力信号に基づく前記振動子端の振動を前記振動受動部に伝達することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に係る本発明は、請求項5記載の振動伝達方法において、前記アクチュエータ、前記伸縮部材および前記振動受動部を一体化して被振動部に取り付け、前記振動受動部に伝達された前記振動子端の振動を前記被振動部に伝達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の本発明では、アクチュエータ部を加圧した時に、振動子端の外周部に配置した伸縮部材で形成された結合部が均一に圧力を受け、かつアクチュエータ部、振動受動部および結合部を一体化していることから、従来のように被振動部への取り付け部が支点になってL字状アングルの上端が開いて加圧不足になることがない。従って、被振動部の強度に影響されることなくアクチュエータ部に最適な振動伝達に必要な適正圧力を加えることができ、効果的な振動伝達を行うことができる。
【0017】
また、請求項2記載のように、被振動部への取り付け部と反対側の部分の少なくとも一部を接合することで、アクチュエータ部に適正圧力を加えることができる。
【0018】
さらに、請求項3記載のように、伸縮部材としては、弾性体材料、金属バネ、または伸縮作用がある構造の金属板を用いることができる。
【0019】
さらにまた、請求項4記載のように、アクチュエータ部には、磁歪素子を用いたアクチュエータ、または圧電素子を用いたアクチュエータを適用できる。
【0020】
請求項5記載の本発明では、振動子端の外周部に配置した伸縮部材が均一に圧力を受けることから、最適な振動伝達に必要な適正圧力をアクチュエータに加えることができる。
【0021】
また、請求項6記載のように、アクチュエータ、前記伸縮部材、および前記振動受動部を一体化して被振動部に取り付けることで、従来のように被振動部への取り付け部が支点になってL字状アングルの上端が開いて加圧不足になることがない。従って、被振動部の強度に影響されることなくアクチュエータに最適振動伝達に必要な適正圧力を加えることができ、効果的な振動伝達を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る振動伝達装置および振動伝達方法について説明するためのもので、(a)図は振動伝達装置の正面図、(b)図は(a)図の1B−1B線に沿った側方断面図、(c)図は(a)図の1C−1C線に沿った上方断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る振動伝達装置で用いられる磁歪アクチュエータの概略構造を示すもので、(a)図は正面図、(b)図は(a)図の2B−2B線に沿った側方断面図である。
【図3】従来と本発明の第1実施例に係る振動伝達装置の再生音圧−周波数特性を対比して示す特性図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る振動伝達装置を示すもので、積層型圧電素子を用いた振動伝達装置の側方断面図である。
【図5】従来の振動伝達装置および振動伝達方法について説明するためのもので、アクチュエータの取り付け例を示す側方断面図である。
【図6】従来の振動伝達装置および振動伝達方法について説明するためのもので、振動伝達調整ネジでアクチュエータを加圧した時に発生するL字状アングルの開き現象を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
本発明の振動伝達装置は、基本的には、図1(a)〜(c)に示すように、入力信号に基づいて振動を発現するアクチュエータ100、このアクチュエータ100から振動を受け取る振動受動部11、およびそれらを接合する結合部12を一体化した構造である。この一体化した振動伝達装置の取り付け部15−1〜15−6を、例えば取り付けネジ16−1〜16−6で被振動部である振動板7に固定する。そして、アクチュエータ100の振動を振動板7へ的確に伝達するために、振動伝達調整ネジ10によるアクチュエータ100の加圧を行う。この際、アクチュエータ100と振動受動部11とを接合する結合部12で振動伝達調整ネジ10からの圧力を広い面積で均等に分散して受ける構造にしている。
【0025】
つぎに、結合部12に伸縮部材12aとしてゴムを用いた具体例で説明する。図1(b)、(c)に示したように、アクチュエータ100の駆動ロッド1(振動子端1a)の周囲にO字状ゴム12aを配置し、このO字状ゴム12aを介在してアクチュエータ部13と振動受動部11との接合をした構造にする。これによって、振動伝達調整ネジ10からアクチュエータ100の長手方向に印加される圧力が振動受動部11へ均等に加わる。すなわち、結合部12の振動受動部11との接触面積が、振動子端1aの振動受動部11との接触面積と比べて十分に大きいことにより、振動受動部11への加圧が均等になる。
【0026】
この結果、従来の問題であった振動板7の変形による図6に示したようなL字状アングル9−1、9−2の上端が開く現象を解消でき、振動板7の強度に影響されることなく、アクチュエータ100の振動を振動板7に効果的に伝達し、高い伝達エネルギー効率での発音が可能となる。
【0027】
なお、上述した説明では、振動子端1aの全周をO字状ゴム12aで接合する構造を例にとったが、例えば振動伝達装置の振動板7への取り付け部15−1〜15−6と反対側の部分(図1(b)の破線19で囲んだ領域)の一部を接合する構造、つまりO字状ゴム12aの一部を切欠したC字状ゴムでも良い。また結合材料はゴム等の弾性体材料、金属バネや薄い金属板等の材料で伸縮作用がある構造であれば形状は問わない。
【0028】
以上のように、本実施形態に係る振動伝達装置は、振動伝達調整ネジ10でアクチュエータ100を加圧した時に、振動子端1aの周囲に配置した伸縮部材12aからなる結合部12が均一に圧力を受けることから、振動板7への取り付け部15−1〜15−6が支点になって、従来のようにL字状アングルの上端が開いて加圧不足になることがない。従って、振動板7の強度に影響されることなく、最適な振動伝達に必要な適正圧力をアクチュエータ100に加えることができ、効果的な振動伝達を行うことができる。
【実施例1】
【0029】
上記アクチュエータ100に磁歪素子を用いる場合を例に取って、上記図1(a)〜(c)および図2(a)、(b)により第1実施例を説明する。
【0030】
[アクチュエータ]
図2は、磁歪アクチュエータの概略構造を示しており、(a)図は正面図、(b)図は(a)図の2B−2B線に沿った側方断面図である。
【0031】
磁歪アクチュエータ100は、一例として図2(b)に示すように、棒状の磁歪素子50を備え、その周囲に、この磁歪素子50に制御磁界を印加するためのソレノイドコイル5が巻設されている。このソレノイドコイル5の周囲には、マグネット4およびヨーク(図示しない)が配置される。上記磁歪素子50の一端には駆動ロッド1が連結され、他端には固定盤(底部キャップ)6が取り付けられている。これらがシンバル状の内部予負荷バネ3とともに外筐ケース2内に装填され、組み立て後に駆動ロッド1の先端部が外筐ケース2の外側に突出し、振動子端1aとして機能する。
【0032】
上記磁歪素子50は、その特性としてソレノイドコイル5による制御磁界の大きさに対する応力歪み(長手方向の寸法変化)応答が、予め加えられる圧力により変化することが知られている。図2(a)、(b)に示す磁歪アクチュエータ100では、適正加圧より小さめの予圧を与えるように内部予負荷バネ3により圧力を加えている。また、この応力歪み応答が広い範囲で線形と見なせる領域を使用するように、マグネット4およびヨーク等により静的磁界が与えられている。
【0033】
上記磁歪素子50としては、縦、横2mm、長さ約10mmの柱状磁歪素子(ETREMA
PRODUCTS INC製のETREMA Terfenol-D(登録商標、超磁歪材料))を用い、外筐ケース2をアルミニウムで製作し、径15mm、長さ40mmの大きさの磁歪アクチュエータ100を作成した。
【0034】
なお、アクチュエータ100から振動板7への振動を伝達する際の、このアクチュエータ100への適正加圧は10N/mmになるよう設計、製作した。
【0035】
この磁歪アクチュエータ100のソレノイドコイル5に、入力信号として例えば音声信号を入力することにより、駆動ロッド1の振動子端1aから音声信号に応じた振動出力を得ることができる。
【0036】
比較のため、下記に示したアクリル板を振動板7に用い、図2(a)、(b)のアクチュエータ100を図5に示した従来方法で振動板7に取り付け、振動伝達調整ネジ10による加圧調整を行い、再生音圧と周波数を測定して評価を行った。
【0037】
アクリル板:アクリライト(登録商標)L(三菱レイヨン社製)
板厚1mm、2mmおよび3mm
大きさ300mm×300mm
【0038】
この際、再生音圧−周波数特性の測定は、下記条件で測定した。
条件:入力1W、測定距離1m(振動板中央から垂直方向)
【0039】
その結果、アクリル板の板厚が1mmと2mmにおいては、振動伝達調整ネジ10からの加圧とともに、図6に示したようにL字状アングル9−1、9−2の上端が開き、すなわち振動板7であるアクリル板に反りが発生し、適正加圧(10N/mm)を得ることができず加振が不可能であった。そして、板厚が3mmのアクリル板へ取り付けた時に、適正加圧でのL字状アングル9−1、9−2の上端の開きが解消され、アクチュエータ100による加振が可能となり、発音がなされた。その再生音圧−周波数特性の測定結果を図3の破線20で示す。
【0040】
このように、従来の取り付け方法においては、振動板7には3mmの板厚を必要とし、振動板7の強度が低い1mmと2mmの場合は、アクチュエータ100の取り付けによる発音が不可能であることを確認した。
【0041】
[振動伝達装置]
下記に示した特性を有する板厚1mmのスチレンブタジエンゴムシートでO−リングを作成し、このO−リングを結合部12の伸縮部材12aとして用い、アクチュエータ100と振動受動部11を接合して、図1(a)〜(c)に示したような振動伝達装置を製作した。
【0042】
作成したO−リングの形状とゴム硬度
形状:外径15mm、内径5mm、厚さ1mm
ゴム硬度:JIS A 30Hs
【0043】
ここで、アクチュエータ100とO−リング、振動受動部11とO−リングの結合は、それぞれクロロプレンゴム系接着剤を用いて接着することで行った。
【0044】
製作した振動伝達装置の大きさは、およそ縦25mm、横20mm、長さ40mmである。
【0045】
なお、振動伝達装置の内部に付加圧安定化コイルバネ14(図1(b)、(c)参照)を挿入し、振動伝達調整ネジ10による加圧のより安定化を図る構造とした。
【0046】
前述した実証試験で用いた厚さ1mmのアクリル板に、図1(a)〜(c)のように製作した振動伝達装置を取り付け、従来方法による実装方法と同じ条件で再生音圧−周波数特性の測定を行ったところ、図3に実線21で示すような特性が得られた。
【0047】
従来方法では、アクリル板(振動板7)の厚さが1mmでは適正加圧(10N/mm)を加えることができず、アクチュエータ100による発音は不可能であったが、本第1実施例の振動伝達装置では、適正加圧を加えても振動板7には全く反りが発生せず、厚さの薄い振動板7、すなわち強度の低い振動板7への適用が可能であることを確認した。
【0048】
また、再生音圧−周波数特性を従来例と比較すると、ほぼ全周波数帯域においてその再生音圧が高く、また板厚の薄い振動板7に適用が可能になったことから振動伝達効率が向上したことを確認した。特に、人間の聴覚感覚が高いと言われる4KHz〜7KHzにおいては、再生音圧がおよそ10dB高くなっている。すなわち、入力に対する出力が高く、伝達エネルギー効率の良いことを確認した。このように、伸縮材料を用いることで優れた振動伝達効果が得られ、低域周波数の振動伝達を効率良く行うことができる。
【実施例2】
【0049】
前述した第1実施例における磁歪アクチュエータ100に代えて、下記に示した積層型圧電素子17を用いた圧電アクチュエータ(NECトーキン社製のALS170-C801NPOLF)100’を使用して図4に示すような振動伝達装置を作成した。図4に示す振動伝達装置が図1(a)〜(c)と異なるのは、アクチュエータの構造のみであるので、図1(a)〜(c)と同一部分に同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0050】
図4に示すように、アクチュエータ部13と振動受動部11とを結合部12で接合した構造の振動伝達装置を、第1実施例と同様に板厚が1mmのアクリル板に取り付け、圧電アクチュエータ100’の長手方向に10N/mmの加圧を行った。振動板7の反りを確認したが全く反りが発生しておらず、振動状態も第1実施例と同様であることが確認された。この結果、磁歪アクチュエータ100と同様な振動を発生する他のアクチュエータであっても、本発明の振動伝達装置と同様の構造にすることで同様の効果が得られることを確認した。
【0051】
なお、上述の実施例1および2では、振動伝達調整ネジ10により加圧量を調整する機構を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アクチュエータ部13、結合部12および振動受動部11を予め接合しておき、まずアクチュエータ部13を取り付けネジ16−2、16−3、16−5、16−6で被振動部7に固定する。そして、冶工具等により適正加圧量となるよう振動受動部11とアクチュエータ部13とを挟持した状態で、取り付けネジ16−1、16−4で振動受動部11を固定する。このような構成で一体化しても、上述の実施例1および2と同様な効果を奏する。
【0052】
従って、本発明によれば、被振動部の強度に影響されることなくアクチュエータに適正な圧力を加えることができ、効果的な振動伝達を行うことができる振動伝達装置および振動伝達方法を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
磁歪素子、積層型圧電素子等からなるアクチュエータを用いて発音する音響システムの分野において、本発明の振動伝達装置を適用することで、被振動部の強度に左右されることなくアクチュエータによる発音が可能になる。このことから、アクチュエータの適用範囲を拡大でき、新規音響システムを開発できる。
【符号の説明】
【0054】
1 駆動ロッド
1a 振動子端
2 外筐ケース
3 内部予負荷バネ
4 マグネット
5 ソレノイドコイル
6 固定盤(底部キャップ)
7 振動板(被振動部)
8−1、8−2 取り付けネジ
9−1、9−2 L字状アングル
10 振動伝達調整ネジ
11 振動受動部
12 結合部
12a O字状ゴム(伸縮部材)
13 アクチュエータ部
14 付加圧安定化コイルバネ
15−1〜15−6 取り付け部
16−1〜16−6 取り付けネジ
17 積層型圧電素子
18−1、18−2 取り付け部
50 磁歪素子
100 アクチュエータ(磁歪アクチュエータ)
100’ 圧電アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が加圧され、入力信号に基づいて振動を発現するアクチュエータ部と、
前記アクチュエータ部における他端側の振動子端から振動を受け取り、前記被振動部に伝達する振動受動部と、
前記アクチュエータ部と前記振動受動部との間の前記振動子端の外周部に設けられ、伸縮部材で形成された結合部とを具備し、
前記アクチュエータ部、前記振動受動部および前記結合部を一体化してなることを特徴とする振動伝達装置。
【請求項2】
前記結合部の伸縮部材は、前記アクチュエータ部および前記振動受動部の前記被振動部への取り付け部と反対側の部分の少なくとも一部を接合することを特徴とする請求項1記載の振動伝達装置。
【請求項3】
前記伸縮部材は、弾性体材料、金属バネ、または伸縮作用がある構造の金属板を含むことを特徴とする請求項1または2記載の振動伝達装置。
【請求項4】
前記アクチュエータ部は、磁歪素子を用いたアクチュエータ、または圧電素子を用いたアクチュエータを含むことを特徴とする請求項1記載の振動伝達装置。
【請求項5】
アクチュエータの一端を加圧し、前記アクチュエータ他端から突出させた振動子端を、振動受動部に当接させるとともに、前記振動子端の外周部に伸縮部材を介在して前記振動受動部と前記伸縮部材とを接合し、前記アクチュエータへの入力信号に基づく前記振動子端の振動を前記振動受動部に伝達することを特徴とする振動伝達方法。
【請求項6】
前記アクチュエータ、前記伸縮部材および前記振動受動部を一体化して被振動部に取り付け、前記振動受動部に伝達された前記振動子端の振動を前記被振動部に伝達することを特徴とする請求項5記載の振動伝達方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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