説明

振動型アクチュエータの制御装置

【課題】摩擦力の変化、環境変動、個体差による周波数応答特性の変化に追随して、印加電圧の周波数を高精度に制御することができる振動型アクチュエータの制御装置を提供する。
【解決手段】振動型アクチュエータの制御装置は、振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータを設定可能な交流電圧生成手段8と、振動体の振動に起因するいくつかの物理量を計測する計測手段9と、交流電圧における少なくとも一つのパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、変動に応じた第1の信号と、計測された物理量に応じた第2の信号と、の間における少なくとも一つの所定周波数による周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段10と、周波数応答特性に応じて交流電圧の周波数を制御する周波数制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気−機械エネルギー変換素子に交流電圧を印加することによって振動体に振動波を発生させ、その振動波によって移動体を摩擦駆動する振動型アクチュエータの制御装置に関する。特に、振動型アクチュエータにおける伝達特性を安定化させる制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
振動型アクチュエータの速度は振動体に励起される振動波の振幅に応じて変化する。そのため、振動型アクチュエータの制御は、振動体に設けられた電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧の振幅や周波数を変化させることで制御する。
そして、このような振動型アクチュエータの制御においては、温度による振動体の共振周波数の変動や振動体の共振周波数の個体差の影響を少なくするために、交流電圧の周波数で制御する方式が多く用いられている。
このような制御方式において、温度の変化によって振動体の共振周波数や内部損失が変化すると速度が一定となるように、電気−機械エネルギー変換素子に印加する交流電圧の周波数を制御しても、交流電圧の周波数と振動体の共振周波数との周波数差が変化する。そのため、回路効率の変化や周波数応答特性の変動等が発生する。
【0003】
このようなことから、特許文献1では、つぎのような振動型アクチュエータの制御装置が提案されている。
この装置では、振動検出センサにより振動体の振動状態を検出し、振動体の共振周波数の変化に追随するように印加電圧の周波数を制御しつつ、振動型アクチュエータの速度が所望の速度になるように印加電圧の振幅に相当するパルス幅を制御している。
また、特許文献2では、振動型アクチュエータの印加電圧振幅に対する回転速度の周波数応答特性の内、直流ゲインの変化を印加電圧振幅に対する速度の比から逐次同定し、これを安定化するように印加電圧の周波数を制御する装置が提案されている。
これによって速度制御ループの一巡伝達ゲインの変動を抑え、温度の変化による環境変化や個体差に追従できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−111267号公報
【特許文献2】特開平7−337043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の方法では、振動型アクチュエータの個体差や環境変化による振動体の周波数応答特性の変化をある程度において抑制することが可能である。しかし、振動体と移動体間の接触状態の変化による摩擦力の変化や、移動体に直接又は間接的に接続される機構の個体差や環境変動による周波数応答特性の変化に対して、高精度に抑制することは出来なかった。
また、共振周波数で駆動する場合、駆動周波数が共振周波数から離れている場合と比較して制御帯域が狭くなるため、広帯域の制御を必要とする用途では十分な性能が得られなかった。
また、振動体に設けた振動検出センサと印加電圧の間の位相差により共振状態を検出する方法は、振動体の振幅が小さいと振動体と移動体の加圧接触状態の変化によって位相差にオフセットが重畳されることがあり不安定であった。
【0006】
また、上記特許文献2の方法では、印加電圧の周波数と振動体の共振周波数の差をコントロールすることで一巡伝達特性の直流ゲインを安定化しているが、位相特性を安定化する上で、必ずしも満足の得られるものではない。
そのため、速度補償器の特性を位相特性の変化を予め予想して十分余裕を取った設計等が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、摩擦力の変化、環境変動、個体差による周波数応答特性の変化に追随して、印加電圧の周波数を高精度に制御することができ、
また、このような周波数応答特性の変化に追随する制御の向上が、振動体の振幅が小さい低速作動時においても図ることが可能となる振動型アクチュエータの制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触又は間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータを設定可能な交流電圧生成手段と、
前記振動体の振動に応じて変化する、振動体または振動体に接続する機構の振動、振動体を囲む媒体中に伝播する音、移動体の速度、位置、出力する力のうちの少なくとも一つの物理量を計測する計測手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段によって与えられた変動に応じた第1の信号と、前記計測手段によって計測された物理量に応じた第2の信号と、の間における少なくとも一つの所定周波数による周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記周波数応答特性計測手段によって求められた周波数応答特性に応じて前記交流電圧の周波数を制御する周波数制御手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明の振動型アクチュエータの制御装置は、振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触または間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータが設定可能な交流電圧生成手段と、
前記振動体の振動に応じて変化する、振動体の振動振幅、移動体の速度、位置、移動体が出力する力のうちの少なくとも一つの物理量を計測する計測手段と、 前記計測手段で計測された物理量に応じた値と目標とする値との比較結果に応じて、所定の制御演算を行う制御演算手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段で与えられた変動に応じた第1の信号と、制御演算手段の出力または前記計測手段で計測された物理量に応じた第2の信号と、の間における少なくとも一つの所定周波数での周波数応答特性である位相特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記位相特性に応じて、前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータを設定する第1の調整手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、摩擦力の変化、環境変動、個体差による周波数応答特性の変化に追随して、印加電圧の周波数を高精度に制御することができ、
また、このような周波数応答特性の変化に追随する制御の向上が、振動体の振幅が小さい低速作動時においても図ることが可能となる振動型アクチュエータの制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1における振動型アクチュエータの制御装置の第1の構成例を説明するブロック図。
【図2】本発明の実施例1における振動型アクチュエータを説明する図であり、(a)は振動型アクチュエータの例を示す構成図、(b)は振動型アクチュエータの振動の様子を示す図。
【図3】本発明の実施例1における圧電素子に設けられた給電用電極パターンを示す図。
【図4】本発明の実施例1における振動体の振動周波数と振動体の振動振幅の関係を示す図。
【図5】(a)は本発明の実施例1における圧電素子に印加される交流電圧の周波数に対する振動体の振動振幅の周波数応答特性を示すボード線図。(b)は圧電素子に印加される交流電圧の振幅に対する振動体の振動振幅の周波数応答特性を示すボード線図。
【図6】本発明の実施例1における振動型アクチュエータの制御装置の第2の構成例を説明するブロック図。
【図7】本発明の実施例2における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図8】本発明の実施例2における圧電素子に印加される交流電圧の周波数に対するロータの速度の周波数応答特性を示すボード線図。
【図9】本発明の実施例3における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図10】本発明の実施例3における振動体の振動周波数とロータの回転速度の関係を示す図。
【図11】本発明の実施例4における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図12】本発明の実施例4における圧電素子に印加する交流電圧の周波数に対する振動体の振動振幅の周波数応答特性の安定化の効果を説明するボード線図。
【図13】本発明の実施例5における振動型アクチュエータの制御装置の構成例を説明するブロック図。
【図14】本発明の実施例5における一巡伝達特性の例を示すボード線図。
【図15】本発明の実施例5における速度指令に応じて比例積分演算を切り替える必要性を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0012】
[実施例1]
実施例1として、発明を適用した振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
振動型アクチュエータは、金属やセラミック製の弾性体をその固有振動モードの共振現象を利用して振動させ、弾性体に接触または間接的に接続される移動体を相対的に移動させるアクチュエータであって、今日では様々な原理のアクチュエータが提案されている。
励振するための加振力の発生源としては主に圧電素子が用いられるが原理的にはどのような加振手段を用いても実現可能である。例えば磁歪素子、電歪素子、ボイスコイル、静電アクチュエータ等様々なアクチュエータを用いて励振することができる。
これらのアクチュエータは加振周波数と同じ周波数の交流電圧又は交流電流を入力することで加振力を発生させることができ、圧電素子の場合は印加する交流電圧、ボイスコイルなら交流電流が加振力に相当する。以下は圧電素子を例に説明する。
【0013】
図2(a)は振動型アクチュエータの例を示す構成図、図2(b)は振動型アクチュエータの振動の様子を示す図である。
これらの図において、1は圧電素子、2−a、2−bは弾性体で圧電素子1を挟持している。
圧電素子1と弾性体2−a、2−bは一体となって振動体2を構成している。3は圧電素子1に給電するためのフレキシブル基板、4は振動体2の上面に形成される楕円振動との間に生ずる摩擦力によって回転するロータである。
振動体2には直交する2つの方向の曲げ振動の固有振動モードがある。この2つの固有振動モードの振動を時間的に位相を90°ずらして発生させると、図2(b)に示すように振動体2の上部構造がくびれ部分を支点として振れ回るように回転振動する。
この振動の力を不図示の加圧手段によって振動体2の上部に押し付けられたロータ4に摩擦力を介して伝達し、回転出力を取り出している。
【0014】
図3は、圧電素子1上に形成された給電用の電極パターンを示している。
電極は4つの区画に分割されており、各電極にはφA又はφBの交流電圧がフレキシブル基板3を介して供給されている。
圧電素子1の電極1−a(+)、1−a(−)、 1−b(+)、1−b(−)の符号は圧電素子1の分極方向を示しており、対向する電極は極性が逆方向に分極されている。
そして、対向する電極には同じ駆動電圧を印加することによって逆方向の加振力を発生し、φA、及びφBに対応して夫々一つの固有振動モードの振動が励振される。
【0015】
図4は、上記振動型アクチュエータの振動体2に励起された振動の周波数と振動体2の振動振幅との関係を示す図である。
Frは振動体2の共振周波数を示しており、共振周波数Frでは振動体2の振動振幅はVmaxとなっている。また周波数が共振周波数Frより高い領域から共振周波数Frに近付くと序々に振動体2の振動振幅は増加してVmaxに近付いてゆく。そして共振周波数Frより低い周波数になると振動振幅が急に減少する非対称な特性となっている。また共振周波数Frより200Hz高い周波数では振動体2の振動振幅はV1となり、400Hz高い周波数では振動体2の振動振幅はV0となる。この各周波数における周波数変化に対する振動体2の振動振幅変化の割合を比較すると共振周波数Frより200Hz高い周波数の場合の方が400Hz高い周波数の場合より高い変化率を示している。
【0016】
図5(a)は、上記振動型アクチュエータの振動体2を加振する交流電圧の周波数の変化に対する振動体2の振動振幅変化の周波数応答特性を示すボード線図である。
実線の特性は図4で示した共振周波数Frより200Hz高い周波数を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性で、一点鎖線の特性は共振周波数Frより400Hz高い周波数を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性を示している。
また、破線の特性は共振周波数Frの近傍を中心に交流電圧の周波数を変化させた場合の特性を示している。
共振特性を利用する振動型アクチュエータの周波数応答特性は共振周波数Fr近傍では、概ね振動体のQ値に依存して折点周波数が変化する。
また、共振周波数Frから離れた周波数領域では、共振周波数Frと振動体2を加振する交流電圧の中心周波数との差に依存して折点周波数が変化する。
実線は共振周波数Frより200Hz高い周波数を中心として交流電圧の周波数を変化させた場合の特性なので、ほぼ200Hzを折点周波数としてゲイン特性が減衰する特性となっている。
一点鎖線の特性は共振周波数Frより400Hz高い周波数を中心として交流電圧の周波数を変化させた場合の特性なので、ほぼ400Hzを折点周波数としてゲイン特性が減衰する特性となっている。
また、位相特性を見ると各折点周波数でほぼ−90°となっており、周波数が高くなると−180°近傍に収束していることがわかる。
破線の特性は交流電圧の周波数が共振周波数Fr近傍での特性である。
交流電圧の周波数と共振周波数Frの周波数差が0に近いが折点周波数は60Hzとなっている。
この折点周波数は振動体2の振動性能を表すQ値に依存して決まる周波数で、交流電圧の周波数と共振周波数Frの周波数差が小さくなると折点周波数は下限周波数(本例では60Hz)に収束する。
【0017】
つぎに、低周波域でのゲインの大きさについて説明する。
図4に示したように交流電圧の周波数変化に対する振動体2の振動振幅変化は、交流電圧の周波数が共振周波数Frに近付くと振動体2の振動振幅の変化率が増加している。
従って交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数Frに近いほどゲインが大きくなる。図5(a)の10Hz以下の周波数領域でも交流電圧の周波数が共振周波数Frに近付くほどゲインが大きくなり、図4と同様の特性となっている。
また、図5(a)は交流電圧の周波数の変化に対する振動体2の振動振幅変化の特性を示したボード線図であったが、交流電圧の振幅や位相の変化に対する振動体2の振動振幅変化の特性についても同様の特性を示す。
共振周波数Frと交流電圧の周波数との差と上記折点周波数の関係は、周波数、振幅、位相のどの操作量についても周波数差が大きい領域では周波数差は折点周波数に近い値となり、周波数差が0に近い場合にはこのずれが大きくなっている。
【0018】
図5(b)は交流電圧の振幅の変化に対する振動体の振幅変化の特性を示したボード線図である。
図5(a)に対して位相の変化が全体に少ない事と位相の変化のピーク値が交流電圧の周波数によって変化している点が異なっている。
実線、破線、一点鎖線の特性の違いは図5(a)と同じなので説明を省略する。また交流電圧の周波数の違いによるゲインの差が図5(a)と比較して大きいこと等がわかる。
この様なボード線図の位相特性に現れる折点周波数と交流電圧の周波数との関係は図2に示した振動型アクチュエータのみの性質ではない。
図2(a)には弾性体2−a、2−bと圧電素子1によって振動体2を構成したが、圧電素子のみ又は他の加振手段で振動体2を構成しても良い。また図2(a)は棒状の振動体であったが、円環状、円板状、矩形板状等の他、様々な形状の弾性体と圧電素子を組み合わせた振動型アクチュエータがある。
これらの振動型アクチュエータの多くは弾性体と圧電素子からなる振動体の共振特性を利用しており、振動体の固有振動モードに依存する振動形状で振動体に振動波を形成することで振動体に接する被移動体を相対移動する。
このような共振現象を利用する性質の振動型アクチュエータであれば図5(a)、図5(b)で示すような周波数応答特性を持つため、共振現象を利用する振動型アクチュエータであれば本提案は有効である。
【0019】
図1は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の第1の構成例を説明するブロック図である。
圧電素子1−a、1−b及び不図示の弾性体2−a、2−bからなる不図示の振動体2の振動周波数を共振周波数Frから一定周波数離れた周波数に追従するように周波数を制御する装置の構成例を示した。
5は圧電素子1−a及び1−bに印加する交流電圧の振幅を指令する電圧振幅指令手段である。
6はホワイトノイズを発生するホワイトノイズ生成手段、7は電圧振幅指令手段5の出力する振幅指令にホワイトノイズ生成手段6の出力するホワイトノイズを加算して新たな振幅指令を生成する加算手段である。
このホワイトノイズ生成手段6と加算手段7とによって、振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つ以上のパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段が構成される。
本実施例では、この変動付与手段によって、上記ホワイトノイズだけではなく、正弦波信号、擬似乱数信号、等のうちのいずれかを付与する構成を採ることができる。
8は加算手段7の出力するホワイトノイズが加算された振幅指令及び後述する周波数指令に応じた2相の交流電圧を生成する交流電圧生成手段で、圧電素子1−a、1−bに位相差が90°の交流電圧φA、φBを印加している。
9は物理量計測手段であり不図示の指令手段の指示に応じて不図示の振動体2の振動に起因するいくつかの物理量が計測可能となっている。
例えば、振動体2又は振動体2を固定する不図示の筐体の振動や振動体2の周囲の音圧、あるいは振動体2に加圧接触しているロータ4の回転速度やロータ4の出力する力等様々な物理量が検出可能となっている。
本実施例では、振動体の振動に応じて変化する、振動体または振動体に接続する機構の振動、振動体を囲む媒体中に伝播する音、移動体の速度、位置、出力する力のうちの少なくとも一つの物理量が計測可能に構成されている。
10は周波数応答特性計測手段であり、加算手段7の出力するホワイトノイズが加算された振幅指令の変化に対する物理量計測手段9の出力する物理量の変化の周波数応答特性を計測している。
周波数応答特性とは図5(a)、図5(b)で示したボード線図で表すことの出来る特性のことで、本実施例ではゲイン及び位相の特性の内、所定の周波数における位相に対応する位相信号を出力している。
11は不図示の指令手段からの位相差指令と周波数応答特性計測手段10の出力する所定の周波数における位相信号との差を求める位相比較手段である。
12は位相比較手段11の出力する比較結果に応じて圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数を制御する制御演算手段である。
本実施例では、位相差比較手段11と制御演算手段12とによって、周波数応答特性計測手段によって求められた周波数応答特性に応じて交流電圧の周波数を制御する周波数制御手段が構成される。そして、この周波数制御手段は、周波数応答特性計測手段によって求められた位相特性に応じて、交流電圧の周波数を制御する。その際、位相特性が所定の目標位相となるように交流電圧の周波数を制御する。
【0020】
以下に、これらの制御における具体的な動作を、図5(b)の特性を用いて説明する。
ここで、振動型アクチュエータの振動周波数を不図示の振動体の共振周波数Frから200Hz高い周波数で駆動する場合を考える。
振動型アクチュエータは駆動中に不図示の振動体の温度が上昇し、その共振周波数Frは変化する。
そのため、圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数を固定しておくと交流電圧の周波数と共振周波数Frの差は温度変化に応じて変化する。
従って、常に圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数を振動体2の共振周波数Frより200Hz高い周波数に追従させるには振動体2の共振周波数Frの変化をなんらかの方法で検出する必要がある。
従来はその方法として、不図示の振動体に振動検出用センサを設け、共振周波数Frの変化によって振動体の振動振幅の変化、圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧と振動体の振動の時間的な位相差の変化等を検出する方法が多く用いられている。
しかし、これらの方法は振動検出センサを設ける位置や感度誤差等の影響により特に不図示の振動体の振動振幅が小さい領域では周波数変化の検出精度が低かった。
そこで、本実施例では振動体2の共振周波数Frと圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数の周波数差に応じて振動型アクチュエータの各種周波数応答特性が変化することに着目した。そして、これを安定化することで振動体2の共振周波数Frの変化に上記交流電圧の周波数を一定の周波数差で追従するよう構成した。
【0021】
以下に、本実施例における上記した振動体2の共振周波数Frの変化に上記交流電圧の周波数を一定の周波数差で追従させる方法について説明する。
本実施例では、周波数応答特性計測手段によって、
ホワイトノイズ生成手段と加算手段7とによる変動付与手段で与えられた変動に応じた第1の信号と、
物理量を計測する計測手段によって計測された物理量に応じた第2の信号と、の間における少なくとも一つの所定周波数による周波数応答特性を求める。
具体的には、周波数応答特性計測手段10はホワイトノイズが加算された振幅指令の変化に対する物理量計測手段9の出力する物理量の変化の所定周波数での位相特性を逐次計測する。
ここで、図5(b)の実線の状態を目標とする周波数応答特性とし、140Hzの位相特性を計測するものとする。
140Hzにおける位相特性は圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数Frに近いほど位相遅れが大きくなっている。
また、圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数から200Hz高い周波数では140Hzの位相特性がP0となっている。従って、140Hzの位相特性が不図示の指令手段からの位相差指令P0より大きい場合には、圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数を振動体2の共振周波数Frに近付けて行く。これにより、位相特性がP0より小さい場合には、共振周波数Frから遠ざけることで位相特性を安定化することができる。そこで、不図示の指令手段からの位相差指令P0と周波数応答特性計測手段10の出力する140Hzでの位相特性を示す位相信号とを位相差比較手段11で比較する。
そして、その差を制御演算手段12で積分演算し、周波数応答特性計測手段10の出力する位相信号が位相差指令P0と一致するように交流電圧生成手段8に周波数指令を設定している。
このように構成して動作させることで、140Hzの位相特性は常に位相差指令P0になるように振動体2の振動周波数は振動体2の共振周波数Frの変化に追従して逐次制御され、共振周波数Frと振動周波数の差は200Hz近傍に制御される。
なお、上記周波数応答特性を求める際の所定周波数は、交流電圧の周波数と振動体の共振周波数の差の周波数以下の周波数で、且つ上記差の周波数の10分の1以上の周波数であることが望ましい。
【0022】
また、上記説明では物理量計測手段9で振動体2の振動振幅を検出する例について説明したが、振動体2の振動振幅に応じて変化する物理量であればこれに限るものではない。
図5(b)の特性は振動体2の振動振幅の周波数応答特性であるが、振動体2の振動振幅に応じて変化する物理量であれば基本特性として振動体2の振動振幅の周波数特性が含まれるからである。
通常振動体2の振動振幅の周波数応答特性変化に対して他の物理量の特性変化は少ないので他の物理量を計測した場合の多くは周波数応答特性計測手段10の出力する位相信号が図5(b)の特性に対して一定量オフセットする特性となる。従って他の物理量を検出して周波数応答特性を安定化した場合でも概ね同様の効果が期待できる。
この効果によって、振動体2の周波数応答特性が安定化され小振幅から大振幅まで個体差の少ない振動制御が可能となる。
また、上記実施例では2つの固有振動モードを用いた振動型アクチュエータの例を用いて説明したが、固有振動モードの共振特性を利用するものであれば数によらず同様の効果があることは当然である。
また、目的に応じて物理量計測手段9で不図示の指令手段からの指令によって計測する物理量を切り替えても良い。
また、目的に応じて計測する周波数を切り換えたり、複数の周波数を定期的に切り換えて位相特性を計測し、それを平均して用いても良い。
【0023】
つぎに、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の第2の構成例を、図6に示すブロック図を用いて説明する。
図1の第1の構成例に対し、ホワイトノイズ生成手段6が公知のM系列乱数生成手段13に、圧電素子を用いた振動検出センサ1−cを不図示の振動体2に設け、物理量計測手段9の代わりに振動振幅計測手段14とした。
また、周波数応答特性計測手段10の具体的構成も示した。
加算手段7の出力する振幅指令にはM系列乱数発生のサンプリング周波数に応じた周波数帯域で広い周波数範囲の均質な周波数特性を有する変動が重畳されている。
交流電圧生成手段8は出力する交流電圧の1周期毎にこのM系列乱数の重畳された振幅指令をサンプリングし、交流電圧1周期分の振幅を決定する。
実際に交流電圧の振幅として設定される電圧振幅及び設定のタイミングは実際に交流電圧波形を出力したタイミングであるので、そのタイミングで電圧振幅信号を出力している。
【0024】
以下に、周波数応答特性計測手段の構成について説明する。
本実施例では、周波数応答特性計測手段は交流電圧生成手段8の出力する電圧振幅信号と振動振幅計測手段14の出力する振動振幅信号との間の140Hzにおける位相特性を計測する。
原理的には波形生成部で140Hzの正弦波と余弦波を生成し、電圧振幅信号及び振動振幅信号の夫々にこれらの波形を乗算後に平滑し、夫々の位相を求め、電圧振幅信号の位相から振動振幅信号の位相を減算することで位相特性を求めている。
つぎに、各ブロックについて説明する。
15及び16は交流電圧発生手段8の出力する交流電圧の周波数より低く140Hzの10倍程度の同じカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。
17は140Hzの正弦波を発生するSIN波生成手段、18は140Hzの余弦波を発生するCOS波生成手段である。
19、20、21、22は乗算手段(乗算演算部)であり、フィルタ演算を行うローパスフィルタ15、16の出力する帯域制限された電圧振幅信号と振動振幅信号に対し夫々正弦波、余弦波を乗算して出力している。
乗算手段19、20、21、22の各出力信号はオフセット値を有すると共に140Hzの倍の周波数で変調された波形となっている。
これを次段の1Hzのカットオフ周波数を有するローパスフィルタ23、24、25、26で平滑して27、28の逆正接演算手段を用いて電圧振幅信号及び振動振幅信号の位相を求め位相差検出手段29で夫々の位相の差を求めている。
【0025】
ここでは、逆正接演算手段27、28の出力を位相差検出手段29に入力しているが、再度ローパスフィルタを介してから入力しても良い。
ここで説明した2段乃至3段の直列に接続された各段のローパスフィルタは同じ段であればカットオフ周波数を同じにする必要がある。
また、各段のローパスフィルタのカットオフ周波数はここに示した以外でも良いことは当然である。
また、ローパスフィルタとして公知のデシメーションフィルタであるSINCフィルタを用いても良い。
SINCフィルタを用いるとサンプリングレートを低くすることが出来、計算量を減らすことが可能となる。
【0026】
[実施例2]
実施例2における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図7は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
以下では、本実施例と実施例1との違いについて説明する。
上記実施例1ではホワイトノイズ生成手段で交流電圧生成手段8に対する振幅指令を変化させていたのに対し、本実施例では周波数指令に対して後述するSIN波生成手段30によって変動を重畳している。
図8は、圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数変化に対するロータ4の回転速度変化の周波数応答特性である。
図8の破線の特性は交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数Fr近傍の特性、実線は交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数Frより200Hz高い周波数の特性、一点鎖線は400Hz高い周波数の特性である。
【0027】
つぎに、本実施例の動作について図8の周波数応答特性を用いて説明する。
30はSIN波発生手段で、31は加算手段である。加算手段31は後述する制御演算手段12の出力する周波数指令にSIN波発生手段30の出力する所定の周波数の正弦波を加算し正弦波波形で変化する周波数指令を交流電圧生成手段に出力している。
交流電圧生成手段8は電圧振幅指令手段5の振幅指令に応じた振幅で且つ加算手段31の出力する正弦波変動が重畳された周波数指令に応じた周波数の2相の交流電圧を発生している。
32は不図示のロータ4の回転速度を検出する光学式ロータリエンコーダ等の速度計測手段である。
ロータ4の回転速度は振動体2の振動振幅に概ね比例して変化するため低周波領域では振動振幅の周波数応答特性と同様の特性を有している。
高周波領域ではロータリエンコーダと不図示のロータ4との間のねじり剛性とロータリエンコーダのスケールの慣性モーメントによる共振系の影響やロータ4に接続されるギアや他の慣性負荷、連結の為のカップリングの剛性等により若干異なる特性となっている。
しかし、ねじり剛性や慣性モーメントは個体差や環境変化による変動が少ないため周波数応答特性の変化は主に不図示の振動体2の振動振幅特性変化に依存している。
【0028】
図8の周波数応答特性の内、80Hz近傍のゲイン特性の急峻な落ち込み及び位相特性のやや不連続な特性や400Hzより高い周波数にあるピーク特性に係わる特性は主に振動体2の振動振幅以外の機械的な共振系の影響である。
33は公知の高速フーリエ演算を行うFFT演算手段である。
ここでは加算手段31の出力する正弦波変動が重畳された周波数指令に対する速度検出手段の出力する速度の変化の位相特性を求め、SIN波生成手段30の出力する正弦波の周波数の位相特性を示す位相信号を出力している。
位相比較手段11は、不図示の指令手段からの位相差指令P0と位相信号を比較する。そして、制御演算手段12はその比較結果に応じて位相差指令と位相信号が一致するように交流電圧生成手段の出力する交流電圧の周波数を設定するための周波数指令を比例積分演算により求めている。
【0029】
つぎに、位相指令と位相信号を一致させる動作について説明する。
SIN波発生手段30は100Hzの正弦波を発生しているものとする。実施例1と同様に振動体2の共振周波数Frと交流電圧の周波数との差が200Hzの場合の特性を目標とする周波数応答特性とする。
図8より目標とする周波数応答特性は実線の特性なので100Hzの位相特性はP0となる。
そこで、不図示の指令手段からの位相差指令をP0として動作を説明する。100Hzにおける位相特性は、振動体2の共振周波数Frと交流電圧の周波数との差が小さいほど位相遅れが大きくなっている。
これは、交流電圧の周波数が振動体2の共振周波数Fr近傍である破線の特性から確認できる。
従って位相特性の遅れが小さい時には交流電圧の周波数は目標の周波数より高い周波数となっており、逆に遅れが大きい時には目標の周波数より振動体2の共振周波数Frに近い周波数となっている。
この特性を利用して100Hzの位相特性をP0となるように周波数指令を制御すれば実施例1と同様に位相特性を安定化可能である。
また、ロータ4の速度検出の結果を用いて周波数応答特性を検出したが実施例1に示した物理量検出手段でも同様の効果を得ることが可能である。
また、本実施例では、SIN波生成手段30を用いて周波数指令に変動を与えたがホワイトノイズ生成手段やM系列乱数生成手段及び他の変動付与手段による変動に対し周波数応答を計測しても良い。
本実施例のFFT演算手段は周波数応答特性を計測する手段の一つであり、他の手法でも良いことは当然である。
【0030】
[実施例3]
実施例3における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図9は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
大まかな構成は実施例1で説明した図6の構成とほぼ同じ構成であるが、不図示の指令手段からの速度指令に追従して不図示のロータ4の回転速度を制御している点が異なっている。
つぎに、上記実施例で説明した周波数応答計測を行う部分の説明を省略して動作を説明する。
図9において、34は不図示の指令手段からの速度指令V1と速度計測手段32からの不図示のロータ4の回転速度とを比較する速度比較手段である。
35は比例積分演算を行う制御演算手段で速度比較手段34の出力が0になるように周波数指令を生成し交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数を制御している。
この周波数指令には加算手段31でM系列乱数生成手段13の出力する乱数を加算して数10Hz以下の振幅の周波数変動を重畳した周波数指令を交流電圧生成手段8に入力している。
この変動は、交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数の設定可能な周波数分解能の数倍程度を上限とする変動幅を有している。
この周波数変動の付与によって、交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数が確率的に変動し周波数分解能を擬似的に高める効果も得ている。
交流電圧生成手段8は加算手段31の出力するM系列乱数の重畳された周波数指令に基き、出力する交流電圧の1周期毎に周波数指令をサンプリングして交流電圧の周波数を設定している。
また、このサンプリングされた周波数は周波数信号として周波数応答特性計測手段を構成するローパスフィルタ15に出力している。
【0031】
図10は不図示の振動体2の振動周波数と不図示のロータ4の回転速度との関係を示す図である。
振動体2の共振周波数Fr、Fr1、Fr2で最大の回転速度で回転する特性を示している。
破線、実線、一点鎖線の特性の違いは交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の振幅の違いによる特性の差を表しており、大きな振幅ほど回転速度が速くなっている。Fr、Fr1、Fr2は各電圧振幅における振動体2の共振周波数を示しており、交流電圧の振幅が大きいほど共振周波数が低い周波数になっている。本実施例では周波数を共振周波数Frに近付けるほど不図示のロータ4の回転速度が増加することを利用してロータ4の回転速度を制御している。
32は速度計測手段であり検出した速度を速度信号として速度比較手段34及び周波数応答特性計測手段を構成するローパスフィルタ16にもこの速度信号を出力している。
【0032】
つぎに、周波数応答特性の安定化について動作を説明する。
周波数応答特性計測手段はローパスフィルタ15、16から位相差検出手段29までの構成からなっており、内容については実施例1に説明したので詳細説明は省略する。
位相差検出手段29の出力は100Hzの位相特性を出力している。図8がこの位相特性を示している。
ここで、目標の位相特性は実線の位相特性とし、交流電圧の周波数を不図示の振動体2の共振周波数Frに対し200Hz高い周波数に追従するよう制御することを目標とする。
【0033】
図8より100Hzでの実線の位相特性はP0なので不図示の指令手段から位相差指令をP0と指令している。
位相差比較手段11は位相差検出手段29からの出力と位相差指令P0の比較結果を出力している。
36は位相差比較手段11の出力が0になるように交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の振幅を指令する振幅指令を生成する制御演算手段である。
上記実施例では交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数を制御することにより周波数応答特性の安定化をしていたが、本実施例では交流電圧の振幅を制御することで行っている。この動作について図8及び図10の特性を用いて説明する。
また、本実施例では、交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数を制御することで不図示のロータ4の回転速度を制御している。
図10の各曲線の特性を用いて不図示の指令手段からの速度指令V1に応じてこの交流電圧の周波数を制御した場合、同じ周波数でも交流電圧の振幅によって回転速度が異なるため交流電圧の周波数は異なる周波数に制御される。
また、交流電圧の振幅によって不図示の振動体2の共振周波数が変化するため同じ回転速度で回転していても、交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差は変化することになる。
従って、同じ回転速度となるように交流電圧の周波数を制御しつつ交流電圧の振幅を変化させる事で交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との差を変化させる事が可能である事がわかる。
【0034】
一方、交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差が200Hzで不図示のロータ4の回転速度がV1となるのは図10の実線の特性であり、その際の周波数応答特性は図8の実線の特性である。
そこで、図8の位相特性において100Hzの位相特性が位相差指令P0より大きくなった場合を考える。
100Hzの位相特性が位相差指令P0より大きい状態とは交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差が200Hzより大きくなった場合である。
図10において、ロータ4の回転速度がV1の時に上記交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差が200Hzより大きいのは一点鎖線の状態である。
図10において、一点鎖線の状態とは実線の状態に対して交流電圧の振幅が大きい状態であるから、一点鎖線の状態を実線の状態に近付けて行くには交流電圧の振幅を小さくすれば良い。
つまり、100Hzの位相特性が位相差指令P0より大きくなった場合には制御演算手段36の出力する振幅指令を小さくするよう動作すれば良い。
同様に、100Hzの位相特性が位相差指令P0より小さくなった場合には逆に振幅指令を大きくすれば良い。
【0035】
本実施例では、位相特性を安定化させるのに上記交流電圧の周波数を変化させて振動体2の共振周波数Frとの周波数差を一定に保つよう制御したが、このような構成に限定されるものではない。
例えば、交流電圧の周波数を別の物理量を制御する為に用いている場合には、交流電圧の他の操作量によって位相特性を安定化させるようにすることもできる。本実施例では、この他の操作量として上記交流電圧の振幅を操作したがφA、φBの2相の交流電圧で駆動する振動型アクチュエータの場合には2相間の時間的位相差を操作しても同様の効果が得られる。
上記振動型アクチュエータは2相の交流電圧間の位相差を通常90°として駆動するが、位相差を90°からずらして行くとロータ4の回転速度が変化する。
2相間の時間的位相差を操作する事でロータ4の回転速度が変化し結果的に交流電圧の周波数を変化させるからである。
【0036】
[実施例4]
実施例4における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図11は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
不図示の指令手段からの速度指令に応じて交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数を制御することで不図示のロータ4の回転速度を所定の速度に制御する。それと共に、この交流電圧の振幅を制御する事で周波数応答特性の位相特性を安定化させている点は実施例3と同じである。
本実施例は、周波数応答特性のゲイン特性を安定化する制御系を加えた点で上記実施例と異なっている。
つぎに、図9との相違点を中心に本実施例の構成を説明する。
図9では制御演算手段35の出力に加算手段31を用いてM系列乱数生成手段13の出力する変動を付与していたが、本実施例では制御演算手段35の前段に加算手段31を配置している。
制御演算手段35の前段、後段の配置によらずM系列乱数生成手段13による変動付与は交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数を変化させるので、周波数応答特性を計測することが出来る。
38はゲイン特性を外部から操作可能なゲイン変更手段である。
【0037】
また、図9では交流電圧生成手段8が設定した交流電圧の周波数に対するロータ4の回転速度の周波数応答特性を計測しているのに対し、本実施例ではゲイン変更手段38の周波数応答特性を含めた複合系の周波数応答特性を計測している。
そのため、振動型アクチュエータの特性だけでなくゲイン変更手段38に外部から設定されたゲイン特性を含んだ周波数応答特性が計測される。
また、図9では位相特性のみ計測する為逆正接演算手段27、28を用いて位相特性を求めていたが、本実施例では公知の三角関数演算手法であるCORDIC演算手法を用いて位相特性と同時にゲイン特性を検出している。
39、40がCORDIC演算手法を用いて三角関数演算を行うCORDIC演算手段である。
CORDIC演算手段39は、ゲイン変更手段38の入力信号に含まれる所定の周波数の振幅A1及び位相P1を求めている。
また、CORDIC演算手段40は速度計測手段32の出力する不図示のロータ4の回転速度に応じた速度信号に含まれる所定の周波数の振幅A2及び位相P2を求めている。
この振幅A1と振幅A2の比がゲイン特性であり41はA2/A1の除算を行いゲイン特性を求める除算手段である。29は位相P1に対する位相P2の遅れである位相特性を求める位相差検出手段である。
位相差検出手段29の出力と不図示の指令手段からの位相差指令P0とを位相差比較手段11で比較し、比較結果に応じて制御演算手段36で比例積分演算等を行い交流電圧生成手段8へ振幅指令を出力する動作は実施例3と同様の動作である。
42はゲイン比較手段で、ゲイン指令G0と除算手段41の出力であるA2/A1とを比較している。
ゲイン比較手段42の出力は制御演算手段37でゲイン比較手段42の出力が0となるようにゲイン変更手段38のゲインを調整している。
【0038】
図12は交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数に対する不図示のロータ4の周波数応答特性を示す図である。
図12(a)は周波数応答特性のバラツキを示す図で、図12(b)は位相特性を安定化した場合の周波数応答特性、図12(c)は更にゲイン特性を安定化した場合の周波数応答特性を示している。
不図示の振動体2の共振周波数と交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数との差は概ね図12の位相特性が−90°あたりの周波数であるので、周波数差はおよそ450Hz近傍となる。
そこで、これより小さい周波数である250Hzを選択し位相差を−45°に制御した。
図12(b)は250Hzの位相特性を−45°になるように制御した場合の特性である。
【0039】
このように、交流電圧生成手段の出力する交流電圧つまり圧電素子1−a、1−bに印加する交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数との差の周波数より低い周波数の位相特性を安定化すると、それ以下の周波数の位相特性が安定化される。
また、周波数差をこの交流電圧の周波数と振動体2の共振周波数の差より大きな周波数の位相特性を安定化すると、その周波数差近傍の位相特性を安定化することが出来るが低周波側ではあまり安定化されないことがわかっている。
また、位相特性を安定化してもゲイン特性が安定化していないことがわかる。
このことは、直流を含む低周波領域でのゲイン特性の変動を安定化するように交流電圧の周波数や振幅を制御した場合、ゲイン特性を安定化することは出来ても位相特性を安定化することは出来ないことを示している。
図12(c)は、図12(b)のゲイン特性の250Hzでのゲイン特性を−20dBに制御した場合の周波数応答特性を示している。250Hz以下の周波数特性がゲイン特性及び位相特性共に安定していることがわかる。
【0040】
このように、交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の振幅を制御して振動型アクチュエータの低周波域の位相特性を安定化し、更にゲインを調整することで周波数応答特性を安定化した。
これによって振動型アクチュエータの個体差や環境変動、摩擦部の耐久劣化等により変化する周波数応答特性が安定化され、速度変動特性や高速応答性能等の振動型アクチュエータの周波数応答特性の変化に敏感な制御特性の信頼性が向上する。
また、図12(a)の特性は振動型アクチュエータの個体差や環境変動、耐久劣化による特性変化の他に駆動回路に用いられる周波数特性マッチング用の不図示のインダクタや昇圧用トランス等の個体差も考慮したものである。
このように、振動型アクチュエータ以外の要因による特性変動であっても振動型アクチュエータの周波数応答特性が変化する性質を利用すれば安定化することが可能である。
【0041】
[実施例5]
実施例5における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明する。
図13は、本実施例における振動型アクチュエータの制御装置の構成例について説明するブロック図である。
実施例4ではゲイン変更手段38の周波数応答特性と交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数に対する不図示のロータ4の回転速度の周波数応答特性を直列に接続した系の周波数応答特性を安定化した。
それに対し、本実施例では不図示の指令手段からの速度指令に応じて交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数を制御することによってロータ4の回転速度を制御する制御ループの一巡伝達特性を安定化するように構成した。
この制御ループ構成要素は、速度比較手段34、後述する制御演算手段45、ゲイン変更手段38、加算手段31、交流電圧生成手段8、振動体2、ロータ4、速度計測手段32からなっている。ここで、一巡伝達特性とはこれらの構成要素を直列に接続した系の周波数応答特性のことである。
【0042】
本実施例ではこの一巡伝達特性を計測する方法として、加算手段31の2つの入力信号間の周波数応答特性を計測して得た特性から演算によって求めている。43はM系列乱数生成手段13の出力に対するゲイン変更手段38の出力である閉ループの周波数応答特性を計測し、開ループ化演算をする一巡伝達特性計測手段である。
一巡伝達特性計測手段43は複数の周波数におけるゲイン特性と位相特性を計測する機能を有する。
44は周波数選択手段で不図示の指令手段からの周波数選択指令によって上記複数の周波数から所望の周波数のゲイン特性と位相特性を選択している。
周波数選択手段44で選択されたゲイン特性はゲイン比較手段42に出力され不図示の指令手段からのゲイン指令G0と比較される。
ゲインの比較結果に応じて制御演算手段(第2の調整手段)37はゲイン変更手段38のゲインを調整し、一巡伝達特性の所定の周波数におけるゲイン特性を安定化する。
【0043】
周波数選択手段44で選択された位相特性は位相差比較手段11に出力され不図示の指令手段からの位相差指令P0と比較される。
位相の比較結果に応じて制御演算手段(第1の調整手段)36は交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の振幅を制御し、一巡伝達特性の所定の周波数における位相特性を安定化する。
また、45は不図示の指令手段からの演算切り替え指令によって比例積分演算の各係数を切り替える事の可能な制御演算手段で、不図示の指令手段からの速度指令に応じて比例積分演算の係数を切り替える。これにより、速度指令毎に上記一巡伝達特性が最適な設定となるようにしている。
【0044】
図14は、本実施例の一巡伝達特性の例を示す図である。
100Hz以下の直線的な傾斜特性を持つ積分特性と80HzとF20近傍にある不図示のロータ4と速度計測手段32との間にある機械的な共振系によるピークが顕著な特性として表れている。
実線が目標とする速度指令に対応する一巡伝達特性で、この特性は交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数と不図示の振動体2の共振周波数との差の周波数が所定の周波数となった時に実現される特性である。
破線は所定の周波数より低い周波数の場合、一点鎖線は所定の周波数より高い周波数の場合の一巡伝達特性を示している。
つぎに、図14の特性を用いて一巡伝達特性の安定化について説明する。
まず、不図示の指令手段からの速度指令に対応して図14の実線の特性を一巡伝達特性の目標とする。
それに応じて周波数選択手段44への周波数選択指令は周波数F10が指令され、ゲイン指令G0は0dB、位相差指令P0は−90°が設定される。
また、制御演算手段45へも速度指令に応じた比例積分係数が指定される。すると実施例4と同様の動作によって交流電圧生成手段8の出力する交流電圧の周波数及び振幅が制御され一巡伝達特性の位相及びゲインが位相差指令P0及びゲイン指令G0に制御される。
ここで、一巡伝達特性を計測することで得られる位相余裕、ゲイン余裕の値は制御系の安定度合いを知る上で重要である。
位相余裕、ゲイン余裕が所定の条件を満たせないと制御系の安定が得られないからである。
図14の実線の一巡伝達特性を見ると周波数F10でゲイン特性が0dBをよぎっており、その際の位相特性は−90°で位相余裕は90°である。
位相特性が−180°をよぎる周波数F20のゲイン特性は−10dBでゲイン余裕は10dBである。
これは概ね安定の条件を満たしており、実線の一巡伝達特性は安定である。位相余裕、ゲイン余裕の最適値は必要な制御性能によって異なる為これが良いとは言えないが最低でも位相余裕は20°以上、ゲイン余裕は3dB以上あることが望ましい。
【0045】
図15は、他の速度指令での一巡伝達特性を示している。
図15(a)は図14の実線の速度指令より高速な速度指令での特性である。位相余裕は周波数F11の位相特性で−130°であるから50°の位相余裕がある。ゲイン余裕はF21のゲイン特性より30dBとなっている。これは十分安定な特性である。
図15(b)は図14の実線の速度指令より低速の速度指令での特性で、図14の一点鎖線の特性と、それを改善した二点鎖線の特性を示している。
一点鎖線の特性の位相余裕は周波数F12の位相特性より60°である。ゲイン余裕は周波数F22のゲイン特性より−15dBとなり余裕が無い。一点鎖線の特性は、位相余裕は十分であるがゲイン余裕は安定条件を満たしていない事を示している。
この条件では制御系を安定に動作させる事が出来ない。そこで制御演算手段45に速度指令に応じた比例積分係数を指令し、一巡伝達特性を安定化する。
図15(b)の二点鎖線の特性は比例積分係数を修正して改善した特性である。改善された結果、位相余裕は周波数F13での位相特性より140°、ゲイン余裕は周波数F23のゲイン特性から20dBとなっている。
これは十分安定な特性である。この様に速度指令に応じて演算切り替え指令によって制御演算手段45の比例積分係数を設定することで、広い速度領域でゲイン余裕及び位相余裕を十分余裕のある値にしつつ、一巡伝達特性の安定化を実現する事が出来る。
【0046】
また、本実施例の上記説明では周波数F10のゲイン特性、位相特性を安定化するとしたが他の周波数でも良い。
例えば、図14の実線の特性の場合には周波数F10、図15(a)の特性では周波数F11、図15(b)の特性では周波数F13のゲイン特性を0dBにする。それと共に、位相特性を−160°以上の値になるようにゲイン指令、位相差指令を設定することで位相余裕を安定化する。
また、ゲイン余裕を安定化するには、図14の実線の特性の場合には周波数F20、図15(a)の特性の場合には周波数F21、図15(b)の特性の場合には周波数F23、のそれぞれの位相特性をつぎのように設定する等が考えられる。
すなわち、上記それぞれの位相特性を、−180°に、目標ゲインをゲイン特性0.7以下の値になるようにゲイン指令、位相差指令を設定する等が考えられる。
また、位相余裕、ゲイン余裕を大きく取る事は安定化には寄与するが、制御性能との間にトレードオフの関係があるため、目標に応じて安定化と制御性能のバランスを取る事が必要な事は一般に知られている事である。
【0047】
このように、不図示の指令手段からの速度指令に応じて周波数選択指令を切り替えることで、速度指令に合った周波数特性の安定化が選択可能である。
また、一巡伝達特性をリアルタイムに制御する場合、一巡伝達特性計測手段43の入力に混入するノイズが多少あっても急にゲイン特性や位相特性を変更しないようにフィルタ処理することが必要である。
また、当然の事であるが設定可能なゲインの範囲には上下限が設定されている。また、起動初期には一巡伝達特性のばらつきを十分考慮し安定な初期ゲインを選択すると共に、制御系が安定するまでの時間を待ってからゲイン変更を有効にする等の対策も必要である。
また、制御演算手段36の出力する振幅指令やゲイン変更手段38の出力する周波数指令にもあらかじめ決められた上下限が設けられており、起動初期にはあらかじめ決められた初期振幅及び初期周波数、が設定される。
また、本実施例では制御演算手段36の出力は振幅指令であったが交流電圧生成手段8の出力する2相の交流電圧φAとφB間の時間的位相差を指令しても同様の効果が得られる。
つまり、振幅指令を大きくすると不図示のロータ4の速度が増加し、振幅指令を小さくすると速度が減少するのと同じように、φAとφB間の位相差を90°に近付けると速度が増加し、位相差を0°に近付けると速度が減少するからである。
【符号の説明】
【0048】
1:圧電素子
2:振動体
3:フレキシブル基板
4:ロータ
5:電圧振幅指令手段
6:ホワイトノイズ生成手段
7:加算手段
8:交流電圧生成手段
9:物理量計測手段
10:周波数応答特性計測手段
11:位相差比較手段
12:制御演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触または間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータが設定可能な交流電圧生成手段と、
前記振動体の振動に応じて変化する、該振動体または該振動体に接続する機構の振動、該振動体を囲む媒体中に伝播する音、移動体の速度、位置、出力する力のうちの少なくとも一つの物理量を計測する計測手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段で与えられた変動に応じた第1の信号と、前記計測手段で計測された物理量に応じた第2の信号と、の間における少なくとも一つの所定周波数での周波数応答特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記周波数応答特性計測手段によって求められた周波数応答特性に応じて前記交流電圧の周波数を制御する周波数制御手段と、
を有することを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項2】
前記周波数制御手段は、前記周波数応答特性計測手段によって前記周波数応答特性として求められた位相特性に応じて、前記交流電圧の周波数を制御することを特徴とする請求項1に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項3】
前記周波数制御手段は、前記位相特性が所定の目標位相となるように前記交流電圧の周波数を制御することを特徴とする請求項2に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項4】
前記周波数応答特性を求める際の所定周波数は、前記交流電圧の周波数と前記振動体の共振周波数の差の周波数以下の周波数で、且つ該差の周波数の10分の1以上の周波数であることを特徴とする請求項3に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項5】
振動体に励起される振動波を用い、該振動体に接触または間接的に接続される移動体が該振動波によって発生する摩擦力によって相対移動する振動型アクチュエータの制御装置であって、
前記振動体に加振力を印加するための交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータが設定可能な交流電圧生成手段と、
前記振動体の振動に応じて変化する、振動体の振動振幅、移動体の速度、位置、移動体が出力する力のうちの少なくとも一つの物理量を計測する計測手段と、
前記計測手段で計測された物理量に応じた値と目標とする値との比較結果に応じて、所定の制御演算を行う制御演算手段と、
前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータに、所定の変動を与える変動付与手段と、
前記変動付与手段で与えられた変動に応じた第1の信号と、制御演算手段の出力または前記計測手段で計測された物理量に応じた第2の信号と、の間における少なくとも一つの所定周波数での周波数応答特性である位相特性を求める周波数応答特性計測手段と、
前記位相特性に応じて、前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータを設定する第1の調整手段と、
を有することを特徴とする振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項6】
前記周波数応答特性計測手段は、前記少なくとも一つの所定周波数におけるゲイン特性を求める機能を有すると共に、
前記ゲイン特性に応じて前記制御演算手段のゲイン特性を調整する第2の調整手段を有することを特徴とする請求項5に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項7】
前記第1の調整手段は、
前記周波数応答特性計測手段が出力する所定周波数の位相特性を所定の目標位相となるように、前記交流電圧における周波数、振幅、位相のうちの少なくとも一つのパラメータを設定することを特徴とする請求項5に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項8】
前記周波数応答特性を求める際の所定周波数は、前記交流電圧の周波数と前記振動体の共振周波数の差の周波数以下の周波数で、且つ該差の周波数の10分の1以上の周波数であることを特徴とする請求項7に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項9】
前記第2の調整手段は、前記周波数応答特性計測手段が出力する所定周波数のゲイン特性を所定の目標ゲインとなるように、前記制御演算手段のゲイン特性を調整することを特徴とする請求項6に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項10】
前記周波数応答特性計測手段は、一巡伝達特性を計測する周波数応答特性計測手段であることを特徴とする請求項5から9のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項11】
前記所定周波数における前記目標ゲインを0.7以下とすると共に、前記目標位相を−180°としたことを特徴とする請求項10に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項12】
前記所定周波数における前記目標ゲインを1とすると共に、前記目標位相を−160°以上としたことを特徴とする請求項10に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項13】
前記移動体の速度または前記振動体の振動振幅の目標とする値に応じて、前記所定周波数、目標位相、目標ゲインを設定することを特徴とする請求項5から12のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項14】
前記変動付与手段は、正弦波信号、ホワイトノイズ、擬似乱数信号のうちのいずれかを付与することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。
【請求項15】
上記周波数応答特性計測手段は、
前記少なくとも一つの所定周波数における正弦波及び余弦波を生成する波形生成部と、
前記波形生成部の出力する正弦波及び余弦波それぞれと、前記第1の信号及び前記第2の信号のそれぞれと、を乗算する乗算演算部と、
前記乗算演算部の出力信号にフィルタ演算を行うローパスフィルタ手段と、
を備え、
前記ローパスフィルタ手段によって演算された所定周波数ごとに演算された結果を用いて、前記第1の信号と前記第2の信号との間の周波数応答特性を計測することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の振動型アクチュエータの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate